説明

オーバプリントされたドキュメントをカラーマッチングするシステム及び方法

オーバプリントされたグラフィックドキュメントをカラーマッチングするシステム及び方法が記載される。ドキュメントにおけるグラフィックエレメントは、オーバラップしている領域を決定するために調べられる。それぞれの領域におけるオーバラッピングするグラフィックエレメントは、グラフィックエレメントがその領域に色を与えるかを判定するために調べられる。2以上のグラフィックエレメントが色を与える場合、その領域は、オーバプリント領域であり、寄与しているグラフィックエレメントに関する情報は、与えられた色を有するオーバプリントグラフィックエレメントを形成するために使用される。オリジナルグラフィックエレメント及びオーバプリントグラフィックエレメントは、修正されたドキュメントで保存され、次いで、修正されたドキュメントを表示するターゲットデバイスで期待される色を生成するため、それぞれのグラフィックエレメントの色を調整するために処理される。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グラフィックドキュメントを有するグラフィックドキュメントのカラーマッチングに関する。
本出願は、2004年5月5日に提出された“System and Methods For Color matching Overprinted Documents”と題された米国特許出願No60/567814の利益を特許請求するものであり、引用により本明細書に盛り込まれる。
【背景技術】
【0002】
グラフィックドキュメントは、グラフィックエレメントを有する。エレメントは、たとえば、テキスト、アートワーク及び画像情報を記述する場合がある。グラフィックドキュメントは、様々なドキュメントクリエーションアプリケーションにより生成することができる。カラーマッチング(色整合)は、グラフィックエレメントがターゲットデバイスで表示されるとき、ターゲットデバイスにより生成される色は期待される色に一致するように、グラフィックエレメントの色を変換することを示す。
【0003】
グラフィックドキュメントは、ドキュメントの異なる部分に寄与する様々なアーチファクトにより生成される場合がある。それぞれのアーティストは、(たとえばデバイスに特化して、またはデバイスとは独立に)異なるカラーモデルを使用して色を定義する場合がある。したがって、終了された作業における異なるグラフィックエレメントは、異なるやり方で色を定義する場合がある。
【0004】
グラフィックエレメントは、オーバラップするために定義される場合がある。これは、(たとえば、イメージ又はアートワークを通したテキストプリントといった)アーティストの意図から生じる場合がある。これが生じたとき、アーティストは、オーバラップするグラフィックエレメントがペイントする順序を決定する。アーティストは、オーバラップする領域に先にペイントした別のグラフィックエレメントの一部をグラフィックエレメントが不明にすることを判定する場合がある。これは、グラフィックエレメントのオーバプリントの属性をディスエーブルにすることで達成される。
【0005】
代替的に、アーティストはオーバプリントをイネーブルにし、これにより、オーバラップ領域で先にペイントしたグラフィックエレメントが、グラフィックエレメントがイネーブルになるポイントを通してその色の幾つかを表示するのを可能にする。幾つかのグラフィックエレメントがある領域でオーバラップし、最初の1つを除いた全てオーバプリントをイネーブルにする場合、最初にペイントされたエレメントを含むそれぞれのグラフィックエレメントは、オーバラップ領域でそれらの色の幾つかを示す場合がある。第一のグラフィックエレメントのオーバプリント設定は、何れか他のグラフィックエレメントの上にないので問題ではない。
【0006】
オーバプリントは、アーティストの意図とは独立に生じることがある。プリントのためのドキュメントの準備は、ドキュメントを変更することができる自動化されたプロセスを含めて様々なプロセスを含むことができる。トラップ処理は、所定のプリント条件の下でその品質を改善するために、グラフィックエレメントをドキュメントに追加するプロセスの一例である。トラッププロセッサは、隣接するグラフィックエレメント又はオーバラップするグラフィックエレメント間の境界に沿って、小さなオーバプリントをイネーブルにするグラフィックエレメントを意図的に導入する場合がある。
【0007】
オーバプリントの属性の設定の意味は、イメージプロセッサによりサポートされるイメージングモデルにより定義される。Adobe(登録商標) PostScript and Portable Document Format (PDF) は、ラスタイメージプロセッサによりサポートされるPDL(Page Definition Language)の一例である。これらのPDLは、階層化されたグラフィックエレメントからの色をどのように表示するかを決定するカラーコントリビューションルール(color contribution rule)を含む不透明及び透明なモデルを定義する。ラスタイメージプロセッサ(RIP)は、ペイント(彩色)する順序を考慮して、グラフィックエレメントをペイントするためにPDLを画素として解釈する。グラフィックエレメントがオーバラップする画素の位置で、RIPは、オーバラップするグラフィックエレメントに対応するそれぞれの画素の色に基づいて、カラーコントリビューションルールを使用して画素の色を決定する。
【0008】
RIPは、特定のデバイスのためにラスタを生成し、異なるデバイス又はデバイスに独立に定義される色をピクセルクリエーションの処理の間に特定のデバイスに適したモデルに変換する。変換は、異なるカラーモデルを相関する情報に基づいている。カラーマッチングは、特定のデバイスで表示される色が幾つかの期待に合致する意図で色を変換する類似のプロセスである。期待される色は、たとえばリファレンスカラーチャート、測定される色値、又は特定のデバイスにより生成される色に基づくことができる。
【0009】
イメージプロセッサはオーバプリントのカラーコントリビューションルールを典型的に盛り込むので、イメージプロセッサにより画素の形成の間又は画素の形成の後にカラーマッチングを実行することは便利である。しかし、カラーマッチングプロセスは、計算的に集中し、ある状況では、プリントデバイスのためにラスタを生成する間に導入される遅延が望まれない。さらに、それぞれのグラフィックエレメントと関連される色情報(たとえば、カラープロファイル)を尊重することは、あるラスタイメージプロセッサで可能ではない場合がある。
