説明

オリフィス板及び流量制御装置

【課題】本発明は、流路面積が可変のオリフィス板及び当該オリフィス板を備えた流量制御装置を提供する。
【解決手段】オリフィス板101は、両面に形成された電極111,112及び圧電体110からなり、面内方向に伸縮する圧電素子から構成してある。オリフィス板1は、孔部113及び孔部113の周縁から放射状に径方向外側に向かって延びる複数の切欠部114,114,…からなる流路部115を備える。電極111,112に電圧を印加して圧電体10を面内方向に伸長させた場合、流路部115の流路面積が減少する。電極111,112に印加する電圧を調整することにより、流路面積が可変となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流路面積が可変のオリフィス板及び当該オリフィス板を備えた流量制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
真空装置等に流量を制御してガス等の流体を供給するための流量制御装置が広く使われている。これらの流量制御装置は、流路に介挿されており、一定の流路面積を有する孔部が設けられたオリフィス板を備えている。オリフィス板の孔部を通過する流体の流量は、オリフィス板上流側の圧力(1次圧)がオリフィス板下流側の圧力(2次圧)の2倍以上であるという圧力条件を満たし、かつ、オリフィス板の流路面積が一定の場合、1次圧に比例する。2次圧は、流量制御装置の下流側に接続される真空装置のチャンバ内圧力であり、真空装置夫々によって設定される所定値である場合が多い。よって一般に流量制御装置は、圧力条件を満たす範囲で1次圧力を調整することで供給する流体の流量を制御している。
【0003】
ところが、流量制御装置の下流側にチャンバ内圧力が低い真空装置が接続されて2次圧が低下した場合、圧力条件を満たす1次圧の範囲が狭くなり、流量制御範囲が制限される。そこで、異なる流路面積を有する複数のオリフィス板夫々が介挿された複数の流路を備え、流路を切替えることにより、幅広い流量制御範囲を得る流量制御装置が特許文献1に記載されている。特許文献1に記載の流量制御装置は、複数の流路及び流路を切替える制御回路を必要とするため、装置が大型化するという問題がある。そこで、特許文献2には、オリフィス板の代わりに硬質部材及び圧電素子からなる複数の複合部材を絞り状に配することにより、流路面積を可変にしたオリフィス装置が記載されている。
【特許文献1】特開2007−4644号公報
【特許文献2】特開平7−81057号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献2に記載のオリフィス装置は、流路面積を変更する場合、複数の複合部材夫々が互いに接触した状態で摺動するため、複合部材の磨耗によりパーティクルが発生し、高い清浄性を必要とする真空装置にパーティクルが混入する虞があった。
【0005】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、板状の圧電素子からなり、孔部の周縁から放射線状に延びる複数の切欠部を備えることにより、パーティクルが生じる虞がなく流路面積が可変となるオリフィス板を提供することを目的とする。また、本発明の他の目的は、当該オリフィス板を備えることにより、パーティクルが生じることなく幅広い流量制御範囲を可能とする流量制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るオリフィス板は、面内方向に伸縮する板状の圧電素子からなり、その略中央に配された孔部及び該孔部の周縁から放射状に延びる複数の切欠部からなる流路部を備えることを特徴とする。
【0007】
本発明にあっては、オリフィス板の孔部及び複数の切欠部からなる流路部を通過して流体が流れる。オリフィス板をなす圧電素子に電圧を印加した場合、オリフィス板は面内方向に伸長して流路部の流路面積が減少する。
【0008】
本発明に係るオリフィス板は、前記複数の切欠部夫々は、外周縁へ向けて幅が狭まっていることを特徴とする。
【0009】
