説明

オプトエレクトロニクスデバイス

【課題】波長変換層を備えた活性領域を有するオプトエレクトロニクスデバイスを提供すること
【解決手段】・第1の電極を含み、・第1の電極上の、活性領域を有するビーム放射層列を含み、活性領域は面法線を備えた主延在面を有しており、非ランベルト放射特性を有する電磁一次ビームを放出し、・ビーム放射層列上の、一次ビームに対して透過性の第2の電極を含み、・一次ビームのビーム路内にある波長変換層を含み、波長変換層は一次ビームの少なくとも一部を電磁二次ビームに変換し、・第1の電極は一次ビームに対して反射性であり、・非ランベルト放射特性は、ビーム放射層列の一次ビームの強度によって、面法線に対して測定された放射角度αに依存して定められ、・角度が最大角度まで上昇するにつれて増大し、・波長変換層内での電磁一次ビームの変換率は、放射角度が上昇するにつれて増大する、オプトエレクトロニクスデバイス。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
請求項1の上位概念に記載された様式のオプトエレクトロニクスデバイスを提示する。
【背景技術】
【0002】
活性領域を有するオプトエレクトロニクスデバイスが公知である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特定の実施形態の少なくとも1つの課題は、さらに波長変換層を備えている活性領域を有するオプトエレクトロニクスデバイスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この課題は、オプトエレクトロニクスデバイスであって、
・第1の電極を含み、
・当該第1の電極上の、活性領域を有するビーム放射層列を含み、ここで当該活性領域は面法線を備えた主延在面を有しており、非ランベルト放射特性を有する電磁一次ビームを放出し、
・前記ビーム放射層列上の、前記一次ビームに対して透過性の第2の電極を含み、
・前記一次ビームのビーム路内にある波長変換層を含み、当該波長変換層は、前記一次ビームの少なくとも一部を電磁二次ビームに変換し、
ここで
・前記第1の電極は前記一次ビームに対して反射性であり、
・前記非ランベルト放射特性は、前記ビーム放射層列の一次ビームの強度I(α)によって、前記面法線に対して測定された放射角度αに依存して定められ、
・α≧0°の前記強度I(α)は、角度αが最大角度αmaxまで上昇するにつれて増大し、
・前記波長変換層内での前記電磁一次ビームの変換率は、放射角度αが上昇するにつれて増大する、
ことを特徴とするオプトエレクトロニクスデバイスによって解決される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0005】
このオプトエレクトロニクスデバイスの有利な実施形態および発展形態は従属請求項に記載されており、さらには以下の説明および図面にも記載されている。
【0006】
少なくとも1つの実施形態に相応するオプトエレクトロニクスデバイスは殊に以下の素子を含む。すなわち:
・第1の電極を含む、
・前記第1の電極上の、活性領域を有するビーム放射層列を含む、ここでこの活性領域は、面法線を有する主延在面を有しており、非ランベルト放射特性を有する電磁一次ビームを放出する、
・前記一次ビームに対して透過性の第2の電極を含む、ここでこの第2の電極はビーム放出層列上にある、
・前記一次ビームのビーム路内にある波長変換層、ここでこの波長変換層は、前記一次ビームの少なくとも一部を電磁二次ビームに変換する。
このようなオプトエレクトロニクスデバイスにおいて、
・前記第1の電極は前記一次ビームに対して反射性であり、
・前記非ランベルト放射特性は、前記ビーム放射層列の一次ビームの強度I(α)によって、面法線に対して測定された放射角度αに依存して定められ、
・前記強度I(α)は0°≦αmin<αmaxでαmin≦α≦αmaxである角度αの場合に、最小角度αminから最大角度αmaxへ角度が上昇するとともに増大し、
・前記波長変換層内での前記電磁一次ビームの変換率は放射角度αが上昇するにつれて増大する。
【0007】
強度I(α)はここで殊に角度に依存する強度分布である。この強度分布によって一次ビームは波長変換層内に入射する。殊に一次ビームの一部は波長変換層を変換されずに通過し、波長変換層から出射し、ここから放射される。さらに、電磁二次ビームも波長変換層から出射し、ここから放射される。従って外部の観察者は電磁一次ビームと電磁二次ビームとの重畳によって混合色の発光印象を認識する。この混合色発光印象は、一次ビームと二次ビーム相互の相対的な割合に依存する。
【0008】
輝度印象、すなわち混合色発光印象の輝度はさらに、一次ビームおよび二次ビームの絶対的な強度に依存する。均一かつ等方性の混合色発光印象を観察者に与えるために、各放射角度αのもとで、一次ビームの強度と二次ビームの強度が等しい比で認識されることが必要である。
【0009】
殊に電磁二次ビームは波長変換層によって等方性に放射される。すなわち、波長変換層内に入射した一次ビームの放射角度αに依存せずに、波長変換層は、一次ビームの一部を変換することによって生成された二次ビームを、角度αに依存することなく再び放射し、観察者によって認識される二次ビームの強度が角度αに依存しなくなる。
【0010】
しかし波長変換層内で一次ビームを二次ビームに変換する率は、さらに、波長変換層内での横断可能な距離に比例する。波長変換層内での電磁一次ビームの横断可能な最大距離は放射角度αが上昇するとともに増大するので、一次ビームを二次ビームに変換する率も、放射角度αが上昇するとともに増大する。放射角度αが大きくなればなるほど、角度αで波長変換層内に入射する一次ビームに対する、変換されずに角度αで再び波長変換層から出射する一次ビームの相対的な割合は低くなる。例えば波長変換層は厚さDで面状に構成され、有機層列の主延在方向に対して平行な面にあり、有機層列を介して一次ビームのビーム路内に配置される。従って一次ビームを二次ビームに変換する率は、D/cosαに比例する。これによって、有機層列の面法線に対する角度αに依存して、不均一な混合色の発光印象が生じるだろう。殊に、発光ダイオードの場合には通常である、cosαに比例する角度依存の強度分布を有するランベルト放射特性の場合には、これは次のことを意味する。すなわち、角度αが小さい場合の、波長変換層から出射する、変換されていない一次ビームの割合が、角度αが大きい場合よりも大きいことを意味する。これによって、通常の発光ダイオードの場合には、二次ビームに対して、変換されていない一次ビームの相対的な割合が低減されることによって、発光印象は放射角度αに依存して変化する。
