オーダエントリシステム、注文端末およびその制御プログラム
【課題】グループ客の個別会計またはグループ客の一部の者の先会計を迅速に行い、接客業務の円滑化を図ること。
【解決手段】伝票データを分割する機能をオーダエントリシステムに設ける。具体的には、注文端末に分割しようとする伝票データを識別する第1の識別子及び第2の識別子のいずれか一方を入力し、管理装置に送信させる。管理装置に受信した識別子に対応する伝票データを返信させる。注文端末により返信された伝票データの中から分割対象となる注文データを選択させ、第1の識別子と第2の識別子のうち伝票データ要求時に送信した識別子と異なる識別子を選択された分割対象の注文データとともに管理装置に送信させる。これを受信した管理装置に、分割元の伝票データから分割対象の注文データを削除させ、さらに分割対象の注文データを用いて新たな伝票データを作成させる。
【解決手段】伝票データを分割する機能をオーダエントリシステムに設ける。具体的には、注文端末に分割しようとする伝票データを識別する第1の識別子及び第2の識別子のいずれか一方を入力し、管理装置に送信させる。管理装置に受信した識別子に対応する伝票データを返信させる。注文端末により返信された伝票データの中から分割対象となる注文データを選択させ、第1の識別子と第2の識別子のうち伝票データ要求時に送信した識別子と異なる識別子を選択された分割対象の注文データとともに管理装置に送信させる。これを受信した管理装置に、分割元の伝票データから分割対象の注文データを削除させ、さらに分割対象の注文データを用いて新たな伝票データを作成させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レストラン等の飲食店において顧客からの注文の入力や会計等に使用されるオーダエントリシステム、該システムで使用される注文端末およびその制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、レストラン等の飲食店では、顧客からのオーダーを入力する注文端末を備えたオーダエントリシステムが広く利用されている。前記注文端末から入力された注文データは、店舗のバックヤード等に設置されたオーダステーションに送信される。オーダステーションは、受信した注文データを記憶管理するとともに、ホール等に設置されたプリンタに受信した注文データに係る会計伝票を印字させる。この会計伝票は当該注文をした顧客に手渡される。顧客が会計をしようとする際には、受け取った会計伝票を持ってPOS(Point Of Sales)端末等の会計装置が設置された会計カウンタに移動する。前記会計装置は、会計伝票に印字された情報に基づいて当該顧客の注文データをオーダステーションから取得し、取得した注文データに基づいて会計処理を行う。なお、複数人数からなるグループ客からの注文は、一つの注文データとして一括して管理し、グループ客に対して1枚の会計伝票を発行することが一般的である。
【0003】
この種のオーダエントリシステムにおいてグループ客の一部を個別に会計する方法としては、例えば予めグループ内で個別に会計する顧客とそうでない顧客の注文を個別に受け、この個別に注文を受けた単位毎に会計伝票を発行する方法が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記したようにグループ客のうち予め個別に会計する顧客の注文を別に受ける方法では、注文後にグループ内の一部の顧客が急遽他の顧客よりも先に店舗を出なければならなくなった場合等には対応できないし、予め全てのグループ客に個別に会計する必要性の有無を確認するのは面倒である。
【0005】
また、会計カウンタで先に個別会計を希望する者の会計のみを行うことも可能であるが、この場合は通常の会計操作よりも時間がかかるため、会計しようとする他の顧客を長時間待たせてしまう虞がある。
【0006】
本発明は、上記のような事情に基づいてなされたものであり、その目的は、グループ客の個別会計またはグループ客の一部の者の先会計を迅速に行い、接客業務の円滑化を図ることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様であるオーダエントリシステムは、注文データの入力を受け付け、入力された注文データを送信する注文端末と、この注文端末から送信される注文データを受信し、該注文データを含む伝票データを作成して記憶部に記憶する管理装置とを有し、前記伝票データは、少なくとも前記記憶部に記憶された各伝票データを識別する第1の識別子と第2の識別子とを含み、前記注文端末は、前記第1の識別子及び前記第2の識別子のいずれか一方を入力する識別子入力手段と、前記識別子入力手段によって入力された前記第1の識別子又は前記第2の識別子を前記管理装置に送信する識別子送信手段と、前記識別子送信手段によって送信された識別子に対して前記管理装置から返信される伝票データを受信すると、受信した伝票データに含まれる注文データから分割対象の注文データの選択を受付ける選択受付手段と、前記識別子送信手段が前記管理装置に前記第1の識別子を送信している場合、前記管理装置から返信された伝票データに含まれる前記第2の識別子と前記選択受付手段によって選択を受付けた注文データとを前記管理装置に送信し、前記識別子送信手段が前記管理装置に前記第2の識別子を送信している場合、前記管理装置から返信された伝票データに含まれる前記第1の識別子と前記選択受付手段によって選択を受付けた注文データとを前記管理装置に送信する分割情報送信手段とを備え、前記管理装置は、前記注文端末の識別子送信手段によって送信された前記第1の識別子又は前記第2の識別子を受信すると、受信した識別子を有する伝票データを前記記憶部から読み出して前記注文端末に返信する返信手段と、前記注文端末の分割情報送信手段によって送信された分割対象の注文データ及び前記第1の識別子又は前記第2の識別子のいずれか一方を受信すると、受信した識別子を有する前記記憶部に記憶された伝票データから、受信した分割対象の注文データを削除する伝票データ更新手段と、前記分割対象となる注文データを含む分割伝票データを作成して前記記憶部に記憶する分割伝票作成手段とを備えている。
【発明の効果】
【0008】
上記のような手段を講じた本発明によれば、グループ客の個別会計またはグループ客の一部の者の先会計を迅速に行い、接客業務の円滑化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】一実施形態におけるオーダエントリシステムの全体構成図。
【図2】同システムが備えるハンディ端末の要部構成を示すブロック図。
【図3】同システムが備えるオーダステーションの要部構成を示すブロック図。
【図4】同システムが備える注文管理データベースに記憶される伝票データのデータ構造を示す模式図。
【図5】同システムが備えるPOS端末の要部構成を示すブロック図。
【図6】同システムで実行される注文受付処理のフローチャート。
【図7】同システムで実行される会計処理のフローチャート。
【図8】同システムが備える伝票分割機能における処理のフローチャート。
【図9】同システムが備えるハンディ端末の表示部に表示される画像例を示す図。
【図10】同システムが備えるハンディ端末の表示部に表示される画像例を示す図。
【図11】同システムが備えるハンディ端末の表示部に表示される画像例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。
[システム構成]
先ず、本実施形態におけるオーダエントリシステムの構成について説明する。
図1は、本実施形態におけるオーダエントリシステムの全体構成図である。図示したように、当該オーダエントリシステムは、接客係りの店員が所持する複数のハンディ端末1(注文端末)と、ホールの天井等に設置されたアクセスポイント2と、キッチンに設置されたキッチンプリンタ3およびキッチンディスプレイ4と、ホールに設置されたカスタマチェックプリンタ5(伝票発行手段)と、チェックアウトカウンタに設置されたPOS端末6と、店舗のバックヤード等に設置され、当該オーダエントリシステム全体を制御するオーダステーション7(管理装置)とで構成されている。アクセスポイント2,キッチンプリンタ3,キッチンディスプレイ4,POS端末6,およびオーダステーション7は、店舗内に配設されたLAN(Local Area Network)回線8を介して有線接続されている。ハンディ端末1およびカスタマチェックプリンタ5とアクセスポイント2は、電波を介した無線通信によってデータを送受信する。
【0011】
ハンディ端末1は、顧客からの注文を入力する端末であり、アクセスポイント2を介してオーダステーション7に注文データ等を送信する。
【0012】
オーダステーション7は、ハンディ端末1から受信した注文データに基づいて伝票データを作成し記憶管理するとともに、キッチンプリンタ3およびカスタマチェックプリンタ5に伝票データの印刷を指令し、キッチンディスプレイ4に伝票データの表示を指令する。また、オーダステーション7は、会計時においてPOS端末6に会計対象となる伝票データを送信する。
【0013】
キッチンプリンタ3は、オーダステーション7から伝票データの印刷を指令されたことに応じて、注文されたメニュー品目をキッチンの調理人に指示するための調理指示伝票を印刷する。
【0014】
キッチンディスプレイ4は、オーダステーション7から伝票データの印刷を指令されたことに応じて、注文されたメニュー品目をキッチンの調理人に指示するための画像を表示する。
【0015】
カスタマチェックプリンタ5は、オーダステーション7から伝票データの表示を指令されたことに応じて、当該伝票データに係る注文をした来店客に対して渡すべき会計伝票を印刷する。
POS端末6は、オーダステーション7から送信される会計対象の伝票データに基づいて当該注文をした客の会計を行い、会計の完了通知や客との間で授受した金銭に関する情報等をオーダステーション7に送信する。
【0016】
