説明

オゾン脱臭装置

【課題】気体状オゾンと霧状水の混合流体を発生するオゾン脱臭装置であって、簡易に運搬及び使用の可能な装置を実現する。
【解決手段】霧状水の発生手段として手動式のピストンポンプ、水タンク、噴霧ノズルを備える。またオゾン発生手段として前記手動式ポンプの作動に伴い発電する発電機もしくは電池を電源とするオゾン発生器を備える。このような手段を備えた本発明の実施例を図3に示す。この実施例ではピストンポンプ8を手動で動かすことにより装置外部の空気をオゾン発生器13を通じて、気体状オゾンと当該ピストンポンプ8の内部に吸引し、噴霧ノズル16を通じて外部に押し出し、その際水タンク18内の水が噴霧ノズル17に吸引されて霧状水となって気体状オゾンと混合され散布される。
ここでオゾン発生器13はピストン8の作動に伴いラック&ピニオン11を介して作動する発電機12より電力の供給を受けてオゾンを発生する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家庭や飲食店等人のいる場所で使用するオゾン脱臭装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
気体状オゾンによる脱臭装置は家庭や飲食店の一部に使用されているが、オゾンは人体に対する有害性があるためにその発生量の調節に困難が伴う。
すなわち安全を重視してオゾンの発生量を少なくすると効果が薄く、また効果を高めるためにオゾンの発生量を多くすると安全性に問題が生じる。
【0003】
一方近年気体状オゾンと微細な霧状水との混合流体が気体状オゾンより更に効果的な脱臭作用を持つことが明らかにされてきている。
オゾンと微細な霧状水の混合流体を空気中に散布した場合、オゾンは臭気物質その他多くの気体状の有機物と極めて速やかに反応して消滅する。
オゾンが霧状水と混合することによりその反応性が高まる理由は分子状のオゾンが霧状水に溶解する際に分子状オゾンより更に強力な酸化剤であるヒドロオキシラジカル(OH・)を生成するためであると推定される。(参考文献 オゾンハンドブック:日本オゾン協会編 ページ71)
【0004】
オゾンを霧状水と混合して空気中に散布すればオゾンは空気中の臭気物質と極めて速やかにが反応するために空気中に滞留せず、臭気物質が消滅するまでは空気中のオゾン濃度が増大しない。

