説明

オートバイ用シートカバー

【課題】 座席シートにピッタリとフィットさせて運転席は適当な滑りを持たせると共に、通気性に重点を置いて、その他の部分は摩擦係数の高く滑り難く、特にダンデム型シートでは同乗車の乗車姿勢を安定化し、且つ高級感がある見栄えのするオートバイ用シートカバーを提供することである。
【解決手段】 シートカバーの表皮において運転者が座る部分の上面側の形成面を表面が滑らかな細かい網目模様をなす伸縮自在な三次元立体繊維シートのメッシュ生地とし、その他の部位を摩擦係数の高い面生地にて組み合わせて構成することである。
また、両者の生地の接合部に沿って補強材を形成することである。
また、摩擦係数の高い面生地を皮革またはレザーとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はオートバイにおける座席用シートに被せられるシートカバーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特にオートバイ等は夏場気温の高い時期には、座席シートの表面が熱くなり、また長時間の乗車によってライダーの体温で衣服の座席シート部が蒸れて、蒸し暑く不快になることが多くある。反対に冬場気温の低い時期にはシートの表面が冷たくヒヤリとした冷たさを感ずることもある。こうした不快感を軽減することが市場から求められている。
しかし、オートバイ等は、構造上座席シートは常に露出されているので、気象条件や気温に影響を強く受けやすいものである。
従って、夏には蒸れないで涼しく、冬には暖かく感ずる座席シートが求められていた。
【0003】
こうした背景によって、従来から乗り物の座席シートを覆う種々のものが公開されている。例えば、シートの表皮を三次元織物構成している(参考文献1参照)ものがあるが、これはシートの表皮が傷み易く、耐久性に欠けるばかりでなく、雨天の場合などは三次元織物内に水がしみ込んで、一層蒸れるのを悪化させるという問題があった。
【0004】
また、着脱できるシートカバーとして、公開されたものに、多角形の網目模様が表裏に配置された一対の外側層が間隔を保った状態に弾力性パイルで連結された形態の三次元繊維もので形成されている(参考文献2参照)もので、そして周囲が薄いビニールのエプロン状のフィルムにゴムで絞って固定しているものであるが、これは摩擦係数の大きい粗い多角形の網目模様の三次元繊維が表面に出ているので、運転車(ライダー)の衣服であるズボンやスカートの生地が毛羽だったり、傷みや不自然な照りを生ずるという欠点や、夏は涼しいが、反面冬期には座面通気性が高くて、寒さを感じるという問題および周囲が薄いビニールのエプロン状のフィルムにゴムで絞って固定しているもので、皺がだぶついて外観が見苦しく、しかも使用中に外れやすいと言う問題があった。
【0005】
また、出願人は最近上記のメッシュ生地を上皮全体に用いたものを乗りものようシートカバーとして出願したが、その後の研究においてシートの表面材全体を表面が滑らかなメッシュにすると運転者の座席部分以外の部位では、滑り易いことが不具合である個とが分かり、特にダンデム型シートにおいては同乗者は常に腰の位置を保持していなければならないという、新たな問題となることもあった。
そこで、ダンデム型シートにおいては部分的にカバーを削除することを試みたが外観上違和感がありデザイン上好ましくない問題でもあった。
【参考文献】
【特許文献1】 特開2002−274238号公報
【特許文献2】 特開2003−291709号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、前述の背景を基に、従来の欠点を排除し、問題を解決したもので、オートバイの形態に合わせて、その座席シートにピッタリとフィットさせて運転席は適当な滑りを持たせると共に、夏に涼しく、冬には暖かさを感じることができる通気性、保温性、弾力性、伸縮性、耐摩耗性等に重点を置いて、その他の部分は摩擦係数の高く滑り難く、特にダンデム型シートでは同乗車の乗車姿勢を安定化し、且つ高級感がある見栄えのするオートバイ用シートカバーを提供するものである。
【課題を解決する為の手段】
【0007】
オートバイの座席シートに被せられるものであって、該シートカバーの表皮において運転者が座る部分の上面側の形成面を表面が滑らかな細かい網目模様をなす伸縮自在な三次元立体繊維シートのメッシュ生地とし、その他の部位を摩擦係数の高い面生地にて組み合わせて構成することである。
