説明

オレフィン/パラフィン混合気体からオレフィンを分離する技術

本発明は、ブテン-1、トランス-2-ブテン、シス-2-ブテン、ノーマルブタン、イソブタンなどを含むC4炭化水素混合気体からC4オレフィン(ブテン-1、トランス-2-ブテン、シス-2-ブテンなど)及びC4パラフィン(ノーマルブタン、イソブタンなど)を分離するための方法及び装置に関するものである。本発明の前記方法は、C4オレフィンを吸着してC4パラフィンを塔の出口に排出させるために気体状のC4混合物を、オレフィンを選択的に吸着する吸着剤で充填された吸着塔に流入させて、脱着剤(C5炭化水素、C6炭化水素など)で吸着塔に吸着されたC4オレフィンを吸着して、蒸留工程を通じてC4オレフィンと吸着剤を分離する。本発明による前記装置は、選択的にオレフィンを吸着する吸着剤で充填された複数個の吸着塔及び、オレフィン/脱着剤及びパラフィン/脱着剤の混合気体をそれぞれ分離するための二つの蒸留塔で構成される。前記吸着塔の基本的な作業工程は、供給された混合物からC4オレフィンを選択的に吸着する吸着段階、C4オレフィンと共に吸着された少量のC4パラフィンを除去するC4オレフィン洗浄段階、及び脱着剤を利用してC4オレフィンを脱着するC4オレフィン脱着段階を含んで、また、前記吸着塔の作動圧力によってオレフィンの収得率及び濃度を増加させるために、圧力同等化段階、並流減圧段階、及び加圧段階をさらに含む。前記工程でオレフィンまたはパラフィンと共に排出された脱着剤は蒸留塔で分離されて再生される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブテン-1、トランス-2-ブテン、シス-2-ブテン、ノーマルブタン、イソブタンなどを含むC4炭化水素混合気体からC4オレフィン(ブテン-1、トランス-2-ブテン、シス-2-ブテンなど)及びC4パラフィン(ノーマルブタン、イソブタンなど)を分離する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ブテン-1、トランス-2-ブテン、シス-2-ブテン、ノーマルブタン、イソブタンなどを含むC4炭化水素混合気体からC4オレフィン(ブテン-1、トランス-2-ブテン、シス-2-ブテンなど)及びC4パラフィン(ノーマルブタン、、イソブタンなど)を分離する既存の方法は、主に蒸留工程を含む。しかし、このような方法は生成物らの間の沸騰点の差が小さくて、複数個の分留板(fractionation plate)が具備された蒸留塔が必要であって、エネルギー消耗が多くてまた多くの投資費用が必要である。
【0003】
[表1]
C4炭化水素混合物の沸騰点
【0004】

【0005】
アメリカ特許第4、718、986号(1988)には、二つの蒸留塔を利用してブテン-1/イソブテン/ノーマルブタン/ブテン-2のC4炭化水素混合物から純度99重量%以上のブテン-1を生成する工程が開示されている。前記特許によると、塔の上部からイソブタンを除去するためにC4混合物を第1蒸留塔内部に流入させる。第1蒸留塔からの下部ストリームが第2蒸留塔に流入されて、純度99重量%以上のブテン-1が第2塔の上部で収得されて、ノーマルブタン、ブテン-2、及びブテン-1の混合物が第2塔の下部から排出される。しかし、相当量のブテン-1が、第1塔の上部ではイソブテンストリームと、そして第2塔の下部ではノーマルブタン、ブテン-2、及びブテン-1の混合物と共に排出されるために、前記工程ではブテン-1の損失が多くなる。よって、既存の蒸留工程を取り替えることができる吸着分離工程が研究されている。
【0006】
