説明

オイルバーナ装置

【課題】燃料ポンプの運転を必要最小限度に抑えて動力費の削減を図る。
【解決手段】燃焼開始前の燃焼筒17内に燃焼用空気20を供給して燃焼筒17内のガスを不燃性の空気に置換するプレパージは、燃料ポンプ2が起動されないように回転軸13Aのカップリング18を切り離した状態で駆動モータ13を運転し、点火トランス15を起動して電極間16A、16B間に火花を飛ばして混合気に点火するときにカップリング18を連結して燃料ポンプ2を起動する制御器Cを備えるようにしたオイルバーナ装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高温再生器や温水ボイラーなどの加熱手段として使用されるオイルバーナ装置に係わるものである。
【背景技術】
【0002】
この種の装置として、例えば図4、図5に示した構成のオイルバーナ装置100Xが周知である。すなわち、オイルバーナ装置100Xにおいては、図示しない燃料タンクから燃料供給管1を介して供給されるオイル(例えば石油)を、燃料供給管1に介在する燃料ポンプ2によりノズル5に供給して霧状に噴出し、給気ファンとしてのブロア11が燃焼用空気通路10を介して供給する燃焼用空気20と混合し、点火トランス15により電極16A、16B間に高圧電圧を印加して火花を飛ばし、その火花で混合気に点火し、燃焼筒17とその先の部分で火炎21を形成してオイルを燃焼させるように構成されている。
【0003】
また、燃料供給管1の燃料ポンプ2下流側には2個の電磁弁4が直列に介在すると共に、電磁弁6が介在する燃料供給管1Aが接続されている。また、ブロア11により供給される燃焼用空気20が流れる燃焼用空気通路10にはダンパ12が介在している。また、ノズル5には、燃料ポンプ2により供給されたオイルの余剰分を図示しない燃料タンクに還流させるための燃料供給管1Bが接続されている。
【0004】
なお、符号1A、1Bで示した管も、図示しない燃料タンクのオイルを燃料供給管1と共同してノズル5に適量供給するために設けた管であるので、本発明の明細書においては燃料供給管と呼ぶ。そして、燃料供給管1Bにはオイル制御弁3が設けられて、燃料ポンプ2の運転時にノズル5に供給されるオイルの流量が制御できるようになっている。なお、このオイル制御弁3は燃料供給管1に設けられても良い。
【0005】
また、燃料ポンプ2とブロア11が駆動モータ13の回転軸13Aに連結され、オイル制御弁3とダンパ12がステッピングモータなどからなる制御モータ14の回転軸に連結されている。
【0006】
そして、駆動モータ13の回転数と制御モータ14の回転角度とが制御器Cにより制御される。すなわち、燃料ポンプ2とブロア11の回転数は駆動モータ13により同時に制御され、オイル制御弁3とダンパ12の開度は制御モータ14により同時に制御されるように構成されている。
【0007】
また、符号19は、点火トランス15により電極16A、16B間に高圧電圧をかけたときに発生する火花や、ノズル5から噴出したオイルが燃焼して発生する火炎21を検出するための火炎検出器である。
【0008】
そして、吸収冷温水機の高温再生器や温水ボイラーなどの加熱手段として使用されるオイルバーナ装置100Xにおいては、混合気に点火して燃焼を開始する前に、制御モータ14を起動してオイル制御弁3とダンパ12をそれぞれ所定の定格開度に開弁するが、電磁弁4は閉弁し、且つ、点火トランス15を起動することなく駆動モータ13を所定時間だけ定格運転して、燃焼用空気20だけを燃焼筒17内に供給するように構成されている。
【0009】
すなわち、運転停止中に漏れ出た液体燃料が燃焼筒17の内部で気化することがあっても、その可燃性ガスは所定時間供給される燃焼用空気20によって燃焼筒17内から排出され、未燃ガスが燃焼開始時に爆発することがないように構成されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、上記構成の従来のオイルバーナ装置においては、燃焼開始前に空気だけを燃焼筒内に供給し、筒内に存在するかも知れない可燃性ガスを不燃性の空気に置換する、いわゆるプレパージ中も燃料ポンプを運転して動力費が掛かっていたため、燃料ポンプの運転は必要最小限度に抑えて動力費の削減を図る必要があり、その解決が求められていた。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、オイル供給管の先端に設けたノズルに、オイル供給管に介在する燃料ポンプによりオイルを供給してノズル先端よりオイルを噴出し、給気ファンが供給する燃焼用空気と混合して燃焼するオイルバーナ装置において、給気ファンの起動後に燃料ポンプが起動されて燃焼が開始されることを主要な特徴とするオイルバーナ装置である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、燃焼開始前に燃焼筒内のガスを不燃焼ガスである空気に置換するプレパージ中は燃料ポンプは運転されないので、搬送動力費の削減が図れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