次に、ハンディ端末1について説明する。なお、当該オーダエントリシステムに含まれる複数のハンディ端末1は、何れも以下に説明する構成を備えている。
【0017】
図2は、ハンディ端末1の要部構成を示すブロック図である。ハンディ端末1は、制御の中枢として機能するCPU(Central Processing Unit)10を備えている。このCPU10には、ROM(Read Only Memory)11、RAM(Random Access Memory)12、表示部13、入力部14、および無線通信部15(通信部)がアドレスバスやデータバスからなるバスライン16を介して接続されている。
【0018】
ROM11は、ハンディ端末1の動作に必要な制御プログラムや各ハードウェアを駆動するドライバ等を記憶している。RAM12は、ハンディ端末1の動作に応じて各種の作業用記憶エリアを形成する。
【0019】
表示部13は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)であり、入力部14を介して入力される注文データ等を選択的に表示する。
【0020】
入力部14は、表示部13の表示面上に設けられたタッチパネルや、メニューの選択キー等を有するキーボードにて構成され、注文データの入力,取り消し,確定等の操作を受け付ける。入力部14が有する操作キーには、伝票分割を宣言する伝票分割キー14aが含まれている。
【0021】
無線通信部15は、図示せぬアンテナを介してアクセスポイント2と無線通信するものであり、アクセスポイント2への送信データを変調した信号を前記アンテナに出力するとともに、前記アンテナから入力される信号を復調してアクセスポイント2からの受信データを生成する。
【0022】
続いて、オーダステーション7について説明する。
【0023】
図3は、オーダステーション7の要部構成を示すブロック図である。オーダステーション7は、制御の中枢として機能するCPU70を備えている。このCPU70には、ROM71、RAM72、HDD(Hard Disk Drive)73、表示部74、入力部75、および通信部76がアドレスバスやデータバスからなるバスライン77を介して接続されている。
【0024】
ROM71は、オーダステーション7の動作に必要な制御プログラムや各ハードウェアを駆動するドライバ等を記憶している。RAM72は、オーダステーション7の動作に応じて各種の作業用記憶エリアを形成する。
【0025】
HDD73は、当該オーダエントリシステムを統括管理するための各種データベースやアプリケーションファイル等を記憶している。HDD73に記憶されるデータベースには、ハンディ端末1から送信される注文データに基づいて生成される伝票データを累積して記憶するための注文管理データベース(DB)73aが含まれている。
【0026】
表示部74は、例えばLCDであり、HDD73に記憶されたデータベースの内容やアプリケーション画面等を選択的に表示する。
【0027】
入力部75は、HDD73に記憶された注文管理データベース73aの内容を閲覧するための操作やアプリケーションを実行するための操作を行う各種の操作キーにて構成されている。
【0028】
通信部76は、LAN回線8を介して行われるアクセスポイント2、キッチンプリンタ3、キッチンディスプレイ4、およびPOS端末6との通信を制御する。
【0029】
図4は、注文管理データベース73aに記憶される伝票データのデータ構造を示す模式図である。伝票データは、伝票ナンバ(No.)の情報フィールドと、テーブルナンバ(No.)の情報フィールドと、人数の情報フィールドと、オーダー内容の情報フィールドと、合計金額の情報フィールドとを有している。伝票ナンバの情報フィールドには、注文管理データベース73aに記憶された伝票データ間で重複しない一意の識別子である伝票ナンバ(第1の識別子)が記述される。テーブルナンバの情報フィールドには、店舗内の各テーブルに対して割り当てられた一意の識別子であるテーブルナンバ(第2の識別子)が記述される。人数の情報フィールドには、注文をしたグループの人数が記述される。合計金額の情報フィールドには、注文の合計金額が記述される。オーダー内容の情報フィールドは、メニュー、数量、単価の情報フィールドで構成されている。メニューの情報フィールドには、顧客が注文したメニュー品目が記述される。数量の情報フィールドには、メニューの情報フィールドに記述されたメニューの注文数量が記述される。単価の情報フィールドには、メニューの情報フィールドに記述されたメニューの単価が記述される。メニュー、数量、単価の情報フィールドは、顧客が注文したメニューの数に応じて増設される可変領域である。
続いて、POS端末6について説明する。
【0030】
図5は、POS端末6の要部構成を示すブロック図である。POS端末6は、制御の中枢として機能するCPU60を備えている。このCPU60には、ROM61、RAM62、レシートプリンタ63、表示部64、入力部65、および通信部66がアドレスバスやデータバスからなるバスライン67を介して接続されている。
【0031】
ROM61は、POS端末6の動作に必要な制御プログラムや各ハードウェアを駆動するドライバ等を記憶している。RAM62は、オーダステーション7の動作に応じて各種の作業用記憶エリアを形成する。
【0032】
レシートプリンタ63は、POS端末6にて処理された会計の詳細情報からなるレシートを発行する。このレシートには、会計対象である注文データ、合計代金、預かり金額、釣銭額等が含まれる。
【0033】
表示部64は、例えばLCDである店員側表示器や客側表示器で構成され、会計対象である注文データや合計金額等を店員および顧客に対して選択的に表示する。
【0034】
入力部65は、表示部64を構成する各表示器の前面に設けられたタッチパネル、テンキー等で構成されるキーボード、およびバーコードを光学的に読み取るスキャナ等で構成されている。
【0035】
通信部66は、LAN回線8を介して行われるアクセスポイント2、キッチンプリンタ3、キッチンディスプレイ4、およびオーダステーション7との通信を制御する。
【0036】
[注文受付処理]
次に、ハンディ端末1およびオーダステーション7が実行する注文受付処理について説明する。この処理は、ハンディ端末1の入力部14の操作により注文データの入力が宣言されたことに応じてハンディ端末1のCPU10がROM11に記憶された動作プログラムを実行し、オーダステーション7のCPU70がROM71に記憶された動作プログラムを実行することによって実現される。
【0037】
図6は、注文受付処理においてハンディ端末1のCPU10およびオーダステーション7のCPU70が実行する処理のフローチャートである。先ずハンディ端末1のCPU10は、注文データの入力を受け付ける状態に移行し(ステップS101)、注文データの入力完了を待つ(ステップS102)。具体的には、入力部14の操作によって当該顧客が座るテーブルのテーブルナンバと、顧客の人数と、当該顧客が注文する1つ又は複数のメニュー品目およびその数量とが入力され、注文入力の完了が宣言されるのを待ち受ける。注文データの入力完了が宣言されると(ステップS102のYes)、CPU10は、入力されたテーブルナンバ,人数,およびメニュー品目およびその数量とで構成される注文データを、無線通信部15を介してオーダステーション7に送信し(ステップS103)、一連の処理を終了する。
【0038】
一方、オーダステーション7のCPU70は、ハンディ端末1から送信される注文データの受信を待ち受けている(ステップS104)。ステップS103の処理においてハンディ端末1から送信される注文データを通信部76を介して受信すると(ステップS104のYes)、CPU70は、当該注文の合計金額を算出する(ステップS105)。具体的には、CPU70は、受信した注文データで示される各メニュー品目について、その単価をHDD73に記憶された図示せぬPLUファイルから取得して注文データで示される数量を乗じ、それらの総和を算出する。
【0039】
このように合計金額を算出したならば、CPU70は、ステップS104の処理にて受信した注文データに対して伝票ナンバを割り当てる(ステップS106)。ここで割り当てられる伝票ナンバは、注文管理データベース73aに記憶されている他の伝票データの伝票ナンバと重複しないように決定する。伝票ナンバを割り当てると、CPU70は、当該伝票ナンバと、ステップS104の処理にて受信した注文データと、ステップS105の処理にて取得した単価および算出した合計金額とを用いて伝票データを作成し、注文管理データベース73aに記憶する(ステップS107)。さらに、CPU70は、ステップS107の処理にて作成した伝票データをキッチンプリンタ3およびカスタマチェックプリンタ5に送信し、当該伝票データを印刷した伝票を発行させる(ステップS108)。なお、CPU70は、キッチンディスプレイ4にも伝票データを送信し、少なくとも伝票データ中のオーダー内容を表示させる。
【0040】
ステップS108の処理にてカスタマチェックプリンタ5が印刷した会計伝票は、店員によって当該注文をした顧客に手渡される。また、キッチンプリンタ3が印字した調理指示伝票やキッチンディスプレイ4の表示を見て調理人が顧客の注文したメニュー品目を調理する。出来上がった料理は店員によって顧客に配膳される。
【0041】
[会計処理]
顧客は、配膳された料理を飲食し終えると、店員から手渡された会計伝票を持って会計カウンタに移動し、会計を行う。このときPOS端末6およびオーダステーション7が実行する会計処理について説明する。この処理は、POS端末6の入力部65の操作により会計処理の開始が宣言されたことに応じてPOS端末6のCPU60がROM61に記憶された動作プログラムを実行し、オーダステーション7のCPU70がROM71に記憶された動作プログラムを実行することによって実現される。
【0042】
