説明

オレフィンの重合及び/又は共重合用クロム系触媒の製造法

元素を基準に、0.01重量%〜5重量%のクロム含有量を有する、オレフィンの重合用及び/又は共重合用担持触媒の製造法であって、当該方法は、(a) 有機若しくは無機クロム化合物とMg、Ca、Sr、B、Al、Si、P、Bi、Sc、V、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Zr、Nb、Mo、Ru、Rh、Pd、Hf、Ta、W中から選択される元素の別の有機若しくは無機化合物の内の少なくとも一種との、プロトン性若しくは非プロトン性極性溶媒中の均一溶液を調製し、(b) a)からの溶液を微細に分割した無機担体と接触させて触媒前駆体を形成し、(c) 適切な場合、触媒前駆体から溶媒を除去し、そして(d) 触媒前駆体を350℃〜1050℃、好ましくは、400℃〜950℃の温度で、酸化条件下でか焼する、上記オレフィンの重合用及び/又は共重合用担持触媒の製造法。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、最終触媒中の元素を基準に0.01重量%〜5重量%のクロム含有量を有する、オレフィンの重合用及び/又は共重合用担持触媒の製造法に関し、当該方法は、
(a) 有機若しくは無機クロム化合物とMg、Ca、Sr、B、Al、Si、P、Bi、Sc、V、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Zr、Nb、Mo、Ru、Rh、Pd、Hf、Ta、W中から選択される元素の別の有機若しくは無機化合物の内の少なくとも一種との、プロトン性若しくは非プロトン性極性溶媒中の均一溶液を調製し、
(b) a)からの溶液を微細に分割した無機担体と接触させ、
(c) 適切な場合、得られた固体から溶媒を除去し、そして
(d) 該固体を350℃〜1050℃、好ましくは、400℃〜950℃の温度で、酸化条件下でか焼する。
【0002】
本発明は、対応する担持重合用触媒、重合プロセスにおけるそれらの使用及びこの重合プロセスにより製造したポリオレフィンもさらに提供する。
エチレンホモポリマー及びエチレンとより高級なα−オレフィン、例えば、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン若しくは1−オクテンとのエチレンコポリマーを、例えば、チグラー・ナッタ触媒として知られている担持チタン化合物、あるいはフィリップス触媒として知られている担持クロム化合物を使用して重合させることにより製造できる。ポリエチレンホモポリマーやポリエチレンコポリマーが、例えば、インフレート法(blown film extrusion process)に使用されるとき、それらのポリマーは機械特性と加工性との間で良好なバランスをとることが重要である。
【0003】
担持クロム触媒は、良好な機械特性を示すポリエチレンコポリマーを製造するのに非常に適していることが知られている。重合で得られるポリマーの特性は、使用されるクロム触媒が製造される方法に依存する。特に、担体材料の性質、例えば、その化学的構造、物理的構造、表面積若しくは細孔容積、使用するクロム化合物の種類、チタン化合物、アルミニウムアルキル類若しくは一酸化炭素のような別の化合物の存在、種々の成分が施用される順序、又はか焼若しくは活性が行われる方法に依存する。使用する出発材料と担体に施用するための配合物との組合せであり、次いで、応用の特定分野のための要求事項に対応するポリマー製造用の所望のクロム触媒を製造する。
【0004】
エチレンの重合のために数十年フィリップス触媒が使用されてきた。それらは、通常、クロム化合物を担体に施用し、続いてこれを350℃〜950℃の温度でか焼することにより製造される。か焼は存在するクロムを六価から6よりも低い価数に変換する。
【0005】
一般に、触媒の活性は、先ず、か焼温度の上昇に応じて急激に増加し、最終的に、担体がさらに上昇させた温度で焼結し始めるまで上昇し、再度活性が下がる。一方、製造されるポリエチレンの分子量は上昇する温度につれて急激に低下する。特に、高分子量ポリエチレンすなわち低溶融流量(melt flow rate: MFR)を示すポリエチレンの製造において、触媒は比較的低温度のときにのみ活性化でき、したがって、低活性を示すのみであるという問題がある。別の遷移金属の使用が、活性と、例えば、分子量、分子量分布若しくは溶融流量(MFR)との双方に好ましい影響を示し得るということも知られている。この問題に関して、例えば、Advances in Catalyst, Vol. 33, page 62ffを参照されたい。
【0006】
クロムとジルコニウムに基づく混合フィリップス触媒を酸化アルミニウム又は燐酸アルミニウムに担持させることができることは米国特許第5,032,651号明細書により公知である。ここでは、二種類の元素が、好ましくは、別々の担体に固定化され、重合前若しくは重合中に混合される。あるいは、二種類の元素が単一の担体に付される。このジルコニウムは有機ジルコニウム化合物の形態で担体に施用される。有機ジルコニウム化合物のか焼は予想されない。
【0007】
さらに、米国特許第4,128,500号明細書は、ジルコニウム−改質二酸化珪素担体の使用を開示する。これは、約650℃〜850℃で処理後、有機Cr(III)化合物の溶液で処理し、続いてか焼する。このプロセスは、先ず、二倍の熱処理を必要とし、次いで、5000g/g未満の生産性の触媒を与える。充分な活性を得るのに必要な高か焼温度が原因で、モル質量が充分に高くない。むしろ、ジルコニウムの添加がモル質量を減少させる、すなわち、MFRを増加させることが米国特許第4,128,500号明細書から分かる。
【0008】
したがって、本発明の目的は上記の従来技術の欠点を克服し、高分子量ポリエチレンを製造するために低活性化温度でも非常に良好な活性及び生産性を示すフィリップス触媒を提供することにある。さらに、この触媒は良好な均質性及び高嵩密度を有するポリマー製品を与える。
【0009】
この目的は、元素を基準に0.01重量%〜5重量%のクロム含有量を有する、オレフィンの重合用及び/又は共重合用担持触媒の下記の製造法により達成される。すなわち、当該方法は、
(a) 有機若しくは無機クロム化合物とMg、Ca、Sr、B、Al、Si、P、Bi、Sc、V、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Zr、Nb、Mo、Ru、Rh、Pd、Hf、Ta、W中から選択される元素の別の有機若しくは無機化合物の内の少なくとも一種との、プロトン性若しくは非プロトン性極性溶媒中の均一溶液を調製し、
(b) a)からの溶液を微細に分割した無機担体と接触させて触媒前駆体を形成し、
(c) 適切な場合、得られた触媒前駆体から溶媒を除去し、そして
(d) 該触媒前駆体を350℃〜1050℃、好ましくは、400℃〜950℃の温度で、酸化条件下でか焼する
ことを含む上記オレフィンの重合用及び/又は共重合用担持触媒の製造法である。
【0010】
本発明は、本発明にしたがって製造されることのできる担持触媒及び当該触媒を使用するエチレンポリマーの製造法もさらに提供する。
最後に、本発明は本発明にしたがって製造されることのできる担持触媒を使用して得ることのできるエチレンホモポリマー及びエチレンコポリマー、並びにこれらのエチレンホモポリマー及びエチレンコポリマーを含む繊維、フィルム及び成形品も提供する。
【0011】
本発明にしたがって製造される触媒を使用して製造できるエチレンポリマーは低活性化温度でさえ高い活性と生産性を示し、高か焼温度でも高分子量ポリマーを生成する。これらのポリマーは、特に、高嵩密度及び高極限粘度(intrinsic viscosity)又は高分子質量を示す。
【0012】
本発明の目的のために、担持触媒は、担体、元素クロム並びにMg、Ca、Sr、Ba、B、Al、Si、P、Bi、Sc、V、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Zr、Nb、Mo、Ru、Rh、Pd、Hf、Ta及びW中から選択される少なくとも一種の元素と、適切な場合、一種以上の活性剤を含む触媒系である。クロムに加えて、Mg、Ca、B、Al、P、V、Zr及びZn中から選択される元素を使用するのが好適である。Zr又はZnを使用するのが特に好適である。本発明にしたがう上記元素の組合せも可能であることを強調しなければならない。簡明にするために、特定した元素の化合物を、以降二次ドーパントと称する。これは特定した元素の化合物の混合物も包含することを強調しなければならない。
【0013】
本発明のプロセスの重要な態様は、クロム化合物と二次ドーパントとの双方が担体に施用されることである。この目的のため、第1工程(a)においてクロム化合物とさらに少なくとも一種の二次ドーパントの必然的に均一な溶液を調製する。クロム化合物と二次ドーパントとを、任意の順序で、同時に又は予備混合混合物として溶媒と共に接触させることができる。クロム化合物と二次ドーパントとを、任意の順序で別々に溶媒と混合するのが好適である。反応時間は、担体材料と接触させる前に、普通、10秒〜24時間の範囲内、好ましくは、1分〜10時間の範囲内、そして特に好ましくは10分〜5時間の範囲内である。
【0014】
均一溶液からクロム及びジルコニウムの同時ドーピングがクロム及びジルコニウムの担体へ特に均一な分布を達成する。この仮定に束縛されることを望まないが、溶液の色の急激な変化が観察されるので、ジルコニウムとクロムの混合クラスターの形成がこの触媒の利点ある特性の原因であろう。
【0015】
原則として、選択した溶媒に充分に可溶性で均一溶液を形成し、しかも溶媒に不活性である、総てのクロム化合物及び上述元素の化合物を使用することができる。
