説明

オキシカルバゼピンの医薬製剤及びその調製方法

本発明は、オキシカルバゼピンと、少なくとも1種の医薬賦形剤とを含んでなる医薬組成物であって、前記組成物中のオキシカルバゼピンがブロードな粒度分布を有する組成物を提供する。医薬組成物中のオキシカルバゼピンのブロードな粒度分布は、好ましくは多峰性オキシカルバゼピン粒度分布であり、好ましくはオキシカルバゼピン溶解速度が向上されてなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、米国仮特許出願第60/764,134号(2006年1月31日出願)、第60/860,333号(2006年11月20日出願)、及び第60/897,361号(2007年1月24日出願)(名称“Pharmaceutical formulations of oxcarbazepine and methods for its preparation(オキシカルバゼピンの医薬製剤及びその調製方法)”)、並びに米国特許出願第11/350,606号(2006年2月8日出願)の利益を請求する。これらの出願の内容は引用により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は医薬製剤に関する。より具体的には、本発明は、オキシカルバゼピン(oxcarbazepine)を含んでなる製剤と、この医薬製剤を調製する方法に関する。オキシカルバゼピンとカルバマゼピン(carbamazepine)とは、何れも溶出性が低い等、極めて類似していることから、本発明はカルバマゼピンを含んでなる医薬製剤にも同様に適用される。
【背景技術】
【0003】
下記一般式
【化1】