図7は、会計処理においてPOS端末6のCPU60およびオーダステーション7のCPU70が実行する処理のフローチャートである。先ずPOS端末6のCPU60は、伝票ナンバの入力を受け付ける状態に移行し(ステップS201)、伝票ナンバの入力を待つ(ステップS202)。このとき店員は、入力部65を構成するキーボードを操作することで顧客から受け取った会計伝票に印刷された伝票ナンバを入力する。但し、会計伝票に伝票ナンバを示すバーコードが印刷されている場合には、入力部65を構成するスキャナで該バーコードを読み取ることで伝票ナンバを入力するようにしてもよい。伝票ナンバが入力されると、CPU70は、通信部66を介して当該伝票ナンバと会計要求コマンドとをオーダステーション7に送信する(ステップS203)。
【0043】
オーダステーション7のCPU70は、POS端末6から送信される会計要求コマンドの受信を待ち受けている(ステップS204)。ステップS203の処理にてPOS端末6から送信される会計要求コマンドを通信部76を介して受信すると(ステップS204のYes)、CPU70は、当該会計要求コマンドとともに受信した伝票ナンバをキーとして注文管理データベース73aから伝票データを検索する(ステップS205)。該当する伝票データを発見すると、CPU70は、通信部76を介して当該伝票データをPOS端末6に送信する(ステップS206)。
【0044】
ステップS203の処理の後、POS端末6のCPU60は、オーダステーション7から送信される伝票データの受信を待ち受けている(ステップS207)。ステップS206の処理にてオーダステーション7から送信される伝票データを通信部66を介して受信すると(ステップS207のYes)、CPU60は、受信した伝票データに基づいて会計に関する各種の処理を実行する(ステップS208)。具体的には、顧客が支払った代金の金額入力を受け付け、入力された代金を伝票データに示される合計金額から差し引いて釣銭額を算出し、レシートプリンタ63を駆動して当該会計のレシートを発行させる。ステップS208の処理が完了した後、CPU60は、顧客からの預かり金額や釣銭額等の金額情報とともに当該伝票データの会計が完了したことを示す会計完了通知を通信部66を介してオーダステーション7に送信する(ステップS209)。
【0045】
ステップS206の処理の後、オーダステーション7のCPU70は、POS端末6から送信される会計完了通知の受信を待ち受けている(ステップS210)。ステップS209の処理にてPOS端末6から送信される会計完了通知を通信部76を介して受信すると(ステップS210のYes)、CPU70は、ステップS206の処理にてPOS端末6に送信した伝票データを注文管理データベース73aとは別途に設けられたデータベースに移動させるか、あるいは伝票データに会計済みのフラグを立てるなどして、当該伝票データを会計済み扱いにする(ステップS211)。会計完了通知とともに受信した金額情報は、会計済み扱いにした伝票データに関連付けてHDD73等に記憶する。以上で一連の会計処理が終了する。
【0046】
[伝票分割機能]
さて、当該オーダエントリシステムは、一旦作成された伝票データに含まれる一部のメニュー品目を残りのメニュー品目から分割させる伝票分割機能を備えている。この機能は、ハンディ端末1の入力部14が備える伝票分割キー14aの操作により伝票の分割が宣言されたことに応じてハンディ端末1のCPU10がROM11に記憶された動作プログラムを実行し、オーダステーション7のCPU70がROM71に記憶された動作プログラムを実行することによって実現される。
【0047】
図8は、伝票分割機能を実現する際にハンディ端末1のCPU10およびオーダステーション7のCPU70が実行する処理のフローチャートである。先ずハンディ端末1のCPU10は、テーブルナンバおよび伝票ナンバの入力を受け付ける状態に移行し(ステップS301:識別子入力手段)、テーブルナンバまたは伝票ナンバのいずれか一方の入力を待つ(ステップS302)。このとき表示部13に表示される画像例を図9に示している。この画像100には、「テーブルNoは」,「伝票Noは」のようにテーブルナンバまたは伝票ナンバの入力を求める2つのメッセージが表示されている。店員は、入力部14を操作して前記2つのメッセージのいずれかを選択し、伝票分割を所望したグループ客が座るテーブルのテーブルナンバ、または会計伝票に印刷された伝票番号を入力する。なお、画像100は、テーブルナンバの入力を求めるメッセージが選択され、「1234」なるテーブルナンバが入力された状態を示している。
テーブルナンバまたは伝票番号のいずれか一方が入力されると、CPU10は、入力されたテーブルナンバまたは伝票ナンバと、伝票分割要求コマンドとを無線通信部15を介してオーダステーション7に送信する(ステップS303:識別子送信手段)。
オーダステーション7のCPU70は、ハンディ端末1から送信される伝票分割要求コマンドの受信を待ち受けている(ステップS304)。ステップS303の処理においてハンディ端末1から送信される伝票分割要求コマンドを通信部76を介して受信すると(ステップS304のYes)、CPU70は、伝票分割要求コマンドとともに受信したテーブルナンバまたは伝票ナンバをキーとして注文管理データベース73aから伝票データを検索する(ステップS305)。該当する伝票データを発見すると、CPU70は、通信部76を介して当該伝票データをハンディ端末1に送信する(ステップS306:返信手段)。
【0048】
ステップS303の処理の後、ハンディ端末1のCPU10は、オーダステーション7から送信される伝票データの受信を待ち受けている(ステップS307)。ステップS306の処理にてオーダステーション7から送信される伝票データを無線通信部15を介して受信すると(ステップS307のYes)、CPU10は、受信した伝票データを表示部13に表示する(ステップS308)。このとき表示部13に表示される画像例を図10に示している。この画像101には、「伝票分割:1234」のように、ステップS301の処理にて入力されたテーブルナンバが表示されている。但し、ステップS301の処理にて伝票ナンバが入力されている場合には、その伝票ナンバが表示される。画像101におけるテーブルナンバまたは伝票ナンバの下方には、「ランチA 5」,「パスタランチ 3」のように、伝票データに含まれるメニュー品目とその数量が表示されている。さらにこれらのメニュー品目の下方には、「ライス 3」,「パン 2」のように、セットメニューを構成するメニュー品目の詳細を示す情報が表示されている。
【0049】
このような画像を表示部13に表示した状態で、CPU10は、分割対象とするメニュー品目の選択を受け付ける(ステップS309:選択受付手段)。具体的には、CPU10は、入力部14の操作によるメニュー品目およびその数量の選択を受け付ける。店員は、メニュー品目およびその数量の選択を終えると、入力部14を操作して選択内容の確認画像を表示部13に表示させる。このとき表示部13に表示される画像例を図11に示している。この画像102には、ステップS301の処理にて入力されたテーブルナンバと、ステップS309の処理にて選択を受け付けたメニュー品目とその数量が表示されている。但し、ステップS301の処理にて伝票ナンバが入力されている場合には、テーブルナンバに代えて伝票ナンバが表示される。店員は、画像102のような確認画像を見て分割対象とするメニュー品目とその数量に間違いがある場合には、入力部14の操作によって修正する。一方、メニュー品目に間違いがないならば、入力部14の操作によって分割対象となるメニュー品目とその数量を確定させる。
【0050】
分割対象となるメニュー品目とその数量が確定されると、CPU10は、ステップS303の処理にて伝票分割要求コマンドとともにオーダステーション7に送信したキーがテーブルナンバと伝票ナンバのいずれであるかを判別する(ステップS310)。
【0051】
伝票分割要求コマンドとともに送信したキーがテーブルナンバである場合(ステップS310の「テーブルNo.」)、CPU10は、ステップS307の処理にて受信した伝票データに含まれる伝票ナンバと、ステップS309の処理にて選択を受け付けた分割対象のメニュー品目およびその数量とで構成される分割対象データを作成する(ステップS311)。
【0052】
一方、伝票分割要求コマンドとともに送信したキーが伝票ナンバである場合(ステップS310の「伝票No.」)、CPU10は、ステップS307の処理にて受信した伝票データに含まれるテーブルナンバと、ステップS309の処理にて選択を受け付けた分割対象のメニュー品目およびその数量とで構成される分割対象データを作成する(ステップS312)。
【0053】
ステップS311の処理またはステップ312の処理にて分割対象データを作成すると、CPU10は、無線通信部15を介して当該分割対象データをオーダステーション7に送信する(ステップS313)。
ここに、ステップS310,311,312,313の処理は、本実施形態における分割情報送信手段を構成する。
【0054】
ステップS306の処理の後、オーダステーション7のCPU70は、ハンディ端末1から送信される分割対象データの受信を待ち受けている(ステップS314)。ステップS313の処理にてハンディ端末1から送信される分割対象データを通信部76を介して受信すると(ステップS314のYes)、CPU70は、当該分割対象データで示されたメニュー品目の合計金額を算出する(ステップS315)。さらに、CPU70は、分割対象データに対して伝票ナンバを割り当てる(ステップS316)。ここで割り当てられる伝票ナンバは、注文管理データベース73aに記憶されている他の伝票データの伝票ナンバと重複しないように決定する。伝票ナンバを割り当てると、CPU70は、当該伝票ナンバと、ステップS314の処理にて受信した分割対象データと、ステップS315の処理にて取得した単価および算出した合計金額とを用いて伝票データを作成し、注文管理データベース73aに記憶する(ステップS317:分割伝票作成手段)。
【0055】
