説明

オーディオレベルメーター

オーディオレベルメーターの出力を修正するための回路は、入力信号の二乗又は絶対値を生成するための入力手段と、既定の攻撃時間(τa)及び開放時間(τr)を有するローパスフィルターと、線形スケールから対数スケールに出力信号を変換する出力手段とを備える。この回路は、オーディオレベルメーターへの入力信号が、入力において二乗又は絶対値に変換される対象となったかどうかについての情報、並びにローパスフィルターの攻撃時間及び開放時間が、入力値として供給され、その出力でオーディオレベルメーターの出力と、入力信号の真の信号電力との間の差を表す値を提供する修正手段をさらに備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
一定の攻撃/開放期間を有する入力フィルターを使用した検出器又は他の検出タイプのための一定の修正期間は、マルチメーター又は「Audio Precision」などのオーディオ測定システムのようなAC電圧測定装置において一般に使用される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
例えばVU(Volume Unit:ボリュームユニット)メーター、ピークプログラムメーターなどの様々なタイプのオーディオレベルメーターが存在し、その読み込みは、同じ入力信号で異なり、互いに比較するのは易しくない。これは、オーディオレベルメーターが、2つの対立する目的を果たすべきであるという事実のためである。一方では、信号電力に関連したオーディオ信号の認識された大きさを示すべきである。他方では、可聴のひずみを引き起こすので、システムが飽和する前にまだ残っているヘッドルーム(headroom)を示すべきである。これに関して、アナログ及びデジタルシステム間で更なる区別が必要とされる。デジタルシステムが突然に過負荷となるのに対して、アナログシステムは除々に過負荷となる。したがって、本発明の目的は、入力に供給されている制限信号について、オーディオレベルメーターの内部設定によらず、真の信号電力を表示できるように出力レベルを修正することである。
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明は、請求項1に示されるように、その入力において入力信号の二乗又は入力信号の絶対値を生成するオーディオレベルメーターを含む、様々なタイプのオーディオレベルメーターを読み出す真の信号電力及びオーディオレベルメーター間の違いを決定するための装置及び方法を目的とする。本発明の更に有利な実施形態及び開発が添付の特許請求の範囲に示される。
【図面の簡単な説明】
【0004】
【図1】3つの構築ブロックからなる本発明によるオーディオレベルメーターのブロック図である。
【図2】不等式によって計算された修正値及びルックアップテーブルから決定される補間された修正値の間のdBにおけるエラーを示す図である。
【図3】同じ入力信号からの結果である様々なタイプのオーディオレベルメーターの例示的な出力値を示す図である。
【図4】攻撃時間及び開放時間の間の割合の関数としての入力としての入力信号の絶対的なピーク値を使用するオーディオレベルメーターに対する修正値を示す図である。
【図5】攻撃時間及び開放時間の間の割合の関数として修正値を示す図である。
【図6】不等式を使用及びルックアップテーブルを使用して計算された修正値と補間との間のエラーを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0005】
本発明は、正弦入力信号について、真の信号電力及びオーディオレベルメーターを読み出すことの間の違いが、実質的に3つの変数である、入力信号の処理、つまり入力信号の絶対値又は二乗を決定することと、オーディオレベルメーターにおいて使用されるローパスフィルターの攻撃時間及びローパスフィルターの開放時間とのみに依存することを見つけることに基づく。
【0006】
対応する方程式において、phi_0は位相角であり、テストの下での信号の増加及び減少部分が等しい。
【0007】
二乗された入力信号の場合、phi_0は以下の方程式によって決定される:
(b-a) * sin (2 * phi_0) - 2 * (b-a) * phi_0 * cos (2 * phi_0) - a * pi * cos (2 * phi_0) = 0。
【0008】
入力信号の絶対値が決定される場合、phi_0は以下の方程式によって決定される:
(a-b) * phi_0 * sin(phi_0) + (a-b) * cos(phi_0) + b - a * pi/2 * sin(phi_0) = 0
ここで、a = l-exp(-l/(τa ・ fs)),b = l-exp(-l/(τr -fs))及びfsはサンプリング周波数である。
「a」により方程式が割られるとき、phi_0は割合b/aに単に依存することは明らかとなる。τa ≫ 1/fs及びτr≫ 1/fsの場合、b/aはτarに実質的に等しい。
【0009】
その後、出力信号は、
output_level = A * sin (phi_0)
として計算され、ここでAは、入力信号の振幅に対応する。しかし、所望の読み出しは、
output level sin = A * sin (pi/4)
に対応する。
【0010】
この結果は、以下のようにbBで表される差となる:
Delta_dB = 20 * loglO (output_level / output_level_sin) 又は
Delta_dB = 20 * loglO (sin (phi_0) ) +3。 (ただし、sin (pi/4)^2 = 0.5)
図1のブロック図に示されるように、本発明によるオーディオレベルメーターは、3つの構築ブロックからなる。第1に、入力信号x(k)は、二乗又は整流されており、x'(k)を生じる。第2に、第1の順のローパスフィルターが適用される。現在の入力サンプルx'(k)が最後の出力信号y(k-1)より大きい又は小さいかに依存して、2つの異なる微分方程式、つまり、
【0011】
【数1】

