説明

オレフィン重合用触媒およびオレフィン重合体の製造方法

【課題】オレフィンに対する高い重合活性と高い共重合性を有し、かつ分子量の高い重合体を製造するオレフィン重合用触媒を提供する。
【解決手段】オレフィン重合用触媒は、下記一般式(I)で表される遷移金属化合物(A)を含んでなる。


Mは周期律表4〜6族の遷移金属原子を示し、mは1〜4の整数を示し、nはMの価数を満たす数であり、Xは水素原子、ハロゲン原子等を示し、R1は炭素原子数6〜30の置換または無置換のアリール基を示し、R2,R3,R4およびR5は水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基等を示し、R6はヨウ素原子または臭素原子である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は新規なオレフィン重合用触媒および該オレフィン重合用触媒を用いたオレフィンの重合方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来からエチレン重合体、エチレン・α−オレフィン共重合体などのオレフィン重合体を製造するための触媒として、チタン化合物と有機アルミニウム化合物とからなるチタン系触媒、およびバナジウム化合物と有機アルミニウム化合物とからなるバナジウム系触媒が知られている。
【0003】
また、高い重合活性でオレフィン重合体を製造することのできる触媒としてジルコノセンなどのメタロセン化合物と有機アルミニウムオキシ化合物(アルミノキサン)とからなる触媒が知られている。
【0004】
さらに最近新しいオレフィン重合触媒として、本出願人は特開平11−315109号公報、特開2006−233063号公報において、サリチルアルドイミン配位子を有する遷移金属化合物を提案している。特開平11−315109号公報に記載の重合触媒は、高いオレフィン重合活性を示すことが明らかとなっているが、2種類以上のオレフィンを重合する際の重合活性、共重合性(コモノマーの取り込み能力)はさらなる改善が求められていた。特開2006−233063号公報記載の触媒は、2種類以上のオレフィンを重合する際の重合活性・共重合性は向上しているが、生成する重合体の分子量が低く、十分とはいえない。
【0005】
一方、2種類以上のオレフィンを重合する際の重合活性・共重合性が高く、また生成する重合体の分子量もある程度高い触媒として、本出願人は特開2007−297453号公報において、サリチルアルドイミン配位子の特定部位にハロゲン原子を導入した重合用触媒およびこれらを用いた重合方法を提案している。この例のようにサリチルアルドイミン配位子の特定部位にハロゲン原子を導入した例は非特許文献1〜11および特許文献4〜8で報告されているが、いずれの錯体も(1)イミン上のアリール基の水素原子がフッ素原子に置換されている、(2)イミン上の置換基に酸素原子を含んでいる、(3)イミン上の置換基が他の配位子と結ばれている、(4)ハロゲンの導入量・種類が不適当で、その効果の発現が不十分、等の理由でその重合活性は低い。
【0006】
このような状況下、高活性・高共重合性を示し、かつ高分子量の重合体を与えるオレフィン重合触媒およびオレフィンの重合方法が切望されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平11−315109号公報
【特許文献2】特開2006−233063号公報
【特許文献3】特開2007−297453号公報
【特許文献4】中国特許第1995044号明細書
【特許文献5】国際公開2009/076152号パンフレット
【特許文献6】欧州特許出願公開第1834970号明細書
【特許文献7】欧州特許出願公開第874005号明細書
【特許文献8】中国特許第101205265号明細書
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】J.Mol.Cat.A 2009,297巻,9頁
【非特許文献2】J.Am.Chem.Soc.2008,130巻,4968頁
【非特許文献3】Russian.Chem.Bull.2006,55巻,179頁
【非特許文献4】Organometallics 2007、26巻,3690頁
【非特許文献5】J.Mol.Cat.A 2006,258巻,284頁
【非特許文献6】Macromolecules 2006,39巻,7812頁
【非特許文献7】Macromol.Rapid Commun.2006,27巻,1009頁
【非特許文献8】Polymer 2006,47巻,4505頁
【非特許文献9】J.Organomet.Chem.2006,691巻,2945頁
【非特許文献10】Macromol.Symp.2006,236巻,111頁
【非特許文献11】Organometallics 2008,27巻,3840頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の課題は、上記のような従来技術に鑑みてなされたものであって、オレフィンに対する高い重合活性と高い共重合性を有し、かつ分子量の高い重合体を製造するオレフィン重合用触媒を提供することである。さらには、このオレフィン重合用触媒を用いたオレフィンの重合方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討した結果、サリチルアルドイミン配位子の特定部位に適当な数・種類の置換基を導入することによって、オレフィンに対する高い重合活性と高い共重合性を有し、コモノマー含量および分子量の高い重合体を製造するオレフィン重合用触媒となりうることを見出した。
【0011】
すなわち本発明にかかるオレフィン重合用触媒は、下記一般式(I)で表される遷移金属化合物(A)を含んでなることを特徴とする。
【0012】
【化1】

(一般式(I)中、Mは周期表第4〜6族の遷移金属原子を示し、mは、1〜4の整数を示し、R1は炭素原子数6〜30の置換または無置換のアリール基を示し、R2,R3およびR5は、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、イオウ含有基、リン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、およびスズ含有基から選ばれ、互いに同一でも異なっていてもよく、これらのうちの2個以上が互いに連結して環を形成していてもよく、R4は、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、酸素含有基、および窒素含有基から選ばれ、R6はヨウ素原子または臭素原子であり、nはMの価数を満たす数であり、Xは、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、アルミニウム含有基、リン含有基、ハロゲン含有基、ヘテロ環式化合物残基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、またはスズ含有基を示し、nが2以上の場合は、Xで示される複数の基は互いに同一でも異なっていてもよく、またXで示される複数の基は互いに結合して環を形成してもよい。)
【0013】
前記一般式(I)で表される遷移金属化合物(A)において、R4は臭素原子またはヨウ素原子であることが好ましい。
【0014】
前記一般式(I)で表される遷移金属化合物(A)において、R1は炭素原子数7〜30のアルキル置換アリール基であることが好ましい。
【0015】
前記R1のアルキル置換アリール基は、トリル、iso−プロピルフェニル、t−ブチルフェニル、ジメチルフェニル、ジ−t−ブチルフェニル、ベンジルフェニル、クミルフェニル、トリチルフェニル、n−オクチルフェニル、n−ドデシルフェニル、トリフルオロメチルフェニル、ジ(トリフルオロメチル)フェニルから選ばれることがより好ましい。
【0016】
さらに、本発明のオレフィン重合触媒は、前記一般式(I)で表される遷移金属化合物(A)は、Mが周期表第4族の遷移金属原子であることが好ましく、Mがチタン原子であることがさらに好ましい。
【0017】
本発明のオレフィン重合触媒は、前記一般式(I)で表される遷移金属化合物(A)と、(B)(B−1)有機金属化合物、(B−2)有機アルミニウムオキシ化合物、および(B−3)遷移金属化合物(A)と反応してイオン対を形成する化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物からなることが好ましい。
【0018】
本発明のオレフィン重合方法は、前記のようなオレフィン重合用触媒の存在下に、少なくとも1種以上のオレフィンを重合することを特徴としている。
なお、本明細書において「重合」という語は、単独重合だけでなく、共重合をも包含した意味で用いられることがあり、「重合体」という語は、単独重合体だけでなく、共重合体をも包含した意味で用いられることがある。
【発明の効果】
【0019】
本発明にかかる、サリチルアルドイミン配位子の特定部位に臭素原子またはヨウ素原子を導入した遷移金属化合物(A)を含むオレフィン重合用触媒は、単独のオレフィンを重合する場合に高い重合活性を示すことに加え、2種類以上のオレフィンを重合する際にも高い重合活性と良好な共重合性を示し、さらに得られる重合体は高い分子量を有する。
【0020】
当該効果は、上記一般式(I)で表される遷移金属化合物における、(1)ハロゲン原子(臭素原子またはヨウ素原子)の電子的な効果による活性の向上、(2)重合活性点近傍に位置するハロゲン原子(臭素原子またはヨウ素原子)の適度なかさ高さによるコモノマー配位能力の向上、(3)R1に適度な大きさ・形態の置換基を有することによる活性および分子量の向上、に起因すると考えられる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明におけるオレフィン重合触媒およびオレフィンの重合方法について具体的に説明する。
【0022】
[オレフィン重合触媒]
本発明にかかるオレフィン重合触媒は、(A)前記一般式(I)で表される遷移金属化合物、あるいは、(A)前記一般式(I)で表される遷移金属化合物と、(B)(B−1)有機金属化合物、(B−2)有機アルミニウムオキシ化合物、および(B−3)遷移金属化合物(A)と反応してイオン対を形成する化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物とから形成されている。以下、各成分について詳説する。
【0023】
<(A)遷移金属化合物>
本発明で用いられるオレフィン重合触媒を構成する(A)遷移金属化合物は、下記一般式(I)で表される化合物である。
【0024】
【化2】

一般式(I)において、N……Mは、一般的には配位していることを示すが、本発明においては配位していてもしていなくてもよい。
【0025】
一般式(I)中、Mは周期律表第4〜6族の遷移金属を示し、具体的にはチタン原子、ジルコニウム原子、ハフニウム原子、バナジウム原子、ニオブ原子、タンタル原子、クロム原子、モリブデン原子またはタングステン原子であり、好ましくは周期表第4族の遷移金属原子であり、具体的にはチタン原子、ジルコニウム原子、ハフニウム原子であり、より好ましくはチタン原子である。
【0026】
mは1〜4の整数を示し、好ましくは1〜2であり、特に好ましくは2である。
2,R3,R5は、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、イオウ含有基、リン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、およびスズ含有基から選ばれ互いに同一でも異なっていてもよい。
【0027】
前記ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。
前記炭化水素基としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ネオペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチルなどの炭素原子数が1〜30、好ましくは1〜20の直鎖状または分岐状のアルキル基;ビニル、アリル、イソプロペニルなどの炭素原子数が2〜30、好ましくは2〜20の直鎖状または分岐状のアルケニル基;エチニル、プロパルギルなど炭素原子数が2〜30、好ましくは2〜20の直鎖状または分岐状のアルキニル基;シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、2-メチルシクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、アダマンチル、ノルボニル、テトラシククロドデシルなどの炭素原子数が3〜30、好ましくは3〜20のシクロアルキル基;シクロペンタジエニル、インデニル、フルオレニルなどの炭素原子数5〜30の環状不飽和炭化水素基;フェニル、ナフチル、フェナントリル、アントラセニルなどの炭素原子数が6〜30、好ましくは6〜20のアリール基;トリル、iso−プロピルフェニル、t−ブチルフェニル、ジメチルフェニル、ジ−t−ブチルフェニルなどのアルキル置換アリール基;ビフェニル、ターフェニルなどのアリール基置換アリール基などが挙げられる。
【0028】
上記炭化水素基は、水素原子がハロゲンで置換されていてもよく、たとえば、モノトリフルオロメチル、ジトリフルオロメチル、モノフルオロフェニル、ジフルオロフェニル、トリフルオロフェニル、ペンタフルオロフェニル、クロロフェニル、トリフルオロメチルフェニル、ジトリフルオロメチルフェニルなどの炭素原子数1〜30、好ましくは1〜20のハロゲン化アルキル基またはハロゲン化アリール基が挙げられる。
【0029】
また、上記炭化水素基は、他の炭化水素基で置換されていてもよく、例えば、ベンジル、クミル、トリチル、トリ(4−メチルフェニル)メチルなどのアリール置換アルキル基などが挙げられる。
【0030】
さらに、上記炭化水素基は、ヘテロ環式化合物残基;アルコキシ基、アリーロキシ基、エステル基、エーテル基、アシル基、カルボキシル基、カルボナート基、ヒドロキシ基、ペルオキシ基、カルボン酸無水物基などの酸素含有基;アミノ基、イミノ基、アミド基、イミド基、ヒドラジノ基、ヒドラゾノ基、ニトロ基、ニトロソ基、シアノ基、イソシアノ基、シアン酸エステル基、アミジノ基、ジアゾ基、アミノ基がアンモニウム塩となったものなどの窒素含有基;アルキル置換ホウ素、アリール置換ホウ素、ハロゲン化ホウ素、アルキル置換ハロゲン化ホウ素などのホウ素含有基;メルカプト基、チオエステル基、ジチオエステル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、チオアシル基、チオエーテル基、チオシアン酸エステル基、イソチアン酸エステル基、スルホンエステル基、スルホンアミド基、チオカルボキシル基、ジチオカルボキシル基、スルホ基、スルホニル基、スルフィニル基、スルフェニル基、スルフォネート基、スルフィネート基などのイオウ含有基;リン含有基;ケイ素含有基;ゲルマニウム含有基;またはスズ含有基を有していてもよい。
【0031】
上記炭化水素基としては、特に、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、ネオペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチルなどの炭素原子数1〜30、好ましくは1〜20の直鎖状または分岐状のアルキル基;シクロプロピル、シクロブチル、シクロヘキシル、2-メチルシクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、アダマンチル、ノルボニル、テトラシククロドデシル等の炭素原子数3〜30、好ましくは3〜20のシクロアルキル基;フェニル、ナフチル、フェナントリル、アントラセニルなどの炭素原子数6〜30、好ましくは6〜20のアリール基;これらのアリール基にハロゲン原子、炭素原子数1〜30、好ましくは1〜20のアルキル基またはアルコキシ基、炭素原子数6〜30、好ましくは6〜20のアリール基またはアリーロキシ基などの置換基が1〜9個置換した置換アリール基などが好ましい。
【0032】
前記ヘテロ環式化合物残基としては、ヘテロ原子を1〜5個含む環状の基が挙げられ、ヘテロ原子としては酸素原子、窒素原子、原子、リン原子およびホウ素原子などが挙げられる。環としては例えば4〜7員環の単環および多環、好ましくは5〜6員環の単環および多環が挙げられる。具体的には、ピロール、ピリジン、ピリミジン、キノリン、トリアジンなどの含窒素化合物の残基、フラン、ピランなどの含酸素化合物の残基、チオフェンなどの含イオウ化合物の残基など、およびこれらの残基に、炭素原子数が1〜30、好ましくは1〜20のアルキル基、炭素原子数が1〜30、好ましくは1〜20のアルコキシ基などの置換基がさらに置換した基などが挙げられる。
【0033】
前記酸素含有基としては、酸素原子を1〜5個含有する基が挙げられ、具体的には、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、イソブトキシ、tert−ブトキシなどのアルコキシ基;フェノキシ、2,6−ジメチルフェノキシ、2,4,6−トリメチルフェノキシ、ナフトキシなどのアリーロキシ基;アセチルオキシ、ベンゾイルオキシ、メトキシカルボニル、フェノキシカルボニル、p−クロロフェノキシカルボニルなどのエステル基;エーテル基;ホルミル基、アセチル基、ベンゾイル基、p−クロロベンゾイル基、p−メトキシベンゾイル基などのアシル基;カルボキシル基;カルボナート基;ヒドロキシ基;ペルオキシ基;カルボン酸無水物基などが挙げられる。これらのうち、アルコキシ基、アリーロキシ基、アシル基、エステル基などが遷移金属化合物の合成が容易な点で好ましい。なお酸素含有基が炭素原子を含む場合は、炭素原子数が1〜30、好ましくは1〜20の範囲にあることが望ましい。
【0034】
前記窒素含有基としては、窒素原子を1〜5個含有する基が挙げられ、具体的には、メチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジプロピルアミノ、エチルメチルアミノ、ジブチルアミノ、ジシクロヘキシルアミノなどのアルキルアミノ基;フェニルアミノ、ジフェニルアミノ、ジトリルアミノ、ジナフチルアミノ、メチルフェニルアミノなどのアリールアミノ基またはアルキルアリールアミノ基;メチルイミノ、エチルイミノ、プロピルイミノ、ブチルイミノ、フェニルイミノなどのイミノ基;アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N−メチルベンズアミドなどのアミド基;アセトイミド、ベンズイミドなどのイミド基;ヒドラジノ基;ヒドラゾノ基;ニトロ基;ニトロソ基;シアノ基;イソシアノ基;シアン酸エステル基;アミジノ基;ジアゾ基;アミノ基がアンモニウム塩となったものなどが挙げられる。これらのうち、アミノ基、イミノ基、アミド基、イミド基、ニトロ基、シアノ基が遷移金属化合物の合成が容易な点で好ましい。なお、窒素含有基が炭素原子を含む場合は、炭素原子数が1〜30、好ましくは1〜20の範囲にあることが望ましい。
【0035】
前記窒素含有基としては、特にメチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジプロピルアミノ、エチルメチルアミノ、ジブチルアミノ、ジシクロヘキシルアミノなどのアルキルアミノ基;ジフェニルアミノ、ジトリルアミノ、ジナフチルアミノ、メチルフェニルアミノなどのアリールアミノ基またはアルキルアリールアミノ基;ニトロ基などが好ましい。
【0036】
前記ホウ素含有基としては、ホウ素原子を1〜5個の含有する基が挙げられ、具体的には、(Et)2B−、(iPr)2B−、(iBu)2B−、(nC5112B−、C814B−(9−ボラビシクロノニル基)などのアルキル置換ホウ素;(C652B−などのアリール置換ホウ素;BCl2−などのハロゲン化ホウ素;(Et)BCl−、(iBu)BCl−などのアルキル置換ハロゲン化ホウ素等の基が挙げられる。ここで、Etはエチル基、iPrはイソプロピル基、iBuはイソブチル基を示す。
【0037】
前記イオウ含有基としては、イオウ原子を1〜5個含有する基が挙げられ、具体的には、メルカプト基;アセチルチオ、ベンゾイルチオ、メチルチオカルボニル、フェニルチオカルボニルなどのチオエステル基;ジチオエステル基;メチルチオ、エチルチオなどのアルキルチオ基;フェニルチオ、メチルフェニルチオ、ナフチルチオなどのアリールチオ基;チオアシル基;チオエーテル基;チオシアン酸エステル基;イソチアン酸エステル基;スルホン酸メチル、スルホン酸エチル、スルホン酸フェニルなどのスルホンエステル基;フェニルスルホンアミド、N−メチルスルホンアミド、N−メチル−p−トルエンスルホンアミドなどのスルホンアミド基;チオカルボキシル基;ジチオカルボキシル基;スルホ基;スルホニル基;スルフィニル基;スルフェニル基;スルフォネート基;スルフィネート基などが挙げられる。これらのうち、アルキルチオ基、アリールチオ基、チオエステル基、スルホンエステル基、スルホンアミド基が遷移金属化合物の合成が容易な点で好ましい。なお、イオウ含有基が炭素原子を含む場合は、炭素原子数が1〜30、好ましくは1〜20の範囲にあることが望ましい。
【0038】
前記リン含有基として具体的には、トリメチルホスフィン基、トリブチルホスフィン基、トリシクロヘキシルホスフィン基などのトリアルキルホスフィン基;トリフェニルホスフィン基、トリトリルホスフィン基などのトリアリールホスフィン基;メチルホスファイト基、エチルホスファイト基、フェニルホスファイト基などのホスファイト基(ホスフィド基);ホスホン酸基;ホスフィン酸基などが挙げられる。
【0039】
前記ケイ素含有基として具体的には、シリル基;シロキシ基;メチルシリル、ジメチルシリル、トリメチルシリル、エチルシリル、ジエチルシリル、トリエチルシリル、ジフェニルメチルシリル、トリフェニルシリル、ジメチルフェニルシリル、ジメチル−t−ブチルシリル、ジメチル(ペンタフルオロフェニル)シリルなどの炭化水素置換シリル基;トリメチルシロキシなどの炭化水素置換シロキシ基などが挙げられる。これらのうち、メチルシリル、ジメチルシリル、トリメチルシリル、エチルシリル、ジエチルシリル、トリエチルシリル、ジメチルフェニルシリル、トリフェニルシリルなどの炭化水素置換シリル基が好ましい。トリメチルシリル、トリエチルシリル、トリフェニルシリル、ジメチルフェニルシリルが遷移金属化合物の合成が容易な点で特に好ましい。
【0040】
前記ゲルマニウム含有基およびスズ含有基としては、前記ケイ素含有基のケイ素をゲルマニウムおよびスズに置換したものが挙げられる。
1は、炭素原子数6〜30、好ましくは6〜25のアリール基である。
【0041】
1において、アリール基としては、フェニル、ナフチル、フェナントリル、アントラセニルなどの無置換アリール基や、当該アリール基に置換基が結合した置換アリール基が挙げられる。特に好ましくは、フェニル基または置換フェニル基である。
【0042】
ここで、アリール基に置換する置換基としては、炭素原子数が1〜24、好ましくは1〜20の直鎖状または分岐状のアルキル基や、上記R2,R3,R5の例として挙げたヘテロ環式化合物残基、窒素含有基、ホウ素含有基、イオウ含有基、リン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基またはスズ含有基が置換していてもよい。
前記アルキル基としては、当該アルキル基の水素原子が他の炭化水素基で置換された炭化水素基置換アルキル基や、当該アルキル基の水素原子がハロゲン原子で置換されたハロゲン置換アルキル基も好ましい例として含まれる。
【0043】
アリール基に置換するアルキル基の具体的な例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ネオペンチル、n−ヘキシル、n−オクチル、n−ドデシルなどが挙げられる。
前記炭化水素基置換アルキル基の具体的な例としては、ベンジル、クミル、トリチル、トリ(4−メチルフェニル)メチルなどが挙げられる。
【0044】
前記ハロゲン置換アルキル基の具体的な例としては、モノフルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、ペンタフルオロフェニルメチルなどが挙げられる。
また、アリール基に結合する置換基として例示した、ヘテロ環式化合物残基、窒素含有基、ホウ素含有基、イオウ含有基、リン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基またはスズ含有基の中でより好ましいものとしては、窒素含有基が挙げられる。当該窒素含有基の具体的な例としては、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、エチルメチルアミノ基、ジプロピルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ジシクロヘキシルアミノ基などのアルキルアミノ基置換アリール基またはアリールアミノ基置換アリール基などが挙げられる。
【0045】
上記R1としての好ましい具体例としては、フェニル基、ナフチル基、フェナントリル基、アントラセニル基、トリル基、iso−プロピルフェニル基、ジメチルフェニル基、t−ブチルフェニル基、ジ−t−ブチルフェニル基、n−オクチルフェニル基、n−ドデシルフェニル基、ベンジルフェニル基、クミルフェニル基、トリチルフェニル基、トリ(4−メチルフェニル)メチルフェニル基、トリフルオロメチルフェニル基、ジ(トリフルオロメチル)フェニル基、ジメチルアミノフェニル基が挙げられる。より好ましくは、t−ブチルフェニル基、n−オクチルフェニル基、n−ドデシルフェニル基、トリチルフェニル基、トリフルオロメチルフェニル基、ジ(トリフルオロメチル)フェニル基が挙げられる。さらに好ましくは、t-ブチルフェニル基、トリチルフェニル基が挙げられる。
【0046】
4は、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、酸素含有基および窒素含有基から選ばれ互いに同一でも異なっていてもよい。
【0047】
4のハロゲン原子、炭化水素基、酸素含有基および窒素含有基としては、上記R2,R3,R5で挙げた例と同様のものを挙げることができる。
【0048】
上記R4としては、ハロゲン原子であることが好ましい。
4のハロゲン原子として好ましくは、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。これらのハロゲン原子は、後述するR6のハロゲン原子と互いに同一の原子であることがより好ましい。
【0049】
1〜R5で示される基は、これらのうちの2個以上が互いに結合して環を形成していてもよい。
mが2以上の場合には、R1〜R5で示される基のうち2個以上の基が連結されていてもよいが、R1同士は連結していない方が好ましい。
【0050】
6は、ハロゲン原子を示す。ハロゲン原子として好ましいものとして、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
【0051】
mが2以上の場合にはR1同士、R2同士、R3同士、R4同士、R5同士、R6同士は互いに同一でも異なっていてもよい。
nは、Mの価数を満たす数であり、具体的には0〜5、好ましくは1〜4、より好ましくは1〜3の整数であり、特に好ましくは2である。
【0052】
Xは、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、アルミニウム含有基、リン含有基、ハロゲン含有基、ヘテロ環式化合物残基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、またはスズ含有基を示す。なお、nが2以上の場合には、互いに同一であっても、異なっていてもよい。
【0053】
前記ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。
前記炭化水素基としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ヘキシル、オクチル、ノニル、ドデシル、アイコシルなどの炭素原子数1〜30、好ましくは炭素原子数1〜20の直鎖状または分岐状のアルキル基;シクロペンチル、シクロヘキシル、ノルボルニル、アダマンチルなどの炭素原子数が3〜30のシクロアルキル基;ビニル、プロペニル、シクロヘキセニルなどのアルケニル基;ベンジル、フェニルエチル、フェニルプロピルなどのアリールアルキル基;フェニル、トリル、ジメチルフェニル、トリメチルフェニル、エチルフェニル、プロピルフェニル、ビフェニル、ナフチル、メチルナフチル、アントリル、フェナントリルなどのアリール基などが挙げられる。またこれらの炭化水素基には、ハロゲン化炭化水素、具体的には炭素原子数1〜30の炭化水素基の少なくとも一つの水素がハロゲン置換した基も含まれる。
【0054】
これらのうち、炭素原子数1〜20のメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、ネオペンチル、n−ヘキシルなどのアルキル基;シクロペンチル、シクロヘキシル、ノルボルニル、アダマンチルなどのシクロアルキル基;ベンジル、フェニルエチル、フェニルプロピルなどのアリールアルキル基が好ましい。
【0055】
前記酸素含有基としては、オキシ基;ペルオキシ基;ヒドロキシ基;ヒドロペルオキシ基;メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシなどのアルコキシ基;フェノキシ、メチルフェノキシ、ジメチルフェノキシ、ナフトキシなどのアリーロキシ基;フェニルメトキシ、フェニルエトキシなどのアリールアルコキシ基;アセトキシ基;カルボニル基;アセチルアセトナト基(acac);オキソ基などが挙げられる。
【0056】
前記イオウ含有基としては、メチルスルフォネート、トリフルオロメタンスルフォネート、フェニルスルフォネート、ベンジルスルフォネート、p−トルエンスルフォネート、トリメチルベンゼンスルフォネート、トリイソブチルベンゼンスルフォネート、p−クロルベンゼンスルフォネート、ペンタフルオロベンゼンスルフォネートなどのスルフォネート基;メチルスルフィネート、フェニルスルフィネート、ベンジルスルフィネート、p−トルエンスルフィネート、トリメチルベンゼンスルフィネート、ペンタフルオロベンゼンスルフィネートなどのスルフィネート基;アルキルチオ基;アリールチオ基;硫酸基;スルフィド基;ポリスルフィド基;チオラート基などが挙げられる。ただし前記イオウ含有基はこれらに限定されるものではない。
【0057】
前記窒素含有基としては、アミノ基;メチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジプロピルアミノ、ジブチルアミノ、ジシクロヘキシルアミノなどのアルキルアミノ基;フェニルアミノ、ジフェニルアミノ、ジトリルアミノ、ジナフチルアミノ、メチルフェニルアミノなどのアリールアミノ基またはアルキルアリールアミノ基;トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリフェニルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン(tmeda)、N,N,N’,N’−テトラフェニルプロピレンジアミン(tppda)などのアルキルまたはアリールアミン基が挙げられる。ただし前記前記窒素含有基はこれらに限定されるものではない。
【0058】
前記ホウ素含有基として具体的には、BR4(Rは水素、アルキル基、置換基を有してもよいアリール基、ハロゲン原子等を示す)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0059】
前記アルミニウム含有基として具体的には、AlR4(Rは水素、アルキル基、置換基を有してもよいアリール基、ハロゲン原子等を示す)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0060】
前記リン含有基として具体的には、トリメチルホスフィン基、トリブチルホスフィン基、トリシクロヘキシルホスフィン基などのトリアルキルホスフィン基;トリフェニルホスフィン基、トリトリルホスフィン基などのトリアリールホスフィン基;メチルホスファイト基、エチルホスファイト基、フェニルホスファイト基などのホスファイト基(ホスフィド基);ホスホン酸基;ホスフィン酸基などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0061】
前記ハロゲン含有基として具体的には、PF6、BF4などのフッ素含有基、ClO4、SbCl6などの塩素含有基、IO4などのヨウ素含有基が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0062】
前記ヘテロ環式化合物残基として具体的には、ピロール、ピリジン、ピリミジン、キノリン、トリアジンなどの含窒素化合物、フラン、ピランなどの含酸素化合物、チオフェンなどの含イオウ化合物などの残基、およびこれらのヘテロ環式化合物残基に炭素原子数が1〜30、好ましくは1〜20のアルキル基、アルコキシ基などの置換基がさらに置換した基などが挙げられる。
【0063】
前記ケイ素含有基として具体的には、フェニルシリル、ジフェニルシリル、トリメチルシリル、トリエチルシリル、トリプロピルシリル、トリシクロヘキシルシリル、トリフェニルシリル、メチルジフェニルシリル、トリトリルシリル、トリナフチルシリルなどの炭化水素置換シリル基;トリメチルシリルエーテルなどの炭化水素置換シリルエーテル基;トリメチルシリルメチルなどのケイ素置換アルキル基;トリメチルシリルフェニルなどのケイ素置換アリール基などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0064】
前記ゲルマニウム含有基およびスズ含有基としては、前記ケイ素含有基のケイ素をゲルマニウムおよびスズに置換した基が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
上記一般式(I)においてnが2以上の場合は、Xで示される複数の基は互いに同一でも異なっていてもよい。また複数存在するXで示される基は互いに結合して環を形成してもよい。
【0065】
本発明において、上記一般式(I)で表される遷移金属化合物を触媒成分として用いることにより、単独のオレフィンを重合する場合に高い重合活性を示すこと、2種類以上のオレフィンを重合する際にも高い重合活性と良好な共重合性を示し、さらに得られる重合体は高い分子量を有する理由については、以下の様な事が考えられる。
【0066】
臭素原子またはヨウ素原子のような原子半径が大きく、σ電子求引性かつπ電子供与性の原子が重合活性点である金属の近く、すなわちR6の位置に置換することで、(1)立体的効果により、遷移金属化合物の中心金属周りに共重合に必要な適度な配位空間が生成する、(2)電子的効果により、中心金属のカチオン性と遷移金属化合物の安定性のバランスが良くなる、などの理由により、共重合性の向上、重合活性の向上、分子量の増大の効果を発現すると考えられる。
【0067】
また、R1をアリール基を中心とする置換基とすることにより、遷移金属化合物の安定性が向上し、重合活性の向上、および分子量の増大の効果を発現すると考えられる。
以下に、(A)上記一般式(I)で表される遷移金属化合物の具体的な例を示すが、これらに限定されるものではない。
【0068】
【化3】