【0011】
しかし一次ビームの強度I(α)は、角度(α)が最小角度αmin≧0から最大角度αmaxへと上昇するともに増大するので、角度αに依存する、一次ビームから二次ビームへの変換率に対抗作用が及ぼされる。強度I(α)はここで角度領域αmin≦α≦αmaxの角度領域において、単調に上昇する関数によってあらわされる。例えば放射角度の最小角度は面法線に対して平行である。すなわち、αmin=0°である。
【0012】
ここで、一次ビームの放射特性は、最大角度αmaxの場合に最大強度Imaxを伴う強度I(α)を有する。殊に、この最大強度Imaxは0°≦α≦90°に対する強度関数I(α)の大域的な極大値をあらわす。すなわち、放射方向αmaxで、角度に依存する最も高い強度Imaxが放射される。最大角度αmaxはここで10°以上である。さらに、最大角度は15°以上または特に有利には20°以上である。さらにまたは付加的に最大角度は60°以下であるか、または有利には65°以下であるか、または特に有利には70°以下である。
【0013】
一次ビームの放射特性は、α=0°の角度の場合、すなわちビーム放射層列の主延在方向に対する、面法線に対して平行な放射方向において、強度Iによって特徴付けられ、0°≦α≦90°の範囲における角度αの場合には関数I/cosαによってあらわされるか、または近似される。さらに、0°≦α≦βでの角度に対する強度I(α)は、関数I(α)=I[1/cosα+A(α)]によってパラメータ化され、ここでβは15°以下であるか、または有利には30°以下であるか、または特に有利には65°以下である。ここでA(α)は−Q≦A(α)≦Qの範囲内の値を取り、ここでQ≦0.8であり、有利にはQ≦0.5であるか、または特に有利にはQ≦0.25である。これは殊に次のことを意味している。すなわち、I(α)はcosαの反転に対する比例関係から、±Qぶんだけ偏差し得るということを意味している。従ってビーム放射層列から放出された一次ビームの強度は、0°≦α≦βでの角度αの場合には関数I(α)によってあらわさる。その関数値は幅2Qを有する領域において、関数I/cosαの周辺に位置し、関数I/cosαからQ以下だけ偏差し得る。すなわち、|I(α)−I/cosα|≦Q・Iである。ここで放射特性は、角度αmax≦βの場合または角度αmax>βの場合に最大強度Imaxを有する。
【0014】
第1の電極は所与の反射度Rを伴う材料を有しており、ビーム放射層列は電磁一次ビームに対して屈折率nを有する。この屈折率はここでビーム放射層列にわたって一定であるか、または少なくとも部分領域において、例えば異なる機能層において一定である。さらに屈折率nが、ビーム放射層列にわたって変化してもよい。ビーム放射層列の活性領域は厚さdを有しており、第1の電極から平均間隔Lの間隔をあけて配置される。この平均間隔Lはここで、活性領域の厚さdにわたって平均された、第1の電極までの間隔である。ここでパラメータR、n、dおよびLは次のように選択される。すなわち、ビーム放射層列が上述した放射特性を有するように選択される。例えば、第1の電極の反射度Rおよびビーム放射層列の屈折率nは各材料選択に基づいて設定される。従って平均間隔Lおよび活性領域の厚さdを選択することによって、所望の放射特性が可能になる。これに対して択一的に、ビーム放射層列および活性領域の寸法、すなわち平均間隔Lと厚さdを、例えばオプトエレクトロニクスデバイスの構造または製造方法によって設定することができる。従って、反射性の第1の電極のための材料を反射度Rに関して選択することによって、所望の放射特性を実現することができる。
【0015】
例えばこのために平均間隔Lは一次ビームの波長のサイズまたはそれよりも小さい。一次ビームが複数の波長のスペクトル分布および/または波長領域を有する場合、一次ビームは平均波長によっても表され、ビーム放射層列の寸法はこれ以降、一次ビームの平均波長に関連する。さらに、平均間隔は一次ビームの半波長以下であってもよく、または一次ビームの四分の一波長以下であってもよく、または一次ビームの八分の一波長以下であってもよい。さらにまたは付加的に、平均間隔Lは一次ビームの波長の二十分の一以上であってよく、または一次ビームの波長の十分の一以上であってよい。これは例えば次のことを意味している。すなわち、一次ビームの平均波長が紫外から青色までの場合には、間隔Lは約15nm〜200nmの間であり、有利には30nm〜100nmの間であり、特に有利には40nm〜60nmの間であってよいことを意味している。
【0016】
このような平均間隔Lによって、反射性の第1の電極と関連して、少なくとも半面の反射性空洞をビーム放射層列内に形成することができる。励起された状態(エキシトン)によって活性領域内に放射されたホトンないし波束はこのような場合に第1の電極で反射される。平均間隔Lが一次ビームの波長のサイズ以下であることによって、励起された状態を伴う放射された波束の再結合が波束の放射の間も可能であることが容易に判断される。従って、励起された状態は波束の放射の間、その「固有の」反射された波束の電磁界によって影響される。従って反射された波束の位相長に応じて、励起された状態の放射を増強させる、または低減させることができる。この場合に位相長は、ビーム放射層列の屈折率、第1の電極内への電磁ビームの侵入深度と関連した第1の電極の反射度並びに、波束の放射方向に関連した、励起状態と第1の電極との間の間隔に依存する。これによって、ビーム放射層列内にモード構造が形成される。このモード構造は、より大きな放射角度αに対する一次ビームの放射を助長するおよび/または作用する。
【0017】
さらに活性領域の厚さは放射モードの形成に影響を与える。殊にこれは、活性領域の厚さdが20nm以下である場合に有利である。有利にはこの厚さdは15nm以下であるか、またはさらに10nm以下である。さらに活性領域の厚さdは5nm以下であってよい。
【0018】