【0010】
この遅延に対処するための1つのアプローチは、イメージプロセッサにドキュメントを伝達する前にカラーマッチングを実行することである。このアプローチの従来技術の例では、カラーマッチングエンジンは、オーバラップするグラフィックエレメントを無視している。この理由は、オーバラップするグラフィックエレメントの色をマッチングすることで、イメージプロセッサがオーバラップする領域に望まれない色を生成することになる点にある。オーバラップしない色は正しいが、色におけるわずかな調整により、カラーマッチングが生じない場合よりも著しく異なる色を指示するためのオーバプリント・カラーコントリビューションルールを引き起こす。
【0011】
別のアプローチは、カラーコントリビューションルールをカラーマッチングエンジンに組み込んで、オーバラップ領域に色を与えるオーバラップしているグラフィックエレメントのみをカラーマッチングエンジンにより無視するようにすることである。
【0012】
オーバプリント・カラーコントリビューションルールをサポートしないイメージプロセッサとの互換性を提供するために使用される別のアプローチは、オーバラップを除くためにドキュメントを変更することを含む。オーバラップは、グラフィックエレメントを「平らにする」ことで除くことができる。オーバラップ領域では、オリジナルのグラフィックエレメントはその領域をクリップし、新たなグラフィックエレメントは、オーバラップ領域を表すために追加される。新たなグラフィックエレメントの色は、シアン、マゼンダ、イエロー及びブラックの色素を含む、狭いギャマットのカラーモデルに基づくことができる。したがって、ヒストリカル・カラーマッチングツールを使用したフラットにされたドキュメントを処理することは、全ての領域で期待される色となる。このアプローチの1つの問題点は、アーティストにより生成されるか、プリントプロダクションプロセスにより追加されるグラフィックエレメントを変更するのを必要とすることである。グラフィックエレメントレベルで編集することが便利である。これは、グラフィックエレメントが変更された場合に非常に困難となる。このアプローチの別の問題点は、追加されたグラフィックエレメントについて選択されたカラーモデルは、寄与しているグラフィックエレメントの色及びターゲットデバイスの忠実度が追加されたグラフィックエレメントを表すためにカラーモデルよりも高い場合、色の忠実度の損失となる。
【0013】
別のアプローチは、それぞれオーバラップする領域のトップで新たなグラフィックエレメントをペイントするため、ドキュメントを変更することを含む。それぞれ新たなグラフィックエレメントは、オーバラップ領域に色を与える唯一のエレメントであるように、ディスエーブルにされたオーバプリントで追加される。新たなグラフィックエレメントについて選択された表現は、ラスタである。このアプローチの1つの問題点は、ラスタが常にオーバラップされたグラフィックエレメントの組み合わせの最良の表現ではないことである。新たなグラフィックエレメントの色及びジオメトリの制度が制限される場合がある。たとえば、ディスプレイデバイスがラスタデバイスでない場合、ベクタグラフィックエレメントをラスタグラフィックエレメントに変換することで、不必要な量子化となる。同様に、ターゲットラスタディスプレイデバイスが新たなラスタグラフィックエレメントを生成するときに想定されるよりも非常に高い解像度を有する場合、グラフィックエレメントの色及びジオメトリがあまりに粗くなる場合がある。さらに、ラスタグラフィックエレメントの色の忠実度は、幾つかの実施の形態で色成分当たり8ビットに制限することができる。別の問題点は、ラスタの生成は、計算上に集中するプロセスである点にある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
オリジナルドキュメントの統一性を保持するオーバラップ領域の正しい扱いでカラーマッチングされたドキュメントを生成することができるカラーマッチングソリューションの必要が存在する。理想的に、かかるソリューションは、色整合されたドキュメントの便利の編集を可能にする。また、不要な複雑さを追加することなしに、オリジナルドキュメントの精度及び忠実度を保持することが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0015】
以下の実施の形態及びその態様は、範囲を制限することなしに、例示的であることが意図されるシステム、ツール及び方法と共に記載及び例示される。様々な実施の形態では、他の実施の形態が他の改善に向けられる、1以上の先に記載された問題が低減又は除去される。
【0016】
本発明は、オーバプリントされたグラフィックドキュメントをカラーマッチングするためのシステム及び方法を提供する。好適な実施の形態は、Adobe(登録商標)Portable Document Format (PDF)又は PostScript(登録商標)仕様に準拠したドキュメントに基づいている。本発明の1実施の形態に係るシステムは、プリプレスワークフローシステムで配置される処理エレメントを含んでおり、この処理エレメントは、以下を有している。
【0017】
1.オーバプリントエンジン;このオーバプリントエンジンは、a)グラフィックエレメントアナリシスエンジンと、b)オーバプリントグラフィックエレメントジェネレータとを更に有する。
【0018】
a)グラフィックエレメントアナリシスエンジン(graphic element analysis)は、オーバプリント領域を決定するためにドキュメントにおけるグラフィックエレメントを調べる。オーバプリント領域は、グラフィックエレメントがオーバラップする領域として決定され、領域で後にペイントするグラフィックエレメントは、オーバプリントするために定義され、領域でペイントする1を超えるグラフィックエレメントは、カラーコントリビューションルールに従って領域に色を与える。
【0019】
b)オーバプリントグラフィックエレメントジェネレータ(Overprint graphic element generator)は、カラーコントリビューションルールに従って寄与しているグラフィックエレメントから決定された色で、対応するオーバプリント領域の上にペイントするためにオーバプリントグラフィックエレメントを追加することで、修正されたドキュメントを生成する。寄与された色を結合するためのカラースペース及び方法と同様に、オーバプリント領域を表現するために選択されたグラフィックエレメントのタイプは、複雑度を低減しつつ、幾何学的な精度、色の精度及び色の忠実度を維持するのを狙いとする原理に基づく場合がある。
