説明

エンテロスタチンの非吸湿性組成物

本発明は、有利な吸湿性、有利な安定性又はその両方を示すことができるエンテロスタチンの医薬組成物を提供する。エンテロスタチンの医薬組成物は、エンテロスタチンを含む医薬品の製造に有用であり得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、その内容が全面的に参照により本明細書に組み込まれている、2005年12月13日に出願された米国仮出願第60/750,208号の優先権の利益を主張するものである。
【0002】
(1.発明の分野)
本発明は、F1-ATPアーゼ活性を調節するペプチドの新規の非吸湿性医薬組成物又は製剤を提供する。本発明は、例えば、肥満及び糖尿病などのエンテロスタチン活性又はF1-ATPアーゼ活性に関連する状態の治療における新規の非吸湿性組成物又は製剤の使用をさらに提供する。本発明の非吸湿性組成物及び製剤を、活性ペプチドの分解又は不安定性をほとんど又はまったく懸念することなく肥満及び糖尿病などのエンテロスタチン活性又はF1-ATPアーゼ活性に関連する状態の治療又は予防に使用することができる。
【背景技術】
【0003】
(2.発明の背景)
肥満は、世界中の人口に益々影響を与えている複雑な状態である。世界保健機関によれば、1995年には、世界中で肥満の成人が2億人存在すると推定され、さらに1800万人の5歳以下の子供が過体重に分類された。2000年では、肥満の成人の数が3億人以上まで増加した(Forrnigueraらの論文、2004、Best Practice & Research Clinical Gastroenterology、18:6、1125-1146参照)。
【0004】
過体重又は肥満は、高血圧症、異脂肪症(高全コレステロール又は高レベルのトリグリセリド)、II型糖尿病、冠状動脈性心疾患、卒中、胆嚢病、骨関節炎、睡眠時無呼吸及び呼吸障害並びにいくつかの癌(例えば、子宮体癌、乳癌及び結腸癌)を含むいくつかの疾患及び健康状態の危険性を高めることが示された(例えば、U.S.National Center for Chronic Disease Prevention and Health Promotion参照)。その健康結果は、早死の危険性の増加から、生活の全体的な質を低下させる重度の慢性状態までに及ぶ。
【0005】
過体重又は肥満などの状態をもたらし得る生理的過程の調節のための様々な療法が提案又は試験された(Orzanoらの論文、2004、J.Am.Board Fam.Pract.17(5):359-69参照)。その1つがエンテロスタチンである。
エンテロスタチンは、齧歯類食餌性脂肪嗜好を調節する上で有望であることを示したペプチドである(例えば、Erlanson-Albertssonらの論文、1991、Physiol.Behav.49:1191-1194;Okadaらの論文、1991、Physiol.Behav.49:1185-1189;Shargillらの論文、1991、Brain Res.544:137-140参照)。エンテロスタチンは、腸又は胃においてプロコリパーゼがトリプシンによって活性化されてコリパーゼが生成されることにより生成する。コリパーゼは、酵素リパーゼを結合し活性化して、腸の脂肪を代謝させる。プロペプチドエンテロスタチンは、齧歯類の研究で実証されたように、哺乳類における食餌性脂肪嗜好を低減させると考えられる(Erlanson-Albertssonらの論文、1991、Okadaらの論文、1991、Physiol.Behav.49:1185-1189、Shargillらの論文、1991参照)。よって、有効量のエンテロスタチンペプチドを投与することによって、哺乳類の食欲を減少させる研究が報告された(Erlanson-Albertsson、1996、米国特許第5,494,894号参照)。内因性エンテロスタチンに関するヒトの研究が報告された(例えば、Prasadらの論文、1999、J.Clin.Endocrinol.Metab.84:937-941;Kovacsらの論文、2003、British J.Nutrition 90:207-214)。
【0006】
エンテロスタチンを投与する新規の方法を開発する上で、従来の形のエンテロスタチンは、エンテロスタチン医薬品を効率的に製造するために、雰囲気又は保管条件であまりにも多くの水を吸収し得ることがわかった。あまりにも多くの水を吸収する従来の形のエンテロスタチンは、経時的に分解し、再現的に測定及び投与することが困難であり得る。従来の形のエンテロスタチンの吸湿性は、効率的に保管し、従来の医薬錠剤又はカプセル剤に使用するには強すぎ得ることを当業者なら認識するであろう。
食物摂取の調節、及び肥満又は糖尿病などのエンテロスタチン又はF1-ATPアーゼ活性に関連する状態の治療又は予防のための当該ペプチドの医薬としての使用にエンテロスタチンの安定な組成物又は製剤が必要である。
【発明の開示】
【0007】
(3.発明の要旨)
本発明は、エンテロスタチンなどのペプチドを含む新規の非吸湿性医薬組成物を提供する。本発明の非吸湿性医薬組成物は、雰囲気条件又は保管条件で高い安定性を示すことができる。よって、本発明の新規の非吸湿性医薬組成物は、保管又は使用に対して安定な医薬品の製造に有用である。したがって、本発明は、保管寿命が長く、湿分が少なく、且つ/又は保管条件、雰囲気条件又は高湿度条件において吸収する湿分がより少ないエンテロスタチン又はF1-ATPアーゼ活性を有するペプチドを含む医薬組成物及び製剤を提供する。
【0008】
新規の非吸湿性医薬組成物を、そのペプチドそのものが有用である任意の状態又は障害の治療又は予防に使用することができる。例えば、本発明の新規の非吸湿性医薬組成物を、その内容が全面的に参照により本明細書に組み込まれている、2005年12月13日に出願された「エンテロスタチンを使用した肥満治療方法(Methods of Treating Obesity Using Enterostatin)」という題名の米国特許仮出願第60/750,206号に記載されているようなエンテロスタチン又はF1-ATPアーゼ活性に関連する状態の治療又は予防に使用することができる。エンテロスタチン又はF1-ATPアーゼ活性に関連する代表的な障害又は状態としては、過体重、肥満、代謝障害、高血圧症、脂質関連障害及びII型糖尿病が挙げられるが、それらに限定されない。
【0009】
一態様において、本発明は、エンテロスタチンペプチドと1つ以上の非吸湿性添加剤とを含む非吸湿性医薬組成物を提供する。ある実施態様において、該組成物は、活性ペプチドの湿分との接触を低減する、又はなくする製剤を含む。代表的な非吸湿性添加剤としては、二塩基性無水リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、珪酸カルシウム、粉末化セルロース、デキストロース、ラクチトール、マンニトール又はそれらの混合物が挙げられる。代表的な組成物、それらの調製方法及びそれらの使用方法を以下のセクションで説明する。
【0010】
別の態様において、本発明は、非吸湿性マトリックスに封入されたエンテロスタチンペプチドを含む非吸湿性医薬組成物を提供する。好適な封入マトリックスとしては、A型ゼラチン及びB型ゼラチンなどのゼラチン、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどのセルロース、デンプン及びアカシアゴムが挙げられる。代表的な封入組成物、それらの調製方法及びそれらの使用方法を以下のセクションで説明する。
【0011】
さらなる態様において、本発明は、エンテロスタチンペプチドの非吸湿性固体分散物を含む非吸湿性医薬組成物を提供する。好適な固体分散物としては、マトリックス形成剤、1つ以上の任意選択の充填剤及びエンテロスタチンペプチドを含むものが挙げられる。代表的なマトリックス形成剤は、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、フタル酸HPMC、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリグリコール化グリセリド、シクロデキストリン及びカルボマーからなる群から選択され得る。エンテロスタチンペプチドをマトリックス及び任意選択の充填剤に分散又は溶解させる。
【0012】
本発明の態様において、エンテロスタチンペプチドは、エンテロスタチン又はF1-ATPアーゼ活性を有する任意のペプチドであり得る。特定の実施態様において、エンテロスタチンペプチドは、APGPR(配列番号1)、VPDPR(配列番号2)及びVPGPR(配列番号3)からなる群から選択される配列を有する。
【0013】
別の態様において、本発明は、代謝状態又は障害を本発明の医薬組成物で治療又は予防する方法を提供する。ある実施態様において、該状態又は障害は、F1-ATPアーゼ活性又はエンテロスタチン活性に関連する。特定の実施態様において、該状態は、エンテロスタチン欠損に関連する。該方法は、本発明の医薬組成物又は製剤の有効量を、それを必要とする対象に投与するステップを含む。該方法は、過体重又は肥満を含むが、それらに限定されないエンテロスタチンに関連する任意の状態の治療又は予防に有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
(4.発明の詳細な説明)
(4.1定義)
本発明の組成物及び製剤を参照する場合は、他に指定がなければ、以下の用語は以下の意味を有する。
「エンテロスタチン」という用語は、当業者に知られているように、プロコリパーゼのプロペプチドを包括する。代表的なエンテロスタチンは、APGPR(配列番号1)、VPDPR(配列番号2)及びVPGPR(配列番号3)からなる群から選択されるアミノ酸配列を有する。好ましい実施態様において、エンテロスタチンは、APGPR(配列番号1)のアミノ酸配列を有する。
【0015】
「吸湿性」は、当業者が理解するように、例えば大気から湿分を容易に吸収することが可能な物質を指す。ある実施態様において、「吸湿性」は、吸収を指し、物質の物理又は化学特性に影響を及ぼすのに十分な水の量又は状態の取得を意味する(Eds.J.Swarbrick 及び J.C.Boylan、「医薬技術の百科辞典(Encyclopedia of Pharmaceutical Technology)」、Vol.10、p.33)。
【0016】
「非吸湿性」組成物は、当業者が認識する条件下で、大気、例えば高湿大気から容易に湿分を吸収しない組成物を指す。ある実施態様において、非吸湿性組成物は、湿分と組成物の活性成分との接触を低減する、又はなくする。ある実施態様において、非吸湿性組成物は、約50%の相対湿度で、20重量%未満の湿分を吸収する。ある実施態様において、非吸湿性組成物は、約50%の相対湿度で、15重量%未満の湿分を吸収する。ある実施態様において、非吸湿性組成物は、約50%の相対湿度で、10重量%未満の湿分を吸収する。ある実施態様において、非吸湿性組成物は、約50%の相対湿度で、5重量%未満の湿分を吸収する。ある実施態様において、非吸湿性組成物は、約50%の相対湿度で、4重量%未満の湿分を吸収する。ある実施態様において、非吸湿性組成物は、約50%の相対湿度で、3重量%未満の湿分を吸収する。ある実施態様において、非吸湿性組成物は、約50%の相対湿度で、20重量%未満の湿分を吸収する。湿分吸収量は、当業者に知られている時間にわたって、当業者に知られている条件下で測定することができる。ある実施態様において、当業者に知られている加速保管条件のための加熱下で湿分吸収量を測定することができる。ある実施態様において、湿分吸収量を少なくとも1、2、3、4、5、10、15、20、25、30日間又は1、2、3、4、5又は6カ月間にわたって測定することができる。
【0017】
本明細書に用いられている「未結合水」という用語は、医薬組成物の1つ以上の成分の安定な溶媒和物又は水和物の形で存在しない水を指す。
「未結合水が実質的にない」という用語は、典型的には、約5重量パーセント未満、好ましくは約1重量パーセント未満、より好ましくは約0.1重量パーセント未満の水が存在することを意味する。
【0018】
「医薬として許容し得る塩」は、その生物学的特性を保持し、無毒であるか、又は医薬としての使用に有害でない本発明の化合物の任意の塩を指す。当該塩を当該技術分野でよく知られている様々な有機及び無機対イオンから誘導することができる。当該塩としては、(1)塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、スルファミン酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、トリクロロ酢酸、プロピオン酸、ヘキサン酸、シクロペンチルプロピオン酸、グリコール酸、グルタル酸、ピルビン酸、乳酸、マロン酸、コハク酸、ソルビン酸、アスコルビン酸、リンゴ酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、3-(4-ヒドロキシベンゾイル)安息香酸、ピクリン酸、桂皮酸、マンデル酸、フタル酸、ラウリン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、1,2-エタンジスルホン酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、4-クロロベンゼンスルホン酸、2-ナフタレンスルホン酸、4-トルエンスルホン酸、樟脳酸、カンファースルホン酸、4-メチルビシクロ[2.2.2]-オクタ-2-エン-1-カルボン酸、グルコヘプトン酸、3-フェニルプロピオン酸、トリメチル酢酸、tert-ブチル酢酸、ラウリル硫酸、グルコン酸、安息香酸、グルタミン酸、ヒドロキシナフトエ酸、サリチル酸、ステアリン酸、シクロヘキシルスルファミン酸、キナ酸、ムコン酸及び同様の酸などの有機又は無機酸と形成される酸付加塩;或いは(2)親化合物に存在する酸プロトンが、(a)金属イオン、例えば、アルカリ金属イオン、アルカリ土類イオン若しくはアルミニウムイオン、又は水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化リチウム、水酸化亜鉛及び水酸化バリウムなどのアルカリ金属若しくはアルカリ土類金属水酸化物、アンモニアで置換されるか、或いは(b)アンモニア、メチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ピコリン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、リシン、アルギニン、オルニチン、コリン、N,N'-ジベンジルエチレン-ジアミン、クロロプロカイン、ジエタノールアミン、プロカイン、N-ベンジルフェネチルアミン、N-メチルグルカミンピペラジン、トリス(ヒドロキシメチル)-アミノメタン及び水酸化テトラメチルアンモニウム等の脂肪族、脂環式又は芳香族有機アミンなどの有機塩基と配位結合する場合に形成される塩が挙げられる。
【0019】
塩は、単に例として、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アンモニウム及びテトラアルキルアンモニウム等を含み、化合物が塩基性官能基を含む場合は、ハロゲン化水素酸塩、例えば塩酸塩及び臭化水素酸塩、硫酸塩、リン酸塩、スルファミン酸塩、硝酸塩、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、トリクロロ酢酸塩、プロピオン酸塩、ヘキサン酸塩、シクロペンチルプロピオン酸塩、グリコール酸塩、グルタル酸塩、ピルビン酸塩、乳酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩、ソルビン酸塩、アスコルビン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、安息香酸塩、3-(4-ヒドロキシベンゾイル)安息香酸塩、ピクリン酸塩、桂皮酸塩、マンデル酸塩、フタル酸塩、ラウリン酸塩、メタンスルホン酸塩(メシレート)、エタンスルホン酸塩、1,2-エタンジスルホン酸塩、2-ヒドロキシエタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩(ベシレート)、4-クロロベンゼンスルホン酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩、4-トルエンスルホン酸塩、樟脳酸塩、カンファースルホン酸塩、4-メチルビシクロ[2.2.2]-オクタ-2-エン-1-カルボン酸塩、グルコヘプトン酸塩、3-フェニルプロピオン酸塩、トリメチル酢酸塩、tert-ブチル酢酸塩、ラウリル硫酸塩、グルコン酸塩、安息香酸塩、グルタミン酸塩、ヒドロキシナフトエ酸塩、サリチル酸塩、ステアリン酸塩、シクロヘキシルスルファミン酸塩、キナ酸塩及びムコン酸塩等の無毒性有機又は無機酸の塩をさらに含む。
【0020】
「生理的に許容し得るカチオン」という用語は、酸性官能基の生理的に許容し得る無毒性カチオン対イオンを指す。当該カチオンは、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アンモニウム及びテトラアルキルアンモニウムカチオン等に代表される。
「溶媒和物」は、非共有結合的分子間力によって結合された化学量論又は非化学量論量の溶媒をさらに含む本発明の化合物又はその塩を指す。溶媒が水である場合には、溶媒和物は水和物である。
同じ分子式を有するが、それらの原子の結合の性質又は配列、或いはそれらの原子の空間における配置が異なる化合物は、「異性体」と呼ばれることを理解すべきである。それらの原子の空間における配置が異なる異性体は、「立体異性体」と呼ばれる。
【0021】
