説明

オーダ投入装置、オーダ投入方法およびそのプログラム

【課題】ルータへのオーダの投入効率を向上させる。
【解決手段】オーダ投入装置10は、ルータ20との間に複数のセッションを確立して複数のオーダを並列投入したり、対象ルータに確立済みのセッションを用いてオーダを連続投入したりする。このとき、オーダ投入装置10は、対象ルータにおいて処理中のオーダと、これから投入するオーダについて競合するか否かを判定する。オーダ同士が競合する場合は、対象ルータにおいて当該オーダの処理が終了するのを待ってからオーダを投入する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、IP(Internet Protocol)網を構成する装置へのオーダ投入技術に関する。
【背景技術】
【0002】
通信インフラの拡大に伴って、ネットワークを構成する装置(例えば、ルータ等のネットワーク装置)の数が増加している。加入者に対する新規サービスの設定や解除は、ネットワーク装置にオーダを投入することによって実施されており、サービスの多様化や加入者の増大はオーダ投入の機会を増やす要因となっている。また、通信インフラの品質維持に関わる装置管理もオーダ投入により実施されており、円滑なネットワーク管理のためにオーダの投入の効率化の重要性が高まっている。ここで、サービスに関する内容を各ネットワーク装置に設定する技術としてサービスアクティベーションがある。近年、このサービスアクティベーションにおいて、設定内容のうち、サービスに依存する部分をモジュールごとに切り出し、モジュールの入れ替えにより各種サービスに柔軟に対応する技術が提案されている(非特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】NTT技術ジャーナル、「ネットワークサービスを支えるサービスアクティベーション技術」、[online]、[平成20年6月24日検索]、インターネット、<URL:http://www.ntt.co.jp/journal/0508/files/jn200508018.pdf >
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、非特許文献1に記載の技術では、システムが、ネットワーク装置に1オーダずつTelnetセッションを確立して投入する方式がとられている。この方式では、ネットワーク装置に複数のオーダを一度に投入することによるオーダの競合の問題(複数のオーダ同士が干渉する問題)は発生しないが、オーダの投入効率は必ずしもよくないという問題がある。そこで、本発明は、前記した問題を解決し、ネットワーク装置へのオーダの投入効率を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記した課題を解決するため、通信網に設置される1以上のネットワーク装置へのオーダを投入するオーダ投入装置を、外部装置から、ネットワーク装置へ投入する一連のオーダをその投入順に受け付ける入力部と、入力されたオーダを、そのオーダの投入先のネットワーク装置それぞれについて、そのネットワーク装置へオーダを投入するときの優先度ごとのキューに分けて蓄積するキュー部と、記憶部と、投入制御部により通知されたネットワーク装置のセッション状態に基づきセッション管理情報を更新するセッション管理部と、ネットワーク装置との間でのセッションの確立および切断を行い、キュー部に蓄積されたオーダを、このオーダの投入先となるネットワーク装置との間で確立されたセッションを用いて投入し、ネットワーク装置のセッション状態をセッション管理部へ通知し、投入したオーダをオーダ情報に記録する投入制御部とを備える構成とした。この記憶部は、(1)ネットワーク装置との間に確立されたセッションごとに、当該セッションにより接続されるネットワーク装置の識別情報、当該セッションにより投入されたオーダのオーダID、当該セッションが確立中であるか否か、および、当該セッションによりネットワーク装置へオーダを処理中であるか否かを示したセッション管理情報と、(2)確立されたセッションにより投入されたオーダと、そのオーダのオーダIDと対応付けて示したオーダ情報と、(3)同じネットワーク装置において、前回投入したオーダの処理が終了していない状態で次のオーダを投入すると競合するオーダの組み合わせを示した競合オーダ情報とを記憶する。そして、この投入制御部は、キュー部に蓄積されたオーダのうち優先度の高いオーダのキューに蓄積されたオーダから優先的にオーダを取得し、セッション管理情報、オーダ情報および競合オーダ情報を参照して、(1)キュー部から取得したオーダの投入先のネットワーク装置に処理中のオーダがないとき、ネットワーク装置との間に新たなセッションを確立し、その確立したセッションを用いてオーダを投入する。一方、(2)キュー部から取得したオーダの投入先のネットワーク装置に処理中のオーダがある場合において、(2-1)処理中のオーダが、取得したオーダと競合するオーダではないとき、投入制御部は、ネットワーク装置との間に新たなセッションを確立し、または、既に当該ネットワーク装置との間に確立されたセッションを用いてオーダを投入する。さらに、(2)キュー部から取得したオーダの投入先のネットワーク装置に処理中のオーダがある場合において、(2-2)処理中のオーダが、取得したオーダと競合するオーダであるとき、投入制御部は、処理中のオーダの処理が終了するのを待って、ネットワーク装置との間に新たなセッションを確立し、または、既に当該ネットワーク装置との間に確立されたセッションを用いてオーダを投入する。
