説明

オブジェクト管理システム

【課題】車両構造物の構成を管理するための方法及び装置を提供する。
【解決手段】車両構造物のライフサイクルの種々のフェーズで、車両構造物のコンポーネントの識別情報を含む構成を示す各データセットを比較し、データセット内のコンポーネントの識別情報間の相違点を特定し、特定のオブジェクトに対して種々の部品表が一致していることを確認する。さらに、データセット内のコンポーネントの識別情報間の相違点がエラーであるかどうかを確定し、確定されたエラーのエラー記述及びデータセット間のコンポーネントの正しいが異なる識別情報の相違点記述を記録し、データセット内のコンポーネントの識別情報間で特定された相違点を視覚的に表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は概してオブジェクトの管理に関し、具体的にはオブジェクトの構成の管理に関する。さらに具体的には、本発明はオブジェクトのライフサイクルの種々のフェーズにおける、オブジェクトの構成を管理する方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの場合、航空機、列車、船舶、及びその他のプラットフォームなどのオブジェクトは複雑な構成を有する。このような複雑な構成は、何千個又は何十万個のコンポーネントを有することがある。オブジェクトのライフサイクルの中で、オブジェクト管理の一環として、オブジェクトの設計で指定されているとおりに正しい構成でオブジェクトが製造されていることを確認することが望ましい。オブジェクトのライフサイクルは、例えば、限定しないが、オブジェクトの設計、オブジェクトの製造計画の作成、オブジェクトの製造、オブジェクトの検査、オブジェクトの整備などのフェーズ、及び/又は他の好適な種類のフェーズを含みうる。
【0003】
典型的には、オブジェクトのライフサイクルの種々のフェーズにおいて、種々の部品表が作成される。部品表(BOM)は原材料、部分組立品、中間組立品、サブコンポーネント、部品、及び/又はオブジェクトが必要とする他のコンポーネントの一覧表である。部品表はまた、コンポーネントの数量及びオブジェクトで使用されるその他の好適な情報も含みうる。
【0004】
部品表は、オブジェクトのライフサイクルの任意のフェーズでオブジェクトの定義に使用しうる。例えば、設計部品表(EBOM)は設計フェーズでオブジェクトを定義する。設計部品表は、オブジェクトに対する設計で指定されている製造に必要となるコンポーネントを特定する。この設計は、例えば、コンピュータ支援設計(CAD)の形態を取りうる。
【0005】
別の実施例として、製造部品表(MBOM)は製造フェーズ中及び/又はオブジェクトの製造完了後のオブジェクトを定義する。具体的には、製造部品表は、オブジェクトの構築中及び/又は構築完了時に、オブジェクトのコンポーネントを特定する。
【0006】
典型的には、製造部品表を設計部品表に一致させることができる場合に、オブジェクトは正しい構成を有するものとみなされる。この異なる2つの部品表を一致させるステップは、両部品表が互いに矛盾していないことを確認するステップを含み、オブジェクトに対して実質的に同一の構成を定義する。
【0007】
オブジェクトを管理するため現在利用可能なシステムでは、特定のオブジェクトに対して種々の部品表が一致していることを確認するステップは、所望以上に時間がかかり困難になることがある。例えば、特定のオブジェクトに対する種々の部品表が、異なる時点に及び/又は異なるシステムを利用して作成されることがある。これらの部品表は種々のシステムと互換性がありうるが、異なるフォーマットを有し、異なるデータ形式及び/又はデータコンテンツを含み、コンポーネントのバージョンの違いを特定し、及び/又はその他の相違点を有する。その結果、異なる部品表の間での相違を検出することは、所望以上に多くの時間、労力、及び/又はリソースを要することがある。
【0008】
例えば、航空機の設計部品表は、航空機のコンピュータ支援設計モデルを使用して作成されることがある。製造部品表はその後のある時点で、設計部品表及び/又は航空機のモデルを使用してオペレータによって作成されることがある。材料の設計部品表は同一のフォーマットを有していないこと、及び/又は同じ方法でオブジェクトの構成を形作るコンポーネントを特定することがありうる。設計部品表と製造部品表との間での相違を検出することは、所望以上に多くの時間、労力、及び/又はリソースを要することがある。
【0009】
したがって、少なくとも上述の問題点の幾つか並びに起こりうるその他の問題点を考慮に入れた方法及び装置を有することは有利であろう。
【発明の概要】
【0010】
一つの有利な実施形態では、車両構造物の構成を管理する方法が提供される。車両構造物のライフサイクルの種々のフェーズで、車両構造物の構成を示す各データセットが比較される。データセットの各々は車両構造物のコンポーネントの識別情報を含む。データセット内のコンポーネントの識別情報間の相違点が特定される。
【0011】
他の有利な実施形態では、装置はコンピュータシステムを含みうる。コンピュータシステムは、車両構造物のライフサイクルの種々のフェーズで、車両構造物の構成を示すデータセット各々を比較するように構成されている。データセットの各々は車両構造物のコンポーネントの識別情報を含む。コンピュータシステムはさらに、データセット内のコンポーネントの識別情報間の相違点を特定するように構成されている。
【0012】
さらに他の有利な実施形態では、車両製造システムは記憶システム及びオブジェクトマネージャを含む。記憶システムは、車両構造物のライフサイクルの種々のフェーズで、車両構造物の構成を示すデータセット各々を保管するように構成されている。データセットの各々は車両構造物の構成のためのコンポーネントの識別情報を含む。オブジェクトマネージャは、車両構造物のライフサイクルの第1フェーズでの車両構造物の構成を示す第1データセットを、車両構造物のライフサイクルの第2フェーズでの車両構造物の構成を示す第2データセットと比較するように構成されている。オブジェクトマネージャはさらに、第1データセットの車両構造物用コンポーネントの識別情報と第2データセットの車両構造物用コンポーネントの識別情報との間の相違点を特定するように構成されている。オブジェクトマネージャはさらに、記憶システム中の相違点に対して行われる処置を記録するように構成されている。
【0013】
本発明は、車両構造物の構成を管理する方法であって、車両構造物のライフサイクルの種々のフェーズで車両構造物の構成を表わし、車両構造物のコンポーネントの識別情報を含むデータセット各々を比較するステップ、及びデータセット内のコンポーネントの識別情報間の相違点を特定するステップを含む方法に関する。
【0014】
有利には、この方法はさらに、データセット内のコンポーネントの識別情報間の相違点がエラーであるかどうかを確定するステップ、確定されたエラーのエラー記述及びデータセット間のコンポーネントの正しいが異なる識別情報の相違点記述を記録するステップ、並びに、データセット内にコンポーネントの識別情報間の訂正された相間関係を確定するため一又は複数のデータセットでの正しい相違点を注記するステップを含みうる。
【0015】
有利には、この方法はさらに、データセット内のコンポーネントの識別情報間で特定された相違点を視覚的に表示するステップを含む。
【0016】
有利には、この方法はさらに、データセット内のコンポーネントの識別情報間で特定された相違点に対する処置を記録するステップを含む。
【0017】
有利には、この方法はさらに、データセット内のコンポーネントの識別情報間で特定された相違点に対して行われる処置を記録するステップ、データセット内のコンポーネントの識別情報間で相違点を特定するステップ、並びにデータセット内のコンポーネントの識別情報間で相違点が存在しなくなるまで、データセット内のコンポーネントの識別情報間で特定された相違点に対する処置を記録するステップを含む。
【0018】
有利には、データセットを比較するステップは、第1データセット内の特定のコンポーネントの識別情報が第2データセットのコンポーネントの任意の識別情報と一致するかどうかを判断するステップを含むことがあり、前記特定のコンポーネントが車両構造物の複数のコンポーネントの組立部品であり、第1データセットの特定のコンポーネントの識別情報が第2データセットのコンポーネントの識別情報の1つと一致する場合には、組立部品用の複数のコンポーネントのすべてが第2データセット内に存在することを仮定している。
【0019】
有利には、データセット内のコンポーネントの識別情報間の相違点は、車両構造物のライフサイクルの特定のフェーズで車両構造物の構成に関して、車両構造物のコンポーネントの過剰及び不足のうちの少なくとも1つ示すことがあり、且つ車両構造物のコンポーネントの過剰及び不足を示すグラフィカルインジケータをディスプレイ上に視覚的に表示するステップをさらに含みうる。
【0020】
有利には、データセットを比較するステップは、第1データセットのコンポーネントの識別情報に対する第1の固有キーと第2データセットのコンポーネントの識別情報に対する第2の固有キーとを比較するステップを含みうる。
【0021】
有利には、この方法はさらに、特定のコンポーネントに対する固有キーが車両構造物のコンポーネント内の他のコンポーネントから特定のコンポーネントを識別する各データセット内のコンポーネントの各識別情報に固有キーを追加するステップを含むことができ、特定のコンポーネントに対する前記固有キーは全データセットに対して共通で、全データセット内のコンポーネントの識別情報に対する前記固有キーは同一のフォーマットを有する。
【0022】
有利には、データセットを比較するステップ及びデータセット内のコンポーネントの識別情報間の相違点を特定するステップは、車両構造物のライフサイクルの種々のフェーズの一又は複数の時点で実施されうる。
【0023】
有利には、この方法はさらに、データセット内のコンポーネントの識別情報間の相違点に基づいてデータセットの少なくとも1つを更新するステップを含みうる。
【0024】
有利には、車両構造物のライフサイクルの1フェーズを、設計フェーズ、製造計画フェーズ、及び製造フェーズのうちの1つを選択することが可能で、前記データセットは設計データ、製造計画データ、及び完了時データのうちの少なくとも2つを含むことができ、前記車両構造物は航空機、宇宙船、自動車、列車、水上艦、潜水艦、ジェットエンジン、主翼ボックス、及び車両の組立部品のうちから1つを選択することができる。
【0025】
本発明は、車両構造物のライフサイクルの種々のフェーズで車両構造物の構成を表わすデータセット各々を比較するように構成されたコンピュータシステムを含む装置に関することがあり、前記各データセットは車両構造物のコンポーネントの識別情報を含み、且つデータセット内のコンポーネントの識別情報間の相違点を特定する。
【0026】
有利には、このコンピュータシステムはさらに、データセット内のコンポーネントの識別情報間の相違点がエラーであるかどうかを確定し、且つ確定されたエラーのエラー記述及びデータセット間のコンポーネントの正しいが異なる識別情報の相違点記述を記録するように構成されうる。
【0027】
有利には、データセット内のコンポーネントの識別情報間の相違点を特定するように構成されることで、コンピュータシステムは、データセット内の特定のデータセットに関してコンポーネントの過剰及び不足のうちの少なくとも1つが存在するかどうかを判断するように構成されうる。
【0028】
有利には、この装置はさらに、グラフィカルユーザーインターフェースを含むことができ、前記コンピュータシステムはさらに、グラフィカルユーザーインターフェース上で特定される相違点を視覚的に表示するように構成されており、且つ前記グラフィカルユーザーインターフェースは記憶システムの相違点に対して処置を行うユーザー入力を受け取るように構成されている。
【0029】
有利には、このコンピュータシステムはさらに、データセット内のコンポーネントの識別情報間で特定された相違点に対する処置を記録するステップを含む。
【0030】
本発明は、車両構造物のライフサイクルの種々のフェーズで車両構造物の構成を示すデータセット各々を保管するように構成された記憶システムであって、前記各データセットが車両構造物の構成のためのコンポーネントの識別情報を含む記憶システムと、車両構造物のライフサイクルの第1フェーズで車両構造物の構成を示す第1データセットを車両構造物のライフサイクルの第2フェーズで車両構造物の構成を示す第2データセットと比較し、第1データセットの車両構造物に対するコンポーネントの識別情報と第2データセットの車両構造物に対するコンポーネントの識別情報との相違点を特定し、その相違点に対する処置を記憶システムに記録するように構成されたオブジェクトマネージャ、を含む車両製造システムに関することがある。
【0031】
有利には、この車両製造システムはまた、車両構造物を製造するように構成された製造施設も含みうる。
【0032】
有利には、この車両製造システムはまた、グラフィカルユーザーインターフェースを含むことができ、前記オブジェクトマネージャは、グラフィカルユーザーインターフェース上で特定される相違点を視覚的に表示するように構成されており、前記グラフィカルユーザーインターフェースは相違点に対する処置を記憶システムに与えるユーザー入力を受け取るように構成されている。
【0033】
特徴、機能及び利点は、本発明の様々な実施形態で独立に実現することが可能であるか、以下の説明及び図面を参照してさらなる詳細が理解されうる、さらに別の実施形態で組み合わせることが可能である。
【0034】
新規の機能と考えられる有利な実施形態の特徴は、特許請求の範囲に明記される。しかしながら、有利な実施形態に加えて、好適な使用形態、さらなる目的、及びその利点は、以下に示す本発明の有利な実施形態の詳細な説明を参照し、添付の図面と併せて読むときに最もよく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】有利な実施形態による製造環境をブロック図の形式で示したものである。