【0020】
2.カラーマッチャー(Color Matcher)は、ターゲットデバイスに適切なカラーマッチングされたドキュメントを生成するために修正されたドキュメントでグラフィックエレメントの色を変換する。色は、期待に合致するために色を調整する情報を変換することに基づいてターゲットデバイスと一致する、カラースペースに変換される。グラフィックエレメントは、その色がターゲットカラースペースで既に定義されておらず、カラーマッチングされる場合がある。
【0021】
代替的な実施の形態は、グラフィックドキュメント・ソフトウェアアプリケーションからアクセスすることができるソフトウェアプラグインモジュールを提供し、グラフィックドキュメントをプリント又は見る機能は、プリント又はディスプレイデバイスのためにイメージデータを生成する前にカラーマッチングを必要とする。更なる実施の形態は、ラスタイメージプロセッサで組み込むことができる。たとえば、グラフィックエレメントディスプレイのリストを生成するためにドキュメントを解釈するラスタイメージプロセッサの一部は、レンダリングの前にディスプレイリストを修正することができる。
【0022】
レンダリングの前のカラーマッチングの1つの利点は、カラーマッチングがリソースに集中するアクティビティであることである。ドキュメントをネイティブデバイスフォーマット(たとえばラスタ)に変換する間に、遅延を導入することが望まれないことがある。さらに、オーバプリントグラフィックエレメントを有するカラーマッチングされたグラフィックドキュメントを提供することで、オリジナルのグラフィックエレメントが保持され、オーバプリントグラフィックエレメントが識別可能であるので、カラーマッチングされたグラフィックドキュメントを便利に編集可能にする。
【0023】
先に記載された例示的な態様及び実施の形態に加えて、本発明の例示的な実現の更なる態様及び実施の形態並びに特徴は、図面を参照し、以下の詳細な説明により明らかとなるであろう。例示的な実施の形態は、図面を参照して例示される。本明細書で開示された実施の形態及び図面は、限定的よりはむしろ例示的であると考えられる。図面は、本発明の限定するものではない実施の形態を例示している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下の記載を通して、特定の詳細は、本発明の更に全体的な理解を提供するために述べられる。しかし、本発明は、これら特定なしに実施することができる。他の例では、公知のエレメントは、本発明の不要な曖昧さを回避するために詳細には図示又は記載されない。これに応じて、明細書及び図面は、限定的な意味よりはむしろ例示であると考えられる。
【0025】
図1は、本発明の1実施の形態に係るカラーマッチングシステム100のコンポーネントを例示するブロック図である。システム100は、ドキュメント101がターゲットデバイス126でレンダリングされ、プリントされる前に、ドキュメント101について動作する。ドキュメント101は、ページ記述言語(PDL)で定義されたベクタグラフィックエレメントを有するグラフィックドキュメントである。例示的なPDLは、Adobe(登録商標)PostScript(登録商標)及びAdobe(登録商標)PDFを含む。ターゲットデバイス126は、インクジェットプリンタ、プリンティングプレスのプレートを生成するプレートセッター、別のタイプのカラープリンタ又はコンピュータモニタのようなラスタディスプレイデバイスである。ターゲットデバイス126は、ドキュメント101で定義されるグラフィックエレメントの色を変換することに基づいて測定及び使用される色再生特性を有する。色を変換する目的は、ドキュメント101を作成したアーティストの色の計画に整合すること、又は、幾つかの他の期待に整合することである。
【0026】
色再生の特性は、様々な手段により得ることができ、様々な変換方法を通して利用することができる。たとえば、慎重に選択されたカラーパッチのセットを含むテストドキュメントは、ターゲットデバイス126によりカラーマッチングなしにペイントされる。テストパッチカラーは、モデルの独立な変数に対応する色成分の値のセットによるカラースペースモデルを使用して定義される。様々なカラースペースモデルを定義することができる。PDL仕様は、サポートされるカラースペースを定義する。カラースペースは、様々なやり方で分類することができる。1つの方法は、デバイスに依存することである。別の方法は、ギャマット幅に依存することである。より広いギャマットは、より狭いギャマットよりも更に多様な色の定義を可能にする。
【0027】
デバイスに依存するカラースペースの例として、コンピュータディスプレイは、ディスプレイの加法的な原色(赤、緑及び青)発光素子に対応する色成分によりデバイスRGBカラースペースモデルを使用する場合がある。カラーコンポーネント値は、カラースペースモデルにより定義された幾つかのレンジを通して変動する。典型的に、ゼロから百パーセントの値のレンジは、典型的に寄与がないことを表し、百パーセントは、典型的に最大の寄与を表す。
【0028】
デバイスCMYKのカラースペースモデルは、シアン、マゼンダ、イエロー及びブラックの色素でマークするマーキングデバイスについて使用することができる。これらの色素は、所定の入射光の波長を吸収することで色を再現する減法的な原色成分である。デバイスNのカラースペースモデルは、異なる色成分の数Nでマークするマーキングデバイスについて使用することができる。CMYKマーキングデバイスにより生成される色のギャマットは、典型的に、RGBコンピュータディスプレイデバイスにより生成されるギャマットと同様に広くない。オレンジ及び緑のような更なる原色のマーキングカラーコンポーネントを追加することで、マーキングデバイスのギャマットは、コンピュータディスプレイデバイスにとって利用可能な色のレンジに近くなるように広くすることができる。デバイスNのカラースペースモデルは、これら広いデバイスに依存するギャマットを表現するために有効である。
【0029】
他のカラースペースモデルは、デバイスに独立であることが意図される。CIE(Commission Internationale d’Eclairage)は、3つの色成分の値の観点でカラースペースを定義し、2つの色成分は色度を決定し、1つの色成分は光度を決定する。ラボのカラースペースは、CIEケースのカラースペースの例である。デバイスに独立なカラースペースモデルは、典型的に広いギャマットを有する。
【0030】
