説明

オルガノアミノシラン化合物の製造方法

【解決課題】Si−OR結合を全く含まないオルガノアミノシラン化合物を安価且つ安全に、高収率で得ることができるオルガノアミノシラン化合物の新規な製造方法を提供すること。
【解決手段】 下記一般式(1):RSiOROR(1)で表されるオルガノジアルコキシシラン化合物と、下記一般式(2): RNH(2)で表されるオルガノアミン化合物と、下記一般式(3):RMgX(3)で表されるアルキルマグネシウム化合物と、を反応させて、下記一般式(4):RSi(NR(4)で表わされるオルガノアミノシラン化合物を得ることを特徴とするオルガノアミノシラン化合物の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、Si−OR結合を全く含まないオルガノアミノシラン化合物の新規な製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プロピレンなどのオレフィン類の重合においては、マグネシウム、チタン、電子供与性化合物及びハロゲンを必須成分として含有する固体触媒成分が知られている。また該固体触媒成分、有機アルミニウム化合物及び有機ケイ素化合物からなるオレフィン類重合用触媒の存在下に、オレフィン類を重合又は共重合させる方法が数多く提案されている。例えば、有機ケイ素化合物として、特許文献1(WO2006/129773号公報)には、ポリマーの立体規則性及び収率を高度に維持でき、且つ水素の少量添加で高メルトフローレートのものを得る効果、いわゆる水素レスポンスの良好なオレフィン類の重合用触媒成分に適した、下記式:
Si(NHR
(式中、Rは炭素数3〜5の直鎖又は分岐状アルキル基又はシクロペンチル基で、同一または異なってもよく、Rはメチル基又はエチル基である。)で表されるオルガノアミノシラン化合物が知られている。
【0003】
このようなSi−OR結合を全く含まないオルガノアミノシラン化合物の製造方法としては、例えば、特許文献1の実施例1には、アルキルアミン化合物を、有機リチウムと反応させ、アルキルアミン化合物のリチウム塩スラリーを調製し、次いで、ジアルキルジアルコキシシラン溶液に、上記のアルキルアミンのリチウム塩スラリーを添加して、反応させ、反応終了後、ろ過、洗浄、固液分離後、精製して、オルガノアミノシラン化合物を得る方法が開示されている(以下、第一の従来方法とも記載する。)。また、特許文献2(特表平07−502565号公報)の実施例1には、アルキルアミン化合物と、ジクロロジアルキルシラン化合物とを反応させて、オルガノアミノシラン化合物を得る方法が開示されている(以下、第二の従来方法とも記載する。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】WO2006/129773号
【特許文献2】特表平07−502565
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、第一の従来方法では、有機リチウム化合物を用いるため、冷却による反応制御が必要であるが、この反応制御が難しく、反応制御が不十分であると収率が低くなるという問題があり、さらに経済性や、安全性の点でも問題があった。また、第二の従来方法では、得られるRSi(NHRの収率が約50%と低いことや、副生成物である塩化物の除去がし難く、このような塩化物の存在により、生成物であるオルガノアミノシラン化合物が分解するなどの問題があった。
【0006】
従って、本発明の目的は、Si−OR結合を全く含まないオルガノアミノシラン化合物を、安価且つ安全に、高収率で得ることができるオルガノアミノシラン化合物の新規な製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる実情において、本発明者は、鋭意検討を重ねた結果、出発原料として、オルガノジアルコキシシラン化合物と、オルガノアミン化合物と、アルキルマグネシウム化合物を用いることで、生成するオルガノアミノシラン化合物を分解させることなく、高収率で得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、下記一般式(1):
SiOROR (1)
(Rは、直鎖の有機基、分岐鎖を有する有機基又は環状の有機基であり、且つ炭素数が3〜12の有機基である。R、R及びRは、炭素数が1〜20の有機基である。)
で表されるオルガノジアルコキシシラン化合物と、下記一般式(2):
NH (2)
(R及びRは、水素原子、−C2n+1で表わされるアルキル基又は−C2mで表されるシクロアルキル基である。nは、1〜12の整数であり、mは、3〜12の整数である。但し、R及びRのいずれか一方又は両方が、−C2n+1で表わされるアルキル基又は−C2mで表されるシクロアルキル基である。)
で表されるオルガノアミン化合物と、下記一般式(3):
MgX (3)
(Rは、−C2p+1で表わされるアルキル基である。pは、1〜12の整数である。Xは、周期表において第17族に属する元素である。)
で表されるアルキルマグネシウム化合物と、を反応させて、下記一般式(4):
Si(NR (4)
(Rは、直鎖の有機基、分岐鎖を有する有機基又は環状の有機基であり、且つ炭素数が3〜12の有機基である。Rは、炭素数が1〜20の有機基である。R及びRは、水素原子、−C2n+1で表わされるアルキル基又は−C2mで表されるシクロアルキル基である。nは、1〜12の整数であり、mは、3〜12の整数である。但し、R及びRのいずれか一方又は両方が、−C2n+1で表わされるアルキル基又は−C2mで表されるシクロアルキル基である。)
で表わされるオルガノアミノシラン化合物を得ることを特徴とするオルガノアミノシラン化合物の製造方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、Si−OR結合を全く含まないオルガノアミノシラン化合物を、安価且つ安全に、高収率で得ることができるオルガノアミノシラン化合物の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施例1の13C−NMRスペクトルチャートである。
【図2】実施例2の13C−NMRスペクトルチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明のオルガノアミノシラン化合物の製造方法は、下記一般式(1):
SiOROR (1)
(Rは、直鎖の有機基、分岐鎖を有する有機基又は環状の有機基であり、且つ炭素数が3〜12の有機基である。R、R及びRは、炭素数が1〜20の有機基である。)
で表されるオルガノジアルコキシシラン化合物と、下記一般式(2):
NH (2)
(R及びRは、水素原子、−C2n+1で表わされるアルキル基又は−C2mで表されるシクロアルキル基である。nは、1〜12の整数であり、mは、3〜12の整数である。但し、R及びRのいずれか一方又は両方が、−C2n+1で表わされるアルキル基又は−C2mで表されるシクロアルキル基である。)
で表されるオルガノアミン化合物と、下記一般式(3):
MgX (3)
(Rは、−C2p+1で表わされるアルキル基、又は−C2qで表されるシクロアルキル基である。pは、1〜12の整数であり、qは、3〜12の整数である。Xは、周期表において第17族に属する元素である。)
で表されるアルキルマグネシウム化合物と、を反応させて、下記一般式(4):
Si(NR (4)
(Rは、直鎖の有機基、分岐鎖を有する有機基又は環状の有機基であり、且つ炭素数が3〜12の有機基である。Rは、炭素数が1〜20の有機基である。R及びRは、水素原子、−C2n+1で表わされるアルキル基又は−C2mで表されるシクロアルキル基である。nは、1〜12の整数であり、mは、3〜12の整数である。但し、R及びRのいずれか一方又は両方が、−C2n+1で表わされるアルキル基又は−C2mで表されるシクロアルキル基である。)
で表わされるオルガノアミノシラン化合物を得ることを特徴とするオルガノアミノシラン化合物の製造方法である。
【0012】
