説明

オゾンガス濃縮装置

【課題】液体オゾンを気化するオゾン気化部における液体オゾンの気化量を調整可能とするオゾンガス濃縮装置を提供することを目的とする。
【解決手段】オゾンガス濃縮装置30は、 オゾンガスを含む混合ガスを冷却し液化される液体オゾンを得るガス冷却部33及び分離タンク34と、分離タンク34から送られる液体オゾンを気化させて濃縮オゾンガスを得る気化器35と、分離タンク34から気化器35に送られる液体オゾンを流通させると共に、分離タンク34から気化器35までを液封可能とするU字管41と、気化器35における液体オゾンの液面高さを検知する液面計43と、液面計43で検知される液面高さに基づいて、U字管41による液体オゾンの送液量を調整するポンプ41b及びポンプ制御部42と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オゾンガス濃縮装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、このような分野の技術として、下記特許文献1に記載のオゾン発生装置が知られている。この装置では、原料酸素導入口から供給された酸素がオゾン発生器に送られる。オゾン発生器で発生したオゾンと酸素との混合ガスが、冷却塔に送り込まれて液体オゾンが生成されることで、液体オゾンと気体の酸素とが分離される。その後、液体オゾンがオゾン管を流通し、オゾン発生器の金属製外筒に接触し気化されて、気体オゾンとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特公昭52−40638号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、この装置では、金属製外筒における気体オゾンの発生量を調整する仕組みは示されておらず、外部からのオゾン要求量の変動に対応して、安定した量のオゾンを、オゾンガスとして外部に供給することができるとは言えない。また、発生させたオゾンの無駄を低減するためにも、外部に対して必要量のオゾンを出来る限り過不足なく供給可能とすることが求められており、液体オゾンを再び気化する気化部においては、液体オゾンの気化量を調整可能とすることが望まれていた。
【0005】
本発明は、液体オゾンを気化するオゾン気化部における液体オゾンの気化量を調整可能とするオゾンガス濃縮装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のオゾンガス濃縮装置は、オゾンガスを含む混合ガスを冷却し液化された液体オゾンを得るオゾン液化部と、オゾン液化部から送られる液体オゾンを気化させて濃縮オゾンガスを得るオゾン気化部と、オゾン液化部からオゾン気化部に送られる液体オゾンを流通させると共に、オゾン液化部からオゾン気化部までを液封可能とする液封配管と、オゾン気化部における液体オゾンの気化量の変動に応じて変化する指標値を検知する指標値検知手段と、指標値検知手段で検知される指標値に基づいて、液封配管による液体オゾンの送液量を調整する送液量調整手段と、を備えることを特徴とする。
【0007】
このオゾンガス濃縮装置では、オゾン液化部で得られる液体オゾンが、液封配管を通じてオゾン気化部に送られ、オゾン気化部で気化されて、濃縮オゾンガスが発生する。オゾン気化部における液体オゾンの気化量に変動があった場合、指標値に変化が現れ、その指標値に基づいて液封配管による液体オゾンの送液量が調整されるので、気化量の変動に追従するように送液量の調整を行うことができ、オゾン気化部内の液体オゾンの量を安定させることで、気化量を安定させることができる。従って、オゾン気化部における液体オゾンの気化量の調整が可能になる。
【0008】
具体的には、指標値検知手段は、オゾン気化部における液体オゾンの液面高さを指標値として検知する液面計を有することとしてもよい。オゾン気化部における液体オゾンの気化量が多くなった場合には、オゾン気化部の液体オゾンが消費され液面が低くなり、オゾン気化部における液体オゾンの気化量が少なくなった場合には、オゾン気化部の液体オゾンが余って液面が高くなるので、オゾン気化部における液体オゾンの液面高さを、指標値として用いることができる。
