オートクレーブ
【課題】下段及び上段それぞれに配置された成形材の昇温速度、加熱硬化速度の均一化を図ることが可能なオートクレーブを提供する。
【解決手段】圧力容器10と、該圧力容器10内に配置され内部に加熱対象となる成形材Wが収納される内側容器11との間に高温ガスが循環するガス流路Rを形成し、該ガス流路Rにて加熱されて内側容器11の下部に流入する高温ガスが、内側容器11の上部からガス流路Rに流出するオートクレーブ1において、内側容器11内の上下に離間して設けられ、成形材Wがそれぞれ支持される下段支持部20及び上段支持部30と、上段支持部30に支持される成形材Wの加熱を補助する加熱補助手段40とを設ける。加熱補助手段40としては、例えば上段支持部30に延びるバイパス流路41を設ける。
【解決手段】圧力容器10と、該圧力容器10内に配置され内部に加熱対象となる成形材Wが収納される内側容器11との間に高温ガスが循環するガス流路Rを形成し、該ガス流路Rにて加熱されて内側容器11の下部に流入する高温ガスが、内側容器11の上部からガス流路Rに流出するオートクレーブ1において、内側容器11内の上下に離間して設けられ、成形材Wがそれぞれ支持される下段支持部20及び上段支持部30と、上段支持部30に支持される成形材Wの加熱を補助する加熱補助手段40とを設ける。加熱補助手段40としては、例えば上段支持部30に延びるバイパス流路41を設ける。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、航空機、産業機器等の構成部品としての繊維強化プラスチック(FRP)の成形材を加圧下で加熱するオートクレーブに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、繊維強化プラスチックからなる構造体の製造方法として、薄板状をなす繊維強化プラスチックが多数積層されてなる成形材を、高圧下で加熱することで一体化させるオートクレーブ成形が知られている(例えば特許文献1参照)。このオートクレーブ成形は、高圧の高温ガスが内部を循環するオートクレーブによって行われる。
即ち、このオートクレーブにおいては、外部から高圧のガスが供給された圧力容器内に成形材を収容した状態で、該圧力容器内のガスを加熱しながら循環させる。これによって、成形材に対して高圧の高温ガスが絶え間なく供給され、多数の薄板状の繊維強化プラスチックからなる成形材が硬化、接着される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第2799633号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年の繊維強化プラスチックの需要の増大に伴い、上記オートクレーブ成形の高効率化が求められている。これに対して、例えばオートクレーブの高圧容器内に上下二段となるように成形材を複数配置して、これら上下複数の成形材に一度にオートクレーブ成形を施すことが考えられる。
【0005】
しかしながら、上段、下段それぞれの成形材に対して熱量を均一に与えることは容易ではなく、例えば、高圧容器の下部から上部に向かって高温ガスを流通させた場合には、下段の成形材によって高温ガスの熱量が奪われる結果、当該高温ガスが上段に至る際にはその温度が低下してしまい、上段に供給される熱量が下段に比べて不足してしまう。これにより、下段と上段とでは、成形材に対して同一の昇温速度、加熱硬化速度でのオートクレーブ成形を施すことができないという問題があった。
【0006】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであって、下段及び上段それぞれに配置された成形材の昇温速度、加熱硬化速度の均一化を図ることが可能なオートクレーブを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明は以下の手段を提供している。
即ち、本発明に係るオートクレーブは、圧力容器と、該圧力容器内に配置され内部に加熱対象となる成形材が収納される内側容器との間に高温ガスが循環するガス流路を形成し、該ガス流路にて加熱されて前記内側容器の下部に流入する前記高温ガスが、前記内側容器の上部から前記ガス流路に流出するオートクレーブであって、前記内側容器内の上下に離間して設けられ、前記成形材がそれぞれ支持される下段支持部及び上段支持部と、前記上段支持部に支持される前記成形材の加熱を補助する加熱補助手段とを備えることを特徴とする。
【0008】
このような特徴のオートクレーブでは、ガス流路にて加熱された高温ガスが内側容器の下部から上部に向かって流通することにより、該内側容器内の成形材が加熱される。ここで、内側容器の下部から上部に向かって高温ガスが流通する際には、該高温ガスの熱量が下段支持部の成形品によって奪われるため、高温ガスによって上段支持部の成形品に供給される熱量は下段支持部の成形品に供給される熱量に比べて不足する。
この点、本発明においては、加熱補助手段が上段支持部の成形材を加熱することによって、高温ガスの不足する熱量を補うことができる。これにより、下段支持部及び上段支持部それぞれの成形材に供給される熱量の均一化を図ることができる。
【0009】
また、本発明に係るオートクレーブは、前記加熱補助手段として、前記内側容器の下部から前記下段支持部に向かって延びる前記高温ガスの主流路から分岐して、前記上段支持部に向かって延びるバイパス流路を少なくとも含むことを特徴とする。
【0010】
このような特徴のオートクレーブによれば、下段支持部に向かって延びる主流路から分岐するバイパス流路を介して、高温ガスが上段支持部の成形材に直接的に供給される。これによって、上段支持部周囲の雰囲気温度を上昇させて、該上段支持部に載置された成形材の昇温速度、加熱硬化速度を上昇させることができる。
【0011】
さらに、本発明に係るオートクレーブは、前記主流路を介して前記下段支持部に供給される前記高温ガスの熱量と、前記主流路及び前記バイパス流路の双方を介して前記上段支持部に供給される前記高温ガスの熱量とが等しくなるように、前記主流路に対する前記バイパス流路の開口面積が設定されていることを特徴とする。
【0012】
主流路を流通する高温ガスによって下段支持部に供給される熱量と、主流路を流通し下段支持部を経由した後に上段支持部に供給される熱量とでは、前者の熱量の方が大きいものとなる。そこで、下段支持部に比べて不足する上段支持部の熱量を補えるだけの高温ガスを上段支持部に対して直接的に供給可能となるように、主流路に対するバイパス流路の開口面積を設定する。これにより、下段支持部と上段支持部とに供給される熱量の均一化を適切に図ることができる。
【0013】
また、本発明に係るオートクレーブは、前記加熱補助手段として、前記ガス流路を循環する前記高温ガスを前記上段支持部に向かって抽気する抽気路を少なくとも含むことを特徴とする。
【0014】
このような特徴のオートクレーブによれば、温度が十分に高いガス流路の高温ガスを上段支持部に直接的に送り込むことによって、該上段支持部周囲の雰囲気温度を上昇させ、該上段支持部に載置された成形材の昇温速度及び加熱硬化速度を上昇させることができる。
【0015】
さらに、本発明に係るオートクレーブは、前記加熱補助手段として、前記ガス流路を循環する前記高温ガスを、前記下段支持部と前記上段支持部との間の領域の水平方向端部において上方に向かう微小気流として噴出する気流誘導ノズルを少なくとも含むことを特徴とする。
【0016】
ここで、内側容器の下部から流入する高温ガスは、まず下段支持部に供給されるため、該下段支持部によって高温ガスの気流が妨げられることにより、下段支持部と上段支持部との間の領域では高温ガスの気流速度が低下する。このため、上段支持部の十分な温度上昇を図ることが困難となる。
これに対して本発明では、気流誘導ノズルによって、下段支持部と上段支持部との間の領域の水平方向端部において上方に向かう気流が噴出されるため、当該気流によって周囲の高温ガスを同じく上方に向けて誘引することができる。即ち、気流によって周囲雰囲気を引き込むエゼクター効果が発現されるため、特に気流速度が低下する下段支持部の水平方向端部の下方における気流速度を向上させることが可能となる。これによって、上段支持部に対して十分な高温ガスの気流を送り込むことができ、上段支持部に載置された成形材の昇温速度、加熱硬化速度を上昇させることができる。
【0017】
また、本発明に係るオートクレーブは、前記加熱補助手段として、前記上段支持部に設けられた発熱体を少なくとも含むことを特徴とする。
【0018】
このような特徴のオートクレーブによれば、下段支持部において低下した高温ガスの熱量を発熱体によって補うことができる。これによって、上段支持部を介して発熱体から成形材に対して熱量を供給することができるため、該上段支持部に載置された成形材の昇温速度、加熱硬化速度を上昇させることができる。
なお、発熱体としてラジエターを搭載したヒーターを採用すれば、例えばオートクレーブの降温時にラジエターの除熱量を大きくすることで、速やかに降温させることができる。
また、発熱体により供給される熱量は、下段支持部と上段支持部との温度差、及び、内側容器内を流通する高温ガスの質量流量に比例するように制御されることが好ましい。これにより、下段支持部に対して必要な分だけの熱量を供給することができる。
【0019】
さらに、本発明に係るオートクレーブは、前記加熱補助手段として、前記内側容器内を前記下段支持部の存在する下室と前記上段支持部の存在する上室とに区画するともに、前記上段支持部と前記下段支持部との間の領域に前記下室と前記上室とを連通する連通孔を備えた仕切り板を少なくとも含むことを特徴とする。
【0020】
上述したように、下段支持部と上段支持部との間の領域は高温ガスの気流速度が低下してしまう。これに対して、仕切り板によって内側容器内を下室と上室とに区分けして、該仕切り板に連通孔を形成すると、下室から上室に向かう高温ガスは必ず当該連通孔を通過することになる。そして、本発明においては、この連通孔が高温ガスの気流速度が低下する下段支持部と上段支持部との間の領域に形成されているため、当該領域に高温ガスを集中させることができる。これにより、上段支持部の下面における気流速度を上昇させて、該上段支持部の成形材に供給される熱量を増加させることができる。
【0021】
また、本発明に係るオートクレーブは、 前記加熱補助手段として、前記下段支持部及び前記上段支持部のうち少なくとも前記上段支持部の側方に設けられ、前記高温ガスの流れを前記成形材に向かって案内するガイド部と、前記ガス流路を循環する前記高温ガスを、前記ガイド部近傍に向かう気流として噴出する気流誘導ノズルとを少なくとも含むことを特徴とする。
【0022】