ここでビーム放射層列は、有機の、ビーム放射ダイオード(OLED)として、ないしは有機層列として構成される。有機層列ないしOLEDは例えば基板を有している。ここで第1の電極は直接的にこの基板上に配置されうる。第1の電極は反射性に構成されており、第2の電極は透明であるので、一次ビームは基板から離れる方向で放射されうる(トップエミッタ型)。択一的に第2の電極を直接的に基板上に配置することができる。従って一次ビームは基板を通って放射されうる(ボトムエミッタ型)。第1の電極上には、有機材料からなる1つまたは複数の機能層を備えた機能領域が被着されうる。ここで機能層は例えば1つまたは複数の電子注入層(electron injection layer, EIL)、電子搬送層(electron transport layer, ETL)、ホール遮断層(hole blocking layer, HIL)、エレクトロルミネセンス層(electroluminescent layer, EL)、電子遮断層(electron blocking layer, EBL)、ホール搬送層(hole transport layer, HTL)および/またはホール注入層(hole injection layer, HIL)を有しうる。個々の層が、上述した層のうちの複数の層の機能を有していてもよい。従って、1つの層を例えばHILとしておよびHTLとしてまたはEILとしておよびETLとして用いることができる。活性領域は例えばELによって形成されるか、またはELを含む。さらに活性領域を例えば、第2の層の境界面の領域内に構成することもでき、例えばETLとHTLの間の境界に設けることができる。
【0019】
例えば基板はガラス、石英、プラスチックフィルム、金属、金属フィルム、半導体ウェハ、例えばケイ素ウェハまたはゲルマニウムウェハまたは燐光体含有半導体材料および/または窒素含有半導体材料に基づくウェハまたは任意の別の適切な基板材料を含む。有機層列ないしOLEDがいわゆる「ボトムエミッタ型」として構成されている場合、すなわち活性領域内で形成された一次ビームが基板を通って放射される場合には、基板は一次ビームの少なくとも一部に対して透過性である。
【0020】
第1の電極はカソードとして構成され、電子注入材料として用いられてもよい。カソード材料としてはとりわけアルミニウム、バリウム、インジウム、銀、金、マグネシウム、カルシウム、リチウム並びにそれらの化合物、組み合わせ、合金が有利であることがわかっている。
【0021】
アノードとして構成され、ホール注入材料として用いられる透明な第2の電極は、例えば透明な導電性酸化物を有しているか、または透明な導電性酸化物から成る。透明な導電性酸化物(transparent conductive oxides, 略してTCO)は、透明で、導電性材料であり、通常は金属酸化物、例えば酸化亜鉛、酸化錫、酸化カドミウム、酸化チタン、酸化インジウムまたはインジウム錫酸化物(ITO)である。例えばZnO、SnOまたはIn等である二元金属酸素化合物の他に、三元金属酸素化合物もTCOのグループに属し、この第3級金属酸素化合物は例えばZnSnO、CdSnO、ZnSnO、MgIn、GaInO、ZnInまたはInSn12である。または、異なる透明な導電性酸化物の混合物もTCOのグループに属する。さらに、TCOは必ずしも化学量論的な組成に相応しなくてはならないわけではなく、p型ドーピングまたはn型ドーピングとすることもできる。択一的または付加的に、第2の電極が金属、例えば第1の電極に関連して挙げた金属を有していてよい。例えば、第2の電極は金属層を含む。この金属層は少なくとも部分的に、一次ビームに対して透過性である。さらに第2の電極は、有機導電性材料を有することもできる。
【0022】
この機能層は例えば有機ポリマー、有機オリゴマー、有機モノマー、有機系の小さな非ポリマー分子(小分子)またはそれらの組み合わせを有していてもよい。この機能層内の材料に依存して、形成された第1のビームは個々の波長または領域、または紫外から赤色スペクトル領域からの組み合わせを有する。
【0023】
さらにOLEDは電子および機能領域に対して、湿気からの保護及び/又は酸化物質、例えば酸素からの保護を達成するために、被包部を有していてもよい。ここでこの被包部は、基板を含むOLED全体を取り囲む。択一的に基板は被包部の一部を構成する。この場合前記被包部は1つ又はそれ以上の層を含み得る。その場合被包部のこれらの層は例えばプレーナー層、バリヤ層、水及び/又は酸素吸収層、化合物層、若しくはそれらの組み合わせであってもよい。さらに被包部は透明に構成される。これは殊に、有機層列が「トップエミッタ型」として構成されている場合である。
【0024】
さらに、ビーム放射層列を無機発光ダイオード(LED)として、すなわち無機半導体層列として構成することもできる。この場合には半導体層列はエピタキシャル層列として、すなわちエピタキシャルに成長された半導体層列として構成される。殊に半導体層列は、例えば無機材料、例えばInGaAlNをベースとして形成することができ、例えばGaN薄膜半導体層列として構成することが可能である。InGaAlNベースの半導体層列にはとりわけ、通常は異なる個々の層から成る層列を有するエピタキシャル形成された半導体層列が、InAlGa1−x−yNのIII‐V化合物半導体材料系から成る材料を有する個層を少なくとも1つ有する半導体層列が含まれる。ここでは、0≦x≦1、0≦y≦1およびx+y≦1である。
【0025】
択一的または付加的に半導体層列は、InGaAlPをベースとすることもできる。すなわち半導体層列は、異なる個層を有することができ、そのうち少なくとも1つの個層は、InAlGa1−x−yPのIII‐V化合物半導体材料系から成る材料を有することができ、ここでは0≦x≦1、0≦y≦1およびx+y≦1である。択一的または付加的に、半導体層列は別のIII‐V化合物半導体材料系、例えばAlGaAsベースの材料、またはII‐VI化合物半導体材料系を有してもよい。
【0026】
別の実施形態では、半導体層列として、ビームを放射する薄膜半導体層列が使用される。さらに、ビーム放射半導体層列またはビーム放射薄膜半導体層列を発光ダイオードまたは薄膜発光ダイオードとして構成することができる。ビーム放射薄膜層列または薄膜発光ダイオードは殊に以下の特徴を有する:すなわち、
−ビームを生成するエピタキシャル層列の第1の主表面(ここでこの第1の主表面は担体エレメントの方を向いている)に反射層が被着または形成されており、この反射層はエピタキシャル層列において生成された電磁ビームの少なくとも一部分をこのエピタキシャル層列に反射して戻す;