次に、CPU70は、ステップS314の処理にて受信した分割対象データに示されるテーブルナンバまたは伝票ナンバをキーとして注文管理データベース73aを検索する(ステップS318)。該当する伝票データを発見すると、CPU70は、当該伝票データ中のオーダー内容の情報フィールドに記述されたメニュー品目の数量から、ステップS314の処理にて受信した分割対象データで示されるメニュー品目の数量を減算し、合計金額の情報フィールドに記述された金額からステップS315の処理にて算出した金額を減算する(ステップS319:伝票データ更新手段)。このとき、伝票データ中に数量がゼロになったメニュー品目がある場合、該メニュー品目、数量、および単価の情報フィールドを削除する。
【0056】
次に、CPU70は、ステップS317の処理にて作成した分割伝票データと、ステップS319の処理にて更新した伝票データとをキッチンプリンタ3およびカスタマチェックプリンタ5に送信し、これらの伝票データに基づく伝票を印刷させる(ステップS320)。
【0057】
ステップS320の処理にてカスタマチェックプリンタ5が印刷した2枚の会計伝票のうち、分割元の会計伝票は店舗に残る顧客に手渡され、分割に係る会計伝票は先に会計しようとする顧客に手渡される。この分割に係る会計伝票を受け取った顧客は、会計カウンタに移動する。このとき、店員の操作によってPOS端末6により図7に示した流れの会計処理が行われる。
【0058】
[作用]
以上説明したように、本実施形態におけるオーダエントリシステムは、ハンディ端末1を用いてオーダステーション7の注文管理データベース73aに記憶された伝票データを分割することができる。したがって、予めグループ客に個別に会計するか否かを問い合わせる必要がないし、グループ客の一部が急に店舗を出なければならなくなった場合であってもその都度対応することができる。さらに、顧客を着席させたまま、その場でハンディ端末1を携帯する店員が伝票分割の手順を行えばよいので、伝票分割に起因して会計カウンタが混雑することはない。
【0059】
また、伝票を分割する際にハンディ端末1は、オーダステーション7にテーブルナンバおよび伝票ナンバのいずれか一方を送信して伝票データを取得し、分割対象データを送信するときには当該他方をオーダステーション7に送信する。このように、伝票データを管理するキーとなる識別子を一連の伝票分割で行われる通信の都度切り替えるようにしたことで、オーダエントリシステムのセキュリティ性が大幅に向上する。
【0060】
また、オーダステーション7が伝票を分割し終えると、分割伝票データを印刷した会計伝票と、分割対象のメニュー品目を削除した分割元の伝票データを印刷した会計伝票とがカスタマチェックプリンタ5から発行される。店員は、これらの会計伝票を伝票分割を依頼したグループ客に手渡すだけで伝票分割に係る作業を完了できる。また、POS端末6の操作を担当する店員は、会計対象の伝票が分割伝票であるか否かを意識することなく通常通り会計処理を行えばよい。
【0061】
なお、本発明は、前記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。具体的な変形例としては、例えば次のようなものがある。
(1)すなわち、前記実施形態では、注文を受け付ける手段として店員が携帯するためのハンディ端末1を備えたオーダエントリシステムを例示した。しかしながら、店舗内のテーブル等に設置され、顧客自身の操作で注文データを入力する端末を備えたオーダエントリシステムに前記実施形態の構成を適用してもよい。
【0062】
(2)また、前記実施形態では、伝票を分割する際にハンディ端末1とオーダステーション7との間でテーブルナンバと伝票ナンバとを送受信しつつ処理を進行する構成を例示した。しかしながら、伝票ナンバやテーブルナンバ以外の識別子を用いて伝票分割に係る処理を進行するようにしてもよい。このようにした場合であっても、ハンディ端末1からステップS303の処理において送信される識別子と、ステップS313の処理において送信される識別子とが異なるならば、前記実施形態と同様にオーダエントリシステムのセキュリティ性が向上するとの効果を奏する。
【0063】
この他、前記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、前記実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0064】
1…ハンディ端末、2…アクセスポイント、3…キッチンプリンタ、4…キッチンディスプレイ、5…カスタマチェックプリンタ、6…POS端末、7…オーダステーション、8…LAN回線、10…CPU、11…ROM、12…RAM、13…表示部、14…入力部、14a…伝票分割キー、15…無線通信部、73a…注文管理データベース
【先行技術文献】
【特許文献】
【0065】
【特許文献1】特開2001−76258号公報
【技術分野】
【0001】
本発明は、レストラン等の飲食店において顧客からの注文の入力や会計等に使用されるオーダエントリシステム、該システムで使用される注文端末およびその制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、レストラン等の飲食店では、顧客からのオーダーを入力する注文端末を備えたオーダエントリシステムが広く利用されている。前記注文端末から入力された注文データは、店舗のバックヤード等に設置されたオーダステーションに送信される。オーダステーションは、受信した注文データを記憶管理するとともに、ホール等に設置されたプリンタに受信した注文データに係る会計伝票を印字させる。この会計伝票は当該注文をした顧客に手渡される。顧客が会計をしようとする際には、受け取った会計伝票を持ってPOS(Point Of Sales)端末等の会計装置が設置された会計カウンタに移動する。前記会計装置は、会計伝票に印字された情報に基づいて当該顧客の注文データをオーダステーションから取得し、取得した注文データに基づいて会計処理を行う。なお、複数人数からなるグループ客からの注文は、一つの注文データとして一括して管理し、グループ客に対して1枚の会計伝票を発行することが一般的である。
【0003】
この種のオーダエントリシステムにおいてグループ客の一部を個別に会計する方法としては、例えば予めグループ内で個別に会計する顧客とそうでない顧客の注文を個別に受け、この個別に注文を受けた単位毎に会計伝票を発行する方法が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記したようにグループ客のうち予め個別に会計する顧客の注文を別に受ける方法では、注文後にグループ内の一部の顧客が急遽他の顧客よりも先に店舗を出なければならなくなった場合等には対応できないし、予め全てのグループ客に個別に会計する必要性の有無を確認するのは面倒である。
【0005】
また、会計カウンタで先に個別会計を希望する者の会計のみを行うことも可能であるが、この場合は通常の会計操作よりも時間がかかるため、会計しようとする他の顧客を長時間待たせてしまう虞がある。
【0006】
本発明は、上記のような事情に基づいてなされたものであり、その目的は、グループ客の個別会計またはグループ客の一部の者の先会計を迅速に行い、接客業務の円滑化を図ることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様であるオーダエントリシステムは、注文データの入力を受け付け、入力された注文データを送信する注文端末と、この注文端末から送信される注文データを受信し、該注文データを含む伝票データを作成して記憶部に記憶する管理装置とを有し、前記伝票データは、少なくとも前記記憶部に記憶された各伝票データを識別する第1の識別子と第2の識別子とを含み、前記注文端末は、前記第1の識別子及び前記第2の識別子のいずれか一方を入力する識別子入力手段と、前記識別子入力手段によって入力された前記第1の識別子又は前記第2の識別子を前記管理装置に送信する識別子送信手段と、前記識別子送信手段によって送信された識別子に対して前記管理装置から返信される伝票データを受信すると、受信した伝票データに含まれる注文データから分割対象の注文データの選択を受付ける選択受付手段と、前記識別子送信手段が前記管理装置に前記第1の識別子を送信している場合、前記管理装置から返信された伝票データに含まれる前記第2の識別子と前記選択受付手段によって選択を受付けた注文データとを前記管理装置に送信し、前記識別子送信手段が前記管理装置に前記第2の識別子を送信している場合、前記管理装置から返信された伝票データに含まれる前記第1の識別子と前記選択受付手段によって選択を受付けた注文データとを前記管理装置に送信する分割情報送信手段とを備え、前記管理装置は、前記注文端末の識別子送信手段によって送信された前記第1の識別子又は前記第2の識別子を受信すると、受信した識別子を有する伝票データを前記記憶部から読み出して前記注文端末に返信する返信手段と、前記注文端末の分割情報送信手段によって送信された分割対象の注文データ及び前記第1の識別子又は前記第2の識別子のいずれか一方を受信すると、受信した識別子を有する前記記憶部に記憶された伝票データから、受信した分割対象の注文データを削除する伝票データ更新手段と、前記分割対象となる注文データを含む分割伝票データを作成して前記記憶部に記憶する分割伝票作成手段とを備えている。
【発明の効果】
【0008】
上記のような手段を講じた本発明によれば、グループ客の個別会計またはグループ客の一部の者の先会計を迅速に行い、接客業務の円滑化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】一実施形態におけるオーダエントリシステムの全体構成図。
【図2】同システムが備えるハンディ端末の要部構成を示すブロック図。
【図3】同システムが備えるオーダステーションの要部構成を示すブロック図。
【図4】同システムが備える注文管理データベースに記憶される伝票データのデータ構造を示す模式図。
【図5】同システムが備えるPOS端末の要部構成を示すブロック図。
【図6】同システムで実行される注文受付処理のフローチャート。
