説明

オーディオ装置および記録媒体

【課題】ある場所のオーディオ装置で作成されたプレイリストを、外部に持出可能として、他の場所で楽曲を再生させることが可能なオーディオ装置を提供することを目的としている。
【解決手段】複数の楽曲が記憶された第1内蔵記憶媒体4および装置に着脱可能な外部記憶媒体5と、これらに記憶された複数の楽曲から、設定された条件に従って選択して、その再生順序のリストであるプレイリストを作成するプレイリスト作成処理、および前記プレイリストに従って音楽の再生を行うプレイリスト再生処理を実行可能なCPU7と、を備えたオーディオ装置であって、CPU7が、第1内蔵記憶媒体4に記憶されたプレイリストに関する情報を、外部記憶媒体5に書き込む情報持出処理を実行するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、再生順序リスト(以下、これをプレイリストという)を作成し、このプレイリストの順序に従って、記憶手段に記憶された楽曲を順に再生する機能を有したオーディオ装置およびこのオーディオ装置作動用のプログラムを記憶したコンピュータ読取可能な記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の車載オーディオは、ハードディスクやフラッシュメモリといった大容量の記憶媒体(内蔵記憶媒体と呼ぶこととする)を有しており、CDなどの音源を、圧縮手段(例えば、MP3、WMA、AAC、ATRAC3などの手法)を用いてデータ圧縮し記憶媒体に保存することで、膨大な曲数の音楽データが記憶できる。
また、SDカードやメモリースティック、あるいはUSB接続できる携帯オーディオといった、大容量の外部記憶媒体を接続して再生できるオーディオ装置も知られている。
【0003】
そこで、このような大容量の記憶媒体に記憶された楽曲を再生するのにあたり、全曲を順番に再生するのではなく、運転コースや時間あるいはユーザのそのときの気分などに応じて設定されたプレイリストの順番に従って選択された楽曲を再生するオーディオ装置が知られている。
【0004】
このようなオーディオ装置としては、ユーザがオーディオ装置を操作して、プレイリストを作成するものがあるが、さらに、ユーザの操作の煩わしさを軽減するために、入力条件に応じてオーディオ装置がプレイリストを自動的に作成するものが知られている。
【0005】
このように、オーディオ装置がプレイリストを作成するものとしては、ユーザの嗜好に合わせて楽曲を読み出すようにしたオーディオ装置(例えば、特許文献1参照)や、自車両の走行位置や、走行時の天気あるいは季節などの車両周辺情報に基づいてプレイリストを作成する装置(例えば、特許文献2参照)が知られている。
【特許文献1】特開2005−285285号公報
【特許文献2】特開2001−324335号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述の従来技術は、車載のオーディオ装置で作成されたプレイリストを車外に持ち出す機能を有していなかった。
このため、ユーザが、運転中に聴いて気に入ったプレイリストを車外(例えば、自宅)で聴きたいと思った場合、ユーザは、車載オーディオに表示された曲順をメモし、このプレイリストを、自宅のオーディオ装置あるいはパーソナルコンピュータなどを用いて、改めてメモを見ながら作成しなければならなかった。
このように、車両内でプレイリストを書き出す作業は、机上の作業に比べてはるかに面倒であるし、さらに、自宅で再度プレイリストを作成する必要があり、これらの作業が非常に面倒であった。
【0007】
また、自宅のオーディオ装置あるいはパーソナルコンピュータなどを用いて、車載オーディオ装置と同じ設定条件でプレイリストを作成することが考えられるが、特許文献2に記載された技術のように、地域情報・天候情報・時間情報・車速情報などの車両周辺情報に基づいて作成されたプレイリストの場合、車外で同じプレイリストを再現するのが困難である。
【0008】