−エピタキシャル層列は20μm以下の領域の厚さを有しており、殊に10μmの領域の厚さを有している;さらに、
−エピタキシャル層列には、混合構造を有する少なくとも1つの面を備えた少なくとも1つの半導体層が含まれており、理想的なケースではこの面によりエピタキシャル層列内にほぼエルゴード的な光分布が生じる。つまりこれは最大限にエルゴード的な確率分散特性を有している。
【0027】
薄膜半導体発光ダイオードの原理については、例えばI. Schnitzer等によるAppl. Phys. Lett. 63 (16), 18. Oktober 1993, 2174-2176に記載されている。この刊行物の開示内容は、引用によって本願の開示内容とする。
【0028】
ビーム放射層列の別の素子、例えば基板または被包部に関して、並びに電極に関して、有機層列に関連して挙げた材料および特徴を応用することができる。
【0029】
さらにビーム放射層列は上述した有機および無機層の組み合わせを有することもできる。
【0030】
さらにビーム放射層列を、有機または無機ダイオードの代わりに、エレクトロルミネセンスデバイス(ELB)のためのエレクトロルミネセンス層列として、例えばエレクトロルミネセンスフィルム(ELF)として構成することもできる。ELBは、例えば硫酸亜鉛をベースとした無機材料を含む活性領域を有することができる。これは電気的絶縁材料内に組み込まれるか、または電気的絶縁性層の間に配置される。活性領域はさらに適切なドーパントを有し、このドーパントは例えば銅および/またはユーロピウムを含むことができる。ELFはプラスチックフィルムを有し、このプラスチックフィルムの間に電極とエレクトロルミネセンス層列が配置され、基板としておよび/または被包部として構成される。
【0031】
波長変換層は1つまたは複数の波長変換材料を有し、この波長変換材料は電磁一次ビームを少なくとも部分的に吸収し、少なくとも部分的に一次ビームとは異なる波長領域を有する二次ビームとして放出する。この電磁一次ビームおよび電磁二次ビームは、赤外から紫外における波長領域、殊に可視波長領域における1つまたは複数の波長および/または波長領域を含むことができる。この場合には、一次ビームのスペクトルおよび/または二次ビームのスペクトルは幅が狭く、一次ビームおよび/または二次ビームは単色またはほぼ単色の波長領域を有することができる。一次ビームのスペクトルおよび/または二次ビームのスペクトルは択一的に幅が広くてもよく、一次ビームおよび/または二次ビームは混合色の波長を有することができる。ここでこの混合色波長領域は連続的なスペクトルまたは異なる波長を有する離散的な複数のスペクトル成分を有することができる。例えば電磁的な一次ビームは紫外から青色波長領域からの波長領域を有することができ、電磁二次ビームは青色から赤色波長領域からの波長領域を有することができる。特に有利には一次ビームおよび二次ビームは重畳して、白色発光印象を生起させることができる。このために一次ビームは有利には青色発光印象を生起させ、二次ビームは黄色発光印象を生起させる。ここでこの黄色発光印象は、黄色波長領域にある二次ビームのスペクトル成分および/または緑および赤色波長領域内のスペクトル成分によって生じる。
【0032】
波長変換材料はここで以下の材料のうちの1つまたは複数を有する:すなわち、希土類およびアルカリ土類金属のガーネット、例えばYAG:Ce3+を有し、さらに窒化物、ニトリドシリケート、サイオン、サイアロン、アルミン酸塩、酸化物、ハロフォスフェート、オルトケイ酸塩、硫化物、バナジン酸塩、ペリレン、クマリンおよびクロロシリケートである。さらに波長変換層は、例えば上述した波長変換材料を有する適切な混合物および/または組み合わせを含むこともできる。これによって、例えば上述したように、波長変換層が第1の青色波長領域を吸収し、緑および赤色波長および/または黄色波長領域を有する第2の波長領域で放出することが可能になる。
【0033】
さらに波長変換層は透明なマトリックス材料を含むことができる。このマトリックス材料は1つまたは複数の波長変換材料を取り囲むか、または1つまたは複数の波長変換材料を含むか、または波長変換材料と科学的に結合されている。この透明なマトリックス材料は例えばシリコーン、エポキシド、アクリレート、イミド、ウレタン、カーボネート、オレフィンまたはこれらの誘導体をモノマー、オリゴマーまたはポリマーの形状で、混合物、コポリマーまたはそれとの化合物として有する。例えばマトリックス材料はエポキシ樹脂、ポリメチルメタクリレート(PMMA)またはシリコーン樹脂(例えばポリジメチルシロキサン)である。
【0034】
1つまたは複数の波長変換材料はここで均一にマトリックス材料内に分布する。これに対して択一的に波長変換層が複数の波長変換材料を有することも可能である。この波長変換材料は、波長変換層の異なる層内に配置されている。
【0035】
波長変換層はさらに、透明な担体基板を有しており、この担体基板上に1つまたは複数の波長変換材料が直接的に被着されるか、またはこの担体基板上に、1つまたは複数の波長変換材料を含むマトリックス材料が被着される。基板材料としては例えば、ビーム放射層列のための基板と関連して挙げた材料が適している。
【0036】
波長変換層はさらに、屈折率整合材料ないしは光学結合材料(例えば屈折率整合ジェルまたはオイル)を介して、ビーム放射層列に光学的に結合される。このために例えば、「ボトムエミッタ型」として構成されたビーム放射層列、例えば「ボトムエミッタ型」構造を有するOLEDまたはLEDの場合には、波長変換層は光学ジェルによって、ビーム放射層列の基板に光学的に結合される。これに対して択一的に、「トップエミッタ型」として構成されたビーム放射層列の場合には、波長変換層を第2の電極上に、または被包部上に、光学ジェルによって配置することができる。
【0037】
ビーム放射層列と波長変換層の間には、有利である場合には、付加的な層(例えば結合物層、接着層または別の機能層)が配置される。本発明のさらなる利点、有利な実施形態および発展形態は以下の明細書で図1〜5Bに関連して記載した実施例から明らかとなる。
【実施例】
【0038】
実施例および図面において、同じ構成素子または同機能の構成素子にはそれぞれ同じ参照符号を付してある。
【0039】
ここに図示された要素および該要素相互間のサイズ比は、基本的に拡大比率どおりであると見なすべきではない。むしろ、たとえば層、構成部分、構成要素および領域等の個々の素子は、より良好に見やすくし、かつ/または理解しやすくするため、過度に厚く、または過度に大きく図示されていることがある。
