説明

オブジェクトの特性を測定するための装置、方法及びコンピュータプログラム

本発明は、オブジェクトの特性を測定する装置に関する。本発明は、対応する方法及びコンピュータプログラムに関する。本装置は、オブジェクトの特定を測定するため、オブジェクトとの間で電磁波を送受信するためのアンテナを有する。アンテナは、オブジェクトのさらなる特性を測定するための電極として機能する導電性要素を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オブジェクトの特性を測定するための装置、方法及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
US6,228,033B1は、患者の3つの重要な生理系である循環、呼吸及び体内水分コンパートメントを測定する装置及び方法を開示する。より詳細には、生体インピーダンスと連続的な血圧測定技術との組み合わせと、任意的には肺活量及び/又はプレチスモグラフィとを通じて、心ポンプ機能、脈管系の弾性特性、体血管抵抗、肺活量及び体内水分コンパートメントの連続的な同時的/同期的かつ非侵襲的測定のための装置及び方法が開示される。当該装置及び方法は、患者の異なる特性を測定するための多数のセンサを必要とする。
【0003】
一方では多数のセンサを用いた多数の測定を利用することは妥当なアプローチであるように見えるが、これは、トータルでは過負荷のシステムに容易になってしまうかもしれない。多数のセンサは、システムの極端に複雑な処理をもたらす。特に、個人医療の用途では、患者は十分な医療的又は技術的訓練を示さず、しばしば正常に機能しないビジョンや低下したモータスキルを有し、これにより、このような複雑な処理を有するシステムを適切に使用することができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、本発明の課題は、オブジェクトの各特性を決定するのに必要とされるセンサの個数を減少させる、オブジェクトの各特性を測定するための装置、方法及びコンピュータプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様では、オブジェクトの特性を測定する装置であって、前記オブジェクトの特性を測定するため、前記オブジェクトとの間で電磁波を送受信するアンテナを有し、前記アンテナは、前記オブジェクトのさらなる特性を測定するための電極として機能する導電性要素を有する装置が提供される。
【0006】
本発明は、オブジェクトの特性を測定するため、オブジェクトとの間で電磁波を送受信するアンテナが、さらなる特性を測定するための電極として機能する導電性要素を有するため、アンテナが、アンテナと電極として機能することによりオブジェクトの異なる特性を測定でき、これにより、オブジェクトの特性を決定するためのセンサの個数を低減できるというアイデアに基づくものである。
【0007】
オブジェクトの特性は、例えば、オブジェクトの特徴又は状態としてみなすことができる。オブジェクトの特性は、例えば、電極として機能する導電性要素を用いることによって、好ましくは測定される心電図などの電気生理特性などである。さらなる特性は、例えば、好ましくは心臓であるオブジェクトの動きであり、好ましくはオブジェクトとの間で電磁波を送受信することにより測定されるメカニカルな活動(mechanical activity)などである。
【0008】
本装置は、電極として機能する導電性要素を有する1以上のアンテナを有することが可能である。複数のアンテナを用いることにより、インピーダンスカルジオグラフィー又は生体インピーダンス測定を実行することによって、電極として機能する複数の導電性要素によるさらなる特性、特に電気生理特性の測定を可能にする。さらに、例えば、アンテナの1つは電磁波を送信可能であり、他のアンテナはオブジェクトから反射された電磁波を受信可能である。
【0009】
導電性要素は、好ましくは金属板である。導電性要素は、好ましくは金属板であるため、導電性要素はパッチアンテナ又はその一部として利用可能である。すなわち、アンテナは、好ましくはパッチアンテナであり、パッチアンテナの金属板が、好ましくは、特性、特にオブジェクトの電気生理特性を同時に測定するための電極として使用される。
【0010】
導電性要素は、心電図測定のために構成されることが好ましい。
【0011】
オブジェクトは、動くオブジェクトであり、アンテナは、動くオブジェクトにより反射可能な電磁波を発射するよう構成され、アンテナは、前記動くオブジェクトから反射された電磁波を受信するよう構成されることがさらに好ましい。これは、動くオブジェクトから反射された電磁波に応じて、オブジェクト又はその一部の動きを決定することを可能にする。オブジェクトは、好ましくは、人間の心臓であり、電磁波は、人間の心臓の壁から、特に壁の一部から反射される。従って、人間の心臓の壁の動きは、好ましくは、心電図を測定することと同時に決定可能である。従って、人間の心臓の動きを測定することによって、心筋の電気的な刺激(心電図)と、この刺激のメカニカルな活動への変換とを決定することが可能である。従って、心臓の電気的刺激とこの電気的刺激に対するメカニカルな反応とが、特に1つのセンサを有する本装置の当該好適な実施例により決定可能である。特に、心筋が電気的励起に対してメカニカルにどの程度の速さで反応するか決定することが可能であり、これは、非侵襲的なカフなしの血圧測定と動脈壁の硬化の決定に対して重要である。