6未満の価数を有する、特に好ましくは、Cr(III)化合物のクロム化合物を使用するのが好適である。この種の化合物には、例えば、水酸化クロム、三価クロムと有機酸若しくは無機酸との可溶性塩、例えば、酢酸塩、蓚酸塩、硫酸塩若しくは硝酸塩等がある。活性化中に残基が脱離することなくクロム(IV)に本質的に変換される酸の塩、例えば、クロム(III)硝酸塩九水和物のようなものが特に好適である。さらに、クロムのキレート化合物、例えば、β−ジケトン類、β−ケトアルデヒド類若しくはβ−ジアルデヒド類のクロム誘導体、及び/又はクロムの錯体、例えば、クロム(III)アセチルアセトネート若しくはクロムヘキサカルボニル、又はクロムの有機金属化合物、例えば、ビス(シクロペンタジエニル)クロム(II)、有機クロム酸(VI)エステル類若しくはビス(アレーン)クロム(0)、も同様に使用できる。
【0016】
使用できる二次ドーパントは、選択した極性溶媒に易溶性である、特定した元素の総ての有機化合物又は無機化合物等がある。これらの化合物には元素のキレート類も包含される。
【0017】
一般式 Zr(OR)n4-nのジルコニウム化合物を使用するのが好適である。式中、Rは、好ましくは、1〜20個の炭素原子を有する炭化水素基であり、好ましくは、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、tert−ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシル、n-ヘプチル、n-オクチル、ビニル、アリル、ベンジル、フェニルのような飽和若しくは不飽和アルキル基からなる群から選択され、Xは、好ましくは、ハロゲン原子、カルボアルコキシ基、カルボキシル基、アシルアルケナート(acyl alkenate)又は1〜20個の炭素原子を有する炭化水素化合物であり、nは0〜4の整数である。好適にはジルコニウム化合物は、ZrCl4、ZrO(NO32、ZrOSO4、ZrOCl2、Zr(OR)4、ジルコニウムアセテート、ジルコニウムエチルヘキサノエート、ジルコニウムペンタンジオネート及びジルコニウムアセチルアセトナートからなる群から選択される。ジルコニウム(IV)プロポキシドが特に好適である。
【0018】
好適な亜鉛化合物は、ジエチル亜鉛のような亜鉛アルキル化合物、Zn(NO32、亜鉛アセテート、亜鉛オキサレート、亜鉛アセチルアセトナート及びZnCO3からなる群から選択され、Zn(NO32が特に好ましい。
【0019】
適切な溶媒には、総てのプロトン性極性溶媒又は非プロトン性極性溶媒が包含され、有機溶媒が好適である。有機プロトン性溶媒が特に好適である。極性溶媒は永久双極子モーメントを有する溶媒である。この溶媒は、好ましくは、15、16及び17族からのヘテロ原子を含有する、飽和、不飽和若しくは芳香族有機液体である。
【0020】
本発明の目的のために、プロトン性媒体は、各場合で当該プロトン性媒体を基準に、1〜100重量%、好ましくは、50〜100重量%、そして特に好ましくは、100重量%のプロトン性溶媒若しくはプロトン性溶媒の混合物、及び99〜0重量%、好ましくは50〜0重量%、そして特に好ましくは0重量%の非プロトン性溶媒若しくは非プロトン性溶媒の混合物をなす溶媒又は溶媒混合物である。
【0021】
プロトン性溶媒は、例えば、アルコール類R1−OH、アミン類NR12-xx-1、C1〜C5カルボン酸及び無機水性酸類、例えば、希塩酸若しくは希硫酸、水、水性アンモニア又はそれらの混合物である。好適にはアルコール類R1−OHであり、ここで、R1基は、各々、互いに独立して、C1−C20−アルキル、C2−C20−アルケニル、C6−C20アリール、アルキル部分に1〜10個の炭素原子そしてアリール部分に6〜20個の炭素原子を有するアルキルアリールであり又はSiR23、R2基は、各々、互いに独立して、C1−C20−アルキル、C2−C20−アルケニル、C6−C20アリール、アルキル部分に1〜10個の炭素原子そしてアリール部分に6〜20個の炭素原子を有するアルキルアリールであり、xは1又は2である。可能な基R1又はR2は、例えば、次の:直線状若しくは分岐状であることのできるC1−C20−アルキル、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−ノニル、n−デシル若しくはn−ドデシル、置換基としてC6−C10−アリール基を順に有することのできる5〜7−員環シクロアルキル、例えば、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、シクロノナン若しくはシクロドデカン、直線状、環状若しくは分岐状であることができ、二重結合が内部若しくは末端にあることができるC2−C20−アルケニル、例えば、ビニル、1−アリル、2−アリル、3−アリル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロオクテニル若しくはシクロオクタジエニル、さらに置換基としてアルキル基を有することのできるC6−C20アリール、例えば、フェニル、ナフチル、ビフェニル、アントラニル、o−、m−、p−メチルフェニル、2,3−、2,4−、2,5−若しくは2,6−ジメチルフェニル、2,3,4−、2,3,5−、2,3,6−、2,4,5−、2、4,6−若しくは3,4,5−トリメチルフェニル、又は置換基としてさらにアルキル基を有することのできるアラルキル、例えば、ベンジル、o−、m−、p−メチルベンジル、1−若しくは2−エチルフェニル、ここで、二つのR1若しくは二つのR2は、各々の場合で、結合して5−若しくは6−員環を形成することができ、そして有機基R1及びR2は、フッ素、塩素又は臭素のようなハロゲン類により置換されることもできる。好適なカルボン酸類は蟻酸又は酢酸のようなC1−C3カルボン酸である。好適なアルコール類R1−OHは、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、1−ヘキサノール、2−エチルヘキサノール、2,2−ジメチルエタノール又は2,2−ジメチルプロパノールであり、特に、メタノール、エタノール、1−プロパノール、1−ブタノール、1−ペンタノール、1−ヘキサノール又は2−エチルヘキサノールである。プロトン媒体中の水分は、好ましくは、20重量%未満である。
【0022】
非プロトン性溶媒は、例えば、ケトン類、エーテル類、エステル類及びニトリル類であるが、それらに限定されない。
均一溶液の調製後、第2工程(b)で、活性成分を、当該溶液を微細に分割した無機担体と接触させることにより施用し、触媒前駆体を形成する。
【0023】
クロム化合物及び別の元素化合物を含む均一溶液は、好ましくは、担体に添加されるが、担体は、適切なクロム化合物を含む溶液中に懸濁させることができ、反応混合物の液体成分を連続、好ましくは均一混合をしながら蒸発させることができる。
【0024】
クロム化合物の施用は、クロム化合物の0.05重量%濃度〜15重量%濃度溶液から行い、活性化条件下でC1−C4−アルコール中クロム(VI)オキシドに変換し、各溶媒は、好ましくは、20重量%以下の水を含有する。溶媒を使用しないで、例えば、機械的混合による、担体の添加も可能である。
【0025】
クロム化合物は、極性溶媒を基準に、通常、0.05重量%〜20重量%、好ましくは、0.1〜15重量%、そして特に好ましくは0.5〜10重量%の濃度で存在する。別の元素化合物は、極性媒体を基準に、通常、0.05重量%〜30重量%、好ましくは、0.1重量%〜20重量%、そして特に好ましくは0.5重量%〜15重量%の濃度で存在する。クロム化合物対別の元素化合物のモル比は、通常、10:1〜1:10の範囲、好ましくは、5:1〜1:7の範囲、そして特に好ましくは4:1〜1:5の範囲である。
【0026】
クロム化合物及び別の元素化合物対担体の重量比は、添加中、各場合に、好ましくは、0.001:1〜200:1の範囲、より好ましくは、0.005:1〜100:1の範囲である。工程(b)の添加中に使用される溶液の量は、好ましくは、担体の細孔容積よりも少ない。
【0027】
反応工程a)及びb)は、互いに独立して、0〜150℃の温度で行うことができる。費用理由のため、双方の場合に室温が好ましい。溶媒能力を改善するため、60℃までのわずかに上昇させた温度も好適である。溶液中で形成される反応生成物の一つの最適単離を本発明にしたがって行うことができるが、それは好適でない。
【0028】
クロム化合物及び二次ドーパントの施用後(以下、基本ドーピングと称する)、触媒前駆体は、続くか焼(任意工程c)のために必要のとき、好ましくは、20℃〜150℃の温度及び10mbar〜1mbarで溶媒が殆ど除去される。これは、適切な場合、減圧及び/又は上昇させた温度で行うことができる。このようにして得られた触媒前駆体は完全に乾燥でき、又はある程度残留水分を含有できる。揮発性成分は、未だ活性化されていないクロム含有触媒前駆体を基準に好ましくは20重量%以下、特に10重量%以下依然として存在する。
【0029】
反応工程b)又はc)により得られた触媒前駆体は、直ちにd)工程に付すか、あるいはさらに別の中間工程において水不含不活性ガス雰囲気中280℃を超える温度で予めか焼できる。このか焼は、好ましくは、不活性ガス中280℃〜800℃の温度で流動床中10分〜1000分間行う。
【0030】
触媒前駆体の最終か焼(工程d)は、350℃〜1050℃、好ましくは、400〜950℃の温度で行う。本発明の目的のため、か焼は、別のことを言及しない限り、酸化性雰囲気下の触媒の熱活性化であり、施用されるクロム化合物が6価状態に完全変換されるか部分変換される。すなわち、クロムがまだ6価状態で存在しない場合、活性化される。か焼温度の選択は、調製しようとするポリマーの特性及び触媒の活性特性により決定する。上限は担体の焼結により決まり,下限は触媒の活性が低すぎることにより決まる。か焼は、好ましくは、焼結温度よりも少なくとも20℃〜100℃低い温度で行う。触媒におけるか焼温度の影響は原則として公知であり、例えば、Advanced in Catalyst, Vol.33, page 48ff に記載されている。か焼は、好ましくは、酸素含有雰囲気中で行われる。工程b)又はc)から得られる中間体は、好ましくは、流動床中で、不活性ガスの酸素含有ガスによる置換により、そして活性化温度への温度の上昇により直接活性化される。それは、適切なか焼温度で10容量%を超える酸素を含む水を含有しないガス流中で10分〜1000分間、特に、150分〜750分間加熱し、次いで、室温に冷却し、本発明にしたがって使用されるフィリップス触媒をもたらす。酸化性か焼は別にして、不活性ガス雰囲気下で、予め、又は後にか焼を行うことも可能である。