本発明のオルガノアミノシラン化合物の製造方法では、以下の反応式に示すように、前記一般式(1)で表わされるオルガノジアルコキシシラン化合物と、前記一般式(2)で表わされるオルガノアミン化合物と、前記一般式(3)で表されるアルキルマグネシウム化合物と、を反応させて、前記一般式(4)で表わされるオルガノアミノシラン化合物を得る。
SiOROR + 2RNH + 2RMgX → RSi(NR+ MgORX+ MgORX + 2R
【0013】
前記一般式(1)中のR及び前記一般式(4)中のRは、1価の有機基である。Rに係る有機基は、直鎖の有機基、分岐鎖を有する有機基又は環状の有機基である。Rに係る有機基の炭素数は、3〜12である。Rに係る有機基としては、直鎖のアルキル基、2級のアルキル基、3級のアルキル基などの分岐鎖を有するアルキル基、シクロアルキル基、フェニル基等の炭化水素基;窒素原子、酸素原子、ケイ素原子、硫黄原子及びリン原子のうちの1つ又は同種若しくは異種の原子を2以上有する有機基が挙げられる。このようなRに係る窒素原子、酸素原子、ケイ素原子、硫黄原子及びリン原子のうちの1つ又は同種若しくは異種の原子を2以上有する有機基とは、例えば、−CH−O−CH、−CH−N(−CHや−CH(CH)−CH−O−CH、−CH(CH)−CH−N(−CHのように、有機基の炭素原子鎖中に、窒素原子、酸素原子、ケイ素原子、硫黄原子又はリン原子を有する基であり、炭化水素基の一部の炭素原子を、窒素原子、酸素原子、ケイ素原子、硫黄原子又はリン原子で置き換えた構造の基である。なお、Rが、窒素原子、酸素原子、ケイ素原子、硫黄原子及びリン原子のうちの1つ又は同種若しくは異種の原子を2以上有する有機基の場合、有機基の炭素数とは、炭素原子の数に、これらの窒素原子、酸素原子、ケイ素原子、硫黄原子及びリン原子を加えた数である。例えば、−CH−O−CHの場合は、有機基の炭素数は3、−CH(CH)−CH−N(−CHの場合は、有機基の炭素数は6であるものとする。
【0014】
が、炭化水素基の場合、前記一般式(1)及び前記一般式(4)中のSi原子と結合するRの部位は、炭素原子であるので、前記一般式(1)で表されるオルガノジアルコキシシラン化合物及び前記一般式(4)で表されるオルガノアミノシラン化合物では、Rの炭素原子と式中のSi原子とが結合している。
【0015】
が、窒素原子又はリン原子を有する有機基の場合、Rは、前記一般式(1)及び前記一般式(4)中のSi原子と結合する部位が炭素原子である有機基、例えば、−CH−N(−CHや−CH(CH)−CH−N(−CHのような有機基であっても、あるいは、前記一般式(1)及び前記一般式(4)中のSi原子と結合する部位が窒素原子又はリン原子である有機基、例えば、−NH−CH(CHのような有機基であってもよい。そのため、Rが、窒素原子又はリン原子を有する有機基の場合、前記一般式(1)で表されるオルガノジアルコキシシラン化合物及び前記一般式(4)で表されるオルガノアミノシラン化合物には、Rの炭素原子と式中のSi原子とが結合している化合物と、Rの窒素原子又はリン原子と式中のSi原子とが結合している化合物とがある。
【0016】
が、酸素原子を有する有機基の場合、Rの酸素原子は、前記一般式(1)及び前記一般式(4)中のSi原子とは結合しておらず、Rは、前記一般式(1)及び前記一般式(4)中のSi原子と結合する部位が炭素原子である有機基、例えば、−CH−O−CHや−CH(CH)−CH−O−CHのような有機基である。そのため、Rが、酸素原子を有する有機基の場合、前記一般式(1)で表されるオルガノジアルコキシシラン化合物及び前記一般式(4)で表されるオルガノアミノシラン化合物は、Rの炭素原子と式中のSi原子とが結合している化合物である。
【0017】
が、ケイ素原子又は硫黄原子を有する有機基の場合、Rは、前記一般式(1)及び前記一般式(4)中のSi原子と結合する部位が炭素原子である有機基が好ましい。
【0018】
前記一般式(1)中のR及び前記一般式(4)中のRは、1価の有機基である。Rに係る有機基は、直鎖の有機基、分岐鎖を有する有機基又は環状の有機基である。Rに係る有機基の炭素数は、1〜20である。Rに係る有機基としては、直鎖のアルキル基、分岐鎖を有するアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アルキルアリール基等の炭化水素基;ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アリール基等のハロゲン化炭化水素基;窒素原子、酸素原子、ケイ素原子、硫黄原子及びリン原子のうちの1つ又は同種若しくは異種の原子を2以上有する有機基が挙げられる。このようなRに係る窒素原子、酸素原子、ケイ素原子、硫黄原子及びリン原子のうちの1つ又は同種若しくは異種の原子を2以上有する有機基とは、例えば、−CH(CH)−CH−O−CH、−CH(CH)−CH−N(−CHのように、有機基の炭素原子鎖中に、窒素原子、酸素原子、ケイ素原子、硫黄原子又はリン原子を有する基であり、炭化水素基の一部の炭素原子を、窒素原子、酸素原子、ケイ素原子、硫黄原子又はリン原子で置き換えた構造の基である。なお、Rが、窒素原子、酸素原子、ケイ素原子、硫黄原子及びリン原子のうちの1つ又は同種若しくは異種の原子を2以上有する有機基の場合、Rと同様に、有機基の炭素数とは、炭素原子の数に、これらの窒素原子、酸素原子、ケイ素原子、硫黄原子及びリン原子を加えた数である。
【0019】
が、炭化水素基又はハロゲン化炭化水素基の場合、前記一般式(1)及び前記一般式(4)中のSi原子と結合するRの部位は、炭素原子であるので、前記一般式(1)で表されるオルガノジアルコキシシラン化合物及び前記一般式(4)で表されるオルガノアミノシラン化合物では、Rの炭素原子と式中のSi原子とが結合している。
【0020】
が、窒素原子又はリン原子を有する有機基の場合、Rは、前記一般式(1)及び前記一般式(4)中のSi原子と結合する部位が炭素原子である有機基、例えば、−CH−N(−CHや−CH(CH)−CH−N(−CHのような有機基であっても、あるいは、前記一般式(1)及び前記一般式(4)中のSi原子と結合する部位が窒素原子又はリン原子である有機基、例えば、−NH−CH(CHのような有機基であってもよい。そのため、Rが、窒素原子又はリン原子を有する有機基の場合、前記一般式(1)で表されるオルガノジアルコキシシラン化合物及び前記一般式(4)で表されるオルガノアミノシラン化合物には、Rの炭素原子と式中のSi原子とが結合している化合物と、Rの窒素原子又はリン原子と式中のSi原子とが結合している化合物とがある。
【0021】
が、酸素原子を有する有機基の場合、Rの酸素原子は、前記一般式(1)及び前記一般式(4)中のSi原子とは結合しておらず、Rは、前記一般式(1)及び前記一般式(4)中のSi原子と結合する部位が炭素原子である有機基、例えば、−CH−O−CHや−CH(CH)−CH−O−CHのような有機基である。そのため、Rが、酸素原子を有する有機基の場合、前記一般式(1)で表されるオルガノジアルコキシシラン化合物及び前記一般式(4)で表されるオルガノアミノシラン化合物は、Rの炭素原子と式中のSi原子とが結合している化合物である。
【0022】
が、ケイ素原子又は硫黄原子を有する有機基の場合、Rは、前記一般式(1)及び前記一般式(4)中のSi原子と結合する部位が炭素原子である有機基が好ましい。
【0023】
前記一般式(1)中のRとRは、1価の有機基である。R及びRに係る有機基は、直鎖の有機基、分岐鎖を有する有機基又は環状の有機基である。RとRは、互いに結合していても良い。R及びRに係る有機基の炭素数は、1〜20である。R及びRに係る有機基としては、直鎖のアルキル基、分岐鎖を有するアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アルキルアリール基等の炭化水素基;ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アリール基等のハロゲン化炭化水素基;窒素原子、酸素原子、ケイ素原子、硫黄原子及びリン原子のうちの1つ又は同種若しくは異種の原子を2以上有する有機基が挙げられる。このようなR及びRに係る窒素原子、酸素原子、ケイ素原子、硫黄原子及びリン原子のうちの1つ又は同種若しくは異種の原子を2以上有する有機基とは、例えば、−CH(CH)−CH−O−CH、−CH(CH)−CH−N(−CHのように、有機基の炭素原子鎖中に、窒素原子、酸素原子、ケイ素原子、硫黄原子又はリン原子を有する基であり、炭化水素基の一部の炭素原子を、窒素原子、酸素原子、ケイ素原子、硫黄原子又はリン原子で置き換えた構造の基である。なお、R及びRが、窒素原子、酸素原子、ケイ素原子、硫黄原子及びリン原子のうちの1つ又は同種若しくは異種の原子を2以上有する有機基の場合、Rと同様に、有機基の炭素数とは、炭素原子の数に、これらの窒素原子、酸素原子、ケイ素原子、硫黄原子及びリン原子を加えた数である。
