説明

オブジェクト制御システム、配信サーバ、端末装置、及びプログラム

【課題】描画速度の遅れに伴い映像と音声との間に生じる出力タイミングのずれを抑えることのできる出音方法を提供する。
【解決手段】店舗サーバ5のゲーム処理部54が実行する出音処理では、ゲーム処理部54は、出音の順番が来た出音データに含まれる音データの移動距離情報と、各フレームの馬オブジェクトの描画データとを比較する(S11)。次に、ゲーム処理部54は、比較した音データの移動距離情報が定める距離を、何れかの馬オブジェクトが通過するか否かを判定する(S12)。S12の処理にて、何れかの馬オブジェクトの描画データに含まれる距離データの表す移動距離が、出音データの移動距離情報の表す距離を超えたと判定されると、ゲーム処理部54は、出音データに含まれる音声IDに対応する音声データを再生し、音声を出音する(S13)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コース上を移動する複数のオブジェクトの位置制御に応じて出音を行うためのオブジェクト制御システム、配信サーバ、端末装置、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
オブジェクトの制御と出音とのタイミングを合わせる方法としては、下記の特許文献1に記載の動画像再生方法が開示されている。この方法では、一連の動画を分割したコマ画像のコマ送り再生時に、出力音声のBPM(ビート・パー・ミニッツ)に合わせてダイナミックレンジを変化させてコマ送り処理の速度を変え、動画像の再生速度を音声の再生速度に合わせている。
【0003】
【特許文献1】特開2001−269483号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
映像表示のための描画処理には大きな負担がかかることから、所定の時間間隔で生成される予定の各フレームの描画時間が遅れ、描画処理とは別個に行われる出音処理との間に、出力タイミングのずれが生じる虞があった。しかしながら、上記従来の出音方法では、出音速度に合わせて描画速度を変えているにすぎず、描画速度の遅れに伴う映像と音声との間のずれを抑えることはできなかった。
【0005】
そこで、本発明は上述のような事情から成されたものであり、描画速度の遅れに伴い映像と音声との間に生じる出力タイミングのずれを抑えることのできるオブジェクト制御システム、配信サーバ、端末装置、及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような目的を達成するために、本発明のオブジェクト制御システムは、コース上を移動する複数のオブジェクトの位置制御に用いる制御データと、前記制御データと関連付けて出音条件を定めた出音データと、を生成して配信する配信サーバと、前記配信サーバから配信された前記制御データに基づき前記オブジェクトの位置制御を行うと共に、前記出音データで定めた出音条件に従い出音を行う端末装置とを備えるオブジェクト制御システムであり、前記制御データは、前記コース上に設定されたスタート地点からゴール地点まで前記オブジェクトが移動する際の、前記コース上に予め定められたコントロールポイントに所定のオブジェクトが達したときの各オブジェクトの位置情報を含み、前記出音データは、前記コース上における所定のオブジェクトの前記スタート地点からの移動距離を出音条件として含むことを特徴とする。
また、本発明は、前記端末装置が、前記コントロールポイントの間を前記オブジェクトが移動する際の位置制御を、複数の前記コントロールポイントにおける制御データに基づいて補間したデータに基づいて行うことを特徴とする。
また、本発明は、仮想三次元空間を二次元画像に変換した画像を表示する表示装置を備え、前記コース及び前記オブジェクトは前記仮想三次元空間内に設けられたものであり、前記端末装置が、前記制御データに基づいて前記オブジェクトの前記仮想三次元空間内における位置を算出することによる前記画像の生成と、所定のオブジェクトの前記スタート地点からの移動距離が前記出音データに定められた移動距離を超えた画像が前記表示装置に表示されたことに合わせた出音と、を行うことを特徴とする。
また、本発明の配信サーバは、コース上に設定されたスタート地点からゴール地点まで移動する複数のオブジェクトの位置制御に用いる制御データであって、前記コース上に予め定められたコントロールポイントに所定のオブジェクトが達したときの各オブジェクトの位置情報を含む制御データを、生成する手段と、前記コース上における所定のオブジェクトの前記スタート地点からの移動距離を出音条件として含む出音データを生成する手段と、前記制御データに基づく前記オブジェクトの位置制御と前記出音データで定めた出音条件に従う出音とを行う端末装置に対して前記制御データ及び前記出音データを配信する手段と、を備えたことを特徴とする。