オイル供給管の先端に設けたノズルに、オイル供給管に介在する燃料ポンプによりオイルを供給してノズル先端よりオイルを噴出し、給気ファンが供給する燃焼用空気と混合して燃焼するオイルバーナ装置において、給気ファンの起動後に燃料ポンプが起動されて燃焼が開始されるオイルバーナ装置であり、オイル供給管の燃料ポンプ下流側に介在してオイルの流量を制御するオイル制御弁と、燃焼用空気の流路に介在して燃焼用空気の流量を制御する空気制御弁と、オイル制御弁と空気制御弁の開度を同時に制御する開度制御モータと、点火手段と、運転開始信号を受けると給気ファンと開度制御モータとを定格運転して給気ファンが供給する燃焼用空気により燃焼部位のガス置換を行い、そのガス置換後に開度制御モータを所定の小規模運転すると共に、燃料ポンプの起動と点火手段による点火動作を行って燃焼を開始する制御手段とを備えているオイルバーナ装置。
【実施例1】
【0014】
以下、本発明の一実施例を図1〜図3に基づいて詳細に説明する。なお、理解を容易にするため、これらの図面においても前記図4、図5において説明した部分と同様の機能を有する部分には同一の符号を付した。
【0015】
図1に例示したように、本発明のオイルバーナ装置100においては、燃焼用空気20を供給するブロア11が駆動モータ13の回転軸13Aに直結され、燃料ポンプ2はカップリング18を介して回転軸13Aに連結されている。したがって、ブロア11は駆動モータ13が運転されると必ず回転するが、燃料ポンプ2はカップリング18を切り離すことで、駆動モータ13が運転されていても、停止状態にすることができる。なお、その他の機械的構成は前記図4、図5に示した従来のオイルバーナ装置100Xと同じである。
【0016】
そして、本発明のオイルバーナ装置100のマイクロコンピュータ、メモリ、クロックなどから構成される制御器Cは、例えば図3に例示した動作タイミングで各機器を動作させるように構成されている。
【0017】
すなわち、例えばオイルバーナ装置100が停止状態から運転状態に移行する際、制御器Cは、燃焼開始を指示する運転スイッチが操作され、燃焼信号を受信すると、先ず制御モータ14を所定時間、例えば1秒間だけ所定の低角度に回転し、オイル制御弁3とダンパ12をそれぞれ所定の低角度(例えば、開度0%)に開弁する。
【0018】
その後、制御モータ14は定格角度までの回転を行い、同時に駆動モータ13の定格運転も行う(モータは停止し、弁は閉弁され、カップリングは切り離された状態で燃焼停止となっていたものとして説明する。)。なお、この停止状態から運転状態へ移行している途中などで、運転停止や停電等により、制御モータ14が途中で停止した場合には、その任意の開度から開方向へ移動させることもできる。
【0019】
すなわち、制御モータ14を定格角度まで回転してオイル制御弁3とダンパ12を全開した状態でブロア11だけ定格運転し、燃焼用空気20を燃焼筒17に供給して燃焼筒17内のガスを不燃性の空気に置換するプレパージを行う。この間、カップリング18は切り離されたままであるので、駆動モータ13を起動しても燃料ポンプ2は運転されない。
【0020】
その後、制御モータ14を例えば低角度(0%)に戻してオイル制御弁3とダンパ12をそれぞれ所定の低角度に絞る。
【0021】
さらに、制御モータ14を例えば前記所定の低角度に戻すと同時に、点火トランス15を所定時間、例えば2秒間だけ起動し、電極16A、16B間に火花を飛ばし、その火花を火炎検出手段19により検出する。
【0022】
そして、火炎検出手段19が火花を連続して検出したときには、所定時間後、例えば3秒後に点火トランス15を例えば8秒間連続して起動し、電極16A、16B間に火花を飛ばし続けると共に、カップリング18を連結して燃料ポンプ2を起動させる。
【0023】