【0031】
活性化は、流動化された床中及び/又は固定床中で行うことができる。流動床反応器中の熱活性化を行うのが好適である。
触媒前駆体はフッ素でドープすることもできる。フッ素でのドーピングは、担体の調製中、遷移金属化合物の施用(基本ドーピング)中又は活性化中に行うことができる。担持触媒調製の好適実施態様では、フッ素化剤を、工程(a)で所望のクロム及びジルコニウム又は亜鉛化合物と共に溶液にし、当該溶液を工程(b)で担体に施用する。
【0032】
別の好適な実施態様では、フッ素のドーピングは、本発明のプロセスの工程(b)又は(c)に続くか焼工程(d)の間に行う。フッ素ドーピングは、特に好適には、空気中400℃〜900℃の範囲の温度で活性化と共に行う。この目的のための適切な装置は、例えば、流動床活性化装置である。
【0033】
フッ素化剤は、好ましくは、ClF3、BrF3、BrF5、(NH42SiF6(アンモニウムヘキサフルオロシリケート、略号ASF)、NH4BF4、(NH42AlF6、NH4HF2、(NH43PF6、(NH42TiF6及び(NH42ZrF6からなる群から選択される。(NH42SiF6、NH4BF4、(NH42AlF6、NH4HF2、(NH43PF6からなる群から選択されるフッ素化剤を使用するのが好適である。(NH42SiF6を使用するのが特に好適である。
【0034】
フッ素化剤は、一般に、使用する触媒の総質量を基準に、0.3重量%〜10重量%の範囲、好ましくは、0.5重量%〜8重量%の範囲、特に好ましくは、0.5重量%〜5重量%の範囲、非常に特に好ましくは、0.5重量%〜3重量%の範囲の量で使用される。使用する触媒の総質量を基準に、1重量%〜2.5重量%で使用するのが好適である。製造されるポリマーの性質は触媒中のフッ素量に応じて変動し得る。
【0035】
触媒系のフッ素添加は、フッ素添加していない触媒による重合の場合と比較して重合により得ることのできるポリマーのより狭いモル質量分布をもたらすことのできる利点がある。
【0036】
か焼後、か焼触媒は、適切な場合、例えば、CO又は水素のような還元性ガスにより、好適には350℃〜950℃で還元して、実際上触媒として活性な種を得ることができる。しかし、還元は、反応器中に存在する還元剤、例えば、エチレン、金属アルキル等により重合中にのみに行うこともできる。
【0037】
本発明のクロム触媒の別の構成は、担体材料、特に、通常多孔性の無機固体である。ヒドロキシ基も含有できる酸化物担体材料が好適である。無機金属酸化物は球状又は顆粒状であることができる。この種の固体の例は、当業者に知られており、酸化アルミニウム、二酸化珪素(シリカゲル)、二酸化チタン又はそれらの混合酸化物若しくは共ゲル、あるいは燐酸アルミニウムである。別の適切な担体材料は、例えば、元素ボロン(BE-A-861,275)、アルミニウム(US 4,284,527)、珪素(EP-A 0 166 157)若しくは燐(DE-A 36 35 710)の化合物により細孔表面積を修正することにより得ることができる。シリカゲルを使用するのが好適である。球状若しくは顆粒状シリカゲルが好適であり、球状シリカゲルは噴霧乾燥によっても得ることができる。
【0038】
好適な担体材料は微細分割シリカキセロゲルであり、例えば、DE-A 25 40 279 に記載されているようにして調製できる。
別の利点のある担体は、WO 97/48743に記載されているものである。これらは、脆い、塊状の触媒担体粒子であり、2μm〜250μmの平均粒径及び1m2/g〜1000m2/gの比表面積を有し、3μm〜10μmの平均粒径を有する主要粒子を噴霧乾燥することにより製造される。塊状の触媒担体粒子を生じさせるための主要粒子は、乾式−そして場合により湿式粉砕無機酸化物の水中スラリーを基礎にして形成される。
【0039】
特に、利点のある担体は、ヒドロゲルから次の工程により製造できる。すなわち、
i) ヒドロゲルを調製すること;
ii) このヒドロゲルを粉砕して微細粒子状ヒドロゲルを与えること、ここで、粒子の総容積を基準に、少なくとも5容積%の粒子が、0μmを超え3μm以下の範囲の粒径を有し、及び/又は粒子の総容積を基準に、少なくとも40容積%の粒子が、0μmを超え12μm以下の範囲の粒径を有し、及び/又は粒子の総容積を基準に、少なくとも75容積%の粒子が、0μmを超え35μm以下の範囲の粒径を有し;
iii) 微細粒子状ヒドロゲルに基づくスラリーを生成させること;
iv)微細粒子状ヒドロゲルを含むスラリーを乾燥させて触媒用担体を与えること
の工程である。
【0040】
工程ii)では、好適にはヒドロゲル粒子であり、キセロゲル粒子又は酸化物粒子ではない。粒径、直径又は平均粒径のために与えられる形状は、ヒドロゲル粒子を基準とする。
【0041】
ヒドロゲルは、水含有無機ヒドロキシド類であり、好ましくは、珪素に基づくヒドロキシド類であり、これらは三次元ネットワークの形状である。キセロゲルは、例えば、溶媒交換若しくは乾燥により水が除去されたゲルであり、その結果、ゲルの水分は、ゲルの総重量を基準に、40重量%未満である。ヒドロゲルの水分は、ヒドロゲルの総重量を基準に、少なくとも80重量%、好ましくは、少なくとも90重量%である。
【0042】
これに関連して、「ヒドロゲル」という用語は、担体を製造するのに適する総てのヒドロゲルを指し、好ましくは、無機酸化物に基づくヒドロゲルである。「ヒドロゲル」という用語は、好ましくは、シリコン含有出発材料に基づくヒドロゲル、より好ましくは、シリカに基づくヒドロゲルを指す。
【0043】
シリカヒドロゲルの製造は、好ましくは、水ガラスから酸性沈殿又は塩基性沈殿により行う。ヒドロゲルは、好ましくは、ナトリウム若しくはカリウム水ガラス溶液を、鉱酸、例えば、硫酸の回転流に導入することにより製造する。形成したシリカヒドロゾルは、続いて、ノズルによりガス状媒体中に噴霧される。ノズルの末端は、ガス状媒体中にヒドロゾルの凝固後、例えば、ノズルの選択により1mm〜20mmの範囲で変動できる平均粒径を有するヒドロゲル粒子を放出する。ヒドロゲル粒子は、好ましくは、2mm〜10mmの範囲、より好ましくは、5mm〜6mmの範囲の平均粒子径を有する。ヒドロゲル粒子の洗浄は、所望のいずれかの方法で、好ましくは、約50℃〜80℃の弱アンモニア水により連続向流プロセスにおいて行うことができる。球状ヒドロゲル粒子は篩い分けすることができ、好適な径を有するフラクションを単離できる。
【0044】
ヒドロゲルの噴霧乾燥は別として、従来公知のその他のヒドロゲル製造方法を同様に使用できる。例えば、ヒドロゲル、好ましくは、シリカヒドロゲルは、従来から公知の方法で製造できるが、例えば、アルカリ金属シリケート、アルキルシリケート及び/又はアルコキシシランのような珪素含有出発材料を、本発明のために使用される担体を製造するのに同様に使用できる。
【0045】
使用できるヒドロゲルの粒径は、例えば、数ミクロンから数センチメートルの範囲のような広い範囲で変動できる。使用できるヒドロゲルの粒径は、好適には1mm〜20mmであるが、ヒドロゲルケークを同様に使用できる。6mm以下の径のヒドロゲル粒子を使用するのに利点がある。これらは、例えば、顆粒状担体の製造の副生物として得られる。
【0046】
工程i)にしたがって調製できるヒドロゲルは、好ましくは、概ね球状である。工程i)にしたがって調製できるヒドロゲルは、好ましくは滑らかな表面を有することもできる。工程i)にしたがって調製できるシリカヒドロゲルは、好ましくは、SiO2として計算して、10重量%〜25重量%の範囲、好ましくは、17重量%の領域の固形分を有する。
【0047】
工程ii)で、酸化物として計算して、0重量%を超え25重量%以下の範囲、好ましくは、5重量%〜15重量%の範囲、より好ましくは、8重量%〜13重量%の範囲、特に好ましくは、9重量%〜12重量%の範囲、非常に特に好ましくは、10重量%〜11重量%の範囲の固形分を有する微細粒子状ヒドロゲルが好適に製造される。SiO2として計算して、0重量%を超え25重量%以下の範囲、好ましくは、5重量%〜15重量%の範囲、より好ましくは、8重量%〜13重量%の範囲、特に好ましくは、9重量%〜12重量%の範囲、非常に特に好ましくは、10重量%〜11重量%の範囲の固形分を有する微細粒子状シリカヒドロゲルが特に好適に工程ii)で製造される。固形分は、好ましくは、稀釈、例えば、脱イオン水の添加により設定される。
【0048】
ヒドロゲルは微細粒子状ヒドロゲルに粉砕され、当該ヒドロゲルは本発明にしたがって非常に微細な粒子に粉砕される。
粉砕したヒドロゲル粒子から製造できる担体の利点は、担体が、好ましくは、緊密な微細構造を有することである。特定の理論に束縛されるものではないが、本発明のヒドロゲル粒子は、担体の形成において高充填密度状に共に充填できると推定される。
【0049】
工程ii)にしたがって調製できるヒドロゲル粒子から本発明にしたがって製造できる担体を含む触媒系は特に良好な生産性を有利に有する。
微細粒子ヒドロゲルは、粒子の総容積を基準に、少なくとも75容積%、好ましくは、少なくとも80容積%、より好ましくは、少なくとも90容積%のヒドロゲル粒子が0μmを超え35μm以下の範囲、好適には、0μmを超え30μm以下の範囲、より好適には、0μmを超え25μm以下の範囲、好ましくは0μmを超え20μm以下の範囲、より好ましくは、0μmを超え18μm以下の範囲、さらにより好ましくは、0μmを超え16μm以下の範囲、特に好ましくは、0μmを超え15μm以下の範囲、より特に好ましくは、0μmを超え14μm以下の範囲、非常に特に好ましくは、0μmを超え13μm以下の範囲、特に0μmを超え12μm以下の範囲、より特に0μmを超え11μm以下の範囲、のとき好適分布の粒径を示す。