本発明は、上述の問題点に着目してなされたもので、ある場所で作成されたプレイリストを外部に持出可能として、他の場所で同様のプレイリストに従って楽曲を再生させることが可能なオーディオ装置およびその作動用のプログラム記録媒体を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述の目的を達成するために、本発明は、記憶手段に記憶された複数の楽曲から、設定された条件に従って選択して、その再生順序のリストであるプレイリストを作成するプレイリスト作成処理、および前記プレイリストの再生順序に従って音楽の再生を行うプレイリスト再生処理を実行可能な制御手段を備えたオーディオ装置であって、前記記憶手段として、装置に内蔵された内蔵記憶手段と、装置に着脱可能な外部記憶手段と、を備え、前記制御手段が、前記内蔵記憶手段に記憶されたプレイリストに関する情報を、外部記憶手段に書き込む情報持出処理を実行することを特徴とするオーディオ装置とした。
【発明の効果】
【0010】
本発明では、オーディオ装置で作成したプレイリストを外部に持ち出す場合、制御手段に情報持出処理を実行させる。この情報持出処理により、内蔵記憶手段に記憶されたプレイリストに関する情報が、オーディオ装置に接続された外部記憶手段に書き込まれる。なお、 この場合、プレイリストの楽曲データではなく、プレイリストに関する情報であるので、書き込みに要する時間が長くならないようにできる。
【0011】
そして、この外部記憶手段を、他のオーディオ装置に接続し、書き込まれたプレイリストに関する情報を他のオーディオ装置で読み込むことで、プレイリストに沿った再生が可能となる。
【0012】
このように、本発明では、プレイリストに関する情報を、外部記憶手段に書き込むようにしたため、手書きでリストを作成する面倒な作業無しに、プレイリストを作成したオーディオ装置とは異なるオーディオ装置で、好きなプレイリストに沿った再生を実行させることが可能となる。
しかも、外部記憶手段に書き込ませるのは、楽曲データではなく、プレイリストに関する情報であるため、書き込みに要する時間を短くできるとともに、著作権を侵害することもない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明のオーディオ装置を実現する最良の形態を、図面に示す実施例に基づいて説明する。
【実施例1】
【0014】
図1〜図7に基づいて本発明の最良の実施の形態の実施例1のオーディオ装置Aについて説明する。
【0015】
まず、実施例1のオーディオ装置Aの構成を説明する。
この実施例1のオーディオ装置Aは、車載されたものであって、図1に示すように、入力部1、表示部2、ディスクドライブ3、第1内蔵記憶媒体4、外部記憶媒体5、第2内蔵記憶媒体6、CPU7、ROM8、RAM9、音楽再生部10、車両周辺情報取得部11を内部バス12で接続して構成されている。
【0016】
入力部は1、図示を省略したボタンやタッチパネルなどを備え、ユーザからの入力をCPU7へ伝達する。
【0017】
表示部2は、液晶モニタ(Liquid Crystal Display)などのディスプレイ装置で構成され、CPU7による制御に基づいて表示を行う。
【0018】
ディスクドライブ3は、CD(Compact Disc)やDVD(Digital Versatile Disk)を再生する部分であって、CPU7からの制御で図外のスピンドルモータがディスクを回転させ、ピックアップが目的とするアドレスに移動することで目的とする曲のデータを読み取る。また、CDの音楽を録音する際には、読み取った曲のデータは、圧縮手段(例えば、MP3、WMA、AAC、ATRAC3などの手法)を用いてデータ圧縮され第1内蔵記憶媒体4に保存されるものとする。
【0019】
第1内蔵記憶媒体(内蔵記憶手段)4は、ハードディスク(hard disk)やフラッシュメモリといった大容量の媒体で構成され、オーディオ装置Aに内蔵されたものを指しており、CDなどから録音した圧縮データおよびプレイリストを保存する部分である。
【0020】
外部記憶媒体(外部記憶手段)5は、図示を省略したSDメモリカードやメモリースティック、あるいはUSB(Universal Serial Bus)による接続が可能な携帯オーディオなどの媒体で構成され、オーディオ装置Aへの着脱が可能となっている。
なお、オーディオ装置Aには、この外部記憶媒体5との通信を可能とするインタフェース装置13が内蔵されている。このインタフェース装置13は、例えば、SDカードを接続する機器であればSDカードソケットであり、USBタイプの携帯オーディオを接続する機器であればUSBインタフェースである。
【0021】
第2内蔵記憶媒体6は、後述する車両周辺情報との関連付けに利用される画像データベース用の記憶媒体である。
【0022】