デバイスの色出力は、分光器又は他の光測定装置を使用して測定することができる。それぞれの色測定は、属性のセットを有しており、それぞれの属性は可能な値のレンジをもつ。測定された値は、カラーマッチングされたデバイスの期待される結果に比較される。差異に基づいて、グラフィックエレメントについて定義されたカラーコンポーネント値を変換するために情報が生成される。変換された色がターゲットデバイス126でペイントされるとき、測定された結果は、期待される結果と一致する。変換情報は、(広いギャマットの)デバイスに独立な色空間と、デバイスの(狭いギャマットの)ネイティブな色空間との間で色成分の値をマッピングするために使用することができる。典型的に、アーティストのコンピュータディスプレイ及びターゲットデバイスは、色の仕様又は再現の間に導入されるデバイスに依存するエラーを低減するために測定される。変換情報は、様々な形式をとることができる。変換情報の1例は、International Color Consortium(登録商標)により記載されるICCプロファイルである。ICCプロファイルは、色空間とデバイスに独立なコネクションスペースとの間で色の値が変換されるのを可能にする情報を提供する。以下で簡単にために使用される用語プロファイルは、サポーテンィング方法により使用される色変換情報で交換可能であることが理解される。
【0031】
アーティストがターゲットデバイスに気づいていないが、ディスプレイ及び/又はマーキングデバイスの定義を含むドキュメントクリエーションアプリケーションでの色設定を規定することがある。これらのソースデバイスは、ドキュメントクリエーションの間にアーティストにとって利用可能なカラースペース及びカラーギャマットを定義する。ソースデバイスのコンテクストで生成されるグラフィックエレメントは、対応するカラースペースにより定義される色成分の値を含む。ソースデバイスのカラースペースに関する情報又はプロファイルは、ドキュメント101で利用可能ではない場合があり、ドキュメント101に独立に伝達される場合がある。情報が処理エレメントにとって利用可能ではない場合、情報に関する仮説をなすべき必要がある場合がある。
【0032】
図1に例示されるように、ドキュメント101はPDLフォーマットを有し、他のワークフローシステムの処理エレメントは、それを既に処理している場合がある。たとえば、ドキュメント101は、PostScript(登録商標)フォーマットドキュメントとして作成される場合があり、ワークフローシステムは、それをPDFフォーマットドキュメント(又はPDFページ毎のドキュメントのセット)に変換し、グラフィックエレメントを修正し(又はテキスト補正、フォント置換、及び画像圧縮)、及びグラフィックエレメントを追加する(たとえば隣接するグラフィックエレメント又はオーバラップするグラフィックエレメントのプリントされた品質を改善するためにエレメントをトラップする)。
【0033】
代替的に、ドキュメント101は、PDLを解釈することで生成されるディスプレイリストフォーマットを有することができる。ディスプレイリストフォーマットは、グラフィックエレメントのペインティング順序リストを含み、それぞれのグラフィックエレメントは、PDLにより定義されるグラフィック属性(たとえば、エレメントタイプ、幾何学的形状、カラースペース、カラーコンポーネント値)のセットに関連する。図1は、システム100により生成される他のドキュメントを示している。これらのドキュメントは、PDLであるか、実施の形態に依存するディスプレイリストフォーマットである。上述された記述は、ワークフローシステムの実施の形態の例を説明する。他の実施の形態も可能である。例として、本発明は、プリンティングデバイスへの出力を直接生成するドキュメントクリエーションアプリケーションのプリンティング機能に適用される。代替的に、本発明は、コンピュータディスプレイの出力を生成するプレビュー機能に適用することができる。
【0034】
説明の残りを通して、以下の実施の形態は、特に断りがない限り、説明を簡略化するために使用される。ドキュメント101は、PDLフォーマットにおける1ページのグラフィックドキュメントである。意図するところは、6つのプロセス(たとえばHexachrome(登録商標))の色素及び1以上のスポットの色素で達成される、広いデバイスのカラーギャマットを有するプリンティングプレスのためのプレートを生成するため、コンピュータ化されたプリンティングワークフローシステムを通してドキュメント101を処理することである。用語「色素“colorant”」は、ターゲットデバイスのカラースペースモデルの減法的な色成分を示し、簡単さのために以下で使用され、全てのカラースペースのモデルにおいて適用される更に一般的な用語の色成分と交換可能であることを理解されたい。同様にして、用語「プロセス色素“process colorant”」は、減法の原色の色素を示し、簡単さのために以下で使用され、更に一般的な用語の原色成分又はデバイスに独立な色成分と交換可能である。
【0035】
オーバプリントエンジン110は、出力として修正されたドキュメント102を生成するため、入力としてドキュメント101及び色情報116を取得する。修正されたドキュメント102は、オーバプリントされたグラフィックドキュメント101のグラフィックエレメントを有するドキュメントであり、新たなオーバプリントグラフィックエレメントは、それらがオーバラップする領域においてオーバプリントするために定義される、寄与しているグラフィックエレメントの結合された色を表すために追加される。それぞれのオーバプリントグラフィックエレメントは、オーバラップ領域に色を与える全てのグラフィックエレメントの後に表示するために定義される。それぞれのオーバプリントグラフィックエレメントは、オーバラップする領域でグラフィックエレメントに寄与する部分を不明にするやり方で表示するために定義される。
【0036】
オーバプリントエンジン110は、この実施の形態で2つのコンポーネントを有する。グラフィックエレメントアナリシスエンジン112は、色情報116と共に、ドキュメント101でグラフィックエレメントを調べ、1を超えるオーバラップするグラフィックエレメントが色を与えるオーバラップ領域として定義される、オーバプリント領域を識別する。オーバプリントエンジン110は、それぞれオーバプリント領域に関する情報を生成し、オーバプリント領域の情報とのグラフィックエレメントの関連付けを可能にするためにドキュメント101を修正する。オーバプリントグラフィックエレメントのジェネレータ114は、グラフィックエレメントアナリシスエンジン112及び色情報116からの情報に基づいて、それぞれのオーバプリント領域に対応する新たなオーバプリントグラフィックエレメントを生成する。この実施の形態は、2ステップの方法を記述する。他の実施の形態は、他の実施の形態は、シングルステップ方法を記述することができ、オーバプリントグラフィックエレメントは、それぞれのオーバプリント領域が識別されたときに生成される。
