説明

オレフィンの連続カルボニル化方法

【課題】オレフィンの連続カルボニル化方法を提供する。
【解決手段】該方法は、(a)VIII族金属カチオン源と、(b)脂肪族ジホスフィン源と、(c)オレフィンのヒドロカルボキシル化物であるカルボン酸をベースとする触媒系の存在下でオレフィンを一酸化炭素及び求核化合物と反応させ、工程中にカルボン酸を連続的もしくは断続的に加えるか又は水の連続もしくは断続的添加により現場で製造する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オレフィンを一酸化炭素及び求核化合物と反応させるオレフィンの連続カルボニル化方法に関する。特に、本発明は一酸化炭素とC1〜6アルコールによるエテンのカルボニル化方法に関する。
【背景技術】
【0002】
金属カルボニルの存在下の求核化合物によるオレフィンのカルボニル化(「レッペ反応」)は標準教科書であるJ.Falbe編“New Syntheses with Carbon Monoxide”(Springer−Verlag 1980)に詳細に記載されている。ヒドロカルボキシル化(即ち求核化合物が水)は第3.6.2.1章、ヒドロエステル化(即ち求核化合物がアルコール)は第3.6.2.2章に記載されており、第3.6.2.3章には水又はアルコール以外の求核化合物によるオレフィンのカルボニル化の別の例が挙げられている。プロピオン酸メチルやプロピオン酸n−ブチル等のヒドロエステル化物は慣用化学溶媒である酢酸エチルや酢酸n−ブチルの適切な代用品であるので、ヒドロエステル化は特に有用である。
【0003】
EP−A−0,411,721にはヒドロエステル化物の連続製造方法が記載されており、該方法は生成物1トン当たりの触媒成分の消費量が同様にオレフィンの連続カルボニル化方法に関する文献であるEP−A−0,279,477よりも少ない。例えばプロピオン酸アルキルは酢酸パラジウムとトリフェニルホスフィンとメタンスルホン酸をベースとするカルボニル化触媒系の存在下で反応容器でヒドロエステル化することにより製造される。プロピオン酸アルキルは蒸気流下で反応容器から除去(「ストリップ」)される。プロピオン酸n−ブチルの製造中の配位子消費は試験生産時間に応じて3.3〜6.8kg/t程度に抑えられると報告されている。(初期500モル生成物/モルPd/時から出発した場合の)最終生産速度は100モル/モル/時であった。
【0004】
EP−A−0,411,721(及びEP−A−0,279,477)の連続方法の欠点は、金属に対するトリアリールモノホスフィンの比が高く、強酸であるメタンスルホン酸の存在によりホスホニウム塩が併産されることである。更に、汚染物を除去すると活性触媒が損失する。その結果、ヒドロエステル化物の純度と工程の経済性が悪化する。最後に、実行可能な商業化経路を提供するためには、配位子消費を更に低下させることが非常に望ましいだけでなく、生産速度とその維持に関する改善も望ましい。この触媒系中の強酸をカルボン酸等の弱酸に置き換えると、ホスホニウム塩の形成は減るが、触媒系の活性も低下する。その上、弱酸は強酸よりも容易且つ可逆的に求核化合物と反応するので、汚染物の濃度が増加する。
【0005】
オレフィンのカルボニル化に優れた触媒系はEP−A−0,495,547に開示されており、この触媒系は(a)酢酸パラジウム等のVIII族金属カチオン源と、(b)脂肪族ジホスフィン源と、(c)アニオン源を組み合わせたものである。アニオン源としてはプロトン酸を選択するのが好ましい。特に、カチオンとアニオンの間で共有相互作用が殆ど又は全く生じないという意味での非又は弱配位アニオン源が好ましい。アニオンが弱酸(例えばカルボン酸)から誘導される場合には、カルボン酸は配位傾向を最小限にするように嵩高な置換基による立体障害下にあることが好ましい。しかし、この文献には上記連続方法に認められる欠点を解決する教示がない。
【0006】
別の優れた触媒系はWO94/18154に開示されている。この系は非酸性触媒系であるという点で上記触媒系と相違する。この触媒系を使用しても、生産速度が高く、不純物生産が低く、配位子消費の低い所望の連続方法は提供されなかった。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
驚くべきことに、触媒系の適正な選択により、汚染物の生産が少なく、配位子消費を減らし、生産速度を改善する連続方法が見いだされた。従って、本発明はオレフィンの連続カルボニル化方法を提供し、該方法は、
(a)VIII族金属カチオン源と、
(b)脂肪族ジホスフィン源と、