【図2】有利な実施形態によるデータセットを示したものである。
【図3】有利な実施形態によるデータセット間の相違点を示したものである。
【図4】有利な実施形態によるデータセットを示したものである。
【図5】有利な実施形態によるデータセットを示したものである。
【図6】有利な実施形態による2つのデータセット間の比較を示したものである。
【図7】有利な実施形態による2つのデータセット間の比較を示したものである。
【図8】有利な実施形態による2つのデータセット間の比較を示したものである。
【図9】有利な実施形態による2つのデータセット間の比較の結果を表示するグラフィカルユーザーインターフェースを示したものである。
【図10】有利な実施形態による2つのデータセット間の別の比較の結果を表示するグラフィカルユーザーインターフェースを示したものである。
【図11】有利な実施形態による2つのデータセット間の比較の結果を表示するグラフィカルユーザーインターフェースを示したものである。
【図12】有利な実施形態による2つのデータセット間の比較の結果を表示するグラフィカルユーザーインターフェースを示したものである。
【図13】有利な実施形態による車両の部品を特定するプロセスのフロー図を示したものである。
【図14】有利な実施形態による車両構造物の開発に使用されるコンポーネントを管理するためのプロセスのフロー図を示したものである。
【図15】有利な実施形態による車両を製造するプロセスのフロー図を示したものである。
【図16】有利な実施形態によるデータ処理システムを示したものである。
【図17】有利な実施形態による航空機の製造及び保守の方法を示したものである。
【図18】有利な実施形態で実装されうる航空機を示したものである。
【0036】
種々の有利な実施形態は、一又は複数の異なる検討を認識し、考慮している。例えば、種々の有利な実施形態は、オブジェクトの部品がオブジェクトのライフサイクルの種々のフェーズで異なりうることを認識し、且つ考慮している。例えば、航空機などのオブジェクトの設計で指定された部品が、航空機製造のための製造計画で指定されている部品と一致しないことがありうる。例えば、部品の在庫によっては、航空機の製造計画に追加される航空機の設計で指定された部品とは異なる種類の部品になることがありうる。
【0037】
さらに、種々の有利な実施形態は、航空機の製造に製造計画が使用される場合、製造計画で指定された部品が実際に航空機の組立に使用される部品と時折異なる場合があることを認識し、考慮している。種々の有利な実施形態は、これらの相違点が部品の在庫、製造計画が作成された後に航空機に変更を加えるクライアントの要望、この2つの組合せ、又は他の理由に基づいて起こりうることを認識し、考慮している。
【0038】
さらに、種々の有利な実施形態は、航空機の設計で指定された構成、航空機用に計画された構成と、実際に製造された航空機での構成との間の相違点を追跡することが望ましい場合があることを認識し、考慮している。加えて、種々の有利な実施形態は、航空機の製造計画の作成及び/又は航空機の実際の組立が好適となりうるときに、場合によっては、行った変更に基づいて航空機の設計に対する更新を認識し、考慮している。さらに、法規制上又は認証上の理由など、他の理由によって変更が行われる場合には、航空機の設計データを更新することも望ましい。さらに、製造計画に対する更新もこの変更に基づくことが望ましい。
【0039】
したがって、種々の有利な実施形態は、車両構造物などのオブジェクトの管理のための方法及び装置を提供する。一つの有利な実施形態では、車両構造物の構成を管理する方法が提供される。車両構造物のライフサイクルの種々のフェーズで、車両構造物の構成を示す各データセットが比較される。各データセットは車両構造物のコンポーネントの識別情報を含む。データセット内のコンポーネントの識別情報間の相違点が特定される。
【0040】
ここで図1を参照すると、有利な実施形態によるオブジェクト管理環境がブロック図の形式で示されている。図1では、オブジェクト管理環境100は、ブロック図の形式で示した環境の例で、ここでは、オブジェクト104のライフサイクル103のフェーズ101の間にオブジェクト104を管理するため、種々の有利な実施形態が実装しうる。
【0041】
オブジェクト104のライフサイクル103の種々のフェーズ101は、例えば、限定しないが、概念フェーズ、設計フェーズ、製造計画フェーズ、製造フェーズ、試験フェーズ、認証フェーズ、販売フェーズ、配送フェーズ、使用中フェーズ、運用フェーズ、稼働中フェーズ、支援フェーズ、整備フェーズ、退役フェーズ、リサイクルフェーズ、廃棄フェーズ、再構成フェーズ、リエンジニアリングフェーズ、及びオブジェクト104のライフサイクル103の他の好適な種類のフェーズを含みうる。幾つかの場合には、オブジェクト104のライフサイクル103のフェーズ101の1つは、上記のフェーズの2つ以上の組合せであってもよい。
【0042】
本明細書で使用しているように、列挙されたアイテムと共に使用される「〜のうちの少なくとも1つ」という表現は、列挙されたアイテムの一又は複数の様々な組み合わせが使用可能であり、且つ列挙されたアイテムのいずれかが1つだけあればよいということを意味する。例えば、「アイテムA、アイテムB、及びアイテムCのうちの少なくとも1つ」は、例えば、限定しないが、「アイテムA」、又は「アイテムAとアイテムB」を含む。この例は、「アイテムAとアイテムBとアイテムC」、又は「アイテムBとアイテムC」も含む。他の例として、「〜のうちの少なくとも1つ」は、例えば、限定しないが、「2つのアイテムA」、「1つのアイテムB」、「10個のアイテムC」、「4個のアイテムBと7個のアイテムC 」、並びに他の適切な組み合わせを含む。
【0043】
これらの例示的な実施例では、オブジェクト104は車両構造物105であってもよい。車両構造物105は、航空機、宇宙船、自動車、列車、水上艦、潜水艦、航空機構造物、ジェットエンジン、主翼ボックス、車両の組立部品、及び/又は他の好適な形式の車両構造物のうちの1つが選択されうる。
【0044】
図示したように、オブジェクト104は、オブジェクト管理環境100のコンピュータシステム108を使用して管理されうる。具体的には、コンピュータシステム108は、オブジェクト104のライフサイクル103の種々のフェーズ101で使用されるデータ102を管理するように構成される。例えば、コンピュータシステム108のオブジェクトマネージャ110は、オブジェクト104のライフサイクル103の種々のフェーズ101で使用されるデータ102を管理するように構成される。
【0045】
コンピュータシステム108は、これらの例示的な実施例では、任意の数のコンピュータ112の形態をとりうる。本明細書で使用しているように、「任意の数のアイテム」は、一又は複数のアイテムを意味する。例えば、任意の数のコンピュータは一又は複数のコンピュータを意味する。コンピュータ112が複数のコンピュータを含む場合、これらのコンピュータは互いに通信を行う。オブジェクトマネージャ110は、コンピュータシステム108の中の一又は複数のコンピュータ112の中に、ハードウェア、ソフトウェア、またはこの2つの組合せとして実装されうる。
【0046】
これらの例示的な実施例では、オブジェクト104のデータ102はデータセット114の形態で存在する。データセット114はコンピュータシステム108の記憶システム113内に保存されうる。記憶システム113は、任意の数のデータベース、テーブル、レポート、ログ、スプレッドシート、及び/又は他の形式のデータ構造を含みうる。
【0047】
データセット114は、図示したような実施例では、オブジェクト104のコンポーネント115を特定する。コンポーネント115は、例えば、オブジェクト104の製造で使用される個別の部品、部品の組立品、部品の部分組立品、及び/又はオブジェクト104自体を含みうる。さらに、オブジェクト104のコンポーネント115は、任意の数の設計、モデル、仕様及び/又はオブジェクト104で使用される他のアイテムを含みうる。一つの例示的な実施例では、データセット114はオブジェクト104で使用される部品表(BOM )の形態をとりうる。
【0048】
図示したように、オブジェクト104を管理するためのコンポーネント115を特定するデータセット114の各々は、オブジェクト104のライフサイクル103のフェーズ101内の種々のフェーズ用のものであってもよい。具体的には、データセット114の各々は、オブジェクト104のライフサイクル103の特定のフェーズでオブジェクト104用の構成を形成するコンポーネントの識別情報を含みうる。
【0049】
すなわち、データセット114の特定のデータセットのオブジェクト104に対するコンポーネントの識別情報は、特定のデータセットに対応するフェーズでのオブジェクト104用の構成117を表わす。オブジェクト104用の構成117は特定の部品、部分組立品、組立品、及び/又はオブジェクト104用の他のコンポーネントを含み、同様にオブジェクト104を形成するためにこれらの種々のコンポーネントを組み立てる方法を含む。
【0050】
一つの例示的な実施例として、データセット114は設計フェーズ118、製造計画フェーズ120、及びオブジェクトのライフサイクル103の製造フェーズ122のためのデータを含みうる。具体的には、データセット114は設計フェーズ118の設計データ124、製造計画フェーズ120の製造計画データ126、及び製造フェーズ122の完了時データ128を含みうる。
【0051】
設計データ124は、オブジェクト104の設計130で指定されたコンポーネント115、オブジェクト104のコンポーネント115間の関係性、及びオブジェクト104の他の好適な情報を特定する。設計データ124はまた、「規定済み」データと呼ばれることもある。場合によっては、設計データ124は設計130自体を含みうる。オブジェクト104の設計130は、例えば、オブジェクト104のコンピュータ支援設計(CAD)モデルとなることがある。
【0052】
一つの例示的な実施例では、設計データ124はオブジェクト104の設計部品表(EBOM)の形態をとる。設計部品表は、例えば、オブジェクト104の設計130、設計130で指定された組立品、組立品を形成する部分組立品、オブジェクトの部分組立品及び/又は組立品を形成する部品、及び/又は設計130で指定された他の好適な情報を特定する階層ダイアグラムで表わされることがある。
【0053】
これらの例示的な実施例では、階層ダイアグラムは異なるレベルでコンポーネント115の間の関係性を示す任意のダイアグラムである。階層ダイアグラムの一例はツリーダイアグラムとなることがある。ツリーダイアグラムは、各ノードがゼロ個以上の子ノードと最大1個の親ノードを有しうる各ノードがリンクされたノードを含む。
【0054】
さらに、製造計画データ126は、オブジェクト104の製造計画で使用されるデータを含む。製造計画データ126はまた、「計画済み」データと呼ばれることもある。オブジェクト104の製造計画データ126は、例えば、限定しないが、オブジェクト104の製造で使用されるコンポーネント115の識別情報、オブジェクト104のコンポーネント115を使用するように形成される組立品及び部分組立品の識別情報、及びオブジェクト104の製造のための他の好適な情報を含みうる。
【0055】
一つの例示的な実施例として、製造計画データ126は、オブジェクト104を製造するための製造計画、オブジェクト104の製造に必要となる種々の部品、部分組立品、組立品、及び/又は他のコンポーネントに対する任意の数の製造指図、及び/又は他の好適な情報を含みうる。製造指図は、オブジェクト104を組み立てるために入手が必要となる、部品、部分組立品、及び/又は組立品などのコンポーネント115の一覧表である。コンポーネントは、コンポーネントの購入、コンポーネントを形成するための各種部品の組立、及び/又は幾つかの他の好適な方法によるコンポーネントの取得、によって入手することができる。さらに、製造指図は、例えば、特定の部品に対する作業指図となることがある。
【0056】
これらの例示的な実施例では、製造計画データ126は設計データ124を用いて作成してもよい。例えば、製造計画データ126は、設計データ124が設計部品表の形態をとる場合には、販売部品表(SBOM)の形態で作成してもよい。販売部品表は、オブジェクト104の製造を指図する際に必要となる特定のコンポーネントを指定する。設計部品表と同様に、販売部品表は階層ダイアグラムの形態で表わすこともできる。
【0057】
完了時データ128は、オブジェクト104の製造が完了した後、及び/又はオブジェクト104を形成する部分組立品及び/又は組立品の製造が完了した後に、オブジェクト104に対して作成されるデータを含む。このように、完了時データ128は、オブジェクト104が物理的に製造されるにつれて、作成することができる。完了時データ128は、実際のコンポーネント115、及び/又はオブジェクト104の製造に使用されるオブジェクト104のコンポーネント115間の関係性に基づいて作成される。これらの例示的な実施例では、完了時データ128は製造部品表(MBOM)の形態で作成されうる。設計部品表はまた、階層ダイアグラムの形態で表わすこともできる。
【0058】
これらの例示的な実施例では、種々のデータセット114の各々は、各コンポーネント115に対する固有キー135を用いて、オブジェクト104のコンポーネントを特定しうる。固有キー135は、特定のコンポーネントを形式、部品番号、及び/又はモデルが同一である他のコンポーネントから区別できるように、コンポーネント115内の特定のコンポーネントを特定する。
【0059】