また、本発明の端末装置は、コース上に設定されたスタート地点からゴール地点まで複数のオブジェクトが移動する際の、前記コース上に予め定められたコントロールポイントに所定のオブジェクトが達したときの各オブジェクトの位置情報を含む制御データ、及び所定のオブジェクトの前記スタート地点からの移動距離を出音条件として含む出音データ、を配信サーバから受信する手段と、前記制御データに基づいて前記オブジェクトの位置制御を行う手段と、前記出音データに従って出音を行う手段と、を備えたことを特徴とする。
また、本発明のプログラムは、コース上に設定されたスタート地点からゴール地点まで移動する複数のオブジェクトの位置制御に用いる制御データであって、前記コース上に予め定められたコントロールポイントに所定のオブジェクトが達したときの各オブジェクトの位置情報を含む制御データを、生成する手段と、前記コース上における所定のオブジェクトの前記スタート地点からの移動距離を出音条件として含む出音データを生成する手段と、前記制御データに基づく前記オブジェクトの位置制御と前記出音データで定めた出音条件に従う出音とを行う端末装置に対して前記制御データ及び前記出音データを配信する手段として、コンピュータを機能させることを特徴とする。
また、本発明のプログラムは、コース上に設定されたスタート地点からゴール地点まで複数のオブジェクトが移動する際の、前記コース上に予め定められたコントロールポイントに所定のオブジェクトが達したときの各オブジェクトの位置情報を含む制御データ、及び所定のオブジェクトの前記スタート地点からの移動距離を出音条件として含む出音データ、を配信サーバから受信する手段と、前記制御データに基づいて前記オブジェクトの位置制御を行う手段と、前記出音データに従って出音を行う手段としてコンピュータを機能させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、描画処理に遅れが生じても本来出音が行われるべきフレームの画像表示に合わせて出音できるので、描画速度の遅れに伴い映像と音声との間に生じる出力タイミングのずれを抑えられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の最良の形態について図面を参照して説明する。
【0009】
図1は、本実施形態のゲームシステム(オブジェクト制御システム)1の全体構成の一例を示すブロック図である。
【0010】
ゲームシステム1は、図1に示すように、全国に所在するアミューズメント施設(以下「店舗」と呼ぶ)に設置された店舗システム2を、ゲームシステム1全体の制御装置として動作するセンターサーバ7と通信ネットワーク6経由で接続して構成される。
【0011】
図1及び図2に示すように、各店舗システム2は、ゲーム装置3と、サブゲーム装置4と、店舗サーバ(端末装置)5とを、ローカルエリアネットワーク(LAN)を介して相互に通信可能に接続して構成されている。
【0012】
ゲーム装置3は、複数のサテライト装置31とメインモニタ32とを備えており、店舗サーバ5による制御の下、サテライト装置31を用いた複数プレイヤによる店舗内でのネットワークゲームを実行可能な構成となっている。
【0013】
サブゲーム装置4は、店舗サーバ5の端末装置として動作する通信端末である。店舗サーバ5は、上述した店舗システム2内でのネットワークゲームを実行する際の制御装置としての他に、店舗システム2とセンターサーバ7との間でのデータの中継装置として動作する。
【0014】
図3は、店舗サーバ5の内部構成の一例を示すブロック図である。
店舗サーバ5は、CPU(Central Processing Unit)から構成された制御部51と、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等の記録媒体から構成された記憶部52と、データ転送制御回路等から構成された通信制御部53と、GPU(Graphics Processing Unit)やサウンド回路を含んで構成されたゲーム処理部54とを備えている。記憶部52には、後述する音声データやオブジェクトデータが記憶されている。
【0015】
制御部51は、コンピュータプログラムの実行制御や周辺機器との入出力制御等を行う。記憶部52は、店舗システム2内でのゲーム処理を実行するゲームプログラムの他、後述する描画処理(図7参照)及び出音処理(図8参照)をゲーム処理部54に実行させるためのプログラムやデータを記憶している。通信制御部53は、通信ネットワークを介したセンターサーバ7との通信制御を行う。
【0016】