(c)オレフィンのヒドロカルボキシル化物であるカルボン酸
をベースとする触媒系の存在下でオレフィンを一酸化炭素、及び水以外の求核化合物と反応させ、工程中にカルボン酸を連続的もしくは断続的に加えるか又は水の連続もしくは断続的添加により現場で製造することを特徴とする。
【0008】
オレフィンは好ましくは1分子当たり2〜20、より好ましくは2〜6個の炭素原子をもつアルケンである。最も好ましくは、オレフィンは所望のプロピオン酸誘導体を生成するエテンである。
【0009】
本発明の方法で適切な共反応体としては、1個以上の活性(移動性)水素原子をもつ水以外の求核化合物が挙げられる。本発明の方法はオレフィンのヒドロエステル化(即ちアルコールとの反応)に特に有用であるが、求核化合物がアミン、チオアルコール又は酸等である場合にも適用できる。適切な求核化合物の例は、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、アミルアルコール、ヘキサノール−1、エチレングリコール、ブタンジオール等の1及び2価アルカノール類と、エチルアミンやジエチルアミン等のアミン類である。1分子当たり1〜6個の炭素原子をもつアルカノールと、1分子当たり2〜6個の炭素原子をもつアルカンジオールが好ましい。n−ブタノール、メタノール及び1,4−ブタンジオールが特に好ましい。共反応体としてこれらの化合物を使用すると、プロピオン酸メチル、プロピオン酸ブチル、1,4−ジアシルオキシブタン及び(ブテンから)ペンタン酸メチル等の有価カルボニル化物を生産することができる。これらの化合物は商業的に有用であり、溶媒として使用したり、調味組成物や香料中で使用することができる。
【0010】
触媒系の成分(a)はニッケル、パラジウム及び/又は白金、より好ましくはパラジウムのカチオン源を選択するのが好ましい。適切なパラジウムカチオン源はその塩、金属パラジウム及び(ゼロ価)パラジウム錯体である。適切なニッケル及び白金カチオン源はカルボン酸のニッケル塩と(例えばアセチルアセトンとの)白金錯体である。非常に適切なカチオン源は酢酸パラジウム(II)である。他の同様に適切なカチオン源は上記文献に記載されている。
【0011】
適切な脂肪族ジホスフィンはEP−A−0,495,547とWO94/18154に開示されている。例えば、本発明の方法で使用可能なジホスフィンは一般式I:
P−R−PR (I)
(式中、R 、R、R 及びR の各々は独立して置換又は非置換脂肪族又は脂環式基を表すか、R はR及びPと一緒になって及び/又はR はR 及びPと一緒になって少なくとも5員環の置換又は非置換2価環式基を表すか、RはR と一緒になって及び/又はR はR と一緒になって少なくとも5員環の置換又は非置換2価環式基を表し、前記環式基の2個の自由原子価は単一リン原子に結合しており、Rは橋中に1〜4個の原子を含む2価有機架橋基を表す)をもつ。
【0012】
好ましくは、架橋基Rは橋中に1〜4個の炭素原子を含むアルキレン基を表すが、酸素原子等のヘテロ原子により遮断された炭素原子も含んでいてもよい。最も好ましくは、Rは1,2−エチレン、1,2−プロピレン又は1,3−プロピレン基、特に1,2−エチレン基を表す。
【0013】
好ましい脂肪族基は1〜10、より好ましくは1〜6個の炭素原子をもつ。適切な基の例はメチル、第3ブチル、シクロヘキシル等である。
【0014】
ホスファ脂環式基の例としては、1−ホスファシクロヘキシル、2,6−ジメチル−1−ホスファシクロヘキシル等が挙げられる。
【0015】
がRと一緒になって及び/又はR がR と一緒になって2価(置換)環式基を表すジホスフィンを使用すると、最も適切であることが判明した。一般に、環式基は少なくとも5員環、好ましくは6〜9員環である。より好ましくは、環式基は8員環である。置換基が存在する場合には、通常は炭素原子数1〜4のアルキル基である。一般に、全環原子は炭素原子であるが、酸素又は窒素原子等の1又は2個のヘテロ原子を環内に含む2価環式基でもよい。適切な2価環式基の例は、1,4−シクロヘキシレン、1,4−シクロヘプチレン、1,3−シクロヘプチレン、1,2−シクロオクチレン、1,3−シクロオクチレン、1,4−シクロオクチレン、1,5−シクロオクチレン、2−メチル−1,5−シクロオクチレン、2,6−ジメチル−1,4−シクロオクチレン及び2,6−ジメチル−1,5−シクロオクチレン基であり、1,4−シクロオクチレン、1,5−シクロオクチレン及びそのメチル(ジ)置換誘導体が好ましい。
【0016】