【図7】同システムで実行される会計処理のフローチャート。
【図8】同システムが備える伝票分割機能における処理のフローチャート。
【図9】同システムが備えるハンディ端末の表示部に表示される画像例を示す図。
【図10】同システムが備えるハンディ端末の表示部に表示される画像例を示す図。
【図11】同システムが備えるハンディ端末の表示部に表示される画像例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。
[システム構成]
先ず、本実施形態におけるオーダエントリシステムの構成について説明する。
図1は、本実施形態におけるオーダエントリシステムの全体構成図である。図示したように、当該オーダエントリシステムは、接客係りの店員が所持する複数のハンディ端末1(注文端末)と、ホールの天井等に設置されたアクセスポイント2と、キッチンに設置されたキッチンプリンタ3およびキッチンディスプレイ4と、ホールに設置されたカスタマチェックプリンタ5(伝票発行手段)と、チェックアウトカウンタに設置されたPOS端末6と、店舗のバックヤード等に設置され、当該オーダエントリシステム全体を制御するオーダステーション7(管理装置)とで構成されている。アクセスポイント2,キッチンプリンタ3,キッチンディスプレイ4,POS端末6,およびオーダステーション7は、店舗内に配設されたLAN(Local Area Network)回線8を介して有線接続されている。ハンディ端末1およびカスタマチェックプリンタ5とアクセスポイント2は、電波を介した無線通信によってデータを送受信する。
【0011】
ハンディ端末1は、顧客からの注文を入力する端末であり、アクセスポイント2を介してオーダステーション7に注文データ等を送信する。
【0012】
オーダステーション7は、ハンディ端末1から受信した注文データに基づいて伝票データを作成し記憶管理するとともに、キッチンプリンタ3およびカスタマチェックプリンタ5に伝票データの印刷を指令し、キッチンディスプレイ4に伝票データの表示を指令する。また、オーダステーション7は、会計時においてPOS端末6に会計対象となる伝票データを送信する。
【0013】
キッチンプリンタ3は、オーダステーション7から伝票データの印刷を指令されたことに応じて、注文されたメニュー品目をキッチンの調理人に指示するための調理指示伝票を印刷する。
【0014】
キッチンディスプレイ4は、オーダステーション7から伝票データの印刷を指令されたことに応じて、注文されたメニュー品目をキッチンの調理人に指示するための画像を表示する。
【0015】
カスタマチェックプリンタ5は、オーダステーション7から伝票データの表示を指令されたことに応じて、当該伝票データに係る注文をした来店客に対して渡すべき会計伝票を印刷する。
POS端末6は、オーダステーション7から送信される会計対象の伝票データに基づいて当該注文をした客の会計を行い、会計の完了通知や客との間で授受した金銭に関する情報等をオーダステーション7に送信する。
【0016】
次に、ハンディ端末1について説明する。なお、当該オーダエントリシステムに含まれる複数のハンディ端末1は、何れも以下に説明する構成を備えている。
【0017】
図2は、ハンディ端末1の要部構成を示すブロック図である。ハンディ端末1は、制御の中枢として機能するCPU(Central Processing Unit)10を備えている。このCPU10には、ROM(Read Only Memory)11、RAM(Random Access Memory)12、表示部13、入力部14、および無線通信部15(通信部)がアドレスバスやデータバスからなるバスライン16を介して接続されている。
【0018】
ROM11は、ハンディ端末1の動作に必要な制御プログラムや各ハードウェアを駆動するドライバ等を記憶している。RAM12は、ハンディ端末1の動作に応じて各種の作業用記憶エリアを形成する。
【0019】
表示部13は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)であり、入力部14を介して入力される注文データ等を選択的に表示する。
【0020】
入力部14は、表示部13の表示面上に設けられたタッチパネルや、メニューの選択キー等を有するキーボードにて構成され、注文データの入力,取り消し,確定等の操作を受け付ける。入力部14が有する操作キーには、伝票分割を宣言する伝票分割キー14aが含まれている。
【0021】
無線通信部15は、図示せぬアンテナを介してアクセスポイント2と無線通信するものであり、アクセスポイント2への送信データを変調した信号を前記アンテナに出力するとともに、前記アンテナから入力される信号を復調してアクセスポイント2からの受信データを生成する。
【0022】
続いて、オーダステーション7について説明する。
【0023】
図3は、オーダステーション7の要部構成を示すブロック図である。オーダステーション7は、制御の中枢として機能するCPU70を備えている。このCPU70には、ROM71、RAM72、HDD(Hard Disk Drive)73、表示部74、入力部75、および通信部76がアドレスバスやデータバスからなるバスライン77を介して接続されている。
【0024】
ROM71は、オーダステーション7の動作に必要な制御プログラムや各ハードウェアを駆動するドライバ等を記憶している。RAM72は、オーダステーション7の動作に応じて各種の作業用記憶エリアを形成する。
【0025】
HDD73は、当該オーダエントリシステムを統括管理するための各種データベースやアプリケーションファイル等を記憶している。HDD73に記憶されるデータベースには、ハンディ端末1から送信される注文データに基づいて生成される伝票データを累積して記憶するための注文管理データベース(DB)73aが含まれている。
【0026】
表示部74は、例えばLCDであり、HDD73に記憶されたデータベースの内容やアプリケーション画面等を選択的に表示する。
【0027】
入力部75は、HDD73に記憶された注文管理データベース73aの内容を閲覧するための操作やアプリケーションを実行するための操作を行う各種の操作キーにて構成されている。
【0028】
通信部76は、LAN回線8を介して行われるアクセスポイント2、キッチンプリンタ3、キッチンディスプレイ4、およびPOS端末6との通信を制御する。
【0029】
図4は、注文管理データベース73aに記憶される伝票データのデータ構造を示す模式図である。伝票データは、伝票ナンバ(No.)の情報フィールドと、テーブルナンバ(No.)の情報フィールドと、人数の情報フィールドと、オーダー内容の情報フィールドと、合計金額の情報フィールドとを有している。伝票ナンバの情報フィールドには、注文管理データベース73aに記憶された伝票データ間で重複しない一意の識別子である伝票ナンバ(第1の識別子)が記述される。テーブルナンバの情報フィールドには、店舗内の各テーブルに対して割り当てられた一意の識別子であるテーブルナンバ(第2の識別子)が記述される。人数の情報フィールドには、注文をしたグループの人数が記述される。合計金額の情報フィールドには、注文の合計金額が記述される。オーダー内容の情報フィールドは、メニュー、数量、単価の情報フィールドで構成されている。メニューの情報フィールドには、顧客が注文したメニュー品目が記述される。数量の情報フィールドには、メニューの情報フィールドに記述されたメニューの注文数量が記述される。単価の情報フィールドには、メニューの情報フィールドに記述されたメニューの単価が記述される。メニュー、数量、単価の情報フィールドは、顧客が注文したメニューの数に応じて増設される可変領域である。
続いて、POS端末6について説明する。
【0030】
図5は、POS端末6の要部構成を示すブロック図である。POS端末6は、制御の中枢として機能するCPU60を備えている。このCPU60には、ROM61、RAM62、レシートプリンタ63、表示部64、入力部65、および通信部66がアドレスバスやデータバスからなるバスライン67を介して接続されている。
【0031】
ROM61は、POS端末6の動作に必要な制御プログラムや各ハードウェアを駆動するドライバ等を記憶している。RAM62は、オーダステーション7の動作に応じて各種の作業用記憶エリアを形成する。
【0032】
レシートプリンタ63は、POS端末6にて処理された会計の詳細情報からなるレシートを発行する。このレシートには、会計対象である注文データ、合計代金、預かり金額、釣銭額等が含まれる。
【0033】
表示部64は、例えばLCDである店員側表示器や客側表示器で構成され、会計対象である注文データや合計金額等を店員および顧客に対して選択的に表示する。
【0034】
入力部65は、表示部64を構成する各表示器の前面に設けられたタッチパネル、テンキー等で構成されるキーボード、およびバーコードを光学的に読み取るスキャナ等で構成されている。
【0035】
通信部66は、LAN回線8を介して行われるアクセスポイント2、キッチンプリンタ3、キッチンディスプレイ4、およびオーダステーション7との通信を制御する。
【0036】
[注文受付処理]
次に、ハンディ端末1およびオーダステーション7が実行する注文受付処理について説明する。この処理は、ハンディ端末1の入力部14の操作により注文データの入力が宣言されたことに応じてハンディ端末1のCPU10がROM11に記憶された動作プログラムを実行し、オーダステーション7のCPU70がROM71に記憶された動作プログラムを実行することによって実現される。
【0037】
図6は、注文受付処理においてハンディ端末1のCPU10およびオーダステーション7のCPU70が実行する処理のフローチャートである。先ずハンディ端末1のCPU10は、注文データの入力を受け付ける状態に移行し(ステップS101)、注文データの入力完了を待つ(ステップS102)。具体的には、入力部14の操作によって当該顧客が座るテーブルのテーブルナンバと、顧客の人数と、当該顧客が注文する1つ又は複数のメニュー品目およびその数量とが入力され、注文入力の完了が宣言されるのを待ち受ける。注文データの入力完了が宣言されると(ステップS102のYes)、CPU10は、入力されたテーブルナンバ,人数,およびメニュー品目およびその数量とで構成される注文データを、無線通信部15を介してオーダステーション7に送信し(ステップS103)、一連の処理を終了する。