CPU(Central Processing Unit)7は、オーディオ装置Aの主制御を行う部分であって、入力部1の入力に応じてディスクドライブ3、第1内蔵記憶媒体4および外部記憶媒体5のトラック(楽曲)の録音や再生や停止を実行させる部分である。また、後述するが、外部記憶媒体5へプレイリスト情報の書き込みを行う情報取出処理を実行する部分でもある。
【0023】
ROM(Read Only Memory)8は、CPU7が動作するためのプログラムを保存しておく部分であり、CPU7の起動時にこのプログラムが読み出される。
RAM(Random Access Memory)9は、一時的なデータを保存する部分である。
【0024】
音楽再生部10は、図示を省略したD/A変換部とアンプ部とスピーカを備え、ディスクドライブ3、第1内蔵記憶媒体4、外部記憶媒体5から読み取った再生用の音楽データをD/A変換および信号増幅を行ってスピーカに出力する。
【0025】
車両周辺情報取得部11は、後述するプレイリスト作成時に、自車位置情報、日時情報、天気情報を取得する部分である。
なお、自車位置情報は、図外のGPS(Global Positioning System)から得られるGPS信号を受信し、さらに、内部バス12を介して得られる車速パルスとジャイロセンサによる自律航法を併用して自車位置を取得している。
また、日時情報は、GPS信号から取得した現在時刻を用いている。
また、天気情報は、本実施例1では、図示を省略した空調装置のセンサから得られる気温、湿度、照度などから現在の天気を割り出して取得している。
【0026】
これらの車両周辺情報は、図2に示すような自車位置情報、日時情報、天気情報の項目を有したデータベースとして第1内蔵記憶媒体4に記憶される。また、車両周辺情報は、後述するプレイリストPLに関連付けられて記憶されており、この図2は、001〜005の5個のプレイリストPLが存在している場合の例を示している。なお、オーディオ装置Aで作成したプレイリストPLを、後述の外部機器Bで作成したプレイリスト(外部プレイリスト)と区別するために、以下、オリジナルプレイリストと称する。
【0027】
ここで、オリジナルプレイリストPLについて説明する。
なお、このオリジナルプレイリストPL自体およびその作成手順は、本願の要旨とするものではないので、簡単に説明する。
【0028】
本実施例1では、CPU7は、従来技術で示したように、オリジナルプレイリストPLを、ユーザの設定情報に基づいて作成する第1のプレイリスト作成処理と、車両周辺情報に基づいて作成する第2のプレイリスト作成処理とを実行するものとする。
【0029】
まず、ユーザの設定情報に基づいて作成する第1のプレイリスト作成処理の一例を説明すると、ユーザは、そのときの気分などに応じて、入力部1を操作して1または複数のキーワード情報を入力する。このキーワード情報は、例えば、ロック、ポップス、演歌などの曲種や、アップやスローなどのテンポや、50年代、60年代、70年代などの録音された時期などとすることができる。そこで、CPU7は、このキーワード情報に基づいて、第1内蔵記憶媒体4および外部記憶媒体5において、楽曲データと一緒に記憶されているTOC(Table of contents)情報、フォルダおよびファイル名、TAG情報などを検索して、1または複数の情報が一致するものを選択してオリジナルプレイリストPLを作成する。
【0030】
なお、TOC情報は、録音したCDの最内周部分の情報書き込み領域に書き込まれた楽曲目次情報のことで、CDの総曲数、時間などが記録されている。そこで、本実施例1では、このTOC情報から、総曲数、総再生時間およびプレイリストに登録された曲番号を使用するものとする。
親フォルダ名およびファイル名は、圧縮オーディオで保存されている親フォルダの名前と圧縮オーディオ自体のファイル名のことである。
TAG名は、圧縮オーディオのヘッダ部に書き込まれた曲情報のことで、ここで使用するのはアルバム名、演奏者名、タイトル名とする。
【0031】
また、親フォルダ名およびファイル名、TAG名は、オーディオ装置Aが持つデフォルト名をそのまま使用したり、通信手段を用いてインターネット上の楽曲データベース(CDDBなど)からデータを取得したり、操作部からのマニュアル入力などで取得したりできるものとする。
【0032】