【0037】
カラーマッチャー(color matcher)122は、入力として修正されたドキュメント102及び色情報116を取得し、出力としてカラーマッチングされたドキュメント103を生成する。カラーマッチングされたドキュメント103は、ターゲットデバイス126のプロファイルと適合するために修正された全てのグラフィックエレメントのカラースペース及び色素の値をもつ、修正されたドキュメント102のグラフィックエレメントの全てを有する。カラースペースは、ターゲットデバイス126によりペイントされた色素に対応する。マーキングデバイスの実施の形態では、色素は、プロセス及び任意にスポットの色素を含む。スポットの色素は、プロセス色素でシミュレートするのが困難であるか、他の固有な特性を有する固有の色に対応する。たとえば、マーケティングキャンペインにおいて、特定の色は、広く多様なディスプレイコンテクストにおける一貫した外観を有する必要がある。スポットの色素は、この一貫性を提供することができる。
【0038】
レンダラー(rendarer)124は、入力としてカラーマッチングされたドキュメント103を取得し、ターゲットデバイス126のためのイメージラスタデータを生成する。イメージラスタデータは、多数の色素のチャネルのそれぞれについて、個別のラスタデータを有する。それぞれの色素のチャネルは、ターゲットデバイス126によりペイントされたプロセス又はスポットの色素のうちの1つに対応する。ターゲットデバイス126がラスタイメージングデバイス以外にはないことを理解されたい。ターゲットデバイス126は、異なる形式の画像データを利用し、レンダラー124の代わりに処理エレメントを必要とし、ドキュメントをPDLからネイティブなデバイスフォーマットに変換する。
【0039】
本発明の所定の実現は、プロセッサに本発明の方法を実行させるソフトウェア命令を実行するコンピュータプロセッサを有する。たとえば、オーバプリントエンジン110及びカラーマッチャー122は、1以上のコンピュータシステムで実行され、コンピュータシステムに、先に記載された方法を実行するために動作させるソフトウェアを提供することで実現することができる。プログラムプロダクトは、コンピュータプロセッサにより実行されたとき、コンピュータプロセッサに本発明の方法を実行させる命令を含むコンピュータ読み取り可能な信号のセットを保持するメディアを有する場合がある。プログラムプロダクトは、広く多様な形式である場合がある。プログラムプロダクトは、たとえば、フロプティカルディスク、ハードディスクドライブを含む磁気記憶媒体、CD ROM、DVDを含む光データ記憶媒体、ROM、フラッシュRAM等を含む電子データ記憶媒体、デジタル又はアナログ通信リンクのような伝送タイプのメディアのような、物理メディアを含む場合がある。命令は、メディアで任意に圧縮及び/又は暗号化される場合がある。
【0040】
[オーバプリントの例]
図2は、オーバプリント及びカラーマッチングのために処理される前に例示的なドキュメント101の一部を例示する図である。ドキュメント101は、グラフィックエレメント201−209及びオーバラップ領域210−225を含む。なお、全ての個別のオーバラップ領域が固有に識別されないことに留意されたい。領域210−225の組み合わせは、オーバラップ領域を形成する。たとえば、領域215,216、及び219−221は、グラフィックエレメント201をオーバラップするグラフィックエレメント204に基づいて個別のオーバラップ領域を形成する。グラフィックエレメントの参照符号は、相対的なペイント順序を意味する(たとえば、グラフィックエレメント201が最初にペイントし、グラフィックエレメント209が最後にペイントする)。
【0041】
グラフィックエレメント201−209に関する選択された情報は、図3Aで提供される。それぞれのグラフィックエレメントは、アイデンティティ302により示されるように、固有の識別子が割り当てられる。それぞれのグラフィックエレメントの相対的なペインティングオーダ304、タイプ306、カラースペース308及び色素の値310も示されている。
【0042】
例として、グラフィックエレメント201は、フィルドパスタイプである。フィルドパスタイプのグラフィックエレメントは、1以上のパスセクションを有するクローズドパスにより境界付けされた一定のフィルカラーを有する。この例では、グラフィックエレメント201は、10%の色素の値によりマゼンダの色素を定義するセパレーション(separation: single colorant)カラースペースにより定義されるフィルカラーによる1つの閉じた矩形のパスセクションにより境界設定される。更に一般的に、パスは、フィル及びストロークの属性の両者を定義させることができる。異なるストローク及びフィルカラーを定義することができる。ストロークは、ストロークの半分がストロークカラーにおけるパスのいずれかのサイドでペイントされるような幅を有する。
【0043】
グラフィックエレメント202は、マスクされた画像タイプである。マスクされた画像は、マスクを有する画像(2次元の画素アレイ)である。マスクは、イメージピクセルと対応する画素を有する。それぞれのマスクピクセルは、対応するイメージピクセルのペイントがイネーブルにされたかを判定する。マスクされた画像202のそれぞれのイメージピクセルは、それが表現する画像に従って変化するそれぞれの画素の色素の値をもつ変化するデバイスCMYKカラースペースで定義される。幾つかの実施の形態では、画素の色素の値は、画素当たり、色素当たり8ビットに制限される。これは、他のグラフィックエレメントタイプで利用可能なよりも低い色の精度を提供する。
【0044】
イメージマスクのグラフィックエレメントのマスクデータの代替的な形式は、イメージピクセルがイネーブル(又はディスエーブル)にされる色素の値のレンジを示すマスク表現を提供することである。カラーマッチングがグラフィックエレメントをオーバプリントしたとき、表現のフォーマットから位置的な(画素)フォーマットにマスクを変換することは有利である。たとえば、マスク表現によりイネーブル(又はディスエーブル)にされた補正されないイメージピクセルは、色補正の後に、ディスエーブル(又はイネーブル)になり、予期しないマスキング動作となる場合がある。