互いの鏡像でない立体異性体は、「ジアステレオ異性体」と呼ばれ、互いに重ね合わせることのできない鏡像である立体異性体は、「鏡像異性体」と呼ばれる。化合物が非対称中心を有する場合、例えば、4つの異なる基に結合する場合は、一対の鏡像異性体が可能である。鏡像異性体は、その非対称中心の絶対配置を特徴とすることができCahn及びPrelogの規則(Cahnらの論文、1966、Angew.Chem.78:413-447、Angew.Chem.、Int.Ed.Engl.5:385-414(errata:Angew.Chem.、Int.Ed.Engl.5:511);Prelog及びHelmchen、1982、Angew.Chem.94:614-631、Angew.Chem.Internat.Ed.Eng.21:567-583;Mata及びLobo、1993、Tetrahedron:Asymmetry 4:657-668)に従って(R)又は(S)で指定されるか、或いは分子が偏光の面を回転する様式を特徴とすることができ、右旋又は左旋(即ち、それぞれ(+)-又は(-)-異性体) で指定される。キラル化合物は、個々の鏡像異性体又はそれらの混合物として存在することができる。同等の割合の鏡像異性体を含む混合物は、「ラセミ混合物」と呼ばれる。
【0022】
ある実施態様において、本発明の化合物は、1つ以上の非対称中心を有していてもよい;当該化合物を個々の(R)-又は(S)-鏡像異性体として、又はそれらの混合物として製造することができる。他に指定がなければ、例えば、式の任意の位置の立体化学構造の指定によって、明細書及び請求項における特定の化合物の記述又は命名は、個々の鏡像異性体、及びそれらの混合物又はラセミ体等を含むことを意図する。立体化学構造の決定及び立体異性体の分離方法は、当該技術分野でよく知られている。特定の実施態様において、本発明は、塩基による処理について本明細書に示される化合物の立体異性体を提供する。
【0023】
ある実施態様において、本発明の化合物又は組成物は、「立体化学的に純粋」である。立体化学的に純粋の化合物又は組成物は、当業者が「純粋」であると認識するレベルの立体化学的純粋さを有する。勿論、このレベルの純粋さは、100%未満である。ある実施態様において、「立体化学的に純粋」とは、代わりの異性体が実質的に不在の化合物又は組成物を指す。特定の実施態様において、化合物又は組成物は、他の異性体の不在度が85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%又は99.9%である。
【0024】
20種の遺伝子コード化L-アミノ酸について本明細書に用いられているアミノ酸表記法は、従来通りであり、以下の通りである。
【表1】

【0025】
本明細書に用いられているように、特に指定されているものを除いて、三文字アミノ酸略語は、L-配置のアミノ酸を指す。D-配置のアミノ酸には「D-」を前置きする。例えば、Argは、L-アルギニンを指し、D-Argは、D-アルギニンを指す。同様に、大文字の一文字略語は、L-配置のアミノ酸を指す。小文字の一文字略語は、D-配置のアミノ酸を指す。例えば、「R」は、L-アルギニンを指し、「r」は、D-アルギニンを指す。
他に指定がなければ、ペプチド又はポリペプチド配列が、一連の一文字及び/又は三文字略語として示される場合は、該配列は、慣例に従ってN-末端からC-末端の方向で示される。
【0026】
好ましい実施態様において、本発明の任意のペプチド又はアミノ酸は、特に指定がなければ、L型である。
「対象」という用語は、霊長類(例えばヒト)、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、イヌ、ネコ、ウサギ、ラット及びマウス等を含むが、それだけに限定されない哺乳類などの動物を指す。好ましい実施態様において、対象はヒトである。
「治療有効量」は、疾患の治療のために対象に投与する場合に、その疾患の当該治療を実施するのに十分な化合物又は複合体又は組成物の量を意味する。「治療有効量」は、とりわけ、化合物、疾患及びその重度、並びに治療される対象の年齢、体重等に応じて異なり得る。
【0027】
任意の疾患又は障害を「治療すること」又はその「治療」は、一実施態様において、対象に存在する疾患又は障害の改善(即ち、疾患の発症又はその少なくとも1つの臨床的症状の抑制又は低減)を指す。別の実施態様において、「治療すること」又は「治療」は、対象によって識別不可能であり得る少なくとも1つの物理的パラメータを改善することを指す。さらに別の実施態様において、「治療すること」又は「治療」は、物理的(例えば、識別可能な症状の安定化)又は生理的(例えば、物理的パラメータの安定化)或いはその両方で疾患又は障害を調節することを指す。さらに別の実施態様において、「治療すること」又は「治療」は、疾患又は障害の発症を遅らせることを指す。
【0028】
(4.2発明の実施態様)
本発明は、F1-ATPアーゼ活性又はエンテロスタチン活性を有するペプチドを含む新規の非吸湿性医薬組成物又は製剤を提供する。非吸湿性医薬組成物又は製剤は、有利な吸湿性及び/又は有利な安定性を示すことができる。非吸湿性医薬組成物又は製剤は、例えば、医薬品の製造及びペプチドの長期保管について医薬品として有用である。特定の実施態様において、非吸湿性医薬組成物又は製剤は、必ずしも無水条件を用いない、又は必ずしも無水条件下で製造されない、例えばいくらかの湿分を伴う条件下で製造される錠剤、カプセル剤、カシェ剤及び糖衣錠を含むが、それらに限定されない経口剤形に有用である。
【0029】
非吸湿性医薬組成物は、当業者が低いと見なすレベルの吸湿性を有する。例えば、非吸湿性医薬組成物は、医薬品の製造、保管及び便利な使用について、当業者にとって許容し得ると見なされる吸湿性を有することができる。ある実施態様において、本発明の非吸湿性医薬組成物は、通常の湿度の大気中において、重量%で10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%又は1%未満の水を吸収する。ある実施態様において、本発明の非吸湿性医薬組成物は、少なくとも25%、50%又は75%の湿度において少なくとも1、2、3、4、5、10、15又は20日間にわたって固体を維持する。好ましい実施態様において、本発明の非吸湿性医薬組成物は、少なくとも58%の湿度において少なくとも4又は10日間にわたって固体を維持する。ある実施態様において、非吸湿性医薬組成物は、当業者に知られている技術の下で、相対湿度5%から95%に変化した場合に、重量%で35%、30%、25%又は20%未満の水分を増加させる。ある実施態様において、非吸湿性医薬組成物は、当業者に知られている技術の下で、相対湿度95%から5%に変化した場合に、重量%で35%、30%、25%又は20%未満の水分を減少させる。ある実施態様において、非吸湿性医薬組成物は、相対湿度5%から95%に変化した場合に、重量%で35%、30%、25%又は20%未満の水分を増加させ、相対湿度95%から5%に変化した場合に、重量%で35%、30%、25%又は20%未満の水分を減少させる。
【0030】
本発明の組成物又は製剤の吸湿性を、当業者にとって明らかな条件下で測定することができる。例えば、ある実施態様において、吸湿性は、雰囲気又は保管条件下で測定される。ある実施態様において、吸湿性は、加速保管条件下、例えば加熱下で測定される。
ある実施態様において、本発明の非吸湿性医薬組成物は、エンテロスタチンペプチド及び非吸湿性添加剤を含む。非吸湿性添加剤は、当業者に知られている任意の医薬として適合し得る非吸湿性添加剤であり得る。特定の実施態様において、非吸湿性添加剤は、二塩基性無水リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、珪酸カルシウム、粉末化セルロース、デキストロース、ラクチトール、マンニトール及びそれらの混合物からなる群から選択される。代表的な組成物又は製剤、それらの調製方法並びにそれらの使用方法を以下のセクションで説明する。
【0031】
さらなる実施態様において、本発明は、非吸湿性マトリックスに封入されたエンテロスタチンペプチドを含む非吸湿性医薬組成物を提供する。非吸湿性マトリックスは、当業者に知られている任意の非吸湿性マトリックスであり得る。特定の実施態様において、非吸湿性マトリックスは、A型ゼラチン及びB型ゼラチンなどのゼラチン、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどのセルロース、デンプン及びアカシアゴムからなる群から選択される。組成物は、当業者に知られている1つ以上の医薬として許容し得る担体、希釈剤又は賦形剤をさらに含むことができる。代表的な封入組成物又は製剤、それらの調製方法及びそれらの使用方法を以下のセクションで説明する。
【0032】
さらなる実施態様において、本発明は、エンテロスタチンペプチドの非吸湿性固体分散物を含む非吸湿性医薬組成物を提供する。好適な固体分散物としては、マトリックス形成剤、1つ以上の任意選択の充填剤及びエンテロスタチンペプチドを含むものが挙げられる。マトリックス形成剤は、当業者に知られている固体分散物を形成することが可能な任意のマトリックス形成剤であり得る。ある実施態様において、マトリックス形成剤は、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、フタル酸HPMC、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリグリコール化グリセリド、シクロデキストリン及びカルボマーからなる群から選択され得る。組成物は、当業者に知られている1つ以上の医薬として許容し得る担体、希釈剤又は賦形剤をさらに含むことができる。
非吸湿性医薬組成物又は製剤において、成分が中性形態であり、又は1つの成分が塩形態であり、又は2つ以上の成分が塩形態であり得る。代表的な塩形態を以下のセクションで詳細に説明する。
【0033】
ある実施態様において、本発明の非吸湿性医薬組成物又は製剤は、エンテロスタチンの結晶形態を含む。本発明の結晶形態は、当業者が認識する1つ以上の結晶特性を有する。例えば、本発明の結晶形態は、複屈折、確定X線粉末回折ピーク、確定X線回折ピーク又はスポット、確定溶融温度、確定形状、又は当業者に知られている任意の他の結晶特性からなる群から選択される1つ以上の特性を有することができる。ある実施態様において、本発明は、結晶形態のエンテロスタチンペプチドを提供する。
【0034】
本発明の非吸湿性医薬組成物又は製剤は、例えば、医薬品の製造に使用が見出され、本発明は、本発明の非吸湿性医薬組成物又は製剤の溶媒和物をも包括する。当業者が認識するように、本発明の組成物又は製剤の溶媒和物は、1つ以上の溶媒分子と配位結合する非吸湿性医薬組成物又は製剤を含む。好ましい実施態様において、溶媒は、医薬として許容し得る。特に好ましい実施態様において、溶媒は水である。即ち、溶媒和物は水和物である。
【0035】
(4.3本発明のエンテロスタチンペプチド)
エンテロスタチン非吸湿性医薬組成物又は製剤は、エンテロスタチンペプチドを含む。エンテロスタチンペプチドは、当業者に知られている任意のエンテロスタチンペプチドであり得る。エンテロスタチンペプチドは、治療される対象と同じ種を起源とすることができ、或いはエンテロスタチンは異なる種を起源とし得る。好ましい実施態様において、エンテロスタチンペプチドは、対象と同じ種を起源とする。代表的なエンテロスタチンペプチドとしては、ヒト、ラット、マウス、ブタ、イヌ及びウマのエンテロスタチンペプチドが挙げられる。本発明のエンテロスタチンペプチドの製造方法を以下のセクションで説明する。
【0036】
ある実施態様において、エンテロスタチンペプチドは、全長エンテロスタチンペプチドである。代表的なエンテロスタチンペプチドは、APGPR(配列番号1)、VPDPR(配列番号2)及びVPGPR(配列番号3)からなる群から選択されるアミノ酸配列を有する。本発明のエンテロスタチン組成物又は製剤は、単一のエンテロスタチンを含むことができ、又は複数のエンテロスタチンを含むことができる。好ましいのは、APGPR(配列番号1)である。エンテロスタチンペプチドの製造方法を以下に詳細に説明する。
【0037】
好ましい実施態様において、エンテロスタチンは、実質的に純粋である。この文脈において、「実質的に純粋」という用語は、エンテロスタチンには、投与することを意図しない汚染物質が実質的に存在しないことを指す。例としては、ペプチド又はアミノ酸汚染物質及びペプチド合成試薬が挙げられる。ある実施態様において、エンテロスタチンは、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%又は99.9%の純度である。以下のセクションで詳細に説明するように、エンテロスタチンを1つ以上の担体、賦形剤又は希釈剤とともに投与するために処方することができる。
【0038】
エンテロスタチンは、当業者の判断に応じて自由末端又は閉鎖末端を含むことができる。有用な閉鎖末端は、C-末端アミド若しくはN-末端アセチル又はその両方を含む。好ましい実施態様において、エンテロスタチンは、自由N-及びC-末端を有する。
エンテロスタチンペプチドは、中性形態又は塩形態であり得る。塩形態は、当業者に知られている任意の塩形態であり得る。特に有用な塩形態は、酢酸塩、塩化物、硫酸塩及びリン酸塩と配位結合する塩形態である。酢酸塩及び塩化物塩形態が好ましい。
【0039】
本発明の化合物、例えば、エンテロスタチンペプチドが塩基性部分で置換されている場合は、酸付加塩を形成することができる。酸付加塩を調製するのに使用できる酸は、好ましくは、遊離塩基と結合すると、医薬として許容し得る塩、即ち、その塩の医薬投与物においてそのアニオンが患者に対して無毒である塩を生成するものを含む。本発明の範囲内の医薬として許容し得る塩は、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、スルファミン酸及び硝酸などの鉱酸;並びに酢酸、トリフルオロ酢酸、トリクロロ酢酸、プロピオン酸、ヘキサン酸、シクロペンチルプロピオン酸、グリコール酸、グルタル酸、ピルビン酸、乳酸、マロン酸、コハク酸、ソルビン酸、アスコルビン酸、リンゴ酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、3-(4-ヒドロキシベンゾイル)安息香酸、ピクリン酸、桂皮酸、マンデル酸、フタル酸、ラウリン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、1,2-エタン-ジスルホン酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、4-クロロベンゼンスルホン酸、2-ナフタレンスルホン酸、4-トルエンスルホン酸、樟脳酸、カンファースルホン酸、4-メチルビシクロ[2.2.2]-オクタ-2-エン-1-カルボン酸、グルコヘプトン酸、3-フェニルプロピオン酸、トリメチル酢酸、tert-ブチル酢酸、ラウリル硫酸、グルコン酸、安息香酸、グルタミン酸、ヒドロキシナフトエ酸、サリチル酸、ステアリン酸、シクロヘキシルスルファミン酸、キナ酸、ムコン酸及び同様の酸などの有機酸から誘導されるものである。
【0040】
対応する酸付加塩としては、ハロゲン化水素酸塩、例えば塩酸塩及び臭化水素酸塩、硫酸塩、リン酸塩、スルファミン酸塩、硝酸塩、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、トリクロロ酢酸塩、プロピオン酸塩、ヘキサン酸塩、シクロペンチルプロピオン酸塩、グリコール酸塩、グルタル酸塩、ピルビン酸塩、乳酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩、ソルビン酸塩、アスコルビン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、安息香酸塩、3-(4-ヒドロキシベンゾイル)安息香酸塩、ピクリン酸塩、桂皮酸塩、マンデル酸塩、フタル酸塩、ラウリン酸塩、メタンスルホン酸塩(メシレート)、エタンスルホン酸塩、1,2-エタン-ジスルホン酸塩、2-ヒドロキシエタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩(ベシレート)、4-クロロベンゼンスルホン酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩、4-トルエンスルホン酸塩、樟脳酸塩、カンファースルホン酸塩、4-メチルビシクロ[2.2.2]-オクタ-2-エン-1-カルボン酸塩、グルコヘプトン酸塩、3-フェニルプロピオン酸塩、トリメチル酢酸塩、tert-ブチル酢酸塩、ラウリル硫酸塩、グルコン酸塩、安息香酸塩、グルタミン酸塩、ヒドロキシナフトエ酸塩、サリチル酸塩、ステアリン酸塩、シクロヘキシルスルファミン酸塩、キナ酸塩、ムコン酸塩及び同様の塩が挙げられる。
【0041】
本発明のさらなる特徴によれば、知られている方法を適用又は適応することにより、遊離塩基を適切な酸と反応させることによって、本発明の化合物の酸付加塩を調製することができる。例えば、適切な酸を含有する水溶液若しくは水性アルコール溶液又は他の好適な溶媒に遊離塩基を溶解させ、溶液を蒸発させることにより塩を単離することによって、或いは遊離塩基と酸とを有機溶媒中で反応させる(この場合は、塩を直接分離するか、又は溶液の濃縮により得ることができる)ことによって、本発明の化合物の酸付加塩を調製することができる。
【0042】
知られている方法を適用又は適応することによって、本発明の化合物、例えばエンテロスタチンペプチドの酸付加塩を塩から再生することができる。例えば、本発明の親化合物を、アルカリ、例えば重炭酸ナトリウム水溶液又はアンモニア水溶液で処理することによって、それらの酸付加塩から再生することができる。
【0043】