【0012】
好適な実施例では、当該装置は、アンテナを複数有し、複数のアンテナの少なくとも1つは、複数のアンテナの他のアンテナの電磁波の周波数と異なる周波数により電磁波を送受信するよう構成される。これは、アンテナを同時に動作させることを可能にする。
【0013】
好ましくは、当該装置は、ドップラー効果を利用して動くオブジェクトから反射された受信した電磁波に応じて、オブジェクトの動きを示す動き情報を決定する動き決定部を有する。これは、オブジェクトの動き、特にオブジェクト自体の動きを示す動き情報を、正確かつより少ない計算量により決定することを可能にする。
【0014】
当該装置は、特にアンテナのフェーズドアレイを利用することによって、電磁波のビームを形成するよう構成されるアンテナのいくつかを有する。これは、電磁波を送受信すべき領域に電磁波を誘導することを可能にする。さらに、アンテナは、他の方向からの入力信号を抑えながら、特定方向に感度を高くすることができる。従って、例えば、調整可能なフェーズシフタが使用される場合、アンテナをメカニカルに移動させる必要なく、入力信号の所与の領域をスキャンすることが可能である。
【0015】
オブジェクトは、外部オブジェクト(outer object)の内部にある内部オブジェクト(inner object)であり、アンテナは、外部オブジェクトの表面、特に患者の皮膚とアンテナとの間の相対的な移動を防ぐため、表面に付着可能であることがさらに好ましい。特に、導電性要素は、表面、特に外部オブジェクトである患者の皮膚に付着される。例えば、アンテナ、特に導電性要素は、外部オブジェクトの表面にアンテナを固着させるため、外部オブジェクトの表面に固着可能である。これは、表面とアンテナとの間の相対的な動きなないことを意味する。特に、ドップラー効果が内部オブジェクト、特に心壁のメカニカルな動きを決定するのに使用される場合、外部オブジェクトの表面とアンテナとの間の相対的な動きは、アンテナにより受信される電磁波を歪める可能性がある。これは、電磁波が、一般に表面においても反射され、さらなるドップラーシフトを生じさせるためである。
【0016】
好ましくは、オブジェクトのさらなる特性、特に電気生理特性が、アンテナにより送受信される電磁波の周波数と異なる周波数を有する導電性要素により電気信号を検出することによって測定可能となるように、導電性要素及び/又はアンテナが構成される。特に、電磁波の周波数は、さらなる特性、特に電気生理特性を測定するための電気信号の周波数より高い数オーダの大きさである。従って、導電性要素が電極として機能し、アンテナの電磁波の電気信号がフィルタなどを用いて容易に分離可能である特に電気生理測定のさらなる測定、特に電気生理測定のさらなる測定、及び特にオブジェクトの壁又はその一部の動きなどのメカニカルな特性の測定などの電磁波を利用した測定が、同時に実行可能である。
【0017】
オブジェクトは、患者、特に人間の患者又は動物の患者の心臓であり、当該装置は、アンテナの少なくとも2つの電極として機能する導電性要素により測定される心電図信号と、少なくとも2つのアンテナによりオブジェクトとの間で送受信される電磁波から決定される心臓のメカニカルな活動とに基づき、血圧及び/又は動脈壁の硬化を決定する特性決定部を有する。これは、血圧及び/又は動脈壁の硬化を非侵襲的に、好ましくはカフなしにより決定することを可能にする。
【0018】
本発明のさらなる態様では、オブジェクトの特性を測定する方法であって、オブジェクトの特性を測定する装置が使用され、前記装置は、導電性要素を有するアンテナを有し、前記オブジェクトの特性を測定するため、前記アンテナにより前記オブジェクトとの間で電磁波が送受信され、前記オブジェクトのさらなる特性が、前記導電性要素を電極として使用することによって測定される方法が提供される。
【0019】
本発明のさらなる態様では、オブジェクトの特性を測定するためのコンピュータプログラムであって、請求項11記載の方法の各ステップをコンピュータに実行させるためのプログラムコード手段を有し、当該コンピュータプログラムは、請求項1記載の装置を制御するコンピュータ上で実行されるコンピュータプログラムが提供される。
【0020】
請求項1の装置、請求項11の方法及び請求項12のコンピュータプログラムは、特に従属クレームに規定されるような同様の及び/又は同一の好適な実施例を有することが理解されるであろう。
【0021】
本発明の好適な実施例はまた、各独立クレームと従属クレームとの何れかの組み合わせとすることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
本発明の上記及び他の態様は、後述される実施例を参照することにより明らかになるであろう。
【図1】図1は、オブジェクトの特性を測定するための一例となる装置を概略的に示す。
【図2】図2は、導電性要素を有する一例となるアンテナを概略的に示す。
【図3】図3は、単一の矩形パッチアンテナの一例となるメインローブを概略的に示す。
【図4】図4は、フェーズドアレイアンテナの一例となる動作原理を概略的に示す。
【図5】図5は、一例となる2つのパッチアンテナ、オブジェクト及び装置の電磁波生成信号処理部を概略的に示す。
【図6】図6は、一例となるドップラーレーダ信号を概略的に示す。