ゲーム処理部54は、記憶部52に記憶されたプログラムに従い、ゲーム処理の他に後述する描画処理(図7参照)及び出音処理(図8参照)を行う。描画処理では、後述する描画データ(制御データ)に基づいて、オブジェクトデータを記憶部52から読み出し、仮想三次元空間を構築し、これをジオメトリ変換を行って二次元画像データを生成して出力する。出音処理では、後述する音声IDと対応する音声データを記憶部52から読み出し、再生したものを出力する。
【0017】
メインモニタ32は、液晶ディスプレイ(LCD/Liquid Crystal Display)等の表示装置で構成された画像表示部32aと、スピーカ等の音出力装置で構成された音声出力部32bとを備えており、ゲーム処理部54での処理結果は、制御部51から画像表示部32a及び音声出力部32bに出力される。
【0018】
次に、ゲームシステム1で実行される競馬ゲームを説明する。競馬ゲームでは、図1に示すゲームシステム1は、店舗システム2のサテライト装置31を操作してプレイヤが育成した馬オブジェクトのデータを用いて、店舗サーバ5が店舗システム2内で競馬レースを実施し、店舗の代表の馬オブジェクトを決定する。
【0019】
センターサーバ7は、各店舗の代表の馬オブジェクトのデータを用いて競馬レースを実施し、複数の店舗を含んだ地域8(図1参照)の代表の馬オブジェクトを決定した後、各地域8の代表の馬オブジェクトのデータを用いて競馬レースを実施し、全国優勝の馬オブジェクトを決定する。
【0020】
このように実行される競馬ゲームにおいて、ゲーム装置3のサテライト装置31は、競馬レースへの参加登録やレースでの作戦指示を行う入力端末として利用される。また、サブゲーム装置4は、センターサーバ7により実施される競馬レースにおいて、サテライト装置31で入力された参加登録や作戦指示のデータを、センターサーバ7に送信する。
【0021】
店舗サーバ5及びセンターサーバ7は、実施をする競馬レースへの参加登録や作戦指示等のサテライト装置31で入力されたデータを馬オブジェクトと関連付け、競馬レース中には作戦指示データに応じて馬オブジェクトの動作を可変させる。
【0022】
また、センターサーバ7は、店舗サーバ5及びセンターサーバ7が実施する各競馬レースの模様を示すレース映像の描画データ並びに出音データを生成してデータベースに保存し、必要に応じて各店舗の店舗サーバ5に配信する。
【0023】
店舗サーバ5は、レース映像の描画データ及び出音データをセンターサーバ7から配信されると、後述する描画処理(図7参照)及び出音処理(図8参照)を実行し、メインモニタ32でレース映像を放映する。
【0024】
次に、センターサーバ7による描画データ及び出音データの配信方法について説明する。
【0025】
センターサーバ7は、図4に示すように、競馬レースの開始から最後の馬オブジェクトがゴールしてレースが終了するまでのレース映像を、所定の位置で区切るコントロールポイントPを複数(図に示す例ではP1〜P50までの50個)定め、これらのコントロールポイントPに所定の馬オブジェクト(例えば先頭の馬オブジェクト)が達した時点におけるフレームの描画に用いる各馬オブジェクトの描画データを生成して配信する。
【0026】
コントロールポイントPは、コース途中に比べてスタート地点及びゴール地点の方が、コース上で隣り合うコントロールポイントP間の距離が短くなっている。また、センターサーバ7は、コントロールポイントPとは無関係に、1レースで出力される全ての音声のデータを配信する。
【0027】
図5は、センターサーバ7から配信される描画データの構成の一例を示す概念図である。
【0028】
描画データは、スタート地点からの距離を表す距離データと、コースの内側から外側にかけて等間隔で複数並んで配置されたラインの何れかを表すラインデータとからなる位置情報と、コントロールポイントPを識別するためのインデックスと、レース開始からのフレーム番号を識別するカウントとを含んで構成されており、競馬レースに参加する馬オブジェクト毎に配信される。
【0029】
距離データは、コースの長さ方向での馬オブジェクトの描画地点を特定するためのデータであり、スタート地点から馬オブジェクトの描画地点までのコース上の距離(本実施形態では最も内側のライン上での距離)で特定される。ラインデータは、コースの幅方向での馬オブジェクトの描画地点を特定するためのデータであり、何れかのラインを表す情報で特定される。
【0030】
図6は、センターサーバ7から配信される出音データの構成の一例を示す概念図である。
【0031】