C4炭化水素混合物の吸着分離工程に関する技術が多くあるが、例えば、カリウムまたはバリウムイオンを含むX、あるいはY型ゼオライトを利用してブテン-1/ブテン-2/イソブチレンを含む混合物からブテン-1を分離する技術(US、3、723、561、Mar.27、1973)、K-Xゼオライトを利用して液状のC4炭化水素混合物からブテン-1を分離する技術(US、4、119、678、Oct.10、1978)、ノーマルC4炭化水素混合物に選択性がある分子体を利用してノーマルC4炭化水素混合物及びイソブチレンを分離する技術(US、4、455、445、Jun.19、1984)、ゼオライト分子体を利用した液状吸着工程を通じて4個以上の炭素原子を有するオレフィンからアルファオレフィンのみを選択的に分離する技術(US、5、132、485、1992)、4Aゼオライトを利用して2ないし6個の炭素原子を有するオレフィン/パラフィンを気体状態で分離する圧力変動吸着工程(pressure-swing adsorption process)(US、5、365、011、1994)、XあるいはY型ゼオライトを利用して2ないし6個の炭素原子を有するオレフィン/パラフィン混合物からパラフィンを気体状態に分離して、脱着剤を利用して、使用された吸着剤を再生する技術(EP0708070B1、1999)がある。しかし、C4オレフィン/パラフィン混合物から純度95重量%以上のC4オレフィンを分離することができる吸着分離工程はないが、本発明では可能である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
オレフィン/パラフィン混合物を分離する従来の気象吸着分離工程(vapor adsorption separation process)(例えば、EP0708070B1、1999)は、混合物からオレフィンを吸着してパラフィンは排出するためにオレフィン/パラフィン混合物を吸着塔内部に流入させる吸着段階及び脱着剤を利用して前記吸着されたオレフィンを脱着する脱着段階で構成される。
【0008】
前記工程で、オレフィンは蒸留を通じた脱着段階によってオレフィン/脱着剤の混合物を分離して生成される。しかし、一般に少しのパラフィンがオレフィン選択性吸着剤にオレフィンと共に吸着されるたために、吸着段階及び脱着段階だけで構成される工程で95重量%以上の高純度C4オレフィンを得ることはよほど難しい。
【課題を解決するための手段】
【0009】
高純度のオレフィンを分離するために、本発明の方法は、一連の吸着段階-オレフィン洗浄段階-脱着段階を含む。オレフィン洗浄段階時、オレフィン/脱着剤の蒸留(脱着段階)によって得られた高純度C4オレフィンの一部を前記吸着段階が完了された吸着塔に流入させて、最後の吸着段階で高純度のオレフィンを得るために、C4オレフィンと共に吸着された少量のC4パラフィンを前記吸着塔で除去する。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、ブテン-1、トランス-2-ブテン、シス-2-ブテン、ノーマルブタン、イソブタンなどを含むC4炭化水素混合気体からC4オレフィン(ブテン-1、トランス-2-ブテン、シス-2-ブテンなど)及びC4パラフィン(ノーマルブタン、イソブタンなど)を分離する過程にオレフィン洗浄段階を取り入れることで、パラフィン(例えば、イソブタン、ノーマルブタンなど)の濃度を減少させてC4オレフィン生成物内のオレフィンの濃度を増加させる効果がある。
【0011】
これから添付された図面を参照して、本発明の実施例らを説明する。しかし、下記の実施例らは、本発明を説明するためのものであるだけで、本発明はどのような実施例にも限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明によるC4オレフィン/パラフィン混合気体から高純度のオレフィンを得るための装置を概略的に示した図面であり、前記本発明の装置は選択的吸着を通じてC4オレフィンを分離するための三つの吸着塔(AD-1、AD-2、及びAD-3)及びC4オレフィン/脱着剤及びC4パラフィン/脱着剤をそれぞれ分離するための二つの蒸留塔(D1及びD2)を含む。
【図2】七段階で構成される工程の循環配列を示した表である。
【図3】四段階で構成される工程の循環配列を示した表である。
【図4】三段階で構成される工程の循環配列を示した表である。
【図5】オレフィン-選択性吸着剤、すなわちπ-複合吸着剤の平衡吸着等温線を示したグラフである。