【0069】
【化4】

【0070】
【化5】

【0071】
【化6】

本発明では、上記のような化合物において、チタン原子をジルコニウム原子、ハフニウム原子に置き換えた遷移金属化合物を用いることもできる。
【0072】
このような遷移金属化合物(A)の製造方法は、特に限定されることなく、たとえば以下のようにして製造することができる。
まず、遷移金属(A)を構成する配位子は、サリチルアルデヒド類化合物を、式R1−NH2第1級アミン類化合物(R1は前記と同義である。)と反応させることにより得られる。具体的には、両方の出発化合物を溶媒に溶解する。溶媒としては、このような反応に一般的なものを使用できるが、なかでもメタノール、エタノール等のアルコール溶媒、またはトルエン等の炭化水素溶媒が好ましい。次いで、室温から還流条件で、約1〜48時間攪拌すると、対応する配位子が良好な収率で得られる。配位子化合物を合成する際、触媒として、蟻酸、酢酸、パラトルエンスルホン酸等の酸触媒を用いてもよい。また、脱水剤として、モレキュラーシーブス、無水硫酸マグネシウムまたは無水硫酸ナトリウムを用いたり、ディーンスタークにより脱水しながら行うと、反応進行に効果的である。
【0073】
次に、こうして得られた配位子を遷移金属M含有化合物と反応させることで、対応する遷移金属化合物を合成することができる。具体的には、合成した配位子を溶媒に溶解し、必要に応じて塩基と接触させてフェノキサイド塩を調製した後、金属ハロゲン化物、金属アルキル化物等の金属化合物と低温で混合し、−78℃から室温、もしくは還流条件下で、約1〜48時間攪拌する。溶媒としては、このような反応に一般的なものを使用できるが、なかでもエーテル、テトラヒドロフラン(THF)等の極性溶媒、トルエン等の炭化水素溶媒などが好ましく使用される。また、フェノキサイド塩を調製する際に使用する塩基としては、n−ブチルリチウム等のリチウム塩、水素化ナトリウム等のナトリウム塩等の金属塩や、トリエチルアミン、ピリジン等を例示することができるが、この限りではない。
【0074】
また、化合物の性質によっては、フェノキサイド塩調製を経由せず、配位子と金属化合物とを直接反応させることで、対応する遷移金属化合物を合成することもできる。さらに、合成した遷移金属化合物中の金属Mを、常法により別の遷移金属と交換することも可能である。また、例えばR1〜R5の一つ以上が水素である場合には、合成の任意の段階において、水素以外の置換基を導入することができる。
また、遷移金属化合物を単離せず、配位子と金属化合物との反応溶液をそのまま重合に用いることもできる。
【0075】
<(B−1)有機金属化合物>
本発明で用いられる(B−1)有機金属化合物として、具体的には下記の一般式(B−1a)で表される有機アルミニウム化合物、一般式(B−1b)で表される周期律表第1族金属とアルミニウムの錯アルキル化物、および一般式(B−1c)で表される周期律表第1族金属とアルミニウムの錯アルキル化合物が挙げられる。
【0076】
amAl(ORbnpq ・・・(B−1a)
(一般式(B−1a)中、RaおよびRbは、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示し、Xはハロゲン原子を示し、mは0<m≦3、nは0≦n<3、pは0≦p<3、qは0≦q<3の数であり、かつm+n+p+q=3である。)
2AlRa4 ・・・(B−1b)
(一般式(B−1b)中、M2 はLi、NaまたはKを示し、Raは炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示す。)
ab3 ・・・(B−1c)
(一般式(B−1c)中、Ra およびRbは、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示し、M3はMg、ZnまたはCdである。)
【0077】
前記一般式(B−1a)で表される有機アルミニウム化合物としては、次のような化合物を例示できる。
amAl(ORb3-m
(式中、RaおよびRbは、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示し、mは好ましくは1.5≦m≦3の数である。)で表される有機アルミニウム化合物、
amAlX3-m
(式中、Raは炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示し、Xはハロゲン原子を示し、mは好ましくは0<m<3である。)で表される有機アルミニウム化合物、
amAlH3-m
(式中、Raは炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示し、mは好ましくは2≦m<3である。)で表される有機アルミニウム化合物、
amAl(ORbnXq
(式中、RaおよびRbは、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示し、Xはハロゲン原子を示し、mは0<m≦3、nは0≦n<3、qは0≦q<3の数であり、かつm+n+q=3である。)で表される有機アルミニウム化合物。
【0078】
一般式(B−1a)に属する有機アルミニウム化合物としてより具体的には
トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリn−ブチルアルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリペンチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、トリデシルアルミニウムなどのトリn−アルキルアルミニウム;トリイソプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリsec−ブチルアルミニウム、トリtert−ブチルアルミニウム、トリ2−メチルブチルアルミニウム、トリ3−メチルブチルアルミニウム、トリ2−メチルペンチルアルミニウム、トリ3−メチルペンチルアルミニウム、トリ4−メチルペンチルアルミニウム、トリ2−メチルヘキシルアルミニウム、トリ3−メチルヘキシルアルミニウム、トリ2−エチルヘキシルアルミニウムなどのトリ分岐鎖アルキルアルミニウム;トリシクロヘキシルアルミニウム、トリシクロオクチルアルミニウムなどのトリシクロアルキルアルミニウム;
トリフェニルアルミニウム、トリトリルアルミニウムなどのトリアリールアルミニウム;
ジイソブチルアルミニウムハイドライドなどのジアルキルアルミニウムハイドライド;(i−C49xAly(C510z(式中、x、y、zは正の数であり、z≧2xである。)などで表されるトリイソプレニルアルミニウムなどのトリアルケニルアルミニウム;イソブチルアルミニウムメトキシド、イソブチルアルミニウムエトキシド、イソブチルアルミニウムイソプロポキシドなどのアルキルアルミニウムアルコキシド;ジメチルアルミニウムメトキシド、ジエチルアルミニウムエトキシド、ジブチルアルミニウムブトキシドなどのジアルキルアルミニウムアルコキシド;エチルアルミニウムセスキエトキシド、ブチルアルミニウムセスキブトキシドなどのアルキルアルミニウムセスキアルコキシド;
a2.5Al(ORb0.5などで表される平均組成を有する部分的にアルコキシ化されたアルキルアルミニウム(式中、RaおよびRbは、互いに同一でも異なっていても良く、炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を表す);ジエチルアルミニウムフェノキシド、ジエチルアルミニウム(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシド)、エチルアルミニウムビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシド)、ジイソブチルアルミニウム(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシド)、イソブチルアルミニウムビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシド)などのジアルキルアルミニウムアリーロキシド;ジメチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムクロリド、ジブチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムブロミド、ジイソブチルアルミニウムクロリドなどのジアルキルアルミニウムハライド;エチルアルミニウムセスキクロリド、ブチルアルミニウムセスキクロリド、エチルアルミニウムセスキブロミドなどのアルキルアルミニウムセスキハライド;エチルアルミニウムジクロリド、プロピルアルミニウムジクロリド、ブチルアルミニウムジブロミドなどのアルキルアルミニウムジハライドなどの部分的にハロゲン化されたアルキルアルミニウム;ジエチルアルミニウムヒドリド、ジブチルアルミニウムヒドリドなどのジアルキルアルミニウムヒドリド;エチルアルミニウムジヒドリド、プロピルアルミニウムジヒドリドなどのアルキルアルミニウムジヒドリドなどその他の部分的に水素化されたアルキルアルミニウム;エチルアルミニウムエトキシクロリド、ブチルアルミニウムブトキシクロリド、エチルアルミニウムエトキシブロミドなどの部分的にアルコキシ化およびハロゲン化されたアルキルアルミニウムなどを挙げることができる。
【0079】
また(B−1a)に類似する化合物も本発明に使用することができ、そのような化合物としてたとえば、窒素原子を介して2以上のアルミニウム化合物が結合した有機アルミニウム化合物を挙げることができる。
このような化合物として具体的には、(C252AlN(C25)Al(C252などを挙げることができる。
【0080】
前記一般式(B−1b)に属する化合物としては、LiAl(C254、LiAl(C7154などを挙げることができる。
前記一般式(B−1c)に属する化合物としては、ジメチルマグネシウム、ジエチルマグネシウム、ジブチルマグネシウム、ブチルエチルマグネシウム、ジメチル亜鉛、ジエチル亜鉛、ジフェニル亜鉛、ジ−n−プロピル亜鉛、ジイソプロピル亜鉛、ジ−n−ブチル亜鉛、ジイソブチル亜鉛、ビス(ペンタフルオロフェニル)亜鉛、ジメチルカドミウム、ジエチルカドミウムなどを挙げることができる。
【0081】
またその他にも、有機金属化合物(B−1)としては、メチルリチウム、エチルリチウム、プロピルリチウム、ブチルリチウム、メチルマグネシウムブロミド、メチルマグネシウムクロリド、エチルマグネシウムブロミド、エチルマグネシウムクロリド、プロピルマグネシウムブロミド、プロピルマグネシウムクロリド、ブチルマグネシウムブロミド、ブチルマグネシウムクロリド、ジメチルマグネシウム、ジエチルマグネシウム、ジブチルマグネシウム、ブチルエチルマグネシウムなどを使用することもできる。
【0082】
また重合系内で上記有機アルミニウム化合物が形成されるような化合物、たとえばハロゲン化アルミニウムとアルキルリチウムとの組合せ、またはハロゲン化アルミニウムとアルキルマグネシウムとの組合せなどを、前記有機金属化合物(B−1)として使用することもできる。
上記のような有機金属化合物(B−1)は、1種類単独でまたは2種以上組み合わせて用いられる。
【0083】
<(B−2)有機アルミニウムオキシ化合物>
本発明で用いられる有機アルミニウムオキシ化合物(B−2)は、従来公知のアルミノキサンであってもよく、また特開平2−78687号公報に例示されているようなベンゼン不溶性の有機アルミニウムオキシ化合物であってもよい。有機アルミニウムオキシ化合物(B−2)としては、具体的には、メチルアルミノキサン、エチルアルミノキサン、イソブチルアルミノキサンなどが挙げられる。
【0084】
従来公知のアルミノキサンは、たとえば下記のような方法によって製造することができ、通常、炭化水素溶媒の溶液として得られる。
(1)吸着水を含有する化合物または結晶水を含有する塩類、たとえば塩化マグネシウム水和物、硫酸銅水和物、硫酸アルミニウム水和物、硫酸ニッケル水和物、塩化第1セリウム水和物などの炭化水素媒体懸濁液に、トリアルキルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物を添加して、吸着水または結晶水と有機アルミニウム化合物とを反応させる方法。
(2)ベンゼン、トルエン、エチルエーテル、テトラヒドロフランなどの媒体中で、トリアルキルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物に直接水、氷または水蒸気を作用させる方法。
(3)デカン、ベンゼン、トルエンなどの媒体中でトリアルキルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物に、ジメチルスズオキシド、ジブチルスズオキシドなどの有機スズ酸化物を反応させる方法。
【0085】
なお前記アルミノキサンは、少量の有機金属成分を含有してもよい。また回収された上記のアルミノキサンの溶液から溶媒または未反応有機アルミニウム化合物を蒸留して除去した後、溶媒に再溶解またはアルミノキサンの貧溶媒に懸濁させてもよい。
【0086】
アルミノキサンを調製する際に用いられる有機アルミニウム化合物として具体的には、前記一般式(B−1a)に属する有機アルミニウム化合物として例示したものと同様の有機アルミニウム化合物を挙げることができる。
【0087】
これらのうち、トリアルキルアルミニウム、トリシクロアルキルアルミニウムが好ましく、トリメチルアルミニウムが特に好ましい。
上記のような有機アルミニウム化合物は、1種単独でまたは2種以上組み合せて用いられる。
【0088】
アルミノキサンの調製に用いられる溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、クメン、シメンなどの芳香族炭化水素、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、ヘキサデカン、オクタデカンなどの脂肪族炭化水素、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロオクタン、メチルシクロペンタンなどの脂環族炭化水素、ガソリン、灯油、軽油などの石油留分または上記芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、脂環族炭化水素のハロゲン化物とりわけ、塩素化物、臭素化物などの炭化水素溶媒が挙げられる。さらにエチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル類を用いることもできる。これらの溶媒のうち特に芳香族炭化水素または脂肪族炭化水素が好ましい。
【0089】
また本発明で用いられるベンゼン不溶性の有機アルミニウムオキシ化合物は、60℃のベンゼンに溶解するAl成分がAl原子換算で通常10%以下、好ましくは5%以下、特に好ましくは2%以下であるもの、すなわち、ベンゼンに対して不溶性または難溶性であるものが好ましい。
【0090】
本発明で用いられる有機アルミニウムオキシ化合物(B−2)としては、下記一般式で表されるボロンを含んだ有機アルミニウムオキシ化合物を挙げることもできる。
【0091】
【化7】