出音データは、競馬レースが開始してから終了するまでに出音される音声の種別を表す音声IDと出音条件とを対応付けた出音データを、1レースで出音される全ての音声について備えて構成されている。本実施形態では、レースで先頭を走る馬オブジェクトのスタート地点からの移動距離(本実施形態では、最も内側のライン上に直角に馬オブジェクトの描画地点を投影したスタート地点からのコース上の距離)で出音条件を定めており、出音データには出音条件を表す移動距離情報が含まれている。図に示す例では、競馬レースが開始して最初に出音される音声の出音データ1から、レースの最後に出音される音声の出音データnまでが、出音順に並んでいる。
【0032】
次に、レース映像を放映するために店舗サーバ5が実行する描画処理及び出音処理について説明する。図7は、店舗サーバ5のゲーム処理部54が実行する描画処理の概略を示す図である。
【0033】
描画処理では、ゲーム処理部54は、競馬レースに参加している全ての馬オブジェクトについて、センターサーバ7から配信されたコントロールポイントPでの描画データ(図5参照)に基づき、競馬レースの開始から終了までのレース映像の1フレーム毎の画像を生成する(S1)。
【0034】
つまり、ゲーム処理部54は、競馬レースの開始から終了までの各コントロールポイントPの描画データに基づき、各コントロールポイントPのフレーム間を補間するフレームの描画データを生成する。この処理で生成される描画データは、図5に示すコントロールポイントPでの描画データと同様の、距離データ,ラインデータ,及びカウントを含んで構成されている。なお、補間に関しては、コントロールポイント間を等速で移動するとしたり、馬オブジェクトに設定された所定の特性値等に基づいて加減速しながら移動するなど、適宜設定すればよい。
【0035】
次に、ゲーム処理部54は、S1で補間生成したものを含む各馬オブジェクトの描画データに基づき、1フレーム毎の画像データを生成する(S2)。この処理では、各馬オブジェクトのカウント番号が同じ描画データを用いて、1フレーム分の画像データが生成される。次に、ゲーム処理部54は、S2で生成した画像データを出力する(S3)。
【0036】
各馬オブジェクトのカウント番号「1」の描画データから、S2及びS3の処理がカウント番号順で繰り返し実行され、競馬レースの開始から終了までの全てのフレームの画像データがカウント番号順に出力されることで、メインモニタ32にレース映像が表示される。
【0037】
図8は、店舗サーバ5のゲーム処理部54が実行する出音処理の概略を示す図である。この出音処理では、ゲーム処理部54は、出音の順番が来た出音データに含まれる移動距離情報と、各フレームの描画処理の際における馬オブジェクトの、補間によるものも含む、描画データ中の移動距離情報とを比較する(S11)。
【0038】
次に、ゲーム処理部54は、比較した出音データの移動距離情報が定める距離を、何れかの馬オブジェクトが通過するか否かを判定する(S12)。この処理では、何れかの馬オブジェクトの描画データに含まれる距離データの表す移動距離が、出音データの移動距離情報の表す距離を超えたか否かが判定される。
【0039】
S12の処理にて、何れかの馬オブジェクトの描画データに含まれる距離データの表す移動距離が、出音データの移動距離情報の表す距離を超えたと判定されると、ゲーム処理部54は、出音データに含まれる音声IDに対応する音声データを再生し、音声を出音する(S13)。これにより、出音データに含まれる音声IDの指定する音声が、出音データの移動距離情報で定める距離を先頭の馬オブジェクトが通過する表示に合わせて出音される。
【0040】
上述した描画処理及び出音処理がゲーム処理部54により別々に実行されて、レース映像の放映が行われる。例えば、図9(a)に示すように、時刻t1,t2,t3・・・tmにカウントc1,c2,c3・・・cmのフレームが描画されると、コース上の距離d1,d2,d3・・・dmに先頭の馬オブジェクトが表示される。また、コース上の距離d1,d3に先頭の馬オブジェクトが表示される時刻t1,t3に出音処理が行われ、出音データで指定される音sd1,sd3の出音が行われる。
【0041】
このようにしてレース映像が放映されているときに、描画処理とは別に出音処理をする従来の出音装置では、図9(a)に示すように、時刻tm+1に描画される予定のカウントcm+1のフレームの描画処理に時間Tの遅れが生じると、コース上の距離dm+1に馬オブジェクトが表示される時刻にも、時間Tの遅れが生じる。一方、描画処理とは別個に処理が実行されている出音処理では、コース上の距離dm+1に馬オブジェクトが表示される予定の時刻tm+1に出音処理が行われて音声sdm+1が出音される。このため、本来コース上の距離dm+1に馬オブジェクトが表示されたときに出音されるべき音声sdm+1が、馬オブジェクトがコース上の距離dm+1の距離に移動してくる前に出音されてしまう。
【0042】