【図6】オレフィン-選択性吸着剤、すなわち13X型ゼオライト吸着剤の平衡吸着等温線を示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の目的は、エネルギー消耗を減らすと同時にC4オレフィン/パラフィン混合気体から高収得率(yield)及び高純度オレフィンを分離する方法及びその方法を行うための装置を提供することにある。
【0014】
本発明は、選択的にオレフィンを吸着する吸着剤で充填された複数個の吸着塔及び二つの蒸留塔(オレフィン/吸着剤分離用蒸留塔とパラフィン/吸着剤分離用蒸留塔)で構成される装置で、脱着剤を利用した置き換え脱着を実施する方式で反復的な一連の吸着、オレフィン洗浄、及び脱着段階で構成される吸着分離工程を通じてC4オレフィン/パラフィン混合気体からC4オレフィンを分離する方法を提供して、
前記方法は、C4オレフィン/パラフィン混合気体をオレフィン-選択性吸着剤で充填された吸着塔に流入させて、オレフィンは吸着して非吸着パラフィン及び吸着塔に残っている脱着剤は、前記吸着塔の出口に排出する吸着段階、
前記吸着段階を完了した後オレフィン/脱着剤の蒸留工程を通じて得られた高純度C4オレフィンの一部を前記吸着塔に流入させてオレフィンと共に吸着剤に吸着された少量のパラフィンを除去することでオレフィンの純度を増加させるC4オレフィン洗浄段階、及び
前記洗浄段階を完了した後脱着剤を前記吸着塔に流入させてC4オレフィンを得る脱着段階を含んで、
ここで、前記一連の吸着、オレフィン洗浄、及び脱着段階は繰り返して実施されて、
それぞれの吸着塔は、同一時点に他の段階を実施するように作動して、
前記蒸留塔内での蒸留を通じて高純度のオレフィンを得るために前記脱着段階で排出されたオレフィン/脱着剤混合物を前記オレフィン/脱着剤分離用蒸留塔に流入させて、パラフィンと脱着剤を分離するために前記吸着段階で排出されたパラフィン/脱着剤を前記パラフィン/脱着剤分離用蒸留塔に流入させる。
【0015】
望ましくは、本発明の前記方法は、前記オレフィン洗浄段階前に前記吸着塔に存在する残余パラフィン成分を排出する並流減圧段階をさらに含む。
【0016】
また、望ましくは、本発明の前記方法は、前記吸着塔らの圧力を均等にさせるために二つの吸着塔を連結することで、前記吸着段階を完了した後吸着塔に存在するパラフィン成分が吸着段階をすぐ完了したまた他の吸着塔に伝達するようにする圧力同等化段階をさらに含む。
【0017】
また、望ましくは、本発明の前記方法は、前記圧力同等化段階を通じた減圧後、前記吸着塔に存在するパラフィン成分を排出するための並流減圧段階、及び前記C4オレフィン/パラフィン混合気体を、前記圧力同等化段階を通じて部分的に加圧された吸着塔に流入させて、前記吸着塔を加圧する加圧段階をさらに含む。
【0018】
また、望ましくは、本発明の前記方法に使用されるオレフィン-選択性吸着剤は選択的π-複合オレフィン、X型ゼオライトまたはY型ゼオライト、及び望ましくは13X型ゼオライトを形成するπ-複合吸着剤である。
【0019】
また、望ましくは、本発明の前記方法に使用される吸着剤は、C5炭化水素またはC6炭化水素である。
【0020】
また、望ましくは、本発明の前記方法で、前記オレフィン/脱着剤蒸留塔とパラフィン/脱着剤蒸留塔で分離した吸着剤は吸着塔に再循環される。
【0021】
また、望ましくは、本発明の前記方法で、前記C4オレフィン/パラフィン分離工程においての前記吸着塔の作動圧力は、1ないし10atm(絶対圧)であって、温度は20ないし150℃である。
【0022】
また、本発明は選択的にオレフィンを吸着する吸着剤で充填された三つの吸着塔(AD-1、AD-2、及びAD-3)と、二つの蒸留塔(オレフィン/脱着剤分離用蒸留塔D2及びパラフィン/脱着剤分離用蒸留塔D1)で、前記混合気体から C4オレフィンを分離するために脱着剤を利用した置き換え脱着を実施する方式で一連の吸着、オレフィン洗浄、及び脱着段階を反復的に実施して、C4オレフィン/パラフィン混合気体からC4オレフィンを分離する装置を提供して、
【0023】
