説明

オキシフッ化物蛍光体および固体照明用途のためのオキシフッ化物蛍光体を含む白色発光ダイオード

固体照明用途において発光ダイオード(LED)と共に用いる青−緑発光Ce3+活性化オキシフッ化物蛍光体。青−緑発光Ce3+活性化オキシフッ化物蛍光体は、(Sr1−x−yAE(Al1−z)OF:Ce3+として表され、ここで、0<x≦0.3、0≦y≦1であり、AEは、例えば、Mg、CaおよびBaなど、周期表のアルカリ性土類金属から選択される少なくとも1つの元素を含み、0≦z≦1であり、Tは、Al、B、Ga、およびInから選択される少なくとも1つの原子を含む。青−緑発光Ce3+活性化オキシフッ化物蛍光体は、別の蛍光体と組み合わされて、白色光を生成し得る。具体的には、本発明は、青−緑発光Ce+3活性化オキシフッ化物蛍光体を近(UV)LEDおよび赤蛍光体か、または近UV LEDおよび赤−黄蛍光体のいずれかと組み合せることによって白色光を生成することを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の参照)
本出願は、米国特許法第119条(e)の下で、2009年6月16日に出願され、Won−Bin Im、Ram SeshadriおよびSteven P.DenBaarsによる、表題が「OXYFLUORIDE PHOSPHORS AND WHITE LIGHT EMITTING DIODES INCLUDING THE OXYFLUORIDE PHOSPHOR FOR SOLID−STATE LIGHTING APPLICATIONS」であり、代理人整理番号が30794.316−US−P1(2009−704−1)である、同時係属中の同一出願人に譲渡された米国仮特許出願第61/187,411号の利益を主張し、この仮特許出願は、参照によって本明細書に援用される。
【0002】
本出願は、次の同時係属中の同一出願人に譲渡された米国特許出願に関連する。
【0003】
米国仮出願第61/256,830号であって、2009年10月30日に出願され、Won−Bin Im、Ram Seshadri、およびSteven P.DenBaarsによる、表題が「SOLID SOLUTION PHOSPHORS BASED ON OXYFLUORIDE AND WHITE LIGHT EMITTING DIODES INCLUDING THE PHOSPHORS FOR SOLID STATE WHITE LIGHTING APPLICATIONS」であり、代理人整理番号が30794.327−US−P1(2010−022)である、米国仮出願第61/256,830号、ならびに、
米国出願第12/394,492号であって、2009年2月27日に出願され、Won−Bin Im、Ram SeshadriおよびSteven P.DenBaarsによる、表題が「YELLOW EMITTING PHOSPHORS BASED ON Ce3+−DOPED ALUMINATE AND VIA SOLID SOLUTION FOR SOLID−STATE LIGHTING APPLICATIONS」であり、代理人整理番号が30794.262−US−U1(2008−434−1)である、米国実用出願第12/394,492号は、米国特許法第119条(e)の下で、米国仮特許出願第61/067,297号であって、2008年2月27日に出願され、Won−Bin Im、Ram SeshadriおよびSteven P.DenBaarsによる、表題が「YELLOW EMITTING CE3+−DOPED ALUMINATE PHOSPHOR AND WHITE LIGHT EMITTING DIODES INCLUDING Ce3+−DOPED ALUMINATE PHOSPHOR FOR SOLID−STATE LIGHTING APPLICATIONS」であり、代理人整理番号が30794.262−US−P1(2008−434−1)である、米国仮特許出願第61/067,297号と、米国仮特許出願第61/074,281号であって、2008年6月20日に出願され、Won−Bin Im、Ram SeshadriおよびSteven P.DenBaarsによる、表題が「NEW YELLOW−EMITTING PHOSPHORS VIA SOLID SOLUTION AND WHITE LIGHT EMITTING DIODES INCLUDING NEW YELLOW−EMITTING PHOSPHOR FOR SOLID−STATE LIGHTING APPLICATIONS」であり、代理人整理番号が30794.276−US−P1(2008−540−1)である、米国仮特許出願第61/074,281号の利益を主張する。
【0004】
これらの仮特許出願は、参照によって本明細書に援用される。
【0005】
(発明の背景)
(1.発明の分野)
本発明は、オキシフッ化物蛍光体、および固体照明用途のためのオキシフッ化物蛍光体を含む白色発光ダイオード(LED)に関する。
【背景技術】
【0006】
(2.関連技術の説明)
(注:本出願は、例えば[x]などの角括弧内の1つ以上の参照番号によって明細書の全体にわたって示されるような多数の異なる刊行物を参照する。これらの参照番号に従って配列されたこれらの異なる刊行物のリストは、下記に「参考文献」という表題の欄に見出され得る。これらの刊行物の各々は、参照によって本明細書に援用される)。
【0007】
LEDから白色光を生成するために、基本的に2つの方策がある。第1のアプローチは、LEDチップからの異なる赤、緑、および青の成分を混合することであり、第2のアプローチは、蛍光体を用いて青LEDまたは紫外(UV)LEDからの発光をより長い波長にダウンコンバートすることである。