で表わされる、オキシカルバゼピン(10−オキソ−10,11−ジヒドロ−5H−ジベンズ[b,f]アゼピン−5−カルボキサミド)は、有益な治療効果を示し、中枢神経系の抑制剤として機能する。現在はTRILEPTAL(登録商標)として、癲癇の治療用に市販されている。TRILEPTAL(登録商標)の処方情報によれば、オキシカルバゼピンの薬理学的効果は、主としてオキシカルバゼピンの10−ヒドロキシ代謝産物を通じて発揮される。生体外での研究によれば、この代謝産物が電位感受性ナトリウムチャネルを遮断することにより、過興奮下の神経細胞膜を安定化し、ニューロン発射の反復を抑え、シナプス刺激の伝播を縮小することが明らかになっている。これらの作用は、脳内に広がる発作の予防に重要であると考えられている。米国特許第5,658,900号(当該文献は引用により本明細書に組み込まれる)には更に、オキシカルバゼピンをパーキンソン病の治療に用いることが記載されている。
【0004】
抗癲癇薬であるオキシカルバゼピンは、白色ないし帯黄色の結晶粉末で、実質的に水に不溶である。オキシカルバゼピン製剤の溶出速度や生物学的利用能を高めることが求められている。溶出性に乏しい薬剤について、溶出性や生物学的利用能を高めるべく、こうした薬剤の小粒子を使用し、且つ、狭い粒度分布を用いることは、本技術分野では以前から知られており、製剤上の一般的な慣行であると考えられる。この発想に基づき、Schlutermann(米国特許出願第2003/0190361号)には、粒度が微細で且つ粒度分布が狭いオキシカルバゼピンを含んでなる製剤について記載されている。本粒子は、中央粒度がおよそ2から12ミクロンであり、及び/又は、40ミクロンの篩上に留まる最大残分(maximum residue)が最高5%であることにより特徴付けられる。また、Schlutermannには、同じ特性を有するオキシカルバゼピン粒子を含んでなるフィルムコート錠剤についての記載もある。更にEP0646374には、各々白色顔料を含有する二層で被覆された、色安定なオキシカルバゼピン製剤が記載されている。
【0005】
薬剤を粉砕する方法として一般的なのは、ジェットミルを用いる方法である。ジェットミルは圧縮空気を用いて、乾燥大粒子から微粉化粒子を作製する。ジェットミルの構成によれば、粉末化された粒子は、製粉チャンバーから排出され、収集容器に集められる。本処理時には微細粒子の屑も生成するが、これはフィルターバッグに集められる。この様な粉砕処理は、時間を要する処理であるため、その投資のみならず運転にも高額のコストが必要となる。加えて、こうした処理の結果、粉砕中に相当量の薬剤の損失が生じる。更に、エアジェットミルによる製粉中には、処理に伴い医薬有効成分(active pharmaceutical ingredient:API)の微粉が生じるため、安全性についても考慮することが求められる。オキシカルバゼピンを含んでなる医薬組成物の場合、その推奨される日用量が1200mg/日と比較的大きいため、こうした懸念はより深刻である。
【0006】
更に、Sehgal等(WO/2002/094774)には、湿潤剤を製剤に加えることにより、オキシカルバゼピンの溶出速度を高める方法が記載されている。こうした湿潤剤をオキシカルバゼピン製剤に加えることにより、生体外での溶出速度は向上する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
好ましい実施形態によれば、本発明は、十分に高い溶出速度と良好な生物学的利用能を有し、市販剤TRILEPTAL(登録商標)の生物学的同等物となるオキシカルバゼピン製剤を調製する方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、a)オキシカルバゼピンと、b)少なくとも1種の医薬賦形剤とを含んでなる医薬組成物であって、前記組成物中のオキシカルバゼピンがブロードな粒度分布を有する医薬組成物を提供する。前記ブロードな粒度分布は、多峰性オキシカルバゼピン粒度分布を含んでなるものであってもよい。
【0009】
更に、本発明の医薬組成物を調製する方法であって、
a)ブロードな粒度分布を有するオキシカルバゼピンを準備する工程、
b)少なくとも1種の賦形剤を準備する工程、及び、
c)前記オキシカルバゼピンを、前記少なくとも1種の賦形剤と混ぜ合わせる工程
を含んでなる方法が提供される。
【0010】
また、ブロードな粒度分布を有するオキシカルバゼピンを含んでなる粒状組成物を調製する方法であって、
a)粒度分布の異なる2種以上のオキシカルバゼピン集団を任意により含んでいてもよい、ブロードな粒度分布を有するオキシカルバゼピンを準備する工程、
b)少なくとも1種の賦形剤を準備する工程、
c)当該オキシカルバゼピン集団のうち少なくとも1種を含んでなる、少なくとも1種の粒状物を形成する工程、並びに、
d)工程前記造粒オキシカルバゼピンを、造粒されていないオキシカルバゼピンの残分、及び、1又は2以上の賦形剤と混合し、最終粒状混和物を形成する工程
を含んでなる方法が提供される。
【0011】
前記粒状組成物から錠剤を調製する場合、本方法は更に、
e)任意に、前記最終粒状混和物を、1又は2以上の賦形剤と混合し、錠剤化用混合物を形成する工程、
f)前記の錠剤化用混合物又は最終粒状混和物の何れかを加圧成形して錠剤とする工程、及び、任意に、
g)前記錠剤を被覆する工程
を含んでなる。
【0012】
また、本発明は、a)噴霧造粒オキシカルバゼピンと、b)少なくとも1種の医薬賦形剤とを含んでなる医薬組成物も提供する。
【0013】
別の態様によれば、本発明は、a)ブロードな粒度分布を有するオキシカルバゼピンと、b)少なくとも1種の医薬賦形剤とを含んでなる医薬組成物を提供する。ここで、任意により、前記組成物中のオキシカルバゼピンが、粒度の異なる少なくとも2種のオキシカルバゼピン粒子集団を含んでなり、これら集団のうちの少なくとも1種が、噴霧造粒オキシカルバゼピンを含んでいてもよい。
【0014】
更に、a)ブロードな粒度分布を有するオキシカルバゼピンと、b)親水性ポリマー、好ましくはヒドロキシプロピルメチルセルロース(ヒプロメロース、HPMC)と、c)少なくとも1種の医薬賦形剤とを含んでなる医薬組成物であって、前記組成物中のオキシカルバゼピンに対する親水性ポリマーの重量比が、約1:3から約1:25までである組成物が提供される。オキシカルバゼピンの前記ブロードな粒度分布は、多峰性粒度分布であることが好ましい。
【0015】
別の態様によれば、a)ブロードな粒度分布を有するオキシカルバゼピンと、b)少なくとも1種の医薬賦形剤とを含んでなる医薬組成物であって、TRILEPTAL(登録商標)の生物学的同等物である医薬組成物が提供される。オキシカルバゼピンの前記ブロードな粒度分布は、多峰性粒度分布であることが好ましい。
【0016】
別の態様によれば、a)ブロードな粒度分布を有するオキシカルバゼピンと、b)少なくとも1種の医薬賦形剤とを含んでなる医薬組成物であって、崩壊時間が約30分未満である医薬組成物が提供される。オキシカルバゼピンの前記ブロードな粒度分布は、多峰性粒度分布であることが好ましい。
【0017】
更に、粒度の異なる少なくとも2種のオキシカルバゼピン集団を含んでなり、少なくとも1種のオキシカルバゼピン粒子集団が噴霧造粒されてなる、粒状組成物を調製する方法であって、
a)粒度分布の異なる2種以上のオキシカルバゼピン集団を含んでなるオキシカルバゼピンを準備する工程、
b)少なくとも1種のオキシカルバゼピン粒子集団を、1又は2以上の賦形剤と混合し、少なくとも1種の噴霧造粒物を形成する工程、及び、
c)前記少なくとも1種の粒度の噴霧造粒オキシカルバゼピン集団を、噴霧造粒していない残りの粒度のオキシカルバゼピン粒子集団と混合し、前記組成物中のオキシカルバゼピン総量からなるオキシカルバゼピン混合物を形成する工程
を含んでなる方法が提供される。
【0018】
前記粒状組成物から錠剤を調製する場合には、前記方法は更に、
d)前記オキシカルバゼピン混合物を、1又は2以上の賦形剤と混合し、最終粒状物を形成する工程、
e)前記最終粒状物を、1又は2以上の賦形剤と混合し、錠剤化用混合物を形成する工程、続いて、
f)前記錠剤化用混合物を加圧成形して錠剤とする工程、及び、任意により、
g)前記錠剤を被覆する工程
のうち、少なくとも1つの工程を含んでなる。
【0019】
更に、粒度の異なる少なくとも2種のオキシカルバゼピン集団を含んでなり、少なくとも1種のオキシカルバゼピン粒子集団が噴霧造粒されてなる、粒状組成物を調製する方法であって、
a)粒度分布の異なる2種以上のオキシカルバゼピン集団を含んでなるオキシカルバゼピンを準備する工程、及び、
b)少なくとも1種のオキシカルバゼピン粒子集団を、1又は2以上の賦形剤と、残りのオキシカルバゼピン集団との混合物上に噴霧し、少なくとも1種の噴霧造粒物を形成する工程
を含んでなる方法が提供される。
【0020】
前記粒状組成物から錠剤を調製する場合には、前記方法は更に、
c)任意により、前記最終粒状物を、1又は2以上の賦形剤と混合し、錠剤化用混合物を形成する工程、
d)前記錠剤化用混合物を加圧成形して錠剤とする工程、及び、任意により、
e)前記錠剤を被覆する工程
のうち、少なくとも1つの工程を含んでなる。
【0021】
更に、粒度の異なる少なくとも2種のオキシカルバゼピン集団を含んでなり、少なくとも2種のオキシカルバゼピン粒子集団が噴霧造粒されてなる、粒状組成物を調製する方法であって、
a)粒度分布の異なる2種以上のオキシカルバゼピン集団を含んでなるオキシカルバゼピンを準備する工程、
b)少なくとも2種のオキシカルバゼピン粒子集団を別個に、1又は2以上の賦形剤と噴霧し、少なくとも2種の噴霧造粒物を形成する工程、及び、
c)前記少なくとも2種のオキシカルバゼピン粒度のオキシカルバゼピン集団噴霧造粒物を混合する工程
を含んでなる方法が提供される。
【0022】
前記粒状組成物から錠剤を調製する場合には、前記方法は更に、
d)任意により、前記オキシカルバゼピン混合物を、1又は2以上の賦形剤と混合し、最終粒状物を形成する工程、
e)前記最終粒状物を1又は2以上の賦形剤と混合し、錠剤化用混合物を形成する工程、
f)前記錠剤化用混合物を加圧成形して錠剤とする工程、及び、任意により、
g)前記錠剤を被覆する工程
のうち、少なくとも1つの工程を含んでなる。
【0023】
更に、ブロードな粒度分布を有するオキシカルバゼピンを含んでなる粒状組成物を調製する方法であって、
a)複数のブロードな粒度分布を含んでなるオキシカルバゼピンを準備する工程、及び、
b)前記オキシカルバゼピン粒子を、1又は2以上の賦形剤と噴霧し、噴霧造粒物を形成する工程
を含んでなる方法が提供される。
【0024】
前記粒状組成物から錠剤を調製する場合には、前記方法は更に、
c)任意により、前記粒状物を1又は2以上の賦形剤と混合し、錠剤化用混合物を形成する方法、
d)前記錠剤化用混合物を加圧成形して錠剤とする方法、及び、任意により、
e)前記錠剤を被覆する工程
のうち、少なくとも1つの工程を含んでなる。
【0025】
別の態様によれば、本発明は、ブロードな粒度分布を有するオキシカルバゼピンを含んでなる医薬組成物であって、
a)溶出装置における測定35分後に、オキシカルバゼピン総量の約30%以下が前記組成物から溶出し、
b)溶出装置における測定50分後に、オキシカルバゼピン総量の約30%から約50%、好ましくは約40%が、前記組成物から溶出し、
c)溶出装置における測定60分後に、オキシカルバゼピン総量の約30%から約50%が前記組成物から溶出し、溶出装置系が胃腸内環境を模したものである
ような溶出プロファイルを有する医薬組成物をも提供する。
【0026】
別の態様によれば、本発明は、癲癇発作又はパーキンソン病又は神経因性疼痛を患う患者を治療する方法であって、多峰性オキシカルバゼピン粒度分布を含んでなる医薬組成物中のオキシカルバゼピンを治療上有効な量、投与する工程を含んでなる方法を提供する。
【0027】
本発明の別の実施形態によれば、上記実施形態の何れかに記載の医薬組成物、前記医薬組成物を調製する方法、及び治療の方法において、オキシカルバゼピンの代わりにカルバゼピンを用いたものが提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
本明細書において使用される「ブロードな(broad)粒度分布」という語は、d(0.5)値とd(0.95)値との差が38ミクロンよりも大きく、d(0.5)値が35ミクロン以下である、特定の粒度分布を意味する。これらのd値は、レーザー回折、篩分け、或いは本技術分野で公知の他の方法等により決定すればよい。例えば、d(0.95)の値は、粒子の95%以下を通過させる篩サイズから推定される。本明細書において使用される「d(0.5)」(「d(v,0.5)」又は体積中央径(volume median diameter)と記載する場合もある)は、ある集団内のd(0.5)値未満の全ての粒子の累積体積が、その集団内の全粒子の総体積の50%に等しくなるような粒度(径)を表わす。
【0029】
一実施形態によれば、オキシカルバゼピンのブロードな粒度分布は、d(0.5)値が12から35μmの範囲、好ましくは13から30μの範囲、より好ましくは14から25μの範囲であることを特徴とするものであってもよい。別の実施形態によれば、d(0.5)は、0.01μから2.0μまでの範囲(より好ましくは0.2から1.9μの範囲、最も好ましくは0.4から1.5μの範囲)である。別の実施形態によれば、d(0.5)は2〜12μの範囲である。
【0030】
d(0.5)値に関わらず、d(0.95)は40μより大きいことが好ましい。例えば、40μ篩を用いてその集団を篩分けすると、篩上の残分が5%より多い。
【0031】
「多峰性粒度分布」及び「多峰性オキシカルバゼピン粒度分布」という語は、何れも、オキシカルバゼピン粒度を体積又は重量基準でグラフ化した場合に、その粒度分布が2種以上のピーク粒度を示すことを特徴とするオキシカルバゼピンを意味するものと解すべきである。例えば、オキシカルバゼピンの多峰性粒度分布は、異なる粒度分布により特徴付けられる少なくとも2種のオキシカルバゼピン集団を混合することにより調製される。本発明の多峰性粒度分布は、二峰性(bi-modal)粒度分布であることが好ましい。二峰性粒度分布において、オキシカルバゼピン粒子集団の二峰(two modes)間の差は約12ミクロン以上、好ましくは約13ミクロン以上であることが好ましい。本発明で記載される粒度分布は、従来の各種の分析方法により決定することが可能である。例としては、レーザー光散乱、レーザー回折、沈降法、パルス法、電気ゾーンセンシング、篩分析、及び光学顕微鏡法(通常は画像解析との組み合わせ)等が挙げられる。少なくとも2種のオキシカルバゼピン集団を混合して調製される多峰性粒度分布についての粒度分布の評価は、複数のオキシカルバゼピン粒度集団を適切な比率で混合調製し、これらの粒度分布をレーザー回折法で分析することにより実施することができる。多峰性の粒度分布(particle size distribution:PSD)を評価するためのもう1つの手法としては、d(0.1)、d(0.5)、及びd(0.9)を数値計算する手法が挙げられる。これは各オキシカルバゼピン集団について、PSD加重平均(mean, average)を算出することにより行なう。例えば表1を参照のこと。
【0032】