【0040】
以降の実施例では、有機層列のみを有する、単に例として示されたオプトエレクトロニクスデバイスが記載されている。これは、一般的な部分に記載されているように、無機層列またはエレクトロルミネセンス層列によって置き換えることができる。また、無機層列またはエレクトロルミネセンス層列と組み合わせることができる。
【0041】
図1には、有機層列1および波長変換層2を伴うオプトエレクトロニクスデバイス100の実施例が示されている。
【0042】
有機層列1は活性領域10を有する。ここでこの活性領域は作動時に、青色の電磁一次ビーム(例えば矢印Pによって示されている)を放射する。さらに有機層列1は機能層11および15を含む。これらの機能層は例えば電子搬送層11として、およびホール搬送層15として(明細書の一般的な箇所に記載されているように)構成されている。活性領域10は、機能層11および15から注入された電子およびホールを、電磁一次ビームを生成するために再結合する。有機層列1は第1の電極3の上に配置されている。この第1の電極は、一次ビームを反射するように構成されている。図示された実施例の場合には、金属、ここでは殊に銀から成る反射性の第1の電極3が適している。有機層列1上には、さらに第2の電極4が配置されている。ここでこの第2の電極は透明な導電性酸化物から成り、一次ビームを透過する。従って活性領域10内で生成された電磁一次ビームは第2の電極4を通じて放射される。有機層列1および電極3および4は基板19上に被着される。ここで透過性の第2の電極4は基板19の方を向いており、この基板19の上に配置されている。基板19はこの図示された実施例ではガラスである。
【0043】
活性領域10は主延在面Eを有している。これは面法線Nによって特徴付けされる。活性領域10はさらに厚さdを有しており、第1の電極3から平均間隔Lを有している。
【0044】
基板19上には波長変換層2が配置されている。この波長変換層は、一般的な箇所における記載のように、マトリックス材料21内に埋め込まれた波長変換材料22を有している。マトリックス材料21は図示の実施例ではエポキシ樹脂であり、ガラス基板19と同じく、約1.5の屈折率を有している。波長変換材料22は、図示の実施例では、ニトリドシリケートとYAG:Ce3+から成る混合物であり、青色の電磁一次ビームを黄色の電磁二次ビームに変換するのに適している。この二次ビームはここで等方性であり、矢印Sによって例示的に示されているように、均一に全ての方向に放射される。
【0045】
波長変換層2は面状に構成されており、厚さDを有している。波長変換層2は、活性領域1の主延在面Eに対して平行に配置されている。矢印X1によって、面法線Nに対して平行な電磁一次ビームの放射方向が示されている。この方向に放射された一次ビームが波長変換層2内で二次ビームに変換される率は、波長変換層2における一次ビームの横断可能な最大距離に比例し、ひいては波長変換層2の厚さDに比例する。その放射方向が放射方向X1から異なっている一次ビームの場合、例えば例示された放射方向X2に沿って面法線Nに対して放射角度αで一次ビームが放出される場合には、波長変換層2を通る横断可能な最大距離は、D/cosαに比例する。従って、変換率もD/cosαに比例するので、面法線Nに対する放射角度αが大きくなればなるほど、一次ビームが二次ビームに変換される率が上がる。従って、角度αで波長変換層2に入射した一次ビーム全体に対する、波長変換層2を角度αで、変換されずに通過する一次ビームの相対的な割合は角度αが高くなるにつれて低くなる。
【0046】
破線の矢印P’によって、上述したような、活性領域における一次ビームの放射に与えられる、反射性の第1の電極3の作用が示されている。自身の「固有の」放射されたビームによる、上述した励起子の自己影響によって、一次ビームの放射特性に影響が与えられる。この概略的な図面では、矢印P’が従来の意味での光放射の拡散および反射を示しているのではないことに注意されたい。むしろ、励起子によって放射された一次ビームはダイポールビーム領域の形であらわされる。これは、有機層列内で拡散し、第1の電極3によって反射される。
【0047】
図2は、上記の説明に相応するオプトエレクトロニクスデバイスの有機層列の一次ビームの放射強度I(α)を伴う放射特性のグラフを示している。水平軸には放射角度αが示されており、垂直軸には角度に依存した正規化された放射強度が示されている。
【0048】
放射強度401は1/cosαに対して比例する依存度を示している。これは放射時には面法線Nに対して平行であり、強度Iによってあらわされる。上述の実施例では、容易に以下のことが読み取れる。すなわち、このような放射特特性が、電磁一次ビームに対する上述した角度依存性の変換率に対抗作用を及ぼし、この変換率を少なくとも部分的に補償することができることが読み取れる。放射強度402および403は放射強度401に対して、強度+Q・Iないし−Q・Iぶんだけ、垂直軸上でシフトされている。グラフ402および403によって関数領域が生じ、この関数領域内では、一般的な箇所における説明に相応して、α=0°から境界角度α=βまでオプトエレクトロニクスデバイスの適切な放射強度I(α)が経過する。放射強度に対するこのような関数は上述のように、関数I(α)=I[1/cosα+A(α)]によってあらわされる。ここでA(α)は次のように選択される。すなわち、角度領域0°≦α≦βに対して|I(α)−I/cosα|≦Q・Iが当てはまるように選択される。
【0049】
例えばこれに対して一次ビーム放射強度411および412が示されている。これら2つの一次ビーム放射強度に対して同じ角度βが当てはまる。これは垂直な破線440によって示されている。放射強度411は、垂直な破線421によって示された角度αmaxの際に、最大強度Imaxを有する。垂直な破線431によって示される放射角度αminから、角度αmax(線421)まで放射強度は上昇し、この領域において単調に上昇する関数曲線によってあらわされる。放射強度412は同じように、属する最小角度αmin(線432)と最大角度αmax(線422)との間で、放射角度αに対して単調に上昇する関数曲線を有している。放射強度411および412は、上述の説明に相応に、記載したオプトエレクトロニクスデバイスに対する適切な放射強度I(α)である、放射強度I(α)の全ての関数クラスに対する例である。