【0008】
白色光を生成するために、ほとんどの現在市販のLEDランプは、コスト、効率および製作の容易さの点におけるその優位性のために、第2のアプローチ、すなわち青InGaNダイオードによって励起される黄発光YAG:Ce3+蛍光体を用いることを採用している[1〜3:非特許文献1〜3]。第2のアプローチに関するさらなる情報は、特許文献1[4]に見出され得、この国際特許出願は、参照によって本明細書に援用される。
【0009】
しかしながら、YAG:Ce3+蛍光体は赤スペクトル領域において比較的弱い発光強度を有し、その結果、良好な演色評価数(CRI)を得ることが難しい[5〜7]。さらに、YAG:Ce3+蛍光体からの出力色は、温度および電流に強く依存し、このことは、高出力LEDにおいて重大な問題となる[8]。
【0010】
これらの欠点を克服し、知的財産に関連する問題も避けるために、既存のシステムを最適化する努力と共に、青ポンピングLED用途のために新しい黄蛍光体を開発する[9〜12]努力が世界中で広範囲にわたりなされている。不運にも、YAG:Ce3+を除いて、長いUVまたは青の励起源と共に用いるための蛍光体材料はほとんどない。現在まで、YAG:Ce3+蛍光体に取って代わる競合する黄蛍光体は見つかっていない。
【0011】
従って、当技術分野において、容易にかつ低コストで製造され得、より良い熱安定性を有する、固体照明のための新しい蛍光体、特に、高効率で赤領域において演色特性の改善された蛍光体の開発に対するニーズがある。本発明は、そのニーズを満たす。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】国際公開98/05078号
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】D.Haranath、H.Chander、P.Sharma、S.Singh、Appl.Phys.Lett.2006年、89、173118
【非特許文献2】C.−H.Lu、R.Jagannathan、Appl.Phys.Lett.2002年、80、3608
【非特許文献3】R.Kasuya、A.Kawano、T.Isobe、H.Kuma、J.Katano、Appl.Phys.Lett.2007年、91、111916
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0014】
(発明の概要)
上記に説明された先行技術における制限を克服し、本明細書を読み理解すると明らかとなる他の制限を克服するために、本発明は、固体照明用途においてLEDと共に用いる蛍光体であって、(例えば、1つ以上の追加の蛍光体と組み合せて)蛍光体およびLEDは白色光を発する、蛍光体、ならびに蛍光体を作る方法を開示する。
【0015】
特に、蛍光体は、青−緑発光Ce3+活性化オキシフッ化物蛍光体を備え、青−緑発光Ce3+活性化オキシフッ化物蛍光体は、
(Sr1−x−yAE(Al1−z)OF:Ce3+
として表され、0<x≦0.3、0≦y≦1であり、AEは、例えば、Mg、CaおよびBaなど、周期表のアルカリ性土類金属から選択される少なくとも1つの元素を含み、0≦z≦1であり、Tは、Al、B、Ga、およびInから選択される少なくとも1つの原子を含む。
【0016】
本発明は、固体照明用途のための装置を開示し、その装置は、光を発するLEDと、LEDに光学的に連結される蛍光体とを備え、蛍光体は、Ce3+活性化オキシフッ化物蛍光体を備えている。
【0017】
青−緑発光Ce3+活性化オキシフッ化物蛍光体は、別の蛍光体と組み合わされて、白色光を生成し得る。具体的には、本発明は、青−緑発光Ce+3活性化オキシフッ化物蛍光体を近UV LEDおよび赤蛍光体か、または近UV LEDおよび赤−黄蛍光体のいずれかと組み合せることによって白色光を生成することを提供する。従って、蛍光体は、第2の蛍光体と混合されて、LEDに光学的に連結される蛍光体混合物を作る第1の蛍光体を含み得、蛍光体混合物は、LEDから発せられる光を吸収し、その光に応答して白色光を発する。LEDは近UV波長で光を発し得、第1の蛍光体は青−緑光蛍光体であり得、第2の蛍光体は赤蛍光体であり得る。LEDは近UV波長で光を発し得、第1の蛍光体は青−緑蛍光体であり得、第2の蛍光体は黄−赤蛍光体であり得る。
【0018】
蛍光体は、増感体および電荷補償器として吸収イオンを含み得、増感体および電荷補償器は、励起放射を吸収し、励起放射の波長より長い波長を有する光を発する蛍光体における活性剤に励起放射を転送する。
【0019】
本発明は、蛍光体組成物であって、Srと、AEと、Alと、Fとを含み、活性剤としてCe3+が添加され、紫光、紫外光または青光で励起されるかまたは光学的にポンピングされた場合蛍光体が量子効率で青−緑光を発するように、構造および組成を有し、量子効率は、紫光、紫外光または青光で励起されたYAG:Ce3+蛍光体の量子効率より大きい、蛍光体組成物をさらに開示する。
【0020】
蛍光体の構造および組成は、図5に示されるようなX線回折(XRD)スペクトルを生成し得る。蛍光体の構造および組成は、図3aに示されるとおりであり得る。蛍光体の発光および励起のスペクトルは、図6、図7、または図8に示されるとおりであり得る。
【0021】
駆動電流に応答してある波長で光の頂点強度を発するLEDによって励起されるかまたは光学的にポンピングされた場合、蛍光体によって発せられるフォトルミネセンス(PL)強度は、駆動電流に応答して波長を有する光を発するLEDによって励起されるYAG:Ce蛍光体によって発せられるPL強度よりも大きい場合がある。
【0022】
駆動電流に応答してある波長で頂点強度の光を発するLEDによって励起された場合、蛍光体の発光効率は、少なくとも10 lm/Wであり得る。