例えば、式(I)の最も好ましいジホスフィンは1,2−ビス(シクロオクチレンホスフィノ)エタンの対称又は非対称1,5又は1,4異性体とその混合物(即ちIUPAC命名法によると1,2−P,P’(9−ホスファビシクロノニル)エタンの対称又は非対称[3,3,1]又は[4,2,1]異性体)である。二座配位子の製造については、例えばGB−A−1,127,965に開示されている方法等の公知技術を参照されたい。
【0017】
触媒系の成分(c)は使用するオレフィン毎に異なる。例えばオレフィンがエテン又はプロペンである場合には、成分(c)はプロピオン酸又は酪酸である。その利点は、成分(c)が求核化合物と反応すると、この求核化合物でオレフィンをカルボニル化した場合と同一の生成物が得られる点である。例えば、ヒドロエステル化の場合には、生成物はアルコールの酸エステル化により得られる生成物と同一である。
【0018】
バッチ式ヒドロエステル化方法を助長するために水又はカルボン酸を使用することはEP−A−0,055,875から公知である。しかし、この文献は連続カルボニル化方法における触媒活性の損失の問題については触れていない。その上、この方法は異なる配位子をベースとする低活性触媒系の存在下で実施されている。同様に、第3アルキル基で置換した脂肪族ジホスフィンをベースとする高活性触媒系もEP−A−0,495,548から公知であるが、ここでもバッチ式実験でしか実証されていない。更に、実験の各々は強酸の存在下で実施されており、本発明の発明思想とは異なる。
【0019】
本発明の方法は例えば分子窒素等の不活性ガスのブランケット下で実施するのが好ましい。配位子消費に関して最良の結果が認められたのは、全反応体を適正に脱泡(脱酸素化)し、この不活性ガスのブランケット下で反応容器に仕込んだ場合であった。
【0020】
使用するのに最も好ましい触媒組成は、i)パラジウム塩と、ii)R P及びR Pが各々シクロオクチレンホスフィノ基の1,4及び/又は1,5異性体を表し且つRが1,2−エチレン、1,2−プロピレン又は1,3−プロピレン基を表す上記式の二座配位子と、iii)カルボン酸(オレフィンがエテンである場合にはプロピオン酸)を含む。
【0021】
カチオン1モル当たりに使用される配位子のモル比は好ましくは0.5〜10、最も好ましくは1〜3である。
【0022】
カルボニル化反応における例えば現場製造したカルボン酸の使用量は広い範囲をとり得る。好ましくは、酸の量はカチオン1モル当たり酸1〜1000モル、より好ましくは1〜500モルである。連続法で触媒の一定活性を維持するためには、酸又は水を断続的、又はより好ましくは連続的に反応容器に加え、反応容器からストリップされることにより触媒成分c)が枯渇しないようにする。生成物1モル当たり10−6〜10−1モルの量の酸又は水を加えれば十分であることが判明した(即ち液体リサイクルなしに実施する場合。そうでない場合にはもっと少量となる)。
【0023】
好都合なことに、触媒系の量は比較的少量である。好適量はオレフィン1モル当たりカチオン10−7〜10−1モル、より好ましくは同一基準で10−6〜10−2モルである。
【0024】
本発明の方法では、液体カルボニル化物及び/又は過剰のオレフィンもしくは求核化合物を反応中に溶媒として利用できる。特に理論量の反応体を使用する場合には、付加的液体希釈剤の存在下で反応を実施してもよい。適切な希釈剤は例えばケトン類、エーテル類(例えばテトラヒドロフラン又はジエチレングリコールのジメチルエーテル)又はスルホン類(例えばスルホラン)等の極性非プロトン性化合物である。液体カルボニル化物を溶媒として利用するのが好ましい。
【0025】
カルボニル化反応は好都合なことに、一般に30〜200℃、好ましくは50〜150℃の中温で実施される。反応圧は大気圧でも過圧でもよい。特に、2〜70バールゲージの範囲の圧力が好ましい。もっと高圧にしてもよいが、通常は利点がない。
【0026】
連続方法はストリッピング反応器で実施するのが好ましいが、EP−A−0,279,477に開示されているような連続方法で実施してもよい。好ましい態様では、得られた反応混合物を蒸気により反応容器内の液相からストリップする。液相中に存在する他の全揮発性物質(例えば求核化合物)も蒸気流下で除去する。反応容器にガスを流す速度は液相から反応生成物をストリップするに十分な速度とすべきであり、単純な実験により決定できる。
【0027】
蒸気流を形成するために使用するストリッピングガスは、オレフィン、一酸化炭素及び/又は1種以上の不活性ガス(例えば窒素、二酸化炭素及びアルゴン等の貴ガス)を含み得る。更に、ストリッピングガスは比較的少量の水素ガス(例えば全圧が好適範囲内にあるときには1バールの分圧まで)を含んでいてもよい。好ましくは、ストリッピングガスはオレフィンと一酸化炭素から即ち供給原料から構成される。オレフィンと一酸化炭素のモル比は好ましくは9:1〜1:9、より好ましくは2:1〜1:2である。