このような特徴のオートクレーブによれば、ガイド部によって、下段支持部の側方を流通する高温ガスを成形材に導入することができるため、オートクレーブ成形の時間短縮を図ることができる。さらに、気流誘導ノズルから噴出される気流をガイド部近傍で噴出させることにより、周囲の高温ガスをガイド部に向けて誘引することができる。これにより、ガイド部によって成形材に導入される高温ガスの量を増加させることができ、上段支持部に載置された成形材の昇温速度及び加熱硬化速度を上昇させることが可能となる。
また、下段支持部の側方にもガイド部及び気流誘導ノズルを設けた場合には、下段支持部の側方に回り込む高温ガスを当該下段支持部上の成形材の加熱に有効に活用することができる。これにより、オートクレーブ成形に要する時間をより一層短縮することができる。
【0023】
さらに、本発明に係るオートクレーブは、前記上段支持部又は前記下段支持部の少なくとも一方に、上下方向に貫通する貫通孔が形成されていることを特徴とする。
【0024】
例えば、成形材の形状が水平方向一方側から他方側に向かうに従って幅寸法が変化するものの場合、下段支持部又は上段支持部を下方から上方に回り込むように流通する高温ガスは、幅寸法が小さく抵抗の低い部分(面積の小さい部分)に集中する一方、幅寸法が大きく抵抗の大きい部分(面積の大きい部分)には十分に流通しない。即ち、面積の大きい部分に流れるべき高温ガスが面積の小さい部分に流れ込んでしまうため、成形材全体として昇温、加熱硬化の時間が長くなってしまう。
これに対して、上段支持部や下段支持部に上下方向の貫通孔を形成することにより、高温ガスは上段支持部や下段支持部を回り込むことなく、貫通孔を介して成形材に到達する。これにより、成形材の幅寸法にかかわらず該成形材全体に均一に高温ガスを供給することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明のオートクレーブによれば、加熱補助手段によって上段支持部に熱量を供給することで、下段支持部及び上段支持部それぞれの成形材に供給される熱量の差を小さくすることができるため、これら成形材の昇温速度、加熱硬化速度の均一化を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】第一実施形態に係るオートクレーブを側面から見た際の縦断面図である。
【図2】第一実施形態に係るオートクレーブを正面から見た際の縦断面図である。
【図3】第二実施形態に係るオートクレーブを正面から見た際の縦断面図である。
【図4】第三実施形態に係るオートクレーブを正面から見た際の縦断面図である。
【図5】図4の部分拡大図である。
【図6】第四実施形態に係るオートクレーブを正面から見た際の縦断面図である。
【図7】第五実施形態に係るオートクレーブを正面から見た際の縦断面図である。
【図8】仕切り板がないオートクレーブを正面から見た際の縦断面図である。
【図9】第六実施形態に係るオートクレーブを正面から見た際の縦断面図である。
【図10】図9の部分拡大図である。
【図11】変形例に係るオートクレーブを側面から見た際の縦断面図である。
【図12】幅寸法が変化する成形材を貫通孔のない下段支持部及び上段支持部に支持した際の高温ガスの気流を説明する(a)平面図、(b)側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図1及び図2を参照して第一実施形態のオートクレーブ1について説明する。
オートクレーブ1は、例えば炭素繊維に樹脂を含浸させた繊維強化プラスチック(FRP)等の複合材のシートを積層してなる成形材Wに、加圧加熱処理を施すことで該成形材Wを接着硬化させるために用いられる。このオートクレーブ1は、圧力容器10と、内側容器11と、加熱手段15と、循環手段16と、下段支持部20と、上段支持部30及び加熱補助手段40とを備えている。
【0028】
圧力容器10は、水平方向に延在する円筒形状の両端が密閉された構造をなしており、その内部には、図示しないガス導入手段によって導入される高圧のガスが密閉状態で封止される。
内側容器11は、上記圧力容器10の内側に該圧力容器10の内壁面と間隔をあけて配置される容器であって、圧力容器10と同様、水平方向に延在する円筒状の両端が密閉された構造をなしている。本実施形態においては圧力容器10と内側容器11とは、中心軸線を一致させた同心円状に配置されており、これら圧力容器10及び内側容器11の延在方向両端の少なくとも一方は、開閉可能な扉状に構成されている。この扉を開放することによって内側容器11内に成形材Wを導入することができるようになっている。
【0029】
また、圧力容器10と内側容器11との間の空間は、圧力容器10内に導入されて加熱されたガスが循環するガス流路Rとされている。このガス流路Rは、内側容器11の外周面の全周にわたって該内側容器11を取り巻くように形成されている。
さらに、内側容器11の下部には、該内側容器11の内外を連通するガス流入口12が形成されており、内側容器11の上部には該内側容器11の内外を連通するガス流出口13が形成されている。また、内側容器11の内部の下方には、ガス流入口12に接続されて上方に向かって延在する主流路14が形成されている。
【0030】
なお、以下では、圧力容器10及び内側容器11の延在方向(図1の左右方向、図2の紙面奥行き方向)を奥行き方向と称し、当該奥行き方向に直交する断面の水平方向(図1の紙面奥行き方向、図2の左右方向)を幅方向と称する。
【0031】
加熱手段15は、ガス流路Rを循環するガスを加熱するためのヒーターであって、本実施形態においては、図2に示すように、内側容器11の幅方向両側におけるガス流路Rにそれぞれ配置されている。これにより、ガス流路Rを流通するガスが加熱手段15に接触することによって昇温される。
循環手段16は、内側容器11のガス流出口13の外側におけるガス流路R、即ち、ガス流路Rの最上部に配置されたファンであって、ガス流路R最上部から該ガス流路Rに沿ってガスを下方に向けて循環させる役割を有している。この循環手段16は、図1に示すように、奥行き方向に間隔をあけて複数(本実施形態では4つ)が設けられている。
【0032】
下段支持部20は、内側容器11内の下部において成形材Wを支持する役割を有しており、内側容器11内の主流路14の下流側、即ち、主流路14の上方に設けられている。この下段支持部20は、水平方向に延在するベースプレート21と、該ベースプレート21の上部に複数が設けられ、上方に向かって延在する載置台22とを備えており、該載置台22上にそれぞれ成形材Wが載置されている。
【0033】
上段支持部30は、内側容器11内の上部において成形材Wを支持する役割を有しており、上記下段支持部20の上方に離間して配置されている。この上段支持部30は、下段支持部20と同様、水平方向に延在するベースプレート31と、該ベースプレート31の上部に複数が設けられ、上方に向かって延在する載置台32とを備えており、当該載置台32上に成形材Wが載置される。
このように、本実施形態においては、上下に離間して二段に配置された下段支持部20及び上段支持部30によって成形材Wが支持されている。なお、下段支持部20及び上段支持部30が、それぞれベースプレート21,31のみからなり、これらベースプレート21,31上に直接的に成形材Wが載置されていてもよい。
【0034】
加熱補助手段40は、上段支持部30に支持された成形材Wの加熱を補助する役割を有している。本実施形態においては、加熱補助手段40として、上記主流路14から分岐して上段支持部30に向かって延びるバイパス流路41を採用している。
このバイパス流路41は、一端が主流路14に接続されて該主流路14の内周面に開口するとともに、他端が上段支持部30のベースプレート31の下方に開口する管状の部材によって形成されている。
【0035】
なお、本実施形態におけるバイパス流路41は、図2に示すように下段支持部20の幅方向両側を当該幅方向外側に迂回するように一対が下方から上方に向かって延在しているが、一端が主流路14に接続され他端が上段支持部30に向けて開口されている限り、どのような経路で主流路14から上段支持部30に向かって延在していてもよい。また、バイパス流路41は一対に限らず、例えば一のみであってもよいし、三つ以上が設けられていてもよい。
【0036】
次に、上記構成のオートクレーブ1の作用について説明する。
このオートクレーブ1を用いて成形材Wにオートクレーブ成形を施す際には、下段支持部20及び上段支持部30に成形材Wを載置させた状態で、ガス流路R内の高圧のガスを加熱手段15によって加熱するとともに循環手段16によってガス流路Rに沿って上部から下部に向かって送り込む。すると、加熱手段15により加熱された高温ガスが、ガス流路Rの下部からガス流入口12を介して内側容器11内に流入する。
【0037】
内側容器11内に流入した高温ガスは主流路14を通過した後、内側容器11内を下方から上方に向かって下段支持部20及び上段支持部30の順で流通していく。また、主流路14を流通する高温ガスの一部は、該主流路14から分岐するバイパス流路41内に流入し、当該バイパス流路41を通過した後、上段支持部30に向かって進行する。このように、主流路14及びバイパス流路41を介して高温ガスが下段支持部20及び上段支持部30に供給されることで、これら下段支持部20及び上段支持部30に支持された成形材Wが加熱される。
【0038】
そして、主流路14又はバイパス流路41を通過して成形材Wを加熱した高温ガスは、内側容器11の上部においてガス流出口13を介して該内側容器11の外部、即ち、ガス流路Rの最上部に流出する。そして、このようにガス流路Rの最上部に到達した高温ガスは、循環手段16によってガス流路Rの下部に向かって送り込まれ、加熱手段15によって加熱された後、再度内側容器11内に流入する。
【0039】
ここで、主流路14から下段支持部20に向かって供給された高温ガスは、まず最初に下段支持部20の成形品によって熱量が奪われることになる。したがって、主流路14を通過した高温ガスは、上段支持部30に到達する際には熱量が低下してしまい、当該主流路14のみを通過した高温ガスでは上段支持部30の成形品Wを十分に加熱することができない。
【0040】
これに対して、本実施形態においては、主流路14から分岐するバイパス流路41を介して、熱量が低下していない高温ガスを上段支持部30の成形材Wに直接的に供給することができる。これにより、上段支持部30周囲の雰囲気温度を上昇させることができるため、該上段支持部30に載置された成形材Wの昇温速度を向上させることが可能となる。したがって、下段支持部20及び上段支持部30それぞれの成形材Wに供給される熱量の均一化を図ることができ、即ち、これら下段支持部20及び上段支持部30の成形材Wの昇温速度、加熱硬化速度の均一化を図ることができる。
【0041】