【0009】
また、指標値検知手段は、オゾン気化部から送出される濃縮オゾンガスの流量を検知する流量計と、オゾン気化部から送出される濃縮オゾンガスのオゾン濃度を検知するオゾン濃度計と、を有することとしてもよい。このような流量計の流量測定値と、オゾン濃度計の濃度測定値と、に基づいて、オゾン気化部から送出されるオゾン量を検知することができる。オゾン気化部における液体オゾンの気化量が多くなった場合には、オゾン気化部から送出されるオゾン量が多くなり、オゾン気化部における液体オゾンの気化量が少なくなった場合には、オゾン気化部から送出されるオゾン量が少なくなるので、オゾン気化部から送出される濃縮オゾンガスの流量及び濃度を、指標値として用いることができる。
【0010】
また、具体的には、送液量調整手段は、オゾン液化部からオゾン気化部に液体オゾンを送り込むポンプを有することとしてもよい。この構成によれば、ポンプの出力を調整することにより、比較的容易に、送液量を調整することができる。
【0011】
また、送液量調整手段は、液封配管上に設けられたバルブを有することとしてもよい。この構成によれば、バルブの開度を調整することにより、比較的容易に、送液量を調整することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明のオゾンガス濃縮装置によれば、液体オゾンを気化するオゾン気化部における液体オゾンの気化量を調整することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係るオゾンガス濃縮装置の第1実施形態が適用される電子部品洗浄装置を示すブロック図である。
【図2】本発明に係るオゾンガス濃縮装置の第1実施形態を示すブロック図である。
【図3】図2のオゾンガス濃縮装置の要部を示すブロック図である。
【図4】本発明に係るオゾンガス濃縮装置の第2実施形態の要部を示すブロック図である。
【図5】本発明に係るオゾンガス濃縮装置の第3実施形態の要部を示すブロック図である。
【図6】本発明に係るオゾンガス濃縮装置の第4実施形態の要部を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しつつ本発明に係るオゾンガス濃縮装置の好適な実施形態について詳細に説明する。
【0015】
(第1実施形態)
図1に示すように、オゾンガス濃縮装置30及びオゾンガス生成装置73は、電子部品洗浄装置1に適用される。電子部品洗浄装置1は、オゾンガス生成装置73を用いて高濃度オゾンガスを生成し、この高濃度のオゾンガスから生成した高濃度のオゾン水を半導体ウエハ、液晶、太陽電池、有機EL、プリント基板などの電子部品の表面に向けて噴射して洗浄する装置である。電子部品洗浄装置1のオゾン水生成装置71は、濃縮オゾンガスを生成するオゾンガス生成装置73と、このオゾンガスを超純水に溶解させて高濃度オゾン水を生成する溶解部50と、を備えている。そして、電子部品洗浄装置1は、このオゾン水生成装置71と、オゾン水生成装置71で得られた高濃度オゾン水で電子部品の表面を洗浄する洗浄部70と、を備えている。
【0016】
オゾンガス生成装置73は、オゾンガスを発生させるオゾナイザ10と、オゾナイザ10で発生したオゾンガスを濃縮するオゾンガス濃縮装置30とを備えている。更に、オゾンガス生成装置73は、酸素タンク3と、窒素タンク5とを備えている。オゾナイザ10には、酸素タンク3からラインL1を通じて酸素が供給される。また、ラインL1には、窒素タンク5からの窒素ガス供給ラインが合流しており、酸素ガスに微量の窒素ガスが混入されてオゾナイザ10に導入される。オゾナイザ10は、酸素ガスを原料として放電方式によりオゾンガスを生成する。このオゾナイザ10では、10vol%程度の比較的低濃度のオゾンガス(約90vol%の酸素ガスと約10vol%のオゾンガスとの混合気体)が生成する。また、原料の酸素ガスに微量混入された窒素ガスに起因して、オゾナイザ10で生成されたオゾンガス(以下、「非濃縮オゾンガス」という)には微量の窒素酸化物(NOx)ガスが含まれる。オゾナイザ10から送出される非濃縮オゾンガスは、ラインL2を通じてオゾンガス濃縮装置30に導入される。