【0023】
蛍光体は、(Sr1−x−yAE(Al1−z)OF:Ce3+として表されるCe3+活性化オキシフッ化物蛍光体を含み得、ここで、x、y、およびAEは、蛍光体が、紫外または青の放射によって励起された場合、青、青−緑、または緑の波長で頂点強度を有する光を発するようになり得る。
【0024】
駆動電流に応答して第2の波長で第2の頂点強度の光を発するLEDによって励起された場合、蛍光体は、450〜450nmの第1の波長で第1の頂点強度を有する光を発し得、蛍光体は、半波高全副値(FWHM)を有する第1の波長を有する光を発し、FWHMは、駆動電流に応答して第2の波長で第2の頂点強度の光を発するLEDによって励起されるYAG:Ge3+蛍光体によって発せられる光のFWHMより広い。
【0025】
上記に説明されるCe3+活性化オキシフッ化物蛍光体を作る方法は、理論量の、アルカリ性土類金属(AE)の炭酸塩または酸化物、アルミナ(Al)、フッ素(SrF、BaF、CaF、NHF、CeF、AlFなど)、およびセリウム酸化物(CeO)を混合して、混合物を作るステップと、混合物を加熱(例えば、還元雰囲気において500℃〜1700℃の温度に加熱)して、Ce3+ベースのオキシフッ化物蛍光体を作るステップとを含む。さらにフラックス材料が混合物に追加され得る。
【0026】
ここで図面を参照すると、図面において、同じ参照番号は、全体を通して対応する部分を表す。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に従う白色LEDの構造の断面概略図である。
【図2】図2は、本発明の一実施形態に従ってCe3+活性化オキシフッ化物蛍光体を作るプロセスのステップを例示するフローチャートである。
【図3a】図3aは、SrAlOFの単位格子図である。
【図3b】図3bは、Sr1Oの多面体幾何学的形状を例示する。
【図3c】図3cは、Sr2Oの多面体幾何学的形状を例示する。
【図4】図4は、Sr2.975Ce0.025のフッ素マジックアングルスピニング(MAS)核磁気共鳴(NMR)スペクトルであり、パーツパーミリオン(ppm)での化学シフトおよびSrF不純物相およびSrAlOF相におけるフッ素(F)の相対量を示す。
【図5】図5(上のグラフ)は、Sr2.975AlOF:Ce3+0.025の粉末XRD(x線回折)プロフィールのリートベルト精製であり、XRD観察データ(円)に対する計算されたフィット(実線)を示し、ここで予期される反射位置が示され、インセットは、そこにおけるCeO多面体の配位幾何学的形状を示し、カウント対CuKα2θを度(°)でプロットし、図5(下のグラフ)は、計算されたフィットと、図5の上のグラフにおける計算されたフィットとXRDの観察されたデータとの差を示す。
【図6】図6は、室温でのSr2.975AlOF:Ce3+0.025の励起(λex)および発光(λem)のスペクトルを示すグラフであり、ナノメートル(nm)単位での励起および発光波長(λ)の関数としてPL強度(任意単位、a.u.)をプロットする。
【図7】図7は、室温でのSr1.975BaAlOF:Ce3+0.025のデータと比較した市販のYAG:Ce3+蛍光体の励起(λex)および発光(λem)のスペクトルを示すグラフであり、nm単位での励起λおよび発光λの関数としてa.u.単位でのPL強度をプロットする。
【図8】図8は、室温でのSr2.975−yCaAlOF:Ce3+0.025の発光スペクトルを示すグラフであり、ここで(a)y=0.5、(b)y=1.0、および(c)y=1.5であり、ナノメートル(nm)単位での発光波長(λ)の関数としてa.u.単位でのPL強度をプロットし、ここで励起波長は、λex=405nmである。
【図9】図9は、405nmの励起波長に対して、xの関数としてSr3−xCeAlOFから発光された光の相対PL強度をプロットする。
【図10】図10は、YAG:Ge3+(円)、Ce3+が添加された蛍光体を含むSrAlF(SAF:Ce3+)(正方形)、およびCe3+が添加された蛍光体を含むSrBaAlF(SBAF:Ce3+)(三角形)の熱消光を示し、摂氏度(°)単位で相対PL強度対温度をプロットする。
【発明を実施するための形態】
【0028】
(発明の詳細な説明)
好ましい実施形態の次の説明において、説明の一部を形成する添付の図面に参照がなされ、本発明が実施され得る特定の実施形態が例示として添付の図面に示される。本発明の範囲から逸脱することなく、他の実施形態が利用され得、構造的変更がなされ得ることは理解されるべきである。
【0029】
(概観)
本発明は、蛍光体、および蛍光体を含む白色発光ダイオード(LED)に関する。特に蛍光体は、青−緑発光Ce3+活性化オキシフッ化物蛍光体を含み、蛍光体は、
(Sr1−x−yAE(Al1−z)OF:Ce3+
で表され、ここで、0<x≦0.3、0≦y≦1であり、AEは、周期表のアルカリ性土類金属から選択される、例えばMg、CaおよびBaなどの少なくとも1つの元素を含み、0≦z≦1であり、Tは、Al、B、Ga、およびInから選択される少なくとも1つの原子を含む。
【0030】
この母体格子は、1999年および2003年にKennedyらによって最初に報告された[13、14]。しかしながら、本発明は、他の蛍光体および素子と組み合せて、固体照明用途にこの蛍光体を用いる最初である。具体的には、本発明は、近UV LED(波長(λmax)=395および405nmでピーク強度を発光する)および赤蛍光体か、または近UV LEDおよび赤−黄蛍光体のいずれかを本発明の青−緑発光Ce+3活性化オキシフッ化物蛍光体と組み合せることによって白色光を生成することを提供する。