本発明にあっては、圧電素子が面内方向に伸長した場合、切欠部夫々の端部に残る間隙の幅が狭くなる。
【0010】
本発明に係るオリフィス板は、前記圧電素子は、回転対称形状であり、前記複数の切欠部夫々は、略二等辺三角形状であり、前記圧電素子の回転対称軸を中心とする円周上に頂点を等配してあることを特徴とする。
【0011】
本発明にあっては、回転対称形状を有する流路部を通過して流体が流れる。オリフィス板が面内方向に伸長した場合、流路部の回転対称形状を保持した状態で流路面積が減少する。
【0012】
本発明に係るオリフィス板は、略中央から放射状に延びる複数の切欠部からなる流路部を備え、外周縁を基端として法線方向に屈曲する板状の圧電素子からなることを特徴とする。
【0013】
本発明にあっては、複数の切欠部からなる流路部を流体が流れる。オリフィス板をなす圧電素子に電圧が印加された場合、隣り合う切欠部により挟まれた圧電素子の部分夫々が外周縁を支点として法線方向に屈曲し、流路部の流路面積が増大する。
【0014】
本発明に係る流量制御装置は、前述のオリフィス板を備え、オリフィス板下流側の流量を制御する流量制御装置であって、前記圧電素子に電圧を印加する可変電圧電源を備えることを特徴とする。
【0015】
本発明にあっては、流路部の流路面積を変更すべく圧電素子に印加する電圧が決定されてオリフィス板下流側の流量が制御される。
【0016】
本発明に係る流量制御装置は、オリフィス板上流側の圧力を所定値に制御する圧力制御手段を備えることを特徴とする。
【0017】
本発明にあっては、流路面積及び流量が比例関係となる圧力条件を満たす所定値に1次圧が制御される。
【0018】
本発明に係る流量制御装置は、前述のオリフィス板と、前記オリフィス板上流側の圧力を調整する圧力調整手段とを備え、前記圧力を調整して前記オリフィス板下流側の流量を制御する流量制御装置であって、圧力及び電圧の対応関係を記憶してある記憶手段と、前記記憶手段に記憶してある前記対応関係に基づいて前記圧力調整手段が調整する圧力に対応する電圧を決定する電圧決定手段と、前記圧電素子に前記電圧決定手段が決定した電圧を印加する電源とを備えることを特徴とする。
【0019】
本発明にあっては、オリフィス板上流側の圧力、すなわち1次圧が調整されてオリフィス板下流側の流量が制御される。また、圧電素子に印加される電圧が決定されて流路面積が設定される。
【発明の効果】
【0020】
本発明にあっては、板状の圧電素子からなり、孔部の周縁から放射線状に延びる複数の切欠部を備えることにより、パーティクルが生じる虞がなく流路面積が可変となる。また、本発明にあっては、当該オリフィス板を備えることにより、パーティクルが生じることなく幅広い流量制御範囲を可能とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
実施の形態1
以下、本発明をその実施の形態を示す図面を参照して具体的に説明する。図1は、実施の形態1に係るオリフィス装置の構造例を示す模式的断面図である。図中2は、流体が流れる流路を備えたオリフィス装置を示す。図中白抜矢印は、流体が流れる方向を示す。オリフィス装置2は、管内に流路を有する上流側管部21及び下流側管部22と、上流側管部21及び下流側管部22によりOリング23,24を介して挟持されており、流路に介挿されたオリフィス板1を備えている。オリフィス板1は、厚み方向に分極してある圧電セラミック等の円板状の圧電体10と、圧電体10の両面にスパッタ法等により金属が蒸着された電極11,12とからなる。
【0022】
電極11,12に用いられる金属は、流路を流れるガス等の流体と反応しない金属、例えば、金及び白金等を選択するとよい。また、オリフィス板1は、略中央に孔部13を備えている。オリフィス板1は、電極11,12間に電位差を与えて分極方向と反対方向の電界を生じさせた場合、圧電体10が厚み方向に収縮し、面内方向では伸長する直線変位型圧電素子を構成してある。以下、電極11,12の表面に対して面平行な方向をオリフィス板1の面内方向と呼ぶ。
【0023】