本発明の化合物、例えばエンテロスタチンペプチドが酸性分で置換される場合は、塩基付加塩を形成することができる。例えばアルカリ及びアルカリ土類金属塩を含む医薬として許容し得る塩は、本発明の範囲内において、水素化ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化リチウム、水酸化亜鉛、水酸化バリウム、並びにアンモニア、メチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ピコリン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、リシン、アルギニン、オルニチン、コリン、N,N'-ジベンジルエチレン-ジアミン、クロロプロカイン、ジエタノールアミン、プロカイン、N-ベンジルフェネチルアミン、N-メチルグルカミンピペラジン、トリス(ヒドロキシメチル)-アミノメタン及び水酸化テトラメチルアンモニウム等の脂肪族、脂環式又は芳香族有機アミンなどの有機アミンなどの塩基から誘導されるものである。
【0044】
水性溶媒又は有機溶媒中の選択された金属の水素化物、水酸化物、炭酸塩又は同様の反応性化合物を化合物の遊離酸形態と接触させることによって、本発明の化合物、例えばエンテロスタチンペプチドの金属塩を得ることができる。使用される水性溶媒は、水であってもよいし、水と有機溶媒、好ましくは、メタノール若しくはエタノールなどのアルコール、アセトンなどのケトン、テトラヒドロフランなどの脂肪族エーテル、又は酢酸エチルなどのエステルとの混合物であってもよい。当該反応を通常雰囲気温度で実施するが、要望に応じて、加熱しながら実施してもよい。
【0045】
水性又は有機溶媒中のアミンを遊離酸形態の化合物と接触させることによって、本発明の化合物、例えばエンテロスタチンペプチドのアミン塩を得ることができる。好適な水性溶媒としては、水、及び水とメタノール若しくはエタノールなどのアルコール、テトラヒドロフランなどのエーテル、アセトニトリルなどのニトリル、又はアセトンなどのケトンとの混合物が挙げられる。同様に、アミノ酸塩を調製することができる。
知られている方法を適用又適応することによって、本発明の化合物、例えばエンテロスタチンペプチドの塩基付加塩を塩から再生することができる。例えば、本発明の親化合物を、酸、例えば塩酸で処理することによってそれらの塩基付加塩から再生することができる。
【0046】
本発明の化合物、例えばエンテロスタチンペプチドの塩は、それ自体が活性化合物として有用であるとともに、例えば、当業者によく知られている技術により、塩と親化合物、副産物及び/又は出発材料との溶解度差を利用することによって化合物を精製する目的に有用である。
ある実施態様において、エンテロスタチンペプチドは、ゲスト分子との複合体の形である。特定の実施態様において、ゲスト分子は、エンテロスタチンペプチドの吸湿性を低減するゲスト分子である。当該エンテロスタチン複合体は、その内容が全面的に参照により本明細書に組み込まれている、2005年12月13日に出願された「安定な固体形態のエンテロスタチン(Stable Solid Forms of Enterostatin)」という題名の米国仮出願第60/750,207号に詳しく記載されている。
【0047】
(4.4非吸湿性添加剤を含む本発明の医薬組成物)
ある実施態様において、本発明の非吸湿性医薬組成物は、エンテロスタチンペプチド及び非吸湿性添加剤、又はペプチドと湿分との接触を低減又は防止する系を含む。ある実施態様において、非吸湿性添加剤の量は、非吸湿性組成物を製造するのに十分なものである。
【0048】
上記セクションに記載されているように、非吸湿性医薬組成物は、エンテロスタチン又はその塩若しくは共複合体を含む。好ましい塩は、酢酸エンテロスタチン又は塩化エンテロスタチンであるが、経口投与に好適なエンテロスタチンの他の塩又は誘導体、或いはエンテロスタチン塩と誘導体との混合物を使用することができる。非吸湿性添加剤は、当業者に知られている任意の非吸湿性添加剤であり得る。代表的な非吸湿性添加剤を以下に詳細に説明する。
【0049】
ある実施態様において、非吸湿性添加剤は、通常の湿度の大気中において、重量%で10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%又は1%未満の水分を吸収する本発明の非吸湿性医薬組成物を製造するのに十分なものである。ある実施態様において、非吸湿性添加剤は、少なくとも25%、50%又は75%の湿度において、少なくとも1、2、3、4、5、10、15又は20日間にわたって固体を維持する本発明の非吸湿性医薬組成物を製造するのに十分なものである。好ましい実施態様において、非吸湿性添加剤は、少なくとも58%の湿度において、少なくとも4又は10日間にわたって固体を維持する本発明の非吸湿性医薬組成物を製造するのに十分なものである。ある実施態様において、非吸湿性添加剤は、当業者に知られている技術の下で、相対湿度5%から95%に変化した場合に、重量%で35%、30%、25%又は20%未満の水分を増加させる本発明の非吸湿性医薬組成物を製造するのに十分なものである。ある実施態様において、非吸湿性添加剤は、当業者に知られている技術の下で、相対湿度95%から5%に変化した場合に、重量%で35%、30%、25%又は20%未満の水分を減少させる本発明の非吸湿性医薬組成物を製造するのに十分なものである。ある実施態様において、非吸湿性添加剤は、相対湿度5%から95%に変化した場合に、重量%で35%、30%、25%又は20%未満の水分を増加させ、相対湿度95%から5%に変化した場合に、重量%で35%、30%、25%又は20%未満の水分を減少させる本発明の非吸湿性医薬組成物を製造するのに十分なものである。
【0050】
ある実施態様において、本発明の組成物をバルク粉末、錠剤、カプレット剤、ペレット剤、カプセル剤、サシェ剤、顆粒剤、及び経口投与に好適な任意の他の剤形などの固体剤形として調製することができる。
非吸湿性添加剤は、組成物の非吸湿特性を向上させるために、本発明に使用される。非吸湿性添加剤は、エンテロスタチンの湿分吸収を低減し、且つ/又は組成物の非吸湿特性を維持するのに役立つ任意の物質であり得る。
【0051】
エンテロスタチンと非吸湿性添加剤との比は、非吸湿性組成物を製造する任意の比であり得る。ある実施態様において、該比は、10:1から1:10、5:1から1:5、4:1から1:4又は2:1から1:1(添加剤:エンテロスタチン)の範囲内であり、或いはその範囲は約1:1である。特定の実施態様において、該比は、約10:1、5:1、4:1、3:1、2.5:1、2:1、1:1、1:2.5、1:3、1:4、1:5又は1:10(添加剤:エンテロスタチン)である。
【0052】
好ましい非吸湿性添加剤としては、二塩基性無水リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、珪酸カルシウム、粉末化セルロール、デキストロース、ラクチトール、マンニトール及びそれらの混合物が挙げられる。非吸湿性添加剤を当業者に知られている任意の供給源から得ることができる。
【0053】
非吸湿性添加剤は、非吸湿性組成物を製造するのに十分な任意の量で組成物に存在し得る。ある実施態様において、非吸湿性添加剤は、最終組成物の重量の約1%から約90%、最終組成物の重量の約10%から約90%、最終組成物の重量の約20%から約90%、最終組成物の重量の約25%から約90%、最終組成物の重量の約50%から約90%の量で存在する。特定の実施態様において、非吸湿性添加剤は、最終組成物の約10%、15%、20%、25%、30%、33%、40%、50%、60%、67%、70%、75%、80%、85%又は90%の量で存在する。
【0054】
本発明の医薬組成物は、少なくとも1つのさらなる賦形剤を所望により含む。さらなる賦形剤としては、例えば、医薬潤滑剤、結合剤、崩壊剤、滑剤、吸着剤及びそれらの混合物が挙げられる。当該「他の成分」を以下のセクションで説明する。
しかしながら、本発明の非吸湿性医薬組成物は、いくらかの吸湿性成分を含み得るが、全体的な組成物は実質的に非吸湿性でなければならないことに留意されたい。さらに、当該非吸湿性医薬組成物に使用される好適な賦形剤は、ラクトース一水和物等の水和賦形剤を含む。
【0055】
(4.5非吸湿性殻に封入された本発明の医薬組成物)
さらなる実施態様態様において、本発明は、非吸湿性マトリックスに封入されたエンテロスタチンペプチドを含む非吸湿性医薬組成物を提供する。
ある実施態様において、非吸湿性マトリックスは、通常の湿度の大気中において、重量%で10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%又は1%未満の水分を吸収する本発明の非吸湿性医薬組成物を製造するのに十分なものである。ある実施態様において、非吸湿性マトリックスは、少なくとも25%、50%又は75%の湿度において、少なくとも1、2、3、4、5、10、15又は20日間にわたって固体を維持する本発明の非吸湿性医薬組成物を製造するのに十分なものである。好ましい実施態様において、非吸湿性マトリックスは、少なくとも58%の湿度において、少なくとも4又は10日間にわたって固体を維持する本発明の非吸湿性医薬組成物を製造するのに十分なものである。ある実施態様において、非吸湿性マトリックスは、当業者に知られている技術の下で、相対湿度5%から95%に変化した場合に、重量%で35%、30%、25%又は20%未満の水分を増加させる本発明の非吸湿性医薬組成物を製造するのに十分なものである。ある実施態様において、非吸湿性マトリックスは、当業者に知られている技術の下で、相対湿度95%から5%に変化した場合に、重量%で35%、30%、25%又は20%未満の水分を減少させる本発明の非吸湿性医薬組成物を製造するのに十分なものである。ある実施態様において、非吸湿性マトリックスは、相対湿度5%から95%に変化した場合に、重量%で35%、30%、25%又は20%未満の水分を増加させ、相対湿度95%から5%に変化した場合に、重量%で35%、30%、25%又は20%未満の水分を減少させる本発明の非吸湿性医薬組成物を製造するのに十分なものである。
【0056】
非吸湿性マトリックスは、当業者に知られている任意の非吸湿性マトリックスであり得る。特定の実施態様において、非吸湿性マトリックスは、A型ゼラチン及びB型ゼラチンなどのゼラチン、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどのセルロース、デンプン及びアカシアゴムからなる群から選択される。組成物は、当業者に知られている1つ以上の医薬として許容し得る担体、希釈剤又は賦形剤をさらに含むことができる。代表的な封入組成物、それらの調製方法及びそれらの使用方法を以下のセクションで説明する。
【0057】
ある実施態様において、エンテロスタチンペプチドの周りに殻を形成するのにマトリックス形成材料を使用することができる。ある実施態様において、マトリックス形成材料を可塑剤で処方することができる。
殻は、硬質又は軟質カプセル殻であってもよく、マトリックス形成材料及び可塑剤を含んでいてもよい。広範なマトリックス形成材料が、本発明の非吸湿性医薬組成物での使用に好適であり、具体的な材料の選択は、少なくとも一部に、達成すべき具体的な結果などの要因に基づいていてもよい。具体的な材料の例としては、限定することなく、A型ゼラチン及びB型ゼラチンなどのゼラチン、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどのセルロース、デンプン及びアカシアゴムが挙げられる。所定の全体的な剤形に鑑みて特に所望され得る他の具体的なマトリックス形成材料は、当業者により決定可能である。
【0058】
殻形成に使用されるマトリックス形成材料の具体的な量は、一部には、形成される殻の種類(即ち硬質又は軟質)を含む様々な要因、並びに殻に含められる他の構成要素又は添加剤の量及び種類によって決定され得る。しかし、一態様において、マトリックス形成材料の量は、殻の約20%w/wから約70%w/wであってもよい。別の態様において、その量は、殻の約30%w/wから約50%w/wであってもよい。
【0059】
多くの可塑剤が知られており、この剤形の殻にも使用され得る。特定の可塑剤を選択するための1つの基準は、組成物に使用される充填材へのその薬剤の溶解度であってもよい。この文脈において、充填材は、殻内の医薬組成物の部分である。一態様において、可塑剤は、充填材に対して約10%w/w未満の溶解度を有することができる。別の態様において、充填材に対する可塑剤の溶解度は、約5%w/w未満であってもよい。さらに他の態様において、溶解度は、約1%w/w未満であってもよい。さらなる態様において、可塑剤の溶解度は、約0.5%w/w未満であってもよい。充填材への溶解度が低下すると、可塑剤の殻からの移動及び充填材への移動が実質的に妨げられる。多くの親水性界面活性材料に対して当該限られた溶解度を示す具体的な可塑剤の例としては、限定することなく、ソルビトール、ソルビタン、キシリトール、マルチトール、マルチトールシロップ、部分脱水水素化グルコースシロップ、水素化デンプン加水分解物、平衡相対湿度が80%以上の多価アルコール、カラゲナン、ポリグリセロール、ソルビトールの非結晶性溶液、グルコール、フルクトース、グルコールシロップ、並びにそれらの混合物及び同等物が挙げられる。
【0060】
ある実施態様において、可塑剤は、可塑剤の一部が殻から充填材に移動するに際して、効果的な殻可塑性を維持するのに十分な量で存在してもよく、且つ/又は具体的な溶解媒体において、若しくは胃腸管の内部の投与に際して、封入活性剤の放出及び/又は分散の速度及び規模に関して望ましい溶解/崩壊プロフィルを維持するのに十分な量で存在してもよい。失われることが想定される可塑剤を補償するのに必要な正確な量の可塑剤は、具体的な充填材及びその中の可塑剤の溶解度などの様々な要因に依存し得る。しかし、当業者は、所定の剤形が示す既知の特性に基づいて、効果的な殻可塑性を維持するのに必要なおよその量を容易に決定することが可能であり、さらに剤形を用いた慣例の実験を通じて具体的な量を特定することが可能である。本発明の一態様において、当該量の可塑剤は、殻の約4%w/wから約60%w/wであってもよい。別の態様において、その量は、約10%w/wから約35%w/wであってもよい。
【0061】
効果的な殻可塑性及び/又は親水性の高い充填材を考慮した封入活性剤の望ましい溶解/崩壊プロフィルを維持するためのさらなる選択肢は、可塑剤の組合せを、いずれかの可塑剤又は双方の可塑剤の一部の充填材への移動に際して、効果的な殻可塑性を維持するのに十分な全量で殻に含めることである。本発明の一態様において、当該組合せは、第1の可塑剤、及び上記のように充填材への溶解度が限られた第2の可塑剤を含むことができる。効果的な可塑性を維持するのに必要な各成分の全量及び比は、既に示した方法で当業者が決定できる。様々な比及び量が考えられるが、一態様において、可塑剤の組合せの全量は、本明細書の可塑剤に対して既に確定した範囲内であってもよい。
【0062】
本発明の剤形に使用される殻は、マトリックス形成材料の成分及び少なくとも1つの可塑剤に加えて、具体的に所望される製剤又は結果を達成するために、必要に応じてさらなる添加剤を含むことができる。当該添加剤の例としては、限定することなく、着色剤、酸化防止剤、防腐剤、界面活性剤及びそれらの混合物を挙げることができる。これらの添加剤並びに具体的に記載されていない他の添加剤の具体的な量は、当業者がその作用知識及び本明細書に記載の原理に従って容易に決定する。
【0063】
ある実施態様において、殻の表面に疎水性コーティングを使用することができる。例えば、殻の内面に疎水性コーティングを塗布すると、水及び可塑剤が充填材に移動するのを防止又は抑制することが可能になる。さらに、当該コーティングを殻の外面に塗布すると、湿分の外部環境からの吸収、及びその結果としての充填材への移動を防止又は抑制することが可能になる。加えて、当該コーティングは、殻から充填材への可塑剤の移動を防止又は抑制することができる。
【0064】
本発明の医薬組成物において、充填材は、上記などのエンテロスタチンペプチドを含む。ある実施態様において、充填材は、1つ以上の医薬として許容し得る担体、賦形剤又は希釈剤をさらに含むことができる。ある実施態様において、1つ以上の担体、賦形剤又は希釈剤を上記の非吸湿性添加剤から選択することができる。
【0065】
代表的な添加剤としては、酸化防止剤、緩衝剤、消泡剤、粘着防止剤、防腐剤、キレート化剤、粘度調節剤、等張化剤、香料、着色剤、臭気剤、乳白剤、安定剤、可溶化剤、結合剤、充填剤、可塑剤、潤滑剤及びそれらの混合物が挙げられる。添加剤の具体的な種類及び量は、剤形に特定の特性を付与するために、当業者が選択できる。
【0066】
充填材に含むことができる1つの具体的な親油性添加剤は、トリグリセリドである。概して、これらのトリグリセリドは、商業的供給先から容易に入手可能である。好適なトリグリセリドの例としては、植物油、魚油、動物脂、水素化植物油、部分水素化植物油、中鎖及び長鎖トリグリセリド及び構造化トリグリセリドが挙げられる。有用なトリグリセリドとしては、扁桃油;ババス油;ボラージ油;クロフサスグリ種子油;カノーラ油;ヒマシ油;ヤシ油;トウモロコシ油;綿実油;イブニングプリムローズ油;グレープシード油;落花生油;カラシ種油;オリーブ油;パーム油;パーム核油;ピーナッツ油;菜種油;ベニバナ油;ゴマ油;サメ肝油;大豆油;ヒマワリ油;水素化ヒマシ油;水素化ヤシ油;水素化パーム油;水素化大豆油;水素化植物油;水素化綿実及びヒマシ油;部分水素化大豆油;部分大豆及び綿実油;トリカプロン酸グリセリル;トリカプリル酸グリセリル;トリカプリン酸グリセリル;トリウンデカン酸グリセリル;トリラウリン酸グリセリル;トリオレイン酸グリセリル;トリリノール酸グリセリル;トリリノレン酸グリセリル;トリカプリル酸/カプリン酸グリセリル;トリカプリル酸/カプリン酸/ラウリン酸グリセリル;トリカプリル酸/カプリン酸/リノール酸グリセリル;及びトリカプリル酸/カプリン酸/ステアリン酸グリセリルが挙げられる。他の有用なトリグリセリドとしては、飽和ポリグリコール化グリセリド(Gelucire 44/14、Gelucire 50/13及びGelucire 53/10)、リノレン酸グリセリド(Maisine 35-I)及びカプリル酸/カプリン酸グリセリドが挙げられる。
