説明

オーディオ再生装置

【目的】 オーディオ再生装置において、外部接続されたメモリに記録されたオーディオデータを再生中に不具合があった場合、自動的に対応する。
【構成】 オーディオ再生装置において、オーディオデータが記録されたUSBメモリと、USBメモリから読み出したオーディオデータを記憶するメモリと、USBコントローラ又はメモリからのオーディオデータをアナログオーディオ信号に復号する復号器と、再生操作部を備え、再生操作されたとき、USBメモリから再生対象オーディオデータを高速に読み出しメモリに記憶させてオーディオ再生を開始させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディジタルオーディオ再生を行うオーディオ再生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、USB(Universal Serial Bas)メモリを搭載した音声送出装置、再生装置等がある。このような装置は、USBメモリに格納されたオーディオデータを読み込み復号し再生する。USBメモリは可搬タイプとして利便性が高いので、複数のパソコンにおいてオーディオデータを記録し、持ち運び再生装置に接続して再生するという利用方法が一般的に考えられる。USBメモリは通常リムーバブルディスクとして使用される。そのため、装置の内部ではなく外側に接続される場合が多い(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−56479公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
USBメモリを用いた装置は、取り扱いが簡単で使用しやすいという利点がある反面、装置の外側(フロントパネル面等)に接続されるので、ユーザーの取り扱いの不具合によって、再生している状態において、USBメモリを間違って取り外したりしてしまい再生を停止してしまう可能性がある。またUSBメモリ自体の偶発的な故障により、USBメモリからデータを読み出すことが不可能になり再生を停止してしまうことも考えられる。その場合、USBメモリに記録されているデータを読み出して復号し再生を行なうので、再生音が停止してしまう。
【0005】
本発明では、ユーザーが希望するオーディオデータが記録されているUSBメモリから連続的に再生を行い、上記のような不具合が発生した場合、ユーザーが希望するオーディオデータを途切れなく再生し続けることを可能にすることを目的とする。また、再生中に、USBメモリを取り外すことができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願発明に係るオーディオ再生装置は、オーディオデータが記録されたUSBメモリと、前記USBメモリと着脱可能に接続され前記USBメモリからオーディオデータを読み出すUSBコントローラと、前記USBコントローラが読み出したオーディオデータを記憶するメモリと、前記USBコントローラが受信したオーディオデータ又は前記メモリが記憶したオーディオデータをアナログオーディオ信号に復号して出力する復号器と、前記USBコントローラの入出力及び前記メモリの入出力を制御する制御部と、再生操作する再生操作部とを備え、前記再生操作部によって再生操作されたとき、前記制御部は、前記USBコントローラを制御して前記USBメモリから再生対象となるオーディオデータを再生速度より高速に読み出し前記メモリに記憶させ、前記USBコントローラ及び前記復号器を制御してオーディオ再生を開始させるものである。
【0007】
また、前記USBコントローラは前記USBメモリから受信したオーディオデータを監視し前記USBメモリからオーディオデータの再生中にオーディオデータの不具合があった場合、前記制御部は、前記メモリに記憶されたオーディオデータに切り換えて再生するものである。
また、前記制御部は、前記USBメモリからオーディオデータの再生中に前記再生操作部によって一時停止操作されたとき、前記USBメモリからオーディオデータの前記メモリへの記憶を続行させるものである。
また、オーディオデータの前記メモリへの記憶終了を表示する表示部を備え、前記制御部は、前記USBメモリから再生対象のオーディオデータを前記メモリに記憶し終えたとき、前記USBメモリからオーディオデータ再生中の場合には前記メモリに記憶されたオーディオデータに切り換えて再生させ、前記表示部に記憶終了を表示させるものである。