【0017】
オゾンガス濃縮装置30は、オゾナイザ10で生成される非濃縮オゾンガスを濃縮し、ほぼ100vol%の高濃度のオゾンガスを生成するものである。図2にも示すように、オゾンガス濃縮装置30は、真空断熱チャンバ31内に設けられたNOx除去部32と、ガス冷却部33と、分離タンク34と、気化器35と、熱交換部36と、を備えている。チャンバ31は、排気ポンプ37によって真空引きされる。
【0018】
ラインL2からの非濃縮オゾンガスは、オゾンガス濃縮装置30のNOx除去部32に導入される。NOx除去部32は、導入された非濃縮オゾンガスを、NOxの凝固点以下にまで冷却して、NOxを固化させて捕捉し、非濃縮オゾンガスから分離除去する。NOxよりも凝固点が低い酸素及びオゾンは、気体の状態でNOx除去部32を通過し、ラインL31を通じてガス冷却部33に導入される。一方、NOx除去部32で捕捉されたNOxは、NOx除去部32の清掃運転時に昇温されて再び気化し、パージガス(例えば、酸素、窒素または非濃縮オゾンガスなど)に随伴してラインL21を通じ、排ガスラインL20に排出される。なお、ラインL31とラインL21の流路の切り替えは、運転状態に合わせて適宜に実行される。
【0019】
ガス冷却部33では、NOx除去後の非濃縮オゾンガスを、オゾンの沸点以下にまで冷却して、オゾンを液化させる。この液体オゾンは、ラインL32を通じて分離タンク34に導入され、当該分離タンク34の下部に溜まる。一方、オゾンよりも沸点が低い酸素等は、気体の状態でガス冷却部33及びラインL32を通過し、分離タンク34の上部に溜まる。分離タンク34上部に溜まる気体は、主に酸素であり、ラインL33を通じて分離タンク34外に送出される。
【0020】
前述のとおり、NOx除去部32とガス冷却部33においては、非濃縮オゾンガスの冷却のための低熱源が必要である。このオゾンガス濃縮装置30では、極低温の低熱源としてクライオポンプ38を備えている。クライオポンプ38のクライオヘッド38aは、チャンバ31内部に挿入されており、クライオヘッド38aとNOx除去部32とが伝熱銅板39aで接続されている。また、クライオヘッド38aとガス冷却部33とが伝熱銅板39bで接続されている。この構成により、NOx除去部32とガス冷却部33とを、極低温に冷却することが可能となり、前述のNOx除去及びオゾン液化が実現される。
【0021】
分離タンク34の底部には、U字管41の一端が接続されている。このU字管41の他端は、気化器35の底部に接続されている。そして、分離タンク34内に溜まった液体オゾンは、U字管41内にも充填される。U字管41は、分離タンク34内の液体オゾンを気化器35に導くためのものであると共に、当該液体オゾンによって、分離タンク34上部に溜まる酸素ガスと気化器35側とを液封するものである。このU字管41には、分離タンク34側から気化器35側に向けて液体オゾンを送り込むポンプ41bが設けられている。
【0022】
気化器35は、U字管41を通じて分離タンク34から供給される液体オゾンを気化するためのもので、円筒状の胴部を有し、下部が下細りの擂り鉢状に閉じられて下端に入口35aが設けられていると共に、上端にオゾンガス出口35bが設けられている。
【0023】