【0045】
グラフィックエレメント203は、シェーディングタイプである。シェーディングタイプのグラフィックエレメントは、幾何学的な情報に基づく機能に従って定義されたレンジにわたり変動する色素の値を有する。リニア及びラジアルのジオメトリは、その例である。シェーディング203は、グラフィックエレメントの中央から生じる半径に沿って、ゼロから百パーセントまで変化する色度の値をもつラボのカラースペースで定義された色を有する。
【0046】
グラフィックエレメント206は、ストローク(stroked)及びフィルド(filled)テキストタイプである。テキストタイプは、テキスト文字のフィルエリアに対応するパスを定義するパスタイプに類似する。テキストタイプは、更に正確なパスがデバイスの解像度のレンジにわたり生成されるのを可能にする更なる幾何学的な情報を提供する。テキスト206は、ストローク及びフィルドの両者であるが、ストローク及びフィルの両者に色素の値は同じである。これは、そのディメンジョンがテキストフィル及びストロークエリアの結合により決定される一様な色のペイントされたテキスト文字を生じる。
【0047】
グラフィックエレメント207は、その目的がシェーディンググラフィックエレメントをシミュレートすることであるフィルドパスのグラフィックエレメントの集合である。かかるエレメントは、たとえば、ドキュメントクリエーションツールがシェーディングタイプのサポートクリエーションではないときに作成されるが、シェーディングタイプをエミュレートすることが望まれる。フィルドパスグラフィックエレメントは、それぞれ隣接するグラフィックエレメント間で小さな量だけ変動するそれらの色と互いに隣接して配置される。グラフィックエレメントアナリシスエンジン112は、関連するグラフィックエレメントのコレクションを、ブレンドと呼ばれる擬似のグラフィックエレメントタイプとして認識する。図2に示されるブレンドグラフィックエレメント207のアウトラインは、(垂直に配置され、ブレンド207の幅である共通の幅を有する)構成のパスフィルエリアの結合に対応するエリアのアウトラインである。
【0048】
オーバラップ領域210−215に関する選択された情報は、図3Bに示される。領域は、参照符号312により示される。2以上のリファレンスの加算(“+”)として識別されるオーバラップ領域は、参照された領域の結合である領域を定義する。
【0049】
エレメントスタック314は、オーバラップ領域を定義するためにオーバラップするグラフィックエレメントの識別子の逆のペイント順序(たとえば、一番上が最初)のセットを識別する。エレメントスタック314におけるグラフィックエレメントのカラーコントリビューションのため、全てのオーバラップ領域がオーバプリント領域又は固有のオーバプリント領域ではない。グラフィックエレメントがある領域に色を与えるかは、以下に記載されるカラーコントリビューションルールのセットにより決定される。
【0050】
コメント316は、関心のあるオーバラップ領域に関する更なる情報を提供する。たとえば、グラフィックエレメント201がその領域に色を与えず、グラフィックエレメント201及び203のみがその領域を定義するので、領域214は、オーバプリント領域ではない。同様に、グラフィックエレメント201がその領域に色を与えず、グラフィックエレメント201及び202がその領域を定義するため、領域222は、オーバプリント領域ではない。異なるカラースペースで定義される色をもつグラフィックエレメントがどのようにオーバラップ領域に色を与えるかを判定するため、本発明に係る方法について以下を参照されたい。
【0051】
領域216及び217のコメントは、オーバプリント領域のいずれも固有ではないことを示している。先のように、グラフィックエレメント201は、グラフィックエレメント203によりオーバラップされた領域において色を与えない。しかし、グラフィックエレメント204は、オーバラップ領域216におけるグラフィックエレメント203をオーバラップする。グラフィックエレメント203は色を与え、このグラフィックエレメント203はグラフィックエレメント204によりオーバラップされるので、領域216は、オーバプリント領域の一部である。領域217のコメントは、その構成するグラフィックエレメント(203及び204)からの色の寄与が領域216に等価であることを示している。したがって、新たなオーバプリント領域(216+217)は、オーバプリントしているグラフィックエレメント203及び204に対応する、領域216及び217の結合として定義される。
【0052】
オーバプリントエレメントのアイデンティティ318は、オーバプリント領域である例示的なオーバラップ領域を示している。エントリは、オーバプリントグラフィックエレメントのジェネレータ114により生成されたオーバプリントグラフィックエレメントを規定する。なお、簡単さのため、全ての潜在的なオーバプリント領域が図3Bに示されていない。たとえば、グラフィックエレメント204及び201のオーバラップにより定義される領域は、オーバラップエリア215,216、及び219−221をカバーするオーバプリント領域である。
【0053】
図4は、オーバプリントエンジン110によるドキュメント101の処理に対応する、修正されたドキュメント102の一部を例示する図である。例示される修正されたドキュメント102の部分は、図2に例示されたドキュメント101の部分に対応する。図におけるパターンは、新たなオーバプリントグラフィックエレメント401−412がコントリビューティンググラフィックエレメントによりペイントされた色を突き出すため、結合された色でペイントする。ドキュメント101がカラーマッチングされていない場合、その視覚的な外観及び修正されたドキュメント102は、実質的に同じである。
【0054】
しかし、カラーマッチングが生じたとき、ドキュメント101におけるコントリビューティンググラフィックエレメントの色は、オーバプリントに定義されるグラフィックエレメントの色素の値がゼロからある非ゼロの値に調節されるように変換される。不透明なイメージングモデルと関連されるようなカラーコントリビューションルールは、変換されたグラフィックエレメントがオーバラップ領域において色を与え、望まれない結果を生じるやり方で変化する。修正されたドキュメント102で定義されるようなカラーマッチングの前に結合された色をもつオーバプリントグラフィックエレメントを作成することで、カラーマッチングされたドキュメントは、オーバプリントされない領域と同様にオーバプリント領域でドキュメント101の意図された色に更に密に類似する色を生成する。