次に、オリジナルプレイリストPLを車両周辺情報に基づいて作成する第2のプレイリスト作成処理の一例について説明する。この処理は、車両周辺情報取得部11に取得された車両周辺情報に基づいて作成するものであり、この場合、走行地点に関する情報や天候に関する情報や暦あるいは時間などをキーワードとしてプレイリストを作成する。走行地点に関する情報のキーワードとしては、例えば、山、川、海、都市などが挙げられる。また、天候に関するキーワードとしては、晴れ、雨、曇り、雪、台風などが挙げられる。また、暦や時間に関する情報のキーワードとしては、春夏秋冬、曜日、誕生日、朝、昼、夕暮れ、深夜などが挙げられる。
【0033】
このように第2のプレイリスト作成オリジナルプレイリストPLを作成する。
【0034】
なお、第2内蔵記憶媒体6には、車両周辺情報との関連付けに利用される画像データが記憶されている。この画像データは、ランドマーク画像、時間や季節に関連した画像、天気に関連した画像などである。
【0035】
そこで、本実施例1では、この車両周辺情報に基づいてオリジナルプレイリストPLを作成した際に、そのプレイリスト作成時の車両周辺情報に一致する画像が存在する場合には、各オリジナルプレイリストPL毎に、画像データも記憶する。
【0036】
図3は、その一例を示している。この図に示すように、001〜005のオリジナルプレイリストPLには、図2に示す、自車位置、日時、天気に関連する、自車位置画像、日時画像、天気画像のアドレスに、それぞれ画像データ(JPEG)が記憶されている。
【0037】
すなわち、本実施例1で示す001〜005のオリジナルプレイリストPLは、それぞれ車両周辺情報に基づいて作成されたものであり、各オリジナルプレイリストPLには、それぞれ車両周辺情報と画像データとが記憶されている。
【0038】
さらに、CPU7は、オリジナルプレイリストPLに関する情報を外部記憶媒体5に書き出す情報持出処理を実行する。
そこで、この情報持出処理における動作の流れを図4のフローチャートに基づいて説明する。なお、この情報持出処理を実行するプログラムは、工場出荷時にあらかじめインストールしておいてもよいが、工場出荷後に、CDあるいは外部記憶媒体5に記憶されているプログラムを読み込むこともできる。
【0039】
また、この情報持出処理の動作開始の前提条件としては、あらかじめオーディオ装置Aにおいて作成されたオリジナルプレイリストPLが、第1内蔵記憶媒体4もしくはRAM9に存在していることとする。
【0040】
ステップS1では、オリジナルプレイリストPLに関する情報である書込用プレイリスト情報の作成を開始する。この作成の開始は、ユーザが、表示部2に配置された入力部1としてのタッチパネルもしくはボタンの操作により指令が送られることで行われる。具体的には、図2に示す001〜005のオリジナルプレイリストPLが存在する場合、表示部2にこれらを表示し、ユーザが指定した1つあるいは複数のオリジナルプレイリストPLについて、その書込用プレイリスト情報を作成する。
【0041】
次のステップS2およびステップS3では、指定されたオリジナルプレイリストPLに対応した車両周辺情報を取得し、さらに、これに対応した画像データが存在する場合には、それを付加する。
すなわち、指定されたオリジナルプレイリストPLに、車両周辺情報およびこれに対応された画像データがあるか否か検索し、図2および図3に示すように、これらのデータが存在する場合には、書込用プレイリスト情報として付加する。
【0042】
次のステップS4では、指定されたオリジナルプレイリストPLの選曲順に1曲(1トラック)ずつ書込用プレイリスト情報を作成し、その際、1曲ごとに、TOC(Table of contents)情報、親フォルダ名およびファイル名、TAG名を付加する。
【0043】
図5は、この書込用プレイリスト情報の一例を示している。この図に示す001のプレイリストPLでは、5曲の情報が登録されており、各曲ごとに、TOC(Table of contents)情報、フォルダおよびファイル名、TAG名が付加されているのが分かる。
【0044】
ここで、図5に示す例を見ると、トラックNo.0001と0004が、同じCDに録音されたもので、トラックNo.0001がそのCDの2曲目に録音され、トラックNo.0004がそのCDの5曲目に録音されていることが分かる。同様に、トラックNo.0003と0005とが、同じCDに録音されており、前者が1曲目に録音されており後者が12曲目に録音されていることも分かる。
【0045】
次のステップS5では、指定されたオリジナルプレイリストPLについて、その全曲に対して書込用プレイリスト情報が取得されたか否か判定し、全曲について取得された場合には、ステップS6に進んで、CPU7は、この書込用プレイリスト情報を、外部記憶媒体5へ書き込むように命令を送る。そして、書き込みが終わったら、作業を終了する。