気化器35内部に導入される液体オゾン液面の上方には、加熱用のヒータ35cが設けられている。ヒータ35cは、気化器35の底部に供される液体オゾンを加熱して気化させる。前述のとおり、気化器35内には、酸素が分離除去された液体オゾンが導入されるので、気化器35内で気化されるオゾンは、ほぼ100vol%の濃度である。また、気化器35には、ラインL12を介して、酸素タンク3からの酸素が希釈用酸素ガスとして導入される。液体オゾンの気化で得られたほぼ濃度100vol%のオゾンは、ラインL12からの希釈用酸素ガスによって気化器35上部で適宜希釈され、オゾンガス出口35b及びラインL3を通じて、濃縮オゾンガスとして送出される。このラインL3の濃縮オゾンガスは、溶解部50に導入される。また、この濃縮オゾンガスの一部の余剰分は、ラインL3から分岐したラインL25を通じて排ガスラインL20に排出される。また、ラインL3には、酸素タンク3からのラインL13も合流しており、ラインL3の濃縮オゾンガスは、ラインL13からの酸素ガスによっても必要に応じて希釈されて、溶解部50に導入される。なお、本実施形態では、気化器35で得られたオゾンをラインL12からの希釈用酸素ガスで主体的に希釈するため、ラインL13を省略することも可能である。
【0024】
なお、ラインL12は、気化器35よりも上流側で熱交換部36を通過している。熱交換部36では、分離タンク34からラインL33を通じて排出される排酸素ガスとラインL12の希釈用酸素ガスとの熱交換が行われる。これにより、希釈用酸素ガスは、熱交換部36で冷却され温度調整された後に気化器35内に導入される。また排酸素ガスは、熱交換部36から、ラインL23を通じて排ガスラインL20に排出される。
【0025】
図1に示すように、溶解部50は、ラインL3から導入される濃縮オゾンガスとラインL11から導入される超純水とを接触させる溶解モジュールを備えている。溶解モジュールとは、高分子膜、エジェクタ、マイクロリアクタなどオゾンガスを水に溶解させる装置をいう。溶解モジュールにおいては、超純水に濃縮オゾンガスが溶解し、高濃度のオゾン水が生成される。なお、超純水に溶解されなかった余剰の濃縮オゾンガスは、ガスラインL27を通じて排ガスラインL20に排出される。一方、オゾン水は、ラインL4を通じて洗浄部70に導入される。
【0026】
洗浄部70は、ラインL4から導入したオゾン水を、ノズルから半導体ウエハ、液晶、太陽電池、有機EL、プリント基板などの電子部品の表面に向けて噴射する。このようなオゾン水の噴射によって、電子部品の表面に形成されたレジストが洗浄除去される。すなわち、洗浄部70は、電子部品のレジスト除去の用途で用いられる。
【0027】
なお、前述のように、電子部品洗浄装置1の各部で発生する不要なガス(ラインL21の排NOxガス、ラインL23の排酸素ガス、ラインL25の排オゾンガス、及びL27の排オゾンガス)は、すべて合流して排ガスラインL20を通過する。そして、このラインL20の不要ガスは、触媒分解装置7と排ガス冷却器8とを通過し、排気ポンプ9によって系外に排出される。触媒分解装置7は、不要ガスを例えば活性炭などの触媒と接触させることにより、不要ガス中のオゾンガスを比較的無害な酸素ガスに分解する。排ガス冷却器8は、不要ガスを大気に排出する前に当該不要ガスを常温まで冷却する。
【0028】
続いて、オゾン濃縮装置30において、分離タンク34の液体オゾンを気化器35に供給するための構成について、図3を参照しながら更に詳細に説明する。図3には、オゾン濃縮装置30の分離タンク34、気化器35、及びU字管41を示している。
【0029】
この電子部品洗浄装置1では、洗浄部70の洗浄条件の変動により、オゾン濃縮装置30が溶解部50に供給すべきオゾンガスの量が変動する場合がある。このような場合、オゾン濃縮装置30にあっては、溶解部50で要求されるオゾンガス量の変動に追従して、気化器35における液体オゾンの気化量を調整し安定してオゾンガスを発生させる必要がある。
【0030】
そこで、図3に示すように、オゾンガス濃縮装置30のU字管41には、当該U字管41内の液体オゾンを、分離タンク34側から気化器35側に向けて送り出すポンプ(送液量調整手段)41bが設けられている。更に、オゾンガス濃縮装置30は、当該ポンプ41bの駆動を制御するポンプ制御部(送液量調整手段)42を備えている。また、気化器35には、当該気化器35に溜まった液体オゾンの液面高さを検知する液面計43が設けられている。液面計43は、検知した液面高さを電気信号としてポンプ制御部42に送信する。