そこでこのような原理を利用して家庭や飲食店など人がいる場所で安全に使用できるオゾン脱臭装置の実現が可能である。
【0005】
図1は、オゾン発生器にて発生させた気体状のオゾンを噴霧ノズルに通じて気体状オゾンと霧状水の混合流体を作り空気中の臭気成分を脱臭する装置の概念を示す。
このような原理を利用した装置は例えば特開2001−161801、特開平10−29044及び特開平10−165757に示されている。
【0006】
図2は、オゾン発生器にて発生させた気体状のオゾンを別に噴霧ノズルにより生成された霧状水と混合することにより気体状オゾンと霧状水の混合流体を作り空気中の臭気成分を脱臭する装置の概念を示す。
このような原理を利用した装置は例えば特開2006−205035に示されている。
【0007】
ところでこのような既存の装置は圧縮空気を得るためにコンプレッサあるいはボンベを必要とし、簡易に移動し、使用することが困難であり、家庭や飲食店での普及は期待出来ない、という問題がある。
【特許文献1】特開2001−161801号公報
【特許文献2】特開平10−29044号公報
【特許文献3】特開平10−165757号公報
【特許文献4】特開2006−205035号公報
【非特許文献1】オゾンハンドブック:日本オゾン協会編
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は家庭や飲食店でも安全に且つ簡易に使用出来るオゾン脱臭装置を実現することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、気体状オゾンと霧状水の混合流体による脱臭作用を利用したオゾン脱臭装置であって、気体状オゾンを得るための電源として小型発電機もしくは電池を利用し、且つ霧状水を得るために手動式噴霧を利用することを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明のオゾン脱臭装置は、コンプレッサ等の重量機器を有しないために軽量であり、また手動式発電機または電池を利用するために電源への接続も不要であるために簡易に持ち運びが出来、且つ簡易に使用できるという利点がある。
因みにオゾン発生量は40mg/hr程度で脱臭効果が生じるがそのためのオゾン発生器及び手動式発電機は300g、装置全体で1kg以下での構成が可能である。
【0011】
更に本発明のオゾン脱臭装置は、人のいる場所においても安全なオゾン脱臭を可能とするという利点がある。
すなわち気体状オゾンと霧状水の混合流体中のオゾンは空気中の臭気物質等気体状有機物質との反応が極めて速やかであり、従って空気中の気体状有機物質がなくなるまでオゾンが混合流体中及びその近傍で消滅するために周辺の空気中への拡散はわずかである。オゾンの匂いが感じられた時点で手動式の噴霧を停止すれば、オゾンの放出も停止するためオゾンに対する安全が確保できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
手動式のピストンポンプによる噴霧器を手動式発電器もしくは電池を電源として作動するオゾン発生器を一体として組み込み、霧状水と気体状のオゾンを同時に発生し混合する方式によるオゾン脱臭装置を構成した。
【実施例1】
【0013】
図3は、本発明の請求項1に関る実施例(実施例1)の断面図である。取っ手10を手で引いてピストン8をシリンダー7内で動かすことによりオゾン発生器13より気体状オゾン9を吸入し、次に取っ手10を押して気体状オゾン9を噴霧ノズル17を通じて外気に押し出す。噴霧ノズル17には水タンク18より水が吸い込まれ霧状水となり気体状オゾンと混合して放出される。
ピストン8の押し引きを繰り返すことにより脱臭に必要な量の気体状オゾンと霧状水の混合流体19を断続的に空気中に散布する。
【0014】
この動作において特に取っ手10を引くときにはラック&ピニオン11により小型の発電機12が作動し、オゾン発生器に電力が供給される。
【0015】
オゾン発生器は沿面放電式もしくは無声放電式のオゾン発生器である。この形式のオゾン発生器は容量及び構造において各種のものが製品化されていることは周知であり、説明は省略する。
【実施例2】
【0016】
図4は、本発明の請求項2に関る実施例(実施例2)の断面図である。構造は実施例1とほぼ同様であるが発電機ではなく電池20が組み込まれてオゾン発生器用の電源とされている点が異なる。

【実施例3】
【0017】
図5は、本発明の請求項3に関る実施例(実施例3)の断面図である。取っ手10を手で上下させてピストン8をシリンダー7内で動かすことにより空気を空気タンク21内に引き込み、同時にラック&ピニオン11を介して発電機12を作動させ電力をオゾン発生器に供給する。
【0018】
空気タンク21内に加圧、蓄積された加圧空気24はオゾン発生器13により気体状オゾンとされて噴霧ノズル17を通じて外気に押し出される。噴霧ノズル17には水タンク18より水が吸い込まれ霧状水となり気体状オゾンと混合して放出される。
ピストン8の上下動を続行ことにより脱臭に必要な量の気体状オゾンと霧状水の混合流体19を連続的に空気中に散布する。
【実施例4】
【0019】
図6は、本発明の請求項4に関る実施例(実施例4)の断面図である。構造は実施例3とほぼ同様であるが発電機ではなく電池20が組み込まれてオゾン発生器用の電源とされている点が異なる。