【0050】
微細粒子ヒドロゲルは、粒子の総容積を基準に、少なくとも75容積%、好ましくは、少なくとも80容積%、より好ましくは、少なくとも90容積%のヒドロゲル粒子が0.2μm〜35μm以下の範囲、好適には、0.2μm〜30μm以下の範囲、より好適には、0.2μm〜25μm以下の範囲、好ましくは0.2μm〜20μm以下の範囲、より好ましくは、0.2μm〜18μm以下の範囲、さらにより好ましくは、0.2μm〜16μm以下の範囲、特に好ましくは、0.2μm〜15μm以下の範囲、より特に好ましくは、0.2μm〜14μm以下の範囲、非常に特に好ましくは、0.2μm〜13μm以下の範囲、特に0.2μm〜12μm以下の範囲、より特に0.2μm〜11μm以下の範囲、のとき好適分布の粒径を示す。
【0051】
ヒドロゲル粒子から製造できる担体は高い均質性を示す。担体の高い均質性は、担体に対する触媒の施用が高い均質性で行うことができ、重合生成物が相対的に高い分子量を有することができるという利点をもたらす。
【0052】
微細粒子ヒドロゲルは、好ましくは、狭い粒度分布を有する。例えば、粒子の総容積を基準に、少なくとも40容積%、好ましくは、少なくとも50容積%、のヒドロゲル粒子が、0μmを超え10μm以下の範囲、好ましくは、0μmを超え8μm以下の範囲、より好ましくは、0μmを超え7μm以下の範囲、特に好ましくは、0μmを超え6.5μm以下の範囲、より特に好ましくは、0μmを超え6μm以下の範囲、非常に特に好ましくは、0μmを超え5.5μm以下の範囲、特に、0μmを超え5μm以下の範囲、より特に、0μmを超え4.5μm以下の範囲の粒径を示すことができる。
【0053】
さらに、粒子の総容積を基準に、少なくとも40容積%、好ましくは、少なくとも50容積%、のヒドロゲル粒子が、0.1μm〜10μm以下の範囲、好ましくは、0.1μm〜8μm以下の範囲、より好ましくは、0.1μm〜7μm以下の範囲、特に好ましくは、0.1μm〜6.5μm以下の範囲、より特に好ましくは、0.1μm〜6μm以下の範囲、非常に特に好ましくは、0.1μm〜5.5μm以下の範囲、特に、0.1μm〜5μm以下の範囲、より特に、0.1μm〜4.5μm以下の範囲の粒径を示すのが好適である。
【0054】
有利には、粒子の総容積を基準に、少なくとも40容積%、好ましくは、少なくとも50容積%、のヒドロゲル粒子が、0.2μm〜10μm以下の範囲、好ましくは、0.2μm〜8μm以下の範囲、より好ましくは、0.2μm〜7μm以下の範囲、特に好ましくは、0.2μm〜6.5μm以下の範囲、より特に好ましくは、0.2μm〜6μm以下の範囲、非常に特に好ましくは、0.2μm〜5.5μm以下の範囲、特に、0.2μm〜5μm以下の範囲、より特に、0.2μm〜4.5μm以下の範囲の粒径を示すのが好適である。
【0055】
粒子の総容積を基準に、少なくとも5容積%、好ましくは、少なくとも7.5容積%、特に好ましくは、少なくとも10容積%、のヒドロゲル粒子について、0μmを超え2.8μm以下の範囲、特に好ましくは、0μmを超え2.5μm以下の範囲の粒径を示すのが有利である。粒子の総容積を基準に、少なくとも5容積%、好ましくは、少なくとも7.5容積%、特に好ましくは、少なくとも10容積%、のヒドロゲル粒子について、0μmを超え2.4μm以下の範囲、好ましくは、0μmを超え2.2μm以下の範囲、特に好ましくは、0μmを超え2.0μm以下の範囲の粒径を示すのが特に有利であり、0μmを超え1.8μm以下の範囲、好ましくは、0μmを超え1.6μm以下の範囲、特に好ましくは、0μmを超え1.5μm以下の範囲が好適である。
【0056】
粒子の総容積を基準に、少なくとも5容積%、好ましくは、少なくとも7.5容積%、特に好ましくは、少なくとも10容積%、のヒドロゲル粒子について、0.1μm〜2.8μm以下の範囲、特に好ましくは、0.1μm〜2.5μm以下の範囲の粒径を示すのがより有利である。粒子の総容積を基準に、少なくとも5容積%、好ましくは、少なくとも7.5容積%、特に好ましくは、少なくとも10容積%、のヒドロゲル粒子について、0.1μm〜2.4μm以下の範囲、好ましくは、0.1μm〜2.2μm以下の範囲、特に好ましくは、0.1μm〜2.0μm以下の範囲の粒径を示すのが特に有利であり、0.1μm〜1.8μm以下の範囲、好ましくは、0.1μm〜1.6μm以下の範囲、特に好ましくは、0.1μm〜1.5μm以下の範囲が好適である。
【0057】
粒子の総容積を基準に、少なくとも5容積%、好ましくは、少なくとも7.5容積%、特に好ましくは、少なくとも10容積%、のヒドロゲル粒子について、0.2μm〜2.8μm以下の範囲、特に好ましくは、0.2μm〜2.5μm以下の範囲の粒径を示すのが特に有利である。粒子の総容積を基準に、少なくとも5容積%、好ましくは、少なくとも7.5容積%、特に好ましくは、少なくとも10容積%、のヒドロゲル粒子について、0.2μm〜2.4μm以下の範囲、好ましくは、0.2μm〜2.2μm以下の範囲、特に好ましくは、0.2μm〜2.0μm以下の範囲の粒径を示すのが特に有利であり、0.2μm〜1.8μm以下の範囲、好ましくは、0.2μm〜1.6μm以下の範囲、特に好ましくは、0.2μm〜1.5μm以下の範囲が好適である。特に有利には、粒子の総容積を基準に、少なくとも10容積%のヒドロゲル粒子が、0.5μm〜3μm以下の範囲、より好ましくは、0.5μm〜2.5μm以下の範囲の粒径を示す。
【0058】
工程ii)において、粒子の総容積を基準に、少なくとも10容積%のヒドロゲル粒子が、0μmを超え2.5μm以下の範囲の粒径を有する好ましくは狭い粒径分布の粒子を有する微細粒子ヒドロゲルを製造するのが好適であり、0μmを超え2.0μm以下の範囲、好ましくは、0μmを超え1.8μm以下の範囲、特に好ましくは、0μmを超え1.6μm以下の範囲が好適であり;及び/又は粒子の総容積を基準に、少なくとも50容積%のヒドロゲル粒子が、0μmを超え8μm以下の範囲の粒径を有する好ましくは狭い粒径分布の粒子を有する微細粒子ヒドロゲルを製造するのが好適であり、0μmを超え7μm以下の範囲、好ましくは、0μmを超え5μm以下の範囲、特に好ましくは、0μmを超え4μm以下の範囲が好適であり、及び/又は粒子の総容積を基準に、少なくとも90容積%のヒドロゲル粒子が、0μmを超え21μm以下の範囲の粒径を有する好ましくは狭い粒径分布の粒子を有する微細粒子ヒドロゲルを製造するのが好適であり、0μmを超え16μm以下の範囲、好ましくは、0μmを超え14μm以下の範囲、特に好ましくは、0μmを超え12μm以下の範囲が好適である。
【0059】
さらに、粒子の総容積を基準に、少なくとも5容積%の粒子が2μm以上の範囲の粒径を有することができ;及び/又は粒子の総容積を基準に、少なくとも10容積%の粒子が1μm以上の範囲の粒径を有することができる。
【0060】
ヒドロゲルは1μm〜8μmの範囲の平均粒径を有することができる。ヒドロゲルは、好ましくは、1.2μm〜6μmの範囲、好ましくは、1.5μm〜5μmの範囲、特に好ましくは、2μm〜4μmの範囲の平均粒径を有する。
【0061】
表示した粒径はヒドロゲル粒子に関し、好ましくは、水が除去されているか又は酸化物からのゲルの粒子に関するものではない。ヒドロゲル粒子のサイズは、ゲルの乾燥により乾燥させていないヒドロゲルのサイズの十分の一に減少する。表示したヒドロゲル粒子のサイズは、それが粉砕されるときの点まで水が除去されなかったヒドロゲルに関する。表示した粒径は、好ましくは、無機酸化物、酸化物−ヒドロキシド及び/又はキセロゲルの水中若しくは別の溶媒中のスラリーから形成される粒子に関するものではない。本発明にしたがって、調製できるヒドロゲル粒子の表示サイズは、したがって、好ましくは、従来技術で使用される粒子と非常に異なる粒子に関する。
【0062】
本発明では、工程ii)でヒドロゲルを粉砕するのが好適である。粉砕工程中、ヒドロゲルは、好ましくは、酸化物及び/又はキセロゲルの添加がない。ヒドロゲルは、好ましくは、湿式(moist and/or wet)で粉砕し、微細粒子ヒドロゲルを形成する。湿式粉砕とは、好ましくは、粉砕の点まで乾燥されていない及び/又は粉砕前水が除去されていないヒドロゲルの粉砕について言及する。さらに、粉砕条件は、好ましくは、粉砕工程中ヒドロゲルから水を除去しないように選択する。ヒドロゲルは、好ましくは、工程ii)で乾燥粉砕しない及び/又は乾燥−粉砕ヒドロゲル、キセロゲル、酸化物、酸化物−ヒドロキシド及び/又はその混合物を工程ii)で加えない。
【0063】
本発明の目的のため、用語「酸化物−ヒドロキシド」は、対応する酸化物を形成するような程度に化合物から水を除去しないで、ヒドロゲルよりもより低い水分を有する化合物について言及する。
【0064】
ヒドロゲルの粉砕は、適当な粉砕器、例えば、ピンミル又は緩衝板ミル中で行うことができ、ヒドロゲルは、好ましくは、攪拌下のボールミル中で湿式粉砕する。ヒドロゲルの粉砕は、1工程及び/又は1粉砕器中で、又は複数工程で及び/又は種々の粉砕器で行うことができる。ヒドロゲルを微細に粉砕する前に、ヒドロゲルは予備粉砕(precomminuted or premilled)することができる。
【0065】
触媒用担体の利点ある特性はヒドロゲル粒子の粉砕からをもたらされる。本発明の方法により製造できる担体は、触媒化合物の施用後、好適な実施態様では、驚くべき高い生産性を示す担持触媒をもたらす。これは、従来の教示では、非常に小さい、微細粉砕ヒドロゲル粒子が、非常に高い充填密度を示す担体粒子をもたらし、触媒の生産性の減少を引き起こすとされていたので、特に驚くべきことである。
【0066】