【0031】
気化器35における液体オゾンの気化量が増加した場合には、気化器35内の液体オゾンガスが多く消費されることで、液体オゾンの液面は低くなる。一方、気化器35における液体オゾンの気化量が減少した場合には、気化器35内の液体オゾンの消費が少なることで、液体オゾンの液面は高くなる。このように、気化器35内の液体オゾンの液面高さは、気化器35における気化量の変動に応じて変化する指標値となり得る。そして、前述の液面計43は、この指標値たる液面高さを検知する指標値検知手段としての機能を持っている。なおここで、気化器35における液体オゾンの気化量とは、単位時間当たりに気化してオゾンガスに変わる液体オゾンの量を意味し、例えば、「g/秒」といったような単位で表される。
【0032】
ポンプ制御部42は、液面計43から受信した液面高さに基づいて、ポンプ41bの出力を調整し、気化器35内の液体オゾンの量を安定化する制御を行う。すなわち、例えば、液面計43による液面高さが所定量以上低下した場合には、ポンプ41bの出力を上げてU字管41を通じた気化器35への液体オゾンの送液量を増加させる。また、液面計43による液面高さが所定量以上上昇した場合には、ポンプ41bの出力を下げてU字管41を通じた気化器35への液体オゾンの送液量を減少させる。なおここで、U字管41における液体オゾンの送液量とは、単位時間当たりに気化器35に送り込まれる液体オゾンの量を意味し、例えば、「g/秒」といったような単位で表される。
【0033】
このようなポンプ41bの制御により、溶解部50からのオゾン要求量の変動に伴って、気化器35における液体オゾンの気化量に変動があった場合にも、当該気化器35における液体オゾンの量を安定させることができ、変動に追従させた気化量で、気化器35におけるオゾンの気化量を安定させることができる。このように、このオゾン濃縮装置30によれば、溶解部50からのオゾン要求量の変動に応じて、気化器35におけるオゾンの気化量を調整することができる。その結果、この電子部品洗浄装置1では、溶解部50におけるオゾン要求量の変動に柔軟に対応可能であり、ひいては洗浄部70の洗浄条件の変動に柔軟に対応可能となる。
【0034】
なお、U字管41の液体オゾンは、非常に低温(90〜160K程度)であり、酸化力も強いので、ポンプ41bのうち少なくとも電気的な動力部や制御部を含む部分は液体オゾンに接触しないことが好ましい。従って、ポンプ41bとしては、液体オゾンに接触しながら駆動し液体オゾンを流通させる駆動部分と、当該駆動部分と温度的に絶縁され非接触で駆動部分に駆動力を付与する駆動源とを備えた構成が好ましい。この場合、ポンプ41bの駆動源は、液体オゾンに接触しないようにU字管41の外側に配置する。またこの場合、駆動部分の材料としては、液体オゾンに酸化され難い材料を選択する必要がある。液体オゾンに酸化され難い材料としては、例えば、SUS316、SUS316Lなどが挙げられる。
【0035】
(第2実施形態)
図4には、本発明の第2実施形態に係るオゾン濃縮装置230の分離タンク34及び気化器35を示している。このオゾン濃縮装置230の図示部分以外の構成は、前述のオゾン濃縮装置30(図2)と同一であり、このオゾン濃縮装置230は、前述のオゾン濃縮装置30に代えて電子部品洗浄装置1に適用することができる。
【0036】
オゾン濃縮装置230は、オゾン濃縮装置30のポンプ41b及びポンプ制御部42に代えて、U字管41上に設けられたバルブ41c及び当該バルブ41cの開度を制御するバルブ制御部44を、送液量調整手段として備えている。
【0037】