この固有キーは、コンポーネント識別子137及びコンポーネントごとのインスタンス識別子139を含みうる。これら2つの情報は、種々のデータセット114の各々の中で特定されるコンポーネントごとに含めることができる。コンポーネント識別子137は、例えば、部品番号又はモデル番号であってもよい。異なるコンポーネントは同一の部品識別子を有してもよい。例えば、同一の形式及び/又はモデルのボルトは同一の部品番号を有することがある。
【0060】
固有キー135のインスタンス識別子139によって、同一の部品識別子を有するコンポーネントは互いに識別可能となる。コンポーネントのインスタンス識別子139は、組立品の中でボルトに対する正確な据付例を示している。一つの例示的な実施例として、組立品は同一の部品番号を有するボルト群を含みうる。特定のボルトに対して使用されるインスタンス識別子は、例えば、組立品内のボルトの位置を記述する特定のボルトに対する位置インデックスを利用して、ボルト群の中であるボルトを他のボルトから識別することができる。
【0061】
これらの例示的な実施例では、データセット114の各々で特定された各コンポーネントに対して固有キー135が使用される。例えば、種々のデータセット114は、特定されたコンポーネント115の種々の属性に対する情報の様々な断片を含む種々のフォーマット、及び/又は他の相違点を有しうる。しかしながら、データセット114の各々は、種々のコンポーネントを識別するため固有キー135を使用する。このように、固有キー135はデータセット114のすべてに対して共通であってもよい。
【0062】
さらに、図示したこれらの実施例では、設計データ124、製造計画データ126、及び完了時データ128に加えて及び/又はこれらのデータの代わりに、データ102は他の情報を含みうる。 例えば、データ102は、作業指図詳細、整備情報、及び/又は他の好適な情報を含みうる。
【0063】
オブジェクト104のライフサイクル103のフェーズ101内のどのフェーズにオブジェクト104があるかによって、オブジェクト104用の一又は複数のデータセット114は空のデータセットすなわちヌルセットになることがある。例えば、オブジェクト104に対して製造計画フェーズ120が開始されていない場合には、オブジェクト104の製造計画データ126及び完了時データ128は空のデータセットになることがある。
【0064】
さらに、設計データ124、製造計画データ126、及び/又は完了時データ128は、オブジェクト104のライフサイクル103のフェーズ101のいずれかにあるとき、変更されることがある。例えば、製造計画フェーズ120の間に設計データ124に対して変更が行われることがある。場合によっては、製造フェーズ122の間に設計データ124に対して変更が行われることがある。さらに、オブジェクト104に対するデータ102の管理では、オブジェクト104に対してオブジェクト104の新しいデータが入力されるにつれて、オブジェクトマネージャ110はデータ102を新規データで更新する。
【0065】
さらに、オブジェクトマネージャ110は、オブジェクト104のライフサイクル103の任意の時点でデータ102の検査を実施することができる。例えば、これらの検査は、オブジェクト104の製造中、オブジェクト104の組立完了後、オブジェクト104の製造完了後、オブジェクト104の整備実施時、及び/又はオブジェクトのライフサイクル103の他の時点に実施しうる。
【0066】
一つの例示的な実施例では、オブジェクトマネージャ110は検査のため少なくとも2つのデータセットを選択する。この選択は、例えば、オブジェクトマネージャで受け取ったユーザー入力に基づいて行われうる。場合によっては、データセット114のすべてが選択されることがある。
【0067】
オブジェクトマネージャ110は、選択されたデータセット114を比較して、比較結果132を作成する。さらに、オブジェクトマネージャ110は、比較のため選択されたデータセット114の各々で特定されたコンポーネント115の固有キーを使用して、比較結果132を作成する。
【0068】
一つの例示的な実施例として、設計データ124及び製造計画データ126は比較のため選択されうる。この実施例では、オブジェクトマネージャ110は、製造計画データ126で特定されたコンポーネント115に対する固有キーが、設計データ124で特定されたコンポーネント115に対する固有キーと一致するかどうかを判断することによって、2つのデータセットを比較する。
【0069】
さらに、オブジェクトマネージャ110は比較結果132及び方針133を利用して、選択されたデータセットの間に任意の相違点131が存在するかどうかを判断する。方針133は、得られた比較結果132に基づいてデータセット114の間に相違点があるかどうかを判断するための任意の数の規則、基準、及び/又は他の情報を含みうる。
【0070】
相違点131は、異なるデータセット114が所望の値と一致しない場合に、特定されうる。例えば、相違点131は、コンポーネント115及び/又は異なるデータセット114で特定されたコンポーネント115の間の関係性が所望の値と一致しない場合に、存在することがある。具体的には、あるデータセットで特定された固有キーが別のデータセットで特定された固有キーと一致しない場合には、一又は複数の相違点131が特定されうる。
【0071】
図示されたように、相違点134は、オブジェクト104のコンポーネント115の過剰136、オブジェクトのコンポーネント115の不足138、または両者の組合せを含みうる。コンポーネント115の過剰136は、オブジェクト104のライフサイクル103のフェーズ101のうちのあるフェーズでのデータ102で特定されていない部品が、別のフェーズのデータ102で特定されている場合に、存在することがある。例えば、過剰136は、オブジェクト104の設計データ124で特定されていない部品に対する固有キーが、製造計画データ126及び/又は完了時データ128で特定される場合に、存在することがある。この例では、過剰136は設計データ124に関する。
【0072】
コンポーネント115の不足138は、オブジェクト104のライフサイクル103のフェーズ101のうちのあるフェーズでのデータ102で特定されている部品が、別のフェーズのデータ102で特定されていない場合に、存在することがある。例えば、不足138は、設計データ124のデータ102が製造計画データ126及び/又は完了時データ128で特定されていない部品に対する固有キーを特定する場合に、存在することがある。この例では、不足138は設計データ124に関する。
【0073】
データセット114のコンポーネント115の識別情報間の相違点134は、異なる因子の数に応じて存在しうる。例えば、相違点134は、オブジェクト104のライフサイクル103のフェーズ101のうちのあるフェーズが完了していない場合に、存在することがある。一つの例示的な実施例として、相違点134は、製造フェーズ122がオブジェクト104に対してまだ完了していないときに、設計データ124と完了時データ128との間に存在することがある。
【0074】
さらに、相違点134は、部品の在庫、製造中止となったある種の部品、オブジェクト104に対して一又は複数の部品の変更を求めるクライアントの要求、人間オペレータによるデータ102の入力時のエラー、及び/又はその他の好適な要因の問題に応じて、存在することがある。
【0075】
幾つかの例示的な実施例では、データセット134間の相違点134は、データセット114で特定されたコンポーネント115に対する固有キーが一致するときに特定されうる。例えば、設計データ124で特定された固有キーは、製造計画データ126で特定された固有キーと一致しうる。しかしながら、比較132を実施する場合には、オブジェクトマネージャ110はまた、関連する情報をこれら2つのデータセットのコンポーネント115に対する各固有キー135と比較して、比較結果132を作成することができる。
【0076】
オブジェクトマネージャ110は、一又は複数の相違点131が存在するかどうかを判断するため、情報の方針133及び比較132を利用する。この例では、相違点134は、設計データ124の固有キー135に関連する情報と製造計画データ126の同一の固有キー135に関連する情報との間の相違となりうる。
【0077】
これらの例示的な実施例では、オブジェクトマネージャ110は、データセット114の間の相違点131が特定されるときを示すように構成されている。例えば、オブジェクトマネージャ110は、ディスプレイ上で特定された任意の相違点131をディスプレイシステム140に視覚的に表示しうる。具体的には、ディスプレイシステム140のグラフィカルユーザーインターフェース上に指示が表示されうる。
【0078】
ディスプレイシステム140は、コンピュータシステム108と通信することができる。幾つかの例示的な実施例では、ディスプレイシステム140は、コンピュータシステム108の一部でありうる。ディスプレイシステム140は、任意の数の場所に配置しうる任意の数のディスプレイ装置を含みうる。
【0079】
一つの例示的な実施例として、オブジェクトマネージャ110は、オブジェクト104が製造された時点で、製造施設142のディスプレイシステム140上に任意の相違点131の指示を表示する。このようにして、製造施設142のオペレータは、データセット114間の任意の相違点131の指示に対応することができる。
【0080】
例えば、ディスプレイシステム140に相違点134の指示が表示されたときには、オペレータはデータセット114で特定されたコンポーネント115の間の相違点134が処置を必要とするものかどうかを判断することができる。これらの例示的な実施例では、処置は相違点134の解消となる。例えば、相違点134がエラーの場合には、処置は相違点134の訂正でもよく、相違点134が適切な相違点である場合には、相違点に対する説明であってもよく、あるいは相違点134に対する他の好適な形態での解消であってもよい。
【0081】
さらに、この処置には相違点134の解消を含むことがある。例えば、相違点134がエラーの場合、処置はエラーの記述を含んでいてもよい。相違点134が正しい相違点である場合には、この処置は相違点の記述を含んでいてもよい。相違点の記述は、相違点134に対する説明となり、相違点134がエラーでないことを示すことができる。
【0082】
オブジェクトマネージャ110は、相違点131に対して行われる処置144を記録するように構成されている。これらの処置144の記録では、オブジェクトマネージャ110は記憶システム113に処置144を保存する。
【0083】
相違点134が特定された場合には、オブジェクトマネージャ110及びオペレータの少なくとも1つが、相違点134がエラーであるかどうかを確定する。例えば、ディスクプレイシステム140上に示された相違点134が、オブジェクト104の製造時のエラーの結果であるかどうかを、オペレータが判断してもよい。相違点134がオブジェクト104の製造時のエラーの結果である場合には、オペレータはエラーを訂正することで対応してもよい。例えば、オペレータは完了時データ128を訂正してもよい。この訂正は、相違点134に対して行われる処置の一形態となりうる。
【0084】
一つの例示的な実施例として、オペレータはエラーを訂正するため、一又は複数のデータセット114に対して新規データを入力してもよい。オブジェクトマネージャ110は、データセット114を更新した後にデータセット114の間の相違点がもはや存在しなくなるようにデータセット114を更新するため、新規データを使用するように構成されている。別の実施例として、オブジェクト104の組立で誤った部品が使用されたことがエラーとなっている場合には、オペレータはオブジェクト104の部品を新しい部品で置き換え、エラーを訂正するため一又は複数のデータセット114に新規データを入力してもよい。
【0085】
幾つかの場合には、相違点134がエラーの結果ではないことがある。例えば、相違点134は、相違点134が正しい又は許容しうるものとする説明を有することがある。相違点134がエラーの結果でない場合には、オペレータは、データセット114で特定されるコンポーネント115の間の相違点134に対する説明を与えるデータを入力することで、対応してもよい。
【0086】
例えば、設計データ124が完了時データ128で特定されていない部品を特定した場合には、オペレータは相違点134に対する説明を与えてもよい。この説明は、設計データ124で特定された部品がオブジェクト104の構築時にははすでに在庫されておらず、製造時には新しい部品が使用されたことを示すことがある。この説明は、相違点134に対する別の形態の処置の例である。
【0087】
一つの例示的な実施例では、製造計画データ126はオブジェクト104の製造に関する製造計画の命令を含むことがある。製造時には、製造計画を使用してオブジェクト104を製造するクライアントは、一又は複数の命令に変更を加えることがある。例えば、クライアントは命令にトルク値などのパラメータを追加することがある。このトルク値は設計データ124に表示されないことがある。
【0088】
オブジェクトマネージャ110は、設計データ124と製造計画データ126との間の相違点134として、命令に追加されたトルク値を特定することができる。その結果、トルク値は設計データ124に追加されることがある。このようにして、設計データ124を使用して生成される将来の製造計画及び/又は製造計画データ126の他の情報は、トルク値を含むことがある。
【0089】
他の例示的な実施例では、しかしながら、設計データ124と製造計画データ126との間の相違点134に対する説明を、オペレータが与えてもよい。特に、オブジェクト104の製造時の特別な状況によりトルク値が製造計画に追加されたことを、オペレータが示すことがある。この説明はまた、トルク値が設計データ124に追加されていないことを示すこともある。
【0090】
特定の相違点134に対して一旦処置が行われると、今後比較が行われた際には、その特定の相違点134はオブジェクトマネージャ110ではもはや特定することはできない。すなわち、特定の相違点134には、種々のデータセット114の間でエラーとしてのフラグは立てられていない。