【0038】
一方、オーダステーション7のCPU70は、ハンディ端末1から送信される注文データの受信を待ち受けている(ステップS104)。ステップS103の処理においてハンディ端末1から送信される注文データを通信部76を介して受信すると(ステップS104のYes)、CPU70は、当該注文の合計金額を算出する(ステップS105)。具体的には、CPU70は、受信した注文データで示される各メニュー品目について、その単価をHDD73に記憶された図示せぬPLUファイルから取得して注文データで示される数量を乗じ、それらの総和を算出する。
【0039】
このように合計金額を算出したならば、CPU70は、ステップS104の処理にて受信した注文データに対して伝票ナンバを割り当てる(ステップS106)。ここで割り当てられる伝票ナンバは、注文管理データベース73aに記憶されている他の伝票データの伝票ナンバと重複しないように決定する。伝票ナンバを割り当てると、CPU70は、当該伝票ナンバと、ステップS104の処理にて受信した注文データと、ステップS105の処理にて取得した単価および算出した合計金額とを用いて伝票データを作成し、注文管理データベース73aに記憶する(ステップS107)。さらに、CPU70は、ステップS107の処理にて作成した伝票データをキッチンプリンタ3およびカスタマチェックプリンタ5に送信し、当該伝票データを印刷した伝票を発行させる(ステップS108)。なお、CPU70は、キッチンディスプレイ4にも伝票データを送信し、少なくとも伝票データ中のオーダー内容を表示させる。
【0040】
ステップS108の処理にてカスタマチェックプリンタ5が印刷した会計伝票は、店員によって当該注文をした顧客に手渡される。また、キッチンプリンタ3が印字した調理指示伝票やキッチンディスプレイ4の表示を見て調理人が顧客の注文したメニュー品目を調理する。出来上がった料理は店員によって顧客に配膳される。
【0041】
[会計処理]
顧客は、配膳された料理を飲食し終えると、店員から手渡された会計伝票を持って会計カウンタに移動し、会計を行う。このときPOS端末6およびオーダステーション7が実行する会計処理について説明する。この処理は、POS端末6の入力部65の操作により会計処理の開始が宣言されたことに応じてPOS端末6のCPU60がROM61に記憶された動作プログラムを実行し、オーダステーション7のCPU70がROM71に記憶された動作プログラムを実行することによって実現される。
【0042】
図7は、会計処理においてPOS端末6のCPU60およびオーダステーション7のCPU70が実行する処理のフローチャートである。先ずPOS端末6のCPU60は、伝票ナンバの入力を受け付ける状態に移行し(ステップS201)、伝票ナンバの入力を待つ(ステップS202)。このとき店員は、入力部65を構成するキーボードを操作することで顧客から受け取った会計伝票に印刷された伝票ナンバを入力する。但し、会計伝票に伝票ナンバを示すバーコードが印刷されている場合には、入力部65を構成するスキャナで該バーコードを読み取ることで伝票ナンバを入力するようにしてもよい。伝票ナンバが入力されると、CPU70は、通信部66を介して当該伝票ナンバと会計要求コマンドとをオーダステーション7に送信する(ステップS203)。
【0043】
オーダステーション7のCPU70は、POS端末6から送信される会計要求コマンドの受信を待ち受けている(ステップS204)。ステップS203の処理にてPOS端末6から送信される会計要求コマンドを通信部76を介して受信すると(ステップS204のYes)、CPU70は、当該会計要求コマンドとともに受信した伝票ナンバをキーとして注文管理データベース73aから伝票データを検索する(ステップS205)。該当する伝票データを発見すると、CPU70は、通信部76を介して当該伝票データをPOS端末6に送信する(ステップS206)。
【0044】
ステップS203の処理の後、POS端末6のCPU60は、オーダステーション7から送信される伝票データの受信を待ち受けている(ステップS207)。ステップS206の処理にてオーダステーション7から送信される伝票データを通信部66を介して受信すると(ステップS207のYes)、CPU60は、受信した伝票データに基づいて会計に関する各種の処理を実行する(ステップS208)。具体的には、顧客が支払った代金の金額入力を受け付け、入力された代金を伝票データに示される合計金額から差し引いて釣銭額を算出し、レシートプリンタ63を駆動して当該会計のレシートを発行させる。ステップS208の処理が完了した後、CPU60は、顧客からの預かり金額や釣銭額等の金額情報とともに当該伝票データの会計が完了したことを示す会計完了通知を通信部66を介してオーダステーション7に送信する(ステップS209)。
【0045】
ステップS206の処理の後、オーダステーション7のCPU70は、POS端末6から送信される会計完了通知の受信を待ち受けている(ステップS210)。ステップS209の処理にてPOS端末6から送信される会計完了通知を通信部76を介して受信すると(ステップS210のYes)、CPU70は、ステップS206の処理にてPOS端末6に送信した伝票データを注文管理データベース73aとは別途に設けられたデータベースに移動させるか、あるいは伝票データに会計済みのフラグを立てるなどして、当該伝票データを会計済み扱いにする(ステップS211)。会計完了通知とともに受信した金額情報は、会計済み扱いにした伝票データに関連付けてHDD73等に記憶する。以上で一連の会計処理が終了する。
【0046】
[伝票分割機能]
さて、当該オーダエントリシステムは、一旦作成された伝票データに含まれる一部のメニュー品目を残りのメニュー品目から分割させる伝票分割機能を備えている。この機能は、ハンディ端末1の入力部14が備える伝票分割キー14aの操作により伝票の分割が宣言されたことに応じてハンディ端末1のCPU10がROM11に記憶された動作プログラムを実行し、オーダステーション7のCPU70がROM71に記憶された動作プログラムを実行することによって実現される。
【0047】
図8は、伝票分割機能を実現する際にハンディ端末1のCPU10およびオーダステーション7のCPU70が実行する処理のフローチャートである。先ずハンディ端末1のCPU10は、テーブルナンバおよび伝票ナンバの入力を受け付ける状態に移行し(ステップS301:識別子入力手段)、テーブルナンバまたは伝票ナンバのいずれか一方の入力を待つ(ステップS302)。このとき表示部13に表示される画像例を図9に示している。この画像100には、「テーブルNoは」,「伝票Noは」のようにテーブルナンバまたは伝票ナンバの入力を求める2つのメッセージが表示されている。店員は、入力部14を操作して前記2つのメッセージのいずれかを選択し、伝票分割を所望したグループ客が座るテーブルのテーブルナンバ、または会計伝票に印刷された伝票番号を入力する。なお、画像100は、テーブルナンバの入力を求めるメッセージが選択され、「1234」なるテーブルナンバが入力された状態を示している。
テーブルナンバまたは伝票番号のいずれか一方が入力されると、CPU10は、入力されたテーブルナンバまたは伝票ナンバと、伝票分割要求コマンドとを無線通信部15を介してオーダステーション7に送信する(ステップS303:識別子送信手段)。
オーダステーション7のCPU70は、ハンディ端末1から送信される伝票分割要求コマンドの受信を待ち受けている(ステップS304)。ステップS303の処理においてハンディ端末1から送信される伝票分割要求コマンドを通信部76を介して受信すると(ステップS304のYes)、CPU70は、伝票分割要求コマンドとともに受信したテーブルナンバまたは伝票ナンバをキーとして注文管理データベース73aから伝票データを検索する(ステップS305)。該当する伝票データを発見すると、CPU70は、通信部76を介して当該伝票データをハンディ端末1に送信する(ステップS306:返信手段)。
【0048】
ステップS303の処理の後、ハンディ端末1のCPU10は、オーダステーション7から送信される伝票データの受信を待ち受けている(ステップS307)。ステップS306の処理にてオーダステーション7から送信される伝票データを無線通信部15を介して受信すると(ステップS307のYes)、CPU10は、受信した伝票データを表示部13に表示する(ステップS308)。このとき表示部13に表示される画像例を図10に示している。この画像101には、「伝票分割:1234」のように、ステップS301の処理にて入力されたテーブルナンバが表示されている。但し、ステップS301の処理にて伝票ナンバが入力されている場合には、その伝票ナンバが表示される。画像101におけるテーブルナンバまたは伝票ナンバの下方には、「ランチA 5」,「パスタランチ 3」のように、伝票データに含まれるメニュー品目とその数量が表示されている。さらにこれらのメニュー品目の下方には、「ライス 3」,「パン 2」のように、セットメニューを構成するメニュー品目の詳細を示す情報が表示されている。
【0049】
このような画像を表示部13に表示した状態で、CPU10は、分割対象とするメニュー品目の選択を受け付ける(ステップS309:選択受付手段)。具体的には、CPU10は、入力部14の操作によるメニュー品目およびその数量の選択を受け付ける。店員は、メニュー品目およびその数量の選択を終えると、入力部14を操作して選択内容の確認画像を表示部13に表示させる。このとき表示部13に表示される画像例を図11に示している。この画像102には、ステップS301の処理にて入力されたテーブルナンバと、ステップS309の処理にて選択を受け付けたメニュー品目とその数量が表示されている。但し、ステップS301の処理にて伝票ナンバが入力されている場合には、テーブルナンバに代えて伝票ナンバが表示される。店員は、画像102のような確認画像を見て分割対象とするメニュー品目とその数量に間違いがある場合には、入力部14の操作によって修正する。一方、メニュー品目に間違いがないならば、入力部14の操作によって分割対象となるメニュー品目とその数量を確定させる。