一般式中、R31は炭素原子数が1〜10の炭化水素基を示し、4つのR32は互いに同一でも異なっていても良く、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数が1〜10の炭化水素基を表す)。
【0092】
前記一般式(VI)で表されるボロンを含んだ有機アルミニウムオキシ化合物は、下記一般式(VII)で表されるアルキルボロン酸と)有機アルミニウム化合物とを、不活性ガス雰囲気下に不活性溶媒中で、−80℃〜室温の温度で1分〜24時間反応させることにより製造できる。
31−B(OH)2 ・・・(VII)(式中、R31は前記と同じ基を示す。)
【0093】
前記一般式(VII)で表されるアルキルボロン酸の具体的なものとしては、メチルボロン酸、エチルボロン酸、イソプロピルボロン酸、n−プロピルボロン酸、n−ブチルボロン酸、イソブチルボロン酸、n−ヘキシルボロン酸、シクロヘキシルボロン酸、フェニルボロン酸、3,5−ジフルオロボロン酸、ペンタフルオロフェニルボロン酸、3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニルボロン酸などが挙げられる。これらの中では、メチルボロン酸、n−ブチルボロン酸、イソブチルボロン酸、3,5−ジフルオロフェニルボロン酸、ペンタフルオロフェニルボロン酸が好ましい。これらは1種単独でまたは2種以上組み合わせて用いられる。
【0094】
このようなアルキルボロン酸と反応させる有機アルミニウム化合物として具体的には、前記一般式(B−1a)に属する有機アルミニウム化合物として例示したものと同様の有機アルミニウム化合物を挙げることができる。
【0095】
前記有機アルミニウム化合物としては、トリアルキルアルミニウム、トリシクロアルキルアルミニウムが好ましく、特にトリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウムが好ましい。これらは1種単独でまたは2種以上組み合わせて用いられる。
上記のような 有機アルミニウムオキシ化合物(B−2)は、1種単独でまたは2種以上組み合せて用いられる。
【0096】
<(B−3)遷移金属化合物(A)と反応してイオン対を形成する化合物>
本発明で用いられる遷移金属化合物(A)と反応してイオン対を形成する化合物(B−3)(以下、「イオン化イオン性化合物」という。)としては、特開平1−501950号公報、特開平1−502036号公報、特開平3−179005号公報、特開平3−179006号公報、特開平3−207703号公報、特開平3−207704号公報、USP−5321106号などに記載されたルイス酸、イオン性化合物、ボラン化合物およびカルボラン化合物などを挙げることができる。さらに、ヘテロポリ化合物およびイソポリ化合物も挙げることができる。
【0097】
具体的には、前記ルイス酸としては、BR3(Rは、フッ素、メチル基、トリフルオロメチル基などの置換基を有していてもよいフェニル基またはフッ素である。)で示される化合物が挙げられ、たとえばトリフルオロボロン、トリフェニルボロン、トリス(4−フルオロフェニル)ボロン、トリス(3,5−ジフルオロフェニル)ボロン、トリス(4−フルオロメチルフェニル)ボロン、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボロン、トリス(p−トリル)ボロン、トリス(o−トリル)ボロン、トリス(3,5−ジメチルフェニル)ボロンなどが挙げられる。
【0098】
前記イオン性化合物としては、たとえば下記一般式(VIII)で表される化合物が挙げられる。
【0099】
【化8】

(一般式(VIII)中、R33としては、H+、カルボニウムカチオン、オキソニウムカチオン、アンモニウムカチオン、ホスホニウムカチオン、シクロヘプチルトリエニルカチオン、または遷移金属を有するフェロセニウムカチオンであり、R34〜R37は、互いに同一でも異なっていてもよく、有機基、好ましくはアリール基または置換アリール基である。)
【0100】
前記カルボニウムカチオンとして具体的には、トリフェニルカルボニウムカチオン、トリ(メチルフェニル)カルボニウムカチオン、トリ(ジメチルフェニル)カルボニウムカチオンなどの三置換カルボニウムカチオンなどが挙げられる。
【0101】
前記アンモニウムカチオンとして具体的には、トリメチルアンモニウムカチオン、トリエチルアンモニウムカチオン、トリプロピルアンモニウムカチオン、トリブチルアンモニウムカチオン、トリ(n−ブチル)アンモニウムカチオンなどのトリアルキルアンモニウムカチオン;N,N−ジメチルアニリニウムカチオン、N,N−ジエチルアニリニウムカチオン、N,N−2,4,6−ペンタメチルアニリニウムカチオンなどのN,N−ジアルキルアニリニウムカチオン;ジ(イソプロピル)アンモニウムカチオン、ジシクロヘキシルアンモニウムカチオンなどのジアルキルアンモニウムカチオンなどが挙げられる。
【0102】
前記ホスホニウムカチオンとして具体的には、トリフェニルホスホニウムカチオン、トリ(メチルフェニル)ホスホニウムカチオン、トリ(ジメチルフェニル)ホスホニウムカチオンなどのトリアリールホスホニウムカチオンなどが挙げられる。
【0103】
33としては、カルボニウムカチオン、アンモニウムカチオンなどが好ましく、特にトリフェニルカルボニウムカチオン、N,N−ジメチルアニリニウムカチオン、N,N−ジエチルアニリニウムカチオンが好ましい。
【0104】
またイオン性化合物として、トリアルキル置換アンモニウム塩、N,N−ジアルキルアニリニウム塩、ジアルキルアンモニウム塩、トリアリールホスフォニウム塩などを挙げることもできる。
【0105】
前記トリアルキル置換アンモニウム塩として具体的には、たとえばトリエチルアンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素、トリプロピルアンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素、トリメチルアンモニウムテトラ(p−トリル)ホウ素、トリメチルアンモニウムテトラ(o−トリル)ホウ素、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ホウ素、トリプロピルアンモニウムテトラ(o,p−ジメチルフェニル)ホウ素、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラ(m,m−ジメチルフェニル)ホウ素、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラ(p−トリフルオロメチルフェニル)ホウ素、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラ(3,5−ジトリフルオロメチルフェニル)ホウ素、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラ(o−トリル)ホウ素などが挙げられる。
【0106】
前記N,N−ジアルキルアニリニウム塩として具体的には、たとえばN,N−ジメチルアニリニウムテトラ(フェニル)ホウ素、N,N−ジエチルアニリニウムテトラ(フェニル)ホウ素、N,N,2,4,6−ペンタメチルアニリニウムテトラ(フェニル)ホウ素などが挙げられる。
【0107】
前記ジアルキルアンモニウム塩として具体的には、たとえばジ(1−プロピル)アンモニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ホウ素、ジシクロヘキシルアンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素などが挙げられる。
【0108】
さらにイオン性化合物として、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、フェロセニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルカルベニウムペンタフェニルシクロペンタジエニル錯体、N,N−ジエチルアニリニウムペンタフェニルシクロペンタジエニル錯体、下記式(IX)または(X)で表されるホウ素化合物などを挙げることもできる。
【0109】
【化9】

(式中、Etはエチル基を示す。)
【0110】
【化10】

(式中、Etはエチル基を示す。)
【0111】
イオン化イオン性化合物(化合物(B−3))の例であるボラン化合物として具体的には、たとえばデカボラン;ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕ノナボレート、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕デカボレート、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕ウンデカボレート、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕ドデカボレート、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕デカクロロデカボレート、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕ドデカクロロドデカボレートなどのアニオンの塩;トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(ドデカハイドライドドデカボレート)コバルト酸塩(III)、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕ビス(ドデカハイドライドドデカボレート)ニッケル酸塩(III)などの金属ボランアニオンの塩などが挙げられる。
【0112】
イオン化イオン性化合物(化合物(B−3))の例であるカルボラン化合物として具体的には、たとえば4−カルバノナボラン、1,3−ジカルバノナボラン、6,9−ジカルバデカボラン、ドデカハイドライド−1−フェニル−1,3−ジカルバノナボラン、ドデカハイドライド−1−メチル−1,3−ジカルバノナボラン、ウンデカハイドライド−1,3−ジメチル−1,3−ジカルバノナボラン、7,8−ジカルバウンデカボラン、2,7−ジカルバウンデカボラン、ウンデカハイドライド−7,8−ジメチル−7,8−ジカルバウンデカボラン、ドデカハイドライド−11−メチル−2,7−ジカルバウンデカボラン、トリ(n−ブチル)アンモニウム1−カルバデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウム1−カルバウンデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウム1−カルバドデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウム1−トリメチルシリル−1−カルバデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムブロモ−1−カルバドデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウム6−カルバデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウム6−カルバデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウム7−カルバウンデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウム7,8−ジカルバウンデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウム2,9−ジカルバウンデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムドデカハイドライド−8−メチル−7,9−ジカルバウンデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムウンデカハイドライド−8−エチル−7,9−ジカルバウンデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムウンデカハイドライド−8−ブチル−7,9−ジカルバウンデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムウンデカハイドライド−8−アリル−7,9−ジカルバウンデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムウンデカハイドライド−9−トリメチルシリル−7,8−ジカルバウンデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムウンデカハイドライド−4,6−ジブロモ−7−カルバウンデカボレートなどのアニオンの塩;
トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(ノナハイドライド−1,3−ジカルバノナボレート)コバルト酸塩(III)、トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(ウンデカハイドライド−7,8−ジカルバウンデカボレート)鉄酸塩(III)、トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(ウンデカハイドライド−7,8−ジカルバウンデカボレート)コバルト酸塩(III)、トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(ウンデカハイドライド−7,8−ジカルバウンデカボレート)ニッケル酸塩(III)、トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(ウンデカハイドライド−7,8−ジカルバウンデカボレート)銅酸塩(III)、トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(ウンデカハイドライド−7,8−ジカルバウンデカボレート)金酸塩(III)、トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(ノナハイドライド−7,8−ジメチル−7,8−ジカルバウンデカボレート)鉄酸塩(III)、トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(ノナハイドライド−7,8−ジメチル−7,8−ジカルバウンデカボレート)クロム酸塩(III)、トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(トリブロモオクタハイドライド−7,8−ジカルバウンデカボレート)コバルト酸塩(III)、トリス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕ビス(ウンデカハイドライド−7−カルバウンデカボレート)クロム酸塩(III)、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕ビス(ウンデカハイドライド−7−カルバウンデカボレート)マンガン酸塩(IV)、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕ビス(ウンデカハイドライド−7−カルバウンデカボレート)コバルト酸塩(III)、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕ビス(ウンデカハイドライド−7−カルバウンデカボレート)ニッケル酸塩(IV)などの金属カルボランアニオンの塩などが挙げられる。
【0113】
イオン化イオン性化合物(化合物(B−3))の例であるヘテロポリ化合物は、ケイ素、リン、チタン、ゲルマニウム、ヒ素および錫から選ばれる原子と、バナジウム、ニオブ、モリブデンおよびタングステンから選ばれる1種または2種以上の原子とを含む化合物である。具体的には、リンバナジン酸、ゲルマノバナジン酸、ヒ素バナジン酸、リンニオブ酸、ゲルマノニオブ酸、シリコノモリブデン酸、リンモリブデン酸、チタンモリブデン酸、ゲルマノモリブデン酸、ヒ素モリブデン酸、錫モリブデン酸、リンタングステン酸、ゲルマノタングステン酸、錫タングステン酸、リンモリブドバナジン酸、リンタングストバナジンン酸、ゲルマノタングストバナジンン酸、リンモリブドタングストバナジン酸、ゲルマノモリブドタングストバナジン酸、リンモリブドタングステン酸、リンモリブドニオブ酸、およびこれらの酸の塩が挙げられるが、この限りではない。また、前記塩としては、例えば周期律表第1族または2族の金属、具体的には、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム等との塩、トリフェニルエチル塩等との有機塩が使用できるが、この限りではない。
【0114】
上記のようなイオン化イオン性化合物(B−3)は、1種単独でまたは2種以上組み合せて用いられる。
本発明に係る遷移金属化合物を触媒とする場合、助触媒成分としてのメチルアルミノキサンなどの有機アルミニウムオキシ化合物(B−2)とを併用すると、オレフィン化合物に対して非常に高い重合活性を示す。
【0115】
また、本発明にかかるオレフィン重合用触媒は、上記遷移金属化合物(A)と、有機金属化合物(B−1)、有機アルミニウムオキシ化合物(B−2)、およびイオン化イオン性化合物(B−3)からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物(B)とともに、必要に応じて下記の担体(D)を含んでもよい。
【0116】
(D)担体
本発明で用いられる担体(D)は、無機または有機の化合物であって、顆粒状ないしは微粒子状の固体である。担体(D)に上記遷移金属化合物(A)および化合物(B)を担持させることで、良好なモルホロジーの重合体が得られる。
前記無機化合物としては、多孔質酸化物、無機ハロゲン化物、粘土、粘土鉱物またはイオン交換性層状化合物が好ましい。
【0117】
前記多孔質酸化物として、具体的にはSiO2、Al23、MgO、ZrO、TiO2、B23、CaO、ZnO、BaO、ThO2など、またはこれらを含む複合物または混合物を使用することができ、さらに、例えば天然または合成ゼオライト、SiO2−MgO、SiO2−Al23、SiO2−TiO2、SiO2−V25、SiO2−Cr23、SiO2−TiO2−MgOなどを使用することができる。
【0118】
これらのうち、多孔質酸化物としては、SiO2および/またはAl23を主成分とするものが好ましい。
なお、上記無機酸化物は、少量のNa2CO3、K2CO3、CaCO3、MgCO3、Na2SO4、Al2(SO43、BaSO4、KNO3、Mg(NO32、Al(NO33、Na2O、K2O、Li2Oなどの炭酸塩、硫酸塩、硝酸塩、酸化物成分を含有していても差し支えない。
【0119】
このような多孔質酸化物は、種類および製法によりその性状は異なるが、本発明に好ましく用いられる担体は、粒径が10〜300μm、好ましくは20〜200μmであって、比表面積が50〜1000m2/g、好ましくは100〜700m2/gの範囲にあり、細孔容積が0.3〜3.0cm3/gの範囲にあることが望ましい。このような担体は、必要に応じて100〜1000℃、好ましくは150〜700℃で焼成して使用される。
【0120】
上記無機ハロゲン化物としては、MgCl2、MgBr2、MnCl2、MnBr2等が用いられる。無機ハロゲン化物は、そのまま用いてもよいし、ボールミル、振動ミルにより粉砕した後に用いてもよい。また、アルコールなどの溶媒に無機塩化物を溶解させた後、析出剤によって微粒子状に析出させたものを用いることもできる。
【0121】
本発明で用いられる上記粘土は、通常粘土鉱物を主成分として構成される。また、本発明で用いられるイオン交換性層状化合物は、イオン結合などによって構成される面が互いに弱い結合力で平行に積み重なった結晶構造を有する化合物であり、含有するイオンが交換可能なものである。大部分の粘土鉱物はイオン交換性層状化合物である。また、これらの粘土、粘土鉱物、イオン交換性層状化合物としては、天然産のものに限らず、人工合成物を使用することもできる。
【0122】
また、粘土、粘土鉱物またはイオン交換性層状化合物として、粘土、粘土鉱物、また、六方細密パッキング型、アンチモン型、CdCl2型、CdI2型などの層状の結晶構造を有するイオン結晶性化合物などを例示することができる。
【0123】
このような粘土、粘土鉱物としては、カオリン、ベントナイト、木節粘土、ガイロメ粘土、アロフェン、ヒシンゲル石、パイロフィライト、ウンモ群、モンモリロナイト群、バーミキュライト、リョクデイ石群、パリゴルスカイト、カオリナイト、ナクライト、ディッカイト、ハロイサイトなどが挙げられ、イオン交換性層状化合物としては、α−Zr(HAsO42・H2O、α−Zr(HPO42、α−Zr(KPO42・3H2O、α−Ti(HPO42、α−Ti(HAsO42・H2O、α−Sn(HPO42・H2O、γ−Zr(HPO42、γ−Ti(HPO42、γ−Ti(NH4PO42・H2Oなどの多価金属の結晶性酸性塩などが挙げられる。
【0124】
このような粘土、粘土鉱物またはイオン交換性層状化合物は、水銀圧入法で測定した半径20Å以上の細孔容積が0.1cc/g以上のものが好ましく、0.3〜5cc/gのものが特に好ましい。ここで、細孔容積は、水銀ポロシメーターを用いた水銀圧入法により、細孔半径20〜30000Åの範囲について測定される。
【0125】
半径20Å以上の細孔容積が0.1cc/gより小さいものを担体として用いた場合には、高い重合活性が得られにくい傾向がある。
本発明で用いられる粘土、粘土鉱物には、化学処理を施すことも好ましい。化学処理としては、表面に付着している不純物を除去する表面処理、粘土の結晶構造に影響を与える処理など、何れも使用できる。化学処理として具体的には、酸処理、アルカリ処理、塩類処理、有機物処理などが挙げられる。酸処理は、表面の不純物を取り除くほか、結晶構造中のAl、Fe、Mgなどの陽イオンを溶出させることによって表面積を増大させる。アルカリ処理では粘土の結晶構造が破壊され、粘土の構造の変化をもたらす。また、塩類処理、有機物処理では、イオン複合体、分子複合体、有機誘導体などを形成し、表面積や層間距離を変えることができる。
【0126】
本発明で用いられるイオン交換性層状化合物は、イオン交換性を利用し、層間の交換性イオンを別の大きな嵩高いイオンと交換することにより、層間が拡大した状態の層状化合物であってもよい。このような嵩高いイオンは、層状構造を支える支柱的な役割を担っており、通常、ピラーと呼ばれる。また、このように層状化合物の層間に別の物質を導入することをインターカレーションという。インターカレーションするゲスト化合物としては、TiCl4、ZrCl4などの陽イオン性無機化合物、Ti(OR)4、Zr(OR)4、PO(OR)3、B(OR)3などの金属アルコキシド(Rは炭化水素基など)、[Al134(OH)247+、[Zr4(OH)142+、[Fe3O(OCOCH36+などの金属水酸化物イオンなどが挙げられる。これらの化合物は単独でまたは2種以上組み合わせて用いられる。また、これらの化合物をインターカレーションする際に、Si(OR)4、Al(OR)3、Ge(OR)4などの金属アルコキシド(Rは炭化水素基など)などを加水分解して得た重合物、SiO2などのコロイド状無機化合物などを共存させることもできる。また、ピラーとしては、上記金属水酸化物イオンを層間にインターカレーションした後に加熱脱水することにより生成する酸化物などが挙げられる。
【0127】
本発明で用いられる粘土、粘土鉱物、イオン交換性層状化合物は、そのまま用いてもよく、またボールミル、ふるい分けなどの処理を行った後に用いてもよい。また、新たに水を添加吸着させ、あるいは加熱脱水処理した後に用いてもよい。さらに、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0128】
これらのうち、好ましいものは粘土または粘土鉱物であり、特に好ましいものはモンモリロナイト、バーミキュライト、ペクトライト、テニオライトおよび合成雲母である。
前述のように、担体(D)は無機または有機の化合物であるが、有機化合物としては、粒径が1〜300μmの範囲にある顆粒状ないしは微粒子状固体を挙げることができる。具体的には、エチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテンなどの炭素原子数が2〜14のα−オレフィンを主成分として生成される(共)重合体またはビニルシクロヘキサン、スチレンを主成分として生成される(共)重合体、およびそれらの変成体を例示することができる。
【0129】
本発明に係るオレフィン重合用触媒は、上記遷移金属化合物(A)、(B−1) 有機金属化合物、(B−2)有機アルミニウムオキシ化合物、および(B−3)イオン化イオン性化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物(B)、必要に応じて担体(D)と共に、必要に応じて下記の特定の有機化合物成分(E)を含むこともできる。
【0130】
(E)有機化合物成分
本発明において、(E)有機化合物成分は、必要に応じて、本発明のオレフィン重合用触媒の重合性能および生成重合体の物性(たとえば生成重合体の分子量)を向上(分子量であれば、高分子量化)させる目的で使用される。このような有機化合物としては、アルコール類、フェノール性化合物、カルボン酸、リン化合物およびスルホン酸塩等が挙げられるが、この限りではない。
【0131】
前記アルコール類および前記フェノール性化合物としては、通常、R37−OHで表されるものが使用され、ここで、R37は炭素原子数1〜50の炭化水素基(フェノール類の場合、炭素原子数は6〜50)または炭素原子数1〜50のハロゲン化炭化水素基(フェノール類の場合、炭素原子数は6〜50)を示す。
【0132】
上記アルコール類としては、R37がハロゲン化炭化水素のものが好ましい。また、フェノール性化合物としては、水酸基のα,α’−位が炭素原子数1〜20の炭化水素で置換されたものが好ましい。
【0133】
前記カルボン酸としては、通常、R38−COOHで表されるものが使用される。R38は炭素原子数1〜50の炭化水素基または炭素原子数1〜50のハロゲン化炭化水素基を示し、特に、炭素原子数1〜50のハロゲン化炭化水素基が好ましい。
【0134】
前記リン化合物としては、P−O−H結合を有するリン酸類、P−OR、P=O結合を有するホスフェート、ホスフィンオキシド化合物が好ましく使用される。
上記スルホン酸塩としては、下記一般式(XI)で表されるものが使用される。
【0135】
【化11】