【0091】
幾つかの例示的な実施例では、オブジェクトマネージャ110はデータセット114の間の相違点134を特定するレポートを作成して送信することによって、相違点を134を特定することがある。このレポートは製造施設142及び/又は他の場所にいる任意の数のオペレータに送信することができる。
【0092】
別の例示的な実施例では、オブジェクトマネージャ110は、相違点134を特定するオペレータに電子メールを送信すること、データベース又はテーブルに相違点134を記録すること、視覚的及び/又は聴覚的警告を発すること、及びデータセット114内のデータ102が所望のとおりに一致していないことを示す他の好適な動作のうちの少なくとも1つを実施することによって、データセット114の間の相違点134を示すことができる。
【0093】
これらの例示的な実施例では、データセット114の検査によって、エラーを示す相違点131がデータセット114の間にもはや存在しないことが示された場合には、これらのデータセット114は調整されたものとみなされる。このようにして、方針133に従って種々のデータセット114が互いに一致していること、及びデータセット114の間で既に特定されている相違点131に対して処置144が与えられていることを確認することによって、データセット114の調整を実施することが可能である。さらに、データセット114を調整することで、種々のデータセット114の各々によって特定されたオブジェクト104に関する構成117が正しいことが保証される。
【0094】
オブジェクト104が航空機の場合、航空機の製造施設142及びコンピュータシステム108は、航空機製造システムと称されることがある。これらの例示的な実施例では、製造施設142内にコンピュータシステム108の一部、又はすべてを設置すること、あるいは何も設置しないことができる。
【0095】
このように、オブジェクトマネージャ110は、オブジェクト104のライフサイクル103で長期間にわたって、データ102の中に現れるエラーの数を減らすため、オブジェクト104のデータ102を管理するシステムを提供する。さらに、この形態のデータ102の管理は、オブジェクト104の実際の製造時に発生するエラーの数を減らすことができる。
【0096】
加えて、実施される比較のためのデータは、将来の使用に備えて記憶システム113に保存することができる。さらに、相違点134の識別情報も将来の使用に備えて保存することができる。例えば、オブジェクト104の開発時にオブジェクトマネージャ110によって実施された多重比較のデータも保存することができる。オブジェクトマネージャ110は、このデータを解析し、種々のデータセット114の間の一致の程度の変化を判断するように構成されうる。
【0097】
例えば、データセット114を毎日比較して、その比較結果を保存及び解析することができる。このように、種々のコンポーネント115のマッチングにおける進展は、開発プロセスの期間全体にわたって評価することができる。さらに、種々のコンポーネント115の中の特定のコンポーネントの進展を評価することができる。幾つかの例示的な実施例では、コンポーネント115の中の1つのコンポーネントに対するデータセット114の比較結果は、コンポーネント115の中の別のコンポーネントの対するデータセット114の比較結果と比べることができる。
【0098】
オペレータはまた、種々のデータセット114の中のコンポーネント115のマッチングで繰り返し発生する問題を解決するため、及び/又はコンポーネント115のマッチングにおける動向を把握するため、長期間にわたって実施された多重比較で保存されたデータを閲覧することもできる。
【0099】
オブジェクト104が車両構造物105の形態をとる場合には、車両構造物105は何百、何千、又は何十万のコンポーネント115を含みうる。車両構造物105のライフサイクル103の様々なフェーズ101で、車両構造物105の構成117においてコンポーネント115を特定するデータ102の検査は、オペレータが手作業で実施した場合には、所望以上に多くの時間と労力を要することがある。
【0100】
例えば、契約、期限、規制、及び/又は他の好適な要因の基づいて相違点131の識別情報を作成しなければならない場合には、時間的制約が存在することがある。さらに、可能な限り迅速に納入するため車両構造物の完成を目指している場合、クライアントから要求されている場合、あるいはこれらが組み合わさった場合には、時間的制約が存在することがある。
【0101】
コンピュータシステム108のオブジェクトマネージャ110により、このような種々の時間的制約が満たされるように、データ102の検査をより迅速且つより効率的に行うことができる。さらに、オブジェクトマネージャ110によって、データセット114の中の異なるデータセット対の検査をほぼ同時に比較することが可能になる。例えば、オブジェクトマネージャ110は、設計データ124を製造計画データ126と比較し、その間また、設計データ124を完了時データ128と比較することができる。
【0102】
図1の開発環境100の図解は、有利な実施形態が実装されうる方法に対する物理的又は構造的な制限を示唆することを意図していない。図示されたコンポーネントに加えて及び/又は代えて、他のコンポーネントを使用することができる。幾つかのコンポーネントは不必要になることもある。また、幾つかの機能コンポーネントを示すためにブロックが表示されている。有利な実施形態で実装される場合、一又は複数のこれらのブロックは結合されること、及び/又は分割されることがありうる。
【0103】
例えば、幾つかの例示的な実施例では、オブジェクト104の組立品は、製造施設142以外の異なる製造施設で製造されてもよい。他の例示的な実施例では、オブジェクト104は車両構造物105以外の形態をとりうる。例えば、オブジェクト104は、複合組立品、複合構造物、建物、橋、コンピュータシステム、複雑な構成を有する家具、又はオブジェクトの他の好適な形態であってもよい。
【0104】
さらに、実装によっては、特定された任意の相違点134に対して行われる処置は、コンピュータシステム108の上で動作するソフトウェアによって実行されうる。場合によっては、この処置は、コンピュータシステム108に実装された人工知能(AI)によって生成される。
【0105】
加えて、他の例示的な実施例では、記憶システム113に保存されているデータセット114は、設計フェーズ118、製造計画フェーズ120、及び製造フェーズ122以外の、オブジェクト104のライフサイクル103の他のフェーズ101に対するデータセットを含みうる。
【0106】
他の例示的な実施例では、データセット114は再構成フェーズ148の再構成データ146を含みうる。再構成フェーズ148では、クライアントはオブジェクト104に対して、供給業者によって製造されたオブジェクト104の構成117とは異なる新しい構成を設計してもよい。例えば、クライアントはオブジェクト104の油圧システムで使用されているバルブの形式の変更を希望してもよい。クライアントはオブジェクト104の新しい構成に対して、コンポーネント115を特定する再構成データ146を形成する新規データを入力してもよい。
【0107】
オブジェクトマネージャ110は、オブジェクト104の新しい構成が要求事項を満たし、再認証可能かどうかを判断するために使用されうる。オブジェクトマネージャ110は、方針133を用いて、オブジェクト104の再構成データ146と設計データ124との間の比較結果132を作成する。方針133は、オブジェクト104の設計130に対する任意の数の基準及び/又は変更に対する要求事項を含みうる。オブジェクトマネージャ110は、比較結果132を用いて、再構成データ146と設計データ124との間の任意の相違点131を特定する。
【0108】
さらに、オブジェクトマネージャ110及びオペレータのうちの少なくとも1つは、再構成データ146と設計データ124との間の相違点131のうちのいずれが方針133の基準及び/又は要求球事項133を満たすのか、又相違点131のいずれがエラーであるのかを判断することができる。処置144は特定された相違点131のそれぞれに対して行われうる。
【0109】
特定された相違点131に対する処置144で提供される詳細に応じて、再構成データ146及び設計データ124のうちの少なくとも1つに対して変更が行われうる。この例示的な実施例では、オブジェクトマネージャ110はまた、再構成データ146及び/又は設計データ124に対して変更が行われるとき、データセット114内の他のデータセットを更新してもよい。
【0110】
このように、オブジェクトマネージャ110は、完全に組み立てられたオブジェクト104がクライアントに納品された後であっても、オブジェクト104のデータ102を管理するように構成されうる。さらに、オブジェクト104のライフサイクル103の間の任意の時点で作成されたデータ102のデータセット114は、データ102が更新され且つ正確であることを確認するために比較されることもある。場合によっては、オブジェクト104のライフサイクル103の同一フェーズで、2つのデータセットが作成されることがある。2つのデータセットの間の相違点131を特定するため、これら2つのデータセットが比較されることがある。このように、ライフサイクル103の当該フェーズで発生する変更は評価可能である。
【0111】
ここで図2を参照すると、有利な一実施形態によるデータセットの実例が描かれている。この例示的な実施例では、図1のデータセット114の実施例が描かれている。具体的には、図1の設計データ124、製造計画データ126及び完了時データ128の1つの実装例が描かれている。
【0112】
この例示的な実施例では、設計データ124、製造計画データ126及び完了時データ128がツリーダイアグラムの形式で表示されている。これらのツリーダイアグラムは図1のディスプレイシステムに表示されうる。
【0113】
この例示的な実施例では、設計データ124はツリーダイアグラム202を含みうる。このツリーダイアグラム202はコンポーネント204を特定する。これらのコンポーネントは、モデル206、第1部品208、第2部品210、第3部品212、第4部品214、第5部品216及び第6部品218を含むが、これらに限定されない。これらのコンポーネントは、図1の車両構造物105の設計計画から特定されうる。さらに、これらのコンポーネント204は、車両構造物105の設計構成205を形成する。
【0114】
図示されたように、第2部品210及び第3部品212は組立品を形成する。さらに、第4部品214、第5部品216及び第6部品218は組立品を形成する。第1部品208、第2部品210と第3部品212によって形成された組立品、第4部品214と第5部品216と第6部品218によって形成された組立品は、モデル206に従って組み立てられて図1の車両構造物105を形成しうる。
【0115】
この例示的な実施例では、製造計画データ126はまた、コンポーネント222を特定するツリーダイアグラム220を含みうる。これらのコンポーネント222は、設計データ124に基づく車両構造物105の製造のための製造計画から特定されうる。さらに、これらのコンポーネント222は、車両構造物105の製造計画構成223を形成する。
【0116】
したがって、完了時データ128はまた、コンポーネント226を特定するツリーダイアグラム224を含みうる。これらのコンポーネント226は、車両構造物105を形成するように実際に組み立てられたコンポーネントとして特定されうる。さらに、これらのコンポーネント226は、車両構造物105の完了時構成227を形成する。
【0117】
車両構造物105の製造が完了した場合には、設計データ124で特定されるコンポーネント204は、製造計画データ126で特定されるコンポーネント222及び完了時データ128で特定されるコンポーネント226と同一でなければならない。図1のオブジェクトマネージャ110は、この例示的な実施例での比較のため、設計データ124、製造計画データ126、及び完了時データ128のうちの少なくとも2つを選択しうる。この比較は、これらの異なるデータセット間に何らかの相違点が存在するかどうかを判断するために使用されうる。
【0118】
例えば、設計データ124のツリーダイアグラム202で特定されるコンポーネント204は、製造計画データ126のツリーダイアグラム220で特定されるコンポーネント222と比較されることがある。図示されたように、設計データ124と製造計画データ126との間の比較は、設計データ124で特定されるコンポーネント204と製造計画データ126で特定されるコンポーネント222との間に相違点が存在しないことを判断する。
【0119】
具体的には、モデル206、第1部品208、第2部品210、及び第4部品214が、製造計画データ126の中で特定される。すなわち、モデル206、第1部品208、第2部品210、及び第4部品214が、製造計画データ105の中で特定される。
【0120】
設計データ124と製造計画データ126とを比較する場合、オブジェクトマネージャ110は、第2部品210が製造計画の中で組立済みとして特定されていると判断することができる。例えば、第2部品210は、組み立てられすぐに使用できる形態で第2部品210の供給業者から受領済みのことがある。
【0121】
オブジェクトマネージャ110は、第2部品210が組立済みの形態で受領された場合には、第2部品210の組立品に使用されている任意の部品が存在するものとみなす。すなわち、設計データ124と製造計画データ126とを比較する場合、オブジェクトマネージャ110は、第3部品212が製造計画データ126の中に存在するものとみなす。このように、第3部品212は、製造計画データ126の中で明確に特定される必要はない。
【0122】