【0024】
又はRが、炭化水素基又はハロゲン化炭化水素基の場合、前記一般式(1)及び前記一般式(4)中のSi原子と結合するR又はRの部位は、炭素原子であるので、前記一般式(1)で表されるオルガノジアルコキシシラン化合物及び前記一般式(4)で表されるオルガノアミノシラン化合物では、R又はRの炭素原子と式中のSi原子とが結合している。
【0025】
又はRが、窒素原子又はリン原子を有する有機基の場合、R又はRは、前記一般式(1)及び前記一般式(4)中のSi原子と結合する部位が炭素原子である有機基、例えば、−CH−N(−CHや−CH(CH)−CH−N(−CHのような有機基であっても、あるいは、前記一般式(1)及び前記一般式(4)中のSi原子と結合する部位が窒素原子又はリン原子である有機基、例えば、−NH−CH(CHのような有機基であってもよい。そのため、R又はRが、窒素原子又はリン原子を有する有機基の場合、前記一般式(1)で表されるオルガノジアルコキシシラン化合物及び前記一般式(4)で表されるオルガノアミノシラン化合物には、R又はRの炭素原子と式中のSi原子とが結合している化合物と、R又はRの窒素原子又はリン原子と式中のSi原子とが結合している化合物とがある。
【0026】
又はRが、酸素原子を有する有機基の場合、R又はRの酸素原子は、前記一般式(1)及び前記一般式(4)中のSi原子とは結合しておらず、R又はRは、前記一般式(1)及び前記一般式(4)中のSi原子と結合する部位が炭素原子である有機基、例えば、−CH−O−CHや−CH(CH)−CH−O−CHのような有機基である。そのため、R又はRが、酸素原子を有する有機基の場合、前記一般式(1)で表されるオルガノジアルコキシシラン化合物及び前記一般式(4)で表されるオルガノアミノシラン化合物は、R又はRの炭素原子と式中のSi原子とが結合している化合物である。
【0027】
又はRが、ケイ素原子又は硫黄原子を有する有機基の場合、R又はRは、前記一般式(1)及び前記一般式(4)中のSi原子と結合する部位が炭素原子である有機基が好ましい。
【0028】
前記一般式(1)中、R、R及びRは、同一であっても良いし、異なっていても良い。従って、−OR及び−ORとしては、具体的には、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基などが挙げられる。前記一般式(1)で表わされるオルガノジアルコキシシラン化合物としては、Rがメチル基(−CH)であり、R及びRがメチル基(−CH)又はエチル基(−C)であるオルガノジアルコキシシラン化合物が、取り扱いが容易な点で好ましい。
【0029】
前記一般式(2)中のR及びR並びに前記一般式(4)中のR及びRは、水素原子、−C2n+1で表わされるアルキル基又は−C2mで表されるシクロアルキル基である。nは、1〜12の整数であり、mは、3〜12の整数である。Rに係る−C2n+1で表わされるアルキル基は、直鎖のアルキル基であっても、分岐鎖を有するアルキル基であってもよい。Rに係る−C2mで表わされるシクロアルキル基は、アルキル基を有してもよい。但し、R及びRのいずれか一方又は両方が、−C2n+1で表わされるアルキル基又は−C2mで表されるシクロアルキル基である。つまり、前記一般式(2)で表わされるオルガノアミン化合物及び前記一般式(4)で表わされるオルガノアミノシラン化合物からは、R及びRの両方が水素原子であるものは除かれる。R及びRは、同一であってもよいし、異なっていてもよい。前記一般式(2)で表わされるオルガノアミン化合物のうち、Rがエチル基であり、Rが水素原子であるオルガノアミン化合物が好ましい。なお、前記一般式(4)で表わされるオルガノアミノシラン化合物は、前記一般式(4)中の窒素原子とケイ素原子とが直接結合した化合物である。
【0030】
前記一般式(3)中、Xは、周期表において第17族に属する元素、好ましくは塩素原子又は臭素原子である。また、前記一般式(3)中、Rは、−C2p+1で表わされるアルキル基、又は−C2qで表されるシクロアルキル基である。−C2p+1で表わされるアルキル基は直鎖のアルキル基でも、分岐鎖を有するアルキル基でもよい。−C2qで表されるシクロアルキル基は、アルキル基を有してもよい。pは、1〜12の整数であり、好ましくは2〜6の整数である。qは、3〜12の整数である。
【0031】
前記一般式(1)で表されるオルガノジアルコキシシラン化合物としては、具体的には、例えば、ジイソプロピルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、メチルイソプロピルジメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン、メチルイソプロピルジエトキシシラン、メチルフェニルジエトキシシラン、イソブチルメチルジメトキシシラン、sec−ブチルメチルジメトキシシラン、t−ブチルメチルジメトキシシラン、メチルネオペンチルジメトキシシラン、メチル−t−ペンチルジメトキシシラン、メチルテキシルジメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、(4−t−ブチルシクロヘキシル)メチルジメトキシシラン、アリルメチルジメトキシシラン、(4−クロロフェニル)メチルジメトキシシラン、メチル−4−メトキシフェニルジメトキシシラン、メチル−2−チエニルジメトキシシラン、メチル(トリメチルシリルメチル)ジメトキシシラン、(4−ピリジニル)メチルジメトキシシラン、(ジメチルホスフィノ)メチルジメトキシシラン、(ジメチルアミノメチル)メチルジメトキシシラン、エチルプロピルジメトキシシラン、エチルイソプロピルジメトキシシラン、エチルブチルジメトキシシラン、エチルイソブチルジメトキシシラン、エチル−sec−ブチルジメトキシシラン、エチル−t−ブチルジメトキシシラン、エチルペンチルジメトキシシラン、エチルイソペンチルジメトキシシラン、エチルネオペンチルジメトキシシラン、エチル−t−ペンチルジメトキシシラン、エチルヘキシルジメトキシシラン、エチルシクロペンチルジメトキシシラン、エチルシクロヘキシルジメトキシシラン、フェニルエチルジメトキシシラン、イソプロピルプロピルジメトキシシラン、イソブチルプロピルジメトキシシラン、sec−ブチルプロピルジメトキシシラン、t−ブチルプロピルジメトキシシラン、イソペンチルプロピルジメトキシシラン、ネオペンチルプロピルジメトキシシラン、シクロペンチルプロピルジメトキシシラン、シクロヘキシルプロピルジメトキシシラン、
イソプロピル−sec−ブチルジメトキシシラン、イソプロピルペンチルジメトキシシラン、イソプロピルヘキシルジメトキシシラン、イソプロピルデシルジメトキシシラン、イソプロピルシクロペンチルジメトキシシラン、イソプロピルシクロヘキシルジメトキシシラン、イソプロピルビニルジメトキシシラン、ブチルイソブチルジメトキシシラン、ブチル−sec−ブチルジメトキシシラン、プロピルペンチルジメトキシシラン、ブチルヘキシルジメトキシシラン、ブチルシクロペンチルジメトキシシラン、ブチルシクロヘキシルジメトキシシラン、ブチルイソブチルジメトキシシラン、ジイソブチルジメトキシシラン、sec−ブチルイソブチルジメトキシシラン、イソブチルペンチルジメトキシシラン、イソブチルネオペンチルジメトキシシラン、シクロペンチルイソブチルジメトキシシラン、シクロヘキシルイソブチルジメトキシシラン、ヘキシルイソブチルジメトキシシラン、ジ−sec−ブチルジメトキシシラン、ジペンチルジメトキシシラン、ジネオペンチルジメトキシシラン、ジヘキシルジメトキシシラン、ジシクロペンチルジメトキシシラン、ジシクロヘキシルジメトキシシラン、シクロヘキシルシクロペンチルジメトキシシラン、