【図7】図7は、オブジェクトの特性を測定するための方法を示す一例となるフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1は、オブジェクトの特性を測定するための一例となる装置1を概略的に示す。本実施例では、装置1は、外部オブジェクト8に付着され、内部オブジェクト2にある2つのアンテナ3,4を有する。図1において、内部オブジェクト2と外部オブジェクト8のみが概略的に示される。外部オブジェクト8は、好ましくは、心臓2を有する患者である。アンテナ3,4は、好ましくは、アンテナ3,4が外部オブジェクト8の表面に対して動かないが、内部オブジェクト2、特に患者の心臓がアンテナ3,4の位置に関して依然として動きうるように、外部オブジェクト8の表面に、特に患者の皮膚に付着される。
【0024】
本実施例では、アンテナ3,4はパッチアンテナである。パッチアンテナ3は、図2に例示的に概略表示される。本実施例では、パッチアンテナ3,4は同一の構成を有する。他の実施例では、異なるアンテナは異なる構成を有しうる。例えば、異なるアンテナの電磁波がフィルタ部などを用いることによって分離可能となるように、異なる動作周波数を提供するため、異なるアンテナが構成可能である。
【0025】
図2を参照するに、パッチアンテナ3は、本実施例では金属板である導電性要素21を有する。導電性要素21は、誘電定数εを有する非導電性誘電基板23に付着される。導電性要素21は、好ましくは、基板23に固着される。導電性要素21がある側の反対の基板23の側には、接地板22が配置される。好ましくは、接地板22もまた基板23に固着される。
【0026】
好ましくは、導電性要素21は、内部オブジェクト2の特性の測定中、外部オブジェクト8と、特に患者の皮膚と接触し、導電性要素21は電気生理測定のための電極として機能する。さらに、パッチアンテナ3,4は、内部オブジェクト2との間で電磁波を検知及び/又は受信するよう構成される。
【0027】
好適な実施例では、パッチアンテナ3,4は、メカニカルな心臓活動を調べるのに適した動作周波数を有するように構成される。このような動作周波数は、好ましくは、2〜3GHzの範囲内の周波数であり、さらに2.4〜2.6GHzの範囲内であることが好ましく、好ましくは2.45GHzである。
【0028】
パッチアンテナ3,4を構成するため、好ましくは、以下の式が利用される。
【0029】
【数1】

式(1)において、Wは導電性要素21の幅を示し、fはパッチアンテナ3,4の動作周波数を示し、νは真空中の光速を示す。幅Wが計算されると、導電性要素21の適切な長さが後述される式を用いて決定可能である。実際、導電性要素21の長さは物理的サイズより実質的に長く、パッチの端のフィールドラインの屈曲による効果が発生する。これを考慮するため、パッチアンテナ3,4の有効誘電定数又は誘電率は、好ましくは、以下の式に従って決定される。
【0030】
【数2】

ただし、hは基板23の高さである。
【0031】
導電性要素21の実質的な長さΔLは、以下の式を用いることによって決定可能である。
【0032】
【数3】

ただし、c,...,c及びKは定数である。これらの定数は、好ましくは、以下の値を有する。c=0.3,c=0.264,c=0.258,c=0.8及びK=0.412である。これらの定数は、好ましくは、実験において経験的に決定される。式(3)に関するさらなる詳細については、参照することによりここに援用される、Constantine A.Balanis:“Antenna theory−Analysis and Design”,Second Edition 1997,John Wiley&Sons,Inc.を参照されたい。
【0033】
最終的に、導電性要素21の物理的長さLは、以下の式により決定可能である。
【0034】
【数4】

例えば、動作周波数が2.45GHzであり、基板23の高さが3mmであり、基板23の誘電定数又は誘電率が4.2である場合、導電性要素21に対して、29mmの長さと38mmの幅が計算できる。これは、標準的な心電図の電極のサイズにほぼ等しい。
【0035】
導電性要素21のサイズは、より高い誘電率又は誘電定数εを有する基板23を用いることによって容易に減少させることが可能である。
【0036】
図6は、一例となるパッチアンテナ3により受信される時間と任意のユニットにおける信号25(ドップラーレーダ信号)を概略的に示す。
【0037】
信号25の取得中、パッチアンテナが患者の裸の胸に付着される。
【0038】
図3は、単一の矩形パッチアンテナ3又は4の放射パターンの一例となるメインローブ40を概略的に示す。メインローブ40は、実質的に対称である。本実施例では、パッチアンテナはxy平面にあり、メインローブがこの平面から垂直に突出する。
【0039】
図4は、複数のパッチアンテナ3、特に6つのパッチアンテナ3を有する一例となるアレイ構成27を概略的に示す。パッチアンテナ3は、実質的にフォーカスされたメインローブが生成されるように構成される。ここでは、複数のより小さなサイドローブが存在するが、放射の大部分はメインローブに集中される。
【0040】
パッチアンテナ3のアレイ構成は、好ましくは、異なる方向にメインローブを揺動可能となるように構成される。これは、好ましくは、複数のパッチアンテナ3(フェーズドアレイ)のフィードラインに調整可能な位相遅延を導入することによって実現される。これら異なる位相遅延がビーム形成に利用可能である。
【0041】