微細粒子状ヒドロゲル粒子は粉砕後篩にかけることができる。この微細粒子状ヒドロゲルは、微細粒子状湿潤ヒドロゲル、好ましくは、シリカヒドロゲルを含むスラリーを製造するのに使用する。スラリーの製造は、例えば、固形分の調整、pHの調整、粘度の調整、ヒドロキシド、酸化物−ヒドロキシド、酸化物及び/又は塩類、添加剤及び又は充填材の添加を包含することができる。
【0067】
担体を製造するための上述方法に適した無機ヒドロキシド、酸化物−ヒドロキシド及び/又は酸化物は、例えば、シリコン、アルミニウム、チタン、ジルコニウム及び周期律表I主族及びII主族の金属ならびにその混合物のヒドロキシド、酸化物−ヒドロキシド及び酸化物からなる群から選択される。無機ヒドロキシド、酸化物−ヒドロキシド、酸化物及び/又は塩、好ましくは、SiO2、Al23、MgO、AlPO4、TiO2、ZrO2、Cr23およびその混合物からなる群から選択されるものは、好ましくは、工程iii)のスラリーに加えられる。Al23、AlOOH、AlPO4及びZrO2からなる群から選択される無機ヒドロキシド、酸化物−ヒドロキシド、酸化物及び/又は塩が非常に特に好適である。酸化マグネシウム及び/又は層状珪酸塩も好適である。アルミニウム珪酸塩又はマグネシウム珪酸塩のような混合酸化物を使用することも可能である。新たに製造できるヒドロキシド、酸化物−ヒドロキシド、酸化物及び/又は塩を加えることが可能であるが、商業的に入手できる組成物も可能である。湿式粉砕無機ヒドロキシド、酸化物−ヒドロキシド及び/又酸化物を水性スラリーに加えるのが好適である。本発明では、工程iii)で製造しようとする水性スラリーを、SiO2、Al23、MgO、AlPO4、TiO2、ZrO2、Cr23およびその混合物からなる群から選択される乾式粉砕無機酸化物を添加しないで与えることもできる。
【0068】
添加したヒドロキシド、酸化物−ヒドロキシド、酸化物及び/又は塩の割合は広い範囲内で変動できる。添加したヒドロキシド、酸化物−ヒドロキシド、酸化物及び/又は塩の割合は、好ましくは、スラリーの総固形分を基準に1重量%〜70重量%である。工程iii)のスラリーに、スラリーの総固形分を基準に≦10重量%、好ましくは、≦5重量%、特に好ましくは、≦2重量%の範囲の量の無機ヒドロキシド、酸化物−ヒドロキシド、酸化物及び/又は塩を加えるのが好適である。アルミニウム化合物がより高い重量割合で有利に加えることができる。
【0069】
アルミニウムの化合物、例えば、AlOOH(pseudobohemite)、AlPO4、および/またはAl23をスラリーに添加するのが好適である。総固形分を基準に1重量%〜30重量%の範囲、好ましくは、5重量%〜20重量%の範囲の量でAlOOHを、工程iii)のスラリーに加えるのが好適である。さらに、総固形分を基準に3重量%〜18重量%の範囲、好ましくは、5重量%〜15重量%の範囲、より好ましくは、6重量%〜12重量%の範囲、特に好ましくは、6重量%〜10重量%の範囲の量でAlOOHを、スラリーに加えるのが好適である。
【0070】
ヒドロキシド化合物、特に、AlOOHの添加に関連して報告される重量%は、特記しない限り、酸化物として計算した総固形分を基準に、酸化物、特にAl23を基にして計算される。
【0071】
さらに、総固形分を基準に、1重量%〜30重量%の範囲、好ましくは、5重量%〜20重量%の範囲の量のAl23を工程iii)のスラリーに加えることができる。さらに、総固形分を基準に3重量%〜18重量%の範囲、好ましくは、5重量%〜15重量%の範囲、より好ましくは、6重量%〜12重量%の範囲、特に好ましくは、6重量%〜10重量%の範囲の量でAl23を、スラリーに加えるのが好適である。アルミニウム化合物は、例えば、市販製品の形態、Sasol Ltd.およびNabaltec GmbH社から入手できるPural SB、Disperalおよび/またはApyralの形態で加えることができる。
【0072】
AlPO4は、総固形分を基準に、例えば、30重量%〜70重量%のような広く変動する重量割合でスラリーに加えることができる。
さらに、ジルコニウムのヒドロキシド、酸化物−ヒドロキシド及び/又は酸化物、例えば、水酸化ジルコニウム及び/又はZrO2をスラリーに添加できる。水酸化ジルコニウム及び/又はZrO2は、好ましくは、湿式粉砕される。総固形分を基準に、1重量%〜10重量%の範囲、好ましくは、2重量%〜6重量%の範囲の量のZrO2を有利にスラリーに添加できる。
【0073】
添加するヒドロキシド、酸化物−ヒドロキシド及び/又は酸化物は、好ましくは、湿式粉砕される。さらに、ヒドロキシド、酸化物−ヒドロキシド及び/又は酸化物は、好ましくは、1μm〜10μmの範囲の平均粒径を有する。ヒドロキシド、酸化物−ヒドロキシド及び/又は酸化物は別々に粉砕することができ(好ましくは、湿式で)るが、それは、工程iii)で、場合により、再度粉砕される(好ましくは、湿式粉砕で)ために添加され得る、微細に粉砕されたヒドロゲルならびにヒドロキシド、酸化物−ヒドロキシド及び/又は酸化物を含むスラリーについても、本発明にしたがって行うことができる。スラリーの粉砕を何度も繰り返すことができる。
【0074】
工程iii)で好ましくは水性スラリーが生成されるが、しかし、スラリーの溶媒を、少なくとも部分的に置き換えることができ、例えば、水性スラリーは、有機溶媒、例えば、脂肪族アルコール、好ましくは、トルエン及び/又はメタノール/グリセリン混合物を含むことができる。スラリーの溶媒の置換は、好ましくは、スラリーの総容積の50容積%までの水を含む。スラリーは、好ましくは、スラリーの総重量を基準に少なくとも50重量%の水分を有する。担体粒子の噴霧乾燥は、例えば、好ましくは、水性溶液から行われるが、噴霧乾燥前に溶媒の少なくとも一部を置換するのが有利であり得る。
【0075】
スラリーのpHは、中性〜塩基性領域の値に設定するのが有利であり得る。スラリーのpHは、8〜11の範囲の値に調整するのが有利であり得るが、調整後のスラリーのpHは、好ましくは、8〜10の範囲内である。スラリーのpH調整は適切な酸又は塩基により行うことができるが、好ましくは、スラリーのpHはNH4OHにより調整する。
【0076】
工程iii)のスラリーの粘度は、有利に修正できる。スラリー粘度を、例えば、アルカリ土類金属の化合物、好ましくは、アルカリ土類金属のヒドロキシド及び酸化物からなる群から選択される化合物、例えば、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、酸化マグネシウム及び酸化カルシウムからなる群から選択される化合物の添加により増加させることができる。総固形分を基準に、1重量%〜10重量%の範囲、好ましくは、2重量%〜4重量%の範囲の量のCa(OH)2及び/又はMg(OH)2を工程iii)のスラリーに加えるのが好適である。スラリーの粘度は、例えば、噴霧乾燥により製造できる担体粒子の粒径について重要性がある。
【0077】
バインダーを与えることもでき、当該バインダーは、例えば、噴霧乾燥の間、粒子形成プロセスを助け、加えようとする粒子の凝集性を改良する。バインダーとして、特に微細な、例えば、無機酸化物のコロイダル粒子を使用することが可能である。しかし、補助剤例えば、セルロース誘導体、ポリスチレン及び/又はポリメチルメタクリレートのようなポリマーもバインダーとして添加できる。ヒドロキシメチルセルロースを、好ましくは、総固形分を基準に、0.1重量%〜10重量%の範囲、特に好ましくは、1重量%〜2重量%の範囲で工程iii)のスラリーに加えるのが有利である。
【0078】
スラリーの固形分は、触媒の担体の製造に重要である。総重量を基準に10重量%〜25重量%の範囲の高固形分を使用するのが普通である。本発明では、スラリーの固形分を、乾燥前に工程iii)の総重量を基準に、≦20重量%、好ましくは、≦15重量%、より好ましくは、≦12重量%、特に好ましくは、≦10重量%、より特に好ましくは、5重量%〜10重量%の範囲、非常に特に好ましくは、8重量%〜10重量%の範囲に設定する。
【0079】
スラリーの低固形分が、驚いたことに、特に利点のある粒径を有する担体粒子をもたらす。
乾燥前の粒径を再度監視することができ、例えば、スラリーを、例えば適切なサイズの篩により濾過及び/又は篩いがけすることができる。
【0080】
工程i)〜iv)の順序は、記載した順序に限定されないが、しかし、記載した順序で工程を行うのが好ましい。
担体を与える微細粒子状ヒドロゲルを含むスラリーの乾燥は、好ましくは、スプレー噴霧により行われる。しかし、本発明では、他の方法により乾燥を行うことも好ましく、例えば、熱による乾燥、減圧下の乾燥及び/又は有機溶媒による水の抽出による等がある。さらに、微細粒子状ヒドロゲルを含むスラリーの乾燥は、適当な方法の組合せによっても行うことができる。さらに、例えば、噴霧乾燥した担体粒子をさらに熱によって乾燥させることができる。微細粒子状ヒドロゲルを含むスラリーの乾燥は、好ましくは、噴霧乾燥によって行うことができる。
【0081】
担体粒子は、好ましくは、微細粒子状ヒドロゲルを含むスラリーを噴霧乾燥することにより製造できる。噴霧乾燥の条件は広い範囲内で変動できる。噴霧乾燥後の担体粒子の特性はスラリーの特性により大きく影響され、その結果、個々の噴霧乾燥パラメーターは担体の特性に対して概して重要でない。担体粒子の所望の特性を達するための噴霧乾燥パラメーター、例えば、温度、ガス量、ガス導入及び排出温度及び/又は開始時及び最終時の水分の設定は当業者に公知であり、装置の特性にしたがって選択される。
【0082】
噴霧乾燥により好ましくは製造されることのできる担体粒子は概ね球形、すなわち、球体様形状である。噴霧乾燥後の担体の望ましい平均粒径は広範囲内に変動でき、担体の使用に合わせて適切に調整することができる。担体の平均粒径はこのようにして設定でき、例えば、種々の重合プロセスに適するように設定できる。
【0083】