イソブチルメチルジエトキシシラン、sec−ブチルメチルジエトキシシラン、t−ブチルメチルジエトキシシラン、メチルネオペンチルジエトキシシラン、メチル−t−ペンチルジエトキシシラン、メチルテキシルジエトキシシラン、エチルプロピルジエトキシシラン、エチルイソプロピルジエトキシシラン、エチルブチルジエトキシシラン、エチルイソブチルジエトキシシラン、エチル−sec−ブチルジエトキシシラン、エチル−t−ブチルジエトキシシラン、エチルイソペンチルジエトキシシラン、エチルネオペンチルジエトキシシラン、エチル−t−ペンチルジエトキシシラン、エチルシクロペンチルジエトキシシラン、エチルシクロヘキシルジエトキシシラン、フェニルエチルジメトキシシラン、イソプロピルプロピルジエトキシシラン、イソブチルプロピルジエトキシシラン、sec−ブチルプロピルジエトキシシラン、t−ブチルプロピルジエトキシシラン、イソペンチルプロピルジエトキシシラン、ネオペンチルプロピルジエトキシシラン、シクロペンチルプロピルジエトキシシラン、シクロヘキシルプロピルジエトキシシラン、ジイソプロピルジエトキシシラン、イソプロピルブチルジエトキシシラン、イソプロピルイソブチルジエトキシシラン、イソプロピル−sec−ブチルジエトキシシラン、イソプロピルペンチルジエトキシシラン、イソプロピルヘキシルジエトキシシラン、イソプロピルシクロペンチルジエトキシシラン、イソプロピルシクロヘキシルジエトキシシラン、イソプロピルビニルジエトキシシラン、ブチルイソブチルジエトキシシラン、ブチル−sec−ブチルジエトキシシラン、ブチルシクロペンチルジエトキシシラン、ブチルシクロヘキシルジエトキシシラン、ブチルイソブチルジエトキシシラン、ジイソブチルジエトキシシラン、sec−ブチルイソブチルジエトキシシラン、イソブチルペンチルジエトキシシラン、イソブチルネオペンチルジエトキシシラン、シクロペンチルイソブチルジエトキシシラン、
シクロヘキシルイソブチルジエトキシシラン、ヘキシルイソブチルジエトキシシラン、ジ−sec−ブチルジエトキシシラン、ジペンチルジエトキシシラン、ジネオペンチルジエトキシシラン、ジヘキシルジエトキシシラン、ジシクロペンチルジエトキシシラン、ジシクロヘキシルジエトキシシラン、シクロヘキシルシクロペンチルジエトキシシラン、ビス(トリメチルシリルメチル)ジエトキシシラン、4−メトキシフェニルビニルジエトキシシラン、メチル−4−メトキシフェニルジエトキシシラン、メチル−2−チエニルジエトキシシラン、メチル(トリメチルシリルメチル)ジエトキシシラン、(4−ピリジニル)メチルジエトキシシラン、(ジメチルホスフィノ)メチルジエトキシシラン、(ジメチルアミノメチル)メチルジエトキシシラン、
等が挙げられ、特にt-ブチルメチルジメトキシシラン、ジシクロペンチルジメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、ジイソプロピルジメトキシシラン、t-ブチルエチルジメトキシシランなどのジアルキルジアルコキシシランが好ましく用いられる。前記一般式(1)で表わされるオルガノジアルコキシシラン化合物の製造方法としては、公知の製造方法が挙げられ、例えば、特開平6−345781、特開平7−10888、特開平8−157482、特開平9−12584、特開平9−157277などに記載されている製造方法が挙げられる。
【0032】
前記一般式(2)で表されるオルガノアミン化合物として、具体的には、例えば、メチルアミン、エチルアミン、n−プロピルアミン、イソプロピルアミン、n−ブチルアミン、sec−ブチルアミン、t−ブチルアミン、シクロペンチルアミン、シクロヘキシルアミン、などのアルキルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、ジ−イソプロピルアミン、ジ−sec−ブチルアミン、ジ−t−ブチルアミン、ジシクロペンチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、などのジアルキルアミン等が挙げられ、特にメチルアミン、エチルアミン、n−プロピルアミン、イソプロピルアミンなどのアルキルアミンが好ましく用いられる。
【0033】
前記一般式(3)で表わされるアルキルマグネシウム化合物としては、具体的には、ハロゲン化アルキルマグネシウム化合物が挙げられ、例えば、メチルマグネシウムクロライド、エチルマグネシウムクロライド、n−プロピルマグネシウムクロライド、イソプロピルマグネシウムクロライド、n−ブチルマグネシウムクロライド、イソブチルマグネシウムクロライド、t−ブチルマグネシウムクロライド、n−ペンチルマグネシウムクロライド、イソペンチルマグネシウムクロライド、n−ヘキシルマグネシウムクロライド、イソヘキシルマグネシウムクロライド、n−ヘプチルマグネシウムクロライド、イソヘプチルマグネシウムクロライド、n−オクチルマグネシウムクロライド、イソオクチルマグネシウムクロライドなどの塩化アルキルマグネシウム化合物、
メチルマグネシウムアイオダイド、エチルマグネシウムアイオダイド、n−プロピルマグネシウムアイオダイド、イソプロピルマグネシウアイオダド、n−ブチルマグネシウムアイオダイド、イソブチルマグネシウムアイオダイド、t−ブチルマグネシウムアイオダド、n−ペンチルマグネシウムアイオダイド、イソペンチルマグネシウムアイオダイド、n−ヘキシルマグネシウムアイオダイド、イソヘキシルマグネシウムアイオダイド、n−ヘプチルマグネシウムアイオダイド、イソヘプチルマグネシウムアイオダイド、n−オクチルマグネシウムアイオダイド、イソオクチルマグネシウムアイオダイドなどヨウ化アルキルマグネシウム化合物、
メチルマグネシウムブロマイド、エチルマグネシウムブロマイド、n−プロピルマグネシウムブロマイド、イソプロピルマグネシウムブロマイド、n−ブチルマグネシウムブロマイド、イソブチルマグネシウムブロマイド、t−ブチルマグネシウムブロマイド、n−ペンチルマグネシウムブロマイド、イソペンチルマグネシウムブロマイド、n−ヘキシルマグネシウムブロマイド、イソヘキシルマグネシウムブロマイド、n−ヘプチルマグネシウムブロマイド、イソヘプチルマグネシウムブロマイド、n−オクチルマグネシウムブロマイド、イソオクチルマグネシウムブロマイドなどの臭化アルキルマグネシウム化合物、等が挙げられ、特にブチルマグネシウムクロライド等の臭化アルキルマグネシウムが好適に用いられる。
【0034】
前記一般式(4)で表わされるオルガノアミノシラン化合物は、アルコキシ基(−OR)とケイ素原子との結合(Si−OR結合)を全く有さないオルガノアミノシラン化合物である。前記一般式(4)で表わされるオルガノアミノシラン化合物としては、具体的には、例えば、ビス(パーヒドロイソキノリノ)(アルキルアミノ)アルキルシラン、ビス(パーヒドロキノリノ)(アルキルアミノ)アルキルシラン、ジ(アルキルアミノ)ジシクロペンチルシラン、ジ(アルキルアミノ)ジイソプロピルシラン、ジ(アルキルアミノ)ジt−ブチルシラン、ジ(アルキルアミノ)t−ブチルエチルシラン、ジ(アルキルアミノ)t−ブチルメチルシラン、ジ(アルキルアミノ)ジシクロヘキシルシラン、ジ(アルキルアミノ)シクロヘキシルメチルシラン、ジ(アルキルアミノ)ジ(デカヒドロナフチル)シラン、ジ(アルキルアミノ)シクロペンチルシクロヘキシルシラン、ジ(アルキルアミノ)シクロヘキシルテキシルシラン、テトラキス(メチルアミノ)シラン、トリス(アルキルアミノ)アルキルシラン、トリス(アルキルアミノ)シクロアルキルシラン、ジ(パーヒドロイソキノリノ)(アルキルアミノ)アルキルシラン、ジ(ジアルキルアミノ)ジ(アルキルアミノ)シラン、ジアルキルアミノ(アルキルアミノ)シラン、ビス(パーヒドロイソキノリノ)ビス(アルキルアミノ)シラン、ビス(アルキルアミノ)アルキルアミノシラン、ビス(アルキルアミノ)アルキルシリルシラン、ビス(アルキルアミノ)チオアルキルシラン、ビス(アルキルアミノ)アルキルホスフィノシラン、
が挙げられる。
【0035】