メインローブは、位相シフトφ...φを送信機の励起信号35に導入するフェーズシフタ34を用いて異なる方向に方向付けることができる。励起信号35は、フェーズシフタ34に入力される。フェーズシフタ34は、パッチアンテナ3により発信される放射の放射方向36が所望の方向を指示するように、励起信号35の位相をシフトする。位相シフト信号は33により示される。位相シフトφ...φを変更することによって、放射32、すなわち、パッチアンテナ3から生じる波面は、所望の方向に放射可能となる。例えば、位相シフトφ...φは、放射32が揺動されるように変更可能である。このようなアンテナアレイ構成により電磁波を受信しながら異なる位相シフトφ...φを用いることによって、アンテナ構成は特定方向に感度が高くなり、他の方向からの入力信号を抑制する。このため、電気的に調整可能なフェーズシフタ34が使用される場合、アンテナアレイ構成をメカニカルに移動させる必要なく、入力される電磁波に対して所与のエリアをスキャンすることが可能である。
【0042】
図1を再び参照するに、パッチアンテナ3,4は電磁波生成信号処理部5に接続される。ここで、電磁波生成信号処理部5の一実施例が、図5において例示的により詳細に示される。
【0043】
電磁波生成信号処理部5は、パッチアンテナ3,4を介しオブジェクトに送信される電磁波を生成し、パッチアンテナ3,4を介しオブジェクトから反射される電磁波を受信するよう構成される。さらに、電磁波生成信号処理部5は、電極として機能するパッチアンテナ3,4の導電性要素21から信号を受信するよう構成される。電磁波生成信号処理部5は、オブジェクトの電気生体特性と本実施例ではメカニカル特性とが決定可能となるように、パッチアンテナ3,4、特にパッチアンテナの導電性要素21から受信した信号を処理する。
【0044】
図5では、パッチアンテナ3,4は、心臓2の特性を決定するため、患者8に付着される。パッチアンテナ3,4は、電磁波生成信号処理部5に接続される。
【0045】
パッチアンテナ3は、電磁波生成信号処理部5のキャパシタ9とローパスフィルタ11とに接続される。キャパシタ9はさらに、電磁波生成信号処理部5の送信機13と受信機14とに接続される。電磁波生成信号処理部5はさらに、送信機13及び受信機14からの信号をミキシングし、ミキシングされた信号をローパスフィルタリングするためのミキサ16とローパスフィルタ15とを有する。ローパスフィルタリングされたミキシング信号は、以下の式により記述可能な周波数fDoppler,Aを有する。
【0046】
【数5】

式(5)では、f0,Aは送信機14によりパッチアンテナ3を介し患者8に送信される電磁波の周波数であり、νは、周波数f0,Aの電磁波が反射される心壁の一部の動きの速度を示す。
【0047】
ミキサは、受信信号と送信信号とを多重化する。特に、異なる周波数を有する2つの信号の乗算は、以下の式により記述可能である。
【0048】
【数6】

ただし、f及びfは異なる周波数である。従って、ミキシングの結果は、一方が差分周波数f−fを有し、他方が和周波数f+fを有する2つの成分を有する信号となりうる。ローパスフィルタは、和周波数を有する成分を取り除く。これは、電磁波が反射されるオブジェクトが動かない場合、ドップラーシフトはない、すなわち、これら2つのミキシング信号の周波数差分はなく、ローパスフィルタの出力ではゼロとなることを意味する。実際にオブジェクトが動く場合、ドップラーシフトはあり、すなわち、周波数差分があり、このためローパスフィルタ出力における信号もある。
【0049】
ドップラー周波数fDoppler,Aを有するローパスフィルタリングされたミキシング信号が、オブジェクトの動きを示す動き値を決定するため、装置1の動き決定部7に提供される。本実施例では、動き決定部7は、これらの動き値を参照するよう構成される。例えば、動き決定部7は、式(5)を用いることによって心壁の一部の動きの速度νを計算し、特に電磁波生成信号処理部5から受信したローパスフィルタリングされたミキシング信号と共にこの速度を参照することができる。本実施例では、動き決定部7は、それぞれドップラー周波数fDoppler,A及びfDoppler,Bを有する2つのパッチアンテナ3,4から2つのローパスフィルタリングされたミキシング信号を受信する。本実施例では、各パッチアンテナ3,4に対して、心臓2の壁の一部の速度が決定され、動き決定部7によりそれぞれローパスフィルタリングされたミキシング信号と共に参照される。
【0050】
図6は、後述されるローパスフィルタ15又は19の出力となりうる一例となるドップラーレーダ信号25を概略的に示す。人間の心臓のメカニカルな活動は可視的である。心臓のメカニカルな活動がない場合、信号25は実質的に水平線となるであろう。しかしながら、心臓は拍動しているため、信号25のピークは各心拍で発生する。
【0051】
電磁波生成信号処理部5はさらに、パッチアンテナ4と、電磁波生成信号処理部5の送信機17及び受信機18とに接続される第2キャパシタ10を有する。送信機17と受信機18とからの信号は、ミキサ20によりミキシングされ、ローパスフィルタ19によりローパスフィルタリングされる。ミキシングされてローパスフィルタリングされた信号はドップラー周波数fDoppler,Bを有し、動き決定部7に提供される。ドップラー周波数fDoppler,Bは、以下の式により記述可能である。
【0052】
【数7】

式(7)において、f0,Bは送信機17の周波数を示し、νは、パッチアンテナ4を介し送信機17によって送信された電磁波が反射された心臓2の壁の一部の動きの速度を示す。