そして、火炎検出手段19が火花を確認し続けていれば、所定時間後、例えばカップリング18の連結による燃料ポンプ2の起動から8秒後に電磁弁4を開弁して、燃料ポンプ2が搬送する燃料のオイルをノズル5に供給し、噴出口から霧状に噴出したオイルに電極16A、16B間に飛んでいる火花により点火し、さらに所定時間後、例えば電磁弁4の開弁から18秒後に制御モータ14の回転角度を大きくしてオイル制御弁3とダンパ12の開度を上げ、ノズル5に供給される燃料のオイルと燃焼用空気20の量を共に増加させて火力の大きい定常運転に移行するように構成されている(火力制御は可能)。
【0024】
また、燃焼停止時には、燃焼停止信号を受信すると、カップリング18を切り離して燃料ポンプ2の運転を停止する動作と、火炎検出手段19による火炎21の検出と、電磁弁4の閉弁動作を同時(若しくは相前後して)に行い、その後の例えば20秒間はポストパージのために駆動モータ13は運転を継続してブロア11が搬送する燃焼用空気20を燃焼筒17内に送り続け、その後に停止してブロア11の運転も停止し、制御モータ14を停止時の零角度に戻してオイル制御弁3とダンパ12を全閉し、燃焼動作の全工程を終了する。
【0025】
したがって、燃焼開始前に燃焼筒17内の未燃ガスを不燃焼ガスである空気に置換するプレパージ中と、燃焼後のポストパージ中は燃料ポンプ2は運転されないので、搬送動力費の削減が図れる。
【0026】
なお、上記運転はブロア11が搬送する燃焼用空気20の風圧を、図示しない圧力センサにより計測し、計測した風圧がダンパ12の開度毎に定められた風圧の範囲内にあることを確認しながら、継続されるように構成されている。
【0027】
ところで、本発明は上記実施例に限定されるものではないので、特許請求の範囲に記載の趣旨から逸脱しない範囲で各種の変形実施が可能である。
【0028】
例えば、燃料ポンプ2は、ブロア11を駆動する駆動モータ13とは異なるモータにより駆動されるものであっても良い。
【0029】
また、タイミングベルトとギヤを組み合わせて、燃料ポンプ2とブロア11とを一つの駆動モータ13により駆動することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明オイルバーナ装置の一構造例を示す説明図である。
【図2】本発明オイルバーナ装置の全体構成を示す説明図である。
【図3】各機器の動作タイミングを示す説明図である。
【図4】従来のオイルバーナ装置の一構造例を示す説明図である。
【図5】従来のオイルバーナ装置の全体構成を示す説明図である。
【符号の説明】
【0031】
1 燃料供給管
2 燃料ポンプ
3 オイル制御弁
4 電磁弁
5 ノズル
6 電磁弁
10 燃焼用空気通路
11 ブロア
12 ダンパ
13 駆動モータ
13A 回転軸
14 制御モータ
15 点火トランス
16A、16B 電極
17 燃焼筒
18 カップリング
19 火炎検出手段
20 燃焼用空気
21 火炎
C 制御器
100、100X オイルバーナ装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
オイル供給管の先端に設けたノズルに、オイル供給管に介在する燃料ポンプによりオイルを供給してノズル先端よりオイルを噴出し、給気ファンが供給する燃焼用空気と混合して燃焼するオイルバーナ装置において、給気ファンの起動後に燃料ポンプが起動されて燃焼が開始されることを特徴とするオイルバーナ装置。
【請求項2】
オイル供給管の燃料ポンプ下流側に介在してオイルの流量を制御するオイル制御弁と、燃焼用空気の流路に介在して燃焼用空気の流量を制御する空気制御弁と、オイル制御弁と空気制御弁の開度を同時に制御する開度制御モータと、点火手段と、運転開始信号を受けると給気ファンと開度制御モータとを定格運転して給気ファンが供給する燃焼用空気により燃焼部位のガス置換を行い、そのガス置換後に開度制御モータを所定の小規模運転すると共に、燃料ポンプの起動と点火手段による点火動作を行って燃焼を開始する制御手段とを備えたことを特徴とする請求項1記載のオイルバーナ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−177590(P2006−177590A)
【公開日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−369986(P2004−369986)
【出願日】平成16年12月21日(2004.12.21)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】