さらに、オブジェクトマネージャ110はまた、第4部品214が製造計画データ126の中で組立済みの形態で特定されていると判断する。その結果、オブジェクトマネージャ110は、第5部品216及び第6部品218が製造計画データ126の中に存在するものとみなす。第5部品216及び第6部品218は、製造計画データ126の中で明確に特定される必要はない。
【0123】
このように、オブジェクトマネージャ110は、設計データ124と製造計画データ126との間の比較を使用して、これら2つのデータセットの間に相違点が存在しないかどうかを判断する。2つのデータセットの間に相違点が存在しない場合には、これらのデータセットは完全に一致しているか完全に調整済みである。
【0124】
次に、オブジェクトマネージャ110は、設計データ124のコンポーネント204が製造計画データ126のコンポーネント222と一致したことを示すため、一致インジケータ230、232、234、236、238、240、及び242を表示する。第3部品212、第5部品216、及び第6部品218の隣の一致インジケータ236、240、242は上向き矢印になっている。これらの上向き矢印は、これらの部品が、製造計画データ126の中で特定されたそれぞれの親部品に基づいて、製造計画データ126の中で特定されたことを示している。
【0125】
具体的には、第3部品212の隣の一致インジケータ236は、製造計画データ126の中で特定されている第2部品210に基づいて、第3部品212が製造計画データ126の中で特定されていることを示している。さらに、第5部品216の隣の一致インジケータ240及び第6部品218の隣の一致インジケータ242は、製造計画データ126の中で特定されている第4部品214に基づいて、これらの部品が製造計画データ126の中で特定されていることを示している。
【0126】
さらに、インジケータ244は、製造計画データ126の中で特定されたコンポーネント222のすべてが設計データ124の中で特定されていること、及び設計データ124の中で特定されたコンポーネント204のすべてが製造計画データ126の中で特定されていることを示している。同様にして、オブジェクトマネージャ110は設計データ124と完了時データ128を比較することができる。オブジェクトマネージャ110はまた、インジケータ246で示されているように、設計データ124と完了時データ128との間に相違点がないことを判断する。
【0127】
このように、オブジェクトマネージャ110は、設計データ124、製造計画データ126、及び完了時データ128を調整する。この例示的な実施例では、この調整により、設計構成205、製造計画構成223、及び完了時構成227が所望のとおりにほぼ一致することが保証される。
【0128】
ここで図3を参照すると、有利な一実施形態によりデータセット間の相違点の実例が描かれている。この例示的な実施例では、図1のオブジェクトマネージャ110は、設計データ124と製造計画データ126を比較し、これら2つのデータセットの間に相違点が存在することを判断する。
【0129】
例えば、これらのデータセット間に相違点が存在しない場合、図2の設計データ124と製造計画データ126との間で実施される比較の前の時点に、この比較を実施してもよい。具体的には、第4部品214を供給業者から受領していないときに、図3の設計データ124と製造計画データ126との間での比較が実施され、図1の車両構造物105の製造に関する製造計画に追加される。
【0130】
その結果、オブジェクトマネージャ110は、図2の第4部品214、第5部品216、及び第6部品218のそれぞれに対して表示されている一致インジケータ238、240、及び242を、それぞれ相違インジケータ300、302及び304に変更する。
【0131】
図示されているように、相違インジケータ300、302、及び304はそれぞれ第4部品214、第5部品216、及び第6部品218を示しており、製造計画データ126内では特定されていない。さらに、図2のインジケータ244の代わりに、製造計画データ126に対して別の識別子306が表示されている。このインジケータ306は、製造計画データ126がまだ調整されていない、又は設計データ124に一致していないことを示す。
【0132】
すなわち、設計データ124で特定されたすべてのコンポーネント204が製造計画データ126で特定されているわけではない。その結果、オブジェクトマネージャ110は、設計構成205が車両構造物105の製造計画構造223と一致しないと判断してもよい。
【0133】
ここで図4を参照すると、有利な一実施形態によるデータセットの実例が描かれている。この例示的な実施例では、図1のデータセット114の1つの実施例が描かれている。具体的には、図1の設計データ124の1つの実装の例が描かれている。図示されているように、設計データ124は第1テーブル400に表わされている。
【0134】
この例示的な実施例では、設計データ124は空のデータセットである。すなわち、設計データ124を表わす第1テーブル400は、任意のコンポーネント402の情報がまだ投入されていない。設計データ124で特定されるコンポーネント402は、図1のオブジェクト104を形成するためのコンポーネントである。具体的には、第1テーブル400は、任意のコンポーネント402に対して属性404の情報がまだ投入されていない。この情報は、オブジェクト104がコンポーネント402によって形成される設計フェーズの間に第1テーブル400に追加してもよい。
【0135】
属性404は、部品番号408、配置インデックス410、ベンダー部品番号412、材料414、重量416、図面番号418、据付面420、最高保管温度422を含む。この例示的な実施例では、部品の部品番号408はオブジェクト104を形成するために部品を使用する製造者によって部品に与えられた識別子である。部品の配置インデックス410は、オブジェクト104の構成117に関して部品の配置を特定する。例えば、配置インデックス410はオブジェクト104に関して部品の据付位置を特定しうる。
【0136】
ベンダー部品番号412は、当該部品の供給業者によって部品に与えられる識別子である。部品の材料414は、部品が形成される主要材料であってもよい。部品の重量416は、例えば、限定しないが、キログラム(kg)などの単位で記述されうる。部品の図面番号は、オブジェクト104の設計で使用される部品の識別子である。部品の据付面420は、部品が据付られるオブジェクト104の構成117の面を表わす。部品の最大保管温度420は、部品が保管される環境の最大温度である。最大保管温度420は、例えば、限定しないが、華氏などの単位で記述されうる。
【0137】
この例示的な実施例では、コンポーネントの部品番号408及び配置インデックス410は、当該コンポーネントに対する固有キー424を形成する。例えば、部品番号408は、図1のコンポーネント識別子137の1例である。配置インデックス410は、図1のインスタンス識別子139の1例である。
【0138】
例示的な実施例では、固有キー424は設計テーブル400の中で特定される各コンポーネント402によって異なる。例えば、第1部品及び第2部品は同一の部品番号408を有することがあるが、配置インデックス410はこの2つのコンポーネントに対して異なることがある。このように、固有キー424の配置インデックス410により、異なるコンポーネント402を設計データ124の中で識別することが可能になり、互いに識別することができる。
【0139】
ここで図5を参照すると、有利な一実施形態によるデータセットの実例が描かれている。この例示的な実施例では、図1のデータセット114の1つの実施例が描かれている。具体的には、図1の完了時データ128の1つの実装の例が描かれている。図示されているように、完了時データ128は第2テーブル500に表わされている。
【0140】
この例示的な実施例では、完了時データ128は空のデータセットである。すなわち、完了時データ128を表わす第2テーブル500には、任意のコンポーネント502の情報がまだ投入されていない。具体的には、第2テーブル500には、コンポーネント502の識別情報及び/又はこれらのコンポーネント502に関する属性の情報がまだ投入されていない。完了時データ128で特定されるコンポーネント502は、オブジェクト104を形成するために組み立てられるコンポーネントである。第2テーブル520には、オブジェクト104の製造フェーズ123の間の情報が投入されている。
【0141】
これらのコンポーネント502の属性504は、部品番号508、配置インデックス510、据付ツール512、要認証指示514、保管場所516、組立品ジグ番号518、据付面520、及び組立品セル522を含む。部品番号508と部品の配置インデックス510は、図4の設計データ124の中で特定される固有キー424と同様に、部品に対して固有キー524を形成する。すなわち、固有キー524は図4の固有キー424と同一の形式になっている。
【0142】
部品の据付ツール512は、オブジェクト104を形成するため部品の据付に使用されるツールである。部品の要認証指示514は、部品が認証を必要とするかどうかを示す。部品の保管場所516は、部品が保管される場所となる。部品の組立品ジグ番号518は、当該部品の組立品ジグの識別子である。部品の組立品セル522は、オブジェクトの組立品に部品が据付られる製造施設内での配置となることがある。
【0143】
ここで図6を参照すると、有利な一実施形態により2つのデータセット間の比較の実例が描かれている。この例示的な実施例では、図4の第1テーブル400及び図5の第2テーブル500に情報が投入されている。具体的には、第1テーブル400の設計データ124は、オブジェクト104の設計によて指定されているように、オブジェクト104のコンポーネント402として第1部品600及び第2部品602を特定する。第2テーブル500の完了時データ128は、オブジェクト104の第3部品を特定する。
【0144】
この例示的な実施例では、第1部品600及び第2部品602は同一の部品番号408を有する。しかしながら、第1部品600の配置インデックス410は第2部品602の配置インデックス410とは異なる。このように、第1部品600の固有キー424と第2部品602の固有キー424により、これらの部品は同一の部品番号408を有していても互いに識別することが可能である。さらに、この固有キー424は完了時データ128に対して共通である。すなわち、設計データ124で特定されるコンポーネント402に対して使用される固有キー424は、完了時データ128で特定されるコンポーネント502に対して使用される固有キー524と同一の形式である。
【0145】
図1のオブジェクトマネージャ110は、製造されるオブジェクト104の構成117が設計データ124で指定されている正しい構成であることを確認するため、第2テーブル500で表わされている完了時データ128と図4の第1テーブル400で表わされている設計データ124との間の比較結果132の作成に使用されることがある。設計データ124で特定される各コンポーネント402に対する固有キー424を、完了時データ128で特定される各コンポーネント502に対する固有キー524と照合することによって、比較結果132が作成される。
【0146】
例えば、比較結果132が形成される場合、設計データ124で特定される第1部品600に対する固有キー424と、完了時データ128で特定される第3部品604に対する固有キー524との間で一致606が特定される。しかしながら、設計データ124で特定される第2部品602に対する固有キー424と、完了時データ128で特定されるコンポーネント502のいずれかに対する固有キー524との間で一致は見つからない。
【0147】
この不一致は、設計データ124に関するオブジェクト104の構成117の不足を示している。すなわち、オブジェクト104に対して、設計データ124で指定されている必要数よりも少ない部品で組み立てられている。この相違点に対応して、オペレータは相違点が設計データ124及び/又は完了時データ128のエラーの結果によるものであるか、許容しうる説明を有する相違点であるのかを判断してもよい。オペレータは説明を提供することで、この相違点に対して処置を行ってもよい。
【0148】
ここで図7を参照すると、有利な一実施形態により2つのデータセット間の比較の実例が描かれている。この例示的な実施例では、図4の第1テーブル400及び図5の第2テーブル500に情報が投入されている。具体的には、第1テーブル400の設計データ124は、オブジェクト104の設計によて指定されているように、オブジェクト104のコンポーネント402の1コンポーネントとして第1部品700を特定する。第2テーブル500の完了時データ128は、オブジェクト104に対して第2部品702及び第3部品704を特定する。
【0149】
図1のオブジェクトマネージャ110は、製造されるオブジェクト104の構成117が設計データ124で指定されている正しい構成であることを確認するため、第2テーブル500で表わされている完了時データ128と図4の第1テーブル400で表わされている設計データ124との間の比較結果132の作成に使用されることがある。
【0150】
例えば、比較結果132が作成される場合、設計データ124で特定される第1部品700に対する固有キー424と、完了時データ128で特定される第2部品702に対する固有キー524との間で一致706が特定される。しかしながら、完了時データ128で特定される第3部品704に対する固有キー524と、設計データ124で特定されるコンポーネント402のいずれかに対する固有キー424との間で一致は見つからない。
【0151】
この不一致は、設計データ124に関するオブジェクト104の構成117の過剰を示している。すなわち、オブジェクト104を形成するため、設計データ124で指定されている必要数よりも多い部品で組み立てられている。さらに、この相違点に対応して、オペレータは相違点が設計データ124及び/又は完了時データ128のエラーの結果によるものであるか、許容しうる説明を有する相違点であるのかを判断してもよい。オペレータは説明を提供することで、この相違点に対して処置を行ってもよい。