【0046】
次に、上述のようにして、外部記憶媒体5に書き込んだ書込用プレイリスト情報を、外部機器(オーディオ装置)Bで読み込ませ、外部機器B内にプレイリストを作成するまでの処理(読込処理、照合処理、外部プレイリスト作成処理および不一致表示処理)の流れを、図6のフローチャートにより説明する。
なお、この外部機器Bは、図1に示すオーディオ装置Aと同様の構成を有しているものとするが表示部22を除いて図示は省略する。
【0047】
また、ここでは、外部記憶媒体5としてSDカードを用いるものとする。また、外部機器Bとしては、SDカードのインタフェースを持ち、かつ音楽再生機能および書込用プレイリスト情報の読み込み機能を持つソフトウェア(以下、音楽再生ソフトと呼ぶ)をインストールしてあるパーソナルコンピュータとする。なお、この音楽再生ソフトのインストールは、そのプログラムが記憶されたCDなどの記憶媒体から読み込むことで成されている。
【0048】
まず、書込用プレイリスト情報が書き込まれたSDカードを外部機器Bに差し込んで外部記憶媒体5を認識させる(ステップS11)。
【0049】
次に、読込処理を実行する。
この読込処理では、音楽再生ソフトを立ち上げて書込用プレイリスト情報の読み込みを開始させる(ステップS12)。
この読み込みにおいて、まず、この書込用プレイリスト情報に付加されている車両周辺情報と、これに関連した画像データを取得する(ステップS13,S14)。
【0050】
次に、書込用プレイリスト情報に書き込まれているプレイリスト情報、すなわち、TOC情報、親フォルダ名およびファイル名、TAG情報を、トラック順に1曲ずつ読み込む(ステップS15)。
【0051】
次に、照合処理を実行する。
すなわち、読み込んだ各情報を、外部機器Bの音楽再生ソフトが管理している音楽データと比較する(ステップS16)。
そして、この比較において、これらの情報のうちいずれか1つでも一致した楽曲(トラック)が存在する場合は(ステップS17)、車載のオーディオ装置Aで作成したオリジナルプレイリストPLの曲が、外部機器Bの中に存在しているとみなし、その曲を音楽再生ソフト上のプレイリストとして登録するプレイリスト作成処理を実行する(ステップS18)。なお、この外部機器Bで、書込用プレイリスト情報に基づいて作成したプレイリストを、以下、外部プレイリストと称する。
【0052】
一方、外部機器B内に情報が一致する楽曲(トラック)が存在しない場合には、オーディオ装置Aで作成したプレイリストPL中の曲が、この外部機器B内に存在しないと判定して、外部機器Bの音楽再生ソフトの外部プレイリストに登録しないとともに、一致しない楽曲(トラック)として認定する(ステップS20)。
【0053】
書込用プレイリスト情報の全曲(全トラック)に対して、ステップS15〜S20の処理が実行されたか否か判定し、全曲について実行されていない場合には、ステップS15からの処理を繰り返し、全曲について処理が終了したら(ステップS19)、ステップS20において一致しないと認定された楽曲(トラック)名を表示部22において表示する不一致表示処理を実行する(ステップS21)。
以上で、読込処理、照合処理、外部プレイリスト作成処理、不一致表示処理を終了する。
【0054】
なお、上述のオーディオ装置Aからの書込用プレイリスト情報の読み込みから外部プレイリストの作成までの処理は、1つの書込用プレイリスト情報により1つの外部プレイリストを作成する場合について説明したが、複数の書込用プレイリスト情報から複数の外部プレイリストを作成することも可能である。
【0055】
次に、外部機器Bにおいて作成された外部プレイリストを検索して音楽再生を行う処理である外部プレイリスト再生処理の流れを図7のフローチャートに基づき説明する。
なお、以下の、外部プレイリスト再生処理の流れの説明は、オーディオ装置Aから読み込んだ複数の書込用プレイリスト情報に基づいて複数の外部プレイリストを作成し、その一覧のうちから1つの外部プレイリストを選択し、選択された外部プレイリストの曲順で再生を行わせる場合について説明する。
【0056】
外部プレイリストの検索開始時には、まず、車両周辺情報に対応した画像データがあるか否か判定し(ステップS21)、画像データが存在するものには、その画像データを表示部22において一覧表示させる(ステップS22)。一方、画像データが存在しないものについては、テキストのみ表示させる(ステップS23)。