これに対して、描画データと関連付けて出音条件を定めた出音データに基づき出音処理をする本実施形態のゲーム処理部54では、図9(b)に示すように、時刻tm+1よりも時間Tだけ遅れて実行されるカウントcm+1のフレームの描画に合わせた時刻に音声sdm+1の出音処理が行われる。このため、時刻tm+1よりも時間Tだけ遅れてコース上の距離dm+1に馬オブジェクトが表示されるのに合わせて、音声sdm+1を出音することができる。
【0043】
本実施形態によれば、映像の各フレームの描画に用いられる描画データと、描画データと関連づけて出音条件を定めた出音データとの比較結果に基づき出音条件が特定され、特定されたフレームの画像表示に合わせて出音が行われることから、何れかのフレームの描画処理に遅れが生じたとしても、本来出音が行われるべきフレームの画像表示に合わせて出音を行うことができる。従って、描画速度の遅れに伴い映像と音声との間に生じる出力タイミングのずれを抑えることができる。
【0044】
また、本実施形態によれば、複数の馬オブジェクト毎に定められた各描画データと出音データとの比較が行われ、何れかの描画データで出音条件を満たしたフレームにおいて出音を行うことから、複数の馬オブジェクトの各表示態様の中から、出音条件を満たす態様で馬オブジェクトが表示されるフレームで出音を行うことができる。従って、描画処理に負担がかかって描画速度に遅れの生じやすい複数の馬オブジェクトの画像表示の際にも、描画速度の遅れに伴い映像と音声との間に生じる出力タイミングのずれを抑えることができる。
【0045】
上記実施形態では、出音データと描画データとの比較を、各フレームを描画する際に行っていたが、これを、競馬レース中に出音される全ての出音データの指定する音声の出音条件と全フレームの描画データとを予め比較して該当するフレームを特定した後に、出音の処理を行ってもよい。即ち、競馬レースの開始から終了までのレース映像の全てのフレームの描画データを生成した後に、各フレームの描画処理を行ってもよい。この場合、特定されたフレームの情報(例えば、カウントで表されるフレーム番号)は、音声データ又は音声IDと対応付けてRAMに記憶される。
【0046】
上記実施形態では、描画データに含まれる距離データと関連付けて出音条件が定められた場合について説明したが、描画データに含まれるデータのうちの出音条件と関連付けるデータの種類は任意である。例えば、ラインデータ等の他のデータと関連付けてもよい。また、上記実施形態では、店舗サーバ5で補間フレームを生成した場合について説明したが、全てのフレームの描画データの配信が行われるようにしてもよい。
【0047】
上記実施形態では、店舗システム2とセンターサーバ7とを通信ネットワーク6で接続して構成されたゲームシステム1に本発明を適用した場合について説明したが、ネットワークでの接続が行われていないゲーム装置等での出音にも本発明を適用することができる。さらには、オブジェクト制御システムにおける配信サーバと端末装置の機能を兼ね備えた装置に本発明を適用することもできる。
【0048】
上記実施形態では、制御データを描画データとして本発明を適用した場合について説明した。しかしながら、例えば、馬の模型を実際の盤面上で移動させながら出音するゲーム機において、該馬の模型をオブジェクトとし、このオブジェクトの動作を制御するためのデータを制御データとして、本発明を適用してもよい。また、上記実施形態では、競馬レースでの出音に本発明を適用した場合について説明したが、オブジェクトの位置の変化に合わせて出音を行うのであれば、他の映像の放映にも本発明を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の一実施形態のゲームシステムの全体構成の一例を示すブロック図である。
【図2】図1に示すゲームシステムの店舗システムの構成例を示す模式図である。
【図3】図2に示す店舗サーバの内部構成の一例を示すブロック図である。
【図4】レース映像の放映処理に用いられるコントロールポイントについて説明する図である。
【図5】レース映像の画像処理に用いられる描画データの構成の概略を示す図である。
【図6】レース映像の出音処理に用いられる出音データの構成の概略を示す図である。
【図7】レース映像の画像処理の概略を説明するフローチャートである。
【図8】レース映像の出音処理の概略を説明するフローチャートである。
【図9】レース映像の放映処理でのフレーム毎の描画処理と出音処理との時間関係を説明する図である。
【符号の説明】
【0050】
1 ゲームシステム(オブジェクト制御システム)
2 店舗システム
3 ゲーム装置
32 メインモニタ
4 サブゲーム装置
5 店舗サーバ(端末装置)
51 制御部
52 記憶部
53 通信制御部
54 ゲーム処理部
6 通信ネットワーク