【0055】
図5は、図4で示されるオーバプリントグラフィックエレメントに関する例示的な情報を説明する図である。図5における行は、それぞれオーバプリントエレメントアイデンティティ502について提供される。列は、それぞれコントリビューティング(グラフィック)エレメントのアイデンティティ512について提供されている。それぞれの行及び列の交点は、対応するオーバプリントグラフィックエレメント(行)に対する、コントリビューティンググラフィックエレメント(列)により与えられる色素の値に関する情報を含んでいる。それぞれのオーバプリントグラフィックエレメントについて、更なる情報が提供される。504を表現するためのエレメントタイプは、コントリビューティンググラフィックエレメントのタイプに基づいて、最良にオーバプリント領域を表現するために選択されるグラフィックエレメントのタイプを識別する。カラースペース508は、オーバプリントグラフィックエレメントの色を表現するために選択されたカラースペースモデルを識別する。色素510は、オーバプリントグラフィックエレメントによりペイントされる色素を識別する。グラフィックエレメントの表現及びカラーコントリビューションを選択するための方法の詳細は、以下に説明される。
【0056】
[例示的な方法]
図6Aは、図1で例示される処理エレメントに対応するオーバプリントされたグラフィックドキュメントをカラーマッチングするための例示的な方法を例示するフローチャートダイアグラムである。本方法は、ドキュメント101を取得することで、ブロック601で開始する。つぎに、グラフィックエレメントアナリシスエンジン112は、オーバプリント領域を識別する。つぎに、ブロック630で、オーバプリントグラフィックエレメントジェネレータ114は、識別されるそれぞれオーバプリント領域について、新たなオーバプリントグラフィックエレメントを形成する。オーバプリントグラフィックエレメントジェネレータ114は、修正されたドキュメント102で、これら新たなグラフィックエレメントを保存する。
【0057】
つぎに、ブロック650で、カラーマッチャー122は、ターゲットデバイス126のために色を変換するため、たとえばワークフローシステムから供給されるか、又は修正されたドキュメント102若しくは他のエンティティから供給される場合がある色情報116を使用する。色情報116は、たとえば、以下のうちの1以上を有する。
・ターゲットカラースペースは、デバイスCMYK又はデバイスNのようなカラースペース、及びそのカラースペースを含む色素のセットを識別する。プロセスの色素が識別される。ターゲットカラースペースにより定義される残りの色素は、ターゲットデバイスによりペイントされるために利用可能なスポット色素である。
・スポット色素のレシピは、ターゲットデバイスによりペイントされない特定のスポット色素をシミュレートするときに使用されるべきプロセスの色素の組み合わせを識別する。
・ターゲットカラープロファイルは、ターゲットデバイスでマッチングカラーを達成するため、デバイスに独立なコネクションスペースで定義される色の値をどのように修正するかを識別する。
・ソースカラースペースは、1以上のカラースペース及びそれぞれのカラースペースを有する色素のセットを識別する。
・ソースカラープロファイルは、デバイスに独立なコネクションスペースにおけるマッチングカラーを達成するため、ソースデバイスに対応するソースカラースペースで定義される色の値をどのように修正すべきかをそれぞれ識別する。
【0058】
カラーマッチャー122は、そのフォーマットにある場合に修正されたドキュメント102のPDLを解釈し、色情報116に基づいて修正されたドキュメント102におけるそれぞれのグラフィックエレメントのカラースペース及び色素の値を調節する。カラーマッチングは、1実施の形態によれば、以下に記載されるように行われる。他のカラーマッチング方法も可能である。ソースカラースペースで定義される色は、ソースカラープロファイルを使用して、デバイスに独立なコネクションスペースにはじめに変換される。次いで、ターゲットカラープロファイルを使用してターゲットカラースペースに変換される。デバイスに独立なコネクションスペースにおける色は、ターゲットカラースペースに変換される必要がある。ターゲットカラースペースに既にある色は、変換される必要がない。スポットの色素は、スポット色素のレシピに基づく色素の値をもつソースカラースペースに変換され、次いで、ソースカラープロファイルに基づくデバイスに独立なスペースに変換される。次いで、シミュレートされたスポット色素の値は、ターゲットカラープロファイルに基づいてターゲットカラースペースに変換される。
【0059】
つぎに、ブロック51で、カラーマッチャー122は、色整合されたドキュメント103として変化を保存する。カラーマッチングされたドキュメント103は、PDL又はディスプレイリストのような適切なフォーマットを有する。次いで、本方法は、ブロック652で終了する。
【0060】
[オーバプリント領域の分析]
図6Bは、オーバプリント領域を識別するための例示的な方法を説明するフローチャートである。本方法は、ブロック611で開始し、ブロック612に進み、必要であれば、ドキュメント101のPDLは、ディスプレイリストフォーマットに解釈される。つぎに、ブロック613は、ディスプレイリストにおける最初のエレメントを取得し、ブロック614で、これがシングルエレメントであるか、又はブレンドのようなコンポジットグラフィックエレメントのコンポーネントであるかを判定する。
【0061】
1実施の形態では、コンポジットエレメントは、パイプラン化されたグラフィックエレメントプロセッサアーキテクチャを使用することで識別される。以前のプロセッサは、一連のシングルエレメントから構成されるコンポジットグラフィックエレメントを識別し、シングルエレメントの代わりに後続するプロセッサにコンポジットグラフィックエレメントを放出する。シングルエレメントは、コンポジットエレメントの一部であるとして識別されず、プロセッサにより放出される。同様に、シングルグラフィックエレメントは、同じ視覚的な外観を生成する1を超えるグラフィックエレメントに分離される。ロジックを決定するオーバプリント領域は、これら複雑度を低減するプロセスを利用する後続するプロセスで存在することができる。したがって、グラフィックエレメントアナリシスエンジン112は、一連のパイプライン化されたプロセスを含む。
【0062】