【0031】
本発明に基づく蛍光体は、蛍光体が既存のGaNベースの長波長UV LEDによって励起された場合、420〜600nmの広帯域発光を示す。本発明の蛍光体を用いるLEDは、蛍光体が固体照明のためのLEDに、かつ/または液晶表示器(LCD)のバックライト源として適用された場合、白色照明のための様々な蛍光体との組み合わせによって高効率および良好な演色の特性を提供することが期待される。
【0032】
(技術的説明)
(装置)
図1は、本発明の一実施形態に従う、例えば様々な蛍光体の組み合わせを有するCe3+活性化オキシフッ化物蛍光体を用いる白色LEDなどの固体照明用途のための装置100の概略図である。
【0033】
装置100は、発光のためのLED102と、LED102に光学的に連結された蛍光体104とを含む。例えば、白色LED100は、Ce3+活性化オキシフッ化物蛍光体104を有する、395nm(または405nm)の主発光波長106を有する近UV LEDチップ102を用いることによって製作され得る。蛍光体104は、
(Sr1−x−yAE(Al1−z)OF:Ce3+
として表されるCe3+活性化オキシフッ化物蛍光体を含み得、
ここで、0<x≦0.3、0≦y≦1であり、AEは、アルカリ性土類金属から選択される少なくとも1つの元素を含み、0≦z≦1であり、Tは、Al、B、Ga、およびInから選択される少なくとも1つの原子を含む。
【0034】
白色光生成(白色光の発光108)のための白色光発光LED100を得るために、蛍光体104は、赤蛍光体(青−緑+赤)、黄−赤蛍光体(青−緑および黄−赤)、または黄色光110および赤蛍光体(青−緑+黄+赤)のいずれかと組み合わされる青−緑発光オキシフッ化物蛍光体であり得る。この目的のために、多数の異なる用途がある。
【0035】
(プロセス)
図2は、本発明の一実施形態に従ってCe3+活性化オキシフッ化物蛍光体を作るプロセスを例示するフローチャートである。(Sr1−x−yAE(Al1−z)OF:Ce3+蛍光体試料を合成するために、CaCO、CaF、SrCO、SrF、BaCO、BaF、Al、AlF、NHF、HBO、Ga、In、Sc、CeF、およびCeOは、理論量における原料として選択されかつ用いられる(ブロック200)。特に、アルカリ性土類金属(AE)の炭酸塩または酸化物、アルミナ(Al)およびセリウム酸化物(CeO)が用いられ得る。CaFと、SrFと、BaFと、NHFと、CeFと、AlFとを含む多くの材料がフッ素源として用いられ得る。
【0036】
原料は、次いで例えばメノウ乳ばちを用いて30分間混合され(混合ステップ、ブロック202)、混合物を形成し、その後、空気中において500℃〜700℃に加熱される(混合物加熱ステップまたはファイアリングステップ、ブロック204)。混合ステップ(ブロック202)は、BaFなどのフラックス材料を混合物に追加することをさらに含み得る。混合物の加熱は、還元雰囲気にあり得る。
【0037】
結果として生じる材料は、次いで第1の粉砕ステップを受け(ブロック206)、その後第2のファイアリングステップまたは加熱ステップを受け(ブロック208)、ここで材料は、500℃〜1700℃に加熱される。第2のファイアリングステップにおいて、還元雰囲気は、水素含有量が混合気体の体積に対して体積で2〜25%である窒素混合気体を供給することによって提供されることが好ましい。蛍光体の光学特性を高めるために、2回以上加熱して、高結晶性を提供することが可能である。
【0038】
第2の加熱ステップに続いて、結果として生じる材料は、第2の粉砕ステップを受ける(ブロック210)。
【0039】
プロセスの最終結果は、本発明の蛍光体粉末である(ブロック212)。結果として生じる蛍光体は、Srと、AEと、A1と、Fとを含み得、活性剤としてCe3+が添加され得、蛍光体が量子効率(QE)で青−緑光を発するように構造および組成を有し得、量子効率(QE)は、量子効率は、紫光、紫外光または青光によって励起された場合、蛍光体に入力される光子の合計数の、蛍光体を出る光子の合計数に対する比率であり、ここで、量子効率は、紫光、紫外光、または青光によって励起されたYAG:Ge3+蛍光体の量子効率より大きい。
【0040】
結果として生じる蛍光体粉末は、
(Sr1−x−yAE(Al1−z)OF:Ce3+
として表される、Ce3+活性化オキシフッ物蛍光体を含み得、
ここで、0<x≦0.3、0≦y≦1であり、AEは、アルカリ性土類金属から選択される少なくとも1つの元素を含み、0≦z≦1であり、Tは、Al、B、Ga、およびInから選択される少なくとも1つの原子を含む。アルカリ性土類金属から選択される元素は、Mgと、Caと、Baとを含む。
【0041】
蛍光体は、増感体および電荷補償器として吸収イオンを含み得、増感体および電荷補償器は、励起放射(exciting radiation)を吸収し、励起放射の波長より長い波長を有する光を発する蛍光体における活性剤に励起放射を転送する。
【0042】
所望に応じ、ステップが追加され得る。例えば、追加のステップは、ブロック214をさらに含み得、ブロック214は、ブロック212の蛍光体をLEDとおよびおそらく1つ以上の追加の蛍光体とも組み合せることを表す。
【0043】
ブロック212の蛍光体の量子効率は、例えばInGaN LEDからの例えば400nm(頂点強度の波長)の光によって励起された場合、81%、少なくとも90%または95%(100%に近い)より大きくなり得る。
【0044】
駆動電流(例えば、2〜30mA)または電圧バイアスに応答して波長(例えば405nm)で頂点強度の光を発する(例えば、INGaN量子井戸活性層を有する)LEDによって励起された場合、蛍光体によって発光されるPL強度は、同じ駆動電流に応答して同じ波長を有する光を発するLEDによって励起されるYAG:Ce蛍光体によって発光されるPL強度より大きくなり得る(例えば、少なくとも150%大きい)。