バルブ制御部44は、液面計43から受信した液面高さに基づいて、バルブ41cの開度を調整し、気化器35内の液体オゾンの量を安定化する制御を行う。すなわち、例えば、液面計43による液面高さが所定量以上低下した場合には、バルブ41cの開度を上げてU字管41を通じた気化器35への液体オゾンの送液量を増加させる。また、液面計43による液面高さが所定量以上上昇した場合には、バルブ41cの開度を下げてU字管41を通じた気化器35への液体オゾンの送液量を減少させる。なお、このような送液を行うためには、分離タンク34の液面を、気化器35の液面よりも高く維持するように分離タンク34の貯液量を制御してもよく、分離タンク34内の圧力を気化器35内の圧力よりも高くするようにしてもよい。
【0038】
このようなオゾン濃縮装置230によっても、オゾン濃縮装置30と同様に、溶解部50からのオゾン要求量の変動に応じて、気化器35におけるオゾンの気化量を調整することができる。
【0039】
(第3実施形態)
図5には、本発明の第3実施形態に係るオゾン濃縮装置330の分離タンク34及び気化器35を示している。このオゾン濃縮装置330の図示部分以外の構成は、前述のオゾン濃縮装置30(図2)と同一であり、このオゾン濃縮装置330は、前述のオゾン濃縮装置30に代えて電子部品洗浄装置1に適用することができる。
【0040】
オゾン濃縮装置330は、オゾン濃縮装置30の液面計43に代えて、気化器35内に設けられたオゾン濃度計45と、気化器35のオゾンガス出口35bの直ぐ下流においてラインL3上に設けられた流量計46と、を備えている。オゾン濃度計45は、気化器35内の気体のオゾン濃度を測定し、電気信号としてポンプ制御部42に送信する。流量計46は、オゾンガス出口35bを通じて気化器35から送出されるオゾンガスの流量を測定し、電気信号としてポンプ制御部42に送信する。オゾン濃度計45による濃度測定値と、流量計46による流量測定値と、に基づけば、気化器35から排出されるオゾン量を求めることができる。そして、このオゾン量は、気化器35における液体オゾンの気化量にほぼ等しい。このように、気化器35から排出されるオゾン量(以下「排出オゾン量」)は、気化器35における気化量の変動に応じて変化する指標値となり得る。そして、前述のオゾン濃度計45及び流量計46は、この指標値たる排出オゾン量を検知する指標値検知手段としての機能を持っている。
【0041】
ポンプ制御部42は、上記濃度測定値及び流量測定値から算出される排出オゾン量に基づいて、ポンプ41bの出力を調整し、気化器35内の液体オゾンの量を安定化する制御を行う。すなわち、例えば、算出された排出オゾン量が所定量以上上昇した場合には、ポンプ41bの出力を上げてU字管41を通じた気化器35への液体オゾンの送液量を増加させる。また、算出された排出オゾン量が所定量以上低下した場合には、ポンプ41bの出力を下げてU字管41を通じた気化器35への液体オゾンの送液量を減少させる。このような送液量の調整によれば、気化器35内の液体オゾンの量を安定させることができ、溶解部50からのオゾン要求量の変動に追従して気化器35におけるオゾンの気化量を安定させることができる。
【0042】
従って、このようなオゾン濃縮装置330によっても、オゾン濃縮装置30と同様に、溶解部50からのオゾン要求量の変動に応じて、気化器35におけるオゾンの気化量を調整することができる。
【0043】
なお、ここでは、希釈酸素ラインL12(図2参照)による希釈がない場合には、気化器35内のオゾン濃度は液化オゾン中に含まれる液体酸素の量によって決定される。液体オゾンに溶解される液体酸素の量は、オゾンを液化する際の温度での各飽和蒸気圧によって決まるため、液化させる温度によって気化した際のオゾン濃度を推定することができる。従って、これらのような場合には、オゾン濃度計45を省略してもよい。
【0044】
(第4実施形態)
図6には、本発明の第4実施形態に係るオゾン濃縮装置430の分離タンク34及び気化器35を示している。このオゾン濃縮装置430の図示部分以外の構成は、前述のオゾン濃縮装置30(図2)と同一であり、このオゾン濃縮装置430は、前述のオゾン濃縮装置30に代えて電子部品洗浄装置1に適用することができる。
