説明

オーディオストリームのセグメントの整合性保護

【課題】オーディオストリームのセグメントの整合性を保護するためのシステムおよび方法を提供する。
【解決手段】オーディオ再生デバイスは、オーディオ送信源からオーディオストリームを受信する。オーディオストリームは複数のセグメントを含む。セグメントはそれぞれ、歌、トーク番組、コマーシャル、DJのおしゃべり、またはニュースや天気予報などの全体または一部を含む。ある先行期間からのオーディオストリームの連続する部分を含むオーディオストリームをバッファに一時的に格納する。このバッファはオーディオ再生デバイスのメモリ内にある。オーディオ再生デバイスのユーザインタフェースを介して、選択の指標を受信する。オーディオ送信源から現在受信中のセグメントに選択指標を関連づける。選択指標に関連づけられたセグメントをオーディオ再生デバイスのメモリに格納する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般的にオーディオストリーミング技術に関する。より具体的には、本発明はオーディオストリームのセグメントを保護することに関する。
【背景技術】
【0002】
ポータブルカセットテープが登場して以来、ラジオ番組放送のようなオーディオストリームを記録することが行われてきた。しかしながら、このようにしてオーディオストリームを記録すると、オーディオストリームの望ましいセグメントと望ましくないセグメントの両方が記録されるため、無差別的であったし、現在でもそれほどでもないにせよ、そうである。望ましいセグメントは歌またはトーク番組であり、一方、望ましくないセグメントは、歌または番組の望ましい部分にオーバーラップするディスクジョッキー(DJ)のおしゃべりやコマーシャルを含む。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
記録されたオーディオストリームからコマーシャルやDJを選別して消すシステムはあるが、そのようなシステムは正確ではない。そのようなシステムを使っても、記録された素材には依然として望ましくないコンテンツが含まれ、余分な分量がある。あるいは、そのようなシステムは過剰に選別して、望ましいコンテンツのある部分を削ってしまうこともある。オーディオストリームの始まりまたは終わりからコンテンツを正確に除去する細かく調整されたシステムであっても、記録されたストリームの中程にある割り込みに対処することはできない。
【0004】
そのようなシステムは記録において何らかの選択性を提供することもできない。システムは、その正確さにかかわらず、オーディオ放送のすべてを記録するか、放送のセグメントを全く記録しないかのいずれかである。その結果、ユーザは、記録された素材を手動で選別して、本当に欲しいセグメントを取り出さなければならない。ユーザが望ましいオーディオセグメントの集合(たとえば、DJのおしゃべりのないオーディオ)を手にした後でさえ、ユーザには最終的には不完全なオーディオストリームが残されることになる。おしゃべりのセグメントの除去は、最終的には望ましい音楽セグメントの除去を伴うことがある。その結果、ユーザは結局は音楽トラックの全体(たとえば歌)を購入して、その場しのぎに、手に入れた欠けているセグメントを以前記録した編集中のセグメントにつなぎ合わせなければならない。当該技術分野において、オーディオストリームの整合性を保護する必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施の形態によれば、ユーザの選別に応じて、オーディオストリームのセグメントを保護することができる。
【0006】
最初の実施の形態では、オーディオストリームのセグメントの整合性を保護するための方法が開示される。オーディオ再生デバイスは、オーディオ送信源からオーディオストリームを受信する。オーディオストリームは複数のセグメントを含む。セグメントはそれぞれ、歌、トーク番組、コマーシャル、DJのおしゃべり、またはニュースや天気予報などの全体または一部を含む。ある先行期間からのオーディオストリームの連続する部分を含むオーディオストリームをバッファに一時的に格納する。このバッファはオーディオ再生デバイスのメモリ内にある。オーディオ再生デバイスのユーザインタフェースを介して、選択の指標を受信する。オーディオ送信源から現在受信中のセグメントに選択指標を関連づける。選択指標に関連づけられたセグメントをオーディオ再生デバイスのメモリに格納する。
【0007】