また、前記一般式(4)で表わされるオルガノアミノシラン化合物としては、更に具体的には、ビス(メチルアミノ)(メチルイソプロピルアミノ)メチルシラン、ビス(メチルアミノ)(エチルイソブチルアミノ)メチルシラン、ビス(メチルアミノ)(エチルsec−ブチルアミノ)メチルシラン、ビス(メチルアミノ)(エチルt−ブチルアミノ)メチルシラン、ビス(メチルアミノ)(メチルシクロペンチルアミノ)メチルシラン、ビス(メチルアミノ)(エチルシクロペンチルアミノ)メチルシラン、ビス(メチルアミノ)(メチルシクロヘキシルアミノ)メチルシラン、ビス(メチルアミノ)(エチルシクロヘキシルアミノ)メチルシラン、ビス(メチルアミノ)(メチルイソプロピルアミノ)エチルシラン、ビス(メチルアミノ)(エチルイソブチルアミノ)エチルシラン、ビス(メチルアミノ)(エチルsec−ブチルアミノ)エチルシラン、ビス(メチルアミノ)(エチルt−ブチルアミノ)エチルシラン、ビス(メチルアミノ)(メチルシクロペンチルアミノ)エチルシラン、ビス(メチルアミノ)(エチルシクロペンチルアミノ)エチルシラン、ビス(メチルアミノ)(メチルシクロヘキシルアミノ)エチルシラン、ビス(メチルアミノ)(エチルシクロヘキシルアミノ)エチルシラン、ビス(メチルアミノ)(イソブチルアミノ)メチルシラン、ビス(メチルアミノ)(イソブチルアミノ)n−プロピルシラン、ビス(メチルアミノ)(イソブチルアミノ)イソプロピルシラン、ビス(メチルアミノ)(イソブチルアミノ)n−ブチルシラン、ビス(メチルアミノ)(イソブチルアミノ)sec−ブチルシラン、ビス(メチルアミノ)(イソブチルアミノ)イソブチルシラン、ビス(メチルアミノ)(イソブチルアミノ)t−ブチルシラン、ビス(メチルアミノ)(イソブチルアミノ)テキシルシラン、ビス(メチルアミノ)(イソブチルアミノ)シクロペンチルシラン、ビス(メチルアミノ)(イソブチルアミノ)シクロヘキシルシラン、ビス(メチルアミノ)(イソブチルアミノ)パーヒドロナフチルシラン、ビス(メチルアミノ)(イソブチルアミノ)アダマンチルシラン、ビス(メチルアミノ)(t−ブチルアミノ)メチルシラン、ビス(メチルアミノ)(t−ブチルアミノ)エチルシラン、ビス(メチルアミノ)(t−ブチルアミノ)n−プロピルシラン、ビス(メチルアミノ)(t−ブチルアミノ)イソプロピルシラン、ビス(メチルアミノ)(t−ブチルアミノ)n−ブチルシラン、ビス(メチルアミノ)(t−ブチルアミノ)sec−ブチルシラン、ビス(メチルアミノ)(t−ブチルアミノ)イソブチルシラン、
ビス(メチルアミノ)(t−ブチルアミノ)t−ブチルシラン、ビス(メチルアミノ)(t−ブチルアミノ)テキシルシラン、ビス(メチルアミノ)(t−ブチルアミノ)シクロペンチルシラン、ビス(メチルアミノ)(t−ブチルアミノ)シクロヘキシルシラン、ビス(メチルアミノ)(t−ブチルアミノ)パーヒドロナフチルシラン、ビス(メチルアミノ)(t−ブチルアミノ)アダマンチルシラン、ビス(メチルアミノ)ジイソプロピルシラン、ビス(メチルアミノ)ジイソブチルシラン、ビス(メチルアミノ)ジ−sec−ブチルシラン、ビス(メチルアミノ)ジ−t−ブチルシラン、ビス(メチルアミノ)ジネオペンチルシラン、ビス(メチルアミノ)ジシクロペンチルシラン、ビス(メチルアミノ)ジシクロヘキシルシラン、ビス(メチルアミノ)ジ−4−メトキシフェニルシラン、ビス(メチルアミノ)メチル−4−メトキシフェニルシラン、ビス(メチルアミノ)メチル−2−チエニルシラン、ビス(メチルアミノ)メチル(トリメチルシリルメチル)シラン、ビス(メチルアミノ)(4−ピリジニル)メチルシラン、ビス(メチルアミノ)(ジメチルホスフィノ)メチルシラン、ビス(メチルアミノ)(ジメチルアミノメチル)メチルシラン、ビス(メチルアミノ)メチルt−ブチルシラン、ビス(メチルアミノ)メチルフェニルシラン、ビス(メチルアミノ)エチルt−ブチルシラン、ビス(メチルアミノ)sec−ブチルメチルシラン、ビス(メチルアミノ)sec−ブチルエチルシラン、ビス(メチルアミノ)メチルシクロペンチルシラン、ビス(メチルアミノ)エチルシクロペンチルシラン、ビス(メチルアミノ)シクロペンチルシクロヘキシルシラン、ビス(メチルアミノ)メチルシクロヘキシルシラン、ビス(メチルアミノ)ジデカヒドロナフチルシラン、ビス(メチルアミノ)テキシルメチルシラン、ビス(エチルアミノ)ジイソプロピルシラン、ビス(エチルアミノ)ジ−n−ブチルシラン、ビス(エチルアミノ)ジイソブチルシラン、ビス(エチルアミノ)ジ−sec−ブチルシラン、ビス(エチルアミノ)ジ−t−ブチルシラン、ビス(エチルアミノ)ジシクロペンチルシラン、ビス(エチルアミノ)ジシクロヘキシルシラン、ビス(エチルアミノ)ジデカヒドロナフチルシラン、ビス(エチルアミノ)メチルエチルシラン、ビス(エチルアミノ)メチルt−ブチルシラン、ビス(エチルアミノ)メチルフェニルシラン、ビス(エチルアミノ)エチルt−ブチルシラン、ビス(エチルアミノ)sec−ブチルメチルシラン、ビス(エチルアミノ)sec−ブチルエチルシラン、ビス(エチルアミノ)メチルシクロペンチルシラン、ビス(エチルアミノ)シクロペンチルシクロヘキシルシラン、ビス(エチルアミノ)メチルシクロヘキシルシラン、ビス(エチルアミノ)t−ブチルイソブチルシラン、ビス(エチルアミノ)メチル−4−メトキシフェニルシラン、ビス(エチルアミノ)メチル−2−チエニルシラン、ビス(エチルアミノ)メチル(トリメチルシリルメチル)シラン、ビス(エチルアミノ)(4−ピリジニル)メチルシラン、ビス(エチルアミノ)(ジメチルホスフィノ)メチルシラン、ビス(エチルアミノ)(ジメチルアミノメチル)メチルシラン、
ビス(エチルアミノ)シクロヘキシルテキシルシラン、ビス(n−プロピルアミノ)ジイソプロピルシラン、ビス(n−プロピルアミノ)ジ−n−ブチルシラン、ビス(n−プロピルアミノ)ジイソブチルシラン、ビス(n−プロピルアミノ)ジ−sec−ブチルシラン、ビス(n−プロピルアミノ)ジ−t−ブチルシラン、ビス(n−プロピルアミノ)ジネオペンチルシラン、ビス(n−プロピルアミノ)ジシクロペンチルシラン、ビス(n−プロピルアミノ)ジシクロヘキシルシラン、ビス(イソプロピルアミノ)ジメチルシラン、ビス(イソプロピルアミノ)ジエチルシラン、ビス(イソプロピルアミノ)ジビニルシラン、ビス(イソプロピルアミノ)ジ−n−プロピルシラン,ビス(イソプロピルアミノ)ジイソプロピルシラン、ビス(イソプロピルアミノ)ジ−n−ブチルシラン、ビス(イソプロピルアミノ)ジイソブチルシラン、ビス(イソプロピルアミノ)ジ−sec−ブチルシラン、ビス(イソプロピルアミノ)ジ−t−ブチルシラン、ビス(イソプロピルアミノ)ジネオペンチルシラン、ビス(イソプロピルアミノ)ジシクロペンチルシラン、ビス(イソプロピルアミノ)ジシクロヘキシルシラン、ビス(イソプロピルアミノ)ジデカヒドロナフチルシラン、ビス(イソプロピルアミノ)ジテトラヒドロナフチルシラン、ビス(イソプロピルアミノ)ジベンジルシラン、ビス(イソプロピルアミノ)ジフェニルシラン、ビス(イソプロピルアミノ)メチルt−ブチルシラン、ビス(イソプロピルアミノ)エチルt−ブチルシラン、ビス(イソプロピルアミノ)sec−ブチルメチルシラン、ビス(イソプロピルアミノ)sec−ブチルエチルシラン、ビス(イソプロピルアミノ)メチルシクロペンチルシラン、ビス(イソプロピルアミノ)イソプロピルシクロペンチルシラン、ビス(イソプロピルアミノ)イソブチルシクロペンチルシラン、ビス(イソプロピルアミノ)シクロペンチルシクロヘキシルシラン、ビス(イソプロピルアミノ)メチルシクロヘキシルシラン、ビス(メチルアミノ)ビス(イソプロピルアミノ)シラン、ビス(メチルアミノ)ビス(イソブチルアミノ)シラン、ビス(メチルアミノ)ビス(sec−ブチルアミノ)シラン、ビス(メチルアミノ)ビス(t−ブチルアミノ)シラン、ビス(メチルアミノ)ビス(シクロペンチルアミノ)シラン、ビス(メチルアミノ)ビス(シクロヘキシルアミノ)シラン、ビス(メチルアミノ)ビス(パーヒドロイソキノリノ)シラン、