噴霧乾燥により好ましくは製造されることのできる担体粒子は、好ましくは、1μm〜350μm、好ましくは、30μm〜150μmそして特に好ましくは、40μm〜100μmの範囲の平均粒径を有する。噴霧乾燥により好ましくは製造されることのできる担体粒子は、好ましくは、30μm〜90μmの範囲、より好ましくは、40μm〜70μmの範囲、特に40μm〜50μmの範囲、そして非常に特に好ましくは40μm〜55μmの範囲の平均粒径を有する。
【0084】
粒子の総容積を基準に担体粒子の70容積%〜90容積%、好ましくは、粒子の80容積%を与えるのが好適であり、≧40μm〜90μmの範囲内の平均粒径を有する。
スラリー重合プロセスの重合に好ましくは使用されることのできる担体粒子は350μmまでの平均粒径を有することができ、それらは、好ましくは、30μm〜150μmの範囲の平均粒径を有する。気相流動床プロセスの重合に好ましくは使用されることのできる担体粒子は、好ましくは、30μm〜120μmの範囲内の平均粒径を有する。懸濁プロセスの重合に好ましくは使用されることのできる担体粒子は、好ましくは、30μm〜300μmの範囲内の平均粒径を有する。ループプロセスの重合に好ましくは使用されることのできる担体粒子は、好ましくは、30μm〜150μmの範囲内の平均粒径を有する。例えば、固定床反応器中の重合に使用できる担体粒子は、≧100μm、好ましくは、≧300μmの平均粒径、より好ましくは1mm〜10mmの範囲、特に好ましくは2mm〜8mmの範囲そしてさらにより好ましくは2.5mm〜5.5mmの範囲の平均粒径を有利に有する。
【0085】
粒子の総容積を基準に、工程iv)で製造できる担体粒子の10容積%〜90容積%が40μm〜120μmの範囲内の粒径を有するのが好適であり、粒子の総容積を基準に、粒子の30容積%〜80容積%が30μm〜70μmの範囲内の粒径を有するのが好適である。30μm〜70μmの範囲内の担体粒子の粒径を与えるのが好適である。
【0086】
工程iv)で製造できる担体粒子は好ましくは、特に噴霧乾燥器から排出される粒子分布を示し、ここで、粒子の総容積を基準に、≧90容積%が16μm〜500μmの範囲内のサイズを有する粒子を構成し、≧75容積%が32μm〜300μmの範囲内のサイズを有する粒子を構成し、そして≧30容積%が48μm〜150μmの範囲内のサイズを有する粒子を構成する。
【0087】
乾燥後、特に噴霧乾燥後の担体粒子は、低微細物含有量を有するのが特に有利である。本発明の目的のために、担体粒子の微細物含有量は、25μm未満、好ましくは、22μm未満、特に好ましくは20.2μm未満の粒径を有する担体粒子の割合である。粒子の総容積を基準に、乾燥後の粒子の5容積%未満について、0μmを超え、25μm以下の範囲、好ましくは、0μmを超え、22μm以下の範囲、特に好ましくは、0μmを超え、20.2μm以下の範囲の粒子を有するのが有利である。粒子の総容積を基準に、粒子の3容積%未満、特に好ましくは、2容積%未満について、0μmを超え、25μm以下の範囲、好ましくは、0μmを超え、22μm以下の範囲、特に好ましくは、0μmを超え、20.2μm以下の範囲の粒子を与えるのが好適である。粒子の総容積を基準に、粒子の5容積%未満、好ましくは、2容積%未満が、0μmを超え、10μm以下の範囲の粒子を有するのが好適である。
【0088】
さらに、粒子の総容積を基準に、粒子の30容積%未満、好ましくは、20容積%未満、特に好ましくは15容積%未満、非常に特に好ましくは、10容積%未満が、0μmを超え、35μm以下の範囲、好ましくは、0μmを超え、32μm以下の範囲の粒子を与えるのが好適である。
【0089】
担体粒子中に高微細物含有量は、続いて、これらの担体を使用して製造したポリマー中に一定量の微細ダストをもたらす。したがって、本発明にしたがって使用される担体の大きな利点は、特に噴霧乾燥後に低微細物含有量の担体粒子をもたらす。
【0090】
本プロセスにより製造した担体粒子は、1.6ml/g未満の範囲、より好ましくは、1.2ml/g未満の範囲、特に好ましくは0.8ml/g〜1.25ml/gである細孔容積を有する。
【0091】
製造した担体粒子の孔径は、好ましくは、200Å未満の範囲、より好ましくは、150Å未満の範囲、特に好ましくは、50Å〜130Åの範囲である。
顆粒担体に基づく触媒は、しばしば、噴霧乾燥担体と比較して生産性がより低い。さらに、顆粒担体は、しばしば、噴霧乾燥担体と比較してより高い強度を有する。顆粒担体と比較した本プロセスにより製造される担体の驚くべき利点は、それらが、特に好適な実施態様で、匹敵する強度で顆粒担体よりもより高い触媒活性を示すことである。
【0092】
無機担体の表面積は、同様に乾燥プロセス、特に噴霧乾燥プロセスにより広範囲に変動し得る。無機担体の粒子、特に噴霧乾燥からの製造物を与えるのが好適であり、これらの粒子は、100m2/g〜1000m2/gの範囲、好ましくは、150m2/g〜700m2/gの範囲及び特に好ましくは200m2/g〜500m2/gの範囲の表面積を有する。重合に使用できる担体は、好ましくは、200m2/g〜500m2/gの範囲の表面積を有する。担体粒子の特定の表面積は、BET法にしたがう窒素吸収により決定される粒子の表面積である。
【0093】
触媒の無機担体の見かけ密度は、好ましくは、250g/l〜1200g/lであり、この見かけ密度は担体の水分に応じて変動し得る。水含有担体粒子の見かけ密度は、好ましくは、500g/l〜1000g/lの範囲、より好ましくは、600g/l〜950g/lの範囲、特に好ましくは、650g/l〜900g/lの範囲である。水が存在しても、非常に僅か含有する担体の場合、見かけ密度は、好ましくは、250g/l〜600g/lである。
【0094】
本発明で使用する担体は、好ましくは、シリカヒドロゲルに基づいて製造される。したがって、担体は、好ましくは、高割合のSiO2を含む。担体の珪素含有量は、担体の総重量を基準に、≧10重量%、好ましくは、≧15重量%、より好ましくは、≧20重量%、特に好ましくは、≧25重量%、より特に好ましくは、≧30重量%、特別に≧40重量%、非常に特に好ましくは、≧50重量%である。
【0095】
アルミニウムを、微細粒子状ヒドロゲル、好ましくは、Al23、AlPO4及びAlOOHからなる群から選択される化合物の形態の、好ましくは、シリカヒドロゲルを基準に、スラリーに加えることができる。担体のアルミニウム含量は、担体の総重量を基準に、≧5重量%、好ましくは、≧10重量%、より好ましくは、≧15重量%、より好ましくは、≧20重量%、特に好ましくは、≧25重量%、さらにより特に好ましくは≧30重量%、特に、≧40重量%、非常に特に好ましくは、≧50重量%で与えるのが好ましい。
【0096】
さらに、ジルコニウムを、微細粒子状ヒドロゲル、好ましくは、ジルコニウムヒドロキシド、ジルコニウムオキシド−ヒドロキシド、ZrO2、ZrO(NO32、ZrOSO4、ZrOCl2、Zr(OR)4及びZr(OOCR)4(式中、Rは、好ましくは、1〜20個の炭素原子を有する置換若しくは無置換アルキル、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、ビニル、アリル、ベンジル及びフェニルからなる群から選択される化合物の形態の、好ましくは、ジルコニウムヒドロゲルを基準に、スラリーに加えることができる。
【0097】
担体のジルコニウム含有量は、担体の総重量を基準に、0.1重量%〜10重量%の範囲内、好ましくは、0.5重量%〜5重量%の範囲内、より好ましくは、1重量%〜4重量%の範囲内、特に好ましくは、2重量%〜3重量%の範囲内である。
【0098】
さらに、チタンを、微細粒子状ヒドロゲル、好ましくは、チタンヒドロキシド、チタンオキシド−ヒドロキシド、TiO2、TiO(NO32、Ti(OR)4及びTi(OOCR)4(式中、Rは、好ましくは、1〜20個の炭素原子を有する置換若しくは無置換アルキル、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、ビニル、アリル、ベンジル及びフェニルからなる群から選択される化合物の形態の、好ましくは、チタンヒドロゲルを基準に、スラリーに加えることができる。担体のチタン含有量は、担体の総重量を基準に、0.1重量%〜10重量%の範囲内、好ましくは、0.5重量%〜5重量%の範囲内、より好ましくは、1重量%〜4重量%の範囲内、特に好ましくは、2重量%〜3重量%の範囲内である。
【0099】
また、適切な担体材料は公知であり、商業的に入手できる。
担体材料は、本発明のプロセスで使用する前に、部分的に若しくは完全に修正することもできる。例えば、担体材料を200℃〜1000℃の温度、酸化性若しくは非酸化性の条件下で処置でき、適切な場合、アンモニウムヘキサフルオロシリケートのようなフッ素化剤の存在下で処置できる。このように、とりわけ水分及び/又はOH基含有量を変動させることができる。担体材料は、本発明のプロセスに使用する前に、好ましくは、減圧下、1〜10時間、100〜200℃で乾燥する。
【0100】
担持した触媒は、好ましくは、下記の工程を含むプロセスにより製造される:
(a) 有機若しくは無機クロム化合物及びII族の元素、B、Al、Si、P、Bi、Sc、V、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Zr、Nb、Mo、Ru、Rh、Pd、Hf、Ta、Wの中から選択される少なくとも1種の別の有機若しくは無機化合物を含む、極性又は非プロトン性極性溶媒中の均一溶液を調製する、
(b) a)からの溶液を、元素Si及び/又はAlの酸化物又はヒドロキシドを含む微細無機担体と接触させる、
(c) 適切な場合、固体から溶媒を除去する、そして
(d) 酸化性条件下で400〜1050℃の温度で固体をか焼する
各工程である。
【0101】
本発明のプロセスにより製造できる担持触媒は、特に、オレフィンの重合及び/又は共重合に使用できる。したがって、本発明は、本発明で製造した担持重合触媒の存在下でエチレン及び、適切な場合コモノマーとしてC3−C20−オレフィンの重合によるエチレンポリマーを製造方法を提供する。