第2の実施の形態では、オーディオストリームのセグメントの整合性を保護するためのシステムが開示される。このシステムは、オーディオ送信源からオーディオストリームを受信するための、メモリに格納されプロセッサによって実行可能なコミュニケーションモジュールを含む。オーディオストリームは複数のセグメントを含む。システムはまた、ある先行期間からのオーディオストリームの連続する部分を含む前記オーディオストリームをバッファに一時的に格納するための、メモリに格納されプロセッサによって実行可能なバッファモジュールを含む。このバッファはオーディオ再生デバイスのメモリ内にある。さらに、システムは、オーディオ再生デバイスのユーザインタフェースを介して、選択の指標を受信するための、メモリに格納されプロセッサによって実行可能な選択モジュールを含む。選択指標はオーディオ送信源から現在受信中のセグメントに関連づけられる。さらに、システムは、オーディオ再生デバイスのメモリに選択指標に関連づけられたセグメントを格納するための、メモリに格納されプロセッサによって実行可能なデータ管理モジュールとを含む。
【0008】
第3の実施の形態は、プログラムが格納されたコンピュー読み取り可能な記録媒体を開示する。このプログラムは、オーディオストリームのセグメントの整合性を保護するための方法を実施するためにプロセッサによって実行可能である。当該方法は、オーディオ送信源から複数のセグメントを含むオーディオストリームを受信するステップと、ある先行期間からのオーディオストリームの連続する部分を含む前記オーディオストリームをバッファに一時的に格納するステップと、前記オーディオ送信源から現在受信中のセグメントに関連づけられる選択の指標を受信するステップと、オーディオ再生デバイスのメモリに前記選択の指標に関連づけられたセグメントを格納するステップとを含む。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】オーディオ再生デバイスによってオーディオ送信源から受信されたオーディオストリームのセグメントを保護する環境を説明するブロック図である。
【0010】
【図2】図1の典型的なオーディオ再生デバイスのブロック図である。
【0011】
【図3】オーディオ再生デバイスに含まれる典型的なセグメント保護エンジンのブロック図である。
【0012】
【図4】オーディオストリームのセグメントを保護する典型的な方法を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
オーディオストリームのセグメントの整合性を選択的に保護するためのシステムおよび方法をここに提供する。オーディオストリームは、ラジオ放送、衛星放送、またはインターネット放送によって提供される。オーディオストリームを聴きながら、ユーザは、現在再生中のセグメントを選択することができる。オーディオストリームの最近の部分をバッファに一時的に格納することにより、ユーザが選択した特定のセグメントを後でアクセスするためにメモリに格納することができる。格納されたセグメントは、消去されるか上書きされるまでメモリに残り、再生ボタンに割り当てられて、ユーザは任意の時間にその格納されたセグメントを聴くことができる。格納されたセグメントを他のメディアに転送することについては制限がある。ユーザは、格納されたセグメントの部分または全体についついて市販のコピーを購入しダウンロードしてもよく、あるいは、他の公共の供給元からそれと同じものを獲得してもよい。
【0014】
図1を参照すると、オーディオ再生デバイス105によってオーディオ送信源(ソース)110から受信されたオーディオストリームのセグメントを保護する環境100を説明するブロック図が示されている。図1の環境100は、ネットワーク115を介してオーディオ送信源110とオーディオファイルレポジトリ120を通信するオーディオ再生デバイス105を含む。あるいは、オーディオファイルレポジトリ120を環境100から除外してもよい。さらに、オーディオ再生デバイス105は、セグメント保護エンジン125を含んでもよい。セグメント保護エンジン125については、図3のコンテキストでさらに詳細に議論する。
【0015】