【0050】
以降で説明するレイトレーシングシミュレーションを用いた場合には、図1に相応した2つのオプトエレクトロニクスデバイス100に対する、一次ビームと二次ビームが放射されて重畳した部分のCIE色位置分布が、一次ビームの異なる放射強度I(α)で求められる。一般的な箇所に説明されたように、シミュレートされたオプトエレクトロニクスデバイス100の放射強度は、第1の電極3の反射度R、有機層列1の屈折率nおよび/または活性領域10と第1の電極3との間の間隔Lを、活性領域10の厚さdの適切な選択に関連して変えることによって得られる。比較するために、黄色光発光ルミネセンス変換部を有する従来の青色OLEDが同じようにシミュレートされている。従来のOLEDのルミネセンス変換部における変換の場合には、シミュレートされたビーム取り出し率は0.62であった。放射特性202に対してはオプトエレクトロニクスデバイス100の波長変換層2内での変換の場合には0.62であり、放射特性0.59に対しては0.59であった。従って、全ビーム取り出し率は約0.6であった。
【0051】
図3Aには、従来のOLED(曲線201)並びに図1に相応するオプトエレクトロニクスデバイス100の有機層列1(曲線202および203)に対するシミュレーションのために検出された一次ビームの3つの放射特性が示されている。ここで垂直軸上に示されたこれら3つの放射強度201、202、203はそれぞれ、水平軸上の放射角度αに依存して示されている。
【0052】
従来のOLEDの放射強度201は、ランベルト放射の典型的な放射特性を示している。すなわち、既知の発光ダイオードで典型的であるように、放射強度I(α)はcosαに比例している。曲線202および203に相応する放射強度は、ランベルト放射特性とは異なる放射特性を示す。放射強度202および203はそれぞれ最小角度αmin=0°(参照番号220によって示されている垂直軸と一致する)および最大角度αmax(それぞれ垂直な破線222および223)を有しており、これらの間で各放射強度は放射角度αが増大するとともに、最大強度Imaxまで上昇する。ここで放射強度202に対する最大角度αmaxは約30°である。これに対して、曲線203に従った放射特性は、約80°の最大角度αmaxまで、1/cosαに比例する、放射強度I(α)を示す。
【0053】
曲線201、202および203に相応する放射特性から結果として生じる、0°と70°の間での放射角度αに依存した、既知のCIE色度図における一次ビームと二次ビームの重畳の色位置は、レイトレーシングシミュレーションによって求められ、図2Bに示されている。ここで矢印210は増大する放射角度αを示している。点211(白抜きの正方形)は、青色の一次ビームと図2Aにおける放射強度201を伴う黄色の二次ビームを伴った、ルミネセンス変換部によって放射された電磁ビームを有する典型的なOLEDのCIE色位置を示している。ここでこれは放射角度αに依存して、0°〜70°の間で、観察者によって認識される色位置である。図示されたCIE色度図から次のことが読み取れる。すなわち、放射角度αが上昇するとともに、ルミネセンス変換部における角度に依存する変換率によって、発光印象の黄色シフトが認識されることが読み取れる。点212(黒円)は、図1に示されたオプトエレクトロニクスデバイス100に対する、図2Aにおける曲線202に従った放射特性に対する相応するCIE色位置変化を示している。点213(黒塗り正方形)はこれに相応して、図1に示されたオプトエレクトロニクスデバイス100に対する、図2Aにおける曲線203に従った放射特性に対する相応する色位置変化を示している。ランベルト放射特性との偏差が増大するとともに、かつ最大放射強度Imaxが大きい最大角度αmaxへとシフトするとともに、放射角度による色位置変化の減少が確認される。
【0054】
図4Aにはオプトエレクトロニクスデバイス300に対する別の実施例が示されている。図1における実施例に示されるように、オプトエレクトロニクスデバイス300も透明なガラス基板19を有している。このガラス基板上には有機層列1が、第1の電極3と第2の電極4の間に配置されている。電極3および4並びに有機層列1は従来の蒸着プロセスによって被着されている。有機層列1は殊に、有機的な小さい分子(小分子)を有する材料を含む。
【0055】
基板19上には透明な第2の電極4が被着されている。図示の実施例ではこの第2の電極4はITOから成る。第2の電極4上には有機層列1が被着されている。この有機層列は第2の電極4上にホール注入層(HIL)15を含み、その上に電子遮断層(EBL)14を含む。EBL14上にはエレクトロルミネセンス層(EL)10が被着されている。これは有機層列1の活性領域を構成する。EL10は、オプトエレクトロニクスデバイス300の作動時に青い一次ビームを放射するのに適している。EL10上にはホール遮断層(HBL)12が被着されており、ホール遮断層の上には電子搬送層(ETL)11が被着されている。有機層列1上には、銀から成る第1の電極3が配置されている。ここでこの第1の電極は、EL10によって放射された一次ビームを反射する。基板19および第2の電極4は透明であるので、オプトエレクトロニクスデバイスは、いわゆる「ボトムエミッタ型」として構成されている。
【0056】
EBL14とHBL12との間にEL10を組み込むことによって、有機層列1の活性領域10を良好に位置付け、境界付けすることができる。なぜなら、励起子、すなわち電子とホールの対は、EBL14とHBL12との間にのみ形成されるからである。
【0057】
電極3、4および有機層列1上には被包部5が配置されている。この被包部は電極3、4および有機層列1を、有害な外部影響(例えば湿気または酸素)または機械的損傷から保護することができる。
【0058】
有機層列1の方を向いていない、基板19の表面上には、有機層列1の一次ビームのビーム路内に波長変換層2が配置されている。これは、ガラスから成る担体基板20を有している。この担体基板上にはニトリドシリケートを含有しており、かつYAG:Ce3+を含有している波長変換材料22が、エポキシ樹脂マトリックス材料21内に収容されている。波長変換層2を製造するために、粉砕工場において、波長変換材料22はエポキシ樹脂材料とともに均一に細かく砕かれ、混ぜられている。この混合物は基板20上に被着され、150℃で1時間、硬化されている。波長変換材料22を伴う、硬化されたマトリックス材料21の厚さDは約30μmである。