【0053】
周波数f0,Aを有する電磁波が、送信機13、キャパシタ9及びパッチアンテナ3を用いて患者8に送信される。電磁波は、人間の心臓2の壁の一部により反射され、好ましくは、f0,A±fDoppler,Aを有する反射された電磁波は、パッチアンテナ3及びキャパシタ9を用いて受信機14により受信される。そして、送信機17は、キャパシタ10及びパッチアンテナ4を介し患者8に周波数f0,Bの電磁波を送信する。この電磁波は、人間の心臓2の壁の一部により反射される。好ましくは、反射された電磁波はf0,B±fDoppler,Bの周波数を有すると仮定される。反射された電磁波は、パッチアンテナ4及びキャパシタ10を介し受信機18により受信される。
【0054】
電磁波生成信号処理部5はさらに、心電図信号をローパスフィルタリングするためのローパスフィルタ11を有する。ローパスフィルタ11は、キャパシタ9とパッチアンテナ3との間と、キャパシタ10とパッチアンテナ4との間とに接続される。このようにして、アンテナ3,4を用いて送受信される高周波数は、心電図アンプ12に侵入することが防がれる。電磁波生成信号処理部5に含まれるこのアンプ12は、ローパスフィルタ11から受信したローパスフィルタリングされた心電図信号を増幅する。ローパスフィルタリングされた増幅された心電図信号ECGoutは、心電図信号を示す観察部6に提供される。
【0055】
装置1は、好ましくは、パッチアンテナ3,4の導電性要素21が心電図電極として機能し、パッチアンテナ3,4が共に電磁波を送受信するのに用いられるように使用される。これら2つのパッチアンテナ3,4は、好ましくは、異なる周波数により動作し、これにより、同時に動作可能となる。しかしながら、一方のみがある時点で動作するように、時間多重モードによりパッチアンテナ3,4を機能させることもまた可能である。さらに、装置1は、パッチアンテナ3,4の一方のみが電磁波を送信し、他方がオブジェクト、特に心臓2の壁の一部から反射された電磁波を受信するよう構成することも可能である。
【0056】
後述されるような前駆出時間の決定のため、メカニカルな心臓の動きを表す信号のみが要求される。すなわち、2つの電極の一方のみをアンテナとして機能させれば十分である。
【0057】
アンプ12の前方のローパスフィルタ11は、高周波数成分を除去する。補完的に、キャパシタ9,10は、電磁波の高周波数のみが通過可能となるようにハイパスフィルタを表す。このようにして、2つの測定モダリティの信号を分離することが可能である。
【0058】
装置1を用いることによって、オブジェクト2、特に患者8の心臓2のメカニカルな動作に関する心電図及び情報が同時に決定できる。患者の胸のパッチアンテナ3,4は、電磁波を送受信するためのアンテナ及び心電図電極として同時に機能する。
【0059】
図1及び8において、それぞれが電極として機能する導電性要素21を有する2つのパッチアンテナ3,4は、心電図を測定するため利用される。しかしながら、心電図を測定するため、又は他の生理的測定を実行するため、他の個数のアンテナが利用可能である。例えば、診断用の12リード心電図は、患者の体に10個の電極を必要とする。この場合、電極として導電性要素を有する10個のアンテナが、好ましくは使用される。
【0060】
上述した実施例では、矩形のパッチアンテナが使用される。しかしながら、他の実施例では、生理測定のための電極として機能する導電性要素を有する他のタイプのパッチアンテナ又は他のタイプのアンテナが利用可能である。例えば、“Microstrip and Printed Antenna Design”,Randy Bancroft,ISBN:1884932−58−4,Publisher:Noble−SciTech,2004などに記載される環状のパッチアンテナが利用可能である。
【0061】
装置1はさらに、観察部6及び動き決定部7に接続される特性決定部36を有する。特性決定部36は、オブジェクトの特性を決定するため、特に2つのパッチアンテナ3,4の電極として機能する導電性要素21により測定される心電図信号と、2つのパッチアンテナ3,4によりオブジェクトとの間で送受信される電磁波から決定される心臓のメカニカルな活動とに基づき、血圧及び/又は動脈壁の硬化を決定するよう構成される。
【0062】
以下において、図7に示されるフローチャートを参照して、オブジェクトの特定を測定するための方法の一実施例が説明される。
【0063】
ステップ101において、心電図がパッチアンテナ3,4の導電性要素21を用いることによって測定され、同時に送信機13,17がパッチアンテナ3,4を介し患者8の心臓2に電磁波を送信する。心臓2の壁の一部から反射した電磁波は、パッチアンテナ3,4を介し受信機14,18により受信される。
【0064】
ステップ102において、パッチアンテナ3,4の導電性要素21により受信される心電図信号は、ローパスフィルタ11によりローパスフィルタリングされ、アンプ12により増幅され、観察部6に提供される。さらに、パッチアンテナ3,4を介し各送信機13,17により送信される電磁波に対応する信号と、パッチアンテナ3,4を介し受信機14,18により受信される反射された電磁波に対応する信号とが、各ケースにおいて、各ミキサ16,20によりミキシングされ、各ローパスフィルタ15,19によりローパスフィルタリングされる。ドップラー周波数fDoppler,A及びfDoppler,Bを有する結果として得られた信号が、動き決定部7に提供される。