【0067】
ある実施態様において、充填材は、1つ以上の界面活性剤を含む。有用な界面活性剤としては、親水性及び親油性界面活性剤が挙げられる。当該技術分野でよく知られているように、「親水性」及び「親油性」という用語は、相対的な用語である。界面活性剤として機能するために、化合物は、典型的には、極性又は帯電親水性成分並びに非極性親油性(疎水性)成分を含む。換言すれば、界面活性化合物は、両親媒性でなければならない。非イオン性両親媒性化合物の相対的な親水性及び親油性を特徴づけるのに広く使用されている経験的パラメータは、親水性-親油性バランス(「HLB」値)である。より低いHLB値を有する界面活性剤は、より親油性が強く、油への溶解度がより大きいのに対して、より高いHLB値を有する界面活性剤は、より親水性が強く、水溶液への溶解度がより大きい。
【0068】
HLB値を大まかなガイドとして使用すると、親水性界面活性剤は、一般には、HLB値が約10を超える化合物、並びにHLBスケールを一般に適用できないアニオン性、カチオン性又は両性イオン性化合物であると考えられる。同様に、親油性界面活性剤は、HLB値が約10未満の化合物である。
【0069】
親水性界面活性剤は、医薬組成物における使用に好適な任意の親水性界面活性剤であり得る。当該界面活性剤は、アニオン性、カチオン性、両性イオン性又は非イオン性であり得るが、ここでは非イオン性親水性界面活性剤が好ましい。上述したように、これらの非イオン性親水性界面活性剤は、一般にはHLB値が約10を超える。親水性界面活性剤の混合物も本発明の範囲内に含まれる。
同様に、親油性界面活性剤は、医薬組成物における使用に好適な任意の親油性界面活性剤であり得る。概して、好適な親油性界面活性剤は、HLB値が約10未満である。親油性界面活性剤の混合物も本発明の範囲内に含まれる。
【0070】
ある実施態様において、充填材は、ポリエトキシ化脂肪酸を含む。有用な親水性界面活性剤としては、ラウリン酸PEG-8、オレイン酸PEG-8、ステアリン酸PEG-8、オレイン酸PEG-9、ラウリン酸PEG-10、オレイン酸PEG-10、ラウリン酸PEG-12、オレイン酸PEG-12、オレイン酸PEG-15、ラウリン酸PEG-20及びオレイン酸PEG-20が挙げられる。商業的に入手可能なポリエトキシ化脂肪酸モノエステル界面活性剤の例を表2に示す。
ある実施態様において、充填材は、PEG脂肪酸ジエステルを含む。有用な親水性界面活性剤としては、ジラウリン酸PEG-20、ジオレイン酸PEG-20、ジステアリン酸PEG-20、ジラウリン酸PEG-32及びジオレイン酸PEG-32が挙げられる。
【0071】
概して、2つ以上の商業的界面活性剤製品の混合物を含む界面活性剤の混合物も本発明に有用である。いくつかのPEG-脂肪酸エステルが、モノエステルとジエステルとの混合物として市販されている。代表的な界面活性剤混合物としては、HLBモノ、ジラウリン酸PEG4-150;モノ、ジラウリン酸PEG200-6000;(Stepan)モノ、ジオレイン酸PEG4-150;モノ、ジオレイン酸PEG200-6000;モノ、ジステアリン酸PEG4-150;モノ、ジステアリン酸200-6000が挙げられる。
有用なPEGグリセロール脂肪酸エステルとしては、PEG-20ラウリン酸グリセリル、PEG-30ラウリン酸グリセリル、PEG-40ラウリン酸グリセリル、PEG-20オレイン酸グリセリル及びPEG-30オレイン酸グリセリルが挙げられる。
【0072】
アルコール又は多価アルコールと様々な天然及び/又は水素化油との反応によって、親水度又は疎水度の異なる多くの界面活性剤を調製することができる。最も一般的には、使用される油は、ヒマシ油又は水素化ヒマシ油、或いはトウモロコシ油、オリーブ油、ピーナッツ油、パーム核油、杏仁油若しくは扁桃油などの可食植物油である。好ましいアルコールとしては、グリセロール、プロピレングリコール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、ソルビトール及びペンタエリスリトールが挙げられる。これらのアルコール-油エステル交換界面活性剤の中で、好ましい親水性界面活性剤は、PEG-35ヒマシ油(Incrocas-35)、PEG-40水素化ヒマシ油(Cremophor RH 40)、トリオレイン酸PEG-25(TAGAT.RTM.TO)、PEG-60コーングリセリド(Crovol M70)、PEG-60扁桃油(Crovol A70)、PEG-40パーム核油(Crovol PK70)、PEG-50ヒマシ油(Emalex C-50)、PEG-50水素化ヒマシ油(Emalex HC-50)、PEG-8カプリリクカプリクグリセリド(Labrasol)及びPEG-6カプリル酸/カプリン酸グリセリド(Softigen 767)である。この類の好ましい親油性界面活性剤は、PEG-5水素化ヒマシ油、PEG-7水素化ヒマシ油、PEG-9水素化ヒマシ油、PEG-6トウモロコシ油(Labrafil.RTM.M 2125 CS)、PEG-6扁桃油(Labrafil.RTM.M 1966 CS)、PEG-6杏仁油(Labrafil.RTM.M 1944 CS)、PEG-6オリーブ油(Labrafil.RTM.M 1980 CS)、PEG-6ピーナッツ油(Labrafil.RTM.M 1969 CS)、PEG-6水素化パーム核油(Labrafil.RTM.2130 BS)、PEG-6パーム核油(Labrafil.RTM.M 2130 CS)、PEG-6トリオレイン(Labrafil.RTM.M 2735 CS)、PEG-8トウモロコシ油(Labrafil.RTM.WL 2609 BS)、PEG-20コーングリセリド(Crovol M40)及びPEG-20アーモンドグリセリド(Crovol A40)が挙げられる。この範疇の界面活性剤の油には、ビタミンA、D、E、K等の脂溶性ビタミンも含められる。したがって、コハク酸トコフェリルPEG-1000(Eastmanから入手可能なTPGS)などのこれらのビタミンの誘導体も好適な界面活性剤である。
【0073】
脂肪酸のポリグリセロールエステルも、本発明に好適な界面活性剤である。ポリグリセリル脂肪酸エステルの中で、好ましい親油性界面活性剤としては、オレイン酸ポリグリセリル(Plurol Oleique)、ジオレイン酸ポリグリセリル-2(Nikkol DGDO)及びトリオレイン酸ポリグリセリル-10が挙げられる。好ましい親水性界面活性剤としては、ラウリン酸ポリグリセリル-110(Nikkol Decaglyn 1-L)、オレイン酸ポリグリセリル-10(Nikkol Decaglyn 1-O)及びモノ、ジオレイン酸ポリグリセリル-10(Caprol.RTM.PEG 860)が挙げられる。ポリリシノール酸ポリグリセリル(Polymuls)も好ましい親水性及び親油性界面活性剤である。好適なポリグリセリルエステルの例を表7に示す。
【0074】
プロピレングリコールと脂肪酸とのエステルは、本発明における使用に好適な界面活性剤である。この界面活性剤類において、好ましい親油性界面活性剤としては、モノラウリン酸プロピレングリコール(Lauroglycol FCC)、リシノール酸プロピレングリコール(Propymuls)、モノオレイン酸プロピレングリコール(Myverol P-O6)、ジカプリル酸/ジカプリン酸プロピレングリコール(Captex.RTM.200)及びジオクタン酸プロピレングリコール(Captex.RTM.800)が挙げられる。この界面活性剤類の例を表8に示す。
【0075】
概して、界面活性剤の混合物も本発明における使用に好適である。特に、プロピレングリコール脂肪酸エステルとグリセロール脂肪酸エステルとの混合物が好適であり、商業的に入手可能である。1つの好ましい混合物は、プロピレングリコールとグリセロールとのオレイン酸エステル(Arlacel 186)で構成される。これらの界面活性剤の例を表9に示す。
【0076】
特に有用な界面活性剤類は、モノ及びジグリセリド類である。これらの界面活性剤は、一般に親油性である。この化合物類における好ましい親油性界面活性剤としては、モノオレイン酸グリセリル、リシノール酸グリセリル、ラウリン酸グリセリル、ジラウリン酸グリセリル、ジオレイン酸グリセリル、モノ/ジオレイン酸グリセリル、カプリル酸カプリン酸グリセリル、カプリル酸モノ/ジグリセリド及びモノ及びジアセチル化モノグリセリドが挙げられる。
【0077】
ステロール及びステロールの誘導体は、本発明における使用に好適な界面活性剤である。これらの界面活性剤は、親水性又は親油性であり得る。代表的な誘導体としては、ポリエチレングリコール誘導体が挙げられる。この類の代表的な親油性界面活性剤は、コレステロールである。この類の代表的な親水性界面活性剤は、PEG-24コレステロールエーテルである。
【0078】
様々なPEG-ソルビタン脂肪酸エステルが入手可能であり、本発明における界面活性剤としての使用に好適である。概して、これらの界面活性剤は親水性であるが、この類のいくつかの親油性界面活性剤も使用できる。PEG-ソルビタン脂肪酸エステルの中で、好ましい親水性界面活性剤としては、PEG-20モノラウリン酸ソルビタン(Tween-20)、PEG-20モノパルミチン酸ソルビタン(Tween-40)、PEG-20モノステアリン酸ソルビタン(Tween-60)及びPEG-20モノステアリン酸ソルビタン(Tween-80)が挙げられる。これらの界面活性剤の例を表12に示す。
【0079】
ポリエチレングリコール及びアルキルアルコールのエーテルは、本発明における使用に好適な界面活性剤である。有用な親油性エーテルとしては、PEG-3オレイルエーテル(Volpo 3)及びPEG-4ラウリルエーテル(Brij 30)が挙げられる。
糖のエステルは、本発明における使用に好適な界面活性剤である。この類の有用な親水性界面活性剤としては、モノパルミチン酸スクロース及びモノラウリン酸スクロースが挙げられる。
【0080】
ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンブロック共重合体も本発明における使用に好適である。これらの界面活性剤は、Synperonic PEシリーズ(ICI);Pluronic.RTM.シリーズ(BASF)、Emkalyx、Lutrol(BASF)、Supronic、Monolan、Pluracare及びPlurodacを含む様々な商品名で入手可能である。これらのポリマーの汎用用語は、「プロキサマー(ploxamer)」(CAS 9003-11-6)である。この類の有用な界面活性剤としては、ポロキサマー(poloxamer)108、188、217、238、288、338及び407が挙げられる。この類の好ましい親油性界面活性剤としては、ポロキサマー124、182、183、212、331及び335が挙げられる。
【0081】
脂肪酸のソルビタンエステルは、本発明における使用に好適な界面活性剤である。これらのエステルの中で、好ましい親油性界面活性剤としては、モノラウリン酸ソルビタン(Arlacel 20)、モノパルミチン酸ソルビタン(Span-40)、モノオレイン酸ソルビタン(Span-80)、モノステアリン酸ソルビタン及びトリステアリン酸ソルビタンが挙げられる。
【0082】
低級アルコール(C2〜C4)と脂肪酸(C8〜C18)とのエステルは、本発明における使用に好適な界面活性剤である。これらのエステルの中で、好ましい親油性界面活性剤としては、オレイン酸エチル(Crodamol EO)、ミリスチン酸イソプロピル(Crodamol IPM)及びパルミチン酸イソプロピル(Crodamol IPP)が挙げられる。
【0083】
カチオン性、アニオン性及び両性イオン性界面活性剤を含むイオン性界面活性剤は、本発明における使用に好適な親水性界面活性剤である。好ましいアニオン性界面活性剤としては、脂肪酸塩及び胆汁酸塩が挙げられる。具体的には、好ましいイオン性界面活性剤としては、オレイン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリルサルコシン酸ナトリウム、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、コール酸ナトリウム及びタウロコール酸ナトリウムが挙げられる。
【0084】
親水性界面活性剤もイオン性界面活性剤であり得るか、それを成分として含むことができる。好ましいイオン性界面活性剤としては、アルキルアンモニウム塩;胆汁酸並びにその塩、類似体及び誘導体;フシジン酸及びその誘導体;アミノ酸、オリゴペプチド及びポリペプチドの脂肪酸誘導体;アミノ酸、オリゴペプチド及びポリペプチドのグリセリド誘導体;乳酸アシル;モノ-ジグリセリドのモノジアセチル化酒石酸エステル;スクシニル化モノグリセリド;モノ-ジグリセリドのクエン酸エステル;アルギン酸塩;アルギン酸プロピレングリコール;レシチン及び水素化レシチン;リゾレシチン及び水素化リゾレシチン;リゾリン脂質及びそれらの誘導体;リン脂質及びそれらの誘導体;アルキル硫酸塩;脂肪酸の塩; ドキュセートナトリウム;カルニチン;並びにそれらの混合物が挙げられる。より好ましいイオン性界面活性剤としては、胆汁酸、並びにその塩、類似体及び誘導体;レシチン、リゾレシチン、リン脂質、リゾリン脂質及びそれらの誘導体;アルキル硫酸塩;脂肪酸の塩; ドキュセートナトリウム;乳酸アシル;モノ-ジグリセリドのモノ-ジアセチル化酒石酸エステル;スクシニル化モノグリセリド;モノ-ジグリセリドのクエン酸エステル;カルニチン;並びにそれらの混合物が挙げられる。
【0085】
より具体的には、有用なイオン性界面活性剤としては、レシチン、リゾレシチン、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジン酸、ホスファチジルセリン、リゾホスファチジルコリン、リゾホスファチジルエタノールアミン、リゾホスファチジルグリセロール、リゾホスファチジン酸、リゾホスファチジルセリン、PEG-ホスファチジルエタノールアミン、PVP-ホスファチジルエタノールアミン、脂肪酸の乳酸エステル、ステアロイル-2-ラクチレート、乳酸ステアロイル、スクシニル化モノグリセリド、モノ/ジグリセリドのモノ/ジアセチル化酒石酸エステル、モノ/ジグリセリドのクエン酸エステル、コール酸塩、タウロコール酸塩、グリココール酸塩、デオキシコール酸塩、タウロデオキシコール酸塩、ケノデオキシコール酸塩、グリコデオキシコール酸塩、グリコケノデオキシコール酸塩、タウロケノデオキシコール酸塩、ウルソデオキシコール酸塩、タウロウルソデオキシコール酸塩、グリコウルソデオキシコール酸塩、コリルサルコシン、タウロコール酸N-メチル、カプロン酸塩、カプリル酸塩、カプリン酸塩、ラウリン酸塩、ミリスチン酸塩、パルミチン酸塩、オレイン酸塩、リシノール酸塩、リノール酸塩、リノレン酸塩、ステアリン酸塩、硫酸ラウリル、硫酸ターアセチル、ドキュセート、ラウロイルカミチン、パルミトイルカミチン、ミリストイルカルニチン、並びにそれらの塩及び混合物が挙げられる。
【0086】
本発明の組成物の担体は、少なくとも2つの界面活性剤の組合せを含むことができ、その少なくとも1つが親水性である、一実施態様において、本発明は、親水性である2つの界面活性剤を含み、有用な親水性界面活性剤は、以上に列記されている。ある実施態様において、担体は、少なくとも1つの親水性界面活性剤及び少なくとも1つの親油性界面活性剤を含む。
【0087】
有用な親油性界面活性剤としては、アルコール;ポリオキシエチレンアルキルエーテル;脂肪酸;グリセロール脂肪酸エステル;アセチル化グリセロール脂肪酸エステル;低級アルコール脂肪酸エステル;ポリエチレングリコール脂肪酸エステル;ポリエチレングリコールグリセロール脂肪酸エステル;ポリプロピレングリコール脂肪酸エステル;ポリオキシエチレングリセリド;モノ/ジグリセリドの乳酸誘導体;プロピレングリコールジグリセリド;ソルビタン脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル;ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンブロック共重合体;エステル交換植物油;ステロール;ステロール誘導体;糖エステル;糖エーテル;スクログリセリド;ポリオキシエチレン植物油;及びポリオキシエチレン水素化植物油が挙げられる。
親油性界面活性剤は、親水性界面活性剤のように、ポリオールと、脂肪酸、グリセリド、植物油、水素化植物油及びステロールとの反応混合物であり得る。
【0088】