オーディオ再生デバイス105は、オーディオストリームを受信し、再生することのできる任意のデバイスであってもよい。オーディオストリームは、デジタルまたはアナログ伝送を含む任意のオーディオデータ伝送を含む。ストリームは、ラジオ伝送、衛星伝送、携帯電話伝送、ウェブベースの伝送のように、事実上連続的である。オーディオ再生デバイス105の例には、AM/FM受信機、衛星受信機、携帯電話網/汎用パケット無線通信システム(GPRS;general packet radio service)受信機、またはオーディオストリームを受信するための他の入力コンポーネントを装備したデバイスが含まれる。オーディオ再生デバイス105は、カーステレオ、携帯オーディオデバイス、またはいろいろなコンピューティングデバイスに統合されてもよい。オーディオ再生デバイス105のさらなる詳細については図2のコンテキストで議論する。
【0016】
オーディオストリームは一般にオーディオデータの連続的なセグメントを含む。これらのセグメントはそれぞれ、歌、トーク番組、コマーシャル、DJのおしゃべり、またはニュースや天気予報の全体または一部を含む。オーディオストリームは、たとえば、環境100におけるネットワーク115やオーディオ送信源110に特有のいろいろな要因によって劣化することがある。例示すると、オーディオストリームは、サードパーティの吹き替え、信号損失、信号圧縮、静的雑音、または信号干渉の結果、劣化する。ある例では、オーディオストリームを意図的に劣化させてもよい。
【0017】
オーディオストリームはまた、オーディオ再生デバイス105によって利用されるオーディオデータに付け加えて、情報を含んでもよい。たとえば、ラジオデータシステム(RDS)は、欧州放送連合(EBU)から従来のFMラジオ放送を用いて少量のデジタル情報を送信するための通信プロトコルである。RDSは、オーディオデータとともに送信すべき情報のいくつかのタイプ、たとえば、時間、トラック/アーティスト情報、番組タイトル、および局特定情報などを標準化する。ラジオブロードキャストデータシステム(RBDS)は、RDSの米国版である。これらの二つの標準は、わずかな違いがある以外はほとんど同じであり、主に、RDSおよびRBDSが特定することのできる31の音楽および他の番組のそれぞれに割り当てられた数字に関連する。他の情報やメタデータをオーディオストリーム内のオーディオ情報に加え、歌や番組、DJやコマーシャルによる途切れの間の移行を正確にマーキングするために使ってもよい。
【0018】
ネットワーク115は、オーディオ再生デバイス105と環境100の他の構成要素の間の通信を容易にするために構成された装置を含んでもよい。ある例では、ネットワーク115は、ラジオブロードキャストシステムを含んでもよい。ラジオブロードキャストシステムは、オーディオストリームをオーディオ再生デバイス105にブロードキャストする1以上の送信局を含んでもよい。オーディオストリームは、AM帯域またはFM帯域に含まれるある周波数でブロードキャストされる。これらの送信局は、有線またはマイクロ波中継によってリンクされているため、同じオーディオストリームを多くの局によってブロードキャストすることができる。
【0019】
ネットワーク115はまた、任意の数のコンピュータ、コンピュータ端末、および情報を送受信するために使われる通信機器やケーブルによって相互接続されたルータを含んでもよい。さらに、ネットワーク115は、衛星を利用したネットワークまたは携帯電話網の構成要素を含んでもよい。さらに、環境100には複数のネットワークが同時に含まれてもよい。たとえば、オーディオ再生デバイス105とオーディオ送信源110の間の通信は、ラジオブロードキャストシステムによって支援され、オーディオ再生デバイス105とオーディオファイルレポジトリ120間の通信は、Wi−Fiまたは携帯電話網によって支援されてもよい。
【0020】
オーディオ送信源110はインターネットラジオ放送、衛星ラジオ放送、AM/FMラジオ放送、またはオーディオをストリーム配信または送信する他のソースを含んでもよい。インターネットラジオは一般には、インターネットを介して送信されるオーディオブロードキャストサービスのことである。インターネットラジオはときにはウエブラジオ、ネットラジオ、ストリーミングラジオ、または電子ラジオと呼ばれることもある。衛星ラジオまたは会員制ラジオ(subsription radio)は一般には、通信衛星によって伝送されるデジタルラジオ放送として理解される。衛星ラジオ放送を提供するサービスの一つは、ニューヨーク州ニューヨーク市のSiriusXMラジオ社である。従来の「地上波」ラジオ放送は、一般に上述したFM/AMラジオブロードキャストシステムを介してオーディオ情報を送信する。もっともそのようなシステムは、ときにはNRSC−5またはNRSC−5Bと呼ばれるHD(high definition)ラジオのようなものを含むように拡大してきている。