本明細書において使用される「大薬剤粒子(large drug particles)」という語は、d(0.5)が約12ミクロン以上、好ましくは約13ミクロン以上の集団を指す。大オキシカルバゼピン粒子集団は、d(0.5)が13ミクロン以上のオキシカルバゼピン粒子集団、未粉砕粒子集団、40ミクロン篩を通過しない粒子、及びそれらの混合物からなる群より選択される集団として特徴付けられることが好ましい。また、大オキシカルバゼピン粒子集団は、d(0.5)オキシカルバゼピン粒度が約13ミクロン以上の集団として特徴付けられ、40ミクロン篩を通過しない粒子を約5%超含んでなることが好ましい。即ち、40ミクロン篩を用いて大オキシカルバゼピン粒子集団を篩分けした場合の篩上の残分が5%より多いか、或いは、d(0.95)が40ミクロンより大きい。このような大オキシカルバゼピン粒子集団において、この40ミクロン篩上の残分の量は、約25%より多いことが好ましく、約50%より多いことがより好ましい。従って、大オキシカルバゼピン粒子集団におけるオキシカルバゼピンのd(0.5)は、30ミクロン以上であることが好ましく、より好ましくは45ミクロン以上、より一層好ましくは55ミクロン以上である。また、大オキシカルバゼピン粒子集団は、d(0.5)値が約12から120μの範囲、好ましくは約60から90μの範囲内であることを特徴とするものであってもよい。「未粉砕(unground)粒子」という語は、オキシカルバゼピン(医薬有効成分:active pharmaceutical ingredient, API)の合成により得られる粒子であって、まだ粉砕に供していないもの、或いは最小限の粉砕しか行なっていないものを表わす。未粉砕オキシカルバゼピン粒子のd(0.5)は13ミクロン超である。一例によれば、未粉砕粒子は、そのd(0.1)、d(0.5)、及びd(0.9)がそれぞれ約21、71、及び248ミクロンであることを特徴とする。
【0033】
一方、本明細書において使用される「小薬剤粒子(small drug particles)」という語は、通常はd(0.5)値が6ミクロン未満、好ましくは3ミクロン未満、より好ましくは2ミクロン未満の薬剤粒子集団を意味する。同一の集団を40μm篩を用いて篩分けした場合における篩上の残分が5%未満であるか、或いはd(0.95)が40ミクロン未満であることが好ましい。
【0034】
また、本明細書において使用される「噴霧造粒オキシカルバゼピン」という語は、オキシカルバゼピン分散物を粉末担体上に噴霧することにより造粒される造粒オキシカルバゼピン粒子集団を指す。
【0035】
医療用途のオキシカルバゼピン剤形の処方における重要な点として、溶出性に乏しい医薬有効成分であるオキシカルバゼピンの、医薬組成物からの溶出速度を十分なものとすることが挙げられる。本発明によれば、TRILEPTAL(登録商標)生物学的同等製剤(TRILEPTAL(登録商標)生物学的同等組成物A)と同程度の溶出速度を、ブロードな粒度分布を含んでなるオキシカルバゼピンを有する製剤により達成することが可能である。本発明の好ましい実施形態は、好ましくは所望の溶出速度及び生物学的利用能を有する、オキシカルバゼピンを含んでなる医薬組成物であって、粉砕工程時の微粉形成が少ない、及び/又は、粉砕のコスト及び医薬有効成分の損失が低減された、より安全な方法を用いて得られる組成物を包含する。本発明の一実施形態によれば、a)オキシカルバゼピンと、b)少なくとも1種の医薬賦形剤とを含んでなる医薬組成物であって、前記組成物中のオキシカルバゼピンがブロードな粒度分布を有する組成物が提供される。このブロードな粒度分布は、多峰性オキシカルバゼピン粒度分布であってもよい。
【0036】
本発明のオキシカルバゼピン医薬組成物は、その粒度分布がブロードであることを特徴とする。粒度分布は従来の種々の方法で決定可能である。例としては、レーザー光散乱、レーザー回折、沈降法、パルス法、電気ゾーンセンシング、篩分析、及び光学顕微鏡法(通常は画像解析との組み合わせ)等が挙げられる。
【0037】
この医薬組成物中の多峰性オキシカルバゼピン粒度分布は、少なくとも2種の粒子集団を含有することが好ましい。これらの集団は各々、その中央粒度(或いは体積中央径)が異なっており、別個の粒度分布を有する。
【0038】
本発明の好ましい実施形態によれば、この医薬組成物は2種以上のオキシカルバゼピン粒子集団を含んでなり、これらの集団のうち少なくとも1種は大オキシカルバゼピン粒子集団である。大オキシカルバゼピン粒子集団は、d(0.5)が13ミクロン以上のオキシカルバゼピン粒子集団、未粉砕粒子集団、40ミクロン篩を通過しない粒子、及びそれらの混合物からなる群より選択される集団として特徴付けられる。
【0039】
本発明の一実施形態は、医薬組成物中のオキシカルバゼピン総量に対して、大オキシカルバゼピン粒子を約6重量%から約49重量%までの分量で含んでなる、本発明の医薬組成物を包含する。更に、この実施形態において、本発明の医薬組成物は少なくとも1種の小オキシカルバゼピン粒子集団を含んでなり、そのオキシカルバゼピンd(0.5)は、約6ミクロン未満、好ましくは約3ミクロン未満、最も好ましくは2ミクロン未満である。こうした医薬組成物は、医薬組成物中のオキシカルバゼピン総量に対して、小オキシカルバゼピン粒子を約94重量%から約60重量%までの分量で含んでなることが好ましい。多峰性医薬組成物中における小オキシカルバゼピン粒子の含有率は、大オキシカルバゼピン粒子の含有率に応じて調節することが好ましい。即ち、好ましい一実施形態によれば、この医薬組成物は、医薬組成物中のオキシカルバゼピン総量に対して、大オキシカルバゼピン粒子を約6重量%から約40重量%までの分量で含んでなり、且つ、小オキシカルバゼピン粒子を約94重量%から約60重量%までの分量で含んでなる。中でも、この医薬組成物は、オキシカルバゼピン粒子の総量に対し、大オキシカルバゼピン粒子を約10重量%から約35重量%までの範囲、好ましくは約10重量%、約20重量%、及び約35重量%から選択される分量で含んでなり、小オキシカルバゼピン粒子を約90重量%から約65重量%までの範囲、好ましくは約90重量%、約80重量%、及び約65重量%から選択される分量で含んでなることがより好ましい。
【0040】
本発明の医薬組成物の別の実施形態は、医薬組成物中のオキシカルバゼピン総量に対し、大オキシカルバゼピン粒子を、約95重量%から約51重量%までの分量で含んでなる。更に、本発明のこの実施形態の医薬組成物は、少なくとも1種の小オキシカルバゼピン粒子集団をを含んでなり、そのd(0.5)は約6ミクロン未満、好ましくは約3ミクロン未満、最も好ましくは2ミクロン未満である。更に、このような医薬組成物は、小オキシカルバゼピン粒子を約5重量%から約49重量%までの分量で含んでなる。この医薬組成物中における小オキシカルバゼピン粒子の含有率は、大オキシカルバゼピン粒子の含有率に応じて調節することが好ましい。即ち、好ましい一実施形態によれば、この医薬組成物 は、医薬組成物中のオキシカルバゼピン総量に対し、大オキシカルバゼピン粒子を約90重量%から約60重量%までの分量で含んでなり、小オキシカルバゼピン粒子を約10重量%から約40重量%までの分量で含んでなる。中でも、この医薬組成物は、オキシカルバゼピン粒子の総量に対し、大オキシカルバゼピン粒子を約85重量%から約65重量%までの分量で含んでなり、小オキシカルバゼピン粒子を約15重量%から約35重量%までの分量で含んでなることがより好ましい。
【0041】
本発明の別の実施形態によれば、オキシカルバゼピン粒子集団のd(0.5)は2ミクロン以下であり、40ミクロンの篩上における最小残分が5%超である。或いは、本発明の別の実施形態によれば、オキシカルバゼピン粒子集団のd(0.5)は2から12ミクロンであり、40ミクロンの篩上における最小残分が5%超である。更に、本発明の別の実施形態によれば、オキシカルバゼピンのd(0.5)は13ミクロン以上であり、40ミクロンの篩上における最小残分が5%超である。
【0042】
本発明の別の実施形態によれば、a)オキシカルバゼピンと、b)少なくとも1種の医薬賦形剤とを含んでなる医薬組成物であって、前記組成物中のオキシカルバゼピンのd(0.5)値が13から40ミクロンの範囲であり、40ミクロン篩上の残分が5%超である粒度分布により特徴付けられる組成物が提供される。このオキシカルバゼピンは、単一の粒子集団に由来するものであってもよい。
【0043】
更に、本発明の別の実施形態によれば、医薬組成物は噴霧造粒オキシカルバゼピンを含んでなる。本発明のこの実施形態において、こうした医薬組成物は、a)オキシカルバゼピンと、b)少なくとも1種の医薬賦形剤とを含んでなり、オキシカルバゼピンがブロードな粒度分布を有することが好ましい。オキシカルバゼピン粒子のブロードな粒度分布は、多峰性粒度分布であってもよい。述べたように、こうした多峰性粒度分布は、別個の粒度分布を有する2種以上のオキシカルバゼピン粒子集団を含んでなる。噴霧造粒オキシカルバゼピンを含んでなる本発明の医薬組成物においては、別個の粒度分布を有するオキシカルバゼピン粒子集団の1種又は2種以上が、噴霧造粒されてなる。
【0044】
本発明の別の実施形態によれば、a)ブロードな粒度分布を有するオキシカルバゼピンと、b)親水性ポリマーと、c)少なくとも1種の医薬賦形剤とを含んでなる医薬組成物であって、組成物中のオキシカルバゼピンに対する親水性ポリマーの重量比が約1:3から約1:25までの範囲である組成物が提供される。この親水性ポリマーは、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(ヒプロメロース,HPMC)であることが好ましい。経口錠剤の生物学的利用能は、崩壊及び溶出によって影響を受ける可能性がある。オキシカルバゼピン製剤の崩壊時間を低減するために、噴霧造粒プロセスにおいて小オキシカルバゼピンを大オキシカルバゼピン粒子上に噴霧する際に、規定量の親水性ポリマーを使用した。オキシカルバゼピンに対する親水性ポリマーの比率は、約1:5から約1:22までの範囲が好ましく、より好ましくは約1:9から約1:20までの範囲である。本発明の医薬組成物中の親水性ポリマーの総量は、約120mg以下、好ましくは約20mgから約120mg、より好ましくは約20mgから約50mg、最も好ましくは約30mgから45mgまでの範囲であると表わすこともできる。中でも、本発明の医薬組成物中の親水性ポリマーの総量は、組成物に対して約15重量%以下であることが好ましく、より好ましくは組成物に対して約1重量%から約15重量%まで、より一層好ましくは組成物に対して約2重量%から約15重量%まで、更に一層好ましくは組成物に対して約2重量%から約12重量%まで、より一層好ましくは組成物に対して約2.5重量%から約10重量%まで、最も好ましくは組成物に対して約2.5重量%から約5重量%までの範囲である。最も好ましい実施形態によれば、この医薬組成物中の親水性ポリマーの総量は、組成物に対して約2重量%から約4重量%までの範囲である。オキシカルバゼピンのブロードな粒度分布は、多峰性粒度分布であることが好ましい。本発明のこの実施形態のオキシカルバゼピンは、少なくとも1種の小粒子集団を含んでなることが好ましい。この小オキシカルバゼピン粒子集団は、本発明の医薬組成物を調製する際に、噴霧造粒されてなるものでもよい。好ましい実施形態によれば、少なくとも1種の小オキシカルバゼピン粒子集団が噴霧造粒されてなる。こうした噴霧造粒物における、小オキシカルバゼピン粒子の量に対する親水性ポリマーの量の比は、約1:3から約1:20まで、好ましくは約1:5から約1:18まで、より好ましくは約1:9から約1:17までの範囲である。
【0045】
本発明における、ブロードな粒度分布を含んでなるオキシカルバゼピン医薬組成物は、更に、賦形剤、例えば錠剤及びカプセルの充填剤及び希釈剤(例えば微結晶セルロース、ラクトース、スターチ、及び三塩基リン酸カルシウム)、崩壊剤(例えばスターチ、クロスカルメロースナトリウム、及びスターチグリコール酸ナトリウム)、結着剤(例えばスターチ、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、及びポビドン(Povidone))、流動促進剤(例えばコロイド状二酸化ケイ素)、潤滑剤(例えばステアリン酸マグネシウム、ラウリル硫酸マグネシウム、及びステアリルフマル酸ナトリウム)、並びに界面活性剤及び湿潤剤(例えばラウリル硫酸ナトリウム、ポリソルベート、及びポロクサマー(poloxamer))等を含んでいてもよい。
【0046】
より具体的には、本発明の医薬組成物への使用に好適な希釈剤及び充填剤としては、微結晶セルロース(例えばAvicel(登録商標))、超微粒セルロース、ラクトース、スターチ、糊化前(pregelatinized)スターチ、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、糖、デキストレート(dextrates)、デキストリン、デキストロース、二塩基リン酸カルシウム二水和物、三塩基リン酸カルシウム、カオリン、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、マルトデキストリン、マンニトール、塩化カリウム、粉末化セルロース、塩化ナトリウム、ソルビトール、及びタルクが挙げられる。
【0047】
更に、本発明の医薬組成物への使用に好適な界面活性剤としては、ポロクサマー、ポリエチレングリコール、ポリソルベート、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリエトキシ化ヒマシ油、及びヒドロキシ化ヒマシ油が挙げられる。
【0048】
固体医薬組成物を圧密して錠剤等の剤形に成形する場合、その固体医薬組成物は賦形剤を含有していてもよい。賦形剤の機能には、圧縮後に活性成分及び他の賦形剤が相互に結着するのを補助する機能が含まれる。固体医薬組成物のための結着剤としては、アカシア、アルギン酸、カルボマー(例えばcarbopol)、カルボキシメチルセルロースナトリウム、デキストリン、エチルセルロース、ゼラチン、グアーガム、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース(例えばKlucel(登録商標))、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(例えばMethocel(登録商標))、液体グルコース、マルトデキストリン、メチルセルロース、ポリメタクリレート、ポビドン(例えばPovidone PVP K-30、Kollidon、Plasdone(登録商標))、糊化前スターチ、アルギン酸ナトリウム、及びスターチが挙げられる。
【0049】
また、固体医薬組成物を圧密成形する場合は、崩壊剤を組成物に加えてもよい。崩壊剤としては、クロスカルメロースナトリウム(例えばAc Di Sol(登録商標)、Primellose(登録商標))、クロスポビドン(例えばKollidon(登録商標)、Polyplasdone(登録商標))、微結晶セルロース、ポラクリリンカリウム(polacrilin potassium)、粉末化セルロース、糊化前スターチ、スターチグリコール酸ナトリウム(例えばExplotab(登録商標)、Primoljel(登録商標))、及びスターチが挙げられる。
【0050】
固体組成物を圧密成形しない場合、その流動性を改善し、投薬精度を向上させるために、流動促進剤を加えてもよい。流動促進剤として機能し得る賦形剤としては、コロイド状二酸化ケイ素、三ケイ酸マグネシウム、粉末化セルロース、及びタルクが挙げられる。