【0065】
動き決定部7は、ステップ103において、電磁波生成信号処理部5から受信した信号から、オブジェクトの動き、特に心壁の動きに関する情報を決定する。
【0066】
特に、信号の1つが図6に示される信号のようなものとなりうる電磁波生成信号処理部5から受信される各信号が実質的にフラットな直線である場合、人間の心臓の動きは実質的に存在しない。心拍は、信号のピークにより表される。従って、動き情報は、好ましくは、信号のピークの時間的ポジションであり、すなわち、心拍の時間的ポジションである。これらのピークは、好ましくは、心臓のメカニカルな活動を表す。
【0067】
ステップ104において、オブジェクトの特性を決定するための特性決定部36は、特にいわゆるパルス送信時間に基づき血圧などの特性を決定する。1つのセンサ、すなわち、1つのパッチアンテナが測定に使用され、心臓2の電気(心電図)及びメカニカルな動きが同時に測定されるため、特性決定部36は、心筋が電気的励起にメカニカルに応答するのに必要な時間を決定することができる。この応答時間は、パルス送信時の測定結果に基づき非侵襲的なカフなし(cuff−less)の血圧測定に利用可能である。
【0068】
パルス送信時間は、パルス波が心臓においてスタートし、それが指などの体の特定部分に到達するまでの時間である。パルス送信時間は、複数の生理パラメータに依存し、その1つは血圧である。従って、パルス送信時間を測定することによって、その他の生理パラメータが既知である場合に現在の血圧を計算することが可能である。このため、特性決定部36は、現在の血圧を非侵襲的かつカフなしで決定するよう構成可能である。
【0069】
特に、心臓のメカニカルな活動を表すレーダ信号にピークが発生した時点が、心電図信号にピークが発生した時点とが比較される。心電図は心臓の電気的励起であり、このため、それらはすべて心電図におけるピークからスタートする。その後、心筋がこの励起に応答し、収縮をスタートするまでしばらくかかる。このため、心臓は血圧を上昇させるが、最初は何も起こらない。これは、動脈系の血圧はより高いためである。心筋が徐々に収縮してしばらくした後になって始めて、心臓内部の圧力は高くなり、最終的に動脈圧を超えて、その後に心臓弁が開き、メカニカルな動きが生じる。心電図のピークとメカニカルな動きを表すレータ信号のピークとの間の遅延は大きく、この時間差は“前駆出時間(Pre−ejection period)”と呼ばれる。双方の信号が同時に測定される。心電図信号とレーダ信号の双方のピークが検出され、時間差(前駆出時間)が計算される。
【0070】
血圧は、心臓におけるパルス波のスタートポイントして心電図のピークを決定し、特に光学的に指先などへのパルス波の到着時間を測定することによって、パルス送信時間から決定することができる。血圧が高くなるに従って、心臓から指までの移動時間は短くなる。
【0071】
一般に、心電図のピークは、上述された前駆出時間のため、心臓におけるパルス波の心のスタート時間を示していない。これは、以下の式により表現できる。
【0072】
【数8】

ここで、パルス到着時間PATは、前駆出時間PEPとパルス送信時間PTT(心臓から指までの移動時間など)の和である。
【0073】
前駆出時間は、ステップ101において実行されるような心臓のメカニカルな反応と、心臓の電気的励起とを同時に観察することによって決定できる。
【0074】
従って、好ましくは、ステップ104において、前駆出時間PEPが決定され、好ましくはステップ101でも測定されるが、他の実施例ではステップ101の実行前後に測定可能なPATを測定することによって、正確な血圧指標を可能にするよう利用される。
【0075】
PAT及びPEPが既知である場合、PTTが式(8)により計算可能であり、PTTから、血圧BPが、
【0076】
【数9】

の測定式などを用いて導出できる。
【0077】
血圧BPはPTTに反比例し、A及びBは測定係数である。この血圧決定は、参照することによりここに援用される、Muehlsteff,J.,Aubert,X.L.,Schuett,M.による“Cuffless Estimation of Systolic Blood Pressure for Short Effort Bicycle Tests:The Prominent Role of the Pre−Ejection Period”Engineering in Medicine and Biology Society,2006.EMBS apos;06.28th Annual International Conference of the IEEE,Aug.2006 ページ5088−5092により詳細に説明される。
【0078】
従って、好ましくは、ステップ101において、心電図とメカニカルな心臓の動きとが同時に測定される。
【0079】
その後、ステップ102の後にステップ103において、レーダ信号のピークが心臓の動きに関する情報として決定される。
【0080】
ステップ104において、心電図のピークが決定され、心電図とレーダ信号のピークの間の時間差が計算され、前駆出時間PEPとなる。心臓から指までのパルス波の心の移動時間、すなわち、パルス送信時間が式(8)を用いて計算され、式(9)を用いて血圧に変換される。ここで、パルス送信時間を計算するため、さらなる測定、特にさらなる光学的測定は、例えば、指のパルス波の到着を検出する指先において実行される。この測定は、好ましくは、ステップ101において実行される。