【0021】
ブロードキャストに加えて、オーディオ送信源110はオーディオ再生デバイス105にマルチキャストまたはユニキャストによってオーディオを送信してもよい。マルチキャストとは、ネットワーク115のようなネットワーク上で、一人の送信者から選択された受信者のグループに情報を同時に送信することである。ユニキャストとは、ネットワーク115のようなネットワーク上で、一人の送信者と一人の受信者の間の伝送のことである。マルチキャストとユニキャスト伝送は、一般にインターネットラジオのコンテキストで起きるものである。
【0022】
オーディオファイルレポジトリ120は、オーディオ再生デバイス105または補助的なデバイスによってネットワーク115経由でアクセスされるオーディオファイルまたはオーディオファイルのセグメントを収集して格納したものである。オーディオファイルレポジトリ120は、オーディオファイルの供給元であってもよい。たとえば、オーディオファイルレポジトリ120は、カリフォルニア州クパティーノのアップル社によって運営されるiTunesストア、またはワシントン州シアトルのアマゾン・ドット・コム社によって運営されるAmazonMP3を含んでもよい。iTunesストアもAmazonMP3もインターネット経由でアクセス可能である。オーディオ送信源110およびオーディオファイルレポジトリ120は1つの同じものであってもよい。
【0023】
図2は、図1のオーディオ再生デバイス105のような典型的なオーディオ再生デバイスのブロック図である。図2のオーディオ再生デバイス105は、通信インタフェース205、ユーザインタフェース210、入出力インタフェース215、プロセッサ220、およびメモリ225を含む。ここに記載された処理を実行するのに適したハードウェアプラットフォームは、開示された本発明の実施の形態で用いるのに好適である。バス230は、通信インタフェース205、ユーザインタフェース210、入出力インタフェース215、プロセッサ220、およびメモリ225間の通信を提供する。
【0024】
通信インタフェース205は、オーディオ再生デバイス105と、オーディオ送信源110とオーディオファイルレポジトリ120の両方との間の通信を提供するように構成されてもよい。そのため、通信インタフェース205は、ラジオ放送局、通信衛星、携帯電話送信機からの無線信号、および/またはインターネット放送局からのWi−Fiを受け取ることのできる1以上のアンテナを含んでもよい。そのようなアンテナによって、オーディオ再生デバイス105からオーディオ送信源110またはオーディオファイルレポジトリ120に信号を送信することができるようになる。
【0025】
ユーザインタフェース210によって、ユーザはオーディオ再生デバイス105と相互作用することができる。ユーザインタフェース210は、たとえば、タッチスクリーン、ディスプレイ、ボタン、またはスイッチの内、1つまたは2以上を含んでもよい。ユーザは、オーディオ送信源110、オーディオファイルレポジトリ120、およびオーディオ送信源110からユーザインタフェース210を通して受信されたオーディオストリームに関連した選択を行ってもよい。
【0026】
図2の入出力インタフェース215は、オーディオ再生デバイス105と他のデジタルデバイス間の通信を提供する。入出力インタフェース215は、これらの他のデジタルデバイスとの有線または無線通信を提供してもよい。ある例では、入出力インタフェース215はUSBインタフェースを含む。
【0027】
プロセッサ220は、命令を実行するデバイス(または一連のデバイス)を含み、命令の実行によってこれらの命令が記述する機能を達成する。そのような命令はメモリ225に格納されてもよい。プロセッサ220は、マイクロプロセッサまたはCPUを含んでもよい。プロセッサ220はまた、特定用途向け集積回路または「システム・オン・チップ」マイクロプロセッサであってもよい。
【0028】
メモリ225は、実行のためにプロセッサ220に命令を提供するためのコンピュータ読み取り可能なストレージメディアを含んでもよい。そのようなメディアは多くの形態を取り、たとえば、光または磁気ディスク、ダイナミックメモリにそれぞれ対応する不揮発性、揮発性メディアを含むが、これらに限定されない。コンピュータ読み取り可能なストレージメディアの共通の形態として、フロッピーディスク(登録商標)、ハードディスク、磁気テープ、任意の他の磁気メディア、CD−ROMディスク、DVD、任意の他の光メディア、RAM、PROM、EPROM、フラッシュEPROM、任意の他のメモリチップまたはカートリッジが含まれる。