【0152】
ここで図8を参照すると、有利な一実施形態により2つのデータセット間の比較の実例が描かれている。この例示的な実施例では、図4の第1テーブル400及び図5の第2テーブル500に情報が投入されている。具体的には、第1テーブル400の設計データ124は、オブジェクト104のコンポーネント402として第1部品800及び第2部品802を特定する。第2テーブル500の完了時データ128は、オブジェクト104に対して第3部品804及び第4部品806を特定する。
【0153】
図1のオブジェクトマネージャ110は、これら2つのデータセット間の比較結果132を作成することができる。この比較結果132は、設計データ124で特定されるコンポーネント402が完了時データ128で特定されるコンポーネント502と一致することを示すことができる。具体的には、設計データ124で特定される第1部品800に対する固有キー424と、完了時データ128で特定される第3部品804に対する固有キー524との間で一致808が見出される。さらに、設計データ124で特定される第2部品802に対する固有キー424と、完了時データ128で特定される第4部品806に対する固有キー524との間で一致810が見出される。
【0154】
しかしながら、2つのデータセット間で比較結果132を作成する場合には、オブジェクトマネージャ110は何らかの相違点が2つのデータセット間に存在するかどうかを判断するため、方針133を使用することがある。例えば、方針133は、製造フェーズ122でオブジェクト104に対して特定されるコンポーネントが、保管場所の温度が特定のコンポーネントに対する最高保管温度422を超えない保管場所516に保管される必要がありうることを示すことがある。この方針133はまた、たとえば、保管場所及び当該保管場所で到達する最高温度の一覧を含むことがある。
【0155】
一つの例示的な実施例では、方針133は、保管場所W−98が華氏約100度を超える最高温度に到達することを示しうる。その結果、オブジェクトマネージャ110は、方針133を用いて、設計データ124の第1部品800に対して提供される情報と完了時データ128の第3部品804に対して提供される情報との間の相違点812を特定する。さらに、オブジェクトマネージャ110は、方針133を用いて、設計データ124の第2部品802に対して提供される情報と完了時データ128の第4部品806に対して提供される情報との間の相違点814を特定する。これらの相違点は、2つのデータセットによって提供される属性の情報で不一致又は矛盾として参照されることがある。
【0156】
ここで図9を参照すると、有利な一実施形態により2つのデータセット間の比較結果を表示するグラフィカルユーザーインターフェースの実例が描かれている。この例示的な実施例では、グラフィカルユーザーインターフェース900は図1のディスプレイシステム140上に表示されうる。グラフィカルユーザーインターフェース900は、図1の設計データ124などの設計データと、図1の製造計画データ126などの製造計画データとの間の比較結果を表示する。
【0157】
具体的には、グラフィカルユーザーインターフェース900は、コンポーネント903を特定するツリーダイアグラム902を表示する。グラフィカルユーザーインターフェース900に表示されているツリーダイアグラム902の部分は、設計データ124から特定されるコンポーネント903を特定することができる。この例示的な実施例では、ツリーダイアグラム902の部分904は、組立品906に対するツリーダイアグラム902の分解図の中に表示されている。組立品906は複数の部品908を含む。
【0158】
さらに、情報セクション905はまた、グラフィカルユーザーインターフェース900の中に表示されている。この情報セクション905は、他の好適な情報と共に、2つのデータセット間の比較結果を表示する。
【0159】
ツリーダイアグラム902で特定されるコンポーネント903の特定の部品は、例えば、特定の部品に対して製造指図インスタンス(SOI)が存在する場合、製造計画データ126と照合されることがある。製造指図インスタンスの存在は、特定の部品が製造計画で特定されていること、及び特定の部品に対する指図が供給業者によって設定されたことを示している。
【0160】
この例示的な実施例では、組立品906は設計データ124に対するツリーダイアグラム902で選択されている。この選択に対応して、組立品906に関する情報が情報セクション905に表示されている。さらに、製造指図インスタンス(SOI)タブ910が情報セクション905に表示されている。製造指図インスタンスタブ910の存在は、組立品906も製造計画データ126で特定されていることを示す。具体的には、組立品906に対する製造指図番号912は、製造指図インスタンスタブ910の下に表示されている。
【0161】
さらに、図示されているように、組立品906及び組立品906を形成する部品908の隣に表示されている一致インジケータ914は、当該組立品及び複数の部品908に関して、設計データ124と製造計画データ126との間に相違点が存在しないことを示している。すなわち、一致インジケータ914は、組立品906及び組立品906を形成する部品908のすべてが製造計画データ126で特定されていることを示す。
【0162】
ここで図10を参照すると、有利な一実施形態により2つのデータセット間の別の比較結果を表示するグラフィカルユーザーインターフェースの実例が描かれている。この例示的な実施例では、ツリーダイアグラム902の異なる部分1000がグラフィカルユーザーインターフェース1000上に表示されている。この部分1000は。複数の部品1004を含む組立品1002用のものである
【0163】
この例示的な実施例では、組立品1002用の部品1004の中の部品1006が選択されている。この選択に対応して、組立品1006に関する情報がグラフィカルユーザーインターフェース900上の情報セクション905に表示されている。設計データ124と製造計画データ126との間に相違点が存在する場合には、この相違点の指示が情報セクション905の比較タブ1007の下に表示されている。
【0164】
この例示的な実施例では、不足の指示1008は比較タブ1007の下に表示されている。この不足の指示1008は、設計データ124に対するツリーダイアグラム902で特定される部品1006が製造計画データ126で特定されていないことを示している。この不足はまた、図9のグラフィカルユーザーインターフェース900上に表示される製造指図インスタンスタブ910などの製造指図インスタンスタブが存在しないことによっても示される。
【0165】
この不足はさらに、ツリーダイアグラム902の部品1006の隣の相違インジケータ1010によって特定される。部分一致インジケータ1012は、組立品1002の隣に表示され、組立品1002用の部品1004のすべてが製造計画データ126で特定されているわけではないことを示す。
【0166】
ここで図11を参照すると、有利な一実施形態により2つのデータセット間の比較結果を表示するグラフィカルユーザーインターフェースの実例が描かれている。この例示的な実施例では、グラフィカルユーザーインターフェース900上に表示されるツリーダイアグラム902の部分は、製造計画データ126で特定されたが図1の設計データ124では特定されていないコンポーネント903を示す。
【0167】
この例示的な実施例では、情報は、製造計画データ126で特定されるコンポーネントに対する情報セクション905の製造指図インスタンスタブ910の下に表示されうる。この例示的な実施例では、ツリーダイアグラム902で特定されるコンポーネント903の隣のインジケータ1100は、これらのコンポーネント903が製造計画データ126で特定されているが、設計データ124では特定されていない。
【0168】
ここで図12を参照すると、有利な一実施形態により2つのデータセット間の比較結果を表示するグラフィカルユーザーインターフェースの実例が描かれている。この例示的な実施例では、部品1200はツリーダイアグラム902で特定されているコンポーネント903から選択されている。この選択に対応して、部品1200に関する情報が情報セクション905の不一致タブ1202に表示されている。
【0169】
相違点が特定された場合、オペレータは相違点がエラーであるかどうかを判断することができる。相違点がエラーの場合、オペレータによるエラーの訂正を可能にするグラフィカルユーザーインターフェース900を介して、オペレータはユーザー入力を入れることができる。
【0170】
この訂正に関する情報は、不一致タブ1202の下の処置タブ1210の下の注釈セクション1206及び/又はユーザーコメントセクション1208に入力されうる。さらに、相違点がエラーでない場合には、オペレータは注釈セクション1206及び/又はユーザーコメントセクション1208に相違点に対する説明を入力してもよい。
【0171】
この実施例で図示されているように、部品1200の隣の閉じられたインジケータ1204は、図1の設計データ124と製造計画データ126との間にかつて存在していた相違点が現在は解消されていることを示す。すなわち、相違点に対する説明が注釈セクション1206及びユーザーコメントセクション1208に入力されている。さらに、この相違点のステータス1212は、クローズされたものとして特定されている。他の例示的な実施例では、相違点がまだ解消されていない場合には、相違点のステータス1212はオープンとして特定されることがある。
【0172】
次に図13を参照すると、有利な実施形態に従って描かれた車両の部品を特定するプロセスのフロー図が示されている。図13に示されたプロセスは、図1のオブジェクトマネージャ110を用いて実装可能である。
【0173】
このプロセスは車両構造物に対するデータセットを特定することによって開始される(作業1300)。各データセットは車両構造物のライフサイクルの種々のフェーズで、車両構造物のコンポーネントを特定する。具体的には、各データセットは車両構造物のライフサイクルの種々のフェーズで、車両構造物の構成を示す。
【0174】
このプロセスはここで、車両構造物に対するデータセットを比較する(作業1302)。次に、このプロセスはデータセット内のコンポーネントの識別情報間の相違点を特定する(作業1304)。作業1304は、種々のデータセットの異なるコンポーネントに対する固有キーを照合することによって実行されうる。
【0175】
その後、このプロセスはデータセット内のコンポーネントの識別情報間の相違点がエラーであるかどうかを確定する(作業1306)。例えば、相違点はデータ入力時のエラーの結果であることがある。
【0176】
このプロセスはここで、確定されたエラーのエラー記述及びデータセット間のコンポーネントの正しいが異なる識別情報の相違点記述を記録する(作業1308)。これらのエラー記述及び相違点記述は、図1の処置の例である。作業1308で記録されると、これらのエラー記述及び相違点記述は、図3の記憶システム113などの記憶システムに保存される。
【0177】
次に、このプロセスはデータセット内の各データセットのエラーを訂正し、一又は複数のデータセットの正しい相違点を注記し、データセット内のコンポーネントの識別情報間の訂正された相関関係を確定し、その後のプロセスを終了する。作業1310では、訂正及び注釈は、例えば、図1のオブジェクトマネージャ110及び/又はオペレータによって実行されうる。例えば、オペレータはグラフィカルユーザーインターフェースを用いて、エラーの結果である相違点を訂正し、相違点が正しい相違点であることを説明する注釈を記述することができる。
【0178】
次に図14を参照すると、有利な実施形態に従って描かれた車両構造物で使用されるコンポーネントを管理するプロセスのフロー図が示されている。図14に示されたプロセスは、例えば、図1のオブジェクトマネージャ110を用いて実装可能である。
【0179】
このプロセスは、比較のため第1データセットと第2データセットを特定するオブジェクトマネージャによって開始される。第1データセットは、例えば、図1の設計データ124又は図1の製造計画データ126であってもよい。第2データセットは、例えば、図1の製造計画データ126又は図1の完了時データ128であってもよい。
【0180】
次に、オブジェクトマネージャは、第1データセットで特定されたコンポーネントと第2データセットで特定されたコンポーネントを比較する(作業1402)。作業1402では、コンポーネントの一覧を作成するため、第1データセットで特定されたコンポーネントと第2データセットで特定されたコンポーネントが照合される。
【0181】
このコンポーネント一覧のコンポーネントは、一致したコンポーネント及び/又は一致していないコンポーネントを含みうる。この例示的な実施例では、一致したコンポーネントは第1データセットと第2データセットの双方で特定されるコンポーネントである。一致していないコンポーネントはすべて、2つのデータセットのうちの一方のみで特定されるコンポーネントである。
【0182】
オブジェクトマネージャは、コンポーネントの一覧をグラフィカルユーザーインターフェース上でツリーダイアグラムの形式で表示する。次に、オブジェクトマネージャは、コンポーネントの一覧からコンポーネントを選択する。
【0183】
オブジェクトマネージャは次に、コンポーネントが一致したコンポーネントか一致していないコンポーネントかを判断する。このコンポーネントが一致したコンポーネントである場合には、オブジェクトマネージャはコンポーネントの一覧の中に追加の未処理コンポーネントがあるかどうかを判断する(作業1410)。
【0184】
追加の未処理コンポーネントがコンポーネントの一覧の中に存在しない場合には、オブジェクトマネージャはグラフィカルユーザーインターフェースに比較結果を表示し、その後のプロセスを終了する。しかしながら、追加の未処理コンポーネントがコンポーネントの一覧の中に存在する場合には、既に述べたようにプロセスは作業1406に戻る。