【0028】
したがって、本発明の実施態様は、ストリッピングガスを使用してオレフィンと一酸化炭素即ち供給原料を含む蒸気流を形成する請求項9に記載の方法を含む。
【0029】
反応容器から排出される蒸気流は冷却して気相と液相とすることができる。気相は好都合なことに反応容器に復帰させることができる。カルボニル化物がエステルである場合には、EP−A−0,411,721に開示されている簡略法流れ図を参照して簡便なエステル分離法を実施できる。
【0030】
本発明はn−ブタノールとエテンからプロピオン酸n−ブチルを製造する方法により最良に説明されるが、本発明が著しく広い適用性をもつことは当業者に理解されよう。以下、実施例により本発明を説明する。
【実施例】
【0031】
実施例1及び比較例A
ガススパージング撹拌機、脱泡装置及び蒸留ユニットを備える250ml容オートクレーブからなるシステムでエテンとn−ブタノール(NBA)からプロピオン酸n−ブチル(NBP)の連続製造方法を実施した。オートクレーブに一酸化炭素、エテン、新しい触媒及び新しい液体とリサイクルした液体の出口と入口をつけた。高圧HPLCポンプを使用して反応容器に液体(例えばNBAに溶かした配位子とNBAに溶かしたプロピオン酸)を配量した。
【0032】
反応器レベル調節を約180mlに設定し、反応容器に(窒素ブランケット下に)NBA/NBP混合物(重量比30/70)と触媒成分としてカルボン酸、配位子(1,2−ビス(シクロオクチレンホスフィノ)エタンの対称及び非対称1,5及び1,4異性体の混合物)及び酢酸パラジウムを(表1に示す量で)充填することにより典型的実験を開始した。次に、反応容器をCOガス流下で反応温度(120℃)まで加熱し、反応圧を背圧調節器により一定に維持した(6.0バールゲージ)。COに対して等モル比のエテンを供給した(ガス流速約60Nl/時)。触媒溶液を利用可能且つ活性にしたまま、過剰のCOとエテンでストリップすることにより反応容器からNBPを除去した。反応容器の液体ホールドアップは反応器内のレベル検出器により制御し、アルコールNBAを供給することにより一定に維持した。
【0033】
冷却器と脱泡装置から排出される全ガスを記録湿潤ガスメーターに通した。ガス消費率を触媒活性の尺度として使用した。従って、ストリップしたNBPを凝縮回収し、例えばオンラインGLCにより分析した。
【0034】
実施例1では、0.21及び1.04重量%(wt%、反応容器の内容物に基づく)のプロピオン酸を夫々29及び48時間後に加えた。53時間後に0.35重量%の水を加えた後、73時間後に0.83重量%/時で水を連続的に加えた。
【0035】
下表は工程条件と生産速度/配位子消費に関する詳細な情報を示す。
比較例B及びC
これらの実験は上記の通りに実施した。但し、反応容器には20/80重量/重量比のNBA/NBP混合物を充填した。比較例Bのガス流速は生産速度の低下に適応するように、初期30Nl/時(0〜4時間)から20Nl/時(4〜25時間)を経て12Nl/時まで低下させた。比較例Cでは約20Nl/時とした。比較例Bで使用したカルボン酸はEP−A−0,495,547による2,6−ジ(第2ブチルオキシ)安息香酸とした。比較例CではWO94/18154による非酸性触媒を使用した(初期チャージとして200.3ml/l(=6.74重量%)のトリヘキシルアミンを使用し、20.5時間後に6.78重量%のトリヘキシルアミンを配量し、23.5時間後に1.63重量%のオルトギ酸トリ(n−ブチル)を配量し、44時間後に0.81重量%のオルトギ酸トリメチルを配量した)。これらの実験の詳細も表に示す。
実施例2〜4
これらの実験は、反応温度を130℃、反応圧を3.5バールゲージとした以外は、上記と同様に実施した。反応容器に15/85重量/重量比のNBA/NBP混合物を充填した。実施例2及び3のガス流速は80Nl/時とし、実施例4のガス流速は60Nl/時とした。
【0036】
実施例2ではプロピオン酸を連続的に加えた(平均配量速度18kg/tエステル)。実施例3では、97時間まで水(生成物中0.64重量%の平均配量速度)を連続的に加えた後、プロピオン酸を連続的に加えた(平均配量速度14kg/tエステル)。実施例4ではプロピオン酸を連続的に加えた(平均配量速度36kg/tエステル)。これらの実験の詳細も表に示す。
実施例5