前記装置は、その下部がバルブ1aを通じてC4オレフィン/パラフィン混合気体用供給導管1と連結されて、蒸留塔D2に連結されたバルブ2aを通じてC4オレフィン/脱着剤排出導管2と連結されて、蒸留塔D2で生成された所定量のC4オレフィンを供給するバルブ3aを通じて導管3と連結されて、またその上部が前記オレフィン洗浄段階から前記蒸留塔D1にパラフィン及び脱着剤を流入させるバルブ4aを通じて導管4と連結されて、前記吸着段階で排出されたパラフィン及び脱着剤を前記蒸留塔D1に供給するバルブ5aを通じて導管5と連結されて、前記脱着剤をその内部に供給するバルブ6aを通じて導管6と連結される吸着塔(AD-1)と、
その下部がバルブ1bを通じてC4オレフィン/パラフィン混合気体用供給導管1と連結されて、蒸留塔D2に連結されたバルブ2bを通じてC4オレフィン/脱着剤排出導管2と連結されて、蒸留塔D2で生成された所定量のC4オレフィンを供給するバルブ3bを通じて導管3と連結されて、また、その上部が前記オレフィン洗浄段階から前記蒸留塔D1にパラフィン及び脱着剤を流入させるバルブ4bを通じて導管4と連結されて、前記吸着段階で排出されたパラフィン及び脱着剤を前記蒸留塔D1に供給するバルブ5bを通じて導管5と連結されて、前記脱着剤をその内部に供給するバルブ6bを通じて導管6と連結される吸着塔(AD-2)と、
その下部がバルブ1cを通じてC4オレフィン/パラフィン混合気体用供給導管1と連結されて、蒸留塔D2に連結されたバルブ2cを通じてC4オレフィン/脱着剤排出導管2と連結されて、蒸留塔D2で生成された所定量のC4オレフィンを供給するバルブ3cを通じて導管3と連結されて、またその上部が前記オレフィン洗浄段階から前記蒸留塔D1にパラフィン及び脱着剤を流入させるバルブ4cを通じて導管4と連結されて、前記吸着段階で排出されたパラフィン及び脱着剤を前記蒸留塔D1に供給するバルブ5cを通じて導管5と連結されて、前記脱着剤をその内部に供給するバルブ6cを通じて導管6と連結される吸着塔(AD-3)と、
前記吸着塔(AD-1、AD-2、及びAD-3)から流入されるC4パラフィン及び脱着剤を分離する蒸留塔D1と、及び
前記吸着塔(AD-1、AD-2、及びAD-3)から流入されるC4オレフィン及び脱着剤を分離する蒸留塔D2を含む。
【0024】
望ましくは、本発明の前記装置は、前記蒸留塔D1に連結された導管4内にバルブ7をさらに含む。
【実施例】
【0025】
図1は、本発明によるC4オレフィン/パラフィン混合気体からC4オレフィンを分離する装置の概略図である。前記装置は、選択的な吸着を通じてC4オレフィンを分離するための三つの吸着塔、及びC4オレフィン/吸着剤及びC4パラフィン/吸着剤をそれぞれ分離するための二つの蒸留塔を含む。本発明に利用される吸着塔の基本的な工程は、混合気体からC4オレフィンを選択的に吸着する吸着段階、C4オレフィンと共に吸着された少量のC4パラフィンを除去するC4オレフィン洗浄段階、及び脱着剤を利用したC4オレフィン脱着段階を含んで、前記工程は圧力同等化段階、並流減圧段階、及び加圧段階をさらに含むことができる。
【0026】
前記吸着段階でオレフィンまたはパラフィンと共に排出された脱着剤は、蒸留塔から分離されて吸着塔に再循環される。前記脱着剤としては沸騰点がC4混合物とは大きく異なるC5炭化水素またはC6炭化水素であることが望ましい。
【0027】
一周期の間の作動方法に関してすべての処理段階を含む図2を参照して説明する。
【0028】
C4オレフィンを吸着するために(吸着段階)C4オレフィン/パラフィンを含む混合気体が導管1とバルブ1aを通じてオレフィン-選択性吸着剤で充填された吸着塔(AD-1)に流入されて、混合物から分離されたオレフィン-非含みパラフィンストリームはパラフィンと脱着剤を分離するために、前記吸着段階前に前記吸着塔に存在する脱着剤と共に導管5とバルブ5aを通じて蒸留塔D1に流入される。前記吸着塔(AD-2)は、脱着剤と共にオレフィン成分を脱着する段階(脱着段階)を実施して、一方前記吸着塔(AD-2)は吸着段階を実施する。前記脱着段階で使用された脱着剤は、蒸留塔D1及び蒸留塔D2の下部から収得されて、導管6及びバルブ6bを通じて蒸留塔(AD-2)に流入される。前記脱着剤と共に排出されたオレフィンは、オレフィンと脱着剤を分離するためにバルブ2a及び導管2を通じて蒸留塔D2に流入される。オレフィンの純度を向上させるために(オレフィン洗浄段階)、オレフィンと共に吸着された少量のパラフィンを除去するように、前記蒸留塔D2で分離したオレフィンの一部が導管3及びバルブ3cを通じて吸着塔(AD-3)に提供される。この時、吸着塔(AD-3)で排出された気体は、バルブ4c及び導管4を通じて蒸留塔D1に流入される。