【0029】
バス230は、実行のためにプロセッサ220に1以上の命令のシーケンスを伝送するためのいろいろな形態の伝送メディアを含んでもよい。バス230はメモリ225にデータを伝送する。プロセッサ220はメモリ225から命令を読み出し、実行する。メモリ225が受信した命令を、プロセッサ220によって実行される前または後に、固定ディスクに格納してもよい。
【0030】
図3は、典型的なセグメント保護エンジン125のブロック図である。セグメント保護エンジン125は、図示されるように、通信モジュール305、バッファリングモジュール310、選択モジュール315、データ管理モジュール320、アナライザモジュール325、購入モジュール330、および編集モジュール335を含む。セグメント保護エンジン125およびそれを構成するモジュールは、それに対応する機能を発揮させるためにメモリ225に格納され、プロセッサ220によって実行されてもよい。セグメント保護エンジン125は、より多いまたはより少ないモジュール(あるいはその組み合わせ)を含んでもよく、それでも依然として本発明の範囲内である。たとえば、アナライザモジュール325の機能と編集モジュール335の機能を一つのモジュールに結合してもよい。
【0031】
図3の通信モジュール305の実行を通じて、オーディオ再生デバイス105は、オーディオ送信源110からオーディオストリームを受信する。オーディオストリームは複数のセグメントを含む。セグメントはそれぞれ、歌、トーク番組、コマーシャル、DJのおしゃべり、ニュース、または天気予報のすべてまたは一部を含む。RDSおよびRBDS関連情報、または種々のメタデータのようなオーディオデータ以外の情報は、オーディオストリームとともに受信される。この情報は、セグメント間の推移に正確な印を付けるためにセグメント保護エンジン125のいろいろなモジュールで使用される。
【0032】
この情報は、セグメントをID3タグのような関連データにタグ付けるために用いることもできる。ID3は、MP3オーディオファイルフォーマットに関連してしばしば用いられるメタデータコンテイナーを記述するものであり、タイトル、アーティスト、アルバム、トラック番号、またはファイル自身に格納すべき当該ファイルに関する他の情報などを入れることができる。
【0033】
通信モジュール305の実行は、さらにオーディオファイルレポジトリ120との通信を提供する。そのような通信は一方向または双方向である。たとえば、通信モジュール305は、プロセッサによって実行可能であり、オーディオ再生デバイス105に所与のセグメントに対するリクエストを送信し、そのセグメントのクリーンコピーをダウンロードする。所与のセグメントのクリーンコピーは、劣化のない、またはより劣化の少ない所与のセグメントと同じ素材のオーディオファイルである。説明のために、所与のセグメントはラジオ局によりブロードキャストされた、静的に品質が劣化した特定の歌であってもよい。当該歌のクリーンコピーまたはそのセグメントは、ほとんどあるいは全く劣化のない当該歌またはセグメントのスタジオ録音のMP3ファイルであってもよい。
【0034】
通信モジュール305の実行によって、入出力インタフェース215を通して行われるように、(図示しない)他のデジタルデバイスとの一方向または双方向の通信を提供することもできる。これらのデバイスには、携帯メディア再生デバイスが含まれる。これらのデバイスにはまた、外部ハードドライブまたはサムドライブのような周辺ストレージデバイスが含まれる。これらのデバイスのいずれも、入出力インタフェース215を介してオーディオ再生デバイス105に無線または有線で通信可能に結合される。オーディオ再生デバイス105は、これらの他のデジタルデバイスからオーディオファイルを読み出したり、ダウンロードしてもよい。
【0035】
図3のバッファリングモジュール310の実行によって、オーディオストリームをバッファに一時的に格納することができる。バッファには、ある先行期間からのオーディオストリームの連続的な部分が含まれる。たとえば、バッファには、オーディオ送信源110から受信された最新の10分間のオーディオストリームが含まれる。バッファは、オーディオ再生デバイス105のメモリ225内に設けられてもよい。バッファは、オーディオ再生デバイス105に対する電力が失われたときや、オーディオ送信源110に変化があったとき(たとえば、ステーションを変えたとき)などにクリアしてもよい。