【0057】
そこで、ユーザは、表示部22の画像データおよび車両周辺情報のテキストデータの一覧表示を見て、表示された複数の外部プレイリストから任意の外部プレイリストを選択する(ステップS24)。
【0058】
次に、外部プレイリストの選択が行われたら、この外部プレイリストに関して書込用プレイリスト情報から取得した情報の読み込みを開始する(ステップS25)。
【0059】
この選択された外部プレイリストについて、車両周辺情報に対応した画像データがあるか否か判定し(ステップS26)、画像データが存在する場合、車両周辺情報を表示する(ステップS27)とともに、この車両情報に対応した画像データを全体表示し(ステップS28)する。その後、外部プレイリストの再生順序で楽曲(トラック)の再生を開始する(ステップS29)。
一方、外部プレイリスト情報に、その外部プレイリストに関連した画像データが存在しない場合には、車両周辺情報および画像データの表示を行うことなく、曲の再生を行う(ステップS26→S29)。
【0060】
以上説明したように、本実施例1では、車載のオーディオ装置Aで作成したオリジナルプレイリストPLに関する情報である書込用プレイリスト情報を外部記憶媒体5に記憶させて、車外に持ち出せるようにした。
このため、従来のように、車内で聞いたオリジナルプレイリストPLの内容を、いちいち書き写す必要が無く、特に、車両周辺情報に基づいてオリジナルプレイリストPLを作成するような、自宅で再現するのが困難なプレイリストも、容易に自宅で再現することができる。
しかも、外部記憶媒体5に書き込ませるのは、楽曲データではなく、オリジナルプレイリストPLに関するTOC情報やTAG情報などであるため、書き込みに要する時間を短くできるとともに、著作権を侵害することもない。
【0061】
さらに、本実施例1では、外部記憶媒体5に記憶された書込用プレイリスト情報に基づいて、外部機器Bにおいて、外部プレイリストを作成し、この作成した外部プレイリストに基づいて音楽を再生可能とした。
このため、自宅で、外部プレイリストを改めて作成することなく、気に入ったオリジナルプレイリストPLに従って、簡単に再生することができる。
【0062】
これにより、車内で気に入ったオリジナルプレイリストPLを、いつでもどこでも、再生することができる。
【0063】
加えて、本実施例1では、書込用プレイリスト情報として、1曲ごとに、TOC情報、親フォルダ名およびファイル名、TAG情報を付加するようにした。そして、外部機器Bにおいて、照合時には、外部機器Bに記憶された楽曲のうちで、これらと1つでも共通していれば、同じ楽曲(トラック)と見なすようにした。
このため、同じ音源から録音した楽曲を高い精度で検索することができる。
【0064】
また、本実施例1では、外部機器Bにおいて、書込用プレイリスト情報に一致する楽曲(トラック)が存在しない場合には、表示部22においてこれを表示するようにした。これにより、ユーザは、車載のオーディオ装置Aに録音され、かつオリジナルプレイリストPLに登録された楽曲が、外部機器Bの内部に存在していないことを認識できる。
よって、ユーザは、音源から外部機器Bに録音し直すなどの対応をとることが可能になり、不一致の楽曲を表示しないものと比較して、使い勝手に優れる。
【0065】
しかも、本実施例1では、書込用プレイリスト情報として、オリジナルプレイリストPLを作成する際の車両周辺情報およびこれに関連した画像データも含むようにし、外部機器Bで再生する際には、そのオリジナルプレイリストPLが画像データを有している際には、この画像データおよび車両周辺情報のテキストデータを一覧表示させるようにした。
よって、ユーザは、オリジナルプレイリストPLを作成したときの車両周辺情報を、容易に読取ることができ、例えば、外部プレイリストのナンバーのみを表示するのと比較して、希望の外部プレイリストの選択が容易となり、操作性に優れる。
【0066】
さらに、作成した外部プレイリストによる音楽再生時には、その書込用プレイリスト情報から取得した画像データが存在する場合には、その画像データを全画面表示するようにした。
このため、ユーザは、音楽を聞きながらオリジナルプレイリストPLを作成した時の画像を楽しみ、車両を走らせていたときの臨場感を提供することができる。
【実施例2】
【0067】
次に、本発明の実施の形態の実施例2のオーディオ装置を説明する。