【0059】
波長変換層2は光学的なジェル6によって、基板19上に被着され、光学的に結合されている。
【0060】
図4Bには、オプトエレクトロニクスデバイスの別の実施例301が示されている。ここでこの実施例は、図4Aに示されたオプトエレクトロニクスデバイス300の別の形態である。オプトエレクトロニクスデバイス301では、一次ビームを反射する第1の電極3が基板19上に被着されている。この反射性の第1の電極3上には、有機層列1が、上述のように、しかし逆の順番で配置されている。層列1上には、ITOから成る透明な第2の電極4が配置されている。被包部5は同じように透明な材料を有している。これは例えばガラスまたは透明なプラスチックである。従って、EL10内で形成された一次ビームは基板19から離れた方向へ、第2の透明な電極4および被包部5を通じて放射され、オプトエレクトロニクスデバイス301はいわゆる「トップエミッタ型」として構成される。波長変換層2は被包部5上に光学的なジェル6によって被着され、光学的に結合されている。
【0061】
放射された電磁ビームの放射特性およびCIE色位置分布を測定するために、OLEDI、IIおよびIIIとして構成された3つのオプトエレクトロニクスデバイスが、オプトエレクトロニクスデバイス300の図4Aに示された実施例に相応して製造された。全ての3つのオプトエレクトロニクスデバイスI、IIおよびIIIは以下で、例えば、有機層列1の電極3、4および層10、11、12、14、15の厚さを有している。
・第2の電極4:120nm、
・HIL15:20nm、
・EBL14:10nm、
・EL10:25nm、
・HBL12:10nm、
・ETL11:xnm、
・第1の電極:150nm。
【0062】
ETL11の厚さxは、オプトエレクトロニクスデバイスI、IIおよびIIIの場合には約15nm、30nmおよび50nmである。これによって、OLEDI、IIおよびIIIに対する反射性の第1の電極と活性領域との間の平均間隔Lは、相互に比較して変化する。
【0063】
図5Aには、ここから得られる放射特性501、502および503が、一次ビームの角度に依存する放射強度I(α)として示されている。曲線501に従った放射強度I(α)はここで、約15nmのETL厚さxを有するOLEDIの放射特性である。曲線502に従った放射強度I(α)は、約30nmのETL厚さxを有するOLEDIIの放射特性であり、曲線503に従った放射強度I(α)は、約50nmのETL厚さxを有するOLEDIIIの放射特性である。
【0064】
放射特性501を有するOLEDIはここで実質的にランベルト放射特性を有し、従来のOLEDをあらわしている。OLEDIIおよびIIIはこれに対して、非ランベルト放射特性を有している。ここで放射強度I(α)は、放射角度α=0°から垂直線522および523によってあらわされた最大角度αmaxまで、最大放射強度Imaxへ向かって上昇する。放射特性は以下の方法によって求められている;波長変換層2の代わりに、基板19上に、屈折率整合ガラス(インデックスマッチングジェル)6を用いて、直径25cmのガラス半球が中央に配置される。ゴニオメータおよびゴニオメータと接続されたライトガイドスペクトルメータによって、ガラス半球から出射するOLEDI、IIおよびIIIの一次ビームが放射角度αに依存して測定される。ガラス半球の幾何学的形状によって、半球表面での周辺空気に対する一次ビームの出射角度は、基板19内の放射角度と同じものである。ガラス半球および基板19は屈折率整合されているので、基板19における全反射に対する角度よりも大きい放射角度を有する一次ビームも測定される。従って測定された放射特性は、OLEDI、IIおよびIIIの各有機層列1の放射特性に相応する。これらは、基板19内に達する一次ビームによって定められる。ここで全反射に基づいて第2の電極でないし第2の電極内で反射された一次ビームの成分だけが、基板19内に達しない。
【0065】
ゴニオメータ測定から、7mA/cmの電流密度が印加された場合の、3つのOLEDI、IIおよびIIIの光出力も求められる。光出力は任意単位でOLEDIの場合には0.1074であり、OLEDIIの場合には0.1088であり、OLEDIIIの場合には0.1141である。
【0066】
図5Bには、OLEDI(測定点511)、II(測定点512)およびIII(測定点513)の一次ビームおよび二次ビームの重畳の各CIE色位置分布が、波長変換層2によって図3Aで示されたのと同じように示されている。ここで矢印510は増大する放射角度αを示している。この測定は標準的なゴニオメータによって行われたものである。放射特性が図5Aにおける曲線501に相応するランベルト放射特性から離れるほど、放射角度に依存して、結果として生じた発光印象の色変化が減少することが明確に読み取れる。同じ材料を使用しているのにも係わらずOLEDI、IIおよびIIIの色位置が相互に相対的に僅かに異なっているのは、反射性の第1の電極3によって形成された微少空洞の影響に起因するものである。
【0067】
本発明は上述した実施例に限定されるものではない。むしろ本発明はあらゆる新規の特徴ならびにそれらの特徴のあらゆる組み合わせを含むものであり、これには殊に特許請求の範囲に記載した特徴の組み合わせ各々が含まれ、このことはそのような組み合わせ自体が特許請求の範囲あるいは実施例に明示的には記載されていないにしてもあてはまる。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明の実施例によるオプトエレクトロニクスデバイスを概略的に示す図
【図2】一次ビームの放射特性のグラフ
【図3A】別の実施例によるオプトエレクトロニクスデバイスに対する放射特性のシミュレーション
【図3B】別の実施例によるオプトエレクトロニクスデバイスに対する放射特性のシミュレーションから結果として生じる、角度に依存したCIE色位置分布
【図4A】別の実施例によるオプトエレクトロニクスデバイスを概略的に示す図
【図4B】別の実施例によるオプトエレクトロニクスデバイスを概略的に示す図
【図5A】別の実施例によるオプトエレクトロニクスデバイスに対する放射特性のグラフ
【図5B】別の実施例によるオプトエレクトロニクスデバイスに対する放射特性のグラフおよび、ここから結果として生じる、角度に依存したCIE色位置分布