【0081】
上述されるように、一般に、心電図のピークは、パルス波が心臓をスタートした時点であると仮定される。しかしながら、電気的励起に応答するのに要する心筋の反応時間のため、これは真ではない。心電図のピークとパルス波の実際のスタートとの間の時間は、前駆出時間と呼ばれる。従って、好ましくは、心電図を用いることにより測定されるパルス送信時間は、パルス送信時間を用いたさらなる計算からより正確な血圧値を取得するため、前駆出時間を差し引くことによって訂正される必要がある。一実施例では、前駆出時間が推定され、推定された前駆出時間が差し引かれる。しかしながら、上述されるように、前駆出時間は、パルス送信時間の精度と決定された現在の血圧の精度とを向上させるため、各心拍に対して特定決定部36により決定されることが好ましい。
【0082】
上述された実施例では、アンテナ3,4の導電性要素21が心電図を測定するため使用されるが、他の実施例では、特にさらなるセンサを使用する必要なくさらなる生理情報を取得するため、インピーダンスカルジオグラフィー又は生体インピーダンス測定など、アンテナの導電性要素である電極を用いた他の何れかの電気生理的測定が実行可能である。
【0083】
本発明の実施例を利用することによって、2つの補完的な測定モダリティが1つのセンサに組み合わせ可能であり、2つの測定モダリティは同時に利用可能である。さらに、皮膚上の電極を使用した何れかの電気生理的測定をさらなる体へのセンサなしに向上させることが可能である。さらに、心電図測定設定において用いられる場合、導電性要素を有するアンテナは、心臓のパフォーマンスの完全な画像、すなわち、心臓の電気的励起及びメカニカルな動きをキャプチャすると共に、非侵襲的なカフなしの血圧測定を可能にし、動脈壁の硬化を決定することも可能にする。さらに、個人のヘルスケア設定における患者の取り扱いと利用性を向上させることが可能であり、測定システムを簡単化することが可能であり、個人のヘルスケア設定における患者による使用ミスのリスクを軽減する。さらに、システムコストが、センサと付属物とを節約することによって低減できる。
【0084】
動脈壁の硬化は、血圧の次にPTTに影響を与えるパラメータの1つである。上述した式(9)において、動脈壁の硬化は測定係数A及びBに含まれる。血圧は急速に変動しうるが、動脈壁の硬化はやや一定である。それはときには動脈の“年齢”の指標として使用される。これは、加齢と共に動脈が硬化するためである。従って、一実施例では、現在の血圧は血圧カフなどの他の方法を用いて決定され、その後に動脈壁の硬化が、測定されたPTTを用いて式(9)から計算される。これは、例えば、参照することによりここに援用される、Juan Du,Gangmin Ning,Yingqi Li,Xiaoxiang Zhengによる“Arterial Stiffness Estimation in Hypertension”Engineering in Medicine and Biology Society,2005,IEEE−EMBS 2005.27th Annual International Conference of the Volume,Issue,2005ページ5507−5510により詳細に説明される。
【0085】
好ましくは、電磁波の周波数は、一般的な心電図の帯域幅(0.67Hz...150Hz)よりはるかに高く、すなわち、電磁波の周波数は、好ましくは、電極として導電性要素を用いる電気生理測定の周波数より高い大きさの1又は数オーダである。これは、フィルタを用いて容易に2つの測定を分離することを可能にする。
【0086】
オブジェクトにおいて、特に心臓の壁において反射された電磁波は、オブジェクトのメカニカルな活動に関する情報を搬送し、特に心臓のメカニカルな活動に関する情報を搬送する。以下の式において、Θ(t)は、関連する速度成分ν(t)による反射面により生じる時間可変的な位相であり、Ξはセンサと反射物との距離である。
【0087】
【数10】

式(10)は、メカニカルな活動に関する情報を決定するため利用可能である。このようなメカニカルな活動の決定は、参照することによりここに援用される、J.A.J.Thijs,J.Muehlsteff,R.Pinterによる“The use of a two channel Doppler Radar Sensor for the characterization of heart motion phases”IEEE EMBC 2006により詳細に説明される。
【0088】
上述した実施例では、オブジェクトは、好ましくは、人間の患者の内部の心臓であったが、他の実施例では、オブジェクトの特性を測定するための装置、方法及びコンピュータプログラムは、動物、特に動物の一部の特性を測定するよう構成可能である。例えば、アンテナは、動物の心臓のメカニカルな活動を測定するのに利用可能であり、アンテナの導電性要素は、動物の心臓の心電図を測定するための電極として機能することが可能である。好ましくは、電極として機能する導電性要素を有する2つのアンテナが利用される。
【0089】
開示された実施例の他の変形が、図面、開示及び添付した請求項を参照することにより、請求された発明を実施する当業者により理解及び実施可能である。
【0090】