【0045】
駆動電流(例えば、2〜30mA)に応答してある波長(例えば405nm)で頂点強度の光を発するLEDによって励起された場合、蛍光体の発光効率は、少なくとも10 lm/W(または少なくとも25 ml/Wもしくは少なくとも30 ml/W)であり得る。例えば、30 lm/Wにおける青−緑発光は、20mA駆動電流による405nm波長でLEDによって励起が達成された。
【0046】
駆動電流に応答して500〜550nmの第2の波長で第2の頂点強度の光を発するLEDによって励起された場合、蛍光体は、450〜500nmの第1の波長で第1の頂点強度を有する光を発し得、蛍光体は、半波高全副値(FWHM)を有する第1の波長を有する光を発し、半波高全副値(FWHM)は、駆動電流に応答して第2の波長で第2の頂点強度の光を発するLEDによって励起されるYAG:Ge3+蛍光体によって発せられる光のFWHMより広い。
【0047】
x、y、およびAEは、スペクトルの紫外または青の部分(例えば、LEDから発光される、例えば350nm〜450nm)において頂点波長を有する放射によって励起される場合、蛍光体が、青、青−緑、または緑の波長(例えば450nm〜550nm)で頂点強度を有する光を発するようにあり得る。量子効率は、[14]におけるように定義され、測定される。
【0048】
ブロック214は、例えば白色光を生成するために、ブロック212の蛍光体を1つ以上の追加の蛍光体と組み合せることをさらに表す。例えば、図1に例示される蛍光体104は、第2の蛍光体と混合されて、LEDに光学的に連結される蛍光体混合物を作る第1の蛍光体を含み得、蛍光体混合物は、LEDから発せられる光を吸収し、その光に応答して白色光を発する。LEDは近UV波長(約370〜400nm)で光を発し得、第1の蛍光体は青−緑光蛍光体であり得、第2の蛍光体は赤光(例えば、620〜750nm)蛍光体であり得る。あるいは、LEDは近UV波長で光を発し得、第1の蛍光体は青−緑光蛍光体であり得、第2の蛍光体は黄−赤(例えば、570〜750nm)光蛍光体であり得る。
【0049】
ステップは、所望に応じ省略され得るか、または変更され得る。例えば、方法は、理論量の、アルカリ性土類金属(AE)の炭酸塩または酸化物と、アルミナ(Al)と、フッ素(SrF、BaF、CaF、NHF、CeF、AlFなど)と、セリウム酸化物(CeO)とを混合して、混合物を作り(ブロック202)、混合物を加熱して、Ce3+ベースのオキシフッ化物蛍光体を作ることを含み得る(ブロック204および/またはブロック208)。
【0050】
(構造)
図3aは、SrAlOFの単位格子300の図である。SrAlOFの単位格子(Z=4)において、格子は、Sr原子(Sr1,2)によって完全に占められる、8hサイト302および4aサイト304と、Al原子によって占められる4bサイト306とを示し、4bサイト306は、4aサイト304間にあり、4aサイト304および4bサイト306は、8hサイト302を含む平面または層間の平面または層にある。フッ素(F)原子は、4cサイト308にわたり分布しており、161サイト310は、酸素(O)原子によって占められる。
【0051】
図3bは、Sr1Oの多面体312の幾何学的形状を例示し、Sr1は多面体312の中心の8hサイト302にあり、O原子は161サイト310にあり、F原子は4cサイド308にあり、161サイト310および4c308サイトは多面体312の頂点にある。
【0052】
図3cは、Sr2Oの多面体314の幾何学的形状を例示し、Sr2は多面体314の中心の4aサイト304にあり、O原子は161サイト310にあり、F原子は4cサイド308にあり、161サイト310および4cサイト308は多面体314の頂点にある。
【0053】
CeO多面体は、4cサイト308上の2つのF原子と、161サイト310上の6つのO原子とからなり、後者は、隣接する層における4つのAlO四面体316によって共有される。Ce原子の周りの多面体316の幾何学的形状は、歪んだ正4角反柱として説明され得、歪んだ正4角反柱において2つのF原子308は、鏡面にありながら、互いに離れるように移される。
【0054】
8hサイト302および4aサイト304は、SrまたはCe原子(CeがSrを置換する)によって分布密度を大きくされ得る。BaなどのAEは、4aサイト304におけるSr2および/または8hサイト302におけるSr1の代わりをし得るが、AEは、4aサイト304におけるSr2の代わりとなる可能性がより高い。AEは、ホスト(host)が安定させられるように、Sr2の結合を増加させ得る(Baがないと、Sr2はSrlと比較して結合が少なくなり得る)。しかしながら、Ceは、2つのサイト4aおよび8hを占め得、このことは、PLスペクトルにおいて2つの頂点を生成する[15]。
【0055】
Sr、AE、Al、およびFは、蛍光体が等構造化合物であるように順序付けられ得る。蛍光体の構造および組成は、図3aに示されるように単位格子を有し得る。F原子は、図4に例示されるようにうまく順序付けられ得る。
【0056】
(第1の実施形態)
図5の上のグラフにおいてXRDスペクトルによって示されるように、Sr2.975AlOF:Ce3+0.025蛍光体試料の単相が得られた。蛍光体試料は、空間群I4/mcmを有する四面体構造を有する粉末であり、その格子パラメータは、XRDデータを有するリートベルト精製に基づいて、約a=b=6.7720(1)およびc=11.1485(2)Åであった。8hサイト302におけるSrl、F原子308およびO原子310もまた示される。従って、蛍光体は、図5に示されるようなXRDスペクトルを生成する構造および組成を有し得る。実験データ(円)に対する図5における計算されたフィット(実線)は、リートベルト法を用いる構造モデルに基づく結晶構造精製に基づく。予期される反射位置502もまた示される。図5の下のグラフは、図5の上のグラフにおける計算されたフィット500と観察されたXRDデータ(円)との差プロフィールを表す。