【0008】
また、上記メッシュ生地と摩擦係数の高い面生地の接合部に沿って補強材を形成することである。
【0009】
また、上記摩擦係数の高い面生地を皮革またはレザー材とすることである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によるオートバイ用シートカバーによれば、簡単な構造で必要な時に、その座席のシートにピッタリと容易に装着することができ、しかも運転者の座席部分では通気性と弾力性に優れた、夏は蒸れることなく涼しく感じ、快適な乗車状態を長時間保持することができると共に、座席以外の部分では表面の摩擦係数の大きな面生地で滑りがないので、同乗者共々乗車姿勢を安定させることができる。しかも外観は、ツウトーンカラーとして楽しいものとすることができる。
また、雨天時には簡単に取り外して、丸め折畳、コンパクトに収納することができる。
【0011】
請求項2によれば、メッシュ材と面材の接合部に補強帯を設けたことによって、接合部に集中的に掛かる大きな荷重を分散すると共に、耐久性を向上することができる。
【0012】
請求項3によれば、面材に皮革やレザー材を用いることによって、より豪華な優れた外観を得ることができる。
【発明を実施するための最良な形態】
【0013】
以下、本発明による実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明のシートカバーの実施例1の平面図で、図2は図1の底面図である。
そして、図3は本発明のシートカバーの実施例1の一部拡大図である。
図4は本発明のシートカバーを装着した車両の座席用シートの斜視図である。
図5は本発明の実施例2のシートカバーの車両への装着状態の斜視図で、図6は図5のシートカバーの一部を折り曲げて裏側の一部を見せた状態の図である。
【実施例1】
【0014】
図1および図2で示すように、本実施例のオートバイ用シートカバー本体は主として二つの面で構成されている。それは、運転者の座る部分のメッシュ生地部1と、それ以外の部分、すなわち座席前のガソリンタンクと重なり合う部分は面生地部2である。またメッシュ生地部1の上面側に表面が滑らかな細かな網目模様をなす伸縮自在な上面細網目布と、下面側に通気性に優れた伸縮自在な三次元立体繊維物の粗網目シートを重ね合わせてシートの形状に合わせて裁断形成し、当該裁断形成したシートカバー本体の全外周縁を縁くるみ材3で包み縫合されていて、その外周縁の所定の位置数箇所に被装着座席への取付け固定手段であるベルト等を設けたものである。
【0015】
上記のようにすることによって、運転者の座席部においては、粗い網目でしかも高さのあるパイル繊維で構成されているために、大変風通しが良く、この層に空気の流れを生じるので涼しさを感じることができる。また、二種類の網目と厚みの有る三次元立体繊維材を重ね合わせた構造にしたことによって、座席シートの下から来る不快な車両の振動を吸収するように作用して、ライダーの疲労感を低減することにもなる。
特に高温多湿な夏場や混雑した市街地を走行するときには、通気性が良く快適であると共に、一方その他の部分においてはデザインをツートンカラーにしてファッッション性を高めて高級なイメージとすることもできる。
【0016】
図3は本発明のシートカバーの実施例1の補強部拡大図である。
図3に示すように、メッシュ生地部1と面生地部2の接合部分には、シートカバー本体の裏側から、より強度の高い布等のテープを前記両方の生地部に橋渡しにして、それぞれ縫合することである。特にメッシュ生地部1においては、面生地部2に比べて接合部の耐久性が不十分になりやすいので、より細かに縫い込む必要が有る。そしてシートカバー表面が常に皺にならないように引っ張り力を与えるためにメッシュ生地部1に受ける荷重を、この補強部で受けるようにしているのである。
【0017】
図4は本発明のシートカバーを車両に装着した状態の斜視図である。
図4に示すように、シートカバーの車両の前方のガソリンタンクの座席側に近接している部分は立ち面となっていて、この部分に面生地が用いられて、その後方の運転者の座席部分である平面にはメッシュ生地が用いられ、両者の境界部には補強材が取り付けられている。
従って、面生地部とメッシュ生地部とが機能的にも大きく異なることが分かる。また、シートカバーに設けた境界部の補強材によってガソリンタンク部と座席部とが角でシート形状にピッタリと合ったものとなるために、全く違和感が無く、優れたデザインの外観とすることができるものである。特に、このシートカバー前部の摩擦係数の高い面生地を皮革またはレザーとすることによって、車両全体が高級感を醸し出すこともできる。