この実施例2は、前記実施例1の変形例であるので、相違点のみを説明する。
【0068】
図8は、外部機器Bにおいて、書込用プレイリスト情報を読み込んでプレイリストを作成する動作の流れを示すフローチャートである。
【0069】
この実施例2において、実施例1との相違点は、外部機器Bにおいて、書込用プレイリスト情報に一致する楽曲(トラック)が存在しない場合、これを表示することなく処理を終えるようにした例である。
【0070】
したがって、ステップS17において、一致するトラックが存在しない場合には、ステップS19の処理に進む。
【0071】
以上、図面を参照して、本発明の実施の形態および実施例1,2を詳述してきたが、具体的な構成は、この実施の形態および実施例1,2に限らず、本発明の要旨を逸脱しない程度の設計的変更は、本発明に含まれる。
【0072】
すなわち、実施例1,2では、外部機器Bとして、パーソナルコンピュータを示したが、これに限定されるものではない。例えば、外部機器として、携帯式のオーディオ装置などが考えられる。この場合、この外部機器と外部記憶手段とを同一のもので構成することができ、このようにした場合、書込用プレイリスト情報を、外部記憶手段として携帯式のオーディオ装置に書き込んだ時点で、このオーディオ装置に、読込処理を即座に実行させることができ、ユーザにとっては、書き込みと読み込みとの2つの操作をする必要がなく、使い勝手が高まる。
【0073】
また、実施例1,2では、オーディオ装置Aにおいて、プレイリストを作成するにあたり、ユーザの設定情報に基づいて作成する手法と、車両周辺情報に基づいて作成する手法とを併用する手段を示したが、これに限定されるものではなく、少なくとも1つの手法でプレイリストを作成するものであればよい。この場合、前述の2つの手法のいずれか一方の手動で作成するものでもよいし、あるいは、これら2つの手法以外の手法で作成するものでもよい。
【0074】
このように、車両周辺情報に基づかずにプレイリスト作成処理を実行するオーディオ装置にあっては、情報持出処理において、車両周辺情報および画像データの取得が不要となる。この場合の情報持出処理の動作の一例を図9に示す。
なお、図9に示すフローチャートの各処理は、図4に示した実施例1の情報持出処理の処理と同様のものに同じステップ符号を付けて、説明は省略する。
【0075】
また、実施例1,2では、オーディオ装置として、車載のオーディオ装置Aと、外部機器Bとしての自宅のパーソナルコンピュータとを示したが、これに限定されるものではない。例えば、車載のオーディオ装置間で、プレイリストの持ち出しおよび読み込みを行うようにしてもよいし、あるいは、パーソナルコンピュータ間で、プレイリストの持ち出しおよび読み込みを行うようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明の実施の形態の実施例1のオーディオ装置Aの構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態の実施例1のオーディオ装置Aにおけるプレイリストと、このプレイリストを作成するのに用いられた車両周辺情報との関係を示す説明図である。
【図3】本発明の実施の形態の実施例1のオーディオ装置Aにおけるプレイリストの作成に用いた車両周辺情報と画像データとの関係を示す説明図である。
【図4】本発明の実施の形態の実施例1のオーディオ装置Aの情報持出処理における動作の流れを示すフローチャートである。
【図5】本発明の実施の形態の実施例1のオーディオ装置Aの書込用プレイリスト情報を示す説明図である。
【図6】本発明の実施の形態の実施例1の外部機器Bにおいて、外部記憶媒体5に記憶された書込用プレイリスト情報に基づいて、外部機器B内にプレイリストを作成するまでの処理である読込処理、照合処理、プレイリスト作成処理および不一致表示処理を実行する際の動作の流れを示すフローチャートである。
【図7】本発明の実施の形態の実施例1の外部機器Bにおいて作成されたプレイリストを検索して音楽再生を行う場合の再生処理の動作の流れを示すフローチャートである。
【図8】本発明の実施の形態の実施例2の外部機器Bにおいて、外部記憶媒体5に記憶された書込用プレイリスト情報に基づいて、外部機器B内にプレイリストを作成するまでの処理である読込処理、照合処理、プレイリスト作成処理を実行する際の動作の流れを示すフローチャートである。
【図9】本発明の実施の形態の他の例の情報持出処理の動作の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0077】