(式中、Mは周期律表第1〜14族の元素であり、R39は水素、炭素原子数1〜20の炭化水素基または炭素原子数1〜20のハロゲン化炭化水素であり、Xは水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数が1〜20の炭化水素基または炭素原子数が1〜20のハロゲン化炭化水素であり、mは1〜7の整数であり、nは1〜7の整数であり、また、m−n≧1である。)
【0136】
本発明にかかるポリオレフィンの製造方法は、上記のようなオレフィン重合用触媒の存在下に、オレフィンを重合または共重合させることによりポリオレフィンを得る。なお、前述のように本明細書においてオレフィンとは、重合性二重結合を有するあらゆる化合物を指す。
【0137】
重合における、本発明の触媒を構成する各成分の使用法、重合器への添加順序は任意に選ばれるが、以下のような方法が例示される。
(1)遷移金属化合物(A)を単独で重合器に添加する方法。
(2)遷移金属化合物(A)をおよび化合物(B)を任意の順序で重合器に添加する方法。
(3)遷移金属化合物(A)を担体(D)に担持した触媒成分、化合物(B)を任意の順序で重合器に添加する方法。
(4)化合物(B)を担体(D)に担持した触媒成分、および遷移金属化合物(A)を任意の順序で重合器に添加する方法。
(5)遷移金属化合物(A)と化合物(B)とを担体(D)に担持した触媒成分を重合器に添加する方法。
【0138】
(6)遷移金属化合物(A)と化合物(B)とを担体(D)に担持した触媒成分、および化合物(B)を任意の順序で重合器に添加する方法。この場合、担体(D)に担持された化合物(B)と単独で添加される化合物(B)とは同一でも異なっていても良い
(7)化合物(B)を担体(D)に担持した触媒成分、遷移金属化合物(A)、および化合物(B)を任意の順序で重合器に添加する方法。この場合、担体(D)に担持された化合物(B)と単独で添加される化合物(B)とは、同一でも異なっていても良い
(8)遷移金属化合物(A)を担体(D)に担持した触媒成分、および化合物(B)を担体(D)に担持した成分を任意の順序で重合器に添加する方法。
(9)遷移金属化合物(A)を担体(D)に担持した触媒成分、化合物(B)を担体(D)に担持した触媒成分、および化合物(B)を任意の順序で重合器に添加する方法。この場合、担体(D)に担持された化合物(B)と単独で添加される化合物(B)とは、同一でも異なっていても良い。
(10)遷移金属化合物(A)、化合物(B)、および有機化合物成分(E)を任意の順序で重合器に添加する方法。
【0139】
(11)化合物(B)と有機化合物成分(E)をあらかじめ接触させた成分、および遷移金属化合物(A)を任意の順序で重合器に添加する方法。
(12)化合物(B)と有機化合物成分(E)を担体(D)に担持した成分、および遷移金属化合物(A)を任意の順序で重合器に添加する方法。
(13)遷移金属化合物(A)と化合物(B)を予め接触させた触媒成分、および有機化合物成分(E)を任意の順序で重合器に添加する方法。
(14)遷移金属化合物(A)と化合物(B)を予め接触させた触媒成分、および化合物(B)、有機化合物成分(E)を任意の順序で重合器に添加する方法。
(15)遷移金属化合物(A)と化合物(B)を予め接触させた触媒成分、および化合物[B]と有機化合物成分(E)をあらかじめ接触させた成分を任意の順序で重合器に添加する方法。この場合、遷移金属化合物(A)と接触させられる化合物(B)と、有機化合物成分(E)と接触させられる化合物(B)とは、同一でも異なっていてもよい。
(16)遷移金属化合物(A)を担体(D)に担持した成分、化合物(B)、および有機化合物成分(E)を任意の順序で重合器に添加する方法。
【0140】
(17)遷移金属化合物(A)を担体(D)に担持した成分、および化合物(B)と有機化合物成分(E)をあらかじめ接触させた成分を任意の順序で重合器に添加する方法。
(18)遷移金属化合物(A)と化合物(B)と有機化合物成分(E)を予め任意の順序で接触させた触媒成分を重合器に添加する方法。
(19)遷移金属化合物(A)と化合物(B)と有機化合物成分(E)を予め接触させた触媒成分、および化合物(B)を任意の順序で重合器に添加する方法。この場合、遷移金属化合物(A)および有機化合物成分(E)と接触させられる化合物(B)と、単独で添加される化合物[B]とは、同一でも異なっていてもよい。
(20)遷移金属化合物(A)と化合物(B)と有機化合物成分(E)を担体(D)に担持した触媒を重合器に添加方法。
(21)遷移金属化合物(A)と化合物(B)と有機化合物成分(E)を担体(D)に担持した触媒成分、および化合物(B)を任意の順序で重合器に添加する方法。この場合、担体(D)に担持された化合物(B)と単独で添加される化合物(B)とは、同一でも異なっていてもよい。
【0141】
上記の担体(D)に遷移金属化合物(A)が担持された固体触媒成分、担体(D)に遷移金属化合物(A)および化合物(B)が担持された固体触媒成分は、オレフィンが予備重合されていてもよく、予備重合された固体触媒成分上に、さらに、触媒成分が担持されていてもよい。
【0142】
本発明では、重合は溶解重合、懸濁重合などの液相重合法または気相重合法のいずれにおいても実施できる。液相重合法において用いられる不活性炭化水素媒体として具体的には、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、灯油などの脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタンなどの脂環族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素;エチレンクロリド、クロルベンゼン、ジクロロメタンなどのハロゲン化炭化水素またはこれらの混合物などを挙げることができ、オレフィン自身を溶媒として用いることもできる。
【0143】
上記のようなオレフィン重合用触媒を用いて、オレフィンの重合を行うに際して、遷移金属化合物(A)は、反応容積1リットル当り、通常10-12〜10-2モル、好ましくは10-10〜10-3モルになるような量で用いられる。
【0144】
有機金属化合物(B−1)は、有機金属化合物(B−1)と、遷移金属化合物(A)中の全遷移金属原子(M)とのモル比〔(B−1)/M〕が通常0.01〜100000、好ましくは0.05〜50000となるような量で用いられる。有機アルミニウムオキシ化合物(B−2)は、有機アルミニウムオキシ化合物(B−2)中のアルミニウム原子と、遷移金属化合物(A)中の全遷移金属(M)とのモル比〔(B−2)/M〕が、通常10〜500000、好ましくは20〜100000となるような量で用いられる。イオン化イオン性化合物(B−3)は、イオン化イオン性化合物(B−3)と、遷移金属化合物(A)中の遷移金属原子(M)とのモル比〔(B−3)/M〕が、通常1〜10、好ましくは1〜5となるような量で用いられる。
【0145】
有機化合物成分(E)は、有機金属化合物(B−1)とのモル比〔(E)/(B−1)〕が、通常0.01〜10、好ましくは0.1〜5となるような量で用いられる。有機化合物成分(E)は、有機アルミニウムオキシ化合物(B−2)とのモル比〔(E)/(B−2)〕が、通常0.01〜2、好ましくは0.005〜1となるような量で用いられる。有機化合物成分(E)は、イオン化イオン性化合物(B−3)とのモル比〔(E)/(B−3)〕が、通常0.01〜10、好ましくは0.1〜5となるような量で用いられる。
【0146】
また、このようなオレフィン重合触媒を用いたオレフィンの重合温度は、通常−50〜+200℃、好ましくは0〜170℃の範囲である。重合圧力は、通常常圧〜100kg/cm2、好ましくは常圧〜50kg/cm2の条件下であり、重合反応は、回分式、半連続式、連続式のいずれの方法においても行うことができる。さらに重合を反応条件の異なる2段以上に分けて行うことも可能である。
【0147】
得られるオレフィン重合体の分子量は、重合系に水素を存在させるか、または重合温度を変化させることによっても調節することができる。さらに、使用する化合物(B)の量により調節することもできる。
【0148】
このようなオレフィン重合触媒により重合することができるオレフィンとしては、重合性二重結合を有すれば特に限定されず、例えば直鎖状または分岐状のα−オレフィン、環状オレフィン、極性基を有する不飽和炭化水素、共役/非共役のポリエンなどを挙げることができる。
【0149】
前記直鎖状または分岐状のα−オレフィンとしては
(C−1)炭素原子数2〜30の直鎖状または分岐状のα−オレフィンが挙げられ、具体的には炭素原子数が2〜30、好ましくは2〜20の直鎖状または分岐状のα−オレフィン、たとえばエチレン、プロピレン、1−ブテン、2−ブテン、1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセンなどが挙げられる。
【0150】
前記環状オレフィンとは
(C−2)下記一般式(II)、一般式(III)、一般式(IV)または一般式(V)で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の環状オレフィンが挙げられる。
【0151】
【化12】

(式(II)中、uは0または1であり、vは0または正の整数であり、wは0または1であり、R61〜R78ならびにRa1およびRb1は、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基から選ばれ、互いに同一でも異なっていてもよく、R75〜R78は、互いに結合して単環または、多環を形成していてもよく、かつ該単環または多環が二重結合を有していてもよく、またR75とR76とで、またはR77とR78とでアルキリデン基を形成していてもよい。)
【0152】
【化13】

(式(III)中、xおよびdは0または1以上の整数であり、yおよびzは0、1または2であり、R81〜R99は、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基から選ばれ、互いに同一でも異なっていてもよく、R89およびR90が結合している炭素原子と、R93が結合している炭素原子またはR91が結合している炭素原子とは、直接あるいは炭素原子数1〜3のアルキレン基を介して結合していてもよく、またy=z=0のとき、R95とR92またはR95とR99とは互いに結合して単環または多環の芳香族環を形成していてもよい。)
【0153】
【化14】

(式(IV)中、R100、R101は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子または炭素原子数1〜5の炭化水素基を示し、fは1≦f≦18である。)
【0154】
【化15】

(一般式(V)中、xは0または1以上の整数であり、R111〜R118は水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基から選ばれ、互いに同一でも異なっていてもよく、R121〜R124は水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基から選ばれ、互いに同一でも異なっていてもよく、隣接する2つの基は互いに結合し単環または複環の芳香族環を形成していてもよい。)。
【0155】
以下、一般式(II)、一般式(III)、一般式(IV)、一般式(V)について詳説する。
一般式(II)は具体的には、以下のような構造を有する。
【0156】
【化16】

式(II)中、uは0または1であり、vは0または正の整数であり、wは0または1である。なおwが1の場合には、wを用いて表される環は6員環となり、wが0の場合には、この環は5員環となる。
【0157】
61〜R78ならびにRa1およびRb1は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子または炭化水素基である。
ここで、ハロゲン原子は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子である。
【0158】
前記炭化水素基としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ネオペンチル、n−ヘキシルなどの炭素原子数が1〜30、好ましくは1〜20の直鎖状または分岐状のアルキル基;ビニル、アリル、イソプロペニルなどの炭素原子数が2〜30、好ましくは2〜20の直鎖状または分岐状のアルケニル基;エチニル、プロパルギルなど炭素原子数が2〜30、好ましくは2〜20の直鎖状または分岐状のアルキニル基;シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロオクチル、アダマンチル、ノルボニル、テトラシククロドデシルなどの炭素原子数が3〜30、好ましくは3〜20のシクロアルキル基;シクロペンタジエニル、インデニル、フルオレニルなどの炭素原子数5〜30の環状不飽和炭化水素基;フェニル、ベンジル、ナフチル、ビフェニル、ターフェニル、フェナントリル、アントラセニルなどの炭素原子数が6〜30、好ましくは6〜20のアリール基;トリル、iso−プロピルフェニル、t−ブチルフェニル、ジメチルフェニル、ジ−t−ブチルフェニルなどのアルキル置換アリール基などが挙げられる。
【0159】
上記炭化水素基は、水素原子がハロゲンで置換されていてもよく、たとえば、モノトリフルオロメチル、ジトリフルオロメチル、モノフルオロフェニル、ジフルオロフェニル、トリフルオロフェニル、ペンタフルオロフェニル、クロロフェニルなどの炭素原子数1〜30、好ましくは1〜20のハロゲン化アルキル基またはハロゲン化アリール基が挙げられる。
【0160】
また、上記炭化水素基は、他の炭化水素基で置換されていてもよく、例えば、ベンジル、クミルなどのアリール置換アルキル基などが挙げられる。
さらに、上記炭化水素基は、ヘテロ環式化合物残基;アルコキシ基、アリーロキシ基、エステル基、エーテル基、アシル基、カルボキシル基、カルボナート基、ヒドロキシ基、ペルオキシ基、カルボン酸無水物基などの酸素含有基;アミノ基、イミノ基、アミド基、イミド基、ヒドラジノ基、ヒドラゾノ基、ニトロ基、ニトロソ基、シアノ基、イソシアノ基、シアン酸エステル基、アミジノ基、ジアゾ基、アミノ基がアンモニウム塩となったものなどの窒素含有基;ボランジイル基、ボラントリイル基、ジボラニル基などのホウ素含有基;メルカプト基、チオエステル基、ジチオエステル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、チオアシル基、チオエーテル基、チオシアン酸エステル基、イソチアン酸エステル基、スルホンエステル基、スルホンアミド基、チオカルボキシル基、ジチオカルボキシル基、スルホ基、スルホニル基、スルフィニル基、スルフェニル基などのイオウ含有基;ホスフィド基、ホスホリル基、チオホスホリル基、ホスファト基などのリン含有基、ケイ素含有基;ゲルマニウム含有基;またはスズ含有基を有していてもよい。
【0161】
上記炭化水素基としては、特に、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、ネオペンチル、n−ヘキシルなどの炭素原子数1〜30、好ましくは1〜20の直鎖状または分岐状のアルキル基;シクロプロピル、シクロブチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、アダマンチル、ノルボニル、テトラシククロドデシル等の炭素原子数3〜30、好ましくは3〜20のシクロアルキル基;フェニル、ナフチル、ビフェニル、ターフェニル、フェナントリル、アントラセニルなどの炭素原子数6〜30、好ましくは6〜20のアリール基;これらのアリール基にハロゲン原子、炭素原子数1〜30、好ましくは1〜20のアルキル基またはアルコキシ基、炭素原子数6〜30、好ましくは6〜20のアリール基またはアリーロキシ基などの置換基が1〜5個置換した置換アリール基などが好ましい。
【0162】
さらに上記一般式(II)において、R75とR76とが、R77とR78とが、R75とR77とが、R76とR78とが、R75とR78とが、またはR76とR77とがそれぞれ結合して(互いに共同して)、単環または多環の基を形成していてもよく、しかもこのようにして形成された単環または多環が二重結合を有していてもよい。ここで形成される単環または多環としては、具体的に以下のようなものが挙げられる。
【0163】
【化17】

なお、上記例示において、1または2の番号を付した炭素原子は、上記一般式(I)においてそれぞれR75(R76)またはR77(R78)が結合している炭素原子を表す。
【0164】
また、R75とR76とで、またはR77とR78とでアルキリデン基を形成していてもよい。このようなアルキリデン基は、通常は炭素原子数2〜20のアルキリデン基であり、このようなアルキリデン基の具体的な例としては、エチリデン、プロピリデン、イソプロピリデンなどが挙げられる。
【0165】
次に、一般式(III)で表される環状オレフィンについて説明する。
【0166】
【化18】

式(III)中、xおよびdは0または正の整数であり、yおよびzは0、1または2である。
【0167】
また、R81〜R99は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基である。
ハロゲン原子、炭化水素基としてはとしては、上記式(II)中のハロゲン原子、炭化水素基と同じものを例示できる。
【0168】
ここで、R89およびR90が結合している炭素原子と、R93が結合している炭素原子またはR91が結合している炭素原子とは、直接または炭素原子数1〜3のアルキレン基を介して結合していてもよい。すなわち、上記二個の炭素原子がアルキレン基を介して結合している場合には、R89とR93とが、または、R90とR91とが互いに共同して、メチレン基(−CH2−)、エチレン基(−CH2CH2-)またはプロピレン基(−CH2CH2CH2−)の内のいずれかのアルキレン基を形成している。
【0169】
さらに、y=z=0のとき、R95とR92またはR95とR99とは互いに結合して単環または多環の芳香族環を形成していてもよい。具体的には、y=z=0のとき、R95とR92とにより形成される以下のような芳香族環が挙げられる。
【0170】
【化19】

ここで、lは上記一般式(III)におけるdと同じである。
【0171】
次に、一般式(IV)で表される環状オレフィンついて説明する。
【0172】
【化20】

式(IV)中、R100とR101は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子または炭素原子数1〜5の炭化水素基であり、またfは1≦f≦18である。
【0173】
炭素原子数1〜5の炭化水素基としては好ましくはアルキル基、ハロゲン化アルキル基またはシクロアルキル基を挙げることができる。これらの具体例は上記式(II)のR61〜R78の具体例と同様である。
【0174】
【化21】

一般式(V)において、xは0または1以上の整数である。
【0175】
111〜R118およびR121〜R124は水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基から選ばれ、互いに同一でも異なっていてもよい。
ハロゲン原子、炭化水素基としてはとしては、上記式(II)中のハロゲン原子、炭化水素基と同じものを例示できる。
【0176】
また、R121〜R124の隣接する2つの基は互いに結合して単環または複環の芳香族環を形成していてもよい。これらのうち、R121とR122が結合して芳香族環が形成される環状オレフィンとして具体的には、以下のような構造が挙げられる。
【0177】
【化22】

【0178】
【化23】

また、R122とR123が結合して芳香族環が形成される環状オレフィンとして具体的には、以下のような構造が挙げられる。
【0179】
【化24】

【0180】
【化25】

また、R121とR122、R123とR124が結合して芳香族環が形成される環状オレフィンとして具体的には、以下のような構造が挙げられる。
【0181】
【化26】

これらの芳香族環上にハロゲン原子、アルキル基、およびアリール基から選ばれる置換基が置換された環状オレフィンも例として挙げられる。
【0182】
上記のような一般式(II)、(III)、(IV)または(V)で表される環状オレフィンとしては、具体的には、
ビシクロ−2−ヘプテン誘導体(ビシクロヘプト−2−エン誘導体)、トリシクロ−3−デセン誘導体、トリシクロ−3−ウンデセン誘導体、テトラシクロ−3−ドデセン誘導体、ペンタシクロ−4−ペンタデセン誘導体、ペンタシクロペンタデカジエン誘導体、ペンタシクロ−3−ペンタデセン誘導体、ペンタシクロ−4−ヘキサデセン誘導体、ペンタシクロ−3−ヘキサデセン誘導体、ヘキサシクロ−4−ヘプタデセン誘導体、ヘプタシクロ−5−エイコセン誘導体、ヘプタシクロ−4−エイコセン誘導体、ヘプタシクロ−5−ヘンエイコセン誘導体、オクタシクロ−5−ドコセン誘導体、ノナシクロ−5−ペンタコセン誘導体、ノナシクロ−6−ヘキサコセン誘導体、シクロペンタジエン−アセナフチレン付加物、1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロフルオレン誘導体、1,4−メタノ−1,4,4a,5,10,10a−ヘキサヒドロアントラセン誘導体、炭素原子数3〜20のシクロアルキレン誘導体、ベンゾノルボルナジエン誘導体、1,4−ジヒドロ−1,4−メタノアントラセン誘導体などが挙げられる。
【0183】
以下に、上記一式(II)、(III)、(IV)または(V)で表される環状オレフィンの具体的な例を示す。
【0184】
【化27】

【0185】
【化28】

【0186】
【化29】

【0187】
【化30】

【0188】
【化31】

【0189】
【化32】

【0190】
【化33】

【0191】
【化34】

【0192】
【化35】

【0193】
【化36】

【0194】
【化37】

【0195】
【化38】

【0196】
【化39】

【0197】
【化40】

【0198】
【化41】

【0199】
【化42】

【0200】
【化43】

【0201】
【化44】

【0202】
【化45】

【0203】
【化46】

【0204】
【化47】

【0205】
【化48】

【0206】
【化49】

【0207】
【化50】

【0208】
【化51】

【0209】
【化52】

【0210】
【化53】

【0211】
【化54】

シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、3−メチルシクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテン、シクロデセン、シクロドデセン、シクロエイコセンなど。
ベンゾノルボルナジエンおよびその誘導体
【0212】
【化55】