【0050】
分割対象となるメニュー品目とその数量が確定されると、CPU10は、ステップS303の処理にて伝票分割要求コマンドとともにオーダステーション7に送信したキーがテーブルナンバと伝票ナンバのいずれであるかを判別する(ステップS310)。
【0051】
伝票分割要求コマンドとともに送信したキーがテーブルナンバである場合(ステップS310の「テーブルNo.」)、CPU10は、ステップS307の処理にて受信した伝票データに含まれる伝票ナンバと、ステップS309の処理にて選択を受け付けた分割対象のメニュー品目およびその数量とで構成される分割対象データを作成する(ステップS311)。
【0052】
一方、伝票分割要求コマンドとともに送信したキーが伝票ナンバである場合(ステップS310の「伝票No.」)、CPU10は、ステップS307の処理にて受信した伝票データに含まれるテーブルナンバと、ステップS309の処理にて選択を受け付けた分割対象のメニュー品目およびその数量とで構成される分割対象データを作成する(ステップS312)。
【0053】
ステップS311の処理またはステップ312の処理にて分割対象データを作成すると、CPU10は、無線通信部15を介して当該分割対象データをオーダステーション7に送信する(ステップS313)。
ここに、ステップS310,311,312,313の処理は、本実施形態における分割情報送信手段を構成する。
【0054】
ステップS306の処理の後、オーダステーション7のCPU70は、ハンディ端末1から送信される分割対象データの受信を待ち受けている(ステップS314)。ステップS313の処理にてハンディ端末1から送信される分割対象データを通信部76を介して受信すると(ステップS314のYes)、CPU70は、当該分割対象データで示されたメニュー品目の合計金額を算出する(ステップS315)。さらに、CPU70は、分割対象データに対して伝票ナンバを割り当てる(ステップS316)。ここで割り当てられる伝票ナンバは、注文管理データベース73aに記憶されている他の伝票データの伝票ナンバと重複しないように決定する。伝票ナンバを割り当てると、CPU70は、当該伝票ナンバと、ステップS314の処理にて受信した分割対象データと、ステップS315の処理にて取得した単価および算出した合計金額とを用いて伝票データを作成し、注文管理データベース73aに記憶する(ステップS317:分割伝票作成手段)。
【0055】
次に、CPU70は、ステップS314の処理にて受信した分割対象データに示されるテーブルナンバまたは伝票ナンバをキーとして注文管理データベース73aを検索する(ステップS318)。該当する伝票データを発見すると、CPU70は、当該伝票データ中のオーダー内容の情報フィールドに記述されたメニュー品目の数量から、ステップS314の処理にて受信した分割対象データで示されるメニュー品目の数量を減算し、合計金額の情報フィールドに記述された金額からステップS315の処理にて算出した金額を減算する(ステップS319:伝票データ更新手段)。このとき、伝票データ中に数量がゼロになったメニュー品目がある場合、該メニュー品目、数量、および単価の情報フィールドを削除する。
【0056】
次に、CPU70は、ステップS317の処理にて作成した分割伝票データと、ステップS319の処理にて更新した伝票データとをキッチンプリンタ3およびカスタマチェックプリンタ5に送信し、これらの伝票データに基づく伝票を印刷させる(ステップS320)。
【0057】
ステップS320の処理にてカスタマチェックプリンタ5が印刷した2枚の会計伝票のうち、分割元の会計伝票は店舗に残る顧客に手渡され、分割に係る会計伝票は先に会計しようとする顧客に手渡される。この分割に係る会計伝票を受け取った顧客は、会計カウンタに移動する。このとき、店員の操作によってPOS端末6により図7に示した流れの会計処理が行われる。
【0058】
[作用]
以上説明したように、本実施形態におけるオーダエントリシステムは、ハンディ端末1を用いてオーダステーション7の注文管理データベース73aに記憶された伝票データを分割することができる。したがって、予めグループ客に個別に会計するか否かを問い合わせる必要がないし、グループ客の一部が急に店舗を出なければならなくなった場合であってもその都度対応することができる。さらに、顧客を着席させたまま、その場でハンディ端末1を携帯する店員が伝票分割の手順を行えばよいので、伝票分割に起因して会計カウンタが混雑することはない。
【0059】
また、伝票を分割する際にハンディ端末1は、オーダステーション7にテーブルナンバおよび伝票ナンバのいずれか一方を送信して伝票データを取得し、分割対象データを送信するときには当該他方をオーダステーション7に送信する。このように、伝票データを管理するキーとなる識別子を一連の伝票分割で行われる通信の都度切り替えるようにしたことで、オーダエントリシステムのセキュリティ性が大幅に向上する。
【0060】
また、オーダステーション7が伝票を分割し終えると、分割伝票データを印刷した会計伝票と、分割対象のメニュー品目を削除した分割元の伝票データを印刷した会計伝票とがカスタマチェックプリンタ5から発行される。店員は、これらの会計伝票を伝票分割を依頼したグループ客に手渡すだけで伝票分割に係る作業を完了できる。また、POS端末6の操作を担当する店員は、会計対象の伝票が分割伝票であるか否かを意識することなく通常通り会計処理を行えばよい。
【0061】
なお、本発明は、前記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。具体的な変形例としては、例えば次のようなものがある。
(1)すなわち、前記実施形態では、注文を受け付ける手段として店員が携帯するためのハンディ端末1を備えたオーダエントリシステムを例示した。しかしながら、店舗内のテーブル等に設置され、顧客自身の操作で注文データを入力する端末を備えたオーダエントリシステムに前記実施形態の構成を適用してもよい。
【0062】
(2)また、前記実施形態では、伝票を分割する際にハンディ端末1とオーダステーション7との間でテーブルナンバと伝票ナンバとを送受信しつつ処理を進行する構成を例示した。しかしながら、伝票ナンバやテーブルナンバ以外の識別子を用いて伝票分割に係る処理を進行するようにしてもよい。このようにした場合であっても、ハンディ端末1からステップS303の処理において送信される識別子と、ステップS313の処理において送信される識別子とが異なるならば、前記実施形態と同様にオーダエントリシステムのセキュリティ性が向上するとの効果を奏する。
【0063】
この他、前記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、前記実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0064】
1…ハンディ端末、2…アクセスポイント、3…キッチンプリンタ、4…キッチンディスプレイ、5…カスタマチェックプリンタ、6…POS端末、7…オーダステーション、8…LAN回線、10…CPU、11…ROM、12…RAM、13…表示部、14…入力部、14a…伝票分割キー、15…無線通信部、73a…注文管理データベース
【先行技術文献】
【特許文献】
【0065】
【特許文献1】特開2001−76258号公報
【特許請求の範囲】
【請求項1】
注文データの入力を受け付け、入力された注文データを送信する注文端末と、この注文端末から送信される注文データを受信し、該注文データを含む伝票データを作成して記憶部に記憶する管理装置とを有するオーダエントリシステムであって、
前記伝票データは、少なくとも前記記憶部に記憶された各伝票データを識別する第1の識別子と第2の識別子とを含み、
前記注文端末は、前記第1の識別子及び前記第2の識別子のいずれか一方を入力する識別子入力手段と、
前記識別子入力手段によって入力された前記第1の識別子又は前記第2の識別子を前記管理装置に送信する識別子送信手段と、
前記識別子送信手段によって送信された識別子に対して前記管理装置から返信される伝票データを受信すると、受信した伝票データに含まれる注文データから分割対象の注文データの選択を受付ける選択受付手段と、
前記識別子送信手段が前記管理装置に前記第1の識別子を送信している場合、前記管理装置から返信された伝票データに含まれる前記第2の識別子と前記選択受付手段によって選択を受付けた注文データとを前記管理装置に送信し、前記識別子送信手段が前記管理装置に前記第2の識別子を送信している場合、前記管理装置から返信された伝票データに含まれる前記第1の識別子と前記選択受付手段によって選択を受付けた注文データとを前記管理装置に送信する分割情報送信手段とを備え、
前記管理装置は、前記注文端末の識別子送信手段によって送信された前記第1の識別子又は前記第2の識別子を受信すると、受信した識別子を有する伝票データを前記記憶部から読み出して前記注文端末に返信する返信手段と、
前記注文端末の分割情報送信手段によって送信された分割対象の注文データ及び前記第1の識別子又は前記第2の識別子のいずれか一方を受信すると、受信した識別子を有する前記記憶部に記憶された伝票データから、受信した分割対象の注文データを削除する伝票データ更新手段と、
前記分割対象となる注文データを含む分割伝票データを作成して前記記憶部に記憶する分割伝票作成手段とを備えていることを特徴とするオーダエントリシステム。
【請求項2】
前記第1の識別子は、前記記憶部に記憶される伝票データ間で重複しない伝票番号であり、前記第2の識別子は、顧客が使用するテーブルを示すテーブル番号であることを特徴とする請求項1に記載のオーダエントリシステム。