【0006】
また、本発明は、通信網に設置される1以上のネットワーク装置へのオーダを投入するため、(1)ネットワーク装置との間に確立されたセッションごとに、当該セッションにより接続されるネットワーク装置の識別情報、当該セッションにより投入されたオーダのオーダID、当該セッションが確立中であるか否か、および、当該セッションによりネットワーク装置へオーダを処理中であるか否かを示したセッション管理情報と、(2)確立されたセッションにより投入されたオーダと、そのオーダのオーダIDと対応付けて示したオーダ情報と、(3)同じネットワーク装置において、前回投入したオーダの処理が終了していない状態で次のオーダを投入すると競合するオーダの組み合わせを示した競合オーダ情報とを記憶する記憶部を備えるオーダ投入装置が、以下の処理を行う方法とした。すなわち、オーダ投入装置が、外部装置から、ネットワーク装置へ投入する一連のオーダをその投入順に受け付けるステップと、入力されたオーダを、そのオーダの投入先のネットワーク装置それぞれについて、そのネットワーク装置へオーダを投入するときの優先度ごとのキューに分けてキュー部に蓄積するステップと、キュー部に蓄積されたオーダのうち優先度の高いオーダのキューに蓄積されたオーダから優先的にオーダを取得するステップと、ネットワーク装置との間でのセッションの確立を行い、取得したオーダを、このオーダの投入先となるネットワーク装置との間で確立されたセッションを用いて投入するステップと、ネットワーク装置のセッション状態に基づきセッション管理情報を更新するステップと、投入したオーダをオーダ情報に記録するステップとを実行する。そして、オーダ投入装置は、この取得したオーダをこのオーダの投入先となるネットワーク装置との間で確立されたセッションを用いて投入するステップにおいて、以下の処理を行う。つまり、オーダ投入装置は、セッション管理情報、オーダ情報および競合オーダ情報を参照して、(1)キュー部から取得したオーダの投入先のネットワーク装置に処理中のオーダがないとき、ネットワーク装置との間に新たなセッションを確立し、その確立したセッションを用いてオーダを投入する。一方、(2)キュー部から取得したオーダの投入先のネットワーク装置に処理中のオーダがある場合において、(2-1)処理中のオーダが、取得したオーダと競合するオーダではないとき、オーダ投入装置は、ネットワーク装置との間に新たなセッションを確立し、または、既に当該ネットワーク装置との間に確立されたセッションを用いてオーダを投入する。さらに、(2)キュー部から取得したオーダの投入先のネットワーク装置に処理中のオーダがある場合において、(2-2)処理中のオーダが、取得したオーダと競合するオーダであるとき、オーダ投入装置は、処理中のオーダの処理が終了するのを待って、ネットワーク装置との間に新たなセッションを確立し、または、既に当該ネットワーク装置との間に確立されたセッションを用いてオーダを投入する。
【0007】
また、本発明のオーダ投入装置の競合オーダ情報に示される競合するオーダの組み合わせは、ネットワーク装置のコンフィグの保存を指示するオーダと、コンフィグの書き換えを指示するオーダとの組み合わせである。
【0008】
このようにすることで、オーダ投入装置は、ネットワーク装置に対し複数のセッションを確立してオーダを投入したり、既に確立されたセッションを用いてオーダを連続投入すしたりすることができる。これにより、オーダ投入装置は、ネットワーク装置に対し効率よくオーダを投入することができる。また、オーダ投入装置は、オーダのうち、優先度の高いオーダから優先的にネットワーク装置へ投入できる。よって、緊急度の高いオーダ、例えば、試験用オーダ(例えば、「ping」や「traceroot」等)を優先的にネットワーク装置へ投入できる。ここで、オーダ投入装置は、選択したオーダの投入先のネットワーク装置に投入中のオーダについて、オーダ情報を参照して、この選択したオーダと競合しないことを確認してから、投入する。よって、オーダ投入装置は、同じネットワーク装置に投入するオーダ同士の競合が発生しないようにできる。なお、オーダは、例えば、ネットワーク装置のコンフィグ(設定)の書き換えを示すオーダや、コンフィグのセーブ(保存)を指示するオーダや、コンフィグの読み出しを指示するオーダ等である。