また、オリフィス板1は、電極11,12間に電位差を与えて分極方向の電界を生じさせた場合、圧電体10が厚み方向に伸長し、面内方向では収縮するようにしてある。Oリング23,24は、導電性を有しており、例えば導電性ゴム又はイリジウム等の金属からなり、オリフィス板1の電極11,12夫々と電気的に接触するようにしてある。さらにオリフィス装置2は、Oリング23,24夫々に配線されており、電極11,12夫々に電圧を印加するための電圧端子V1,V2を備えている。上流側管部21及び下流側管部22は、夫々の一端に互いに対向するよう設けられたフランジ部210,221をクランプ又はネジ留めすることにより、流路の軸方向に付勢されて接続してある。
【0024】
図2は、実施の形態1に係るオリフィス板1の例を示す模式的平面図及び模式的断面図である。図中白抜矢印は、圧電体10の分極方向を示す。オリフィス板1は、オリフィス中心に設けられた所定半径を有する孔部13と、オリフィス中心を中心とし、孔部13周縁から径方向に所定距離を延びる帯状の複数の切欠部14,14,…とからなる流路部15を備える。切欠部14,14,…夫々のオリフィス中心方向端部は、孔部13周縁において連結するようにしてある。
【0025】
電圧端子V1,V2に電圧が与えられ圧電体10が面内方向に伸長した場合、隣り合う切欠部14,14に挟まれた二等辺三角形状の領域夫々の頂点がオリフィス中心に向かって接近すると共に、切欠部14,14,…夫々の対向する径方向の2辺が接近する。これにより、オリフィス板1の流路部15の流路面積が減少するようにしてある。圧電体10の面内方向の変位量は、電圧端子V1,V2に印加する電圧の大きさに対応しているため、当該電圧により流路面積を調整することが可能となる。
【0026】
図3は、実施の形態1に係るオリフィス板の他の例を示す模式的平面図及び模式的断面図である。図中101は、厚み方向に分極してある圧電セラミック等の円板状の圧電体110と、圧電体110の両面に形成された電極111,112とからなるオリフィス板を示す。オリフィス板101は、オリフィス中心に設けられた所定半径を有する孔部113と、底辺を孔部113周縁において連結してあり、オリフィス中心を中心とする円周上に頂点が等配されてある二等辺三角形状の切欠部114,114,…とからなる流路部115を備える。また、切欠部114,114,…夫々の周方向の幅が径方向外方、すなわち外周縁に向けて狭まるようにしてある。圧電素子110が面内方向に伸長した場合、切欠部114,114,…の間隙における幅の変位量が、径方向(外周縁)に向かって小さくなる。従って、径方向に幅が狭まる切欠部114,114,…を形成することにより、圧電素子110が面内方向に伸長した場合、切欠部114,114,…の端部に残る間隙の幅が狭くなる。
【0027】
図4及び図5は、実施の形態1に係るオリフィス板の他の例及び電圧印加時のオリフィス板の例夫々を示す模式的平面図である。図中201は、厚み方向に分極してある圧電セラミック等の円板状の圧電体と、圧電体の両面に形成された電極とからなるオリフィス板を示しており、オリフィス板1及び101と同様であるので説明を省略する。図中211は、オリフィス板201の両面に形成された電極のうち、一方の電極を示す。オリフィス板201は、オリフィス中心に設けられた所定半径を有する孔部213と、孔部213周縁に離間して等配してある二等辺三角形状の切欠部214,214,…とからなる流路部215を備える。電圧端子V1,V2に電圧を印加して流体面積を減少させ、切欠部214,214,…夫々の幅方向に対向する2辺が径方向全てに渡って接触した場合、図5に示す如く半径が減少した孔部13のみからなる流路部215が形成される。
【0028】
オリフィス板1、101及び201夫々は、切欠部14,14,…、114,114,…及び214,214,…の側壁面が流路に晒されている場合を示したが、流路を流れるガス等の吸着を防ぐために二酸化珪素及びDLC( Diamond-like carbon )等の非導電性物質によりコーティングしてもよい。また、本実施の形態1は、流路面積を変更するために分極方向と反対方向の電界を生じさせるべく電極に電圧を与えて圧電体を面内方向に伸長させ、流路面積を減少させる場合を示したが、これに限るものではなく、分極方向の電界を生じさせるべく電極に電圧を与えて圧電体を面内方向に収縮させ、流路面積を増大させてもよい。