1,4−ジヒドロ−1,4−メタノアントラセンおよびその誘導体
【0213】
【化56】

これらの中では、ビシクロ[2.2.1]−2−ヘプテン誘導体、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン誘導体、ベンゾノルボルナジエン誘導体および1,4−ジヒドロ−1,4−メタノアントラセン誘導体が好ましく、特にビシクロ[2.2.1]−2−ヘプテン、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、ベンゾノルボルナジエン、1,4−ジヒドロ−1,4−メタノアントラセンが好ましい。
【0214】
これらの一般式(II)、(III)、(IV)または(V)で表される環状オレフィンを、2種以上含んで重合してもよい。
また前記極性基を有する不飽和炭化水素とは、極性基としてたとえば、カルボニル基、水酸基、エーテル結合基などを有する鎖状の不飽和炭化水素であり、具体的には、アクリル酸、3−ブテン酸、4−ペンテン酸、5−ヘキセン酸、6−ヘプテン酸、7−オクテン酸、8−ノネン酸、9−デセン酸、10−ウンデセン酸、11−ドデセン酸、12−トリデセン酸、13−テトラデセン酸、14−ペンタデセン酸、15−ヘキサデセン酸、16−ヘプタデセン酸、17−オクタデセン酸、18−ノナデセン酸、19−エイコセン酸、20−ヘニコセン酸、21−ドコセン酸、22−トリコセン酸、メタクリル酸、2−メチルペンテン酸、2,2−ジメチル−3−ブテン酸、2,2−ジメチル−4−ペンテン酸、3−ビニル安息香酸、4−ビニル安息香酸、2,6−ヘプタジエン酸、2−(4−イソプロピルベンジリデン)−4−ペンテン酸、アリルマロン酸、2−(10−ウンデセニル)マロン酸、フマル酸、イタコン酸、ビシクロ[2.2.1]−5−ヘプテン−2−カルボン酸、ビシクロ[2.2.1]−5−ヘプテン−2,3−ジカルボン酸などの不飽和カルボン酸類、およびこれらのナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、亜鉛塩、マグネシウム塩、カルシウム塩などの金属塩類、およびこれら不飽和カルボン酸類のメチルエステル、エチルエステル、n−プロピルエステル、イソプロピルエステル、n−ブチルエステル、イソブチルエステル、(5−ノルボルネン−2−イル)エステルなどの不飽和カルボン酸エステル類(該不飽和カルボン酸がジカルボン酸である場合にはモノエステルであってもジエステルであってもよい)、およびこれら不飽和カルボン酸類のアミド、N,N−ジメチルアミド等の不飽和カルボン酸アミド類(該不飽和カルボン酸がジカルボン酸である場合にはモノアミドであってもジアミドであってもよい);
無水マレイン酸、無水イタコン酸、アリルコハク酸無水物、イソブテニルコハク酸無水物、(2,7−オクタジエン−1−イル)コハク酸無水物、テトラヒドロフタル酸無水物、ビシクロ[2.2.1]−5−ヘプテン−2,3−ジカルボン酸無水物などの不飽和カルボン酸無水物類;
酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、カプロン酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニルなどのビニルエステル類;
酢酸アリル、プロピオン酸アリル、カプロン酸アリル、カプリン酸アリル、ラウリン酸アリル、ステアリン酸アリルなどのアリルエステル類;
塩化ビニル、フッ化ビニル、臭化ビニル、ヨウ化ビニル、臭化アリル、塩化アリル、フッ化アリル、臭化アリルなどのハロゲン化オレフィン類;
o−クロロスチレン、p−クロロスチレンなどのハロゲン化スチレン類;
アリルトリメチルシラン、ジアリルジメチルシラン、3−ブテニルトリメチルシラン、アリルトリイソプロピルシラン、アリルトリフェニルシラン等のシリル化オレフィン類;
アクリロニトリル、2−シアノビシクロ[2.2.1]−5−ヘプテン、2,3−ジシアノビシクロ[2.2.1]−5−ヘプテン等の不飽和ニトリル類;
アリルアルコール、3−ブテノール、4−ペンテノール、5−ヘキセノール、6−へブテノール、7−オクテノール、8−ノネノール、9−デセノール、10−ウンデセノール、11−ドデセノール、12−トリデセノール等の不飽和アルコール化合物、およびこれらの酢酸エステル、安息香酸エステル、プロピオン酸エステル、カプロン酸エステル、カプリン酸エステル、ラウリン酸エステル、ステアリン酸エステル等の不飽和エステル類;
【0215】
ビニルフェノール、アリルフェノール等の置換フェノール類、およびこれらの酢酸エステル、安息香酸エステル、プロピオン酸エステル、カプロン酸エステル、カプリン酸エステル、ラウリン酸エステル、ステアリン酸エステル等の不飽和エステル類;
ビニルベンジルアルコール、アリルベンジルアルコール等の置換ベンジルアルコール類、およびこれらの酢酸エステル、安息香酸エステル、プロピオン酸エステル、カプロン酸エステル、カプリン酸エステル、ラウリン酸エステル、ステアリン酸エステル等の不飽和エステル類;
メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、アリルメチルエーテル、アリルプロピルエーテル、アリルブチルエーテル、アリルメタリルエーテル、メトキシスチレン、エトキシスチレン、アリルアニソール等の不飽和エーテル類;
ブタジエンモノオキシド、1,2−エポキシ−7−オクテン、3−ビニル7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタン等の不飽和エポキシド類;
アクロレイン、ウンデセナール等の不飽和アルデヒド類、およびこれらのジメチルアセタール、ジエチルアセタールなどの不飽和アセタール類;
メチルビニルケトン、エチルビニルケトン、アリルメチルケトン、アリルエチルケトン、アリルプロピルケトン、アリルブチルケトン、アリルベンジルケトン等の不飽和ケトン類、およびこれらのジメチルアセタール、ジエチルアセタールなどの不飽和アセタール類;
アリルメチルスルフィド、アリルフェニルスルフィド、アリルイソプロピルスルフィド、アリルn−プロピルスルフィド、4−ペンテニルフェニルスルフィド等の不飽和チオエーテル類;
アリルフェニルスルホキシド等の不飽和スルホキシド類;
アリルフェニルスルホン等の不飽和スルホン類;
アリルジフェニルホスフィン等の不飽和ホスフィン類;
アリルジフェニルホスフィンオキシドのような不飽和ホスフィンオキシド類などが挙げられる。
【0216】
さらに、以上に挙げた極性基を2個以上併せて有する不飽和炭化水素、例えばトリフルオロ酢酸ビニル、トリフルオロ酢酸アリル、4−(3−ブテニロキシ)安息香酸メチル、アクリル酸グリシジル、アリルグリシジルエーテル、(2H−ペルフルオロプロピル)−2−プロペニルエーテル、リナロールオキシド、3−アリロキシ−1,2−プロパンジオール、2−(アリロキシ)エタノール、N−アリルモルホリン、アリルグリシン、N−ビニルピロリドン、アリルトリクロロシラン、アクリルトリメチルシラン、アリルジメチル(ジイソプロピルアミノ)シラン、7−オクテニルトリメトキシシラン、アリロキシトリメチルシラン、アリロキシトリフェニルシランなども、本発明のオレフィン重合用触媒によって(共)重合させることができる。
【0217】
また、本発明のオレフィン重合触媒は、ビニルシクロヘキサン、ジエンまたはポリエンなどを(共)重合することもできる。
前記共役/非共役のポリエンとしては、炭素原子数が4〜30、好ましくは4〜20であり二個以上の二重結合を有する環状または鎖状の化合物が用いられる。具体的には、ブタジエン、イソプレン、4−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ペンタジエン、1,4−ペンタジエン、1,5−ヘキサジエン、1,4−ヘキサジエン、1,3−ヘキサジエン、1,3−オクタジエン、1,4−オクタジエン、1,5−オクタジエン、1,6−オクタジエン、1,7−オクタジエン、エチリデンノルボルネン、ビニルノルボルネン、ジシクロペンタジエン;7−メチル−1,6−オクタジエン、4−エチリデン−8−メチル−1,7−ノナジエン、5,9−ジメチル−1,4,8−デカトリエン;さらに芳香族ビニル化合物、例えばスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、o,p−ジメチルスチレン、o−エチルスチレン、m−エチルスチレン、p−エチルスチレンなどのモノもしくはポリアルキルスチレン;メトキシスチレン、エトキシスチレン、ビニル安息香酸、ビニル安息香酸メチル、ビニルベンジルアセテート、ヒドロキシスチレン、o−クロロスチレン、p−クロロスチレン、ジビニルベンゼンなどの官能基含有スチレン誘導体;および3−フェニルプロピレン、4−フェニルプロピレン、α−メチルスチレンなどが挙げられる。
【0218】
本発明の遷移金属化合物(A)は、上記に説明したように、サリチルアルドイミン配位子の特定部位にハロゲン原子を導入した新規な構造を有し、該化合物(A)を含む本発明のオレフィン重合用触媒は、従来のサリチルアルドイミン配位子を有する遷移金属化合物よりも重合活性が高く、しかもコモノマー含量および分子量の高い重合体を製造することができる。
【実施例】
【0219】
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
なお、合成例で得られた化合物の構造は、FD−質量分析(日本電子 SX−102A)、270MHz 1H−NMR(日本電子 GSH−270)等を用いて決定した。
【0220】
なお、本実施例において、極限粘度([η])は、135℃、デカリン中で測定した。
また、実施例で得られた共重合体のコモノマー含量は、400MHz 13C−NMR(日本電子ECX400P)、またはIR(日本分光、FT/IR−4200 またはFT/IR−410)によって測定した。IRは、実施例で得られた共重合体を、135℃に加熱したホットプレスにて溶融延伸後、室温下加圧冷却することで得られたフィルムを測定サンプルとして用いた。
【0221】
環状オレフィン共重合体のモノマー組成比は、予め重合体の13C−NMR分析による環状オレフィン含有量とDSC(示差走査熱量計)測定によるTg(ガラス転移点温度)の相関式を求めた。DSC測定によるTgからこの相関式を用いて環状オレフィン含有量を算出した。
【0222】
13C−NMRによる環状オレフィン含有量の測定〕
装置:日本電子製 EX400
周波数:100.4MHz
〔TD(テトラシクロドデセン)の定量〕
TD(モル%)=(TD)/((TD)+(ethylene))×100
ここで、
(TD)=((3)+(c))/2
(ethylene)=[(29.5−32.5ppm)−(5)−(e)−(f)])/2
=[(29.5−32.5ppm)−(TD)−(c)/2])/2
ここで、( )内の値はピーク強度を表す。それぞれ
C(3) 51.0ppm
C(c) 54.5ppm
C(炭素原子)の番号は以下の図の通りである。
【0223】
【化57】

【0224】
〔NB(ノルボルネン)の定量〕
NB(モル%)=1/3×[2×(C7)+(C1,C4)+(C2,C3)]/(C5,C6&ethylene)×100
ここで、( )内の値はピーク強度を表す。それぞれ、
C2,C3 44−46.5ppm
C1,C4 38.5−41ppm
C7 30.5−32ppm
C5,C6&ethylene 27−30ppm
である。
C(炭素原子)の番号は以下の図の通りである。
【0225】
【化58】

【0226】
〔Tgの測定〕
得られた重合体のTgは以下の条件でDSC測定を行い求めた。
装置:エスアイアイナノテクノロジー社 DSC6220
測定条件:300℃で5分間ホールドした試料を0℃まで急冷し、その後昇温速度20℃/minで250℃まで昇温する過程においてTgを求めた。
【0227】
(1)配位子の合成
〔配位子合成例−1〕
充分に乾燥、窒素置換した100mlの反応器に、3,5−ジヨードサリチルアルデヒド2.66g(7.1mmol)、トルエン20mlを仕込んだ。そこにアニリン0.73g(7.8mmol)を含むトルエン溶液10ml、p−トルエンスルホン酸0.1gを加え加熱還流下、3時間攪拌した。溶媒を留去して得られた残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製すると、下式(1)で示した目的物が2.4g(収率75%)得られた。
1H NMR(CDCl3,270MHz):δ 7.24−7.49(m,5H),7.67(d,1H,J=2.0Hz),8.10(d,1H,J=2.0Hz),8.45(s,1H),14.71(s,1H)
【0228】
【化59】

【0229】
〔配位子合成例−2〕
充分に乾燥、窒素置換した100mlの反応器に、3,5−ジヨードサリチルアルデヒド2.46g(6.6mmol)、トルエン20mlを仕込んだ。そこに4−t−ブチルアニリン1.08g(7.2mmol)を含むトルエン溶液10ml、p−トルエンスルホン酸0.1gを加え加熱還流下、4時間攪拌した。溶媒を留去して得られた残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製すると、下式(2)で示した目的物が1.7g(収率51%)得られた。
1H NMR(CDCl3,270MHz):δ 1.35(s,9H),7.25(d,2H,J=8.9Hz),7.46(d,2H,J=8.9Hz),7.66(d,1H,J=2.0Hz),8.09(d、1H,J=2.0Hz),8.46(s,1H),(14.90(s,1H)
【0230】
【化60】

【0231】
〔配位子合成例−3〕
充分に乾燥、窒素置換した100mlの反応器に、3,5−ジブロモサリチルアルデヒド5.6g(20.0mmol)、トルエン50mlを仕込んだ。そこに4−t−ブチルアニリン3.28g(22.0mmol)を含むトルエン溶液20ml、p−トルエンスルホン酸0.1gを加え加熱還流下、4時間攪拌した。溶媒を留去して得られた残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製すると、下式(3)で示した目的物が6.0g(収率73%)得られた。
1H NMR(CDCl3,270MHz):δ 1.35(s,9H),2.56(m,2H),7.47(m,2H),7.48(d,1H,J=2.3Hz),7.74(d,1H,J=2.3Hz),8.55(d,1H,2.3Hz),14.68(s,1H)
【0232】
【化61】

【0233】
〔配位子合成例−4〕
充分に乾燥、窒素置換した100mlの反応器に、3,5−ジヨードサリチルアルデヒド1.87g(5.0mmol)、トルエン20mlを仕込んだ。そこに4−トリチルアニリン1.68g(5.0mmol)を含むトルエン溶液10ml、p−トルエンスルホン酸0.1gを加え加熱還流下、4時間攪拌した。溶媒を留去して得られた残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製すると、下式(4)で示した目的物が3.1g(収率89%)得られた。
1H NMR(CDCl3,270MHz):δ 7.24(m,19H),7.61(d,1H,J=2.0Hz)、8.06(d,1H,J=2.0Hz),8.42(d,1H,J=2.0Hz),14.8(s,1H)
【0234】
【化62】

【0235】
〔配位子合成例−5〕
充分に乾燥、窒素置換した100mlの反応器に、3,5−ジブロモサリチルアルデヒド2.88g(10.3mmol)、トルエン20mlを仕込んだ。4−トリチルアニリン3.69g(11.0mmol)を含むトルエン溶液10ml、p−トルエンスルホン酸0.1gを加え加熱還流下、4時間攪拌した。溶媒を留去して得られた残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製すると、下式(5)で示した目的物が5.7g(収率93%)得られた。
1H NMR(CDCl3,270MHz):δ 7.25(m,19H),7.46(d,1H,J=2.3Hz)、7.77(d,1H,J=2.3Hz),8.54(s,1H),14.5(s,1H)
【0236】
【化63】

【0237】
〔配位子合成例−6〕
充分に乾燥、窒素置換した100mlの反応器に、3,5−ジヨードサリチルアルデヒド0.261g(1.00mmol)、トルエン10mlを仕込んだ。p−ドデシルアニリン0.374g(1.00mmol)を含むトルエン溶液10ml、p−トルエンスルホン酸0.1gを加え加熱還流下、4時間攪拌した。溶媒を留去して得られた残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製すると、下式(6)で示した目的物が0.57g(収率93%)得られた。
1H NMR(CDCl3,270MHz):δ 0.88(t,3H,J=7.0Hz),1.26−1.32(m,18H),1.60−1.65(m,2H),2.61−2.66(t,br,2H,J=8.1Hz),7.23(s,br,4H),7.65(d,1H,J=2.2Hz),8.09(d,1H,J=2.2Hz),8.45(s,1H),14.92(s,1H)
【0238】
【化64】

【0239】
〔配位子合成例−7〕
充分に乾燥、窒素置換した100mlの反応器に、3,5−ジブロモサリチルアルデヒド1.04g(5.00mmol)、トルエン20mlを仕込んだ。4−オクチルアニリン1.03g(5.00mmol)を含むトルエン溶液10ml、p−トルエンスルホン酸0.1gを加え加熱還流下、4時間攪拌した。溶媒を留去して得られた残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製すると、下式(7)で示した目的物が2.6g(収率92%)得られた。
1H NMR(CDCl3,270MHz):δ 0.88(t,3H,J=6.8Hz),1.29(m,10H),1.61(m,2H),2.63(t,2H,J=7.7Hz),7.22(m,4H),7.63(d,1H,J=2.0Hz),8.07(d、1H,J=2.0Hz),8.43(s,1H),14.9(s,1H)
【0240】
【化65】

【0241】
〔配位子合成例−8〕
充分に乾燥、窒素置換した100mlの反応器に、3,5−ジヨードサリチルアルデヒド3.74g(10.0mmol)、トルエン20mlを仕込んだ。p−トリフルオロメチルアニリン1.77g(11.0mmol)を含むトルエン溶液10ml、p−トルエンスルホン酸0.1gを加え加熱還流下、4時間攪拌した。溶媒を留去して得られた残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製すると、下式(8)で示した目的物が4.1g(収率80%)得られた。
1H NMR(CDCl3,270MHz):δ 7.36(d,2H,J=7.9Hz),7.71(d,1H,J=2.0Hz),7.71(d,2H,J=7.9Hz),8.15(d,1H,J=2.0Hz),8.46(s,1H)
【0242】
【化66】

【0243】
〔配位子合成例−9〕
充分に乾燥、窒素置換した100mlの反応器に、3,5−ジブロモサリチルアルデヒド5.60g(20.0mmol)、トルエン20mlを仕込んだ。p−トリフルオロメチルアニリン3.54g(22.0mmol)を含むトルエン溶液10ml、p−トルエンスルホン酸0.1gを加え加熱還流下、4時間攪拌した。溶媒を留去して得られた残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製すると、下式(9)で示した目的物が2.7g(収率32%)得られた。
1H NMR(CDCl3,270MHz):δ 7.37(d,2H,J=8.2Hz),7.53(d,1H,J=2.3Hz),7.72(d,2H,J=8.2Hz),7.80(d,1H,J=2.3Hz),8.55(s,1H),13.9(s,1H)
【0244】
【化67】

【0245】
〔配位子合成例−10〕
充分に乾燥、窒素置換した100mlの反応器に、3,5−ジヨードサリチルアルデヒド0.748g(2.00mmol)、トルエン20mlを仕込んだ。3,5−ビストリフルオロメチルアニリン0.458g(2.00mmol)を含むトルエン溶液10ml、p−トルエンスルホン酸0.1gを加え加熱還流下、4時間攪拌した。溶媒を留去して得られた残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製すると、下式(10)で示した目的物が0.76g(収率65%)得られた。
1H NMR(CDCl3,270MHz):δ 7.70(s,br,2H),7.76(d,1H,J=1.9Hz),7.84(s,br,1H),8.18(d,1H,J=1.9Hz),8.52(s,1H),13.61(s,1H)
【0246】
【化68】

【0247】
〔配位子合成例−11〕
充分に乾燥、窒素置換した100mlの反応器に、3,5−ジヨードサリチルアルデヒド2.07g(5.53mmol)、トルエン20mlを仕込んだ。3,5−ビス−t−ブチルアニリン1.14g(5.53mmol)を含むトルエン溶液10ml、p−トルエンスルホン酸0.1gを加え加熱還流下、4時間攪拌した。溶媒を留去して得られた残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製すると、下式(11)で示した目的物が2.7g(収率88%)得られた。
1H NMR(CDCl3,270MHz):δ 1.35(s,18H),7.14?d,2H,J=1.8Hz),7.40(t,1H,J=1.8Hz),7.70(d,1H,J=2.3Hz),8.09(d,1H,J=2.3Hz),8.48(s,1H),15.2(s,1H).
【0248】
【化69】

【0249】
〔配位子合成例−12〕
充分に乾燥、窒素置換した100mlの反応器に、3,5−ジヨードサリチルアルデヒド1.87g(5.00mmol)、トルエン20mlを仕込んだ。4−ジメチルアミノアニリン0.68g(5.00mmol)を含むトルエン溶液10ml、p−トルエンスルホン酸0.1gを加え加熱還流下、4時間攪拌した。溶媒を留去して得られた残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製すると、下式(12)で示した目的物が2.7g(収率55%)得られた。
1H NMR(CDCl3,270MHz):δ 3.02(s,6H,CH3),6.75(d,br,2H,J=8.6Hz)、7.29(d,2H,J=8.6Hz)、7.61(d,1H,J=2.0Hz)、8.03(d,1H,J=2.0Hz)、8.40(s,1H),15.4(s,1H).
【0250】
【化70】

【0251】
〔配位子合成例−13〕
・5−ヘプチルサリチルアルデヒドの合成
充分に乾燥、窒素置換した500mlの反応器に4−ヘプチルフェノール(4.83g、25.0mmol)とジエチルエーテル50mlを仕込み、反応器を0℃に冷却した。エチルマグネシウムブロミド9.17ml(ジエチルエーテル溶液、3.00M、27.5mmol)を15分かけて滴下し、得られた薄緑色溶液を室温で2時間攪拌した。ジエチルエーテルを留去してトルエン50mlを添加し、100℃オイルバスで5分加熱した。そこにトリエチルアミン14.5ml(10.6g、104.3mmol)、パラホルムアルデヒド2.85g(トルエンスラリー、15ml)を添加しそのままの温度で1時間攪拌した。室温まで冷却したのち、1N 塩酸240mlを加えて室温で1時間攪拌した。ヘキサンを用いて抽出を行い、有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液および飽和食塩水で洗浄し無水硫酸マグネシウムで乾燥した。濃縮して得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して下式(13−1)で示した5−ヘプチルサリチルアルデヒド(4.11g、75%)を無色オイルとして得た。
1H NMR(CDCl3,270MHz):δ 0.88(t,3H,J=9.2Hz),1.30(m,8H),1.59(m,2H),2.59(t,2H,J=7.6Hz),6.91(d,1H,J=4.5Hz),7.33(s、1H),7.35(m,2H),9.87(d,1H,J=0.7Hz),10.85(s,1H)
【0252】
【化71】