また、前記USBコントローラは前記USBメモリから受信したオーディオデータを監視し前記USBメモリからオーディオデータの再生中にオーディオデータの不具合があった場合、前記制御部は、前記メモリに予め記憶された再生状況の不具合を示すオーディオデータに切り換えて再生するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明のオーディオ再生装置によれば、外部接続されたUSBメモリに記録されているオーディオデータを再生中にUSBメモリからのオーディオデータ送信に不具合があった場合、自動的に対応し再生を続行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施例のオーディオ再生装置の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
USBメモリ1は、オーディオデータが記録されていて、ディジタルオーディオ再生装置8に着脱可能に装着され、ユーザーが再生を希望するオーディオデータをUSBコントローラ2に送信する。USBメモリ1へのオーディオデータの記録は、ユーザーがパソコン等を用いて、ユーザー自身が後で再生しようとするオーディオデータを記録する。オーディオデータは、通常、MP3フォーマットやPCMフォーマットで記録される。
USBコントローラ2は、USBメモリ1から送信されたオーディオデータを受信し、受信したオーディオデータを制御部4に送信する。USBメモリ1との通信は、USBホスト動作で接続され,USBメモリ用の電源とデータ通信信号ライン(+D,−D)にてデータ通信が行われる。
【0011】
USBコントローラ2は、通信の状況及び電源を監視する。具体的には、USBメモリ1の通信内容や応答と、電源供給が規定容量内で行われているかを監視し、USBメモリから受信したオーディオデータとUSBメモリ1を監視している電源と通信の情報を制御部4に送信する。監視状況において不具合が発生した場合には、制御部4に不具合を通知する情報を送信する。このような不具合は、USBメモリ1の接続の緩みや外れ、USBメモリ1の故障などによって発生する。
メモリ3は、制御部4に接続され、USBメモリ1に記憶されユーザーが指定したオーディオデータが再生速度よりも高速で送信され、そのオーディオデータを記憶する。
制御部4は、マイクロコンピュータで構成され、オーディオ再生装置8の全体的な制御を行う。
復号器5は、制御部4からのオーディオデータをアナログオーディオ信号に変換して出力する。
【0012】
再生操作部6は、再生ボタン、停止ボタン、一時停止ボタン等を備え、ユーザーからの操作を受けて、制御部4に再生操作信号を入力する。
再生操作部6によって、ユーザーからの再生指示が制御部4に入力されたとき、
制御部4は、USBコントローラ2を制御してUSBメモリ1から再生対象となるオーディオデータをメモリ3に転送し記憶させて、USBコントローラ2及び復号器5を制御してオーディオ再生を開始させる。
表示部7は、制御部4に接続され、USBメモリ1から読み出されたオーディオデータのメモリ3への記憶動作を行っているか停止しているかの表示を行う。
【0013】
ユーザーが再生操作部6の再生ボタンを操作すると、再生対象となるオーディオデータがUSBメモリ1からUSBコントローラ2に読み出され、制御部4を介してメモリ3に記憶される。メモリ3に記憶したオーディオデータの容量が制御部4で予め設定されたデータ量以上になると、制御部4は、メモリ3に記憶されたオーディオデータを復号器5に出力させ、又は、USBコントローラ2を介してUSBメモリ1からオーディオデータを読み出して復号器5に出力させ、再生を開始する。USBメモリ1からメモリ3へのオーディオデータの記憶は、再生速度よりも高速に行われる。
【0014】
制御部4は、USBコントローラ2によってUSBメモリ1から再生されているオーディオデータの不具合を通知する情報を受信すると、不具合が発生したオーディオデータの位置(アドレス)を検出し、メモリ3に記憶されたオーディオデータに切り換え、メモリ3に記憶されたオーディオデータの同じアドレスから再生を続行する。
【0015】
USBメモリ1からオーディオデータをメモリ3に記憶しオーディオデータの再生中にユーザーが再生操作部6の一時停止ボタンを操作したとき、制御部4は、再生を一時停止させ、USBメモリ1からオーディオデータのメモリ3への記憶は続行させる。
【0016】
USBメモリ1から再生対象のオーディオデータをメモリ3に記憶し終えたとき、制御部4は、オーディオデータをメモリ3に記憶し終えたことを表示部7に表示させ、USBメモリ1からオーディオデータ再生中の場合、メモリ3に記憶されたオーディオデータに切り換えて再生させる。ユーザーは、この表示を見て、メモリ3からオーディオデータの再生中であっても、USBメモリ1の取り外し可能であることを知ることができ、USBメモリ1を取り外したり、他のUSBメモリに交換したりすることができる。
【0017】