【0057】
図6に示されるように、このSr2.975AlOF:Ce3+0.025組成の発光特性は、最大がλex=404nmである、300nm〜460nmの広い励起帯λexを有する。組成は、YAG:Ge3+蛍光体と比較して比較的広いFWHM値(約100nm)を有し、λem=468nmにおいて中心をなす発光帯を有する。
【0058】
(第2の実施形態)
図7は、室温でのSr1.975BaAlOF:Ce3+0.025のデータと比較した市販のYAG:Ce3+蛍光体の励起および発光のスペクトルを示すグラフである。YAG:Ce3+蛍光体は、頂点強度が波長λex=450nmにある励起帯と、λem=546nmの波長において中心をなす発光帯とを示す。他方、本発明のSr1.975BaAlOF:Ce3+0.025蛍光体は、FWHMが、約100nmであるかまたはYAG:Ce3+蛍光体のFWHMより広く、頂点強度が波長λex=400nmにある励起帯と、波長λem=468nmにおいて中心をなす発光帯とを有する。
【0059】
本発明のこの実施形態において、この蛍光体の原料は、理論量を有する、炭酸ストロンチウム(SrCO)、炭酸バリウム(BaCO)、フッ化バリウム(BaF)、フッ化ストロンチウム(SrF)、アルミナ(Al)、および酸化セリウム(CeO)である。合成条件は、上記に言及されたことと同じである。
【0060】
このSr1.975BaAlOF:Ce3+0.025蛍光体の発光特性は、最大が400nmである、300nm〜450nmの広い励起帯を有し、その頂点は468nmにおいて中心をなした。蛍光体は、市販のYAG:Ce3+蛍光体よりも高いPL強度を示した。蛍光体の魅力的な特性のために、白色発光LEDは、赤または黄−オレンジ色蛍光体を高効率であるこの蛍光体と組み合せることによって得られ得る。
【0061】
(第3の実施形態)
図8は、室温でのSr2.975−yCaAlOF:Ce3+0.025の発光スペクトルを示すグラフであり、ここで(a)y=0.5、(b)y=1.0、および(c)y=1.5である。
【0062】
本発明のこの実施形態において、この蛍光体の原料は、理論量を有する、炭酸ストロンチウム(SrCO)、炭酸バリウム(BaCO)、フッ化バリウム(BaF)、フッ化ストロンチウム(SrF)、アルミナ(Al)、および酸化セリウム(CeO)である。合成条件は、上記に言及されたことと同じである。
【0063】
このSr2.975−yCaAlOF:Ce3+0.025蛍光体の発光特性は、405nmにおいて最大励起帯を有し、YAG:Ge3+蛍光体と比較して比較的広いFWHM値を有し、468nmおよび520nmにおいて中心をなす発光帯を表した。Sr2.975−yAEAlOF:Ce3+0.025の相対的PL強度は、表1に掲載され、ここで、市販のYAG:Ce3+蛍光体の発光スペクトルは、室温でSr2.975−yAEAlOF:Ce3+0.025に関するデータと比較される。具体的には、Sr2.975−yAEAlOF:Ce3+0.025から発光される相対的PL強度は、下記の表1に掲載され、ここで、相対的PL強度データは、460nm励起の下でYAG:Ge3+のPL強度で割って、100を掛けたSr2.975−yAEAlOF:Ce3+0.025のPL強度である。
【0064】
【表1】

図9は、Sr3−xCeAlOFにおけるxの様々な量が蛍光体の量子効率またはPL強度を調整するために用いられることを例示する。
【0065】
図10は、本発明の蛍光体の熱消光特性を例示し、電力供給されたLEDに光学的に連結された場合に生成される上昇した温度で蛍光体が動作し得ることを示す。
【0066】
蛍光体の発光および励起のスペクトルは、図6、図7、または図8に示されるとおりであり得る。
【0067】
(実行可能な修正形態および変形形態)
上記に言及されたように、本発明において蛍光体組成は、下記の式
(Sr1−x−yAE(Al1−z)OF:Ce3+
に従って作られ、ここで、0<x≦0.3、0≦y≦1であり、AEは、例えば、Mg、CaおよびBaなど、周期表上のアルカリ性土類金属から選択される少なくとも1つの元素を含み、0≦z≦1であり、Tは、Al、B、Ga、In、およびScから選択される少なくとも1つの原子を含む。
【0068】
特に、蛍光体の効率性は、別のイオンを母体格子に加えることによって高められ得、このイオンは、励起放射を吸収し得、その後、それを活性剤に転送し得る。この場合、吸収イオンは増感体と呼ばれる。この点に関して、少量の、Pr、Nd、Sm、Eu、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、およびBiが、増感体として母体格子に追加され得る。さらに、イオンは、電荷補償のためにLi、Na、およびKによって形成される群から選ばれ得る。本発明の合成方法(method synthesis)として、スプレー熱分解法、共沈法、ゾルゲル法、溶媒熱法、水熱法などを含む様々な方法を適用することが可能である。
【0069】
白色LED生成に関する限り、本発明はまた、様々な組み合わせ、すなわち、近UV LED(λmax=395および405nm)ならびに赤蛍光体の組み合わせ、または近UV LEDならびに緑−オレンジ色蛍光体の組み合わせ、または近UV LEDならびに黄蛍光体の組み合わせのいずれかで用いられ得る。この目的のために、様々な全色度のニーズに従って多数の異なる用途がある。