ビス(メチルアミノ)ビス(テトラヒドロイソキノリノ)シラン、ビス(メチルアミノ)ビス(パーヒドロキノリノ)シラン、ビス(メチルアミノ)ビス(ジイソプロピルアミノ)シラン、ビス(メチルアミノ)ビス(ジイソブチルアミノ)シラン、ビス(メチルアミノ)ビス(ジ−sec−ブチルアミノ)シラン、ビス(メチルアミノ)ビス(ジ−t−ブチルアミノ)シラン、ビス(メチルアミノ)ビス(ジシクロペンチルアミノ)シラン、ビス(メチルアミノ)ビス(ジシクロヘキシルアミノ)シラン、ビス(エチルアミノ)ビス(イソプロピルアミノ)シラン、ビス(エチルアミノ)ビス(n−ブチルアミノ)シラン、ビス(エチルアミノ)ビス(イソブチルアミノ)シラン、ビス(エチルアミノ)ビス(sec−ブチルアミノ)シラン、ビス(エチルアミノ)ビス(t−ブチルアミノ)シラン、ビス(エチルアミノ)ビス(シクロペンチルアミノ)シラン、ビス(エチルアミノ)ビス(シクロヘキシルアミノ)シラン、ビス(エチルアミノ)ビス(パーヒドロイソキノリノ)シラン、ビス(エチルアミノ)ビス(パーヒドロキノリノ)シラン、ビス(エチルアミノ)ビス(シクロオクタメチレンイミノ)シラン、ビス(エチルアミノ)ビス(ジエチルアミノ)シラン、ビス(エチルアミノ)ビス(ジ−n−プロピルアミノ)シラン、ビス(エチルアミノ)ビス(ジイソプロピルアミノ)シラン、ビス(エチルアミノ)ビス(ジイソブチルアミノ)シラン、ビス(エチルアミノ)ビス(ジ−sec−ブチルアミノ)シラン、ビス(エチルアミノ)ビス(ジ−t−ブチルアミノ)シラン、ビス(エチルアミノ)ビス(ジシクロペンチルアミノ)シラン、ビス(エチルアミノ)ビス(ジシクロヘキシルアミノ)シラン、ビス(n−プロピルアミノ)ビス(シクロペンチルアミノ)シラン、ビス(n−プロピルアミノ)ビス(シクロヘキシルアミノ)シラン、ビス(n−プロピルアミノ)ビス(パーヒドロイソキノリノ)シラン、ビス(n−プロピルアミノ)ビス(パーヒドロイソキノリノ)シラン、ビス(n−プロピルアミノ)ビス(パーヒドロキノリノ)シラン、ビス(n−プロピルアミノ)ビス(ジエチルアミノ)シラン、ビス(プロピルアミノ)ビス(ジ−n−プロピルアミノ)シラン、ビス(n−プロピルアミノ)ビス(ジイソプロピルアミノ)シラン、ビス(n−プロピルアミノ)ビス(ジ−n−ブチルアミノ)シラン、ビス(n−プロピルアミノ)ビス(ジイソブチルアミノ)シラン、ビス(n−プロピルアミノ)ビス(ジ−sec−ブチルアミノ)シラン、ビス(n−プロピルアミノ)ビス(ジ−t−ブチルアミノ)シラン、ビス(n−プロピルアミノ)ビス(ジシクロペンチルアミノ)シラン、ビス(n−プロピルアミノ)ビス(ジシクロヘキシルアミノ)シラン、
等が挙げられる。
【0036】
本発明のオルガノアミノシラン化合物の製造方法では、前記一般式(1)で表わされるオルガノジアルコキシシラン化合物と前記一般式(2)で表わされるオルガノアミン化合物と前記一般式(3)で表されるアルキルマグネシウム化合物との反応を、有機溶媒中で行う。このような有機溶媒としては、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、t−ブチルメチルエーテル等のエーテル系溶媒;ヘキサン、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶媒等の、前記一般式(1)で表わされるオルガノジアルコキシシラン化合物、前記一般式(2)で表わされるオルガノアミン化合物、前記一般式(3)で表されるアルキルマグネシウム化合物及び前記一般式(4)で表されるオルガノアミノシラン化合物とは反応しない有機溶媒が挙げられ、これらは1種単独であっても2種以上の混合であってもよい。
【0037】
本発明のオルガノアミノシラン化合物の製造方法において、前記一般式(1)で表わされるオルガノジアルコキシシラン化合物に対する前記一般式(2)で表わされるオルガノアミン化合物のモル比(前記一般式(2)/前記一般式(1))は、理論的には2であるが、反応させる化合物の種類により適宜選択され、好ましくは2以上、特に好ましくは2.0〜2.3である。また、本発明のオルガノアミノシラン化合物の製造方法において、前記一般式(3)で表わされるアルキルマグネシウム化合物に対する前記一般式(2)で表わされるオルガノアミン化合物のモル比(前記一般式(2)/前記一般式(3))は、理論的には1であるが、反応させる化合物の種類により適宜選択され、好ましくは1以上、特に好ましくは1.0〜1.2である。
【0038】
前記一般式(1)で表わされるオルガノジアルコキシシラン化合物と前記一般式(2)で表わされるオルガノアミン化合物と前記一般式(3)で表されるアルキルマグネシウム化合物を反応させる際の反応の温度は、−80〜200℃、好ましくは−30〜150℃であり、−10〜100℃の範囲が特に好ましい。反応時間は、通常0.5〜5時間である。また、前記一般式(1)で表わされるオルガノジアルコキシシラン化合物と前記一般式(2)で表わされるオルガノアミン化合物と前記一般式(3)で表されるアルキルマグネシウム化合物を、窒素、アルゴン等の不活性雰囲気下で反応させると、アルキルマグネシウム化合物と酸素との反応が起こらないため、前記一般式(4)で表わされるオルガノアミン化合物の収率が高くなる点で好ましい。
【0039】
前記一般式(1)で表わされるオルガノジアルコキシシラン化合物と前記一般式(2)で表わされるオルガノアミン化合物と前記一般式(3)で表されるアルキルマグネシウム化合物とが反応した後の反応液中には、この反応で生成した、前記一般式(4)で表わされるオルガノアミノシラン化合物が溶解している。また、この反応で生成するMgORX、MgORX等の副生成物は固体であり、反応溶液とは分離する。そして、反応液から、固体の副生成物をろ過等により除去し、次いで、反応液から有機溶媒を留去して、前記一般式(4)で表わされるオルガノアミノシラン化合物を得る。
【0040】
本発明のオルガノアミノシラン化合物の製造方法では、前記一般式(1)で表わされるオルガノジアルコキシシラン化合物と前記一般式(2)で表わされるオルガノアミン化合物と前記一般式(3)で表されるアルキルマグネシウム化合物とを、同時に混合してもよいが、本発明のオルガノアミノシラン化合物の製造方法としては、先に、前記一般式(2)で表わされるオルガノアミン化合物と前記一般式(3)で表されるアルキルマグネシウム化合物とを反応させて、下記一般式(5):
NMgX (5)
(式中、R及びXは、前記と同義である。)
で表されるオルガノアミンのマグネシウム化合物を得、次いで、得られた前記一般式(5)で表されるオルガノアミンのマグネシウム化合物と前記一般式(1)で表わされるオルガノジアルコキシシラン化合物とを反応させて、前記一般式(4)で表されるオルガノアミノシラン化合物を得る形態例(以下、本発明のオルガノアミノシラン化合物の製造方法の形態例(1)とも記載する。)が、前記一般式(4)で表されるオルガノアミノシラン化合物の収率が高くなる点で好ましい。よって、本発明のオルガノアミノシラン化合物の製造方法には、前記一般式(1)で表わされるオルガノジアルコキシシラン化合物と前記一般式(2)で表わされるオルガノアミン化合物と前記一般式(3)で表されるアルキルマグネシウム化合物とを、同時に混合する形態例や、先に、前記一般式(2)で表わされるオルガノアミン化合物と前記一般式(3)で表されるアルキルマグネシウム化合物とを混合し、次いで、前記一般式(1)で表わされるオルガノジアルコキシシラン化合物を混合する形態例(本発明のオルガノアミノシラン化合物の製造方法の形態例(1))が、含まれる。
【0041】
本発明のオルガノアミノシラン化合物の製造方法の形態例(1)において、前記一般式(2)で表わされるオルガノアミン化合物と前記一般式(3)で表されるアルキルマグネシウム化合物との反応は、以下に示す反応式の通りである。
NH + RMgX → RNMgX + R
【0042】
本発明のオルガノアミノシラン化合物の製造方法の形態例(1)では、前記一般式(2)で表わされるオルガノアミン化合物と前記一般式(3)で表されるアルキルマグネシウム化合物との反応を、有機溶媒中で行う。このような有機溶媒としては、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、tert−ブチルメチルエーテル等のエーテル系溶媒;ヘキサン、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶媒等の前記一般式(2)で表わされるオルガノアミン化合物及び前記一般式(3)で表されるアルキルマグネシウム化合物並びに中間生成物である前記一般式(5)で表されるオルガノアミンのマグネシウム化合物及び最終生成物である前記一般式(4)で表されるオルガノアミノシラン化合物とは反応しない有機溶媒が挙げられ、これらは1種単独であっても2種以上の混合であってもよい。