【0029】
実施の形態2
図6は、実施の形態2に係るオリフィス装置の構造例を示す模式的断面図である。本実施の形態2は、実施の形態1がオリフィス板を面内方向に伸長する直線変位型圧電素子から構成してあるのに対して、法線方向に屈曲するバイモルフ型圧電素子から構成してある。図中4は、流体が流れる流路を備えたオリフィス装置を示す。図中白抜矢印は、流体の流れる方向を示す。オリフィス装置4は、上流側管部41及び下流側管部42によりOリング43,44,45,46を介して挟持されており、流路に介挿されたオリフィス板3を備えている。
【0030】
オリフィス板3は、同一の分極方向を有する一対の圧電体30a及び圧電体30bからなり、圧電体30a及び圧電体30bが中間電極33を介し、対面して接合され、両面夫々に電極31及び電極32が形成してある。中間電極33は、電極31及び電極32よりも長い径を有しており、オリフィス板3の円周側面から径方向に突出するようにしてある。Oリング45,46は、導電性を有しており、オリフィス3の中間電極33と電気的に接触するようにしてある。さらにオリフィス装置4は、Oリング43,44,46夫々に配線されており、電極31,32及び中間電極33夫々に電圧を印加するための電圧端子V1,V2,V3を備えている。上流側管部41及び下流側管部42は、夫々の一端に互いに対向するよう設けられたフランジ部411,421をクランプ又はネジ留めすることにより、流路の軸方向に付勢されて接続してある。
【0031】
図7は、実施の形態2に係るオリフィス板3の例を示す模式的平面図及び模式的断面図である。図中白抜矢印は、オリフィス板3の法線方向を示す。オリフィス板3は、オリフィス中心から径方向に所定距離を延びる帯状の複数の切欠部34,34,…からなる流路部35を備える。電圧端子V1及び電圧端子V3間、並びに電圧端子V2及び電圧端子V3間に略同一の電位差が与えられた場合、電極31及び電極33間に発生する電界の向きと反対方向の電界が電極32及び電極33間に発生するようにしてある。これにより、電極31及び中間電極33に挟まれた圧電体30aが収縮すると共に、電極32及び中間電極33に挟まれた圧電体30bが伸長する。
【0032】
圧電体30aの収縮及び圧電体30bの伸長により、隣り合う切欠部34,34に挟まれており、頂点がオリフィス中心近傍にある二等辺三角形状のオリフィス板3の一部領域が底辺を基端として屈曲し、法線方向に屈曲する。屈曲したオリフィス板3により、流路部35の流路面積が増大する。オリフィス板3の屈曲方向の変位量は、電圧端子V1,V3間及び電圧端子V2,V3間に印加する電圧の大きさに対応しているため、当該電圧により流路面積を調整することが可能となる。切欠部34,34,…の周方向の幅は、オリフィス板3が屈曲する場合、幅方向に対向する2辺が互いに接触することがないよう設定するとよい。
【0033】
実施の形態3
図8は、実施の形態3に係る流量制御装置の内部構成を示すブロック図である。流量制御装置は、オリフィス装置2を備えた流量調整部5及び当該流量調整部5を制御する制御装置6からなり、上流側(1次側)から供給されるガス(流体)の流量を制御して下流側(2次側)に排出するようにしてある。制御装置6は、流量調整部5の温度測定端子Tから与えられる信号により1次側のガス温度を測定する温度測定部69と、流量調整部5の1次圧測定端子Pmから与えられる信号により1次圧を測定する1次圧測定部67と、1次圧測定部67が測定した1次圧を1次側のガス温度を用いて補正する1次圧補正部68と、流量調整部5の1次圧設定端子Psに制御信号を与えて1次圧を制御する1次圧制御部(圧力制御手段)70と、流量調整部5の電圧端子Vに電圧を印加するための電圧可変の電源部(可変電圧電源)71とを備える。
【0034】