【0009】
また、本発明のオーダ投入装置の投入制御部は、セッションごとに、当該セッションによるネットワーク装置への接続開始からの経過時間を、セッション管理情報に記録する。そして、投入制御部は、セッション管理情報を参照し、当該セッションによるネットワーク装置への接続開始からの経過時間が所定の時間を超えたとき、当該セッションを切断する。
【0010】
このようにすることで、オーダ投入装置が、特定のネットワーク装置に長時間接続してしまうことを抑制できる。これにより、オーダの投入対象のネットワーク装置間でオーダ投入数の偏りが発生しにくくなる。
【0011】
また、本発明のオーダ投入装置の投入制御部は、セッションごとに、当該セッションによるネットワーク装置への投入オーダ数を、セッション管理情報における当該セッションのセッション状態に記録し、セッション管理情報を参照し、当該セッションによるネットワーク装置への投入オーダ数が所定の数を超えたとき、当該セッションを切断する。
【0012】
このようにすることで、オーダ投入装置が、特定のネットワーク装置に多数のオーダを投入することを防止できる。これにより、オーダの投入対象とするネットワーク装置間でオーダ投入数の偏りが発生しにくくなる。
【0013】
また、本発明のオーダ投入装置の投入制御部は、ネットワーク装置との間に新たなセッションを確立する場合において、セッション管理情報を参照して、新たなセッションを確立すると、以下の処理を行う。すなわち、投入制御部は、当該オーダ投入装置がネットワーク装置それぞれとの間に確立中のセッション数の合計値が、当該オーダ投入装置が確立可能なセッション数の最大値を超えるとき、確立中のセッションのいずれかが切断されてから、新たなセッションを確立する。
【0014】
このようにすることで、オーダ投入装置は、セッションリソースが限られている場合でも、ネットワーク装置へ効率よくオーダを投入することができる。
【0015】
また、本発明は、オーダ投入方法をコンピュータであるオーダ投入装置に実行させるためのプログラムとした。
【0016】
このようなプログラムによれば、一般的なコンピュータに本発明のオーダ投入方法を実行させることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、ネットワーク装置へのオーダの投入効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本実施の形態のオーダ投入システムの処理概要を概念的に示した図である。
【図2】図1のオーダ投入システムの構成例を示した図である。
【図3】本実施の形態のオーダを例示した図である。
【図4】図1のセッション管理情報を例示した図である。
【図5】図1のオーダ投入装置の処理手順を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態のオーダ投入システムを説明する。なお、ここでは、オーダの投入対象のネットワーク装置は、IP網に用いられるルータである場合を例に説明する。まず、オーダ投入システムの扱うオーダについて説明する。オーダは、ルータへ投入する一連のコマンドであり、例えば、(1)ルータのConfiguration(コンフィグ)の書き換えのオーダ、(2)コンフィグのセーブ(保存)のオーダ、(3)コンフィグの読み出しのオーダ等である。このうち、ルータに複数のセッションを確立し、オーダを投入すると、ルータ内での処理が正常に行われないこともある。つまり、オーダ同士で競合してしまうおそれがある。例えば、ルータに、コンフィグのセーブのオーダを投入中にコンフィグの書き換えのオーダを投入すると正常にセーブが行われないこともある。一方、コンフィグのセーブのオーダと、コンフィグの読み出しのオーダとは、競合が発生しない。このように、ルータに投入するオーダには、同じルータに投入すると競合するオーダの組み合わせと、競合しないオーダの組み合わせとがある。
【0020】
ここで、オーダ投入装置は、投入効率を向上させるため、1つのルータに1以上のセッションを確立してオーダを投入したり、確立済みのセッションを用いてオーダを連続投入したりするが、このとき、ルータに投入しようとするオーダについて、そのルータで処理中のオーダと競合しないように制御する。
【0021】
このオーダ投入装置の処理概要を、図1を用いて説明する。なお、オーダ投入装置10と、オーダ投入対象であるルータ(ネットワーク装置)20それぞれとの間で確立するセッション数の合計値の最大値(セッションリソース)は予め決められているものとする。
【0022】