【請求項3】
前記伝票データ更新手段によって分割対象の注文データが削除された後の伝票データを印刷した伝票と、前記分割伝票作成手段によって作成された分割伝票データを印刷した伝票とを発行する伝票発行手段をさらに備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載のオーダエントリシステム。
【請求項4】
注文データを受信すると少なくとも当該注文データ、各伝票データを識別する第1の識別子及び第2の識別子を含む伝票データを作成して記憶部に記憶し、前記第1の識別子及び前記第2の識別子のいずれか一方を受信すると当該受信した識別子を含む伝票データを返信する管理装置に通信接続された注文端末であって、
前記第1の識別子及び前記第2の識別子のいずれか一方を入力する識別子入力手段と、
前記識別子入力手段によって入力された前記第1の識別子又は前記第2の識別子を前記管理装置に送信する識別子送信手段と、
前記識別子送信手段によって送信された識別子に対して前記管理装置から返信される伝票データを受信すると、受信した伝票データに含まれる注文データから分割対象の注文データの選択を受付ける選択受付手段と、
前記識別子送信手段が前記管理装置に前記第1の識別子を送信している場合、前記管理装置から返信された伝票データに含まれる前記第2の識別子と前記選択受付手段によって選択を受付けた注文データとを前記管理装置に送信し、前記識別子送信手段が前記管理装置に前記第2の識別子を送信している場合、前記管理装置から返信された伝票データに含まれる前記第1の識別子と前記選択受付手段によって選択を受付けた注文データとを前記管理装置に送信する分割情報送信手段とを備えていることを特徴とする注文端末。
【請求項5】
前記第1の識別子は、前記記憶部に記憶される伝票データ間で重複しない伝票番号であり、前記第2の識別子は、顧客が使用するテーブルを示すテーブル番号であることを特徴とする請求項4に記載の注文端末。
【請求項6】
注文データを受信すると少なくとも当該注文データと各伝票データを識別する第1の識別子及び第2の識別子とを含む伝票データを作成して記憶部に記憶し、前記第1の識別子及び前記第2の識別子のいずれか一方を受信すると当該受信した識別子を含む伝票データを返信する管理装置と通信する通信部を備えた注文端末の制御プログラムであって、
前記注文端末に、
所定の入力部の操作による前記第1の識別子及び前記第2の識別子のいずれか一方の入力を受け付ける機能と、
入力を受け付けた前記第1の識別子又は前記第2の識別子を、前記通信部によって前記管理装置に送信する識別子送信機能と、
前記識別子送信機能によって送信された識別子に対して前記管理装置から返信される伝票データを前記通信部によって受信すると、受信した伝票データに含まれる注文データから前記入力部の操作による分割対象の注文データの選択を受付ける選択受付機能と、
前記識別子送信機能によって前記管理装置に前記第1の識別子が送信されている場合、前記管理装置から返信された伝票データに含まれる前記第2の識別子と前記選択受付機能によって選択を受付けた注文データとを前記管理装置に送信し、前記識別子送信機能によって前記管理装置に前記第2の識別子が送信されている場合、前記管理装置から返信された伝票データに含まれる前記第1の識別子と前記選択受付機能によって選択を受付けた注文データとを前記管理装置に送信する分割情報送信機能と、
を実現させるための制御プログラム。
【請求項1】
注文データの入力を受け付け、入力された注文データを送信する注文端末と、この注文端末から送信される注文データを受信し、該注文データを含む伝票データを作成して記憶部に記憶する管理装置とを有するオーダエントリシステムであって、
前記伝票データは、少なくとも前記記憶部に記憶された各伝票データを識別する第1の識別子と第2の識別子とを含み、
前記注文端末は、前記第1の識別子及び前記第2の識別子のいずれか一方を入力する識別子入力手段と、
前記識別子入力手段によって入力された前記第1の識別子又は前記第2の識別子を前記管理装置に送信する識別子送信手段と、
前記識別子送信手段によって送信された識別子に対して前記管理装置から返信される伝票データを受信すると、受信した伝票データに含まれる注文データから分割対象の注文データの選択を受付ける選択受付手段と、
前記識別子送信手段が前記管理装置に前記第1の識別子を送信している場合、前記管理装置から返信された伝票データに含まれる前記第2の識別子と前記選択受付手段によって選択を受付けた注文データとを前記管理装置に送信し、前記識別子送信手段が前記管理装置に前記第2の識別子を送信している場合、前記管理装置から返信された伝票データに含まれる前記第1の識別子と前記選択受付手段によって選択を受付けた注文データとを前記管理装置に送信する分割情報送信手段とを備え、
前記管理装置は、前記注文端末の識別子送信手段によって送信された前記第1の識別子又は前記第2の識別子を受信すると、受信した識別子を有する伝票データを前記記憶部から読み出して前記注文端末に返信する返信手段と、
前記注文端末の分割情報送信手段によって送信された分割対象の注文データ及び前記第1の識別子又は前記第2の識別子のいずれか一方を受信すると、受信した識別子を有する前記記憶部に記憶された伝票データから、受信した分割対象の注文データを削除する伝票データ更新手段と、
前記分割対象となる注文データを含む分割伝票データを作成して前記記憶部に記憶する分割伝票作成手段とを備えていることを特徴とするオーダエントリシステム。
【請求項2】
前記第1の識別子は、前記記憶部に記憶される伝票データ間で重複しない伝票番号であり、前記第2の識別子は、顧客が使用するテーブルを示すテーブル番号であることを特徴とする請求項1に記載のオーダエントリシステム。
【請求項3】
前記伝票データ更新手段によって分割対象の注文データが削除された後の伝票データを印刷した伝票と、前記分割伝票作成手段によって作成された分割伝票データを印刷した伝票とを発行する伝票発行手段をさらに備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載のオーダエントリシステム。
【請求項4】
注文データを受信すると少なくとも当該注文データ、各伝票データを識別する第1の識別子及び第2の識別子を含む伝票データを作成して記憶部に記憶し、前記第1の識別子及び前記第2の識別子のいずれか一方を受信すると当該受信した識別子を含む伝票データを返信する管理装置に通信接続された注文端末であって、
前記第1の識別子及び前記第2の識別子のいずれか一方を入力する識別子入力手段と、
前記識別子入力手段によって入力された前記第1の識別子又は前記第2の識別子を前記管理装置に送信する識別子送信手段と、
前記識別子送信手段によって送信された識別子に対して前記管理装置から返信される伝票データを受信すると、受信した伝票データに含まれる注文データから分割対象の注文データの選択を受付ける選択受付手段と、
前記識別子送信手段が前記管理装置に前記第1の識別子を送信している場合、前記管理装置から返信された伝票データに含まれる前記第2の識別子と前記選択受付手段によって選択を受付けた注文データとを前記管理装置に送信し、前記識別子送信手段が前記管理装置に前記第2の識別子を送信している場合、前記管理装置から返信された伝票データに含まれる前記第1の識別子と前記選択受付手段によって選択を受付けた注文データとを前記管理装置に送信する分割情報送信手段とを備えていることを特徴とする注文端末。
【請求項5】
前記第1の識別子は、前記記憶部に記憶される伝票データ間で重複しない伝票番号であり、前記第2の識別子は、顧客が使用するテーブルを示すテーブル番号であることを特徴とする請求項4に記載の注文端末。
【請求項6】
注文データを受信すると少なくとも当該注文データと各伝票データを識別する第1の識別子及び第2の識別子とを含む伝票データを作成して記憶部に記憶し、前記第1の識別子及び前記第2の識別子のいずれか一方を受信すると当該受信した識別子を含む伝票データを返信する管理装置と通信する通信部を備えた注文端末の制御プログラムであって、
前記注文端末に、
所定の入力部の操作による前記第1の識別子及び前記第2の識別子のいずれか一方の入力を受け付ける機能と、
入力を受け付けた前記第1の識別子又は前記第2の識別子を、前記通信部によって前記管理装置に送信する識別子送信機能と、
前記識別子送信機能によって送信された識別子に対して前記管理装置から返信される伝票データを前記通信部によって受信すると、受信した伝票データに含まれる注文データから前記入力部の操作による分割対象の注文データの選択を受付ける選択受付機能と、
前記識別子送信機能によって前記管理装置に前記第1の識別子が送信されている場合、前記管理装置から返信された伝票データに含まれる前記第2の識別子と前記選択受付機能によって選択を受付けた注文データとを前記管理装置に送信し、前記識別子送信機能によって前記管理装置に前記第2の識別子が送信されている場合、前記管理装置から返信された伝票データに含まれる前記第1の識別子と前記選択受付機能によって選択を受付けた注文データとを前記管理装置に送信する分割情報送信機能と、
を実現させるための制御プログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−175476(P2011−175476A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−39199(P2010−39199)
【出願日】平成22年2月24日(2010.2.24)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年2月24日(2010.2.24)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】
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