なお、バイパス流路41によって上段支持部30に直接的に供給される高温ガスの量は、バイパス流路41の主流路14に対する開口面積を変化させることで任意に調整することができる。これを利用して、主流路14を介して下段支持部20に供給される高温ガスの熱量と、主流路14及びバイパス流路41の双方を介して上段支持部30に供給される高温ガスの熱量とが等しくなるように、バイパス流路41の開口面積を設定することが好ましい。
【0042】
即ち、主流路14を流通する高温ガスによって下段支持部20に供給される熱量と、主流路14を流通し下段支持部20を経由した後、上段支持部30に供給される熱量とでは、前者の熱量の方が大きいものとなる。そこで、下段支持部20に比べて不足する上段支持部30の熱量を補える分の高温ガスを上段支持部30に対して直接的に供給可能となるように、主流路14に対するバイパス流路41の開口面積を設定する。これにより、上段支持部30と下段支持部20とに供給される熱量の均一化、即ち、上段支持部30及び下段支持部20それぞれの成形材Wの昇温速度、加熱硬化速度の均一化を図ることができる。
【0043】
なお、例えばバイパス流路41の開口面積を可変とするとともに下段支持部20及び上段支持部30それぞれの温度を測定する一対の温度センサを設置し、これら温度センサの検出する温度の差分に基づいて上記開口面積を自動調整する制御部を設けてもよい。これにより、下段支持部20と上段支持部30との温度が等しくなるように開口面積を適切に調整することができるため、これら上段支持部30及び下段支持部20の成形材Wの昇温速度及び加熱硬化速度を容易に均一化することができる。
【0044】
次に、図3を参照して第二実施形態のオートクレーブ1について説明する。
第二実施形態においては第一実施形態と同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明を省略する。なお、図3においては加熱手段15の図示を省略している。この第二実施形態のオートクレーブ1は、加熱補助手段40の構成について第一実施形態と相違する。
【0045】
即ち、第二実施形態では、加熱補助手段40として、ガス流路Rを循環する高温ガスを上段支持部30に向かって抽気する抽気路42を採用している。
この抽気路42は、一端がガス流路R内において当該ガス流路Rの上流側を向くように開口し、他端が複数に分岐して上段支持部30のベースプレート31付近において上方を向くように開口する管状の部材から構成されている。これにより、ガス流路Rから抽気路42に導入された高温ガスは、該抽気路42を介して上段支持部30に直接的に抽気される。また、この抽気路42には、当該抽気路42を流通する高温ガスの流量を調整する弁装置としての抽気流量調節機構42aが設けられている。これによって、上段支持部30に供給される高温ガスの流量を任意に調整することができる。
【0046】
なお、本実施形態における抽気路42は、内側容器11の両側方から上段支持部30に延在するように一対が設けられているが、一端がガス流路R内に開口し他端が上段支持部30に向けて開口している限り、どのような経路でガス流路Rから上段支持部30に延在していてもよい。また、抽気路42は一対に限らず、例えば一のみであってもよいし、三つ以上が設けられていてもよい。
【0047】
この第二実施形態のオートクレーブ1によれば、温度が十分に高いガス流路Rの高温ガスを抽気路42を介して上段支持部30に直接的に送り込むことができる。これにより、上段支持部30周囲の雰囲気温度を上昇させ、該上段支持部30に載置された成形材Wに供給される熱量を増加させることができる。したがって、第一実施形態と同様、下段支持部20及び上段支持部30それぞれの成形品の昇温速度及び熱硬化速度の均一化を図ることができる。
また、第一実施形態と同様に、下段支持部20及び上段支持部30それぞれの温度を測定する一対の温度センサを設置し、これら温度センサの検出する温度の差分に基づいて上記抽気流量調節機構42aの高温ガスの流量を調整する制御部を設けてもよい。これにより、下段支持部20と上段支持部30との温度が等しくなるように高温ガスの流量を適切に調整することができるため、これら上段支持部30及び下段支持部20の成形材Wの昇温速度及び加熱硬化速度を容易に均一化することができる。
【0048】
次に、図4及び図5を参照して第三実施形態のオートクレーブ1について説明する。
第三実施形態においては第一実施形態と同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明を省略する。なお、図3においては加熱手段15の図示を省略している。この第二実施形態のオートクレーブ1は、加熱補助手段40の構成について第一実施形態と相違する。
【0049】
即ち、第三実施形態では、加熱補助手段40として、下段支持部20と上段支持部30との間の領域の水平方向端部において上方に向かう気流として噴出する気流誘導ノズル43を採用している。
この気流誘導ノズル43は、一端がガス流路R内において当該ガス流路Rの上流側を向くように開口し、他端が下段支持部20と上段支持部30との間の領域の水平方向端部、即ち、幅方向端部において上方に向かうように開口した管状の部材である。
なお、特に本実施形態では、図5に示すように、気流誘導ノズル43の他端は下段支持部20の成形材Wの側方において上方に向かって開口するように配置されている。
このような構成により、気流誘導ノズル43の一端から導入された高温ガスは、該気流誘導ノズル43内を流通して、他端から上方に向かう気流として噴出される。
【0050】
ここで、内側容器11の下部から主流路14に流入する高温ガスは、まず下段支持部20に送り込まれるため、該下段支持部20によって高温ガスの上向きの気流が妨げられることになる。したがって、下段支持部20と上段支持部30との間の領域では高温ガスの気流速度が低下し、上段支持部30に対して供給される熱量が低下してしまう。
【0051】
これに対して、本実施形態では、上記気流誘導ノズル43によって上方に向かう気流が噴出されるため、図6に示すように、当該気流によって周囲の高温ガスを同じく上方に向けて誘引することができる。即ち、気流誘導ノズル43から噴出される気流によって周囲雰囲気が引き込まれるエゼクター効果が発現されるため、特に気流速度が低下する下段支持部20と上段支持部30との間の領域の水平方向端部(幅方向端部)における気流速度を向上させることが可能となる。
これによって、上段支持部30に対して十分な量の高温ガスの気流を送り込むことができるため、上段支持部30に載置された成形材Wの昇温速度及び加熱硬化速度を上昇させることができる。
【0052】
次に図6を参照して第四実施形態のオートクレーブ1について説明する。
第四実施形態においては第一実施形態と同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明を省略する。なお、図6においては加熱手段15の図示を省略している。この第四実施形態のオートクレーブ1は、加熱補助手段40の構成について第一実施形態と相違する。
【0053】
即ち、第四実施形態では、加熱補助手段40として、上段支持部30に設けられた発熱体44と、第一温度測定部44aと、第二温度測定部44bと、質量流量測定部44cと、発熱量制御部44dとを備えている。
発熱体44は、上段支持部30のベースプレート31に一体に組み込まれたヒーターであって、供給される電流量に応じた熱量を発熱可能とされている。
第一温度測定部44a及び第二温度測定は、対象となる箇所の温度をそれぞれ測定可能なセンサーであって、第一温度測定部44aは下段支持部20の高温ガス上流側(下段支持部20の下方)の温度T1を測定するように配置され、第二温度測定部44bは、下段支持部20の高温ガスの下流側(下段支持部20と上段支持部30との間の領域)の温度T2を測定するように配置されている。
【0054】
質量流量測定部44cは、内側容器11内を流通する高温ガスの質量流量Gを測定するセンサーであって、本実施形態においては、例えば主流路14を流通する高温ガスの総流量の質量流量Gを検出するように配置されている。
発熱量制御部は、第一温度測定部44aにより測定される温度T1と第二温度測定部44bにより測定される温度T2との温度差T1−T2と、質量流量測定部44cによって検出される高温ガスの質量流量Gとに基づいて、電流を図示しない電源から発熱体44に対して供給するように構成されている。
【0055】
このような第四実施形態のオートクレーブ1では、下段支持部20において低下した高温ガスの熱量を、発熱体44から発熱される熱量によって補うことができる。これによって、発熱体44から上段支持部30を介して成形材Wに熱量を供給することができるため、該上段支持部30に載置された成形材Wの昇温速度及び熱硬化速度を上昇させることができる。したがって、下段支持部20及び上段支持部30それぞれの成形品の昇温速度及び熱硬化速度の均一化を図ることが可能となる。
また、発熱体44は、発熱量制御部44dから供給されるT1−T2及び質量流量Gに比例した電流に基づいて発熱するため、同じく温度差T1−T2及び質量流量Gに基づいた熱量を上段支持部30に対して供給することになる。好ましくは、発熱体44が、温度差T1−T2及び質量流量Gに比例した熱量を上段支持部30に対して供給する。これにより、下段支持部20と比較して不足する分だけの上段支持部30の熱量を適切に補うことができる。
【0056】
次に図7を参照して第五実施形態のオートクレーブ1について説明する。
第五実施形態においては第一実施形態と同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明を省略する。この図7においては加熱手段15の図示を省略している。第五実施形態のオートクレーブ1は、加熱補助手段40の構成について第一実施形態と相違する。なお、第五実施形態においては、下段支持部20及び上段支持部30はそれぞれベースプレート21,31のみから構成されており、これらベースプレート21,31上に成形材Wが直接的に載置されている。
【0057】
第五実施形態では加熱補助手段40として、内側容器11内を下段支持部20の存在する下室45aと上段支持部30の存在する上室45bとに区画する仕切り板45を採用している。
この仕切り板45は、水平方向(幅方向及び奥行き方向)に延在する板状をなしており、その外周縁部が内側容器11の内壁面に例えば溶接等によって固定されている。また、仕切り板45の中央、即ち、該仕切り板45における下段支持部20と上段支持部30との間の領域には、上室45bと下室45aとを連通する連通孔46が形成されている。この連通孔46は、図7に示す断面において、上段支持部30及び下段支持部20の幅方向の寸法よりも小さく形成されている。なお、この連通孔46は、奥行き方向に間隔をあけて複数が形成されていてもよいし、当該方向にわたって延びるように形成されていてもよい。
【0058】