【0036】
図3の選択モジュール315の実行によって、オーディオ再生デバイス105のユーザインタフェース201を介して受信されるべき選択の指標が提供される。選択指標は、オーディオ送信源110から現在受信中のセグメントに関連付けられる。たとえば、ユーザは、オーディオ再生デバイス105上で再生されるオーディオストリームのセグメントを聴いており、そのセグメントを指し示す選択をする。ユーザによる選択はいろいろな方法でなされる。たとえば、ラジオ局のプリセットが選択されるように、ユーザインタフェース201上のボタンの押し下げなどで行われる。
【0037】
図3のデータ管理モジュール320は、オーディオ再生デバイス105のメモリ225に格納されたデータの管理を提供するために実行可能である。たとえば、データ管理モジュール320の実行によって、選択指標に関連づけられたセグメントをオーディオ再生デバイス105のメモリ225に格納することが可能になる。格納されたセグメントは、消去されるか上書きされるまではメモリ225に残る。さらに、格納されたセグメントの総数は限られる。さらに説明するようにアナライザモジュール325の実行によって、セグメントのストレージが支援される。データ管理モジュール320の実行によって、情報を格納されたセグメントに関連づけることも可能になる。この情報には、アーティストの名前、歌のタイトル、または通信モジュール305の実行によって受信されたオーディオデータ以外の他の情報が含まれる。
【0038】
データ管理モジュール320はさらに、オーディオ再生デバイス105のメモリ225に格納されたプレイリストを管理するために実行される。そのようなプレイリストには、受信されたオーディオストリーム、および/または、オーディオファイルレポジトリ120やオーディオ再生デバイス105に通信可能に接続された他のデジタル再生記録デバイスから受信されたオーディオファイルからの格納されたセグメントが含まれる。ユーザは、オーディオ再生デバイス105のユーザインタフェース210を用いてプレイリストにアクセスし操作することができる。
【0039】
アナライザモジュール325の実行によって、ユーザによる選択の指標に関連づけられたセグメントの始まりと終わりを判定するためにバッファを分析することが可能になる。バッファ内のセグメントの始まりと終わりを判定することにより、セグメントを正確に特定し、オーディオ再生デバイス105のメモリ225にDJのおしゃべりやコマーシャルのような関係のないオーディオ情報のないセグメントを格納することができる。
【0040】
購入モジュール330の実行を通して、ユーザは、選択の指標に関連づけられたセグメントのクリーンコピーの少なくとも一部を購入することがえきる。購入モジュール330は、購入セグメントを特定するためにアーティストの名前やトラックのタイトルのような所与のセグメントに関連づけられた情報を用いる。購入されたクリーンコピーは、通信モジュール105の実行によってオーディオファイルレポジトリ120からダウンロードされ、メモリ225に格納される。ユーザは、オーディオファイルレポジトリ330または何らかの貨幣交換を取り扱う他のエンティティのアカウントをもっていてもよい。
【0041】
図3の編集モジュール335の実行によって、格納されたセグメントをいろいろな様式で編集することができる。たとえば、所与の格納されたセグメントの少なくとも一部をクリーンコピーの対応する一部に置き換えてもよい。これは、格納されたセグメントの一部がDJのおしゃべりなどで損なわれているか、不鮮明になっているときに実行される。さらに、編集モジュール335は、格納された選択されたセグメントにデジタル著作権管理(DRM)ラッパーを適用してもよい。
【0042】
図4は、オーディオストリームのセグメントを保護する典型的な方法400を説明するフローチャートである。方法400のステップは様々な順序で実行してもよい。方法400に対してステップを追加したり、削除しても、依然として本発明の範囲内でありうる。図4のステップは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納された命令の形で具体化され、これらの命令はプロセッサによって実行可能である。
【0043】