【0045】
オゾン濃縮装置430は、オゾン濃縮装置330のポンプ41b及びポンプ制御部42に代えて、U字管41上に設けられたバルブ41c及び当該バルブ41cの開度を制御するバルブ制御部44を、送液量調整手段として備えている。バルブ制御部44は、上記濃度測定値及び流量測定値から算出される排出オゾン量に基づいて、バルブ41cの開度を調整し、気化器35内の液体オゾンの量を安定化する制御を行う。このようなオゾン濃縮装置430によっても、オゾン濃縮装置30と同様に、溶解部50からのオゾン要求量の変動に応じて、気化器35におけるオゾンの気化量を調整することができる。
【0046】
なお、以上の第2〜第4実施形態において、第1実施形態と同一又は同等の構成要素については図面に同一の符号を付すものとして重複する説明を省略している。
【0047】
第1〜第4実施形態において、液封配管としてU字管を採用したが、液封配管はU字管に限定されるものではなく、水平配管や傾斜配管でも液封できるものであれば、何れのものを用いてもよい。
【符号の説明】
【0048】
30,230,330,430…オゾンガス濃縮装置、33…ガス冷却部(オゾン液化部)、34…分離タンク(オゾン液化部)、35…気化器(オゾン気化部)、41…U字管(液封配管)、41b…ポンプ(送液量調整手段)、41c…バルブ(送液量調整手段)、42…ポンプ制御部(送液量調整手段)、43…液面計(指標値検知手段)、44…バルブ制御部(送液量調整手段)、45…オゾン濃度計(指標値検知手段)、46…流量計(指標値検知手段)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
オゾンガスを含む混合ガスを冷却し液化された液体オゾンを得るオゾン液化部と、
前記オゾン液化部から送られる前記液体オゾンを気化させて濃縮オゾンガスを得るオゾン気化部と、
前記オゾン液化部から前記オゾン気化部に送られる前記液体オゾンを流通させると共に、前記オゾン液化部から前記オゾン気化部までを液封可能とする液封配管と、
前記オゾン気化部における前記液体オゾンの気化量の変動に応じて変化する指標値を検知する指標値検知手段と、
前記指標値検知手段で検知される前記指標値に基づいて、前記液封配管による前記液体オゾンの送液量を調整する送液量調整手段と、を備えることを特徴とするオゾンガス濃縮装置。
【請求項2】
前記指標値検知手段は、
前記オゾン気化部における前記液体オゾンの液面高さを前記指標値として検知する液面計を有することを特徴とする請求項1に記載のオゾンガス濃縮装置。
【請求項3】
前記指標値検知手段は、
前記オゾン気化部から送出される前記濃縮オゾンガスの流量を検知する流量計と、
前記オゾン気化部から送出される前記濃縮オゾンガスのオゾン濃度を検知するオゾン濃度計と、を有することを特徴とする請求項1に記載のオゾンガス濃縮装置。
【請求項4】
前記送液量調整手段は、
前記前記オゾン液化部から前記オゾン気化部に前記液体オゾンを送り込むポンプを有することを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載のオゾンガス濃縮装置。
【請求項5】
前記送液量調整手段は、
前記液封配管上に設けられたバルブを有することを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載のオゾンガス濃縮装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−132063(P2011−132063A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−292715(P2009−292715)
【出願日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【出願人】(000002107)住友重機械工業株式会社 (2,241)
【Fターム(参考)】