ここで、図8に示すように、上記仕切り板45がないものと仮定した場合、主流路14から内側容器11の下部から主流路14に流入する高温ガスは、その気流が下段支持部20によって妨げられる。これにより、下段支持部20と上段支持部30の間の領域では、高温ガスの流速が低下してしまう。他方、上段支持部30の上方の領域では、ガス流出口13から流出する高温ガスが集合するため、高温ガスの流速は早いものとなる。これによって、内側容器11内での高温ガスの不均一性が顕著となり、特に、上段支持部30に配置される成形材Wの上面には十分な熱量が供給される一方、当該成形材Wの下面には十分な熱量が供給されなくなってしまう。
【0059】
これに対して本実施形態においては、図7に示すように、仕切り板45によって内側容器11内が下室45aと上室45bとに区分けされるとともに、該仕切り板45に上記連通孔46が形成されているため、下室45aから上室45bに流通する高温ガスは必ず当該連通孔46を通過することになる。そして、この連通孔46が高温ガスの気流速度が低下する下段支持部20と上段支持部30との間の領域に形成されているため、当該領域に高温ガスを集中して流通させることができる。これにより、上段支持部30の下面における気流速度を上昇させて、該上段支持部30の成形材Wに対してその下面に供給される熱量を増加させることができる。
したがって、上段支持部30の成形材Wに対して十分な熱量を供給することができ、下段支持部20と上段支持部30との成形材Wの昇温速度及び熱硬化速度の均一化を図ることが可能となる。
【0060】
次に図9を参照して第六実施形態のオートクレーブ1について説明する。
第六実施形態においては第五実施形態と同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明を省略する。この第六実施形態のオートクレーブ1の加熱補助手段40は、第五実施形態で説明した仕切り板45に加えてガイド部47及び気流誘導ノズル49をさらに備えている。
【0061】
ガイド部47は、下段支持部20及び上段支持部30の両側方、即ち、幅方向両側に互いに対向するように一対が配置されており、これら下段支持部30及び上段支持部30に向けて凹状をなす湾曲面47aを有している。
気流誘導ノズル49は、詳しくは図10に示すように、一端がガス流路R内において当該ガス流路Rの上流側を向くように開口し、他端が上段支持部30又は下段支持部20とガイド部47との間において上方に向かうように開口した管状の部材である。特に本実施形態では、気流誘導ノズル49の他端は各ガイド部47の近傍においてこれらガイド部47の下部に沿って上方に延びるように配置されている。この気流誘導ノズル49は、上記ガイド部47に一対一の関係で対応するように設けられており、即ち、各ガイド部47に対して一の気流誘導ノズル49が対応するように設けられている。
【0062】
このようなオートクレーブ1においては、仕切り板45を通過して下室45aから上室45bに入り込む高温ガスが、上段支持部30と仕切り板45との間を通過して上段支持部30の両側方に配置されたガイド部47に到達する。そして、このようにガイド部47に到達した高温ガスは、ガイド部47の湾曲面47aに沿って流れることで、当該湾曲面47aの湾曲の内側、即ち、上段支持部30に向かって案内される。これによって、ガイド部47がなければ上段支持部30の側方に拡散してしまう高温ガスを、効果的に上段支持部30に供給することができるため、オートクレーブ成形に要する時間の短縮化を図ることができる。
【0063】
また、図10に示すように、ガイド部47の近傍に設けられた気流誘導ノズル49によって該ガイド部47の湾曲の内側下部において上方に向かう気流が噴出されるため、当該気流によって周囲の高温ガスが同じく上方に向けて誘引される。即ち、気流誘導ノズル49から噴出される気流によって周囲雰囲気を引き込むエゼクター効果が発現されるため、ガイド部47に供給される高温ガスの流量を増大させることができる。これによって、ガイド部47によって成形材Wに導入される高温ガスを増加させることができ、オートクレーブ成形の時間効率を一層向上させることができる。
【0064】
また、本実施形態においては、下段支持部20の両側方に上記ガイド部47が設けられ、さらにこれらガイド部47それぞれに対応するように気流誘導ノズル49が設けられているため、下段支持部20の側方に回り込む高温ガスを、当該下段支持部20上の成形材Wの加熱に有効に活用することができる。これにより、オートクレーブ成形に要する時間をより一層短縮することができる。
なお、ガイド部47及び気流誘導ノズル49は、下段支持部20及び上段支持部30の必ずしも幅方向両側に設けられてなくともよく、例えば当該幅方向片側のみに設けられていてもよい。また、また、ガイド部47及び気流誘導ノズル49は、下段支持部20と上段支持部30の両方の側方に設けられてなくともよく、少なくとも上段支持部30の側方に設けられていればよい。
【0065】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の技術的思想を逸脱しない限り、これらに限定されることはなく、多少の設計変更等も可能である。
例えば、変形例として、図11に示すように、下段支持部20及び上段支持部30の全域に上下方向に貫通する貫通孔50が設けられていてもよい。
【0066】
即ち、図11に示すオートクレーブ1においては、下段支持部20及び上段支持部30がベースプレート21,31のみから構成されている。当該ベースプレート21,31は、オートクレーブ1の幅方向に延びて板面が水平方向を向く板材51を、該オートクレーブ1の奥行き方向に互いに間隔をあけて複数配置することによって形成されている。これによって、隣り合う板材51同士の間に上記貫通孔50が形成されている。
【0067】
ここで、図12に示すように、水平方向(奥行き方向)一方側から他方側に向かうに従って幅方向の寸法が変化する成形材Wの場合、下段支持部20又は上段支持部30を下方から上方に回り込んで流通する高温ガスは、幅寸法が小さく抵抗の低い部分(面積の小さい部分)に集中する一方、幅寸法が大きく抵抗の大きい部分(面積の大きい部分)には十分に流通せず、成形材W全体として昇温及び加熱硬化の時間が長くなってしまう。
これに対して、上段支持部30や下段支持部20に上下方向の貫通孔50を形成することにより、高温ガスは上段支持部30や下段支持部20を回り込むことなく、貫通孔50を介して成形材Wに到達する。これにより、成形材Wの幅寸法の変化にかかわらず該成形材W全体に均一に高温ガスを供給することができる。
【0068】
なお、各実施形態においては、加熱補助手段40の構成について種々の態様のものを説明したが、これらを組み合わせたオートクレーブ1であってもよい。即ち、加熱補助手段40として説明したバイパス流路41、抽気路42、気流誘導ノズル43、発熱体44、連通孔46を有する仕切り板45、ガイド部47の近傍に気流誘導ノズル49を設けた構成のうちから、二以上を組み合わせることによって加熱補助手段40を構成してもよい。
【0069】
また、上段支持部30及び下段支持部20はそれぞれが上下方向に複数段形成されていてもよく、即ち、オートクレーブ1全体として上下方向に離間して配置される三段以上の成形材Wの支持部を備えるものであってもよい。
【符号の説明】
【0070】
1…オートクレーブ、10…圧力容器、11…内側容器、14…主流路、20…下段支持部、30…上段支持部、40…加熱補助手段、41…バイパス流路、42…抽気路、42a…抽気流量調節機構、43…気流誘導ノズル、44…発熱体、44a…第一温度測定部、44b…第二温度測定部、44c…質量流量測定部、44d…発熱量制御部、45… 仕切り板、45a…下室、45b…上室、46…連通孔、47…ガイド部、47a…湾曲面、49…気流誘導ノズル、50…貫通孔、R…ガス流路、W…成形材
【技術分野】
【0001】
本発明は、航空機、産業機器等の構成部品としての繊維強化プラスチック(FRP)の成形材を加圧下で加熱するオートクレーブに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、繊維強化プラスチックからなる構造体の製造方法として、薄板状をなす繊維強化プラスチックが多数積層されてなる成形材を、高圧下で加熱することで一体化させるオートクレーブ成形が知られている(例えば特許文献1参照)。このオートクレーブ成形は、高圧の高温ガスが内部を循環するオートクレーブによって行われる。
即ち、このオートクレーブにおいては、外部から高圧のガスが供給された圧力容器内に成形材を収容した状態で、該圧力容器内のガスを加熱しながら循環させる。これによって、成形材に対して高圧の高温ガスが絶え間なく供給され、多数の薄板状の繊維強化プラスチックからなる成形材が硬化、接着される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第2799633号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年の繊維強化プラスチックの需要の増大に伴い、上記オートクレーブ成形の高効率化が求められている。これに対して、例えばオートクレーブの高圧容器内に上下二段となるように成形材を複数配置して、これら上下複数の成形材に一度にオートクレーブ成形を施すことが考えられる。
【0005】
しかしながら、上段、下段それぞれの成形材に対して熱量を均一に与えることは容易ではなく、例えば、高圧容器の下部から上部に向かって高温ガスを流通させた場合には、下段の成形材によって高温ガスの熱量が奪われる結果、当該高温ガスが上段に至る際にはその温度が低下してしまい、上段に供給される熱量が下段に比べて不足してしまう。これにより、下段と上段とでは、成形材に対して同一の昇温速度、加熱硬化速度でのオートクレーブ成形を施すことができないという問題があった。
【0006】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであって、下段及び上段それぞれに配置された成形材の昇温速度、加熱硬化速度の均一化を図ることが可能なオートクレーブを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明は以下の手段を提供している。
即ち、本発明に係るオートクレーブは、圧力容器と、該圧力容器内に配置され内部に加熱対象となる成形材が収納される内側容器との間に高温ガスが循環するガス流路を形成し、該ガス流路にて加熱されて前記内側容器の下部に流入する前記高温ガスが、前記内側容器の上部から前記ガス流路に流出するオートクレーブであって、前記内側容器内の上下に離間して設けられ、前記成形材がそれぞれ支持される下段支持部及び上段支持部と、前記上段支持部に支持される前記成形材の加熱を補助する加熱補助手段とを備えることを特徴とする。