ステップ405において、オーディオ再生デバイス105によってオーディオ送信源110からオーディオストリームが受信される。オーディオストリームは複数のセグメントを含む。ステップ405は、プロセッサ220によって通信モジュール305が実行されることによって実施される。
【0044】
ステップ410において、オーディオストリームは、オーディオ再生デバイス105のメモリ425にあるバッファに一時的に格納される。たとえば、バッファには、オーディオ再生デバイス105によって受信された、直近15分のオーディオストリームが含まれる。ステップ410は、プロセッサ220によってバッファリングモジュール310が実行されることによって実施される。
【0045】
ステップ415において、オーディオ再生デバイス105のユーザインタフェース210を介して選択の指標をが受信される。選択の指標は、オーディオ送信源110から現在受信中のセグメントに関連づけられる。ある例では、ユーザは、ユーザインタフェース210のボタンを押し続けて、オーディオストリームの現在再生されているセグメントの選択を指し示す。ステップ415は、プロセッサ220によって選択モジュール315が実行されることによって実施される。
【0046】
ステップ420において、選択指標に関連付けられたセグメントが、オーディオストリーム再生デバイス105のメモリ425に格納される。格納された選択は、後になって再生するためにユーザに利用可能である。ある例では、格納されたセグメントを他のデジタルデバイスに転送することはできない。ステップ420は、プロセッサ220によってデータ管理モジュール320が実行されることによって実施される。
【0047】
様々な実施の形態について、上に述べたが、これらは例としてのみ提示されたものであって、限定するものではないことに注意すべきである。詳細な説明は本発明の範囲をここに記述した特定の形態に限定することを意図したものではない。したがって、好ましい実施の形態の広さおよび範囲は、上述の典型的な実施の形態のいずれによっても、限定されるべきではない。
【0048】
上記の説明は例示的なものであり、制限的なものではないことを理解するべきである。むしろ、この詳細な説明は、添付の特許請求の範囲によって規定されるか、さまなければ、当業者によって把握される本発明の趣旨と範囲内に含まれる代替手段、変更および等価物を包含することを意図するものである。したがって、本発明の範囲は、上記の説明を参照して決められるのではなく、添付の特許請求の範囲とその等価物の全範囲を参照して決められるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
オーディオストリームのセグメントの整合性を保護するための方法であって、
オーディオ再生デバイスにおいて、オーディオ送信源から複数のセグメントを含むオーディオストリームを受信するステップと、
ある先行期間からのオーディオストリームの連続する部分を含む前記オーディオストリームを、オーディオ再生デバイスのメモリ内にあるバッファに一時的に格納するステップと、
前記オーディオ再生デバイスのユーザインタフェースを介して、前記オーディオ送信源から現在受信中のセグメントに関連づけられる選択の指標を受信するステップと、
前記オーディオ再生デバイスのメモリに前記選択の指標に関連づけられたセグメントを格納するステップとを含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記複数のセグメントの1以上は歌を含む請求項1の方法。
【請求項3】
前記バッファを分析して、前記選択の指標に関連づけられたセグメントの始まりと終わりを判定するステップをさらに含み、前記選択の指標に関連付けられたセグメントを格納することは、前記選択の指標に関連付けられたセグメントの始まりと終わりの判定に一部基づくものである請求項1の方法。
【請求項4】
前記選択の指標に関連付けられたセグメントについての情報であって、アーティストの名前または歌のタイトルの内、一つ以上を含む情報を受信するステップと、
格納されたセグメントに前記情報を関連付けるステップとをさらに含む請求項1の方法。
【請求項5】
前記選択の指標に関連付けられた格納されたセグメントの少なくとも一部を、前記選択の指標に関連付けられたセグメントについて後で獲得した部分で置き換えるステップをさらに含む請求項1の方法。
【請求項6】
前記後で獲得した部分はダウンロードされたクリーンコピーである請求項5の方法。
【請求項7】
前記セグメントの前記後で獲得した部分は購入されるものである請求項5の方法。
【請求項8】