具体的に有用な親油性界面活性剤としては、ミリスチン酸;オレイン酸;ラウリン酸;ステアリン酸;パルミチン酸;ステアリン酸PEG1-4;オレイン酸PEG2-4;ジラウリン酸PEG-4;ジオレイン酸PEG-4;ジステアリン酸PEG-4;ジオレイン酸PEG-6;ジステアリン酸PEG-6;ジオレイン酸PEG-8;PEG3-16ヒマシ油;PEG5-10水素化ヒマシ油;PEG6-20トウモロコシ油;PEG6-20扁桃油;PEG-6オリーブ油;PEG-6ピーナッツ油;PEG-6パーム核油;PEG-6水素化パーム核油;植物油及びソルビトールのPEG-4カプリン酸/カプリル酸トリグリセリド、モノ、ジ、トリ、テトラエステル;ジ、テトラステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、カプリル酸又はカプリン酸ペンタエリスリチル、オレイン酸、ステアリン酸又はイソステアリン酸ポリグリセリル2-4;ペンタオレイン酸ポリグリセリル4-10;ジオレイン酸ポリグリセリル-3;ジオレイン酸ポリグリセリル-6;トリオレイン酸ポリグリセリル-10;ジステアリン酸ポリグリセリル-3;C6〜C20脂肪酸のプロピレングリコールモノ又はジエステル;C6〜C20脂肪酸のモノグリセリド;C6〜C20脂肪酸のアセチル化モノグリセリド;C6〜C20脂肪酸のジグリセリド;モノグリセリドの乳酸誘導体;ジグリセリドの乳酸誘導体;コレステロール;フィトステロール;PEG5-20大豆ステロール;PEG-6テトラ、ヘキサステアリン酸ソルビタン;PEG-6テトラオレイン酸ソルビタン;モノラウリン酸ソルビタン;モノパルミチン酸ソルビタン;モノ、トリオレイン酸ソルビタン;モノ、トリステアリン酸ソルビタン;モノイソステアリン酸ソルビタン;セスキオレイン酸ソルビタン;セスキステアリン酸ソルビタン;PEG2-5オレイルエーテル;POE2-4ラウリルエーテル;PEG-2セチルエーテル;PEG-2ステアリルエーテル;ジステアリン酸スクロース;ジパルミチン酸スクロース;オレイン酸エチル;ミリスチン酸イソプロピル;パルミチン酸イソプロピル;リノール酸エチル;リノール酸イソプロピル;及びポロキサマーが挙げられる。
【0089】
要望に応じて、本発明の医薬組成物は、治療剤又はトリグリセリドの組成物への溶解性を向上させるためのさらなる化合物を所望により含むことができる。「可溶化剤」と称する当該化合物の例としては、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、ベンジルアルコール、エチレン、グリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール及びその異性体、グリセロール、ペンタエリスリトール、ソルビトール、マンニトール、トランスカトール、ジメチルイソソルビド、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリビニルアルコール、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及び他のセルロース誘導体、シクロデキストリン及びシクロデキストリン誘導体などのアルコール及びポリオール;テトラヒドロフルフリルアルコールPEGエーテル(Tetraglycolの商品名でBASFから商業的に入手可能なグリコフロール)又はメトキシPEG(Union Carbide)などの平均分子量が約200から約6000のポリエチレンズリコールのエーテル;2-ピロリドン、2-ピペリドン、6-カプロラクタム、N-アルキルピロリドン、N-ヒドロキシアルキルピロリドン、N-アルキルピペリドン、N-アルキルカプロラクタム、ジメチルアセトアミド及びポリビニルピロリドンなどのアミド;プロピオン酸エチル、トリブチルクエン酸塩、トリエチルクエン酸アセチル、トリブチルクエン酸アセチル、トリエチルクエン酸塩、オレイン酸エチル、カプリル酸エチル、酪酸エチル、トリアセチン、モノステアリン酸プロピレングリコール、二酢酸プロピレングリコール、ファイ-カプロラクトン及びその異性体、デルタ-バレロラクトン及びその異性体、ベータ-ブチロラクトン及びその異性体などのエステル;並びにジメチルアセトアミド、ジメチルイソソルビド(Arlasolve DMI(ICI))、N-メチルピロリドン(Pharmasolve(ISP))、モノオクタノイン、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(Transcutolの商品名でGattefosseから入手可能)及び水などの当該技術分野で知られている他の可溶化剤が挙げられる。
【0090】
本発明の製剤は、剤形に処方されたときの組成物の安定性及び/又は相溶性を向上させるための1つ以上の安定剤を所望により含む。好適な安定剤としては、懸濁剤、凝集剤、増粘剤、ゲル化剤、緩衝剤、酸化防止剤、防腐剤、抗菌剤及びそれらの混合物が挙げられる。
有用な安定剤は、たいていの場合は、粘性の向上を付与し、沈降を抑制して、固化を防止する懸濁剤である。当該属性を有する広範な医薬として許容し得る賦形剤は、当該技術分野でよく知られている多くが、当該懸濁剤として使用され得る。好適な懸濁剤としては、セルロース誘導体、粘土、天然ゴム、合成ゴム又は当該技術分野で知られている他の薬剤が挙げられる。具体的な懸濁剤としては、例として、限定することなく、微結晶セルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、粉末化セルロース、エチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、アタパルジャイト、ベントナイト、ヘクトライト、モントモリロナイト、シリカゲル、ヒュームド二酸化珪素、コロイド二酸化珪素、アカシア、寒天、カラゲナン、ガーゴム、イナゴマメゴム、ペクチン、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコール、タマリンドゴム、キサンタンガム、カルボマー、ポビドン、グリコール酸ナトリウムデンプン、デンプン、トラガカント、珪酸マグネシウムアルミニウム、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム、ゼラチン及びグリシルリジンが挙げられる。これらの懸濁剤は、異なる流動特性を懸濁物にさらに付与することができる。懸濁物の流動特性は、ニュートン性、可塑性、偽可塑性、揺変性又はそれらの組合せであり得る。懸濁剤の混合物を使用して、流動特性及び粘性を最適化することもできる。
【0091】
安定剤は、粒子が緩い凝集体又は「凝集塊」で会合することを可能にする凝集剤であってもよい。これらの凝集塊は、迅速に沈降できるが、容易に再分散する。界面活性剤、親水性ポリマー、粘土及び電解質を含む当該技術分野で知られている多くの凝集剤を利用することができる。当該属性を有する任意の他の医薬として許容し得る賦形剤を凝集剤として利用することもできる。場合によっては、凝集剤は、安定剤のみならず、例えば固体粒子又は懸濁剤の成分としての二重の目的を果たすことができる。好適な凝集剤としては、ラウリル硫酸ナトリウム、ドキュセートナトリウム、塩化ベンズアルコニウム、ポリソルベート80、モノラウリル酸ソルビタン、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、キサンタンゴム、トラガカント、メチルセルロース、珪酸マグネシウムアルミニウム、アタパルジャイト、ベントナイト、リン酸二水素カリウム、塩化アルミニウム及び塩化ナトリウムが挙げられるが、それらに限定されない。該製剤は、凝集塊の沈降を抑制できるように、凝集剤及び懸濁剤の両方を含むことができる。
【0092】
安定剤は、懸濁活性剤粒子の沈降を低減及び抑制するのに十分な程度まで懸濁物の粘性を向上させるように選択される増粘剤であってもよい。当該属性を有する任意の医薬として許容し得る賦形剤を本発明に使用することができる。典型的には、雰囲気温度をわずかに超える温度で軟化する化合物が、この目的に望ましい。好ましい増粘剤は、約25℃を超える融点を有し、可逆的に液状化及び固化することができる。適切な量の当該増粘剤により、該製剤は、全体的にこの熱軟化特性を得ることができる。
【0093】
医薬組成物に従来使用されている他の添加剤を含めることができ、これらの添加剤は、当該技術分野でよく知られている。当該添加剤は、粘着防止剤、消泡剤、緩衝剤、酸化防止剤、防腐剤、キレート化剤、粘度調節剤、等張化剤、香料、着色剤、臭気剤、乳白剤、結合剤、充填剤、可塑剤、潤滑剤及びそれらの混合物が挙げられる。当該添加剤の量は、所望される特定の特性に応じて当業者が容易に決定できる。
【0094】
本発明の医薬組成物は、封入組成物について当業者に知られている任意の剤形であり得る。有用な剤形は、充填材、及び充填材を封入する殻などの本明細書に記載されている基本的構成要素を含む。本発明の範囲内にあると具体的に考えられる当該剤形の1つの一般的な範疇は、カプセル剤である。
【0095】
シングルピース又はツーピースカプセル剤である硬質及び軟質カプセル剤などの広範なカプセル剤が、それらを製造するための方法及び材料も含めて当業者に知られている。この性質の多くの典型的なカプセル剤は、活性剤の瞬時放出を提供するため、活性剤の実質的にすべてを比較的短時間で放出する。しかし、例えば、持続放出製剤を提供するためにコーティングをカプセル剤に付加することによって、活性剤の放出を延ばすためのさらなる工程を使用することができる。腸溶コーティング及び浸透コーティングなどの様々な当該コーティング、並びに活性剤のカプセル剤からの放出を所望の方法で延ばす、又は改変するためのいくつかの他の機構が当業者に知られている。
【0096】
また、ツーピースカプセル剤が使用される場合は、封入充填材の漏れを防止するためにカプセル剤のピースを互いに結束又は封止するためのいくつかの技術が知られている。当該剤形がツーピースカプセル剤を含む場合は、当該方法及び技術を本発明の剤形に関して使用することができる。
【0097】
よって、一態様において、本発明の剤形は、カプセル剤であってもよい。別の態様において、カプセル剤は、ゼラチンカプセル剤であってもよい。さらに別の態様において、ゼラチンカプセル剤は、軟質ゼラチンカプセル剤であってもよい。さらなる態様において、カプセル剤は、シングルピースカプセル剤であってもよい。さらなる態様において、カプセル剤は、封入充填材の漏れを防止するために、結束又は封止されるツーピースカプセル剤であってもよい。別の態様において、カプセル剤は、瞬時放出製剤であってもよい。さらなる態様において、カプセル剤は、活性剤の放出を改変又は持続させるための1つ以上の機構を含むことができる。
【0098】
(4.6固体分散物)
さらなる実施態様において、本発明は、エンテロスタチンペプチドの非吸湿性固体分散物を含む非吸湿性医薬組成物を提供する。好適な固体分散物としては、マトリックス形成剤、1つ以上の任意選択の充填剤及びエンテロスタチンペプチドを含むものが挙げられる。
ある実施態様において、非吸湿性固体分散物は、通常の湿度の大気中において、重量%で10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%又は1%未満の水分を吸収する本発明の非吸湿性医薬組成物を製造するのに十分なものである。ある実施態様において、非吸湿性固体分散物は、少なくとも25%、50%又は75%の湿度において、少なくとも1、2、3、4、5、10、15又は20日間にわたって固体を維持する本発明の非吸湿性医薬組成物を製造するのに十分なものである。好ましい実施態様において、非吸湿性固体分散物は、少なくとも58%の湿度において、少なくとも4又は10日間にわたって固体を維持する本発明の非吸湿性医薬組成物を製造するのに十分なものである。ある実施態様において、非吸湿性固体分散物は、当業者に知られている技術の下で、相対湿度5%から95%に変化した場合に、重量%で35%、30%、25%又は20%未満の水分を増加させる本発明の非吸湿性医薬組成物を製造するのに十分なものである。ある実施態様において、非吸湿性固体分散物は、当業者に知られている技術の下で、相対湿度95%から5%に変化した場合に、重量%で35%、30%、25%又は20%未満の水分を減少させる本発明の非吸湿性医薬組成物を製造するのに十分なものである。ある実施態様において、非吸湿性固体分散物は、相対湿度5%から95%に変化した場合に、重量%で35%、30%、25%又は20%未満の水分を増加させ、相対湿度95%から5%に変化した場合に、重量%で35%、30%、25%又は20%未満の水分を減少させる本発明の非吸湿性医薬組成物を製造するのに十分なものである。
【0099】
本明細書における「マトリックス形成剤」という用語は、それ自体、或いは充填剤及び/又は任意の他の賦形剤と組み合わせて、エンテロスタチンペプチドを分散又は溶解させることができるマトリックスを形成することが可能なポリマーを指す。マトリックス形成剤は、当業者に知られている固体分散物を形成することが可能な任意のマトリックス形成剤であり得る。ある実施態様において、マトリックス形成剤は、ヒドロキシエチルセルロース、HPC、HPMC、フタル酸HPMC、PVP、PEG、ポリグリコール化グリセリド、シクロデキストリン及びカルボマーからなる群から選択され得る。組成物は、当業者に知られている1つ以上の医薬として許容し得る担体、希釈剤又は賦形剤をさらに含むことができる。
【0100】
エンテロスタチンとマトリックス形成剤との比は、非吸湿性組成物を製造する任意の比であり得る。ある実施態様において、該比は、10:1から1:10、5:1から1:5、4:1から1:4又は2:1から1:1(マトリックス形成剤:エンテロスタチン)の範囲内であり、或いはその範囲は約1:1である。特定の実施態様において、該比は、約10:1、5:1、4:1、3:1、2.5:1、2:1、1:1、1:2.5、1:3、1:4、1:5又は1:10(マトリックス形成剤:エンテロスタチン)である。
【0101】
マトリックス形成剤は、非吸湿性組成物を製造するのに十分な任意の量で組成物に存在し得る。ある実施態様において、マトリックス形成剤は、最終組成物の重量の約1%から約90%、最終組成物の重量の約10%から約90%、最終組成物の重量の約20%から約90%、最終組成物の重量の約25%から約90%、最終組成物の重量の約50%から約90%の量で存在する。特定の実施態様において、マトリックス形成剤は、最終組成物の約10%、15%、20%、25%、30%、33%、40%、50%、60%、67%、70%、75%、80%、85%又は90%の量で存在する。好ましい実施態様において、マトリックス形成剤は、当業者にとって明らかな条件下で固体分散物を形成するのに十分な量で存在する。
本発明の組成物は、他の治療成分、固化防止剤、防腐剤、甘味料、着色剤、香料、乾燥剤、可塑剤及び染料等を任意選択によりさらに含むこともできる。当該任意選択の成分を以下のセクションで説明する。
【0102】
一実施態様において、マトリックス形成剤は、ヒドロキシプロピルセルロースである。本発明に有用な代表的なヒドロキシプロピルセルロースとしては、水性媒体中の動粘度が低い、好ましくは、25℃にて2%水溶液中で測定された動粘度が約400cps未満、例えば約150cps未満であるものが挙げられる。好ましいヒドロキシプロピルセルロースは、置換度が低く、平均分子量が約200,000ダルトン未満、例えば約50,000から約150,000ダルトンを有する。HPCは、例えば、Klucel(商標)LFKlucel(商標)EF及びKlucel(商標)JF(Aqualon)、及びNisso(商標)HPC-L(Nippon Soda)の商品名で商業的に入手可能である。
【0103】
別の実施態様において、マトリックス形成剤は、シクロデキストリン、例えば、β-シクロデキストリン又はα-シクロデキストリンである。好適なβ-シクロデキストリンの例としては、メチル-β-シクロデキストリン、ジメチル-β-シクロデキストリン、ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン(HPBCD)、グリコシル-β-シクロデキストリン、マルトシル-β-シクロデキストリン、スルホ-β-シクロデキストリン及びスルホ-アルキルエーテル、例えばβ-シクロデキストリンのスルホ-C1〜4-アルキルエーテルが挙げられる。α-シクロデキストリンの例としては、グルコシル-α-シクロデキストリン及びマルトシル-α-シクロデキストリンが挙げられる。
【0104】
別の実施態様において、マトリックス形成剤は、ポリグリコール化グリセリドである。ポリグリコール化グリセリドは、一般には、グリセロールのモノエステル、ジエステル及びトリエステルと、平均分子量が約200から6000のポリエチレングリコールのモノエステル及びジエステルとの混合物である。それらをポリエチレングリコールによるトリグリセリドの部分エステル交換によって、又は公知の反応を用いる脂肪酸によるグリセロールとポリエチレングリコールとのエステル化によって得ることができる。好ましくは、当該脂肪酸は、8〜22、より好ましくは8〜18の炭素原子を有する。当該脂肪酸の供給源として使用できる天然植物油の例としては、パーム核油及びパーム油が挙げられる。ポリエチレングリコールを他のポリオール、例えばポリグリセロール又はソルビトールで所望により置換することができる。ポリグリコール化グリセリドは、例えば、Gelucire(登録商標)(Gattefosse)の商品名で入手可能である。
【0105】
別の実施態様において、マトリックス形成剤は、ヒドロキシエチルセルロースである。本発明に有用な代表的なヒドロキシエチルセルロースとしては、水性媒体中の動粘度が低い、好ましくは、25℃にて2%水溶液中で測定された動粘度が約400cps未満、例えば約150cps未満であるものが挙げられる。ヒドロキシエチルセルロースは、例えばCellosize(商標)(Amerchol)及びNatrusol(商標)(Aqualon)の商品名で入手可能である。
【0106】
別の実施態様において、マトリックス形成剤は、カルボマーである。カルボマーは、アリルスクロース又はペンタエリスリトールのアリルエステルと架橋したアクリル酸の高分子量ポリマーである。カルボマーは、例えばCarbol(商標)(Noveon Pharmaceuticals)の商品名で入手可能である。
【0107】
別の好ましい実施態様において、マトリックス形成剤は、ヒドロキシプロピルメチルセルロースである。ある実施態様において、ヒドロキシプロピルメチルセルロースは、見かけの動粘度が低く、好ましくは、2重量%水溶液で20℃において測定された動粘度が約100cps未満、より好ましくは約50cps未満、最も好ましくは約20cps未満、例えば3cpsである。見かけの動粘度が3cpsのグレードを含むヒドロキシプロピルメチルセルロースは、例えばPharmacoat(商標)603(Shin-Etsu)の商品名で入手可能である。別の実施態様において、マトリックス形成剤は、例えばShin-Etsuから入手可能なフタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロースである。