【0043】
前記一般式(2)で表わされるオルガノアミン化合物と前記一般式(3)で表されるアルキルマグネシウム化合物とを反応させる際の反応の温度は、−80〜200℃、好ましくは−30〜150℃、特に好ましくは−10〜100℃である。また、反応時間は、0.5〜5時間である。また、前記一般式(2)で表わされるオルガノアミン化合物と前記一般式(3)で表されるアルキルマグネシウム化合物とを、窒素、アルゴン等の不活性雰囲気下で反応させると、生成するオルガノアミンのマグネネシウム化合物と酸素との反応が起こらないため、前記一般式(4)で表わされるオルガノアミノシラン化合物の収率が高くなる点で、好ましい。
【0044】
本発明のオルガノアミノシラン化合物の製造方法の形態例(1)において、前記一般式(5)で表されるオルガノアミンのマグネシウム化合物と前記一般式(1)で表されるオルガノジアルコキシシラン化合物との反応は、以下に示す反応式の通りである。
SiOROR + 2RNMgX → RSi(NR+ MgORX+ MgOR
【0045】
具体的には、前記一般式(2)で表わされるオルガノアミン化合物と前記一般式(3)で表されるアルキルマグネシウム化合物とを反応させて後の反応液に、前記一般式(1)で表されるオルガノジアルコキシシラン化合物を添加することにより、前記一般式(5)で表されるオルガノアミンのマグネシウム化合物と前記一般式(1)で表されるオルガノジアルコキシシラン化合物との反応を行う。
【0046】
前記一般式(5)で表されるオルガノアミンのマグネシウム化合物と前記一般式(1)で表されるオルガノジアルコキシシラン化合物とを反応させる際の反応の温度は、−80〜200℃、好ましくは−30〜150℃であり、特に好ましくは−10〜100℃である。また、反応時間は、0.5〜5時間である。また、前記一般式(5)で表されるオルガノアミンのマグネシウム化合物と前記一般式(1)で表されるオルガノジアルコキシシラン化合物とを、窒素、アルゴン等の不活性雰囲気下で反応させると、オルガノアミンのマグネネシウム塩と酸素との反応が起こらないため、前記一般式(4)で表わされるオルガノアミノシラン化合物の収率が高くなる点で、好ましい。
【0047】
そして、本発明のオルガノアミノシラン化合物の製造方法の形態例(1)では、前記一般式(5)で表されるオルガノアミンのマグネシウム化合物と前記一般式(1)で表されるオルガノジアルコキシシラン化合物との反応を行った後、反応液から、固体の副生成物をろ過等により除去し、次いで、反応液から有機溶媒を留去して、前記一般式(4)で表わされるオルガノアミノシラン化合物を得る。
【0048】
本発明では、オルガノジアルコキシシラン化合物と反応させる反応原料として、オルガノアミン化合物、アルキルマグネシウム化合物を用いるため、反応制御が容易となる。そのため、本発明では、有機リチウム化合物を用いる場合に比べ、オルガノアミノシラン化合物の収率が高くなる。また、本発明では、副生成物が固体のハロゲン化アルコキシマグネシウムであるため、副生成物と目的生成物である液体のオルガノアミノシラン化合物との分離がし易い。そのため、本発明では、残留副生成物が原因の、オルガノアミノシラン化合物の分解による収率低下が生じない。
【0049】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、これは単に例示であって、本発明を制限するものではない。

【実施例】
【0050】
(評価方法)
(1)収率
原料のジアルキルジアルコキシシランのモル数と、得られたオルガノアミノシランのモル数の比より算出した。
(2)13C−NMR及びIR
次の条件で測定した。
13C−NMR>
測定装置:Varian製 Mercury−400 100.58MHZ
測定溶媒:CDCl
Scan数:1,000回
測定温度:20℃
内部標準:TMS
<IR>
測定装置:Nicolet社製、Avatar 360FT/IR
測定方法:NaClサンド法
測定温度:室温
【0051】
(実施例1)t−ブチルメチルビス(エチルアミノ)シランの合成
<合成>
窒素ガスで充分に置換したフラスコに、2mol/Lのブチルマグネシウムブロマイドを含有するTHF溶液(市販品)を、窒素気流下で50.0mL分取し、これを攪拌しながら0℃〜20℃に保持し、2mol/Lのエチルアミンを含有するTHF溶液43.5mLを、滴下ロートを利用して30分かけて滴下し、引き続き20℃を保ちつつ2時間攪拌した。
次いで、上記で得られた混合物を攪拌しながら、t−ブチルメチルジメトキシシラン(市販品)39mmolを、滴下ロートを利用して20℃を保ちつつ、10分かけて滴下した。滴下終了後、20℃で2時間反応させた。
このとき、エチルアミンは、t−ブチルメチルジメトキシシランの2.2倍モルを使用した。
反応後、反応液を窒素雰囲気下でろ過して生成物が溶解した溶液を得、更に、ろ別した固体成分内に残留した溶液も少量のヘキサンで洗浄して回収した。得られた生成物の溶液から溶媒を留去し、更に、減圧蒸留により精製して、t−ブチルメチルビス(エチルアミノ)シランを得た。
【0052】
<分析>
生成物の沸点を測定したところ933Paにおいて60〜62℃であり、ガスクロマトグラフィーにより純度を測定したところ、純度は99.6%であった。このときの収率は86.1%であった。
得られた生成物がt−ブチルメチルビス(エチルアミノ)シランであることを、元素分析、IR及び13C−NMR、によって確認した。
元素分析の結果、Cが65.6%(66.1%)、Hが12.0%(11.9%)、Nが10.8%(11.0%)であった(括弧内の数値は理論量である。)。
また、IRスペクトルから、3350cm−1付近に典型的な二級アミンのN−H伸縮振動による吸収が確認できた。
また、13C−NMRの測定結果を図1に示した。図1に示す13C−NMRスペクトルのチャートより、得られた生成物がt−ブチル基、メチル基およびエチルアミノ基を含むことが確認された。
これらの分析結果を総合すると、得られた生成物は、t−ブチルメチルビス(エチルアミノ)シランである。
【0053】
(実施例2)ジシクロペンチルビス(エチルアミノ)シランの合成
<合成>
t−ブチルメチルジメトキシシラン39molに代えて、ジシクロペンチルジメトキシシラン39molとすること以外は、実施例1と同様の方法で行ない、ジシクロペンチルビス(メチルアミノ)シランを得た。
<分析>
生成物の沸点は320Paにおいて118℃(絶対圧力2.4mmHg下)、収率は90.3%、ガスクロマトグラフィーによる純度の測定結果は99.1%であった。
元素分析の結果はCが65.6%(66.1%)、Hが12.0%(11.9%)、Nが10.8%(11.0%)となった(括弧内の数値は理論量である。)。
また、IRスペクトルからは、3350cm−1付近に典型的な二級アミンのN−H伸縮振動による吸収が確認できた。
また、13C−NMRの測定結果を図2に示す。図2に示す13C−NMRスペクトルのチャートより、得られた生成物がシクロペンチル基とエチルアミノ基を含むことが確認された。
これらの分析結果を総合すると、得られた生成物は、ジシクロペンチルビス(エチルアミノ)シランである。
【0054】
(実施例3)シクロヘキシルメチルビス(エチルアミノ)シランの合成
<合成>
t−ブチルメチルジメトキシシラン39molに代えて、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン39molとしたこと以外は実施例1と同様の方法で合成を行い、シクロヘキシルメチルビス(エチルアミノ)シランを得た。実施例1と同様にして生成物を確認したところ、シクロヘキシルメチルビス(エチルアミノ)シランであり、その収率は、88.3%であった。
【0055】
(実施例4)ジイソプロピルビス(エチルアミノ)シランの合成