オーダ投入装置10は、上位システム30から、各ルータ20へ投入するオーダ群の入力を受け付けると、そのオーダ群を、投入先のルータ20(例えば、ルータ20A,20B)ごとに分ける。そして、この分けたオーダ群を、その優先度に応じて分ける。例えば、オーダ群を、その種別に応じて、緊急オーダと通常オーダとに分ける。このような処理を、オーダ群の投入先のルータ20ごとに行う。次に、このオーダ投入装置10の投入制御部124は、キュー部122に蓄積されたオーダをルータ20へ投入するが、緊急オーダ(優先度の高いオーダから)から優先的に選択する。
【0023】
そして、投入制御部124は、(1)選択したオーダの投入先のルータ(対象ルータ)との間に確立済みのセッションを、セッション管理情報131から検索する。このセッション管理情報131は、セッションIDごとに、当該セッションにより接続されるルータ20のルータID、セッション状態(セッション確立中か、オーダ投入中か、セッション未確立か)、オーダ投入中であれば、そのオーダのオーダID等を示した情報である。
【0024】
そして、投入制御部124は、(2)対象ルータとの間にセッション確立中であり、かつ、対象ルータにオーダ投入中であれば、その投入中のオーダのオーダIDを、オーダ情報132から取得する。次に、(3)投入制御部124は、オーダIDをもとに、オーダ情報132から、対象ルータへ投入中のオーダを検索し、その検索したオーダと、選択したオーダとの競合性を判定する。つまり、投入制御部124は、これからルータ20に投入しようとするオーダが、ルータ20に投入中のオーダと競合するか否かを判定する。ここで、競合していなければ、投入制御部124は、現在確立中のセッション、または、セッションリソースに余裕があれば、新たなセッションを確立し、選択したオーダをルータ20へ投入する。なお、オーダ同士が競合していれば、投入制御部124は、ルータ20でのオーダの処理が終了した後、選択したオーダを投入する。
【0025】
このようにすることで、オーダ投入装置10は、同じルータ20に対し、1以上のセッションを確立して並列にオーダを投入したり、1つのセッションを用いてオーダを連続投入したりするときに、ルータ20で処理中のオーダとの競合が発生しないようにできる。これにより、オーダ投入装置10は、効率よくオーダ投入を行うことができる。
【0026】
<構成>
次に、図2を用いて、本実施の形態のオーダ投入システムの構成例を説明する。オーダ投入システムは、ルータ(装置)20へのオーダを出力する上位システム30(30A,30B,30C)と、この上位システム30からのオーダを受信し、ルータ20へ投入するオーダ投入装置10と、このオーダ群の投入先の装置であるルータ20(20A,20B,20C)とを含んで構成される。なお、この上位システム(外部装置)30は、例えば、オーダ投入装置10へオーダを出力するコンピュータにより実現される。また、ルータ20は、IP網等の通信網に設置されるルータである。図2におけるオーダ投入装置10は、既に投入制御部124により、ルータ20(20A〜20C)との間にセッションを確立しているものとする。そして、各セッションがどのルータ20と確立されているか、そのセッションが確立中か否か、セッション確立中のルータ20において、オーダを投入中であるか否か等をセッション管理情報131に記録しているものとする。
【0027】
このようなオーダ投入装置10の構成を詳細に説明する。オーダ投入装置10の構成はは、大きく、入力部11、処理部12、記憶部13および出力部14に分けられる。
【0028】
入力部11は、上位システム30から、1以上のオーダを受け取る。処理部12は、このオーダ投入装置10全体の制御を司り、主に、キュー部122に蓄積されたオーダの投入制御を行う。記憶部13は、このセッションの選択時に参照されるセッション管理情報131、オーダ情報132等を記憶する。出力部14は、ルータ20へオーダを出力する。
【0029】
入力部11および出力部14は、外部装置(上位システム30やルータ20)との間でデータの入出力を行うための入出力インタフェースや通信インタフェースから構成される。また、処理部12は、このオーダ投入装置10が備えるCPU(Central Processing Unit)によるプログラム実行処理や、専用回路等により実現される。さらに、記憶部13は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、フラッシュメモリ等の記憶媒体から構成される。なお、オーダ投入装置10をプログラム実行処理により実現する場合、記憶部13には、このオーダ投入装置10の機能を実現するためのオーダ投入プログラムが記憶される。
【0030】
ここで、オーダ投入装置10が、上位システム30から受け取るオーダを説明する。図3に示すように、オーダは、オーダの投入先であるルータ20のルータID(例えば、IPアドレス)と、1以上のコマンドが含まれる。ここでのオーダ種別は、例えば、そのオーダが、緊急オーダか、通常オーダかという種別が示される。図3に例示するオーダは、IPアドレス「10.10.10.11」のルータ20に対し、「aaaaaaaaa」と「bbbbbbbbb」というコマンドを投入し、これらの種別はいずれも「緊急(緊急オーダ)」であることを示す。