本実施例のオーディオ再生装置8においては、USBコントローラ2がUSBメモリ1からのオーディオデータに不具合が生じた場合、予めメモリ3に記憶したオーディオデータに切り換えて再生を継続する構成としたが、USBコントローラ2が、USBメモリ1からオーディオデータの再生中に再生状況を監視し不具合があった場合、制御部4は、メモリ3に予め記憶された再生状況の不具合を示す音声や音楽等のオーディオデータに切り換えて再生する構成としても良い。このことにより、ユーザーは、不具合があったことを知ることができる。
このとき、不具合を直接的に示す音声や音楽ではなく、ある特定の音楽を再生するように設定しておけば、不具合が生じた場合でも、周囲の聴取者には不具合を知らせず、設定を知る管理者等の特定ユーザーだけが、不具合を知ることができる。
【0018】
HDD(Hard Disc Drive)、CF(Compact Flash)、SD(Secure Digital)メモリーカード等の記憶媒体からUSBインタフェースを介してオーディオデータを読み出す形態のプレーヤであっても、本発明を適用して実施することができる。
本発明は、店舗やディスプレイ等で使用する目的の業務機器分野に有用で、人がついていないときに不具合があっても、自動的に再生を継続することが可能となる。
【符号の説明】
【0019】
1 USBメモリ
2 USBコントローラ
3 メモリ
4 制御部
5 復号器
6 再生操作部
7 表示部
8 オーディオ再生装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
オーディオデータが記録されたUSBメモリと、前記USBメモリと着脱可能に接続され前記USBメモリからオーディオデータを読み出すUSBコントローラと、前記USBコントローラが読み出したオーディオデータを記憶するメモリと、前記USBコントローラが受信したオーディオデータ又は前記メモリが記憶したオーディオデータをアナログオーディオ信号に復号して出力する復号器と、前記USBコントローラの入出力及び前記メモリの入出力を制御する制御部と、再生操作する再生操作部とを備え、前記再生操作部によって再生操作されたとき、前記制御部は、前記USBコントローラを制御して前記USBメモリから再生対象となるオーディオデータを再生速度より高速に読み出し前記メモリに記憶させ、前記USBコントローラ及び前記復号器を制御してオーディオ再生を開始させることを特徴とするオーディオ再生装置。
【請求項2】
請求項1に記載のオーディオ再生装置であって、前記USBコントローラは前記USBメモリから受信したオーディオデータを監視し前記USBメモリからオーディオデータの再生中にオーディオデータの不具合があった場合、前記制御部は、前記メモリに記憶されたオーディオデータに切り換えて再生することを特徴とするオーディオ再生装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のオーディオ再生装置であって、前記制御部は、前記USBメモリからオーディオデータの再生中に前記再生操作部によって一時停止操作されたとき、前記USBメモリからオーディオデータの前記メモリへの記憶を続行させることを特徴とするオーディオ再生装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載のオーディオ再生装置であって、オーディオデータの前記メモリへの記憶終了を表示する表示部を備え、前記制御部は、前記USBメモリから再生対象のオーディオデータを前記メモリに記憶し終えたとき、前記USBメモリからオーディオデータ再生中の場合には前記メモリに記憶されたオーディオデータに切り換えて再生させ、前記表示部に記憶終了を表示させることを特徴とするオーディオ再生装置。
【請求項5】
請求項1、請求項2、または請求項4に記載のオーディオ再生装置であって、前記USBコントローラは前記USBメモリから受信したオーディオデータを監視し前記USBメモリからオーディオデータの再生中にオーディオデータの不具合があった場合、前記制御部は、前記メモリに予め記憶された再生状況の不具合を示すオーディオデータに切り換えて再生することを特徴とするオーディオ再生装置。

【図1】
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【公開番号】特開2012−79359(P2012−79359A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−221105(P2010−221105)
【出願日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(309039716)株式会社ディーアンドエムホールディングス (37)
【Fターム(参考)】