【0070】
(利点および改善点)
本発明において、蛍光体(Sr1−x−yAE(Al1−z)OF:Ce3+の組成および結晶構造の両方は、近UV励起の下で用いられる他の報告された青−緑蛍光体とは異なる。本発明の蛍光体はまた、良好な演色評価数を提供することが予期される。なぜなら、本発明の蛍光体は、白色発光LEDを提供するために、近UV LED(λmax=395および405nm)ならびに赤蛍光体の組み合わせ、または近UV LEDならびに緑−オレンジ色蛍光体の組み合わせ、または近UV LEDならびに黄蛍光体の組み合わせのいずれかを含む様々な組み合わせで用いられ得るからである。蛍光体の1つの利点は、蛍光体が市販のYAG:Ce3+蛍光体よりもはるかに高いPL強度を示すことである。
【0071】
20mAで色温度6900Kを有するSr1.975BaCe0.025AlOFに対して、本発明は、約62の演色評価数Rを得た[16]。従って、本発明は、少なくとも62のRを得得り、例えば蛍光体に赤成分を追加することによって、LEDのR値は87まで改善された[16]。
【0072】
本発明に関するさらなる情報は、[16〜18]に見出され得る。
【0073】
(参考文献)
以下の参考文献は、参照によって本明細書に援用される。
[1]D.Haranath、H.Chander、P.Sharma、S.Singh、Appl.Phys.Lett.2006、89、173118
[2]C.−H.Lu、R.Jagannathan、Appl.Phys.Lett.2002、80,3608
[3]R.Kasuya、A.Kawano、T.Isobe、H.Kuma、J.Katano、Appl.Phys.Lett.2007、91、111916
[4]国際特許出願第PCT/JP1997/002610号、1997年7月29日出願、名称「light emitting device and display device」、1998年2月5日公開、WO/1998/005078号、発明者Shimizuら、出願人Nichia Chemical Industries.
[5]H.S.Jang、W.B.Im、D.C.Lee、D.Y.Jeon、S.S.Kim、J.Lumin.2007、126、371
[6]Y.Chen、M.Gong、G.Wang、Q.Su、Appl.Phys.Lett.2007、91,071117.
[7]R.−J Xie、N.Hirosaki、K.Sakuma、Y.Yamamoto、M.Mitomo、Appl.Phys.Lett.2004、84、5404
[8]X.Piao、K.I.Machida、T.Horikawa、H.Hanzawa、Y.Shimomura、N.Kijima、Chem.Mater.2007,19,4592.
[9]J.K Park、M.A.Lim、C.H.Kim、H.D.Park、J.T.Park、S.Y.Choi、Appl.Phys.Lett.2003、82,683
[10]Y.Q.Li、A.C.A.Delsing、G.de With、H.T.Hintzen、Chem.Mater.2005、17、3242
[11]M.P.Saradhi,U.V.Varadaraju,Chem.Mater.2006,18,5267.
[12]W.B.Im,Y.−I.Kim,N.N.Fellows,H.Masui,G.A.Hirata,S.P.DenBaars,R.Seshadri,Appl.Phys.Lett.2008,93,091905.
[13]T.Vogt,P.M.Woodward,B.A.Hunter,A.K.Prodjosantoso,andB.J.Kennedy,J.SolidStateChem.1999,144,228.
[14]A.K.Prodjosantoso,andB.J.Kennedy,T.Vogt,andP.M.WoodwardJ.SolidStateChem.2003,172,89.
[15]Greenhamet.al.,Chem.PhysLett.241,page89(1995).
[16]WonBinIm,StuartBrinkley,JerryHu,StevenP.DenBaarsandRamSeshadri,entitled “A green emitting phosphor: Sr2.975−xBaCe0.025AlOF with high quantum efficiency for solid state white lighting applications,” Chem. Mater. 22 (9), pp 2842-2849 (2010).
[17] Presentation Slides entitled “New oxyfluoride phosphors for white LED,” given by Won Bin Im at the 2009 Annual Review for Solid State Lighting and Energy Center (SSLEC), University of California, Santa Barbara (November 5, 2009).
[18] Presentation Slides entitled “Novel Phosphors for Solid State Lighting,” given by Ram Seshadri at the 2009 Annual Review for Solid State Lighting and Energy Center (SSLEC), University of California, Santa Barbara (November 5, 2009).