【0008】
このような特徴のオートクレーブでは、ガス流路にて加熱された高温ガスが内側容器の下部から上部に向かって流通することにより、該内側容器内の成形材が加熱される。ここで、内側容器の下部から上部に向かって高温ガスが流通する際には、該高温ガスの熱量が下段支持部の成形品によって奪われるため、高温ガスによって上段支持部の成形品に供給される熱量は下段支持部の成形品に供給される熱量に比べて不足する。
この点、本発明においては、加熱補助手段が上段支持部の成形材を加熱することによって、高温ガスの不足する熱量を補うことができる。これにより、下段支持部及び上段支持部それぞれの成形材に供給される熱量の均一化を図ることができる。
【0009】
また、本発明に係るオートクレーブは、前記加熱補助手段として、前記内側容器の下部から前記下段支持部に向かって延びる前記高温ガスの主流路から分岐して、前記上段支持部に向かって延びるバイパス流路を少なくとも含むことを特徴とする。
【0010】
このような特徴のオートクレーブによれば、下段支持部に向かって延びる主流路から分岐するバイパス流路を介して、高温ガスが上段支持部の成形材に直接的に供給される。これによって、上段支持部周囲の雰囲気温度を上昇させて、該上段支持部に載置された成形材の昇温速度、加熱硬化速度を上昇させることができる。
【0011】
さらに、本発明に係るオートクレーブは、前記主流路を介して前記下段支持部に供給される前記高温ガスの熱量と、前記主流路及び前記バイパス流路の双方を介して前記上段支持部に供給される前記高温ガスの熱量とが等しくなるように、前記主流路に対する前記バイパス流路の開口面積が設定されていることを特徴とする。
【0012】
主流路を流通する高温ガスによって下段支持部に供給される熱量と、主流路を流通し下段支持部を経由した後に上段支持部に供給される熱量とでは、前者の熱量の方が大きいものとなる。そこで、下段支持部に比べて不足する上段支持部の熱量を補えるだけの高温ガスを上段支持部に対して直接的に供給可能となるように、主流路に対するバイパス流路の開口面積を設定する。これにより、下段支持部と上段支持部とに供給される熱量の均一化を適切に図ることができる。
【0013】
また、本発明に係るオートクレーブは、前記加熱補助手段として、前記ガス流路を循環する前記高温ガスを前記上段支持部に向かって抽気する抽気路を少なくとも含むことを特徴とする。
【0014】
このような特徴のオートクレーブによれば、温度が十分に高いガス流路の高温ガスを上段支持部に直接的に送り込むことによって、該上段支持部周囲の雰囲気温度を上昇させ、該上段支持部に載置された成形材の昇温速度及び加熱硬化速度を上昇させることができる。
【0015】
さらに、本発明に係るオートクレーブは、前記加熱補助手段として、前記ガス流路を循環する前記高温ガスを、前記下段支持部と前記上段支持部との間の領域の水平方向端部において上方に向かう微小気流として噴出する気流誘導ノズルを少なくとも含むことを特徴とする。
【0016】
ここで、内側容器の下部から流入する高温ガスは、まず下段支持部に供給されるため、該下段支持部によって高温ガスの気流が妨げられることにより、下段支持部と上段支持部との間の領域では高温ガスの気流速度が低下する。このため、上段支持部の十分な温度上昇を図ることが困難となる。
これに対して本発明では、気流誘導ノズルによって、下段支持部と上段支持部との間の領域の水平方向端部において上方に向かう気流が噴出されるため、当該気流によって周囲の高温ガスを同じく上方に向けて誘引することができる。即ち、気流によって周囲雰囲気を引き込むエゼクター効果が発現されるため、特に気流速度が低下する下段支持部の水平方向端部の下方における気流速度を向上させることが可能となる。これによって、上段支持部に対して十分な高温ガスの気流を送り込むことができ、上段支持部に載置された成形材の昇温速度、加熱硬化速度を上昇させることができる。
【0017】
また、本発明に係るオートクレーブは、前記加熱補助手段として、前記上段支持部に設けられた発熱体を少なくとも含むことを特徴とする。
【0018】
このような特徴のオートクレーブによれば、下段支持部において低下した高温ガスの熱量を発熱体によって補うことができる。これによって、上段支持部を介して発熱体から成形材に対して熱量を供給することができるため、該上段支持部に載置された成形材の昇温速度、加熱硬化速度を上昇させることができる。
なお、発熱体としてラジエターを搭載したヒーターを採用すれば、例えばオートクレーブの降温時にラジエターの除熱量を大きくすることで、速やかに降温させることができる。
また、発熱体により供給される熱量は、下段支持部と上段支持部との温度差、及び、内側容器内を流通する高温ガスの質量流量に比例するように制御されることが好ましい。これにより、下段支持部に対して必要な分だけの熱量を供給することができる。
【0019】
さらに、本発明に係るオートクレーブは、前記加熱補助手段として、前記内側容器内を前記下段支持部の存在する下室と前記上段支持部の存在する上室とに区画するともに、前記上段支持部と前記下段支持部との間の領域に前記下室と前記上室とを連通する連通孔を備えた仕切り板を少なくとも含むことを特徴とする。
【0020】
上述したように、下段支持部と上段支持部との間の領域は高温ガスの気流速度が低下してしまう。これに対して、仕切り板によって内側容器内を下室と上室とに区分けして、該仕切り板に連通孔を形成すると、下室から上室に向かう高温ガスは必ず当該連通孔を通過することになる。そして、本発明においては、この連通孔が高温ガスの気流速度が低下する下段支持部と上段支持部との間の領域に形成されているため、当該領域に高温ガスを集中させることができる。これにより、上段支持部の下面における気流速度を上昇させて、該上段支持部の成形材に供給される熱量を増加させることができる。
【0021】
また、本発明に係るオートクレーブは、 前記加熱補助手段として、前記下段支持部及び前記上段支持部のうち少なくとも前記上段支持部の側方に設けられ、前記高温ガスの流れを前記成形材に向かって案内するガイド部と、前記ガス流路を循環する前記高温ガスを、前記ガイド部近傍に向かう気流として噴出する気流誘導ノズルとを少なくとも含むことを特徴とする。
【0022】
このような特徴のオートクレーブによれば、ガイド部によって、下段支持部の側方を流通する高温ガスを成形材に導入することができるため、オートクレーブ成形の時間短縮を図ることができる。さらに、気流誘導ノズルから噴出される気流をガイド部近傍で噴出させることにより、周囲の高温ガスをガイド部に向けて誘引することができる。これにより、ガイド部によって成形材に導入される高温ガスの量を増加させることができ、上段支持部に載置された成形材の昇温速度及び加熱硬化速度を上昇させることが可能となる。
また、下段支持部の側方にもガイド部及び気流誘導ノズルを設けた場合には、下段支持部の側方に回り込む高温ガスを当該下段支持部上の成形材の加熱に有効に活用することができる。これにより、オートクレーブ成形に要する時間をより一層短縮することができる。
【0023】
さらに、本発明に係るオートクレーブは、前記上段支持部又は前記下段支持部の少なくとも一方に、上下方向に貫通する貫通孔が形成されていることを特徴とする。
【0024】
例えば、成形材の形状が水平方向一方側から他方側に向かうに従って幅寸法が変化するものの場合、下段支持部又は上段支持部を下方から上方に回り込むように流通する高温ガスは、幅寸法が小さく抵抗の低い部分(面積の小さい部分)に集中する一方、幅寸法が大きく抵抗の大きい部分(面積の大きい部分)には十分に流通しない。即ち、面積の大きい部分に流れるべき高温ガスが面積の小さい部分に流れ込んでしまうため、成形材全体として昇温、加熱硬化の時間が長くなってしまう。
これに対して、上段支持部や下段支持部に上下方向の貫通孔を形成することにより、高温ガスは上段支持部や下段支持部を回り込むことなく、貫通孔を介して成形材に到達する。これにより、成形材の幅寸法にかかわらず該成形材全体に均一に高温ガスを供給することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明のオートクレーブによれば、加熱補助手段によって上段支持部に熱量を供給することで、下段支持部及び上段支持部それぞれの成形材に供給される熱量の差を小さくすることができるため、これら成形材の昇温速度、加熱硬化速度の均一化を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】第一実施形態に係るオートクレーブを側面から見た際の縦断面図である。
【図2】第一実施形態に係るオートクレーブを正面から見た際の縦断面図である。
【図3】第二実施形態に係るオートクレーブを正面から見た際の縦断面図である。
【図4】第三実施形態に係るオートクレーブを正面から見た際の縦断面図である。
【図5】図4の部分拡大図である。
【図6】第四実施形態に係るオートクレーブを正面から見た際の縦断面図である。
【図7】第五実施形態に係るオートクレーブを正面から見た際の縦断面図である。
【図8】仕切り板がないオートクレーブを正面から見た際の縦断面図である。
【図9】第六実施形態に係るオートクレーブを正面から見た際の縦断面図である。
【図10】図9の部分拡大図である。
【図11】変形例に係るオートクレーブを側面から見た際の縦断面図である。
【図12】幅寸法が変化する成形材を貫通孔のない下段支持部及び上段支持部に支持した際の高温ガスの気流を説明する(a)平面図、(b)側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図1及び図2を参照して第一実施形態のオートクレーブ1について説明する。
オートクレーブ1は、例えば炭素繊維に樹脂を含浸させた繊維強化プラスチック(FRP)等の複合材のシートを積層してなる成形材Wに、加圧加熱処理を施すことで該成形材Wを接着硬化させるために用いられる。このオートクレーブ1は、圧力容器10と、内側容器11と、加熱手段15と、循環手段16と、下段支持部20と、上段支持部30及び加熱補助手段40とを備えている。
【0028】
圧力容器10は、水平方向に延在する円筒形状の両端が密閉された構造をなしており、その内部には、図示しないガス導入手段によって導入される高圧のガスが密閉状態で封止される。
内側容器11は、上記圧力容器10の内側に該圧力容器10の内壁面と間隔をあけて配置される容器であって、圧力容器10と同様、水平方向に延在する円筒状の両端が密閉された構造をなしている。本実施形態においては圧力容器10と内側容器11とは、中心軸線を一致させた同心円状に配置されており、これら圧力容器10及び内側容器11の延在方向両端の少なくとも一方は、開閉可能な扉状に構成されている。この扉を開放することによって内側容器11内に成形材Wを導入することができるようになっている。