【0051】
組成物の粘着性を低減し、及び/又は、例えば染型(dye)からの製品の排出を容易にするために、組成物に潤滑剤を加えてもよい。潤滑剤としては、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、モノステアリン酸グリセリン、パルミトステアリン酸グリセリン、水素化ヒマシ油、水素化植物油、鉱油、ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリルフマル酸ナトリウム、ステアリン酸、タルク、及びステアリン酸亜鉛が挙げられる。
【0052】
本製剤に配合してもよい他の賦形剤としては、保存料、抗酸化剤、或いは、製薬産業において通常用いられる他の任意の賦形剤が挙げられる。
【0053】
本発明の固体組成物としては、粉末、粒状物、凝集体、及び圧密成形組成物が挙げられる。投薬量としては、経口、口腔内、及び直腸内投与に適した投薬量が挙げられる。個々の症例における最適な投与量は、治療対象の症状の性質や重症度に依存すると思われるが、本発明で最も好ましい経路は経口である。投薬量を単位剤形として提供するのが便利であり、これは製薬分野における周知の方法のうち、任意の方法を用いて調製することができる。
【0054】
また、本発明は、ブロードな粒度分布を有するオキシカルバゼピン医薬組成物を製造する方法を開示する。例えば、本方法の1つは、大オキシカルバゼピン粒子を小オキシカルバゼピン粒子と混合する第1の工程を含んでなる。本混合は、造粒の前に実施してもよく、造粒時に実施してもよい。或いは、大粒度オキシカルバゼピン粒子のうち少なくとも一部、例えば少なくとも1種の大オキシカルバゼピン粒子集団と、小粒度オキシカルバゼピン粒子のうち少なくとも一部、例えば少なくとも1種の小オキシカルバゼピン粒子集団とを、それぞれ別個に造粒し、形成された粒状物を混合する。続いて、この混合物を更なる賦形剤と混合し、加圧成形して錠剤としてもよい。
【0055】
好ましい実施形態によれば、本方法は、オキシカルバゼピン総量の一部を製粉し、更に任意により解砕して(de-agglomerating)、小薬剤粒子を形成する工程を含有する。残りのオキシカルバゼピンは、製粉することなくそのままの形で、大薬剤粒子集団の形成に用いることが好ましい。或いは、このオキシカルバゼピンの残分に僅かな製粉のみを施すことにより、本発明の多峰性医薬組成物の大薬剤粒子を形成する。この僅かに製粉されたオキシカルバゼピン残分は、大粒度分布を保持する。オキシカルバゼピン粒子の製粉及び解砕には、公知の様々な方法を用いることができる。例えば、ジェットミル、衝撃ミル、ボールミル、振動ミル、乳鉢ミル、又はピンミル等を、未粉砕オキシカルバゼピンの製粉に使用することができる。中でも、オキシカルバゼピンを分散液の形態として、破砕機、例えばローター攪拌機や、高圧破砕機、例えばmicrofluidizer(登録商標)等を用いて製粉することが、製粉化オキシカルバゼピンを高収率で得られるので好ましい。このような湿式製粉によるオキシカルバゼピン粒度の低減は、親水性ポリマー又は安定化剤の存在下で行なうことが好ましい。親水性ポリマー又は安定化剤の好ましい例として、ヒプロメロース(ヒドロキシプロピルメチルセルロース、hydroxy propyl methyl cellulose:HPMC)、例えばPharmacoat(登録商標)が挙げられる。
【0056】
本発明の方法により、圧密成形された固体剤形を製造することが好ましい。このような剤形を製造する方法としてよく知られているのは、(i)直接圧縮、(ii)乾式造粒、及び(iii)湿式造粒の三種類である。湿式造粒の方法としては二種類の方法がよく知られている。混合機を用いて湿潤粒状物を調製し、続いて、得られた湿潤粒状物を乾燥することにより、均質な乾燥粒状物が得られる。別の方法によれば、噴霧造粒によって湿潤粒状物を調製する。流動床噴霧造粒法において、流動粒子上に液体を噴霧することにより、流動床内で粒子及び粒状物が生成する。即ち、こうした方法では、材料を流動床乾燥機内に流動させ、続いて溶液をノズルから噴霧する。
【0057】
本発明の医薬組成物は、任意の剤形とすることができる。例えば、錠剤等の形状の圧縮粒状物とすることができる。また、本発明の方法における圧縮前の工程で得られた、圧縮成形されていない粒状物及び粉末混合物は、カプセルやサシェイ(sachet)等の簡素な剤形で提供することもできる。従って、本発明の医薬組成物の剤形としては、錠剤、粉末、カプセル、サシェイ、トローチ、及びドロップ(losenges)等の固体剤形が挙げられる。また、本発明の剤形としては、上記組成物、好ましくは粉末化又は造粒された本発明の固体組成物を、ハードシェル又はソフトシェル内に含有するカプセルも挙げられる。シェルはゼラチン等から形成することができる。任意により、グリセリンやソルビトール等の可塑剤や、乳白剤又は着色剤を含んでいてもよい。
【0058】
ブロードな粒度分布のオキシカルバゼピンを含んでなるこの医薬組成物の製法は、小薬剤粒子又は大薬剤粒子の何れかから、少なくとも1種のオキシカルバゼピン粒子集団を噴霧造粒する工程を含んでなることが好ましい。本調製法の別の好ましい実施形態によれば、この方法は、小薬剤粒子集団及び大薬剤粒子集団をともに噴霧造粒する工程を含んでなる。後者の実施形態によれば、噴霧造粒オキシカルバゼピンを含んでなる医薬組成物を用いることにより、粉砕コストを低減し、安全性を向上させ、医薬有効成分の損失を抑えつつ、好適な溶出速度及び生物学的利用能を達成することができる。噴霧造粒粒子については、各種の文献に記載されている。例としては、噴霧造粒機器メーカーであるGlatt社のウェブサイトが挙げられる。噴霧造粒オキシカルバゼピンは、オキシカルバゼピン粒子の分散物を空気流動賦形剤粒子上に噴霧して得られる産物であることが好ましい。
【0059】
一実施形態によれば、噴霧オキシカルバゼピン分散物は、比較的大きなオキシカルバゼピン粒子を含んでなる。これらの比較的大きな粒子は、合成により得られたオキシカルバゼピン粒子であって、製粉されていない粒子、例えばd(0.1)、d(0.5)、及びd(0.9)がそれぞれ約21、71、及び248ミクロンであることを特徴とする粒子、或いは最低限の粉砕しか受けていない粒子を含んでなる。噴霧造粒に使用される比較的大きな粒子は、中心粒度が13ミクロンよりも大きい粒子、又は、40ミクロンの篩を通過しないオキシカルバゼピン粒子であってもよい。任意により、噴霧造粒オキシカルバゼピンの医薬組成物は、噴霧造粒されてなる、より小さな粒度のオキシカルバゼピン粒子を含んでいてもよい。任意により、噴霧造粒に使用されるオキシカルバゼピン分散物は、多峰性オキシカルバゼピン医薬組成物中のオキシカルバゼピンと同様の多峰性オキシカルバゼピン粒度分布を有していてもよい。
【0060】
別の実施形態によれば、噴霧オキシカルバゼピン分散物は、比較的小さなオキシカルバゼピン粒子を含んでなる。これらの比較的小さな粒子は、例えば粉砕プロセスの後に得られるオキシカルバゼピン粒子を含んでなる。或いは、こうした比較的小さなオキシカルバゼピン粒子の分散物は、比較的大きなオキシカルバゼピン粒子を含んでなる分散物を準備し、この分散物中のオキシカルバゼピン粒子の粒度を、好ましくは高圧破砕プロセスによって低減することにより得られる。噴霧造粒に使用される比較的小さな粒子は、中心粒度が6ミクロン未満、好ましくは3ミクロン未満の粒子であってもよい。任意により、噴霧造粒オキシカルバゼピンの医薬組成物は、噴霧造粒されてなる、より粒度の大きなオキシカルバゼピン粒子を含んでいてもよい。任意により、噴霧造粒に使用されるオキシカルバゼピン分散物は、多峰性オキシカルバゼピン医薬組成物中のオキシカルバゼピンと同様の多峰性オキシカルバゼピン粒度分布を有していてもよい。
【0061】
噴霧造粒オキシカルバゼピンの医薬組成物は、錠剤及びカプセルの充填剤及び希釈剤(例えば微結晶セルロース、ラクトース、スターチ、及び三塩基リン酸カルシウム)、崩壊剤(例えばスターチ、クロスカルメロースナトリウム、及びスターチグリコール酸ナトリウム)、結着剤(例えばスターチ、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、及びポビドン)、流動促進剤(例えばコロイド状二酸化ケイ素)、潤滑剤(例えばステアリン酸マグネシウム、ラウリル硫酸マグネシウム、及びステアリルフマル酸ナトリウム)、並びに界面活性剤及び湿潤剤(例えばラウリル硫酸ナトリウム、ポリソルベート、及びポロクサマー)等の群より選択される、少なくとも1種の賦形剤を含んでなる。好ましい実施形態によれば、オキシカルバゼピンの噴霧分散物は、ヒプロメロース等の結着剤を含んでなる。
【0062】
また、本発明は、噴霧造粒オキシカルバゼピンの医薬組成物を製造する方法を開示する。本方法は、少なくとも1種の賦形剤を、オキシカルバゼピンの分散物とともに噴霧する工程を含有する。まず、オキシカルバゼピンの分散物を調製し、このオキシカルバゼピンの分散物を流動賦形剤粒子上に噴霧した後、乾燥する。乾燥は流動/浮遊ガス(通常は空気)内で急速に行なうことが好ましい。この噴霧法は、粒子を垂直カラム内で上昇気流により浮遊させる流動床技術を用いた装置により行なうことが好ましい。粒子を流動させながら、オキシカルバゼピンの被覆分散物をカラム内に噴霧する。この噴霧は、上方噴霧(top spray)、下方噴霧(bottom spray)、及び「接線」又は粉末噴霧("tangential" or powder spray)という三種の方法のうち、何れかにより行なうことができる。中でも、上方噴霧法により、オキシカルバゼピン分散物の噴霧を行なうことが好ましい。
【0063】
更には、本発明の好ましい噴霧造粒法は、一般的に使用される噴霧造粒法とは若干異なる。一般的に使用される手順では、造粒溶液を、空気中に浮遊又は流動する活性及び非活性物質の混合物上に噴霧する。本発明の好ましい噴霧造粒法によれば、活性物質の分散物を、空気中に浮遊する賦形剤上に、又は活性及び非活性物質の混合物上に噴霧する。
【0064】
特に、上述の噴霧造粒法において、一方が小オキシカルバゼピン粒子を含んでなり、他方が大オキシカルバゼピン粒子を含んでなる、二つの造粒物を別々に調製すれば、本発明の更なる利点が発揮される。多くの場合、開発時に最終的な医薬組成物の溶出特性を調節及び微調整することは重要である。各造粒物について溶出速度を決定しておけば、最終的な医薬組成物については極めて簡単に、そうした溶出速度の微調整を行なうことができる。2種以上の粒状物を適切な比率で混合するだけで、得られる溶出速度を所望の値とすることができる。溶出速度をより速める場合は、粒状物の混合物中における溶解速度の速い方の粒状物の割合を、それに応じて高い割合とすればよい。逆も同様に簡単である。
【0065】
本発明の医薬組成物によれば、オキシカルバゼピンの溶出速度は、被粉砕オキシカルバゼピン粒子を含んでなる医薬組成物と同程度である。これは、ブロードな粒度分布を有するオキシカルバゼピン粒子について予測される溶出速度とは対照的である。本発明の医薬組成物は大/未粉砕オキシカルバゼピン粒子を含んでなるからである。更に、本発明の医薬組成物からのオキシカルバゼピンの溶出速度によれば、弱酸性から中性にかけてのpH領域において、オキシカルバゼピンが十分に胃腸吸収され得る。オキシカルバゼピンは本発明の医薬組成物から好適な速度で溶出する。医薬組成物中のオキシカルバゼピンの30%以上が、胃腸内を模した環境下で60分以内に医薬組成物から溶出することが好ましい。中でも、医薬組成物中のオキシカルバゼピンの30%以上、好ましくは約40%以上が、このような環境下で50分以内に組成物から溶出することがより好ましく、オキシカルバゼピンの20%以上が、このような環境下で35分以内に医薬組成物から溶出することが最も好ましい。胃腸内を模した環境下における、本発明の医薬組成物からのオキシカルバゼピンの好ましい溶出速度は、以下のように表わすこともできる。即ち、a)溶出装置での測定35分後に、オキシカルバゼピン総量の約30%以下が組成物から溶出し、b)溶出装置での測定50分後に、オキシカルバゼピン総量の約30%、好ましくは約40%以上、約50%までが組成物から溶出し、且つ、c)溶出装置での測定60分後に、オキシカルバゼピン総量の約30%から約50%が組成物から溶出する。胃腸内環境は、HCl等の酸を含有する媒質中、生理的界面活性剤を用い、添加量を徐々に増やしてpHを変化させることにより、模することができる。胃腸内を模した条件については、例えば、実施例14において後述する。
【0066】
本発明の医薬組成物は、TRILEPTAL(登録商標)の生物学的同等製剤を提供する。本発明のこの実施形態の医薬組成物(TRILEPTAL(登録商標)の生物学的同等物)は、オキシカルバゼピンと、親水性ポリマーと、少なくとも1種の医薬賦形剤とを含んでなり、オキシカルバゼピンに対する親水性ポリマーの比率が、約1:3から約1:25まで、好ましくは約1:5から約1:22まで、より好ましくは約1:9から約1:20までの範囲である。更には、本発明の医薬組成物からのオキシカルバゼピンの崩壊速度は、生物学的利用能への影響が最小限に抑えられるよう、十分に低減されてなる。本発明のオキシカルバゼピンを含んでなる医薬組成物は、USP Pharmacopeia(USP Pharmacopeia (2007); USP 30, NF 25, vol 1; <701> Disintegration, pp 276-277)に記載された方法で測定される崩壊時間が、好適な値である。崩壊時間は約30分未満であることが好ましく、より好ましくは約20分未満、最も好ましくは約15分未満である。
【0067】
オキシカルバゼピンは、癲癇発作を患う患者において、癲癇の治療に用いられる。本発明の医薬組成物は、そうした治療を必要とする患者に対してオキシカルバゼピンを投与するのに有効な送達系を提供する。癲癇を患う患者の治療法は、本発明の医薬組成物中のオキシカルバゼピンを有効量、投与する工程を含んでいればよい。この医薬組成物は、ブロードな粒度分布のオキシカルバゼピンを含んでなることが好ましい。更には、このブロードなオキシカルバゼピン粒度分布が、多峰性オキシカルバゼピン粒度分布であることが好ましい。更に、オキシカルバゼピンは、パーキンソン病の治療に有効であることが示されている。よって、本発明の医薬組成物は、パーキンソン病及び神経因性疼痛を患う患者に対してオキシカルバゼピンを投与するのに有効な送達系をも提供する。
【0068】
本発明を更に説明するため、以下に実施例を示す。これらの実施例は、如何なる意味においても、本発明を限定するものと解釈してはならない。
【実施例】
【0069】
ブロードな粒度分布を有するオキシカルバゼピンと、少なくとも1種の医薬賦形剤とを含んでなる製剤を調製した。以下の実施例のうち幾つかは、多峰性錠剤製剤の持続性を示している。多峰性製剤のd(0.5)オキシカルバゼピン粒度分布を評価するために、二つの方策を選択して実施した。即ち、1)多峰性オキシカルバゼピン混合物を調製し、それらの粒度分布をレーザー回折法(Malvern Mastersizer S)を用いて分析するという方策、及び、2)大及び小オキシカルバゼピンのPSD加重平均計算により、d(0.1)、d(0.5)、及びd(0.9)を数値計算するという方策である。例として、小及び大オキシカルバゼピン粒子をそれぞれ35:65の比率で含有する多峰性混合物について、PSDを数値計算した結果を以下の表に示す。
【0070】
【表1】