【0012】
が新しい出力y(k)を計算するのに使用されるように、その攻撃時間τa及び開放時間τrは異なるかもしれない。ここで、a = l-exp(-l/(τa ・ fs)),b = l-exp(-l/(τr ・ fs)及びfsはサンプリング周波数である。言い換えると、2つの微分方程式はそれぞれ、入力信号の上がり又は下がりを表す。最終的に、第1のステップにおいて入力信号が整流又は二乗されているかどうかによって、対数つまりydB(k) = 20log10y(k)又はydB(k) = 10log10y(k)を準用することにより、デジベルにおいてこの結果を線形スケールから対数スケールに変換する。従って、整流/二乗、攻撃時間τa及び開放時間τrであるオーディオレベルメーターの出力に影響する全部で3つの内部パラメーターが存在する。
この信号のフローへの例外は、任意の過負荷が起きることを防ぐために信号の最大値を単に示さなければならないオーディオレベルメーターにより表されることに留意されたい。これらは、現在の時間に対する最大値をゆする羽化、これを急激に減らす。図3は同じ入力信号からの結果である様々なタイプのオーディオレベルメーターの例示的な出力値を示す。
【0013】
正弦の入力信号は、テスト信号として一般に使用される。特にプロフェッショナルでないユーザにとって、オーディオレベルメーターの読み出しが適用された信号電力に一致しない場合に、むしろ乱されがちである。ところが、制限がそれらの反復及び周波数により(及び厳密に言えばそれらのフェーズで)完全に定義されるので、オーディオレベルメーターの出力は、安定した(steady)状態で(少なくとも概算であり、攻撃時間及び開放時間が入力期間と比較して十分に大きい限り、)、比較的簡単に計算できる。従って、この場合に真の信号電力を反映するために出力を修正できる。この分析結果は非線形等式という結果となり、数値的に解決される必要がある。このような複合化されたタスクがオンラインで実行される必要があることを避けるために、エントリ間の線形補間でルックアップテーブルが代わりに使用される。幸い、出力信号は入力の正弦曲線の周波数と独立している。さらに、開放時間及び攻撃時間の間の割合(rate)のみに依存し、それらの個々の値には依存しない。最終的にdBにおけるレベルオフセット又は差も、入力信号の振幅と独立している。従って、1つは整流された信号のための等式であり、1つは二乗された信号のための等式である2つの等式は適用される必要があるオフセットを計算するのに十分である。間で線形補間された示されたサンプリング地点のみを使用して、時間割合の完全な範囲について最大エラーは約0.1dBより低いままである。代替の実装が、対応する乗法(multiplicative)された1アップストリームそれ自身により、対数段階の付加的な修正ダウンストリームに置き換えることから成りうることに留意されたい。
【0014】
図2は不等式によって計算された修正値、及び入力信号としての二乗されたオーディオ信号を使用するオーディオレベルメーターの修正のためにルックアップテーブルから決定される補間された修正値の間のdBにおけるエラーを示す。図5は従って攻撃時間及び開放時間の間の割合の関数として修正値を示す。
【0015】
図4は、攻撃時間及び開放時間の間の割合の関数としての入力としての入力信号の絶対的なピーク値を使用するオーディオレベルメーターに対する修正値を示す。図6は、不等式を使用及びルックアップテーブルを使用して計算された修正値と補間との間のエラーを示す。
【0016】
テストのために、正弦曲線のテスト信号を生成する波形生成器は、単にオーディオレベルメーターに付く必要があり、波形生成器の設定及びオーディオレベルメーターの出力は、τa≠τrで互いに比較される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
オーディオレベルメーターの出力を修正するための回路であって、
入力信号の二乗又は絶対値を生成するための入力手段と、既定の攻撃時間(τa)及び開放時間(τr)を有するローパスフィルターと、線形スケールから対数スケールに出力信号を変換する出力手段とを備え、前記回路は、前記オーディオレベルメーターへの前記入力信号が、前記入力においてだけでなく、前記ローパスフィルターの攻撃時間及び開放時間でも、二乗又は絶対値に変換される対象となったかどうかについての情報が、入力値として供給され、その出力で前記オーディオレベルメーターの前記出力と、前記入力信号の本当の信号電力との間の差を表す値を提供する修正手段をさらに備えることを特徴する回路。
【請求項2】
前記オーディオレベルメーターの前記出力と、前記オーディオレベルメーターの前記出力値への前記入力信号の前記信号電力との間の差を表す前記値を追加する手段をさらに備えることを特徴とする請求項1記載の回路。
【請求項3】
前記オーディオレベルメーターの前記出力と、対数スケールに前記値を変換する前の前記入力信号の前記信号電力の間の差を表す前記値から決定された修正値で、前記ローパスフィルターの前記出力を乗じるための手段をさらに備えることを特徴とする請求項1記載の回路。
【請求項4】
前記収集手段は、前記ローパスフィルターの攻撃時間及び開放時間の割合数ために、並びに入力信号の前記絶対値を形成する入力手段及び/又は前記入力信号を二乗する入力手段のために、前記オーディオレベルメーターの前記出力と、前記入力信号の前記信号電力との間の差を表す値を保持するルックアップテーブルを備えることを特徴とする請求項1記載の回路。
【請求項5】
前記ルックアップテーブルに含まれないそれらの割合に対する値を補間する補間手段を備えることを特徴とする請求項4記載の回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2010−500540(P2010−500540A)
【公表日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−523285(P2009−523285)
【出願日】平成19年8月7日(2007.8.7)
【国際出願番号】PCT/EP2007/058206
【国際公開番号】WO2008/017684
【国際公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【出願人】(501263810)トムソン ライセンシング (2,848)
【氏名又は名称原語表記】Thomson Licensing 
【住所又は居所原語表記】46 Quai A. Le Gallo, F−92100 Boulogne−Billancourt, France
【Fターム(参考)】