【0031】
図2の入力部11は、上位システム30からこのオーダの入力を受け付けると、処理部12へ出力する。
【0032】
処理部12は、変換部120と、キューイング部121と、キュー部122と、セッション管理部123と、投入制御部124とを含んで構成される。
【0033】
変換部120は、上位システム30から入力されたオーダを、ルータ20で処理可能なオーダに変換する。
【0034】
キューイング部121は、変換部120で変換されたオーダを、このオーダの投入先のルータ20ごとに分ける。そして、このルータ20ごとに分けられたオーダについて、優先度に応じて分ける。例えば、キューイング部121は、オーダの種別(例えば、緊急オーダか通常オーダか)を判断し、緊急オーダについては、優先度の高いオーダとしてキュー部122の緊急オーダキューに蓄積し、通常オーダについては、比較的優先度の低いオーダとしてキュー部122の通常オーダキューに蓄積する。
【0035】
キュー部122は、ルータ20ごとに、このルータ20へのオーダを、緊急オーダキューおよび通常オーダキューに分けて蓄積する領域を備える。また、このキュー部122は、例えば、このオーダ投入装置10の備えるRAM等の半導体メモリ上に形成される。
【0036】
セッション管理部123は、投入制御部124から、ルータ20との間に確立されたセッションの状態を示す情報を受信し、セッション管理情報131に記録する。
【0037】
投入制御部124は、キュー部122のうち緊急オーダキュー(優先度の高いキュー)に蓄積されたオーダから優先的にオーダを取得する。そして、このオーダの投入対象のルータ20との間でセッションの確立および切断や、確立されたセッションを用いたオーダ投入を行う。ここでのオーダ投入は、セッション管理情報131、オーダ情報132および競合オーダ情報133を参照して、競合するオーダを同じルータ20に投入しないようにする。また、投入制御部124は、セッションの確立や切断、オーダ投入を行ったとき、または、そのオーダ投入後、投入先のルータ20においてオーダの処理が完了したとき、その状態をセッション状態としてセッション管理部123へ出力する。この投入制御部124の処理の詳細はフローチャートを用いて後記する。また、投入制御部124は、ルータ20にオーダを投入すると、そのオーダをオーダIDと対応付けてオーダ情報133に記録する。なお、この投入制御部124は、ルータ20との間に新たなセッションを確立する場合において、セッション管理情報131を参照して、新たなセッションを確立してしまうと、当該オーダ投入装置がルータ20それぞれとの間に確立中のセッション数の合計値が、当該オーダ投入装置10が確立可能なセッション数の最大値を超えるか否かを判断する。そして、投入制御部124は、当該オーダ投入装置10が確立可能なセッション数の最大値を超えると判断したとき、確立中のセッションのいずれかが切断されてから、新たなセッションを確立する。
【0038】
記憶部13は、セッション管理情報131、オーダ情報132および競合オーダ情報133を記憶する。
【0039】
このセッション管理情報131は、ルータ20との間に確立されたセッションの状態を示す情報である。図4に示すように、例えば、セッション管理情報131は、セッションIDごとに、そのセッションのセッション状態(例えば、セッション確立中か、オーダ投入中(オーダ処理中)か、セッション未確立か等)、投入したオーダの識別情報であるオーダID、当該セッションにより投入されたオーダ数である連続投入オーダ数等が記録された情報である。なお、このセッション管理情報131は、ルータ20との間に確立中の合計セッション数、このオーダ投入装置10が確立する最大セッション数の情報もさらに含む。このセッション管理情報131は、投入制御部124がオーダ投入に用いるセッションを選択するときに参照される。
【0040】
オーダ情報132は、ルータ20へ投入済みのオーダのオーダIDごとに、そのオーダの中身を示した情報である。このオーダ情報132は、投入制御部124が、ルータ20で処理中のオーダと、これから投入しようとするオーダとが競合するか否かを判定するときに参照される。
【0041】
競合オーダ情報133は、同じルータ20に並列して、または連続して投入すると競合してしまうおそれがあるオーダの種類の組み合わせを示した情報である。この組み合わせは、例えば、コンフィグのセーブのオーダと、コンフィグの書き換えのオーダという組み合わせである。この競合オーダ情報133も、投入制御部124が、ルータ20で処理中のオーダと、これから投入しようとするオーダとが競合するか否かを判定するときに参照される。
【0042】