請求項において、“有する”という用語は他の要素又はステップを排除するものでなく、“ある”という不定冠詞は複数を排除するものでない。
【0091】
単一のプロセッサ又は他のユニットは、請求項に記載された複数のアイテムの機能を実行してもよい。特定の手段が互いに異なる従属クレームに記載されるという事実は、これらの手段の組み合わせが効果的に利用可能でないことを示すものでない。
【0092】
1以上のユニット又は装置により実行される、電気生理測定の結果と電磁波を用いた測定の結果とを用いたオブジェクトの動きに関する情報の決定又はオブジェクトの特性の決定など、各決定及び計算は他の個数のユニット又は装置により実行可能である。例えば、動き決定部7と特定決定部36と、好ましくは観察部6との各機能は、単一のユニット又は他の何れかの個数のユニットにより実行可能である。本発明による方法による装置の計算、決定及び/又は制御は、コンピュータプログラムのプログラムコード手段及び/又は専用ハードウェアとして実現可能である。
【0093】
コンピュータプログラムは、他のハードウェアと共に又はその一部として提供される光記憶媒体又はソリッドステート媒体などの適切な媒体に格納/配布されてもよいが、インターネットや他の有線又は無線通信システムを介するなど、他の形態により配布されてもよい。
【0094】
請求項の参照符号は、本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきでない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
オブジェクトの特性を測定する装置であって、
前記オブジェクトの特性を測定するため、前記オブジェクトとの間で電磁波を送受信するアンテナを有し、
前記アンテナは、前記オブジェクトのさらなる特性を測定するための電極として機能する導電性要素を有する装置。
【請求項2】
前記導電性要素は、金属板である、請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記導電性要素は、心電図測定のために構成される、請求項1記載の装置。
【請求項4】
前記オブジェクトは、動くオブジェクトであり、
前記アンテナは、前記動くオブジェクトにより反射可能な電磁波を発射するよう構成され、
前記アンテナは、前記動くオブジェクトから反射された電磁波を受信するよう構成される、請求項1記載の装置。
【請求項5】
当該装置は、前記アンテナを複数有し、
前記複数のアンテナの少なくとも1つは、前記複数のアンテナの他のアンテナの電磁波の周波数と異なる周波数により電磁波を送受信するよう構成される、請求項1記載の装置。
【請求項6】
当該装置は、ドップラー効果を利用して前記動くオブジェクトから反射された受信した電磁波に応じて、前記オブジェクトの動きを示す動き情報を決定する動き決定部を有する、請求項4又は5記載の装置。
【請求項7】
当該装置は、特に前記アンテナのフェーズドアレイを利用することによって、前記電磁波のビームを形成するよう構成される前記アンテナのいくつかを有する、請求項1記載の装置。
【請求項8】
前記オブジェクトは、外部オブジェクトの内部にある内部オブジェクトであり、
前記アンテナは、前記外部オブジェクトの表面と前記アンテナとの間の相対的な移動を防ぐため、前記表面に付着可能である、請求項1記載の装置。
【請求項9】
前記オブジェクトのさらなる特性が、前記アンテナにより送受信される前記電磁波の周波数と異なる周波数を有する前記導電性要素により電気信号を検出することによって測定可能となるように、前記導電性要素及び/又は前記アンテナが構成される、請求項1記載の装置。
【請求項10】
前記オブジェクトは、患者の心臓であり、
当該装置は、前記アンテナの少なくとも2つの電極として機能する前記導電性要素により測定される心電図信号と、前記少なくとも2つのアンテナにより前記オブジェクトとの間で送受信される電磁波から決定される前記心臓のメカニカルな活動とに基づき、前記血圧及び/又は前記動脈壁の硬化を決定する特性決定部を有する、請求項1記載の装置。
【請求項11】
オブジェクトの特性を測定する方法であって、
オブジェクトの特性を測定する装置が使用され、
前記装置は、導電性要素を有するアンテナを有し、
前記オブジェクトの特性を測定するため、前記アンテナにより前記オブジェクトとの間で電磁波が送受信され、
前記オブジェクトのさらなる特性が、前記導電性要素を電極として使用することによって測定される方法。
【請求項12】
オブジェクトの特性を測定するためのコンピュータプログラムであって、
請求項11記載の方法の各ステップをコンピュータに実行させるためのプログラムコード手段を有し、
当該コンピュータプログラムは、請求項1記載の装置を制御するコンピュータ上で実行されるコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2011−507583(P2011−507583A)
【公表日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−539007(P2010−539007)
【出願日】平成20年12月16日(2008.12.16)
【国際出願番号】PCT/IB2008/055339
【国際公開番号】WO2009/081331
【国際公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】