【0253】
・5−ヘプチル−3−ヨードサリチルアルデヒドの合成
充分に乾燥、窒素置換した30mlの反応器に上記式(13−1)で示した5−ヘプチルサリチルアルデヒド(1.00g、4.54mmol)および酢酸4.50mlを仕込み、反応器を80℃オイルバスで加熱した。一塩化ヨウ素6.81ml(ジクロロメタン溶液、1.00M、6.81mmol)を添加してそのままの温度で8時間攪拌した。室温まで冷却したのち、10%チオ硫酸ナトリウム水溶液を加えて反応を停止した。酢酸エチルで抽出し、有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液および飽和食塩水で洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して下式(13−2)で示した5−ヘプチル−3−ヨードサリチルアルデヒド0.70g(収率45%)を得た。
1H NMR(CDCl3,270MHz):δ 0.89(t,3H,J=6.8Hz),1.28−1.31(m,8H),1.55−1.65(m,2H),2.57(t,2H,J=7.6Hz),7.35(d,1H,J=2.0Hz),7.83(d,1H,J=2.0Hz),9.73(s、1H),11.62(s,1H)
【0254】
【化72】

【0255】
・配位子13の合成
充分に乾燥、窒素置換した100mlの反応器に、上記式(13−2)で示した3−ヨード−5−ヘプチルサリチルアルデヒド1.48g(4.26mmol)、トルエン20mlを仕込んだ。4−トリチルアニリン1.43g(4.26mmol)を含むトルエン溶液10ml、p−トルエンスルホン酸0.1gを加え加熱還流下、4時間攪拌した。溶媒を留去して得られた残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製すると、下式(13)で示した目的物が2.41g(収率85%)得られた。
1H NMR(CDCl3,270MHz):δ 0.88(t,3H,J=6.8Hz),1.28(m,8H),1.59(m,2H),2.54(t,2H,J=7.7Hz),7.22(m、20H),7.67(d,1H,J=2.0Hz),8.50(s,1H),14.36(s,1H)
【0256】
【化73】

【0257】
〔配位子合成例−14〕
充分に乾燥、窒素置換した100mlの反応器に、3−ブロモサリチルアルデヒド1.00g(5.00mmol)、トルエン20mlを仕込んだ。4−t−ブチルアニリン0.746g(5.00mmol)を含むトルエン溶液10ml、p−トルエンスルホン酸0.1gを加え加熱還流下、4時間攪拌した。溶媒を留去して得られた残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製すると、下式(14)で示した目的物が1.2g(収率73%)得られた。
1H NMR(CDCl3,270MHz):δ 1.35(s,9H),6.83(t、1H,J=7.7Hz),7.26(dt,2H,J=9.1,2.5Hz),7.36?dd、1H,J=7.7,1.5Hz),7.46(dt,2H,J=9.1,2.5Hz),7.63(dd,1H,J=7.7,1.5Hz),8.61(s、1H),14.6(s,1H)
【0258】
【化74】

【0259】
(2)錯体の合成
〔錯体合成例−1〕
充分に乾燥、窒素置換した100mlの反応器に、ジエチルエーテル20mlを加え−78℃に冷却した。そこに四塩化チタン1.46ml(トルエン溶液、1.00M、1.46mmol)を添加した。その溶液に化合物(1)1.3g(2.9mmol)を含むエーテル溶液(25ml)を15分かけて滴下した。滴下終了後、ゆっくりと室温まで戻しながら14時間攪拌を続けた。反応液の溶媒留去した後、得られた固体を塩化メチレン50mlに溶解し、不溶物をガラスフィルターで除去した。ろ液を減圧濃縮し、析出した固体をジエチルエーテルで再沈し、減圧乾燥することにより下記式(A)で示される赤茶色粉体の化合物を0.7g得た(収率78%)。
FD−質量分析(M+):1014
【0260】
【化75】

【0261】
〔錯体合成例−2〕
充分に乾燥、窒素置換した100mlの反応器に、ジエチルエーテル20mlを加え−78℃に冷却した。そこに四塩化チタン1.00ml(トルエン溶液、1.00M、1.00mmol)を添加した。その溶液に化合物(2)1.01g(2.00mmol)を含むエーテル溶液(25ml)を15分かけて滴下した。滴下終了後、ゆっくりと室温まで戻しながら14時間攪拌を続けた。反応液の溶媒留去した後、得られた固体を塩化メチレン30mlに溶解し、不溶物をガラスフィルターで除去した。ろ液を減圧濃縮し、析出した固体をジエチルエーテルで再沈し、減圧乾燥することにより下記式(B)で示される赤茶色粉体の化合物を0.78g得た(収率69%)。FD−質量分析(M+):1126
【0262】
【化76】

【0263】
〔錯体合成例−3〕
充分に乾燥、窒素置換した100mlの反応器に、ジエチルエーテル20mlを加え−78℃に冷却した。そこに四塩化チタン2.00ml(トルエン溶液、1.00M、2.00mmol)を添加した。その溶液に化合物(3)1.64g(4.00mmol)を含むエーテル溶液(25ml)を15分かけて滴下した。滴下終了後、ゆっくりと室温まで戻しながら14時間攪拌を続けた。反応液の溶媒留去した後、得られた固体を塩化メチレン50mlに溶解し、不溶物をガラスフィルターで除去した。ろ液を減圧濃縮し、析出した固体をジエチルエーテルで再沈し、減圧乾燥することにより下記式(C)で示される赤茶色粉体の化合物を0.9g得た(収率50%)。FD−質量分析(M+):938
【0264】
【化77】

【0265】
〔錯体合成例−4〕
充分に乾燥、窒素置換した100mlの反応器に、ジエチルエーテル10mlを加え−78℃に冷却した。そこに四塩化チタン0.50ml(トルエン溶液、1.00M、0.50mmol)を添加した。その溶液に化合物(4)0.71g(1.0mmol)を含むエーテル溶液(20ml)を15分かけて滴下した。滴下終了後、ゆっくりと室温まで戻しながら14時間攪拌を続けた。反応液の溶媒を留去した後、得られた固体を塩化メチレン30mlに溶解した後、溶媒量が半分になるまで減圧濃縮しヘキサンで再沈殿した。固体をろ取、減圧乾燥することにより下記式(D)で示される赤茶色粉体の化合物を0.68g得た(収率91%)。
1H NMR(CDCl3,270MHz):δ 7.0−7.31(m,19H),7.35(d,1H,J=2.3Hz),7.89(s,1H),8.14(d,1H,J=2.3Hz)
【0266】
【化78】

【0267】
〔錯体合成例−5〕
充分に乾燥、窒素置換した100mlの反応器に、ジエチルエーテル10mlを加え−78℃に冷却した。そこに四塩化チタン0.50ml(トルエン溶液、1.00M、0.50mmol)を添加した。その溶液に化合物(5)0.60g(1.0mmol)を含むエーテル溶液(20ml)を15分かけて滴下した。滴下終了後、ゆっくりと室温まで戻しながら14時間攪拌を続けた。反応液の溶媒を留去した後、得られた固体を塩化メチレン30mlに溶解した後、減圧濃縮し析出した固体をヘキサンで再沈殿した。固体をろ取、減圧乾燥することにより下記式(E)で示される赤茶色粉体の化合物を0.45g得た(収率80%)
1H NMR(CDCl3,270MHz):δ 7.30?7.07(m,19H),7.35(d,1H,J=2.3Hz),7.73(d,1H,J=2.3Hz),7.95(s,1H)
【0268】
【化79】

【0269】
〔錯体合成例−6〕
充分に乾燥、窒素置換した100mlの反応器に、ジエチルエーテル10mlを加え−78℃に冷却した。そこに四塩化チタン0.25ml(トルエン溶液、1.00M、0.25mmol)を添加した。その溶液に化合物(6)0.309g(0.500mmol)を含むエーテル溶液(20ml)を15分かけて滴下した。滴下終了後、ゆっくりと室温まで戻しながら14時間攪拌を続けた。反応液の溶媒を留去した後、得られた固体をテトラヒドロフラン15mlに溶解し室温で3時間攪拌した。反応液の溶媒を留去した後、得られた固体を塩化メチレン15mlに溶解した後、減圧濃縮し析出した固体をヘキサンで再沈殿した。固体をろ取、減圧乾燥することにより下記式(F)で示される赤茶色粉体の化合物を0.19g得た(収率58%)。
1H NMR(CDCl3,270MHz):δ 0.89(t,br,J=7.0Hz,6H),1.29−1.44(m,40H),2.41−2.46(t,br,4H,J=7.6Hz),6.94−7.04(m,8H),7.41(s,br,2H),7.84(s,2H),7.97(s,br,2H)
【0270】
【化80】

【0271】
〔錯体合成例−7〕
充分に乾燥、窒素置換した100mlの反応器に、水素化ナトリウム24mg(1.0mmol)とエーテル10mlを仕込み0℃に冷却した。そこに化合物(7)0.56g(1.0mmol)を含むエーテル溶液(20ml)を5分かけて滴下した。反応温度を室温まで上げて1時間攪拌してナトリウム塩を調製した。この溶液を−78℃に冷却した四塩化チタン0.50ml(トルエン溶液、1.00M、0.50mmol)を含むジエチルエーテル溶液10mlに滴下した。滴下終了後、ゆっくりと室温まで戻しながら14時間攪拌を続けた。反応液の溶媒を留去した後、得られた固体を塩化メチレン30mlに溶解し、不溶物をガラスフィルターで除去した。ろ液を減圧濃縮し、析出した固体をジエチルエーテルで再沈し、減圧乾燥することにより下記式(G)で示される黄土色粉体の化合物を0.15g得た(収率28%)。
1H NMR(CDCl3,270MHz):δ 0.90(d,3H,J=6.6Hz),1.39(m,12H),2.44(t,2H,J=7.6Hz),7.00(dd、4H,J=19.6,8.1Hz),7.41(d、1H,J=2.0Hz),7.84(s,1H),7.98(d,1H,J=2.0Hz)
【0272】
【化81】

【0273】
〔錯体合成例−8〕
充分に乾燥、窒素置換した100mlの反応器に、ジエチルエーテル10mlを加え−78℃に冷却した。そこに四塩化チタン0.50ml(トルエン溶液、1.00M、0.50mmol)を添加した。その溶液に化合物(8)0.517g(1.0mmol)を含むエーテル溶液(20ml)を15分かけて滴下した。滴下終了後、ゆっくりと室温まで戻しながら14時間攪拌を続けた。反応液の溶媒を留去した後、得られた固体を塩化メチレン30mlに溶解した後、減圧濃縮し析出した固体をヘキサンで再沈殿した。固体をろ取、減圧乾燥することにより下記式(H)で示される赤茶色粉体の化合物を0.31g得た(収率54%)
1H NMR(CD2Cl2,270MHz):δ 7.13(d,4H,J=8.1Hz),7.33(d,4H,J=8.1Hz),7.44(d,2H,J=1.9Hz),7.90(s,2H),8.02(d,2H,J=1.9Hz)
【0274】
【化82】

【0275】
〔錯体合成例−9〕
充分に乾燥、窒素置換した100mlの反応器に、ジエチルエーテル10mlを加え−78℃に冷却した。そこに四塩化チタン1.00ml(トルエン溶液、1.00M、1.00mmol)を添加した。その溶液に化合物(9)0.846g(2.00mmol)を含むエーテル溶液(20ml)を15分かけて滴下した。滴下終了後、ゆっくりと室温まで戻しながら14時間攪拌を続けた。反応液の溶媒を留去した後、得られた固体をテトラヒドロフラン40mlに溶解させた。不溶分を除去した後減圧濃縮して得られた固体をエーテル溶解した後、ヘキサンで再沈殿した。固体をろ取、減圧乾燥することにより下記式(I)で示される赤茶色粉体の化合物を0.78g得た(収率81%)。FD−質量分析(M+):958
【0276】
【化83】

【0277】
〔錯体合成例−10〕
充分に乾燥、窒素置換した100mlの反応器に、ジエチルエーテル10mlを加え−78℃に冷却した。そこに四塩化チタン0.25ml(トルエン溶液、1.00M、0.25mmol)を添加した。その溶液に化合物(10)0.293g(0.500mmol)を含むエーテル溶液(20ml)を15分かけて滴下した。滴下終了後、ゆっくりと室温まで戻しながら14時間攪拌を続けた。反応液の溶媒を留去した後、得られた固体を塩化メチレン20mlに溶解した後、減圧濃縮し析出した固体をヘキサンで再沈殿した。固体をろ取、減圧乾燥することにより下記式(J)で示される赤茶色粉体の化合物を0.29g得た(収率55%)
1H NMR(CDCl3,270MHz):δ 7.37(s,br,4H),7.67(d,2H,J=2.2Hz),7.74(s,br,2H),8.10(s,2H),8.16(d,2H,J=2.2Hz)
【0278】
【化84】

【0279】
〔錯体合成例−11〕
充分に乾燥、窒素置換した100mlの反応器に、ジエチルエーテル10mlを加え−78℃に冷却した。そこに四塩化チタン0.50ml(トルエン溶液、1.00M、0.50mmol)を添加した。その溶液に化合物(11)0.56g(1.0mmol)を含むエーテル溶液(20ml)を15分かけて滴下した。滴下終了後、ゆっくりと室温まで戻しながら14時間攪拌を続けた。反応液の溶媒を留去した後、得られた固体を塩化メチレン30mlに溶解した後、溶媒量が半分になるまで減圧濃縮しヘキサンで再沈殿した。固体をろ取、減圧乾燥することにより下記式(K)で示される赤茶色粉体の化合物を0.49g得た(収率93%)
1H NMR(CD2Cl2,270MHz):δ 1.21(s,18H),6.81?s,br、2H?,7,21(t,1H,J=1.6Hz),7.52(d,1H,J=2.0Hz),8.01(s,1H),8.04(d,1H,J=2.0Hz)
【0280】
【化85】

【0281】
〔錯体合成例−12〕
充分に乾燥、窒素置換した100mlの反応器に、ジエチルエーテル10mlを加え−78℃に冷却した。そこに四塩化チタン0.50ml(トルエン溶液、1.00M、0.50mmol)を添加した。その溶液に化合物(12)0.49g(1.0mmol)を含むエーテル溶液(20ml)を15分かけて滴下した。滴下終了後、ゆっくりと室温まで戻しながら14時間攪拌を続けた。反応液の溶媒を留去した後、ジクロロメタン30mlとトリエチルアミン0.14ml(1.0mmol)を添加し、得られた懸濁液を1時間攪拌した。固体をろ取、ヘキサンで洗浄し、減圧乾燥することにより下記式(L)で示される赤茶色粉体の化合物を0.26g得た(収率47%)。
1H NMR(CDCl3,270MHz):δ 2.90?s,6H),6.46(2H,m),7.00(d,2H,J=10Hz),7.39(d,1H,J=2.0Hz),7.77(s,1H),7.49(d,1H,J=2.0Hz)
【0282】
【化86】

【0283】
〔錯体合成例−13〕
充分に乾燥、窒素置換した100mlの反応器に、ジエチルエーテル10mlを加え−78℃に冷却した。そこに四塩化チタン0.500ml(トルエン溶液、1.00M、0.500mmol)を添加した。その溶液に化合物(13)0.663g(1.00mmol)を含むエーテル溶液(20ml)を15分かけて滴下した。滴下終了後、ゆっくりと室温まで戻しながら14時間攪拌を続けた。反応液の溶媒を留去した後、得られた固体を塩化メチレン30mlに溶解した後、減圧濃縮し析出した固体をヘキサンで再沈殿した。固体をろ取、減圧乾燥することにより下記式(M)で示される赤茶色粉体の化合物を0.49g得た(収率68%)
1H NMR(CDCl3,270MHz):δ 0.85(t,3H,J=6.8Hz),1.22(m,8H),1.46(m,2H),2.46(t,2H,J=7.7Hz),7.26−7.01(m,20H),7.76(d,1H,J=2.0Hz),7.93(s,1H)
【0284】
【化87】

【0285】
〔錯体合成例−14〕
充分に乾燥、窒素置換した100mlの反応器に、ジエチルエーテル10mlを加え−78℃に冷却した。そこに四塩化チタン0.905ml(トルエン溶液、1.00M、0.905mmol)を添加した。その溶液に化合物(14)0.601g(1.81mmol)を含むエーテル溶液(20ml)を15分かけて滴下した。滴下終了後、ゆっくりと室温まで戻しながら14時間攪拌を続けた。反応液の溶媒を留去した後、得られた固体を塩化メチレン30mlに溶解した後、減圧濃縮し析出した固体をヘキサンで再沈殿した。固体をろ取、減圧乾燥することにより下記式(N)で示される赤茶色粉体の化合物を0.58g得た(収率41%)
1H NMR(CDCl3,270MHz):δ 1.26(s,9H),6.67(t,1H,J=7.7Hz),7.06−7.16(m,5H),7.46(dd,1H,J=7.7,1.6Hz),8.00(s,1H)
【0286】
【化88】