【0018】
図5は本発明の実施例2のシートカバーを車両に装着した状態の斜視図で、図6はである。
図5で示すように、運転者の座る部分のメッシュ生地部1と、それ以外の部分、すなわち本実施例2のタンデムシート型の場合の後の同乗車席の部分笠における摩擦係数の高い面生地部2としたものである。そして、この摩擦係数の高い面生地を皮革またはレザー材としたものである。
【0019】
上記のようにすることによって、運転者の座席部においては、粗い網目でしかも高さのあるパイル繊維で構成されているために、大変風通しが良く、疲れにくく、しかも適当な滑りによる運転姿勢の変え易さを得られる。そして後部座席の同乗者は摩擦係数の高い面生地としての皮革またはレザー材によって、過度に滑り乗車姿勢が不安定になることがない。ちなみに、後の席は前の運転者席に比べて、エンジンやラジエータから遠いので熱による不快感は少ないために、この点が問題とはならない。また、前部だけを覆ったカバーにした場合のように違和感がなく、デザイン的に高級感を醸し出すことができる。
【0020】
図6は図5のシートカバーの一部を祈り曲げて車両のシートの一部を見せた状態の図である。
本発明のオートバイ用シートカバーは以上のような構成で、これを使用するときは、図6で示すように、通常は車両から一旦シート全体を取り外して、最初にシート前方の左右二ヶ所の立体係止材をシートの角にしっかりはめ込んでから、次にシート後方立体係止材をシート後端にしっかりとはめ込んで取付ける。最後に中央部前後にある締め付け固定ベルトにて確実に締め付け固定する。それを再び車両に取付け固定する。
【0021】
本発明は、上記実施形態に限定されないで、本発明の技術的範囲を逸脱しない限り各種の変更が考えられ、それらに係る各種の実施形態を包含するものである。
例えば、図示していないが、先述の前後の二つの面からなるシートカバーをそれぞれ分離させて作成したシートを必要な合体手段によって前後面の両者を一体化したシートカバーとすることである。また、摩擦係数の高い面生地部を帆布やゴム引き布等にて構成することも考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】 本発明のシートカバーの実施例1の平面図である。
【図2】 図1の底面図である。
【図3】 本発明のシートカバーの実施例1の補強部拡大図である。
【図4】 本発明のシートカバーを車両に装着した状態の斜視図である。
【図5】 本発明の実施例2のシートカバーを車両に装着した状態の斜視図である。
【図6】 図5のシートカバーの同乗車席の一部を折り曲げて車両のシートの一部を見せた状態の図である。
【符号の説明】
【0023】
1 メッシュ生地部
11 上面細網目布(第一層)
12 三次元粗網目布(第二層)
2 面生地部
21 皮革部
3 縁くるみ材
4 補強材
6 オートバイ用座席シート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
オートバイの座席シートに被せられるものであって、表皮において運転者が座る部分の上面側の形成面を表面が滑らかな細かい網目模様をなす伸縮自在な三次元立体繊維シートのメッシュ生地とし、その他の部位を摩擦係数の高い面生地にて組み合わせて構成されたことを特徴とするオートバイ用シートカバー。
【請求項2】
上記メッシュ生地と摩擦係数の高い面生地の接合部に沿って補強材を形成したことを特徴とする請求項1に記載のオートバイ用シートカバー。
【請求項3】
上記摩擦係数の高い面生地を皮革またはレザー材としたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のオートバイ用シートカバー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−126029(P2008−126029A)
【公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−339192(P2006−339192)
【出願日】平成18年11月17日(2006.11.17)
【出願人】(592016485)株式会社デイトナ (8)
【出願人】(506183203)
【Fターム(参考)】