【0185】
作業1408を再度参照して、コンポーネントが一致していないコンポーネントの場合には、オブジェクトマネージャは当該コンポーネントに関して第1データセットと第2データセットとの間の相違点に対して既に処置が行われているかどうかを判断する。既に処置が行われている場合には、プロセスは上述のように作業1410に進む。
【0186】
そうではなく、処置が過去に行われていない場合には、オブジェクトマネージャは当該コンポーネントに対して処置が必要であることをグラフィカルユーザーインターフェース上に指示する。この指示は、例えば、ツリーダイアグラムのコンポーネントの隣のディスプレイに対するグラフィカルインジケータであってもよい。別の実施例として、この指示はツリーダイアグラムのコンポーネントの選択に対応して表示されるグラフィカルユーザーインターフェースのタブの下のセクションに表示されるテキストであってもよい。その後、上述のようにプロセスは作業1410に戻る。
【0187】
これらの例示的な実施例では、オペレータは新規データを入力するため、グラフィカルユーザーインターフェース上で比較結果を閲覧することができる。新規データは、例えば、第1データセット及び第2データセットで特定されたコンポーネント間で特定される相違点に対する説明、車両構造物の製造時のエラーを訂正する新規データ及び/又は他の好適なデータを含みうる。
【0188】
これらの例示的な実施例では、第1データセットと第2データセットの間に相違点が存在しない場合、又は第1データセットと第2データセットの間に特定された相違点に対して処置が行われた場合には、第1データセットと第2データセットは完全に一致している又は完全に調整済みであるとみなされる。
【0189】
次に図15を参照すると、有利な実施形態に従って描かれた車両を製造するためのプロセスのフロー図が示されている。図15に示されたプロセスは、図1の製造施設142で実装可能である。
【0190】
このプロセスは、車両に対して製造計画データを作成することによって開始される(作業1500)。車両に対する製造計画データは車両用コンポーネントの識別情報を含む。これらのコンポーネントは、例えば、物理的な部品、ツール、命令、ソフトウェアコンポーネント、及び/又は車両の製造に必要となることがある他のコンポーネントを含みうる。
【0191】
製造計画データは車両の設計データと比較される(作業1502)。設計データはまた、車両の設計で規定されているように、車両のコンポーネントの識別情報を含む。このプロセスは、これらの2つのデータセットで車両のコンポーネントの識別情報間に何らかの相違点があるかどうかを判断する(作業1504)。相違点が存在しない場合、車両は製造される(作業1506)
【0192】
このプロセスは、車両が製造されるに従って車両用の完了時データを作成する(作業1508)。車両の完了時データは、車両用に組み立てられた構成におけるコンポーネントの識別情報を含む。このプロセスはここで、完了時データを製造計画データと比較する。このプロセスは、これらの2つのデータセットに対してコンポーネントの識別情報間に何らかの相違点があるかどうかを判断する(作業1512)。相違点が存在しない場合には、このプロセスは終了する。
【0193】
そうではなく、何らかの相違点が存在する場合には、このプロセスは存在する各相違点に対して処置が行われるまで待機する(作業1514)。処置は相違点の解消である。例えば、相違点がエラーの場合には、処置は当該エラーの訂正となることがある。場合によっては、この処置は当該相違点が許容可能な相違点であることを示す説明であってもよい。この処置はオペレータによるユーザー入力によって提供されること、人工知能システムによって生成されること、又は他の好適な方法によって生成されることがありうる。その後、このプロセスは終了する。
【0194】
作業1504を再度参照して、何らかの相違点が存在する場合には、このプロセスは存在する各相違点に対して処置が行われるまで待機する(作業1516)。次に、プロセスは上述のように作業1506に進む。
【0195】
別の実施形態でのフロー図及びブロック図は、有利な実施形態で実装可能な装置及び方法の構造、機能、及び作業を示している。その際、フロー図又はブロック図の各ブロックは、作業又はステップのモジュール、セグメント、機能及び/又は部分を表わすことができる。例えば、一又は複数のブロックは、ハードウェア内のプログラムコードとして、又はプログラムコードとハードウェアの組合せとして実装可能である。ハードウェア内に実装した場合、ハードウェアは、例えば、フロー図又はブロック図の一又は複数の作業を実施するように製造又は構成された集積回路の形態をとりうる。
【0196】
幾つかの有利な実施形態の代替的な実装では、ブロックに記載された機能又は機能群は、図の中に記載の順序を逸脱して現れることがある。例えば、場合によっては、連続して示されている二つのブロックがほぼ同時に実行されること、又は時には含まれる機能によってはブロックが逆順に実施されることもありうる。また、フローチャート又はブロック図に描かれているブロックに加えて他のブロックが追加されることもありうる。
【0197】
次に図16に注目すると、有利な実施形態に従って図解されたデータ処理システムが示されている。データ処理システム1600は、図1の一又は複数のコンピュータ112に対する実装の一例である。この例示的な実施例では、データ処理システム1600は通信フレームワーク1602を含み、これによりプロセッサ装置1604、メモリ1606、固定記憶域1608、通信装置1610、入出力(I/O)装置1612、及びディスプレイ1614の間の通信を可能にする。
【0198】
プロセッサ装置1604は、メモリ1606に読み込まれうるソフトウェアに対する命令を実行するように働く。プロセッサ装置1604は、特定の実装に応じて、任意の数のプロセッサ、マルチプロセッサコア、又は他の形式のプロセッサであってもよい。本明細書でアイテムを参照する際に使用している「任意の数の」は、一又は複数のアイテムを意味する。さらに、プロセッサ装置1604は、単一チップ上でメインプロセッサが二次プロセッサと共存する異種プロセッサシステムを任意の個数だけ使用して実装されてもよい。別の例示的な実施例では、プロセッサ装置1604は同一形式の複数のプロセッサを含む対称型マルチプロセッサシステムであってもよい。
【0199】
メモリ1606及び固定記憶域1608は記憶デバイス1616の例である。記憶デバイスは、例えば、限定しないが、データ、機能的な形態のプログラムコード、及び/又は他の好適な情報などの情報を、一時的に及び/又は永続的に保存することができる任意のハードウェア部分である。記憶デバイス1616は、これらの実施例ではコンピュータで読込可能な記憶デバイスと呼ばれることもある。これらの例では、メモリ1606は、例えば、ランダムアクセスメモリ又は他の好適な揮発性又は不揮発性の記憶デバイスであってもよい。固定記憶域1608は特定の実装に応じて様々な形態をとりうる。
【0200】
例えば、固定記憶域1608は一又は複数のコンポーネント又はデバイスを含みうる。例えば、固定記憶域1608は、ハードドライブ、フラッシュメモリ、書換え形光ディスク、書換え可能磁気テープ、又はそれらの何らかの組み合わせである。固定記憶域1608によって使用される媒体は着脱式であってもよい。例えば、着脱式ハードドライブは固定記憶域1608に使用しうる。
【0201】
通信装置1610はこれらの例では、他のデータ処理システム又はデバイスとの通信を提供する。これらの例では、通信装置1610はネットワークインターフェースカードである。通信装置1610は、物理的及び無線の通信リンクのいずれか一方又は両方を使用することによって、通信を提供することができる。
【0202】
入出力装置1612により、データ処理システム1600に接続可能な他のデバイスによるデータの入力及び出力が可能になる。例えば、入出力装置1612は、キーボード、マウス、及び/又は他の幾つかの好適な入力デバイスを介してユーザ入力への接続を提供することができる。さらに、入出力装置1612は出力をプリンタに送ってもよい。ディスプレイ1614はユーザーに情報を表示する機構を提供する。
【0203】
オペレーティングシステム、アプリケーション、及び/又はプログラムに対する命令は、通信フレームワーク1602を介してプロセッサ装置1604と通信する記憶デバイス1616内に配置されうる。これらの例示的な実施例では、命令は固定記憶域1608上に機能的形態で存在する。これらの命令は、プロセッサ装置1604によって実行するため、メモリ1606に読み込まれうる。異なる実施形態のプロセスは、メモリ1606などのメモリに配置されうる命令を実装したコンピュータを使用して、プロセッサ装置1604によって実行されうる。
【0204】
これらの命令は、プログラムコード、コンピュータで使用可能なプログラムコード、又はコンピュータで読込可能なプログラムコードと呼ばれ、プロセッサ装置1604内のプロセッサによって読込及び実行されうる。異なる実施形態のプログラムコードは、メモリ1606又は固定記憶域1608など、種々の物理的な記憶媒体又はコンピュータで読込可能な記憶媒体上に具現化しうる。
【0205】
プログラムコード1618は、選択的に着脱可能でコンピュータで読込可能な媒体1620上に機能的な形態で配置され、プロセッサ装置1604での実行用のデータ処理システム1600に読込み又は転送することができる。プログラムコード1618及びコンピュータで読込可能な媒体1620は、これらの実施例ではコンピュータプログラム製品1622を形成する。一実施例では、コンピュータで読込可能な媒体1620は、コンピュータで読込可能な記憶媒体1624又はコンピュータで読込可能な信号媒体1626とすることができる。コンピュータで読込可能な記憶媒体1624は、例えば、固定記憶域1608の一部であるハードドライブなどのように、記憶デバイス上に転送するための固定記憶域1608の一部であるドライブ又は他のデバイスに挿入又は配置される光ディスク又は磁気ディスクなどを含みうる。コンピュータで読込可能な記憶媒体1624はまた、データ処理システム1600に接続されているハードドライブ、サムドライブ、又はフラッシュメモリなどの固定記憶域の形態をとりうる。幾つかの例では、コンピュータで読込可能な記憶媒体1624はデータ処理システム1600から着脱可能ではないことがある。
【0206】
これらの実施例では、コンピュータで読込可能な記憶媒体1624は、プログラムコード1618を伝搬又は転送する媒体よりはむしろプログラムコード1618を保存するために使用される物理的な又は有形の記憶デバイスである。コンピュータで読込可能な記憶媒体1624は、コンピュータで読込可能な有形の記憶デバイス又はコンピュータで読込可能な物理的な記憶デバイスと呼ばれることもある。すなわち、コンピュータで読込可能な記憶媒体1624は、人が触れることのできる媒体である。
【0207】
代替的に、プログラムコード1618はコンピュータで読込可能な信号媒体1626を用いてデータ処理シスム1600に転送可能である。コンピュータで読込可能な信号媒体1626は、例えば、プログラムコード1618を含む伝播されたデータ信号であってもよい。例えば、コンピュータで読込可能な信号媒体1626は、電磁信号、光信号、及び/又は他の好適な形式の信号であってもよい。これらの信号は、無線通信リンク、光ファイバケーブル、同軸ケーブル、有線などの通信リンク、及び/又は他の好適な形式の通信リンクによって転送されうる。すなわち、通信リンク及び/又は接続は、例示的な実施例で物理的なもの又は無線によるものであってもよい。
【0208】
幾つかの例示的な実施形態では、プログラムコード1618は、データ処理システム1600内で使用するため、コンピュータで読込可能な信号媒体1626を経由する他のデバイス又はデータ処理システムから、ネットワークを介して固定記憶域1608へダウンロードすることができる。例えば、サーバーデータ処理システムのコンピュータで読込可能な記憶媒体に保存されたプログラムコードは、ネットワークを介してサーバーからデータ処理システム1600にダウンロードすることができる。プログラムコード1618を提供するデータ処理システムは、サーバーコンピュータ、クライアントコンピュータ、又はプログラムコード1618を保存及び転送することができる他のデバイスであってもよい。
【0209】
データ処理システム1600に対して例示されている種々のコンポーネントは、異なる実施形態が実装しうる方法に対して構造上の制限を設けることを意図していない。種々の有利な実施形態は、データ処理システム1600に対して図解されているコンポーネントに対して追加的又は代替的なコンポーネントを含むデータ処理システム内に実装しうる。図16に示した他のコンポーネントは、実施例から異なることがある。種々の実施形態は、プログラムコードを実行しうる任意のハードウェアデバイス又はシステムを使用して実装しうる。一つの実施例として、データ処理システムは無機コンポーネントと一体化した有機コンポーネントを含むことが可能、及び/又は人間を除く有機コンポーネントを完全に含みうる。例えば、記憶デバイスは有機半導体を含んでいてもよい。
【0210】
別の例示的な実施例では、プロセッサ装置1604は、特定の用途のために製造又は構成されたハードウェア装置の形態をとってもよい。この形式のハードウェアは、作業を実施するために構成される記憶デバイスからメモリにプログラムコードを読み込まずに作業を実施することができる。
【0211】