図2の出力部14は、投入制御部124から出力されたオーダをルータ20へ投入する。
【0043】
<処理手順>
次に、図1および図2を参照しつつ、図5を用いてオーダ投入装置10の処理手順を説明する。図2のオーダ投入装置10の入力部11は、上位システム30からオーダの入力を受け付ける。そして、入力部11は、このオーダを、変換部120は、このオーダを、ルータ20で利用可能な形式に変換し、キューイング部121へ出力する。キューイング部121は、変換部120で変換されたオーダを、投入先のルータ20ごとに分ける。そして、このルータ20ごとに分けられたオーダについて、優先度ごとに分ける。例えば、緊急オーダを優先度の高いオーダとするとき、キューイング部121は、オーダの種別(緊急オーダか通常オーダか)を判断し、緊急オーダについては、キュー部122の緊急オーダキューとして蓄積し、通常オーダについては、キュー部122の通常オーダキューとして蓄積しておく。
【0044】
そして、投入制御部124は、キュー部122の緊急オーダキューから優先的にオーダを選択すると(図5のS1)、まず、このオーダの対象ルータとの間に新たなセッションを確立する(S2)。なお、新たなセッションの確立にあたり、投入制御部124は、セッション管理情報131に示される現在のセッション数の合計値を参照し、余分なセッションリソースがなければ、セッションの空きが出るまで待つ。そして、投入制御部124は、確立したセッションを用いて、出力部14経由で、オーダ投入を行う(S3)。そして、投入制御部124は、セッション状態をセッション管理部123へ送信し、セッション管理部123は、セッション管理情報131を更新する(S4)。また、投入制御部124は、ルータ20にオーダを投入すると、そのオーダをオーダIDと対応付けてオーダ情報132に記録する。
【0045】
次に、投入制御部124は、セッション管理情報131を参照して、対象ルータへの連続オーダ投入数が所定の閾値を超えているか否かを判定し(S5)、対象ルータへの連続オーダ投入数が所定の閾値を超えていれば(S5のYes)、その対象ルータとの間に確立されたセッションを切断する(S6)。そして、投入制御部124は、セッション管理部123へセッション切断のセッション状態を出力する。このようにセッションの切断をすることで、オーダ投入装置10が、特定のルータ20に連続して多数のオーダを投入するのを抑止できる。よって、ルータ20間でオーダ投入数の偏りが発生しにくくなる。S6の後、セッション管理部123は、出力されたセッション状態に基づきセッション管理情報131を更新する(S7)。
【0046】
一方、S5において、投入制御部124が対象ルータへの連続オーダ投入数が所定の閾値以下であり(S5のNo)、かつ、S3で投入したオーダの投入先と同じルータ20へのオーダがキュー部122にあるとき(S8のYes)、そのオーダをキュー部122から取得して、処理をS9へ進める。一方、同じ対象ルータへのオーダがキュー部122にないとき(S8のNo)、処理をS6へ進める。
【0047】
S8でYesだったとき、投入制御部124は、セッション管理情報131、オーダ情報132および競合オーダ情報133を参照して、キュー部122から取得したオーダが、対象ルータで処理中のオーダと競合するか否かを判定する(S9)。具体的には、投入制御部124は、セッション管理情報131から、キュー部122から取得したオーダの対象ルータに関するセッション情報を読み出す。そして、この対象ルータにおいて処理中のオーダがあれば、投入制御部124は、オーダ情報132から、そのオーダの内容を読み出す。そして、その読み出したオーダの内容(種類)と、キュー部122から取得したオーダとの組み合わせが、競合オーダ情報133に記載される組み合わせであるとき、キュー部122から取得したオーダを、対象ルータにおけるオーダと競合するオーダと判定する(S9のYes)。そして、投入制御部124は、対象ルータにおいてオーダの処理が終了するのを待って(S10)、S11へ処理を進める。
【0048】
一方、(1)キュー部122から取得したオーダの対象ルータにおいて処理中のオーダがないとき、または、(2)キュー部122から取得したオーダと、対象ルータにおいて処理中のオーダとの組み合わせが、競合オーダ情報133に記載される組み合わせではないとき、投入制御部124は、キュー部122から取得したオーダを、対象ルータにおけるオーダと競合しないオーダと判定する(S9のNo)。そして、処理をS11へ進める。
【0049】
S11において、投入制御部124は、セッション管理情報131を参照して、続けてオーダを投入できるセッションがあるか否かを判定する(S11)。例えば、投入制御部124が、キュー部122から取得したオーダの対象ルータについて、セッション管理情報131を参照して、既に確立済みのセッションがあり、かつ、この対象ルータにおいて処理中のオーダがないことを確認すると、この対象ルータに、続けてオーダを投入できるセッションがあると判定する(S11のYes)。そして、S3へ戻る。