【0108】
さらに別の実施態様において、マトリックス形成剤は、ポビドンである。ポビドンは、例えばPlasdone(商標)(ISP)及びKollidon(商標)(BASF)の商品名で入手可能である。約8,000から約50,000ダルトンの平均分子量を有するポビドンが有用である。
別の実施態様において、マトリックス形成剤は、雰囲気温度で固体のPEGである。当該PEGとしては、約1,000ダルトンから約35,000ダルトン、例えば約8,000ダルトンの平均分子量を有するものが挙げられる。PEGは、例えばCarbowax(商標)(Dow)の商品名で入手可能である。
【0109】
本明細書における「充填剤」又は「充填材」という用語は、例えば、固体分散物を従来の剤形、例えば錠剤又はカプセル剤に比較的容易に組み込むことができるように、固体分散物の質量及び/又は嵩密度を増加させるように機能する不活性材料である。本発明に使用されることが考えられる充填剤としては、例えば、微結晶セルロース、ラクトース、炭酸カルシウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、二塩基性リン酸カルシウム二水和物、三塩基性リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、デキストロース、エチルセルロース、フルクトース、カオリン、炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、三珪酸マグネシウム、マルトール、マルトデキストリン、マンニトール、メチルセルロース、粉末化セルロース、アルファ化デンプン、デンプン、滅菌適性トウモロコシデンプン、圧縮糖及び粉糖等が挙げられる。好ましくは、使用される充填剤は、分散物の安定性及び/又は溶解性に悪影響を及ぼさない。
【0110】
ある実施態様において、本発明の組成物は、吸湿性又は潮解性充填剤を含むことができる。好ましくは、吸湿性又は潮解性充填剤は、全体的な組成物の吸湿性を当業者が所望する限界より強くしない量で存在する。好適な吸湿性及び/又は潮解性充填剤としては、例えば、微結晶セルロース、三塩基性リン酸カルシウム、無水硫酸カルシウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、無水デキストロース、フルクトース、無水ラクトース、無水ステアリン酸マグネシウム、三珪酸マグネシウム、マルトデキストリン、メチルセルロース、粉末化セルロース、アルファ化デンプン、デンプン、滅菌適性トウモロコシデンプン、圧縮糖及び粉糖等が挙げられる。
【0111】
好ましくは、充填剤は、固体分散物が、一度形成されると、錠剤及びカプセル剤などの従来の剤形に容易に組み込むことができる粉などの流動可能状態になることを可能にするのに十分な量で存在する。よって、充填剤は、一般には、組成物の約1重量%から約95重量%、好ましくは約5重量%から約30重量%の量で存在する。
【0112】
要望に応じて、担体媒体は、例えば、α-トコフェロール、アスコルビン酸、パルミチン酸アスコルビル、ブチル化ヒドロキシアニソール及びブチル化ヒドロキシトルエンなどの酸化防止剤;グリコール酸ナトリウムデンプン及びフマル酸ナトリウムデンプンなどの崩壊剤;アスパラテーム、サッカリン及びサッカリンナトリウムなどの香料;珪酸マグネシウムアルミニウム、タルク及び二酸化チタンなどの滑剤;ステアリン酸などの潤滑剤;二塩基性リン酸ナトリウム及び一塩基性リン酸ナトリウムなどの中和剤;防腐剤;安定剤;ドキュセートナトリウム及びソルビタンエステルなどの界面活性剤;ポロキサマー及びラウリル硫酸ナトリウムなどの湿潤剤;並びにゼラチン及びポリメタクリレートなどの増粘剤及びコーティング剤から選択される他の医薬として許容し得る賦形剤をさらに含むことができる。当該賦形剤を、一度形成されると医薬剤形に組み込む前又は後に固体分散物と代替的又は追加的に後に混合することができる。
【0113】
(4.7本発明の化合物及び組成物の調製)
以下の実施例に示されるものを含む、当業者に知られている任意の方法に従って、組成物を調製することができる。
当業者にとって明らかな任意の技術に従ってエンテロスタチンを調製することができる。その内容が全面的に参照により本明細書に組み込まれている米国特許第5,494,894号に、エンテロスタチンを調製するための代表的な技術が記載されている。ある実施態様において、エンテロスタチンを例えば溶液相又は固体相ペプチド合成によって合成的に調製することができる(その内容が全面的に参照により本明細書に組み込まれているMerrifield、1963、J.Am.Chem.Soc.85:2149;Fieldsらの論文、1990、Int J Pept Protein Res.35:161-214;Fieldsらの論文、1991、Pept Res.4:95-101参照)。さらなる実施態様において、エンテロスタチンを天然供給源、組換え供給源又は商業的供給源から得ることができる。
【0114】
本発明の最終組成物は、吸湿性を低減することができるが、組成物自体の調製が、最終的な形で水分の量を減少させるのに有利であり得る。よって、いくつかの実施態様において、組成物が無水条件下で調製される。しかし、本発明は、組成物の調製方法によって一切制限されない。よって、本発明は、含水条件であるか、無水条件であるかに関係なく組成物を調製する方法をも提供する。
【0115】
一度調製すると、エンテロスタチン組成物を当業者に知られているペプチド複合体の保管のための任意の条件下で保管することができる。組成物は、有利な吸湿性を示すことができるが、好ましい実施態様では、組成物の安定性を最大にするために、組成物を低湿度条件で保管する。
【0116】
本発明の固体分散物を任意の好適な方法によって調製することができる。知られている固体分散物調製方法としては、その内容が全面的に参照により本明細書に組み込まれているHabib(2001)、医薬固体分散物(Pharmaceutical Solid Dispersions)、Technomic Publishing Co.、Pennsylvania(ペンシルベニア)州Lancasterなどの標準的な参考文献に記載されている溶媒法、融解法又は融解-溶媒法が挙げられる。以下に記載する方法は、例示を目的として示されており、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
【0117】
一実施態様において、固体分散物は、マトリックス形成剤、充填剤並びに吸湿性及び/又は潮解性薬剤を溶媒に溶解させることによる溶媒法に従って調製される。この方法に使用することが考えられる溶媒としては、水;メタノール、エタノール及びイソプロパノールなどのアルコール;酢酸エチルなどのエステル;ジエチルエーテルなどのエーテル;アセトンなどのケトン;ジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素;及びエタノールとアセトンとの混合物などのそれらの組合せが挙げられる。次いで、例えば、高温及び/又は真空を利用して、或いは凍結乾燥又は噴霧乾燥によって溶媒を蒸発させる。溶媒が蒸発すると、過飽和が生じ、その後にマトリックス形成剤と固体形態の薬剤が同時沈殿する。次いで、マトリックス形成剤及び充填剤から形成された担体媒体に薬剤が溶解又は懸濁した発生沈殿物を乾燥させて、本発明の固体分散物を製造する。この方法は、選択された担体媒体に可溶な薬剤及び易熱性の薬剤に特に有用である。
【0118】
別の実施態様において、固体分散物は、マトリックス形成剤をその融点を超える温度まで加熱し、吸湿性及び/又は潮解性薬剤を溶融剤に混合しながら添加する融解法に従って調製される。充填剤をマトリックス形成剤とともに加熱するか、又はマトリックス形成剤の融解後に混合することによって薬剤とともに組み込む。次いで、得られた組成物を、例えば攪拌による連続的混合によって冷却、例えば自然冷却させて、薬剤が均一に分散された固体分散物である製剤を製造する。薬剤がマトリックス形成剤に可溶である場合は、製剤に溶解しているため、それは、固体溶液又は分子分散物である。薬剤がマトリックス形成剤に可溶でない場合は、結晶性又は非晶質の粒子の形で固体分散物に分散する。
【0119】
さらに別の実施態様において、固体分散物は、マトリックス形成剤を溶融するまで加熱し、好適な溶媒中の吸湿性及び/又は潮解性薬剤の溶液を混合しながらそれに添加する融解-溶媒法に従って調製される。ここでも、充填剤をマトリックス形成剤とともに加熱するか、又はマトリックス形成剤の溶融後に混合することによって薬剤とともに組み込む。冷却すると、得られた組成物が一定の割合の溶媒を保持しながら、固体特性を維持することが可能であり、溶媒が無害である場合は、溶媒除去の必要性がなくなる。或いは、例えば、高温及び/又は真空を利用して、或いは凍結乾燥又は噴霧乾燥によって溶媒を除去する。
【0120】
(4.8充填材、賦形剤、希釈剤、担体)
本発明の上記組成物は、当業者に知られている任意の従来の医薬として許容し得る充填剤、賦形剤、希釈剤又は担体をさらに含むことができる。好ましくは、それらのさらなる材料は、組成物の吸湿性を当業者が所望する限界より強くしないものとする。
医薬として許容し得る担体及び医薬として許容し得る不活性担体並びに上記さらなる成分として使用される賦形剤の例としては、以下のものが挙げられるが、それらに限定されない。
【0121】
結合剤は、粉末材料に粘着性を付与するのに使用される薬剤である。結合剤は、錠剤が圧縮後もそのままの状態を維持することを保証し、所望の硬度及びサイズの顆粒剤の処方による易流動性を向上させる粘着性を錠剤製剤に付与する。好適な結合剤材料としては、デンプン(トウモロコシデンプン及びアルファ化デンプンを含む)、ゼラチン、糖(スクロース、グルコール、デキストロース、ラクトース及びソルビトールを含む)、ポリエチレングリコール、蝋、天然及び合成ゴム、例えばアカシア、トラガカント、アルギン酸ナトリウム、セルロース及びビーゴム(Veegum)、並びにポリメタクリレート及びポリビニルピロリドンなどの合成ポリマーが挙げられるが、それらに限定されない。
【0122】
潤滑剤は、錠剤製造においていくつかの機能を有する。それらは、錠剤材料のダイ及びパンチ表面への接着を防止し、粒子間摩擦を低減し、錠剤のダイ穴からの排出を容易にし、錠剤顆粒の流速を向上させることができる。好適な潤滑剤の例としては、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸、ベヘン酸グリセリル、タルク、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリルフマル酸ナトリウム、ポリエチレングリコール又はそれらの混合物が挙げられるが、それらに限定されない。本明細書における好ましい潤滑剤は、ステアリン酸マグネシウムである。
好ましくは、潤滑剤は、最終組成物の重量の約0.25%から約5%、より好ましくは最終組成物の重量の約0.5から約1.5%の量で存在する。
【0123】
崩壊剤は、投与後にその分解又は崩壊を容易にするために錠剤に添加される物質又は物質の混合物である。崩壊剤として機能する材料は、化学的に、デンプン、粘土、セルロース、アルギン、ゴム及び架橋ポリマーに分類される。好適な崩壊剤の例としては、クロスカルメロースナトリウム、グルコール酸ナトリウムデンプン、デンプン、珪酸マグネシウムアルミニウム、コロイド二酸化珪素、メチルセルロース、寒天、ベントナイト、アルギン酸、ガーゴム、シトラスパルプ、カルボキシメチルセルロース、微結晶セルロース又はそれらの混合物が挙げられるが、それらに限定されない。好ましい崩壊剤は、グリコール酸ナトリウムデンプンである。
好ましくは、崩壊剤は、最終組成物の重量の約0.5%から約25%、より好ましくは最終組成物の重量の約1から約15%の量で存在する。
【0124】
滑剤は、粉末混合物の流動特性を向上させる物質である。滑剤の例としては、コロイド二酸化珪素、タルク又はそれらの混合物が挙げられるが、それらに限定されない。
好ましくは、滑剤は、最終組成物の重量の約0.1%から約10%、より好ましくは最終組成物の重量の約0.1%から約5%の量で存在する。
【0125】
吸着剤は、例えば、コロイド二酸化珪素、微結晶セルロース、珪酸カルシウム又はそれらの混合物であってもよい。
好ましくは、吸着剤は、最終組成物の重量の約0.05%から約42%、より好ましくは最終組成物の重量の約0.05%から約37%の量で存在する。
【0126】
要望に応じて、医薬製剤に従来的に使用されている希釈剤、安定剤及び粘着防止剤などの他の成分を本発明の製剤に含めることができる。
任意選択の成分としては、当該技術分野でよく知られている着色剤及び香料が挙げられる。
有用な充填剤としては、タルク、炭酸カルシウム(顆粒又は粉末)、二塩基性リン酸カルシウム、三塩基性リン酸カルシウム、硫酸カルシウム(例えば顆粒又は粉末)、微結晶セルロース、粉末化セルロース、デキストレート、カオリン、マンニトール、珪酸、ソルビトール、デンプン、アルファ化デンプン又はそれらの混合物が挙げられる。
【0127】
有用な固化防止剤としては、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、二酸化珪素、コロイド二酸化珪素、タルク又はそれらの混合物が挙げられる。
有用な抗菌剤としては、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、安息香酸、ベンジルアルコール、ブチルパラベン、塩化セチルピリジニウム、クレゾール、クロロブタノール、デヒドロ酢酸、エチルパラベン、メチルパラベン、フェノール、フェニルエチルアルコール、酢酸フェニル水銀、硝酸フェニル水銀、ソルビン酸カリウム、プロピルパラベン、安息香酸ナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、プロピオン酸ナトリウム、ソルビン酸、チメルゾル、チモ又はそれらの混合物が挙げられる。
【0128】
有用なコーティング剤としては、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、酢酸フタル酸セルロース、エチルセルロース、ゼラチン、医薬用釉薬、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、ポリエチレングリコール、ポリ酢酸フタル酸ビニル、シェラック、スクロース、二酸化チタン、カルナウバワックス、微結晶蝋又はそれらの混合物が挙げられる。
【0129】
好ましい実施態様において、本発明の組成物は、医薬組成物又は単一単位剤形である。本発明の医薬組成物又は単一単位剤形は、予防又は治療有効量の1つ以上の予防又は治療薬(例えば、本発明の組成物又は予防若しくは治療薬)、及び典型的には1つ以上の医薬として許容し得る担体又は賦形剤を含む。具体的な実施態様及びこの文脈において、「医薬として許容し得る」という用語は、動物、特にヒトにおける使用について、連邦又は州政府の法的機関により、或いは米国薬局方又は一般に認識されている他の薬局方に掲載されている法的機関により承認されていることを意味する。「担体」という用語は、希釈剤、補助剤(例えば、フロイントアジュバント(完全及び不完全))、賦形剤、又は治療薬を投与するための媒体を指す。当該医薬担体は、水及び油などの無菌液であり、ピーナッツ油、大豆油、鉱油及びゴマ油等の石油、動物、植物又は合成起源のものを含み得る。医薬組成物を静脈内投与する場合は、水が好ましい担体である。食塩水及び水性デキストロース及びグリセロール溶液を特に注射溶液のための液体担体として使用することもできる。好適な医薬担体の例は、E.W.Martinによる「レミントンの医科学(Remington's Pharmaceutical Sciences)」に記載されている。
【0130】
典型的な医薬組成物及び剤形は、1つ以上の賦形剤を含む。好適な賦形剤は、医薬分野の当業者によく知られており、好適な賦形剤の非限定的な例としては、デンプン、グルコール、ラクトース、スクロース、ゼラチン、トウモロコシ、米、小麦、白墨、シリカゲル、ステアリン酸ナトリウム、モノステアリン酸グリセロール、タルク、塩化ナトリウム、乾燥脱脂乳、グリセロール、プロピレン、グリコール、水及びエタノール等が挙げられる。特定の賦形剤が、医薬組成物又は剤形への組み込みに好適であるかどうかは、剤形を患者に投与する方法、及び剤形中の具体的な活性成分を含むが、それらに限定されない、当該技術分野でよく知られている様々な要因に依存する。組成物又は単一単位剤形は、要望に応じて、少量の湿潤剤又は乳化剤或いはpH緩衝剤を含むこともできる。
【0131】
本発明の無ラクトース組成物は、当該技術分野でよく知られており、例えば、米国薬局方(USP)SP(XXI)/NF(XVI)に掲載されている賦形剤を含むことができる。概して、無ラクトース組成物は、活性成分、結合剤/充填剤、及び潤滑剤を医薬として適合し得る量及び医薬として許容し得る量で含む。好ましい無ラクトース剤形は、活性成分、微結晶セルロース、アルファ化デンプン及びステアリン酸マグネシウムを含む。
【0132】
水は、いくつかの化合物の分解を促進し得るため、本発明は、活性成分を含む無水医薬組成物及び剤形をさらに包括する。例えば、水(例えば5%)を添加することは、保存寿命又は経時的な製剤の安定性を測定するために長期的保管をシミュレートする手段として、医薬技術分野で広く受け入れられている(例えば、Jens T.Carstensen、「薬剤安定性:原理及び慣例(Drug Stability:Principles & Practice)」、第二版、Marcel Dekker、NY、NY、1995、pp.379〜380参照)。実際、水及び熱は、いくつかの化合物の分解を加速させる。したがって、湿分及び/又は湿度は、製剤の製造、処理、梱包、保管、出荷及び使用中に広く遭遇されるため、水分の製剤に対する影響は非常に大きい。