【0071】
計算手順:
1.データ:小及び大オキシカルバゼピンの積算体積%。
2.各積算体積%に割合%(本実施例では35%又は65%)を乗算。
3.35%の積と65%の積とを合計。
【0072】
実施例1:比率10:90の多峰性オキシカルバゼピン製剤の調製
【0073】
第1のステップ1では、大オキシカルバゼピンから出発分散物の調製を行なった。1200gの大オキシカルバゼピン原料(RM)[d(0.9)=248.5]を、ヒプロメロース(Pharmacoat 603)240gを精製水4800g中に含む溶液に分散させた。Pharmacoatを水に加え、透明な混合物が得られるまで攪拌した。続いて、大オキシカルバゼピンをPharmacoatと水との混合物に加え、ローター攪拌機(Brogtec)を用いて約30分かけて分散させた。この大オキシカルバゼピン粒度分布をレーザー回折法(Malvern Mastersizer S)で測定したところ、以下の通りであった。
【0074】
【表2】

【0075】
第2のステップ2では、大オキシカルバゼピンの粒度を縮小するため、高圧均質化プロセス(MFIC microfluidizer M-110F)を実施した。この湿式製粉による粒度縮小は、親水性ポリマー又は安定化剤としてヒプロメロース(ヒドロキシプロピルメチルセルロース、例えばPharmacoat(登録商標))の存在下で実施した。最終的なオキシカルバゼピン分散物(小オキシカルバゼピン)の粒度分布をレーザー回折法(Malvern Mastersizer S)で測定したところ、以下の通りであった。
【0076】
【表3】

【0077】
第3のステップ3では、小オキシカルバゼピンの最終的な分散物を噴霧造粒分散物として、流動床上方噴霧造粒プロセスを実施した。この造粒製剤の含有成分は以下の通りである。
【0078】
【表4】

【0079】
第4のステップ4では、大オキシカルバゼピンの粒状物を、高シアー混合機により調製した。大オキシカルバゼピン粒状物の製剤は以下の通りであった。
【0080】
【表5】

【0081】
造粒に使用した大オキシカルバゼピンRMの粒度分布をレーザー回折法(Malvern mastersizer S)で測定したところ、以下の通りであった。
【0082】
【表6】

【0083】
最後となる第5のステップ5では、造粒混合物及び錠剤の調製を行なった。ステップ3の噴霧造粒物を、ステップ4の造粒物とともに、それぞれ9:1の比率で混合した。600mgの用量を調製するべく、これら二つの造粒物の混合物を調製した。ここで、噴霧造粒物は活性物質540mgを含有しており、ステップ4の造粒物は活性物質60mgを含有していた。結果として得られた、潤滑剤を更なる賦形剤として含有する最終製剤は、以下の通りである。
【0084】
【表7】

【0085】
続いて、造粒混合物を加圧成形して錠剤とし、溶出を実施した。観察された溶出速度は、図1に示すように、TRILEPTAL(登録商標)生物学的同等製剤と同程度であった。
【0086】
本実施例で使用したオキシカルバゼピンの粒度は、d(0.5)が0.6ミクロンのオーダーであり、本材料の約6%が40ミクロンの篩上に保持されるものと見積もられた。このような概算値を測定する方法を以下に例示する。比率10/90の多峰性オキシカルバゼピン製剤のd(0.5)を評価するために、二種の分散物の混合を実施した。本混合物は、d(0.5)が0.7ミクロンであることを特徴とする小粒子90%と、d(0.5)が68ミクロンであることを特徴とする大粒度10%とを含有していた。本混合物のd(0.5)をmalvernで測定したところ、0.7ミクロンであった。40ミクロンのスクリーン上に保持されるオキシカルバゼピンの量を評価するために、大オキシカルバゼピンの篩分析をalpineにより行なった。篩分析の結果により、オキシカルバゼピンの約60%が40ミクロンの篩上に保持されることが示された。従って、篩分け後に得られる「小」オキシカルバゼピン粒子が何れも40ミクロンメッシュのスクリーン上に保持されないものと仮定すれば、90/10の混合物はその6%以上が40ミクロンの篩上に保持されると考えられる。
【0087】
実施例2:比率1:5の多峰性オキシカルバゼピン製剤の調製
【0088】
最初の4つのステップは実施例1と同様に行なった。造粒混合物及び錠剤を調製する最後のステップ5では、噴霧造粒物を、ステップ4の造粒物とともに、それぞれ16.6:83.3の比率で混合した。600mgの用量を調製するべく、これら二つの造粒物の混合物を調製した。ここで、噴霧造粒物は活性物質500mgを含有しており、混合造粒物は活性物質100mgを含有するものであった。結果として得られた、潤滑剤を更なる賦形剤として含有する最終製剤は、以下の通りである。
【0089】
【表8】