<合成>
t−ブチルメチルジメトキシシラン39molに代えて、ジイソプロピルジメトキシシラン39molとしたこと以外は実施例1と同様の方法で合成を行ない、ジイソプロピルビス(エチルアミノ)シランを得た。実施例1と同様にして生成物を確認したところ、ジイソプロピルビス(エチルアミノ)シランであり、その収率は、84.7%であった。
【0056】
(実施例5)t-ブチルエチルビス(エチルアミノ)シランの合成
<合成>
t−ブチルメチルジメトキシシラン39molに代えて、t−ブチルエチルジメトキシシラン39molとしたこと以外は実施例1と同様の方法で合成を行ない、t-ブチルエチルビス(エチルアミノ)シランを得た。実施例1と同様にして生成物を確認したところ、t-ブチルエチルビス(エチルアミノ)シランであり、その収率は、82.3%であった。
【0057】
(実施例6)ジシクロペンチルビス(メチルアミノ)シランの合成
<合成>
エチルアミンに代えて、メチルアミンとしたこと以外は実施例1と同様の方法で合成を行い、ジシクロペンチルビス(メチルアミノ)シランを得た。実施例1と同様にして生成物を確認したところ、ジシクロペンチルビス(メチルアミノ)シランであり、その収率は、92.1%であった。
【0058】
(実施例7)ジシクロペンチルビス(n−プロピルアミノ)シランの合成
<合成>
エチルアミンに代えて、n−プロピルアミンとしたこと以外は実施例1と同様の方法で合成を行い、ジシクロペンチルビス(n−プロピルアミノ)シランを得た。実施例1と同様にして生成物を確認したところ、ジシクロペンチルビス(n−プロピルアミノ)シランであり、その収率は、93.8%であった。
【0059】
(比較例1)t−ブチルメチルビス(エチルアミノ)シランの合成(従来技術2の実施例1)
従来技術2の実施例1と同じ手法、すなわち、アルキルアミン化合物と、ジクロロジアルキルシラン化合物とを反応させる方法により、t−ブチルメチルビス(エチルアミノ)シランの合成をおこなった。
窒素ガスで十分に置換したフラスコに、エチルアミン60mmol(ジクロロシランの3倍モル)を含有する脱水ヘプタン25mLとトリエチルアミン80mmolモル(ジクロロシランの4倍モル)を分取し、これを20℃で攪拌しながら、窒素気流下で分取したt−ブチルメチルジクロロシラン20mmolを、注射器を利用し2分かけて滴下後、20℃で2時間反応させた。反応時に多量の固形物が生成し、これを攪拌可能なスラリーとするため、反応の途中で脱水ヘプタン25mLを追加した。反応後、固液混合物を窒素雰囲気下でろ過して溶液を回収し、固体成分内に残留した溶液も少量のヘキサンで洗浄して回収した。溶液から溶媒を留去し、主生成物であるt−ブチルメチルビス(エチルアミノ)シランを減圧蒸留により、精製した。収率は、46.3%であった。ガスクロマトグラフィーにより純度を測定したところ、純度は95.3%であった。
【0060】
(比較例2)ジシクロペンチルビス(エチルアミノ)シランの合成(従来技術2の実施例1、Siドナー種変更)
t−ブチルメチルジクロロシラン20mmolに代えて、ジシクロペンチルジクロロシラン20mmolとしたこと以外は、上記比較例1と同様の操作を行い、主生成物としてジシクロペンチルビス(エチルアミノ)シランを得た。収率は、49.0%であった。ガスクロマトグラフィーにより純度を測定したところ、純度は、96.4%であった。
【0061】
(比較例3)(従来技術1の実施例1)
従来技術1の実施例1と同じ原料、すなわち、有機リチウム化合物のスラリーとアルコキシシラン化合物を、本願実施例と同様の方法、すなわち有機リチウム化合物のスラリーとアルコキシシラン化合物を有機溶媒中で接触反応させる方法にて、t−ブチルメチルビス(エチルアミノ)シランの合成を行なった。
充分に窒素置換したフラスコに、窒素気流下でエチルアミン60mmolを含有するTHF溶液30mlを分取し、これを−10℃まで冷却した。次いでブチルリチウム60mmolを含有するヘキサン溶液37.5mlを、窒素気流下で滴下ロートを使用して、−10℃を保ちつつ、上記エチルアミン溶液中に50分かけて滴下した。滴下終了後、50℃まで60分かけて昇温後、50℃を保ちつつ2時間反応させて、エチルアミノリチウムのスラリーを調製した。
次いで、窒素気流下で滴下ロートに分取したt−ブチルメチルジメトキシシシラン20mmolを含有するトルエン溶液60mlを、予め−10℃まで冷却した上記エチルアミノリチウムのスラリーに、攪拌下で−10℃を保ちつつ30分かけて滴下後、60分かけて70℃まで昇温し、70℃で4時間反応させた。反応終了後、窒素雰囲気下でろ過し、固体成分を少量のトルエンで洗浄し、溶液を全て回収した。得られた溶液から溶媒を留去し、主生成物であるジシクロペンチルビス(エチルアミノ)シランを、減圧蒸留により精製した。収率は、45.1%であった。ガスクロマトグラフィーにより純度を測定したところ、純度は95.0%であった。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明の新規なオルガノアミノシラン化合物の製造方法によれば、Si−OR結合を全く含まないオルガノアミノシラン化合物を安価且つ安全に、高収率で得ることができる。従って、これを用いた活性の高いオレフィン類重合用触媒により、汎用ポリオレフィンを低コストで提供し得ると共に、高機能性を有するオレフィン類の重合体の製造において有用性が期待される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1):
SiOROR (1)
(Rは、直鎖の有機基、分岐鎖を有する有機基又は環状の有機基であり、且つ炭素数が3〜12の有機基である。R、R及びRは、炭素数が1〜20の有機基である。)
で表されるオルガノジアルコキシシラン化合物と、下記一般式(2):
NH (2)
(R及びRは、水素原子、−C2n+1で表わされるアルキル基又は−C2mで表されるシクロアルキル基である。nは、1〜12の整数であり、mは、3〜12の整数である。但し、R及びRのいずれか一方又は両方が、−C2n+1で表わされるアルキル基又は−C2mで表されるシクロアルキル基である。)
で表されるオルガノアミン化合物と、下記一般式(3):
MgX (3)
(Rは、−C2p+1で表わされるアルキル基、又は−C2qで表されるシクロアルキル基である。pは、1〜12の整数であり、qは、3〜12の整数である。Xは、周期表において第17族に属する元素である。)
で表されるアルキルマグネシウム化合物と、を反応させて、下記一般式(4):
Si(NR (4)
(Rは、直鎖の有機基、分岐鎖を有する有機基又は環状の有機基であり、且つ炭素数が3〜12の有機基である。Rは、炭素数が1〜20の有機基である。R及びRは、水素原子、−C2n+1で表わされるアルキル基又は−C2mで表されるシクロアルキル基である。nは、1〜12の整数であり、mは、3〜12の整数である。但し、R及びRのいずれか一方又は両方が、−C2n+1で表わされるアルキル基又は−C2mで表されるシクロアルキル基である。)
で表わされるオルガノアミノシラン化合物を得ることを特徴とするオルガノアミノシラン化合物の製造方法。
【請求項2】
がメチル基であり、R及びRがメチル基又はエチル基であり、Rがエチル基であり、Rが水素原子であり、Xが臭素原子であることを特徴とする請求項1記載のオルガノアミノシラン化合物の製造方法。
【請求項3】
不活性雰囲気下で、前記一般式(1)で表わされるオルガノジアルコキシシラン化合物と前記一般式(2)で表わされるオルガノアミン化合物と下記一般式(3)で表されるアルキルマグネシウム化合物とを反応させることを特徴とする請求項1又は2のいずれか1項記載のオルガノアミノシラン化合物の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−256120(P2011−256120A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−130160(P2010−130160)
【出願日】平成22年6月7日(2010.6.7)
【出願人】(390007227)東邦チタニウム株式会社 (191)
【Fターム(参考)】