【0102】
本発明で製造できる触媒系は、公知の触媒重合プロセス、例えば、懸濁重合法、溶液重合法及び/又は気相重合法等に使用できる。適当な反応器は、例えば、連続操作攪拌機装備反応器、ループ反応器、流動床反応器、水平式若しくは垂直式攪拌機装備粉末床反応器、管型反応器又はオートクレーブ等である。勿論、連結させた複数の反応器で反応を行うこともできる。反応時間は、各場合に選択した反応条件に有意に依存する。普通、0.2時間〜20時間の範囲、殆どの場合、0.5時間〜10時間である。重合反応のための有利な圧力及び温度範囲は広い範囲内で変動でき、好ましくは、重合法に依存して、−20℃〜300℃の範囲及び/又は1バール〜4000バールである。
【0103】
流動床又は微細粒子状ポリマーの懸濁を含む反応器中で、0.5〜6MPaの圧力及び30〜150℃の温度で重合を行うのが好適である。
溶液重合法では、温度は、好ましくは、110℃〜250℃の範囲、より好ましくは、120℃〜160℃の範囲である。溶液重合法では、圧力は、好ましくは、150バールまでの範囲である。懸濁重合では、圧力は、好ましくは、重合は、普通、懸濁媒体中、好ましくは、アルカン中で行う。懸濁重合法の重合温度は、好ましくは、50℃〜180℃の範囲、より好ましくは、65℃〜120℃の範囲であり、圧力は、好ましくは、5バール〜100バールの範囲である。重合における各成分の添加の順序は、一般に重要でない。重合容器に最初にモノマーを入れ、次いで、触媒を添加するか、又は溶媒と共に触媒系を最初、装填し、次いでモノマーを添加することが可能である。
【0104】
場合により、帯電防止剤を重合に加えることができる。好適な帯電防止剤は、例えば、ZnO及び/又はMgO等であり、これらの帯電防止剤は、触媒混合物の総量を基準に、好ましくは、0.1重量%〜5重量%の範囲の量で使用できる。ZnO又はMgOの水分は、個々の総質量を基準に、好ましくは、0.5重量%未満、より好ましくは、0.3重量%未満である。使用できる市販製品の例は、Dupont社から入手できるStadis 450である。使用できる帯電防止剤は、例えば、EP 229368、US 5026795及びUS 4182810等から公知である。
【0105】
重合は回分式、例えば、攪拌中のオートクレーブで行うことができ、あるいは、連続式、例えば、管反応器、好ましくはループ反応器で行うことができる。特に、US−A3242150及びUS−A3248179に記載されているフィリップスPF法により行うことができる。混合物のすべての成分が最初生成し、さらに重合の間にモノマー若しくはモノマー混合物を測り込む半連続式プロセスも使用できる。
【0106】
重合及び/又は共重合は、気相流動床プロセス及び/又は懸濁プロセスとして行うのが特に好ましい。気相重合は、濃縮、超濃縮又は超臨界モードで行うこともできる。所望の場合、異なる又は同一の重合プロセスを、重合カスケードを形成するように連結することもできる。さらに、重合プロセスにおいて、水素のような添加物を使用し、ポリマー特性を調節できる。所望の場合、水素を分子量調節剤として使用できる。
【0107】
一般に、1μm〜400μmの範囲、好ましくは、40μm〜200μmの範囲の粒径の担持触媒を使用できるが、固定床反応器では、0.5mm〜10mmの範囲の粒径の担持触媒を使用するのが好適である。
【0108】
気相流動床プロセスにおける重合及び/又は共重合は、30μm〜300μmの範囲、好ましくは、40μm〜100μmの範囲、特に好ましくは、40μm〜80μmの範囲の触媒粒子の平均粒径を有する担持触媒を使用して好ましくは行われる。
【0109】
懸濁法における重合及び/又は共重合は、30μm〜350μmの範囲、好ましくは、40μm〜100μm範囲の触媒粒子の平均粒径を有する担持触媒を使用して好ましくは行われる。
【0110】
本発明で製造できる担持触媒を使用する重合及び/又は共重合では、0μmを超え、125μm以下の範囲の粒径を有するポリマーの排出は、特定の実施態様では、総排出を基準に、5容積%の未満、好ましくは、2容積%未満、特に好ましくは1容積%未満の範囲において利点がある。
【0111】
本発明で製造できる担持触媒を使用する気相流動床プロセスにおいて重合及び/又は共重合では、0μmを超え、125μm以下の範囲の粒径を有するポリマーの排出は、排出を総容積を基準に、5容積%の未満、好ましくは、2容積%未満、特に好ましくは1容積%未満の範囲において利点がある。本発明で製造できる担持触媒を使用する懸濁プロセスにおいて重合及び/又は共重合では、0μmを超え、125μm以下の範囲の粒径を有するポリマーの排出は、排出の総容積を基準に、5容積%の未満、好ましくは、2容積%未満、特に好ましくは1容積%未満の範囲においても利点がありうる。
【0112】
さらに、本発明で製造できる担持触媒を使用する重合及び/又は共重合では、0μmを超え、250μm以下の範囲の粒径を有するポリマーの排出は、好適実施態様では、排出の総容積を基準に、12容積%の未満、好ましくは、10容積%未満、より好ましくは、8容積%未満、特に好ましくは6容積%未満、そして非常に特に好ましくは5容積%の範囲において利点がある。
【0113】
本発明で製造できる担持触媒を使用する気相流動床プロセスにおいて、特に1−アルケンの重合及び/又は共重合では、0μmを超え、250μm以下の範囲の粒径を有するポリマーの排出は、排出の総容積を基準に、12容積%の未満、好ましくは、10容積%未満、より好ましくは、8容積%未満、特に好ましくは6容積%未満、そして非常に特に好ましくは、5容積%の範囲において利点がありうる。本発明で製造できる担持触媒を使用する懸濁プロセスにおいて重合及び/又は共重合では、0μmを超え、250μm以下の範囲の粒径を有するポリマーの排出は、排出の総容積を基準に、好ましくは、12容積%の未満、より好ましくは、10容積%未満、さらに好適には、8容積%未満、特に好ましくは6容積%未満、そして非常に特に好ましくは、5容積%未満の範囲においても利点がありうる。
【0114】
本発明のプロセスにより製造できる担体を使用する重合プロセスで達成できる非常に低い微細ダスト排出は本発明の特別の利点である。微細ポリマーダストの低排出により、改良した特性を有するポリマー製品、例えば、ポリマーフィルムにおいて改良したフイルム品質及びより低頻度でしか斑点が生じないフィルムがもたらされる。この微細ポリマーダストの低排出により、重合プロセスの顕著に良好な取扱容易性ももたらされうる。微細ポリマーダストの低排出により、塊の形成、壁上の付着物及び反応器中の凝集物(特に気相プロセスでは、排出ラインを詰まらせ、プラントの操業停止や洗浄をもたらし得る)の防止又は少なくとも顕著な減少を有利にもたらすことができる。
【0115】
本発明で製造できる担持触媒系は、本発明で製造できる担持触媒系を使用する特に好適な実施態様で、高盛込密度(poured density)及び少割合しか微細及び/又は非常に微細な物質を有しないポリマー及び/又はコポリマー(特に、1−アルケンから製造できるもの)の製造を可能にする。
【0116】
本発明のプロセスにより製造した触媒の使用の結果として、懸濁重合反応器または気相流動床反応器中で、少なくとも460kg/m3、好ましくは少なくとも470kg/m3の盛込密度を有するポリマー粉末を製造することができかつそれが好適である。
【0117】
触媒を製造するための本発明プロセスの特に好適な実施態様のさらに大きな利点は、オレフィンの重合及び共重合における担持触媒の驚くほど高い活性と生産性である。
好適な態様では、オレフィンの重合及び/又は共重合におけるこれらの担体に担持された触媒の生産性は、ポリマー500g/触媒1g〜ポリマー9000g/触媒1gの範囲、より好適な実施態様では、ポリマー1000g/触媒1g〜ポリマー9000g/触媒1gの範囲、特に好適な実施態様では、ポリマー4000g/触媒1g〜ポリマー9000g/触媒1gの範囲であり、そして特別に好適な実施態様では、ポリマー5000g/触媒1g〜ポリマー9000g/触媒1gの範囲である。
【0118】
本発明で製造できる触媒は、ポリマー5000g/触媒1gを超える生産性の場合、30000を超え、好ましくは40000を超え、特に好適には50000を超える平均モル質量を有するエチレンポリマーの製造を可能にする。ポリマーの多分散性Mw/Mnは、13〜30、好ましくは13〜25、特に好ましくは13〜22である。
【0119】
それらの良好な機械特性のため、本発明で製造できる担持触媒を使用して製造されるオレフィンのポリマー及びコポリマーは、相当割合の成分として又は唯一の成分として本発明にしたがうオレフィンのポリマーを含む、フィルム、繊維及び成形品の製造に特に適している。
【実施例】
【0120】
触媒又はポリマーの物理的パラメーターは下記の方法により決定した。
密度 ISO1183
極限粘度η: ISO1628(130℃及びデカリン中の濃度0.001g/ml)
アイゾッド衝撃強さ: ISO180/A
モル質量Mw、Mn、Mw/Mn:DIN55672に準じ、溶媒として1,2,4−トリクロロベンゼンを使用し、140℃で1ml/分の流量で、高温ゲル透過クロマトグラフィー。較正は、Waters 150CのPE標準品を使用して行った。
表面積、細孔容積: BET法を使用する窒素吸着 (S. Brunnauer et al., J of Am. Chem.soc. 60, pp. 209-319, 1929)
嵩密度: DIN53466 ポリマー粉末で測定
盛込密度: DIN53468 ポリマー粉末で測定
MFR2、MFR21: 190℃で2.16若しくは21.6kg荷重下でISO1133に準じて行う溶融流量
(実施例1)
a)触媒の製造