【0090】
続いて、造粒混合物を加圧成形して錠剤とし、溶出を実施した。観測された溶出速度は、図1に示すように、TRILEPTAL(登録商標)生物学的同等製剤と同程度であった。本実施例で使用したオキシカルバゼピンの粒度は、d(0.5)が0.7ミクロンのオーダーであり、本材料の約10%が40ミクロンの篩上に保持されるものと見積もられた。このような概算値を測定する方法を以下に例示する。比率1:5の多峰性オキシカルバゼピン製剤のd(0.5)を評価するために、二種の分散物の混合を実施した。この混合物は、d(0.5)が0.7ミクロンであることを特徴とする小粒子80%と、d(0.5)が68ミクロンであることを特徴とする大粒度20%とを含有していた。本混合物のd(0.5)をmalvernで測定したところ、0.8ミクロンであった。従って、比率1:5の場合のd(0.5)も0.8ミクロン未満である。40ミクロンのスクリーン上に保持されるオキシカルバゼピンの量を評価するために、大オキシカルバゼピンの篩分析をalpineにより行なった。篩分析の結果により、オキシカルバゼピンの約60%が篩上に保持されることが示された。従って、篩分け後に得られる小オキシカルバゼピン粒子が何れも40ミクロンのメッシュスクリーン上に保持されないものと仮定すれば、1:5の混合物はその約10%以上が40ミクロンの篩上に保持されると考えられる。
【0091】
実施例3:噴霧造粒物と混合造粒物とを組み合わせて用いた、比率55:45の多峰性オキシカルバゼピン製剤の調製
【0092】
最初の3つのステップは実施例1と同様に行なった。ステップ4では、オキシカルバゼピンの造粒物[d(0.5)=30.5]を湿式造粒プロセスにより調製した。大オキシカルバゼピン造粒物の製剤は以下の通りであった。
【0093】
【表9】

【0094】
造粒用の大オキシカルバゼピンRMの粒度分布を、レーザー回折法(Malvern mastersizer S)で測定したところ、以下の通りであった。
【0095】
【表10】

【0096】
最後となる第5のステップ5では、造粒混合物及び錠剤の調製を行なった。ステップ3の造粒物を、ステップ4の混合造粒物とともに、それぞれ45:55の比率で混合した。600mgの用量を調製するべく、これら二つの造粒物の混合物を調製した。ここで、噴霧造粒物は活性物質270mgを含有しており、ステップ4の混合造粒物は活性物質330mgを含有するものであった。結果として得られた、潤滑剤を更なる賦形剤として含有する最終製剤は、以下の通りである。
【0097】
【表11】

【0098】
続いて、造粒混合物を加圧成形して錠剤とし、溶出試験を実施した。観測された溶出速度は、図2に示すように、TRILEPTAL(登録商標)生物学的同等製剤と同程度であった。
【0099】
実施例4:噴霧造粒物を混合造粒物と組み合わせて用いた、比率65:35の多峰性オキシカルバゼピン製剤の調製
【0100】
最初の4つのステップは実施例3と同様に行なった。造粒混合物及び錠剤を調製する最後のステップ5では、噴霧造粒物を、混合造粒物とともに、それぞれ35:65の比率で混合した。600mgの用量を調製するべく、これら二つの造粒物の混合物を調製した。ここで、噴霧造粒物(小)は活性物質210mgを含有しており、ステップ4の混合造粒物(大)は活性物質390mgを含有するものであった。結果として得られた、潤滑剤を更なる賦形剤として含有する最終製剤は、以下の通りである。
【0101】
【表12】

【0102】
続いて、造粒混合物を加圧成形して錠剤とし、溶出試験を実施した。観測された溶出速度は図2に示すように、TRILEPTAL(登録商標)生物学的同等製剤と同程度であった。
【0103】
65:35混合物のd(0.5)を評価するために、数値計算を行なった。オキシカルバゼピンのd(0.5)は、d(0.5)=27.6ミクロンの集団65%とd(0.5)=0.8の集団35%とを含有していた。計算の結果によれば、この混合物のd(0.5)は約13ミクロンであることが示された。
【0104】
実施例5:二種の噴霧造粒物を組み合わせて用いた、比率65:35の多峰性オキシカルバゼピン製剤の調製
【0105】
最初の3つのステップは実施例1と同様に行なった。ステップ4では、噴霧造粒用の分散物を調製する。60gの大オキシカルバゼピン原料(RM)[d(0.9)=248.5]を、ヒプロメロース(Pharmacoat 603)12gを精製水240g中に含む溶液に分散させた。Pharmacoatを水に加え、透明な混合物とした。続いて、大オキシカルバゼピンをPharmacoat水混合物に加え、ローター攪拌機(Brogtec)を用いて約30分間分散させ、大オキシカルバゼピン分散物を形成した。ローター攪拌機によるプロセス後に得られたこの大オキシカルバゼピンの粒度分布を、レーザー回折法(Malvern Mastersizer S)により測定したところ、以下の通りであった。
【0106】
【表13】

【0107】
ステップ5では、大オキシカルバゼピン分散物を、流動床上方噴霧造粒プロセスにおける噴霧造粒分散物として用いた。造粒製剤は以下の成分を含有していた。
【0108】
【表14】

【0109】
最後となる第6のステップ6では、造粒混合物及び錠剤を調製した。ステップ3の噴霧造粒物を、ステップ5の噴霧造粒物と、それぞれ35:65の比率で混合した。600mgの用量を調製するべく、これら二つの造粒物の混合物を調製した。ここで、噴霧造粒物は、活性物質210mgを含有し、ステップ5の噴霧造粒物は、活性物質390mgを含有していた。結果として得られた、潤滑剤を更なる賦形剤として含有する最終製剤は、以下の通りである。
【0110】
【表15】

【0111】
続いて、造粒混合物を加圧成形して錠剤とし、溶出試験を実施した。観測された溶出速度は、図3に示すように、TRILEPTAL(登録商標)生物学的同等製剤と同程度であった。
【0112】
この65:35混合物のd(0.5)を評価するために、数値計算を行なった。計算結果によれば、結果としてこの混合物のd(0.5)は約13ミクロンであると示された。
【0113】
実施例6:二種の噴霧造粒物を組み合わせて用いた、比率55:45の多峰性オキシカルバゼピン製剤の調製
【0114】
最初の5つのステップは実施例5と同様に行なった。造粒混合物及び錠剤を調製する最後のステップ6では、ステップ3の噴霧造粒物を、ステップ5の噴霧造粒物とともに、それぞれ45:55の比率で混合した。600mgの用量を調製するべく、これら二つの造粒物の混合物を調製した。ここで、ステップ3の噴霧造粒物は活性物質270mgを含有し、ステップ5の噴霧造粒物は活性物質330mgを含有するものであった。結果として得られた、潤滑剤を更なる賦形剤として含有する最終製剤は、以下の通りである。
【0115】
【表16】

【0116】
続いて、造粒混合物を加圧成形して錠剤とし、溶出試験を実施した。観測された溶出速度は、図3に示すように、TRILEPTAL(登録商標)生物学的同等製剤と同程度であった。
【0117】
実施例7:相対的に徐溶出性の(relatively slow dissolving)医薬組成物の調製
【0118】
相対的に徐溶出性の医薬組成物からなる生物学的非同等製剤を、d(0.5)が43ミクロンであることを特徴とするオキシカルバゼピンを用いて調製した。オキシカルバゼピン造粒物の調製は高シアー混合機を用いて行ない、流動床乾燥機で乾燥した。潤滑剤を更なる賦形剤として含有する最終的な製剤は以下の通りであった。
【0119】
【表17】

【0120】
最終混和物を圧縮成形して錠剤とし、この錠剤を被覆した。
【0121】
実施例8:噴霧造粒オキシカルバゼピン製剤の調製
【0122】
第1のステップでは、大オキシカルバゼピンから出発分散物を調製した。大オキシカルバゼピン原料(RM)[d(0.9)=248.5]60gを、ヒプロメロース(Pharmacoat 603)12gを精製水240g中に含む溶液に分散させた。Pharmacoatを水に加え、透明な混合物となるまで混合した。続いて、大オキシカルバゼピンをこのPharmacoat水混合物に加え、ローター攪拌機(Brogtec)を用いて30分間、9000rpmで分散させた。ローター攪拌機によるプロセス後のオキシカルバゼピンの粒度分布を、レーザー回折法(Malvern Mastersizer S)により測定したところ、以下の通りであった。
【0123】
【表18】

【0124】
第2のステップでは、大オキシカルバゼピン分散物を、流動床上方噴霧造粒プロセスにおける噴霧造粒分散物として用いた。造粒物製剤は、以下の物質を含有していた。
【0125】
【表19】

【0126】
続いて、第3のステップでは、造粒混合物を加圧成形して錠剤とし、溶出試験を実施した。観測された溶出速度は、図4に示すように、TRILEPTAL(登録商標)生物学的同等製剤とほぼ同程度であった。
【0127】
本実施例で使用したオキシカルバゼピンの粒度としては、d(0.5)が27ミクロンのオーダーであり、この材料の約29%以上が40ミクロンの篩上に保持されるものと推測された。このような推測を行なった手順を以下に例示する。40ミクロンのスクリーン上に保持されるオキシカルバゼピンの量を評価するために、大オキシカルバゼピンの篩分析を、湿式篩分け用「フリッチェ(Fritsch)」振動篩振盪器を用いて行なった。本試験には、d(0.5)が16ミクロンであることを特徴とする大オキシカルバゼピンを用いた。篩分析の結果によれば、オキシカルバゼピンの約29%が40ミクロンのスクリーン上に保持されることが示された。従って、実施例8及び9で使用した大オキシカルバゼピンの篩分け試験を行なえば、29%以上が40ミクロンの篩上に保持されるという結果が得られるのは明らかである。
【0128】
実施例9:粒子外(extra-granular)賦形剤を用いた噴霧造粒オキシカルバゼピン製剤の調製
【0129】
最初の2つのステップは実施例8と同様に行なった。ステップ3では、オキシカルバゼピンの噴霧造粒物を以下のように、粒子外賦形剤と混合した。
【0130】
【表20】

【0131】
続いて、第4のステップでは、造粒混合物を加圧成形して錠剤とし、溶出試験を実施した。観測された溶出速度は、図4に示すように、TRILEPTAL(登録商標)生物学的同等製剤と同程度であった。
【0132】
実施例10:噴霧造粒オキシカルバゼピン製剤の調製
【0133】
第1のステップ1では、大オキシカルバゼピンから出発分散物を調製した。大オキシカルバゼピン原料(RM)[d(0.9)=248.5]30gを、ヒプロメロース(Pharmacoat 603)6gを精製水120gに含む溶液中に分散させた。Pharmacoatを水に加え、透明な混合物となるまで混合した。続いて、大オキシカルバゼピンをこのPharmacoat水混合物に加え、ローター攪拌機(Brogtec)を用いて30分間、9000rpmで分散させた。ローター攪拌機によるプロセス後の大オキシカルバゼピンの粒度分布を、レーザー回折法(Malvern Mastersizer S)により測定したところ、以下の通りであった。
【0134】
【表21】

【0135】
第2のステップでは、大オキシカルバゼピン分散物を、流動床上方噴霧造粒プロセスにおける噴霧造粒分散物として用いた。造粒物の製剤は、以下の物質を含有していた。
【0136】
【表22】

【0137】
続いて、第3のステップでは、造粒混合物を加圧成形して錠剤とし、溶出試験を実施した。観測された溶出速度は、図5に示すように、TRILEPTAL(登録商標)生物学的同等製剤と同程度であった。
【0138】
実施例11:粒子外賦形剤を用いた噴霧造粒オキシカルバゼピン製剤の調製
【0139】
最初の2つのステップは実施例10と同様に行なった。ステップ3では、オキシカルバゼピン噴霧造粒物を以下のように、粒子外賦形剤と混合した。
【0140】
【表23】