【0029】
また、圧力容器10と内側容器11との間の空間は、圧力容器10内に導入されて加熱されたガスが循環するガス流路Rとされている。このガス流路Rは、内側容器11の外周面の全周にわたって該内側容器11を取り巻くように形成されている。
さらに、内側容器11の下部には、該内側容器11の内外を連通するガス流入口12が形成されており、内側容器11の上部には該内側容器11の内外を連通するガス流出口13が形成されている。また、内側容器11の内部の下方には、ガス流入口12に接続されて上方に向かって延在する主流路14が形成されている。
【0030】
なお、以下では、圧力容器10及び内側容器11の延在方向(図1の左右方向、図2の紙面奥行き方向)を奥行き方向と称し、当該奥行き方向に直交する断面の水平方向(図1の紙面奥行き方向、図2の左右方向)を幅方向と称する。
【0031】
加熱手段15は、ガス流路Rを循環するガスを加熱するためのヒーターであって、本実施形態においては、図2に示すように、内側容器11の幅方向両側におけるガス流路Rにそれぞれ配置されている。これにより、ガス流路Rを流通するガスが加熱手段15に接触することによって昇温される。
循環手段16は、内側容器11のガス流出口13の外側におけるガス流路R、即ち、ガス流路Rの最上部に配置されたファンであって、ガス流路R最上部から該ガス流路Rに沿ってガスを下方に向けて循環させる役割を有している。この循環手段16は、図1に示すように、奥行き方向に間隔をあけて複数(本実施形態では4つ)が設けられている。
【0032】
下段支持部20は、内側容器11内の下部において成形材Wを支持する役割を有しており、内側容器11内の主流路14の下流側、即ち、主流路14の上方に設けられている。この下段支持部20は、水平方向に延在するベースプレート21と、該ベースプレート21の上部に複数が設けられ、上方に向かって延在する載置台22とを備えており、該載置台22上にそれぞれ成形材Wが載置されている。
【0033】
上段支持部30は、内側容器11内の上部において成形材Wを支持する役割を有しており、上記下段支持部20の上方に離間して配置されている。この上段支持部30は、下段支持部20と同様、水平方向に延在するベースプレート31と、該ベースプレート31の上部に複数が設けられ、上方に向かって延在する載置台32とを備えており、当該載置台32上に成形材Wが載置される。
このように、本実施形態においては、上下に離間して二段に配置された下段支持部20及び上段支持部30によって成形材Wが支持されている。なお、下段支持部20及び上段支持部30が、それぞれベースプレート21,31のみからなり、これらベースプレート21,31上に直接的に成形材Wが載置されていてもよい。
【0034】
加熱補助手段40は、上段支持部30に支持された成形材Wの加熱を補助する役割を有している。本実施形態においては、加熱補助手段40として、上記主流路14から分岐して上段支持部30に向かって延びるバイパス流路41を採用している。
このバイパス流路41は、一端が主流路14に接続されて該主流路14の内周面に開口するとともに、他端が上段支持部30のベースプレート31の下方に開口する管状の部材によって形成されている。
【0035】
なお、本実施形態におけるバイパス流路41は、図2に示すように下段支持部20の幅方向両側を当該幅方向外側に迂回するように一対が下方から上方に向かって延在しているが、一端が主流路14に接続され他端が上段支持部30に向けて開口されている限り、どのような経路で主流路14から上段支持部30に向かって延在していてもよい。また、バイパス流路41は一対に限らず、例えば一のみであってもよいし、三つ以上が設けられていてもよい。
【0036】
次に、上記構成のオートクレーブ1の作用について説明する。
このオートクレーブ1を用いて成形材Wにオートクレーブ成形を施す際には、下段支持部20及び上段支持部30に成形材Wを載置させた状態で、ガス流路R内の高圧のガスを加熱手段15によって加熱するとともに循環手段16によってガス流路Rに沿って上部から下部に向かって送り込む。すると、加熱手段15により加熱された高温ガスが、ガス流路Rの下部からガス流入口12を介して内側容器11内に流入する。
【0037】
内側容器11内に流入した高温ガスは主流路14を通過した後、内側容器11内を下方から上方に向かって下段支持部20及び上段支持部30の順で流通していく。また、主流路14を流通する高温ガスの一部は、該主流路14から分岐するバイパス流路41内に流入し、当該バイパス流路41を通過した後、上段支持部30に向かって進行する。このように、主流路14及びバイパス流路41を介して高温ガスが下段支持部20及び上段支持部30に供給されることで、これら下段支持部20及び上段支持部30に支持された成形材Wが加熱される。
【0038】
そして、主流路14又はバイパス流路41を通過して成形材Wを加熱した高温ガスは、内側容器11の上部においてガス流出口13を介して該内側容器11の外部、即ち、ガス流路Rの最上部に流出する。そして、このようにガス流路Rの最上部に到達した高温ガスは、循環手段16によってガス流路Rの下部に向かって送り込まれ、加熱手段15によって加熱された後、再度内側容器11内に流入する。
【0039】
ここで、主流路14から下段支持部20に向かって供給された高温ガスは、まず最初に下段支持部20の成形品によって熱量が奪われることになる。したがって、主流路14を通過した高温ガスは、上段支持部30に到達する際には熱量が低下してしまい、当該主流路14のみを通過した高温ガスでは上段支持部30の成形品Wを十分に加熱することができない。
【0040】
これに対して、本実施形態においては、主流路14から分岐するバイパス流路41を介して、熱量が低下していない高温ガスを上段支持部30の成形材Wに直接的に供給することができる。これにより、上段支持部30周囲の雰囲気温度を上昇させることができるため、該上段支持部30に載置された成形材Wの昇温速度を向上させることが可能となる。したがって、下段支持部20及び上段支持部30それぞれの成形材Wに供給される熱量の均一化を図ることができ、即ち、これら下段支持部20及び上段支持部30の成形材Wの昇温速度、加熱硬化速度の均一化を図ることができる。
【0041】
なお、バイパス流路41によって上段支持部30に直接的に供給される高温ガスの量は、バイパス流路41の主流路14に対する開口面積を変化させることで任意に調整することができる。これを利用して、主流路14を介して下段支持部20に供給される高温ガスの熱量と、主流路14及びバイパス流路41の双方を介して上段支持部30に供給される高温ガスの熱量とが等しくなるように、バイパス流路41の開口面積を設定することが好ましい。
【0042】
即ち、主流路14を流通する高温ガスによって下段支持部20に供給される熱量と、主流路14を流通し下段支持部20を経由した後、上段支持部30に供給される熱量とでは、前者の熱量の方が大きいものとなる。そこで、下段支持部20に比べて不足する上段支持部30の熱量を補える分の高温ガスを上段支持部30に対して直接的に供給可能となるように、主流路14に対するバイパス流路41の開口面積を設定する。これにより、上段支持部30と下段支持部20とに供給される熱量の均一化、即ち、上段支持部30及び下段支持部20それぞれの成形材Wの昇温速度、加熱硬化速度の均一化を図ることができる。
【0043】
なお、例えばバイパス流路41の開口面積を可変とするとともに下段支持部20及び上段支持部30それぞれの温度を測定する一対の温度センサを設置し、これら温度センサの検出する温度の差分に基づいて上記開口面積を自動調整する制御部を設けてもよい。これにより、下段支持部20と上段支持部30との温度が等しくなるように開口面積を適切に調整することができるため、これら上段支持部30及び下段支持部20の成形材Wの昇温速度及び加熱硬化速度を容易に均一化することができる。
【0044】
次に、図3を参照して第二実施形態のオートクレーブ1について説明する。
第二実施形態においては第一実施形態と同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明を省略する。なお、図3においては加熱手段15の図示を省略している。この第二実施形態のオートクレーブ1は、加熱補助手段40の構成について第一実施形態と相違する。
【0045】
即ち、第二実施形態では、加熱補助手段40として、ガス流路Rを循環する高温ガスを上段支持部30に向かって抽気する抽気路42を採用している。
この抽気路42は、一端がガス流路R内において当該ガス流路Rの上流側を向くように開口し、他端が複数に分岐して上段支持部30のベースプレート31付近において上方を向くように開口する管状の部材から構成されている。これにより、ガス流路Rから抽気路42に導入された高温ガスは、該抽気路42を介して上段支持部30に直接的に抽気される。また、この抽気路42には、当該抽気路42を流通する高温ガスの流量を調整する弁装置としての抽気流量調節機構42aが設けられている。これによって、上段支持部30に供給される高温ガスの流量を任意に調整することができる。
【0046】
なお、本実施形態における抽気路42は、内側容器11の両側方から上段支持部30に延在するように一対が設けられているが、一端がガス流路R内に開口し他端が上段支持部30に向けて開口している限り、どのような経路でガス流路Rから上段支持部30に延在していてもよい。また、抽気路42は一対に限らず、例えば一のみであってもよいし、三つ以上が設けられていてもよい。
【0047】
この第二実施形態のオートクレーブ1によれば、温度が十分に高いガス流路Rの高温ガスを抽気路42を介して上段支持部30に直接的に送り込むことができる。これにより、上段支持部30周囲の雰囲気温度を上昇させ、該上段支持部30に載置された成形材Wに供給される熱量を増加させることができる。したがって、第一実施形態と同様、下段支持部20及び上段支持部30それぞれの成形品の昇温速度及び熱硬化速度の均一化を図ることができる。
また、第一実施形態と同様に、下段支持部20及び上段支持部30それぞれの温度を測定する一対の温度センサを設置し、これら温度センサの検出する温度の差分に基づいて上記抽気流量調節機構42aの高温ガスの流量を調整する制御部を設けてもよい。これにより、下段支持部20と上段支持部30との温度が等しくなるように高温ガスの流量を適切に調整することができるため、これら上段支持部30及び下段支持部20の成形材Wの昇温速度及び加熱硬化速度を容易に均一化することができる。
【0048】
次に、図4及び図5を参照して第三実施形態のオートクレーブ1について説明する。
第三実施形態においては第一実施形態と同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明を省略する。なお、図3においては加熱手段15の図示を省略している。この第二実施形態のオートクレーブ1は、加熱補助手段40の構成について第一実施形態と相違する。