前記格納されたセグメントを劣化させるステップをさらに含む請求項1の方法。
【請求項9】
前記格納されたセグメントにデジタル著作権管理(DRM)ラッパーを適用するステップをさらに含む請求項1の方法。
【請求項10】
前記格納されたセグメントは転送不可である請求項1の方法。
【請求項11】
前記オーディオストリームは、サードパーティの吹き替え、信号損失、信号圧縮、静的雑音、または信号干渉の結果、劣化する請求項1の方法。
【請求項12】
オーディオストリームのセグメントの整合性を保護するためのシステムであって、
オーディオ送信源から複数のセグメントを含むオーディオストリームを受信するための、メモリに格納されプロセッサによって実行可能なコミュニケーションモジュールと、
ある先行期間からのオーディオストリームの連続する部分を含む前記オーディオストリームを、オーディオ再生デバイスのメモリ内にあるバッファに一時的に格納するための、メモリに格納されプロセッサによって実行可能なバッファモジュールと、
前記オーディオ再生デバイスのユーザインタフェースを介して、前記オーディオ送信源から現在受信中のセグメントに関連づけられる選択の指標を受信するための、メモリに格納されプロセッサによって実行可能な選択モジュールと、
前記オーディオ再生デバイスのメモリに前記選択の指標に関連づけられたセグメントを格納するための、メモリに格納されプロセッサによって実行可能なデータ管理モジュールとを含むことを特徴とするシステム。
【請求項13】
前記バッファを分析して、前記選択の指標に関連づけられたセグメントの始まりと終わりを判定するための、メモリに格納されプロセッサによって実行可能なアナライザモジュールをさらに含み、前記データ管理モジュールの実行に応じて、前記選択の指標に関連付けられたセグメントを格納することは、前記選択の指標に関連付けられたセグメントの始まりと終わりの判定に一部基づくものである請求項12のシステム。
【請求項14】
前記データ管理モジュールはさらに、格納されたセグメントにアーティストの名前または歌のタイトルの内、1以上を含む情報を関連付けるためにプロセッサによって実行可能である請求項12のシステム。
【請求項15】
前記選択の指標に関連付けられたセグメントの少なくとも一部のクリーンコピーを購入するリクエストを受信するための、メモリに格納されプロセッサによって実行可能な購入モジュールをさらに含む請求項12のシステム。
【請求項16】
前記通信モジュールはさらに、前記クリーンコピーをダウンロードするためにプロセッサによって実行可能である請求項15のシステム。
【請求項17】
格納されたセグメントの少なくとも一部を前記クリーンコピーに置き換えるための、メモリに格納されプロセッサによって実行可能な編集モジュールをさらに含む請求項15のシステム。
【請求項18】
格納されたセグメントを劣化させるための、メモリに格納されプロセッサによって実行可能な編集モジュールをさらに含む請求項12のシステム。
【請求項19】
格納されたセグメントにデジタル著作権管理(DRM)ラッパーを適用するための、メモリに格納されプロセッサによって実行可能な編集モジュールをさらに含む請求項12のシステム。
【請求項20】
プログラムが格納されたコンピュー読み取り可能な記録媒体であって、前記プログラムは、オーディオストリームのセグメントの整合性を保護するための方法を実施するためにプロセッサによって実行可能であり、当該方法は、
オーディオ送信源から複数のセグメントを含むオーディオストリームを受信するステップと、
ある先行期間からのオーディオストリームの連続する部分を含む前記オーディオストリームをバッファに一時的に格納するステップと、
前記オーディオ送信源から現在受信中のセグメントに関連づけられる選択の指標を受信するステップと、
オーディオ再生デバイスのメモリに前記選択の指標に関連づけられたセグメントを格納するステップとを含むことを特徴とする記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−266865(P2010−266865A)
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−110842(P2010−110842)
【出願日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【出願人】(310017415)ソニー・コンピュ−タ・エンタテインメント・アメリカ・エルエルシー (2)
【Fターム(参考)】