【0141】
続いて、第4のステップでは、造粒混合物を加圧成形して錠剤とし、溶出試験を実施した。観測された溶出速度は、図5に示すように、TRILEPTAL(登録商標)生物学的同等製剤と同程度であった。
【0142】
実施例8、9、10及び11について調製された製剤では、単一のオキシカルバゼピン集団を用いて噴霧造粒プロセスを行なったが、使用したオキシカルバゼピンの粒度は、d(0.5)値が約13ミクロンから約30ミクロンまでの間であることが好ましい。
【0143】
以下の二つの実施例は、d(0.5)が2%未満であり、且つ、その5%超が40ミクロンの篩上に保持されるようなオキシカルバゼピンを有する噴霧造粒製剤を例示するものである。
【0144】
実施例12:噴霧造粒プロセスにおいてオキシカルバゼピンの小粒子分散物を大オキシカルバゼピン粒子上に噴霧する、20:80の比率の多峰性オキシカルバゼピン製剤の調製
【0145】
第1のステップでは、出発分散物を大オキシカルバゼピンから調製した。1500gの大オキシカルバゼピン原料を、300gのヒプロメロース(Pharmacoat 603)を6000gの精製水中に含む溶液に分散させた。Pharmacoatを水に加え、透明な混合物となるまで混合した。続いて、大オキシカルバゼピンをこのPharmacoat水混合物に加え、ローター攪拌機(Brogtec)を用いて約30分間分散させた。この大オキシカルバゼピンの粒度分布をレーザー回折法(Malvern Mastersizer S)により測定したところ、以下の通りであった。
【0146】
【表24】

【0147】
第2のステップでは、大オキシカルバゼピンの粒度を縮小すべく、高圧下での均質化プロセス(MFIC microfluidizer M-110F)に供した。この最終オキシカルバゼピン(小)分散物(小オキシカルバゼピン)の粒度分布をレーザー回折法(Malvern Mastersizer S)により測定したところ、以下の通りであった。
【0148】
【表25】

【0149】
第3のステップ3では、小オキシカルバゼピンの最終分散を、流動床上方噴霧造粒プロセスにおける噴霧造粒分散物として用い、賦形剤と大オキシカルバゼピンとの混合物上に噴霧した。この大オキシカルバゼピンの粒度分布をレーザー回折法(Malvern Mastersizer S)により測定したところ、現実施例の第1段階で述べた通りとなった。
【0150】
この造粒製剤は、以下の物質を含有していた。
【0151】
【表26】

【0152】
第4のステップでは、この造粒物を以下に示すように、粒子外賦形剤と混合した。
【0153】
【表27】

【0154】
続いて、造粒混合物を加圧成形して錠剤とし、溶出試験を実施した。更に、錠剤を被覆した。
【0155】
観測された溶出速度は、図6に示すように、TRILEPTAL(登録商標)生物学的同等製剤と同程度であった。本実施例で使用したオキシカルバゼピンの粒度は、d(0.5)が0.8ミクロンのオーダーであり、本材料の約12%が40ミクロンの篩上に保持されるものと推測される。d(0.5)粒度の評価及び篩分析については実施例2で示している。
【0156】
実施例13:
【0157】
最初の3つのステップは実施例12と同様に行なった。ステップ4では、オキシカルバゼピンの噴霧造粒物を以下に示すように、粒子外賦形剤と混合した。
【0158】
【表28】

【0159】
続いて、造粒混合物を加圧成形して錠剤とし、溶出を行なった。更に錠剤を被覆した。
【0160】
観測された溶出速度は、図6に示すように、TRILEPTAL(登録商標)生物学的同等製剤と同程度であった。造粒物が実施例12で得られたものと同じであったことから、本実施例で使用したオキシカルバゼピンの粒度も同様に、d(0.5)が0.8ミクロンのオーダーであり、本材料の約12%が40ミクロンの篩上に保持されるものと推測される。
【0161】
実施例14:溶出試験
実施例1〜13に記載の錠剤について、生理的界面活性剤を含有する媒質を用いて試験を行なった。本手順では、胃腸内条件を模するために、添加する量を徐々に増やし、pHを変化させた。本溶出手順を、USP装置II内で、パドル法により、37℃、50rpmで、以下の表2に示す条件下で実施した。
【0162】
【表29】

【0163】
溶出したオキシカルバゼピンの濃度を、35、50、及び60分の経過時に測定した。レシチン溶液は濁りを有するので、UVによる測定前に検体を清浄化することが好ましい。その溶出プロファイルを市販の医薬組成物と比較すべく、TRILEPTAL(登録商標)と生物学的同等な医薬組成物も溶出実験に供した。表4に、実施例1〜6及び8〜13の錠剤、TRILEPTAL(登録商標)生物学的同等錠剤(「Trileptal(登録商標)生物学的同等組成物A」)、並びに、本発明に従って調製された、相対的に徐溶出性の医薬組成物(実施例7)の各々について、その溶出プロファイルを示す。
【0164】
個別に行なった6回の実験の結果を示す。図1では、TRILEPTAL(登録商標)生物学的同等組成物A、並びに実施例1及び2について、上述の条件下での溶出試験の結果を示している。同様に図2ではTRILEPTAL(登録商標)生物学的同等組成物A、徐溶性(relatively slow)組成物(実施例7)、並びに実施例3及び4について、溶出試験の結果を示している。図3では、TRILEPTAL(登録商標)生物学的同等組成物A、徐溶性組成物(実施例7)、並びに実施例5及び6について、同一の溶出条件下での溶出試験の結果を示している。図4では、TRILEPTAL(登録商標)生物学的同等組成物A、徐溶性組成物(実施例7)、並びに実施例8及び9について、同一の溶出条件下での溶出試験の結果を示している。図5では、TRILEPTAL(登録商標)生物学的同等組成物A、徐溶性組成物(実施例7)、並びに実施例10及び11について、同一の溶出条件下での溶出試験の結果を示している。図6では、TRILEPTAL(登録商標)生物学的同等組成物A、徐溶性組成物(実施例7)、並びに実施例12及び13について、同一の溶出条件下での溶出試験の結果を示している。最後に、図7では、TRILEPTAL(登録商標)生物学的同等組成物A、徐溶性組成物(実施例7)、並びに実施例15及び16について、同一の溶出条件下での溶出試験の結果を示している。
【0165】
結果において、TRILEPTAL(登録商標)生物学的同等組成物の表3における数値は、6回の実験における平均値を表わしており、徐溶性組成物の表3における数値は、4回の実験における平均値を表わしている。表3では、様々な医薬組成物の溶出プロファイルを、組成物から溶出されるオキシカルバゼピンの百分率で示している。
【0166】
【表30】

【0167】
経口錠剤の生物学的利用能は、崩壊及び溶出により影響を受けるものと思われる。オキシカルバゼピン製剤中の小粒子の崩壊時間を短縮するために、ヒプロメロースを用いた噴霧造粒プロセスにおいて、大オキシカルバゼピン粒子上に小オキシカルバゼピンを噴霧する際に使用するヒプロメロースの量を減らした。以下の二つの実施例(15及び16)は、このようにヒプロメロース量を減らし、上述の実施例1から13におけるヒプロメロース量よりも少なくして得られた製剤について実証するものである。
【0168】
実施例15:ヒプロメロース43.2mgを用いた比率20:80の多峰性オキシカルバゼピン製剤の調製
【0169】
第1のステップ1では、大オキシカルバゼピンから出発分散物の調製を行なった。1800gの大オキシカルバゼピン原料を、162gのヒプロメロース(HPMC, Pharmacoat 603)を3860gの精製水中に含む溶液に分散させた。Pharmacoatを水に加え、透明な混合物が得られるまで攪拌した。続いて、大オキシカルバゼピンをPharmacoatと水との混合物に加え、よく混合した。この大オキシカルバゼピン粒度分布をレーザー回折法(Malvern Mastersizer S)で測定したところ、以下の通りであった。
【0170】
【表31】

【0171】
第2のステップ2では、大オキシカルバゼピンの粒度を縮小するため、高圧均質化プロセス(MFIC microfluidizer M-110F)を実施した。この最終的なオキシカルバゼピン(小)分散物(小オキシカルバゼピン)の粒度分布をレーザー回折法(Malvern Mastersizer S)で測定したところ、以下の通りであった。
【0172】
【表32】

【0173】
第3のステップ3では、この小オキシカルバゼピンの最終分散物を、流動床上方噴霧造粒プロセスの噴霧造粒分散物として用い、賦形剤及び大オキシカルバゼピンの混合物に対して噴霧した。その大オキシカルバゼピン粒度分布をレーザー回折法(Malvern Mastersizer S)で測定したところ、現実施例の第1段階で述べた通りとなった。
【0174】
この造粒製剤は、以下の物質を含有していた。
【0175】
【表33】

【0176】
第4のステップでは、この造粒物を以下に示すように、粒子外賦形剤と混合した。
【0177】
【表34】

【0178】
続いて、造粒混合物を加圧成形して錠剤とし、溶出試験を実施した。更に、錠剤を被覆した。
【0179】
観測された溶出速度は、図7に示すように、TRILEPTAL(登録商標)生物学的同等製剤と同程度であった。本実施例で使用したオキシカルバゼピンのd(0.5)をレーザー回折法(Malvern Mastersizer S)で測定したところ、0.90ミクロンであった。40ミクロン篩上に保持される量は13%であった。
【0180】
実施例16:ヒプロメロース30mgを用いた比率20:80の多峰性オキシカルバゼピン製剤の調製
【0181】
第1のステップ1では、大オキシカルバゼピンから出発分散物の調製を行なった。1800gの大オキシカルバゼピン原料を、113gのヒプロメロース(Pharmacoat 603)を3800gの精製水中に含む溶液に分散させた。Pharmacoatを水に加え、透明な混合物が得られるまで攪拌した。続いて、大オキシカルバゼピンをPharmacoatと水との混合物に加え、よく混合した。この大オキシカルバゼピン粒度分布をレーザー回折法(Malvern Mastersizer S)で測定したところ、以下の通りであった。
【0182】
【表35】

【0183】
第2のステップ2では、大オキシカルバゼピンの粒度を縮小するため、高圧均質化プロセス(MFIC microfluidizer M-110F)を実施した。この最終的なオキシカルバゼピン(小)分散物(小オキシカルバゼピン)の粒度分布をレーザー回折法(Malvern Mastersizer S)で測定したところ、以下の通りであった。
【0184】
【表36】

【0185】
第3のステップ3では、この小オキシカルバゼピンの最終分散物を、流動床上方噴霧造粒プロセスの噴霧造粒分散物として用い、賦形剤及び大オキシカルバゼピンの混合物に対して噴霧した。その大オキシカルバゼピン粒度分布をレーザー回折法(Malvern Mastersizer S)で測定したところ、現実施例の第1段階で述べた通りとなった。
【0186】
この造粒製剤は、以下の物質を含有していた。
【0187】
【表37】

【0188】
第4のステップでは、この造粒物を以下に示すように、粒子外賦形剤と混合した。
【0189】
【表38】

【0190】
続いて、造粒混合物を加圧成形して錠剤とし、溶出試験を実施した。更に、錠剤を被覆した。
【0191】
観測された溶出速度は、図7に示すように、TRILEPTAL(登録商標)生物学的同等製剤と同程度であった。本実施例で使用したオキシカルバゼピンのd(0.5)をレーザー回折法(Malvern Mastersizer S)で測定したところ、0.90ミクロンであった。40ミクロン篩上に保持される量は13%であった。
【0192】
実施例17:TRILEPTAL(登録商標)600mg市販組成物との比較における、本発明に係る組成物の単回用量、相対生物学的利用能に関する検討
【0193】
健常者を対象に相対生物学的利用能の試験を行なった。以下の組成物を試験した。
1.本発明に係る組成物:実施例15に従い調製された被覆錠剤
2.市販TRILEPTAL(登録商標)600mg錠剤
【0194】
試験は、15人の健常者に単回用量600mgのオキシカルバゼピンを投与することにより行なった。投与の間には最短6日間の休薬期間を設けた。薬物動態分析のためのサンプルを、所定の時間間隔をおいて採取した。血漿中のオキシカルバゼピン含有率を各サンプルについて測定した。
【0195】
結果の幾何平均とそれらの間の比率を下記の表に示す。
【0196】
【表39】

【0197】
【表40】

【0198】
以上の結果から、試験された組成物の対照製品に対するCmax及びAUC0−infの比が80%から125%の間にあることが分かる。よって、本発明に記載する組成物が、対照であるTRILEPTAL(登録商標)と同様の相対生物学的利用能データを示すことは明らかである。
【0199】
実施例18
水中における製剤の崩壊時間を、崩壊装置(Disintegrator Erweka ZT41)を用いて試験した。
【0200】
結果を以下の表に示す。
【0201】
【表41】

【0202】
実施例19 − TRILEPTAL(登録商標)600mg生物学的同等組成物との比較における、本発明に係る組成物の単回用量、相対生物学的利用能に関する検討
【0203】
健常者を対象に相対生物学的利用能の試験を行なった。以下の組成物を試験した。
1.TRILEPTAL(登録商標)生物学的同等組成物A。
2.市販TRILEPTAL(登録商標)600mg錠剤。
【0204】
試験は、57人の健常者に単回用量600mgのオキシカルバゼピンを投与することにより行なった。投与の間には最短6日間の休薬期間を設けた。薬物動態分析のためのサンプルを、所定の時間間隔をおいて採取した。血漿中のオキシカルバゼピン含有率を各サンプルについて測定した。
【0205】
試験製剤と対照製剤との間のCmax及びAUCの比を以下の表に示す。
【0206】
【表42】