2 表示部(表示手段)
4 第1内蔵記憶媒体(内蔵記憶手段)
5 外部記憶媒体(外部記憶手段)
7 CPU(制御手段)
11 車両周辺情報取得部
A オーディオ装置
B 外部機器(外部オーディオ装置)
PL プレイリスト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の楽曲が記憶された記憶手段と、
この記憶手段に記憶された複数の楽曲から、設定された条件に従って選択して、その再生順序のリストであるプレイリストを作成するプレイリスト作成処理、および前記プレイリストの再生順序に従って音楽の再生を行うプレイリスト再生処理を実行可能な制御手段と、
を備えたオーディオ装置であって、
前記記憶手段として、装置に内蔵された内蔵記憶手段と、装置に着脱可能な外部記憶手段と、を備え、
前記制御手段が、前記内蔵記憶手段に記憶されたプレイリストに関する情報を、外部記憶手段に書き込む情報持出処理を実行することを特徴とするオーディオ装置。
【請求項2】
車両に搭載されていることを特徴とする請求項1に記載のオーディオ装置。
【請求項3】
前記情報持出処理で、前記外部記憶手段に書き込まれる情報が、前記楽曲の再生用データとは別の、この楽曲が元々記憶されていた記憶媒体の情報書込領域に記憶されていた目次情報と、楽曲の再生用データに与えられている親フォルダ名およびファイル名に関する情報と、楽曲の再生用データ以外に付属して与えられている付属情報と、の少なくとも1つを含む情報であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のオーディオ装置。
【請求項4】
前記制御手段が、前記プレイリスト作成処理において、車両走行時の車両周辺情報に基づいてプレイリストを作成する機能を有し、かつ、前記プレイリストに関する情報として、プレイリスト作成時の前記車両周辺情報が含まれていることを特徴とする請求項2または請求項3に記載のオーディオ装置。
【請求項5】
前記プレイリストに関する情報として、走行区域の画像データが含まれていることを特徴とする請求項4に記載のオーディオ装置。
【請求項6】
複数の楽曲が記憶された記憶手段と、
この記憶手段に記憶された複数の楽曲の再生を行う再生処理を実行可能な制御手段と、
を備えたオーディオ装置であって、
前記制御手段が、請求項1〜5に記載の外部記憶媒体に記憶されたプレイリストに関する情報を読み込む読込処理と、読み込まれたプレイリストに関する情報と前記記憶手段に記憶された楽曲とを照合する照合処理と、照合により一致した楽曲の再生順序のリストである外部プレイリストを作成する外部プレイリスト作成処理と、前記外部プレイリストに従って楽曲の再生を行う外部プレイリスト再生処理と、を実行することを特徴とするオーディオ装置。
【請求項7】
前記照合処理において、プレイリストに関する情報に一致する楽曲が無かった場合に、一致しないプレイリストの楽曲を示す情報を表示手段により表示する不一致表示処理を実行することを特徴とする請求項6に記載のオーディオ装置。
【請求項8】
前記読取処理により読み込んだプレイリストに関する情報に画像データが含まれているか否か判定し、画像データが含まれている場合には、画像データを表示手段により表示させる画像表示処理を実行することを特徴とする請求項6または請求項7に記載のオーディオ装置。
【請求項9】
請求項6に記載の読込処理、照合処理、外部プレイリスト作成処理、外部プレイリスト再生処理を実行するためのプログラムを記録したコンピュータ読取可能な記録媒体。
【請求項10】
請求項7および/または請求項8に記載の表示処理を実行するためのプログラムを記録した請求項9に記載のコンピュータ読取可能な記録媒体。
【請求項11】
前記請求項1に記載の前記情報持出処理を実行するためのプログラムを記憶したコンピュータ読取可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−77745(P2008−77745A)
【公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−255285(P2006−255285)
【出願日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【出願人】(000001487)クラリオン株式会社 (1,722)
【Fターム(参考)】