【0133】
無水又は低湿分含有成分及び低湿分又は低湿度条件を用いて、本発明の無水医薬組成物及び剤形を調製することができる。製造、梱包及び/又は保管中に湿分及び/又は水分に実質的に接触することが想定される場合は、ラクトース、及び一級又は二級アミンを含む少なくとも1つの活性成分を含む医薬組成物及び剤形は、無水であることが好ましい。
【0134】
無水医薬組成物は、無水性が維持されるように調製及び保管されるべきである。よって、無水組成物は、好ましくは、好適な処方キットに含めることができるように、水との接触を防止することが知られている材料を使用して梱包される。好適な梱包の例としては、気密密封箔、プラスチック、単位剤形容器(例えばバイアル)、ブリスターパック及びストリップパックが挙げられるが、それらに限定されない。
本発明は、活性成分が分解する速度を小さくする1つ以上の化合物を含む医薬組成物及び剤形をさらに包括する。本明細書において「安定剤」と称する当該化合物としては、アスコルビン酸などの酸化防止剤、pH緩衝剤又は塩緩衝剤が挙げられるが、それらに限定されない。
【0135】
医薬組成物及び単一単位剤形は、液剤、懸濁剤、乳剤、錠剤、丸剤、カプセル剤、粉剤及び持続放出製剤等の形をとることができる。経口製剤は、医薬グレードのマンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、ナトリウムサッカリン、セルロース、炭酸マグネシウム等を含むことができる。当該組成物及び剤形は、予防又は治療有効量の予防又は治療薬を好ましくは精製された形で、患者に適切に投与するための形を提供するように好適な量の担体とともに含むことになる。製剤は、投与の様式に適する必要がある。好ましい実施態様において、医薬組成物又は単一単位剤形は、無菌であり、対象、好ましくは動物対象、より好ましくは哺乳類対象、最も好ましくはヒト対象に対する投与に好適な形である。
【0136】
本発明の医薬組成物は、その意図する投与経路と適合するように処方される。投与経路の例としては、非経口投与、例えば、静脈内投与、内皮投与、皮下投与、筋肉内投与、皮下投与、経口投与、頬投与、舌下投与、吸入投与、鼻内投与、経皮投与、局部投与、経粘膜投与、腫瘍内投与、滑液包内投与及び直腸投与が挙げられるが、それらに限定されない。具体的な実施態様において、組成物は、ヒトに対する静脈内投与、皮下投与、筋肉内投与、経口投与、鼻内投与又は局部投与に合わせて構成された医薬組成物として、慣例手順に従って処方される。一実施態様において、医薬組成物は、ヒトに対する皮下投与のための慣例手順に従って処方される。典型的には、静脈内投与のための組成物は、無菌の等張性水性緩衝液の溶液である。必要な場合には、組成物は、可溶化剤、及び注射部位の痛みを緩和するためのリグノカインなどの局部麻酔剤を含むこともできる。
【0137】
剤形の例としては、錠剤;カプレット剤;軟質弾性ゼラチンカプセル剤などのカプセル剤;カシェ剤;トローチ剤;ロゼンジ剤;分散剤;坐薬;軟膏剤;パップ剤(湿布剤);糊剤;粉剤;包帯剤;クリーム剤;硬膏剤;液剤;貼付剤;エアロゾル剤(例えば、鼻スプレー剤又は吸入剤);ゲル剤;懸濁剤(例えば、水性又は非水性液体懸濁剤、水中油乳剤、或いは油中水液体乳剤)、液剤及びエリキシル剤を含む、患者に対する経口又は粘膜投与に好適な液体剤形;患者に対する非経口投与に好適な液体剤形;患者に対する非経口投与に好適な液体剤形を提供するように再構成できる無菌固体剤(例えば、結晶性又は非晶質の固体)が挙げられるが、それらに限定されない。
【0138】
本発明の剤形の組成、形状及び種類は、それらの使用に応じて典型的に異なる。例えば、炎症又は関連障害の急性治療に使用される剤形は、同じ疾患の慢性治療に使用される剤形より多量の1つ以上の活性成分を含んでいてもよい。また、治療に有効な剤形は、それぞれの種類の癌の間で異なっていてもよい。同様に、非経口剤形は、同じ疾患又は障害を治療するのに使用される経口剤形より少量の1つ以上の活性成分を含んでいてもよい。本発明に包括される具体的な剤形が互いに異なるこれら及び他の方法を当業者なら容易に理解するであろう(例えば、「レミントンの医科学(Remington's Pharmaceutical Sciences)」、第18版、Mack Publishing、Easton PA(1990)参照)。
【0139】
一般に、本発明の組成物の成分は、個別に供給されるか、或いは、例えば、活性剤の量を示したアンプル又はサシェなどの気密密封容器内の凍結乾燥粉末又は無水濃縮液として単位剤形で互いに混合される。組成物を注入によって投与する場合には、無菌の医薬グレードの水又は食塩水を含む注入ボトルで分配することができる。組成物を注射によって投与する場合には、成分を投与前に混合できるように、注射用無菌水又は食塩水のアンプルを提供することができる。
【0140】
本発明の典型的な剤形は、本発明の組成物、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物若しくは水和物を含む。1日当たり約0.1mgから約1000mgの範囲内であり、午前中に単一の1日1回の投与として与えられるが、食物とともに1日を通じて分割投与として摂取されるのが好ましい。本発明の特定の剤形は、約0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、1.0、2.0、2.5、5.0、10.0、15.0、20.0、25.0、50.0、100、200、250、500又は1000mgの活性エンテロスタチンを有する。
【0141】
経口投与に好適な本発明の医薬組成物を錠剤(例えば咀嚼錠剤)、カプレット剤、カプセル剤及び液剤(例えば香味シロップ)などの(但し、それらに限定されない)個別の剤形として提供することができる。当該剤形は、所定量の活性成分を含み、当業者によく知られている製薬方法で調製され得る(概要は「レミントンの医科学(Remington's Pharmaceutical Sciences)」、第18版、Mack Publishing、Easton PA(1990)参照)。
【0142】
好ましい実施態様において、経口剤形は、固体であり、上記セクションに詳述されているように、無水成分により無水条件下で調製される。しかし、本発明の範囲は、無水の固体経口剤形を超えている。そのため、さらなる剤形を本明細書に記載する。
本発明の典型的な経口剤形は、従来の医薬混合技術に従って、均一混合物における活性成分を少なくとも1つの賦形剤と組み合わせることによって調製される。賦形剤は、投与に応じた所望の調製の形に応じて、広範な形をとることができる。例えば、経口液体剤形又はエアロゾル剤形における使用に好適な賦形剤としては、水、グリコール、油、アルコール、香料、防腐剤及び着色剤が挙げられるが、それらに限定されない。固体の経口剤形(例えば、粉剤、錠剤、カプセル剤及びカプレット剤)における使用に好適な賦形剤の例としては、デンプン、糖、微結晶セルロース、希釈剤、造粒剤、潤滑剤、結合剤及び崩壊剤が挙げられるが、それらに限定されない。
【0143】
錠剤及びカプセル剤は、投与が容易であるため、最も有利な経口単位剤形であり、その場合は固体の賦形剤が使用される。要望に応じて、標準的な水性又は非水性技術により錠剤にコーティングすることができる。当該剤形を製薬方法のいずれかによって調製することができる。概して、医薬組成物は、活性成分を液体担体、微細固体担体又はその両方と均質且つ均一に混合し、次いで製品を必要に応じて所望の形に成形することによって調製される。
【0144】
例えば、錠剤を圧縮又は成形によって調製することができる。賦形剤と所望により混合された粉末又は顆粒などの易流動形態の活性成分を好適な装置圧縮することによって圧縮錠剤を調製することができる。不活性液体希釈剤で湿らせた粉末化化合物の混合物を好適な装置で成形することによって成形錠剤を製造することができる。
【0145】
(4.9治療又は予防方法)
当業者の判断に従って、エンテロスタチンによる治療に適した任意の障害又は状態を治療又は予防するために、本発明のエンテロスタチン組成物を使用することができる。該状態を正常又は異常エンテロスタチン機能と対応づけることができる。例えば、ある実施態様において、本発明のエンテロスタチン組成物を、低量のエンテロスタチンを示す又は分泌する対象に投与して、低量のエンテロスタチンの任意の症状を低減又は改善することができる。当該治療方法は、その内容が全面的に参照により本明細書に組み込まれている、2005年12月13日に出願された米国仮出願第60/750,206号に記載されている。
ある実施態様において、本発明の組成物を過体重、肥満、代謝障害、高血圧症、脂質関連障害及びII型糖尿病の治療又は予防に使用することができる。
【0146】
(4.10投与量及び投与頻度)
障害又はその1つ以上の症状の予防、治療、管理又は改善に有効な本発明の組成物の量は、疾患又は状態の性質及び重度、及び活性成分の投与経路に応じて異なる。頻度及び投与量は、投与される具体的な治療薬(例えば、治療又は予防薬)、障害、疾患又は状態の重度、投与経路、並びに患者の年齢、身体、体重、応答及び病歴に応じて、各患者に特有の要因によっても異なる。インビトロ又は動物モデル試験システムから導かれた投与量-応答曲線から有効な投与量を推定することができる。好適な計画は、当該要因を考慮し、例えば、文献に報告されている投与量、及び「医師用卓上参考書(Physicians' Desk Reference)」(第59版、2005)において推奨されている投与量に従って当業者が選択できる。
【0147】
組成物の代表的な投与量は、対象の体重又はサンプル重量1キログラム当たりミリグラム又はマイクログラム量の活性ペプチド(例えば、1キログラム当たり約1マイクログラムから1キログラム当たり約500ミリグラム、1キログラム当たり約100マイクログラムから1キログラム当たり約5ミリグラム、又は1キログラム当たり約1マイクログラムから1キログラム当たり約50マイクログラム)を含む。本発明の組成物では、患者に投与される投与量は、典型的には、活性ペプチドの重量で、患者の体重1kg当たり0.01mgから15mgである。好ましくは、患者に投与される投与量は、患者の体重1kg当たり0.01mgから15mg、0.01mgから10mg、0.01mgから5mg、0.01から4mg、0.01から3mg、0.01mgから2mg、0.01mgから1mg、0.02mgから1mg、0.10mgから2.5mgである。
【0148】
概して、本明細書に記載されている状態に対する本発明の組成物の推奨される1日投与量の範囲は、1日当たり単回投与又は複数回投与として、活性ペプチド約0.01mgから約1000mgの範囲内にある。具体的には、総1日投与量の範囲は、1日当たり約1mgから約500mg、より具体的には1日当たり約10mgから約200mgである。患者を管理する上で、治療をより低い投与量、恐らく約1mgから約25mgから開始し、必要であれば、患者の全体的な応答に応じて、単回投与又は分割投与として1日当たり約200mgから約1000mgまで増加させることができる。当業者にとって明らかなように、場合によっては、本明細書に開示されている範囲外の投与量の活性成分を使用することが必要であり得る。また、臨床家又は治療医師は、個々の患者の応答に関連して、治療をいつ、どのようにして中断、調整又は終了するかを知っていることを注記する。ある実施態様において、本発明の化合物又は組成物は、活性ペプチドの無水重量に基づいて活性ペプチド約1mg/日から約500mg/日の量で投与される。いくつかの実施態様において、それは、活性ペプチド約1mg/日から約400mg/日の量で投与される。いくつかの実施態様において、それは、活性ペプチド約1mg/日から約300mg/日の量で投与される。いくつかの実施態様において、それは、活性ペプチド約1mg/日から約200mg/日の量で投与される。いくつかの実施態様において、それは、活性ペプチド約1mg/日から約100mg/日の量で投与される。
【0149】
本発明の化合物又は組成物を、単一の1日1回の投与として、又は好ましくは1日を通しての分割投与として投与することができる。いくつかの実施態様において、1日投与量は、等分された投与量で毎日2回投与される。他の実施態様において、1日投与量は、1日3回投与される。特定の実施態様において、1日投与量は、等分された投与量で毎日3回投与される。いくつかの実施態様において、1日投与量は、3分割投与量において1日3回投与され、各投与量は、活性ペプチドを約1〜100mg、約4〜60mg、約4〜40mg、約4〜30mg、約4〜25mg又は4〜20mgの量で含む。好ましくは、組成物の3分割投与量は、毎日3度の食事の頃に与えられる。
【0150】
本発明の化合物又は組成物を様々な時点で投与することができる。いくつかの実施態様において、それは、エンテロスタチン欠乏症の対象に対して、対象が空腹のときに投与される。いくつかの実施態様において、食事の前に投与される。いくつかの実施態様において、食事中に投与される。いくつかの実施態様において、食後に投与される。
【0151】
当業者であれば容易にわかるように、異なる治療有効量が異なる疾患及び状態に適用可能であり得る。同様に、当該障害を予防、管理、治療又は改善するのに十分であるが、本発明の組成物に関連する有害作用を引き起こすのに不十分、又は該有害作用を抑えるのに十分な量も上記投与量及び投与頻度スケジュールに包括される。さらに、患者に複数の投与量の本発明の組成物が投与される場合は、投与量のすべてが同一である必要はない。例えば、患者に投与する投与量は、組成物の予防又は治療効果を向上させるために増加させてもよいし、特定の患者が経験する1つ以上の副作用を低減するために減少させてもよい。
【0152】
具体的な実施態様において、患者における障害又はその1つ以上の症状を予防、治療、管理又は改善するために投与される活性ペプチドの量に基づく本発明の組成物又は本発明の組成物の投与量は、患者の体重1kg当たり0.01mg、0.05mg、0.10mg、0.15mg、0.20mg、0.25mg、0.5mg、0.75mg、1mg、1.5mg、2mg、3mg、4mg、5mg、10mg又は15mg以上である。別の実施態様において、患者における障害又はその1つ以上の症状を予防、治療、管理又は改善するために投与される本発明の組成物又は本発明の組成物の投与量は、0.1mgから20mg、0.1mgから15mg、0.1mgから12mg、0.1mgから10mg、0.1mgから8mg、0.1mgから7mg、0.1mgから5mg、0.1から2.5mg、0.25mgから20mg、0.25から15mg、0.25から12mg、0.25から10mg、0.25から8mg、0.25mgから7mg、0.25mgから5mg、0.5mgから2.5mg、1mgから20mg、1mgから15mg、1mgから12mg、1mgから10mg、1mgから8mg、1mgから7mg、1mgから5mg、又は1mgから2.5mgの単位投与量である。
【0153】
ある実施態様において、本発明の同じ組成物の投与を繰り返すことができ、少なくとも1日、2日、3日、5日、10日、15日、30日、45日、2カ月、75日、3カ月又は6カ月の間隔をあけて投与することができる。他の実施態様において、同じ予防又は治療薬の投与を繰り返すことができ、少なくとも1日、2日、3日、5日、10日、15日、30日、45日、2カ月、75日、3カ月又は6カ月の間隔をあけて投与することができる。
【0154】
ある実施態様において、本発明の組成物又は本発明の組成物を単一の1回投与として、又は慢性的に投与することができる。慢性的とは、本発明の組成物又は本発明の組成物を所定の個体に2回以上施すことを意味する。例えば、慢性的投与は、当業者にとって明らかなように、1日1回、1日2回、又は多少高頻度に対象に投与される医薬組成物の複数回投与であり得る。慢性的投与は、当業者の判断に応じて、適宜数日間、数週間、数カ月間又は数年間持続し得る。
【0155】
別の実施態様において、本発明の組成物又は本発明の組成物を急性的に投与する。急性的とは、本発明の組成物又は本発明の組成物を事象の発生に近い時間又は同一時間に投与することを意味する。例えば、急性的投与は、食事開始頃に投与される医薬組成物の単回投与又は複数回投与であり得る。いくつかの実施態様において、食事は、高カロリー又は高脂肪食である。急性的投与は、また、食物の渇望の発生、特に脂肪性食物の渇望の発生頃に投与される医薬組成物の単回投与又は複数回投与であり得る。事象の発生に近い時間又は同一時間は、事象に応じて異なるが、例えば、食事又は食物の渇望の約30分以内であり得る。ある実施態様において、急性的投与は、食事又は食物の渇望の約1時間以内の投与である。ある実施態様において、急性的投与は、食事又は食物の渇望から約2時間、約6時間、約10時間、約12時間、約15時間又は約24時間以内の投与である。
【0156】
具体的な実施態様において、本発明は、障害、又はその1つ以上の症状を予防、治療、管理又は改善する方法であって、それを必要とする対象に対して、少なくとも150μg/kg、好ましくは少なくとも250μg/kg、少なくとも500μg/kg、少なくとも1mg/kg、少なくとも5mg/kg、少なくとも10mg/kg、少なくとも25mg/kg、少なくとも50mg/kg、少なくとも75mg/kg、少なくとも100mg/kg、少なくとも125mg/kg、少なくとも150mg/kg又は少なくとも200mg/kg以上の投与量の1つ以上の本発明の組成物を3日に1回、4日に1回、5日に1回、6日に1回、7日に1回、8日に1回、10日に1回、2週間に1回、3週間に1回、又は1カ月に1回投与することを含む。