【0207】
以上の結果から、試験された組成物の対照製品に対するCmax及びAUC(0−inf)の比が80%から125%の間にあることが分かる。よって、本発明に記載する組成物が、対照であるTRILEPTAL(登録商標)と同様の相対生物学的利用能データを示すことは明らかである。
【0208】
実施例20:
40μ篩上に保持されるオキシカルバゼピン量を決定するための湿式篩分け法
【0209】
1.目的
40μ篩上に保持されるオキシカルバゼピン量の測定。
【0210】
2.装置
* 篩分け装置:Fritsch;振動式篩シェーカー「analysette 3」
* 篩:40μm
【0211】
3.方法パラメーター
篩分け時間:3分
振幅:2倍
間隔:5秒
【0212】
4.方法の概要:
オキシカルバゼピンを秤量し、篩上に注ぎ入れた。上述のパラメーターの下で篩シェーカーを作動させ、水を流し始めた。篩分けプロセスの終了後、篩(残存するオキシカルバゼピンを含有する)をオーブンで乾燥し、40μm篩上に保持されたオキシカルバゼピン量を秤量した。
【図面の簡単な説明】
【0213】
【図1】胃腸内を模した条件下における、(実施例1及び2に従って調製された)オキシカルバゼピン錠剤の溶出プロファイルを、TRILEPTAL(登録商標)生物学的同等製剤と対比して示す。
【図2】胃腸内を模した条件下における、(実施例3及び4に従って調製された)オキシカルバゼピン錠剤の溶出プロファイルを、TRILEPTAL(登録商標)生物学的同等製剤及び(実施例7に従って調製された)生物学的非同等製剤と対比して示す。
【図3】胃腸内を模した条件下における、(実施例5及び6に従って調製された)オキシカルバゼピン錠剤の溶出プロファイルを、TRILEPTAL(登録商標)生物学的同等製剤及び(実施例7に従って調製された)生物学的非同等製剤と対比して示す。
【図4】胃腸内を模した条件下における、(実施例8及び9に従って調製された)オキシカルバゼピン錠剤の溶出プロファイルを、TRILEPTAL(登録商標)生物学的同等製剤と対比して示す。
【図5】胃腸内を模した条件下における、(実施例10及び11に従って調製された)オキシカルバゼピン錠剤の溶出プロファイルを、TRILEPTAL(登録商標)生物学的同等製剤及び(実施例7に従って調製された)生物学的非同等製剤と対比して示す。
【図6】胃腸内を模した条件下における、(実施例12及び13に従って調製された)オキシカルバゼピン錠剤の溶出プロファイルを、TRILEPTAL(登録商標)生物学的同等製剤及び(実施例7に従って調製された)生物学的非同等製剤と対比して示す。
【図7】(実施例15及び16に従って調製された)オキシカルバゼピン錠剤の溶出プロファイルを、TRILEPTAL(登録商標)生物学的同等製剤及び生物学的非同等製剤と対比して示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)オキシカルバゼピン(oxcarbazepine)と、b)少なくとも1種の医薬賦形剤とを含んでなる医薬組成物であって、前記組成物中のオキシカルバゼピンがブロードな粒度分布を有する医薬組成物。
【請求項2】
前記ブロードな粒度分布において、d(0.5)値とd(0.95)値との差が38ミクロンよりも大きく、前記d(0.5)値が35ミクロン以下である、請求項1記載の医薬組成物。
【請求項3】
前記ブロードな粒度分布が、12から35までの範囲、及び、0.01μから2.0μまでの範囲から選択されるd(0.5)の値を有することを特徴とするとともに、40ミクロンの篩上における最小残分(minimum residue)が5%よりも多い、請求項1記載の医薬組成物。
【請求項4】
前記オキシカルバゼピンの中央粒度(median particle size)が2ミクロン以下であり、40ミクロンの篩上における最小残分が5%よりも多い、請求項1記載の医薬組成物。
【請求項5】
前記オキシカルバゼピン集団のd(0.5)が13ミクロン以上であり、40ミクロンの篩上における最小残分が5%よりも多い、請求項1記載の医薬組成物。
【請求項6】
前記オキシカルバゼピン集団のd(0.5)が2から12ミクロンであり、40ミクロンの篩上における最小残分が5%よりも多い、請求項1記載の医薬組成物。
【請求項7】
前記ブロードな粒度分布が、多峰性(multi-modal)オキシカルバゼピン粒度分布を含んでなる、先行する請求項の何れか一項に記載の医薬組成物。
【請求項8】
前記多峰性オキシカルバゼピン粒度分布が、未粉砕の(unground)オキシカルバゼピン粒子集団を1種含んでなる、請求項7記載の医薬組成物。
【請求項9】
前記多峰性オキシカルバゼピン粒度分布が、d(0.5)が約13ミクロン以上の粒子集団を少なくとも1種含んでなる、請求項7記載の医薬組成物。
【請求項10】
前記少なくとも1種の粒子集団のd(0.5)が約40ミクロン以上である、請求項9記載の医薬組成物。
【請求項11】
前記少なくとも1種の粒子集団のd(0.5)が約60ミクロン以上である、請求項10記載の医薬組成物。
【請求項12】
前記多峰性オキシカルバゼピン粒度分布が、d(0.5)値が13ミクロン以上のオキシカルバゼピン粒子集団、未粉砕粒子集団、40ミクロン篩を通過しない粒子、及びそれらの混合物からなる群より選択される、少なくとも1種の大オキシカルバゼピン粒子集団を含んでなるとともに、前記医薬組成物中のオキシカルバゼピン総量に対して、大オキシカルバゼピン粒子集団を約6重量%以上含んでなる、請求項7から11の何れか一項に記載の医薬組成物。
【請求項13】
前記医薬組成物中のオキシカルバゼピン総量に対して、大オキシカルバゼピン粒子集団を約10重量%以上含んでなる、請求項12記載の医薬組成物。
【請求項14】
前記医薬組成物中のオキシカルバゼピン総量に対して、大オキシカルバゼピン粒子集団を約20重量%以上含んでなる、請求項13記載の医薬組成物。
【請求項15】
前記医薬組成物中のオキシカルバゼピン総量に対して、大オキシカルバゼピン粒子集団を約40重量%以上含んでなる、請求項14記載の医薬組成物。
【請求項16】
前記多峰性オキシカルバゼピン粒度分布が、d(0.5)が約6ミクロン未満の小オキシカルバゼピン粒子集団を少なくとも1種含んでなる、請求項7記載の医薬組成物。
【請求項17】
前記小オキシカルバゼピン粒子集団のd(0.5)が約3ミクロン未満である、請求項16記載の医薬組成物。
【請求項18】
前記小オキシカルバゼピン粒子集団のd(0.5)が約2ミクロン未満である、請求項17記載の医薬組成物。
【請求項19】
前記医薬組成物中のオキシカルバゼピン総量に対して、小オキシカルバゼピン粒子を約5%以上含んでなる、請求項16から18の何れか一項に記載の医薬組成物。
【請求項20】
前記医薬組成物中のオキシカルバゼピン総量に対して、小オキシカルバゼピン粒子を約10%以上含んでなる、請求項19記載の医薬組成物。
【請求項21】
前記医薬組成物中のオキシカルバゼピン総量に対して、小オキシカルバゼピン粒子を約20%以上含んでなる、請求項20記載の医薬組成物。
【請求項22】
前記医薬組成物中のオキシカルバゼピン総量に対して、小オキシカルバゼピン粒子を約80%以上含んでなる、請求項21記載の医薬組成物。
【請求項23】
d(0.5)値が13ミクロン以上のオキシカルバゼピン粒子集団、未粉砕粒子集団、40ミクロン篩を通過しない粒子、及びそれらの混合物からなる群より選択される、少なくとも1種の大オキシカルバゼピン粒子集団を更に含んでなるとともに、前記医薬組成物中のオキシカルバゼピン総重量に対して、約51重量%から約95重量%の大オキシカルバゼピン粒子と、約5重量%から約49重量%の小オキシカルバゼピン粒子とを含んでなる、請求項16から18の何れか一項に記載の医薬組成物。
【請求項24】
前記医薬組成物中のオキシカルバゼピン総重量に対し、前記小オキシカルバゼピン粒子集団が約10重量%から約45重量%までの範囲であり、前記大オキシカルバゼピン粒子集団が約55重量%から約90重量%までの範囲である、請求項23記載の医薬組成物。
【請求項25】
d(0.5)値が13ミクロン以上のオキシカルバゼピン粒子集団、未粉砕粒子集団、40ミクロン篩を通過しない粒子、及びそれらの混合物からなる群より選択される、少なくとも1種の大オキシカルバゼピン粒子集団を更に含んでなるとともに、前記医薬組成物中のオキシカルバゼピン総重量に対して、約6重量%から約40重量%の大オキシカルバゼピン粒子と、約60重量%から約94重量%の小オキシカルバゼピン粒子とを含んでなる、請求項16から18の何れか一項に記載の医薬組成物。
【請求項26】
前記医薬組成物中のオキシカルバゼピン総重量に対し、前記小オキシカルバゼピン粒子集団が約65重量%から約90重量%までの範囲であり、前記大オキシカルバゼピン粒子集団が約10重量%から約35重量%までの範囲である、請求項25記載の医薬組成物。
【請求項27】
親水性ポリマーを更に含んでなるとともに、前記親水性ポリマーのオキシカルバゼピンに対する重量比が、約1:3から約1:25までの範囲である、先行する請求項の何れか一項に記載の医薬組成物。
【請求項28】
前記親水性ポリマーがヒドロキシプロピルメチルセルロースである、請求項27記載の医薬組成物。
【請求項29】
前記親水性ポリマーのオキシカルバゼピンに対する重量比が、約1:5から約1:22までの範囲である、請求項27及び28の何れか一項に記載の医薬組成物。
【請求項30】
前記親水性ポリマーのオキシカルバゼピンに対する重量比が、約1:9から約1:20までの範囲である、請求項29記載の医薬組成物。
【請求項31】
前記医薬組成物中の親水性ポリマーの総量が、120mg以下である、請求項27及び28の何れか一項に記載の医薬組成物。
【請求項32】
前記医薬組成物中の親水性ポリマーの総量が、約20mgから120mgまでの範囲である、請求項31記載の医薬組成物。
【請求項33】
前記医薬組成物中の親水性ポリマーの総量が、約20mgから50mgまでの範囲である、請求項32記載の医薬組成物。
【請求項34】
前記医薬組成物中の親水性ポリマーの総量が、約30mgから45mgまでの範囲である、請求項33記載の医薬組成物。
【請求項35】
前記医薬組成物中の親水性ポリマーの量が、前記組成物の重量に対して約1重量%から約15重量%までの範囲である、請求項27及び28の何れか一項に記載の医薬組成物。
【請求項36】
前記医薬組成物中の親水性ポリマーの量が、前記組成物の重量に対して約2重量%から約12重量%までの範囲である、請求項35記載の医薬組成物。
【請求項37】
前記医薬組成物中の親水性ポリマーの量が、前記組成物の重量に対して約2重量%から約4重量%までの範囲である、請求項36記載の医薬組成物。
【請求項38】
前記多峰性粒度分布が、少なくとも1種の小粒子集団を含んでなる、請求項27及び37の何れか一項に記載の医薬組成物。
【請求項39】
前記小粒子集団が噴霧造粒されてなる、請求項38記載の医薬組成物。
【請求項40】
前記親水性ポリマーの前記小オキシカルバゼピン粒子集団に対する重量比が約1:3から約1:20までの範囲である、請求項27から39の何れか一項に記載の医薬組成物。
【請求項41】
前記親水性ポリマーの前記小オキシカルバゼピン粒子集団に対する重量比が約1:5から約1:18までの範囲である、請求項40記載の医薬組成物。
【請求項42】
前記親水性ポリマーの前記小オキシカルバゼピン粒子集団に対する重量比が約1:9から約1:17までの範囲である、請求項41記載の医薬組成物。
【請求項43】
前記組成物がTRILEPTAL(登録商標)の生物学的同等物である、先行する請求項の何れかに記載の医薬組成物。
【請求項44】
多峰性オキシカルバゼピン粒度分布を有するオキシカルバゼピンを含んでなる医薬組成物を調製する方法であって、
a)粒度分布の異なる2種以上のオキシカルバゼピン粒子集団を含んでなるオキシカルバゼピンを準備する工程、
b)少なくとも1種の賦形剤を準備する工程、
c)当該オキシカルバゼピン集団のうち少なくとも1種を含んでなる少なくとも1種の粒状物を形成する工程、並びに、
d)前記造粒オキシカルバゼピンと、造粒していないオキシカルバゼピンの残分及び少なくとも1種の賦形剤とを混ぜ合わせる工程
を含んでなる方法。
【請求項45】
粒度分布の異なる前記2種以上のオキシカルバゼピン粒子集団のうち、少なくとも1種が別個に造粒される、請求項44記載の方法。
【請求項46】
粒度分布の異なる前記2種以上のオキシカルバゼピン粒子集団が、小オキシカルバゼピン粒子集団を形成するオキシカルバゼピン総量の一部を製粉することにより準備される、請求項45記載の方法。
【請求項47】
前記オキシカルバゼピン総量の一部を解砕する(de-agglomerating)工程を更に含んでなる、請求項46記載の方法。
【請求項48】
前記オキシカルバゼピン総量の一部を製粉することにより解砕を行なう、請求項47記載の方法。
【請求項49】
分散液中で高圧破砕機を用いて製粉を行なう、請求項46から48の何れか一項に記載の方法。
【請求項50】
前記オキシカルバゼピン総量の残分に対して、前記残分が大粒度分布を保持するような製粉のみを行なう、請求項46から49の何れか一項に記載の方法。
【請求項51】
低粉砕圧のエアジェットミル(air jet mill)を用いた処理、及び、低回転速度の破砕機を用いた分散液中処理からなる群より選択される製粉処理により製粉を行なう、請求項50記載の方法。
【請求項52】
d)前記粒状物を1種又は2種以上の賦形剤と混合し、錠剤化用混合物を形成する工程、及び、
e)前記錠剤化用混合物を加圧成形して錠剤とする工程
を更に含んでなる、請求項44から51の何れか一項に記載の方法。
【請求項53】
a)噴霧造粒オキシカルバゼピンと、b)少なくとも1種の医薬賦形剤とを含んでなる医薬組成物。
【請求項54】
オキシカルバゼピンのd(0.5)が2ミクロン以下であり、40ミクロンの篩上における最小残分が5%超である、請求項53記載の医薬組成物。
【請求項55】
オキシカルバゼピンのd(0.5)が13ミクロン以上であり、40ミクロンの篩上における最小残分が5%超である、請求項53記載の医薬組成物。
【請求項56】
オキシカルバゼピンのd(0.5)粒度が2から12ミクロンであり、40ミクロンの篩上における最小残分が5%超である、請求項53記載の医薬組成物。
【請求項57】
前記組成物中のオキシカルバゼピンが、粒度の異なる少なくとも2種の集団を有し、前記オキシカルバゼピン粒子集団のうち少なくとも1種が、噴霧造粒オキシカルバゼピンを含んでなる、請求項53から56の何れか一項に記載の医薬組成物。
【請求項58】
大オキシカルバゼピン粒子集団が噴霧造粒されてなる、請求項57記載の医薬組成物。
【請求項59】
前記大オキシカルバゼピン粒子集団が、d(0.1)が約21ミクロンであり、d(0.5)が約71ミクロンであり、d(0.9)が約248ミクロンであるオキシカルバゼピン粒子集団、最小限の粉砕(minimal grinding)を施したオキシカルバゼピン集団、未粉砕のオキシカルバゼピン集団、d(0.5)値が13ミクロンより大きい粒子を有するオキシカルバゼピン集団、及び40ミクロン篩を通過しないオキシカルバゼピン粒子集団、並びにそれらの混合物からなる群より選択される、請求項58記載の医薬組成物。
【請求項60】
前記大オキシカルバゼピン粒子集団の量が、オキシカルバゼピン総量の約6重量%以上である、請求項57から59の何れか一項に記載の医薬組成物。
【請求項61】
前記大オキシカルバゼピン粒子集団の量が、オキシカルバゼピン総量の約10重量%以上である、請求項60記載の医薬組成物。
【請求項62】
前記大オキシカルバゼピン粒子集団の量が、オキシカルバゼピン総量の約20重量%以上である、請求項61記載の医薬組成物。
【請求項63】
小オキシカルバゼピン粒子集団が噴霧造粒されてなる、請求項57記載の医薬組成物。
【請求項64】
前記小オキシカルバゼピン粒子集団が、d(0.5)が約6ミクロン未満のオキシカルバゼピン粒子集団である、請求項63記載の医薬組成物。
【請求項65】
小オキシカルバゼピン粒子集団の量が、オキシカルバゼピン総量の約5重量%以上である、請求項63及び64の何れか一項に記載の医薬組成物。
【請求項66】
小オキシカルバゼピン粒子集団の量が、オキシカルバゼピン総量の約20重量%以上である、請求項65記載の医薬組成物。
【請求項67】
小オキシカルバゼピン粒子集団の量が、オキシカルバゼピン総量の約80重量%以上である、請求項66記載の医薬組成物。
【請求項68】
前記噴霧造粒オキシカルバゼピン中のオキシカルバゼピン粒度分布が、多峰性粒度分布を含んでなる、請求項57から67の何れか一項に記載の医薬組成物。
【請求項69】
前記少なくとも1種の賦形剤が、ヒプロメロースを含んでなる、請求項57から68の何れか一項に記載の医薬組成物。
【請求項70】
粒度が異なる少なくとも2種のオキシカルバゼピン集団を含んでなり、少なくとも1種のオキシカルバゼピン粒子集団が噴霧造粒されてなる、粒状組成物を調製する方法であって、
a)粒度分布が異なる2種以上のオキシカルバゼピン粒子集団を含んでなるオキシカルバゼピンを準備する工程、
b)少なくとも1種のオキシカルバゼピン粒子集団の分散物を調製し、少なくとも1種のオキシカルバゼピン分散物を形成する工程、
c)前記オキシカルバゼピン分散物を1種又は2種以上の賦形剤上に噴霧し、少なくとも1種の噴霧造粒物を形成する工程、及び、
d)少なくとも1種の前記噴霧造粒オキシカルバゼピン粒子集団を、噴霧造粒されていない残りのオキシカルバゼピン粒子集団と混合し、前記組成物中のオキシカルバゼピン総量からなるオキシカルバゼピン混合物をともに形成する工程
を含んでなる方法。
【請求項71】
前記オキシカルバゼピン粒子が、d(0.5)が2ミクロン未満であり、前記オキシカルバゼピン粒子の5%超が40ミクロンスクリーン上に保持されるような粒度分布により特徴付けられる、請求項70記載の方法。
【請求項72】
前記オキシカルバゼピン粒子が、d(0.5)が12ミクロンより大きく、前記オキシカルバゼピン粒子の5%超が40ミクロンスクリーン上に保持されるような粒度分布により特徴付けられる、請求項70記載の方法。
【請求項73】
噴霧造粒を流動床装置で行なう、請求項70から72の何れか一項に記載の方法。
【請求項74】
前記オキシカルバゼピン分散物の噴霧を、上方噴霧(top spray)、下方噴霧(bottom spray)、及び接線/粉末噴霧(tangential/powder spray)からなる群より選択される噴霧法を用いて行なう、請求項70から73の何れか一項に記載の方法。
【請求項75】
前記噴霧法が上方噴霧法である、請求項74記載の方法。
【請求項76】
e)前記粒状組成物を1種又は2種以上の賦形剤と混合し、錠剤化用混合物を形成する工程、
f)前記錠剤化用混合物を加圧成形して錠剤とする工程、及び、任意により
g)前記錠剤を被覆する工程
を更に含んでなる、請求項70から75の何れか一項に記載の方法。
【請求項77】
粒度の異なる少なくとも2種のオキシカルバゼピン集団を含んでなり、少なくとも1種のオキシカルバゼピン粒子集団が噴霧造粒されてなる、粒状組成物を調製する方法であって、
a)粒度分布が異なる2種以上のオキシカルバゼピン粒子集団を含んでなるオキシカルバゼピンを準備する工程、
b)少なくとも1種のオキシカルバゼピン粒子集団の分散物を調製し、少なくとも1種のオキシカルバゼピン分散物を形成する工程、
c)前記オキシカルバゼピン分散物を、1種又は2種以上の賦形剤、及び、残りのオキシカルバゼピン集団のうち少なくとも1種の上に噴霧し、少なくとも2種の集団を含有するオキシカルバゼピン噴霧造粒物を形成する工程を含んでなる方法。
【請求項78】
e)前記粒状組成物を1種又は2種以上の賦形剤と混合し、錠剤化用混合物を形成する工程、
f)前記錠剤化用混合物を加圧成形して錠剤とする工程、及び、任意により
g)前記錠剤を加圧成形する工程
を更に含んでなる、請求項77記載の方法。
【請求項79】
胃腸内環境を模した水性緩衝液中の溶出プロファイルにおいて、
a)溶出装置における測定35分後に、オキシカルバゼピン総量の約30%以下が前記組成物から溶出し、
b)溶出装置における測定50分後に、オキシカルバゼピン総量の約30%から約50%が前記組成物から溶出し、
c)溶出装置における測定60分後に、オキシカルバゼピン総量の約30%から約50%が前記組成物から溶出する、請求項1から43及び54から69の何れか一項に記載の医薬組成物。
【請求項80】
20%超のオキシカルバゼピンが35分間で前記組成物から溶出する、請求項79記載の医薬組成物。
【請求項81】
40%以上のオキシカルバゼピンが約50分間で前記組成物から溶出する、請求項79記載の医薬組成物。
【請求項82】
前記の胃腸内環境を模した水性緩衝液が、
a)0から20分までの溶出期間においては、0.05N HCl及び2g/l NaClを、
b)20から35分までの溶出期間においては、0.133%のレシチンを含むpH6のリン酸緩衝液を、並びに、
c)35から65分までの溶出期間においては、0.16%のレシチンを含むpH6のリン酸緩衝液を含んでなる、請求項79から81の何れか一項に記載の医薬組成物。
【請求項83】
胃腸内環境を模した水性緩衝液中の溶出プロファイルにおいて、
a)溶出装置における測定35分後に、オキシカルバゼピン総量の約30%以下が前記組成物から溶出し、
b)溶出装置における測定50分後に、オキシカルバゼピン総量の約30%から約50%が前記組成物から溶出し、
c)溶出装置における測定60分後に、オキシカルバゼピン総量の約30%から約50%が前記組成物から溶出する、請求項5記載の医薬組成物。
【請求項84】
20%超のオキシカルバゼピンが35分間で前記組成物から溶出する、請求項83記載の医薬組成物。
【請求項85】
40%以上のオキシカルバゼピンが約50分間で前記組成物から溶出する、請求項83記載の医薬組成物。
【請求項86】
前記の胃腸内環境を模した水性緩衝液が、
a)0から20分までの溶出期間においては、0.05N HCl及び2g/l NaClを、
b)20から35分までの溶出期間においては、0.133%のレシチンを含むpH6のリン酸緩衝液を、並びに、
c)35から65分までの溶出期間においては、0.16%のレシチンを含むpH6のリン酸緩衝液を含んでなる、請求項83から85の何れか一項に記載の医薬組成物。
【請求項87】
胃腸内環境を模した媒質中の溶出プロファイルにおいて、30%以上のオキシカルバゼピン総量が前記組成物から60分以内に溶出する、請求項1から43、53から69、及び79から86の何れか一項に記載の医薬組成物。
【請求項88】
胃腸内環境を模した媒質中の溶出プロファイルにおいて、40%以上のオキシカルバゼピン総量が前記組成物から60分以内に溶出する、請求項87記載の医薬組成物。
【請求項89】
胃腸内環境を模した媒質中の溶出プロファイルにおいて、オキシカルバゼピン総量の30%以上が前記組成物から50分以内に溶出する、請求項1から43、53から69、及び79から88の何れか一項に記載の医薬組成物。
【請求項90】
胃腸内環境を模した媒質中の溶出プロファイルにおいて、オキシカルバゼピン総量の30%以上が前記組成物から35分以内に溶出する、請求項89記載の医薬組成物。
【請求項91】
オキシカルバゼピンの粒度分布が、約13ミクロンから約30ミクロンまでの間のd(0.5)値を有するとともに、胃腸内環境を模した装置における前記組成物の溶出速度が、オキシカルバゼピンの約30%から約50%が50分間以内に前記組成物から溶出するような速度である、請求項53から69の何れか一項に記載の医薬組成物。
【請求項92】
前記オキシカルバゼピンの約40%以上が前記組成物から50分以内に溶出する、請求項91記載の医薬組成物。
【請求項93】
崩壊時間が約30分未満である、請求項27から43及び53から69の何れか一項に記載の医薬組成物。
【請求項94】
崩壊時間が約20分未満である、請求項93記載の医薬組成物。
【請求項95】
崩壊時間が約15分未満である、請求項94記載の医薬組成物。
【請求項96】
癲癇発作を患う患者を治療する方法であって、請求項1から43、53から69、及び79から95のうち何れか一項の医薬組成物中のオキシカルバゼピンを治療上有効な量、それを必要とする患者に投与する工程を含んでなる方法。
【請求項97】
パーキンソン病を患う患者を治療する方法であって、請求項1から43、53から69、及び79から95のうち何れか一項の医薬組成物中のオキシカルバゼピンを治療上有効な量、それを必要とする患者に投与する工程を含んでなる方法。
【請求項98】
オキシカルバゼピンに代えてカルバゼピンを用いる、先行する請求項のうち何れか一項の医薬組成物、調製する方法、組成物、又は治療の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2008−540346(P2008−540346A)
【公表日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−509257(P2008−509257)
【出願日】平成19年1月31日(2007.1.31)
【国際出願番号】PCT/US2007/002882
【国際公開番号】WO2007/089926
【国際公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【出願人】(501079705)テバ ファーマシューティカル インダストリーズ リミティド (283)
【Fターム(参考)】