また、制御装置6は、流量を受付ける流量受付部64と、1次圧を受付ける1次圧受付部65と、複数の異なる1次圧夫々に対応した電圧対応表631,631,…が記憶してある記憶部63と、バス60aを介してハードウェア各部を制御するためのCPU( Central Processing Unit )60と、CPU60で実行されるコンピュータプログラムが記憶してあるROM( Read-Only Memory )61と、コンピュータプログラムの実行中に生じる変数等を記憶するためRAM( Random-Access Memory)62とを備えている。電圧対応表631,631,…は、流量及び電圧の対応関係を示したテーブルからなり、予め実験的に求めて記憶部63に記憶しておくとよい。
【0035】
1次圧受付部65は、流量制御装置の下流に接続される真空装置の圧力からなる2次圧に基づいて、1次圧が2次圧の2倍以上となる圧力条件を満たすべく選択された1次圧を受付けるようにしてある。例えば、複数種類の1次圧のうち、1つを選択する切替スイッチを設けてユーザが圧力条件を満たす1次圧に切替えるように構成するとよい。また、例えば2次圧を検出する圧力センサを設けて、検出した2次圧から圧力条件を満たす1次圧を決定して設定するように構成してもよい。
【0036】
図9は、実施の形態3に係る流量調整部5の内部構成を示すブロック図である。図中白抜矢印は、流量調整部5内部を流れるガスの方向を示す。流量調整部5は、供給口50に供給されるガスを設定された流量に調整して排出口55に接続された外部の真空装置に排出する。流量調整部5は、供給口50に供給されるガスと共に混入する異物を除去するための保護メッシュ51と、1次圧力を調整するための1次圧調整弁52と、1次圧を検出する圧力センサからなる1次圧検出部53と、1次側のガス温度を検出する温度センサからなる温度検出部54と、オリフィス装置2とを備えている。1次圧検出部53及び温度検出部54夫々は、1次圧測定端子Pm及び温度測定端子Tに接続されており、検出した1次圧及びガス温度を示す検出信号を出力するようにしてある。また、オリフィス装置2は、電圧端子V1及び電圧端子V2夫々に電位差を与えるべく電圧端子Vが接続されている。
【0037】
図10は、実施の形態3に係る流量制御処理の手順を示すフローチャートである。CPU60は、1次圧受付部65から1次圧を受付けて(ステップS11)、1次圧制御部70に設定する(ステップS12)。CPU60は、流量受付部64から流量を受付ける(ステップS13)。CPU60は、設定されていた流量が変更されたか否かを判定する(ステップS14)。CPU60は、流量が変更されていないと判定した場合(ステップS14でNO)、流量を受付けるステップS13に処理を戻す。
【0038】
CPU60は、流量が変更されていると判定した場合(ステップS14でYES)、記憶部63に記憶してある電圧対応表631,631,…のうち、設定した1次圧に対応する電圧対応表631を選択する(ステップS15)。CPU60は、選択した電圧対応表631から、受付けた流量に対応した電圧値を読出し(ステップS16)、電源部71に設定して流量を制御する(ステップS17)。CPU60は、図示しない電源スイッチがオフされたか否かを判定し(ステップS18)、オフされていないと判定した場合(ステップS18でNO)、流量を受付けるステップS13に処理を戻す。CPU60は、オフされたと判定した場合(ステップS18でYES)、流量制御処理を終了する。
【0039】
本実施の形態3においては、流量調整部5が実施の形態1で示したオリフィス装置2を備える場合を示したが、これに限るものではなく実施の形態2で示したオリフィス装置4を備えてもよい。この場合、電圧端子Vを介して電源部71から電圧端子V1,V2,V3に電圧を印加するとよい。
【0040】
本実施の形態3は以上の如き構成としてあり、その他の構成及び作用は実施の形態1と同様であるので対応する部分には同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0041】
実施の形態4