7 センターサーバ(配信サーバ)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
コース上を移動する複数のオブジェクトの位置制御に用いる制御データと、前記制御データと関連付けて出音条件を定めた出音データと、を生成して配信する配信サーバと、
前記配信サーバから配信された前記制御データに基づき前記オブジェクトの位置制御を行うと共に、前記出音データで定めた出音条件に従い出音を行う端末装置とを備えるオブジェクト制御システムであり、
前記制御データは、前記コース上に設定されたスタート地点からゴール地点まで前記オブジェクトが移動する際の、前記コース上に予め定められたコントロールポイントに所定のオブジェクトが達したときの各オブジェクトの位置情報を含み、
前記出音データは、前記コース上における所定のオブジェクトの前記スタート地点からの移動距離を出音条件として含むことを特徴とするオブジェクト制御システム。
【請求項2】
前記端末装置は、前記コントロールポイントの間を前記オブジェクトが移動する際の位置制御を、複数の前記コントロールポイントにおける制御データに基づいて補間したデータに基づいて行うことを特徴とする請求項1に記載のオブジェクト制御システム。
【請求項3】
仮想三次元空間を二次元画像に変換した画像を表示する表示装置を備え、前記コース及び前記オブジェクトは前記仮想三次元空間内に設けられたものであり、
前記端末装置は、前記制御データに基づいて前記オブジェクトの前記仮想三次元空間内における位置を算出することによる前記画像の生成と、所定のオブジェクトの前記スタート地点からの移動距離が前記出音データに定められた移動距離を超えた画像が前記表示装置に表示されたことに合わせた出音と、を行うことを特徴とする請求項1または2に記載のオブジェクト制御システム。
【請求項4】
コース上に設定されたスタート地点からゴール地点まで移動する複数のオブジェクトの位置制御に用いる制御データであって、前記コース上に予め定められたコントロールポイントに所定のオブジェクトが達したときの各オブジェクトの位置情報を含む制御データを、生成する手段と、
前記コース上における所定のオブジェクトの前記スタート地点からの移動距離を出音条件として含む出音データを生成する手段と、
前記制御データに基づく前記オブジェクトの位置制御と前記出音データで定めた出音条件に従う出音とを行う端末装置に対して前記制御データ及び前記出音データを配信する手段と、
を備えたことを特徴とする配信サーバ。
【請求項5】
コース上に設定されたスタート地点からゴール地点まで複数のオブジェクトが移動する際の、前記コース上に予め定められたコントロールポイントに所定のオブジェクトが達したときの各オブジェクトの位置情報を含む制御データ、及び所定のオブジェクトの前記スタート地点からの移動距離を出音条件として含む出音データ、を配信サーバから受信する手段と、
前記制御データに基づいて前記オブジェクトの位置制御を行う手段と、前記出音データに従って出音を行う手段と、を備えたことを特徴とする端末装置。
【請求項6】
コース上に設定されたスタート地点からゴール地点まで移動する複数のオブジェクトの位置制御に用いる制御データであって、前記コース上に予め定められたコントロールポイントに所定のオブジェクトが達したときの各オブジェクトの位置情報を含む制御データを、生成する手段と、
前記コース上における所定のオブジェクトの前記スタート地点からの移動距離を出音条件として含む出音データを生成する手段と、
前記制御データに基づく前記オブジェクトの位置制御と前記出音データで定めた出音条件に従う出音とを行う端末装置に対して前記制御データ及び前記出音データを配信する手段として、コンピュータを機能させるためのプログラム。
【請求項7】
コース上に設定されたスタート地点からゴール地点まで複数のオブジェクトが移動する際の、前記コース上に予め定められたコントロールポイントに所定のオブジェクトが達したときの各オブジェクトの位置情報を含む制御データ、及び所定のオブジェクトの前記スタート地点からの移動距離を出音条件として含む出音データ、を配信サーバから受信する手段と、
前記制御データに基づいて前記オブジェクトの位置制御を行う手段と、前記出音データに従って出音を行う手段としてコンピュータを機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−5310(P2010−5310A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−171109(P2008−171109)
【出願日】平成20年6月30日(2008.6.30)
【出願人】(000132471)株式会社セガ (811)
【Fターム(参考)】