【0049】
即ち、第三実施形態では、加熱補助手段40として、下段支持部20と上段支持部30との間の領域の水平方向端部において上方に向かう気流として噴出する気流誘導ノズル43を採用している。
この気流誘導ノズル43は、一端がガス流路R内において当該ガス流路Rの上流側を向くように開口し、他端が下段支持部20と上段支持部30との間の領域の水平方向端部、即ち、幅方向端部において上方に向かうように開口した管状の部材である。
なお、特に本実施形態では、図5に示すように、気流誘導ノズル43の他端は下段支持部20の成形材Wの側方において上方に向かって開口するように配置されている。
このような構成により、気流誘導ノズル43の一端から導入された高温ガスは、該気流誘導ノズル43内を流通して、他端から上方に向かう気流として噴出される。
【0050】
ここで、内側容器11の下部から主流路14に流入する高温ガスは、まず下段支持部20に送り込まれるため、該下段支持部20によって高温ガスの上向きの気流が妨げられることになる。したがって、下段支持部20と上段支持部30との間の領域では高温ガスの気流速度が低下し、上段支持部30に対して供給される熱量が低下してしまう。
【0051】
これに対して、本実施形態では、上記気流誘導ノズル43によって上方に向かう気流が噴出されるため、図6に示すように、当該気流によって周囲の高温ガスを同じく上方に向けて誘引することができる。即ち、気流誘導ノズル43から噴出される気流によって周囲雰囲気が引き込まれるエゼクター効果が発現されるため、特に気流速度が低下する下段支持部20と上段支持部30との間の領域の水平方向端部(幅方向端部)における気流速度を向上させることが可能となる。
これによって、上段支持部30に対して十分な量の高温ガスの気流を送り込むことができるため、上段支持部30に載置された成形材Wの昇温速度及び加熱硬化速度を上昇させることができる。
【0052】
次に図6を参照して第四実施形態のオートクレーブ1について説明する。
第四実施形態においては第一実施形態と同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明を省略する。なお、図6においては加熱手段15の図示を省略している。この第四実施形態のオートクレーブ1は、加熱補助手段40の構成について第一実施形態と相違する。
【0053】
即ち、第四実施形態では、加熱補助手段40として、上段支持部30に設けられた発熱体44と、第一温度測定部44aと、第二温度測定部44bと、質量流量測定部44cと、発熱量制御部44dとを備えている。
発熱体44は、上段支持部30のベースプレート31に一体に組み込まれたヒーターであって、供給される電流量に応じた熱量を発熱可能とされている。
第一温度測定部44a及び第二温度測定は、対象となる箇所の温度をそれぞれ測定可能なセンサーであって、第一温度測定部44aは下段支持部20の高温ガス上流側(下段支持部20の下方)の温度T1を測定するように配置され、第二温度測定部44bは、下段支持部20の高温ガスの下流側(下段支持部20と上段支持部30との間の領域)の温度T2を測定するように配置されている。
【0054】
質量流量測定部44cは、内側容器11内を流通する高温ガスの質量流量Gを測定するセンサーであって、本実施形態においては、例えば主流路14を流通する高温ガスの総流量の質量流量Gを検出するように配置されている。
発熱量制御部は、第一温度測定部44aにより測定される温度T1と第二温度測定部44bにより測定される温度T2との温度差T1−T2と、質量流量測定部44cによって検出される高温ガスの質量流量Gとに基づいて、電流を図示しない電源から発熱体44に対して供給するように構成されている。
【0055】
このような第四実施形態のオートクレーブ1では、下段支持部20において低下した高温ガスの熱量を、発熱体44から発熱される熱量によって補うことができる。これによって、発熱体44から上段支持部30を介して成形材Wに熱量を供給することができるため、該上段支持部30に載置された成形材Wの昇温速度及び熱硬化速度を上昇させることができる。したがって、下段支持部20及び上段支持部30それぞれの成形品の昇温速度及び熱硬化速度の均一化を図ることが可能となる。
また、発熱体44は、発熱量制御部44dから供給されるT1−T2及び質量流量Gに比例した電流に基づいて発熱するため、同じく温度差T1−T2及び質量流量Gに基づいた熱量を上段支持部30に対して供給することになる。好ましくは、発熱体44が、温度差T1−T2及び質量流量Gに比例した熱量を上段支持部30に対して供給する。これにより、下段支持部20と比較して不足する分だけの上段支持部30の熱量を適切に補うことができる。
【0056】
次に図7を参照して第五実施形態のオートクレーブ1について説明する。
第五実施形態においては第一実施形態と同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明を省略する。この図7においては加熱手段15の図示を省略している。第五実施形態のオートクレーブ1は、加熱補助手段40の構成について第一実施形態と相違する。なお、第五実施形態においては、下段支持部20及び上段支持部30はそれぞれベースプレート21,31のみから構成されており、これらベースプレート21,31上に成形材Wが直接的に載置されている。
【0057】
第五実施形態では加熱補助手段40として、内側容器11内を下段支持部20の存在する下室45aと上段支持部30の存在する上室45bとに区画する仕切り板45を採用している。
この仕切り板45は、水平方向(幅方向及び奥行き方向)に延在する板状をなしており、その外周縁部が内側容器11の内壁面に例えば溶接等によって固定されている。また、仕切り板45の中央、即ち、該仕切り板45における下段支持部20と上段支持部30との間の領域には、上室45bと下室45aとを連通する連通孔46が形成されている。この連通孔46は、図7に示す断面において、上段支持部30及び下段支持部20の幅方向の寸法よりも小さく形成されている。なお、この連通孔46は、奥行き方向に間隔をあけて複数が形成されていてもよいし、当該方向にわたって延びるように形成されていてもよい。
【0058】
ここで、図8に示すように、上記仕切り板45がないものと仮定した場合、主流路14から内側容器11の下部から主流路14に流入する高温ガスは、その気流が下段支持部20によって妨げられる。これにより、下段支持部20と上段支持部30の間の領域では、高温ガスの流速が低下してしまう。他方、上段支持部30の上方の領域では、ガス流出口13から流出する高温ガスが集合するため、高温ガスの流速は早いものとなる。これによって、内側容器11内での高温ガスの不均一性が顕著となり、特に、上段支持部30に配置される成形材Wの上面には十分な熱量が供給される一方、当該成形材Wの下面には十分な熱量が供給されなくなってしまう。
【0059】
これに対して本実施形態においては、図7に示すように、仕切り板45によって内側容器11内が下室45aと上室45bとに区分けされるとともに、該仕切り板45に上記連通孔46が形成されているため、下室45aから上室45bに流通する高温ガスは必ず当該連通孔46を通過することになる。そして、この連通孔46が高温ガスの気流速度が低下する下段支持部20と上段支持部30との間の領域に形成されているため、当該領域に高温ガスを集中して流通させることができる。これにより、上段支持部30の下面における気流速度を上昇させて、該上段支持部30の成形材Wに対してその下面に供給される熱量を増加させることができる。
したがって、上段支持部30の成形材Wに対して十分な熱量を供給することができ、下段支持部20と上段支持部30との成形材Wの昇温速度及び熱硬化速度の均一化を図ることが可能となる。
【0060】
次に図9を参照して第六実施形態のオートクレーブ1について説明する。
第六実施形態においては第五実施形態と同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明を省略する。この第六実施形態のオートクレーブ1の加熱補助手段40は、第五実施形態で説明した仕切り板45に加えてガイド部47及び気流誘導ノズル49をさらに備えている。
【0061】
ガイド部47は、下段支持部20及び上段支持部30の両側方、即ち、幅方向両側に互いに対向するように一対が配置されており、これら下段支持部30及び上段支持部30に向けて凹状をなす湾曲面47aを有している。
気流誘導ノズル49は、詳しくは図10に示すように、一端がガス流路R内において当該ガス流路Rの上流側を向くように開口し、他端が上段支持部30又は下段支持部20とガイド部47との間において上方に向かうように開口した管状の部材である。特に本実施形態では、気流誘導ノズル49の他端は各ガイド部47の近傍においてこれらガイド部47の下部に沿って上方に延びるように配置されている。この気流誘導ノズル49は、上記ガイド部47に一対一の関係で対応するように設けられており、即ち、各ガイド部47に対して一の気流誘導ノズル49が対応するように設けられている。
【0062】
このようなオートクレーブ1においては、仕切り板45を通過して下室45aから上室45bに入り込む高温ガスが、上段支持部30と仕切り板45との間を通過して上段支持部30の両側方に配置されたガイド部47に到達する。そして、このようにガイド部47に到達した高温ガスは、ガイド部47の湾曲面47aに沿って流れることで、当該湾曲面47aの湾曲の内側、即ち、上段支持部30に向かって案内される。これによって、ガイド部47がなければ上段支持部30の側方に拡散してしまう高温ガスを、効果的に上段支持部30に供給することができるため、オートクレーブ成形に要する時間の短縮化を図ることができる。
【0063】
また、図10に示すように、ガイド部47の近傍に設けられた気流誘導ノズル49によって該ガイド部47の湾曲の内側下部において上方に向かう気流が噴出されるため、当該気流によって周囲の高温ガスが同じく上方に向けて誘引される。即ち、気流誘導ノズル49から噴出される気流によって周囲雰囲気を引き込むエゼクター効果が発現されるため、ガイド部47に供給される高温ガスの流量を増大させることができる。これによって、ガイド部47によって成形材Wに導入される高温ガスを増加させることができ、オートクレーブ成形の時間効率を一層向上させることができる。
【0064】
また、本実施形態においては、下段支持部20の両側方に上記ガイド部47が設けられ、さらにこれらガイド部47それぞれに対応するように気流誘導ノズル49が設けられているため、下段支持部20の側方に回り込む高温ガスを、当該下段支持部20上の成形材Wの加熱に有効に活用することができる。これにより、オートクレーブ成形に要する時間をより一層短縮することができる。