【0287】
〔実施例1〕
充分に窒素置換した内容積500mlのガラス製反応器に、トルエン250mlを装入し、エチレン100リットル/hrで液相及び気相を飽和させた。その後、メチルアルミノキサンをアルミニウム原子換算で1.25mmol、引き続き、前記錯体合成例−1で得られたチタン化合物(A)を0.0001mmol加え重合を開始した。エチレンを100リットル/hrで連続的に供給し、常圧下、25℃で5分間重合を行った後、少量のイソブタノールを添加することにより重合を停止した。重合終了後、反応物を少量の塩酸を含む1リットルのメタノール中に加えて重合体を析出させた。メタノールで洗浄後、80℃にて10時間減圧乾燥し、ポリエチレンが1.53g得られた。重合活性は183.6kg/mmol−Ti・hrであり、得られたポリエチレンの極限粘度[η]は3.22dl/gであった。
【0288】
〔実施例2〕
充分に窒素置換した内容積500mlのガラス製反応器に、トルエン250mlを装入し、エチレン100リットル/hr、プロピレン100リットル/hrの混合ガスで液相および気相を飽和させた。その後、メチルアルミノキサンをアルミニウム原子換算で1.25mmol、引き続き、前記錯体合成例−1で得られたチタン化合物(A)を0.005mmol加え、常圧下、共重合を開始した。50℃で10分間共重合を行った後、少量のイソブタノールを添加することにより重合を停止した。得られたポリマー懸濁液に、少量の塩酸を含む100mlの水を加えて激しく振とうし、静置した後水層を取り除いた。この操作を合計3回繰り返した後、溶媒を減圧下で留去し、さらに130℃にて10時間減圧乾燥した。得られたエチレン・プロピレン共重合体(EPR)は、12.18gであった。重合活性は14.6kg/mmol−Ti・hrであった。得られたエチレン・プロピレン共重合体の極限粘度[η]は0.75dl/gであった。IRにより測定したプロピレン含量は64.0mol%であった。
【0289】
〔実施例3〕
充分に窒素置換した内容積500mlのガラス製反応器に、トルエン250mlとテトラシクロドデセン5mLを装入し、エチレン50リットル/hrで液相及び気相を飽和させた。その後、メチルアルミノキサンをアルミニウム原子換算で1.25mmol、引き続き、前記錯体合成例−1で得られたチタン化合物(A)を0.0002mmol加え重合を開始した。エチレンを50リットル/hrで連続的に供給し、常圧下、25℃で10分間重合を行った後、少量のイソブタノールを添加することにより重合を停止した。重合終了後、反応物を少量の塩酸を含む1.25リットルのメタノール/アセトン(1:1)中に加えて重合体を析出させた。メタノールおよびアセトンで洗浄後、130℃にて10時間減圧乾燥し、エチレン・テトラシクロドデセン共重合体が0.52g得られた。重合活性は15.6kg/mmol−Ti・hrであり、得られたエチレン・テトラシクロドデセン共重合体の極限粘度[η]は1.22dl/gであった。DSC測定によるガラス転移点温度は162℃であり、この値から見積もられる重合体中のテトラシクロドデセンの含量は40.5mol%であった。
【0290】
〔実施例4〕
実施例1において、チタン化合物(A)に代えて前記錯体合成例−2で得られたチタン化合物(B)0.00005mmolを用いたほかは、実施例1と同様の操作を行い、ポリエチレン0.92gを得た。重合活性は220.8kg/mmol−Ti・hrであり、得られたポリエチレンの極限粘度[η]は7.50dl/gであった。
【0291】
〔実施例5〕
実施例1において、チタン化合物(A)に代えて前記錯体合成例−2で得られたチタン化合物(B)0.00002mmolを用いたほかは、実施例1と同様の操作を行い、ポリエチレン0.43gを得た。重合活性は258.0kg/mmol−Ti・hrであり、得られたポリエチレンの極限粘度[η]は6.27dl/gであった。
【0292】
〔実施例6〕
実施例2において、チタン化合物(A)に代えて前記錯体合成例−2で得られたチタン化合物(B)を用いたほかは、実施例2と同様の操作を行い、エチレン・プロピレン共重合体(EPR)を、10.67g得た。重合活性は12.8kg/mmol−Ti・hrであった。得られたエチレン・プロピレン共重合体の極限粘度[η]は1.24dl/gであった。IRにより測定したプロピレン含量は53.7mol%であった。
【0293】
〔実施例7〕
実施例3において、チタン化合物(A)に代えて前記錯体合成例−2で得られたチタン化合物(B)0.0002mmolを用いたほかは、実施例3と同様の操作を行い、エチレン・テトラシクロドデセン共重合体が0.547g得られた。重合活性は16.4kg/mmol−Ti・hrであり、得られたエチレン・テトラシクロドデセン共重合体の極限粘度[η]は2.10dl/gであった。DSC測定によるガラス転移点温度は149℃であり、この値から見積もられる重合体中のテトラシクロドデセンの含量は37.5mol%であった。
【0294】
〔実施例8〕
充分に窒素置換した内容積500mlのガラス製反応器に、トルエン250mlとノルボルネン5gを装入し、エチレン50リットル/hrで液相及び気相を飽和させた。その後、メチルアルミノキサンをアルミニウム原子換算で1.25mmol、引き続き、前記錯体合成例−2で得られたチタン化合物(B)を0.0001mmol加え重合を開始した。エチレンを50リットル/hrで連続的に供給し、常圧下、25℃で10分間重合を行った後、少量のイソブタノールを添加することにより重合を停止した。重合終了後、反応物を少量の塩酸を含む1.25リットルのメタノール/アセトン(1:1)中に加えて重合体を析出させた。メタノールおよびアセトンで洗浄後、80℃にて10時間減圧乾燥し、エチレン・ノルボルネン共重合体が0.23g得られた。重合活性は13.8kg/mmol−Ti・hrであり、得られたエチレン・テトラシクロドデセン共重合体の極限粘度[η]は3.20dl/gであった。DSC測定によるガラス転移点温度は100℃であり、この値から見積もられる重合体中のノルボルネンの含量は40.1mol%であった。
【0295】
〔実施例9〕
実施例8において、ノルボルネン5gに代えて10gを用いたほかは、実施例8と同様の操作を行い、エチレン・ノルボルネン共重合体0.0772gを得た。重合活性は4.63kg/mmol−Ti・hrであり、得られたエチレン・ノルボルネン共重合体の極限粘度[η]は2.66dl/gであった。DSC測定によるガラス転移点温度は115℃であり、この値から見積もられる重合体中のノルボルネンの含量は43.7mol%であった。
【0296】
〔実施例10〕
充分に窒素置換した内容積500mlのガラス製反応器に、トルエン250mlと1−ヘキセン6.09gを装入し、エチレン100リットル/hrで液相及び気相を飽和させた。その後、メチルアルミノキサンをアルミニウム原子換算で1.25mmol、引き続き、前記錯体合成例−2で得られたチタン化合物(B)を0.0001mmol加え重合を開始した。エチレンを100リットル/hrで連続的に供給し、常圧下、50℃で5分間重合を行った後、少量のイソブタノールを添加することにより重合を停止した。重合終了後、反応物を少量の塩酸を含む1.25リットルのメタノール/アセトン(1:1)中に加えて重合体を析出させた。メタノールおよびアセトンで洗浄後、130℃にて10時間減圧乾燥し、エチレン・1−ヘキセン共重合体が0.685g得られた。重合活性は82.2kg/mmol−Ti・hrであり、得られたエチレン・1−ヘキセン共重合体の極限粘度[η]は3.32dl/gであった。DSC測定による融点は95℃であった。IRにより測定した1−ヘキセン含量は5.2mol%であった。
【0297】
〔実施例11〕
実施例1において、チタン化合物(A)に代えて前記錯体合成例−3で得られたチタン化合物(C)0.0002mmolを用いたほかは、実施例1と同様の操作を行い、ポリエチレン1.43gを得た。重合活性は85.8kg/mmol−Ti・hrであり、得られたポリエチレンの極限粘度[η]は7.26dl/gであった。
【0298】
〔実施例12〕
実施例1において、チタン化合物(A)に代えて前記錯体合成例−3で得られたチタン化合物(C)0.00002mmolを用いたほかは、実施例1と同様の操作を行い、ポリエチレン0.161gを得た。重合活性は96.6kg/mmol−Ti・hrであり、得られたポリエチレンの極限粘度[η]は6.24dl/gであった。
【0299】
〔実施例13〕
実施例2において、チタン化合物(A)に代えて前記錯体合成例−3で得られたチタン化合物(C)を用いたほかは、実施例2と同様の操作を行い、エチレン・プロピレン共重合体(EPR)を、5.26g得た。重合活性は6.31kg/mmol−Ti・hrであった。得られたエチレン・プロピレン共重合体の極限粘度[η]は0.74dl/gであった。IRにより測定したプロピレン含量は42.1mol%であった。
【0300】
〔実施例14〕
実施例3において、チタン化合物(A)に代えて前記錯体合成例−3で得られたチタン化合物(C)0.0005mmolを用いたほかは、実施例3と同様の操作を行い、エチレン・テトラシクロドデセン共重合体2.19gを得た。重合活性は26.3kg/mmol−Ti・hrであり、得られたエチレン・テトラシクロドデセン共重合体の極限粘度[η]は1.80dl/gであった。DSC測定によるガラス転移点温度は135℃であり、この値から見積もられる重合体中のテトラシクロドデセンの含量は34.2mol%であった。
【0301】
〔実施例15〕
実施例8において、チタン化合物(B)に代えて前記錯体合成例−3で得られたチタン化合物(C)0.0001mmolを用いたほかは、実施例8と同様の操作を行い、エチレン・ノルボルネン共重合体0.38gを得た。重合活性は22.8kg/mmol−Ti・hrであり、得られたエチレン・ノルボルネン共重合体の極限粘度[η]は2.74dl/gであった。DSC測定によるガラス転移点温度は99℃であり、この値から見積もられる重合体中のノルボルネンの含量は39.8mol%であった。
【0302】
〔実施例16〕
実施例8において、チタン化合物(B)に代えて前記錯体合成例−3で得られたチタン化合物(C)0.0001mmol、ノルボルネン5gに代えて10gを用いたほかは、実施例8と同様の操作を行い、エチレン・ノルボルネン共重合体0.135gを得た。重合活性は8.1kg/mmol−Ti・hrであり、得られたエチレン・ノルボルネン共重合体の極限粘度[η]は3.06dl/gであった。DSC測定によるガラス転移点温度は117℃であり、この値から見積もられる重合体中のノルボルネンの含量は44.2mol%であった。
【0303】
〔実施例17〕
実施例10において、チタン化合物(B)に代えて前記錯体合成例−3で得られたチタン化合物(C)0.0001mmolを用いたほかは、実施例10と同様の操作を行い、エチレン・1−ヘキセン共重合体が0.17g得られた。重合活性は20.4kg/mmol−Ti・hrであり、得られたエチレン・1−ヘキセン共重合体の極限粘度[η]は2.88dl/gであった。DSC測定による融点は101℃であった。IRにより測定した1−ヘキセン含量は4.1mol%であった。
【0304】
〔実施例18〕
実施例1において、チタン化合物(A)に代えて前記錯体合成例−4で得られたチタン化合物(D)0.00002mmolを用いたほかは、実施例1と同様の操作を行い、ポリエチレン0.75gを得た。重合活性は450.0kg/mmol−Ti・hrであり、得られたポリエチレンの極限粘度[η]は5.50dl/gであった。
【0305】
〔実施例19〕
実施例2において、チタン化合物(A)に代えて前記錯体合成例−4で得られたチタン化合物(D)を用いたほかは、実施例2と同様の操作を行い、エチレン・プロピレン共重合体(EPR)を、15.7g得た。重合活性は18.8kg/mmol−Ti・hrであった。得られたエチレン・プロピレン共重合体の極限粘度[η]は0.73dl/gであった。IRにより測定したプロピレン含量は33.9mol%であった。
【0306】
〔実施例20〕
実施例3において、チタン化合物(A)に代えて前記錯体合成例−4で得られたチタン化合物(D)0.00005mmolを用いたほかは、実施例3と同様の操作を行い、エチレン・テトラシクロドデセン共重合体0.84gを得た。重合活性は100.8kg/mmol−Ti・hrであり、得られたエチレン・テトラシクロドデセン共重合体の極限粘度[η]は1.55dl/gであった。DSC測定によるガラス転移点温度は151℃であり、この値から見積もられる重合体中のテトラシクロドデセンの含量は37.1mol%であった。
【0307】
〔実施例21〕
実施例3において、チタン化合物(A)に代えて前記錯体合成例−4で得られたチタン化合物(D)0.0001mmol、トルエンの代わりにシクロヘキサン、テトラシクロドデセン5mlの代わりに2mlを用いたほかは、実施例3と同様の操作を行い、エチレン・テトラシクロドデセン共重合体0.255gを得た。重合活性は15.3kg/mmol−Ti・hrであった。DSC測定によるガラス転移点温度は158℃であり、この値から見積もられる重合体中のテトラシクロドデセンの含量は38.4mol%であった。
【0308】
〔実施例22〕
実施例8において、チタン化合物(B)に代えて前記錯体合成例−4で得られたチタン化合物(D)0.00002mmolを用いたほかは、実施例8と同様の操作を行い、エチレン・ノルボルネン共重合体0.187gを得た。重合活性は56.1kg/mmol−Ti・hrであり、得られたエチレン・ノルボルネン共重合体の極限粘度[η]は4.02dl/gであった。DSC測定によるガラス転移点温度は97℃であり、この値から見積もられる重合体中のノルボルネンの含量は39.3mol%であった。
【0309】
〔実施例23〕
実施例8において、チタン化合物(B)に代えて前記錯体合成例−4で得られたチタン化合物(D)0.00002mmol、ノルボルネン5gに代えて10gを用いたほかは、実施例8と同様の操作を行い、エチレン・ノルボルネン共重合体0.064gを得た。重合活性は19.2kg/mmol−Ti・hrであった。DSC測定によるガラス転移点温度は108℃であり、この値から見積もられる重合体中のノルボルネンの含量は42.0mol%であった。
【0310】
〔実施例24〕
実施例8において、チタン化合物(B)に代えて前記錯体合成例−4で得られたチタン化合物(D)0.00004mmol、ノルボルネン5gに代えて10gを用いたほかは、実施例8と同様の操作を行い、エチレン・ノルボルネン共重合体0.122gを得た。重合活性は18.3kg/mmol−Ti・hrであった。DSC測定によるガラス転移点温度は108℃であり、この値から見積もられる重合体中のノルボルネンの含量は42.0mol%であった。
【0311】
〔実施例25〕
実施例1において、チタン化合物(A)に代えて前記錯体合成例−5で得られたチタン化合物(E)0.00002mmolを用いたほかは、実施例1と同様の操作を行い、ポリエチレン0.38gを得た。重合活性は226.9kg/mmol−Ti・hrであり、得られたポリエチレンの極限粘度[η]は6.14dl/gであった。
【0312】
〔実施例26〕
実施例3において、チタン化合物(A)に代えて前記錯体合成例−5で得られたチタン化合物(E)0.0001mmol、メチルアルミノキサンをアルミニウム原子換算で1.25mmolに代えて0.5mmolを用いたほかは、実施例3と同様の操作を行い、エチレン・テトラシクロドデセン共重合体1.20gを得た。重合活性は72.0kg/mmol−Ti・hrであり、得られたエチレン・テトラシクロドデセン共重合体の極限粘度[η]は1.34dl/gであった。DSC測定によるガラス転移点温度は147℃であり、この値から見積もられる重合体中のテトラシクロドデセンの含量は36.2mol%であった。
【0313】
〔実施例27〕
実施例3において、チタン化合物(A)に代えて前記錯体合成例−5で得られたチタン化合物(E)0.0001mmol、メチルアルミノキサンをアルミニウム原子換算で1.25mmolに代えて0.5mmol、トルエンに代えてシクロヘキサンを用いたほかは、実施例3と同様の操作を行い、エチレン・テトラシクロドデセン共重合体0.138gを得た。重合活性は8.3kg/mmol−Ti・hrであった。DSC測定によるガラス転移点温度は189℃であり、この値から見積もられる重合体中のテトラシクロドデセンの含量は44.7mol%であった。
【0314】
〔実施例28〕
実施例8において、チタン化合物(B)に代えて前記錯体合成例−5で得られたチタン化合物(E)0.00002mmolを用いたほかは、実施例8と同様の操作を行い、エチレン・ノルボルネン共重合体0.20gを得た。重合活性は60.0kg/mmol−Ti・hrであり、得られたエチレン・ノルボルネン共重合体の極限粘度[η]は3.58dl/gであった。DSC測定によるガラス転移点温度は97℃であり、この値から見積もられる重合体中のノルボルネンの含量は39.3mol%であった。
【0315】
〔実施例29〕
実施例8において、チタン化合物(B)に代えて前記錯体合成例−5で得られたチタン化合物(E)0.00002mmol、ノルボルネン5gに代えて10gを用いたほかは、実施例8と同様の操作を行い、エチレン・ノルボルネン共重合体0.072gを得た。重合活性は21.5kg/mmol−Ti・hrであり、得られたエチレン・ノルボルネン共重合体の極限粘度[η]は4.00dl/gであった。DSC測定によるガラス転移点温度は112℃であり、この値から見積もられる重合体中のノルボルネンの含量は43.0mol%であった。
【0316】
〔実施例30〕
実施例1において、チタン化合物(A)に代えて前記錯体合成例−6で得られたチタン化合物(F)0.00005mmolを用いたほかは、実施例1と同様の操作を行い、ポリエチレン0.80gを得た。重合活性は192.0kg/mmol−Ti・hrであり、得られたポリエチレンの極限粘度[η]は3.49dl/gであった。
【0317】
〔実施例31〕
実施例2において、チタン化合物(A)に代えて前記錯体合成例−6で得られたチタン化合物(F)0.005mmolを用いたほかは、実施例2と同様の操作を行い、エチレン・プロピレン共重合体(EPR)を、15.5g得た。重合活性は18.6kg/mmol−Ti・hrであった。得られたエチレン・プロピレン共重合体の極限粘度[η]は0.86dl/gであった。IRにより測定したプロピレン含量は46.9mol%であった。
【0318】
〔実施例32〕
実施例3において、チタン化合物(A)に代えて前記錯体合成例−6で得られたチタン化合物(F)0.0002mmol、テトラシクロドデセン5mlに代えて2ml用いたほかは、実施例3と同様の操作を行い、エチレン・テトラシクロドデセン共重合体1.21gを得た。重合活性は36.3kg/mmol−Ti・hrであり、得られたエチレン・テトラシクロドデセン共重合体の極限粘度[η]は1.18dl/gであった。DSC測定によるガラス転移点温度は154℃であり、この値から見積もられる重合体中のテトラシクロドデセンの含量は37.6mol%であった。
【0319】
〔実施例33〕
実施例3において、チタン化合物(A)に代えて前記錯体合成例−6で得られたチタン化合物(F)0.0002mmol、トルエンに代えてシクロヘキサン、テトラシクロドデセン5mlの代わりに2mlを用いたほかは、実施例3と同様の操作を行い、エチレン・テトラシクロドデセン共重合体0.17gを得た。重合活性は5.1kg/mmol−Ti・hrであり、得られたエチレン・テトラシクロドデセン共重合体の極限粘度[η]は1.35dl/gであった。DSC測定によるガラス転移点温度は153℃であり、この値から見積もられる重合体中のテトラシクロドデセンの含量は37.4mol%であった。
【0320】
〔実施例34〕
実施例1において、チタン化合物(A)に代えて前記錯体合成例−7で得られたチタン化合物(G)0.00005mmolを用いたほかは、実施例1と同様の操作を行い、ポリエチレン0.76gを得た。重合活性は182.4kg/mmol−Ti・hrであり、得られたポリエチレンの極限粘度[η]は3.20dl/gであった。
【0321】
〔実施例35〕
実施例3において、チタン化合物(A)に代えて前記錯体合成例−7で得られたチタン化合物(G)0.0002mmol、テトラシクロドデセン5mlに代えて2ml用いたほかは、実施例3と同様の操作を行い、エチレン・テトラシクロドデセン共重合体1.01gを得た。重合活性は30.3kg/mmol−Ti・hrであり、得られたエチレン・テトラシクロドデセン共重合体の極限粘度[η]は1.15dl/gであった。DSC測定によるガラス転移点温度は105℃であり、この値から見積もられる重合体中のテトラシクロドデセンの含量は27.7mol%であった。
【0322】
〔実施例36〕
実施例3において、チタン化合物(A)に代えて前記錯体合成例−7で得られたチタン化合物(G)0.0002mmol、トルエンに代えてシクロヘキサン、テトラシクロドデセン5mlの代わりに2mlを用いたほかは、実施例3と同様の操作を行い、エチレン・テトラシクロドデセン共重合体0.16gを得た。重合活性は4.8kg/mmol−Ti・hrであり、得られたエチレン・テトラシクロドデセン共重合体の極限粘度[η]は1.28dl/gであった。DSC測定によるガラス転移点温度は158℃であり、この値から見積もられる重合体中のテトラシクロドデセンの含量は38.5mol%であった。
【0323】
〔実施例37〕
実施例1において、チタン化合物(A)に代えて前記錯体合成例−8で得られたチタン化合物(H)0.00002mmolを用いたほかは、実施例1と同様の操作を行い、ポリエチレン0.40gを得た。重合活性は240.0kg/mmol−Ti・hrであり、得られたポリエチレンの極限粘度[η]は5.58dl/gであった。
【0324】
〔実施例38〕
実施例2において、チタン化合物(A)に代えて前記錯体合成例−8で得られたチタン化合物(H)0.005mmolを用いたほかは、実施例2と同様の操作を行い、エチレン・プロピレン共重合体(EPR)を、8.69g得た。重合活性は10.4kg/mmol−Ti・hrであった。得られたエチレン・プロピレン共重合体の極限粘度[η]は1.11dl/gであった。IRにより測定したプロピレン含量は41.7mol%であった。
【0325】
〔実施例39〕
実施例3において、チタン化合物(A)に代えて前記錯体合成例−8で得られたチタン化合物(H)0.00005mmol用いたほかは、実施例3と同様の操作を行い、エチレン・テトラシクロドデセン共重合体0.419gを得た。重合活性は50.2kg/mmol−Ti・hrであった。DSC測定によるガラス転移点温度は153℃であり、その値から見積もられる重合体中のテトラシクロドデセンの含量は37.4mol%であった。
【0326】
〔実施例40〕
実施例3において、チタン化合物(A)に代えて前記錯体合成例−8で得られたチタン化合物(H)0.0002mmol、トルエンに代えてシクロヘキサン、テトラシクロドデセン5mlの代わりに2mlを用いたほかは、実施例3と同様の操作を行い、エチレン・テトラシクロドデセン共重合体0.23gを得た。重合活性は6.9kg/mmol−Ti・hrであり、得られたエチレン・テトラシクロドデセン共重合体の極限粘度[η]は1.00dl/gであった。DSC測定によるガラス転移点温度は149℃であり、この値から見積もられる重合体中のテトラシクロドデセンの含量は36.6mol%であった。
【0327】
〔実施例41〕
実施例8において、チタン化合物(B)に代えて前記錯体合成例−8で得られたチタン化合物(H)0.00002mmolを用いたほかは、実施例8と同様の操作を行い、エチレン・ノルボルネン共重合体0.051gを得た。重合活性は15.3kg/mmol−Ti・hrであり、得られたエチレン・ノルボルネン共重合体の極限粘度[η]は3.12dl/gであった。DSC測定によるガラス転移点温度は99℃であり、この値から見積もられる重合体中のノルボルネンの含量は39.8mol%であった。
【0328】
〔実施例42〕
実施例8において、チタン化合物(B)に代えて前記錯体合成例−8で得られたチタン化合物(H)0.0001mmolを用いたほかは、実施例8と同様の操作を行い、エチレン・ノルボルネン共重合体0.290gを得た。重合活性は17.4kg/mmol−Ti・hrであり、得られたエチレン・ノルボルネン共重合体の極限粘度[η]は3.12dl/gであった。DSC測定によるガラス転移点温度は99℃であり、この値から見積もられる重合体中のノルボルネンの含量は39.8mol%であった。
【0329】
〔実施例43〕
実施例8において、チタン化合物(B)に代えて前記錯体合成例−8で得られたチタン化合物(H)0.0001mmol、ノルボルネン5gに代えて10gを用いたほかは、実施例8と同様の操作を行い、エチレン・ノルボルネン共重合体0.067gを得た。重合活性は4.0kg/mmol−Ti・hrであり、得られたエチレン・ノルボルネン共重合体の極限粘度[η]は1.95dl/gであった。DSC測定によるガラス転移点温度は115℃であり、この値から見積もられる重合体中のノルボルネンの含量は43.7mol%であった。
【0330】
〔実施例44〕
実施例1において、チタン化合物(A)に代えて前記錯体合成例−9で得られたチタン化合物(I)0.0001mmolを用いたほかは、実施例1と同様の操作を行い、ポリエチレン0.54gを得た。重合活性は64.8kg/mmol−Ti・hrであり、得られたポリエチレンの極限粘度[η]は6.38dl/gであった。
【0331】
〔実施例45〕
実施例3において、チタン化合物(A)に代えて前記錯体合成例−9で得られたチタン化合物(I)0.0002mmol用いたほかは、実施例3と同様の操作を行い、エチレン・テトラシクロドデセン共重合体1.13gを得た。重合活性は33.9kg/mmol−Ti・hrであり、得られたエチレン・テトラシクロドデセン共重合体の極限粘度[η]は1.27dl/gであった。DSC測定によるガラス転移点温度は143℃であり、この値から見積もられる重合体中のテトラシクロドデセンの含量は35.4mol%であった。
【0332】
〔実施例46〕
実施例3において、チタン化合物(A)に代えて前記錯体合成例−9で得られたチタン化合物(I)0.0008mmol、トルエンに代えてシクロヘキサン、テトラシクロドデセン5mlに代えて2mlを用いたほかは、実施例3と同様の操作を行い、エチレン・テトラシクロドデセン共重合体0.98gを得た。重合活性は7.4kg/mmol−Ti・hrであり、得られたエチレン・テトラシクロドデセン共重合体の極限粘度[η]は1.23dl/gであった。DSC測定によるガラス転移点温度は136℃であり、この値から見積もられる重合体中のテトラシクロドデセンの含量は34.1mol%であった。
【0333】
〔実施例47〕
実施例1において、チタン化合物(A)に代えて前記錯体合成例−10で得られたチタン化合物(J)0.00002mmolを用いたほかは、実施例1と同様の操作を行い、ポリエチレン0.31gを得た。重合活性は186.0kg/mmol−Ti・hrであり、得られたポリエチレンの極限粘度[η]は1.87dl/gであった。
【0334】
〔実施例48〕
実施例3において、チタン化合物(A)に代えて前記錯体合成例−10で得られたチタン化合物(J)0.0001mmol、テトラシクロドデセン5mlに代えて2ml用いたほかは、実施例3と同様の操作を行い、エチレン・テトラシクロドデセン共重合体1.95gを得た。重合活性は117.0kg/mmol−Ti・hrであり、得られたエチレン・テトラシクロドデセン共重合体の極限粘度[η]は0.80dl/gであった。DSC測定によるガラス転移点温度は74℃であり、この値から見積もられる重合体中のテトラシクロドデセンの含量は21.8mol%であった。
【0335】
〔実施例49〕
実施例3において、チタン化合物(A)に代えて前記錯体合成例−10で得られたチタン化合物(J)0.0001mmol、トルエンに代えてシクロヘキサン、テトラシクロドデセン5mlに代えて2mlを用いたほかは、実施例3と同様の操作を行い、エチレン・テトラシクロドデセン共重合体0.26gを得た。重合活性は15.6kg/mmol−Ti・hrであり、得られたエチレン・テトラシクロドデセン共重合体の極限粘度[η]は0.40dl/gであった。DSC測定によるガラス転移点温度は160℃であり、この値から見積もられる重合体中のテトラシクロドデセンの含量は38.8mol%であった。
【0336】
〔実施例50〕
実施例8において、チタン化合物(B)に代えて前記錯体合成例−10で得られたチタン化合物(J)0.0001mmolを用いたほかは、実施例8と同様の操作を行い、エチレン・ノルボルネン共重合体0.14gを得た。重合活性は8.4kg/mmol−Ti・hrであり、得られたエチレン・ノルボルネン共重合体の極限粘度[η]は1.57dl/gであった。DSC測定によるガラス転移点温度は91℃であり、この値から見積もられる重合体中のノルボルネンの含量は37.9mol%であった。
【0337】
〔実施例51〕
実施例8において、チタン化合物(B)に代えて前記錯体合成例−10で得られたチタン化合物(J)0.0001mmol、ノルボルネン5gに代えて10gを用いたほかは、実施例8と同様の操作を行い、エチレン・ノルボルネン共重合体0.049gを得た。重合活性は2.9kg/mmol−Ti・hrであり、得られたエチレン・ノルボルネン共重合体の極限粘度[η]は1.59dl/gであった。DSC測定によるガラス転移点温度は107℃であり、この値から見積もられる重合体中のノルボルネンの含量は41.8mol%であった。
【0338】
〔実施例52〕
実施例1において、チタン化合物(A)に代えて前記錯体合成例−11で得られたチタン化合物(K)0.00002mmolを用いたほかは、実施例1と同様の操作を行い、ポリエチレン0.143gを得た。重合活性は85.8kg/mmol−Ti・hrであり、得られたポリエチレンの極限粘度[η]は5.26dl/gであった。
【0339】
〔実施例53〕
実施例3において、チタン化合物(A)に代えて前記錯体合成例−11で得られたチタン化合物(K)0.0002mmol、テトラシクロドデセン5mlに代えて2ml用いたほかは、実施例3と同様の操作を行い、エチレン・テトラシクロドデセン共重合体0.14gを得た。重合活性は4.2kg/mmol−Ti・hrであり、得られたエチレン・テトラシクロドデセン共重合体の極限粘度[η]は1.56dl/gであった。DSC測定によるガラス転移点温度は122℃であり、この値から見積もられる重合体中のテトラシクロドデセンの含量は31.1mol%であった。
【0340】
〔実施例54〕
実施例8において、チタン化合物(B)に代えて前記錯体合成例−11で得られたチタン化合物(K)0.0001mmolを用いたほかは、実施例8と同様の操作を行い、エチレン・ノルボルネン共重合体0.14gを得た。重合活性は8.4kg/mmol−Ti・hrであり、得られたエチレン・ノルボルネン共重合体の極限粘度[η]は2.89dl/gであった。DSC測定によるガラス転移点温度は103℃であり、この値から見積もられる重合体中のノルボルネンの含量は40.8mol%であった。
【0341】
〔実施例55〕
実施例8において、チタン化合物(B)に代えて前記錯体合成例−11で得られたチタン化合物(K)0.0002mmol、ノルボルネン5gに代えて10gを用いたほかは、実施例8と同様の操作を行い、エチレン・ノルボルネン共重合体0.10gを得た。重合活性は3.0kg/mmol−Ti・hrであった。DSC測定によるガラス転移点温度は115℃であり、この値から見積もられる重合体中のノルボルネンの含量は43.7mol%であった。
【0342】
〔実施例56〕
実施例1において、チタン化合物(A)に代えて前記錯体合成例−12で得られたチタン化合物(L)0.0001mmolを用いたほかは、実施例1と同様の操作を行い、ポリエチレン0.20gを得た。重合活性は24.0kg/mmol−Ti・hrであり、得られたポリエチレンの極限粘度[η]は4.12dl/gであった。
【0343】
〔実施例57〕
実施例8において、チタン化合物(B)に代えて前記錯体合成例−12で得られたチタン化合物(L)0.0001mmolを用いたほかは、実施例8と同様の操作を行い、エチレン・ノルボルネン共重合体0.23gを得た。重合活性は13.8kg/mmol−Ti・hrであり、得られたエチレン・ノルボルネン共重合体の極限粘度[η]は3.55dl/gであった。DSC測定によるガラス転移点温度は87℃であり、この値から見積もられる重合体中のノルボルネンの含量は36.9mol%であった。
【0344】
〔実施例58〕
実施例8において、チタン化合物(B)に代えて前記錯体合成例−12で得られたチタン化合物(L)0.0001mmol、ノルボルネン5gに代えて10gを用いたほかは、実施例8と同様の操作を行い、エチレン・ノルボルネン共重合体0.12gを得た。重合活性は7.2kg/mmol−Ti・hrであった。DSC測定によるガラス転移点温度は104℃であり、この値から見積もられる重合体中のノルボルネンの含量は41.0mol%であった。
【0345】
〔実施例59〕
実施例1において、チタン化合物(A)に代えて前記錯体合成例−13で得られたチタン化合物(M)0.00005mmol、メチルアルミノキサンをアルミニウム原子換算で1.25mmolに代えて0.5mmolを用いたほかは、実施例1と同様の操作を行い、ポリエチレン0.97gを得た。重合活性は232.8kg/mmol−Ti・hrであり、得られたポリエチレンの極限粘度[η]は7.25dl/gであった。
【0346】
〔実施例60〕
実施例3において、チタン化合物(A)に代えて前記錯体合成例−13で得られたチタン化合物(M)0.0001mmol用いたほかは、実施例3と同様の操作を行い、エチレン・テトラシクロドデセン共重合体0.73gを得た。重合活性は43.8kg/mmol−Ti・hrであった。DSC測定によるガラス転移点温度は159℃であり、この値から見積もられる重合体中のテトラシクロドデセンの含量は38.7mol%であった。
【0347】
〔実施例61〕
実施例3において、チタン化合物(A)に代えて前記錯体合成例−13で得られたチタン化合物(M)0.0002mmol、トルエンに代えてシクロヘキサン、テトラシクロドデセン5mlに代えて2mlを用いたほかは、実施例3と同様の操作を行い、エチレン・テトラシクロドデセン共重合体0.37gを得た。重合活性は11.1kg/mmol−Ti・hrであり、得られたエチレン・テトラシクロドデセン共重合体の極限粘度[η]は1.77dl/gであった。DSC測定によるガラス転移点温度は143℃であり、この値から見積もられる重合体中のテトラシクロドデセンの含量は35.5mol%であった。
【0348】
〔実施例62〕
実施例1において、チタン化合物(A)に代えて前記錯体合成例−14で得られたチタン化合物(N)0.0002mmolを用いたほかは、実施例1と同様の操作を行い、ポリエチレン0.74gを得た。重合活性は44.4kg/mmol−Ti・hrであり、得られたポリエチレンの極限粘度[η]は9.66dl/gであった。
【0349】
〔実施例63〕
実施例3において、チタン化合物(A)に代えて前記錯体合成例−9で得られたチタン化合物(I)0.00025mmolを用いたほかは、実施例3と同様の操作を行い、エチレン・テトラシクロドデセン共重合体0.46gを得た。重合活性は11.0kg/mmol−Ti・hrであり、得られたエチレン・テトラシクロドデセン共重合体の極限粘度[η]は2.45dl/gであった。DSC測定によるガラス転移点温度は157℃であり、この値から見積もられる重合体中のテトラシクロドデセンの含量は38.2mol%であった。
【0350】
〔比較例1〕
実施例1において、チタン化合物(A)に代えて下記チタン化合物(O)0.0001mmolを用いたほかは、実施例1と同様の操作を行い、ポリエチレン0.98gを得た。重合活性は117.6kg/mmol−Ti・hrであり、得られたポリエチレンの極限粘度[η]は0.40dl/gであった。なお下記チタン化合物(O)は、特開2006−233063号公報記載の方法により得た。
【0351】
【化89】