【0050】
一方、セッション管理情報131を参照して、対象ルータに確立中のセッションがないとき、または、確立中のセッションはあるが、対象ルータにおいてオーダの処理中(オーダを投入中)のとき、投入制御部124は、続けてオーダを投入できるセッションはないと判定する(S11のNo)。そして、S2へ戻る。
【0051】
このようにすることで、オーダ投入装置10は、対象ルータについて競合するオーダが処理中か否かを判断して、その対象ルータに、オーダを並列投入したり、同じセッションを用いてオーダを連続投入したりする。よって、オーダ投入装置10は、対象ルータに対し効率よくオーダを投入できる。
【0052】
なお、オーダ投入装置10の投入制御部124は、当該セッションによるルータ20への接続開始からの経過時間を、セッション管理情報131に記録する。そして、投入制御部124は、このセッション管理情報131を参照し、当該セッションによるルータ20への経過時間が所定の時間を超えたとき、このルータ20とのセッションを切断してもよい。このようにすることで、オーダ投入装置10が、特定のルータ20に長時間接続することを防止できる。つまり、このオーダ投入システムのルータ20間でオーダ投入数の偏りが発生しにくくなる。
【符号の説明】
【0053】
10 オーダ投入装置
11 入力部
12 処理部
13 記憶部
14 出力部
20(20A,20B,20C) ルータ
30 上位システム
120 変換部
121 キューイング部
122 キュー部
123 セッション管理部
124 投入制御部
131 セッション管理情報
132 オーダ情報
133 競合オーダ情報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信網に設置される1以上のネットワーク装置へのオーダを投入するオーダ投入装置であって、
外部装置から、前記ネットワーク装置へ投入する一連のオーダをその投入順に受け付ける入力部と、
前記入力されたオーダを、そのオーダの投入先の前記ネットワーク装置それぞれについて、そのネットワーク装置へオーダを投入するときの優先度ごとのキューに分けて蓄積するキュー部と、
(1)前記ネットワーク装置との間に確立されたセッションごとに、当該セッションにより接続されるネットワーク装置の識別情報、当該セッションにより投入されたオーダのオーダID、当該セッションが確立中であるか否か、および、当該セッションにより前記ネットワーク装置へオーダを処理中であるか否かを示したセッション管理情報と、(2)前記確立されたセッションにより投入されたオーダと、そのオーダのオーダIDとを対応付けて示したオーダ情報と、(3)同じネットワーク装置において、前回投入したオーダの処理が終了していない状態で次のオーダを投入すると競合するオーダの組み合わせを示した競合オーダ情報とを記憶する記憶部と、
投入制御部により通知された前記ネットワーク装置のセッション状態に基づき前記セッション管理情報を更新するセッション管理部と、
前記ネットワーク装置との間でのセッションの確立および切断を行い、前記キュー部に蓄積されたオーダを、このオーダの投入先となるネットワーク装置との間で確立されたセッションを用いて投入し、前記ネットワーク装置のセッション状態を前記セッション管理部へ通知し、前記投入したオーダを前記オーダ情報に記録する前記投入制御部とを備え、
前記投入制御部は、
前記キュー部に蓄積されたオーダのうち優先度の高いオーダのキューに蓄積されたオーダから優先的にオーダを取得し、
前記セッション管理情報、オーダ情報および競合オーダ情報を参照して、
(1)前記キュー部から取得したオーダの投入先のネットワーク装置に処理中のオーダがないとき、前記ネットワーク装置との間に新たなセッションを確立し、その確立したセッションを用いてオーダを投入し、
(2)前記キュー部から取得したオーダの投入先のネットワーク装置に処理中のオーダがある場合において、
(2−1)前記処理中のオーダが、前記取得したオーダと競合するオーダではないとき、前記ネットワーク装置との間に新たなセッションを確立し、または、既に当該ネットワーク装置との間に確立されたセッションを用いてオーダを投入し、
(2−2)前記処理中のオーダが、前記取得したオーダと競合するオーダであるとき、前記処理中のオーダの処理が終了するのを待って、前記ネットワーク装置との間に新たなセッションを確立し、または、既に当該ネットワーク装置との間に確立されたセッションを用いてオーダを投入することを特徴とするオーダ投入装置。
【請求項2】
前記競合するオーダの組み合わせは、
前記ネットワーク装置のコンフィグの保存を指示するオーダと、前記コンフィグの書き換えを指示するオーダとの組み合わせであることを特徴とする請求項1に記載のオーダ投入装置。
【請求項3】