なお、ガイド部47及び気流誘導ノズル49は、下段支持部20及び上段支持部30の必ずしも幅方向両側に設けられてなくともよく、例えば当該幅方向片側のみに設けられていてもよい。また、また、ガイド部47及び気流誘導ノズル49は、下段支持部20と上段支持部30の両方の側方に設けられてなくともよく、少なくとも上段支持部30の側方に設けられていればよい。
【0065】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の技術的思想を逸脱しない限り、これらに限定されることはなく、多少の設計変更等も可能である。
例えば、変形例として、図11に示すように、下段支持部20及び上段支持部30の全域に上下方向に貫通する貫通孔50が設けられていてもよい。
【0066】
即ち、図11に示すオートクレーブ1においては、下段支持部20及び上段支持部30がベースプレート21,31のみから構成されている。当該ベースプレート21,31は、オートクレーブ1の幅方向に延びて板面が水平方向を向く板材51を、該オートクレーブ1の奥行き方向に互いに間隔をあけて複数配置することによって形成されている。これによって、隣り合う板材51同士の間に上記貫通孔50が形成されている。
【0067】
ここで、図12に示すように、水平方向(奥行き方向)一方側から他方側に向かうに従って幅方向の寸法が変化する成形材Wの場合、下段支持部20又は上段支持部30を下方から上方に回り込んで流通する高温ガスは、幅寸法が小さく抵抗の低い部分(面積の小さい部分)に集中する一方、幅寸法が大きく抵抗の大きい部分(面積の大きい部分)には十分に流通せず、成形材W全体として昇温及び加熱硬化の時間が長くなってしまう。
これに対して、上段支持部30や下段支持部20に上下方向の貫通孔50を形成することにより、高温ガスは上段支持部30や下段支持部20を回り込むことなく、貫通孔50を介して成形材Wに到達する。これにより、成形材Wの幅寸法の変化にかかわらず該成形材W全体に均一に高温ガスを供給することができる。
【0068】
なお、各実施形態においては、加熱補助手段40の構成について種々の態様のものを説明したが、これらを組み合わせたオートクレーブ1であってもよい。即ち、加熱補助手段40として説明したバイパス流路41、抽気路42、気流誘導ノズル43、発熱体44、連通孔46を有する仕切り板45、ガイド部47の近傍に気流誘導ノズル49を設けた構成のうちから、二以上を組み合わせることによって加熱補助手段40を構成してもよい。
【0069】
また、上段支持部30及び下段支持部20はそれぞれが上下方向に複数段形成されていてもよく、即ち、オートクレーブ1全体として上下方向に離間して配置される三段以上の成形材Wの支持部を備えるものであってもよい。
【符号の説明】
【0070】
1…オートクレーブ、10…圧力容器、11…内側容器、14…主流路、20…下段支持部、30…上段支持部、40…加熱補助手段、41…バイパス流路、42…抽気路、42a…抽気流量調節機構、43…気流誘導ノズル、44…発熱体、44a…第一温度測定部、44b…第二温度測定部、44c…質量流量測定部、44d…発熱量制御部、45… 仕切り板、45a…下室、45b…上室、46…連通孔、47…ガイド部、47a…湾曲面、49…気流誘導ノズル、50…貫通孔、R…ガス流路、W…成形材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧力容器と、該圧力容器内に配置され内部に加熱対象となる成形材が収納される内側容器との間に高温ガスが循環するガス流路を形成し、該ガス流路にて加熱されて前記内側容器の下部に流入する前記高温ガスが、前記内側容器の上部から前記ガス流路に流出するオートクレーブであって、
前記内側容器内の上下に離間して設けられ、前記成形材がそれぞれ支持される下段支持部及び上段支持部と、
前記上段支持部に支持される前記成形材の加熱を補助する加熱補助手段とを備えることを特徴とするオートクレーブ。
【請求項2】
前記加熱補助手段として、
前記内側容器の下部から前記下段支持部に向かって延びる前記高温ガスの主流路から分岐して、前記上段支持部に向かって延びるバイパス流路を少なくとも含むことを特徴とする請求項1に記載のオートクレーブ。
【請求項3】
前記主流路を介して前記下段支持部に供給される前記高温ガスの熱量と、前記主流路及び前記バイパス流路の双方を介して前記上段支持部に供給される前記高温ガスの熱量とが等しくなるように、前記主流路に対する前記バイパス流路の開口面積が設定されていることを特徴とする請求項2に記載のオートクレーブ。
【請求項4】
前記加熱補助手段として、
前記ガス流路を循環する前記高温ガスを前記上段支持部に向かって抽気する抽気路を少なくとも含むことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のオートクレーブ。
【請求項5】
前記加熱補助手段として、
前記ガス流路を循環する前記高温ガスを、前記下段支持部と前記上段支持部との間の領域の水平方向端部において上方に向かう気流として噴出する気流誘導ノズルを少なくとも含むことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のオートクレーブ。
【請求項6】
前記加熱補助手段として、
前記上段支持部に設けられた発熱体を少なくとも含むことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載のオートクレーブ。
【請求項7】
前記加熱補助手段として、
前記内側容器内を前記下段支持部の存在する下室と前記上段支持部の存在する上室とに区画するともに、前記上段支持部と前記下段支持部との間の領域に前記下室と前記上室とを連通する連通孔を備えた仕切り板を少なくとも含むことを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載のオートクレーブ。
【請求項8】
前記加熱補助手段として、
前記下段支持部及び前記上段支持部のうち少なくとも前記上段支持部の側方に設けられ、前記高温ガスの流れを前記成形材に向かって案内するガイド部と、
前記ガス流路を循環する前記高温ガスを、前記ガイド部近傍に向かう気流として噴出する気流誘導ノズルとを少なくとも含むことを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載のオートクレーブ。
【請求項9】
前記下段支持部及び前記上段支持部のうち少なくとも上段支持部に、上下方向に貫通する貫通孔が形成されていることを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載のオートクレーブ。
【請求項1】
圧力容器と、該圧力容器内に配置され内部に加熱対象となる成形材が収納される内側容器との間に高温ガスが循環するガス流路を形成し、該ガス流路にて加熱されて前記内側容器の下部に流入する前記高温ガスが、前記内側容器の上部から前記ガス流路に流出するオートクレーブであって、
前記内側容器内の上下に離間して設けられ、前記成形材がそれぞれ支持される下段支持部及び上段支持部と、
前記上段支持部に支持される前記成形材の加熱を補助する加熱補助手段とを備えることを特徴とするオートクレーブ。
【請求項2】
前記加熱補助手段として、
前記内側容器の下部から前記下段支持部に向かって延びる前記高温ガスの主流路から分岐して、前記上段支持部に向かって延びるバイパス流路を少なくとも含むことを特徴とする請求項1に記載のオートクレーブ。
【請求項3】
前記主流路を介して前記下段支持部に供給される前記高温ガスの熱量と、前記主流路及び前記バイパス流路の双方を介して前記上段支持部に供給される前記高温ガスの熱量とが等しくなるように、前記主流路に対する前記バイパス流路の開口面積が設定されていることを特徴とする請求項2に記載のオートクレーブ。
【請求項4】
前記加熱補助手段として、
前記ガス流路を循環する前記高温ガスを前記上段支持部に向かって抽気する抽気路を少なくとも含むことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のオートクレーブ。
【請求項5】
前記加熱補助手段として、
前記ガス流路を循環する前記高温ガスを、前記下段支持部と前記上段支持部との間の領域の水平方向端部において上方に向かう気流として噴出する気流誘導ノズルを少なくとも含むことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のオートクレーブ。
【請求項6】
前記加熱補助手段として、
前記上段支持部に設けられた発熱体を少なくとも含むことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載のオートクレーブ。
【請求項7】
前記加熱補助手段として、
前記内側容器内を前記下段支持部の存在する下室と前記上段支持部の存在する上室とに区画するともに、前記上段支持部と前記下段支持部との間の領域に前記下室と前記上室とを連通する連通孔を備えた仕切り板を少なくとも含むことを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載のオートクレーブ。
【請求項8】
前記加熱補助手段として、
前記下段支持部及び前記上段支持部のうち少なくとも前記上段支持部の側方に設けられ、前記高温ガスの流れを前記成形材に向かって案内するガイド部と、
前記ガス流路を循環する前記高温ガスを、前記ガイド部近傍に向かう気流として噴出する気流誘導ノズルとを少なくとも含むことを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載のオートクレーブ。
【請求項9】
前記下段支持部及び前記上段支持部のうち少なくとも上段支持部に、上下方向に貫通する貫通孔が形成されていることを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載のオートクレーブ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−110810(P2012−110810A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−260504(P2010−260504)
【出願日】平成22年11月22日(2010.11.22)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年11月22日(2010.11.22)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】
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