【0352】
〔比較例2〕
実施例2において、チタン化合物(A)に代えて前記チタン化合物(O)を用いたほかは、実施例2と同様の操作を行い、エチレン・プロピレン共重合体(EPR)を、10.2g得た。重合活性は12.2kg/mmol−Ti・hrであった。得られたエチレン・プロピレン共重合体の極限粘度[η]は0.08dl/gであった。IRにより測定したプロピレン含量は29.9mol%であった。
【0353】
〔比較例3〕
実施例3において、チタン化合物(A)に代えて前記チタン化合物(O)0.0005mmolを用いたほかは、実施例3と同様の操作を行い、エチレン・テトラシクロドデセン共重合体を0.455g得た。重合活性は5.45kg/mmol−Ti・hrであり、得られたエチレン・テトラシクロドデセン共重合体の極限粘度[η]は0.30dl/gであった。DSC測定によるガラス転移点温度は190℃であり、この値から見積もられる重合体中のテトラシクロドデセンの含量は47.2mol%であった。
【0354】
〔比較例4〕
実施例1において、チタン化合物(A)に代えて下記チタン化合物(P)0.005mmolを用い、重合時間を30分に変更したほかは、実施例1と同様の操作を行い、ポリエチレン0.71gを得た。重合活性は0.28kg/mmol−Ti・hrであり、得られたポリエチレンの極限粘度[η]は3.47dl/gであった。なお下記チタン化合物(P)は、特開平11−315109号公報記載の方法により得た。
【0355】
【化90】

【0356】
〔比較例5〕
実施例2において、チタン化合物(A)に代えて前記チタン化合物(P)を用いたほかは、実施例2と同様の操作を行い、エチレン・プロピレン共重合体(EPR)を、0.19g得た。重合活性は0.23kg/mmol−Ti・hrであった。得られたエチレン・プロピレン共重合体の極限粘度[η]は0.98dl/gであった。IRにより測定したプロピレン含量は13.1mol%であった。
【0357】
〔比較例6〕
実施例3において、チタン化合物(A)に代えて前記チタン化合物(P)0.005mmolを用いたほかは、実施例3と同様の操作を行い、エチレン・テトラシクロドデセン共重合体を0.018g得た。重合活性は0.022kg/mmol−Ti・hrであり、得られたエチレン・テトラシクロドデセン共重合体の極限粘度[η]は1.01dl/gであった。DSC測定によるガラス転移点温度は130℃であり、この値から見積もられる重合体中のテトラシクロドデセンの含量は33.0mol%であった。
【0358】
〔比較例7〕
実施例1において、チタン化合物(A)に代えて下記チタン化合物(Q)0.005mmolを用いたほかは、実施例1と同様の操作を行い、ポリエチレン0.96gを得た。重合活性は2.30kg/mmol−Ti・hrであり、得られたポリエチレンの極限粘度[η]は5.79dl/gであった。なお下記チタン化合物(Q)は、特開2007−297453号公報記載の方法により得た。
【0359】
【化91】

【0360】
〔比較例8〕
実施例2において、チタン化合物(A)に代えて前記チタン化合物(Q)を用いたほかは、実施例2と同様の操作を行い、エチレン・プロピレン共重合体(EPR)を、0.20g得た。重合活性は0.24kg/mmol−Ti・hrであった。得られたエチレン・プロピレン共重合体の極限粘度[η]は0.60dl/gであった。IRにより測定したプロピレン含量は18.5mol%であった。
【0361】
〔比較例9〕
実施例3において、チタン化合物(A)に代えて前記チタン化合物(Q)0.005mmolを用いたほかは、実施例3と同様の操作を行い、エチレン・テトラシクロドデセン共重合体を0.32g得た。重合活性は0.384kg/mmol−Ti・hrであり、得られたエチレン・テトラシクロドデセン共重合体の極限粘度[η]は0.30dl/gであった。DSC測定によるガラス転移点温度は178℃であり、この値から見積もられる重合体中のテトラシクロドデセンの含量は44.3mol%であった。
【0362】
〔比較例10〕
実施例1において、チタン化合物(A)に代えて下記チタン化合物(R)0.003mmolを用いたほかは、実施例1と同様の操作を行い、ポリエチレン1.49gを得た。重合活性は5.96kg/mmol−Ti・hrであり、得られたポリエチレンの極限粘度[η]は8.61dl/gであった。なお下記チタン化合物(R)は、特開2007−297453号公報記載の方法により得た。
【0363】
【化92】

【0364】
〔比較例11〕
実施例2において、チタン化合物(A)に代えて前記チタン化合物(R)を用いたほかは、実施例2と同様の操作を行い、エチレン・プロピレン共重合体(EPR)を、1.33g得た。重合活性は1.60kg/mmol−Ti・hrであった。得られたエチレン・プロピレン共重合体の極限粘度[η]は0.98dl/gであった。IRにより測定したプロピレン含量は20.4mol%であった。
【0365】
〔比較例12〕
実施例3において、チタン化合物(A)に代えて前記チタン化合物(R)0.005mmolを用いたほかは、実施例3と同様の操作を行い、エチレン・テトラシクロドデセン共重合体を0.402g得た。重合活性は0.482kg/mmol−Ti・hrであり、得られたエチレン・テトラシクロドデセン共重合体の極限粘度[η]は1.30dl/gであった。DSC測定によるガラス転移点温度は183℃であり、この値から見積もられる重合体中のテトラシクロドデセンの含量は45.5mol%であった。
【表1】

【表2】

【表3】

【表4】

【表5】

【表6】

【表7】

【表8】

【産業上の利用可能性】
【0366】
ポリオレフィンは、炭素と水素からなる環境にやさしいクリーンな材料であり、加工成形性や物性に優れている。この特性から、自動車、電気機器部品、食品包装、飲料・化粧品・医療用容器、土木、農業資材など幅広い分野に用いられている。本発明における新規オレフィン重合用触媒は、オレフィンに対する高い重合活性と高い共重合性を有し、コモノマー含量および分子量の高い重合体を製造することが可能なため、該遷移金属化合物を用いた重合により、近年の多様化したポリオレフィンに対する要求を満たした製品を、高効率で製造可能となる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(I)で表される遷移金属化合物(A)を含んでなることを特徴とするオレフィン重合用触媒。
【化1】

(一般式(I)中、Mは周期表第4〜6族の遷移金属原子を示し、mは、1〜4の整数を示し、R1は炭素原子数6〜30の置換または無置換のアリール基を示し、R2,R3およびR5は、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、イオウ含有基、リン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、およびスズ含有基から選ばれ、互いに同一でも異なっていてもよく、これらのうちの2個以上が互いに連結して環を形成していてもよく、R4は、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、酸素含有基、および窒素含有基から選ばれ、R6はヨウ素原子または臭素原子であり、nはMの価数を満たす数であり、Xは、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、アルミニウム含有基、リン含有基、ハロゲン含有基、ヘテロ環式化合物残基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、またはスズ含有基を示し、nが2以上の場合は、Xで示される複数の基は互いに同一でも異なっていてもよく、またXで示される複数の基は互いに結合して環を形成してもよい。)
【請求項2】
前記一般式(I)で表される遷移金属化合物(A)において、R4が臭素原子またはヨウ素原子である、請求項1に記載のオレフィン重合用触媒。
【請求項3】
前記一般式(I)で表される遷移金属化合物(A)において、R1が炭素原子数7〜30のアルキル置換アリール基である請求項1または2に記載のオレフィン重合用触媒。
【請求項4】
前記アルキル置換アリール基がトリル、iso−プロピルフェニル、t−ブチルフェニル、ジメチルフェニル、ジ−t−ブチルフェニル、ベンジルフェニル、クミルフェニル、トリチルフェニル、n−オクチルフェニル、n−ドデシルフェニル、トリフルオロメチルフェニル、ジ(トリフルオロメチル)フェニルから選ばれる請求項3に記載のオレフィン重合用触媒。
【請求項5】
前記一般式(I)で表される遷移金属化合物(A)において、Mが周期表第4族の遷移金属原子であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のオレフィン重合用触媒。
【請求項6】
前記一般式(I)で表される遷移金属化合物(A)において、Mがチタン原子であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のオレフィン重合用触媒。
【請求項7】
前記一般式(I)で表される遷移金属化合物(A)と、
(B)(B−1)有機金属化合物、
(B−2)有機アルミニウムオキシ化合物、および
(B−3)遷移金属化合物(A)と反応してイオン対を形成する化合物
から選ばれる少なくとも1種の化合物
からなることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のオレフィン重合用触媒。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載のオレフィン重合用触媒の存在下において、オレフィンを重合または共重合させることを特徴とするオレフィンの重合方法。
【請求項9】
前記オレフィンが、下記(C−1)と(C−2)であることを特徴とする請求項8に記載のオレフィンの重合方法。
(C−1)炭素原子数2〜30の直鎖状または分岐状のα−オレフィン、
(C−2)下記一般式(II)、一般式(III)、一般式(IV)、一般式(V)で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の環状オレフィン
【化2】

(式(II)中、uは0または1であり、vは0または正の整数であり、wは0または1であり、R61〜R78ならびにRa1およびRb1は、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基から選ばれ、互いに同一でも異なっていてもよく、R75〜R78は、互いに結合して単環または、多環を形成していてもよく、かつ該単環または多環が二重結合を有していてもよく、またR75とR76とで、またはR77とR78とでアルキリデン基を形成していてもよい。)
【化3】

(式(III)中、xおよびdは0または1以上の整数であり、yおよびzは0、1または2であり、R81〜R99は、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基から選ばれ、互いに同一でも異なっていてもよく、R89およびR90が結合している炭素原子と、R93が結合している炭素原子またはR91が結合している炭素原子とは、直接あるいは炭素原子数1〜3のアルキレン基を介して結合していてもよく、またy=z=0のとき、R95とR92またはR95とR99とは互いに結合して単環または多環の芳香族環を形成していてもよい。)
【化4】

(式(IV)中、R100、R101は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子または炭素原子数1〜5の炭化水素基を示し、fは1≦f≦18である。)
【化5】

(一般式(V)中、xは0または1以上の整数であり、R111〜R118は水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基から選ばれ、互いに同一でも異なっていてもよく、R121〜R124は水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基から選ばれ、互いに同一でも異なっていてもよく、隣接する2つの基は互いに結合し単環または複環の芳香族環を形成していてもよい。)
【請求項10】
前記(C−1)がエチレンであり、前記(C−2)がビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エンテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、ベンゾノルボルナジエンおよび/または1,4−ジヒドロ−1,4−メタノアントラセンであることを特徴とする請求項9に記載のオレフィンの重合方法。

【公開番号】特開2011−122145(P2011−122145A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−253870(P2010−253870)
【出願日】平成22年11月12日(2010.11.12)
【出願人】(000005887)三井化学株式会社 (2,318)
【Fターム(参考)】