EP−A−589 350の記載の通りにして製造した3kgのSiO2をダブルコーンドライヤー中に入れた。10リットルの攪拌機付ガラス容器中で、240gのCr(NO33・9H2Oを攪拌下2.5リットルのn−プロパン中に溶解させた。次いで、315gのZr(IV)プロポキシド(n−プロパノール中70%濃度の無色溶液)を加えると、深青色溶液が突然深緑色になった。得られた溶液をダブルコーンドライヤー中にゆっくりとポンプ注入した。攪拌機付ガラス容器を0.5リットルn−プロパノールで濯ぎ、懸濁液を1時間8rpmで混合した。混合時間後、触媒前駆体を減圧下8時間、外部温度120℃で乾燥させた。
【0121】
b)活性化
工程a)からの触媒前駆体の活性化を、520〜850℃で行った。触媒前駆体の総質量を基準に、2.5重量%のアンモニウムヘキサフルオロシリケート(ammonium hexafluorosilicate: ASF)を、場合により、粉末状で加えた。活性化のため、触媒前駆体を1時間の期間にわたって350℃に加熱し、1時間この温度を保持し、続いて、所望の活性化温度に加熱し、2時間この温度を保持し、続いて、冷却し、350℃未満の冷却は窒素条件下で行った。精密な条件は表1に示す。
【0122】
c)重合
0.2m3PFループ反応器中でイソブタン中の懸濁プロセスとして重合を行った。溶融流量(MFR)及び密度を、ヘキサン濃度又はエタン濃度により設定した。重合を99℃〜107℃の反応器温度で行った。反応器圧力は3.9MPaだった。
【0123】
表1に重合条件を要約した。
(実施例2)
a)触媒の製造
担体Sylopol2107(Grace)を使用して、実施例1と同様にして担体に施用を行った。
【0124】
b)活性化
実施例と類似の方法により活性化を行った。精密な条件は表1に示す。
c)重合
実施例1と同様にして重合を行った。精密な条件は表1に示す。
【0125】
(比較例C3)
a)触媒の製造
EP−A−589350に記載された通りにして製造した、クロム含有量が1%の触媒前駆体1.5kgを、ダブルコーンドライヤー中に入れた。1.4リットルのn-プロパノールと157gのZr(IV)プロポキシド(n-プロパノール中70%濃度)とを10リットル攪拌機付ガラス容器に加え、得られた混合物を0.5時間攪拌した。
【0126】
攪拌機付ガラス容器を0.5リットルのn-プロパノールで濯ぎ、懸濁物を8rpmで1時間混合した。混合時間後、触媒前駆体を減圧下、外部温度120℃で8時間乾燥した。
b)活性化
実施例1と類似の方法により活性化を行った。精密な条件は表1に示す。
【0127】
c)重合
実施例1と同様にして重合を行った。精密な条件は表1に示す。
(比較例C4)
a)触媒の製造
ダブルコーンドライヤー中に1.5kgの担体Sylopol2107を入れた。1.4リットルのn-プロパノールと157gのZr(IV)プロポキシド(n-プロパノール中70%濃度)とを10リットル攪拌機付ガラス容器に加え、得られた混合物を0.5時間攪拌した。
【0128】
攪拌ガラス容器を0.5リットルのn-プロパノールで濯ぎ、懸濁物を8rpmで1時間混合した。混合時間後、触媒前駆体を減圧下、外部温度120℃で4時間乾燥した。次いで、2リットルメタノール中のクロム(III)アセチルアセトネート101.6gを加えた。1時間後、触媒前駆体を減圧下5時間90℃で乾燥した。
【0129】
b)活性化
実施例1と類似の方法により活性化を行った。精密な条件は表1に示す。
c)重合
実施例1と同様にして重合を行った。精密な条件は表1に示す。
【0130】
(比較例C5)
a)触媒の製造
EP−A−589350に記載された通りにして製造した、クロム含有量が1%の触媒を製造した。
【0131】
b)活性化
実施例1と類似の方法により活性化を行った。精密な条件は表1に示す。
c)重合
実施例1と同様にして重合を行った。精密な条件は表1に示す。
【0132】
【表1】

【0133】
(実施例6〜8)
a)触媒の製造
実施例2と同様にして触媒前駆体を製造した。
【0134】
b)活性化
表2で特定した条件下で実施例1と類似の方法を使用して活性化を行った。
c)重合
表2に示した触媒量を使用して10リットルのオートクレーブ中で80mgのブチルリチウムを添加した5リットルのイソブタン中で40バールの圧力、100℃で重合を行った。反応時間は90分だった。次いで、反応混合物を減圧した。表2に条件を示す。
【0135】
最終触媒のクロム含有量は、各場合で1重量%であり、ジルコニウム含有量は2重量%だった。
【0136】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
最終触媒中の元素を基準に0.01重量%〜5重量%のクロム含有量を有する、オレフィンの重合用及び/又は共重合用担持触媒の製造法であって、当該方法は、
(a) 有機若しくは無機クロム化合物とMg、Ca、Sr、B、Al、Si、P、Bi、Sc、V、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Zr、Nb、Mo、Ru、Rh、Pd、Hf、Ta、W中から選択される元素の別の有機若しくは無機化合物の内の少なくとも一種との、プロトン性若しくは非プロトン性極性溶媒中の均一溶液を調製し、
(b) a)からの溶液を微細に分割した無機担体と接触させて触媒前駆体を形成し、
(c) 適切な場合、触媒前駆体から溶媒を除去し、そして
(d) 触媒前駆体を350℃〜1050℃、好ましくは、400℃〜950℃の温度で、酸化条件下でか焼する
上記オレフィンの重合用及び/又は共重合用担持触媒の製造法。
【請求項2】
工程(b)で使用される溶液量が担体の細孔容積よりも少ない、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
使用される溶媒がアルコール、エーテル、ケトン又はエステルであり、好ましくは、アルコールである、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
使用されるクロム化合物が三価クロムと有機酸又は無機酸との塩、特に、酢酸塩、蓚酸塩、硫酸塩若しくは硝酸塩である、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
使用される別の化合物がZr及びZn、特に、Zrから選択される元素の化合物である、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
ジルコニウム化合物がZrCl4、ZrO(NO32、Zr(OR)4、特に、ジルコニウム(IV)プロポキシド、Zr(OOCR)4、酢酸ジルコニウム及びジルコニウムアセチルアセトネートからなる群から選択され、ここで、RがC1−C20炭化水素基である、請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
工程(b)で噴霧乾燥担体を使用する、請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
工程b)で使用する担体を、
i) ヒドロゲルを調製すること;
ii)ヒドロゲルを粉砕して微細粒子ヒドロゲルを与えること、ここで、粒子の総容積を基準に、少なくとも5容積%の粒子が0μmを超え3μm以下の範囲内の粒径を示し;及び/又は粒子の総容積を基準に、少なくとも40容積%の粒子が0μmを超え12μm以下の範囲内の粒径を示し、及び/又は粒子の総容積を基準に、少なくとも75容積%の粒子が0μmを超え35μm以下の範囲内の粒径を示す;
iii) 微細粒子ヒドロゲルに基づくスラリーを形成すること;
iv)微細粒子ヒドロゲルを含むスラリーを乾燥させて担体を与えること
の各工程によりヒドロゲルから調製できる、請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれかに記載の方法により製造できる担持触媒、特にエチレンの重合用及び/又は共重合用担持触媒。
【請求項10】
クロム含有量が0.05重量%〜3重量%、特に、0.1重量%〜2重量%である、請求項9に記載の担持触媒。
【請求項11】
ジルコニウム含有量が0.1重量%〜4重量%、特に、0.5重量%〜3重量%である、請求項9又は10に記載の担持触媒。
【請求項12】
請求項9〜11のいずれかに記載の重合触媒の存在下で、エチレン、及び、適切な場合、コモノマーとしてC3−C20オレフィンを重合することによるエチレンポリマーの製造法。
【請求項13】
重合を、0.5MPa〜6MPaの圧力及び30℃〜150℃の温度で、流動床又は微細粒子ポリマーの懸濁を有する反応器中で行う、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
懸濁重合において、少なくとも460kg/m3、好ましくは、少なくとも470kg/m3の盛込密度を有するポリマー粉末を生成する、請求項12又は13に記載の方法。
【請求項15】
180℃〜190℃で4分間均一化後に、21.6kg荷重及び190℃の温度でISO1133に準拠して測定したMFR21が30%未満の減少を示すポリマー粉末を生成する、請求項12〜14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
請求項12〜15のいずれかに記載の方法により得ることのできるエチレンホモポリマー又はコポリマー。
【請求項17】
3×105g/モルを超える分子量Mw及び8〜30の分子量分布Mw/Mnを有する請求項16に記載のエチレンポリマー。
【請求項18】
請求項16又は17に記載のポリマーを、好ましくは、主要成分又は単独成分として含む繊維、フィルム又は成形品。

【公表番号】特表2008−502759(P2008−502759A)
【公表日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−515939(P2007−515939)
【出願日】平成17年6月9日(2005.6.9)
【国際出願番号】PCT/EP2005/052677
【国際公開番号】WO2005/123792
【国際公開日】平成17年12月29日(2005.12.29)
【出願人】(500289758)バーゼル・ポリオレフィン・ゲーエムベーハー (118)
【Fターム(参考)】