以下の合成実施例及び生物学的実施例は、本発明を例示するために提示され、本発明の範囲を限定するものと見なされるべきではない。
【実施例】
【0157】
(5.1実施例1:エンテロスタチン)
以下の実施例では、エンテロスタチンを商業的供給源から入手するか、又は当業者に知られている技術に従って調製する(例えば、内容が全面的に参照により本明細書に組み込まれている米国特許第5,494,894号参照)。
【0158】
(5.2実施例2:非吸湿性添加剤を含む医薬組成物)
本実施例は、エンテロスタチンを含む以下の非吸湿性組成物を提供する。
組成物201:エンテロスタチン4.0mg、デンプン71.0mg、微結晶セルロース25mg。
組成物202:エンテロスタチン10.0mg、デンプン65.0mg、微結晶セルロース25mg。
組成物203:エンテロスタチン20.0mg、デンプン55.0mg、微結晶セルロース25mg。
組成物204:エンテロスタチン40.0mg、デンプン35.0mg、微結晶セルロース25mg。
組成物205:エンテロスタチン60.0mg、デンプン15.0mg、微結晶セルロース25mg。
【0159】
組成物206:エンテロスタチン4.0mg、デンプン71.0mg、二塩基性無水リン酸カルシウム25mg。
組成物207:エンテロスタチン10.0mg、デンプン65.0mg、二塩基性無水リン酸カルシウム25mg。
組成物208:エンテロスタチン20.0mg、デンプン55.0mg、二塩基性無水リン酸カルシウム25mg。
組成物209:エンテロスタチン40.0mg、デンプン35.0mg、二塩基性無水リン酸カルシウム25mg。
組成物210:エンテロスタチン60.0mg、デンプン15.0mg、二塩基性無水リン酸カルシウム25mg。
【0160】
組成物211:エンテロスタチン4.0mg、デンプン71.0mg、硫酸カルシウム25mg。
組成物212:エンテロスタチン10.0mg、デンプン65.0mg、硫酸カルシウム25mg。
組成物213:エンテロスタチン20.0mg、デンプン55.0mg、硫酸カルシウム25mg。
組成物214:エンテロスタチン40.0mg、デンプン35.0mg、硫酸カルシウム25mg。
組成物215:エンテロスタチン60.0mg、デンプン15.0mg、硫酸カルシウム25mg。
【0161】
組成物216:エンテロスタチン4.0mg、デンプン71.0mg、粉末化セルロース25mg。
組成物217:エンテロスタチン10.0mg、デンプン65.0mg、粉末化セルロース25mg。
組成物218:エンテロスタチン20.0mg、デンプン55.0mg、粉末化セルロース25mg。
組成物219:エンテロスタチン40.0mg、デンプン35.0mg、粉末化セルロース25mg。
組成物220:エンテロスタチン60.0mg、デンプン15.0mg、粉末化セルロース25mg。
【0162】
組成物221:エンテロスタチン4.0mg、デンプン71.0mg、デキストロース25mg。
組成物222:エンテロスタチン10.0mg、デンプン65.0mg、デキストロース25mg。
組成物223:エンテロスタチン20.0mg、デンプン55.0mg、デキストロース25mg。
組成物224:エンテロスタチン40.0mg、デンプン35.0mg、デキストロース25mg。
組成物225:エンテロスタチン60.0mg、デンプン15.0mg、デキストロース25mg。
【0163】
組成物226:エンテロスタチン4.0mg、デンプン71.0mg、ラクチトール25mg。
組成物227:エンテロスタチン10.0mg、デンプン65.0mg、ラクチトール25mg。
組成物228:エンテロスタチン20.0mg、デンプン55.0mg、ラクチトール25mg。
組成物229:エンテロスタチン40.0mg、デンプン35.0mg、ラクチトール25mg。
組成物230:エンテロスタチン60.0mg、デンプン15.0mg、ラクチトール25mg。
【0164】
組成物231:エンテロスタチン4.0mg、デンプン71.0mg、マンニトール25mg。
組成物233:エンテロスタチン10.0mg、デンプン65.0mg、マンニトール25mg。
組成物232:エンテロスタチン20.0mg、デンプン55.0mg、マンニトール25mg。
組成物232:エンテロスタチン40.0mg、デンプン35.0mg、マンニトール25mg。
組成物232:エンテロスタチン60.0mg、デンプン15.0mg、マンニトール25mg。
【0165】
(5.3実施例3:エンテロスタチンの封入組成物)
本実施例は、本発明によるエンテロスタチンの非吸湿性封入組成物を提供する。
充填物301(重量%):エンテロスタチン2.5%、クレモファーEL(Cremphor EL)42%、ラブラゾール20%、ラブラフィルM2125CS30%。殻301(乾燥):ゼラチン54%、グリセリン18%、アニドリソルブ(anidrisorb)35/70 22%、水6%。
ゼラチン42%、グリセロール10%、アニドリソルブ10%、水36%の構成要素を使用して、流動性ゼラチン組成物から乾燥ゼラチン殻(カプセル)を製造する。
【0166】
充填物302(重量%):エンテロスタチン12%、クレモファーEL40%、ラブラゾール26%、ラブラフィルM2125CS22%、ルトロールF68 2%。殻302(乾燥):ゼラチン47%、グリセリン28%、アニドリソルブ35/70 15%、水10%。
充填物303(重量%):エンテロスタチン5%、コハク酸トコフェリルPEG-1000 67%、クレモファーEL6%、ラブラフィルM2125CS6%、エタノール3%、プロピレングリコール14%。殻303(乾燥):ゼラチン51%、グリセリン32%、アニドリソルブ35/70 12%、水5%。
【0167】
充填物304(重量%):エンテロスタチン12%、コハク酸トコフェリルPEG-1000 28%、クレモファーEL22%、ラブラフィルM2125CS18%、アルファ-トコフェロール12%、プロピレングリコール8%。殻304(乾燥):ゼラチン51%、グリセリン32%、アニドリソルブ35/70 12%、水5%。
充填物305(重量%):エンテロスタチン4%、クレモファーEL42%、ラブラフィルM2125CS18%、アルファ-トコフェロール12%、プロピレングリコール8%。殻305(乾燥):ゼラチン51%、グリセリン32%、アニドリソルブ35/70 12%、水5%。
【0168】
(5.4実施例4:エンテロスタチンの固体微粒子組成物)
エンテロスタチンの固体微粒子組成物を本発明に従って調製する。以下に列記する賦形剤をエンテロスタチンの水溶液に添加して、標準的な技術により噴霧乾燥される最終溶液を得る。
固体微粒子組成物401:エンテロスタチン3g、微結晶セルロース7g。
固体微粒子組成物402:エンテロスタチン3g、微結晶セルロース3g、ヒドロキシプロピルメチルセルロース4g。
固体微粒子組成物403:エンテロスタチン5g、微結晶セルロース3g、ヒドロキシプロピルメチルセルロース2g。
固体微粒子組成物404:エンテロスタチン3g、微結晶セルロース6.95g、二酸化珪素0.05g。
【0169】
固体微粒子組成物405:エンテロスタチン3g、ヒドロキシプロピルメチルセルロース3g。
固体微粒子組成物406:エンテロスタチン3g、ポリエチレングリコール8000 5g、ヒドロキシプロピルメチルセルロース2g。
固体微粒子組成物407:エンテロスタチン3g、ラクトース7g。
固体微粒子組成物408:エンテロスタチン3g、マンニトール6g、ヒドロキシプロピルメチルセルロース1g。
【0170】
固体微粒子組成物409:エンテロスタチン3g、三塩基性リン酸カルシウム4g、ヒドロキシプロピルメチルセルロース3g。
固体微粒子組成物410:エンテロスタチン3g、三塩基性リン酸カルシウム3g、ヒドロキシプロピルメチルセルロース2g。
固体微粒子組成物411:エンテロスタチン2g、硫酸カルシウム4g、ヒドロキシプロピルメチルセルロース3g。
固体微粒子組成物412:エンテロスタチン3g、硫酸カルシウム4g、二酸化珪素0.05g。
【0171】
(5.5実施例5:エンテロスタチンの固体分散物)
本実施例は、本発明によるエンテロスタチンの非吸湿性固体分散物を提供する。
活性成分を攪拌しながら約67℃で溶融PEG8000に添加することによって、本実施例の固体分散物を調製する。次いで、さらに攪拌しながら微結晶セルロースを添加する。約40℃にて減圧下でインキュベーションして、本発明の固体分散物を得る。
【0172】
固体分散物501:エンテロスタチン2.5mg、PEG8000 72.5mg、微結晶セルロース25mg。
固体分散物502:エンテロスタチン5.0mg、PEG8000 70.0mg、微結晶セルロース25mg。
固体分散物503:エンテロスタチン10.0mg、PEG8000 67.5mg、微結晶セルロース25mg。
固体分散物504:エンテロスタチン2.5mg、PEG8000 72.5mg、二塩基性無水リン酸カルシウム25mg。
【0173】
固体分散物505:エンテロスタチン5.0mg、PEG8000 70.0mg、二塩基性無水リン酸カルシウム25mg。
固体分散物506:エンテロスタチン10.0mg、PEG8000 67.5mg、二塩基性無水リン酸カルシウム25mg。
固体分散物507:エンテロスタチン2.5mg、PEG8000 72.5mg、硫酸カルシウム25mg。
固体分散物508:エンテロスタチン5.0mg、PEG8000 70.0mg、硫酸カルシウム25mg。
【0174】
固体分散物509:エンテロスタチン10.0mg、PEG8000 67.5mg、硫酸カルシウム25mg。
固体分散物510:エンテロスタチン2.5mg、PEG8000 72.5mg、珪酸カルシウム25mg。
固体分散物511:エンテロスタチン5.0mg、PEG8000 70.0mg、珪酸カルシウム25mg。
固体分散物512:エンテロスタチン10.0mg、PEG8000 67.5mg、珪酸カルシウム25mg。
【0175】
固体分散物513:エンテロスタチン2.5mg、PEG8000 72.5mg、粉末化セルロース25mg。
固体分散物514:エンテロスタチン5.0mg、PEG8000 70.0mg、粉末化セルロース25mg。
固体分散物515:エンテロスタチン10.0mg、PEG8000 67.5mg、粉末化セルロース25mg。
固体分散物516:エンテロスタチン2.5mg、PEG8000 72.5mg、デキストロース25mg。
【0176】
固体分散物517:エンテロスタチン5.0mg、PEG8000 70.0mg、デキストロース25mg。
固体分散物518:エンテロスタチン10.0mg、PEG8000 67.5mg、デキストロース25mg。
固体分散物519:エンテロスタチン2.5mg、PEG8000 72.5mg、ラクチトール25mg。
固体分散物520:エンテロスタチン5.0mg、PEG8000 70.0mg、ラクチトール25mg。
【0177】
固体分散物521:エンテロスタチン10.0mg、PEG8000 67.5mg、ラクチトール25mg。
固体分散物522:エンテロスタチン2.5mg、PEG8000 72.5mg、マンニトール25mg。
固体分散物523:エンテロスタチン5.0mg、PEG8000 70.0mg、マンニトール25mg。
固体分散物524:エンテロスタチン10.0mg、PEG8000 67.5mg、マンニトール25mg。
【0178】
本明細書に引用されているすべての文献、特許及び特許出願は、各々の個々の文献又は特許出願が具体的且つ個別的に参照により組み込まれていることを示すように、参照により本明細書に組み込まれている。上述の発明を理解しやすいように実例及び実施例によりある程度詳細に説明したが、添付の請求項の主旨又は範囲を逸脱することなく一定の変更及び修正を加えることができることを本発明の教示に鑑みて当業者なら容易に理解するであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンテロスタチン、又はその塩若しくは溶媒和物と非吸湿性添加剤とを含む、非吸湿性医薬組成物。
【請求項2】
前記エンテロスタチンが、APGPR(配列番号1)、VPDPR(配列番号2)及びVPGPR(配列番号3)からなる群から選択されるアミノ酸を有するペプチドである、請求項1記載の非吸湿性医薬組成物。
【請求項3】
前記エンテロスタチンが、アミノ酸配列APGPR(配列番号1)を有するペプチドである、請求項1記載の非吸湿性医薬組成物。
【請求項4】
前記エンテロスタチンが、アミノ酸配列VPDPR(配列番号2)を有するペプチドである、請求項1記載の非吸湿性医薬組成物。
【請求項5】
前記エンテロスタチンが、アミノ酸配列VPGPR(配列番号3)を有するペプチドである、請求項1記載の非吸湿性医薬組成物。
【請求項6】
前記非吸湿性添加剤が、二塩基性無水リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、珪酸カルシウム、粉末化セルロース、デキストロース、ラクチトール、マンニトール及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1記載の非吸湿性医薬組成物。
【請求項7】
前記エンテロスタチンの溶媒和物を含む、請求項1記載の非吸湿性医薬組成物。
【請求項8】
前記エンテロスタチンの水和物を含む、請求項1記載の非吸湿性医薬組成物。
【請求項9】
エンテロスタチン塩を含む、請求項1記載の非吸湿性医薬組成物。
【請求項10】
前記エンテロスタチン塩が、塩化エンテロスタチン、酢酸エンテロスタチン、硫酸エンテロスタチン及びリン酸エンテロスタチンからなる群から選択される、請求項9記載の非吸湿性医薬組成物。
【請求項11】
前記エンテロスタチン塩が、塩化エンテロスタチンである、請求項9記載の非吸湿性医薬組成物。
【請求項12】
前記エンテロスタチン塩が、酢酸エンテロスタチンである、請求項9記載の非吸湿性医薬組成物。
【請求項13】
前記エンテロスタチン塩が、硫酸エンテロスタチンである、請求項9記載の非吸湿性医薬組成物。
【請求項14】
前記エンテロスタチン塩が、リン酸エンテロスタチンである、請求項9記載の非吸湿性医薬組成物。
【請求項15】
5%から95%の相対湿度で30重量%未満の水分を吸着する、請求項1記載の非吸湿性医薬組成物。
【請求項16】
95%から5%の相対湿度で30重量%未満の水分を脱着する、請求項1記載の非吸湿性医薬組成物。
【請求項17】
5%から95%の相対湿度で30重量%未満の水分を吸着し、95%から5%の相対湿度で30重量%未満の水分を脱着する、請求項1記載の非吸湿性医薬組成物。
【請求項18】
非吸湿性殻内にエンテロスタチンを含む、非吸湿性医薬組成物。
【請求項19】
対象に投与されると、前記殻が、前記エンテロスタチンを放出することが可能である、請求項18記載の非吸湿性医薬組成物。
【請求項20】
前記エンテロスタチンが、APGPR(配列番号1)、VPDPR(配列番号2)及びVPGPR(配列番号3)からなる群から選択されるアミノ酸を有するペプチドである、請求項18記載の非吸湿性医薬組成物。
【請求項21】
前記非吸湿性殻が、A型ゼラチン及びB型ゼラチンなどのゼラチン、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどのセルロース、デンプン及びアカシアゴムからなる群から選択される非吸湿性マトリックスから選択されるマトリックス形成材料を含む、請求項18記載の非吸湿性医薬組成物。
【請求項22】
エンテロスタチン又はその塩の非吸湿性固体分散物を含む非吸湿性医薬組成物。
【請求項23】
前記エンテロスタチンが、APGPR(配列番号1)、VPDPR(配列番号2)及びVPGPR(配列番号3)からなる群から選択されるアミノ酸を有するペプチドである、請求項22記載の非吸湿性医薬組成物。
【請求項24】
前記固体分散物が、ヒドロキシエチルセルロース、HPC、HPMC、フタル酸HPMC、PVP、PEG、ポリグリコール化グリセリド、シクロデキストリン及びカルボマーを含む、請求項22記載の非吸湿性医薬組成物。
【請求項25】
エンテロスタチン塩を含む、請求項22記載の非吸湿性医薬組成物。
【請求項26】
前記エンテロスタチン塩が、塩化エンテロスタチン、酢酸エンテロスタチン、硫酸エンテロスタチン及びリン酸エンテロスタチンからなる群から選択される、請求項25記載の非吸湿性医薬組成物。
【請求項27】
エンテロスタチン欠乏症に関連する状態を治療又は予防する方法であって、請求項1、18又は22記載の医薬組成物の有効量を、それを必要とする対象に投与するステップを含む、前記方法。
【請求項28】
前記状態が、過体重、肥満、高血圧症、異脂肪症、2型糖尿病、冠状動脈性心疾患、卒中、胆嚢病、骨関節炎、睡眠時無呼吸及び呼吸障害並びに癌からなる群から選択される、請求項27記載の方法。
【請求項29】
前記状態が、肥満である、請求項28記載の方法。
【請求項30】
脂肪に対する食欲を抑制する方法を必要とする対象において、脂肪に対する食欲を抑制する方法であって、請求項1、18又は22に記載の医薬組成物の有効量を、対象に投与するステップを含む前記方法。

【公表番号】特表2009−519343(P2009−519343A)
【公表日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−545763(P2008−545763)
【出願日】平成18年12月12日(2006.12.12)
【国際出願番号】PCT/US2006/047516
【国際公開番号】WO2007/070562
【国際公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【出願人】(508176979)ハルクネスス プハルマセウティカルス,インコーポレイテッド (3)
【Fターム(参考)】