例えば、プロセッサ装置1604がハードウェア装置の形態をとる場合、プロセッサ装置1604は回路システム、特定用途向け集積回路(ASIC)、プログラマブル論理デバイス、又は任意の数の作業を実施するために構成された他の好適な形式のハードウェアであってもよい。プログラマブル論理デバイスにより、デバイスは任意の数の作業を実施するように構成されている。このデバイスはその後再構成すること、又は任意の数の作業を実施するために永続的に構成することができる。プログラマブル論理デバイスの例は、例えば、プログラマブル論理アレイ、プログラマブルアレイロジック、フィールドプログラマブルロジックアレイ、フィールドプログラマブルゲートアレイ、及び他の好適なハードウェアデバイスを含む。この形式の実装により、異なる実施形態のプロセスはハードウェア装置に実装されるため、プログラムコード1618は除外されうる。
【0212】
さらに別の例示的な実施例では、プロセッサ装置1604は、コンピュータ及びハードウェア装置の中に見出されるプロセッサの組み合わせを利用して実装可能である。プロセッサ装置1604は、任意の数のハードウェア装置及びプログラムコード1618を実行するように構成されている任意の数のプロセッサを有していてもよい。ここに描かれている実施例では、プロセスの一部は任意の数のハードウェア装置に実装することが可能であるが、一方、他のプロセスは任意の数のプロセッサに実装可能である。
【0213】
別の実施例では、バスシステムは、通信ネットワーク1602を実装するために使用することができ、システムバス又は入出力バスなどの一又は複数のバスを含むことができる。言うまでもなく、バスシステムは、バスシステムに取り付けられた種々のコンポーネント又はデバイスの間でのデータ伝送を行う任意の適切な種類のアーキテクチャを使用して実装することができる。
【0214】
さらに、通信装置は、データの送信、データの受信、又はデータの送受信を行う任意の数のデバイスを含むことがある。通信装置は例えば、モデム又はネットワークアダプタ、2個のネットワークアダプタ、又はこれらの組み合わせであってもよい。さらに、メモリは例えば、通信フレームワーク1602に備わっていることがあるインターフェース及びメモリ制御装置ハブにみられるような、メモリ1606又はキャッシュであってもよい。
【0215】
本発明の実施形態は、図17に示す航空機の製造及び保守方法1700、及び図18に示す航空機1800に照らし説明することができる。
【0216】
次に図17に注目すると、有利な実施形態に従って図解された航空機の製造及び保守の方法が示されている。製造前の段階では、航空機の製造及び保守方法1700は、図18の航空機1800の仕様及び設計1702及び材料の調達1704を含むことがある。
【0217】
製造段階では、コンポーネント及び部分組立品の製造1706と、図18の航空機1800のシステムインテグレーション1708とが行われる。したがって、図18の航空機1800は運航1712に供するために、認可及び納品1710が行われることがある。クライアントによって運航1712される間に、図18の航空機1800は定期的な整備及び保守1714(改造、再構成、改修、及び他の整備又は保守なども含みうる)が予定されている。
【0218】
航空機の製造及び保守方法1700の各プロセスは、システムインテグレーター、第三者、及び/又はオペレータによって実施又は実行されうる。これらの実施例では、オペレータは顧客であってもよい。本明細書の目的のために、システムインテグレーターは、限定しないが、任意の数の航空機製造者、及び主要システムの下請業者を含むことができ、第三者は、限定しないが、任意の数のベンダー、下請業者、及び供給業者を含むことができ、オペレータは、航空会社、リース会社、軍事団体、サービス機関などでありうる。
【0219】
次に図18を参照すると、有利な実施形態で実装されうる航空機を示したものである。この実施例では、図17の航空機の製造及び保守方法1700によって製造された航空機1800は、複数のシステム1804及び内装1806を有する機体1802を含みうる。システム1804の例には、推進システム1808、電気システム1810、油圧システム1812、及び環境システム1814のうちの一又は複数が含まれる。任意の数の他のシステムが含まれてもよい。航空宇宙産業の例を示したが、自動車産業などの他の産業にも種々の有利な実施形態を適用しうる。
【0220】
本明細書で具現化した装置及び方法は、図17の航空機の製造及び保守方法1700の少なくとも1つの段階で使用可能である。
【0221】
一つの例示的な実施例では、図17のコンポーネント及び部分組立品の製造1706で製造されるコンポーネント又は部分組立品は、図17で航空機1800の運航中1712に製造されるコンポーネント又は部分組立品と同様の方法で作製又は製造しうる。さらに別の実施例では、一又は複数の装置の実施形態、方法の実施形態、又はこれらの組み合わせは、図17のコンポーネント及び部分組立品の製造1706並びにシステムインテグレーション1708などの製造段階で利用可能である。一又は複数の装置の実施形態、方法の実施形態、又はこれらの組み合わせは、図17で航空機1800が運行中1712及び/又は整備及び保守1714の段階で利用可能である。任意の数の種々の有利な実施形態の利用は、航空機1800の組立て及び/又はコスト削減を大幅に促進しうる。
【0222】
したがって、種々の有利な実施形態は、車両構造物の管理のための方法及び装置を提供する。一つの有利な実施形態では、車両構造物を管理する方法が提供される。車両構造物のためのデータセットが特定される。各データセットは車両構造物のライフサイクルの種々のフェーズで、車両構造物のコンポーネントを識別情報を含む。データセットのコンポーネントの識別情報の間に相違点が存在するかどうかに関する判断が行われる。データセットのコンポーネントの間に相違点が存在する場合、データセット間の相違点が示される。
【0223】
種々の有利な実施形態の説明は、例示及び説明を目的として提示されているものであり、網羅的な説明であること、又は開示された形態に実施形態を限定することを意図していない。当業者には、多数の修正例及び変形例が明らかであろう。さらに、種々の有利な実施形態は、他の有利な実施形態に照らして別の利点を提供することができる。選択された一又は複数の実施形態は、実施形態の原理、実際の用途を最もよく説明するため、及び他の当業者に対し、様々な実施形態の開示と、考慮される特定の用途に適した様々な修正との理解を促すために選択及び記述されている。
【符号の説明】
【0224】
900 グラフィカルユーザーインターフェース
902 ツリーダイアグラム
903 コンポーネント
905 情報セクション
906 組立品
908 部品
910 製造指図インスタンス(SOI)タブ
912 製造指図番号
914 一致インジケータ
1000 グラフィカルユーザーインターフェース
1002 組立品
1004、1006 部品
1007 比較タブ
1008 不足の指示
1010 相違インジケータ
1012 部分一致インジケータ
1100 インジケータ
1202 不一致タブ
1204 インジケータ
1206 注釈セクション
1208 ユーザーコメントセクション
1210 処置タブ
1212 ステータス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両構造物(105)の構成(117)を管理する方法であって、
前記車両構造物(105)のライフサイクル(103)の種々のフェーズ(101)で前記車両構造物(105)の構成を表わすデータセット(114)各々を比較するステップであって、該データセット各々が前記車両構造物(105)のコンポーネント(115)の識別情報を含むステップと、
前記データセット(114)内のコンポーネント(115)の識別情報間の相違点(131)を特定するステップと
を含む方法。
【請求項2】
前記データセット(114)内の前記コンポーネント(115)の識別情報間の前記相違点(131)がエラーであるかどうかを確定するステップと、
確定されたエラーのエラー記述及び前記データセット(114)間の前記コンポーネント(115)の正しいが異なる識別情報の相違点記述を記録するステップと、
前記データセット(114)内の各データセットのエラーを訂正するステップ及び前記データセット内の前記コンポーネント(115)の識別情報間の訂正された相関関係を確定するため、一又は複数のデータセット(114)の正しい相違点を注記するステップと
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記データセット内の前記コンポーネント(115)の識別情報間で特定された前記相違点(131)に対して行われる処置(144)を記録するステップと、
前記データセット(114)を比較する手順を反復するステップと、
前記データセット(114)の前記コンポーネント(115)の識別情報間で前記相違点を特定するステップと、
前記データセット(114)内の前記コンポーネントの識別情報間で前記相違点(131)が存在しなくなるまで、前記データセット(114)内の前記コンポーネント(115)の識別情報間で特定された前記相違点(131)に対する前記処置(144)を記録するステップと
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記データセット(114)内の前記コンポーネント(115)の識別情報間の前記相違点(131)が、前記車両構造物(105)の前記ライフサイクル(103)の特定のフェーズで前記車両構造物(105)の前記構成(117)に関して、前記車両構造物(105)の前記コンポーネント(115)の過剰及び不足のうちの少なくとも1つ示し、さらに、
前記車両構造物(105)の前記コンポーネント(115)
の過剰及び不足を示すグラフィカルインジケータをディスプレイ上に視覚的に表示するステップを含む、請求項1〜3のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
特定コンポーネントに対する固有キーが前記車両構造物(105)の前記コンポーネント(115)内の他のコンポーネントから該特定コンポーネントを識別する前記データセット(114)の各々のコンポーネントの各識別情報に固有キーを追加するステップであって、該特定コンポーネントに対する該固有キーが全データセットに共通で、且つ全データセットの前記コンポーネント(115)の識別情報に対する該固有キーが同一のフォーマットを有するステップを
さらに含む、請求項1〜4のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記車両構造物(105)の前記ライフサイクル(103)のフェーズが設計フェーズ(118)、製造計画フェーズ(122)、及び製造フェーズ(122)のうちの1つが選択され、前記データセット(114)が設計データ(124)、製造計画データ(126)、及び完了時データ(128)のうちの少なくとも2つを含み、且つ前記車両構造物(105)が航空機、航空機構造物、宇宙船、自動車、列車、水上艦、潜水艦、ジェットエンジン、主翼ボックス、及び車両の組立品のうちの1つが選択される、請求項1〜5のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記車両構造物(105)のライフサイクルの種々のフェーズ(101)で車両構造物(105)の構成(117)を表わすデータセット(114)各々を比較するように構成されたコンピュータシステム(108)を含み、前記各データセットが前記車両構造物(105)のコンポーネント(115)の識別情報を含み、前記データセット(114)内の前記コンポーネント(115)の識別情報間の相違点(131)を特定する、装置。
【請求項8】
前記データセット内の前記コンポーネントの識別情報間の相違点を特定するように構成されており、前記コンピュータシステムが前記データセット内の特定のデータセットに関してコンポーネントの過剰及び不足のうちの少なくとも1つが存在するかどうかを判断するように構成されている、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
グラフィカルユーザーインターフェースをさらに含み、前記コンピュータシステムがさらに該グラフィカルユーザーインターフェース上で特定される前記相違点を視覚的に表示するように構成されており、且つ前記グラフィカルユーザーインターフェースが記憶システムの相違点に対して処置を行うユーザー入力を受け取るように構成されている、請求項7又は8に記載の装置。
【請求項10】
前記車両構造物(105)のライフサイクル(103)の種々のフェーズ(101)で車両構造物(105)の構成(117)を示すデータセット(114)各々を保管するように構成された記憶システム(113)であって、前記各データセット(114)が前記車両構造物(105)の前記構成(117)のためのコンポーネント(115)の識別情報を含む記憶システムと、
前記車両構造物(105)の前記ライフサイクル(103)の第1フェーズでの前記車両構造物(105)の前記構成(117)を示す第1データセットを、前記車両構造物(105)の前記ライフサイクル(103)の第2フェーズでの前記車両構造物(105)の前記構成(117)を示す第2データセットと比較し、第1データセットの前記車両構造物(105)に対する前記コンポーネント(115)の識別情報と第2データセットの前記車両構造物(105)に対する前記コンポーネント(115)の識別情報との間の相違点(131)を特定し、且つ該相違点に対して行われる処置(144)を前記記憶システム(113)に記録するように構成されたオブジェクトマネージャ(110)と、
を含む車両製造システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2013−61944(P2013−61944A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−199055(P2012−199055)
【出願日】平成24年9月11日(2012.9.11)
【出願人】(500520743)ザ・ボーイング・カンパニー (773)
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
【Fターム(参考)】