図11は、実施の形態4に係る流量制御装置の内部構成を示すブロック図である。本実施の形態4は、実施の形態3がオリフィス装置2の電圧端子Vに印加する電圧を調整して流量を制御するのに対して、1次圧を調整して流量を制御し、1次圧が圧力条件を満たすよう電圧を調整するようにしてある。図中8は、2次圧を受付ける2次圧受付部81と、複数の異なる電圧値夫々に対応した1次圧対応表831,831,…が記憶してある記憶部83とを備えた制御装置を示す。1次圧対応表831,831,…は、複数の異なる電圧値、すなわち複数の異なる流路面積夫々に対して流量及び1次圧の対応関係を示したテーブルからなり、予め実験的に求めて記憶部83に記憶してある。
【0042】
1次圧対応表831,831,…夫々のテーブルに記憶されている1次圧は、各1次圧対応表831における1次圧制御範囲を示している。制御装置8には、2次圧及び流量の初期値が予め設定されており、更に複数の1次圧対応表831,831,…から、2次圧の2倍以上となる圧力条件を満たす1次圧制御範囲を有した1次圧対応表831が予め選択されて設定されている。2次圧受付部81は、例えば、複数種類の2次圧のうち、流量制御装置下流側に接続された真空装置の圧力と対応する2次圧を選択する切替スイッチを設けてユーザが切替えるように構成するとよい。また、例えば2次圧を検出する圧力センサを設けて2次圧を検出して受付けるようにしてもよい。
【0043】
図12は、実施の形態4に係る流量制御処理の手順を示すフローチャートである。CPU60は、2次圧受付部81から2次圧を受付ける(ステップS21)。CPU60は、設定されていた2次圧が変更されたか否かを判定する(ステップS22)。CPU60は、2次圧が変更されたと判定した場合(ステップS22でYES)、設定されている1次圧及び変更された2次圧が圧力条件を満たすか否かを判定する(ステップS23)。CPU60は、圧力条件を満たしていないと判定した場合(ステップS23でNO)、記憶部83に記憶してある複数の1次圧対応表831,831,…から、圧力条件を満たす1次圧対応表831を選択する(ステップS24)。CPU60は、選択した1次圧対応表831に対応する電圧値を取得し(ステップS25)、電圧値を電源部71に設定する(ステップS26)。CPU60は、流量受付部64から流量を受付ける(ステップS27)。
【0044】
CPU60は、設定されていた2次圧が変更されたか否かを判定するステップS22において2次圧が変更されていないと判定した場合(ステップS22でNO)、及び圧力条件を満たすか否かを判定するステップS23において圧力条件を満たすと判定した場合(ステップS23でYES)、流量受付部64から流量を受付けるステップS27に処理を移す。CPU60は、設定されていた流量が変更されたか否かを判定する(ステップS28)。CPU60は、流量が変更されていないと判定した場合(ステップS28でNO)、2次圧を受付けるステップS21に処理を戻す。CPU60は、流量が変更されたと判定した場合(ステップS28でYES)、選択された1次圧対応表831から、受付けた流量に対応した1次圧を読出す(ステップS29)。
【0045】
CPU60は、読み出した1次圧を1次圧制御部70に設定して受付けた流量に制御する(ステップS30)。CPU60は、図示しない電源スイッチがオフされたか否かを判定し(ステップS31)、オフされていないと判定した場合(ステップS31でNO)、2次圧を受付けるステップS21に処理を戻す。CPU60は、オフされたと判定した場合(ステップS31でYES)、流量制御処理を終了する。
【0046】
本実施の形態4は以上の如き構成としてあり、その他の構成及び作用は実施の形態1及び実施の形態3と同様であるので対応する部分には同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】実施の形態1に係るオリフィス装置の構造例を示す模式的断面図である。
【図2】実施の形態1に係るオリフィス板の例を示す模式的平面図及び模式的断面図である。
【図3】実施の形態1に係るオリフィス板の他の例を示す模式的平面図及び模式的断面図である。
【図4】実施の形態1に係るオリフィス板の他の例を示す模式的平面図である。
【図5】実施の形態1に係る電圧印加時のオリフィス板の例を示す模式的平面図である。
【図6】実施の形態2に係るオリフィス装置の構造例を示す模式的断面図である。
【図7】実施の形態2に係るオリフィス板の例を示す模式的平面図及び模式的断面図である。