1−メトキシ−2−プロパノール(商標名“METHYL PROXITOL”)を求核化合物として使用した以外は実施例2と同様に実施し、他の求核化合物の使用可能性を実証した。初期反応器組成は2.55mmol/l酢酸Pd(II)、3.0mmol/l配位子及び2.5重量%酸とした。最終反応器組成は2.41mmol/l酢酸Pd(II)及び0.8重量%酸であった。1時間(「初期時間」)後に平均生産速度は345モル/モル/時であった。27時間後に平均生産速度は20モル/モル/時まで低下した。配位子消費は0.21kg/tの配位子の平均配量により補償された。
【0037】
【表1】

【先行技術文献】
【特許文献】
【0038】
【特許文献1】EP−A−0,411,721
【特許文献2】EP−A−0,279,477
【特許文献3】EP−A−0,495,547
【特許文献4】WO94/18154
【特許文献5】GB−A−1,127,965
【特許文献6】EP−A−0,055,875
【特許文献7】EP−A−0,495,548
【非特許文献】
【0039】
【非特許文献1】J.Falbe編“New Syntheses with Carbon Monoxide”(Springer−Verlag 1980)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
オレフィンの連続カルボニル化方法であって、
(a)VIII族金属カチオン源と、
(b)脂肪族ジホスフィン源と、
(c)オレフィンのヒドロカルボキシル化物であるカルボン酸
をベースとする触媒系の存在下でオレフィンを一酸化炭素、及び水以外の求核化合物と反応させ、工程中にカルボン酸を連続的もしくは断続的に加えるか又は水の連続又は断続的添加により現場で製造することを特徴とする前記方法。
【請求項2】
オレフィンがエテンである請求項1に記載の方法。
【請求項3】
求核化合物が1分子当たり1〜6個の炭素原子をもつアルカノール又は1分子当たり2〜6個の炭素原子をもつアルカンジオールである請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
触媒系の成分(a)がパラジウムカチオン源である請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
触媒系の成分(b)が一般式I:
P−R−PR (I)
(式中、R 、R、R 及びR の各々は独立して置換又は非置換脂肪族又は脂環式基を表すか、R はR 及びPと一緒になって及び/又はR はR 及びPと一緒になって少なくとも5員環の置換又は非置換2価環式基を表すか、RはR と一緒になって及び/又はR はR と一緒になって少なくとも5員環の置換又は非置換2価環式基を表し、前記環式基の2個の自由原子価は単一リン原子に結合しており、Rは橋中に1〜4個の原子を含む2価有機架橋基を表す)をもつジホスフィンである請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
触媒系の成分(b)が1,2−ビス(シクロオクチレンホスフィノ)エタンの対称もしくは非対称1,5もしくは1,4異性体又はその混合物である式(I)のジホスフィンである請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
触媒系の量がオレフィン1モル当たりカチオン10−7〜10−1モルの範囲である請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
液体カルボニル化物をカルボニル化溶媒として使用する請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
ストリッピング反応器で実施する請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。

【公開番号】特開2009−203234(P2009−203234A)
【公開日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−109576(P2009−109576)
【出願日】平成21年4月28日(2009.4.28)
【分割の表示】特願平9−506295の分割
【原出願日】平成8年7月16日(1996.7.16)
【出願人】(390023685)シエル・インターナシヨネイル・リサーチ・マーチヤツピイ・ベー・ウイ (411)
【氏名又は名称原語表記】SHELL INTERNATIONALE RESEARCH MAATSCHAPPIJ BESLOTEN VENNOOTSHAP
【Fターム(参考)】