【符号の説明】
【0069】
1 ビーム放射層列、 2 波長変換層、 3 第1の電極、 4 第2の電極、 6 光学ジェル、 10 活性領域、 19 基板、 20 担体基板、 21 マトリックス材料、 22 波長変換材料

【特許請求の範囲】
【請求項1】
オプトエレクトロニクスデバイスであって、
・第1の電極(3)を含み、
・当該第1の電極(3)上の、活性領域(10)を有するビーム放射層列(1)を含み、ここで当該活性領域は面法線(N)を備えた主延在面(E)を有しており、非ランベルト放射特性を有する電磁一次ビームを放出し、
・前記ビーム放射層列(1)上の、前記一次ビームに対して透過性の第2の電極(4)を含み、
・前記一次ビームのビーム路内にある波長変換層(2)を含み、当該波長変換層は、前記一次ビームの少なくとも一部を電磁二次ビームに変換し、
ここで
・前記第1の電極(3)は前記一次ビームに対して反射性であり、
・前記非ランベルト放射特性は、前記ビーム放射層列(1)の一次ビームの強度I(α)によって、前記面法線(N)に対して測定された放射角度αに依存して定められ、
・α≧0°の前記強度I(α)は、角度αが最大角度αmaxまで上昇するにつれて増大し、
・前記波長変換層(2)内での前記電磁一次ビームの変換率は、放射角度αが上昇するにつれて増大する、
ことを特徴とするオプトエレクトロニクスデバイス。
【請求項2】
・前記放射特性は最大強度Imaxを、10°以上かつ75°以下の最大角度αmaxで有する、請求項1記載のオプトエレクトロニクスデバイス。
【請求項3】
・前記放射特性は角度α=0°の場合には強度Iを有しており、
・前記放射特性は角度αが0°≦α≦15°の場合には、I(α)=I[1/cosα+A(α)]で強度I(α)を有し、
・A(α)は、0°≦α≦15°の場合には、−0.8≦A(α)≦0.8の範囲の値をとる、
請求項1または2記載のオプトエレクトロニクスデバイス。
【請求項4】
・前記第1の電極(3)は、電磁一次ビームに対して反射度Rを有する材料を有しており、
・前記ビーム放射層列(1)は屈折率nを有しており、
・前記活性領域(10)は厚さdを有し、前記第1の電極から平均間隔Lで配置されており、当該平均間隔Lは、
・前記第1の電極および第2の電極(3、4)を伴う前記有機層列(1)が非ランベルト放射特性を有するように調整されている、請求項1から3までのいずれか1項記載のオプトエレクトロニクスデバイス。
【請求項5】
・前記平均間隔Lは前記電磁一次ビームの半波長以下であり、かつ前記電磁一次ビームの波長の二十分の一以上である、請求項1から4までのいずれか1項記載のオプトエレクトロニクスデバイス。
【請求項6】
・前記活性領域(10)の厚さdは20nm以下である、請求項4または5記載のオプトエレクトロニクスデバイス。
【請求項7】
・前記ビーム放射層列(1)はさらに基板(19)を有しており、
・前記第1の電極(3)は直接的に当該基板(19)上に配置されている、請求項1から6までのいずれか1項記載のオプトエレクトロニクスデバイス。
【請求項8】
・前記ビーム放射層列(1)はさらに基板(19)を有しており、
・前記第2の電極(4)は直接的に当該基板(19)上に配置されている、請求項1から6までのいずれか1項記載のオプトエレクトロニクスデバイス。
【請求項9】
・前記波長変換層(2)は波長変換材料(22)を、透明な担体基板(20)上に有している、請求項1から8までのいずれか1項記載のオプトエレクトロニクスデバイス。
【請求項10】
・前記波長変換層(2)は、波長変換材料(22)を透明なマトリックス材料(21)内に有している、請求項1から9までのいずれか1項記載のオプトエレクトロニクスデバイス。
【請求項11】
・前記マトリックス材料(21)は、シリコーン、エポキシド、アクリレート、イミド、カーボネート、オレフィンまたはこれらの材料の混合物または組み合わせを有する、請求項1から10までのいずれか1項記載のオプトエレクトロニクスデバイス。
【請求項12】
・前記波長変換層(2)は光学ジェル(6)を介して前記ビーム放射層列(1)に光学的に結合されている、請求項1から11までのいずれか1項記載のオプトエレクトロニクスデバイス。
【請求項13】
・前記ビーム放射層列(1)は有機層列を含む、請求項1から12までのいずれか1項記載のオプトエレクトロニクスデバイス。
【請求項14】
・前記活性領域(10)は少なくとも1つの有機ポリマー、有機オリゴマー、有機モノマー、有機小分子またはこれらの組み合わせを有する、請求項1から13までのいずれか1項記載のオプトエレクトロニクスデバイス。
【請求項15】
・前記第2電極(4)は、以下のグループからの少なくとも1つの透明な材料を含み、当該グループは、
・金属、
・金属酸化物および
・有機導電性材料から成る、請求項1から14までのいずれか1項記載のオプトエレクトロニクスデバイス。
【請求項16】
・前記第1の電極(3)はアルミニウム、バリウム、インジウム、銀、金、マグネシウム、カルシウムまたはリチウムまたはそれらの化合物、組み合わせまたは合金を有する、請求項1から15までのいずれか1項記載のオプトエレクトロニクスデバイス。
【請求項17】
・前記電磁一次ビームは、紫外から青色までの波長領域からの波長領域を有している、請求項1から16までのいずれか1項記載のオプトエレクトロニクスデバイス。
【請求項18】
・前記電磁二次ビームは、青色から赤色波長領域からの波長領域を有している、請求項1から17までのいずれか1項記載のオプトエレクトロニクスデバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【公開番号】特開2008−306191(P2008−306191A)
【公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−150510(P2008−150510)
【出願日】平成20年6月9日(2008.6.9)
【出願人】(599133716)オスラム オプト セミコンダクターズ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (586)
【氏名又は名称原語表記】Osram Opto Semiconductors GmbH
【住所又は居所原語表記】Leibnizstrasse 4, D−93055 Regensburg, Germany
【Fターム(参考)】