【産業上の利用可能性】
【0020】
本発明のオゾン脱臭装置は1kg以下で構成することも可能であり、片手でも運搬可能で、使用方法も簡易であることから家庭、飲食店、病院、老人ホーム、自動車の内部等の脱臭が必要となる場所で手軽に利用出来る。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】気体状オゾンと霧状水の混合流体による既存の脱臭装置の構成例を示す。
【図2】気体状オゾンと霧状水の混合流体による既存の脱臭装置の構成例を示す。
【図3】本発明の請求項1に関る脱臭装置の実施例(実施例1)を示す。
【図4】本発明の請求項2に関る脱臭装置の実施例(実施例2)を示す。
【図5】本発明の請求項3に関る脱臭装置の実施例(実施例3)を示す。
【図6】本発明の請求項4に関る脱臭装置の実施例(実施例4)を示す。
【符号の説明】
【0022】
1 オゾン発生器
2 コンプレッサ
3 噴霧ノズル
4 水タンク
5 霧状水と気体状オゾンの混合流体
6 オゾン出口
7 シリンダー
8 ピストン
9 気体状オゾン
10 取っ手
11 ラック&ピニオン
12 発電機
13 オゾン発生器
14 気体状オゾン輸送管
15 逆止弁
16 逆止弁
17 噴霧ノズル
18 水タンク
19 霧状水と気体状オゾンの混合流体
20 電池
21 空気タンク
22 空気流量調節弁
23 加圧空気のオゾン発生器への入口
24 加圧空気

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次のA及びBを備え、Cの作用により気体状オゾンと霧状水の混合流体を発生し、空気を脱臭することを特徴とするオゾン脱臭装置。
A霧状水の発生手段として手動式のピストンポンプ、水タンク及び噴霧ノズル。
B前記Aの手動式ポンプの作動に伴い発電する発電機及び当該発電機を電源とするオゾン発生器。
C前記Aの手動式ポンプを動かすことにより装置外部の空気が前記Bのオゾン発生器を通じて、気体状オゾンとなって当該ピストンポンプ内に導入され、前記Aの噴霧ノズルを通じて外部に放出され、その際前記Aの水タンク内の水が当該噴霧ノズルに吸引されて霧状水となって気体状オゾンと混合される。
【請求項2】
次のA及びBを備え、Cの作用により気体状オゾンと霧状水の混合流体を発生し、空気を脱臭することを特徴とするオゾン脱臭装置。
A霧状水の発生手段として手動式のピストンポンプ、水タンク及び噴霧ノズル。
B電池及び当該電池を電源とするオゾン発生器。
C前記Aの手動式ポンプを動かすことにより装置外部の空気が前記Bのオゾン発生器を通じて、気体状オゾンとなって当該ピストンポンプ内に導入され、前記Aの噴霧ノズルを通じて外部に放出され、その際前記Aの水タンク内の水が当該噴霧ノズルに吸引されて霧状水となって気体状オゾンと混合される。
【請求項3】
次のA及びBを備え、Cの作用により気体状オゾンと霧状水の混合流体を発生し、空気を脱臭することを特徴とするオゾン脱臭装置。
A霧状水の発生手段として手動式のピストンポンプ、空気タンク、水タンク及び噴霧ノズル。
B前記Aの手動式ポンプの作動に伴い発電する発電機及び当該発電機を電源とするオゾン発生器。
C前記Aの手動式ポンプを動かすことにより装置外部の空気が前記Bの空気タンクに加圧蓄積され、更にオゾン発生器を通じて、気体状オゾンとなって、前記Aの噴霧ノズルを通じて外部に放出され、その際前記Aの水タンク内の水が当該噴霧ノズルに吸引されて霧状水となって気体状オゾンと混合される。
【請求項4】
次のA及びBを備え、Cの作用により気体状オゾンと霧状水の混合流体を発生し、空気を脱臭することを特徴とするオゾン脱臭装置。
A霧状水の発生手段として手動式のピストンポンプ、空気タンク、水タンク及び噴霧ノズル。
B電池及び当該電池を電源とするオゾン発生器。
C前記Aの手動式ポンプを動かすことにより装置外部の空気が前記Bの空気タンクに加圧蓄積され、更にオゾン発生器を通じて、気体状オゾンとなって、前記Aの噴霧ノズルを通じて外部に放出され、その際前記Aの水タンク内の水が当該噴霧ノズルに吸引されて霧状水となって気体状オゾンと混合される。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−188327(P2008−188327A)
【公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−27718(P2007−27718)
【出願日】平成19年2月7日(2007.2.7)
【出願人】(592245904)株式会社ハマネツ (11)
【出願人】(597073807)株式会社日省エンジニアリング (7)
【出願人】(300040519)エコデザイン株式会社 (5)
【Fターム(参考)】