(結論)
これで、本発明の好ましい実施形態の説明の結末をつける。本発明の1つ以上の実施形態の前述の説明は、例示および説明の目的のために提示された。網羅的であることまたは開示された正確な形態に本発明を限定することは意図されない。上記の教示を考慮して多くの修正形態および変形形態が可能である。本発明の範囲が、この詳細な説明によって限定されるべきではなく、むしろ本明細書に添付された特許請求の範囲によって限定されるべきであることが意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体照明用途のための装置であって、
光を発する発光ダイオード(LED)と、
該LEDに光学的に連結される蛍光体と
を備え、該蛍光体は、
(Sr1−x−yAE(Al1−z)OF:Ce3+
として表されるCe3+活性化オキシフッ化物蛍光体とを備え、
ここで、0<x≦0.3、0≦y≦1であり、AEは、アルカリ性土類金属から選択される少なくとも1つの元素を含み、0≦z≦1であり、Tは、Al、B、Ga、およびInから選択される少なくとも1つの原子を含む、装置。
【請求項2】
前記アルカリ性土類金属から選択される前記元素は、MgとCaとBaとを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記蛍光体は、前記LEDに光学的に連結される蛍光体混合物を生成するために、第2の蛍光体と混合される第1の蛍光体を備え、該蛍光体混合物は、該LEDから発せられる光を吸収し、該光に応答して白色光を発する、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記LEDは、近紫外(UV)波長で光を発し、前記第1の蛍光体は、青−緑蛍光体であり、前記第2の蛍光体は、赤蛍光体である、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記LEDは、近紫外(UV)波長で光を発し、前記第1の蛍光体は、青−緑蛍光体であり、前記第2の蛍光体は、黄−赤蛍光体である、請求項3に記載の装置。
【請求項6】
前記蛍光体は、増感体および電荷補償器として吸収イオンを含み、該増感体および電荷補償器は、励起放射を吸収し、該励起放射の波長より長い波長を有する光を発する該蛍光体における活性剤に該励起放射を転送する、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
(Sr1−x−yAE(Al1−z)OF:Ce3+
として表される、Ce3+活性化オキシフッ化物蛍光体を生成する方法であって、
ここで、0<x≦0.3、0≦y≦1であり、AEは、アルカリ性土類金属から選択される少なくとも1つの元素を含み、0≦z≦1であり、Tは、Al、B、Ga、およびInから選択される少なくとも1つの原子を含み、
該方法は、
理論量のアルカリ性土類金属(AE)の炭酸塩または酸化物、アルミナ(Al)、フッ素(SrF、BaF、CaF、NHF、CeF、AlFなど)、およびセリウム酸化物(CeO)を混合して、混合物を作るステップと、
該混合物を加熱して、Ce3+ベースのオキシフッ化物蛍光体を作るステップと
を包含する、方法。
【請求項8】
フラックス材料を前記混合物に追加することをさらに包含する、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記加熱するステップは、前記混合物を500℃〜1700℃の温度に加熱することを包含する、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記加熱するステップは、還元雰囲気において前記混合物を加熱することを包含する、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
SrとAEとAlとFとを含み、活性剤としてCe3+が添加され、紫光、紫外光または青光で励起された場合前記蛍光体が量子効率で青−緑光を発するように、構造および組成を有し、該量子効率は、該紫光、該紫外光または該青光で励起されたYAG:Ce3+蛍光体の量子効率より大きい、蛍光体組成物。
【請求項12】
前記蛍光体の構造および組成は、図5に示されるようにX線回折スペクトルを生成する、請求項11に記載の蛍光体組成物。
【請求項13】
前記蛍光体の構造および組成は、図3aに示されるように単位格子を有する、請求項11に記載の蛍光体組成物。
【請求項14】
前記蛍光体の発光および励起のスペクトルは、図6、図7、または図8に示されるとおりである、請求項11に記載の蛍光体組成物。
【請求項15】
駆動電流に応答してある波長で光の頂点強度を発するLEDによって励起された場合、前記蛍光体によって発せられるフォトルミネセンス(PL)強度は、該駆動電流に応答して該波長を有する光を発するLEDによって励起されるYAG:Ce蛍光体によって発せられるPL強度よりも大きい、請求項11に記載の蛍光体組成物。
【請求項16】
駆動電流に応答してある波長で光の頂点強度を発するLEDによって励起された場合、前記蛍光体の発光効率は、少なくとも10 lm/Wである、請求項11に記載の蛍光体組成物。
【請求項17】
前記蛍光体の組成は、
(Sr1−x−yAE(Al1−z)OF:Ce3+
として表され、
ここで、0<x≦0.3、0≦y≦1であり、AEは、アルカリ性土類金属から選択される少なくとも1つの元素を含み、0≦z≦1であり、Tは、Al、B、Ga、およびInから選択される少なくとも1つの原子を含む、請求項11に記載の蛍光体組成物。
【請求項18】
前記アルカリ性土類金属から選択される前記元素は、Mgと、Caと、Baとを備えている、請求項17に記載の蛍光体組成物。
【請求項19】
x、y、およびAEは、前記蛍光体が、紫外または青の放射によって励起された場合、青、青−緑、または緑の波長で頂点強度を有する光を発するようになっている、請求項17に記載の蛍光体組成物。
【請求項20】
駆動電流に応答して第2の波長で第2の頂点強度の光を発するLEDによって励起された場合、前記蛍光体は、450〜450nmの第1の波長で第1の頂点強度を有する光を発し、該蛍光体は、半波高全副値(FWHM)を有する該第1の波長を有する光を発し、該FWHMは、該駆動電流に応答して第2の波長で第2の頂点強度の光を発するLEDによって励起されるYAG:Ge3+蛍光体によって発せられる光のFWHMより広い、請求項17に記載の蛍光体組成物。

【図3a】
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【図3b】
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【図3c】
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【図4】
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【図1】
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【図2】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2012−530383(P2012−530383A)
【公表日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−516270(P2012−516270)
【出願日】平成22年6月16日(2010.6.16)
【国際出願番号】PCT/US2010/038852
【国際公開番号】WO2010/148109
【国際公開日】平成22年12月23日(2010.12.23)
【出願人】(506115514)ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ カリフォルニア (87)
【Fターム(参考)】