【0029】
吸着段階を実施した高圧の蒸留塔(AD-1)は、バルブ4aと導管4を通じて低圧の吸着塔(AD-2)と連結されて、前記二つの塔の圧力を同一にする工程(圧力同等化段階)が実施される。前記圧力同等化段階時にバルブ7は閉まられている。蒸留塔(AD-3)は、洗浄段階後、導管6とバルブ6cを通じて脱着剤を流入してオレフィンを回収する脱着段階を実施する。吸着塔(AD-3)から脱着剤と共に排出されたオレフィンは、バルブ2c及び導管2を通じて蒸留塔D2に送られて脱着剤で分離される。
【0030】
圧力同等化段階後、吸着塔(AD-1)は、バルブ4aと導管4を通じて減圧されて、この時、排出された気体は、蒸留塔D1に流入される(並流減圧段階)。吸着塔(AD-1)の並流減圧時、C4混合気体が導管1及びバルブ1bを通じて吸着塔(AD-2)に流入されて吸着塔(AD-2)は圧力を吸着圧力で増加させる段階を実施する(加圧段階)。この時、吸着塔(AD-3)は、脱着段階を続けて実施する。
【0031】
並流減圧段階を完了した吸着塔(AD-1)は、C4オレフィン洗浄段階を実施して、吸着塔(AD-2)は吸着段階を実施して、吸着塔(AD-3)は脱着段階を続けて実施する。
【0032】
このような方式で、それぞれの吸着塔は一連の吸着段階-圧力同等化段階-並流減圧段階-C4オレフィン洗浄段階-脱着段階-圧力同等化段階-加圧段階を持続的に実施する。
【0033】
図3及び図4に示したところのように、圧力同等化段階、並流減圧段階、または加圧段階は、吸着段階の処理圧力によって前記工程の構成で省略することができる。
【0034】
図5及び図6は、本発明の方法を実施する吸着塔に充填されることができるオレフィン-選択性吸着剤の吸着等温線を示している。本発明の前記方法に使用される吸着剤は、選択的π-複合オレフィン、X型ゼオライトまたはY型ゼオライトを形成するπ-複合吸着剤である。
【0035】
[実施例1]
オレフィン/パラフィンの分離のための吸着剤で13X型ゼオライトを利用して脱着剤でC5混合気体を利用して、C4オレフィン/パラフィン混合気体からオレフィンを分離する実験を実施した。循環配列及び本実施例で使用された装置はそれぞれ図2と図1に示されている。C4混合気体とC5混合気体の成分は表2に示した。C4混合気体は60℃、2000mmHg、流量1675ml/min.の条件下で吸着工程に使用された。C4オレフィン洗浄段階は、洗浄流量300ml/min.で実施された。
【0036】
[表2]
C4混合気体及び脱着剤の成分
【0037】

【0038】
前記工程による各生成物の成分及び工程の実施を下の表3に示した。
[表3]
【0039】

【0040】
C4オレフィン洗浄段階を省略して、図1に示した装置によって実施された実験結果を下の表4に示した。
【0041】
[表4]
C4オレフィン洗浄段階を省略した工程の実施
【0042】

【0043】
[実施例2]
表5は図3に示された圧力同等化段階を省略した、循環配列で実施された実験結果を示している。
【0044】
[表5]
実施例2の工程の実施
【0045】

【0046】
[実施例3]
表6は、図4に示したところのように吸着段階-C4オレフィン洗浄段階-圧力同等化段階及び並流減圧段階を省略した脱着段階の循環配列で実施された実験結果を示している。
【0047】
[表6]
実施例3の工程の実施
【0048】