【図8】実施の形態3に係る流量制御装置の内部構成を示すブロック図である。
【図9】実施の形態3に係る流量調整部の内部構成を示すブロック図である。
【図10】実施の形態3に係る流量制御処理の手順を示すフローチャートである。
【図11】実施の形態4に係る流量制御装置の内部構成を示すブロック図である。
【図12】実施の形態4に係る流量制御処理の手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0048】
1,101,201,3 オリフィス板
2,4 オリフィス装置
5 流量調整部
6,8 制御装置
10,110,30a,30b 圧電体
11,12,111,112,211,31,32 電極
13,113,213 孔部
14,114,214,34 切欠部
15,115,215,35 流路部
21,41 上流側管部
22,42 下流側管部
23,24,43,44,45,46 Oリング
33 中間電極
50 供給口
51 保護メッシュ
52 1次圧調整弁
53 1次圧検出部
54 温度検出部
55 排出口
60 CPU
60a バス
61 ROM
62 RAM
63,83 記憶部
64 流量受付部
65 1次圧受付部
67 1次圧測定部
68 1次圧補正部
69 温度測定部
70 1次圧制御部
71 電源部
81 2次圧受付部
210,221,411,421 フランジ部
631 電圧対応表
831 1次圧対応表
V,V1,V2,V3 電圧端子
T 温度測定端子
Ps 1次圧設定端子
Pm 1次圧測定端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
面内方向に伸縮する板状の圧電素子からなり、
その略中央に配された孔部及び該孔部の周縁から放射状に延びる複数の切欠部からなる流路部
を備えることを特徴とするオリフィス板。
【請求項2】
前記複数の切欠部夫々は、外周縁へ向けて幅が狭まっていることを特徴とする請求項1に記載のオリフィス板。
【請求項3】
前記圧電素子は、
回転対称形状であり、
前記複数の切欠部夫々は、
略二等辺三角形状であり、
前記圧電素子の回転対称軸を中心とする円周上に頂点を等配してある
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のオリフィス板。
【請求項4】
略中央から放射状に延びる複数の切欠部からなる流路部
を備え、
外周縁を基端として法線方向に屈曲する板状の圧電素子からなる
ことを特徴とするオリフィス板。
【請求項5】
請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載のオリフィス板を備え、オリフィス板下流側の流量を制御する流量制御装置であって、
前記圧電素子に電圧を印加する可変電圧電源
を備えることを特徴とする流量制御装置。
【請求項6】
オリフィス板上流側の圧力を所定値に制御する圧力制御手段を備えることを特徴とする請求項5に記載の流量制御装置。
【請求項7】
請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載のオリフィス板と、前記オリフィス板上流側の圧力を調整する圧力調整手段とを備え、前記圧力を調整して前記オリフィス板下流側の流量を制御する流量制御装置であって、
圧力及び電圧の対応関係を記憶してある記憶手段と、
前記記憶手段に記憶してある前記対応関係に基づいて前記圧力調整手段が調整する圧力に対応する電圧を決定する電圧決定手段と、
前記圧電素子に前記電圧決定手段が決定した電圧を印加する電源と
を備えることを特徴とする流量制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−86034(P2010−86034A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−251153(P2008−251153)
【出願日】平成20年9月29日(2008.9.29)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】