前記投入制御部は、
前記セッションごとに、当該セッションによるネットワーク装置への接続開始からの経過時間を、前記セッション管理情報に記録し、
前記セッション管理情報を参照し、当該セッションによるネットワーク装置への接続開始からの経過時間が所定の時間を超えたとき、当該セッションを切断することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のオーダ投入装置。
【請求項4】
前記投入制御部は、
前記セッションごとに、当該セッションによるネットワーク装置への投入オーダ数を、前記セッション管理情報における当該セッションのセッション状態に記録し、
前記セッション管理情報を参照し、当該セッションによるネットワーク装置への投入オーダ数が所定の数を超えたとき、当該セッションを切断することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のオーダ投入装置。
【請求項5】
前記投入制御部は、
前記ネットワーク装置との間に新たなセッションを確立する場合において、前記セッション管理情報を参照して、前記新たなセッションを確立すると、当該オーダ投入装置がネットワーク装置それぞれとの間に確立中のセッション数の合計値が、当該オーダ投入装置が確立可能なセッション数の最大値を超えるとき、
前記確立中のセッションのいずれかが切断されてから、前記新たなセッションを確立することを特徴とする請求項3または請求項4に記載のオーダ投入装置。
【請求項6】
通信網に設置される1以上のネットワーク装置へのオーダを投入するため、(1)前記ネットワーク装置との間に確立されたセッションごとに、当該セッションにより接続されるネットワーク装置の識別情報、当該セッションにより投入されたオーダのオーダID、当該セッションが確立中であるか否か、および、当該セッションにより前記ネットワーク装置へオーダを処理中であるか否かを示したセッション管理情報と、(2)前記確立されたセッションにより投入されたオーダと、そのオーダのオーダIDとを対応付けて示したオーダ情報と、(3)同じネットワーク装置において、前回投入したオーダの処理が終了していない状態で次のオーダを投入すると競合するオーダの組み合わせを示した競合オーダ情報とを記憶する記憶部を備えるオーダ投入装置が、
外部装置から、前記ネットワーク装置へ投入する一連のオーダをその投入順に受け付けるステップと、
前記入力されたオーダを、そのオーダの投入先の前記ネットワーク装置それぞれについて、そのネットワーク装置へオーダを投入するときの優先度ごとのキューに分けてキュー部に蓄積するステップと、
前記キュー部に蓄積されたオーダのうち優先度の高いオーダのキューに蓄積されたオーダから優先的にオーダを取得するステップと、
前記ネットワーク装置との間でのセッションの確立を行い、前記取得したオーダを、このオーダの投入先となるネットワーク装置との間で確立されたセッションを用いて投入するステップと、
前記ネットワーク装置のセッション状態に基づき前記セッション管理情報を更新するステップと、
前記投入したオーダを前記オーダ情報に記録するステップとを実行し、
前記取得したオーダをこのオーダの投入先となるネットワーク装置との間で確立されたセッションを用いて投入するステップにおいて、前記セッション管理情報、オーダ情報および競合オーダ情報を参照して、
(1)前記キュー部から取得したオーダの投入先のネットワーク装置に処理中のオーダがないとき、前記ネットワーク装置との間に新たなセッションを確立し、その確立したセッションを用いてオーダを投入し、
(2)前記キュー部から取得したオーダの投入先のネットワーク装置に処理中のオーダがある場合において、
(2−1)前記処理中のオーダが、前記取得したオーダと競合するオーダではないとき、前記ネットワーク装置との間に新たなセッションを確立し、または、既に当該ネットワーク装置との間に確立されたセッションを用いてオーダを投入し、
(2−2)前記処理中のオーダが、前記取得したオーダと競合するオーダであるとき、前記処理中のオーダの処理が終了するのを待って、前記ネットワーク装置との間に新たなセッションを確立し、または、既に当該ネットワーク装置との間に確立されたセッションを用いてオーダを投入することを特徴とするオーダ投入方法。
【請求項7】
請求項6に記載のオーダ投入方法を、コンピュータである前記オーダ投入装置に実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−210155(P2011−210155A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−79386(P2010−79386)
【出願日】平成22年3月30日(2010.3.30)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】