【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明は、前記実施例らを通じて証明されたところのように、ブテン-1、トランス-2-ブテン、シス-2-ブテン、ノーマルブタン、イソブタンなどを含むC4炭化水素混合気体からC4オレフィン(ブテン-1、トランス-2-ブテン、シス-2-ブテンなど)及びC4パラフィン(ノーマルブタン、イソブタンなど)を分離する時、C4オレフィン生成物でC4パラフィンの濃度を減少させるためにC4オレフィン洗浄段階を取り入れることで95重量%以上の高純度C4オレフィンを得ることに有用である。
【0050】
前記実施例を通じて本発明を詳しく説明したが、前記実施例らは本発明を説明するためのものに過ぎなくて、本発明は、本発明が属した技術分野の当業者によって本発明の技術的思想を脱しない範囲内で多様な変形及び改良が可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
選択的にオレフィンを吸着する吸着剤で充填された複数個の吸着塔及び二つの蒸溜塔(オレフィン/吸着剤分離用蒸溜塔とパラフィン/吸着剤分離用蒸溜塔)で構成される装置で、脱着剤を利用した置き換え脱着を実施する方式で反復的な一連の吸着、オレフィン洗浄、及び脱着段階で構成される吸着分離工程を通じてC4オレフィン/パラフィン混合気体からC4オレフィンを分離する方法において、
C4オレフィン/パラフィン混合気体を前記吸着塔に流入させて、オレフィンは吸着剤で吸着して非吸着パラフィン及び吸着塔に残っている脱着剤は、前記吸着塔の出口に排出する吸着段階と、
前記吸着段階が完了した後オレフィン/脱着剤蒸溜工程を通じて得られた高純度 C4オレフィンの一部を前記吸着塔に流入させて、オレフィンと共に吸着剤に吸着された少量のパラフィンを洗浄することで、オレフィンの純度を増加させるC4オレフィン洗浄段階、及び
前記洗浄段階が完了した後脱着剤を前記吸着塔に流入させて、C4オレフィンを脱着する脱着段階を含んで、
前記一連の吸着、オレフィン洗浄、及び脱着段階は反復して実施されて、
それぞれの吸着塔は同一時点に他の段階を実施するように作動して、
前記蒸溜塔内での蒸溜を通じて高純度のオレフィンを得るために前記脱着段階で排出されたオレフィン/脱着剤混合物を前記オレフィン/脱着剤分離用蒸溜塔に流入させて、パラフィンと脱着剤を分離するために前記吸着段階で排出されたパラフィン/脱着剤を前記パラフィン/脱着剤分離用蒸溜塔に流入させることを特徴とする、C4オレフィン/パラフィン混合気体からC4オレフィンを分離する方法。
【請求項2】
前記オレフィン洗浄段階前に前記吸着塔に存在する残余パラフィン成分を排出する並流減圧段階をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のC4オレフィン/パラフィン混合気体からC4オレフィンを分離する方法。
【請求項3】
前記吸着塔らの圧力を均等にさせるために二つの吸着塔を連結することで、前記吸着段階を完了した後吸着塔に存在するパラフィン成分が吸着段階をすぐ完了したまた他の吸着塔で伝達されるようにする圧力同等化段階と、
前記圧力同等化段階を通じた減圧後、前記吸着塔に存在するパラフィン成分を排出するための並流減圧段階、及び
前記C4オレフィン/パラフィン混合気体を、前記圧力同等化段階を通じて部分的に加圧された吸着塔に流入させて、前記吸着塔を加圧する加圧段階をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のC4オレフィン/パラフィン混合気体からC4オレフィンを分離する方法。
【請求項4】
前記オレフィン-選択性吸着剤は、選択的π-複合オレフィン、X型ゼオライト、またはY型ゼオライトであることを特徴とする請求項1ないし3のうちいずれか一つに記載のC4オレフィン/パラフィン混合気体からC4オレフィンを分離する方法。
【請求項5】
前記吸着剤は、C5炭化水素またはC6炭化水素であることを特徴とする請求項1ないし3のうちいずれか一つに記載のC4オレフィン/パラフィン混合気体からC4オレフィンを分離する方法。
【請求項6】
前記オレフィン/脱着剤蒸溜塔とパラフィン/脱着剤蒸溜塔で分離した吸着剤は、吸着塔に再循環されることを特徴とする請求項1ないし3のうちいずれか一つに記載のC4オレフィン/パラフィン混合気体からC4オレフィンを分離する方法。
【請求項7】
前記吸着塔の作動圧力は、1ないし10atm(絶対圧)で、温度は20ないし150℃であることを特徴とする請求項1ないし3のうちいずれか一つに記載のC4オレフィン/パラフィン混合気体からC4オレフィンを分離する方法。
【請求項8】
選択的にオレフィンを吸着する吸着剤で充填された三つの吸着塔(AD-1、AD-2、及びAD-3)と、二つの蒸溜塔(オレフィン/脱着剤分離用蒸溜塔D2及びパラフィン/脱着剤分離用蒸溜塔D1で、脱着剤を利用した置き換え脱着を実施する方式で反復的な一連の吸着、オレフィン洗浄、及び脱着段階を実施して、C4オレフィン/パラフィン混合気体からC4オレフィンを分離する装置において、
その下部がバルブ1aを通じてC4オレフィン/パラフィン混合気体用供給配管1と連結されて、蒸溜塔D2に連結されたバルブ2aを通じてC4オレフィン/脱着剤排出配管2と連結されて、蒸溜塔D2で造成された所定量のC4オレフィンを供給するバルブ3aを通じて配管3と連結されて、またその上部が前記オレフィン洗浄段階から前記蒸溜塔D1にパラフィン及び脱着剤を流入させるバルブ4aを通じて配管4と連結されて、前記吸着段階で排出されたパラフィン及び脱着剤を前記蒸溜塔D1に供給するバルブ5aを通じて配管5と連結されて、前記脱着剤をその内部に供給するバルブ6aを通じて配管6と連結される吸着塔(AD-1)と、
その下部がバルブ1bを通じてC4オレフィン/パラフィン混合気体用供給配管1と連結されて、蒸溜塔D2に連結されたバルブ2bを通じてC4オレフィン/脱着剤排出配管2と連結されて、蒸溜塔D2で造成された所定量のC4オレフィンを供給するバルブ3bを通じて配管3と連結されて、またその上部が前記オレフィン洗浄段階から前記蒸溜塔D1にパラフィン及び脱着剤を流入させるバルブ4bを通じて配管4と連結されて、前記吸着段階で排出されたパラフィン及び脱着剤を前記蒸溜塔D1に供給するバルブ5bを通じて配管5と連結されて、前記脱着剤をその内部に供給するバルブ6bを通じて配管6と連結される吸着塔(AD-2)と、
その下部がバルブ1cを通じてC4オレフィン/パラフィン混合気体用供給配管1と連結されて、蒸溜塔D2に連結されたバルブ2cを通じてC4オレフィン/脱着剤排出配管2と連結されて、蒸溜塔D2で造成された所定量のC4オレフィンを供給するバルブ3cを通じて配管3と連結されて、またその上部が前記オレフィン洗浄段階から前記蒸溜塔D1にパラフィン及び脱着剤を流入させるバルブ4cを通じて配管4と連結されて、前記吸着段階で排出されたパラフィン及び脱着剤を前記蒸溜塔D1に供給するバルブ5cを通じて配管5と連結されて、前記脱着剤をその内部に供給するバルブ6cを通じて配管6と連結される吸着塔(AD-1)と、
前記吸着塔(AD-1、AD-2、及びAD-3)から流入されるC4パラフィン及び脱着剤を分離する蒸溜塔D1と、
前記吸着塔(AD-1、AD-2、及びAD-3)から流入されるC4オレフィン及び脱着剤を分離する蒸溜塔D2を含むことを特徴とする、C4オレフィン/パラフィン混合気体からC4オレフィンを分離する装置。
【請求項9】
前記蒸溜塔D1に連結された配管4内にバルブ7をさらに含むことを特徴とする請求項8に記載のC4オレフィン/パラフィン混合気体からC4オレフィンを分離する装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2010−532316(P2010−532316A)
【公表日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−500835(P2010−500835)
【出願日】平成20年3月28日(2008.3.28)
【国際出願番号】PCT/KR2008/001764
【国際公開番号】WO2008/120921
【国際公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【出願人】(595065552)コリア インスティチュート オブ エナジー リサーチ (11)
【出願人】(308007044)エスケー エナジー カンパニー リミテッド (53)
【Fターム(参考)】