グラフィックエレメントがシングルエレメントである場合、本方法は、ブロック615に進み、固有のエレメント識別子が形成され、対応するグラフィックエレメントと関連付けされる。1実施の形態では、グラフィックエレメントアナリシスエンジン112は、オーバプリントグラフィックエレメントジェネレータ114に修正されたディスプレイリストを提供し、この情報は、ドキュメント101のディスプレイリストにおけるグラフィックエレメントの更なる特性として関連付けされる。他の実施の形態では、グラフィックアナリシスエンジン112は、オーバプリントグラフィックエレメントジェネレータ114に修正されたPDLを提供し、情報は、PDLのマークされたコンテンツ機能を使用して関連付けすることができる。
【0063】
グラフィックエレメントがコンポジットエレメントのコンポーネントである場合、本方法はブロック616に進み、コンポジットエレメントと先に関連付けされる同じエレメント識別子は、コンポーネントエレメントと関連付けされる。
【0064】
ブロック615又はブロック616の後、本方法はブロック617に進み、(最後のコンポーネントが識別された後、またはインクリメンタル的なやり方で)シングルエレメント又はコンポジットエレメントについて、近似的なアウトラインが形成される。近似的なアウトラインは、対応するグラフィックエレメント識別子と関連付けされ、オーバラップ領域を決定するために後に使用される。近似的なアウトラインは、以下のように生成することができる。
・パスグラフィックエレメント(Path Graphic Element):パスがフィルされたのみである場合、アウトラインは、パスにより通過されるエリア(たとえばフィルエリア)の内部を識別する。パスがストロークされたのみである場合、アウトラインは、パスにより通過されるストロークされたエリアを識別する。パスが同じ色素の値でストローク及びフィルされた場合、アウトラインは、先に記載されたエリアの結合を定義する。パスが異なる色素の値でストローク及びフィルされた場合、グラフィックエレメントアナリシスエンジン112は、エレメントを視覚的に等価な、パスグラフィックエレメントのストローク及びフィルされた部分を表す個別のグラフィックエレメントに変換する。
・テキストグラフィックエレメント(Text Graphic Element):アウトラインは、パスグラフィックエレメントについて使用されるものに類似したやり方で生成される。しかし、計算上のオーバヘッドを低減するため、テキストパスのアウトラインは、グラフィックエレメントの特性に基づいて近似として生成される場合がある。近似は、オーバラップ領域を決定するために十分である。
・シェーディンググラフィックエレメント(Shading Graphic Element):アウトラインは、フィルドパスグラフィックエレメントのために使用されるものに類似のやり方で生成される。
・イメージグラフィックエレメント(Image Graphic Element):アウトラインは、画素の全てによりカバーされるエリアを識別する、グラフィックエレメントについて定義されるジオメトリに基づいて、生成される。
・イメージマスクグラフィックエレメント(Image Mask Graphic Element):アウトラインは、グラフィックエレメントについて定義されるイメージジオメトリ及びマスクデータに基づいて生成され、マスクのペイントイネーブル部分(paint-enable portion)によりカバーされるエリアを識別する。
・マスクイメージグラフィックエレメント(Masked Image Graphic Element):アウトラインは、イメージマスクグラフィックエレメントについて使用されるものに類似のやり方で生成される。
・コンポジットグラフィックエレメント(Composite Graphic Element):アウトラインは、コンポーネントグラフィックエレメントのアウトラインの結合として生成される。
【0065】
アウトラインを作成した後、本方法は、ブロック618に進み、更なるグラフィックエレメントのテストが実行される。ディスプレイリストに更なるグラフィックエレメントが存在する場合、本方法は、次のグラフィックエレメントを調べるため、ブロック613に進む。さもなければ、更なるグラフィックエレメントが存在しない場合、本方法はブロック619に進む。
【0066】
ブロック619は、グラフィックエレメントのアウトラインジオメトリを比較することで全てのオーバラップ領域を識別する。2以上のアウトラインがオーバラップするかを判定するための方法は、当該技術分野で公知である。概念的に、検査されるべき組み合わせの数を低減するための方法が存在するが、2以上のグラフィックエレメントの全ての組み合わせが検査される。識別されるそれぞれオーバラップ領域について、領域を形成するグラフィックエレメントの集合は、(たとえば、エレメントは上で最後にペイントされる)逆のペイント順序で領域と関連付けされる。
【0067】
つぎに、ブロック620で、カラーコントリビューションについてそれぞれオーバラップ領域を検査するプロセスは、最初のオーバラップ領域で開始し始める。ブロック621で、領域と関連される最上位のグラフィックエレメントが最初に検査される。
【0068】
つぎに、ブロック622で、本方法は、グラフィックエレメントがオーバラップ領域に色を与えるかを判定する。以下に記載されるような、カラーコントリビューションルールのセットは、テストとして使用される。グラフィックエレメントが色を与えない場合、本方法は、ブロック621に進み、オーバラップ領域と関連される次のグラフィックエレメントを取得する。さもなければ、本方法は、ブロック623に進む。
【0069】
カラーマッチングされたドキュメントの複雑度は、様々な手段により低減することができる。例として、オーバラップ領域でペイントするが、色を与えないグラフィックエレメント(たとえば、他のエレメントにより完全に塞がれたエレメント)は、オリジナルドキュメントに関する情報が結果として失われるが、複雑度を低減するためにドキュメントから除かれる。
別の例として、(たとえば、スポット色素により)ターゲットデバイスによりネイティブにプリントされる色を定義するグラフィックエレメントは、オーバプリントグラフィックエレメントの複雑度を低減するか、又はそのクリエーション(たとえば、2つのみのオーバラップするエレメント)を防止するため、このステップで無視される。
【0070】
ブロック623で、グラフィックエレメント識別子は、オーバラップ領域に関連される、スタックのトップに追加される。つぎに、ブロック624で、本方法は、更なるグラフィックエレメントがオーバラップ領域と関連付けされるかを判定する。更なるグラフィックエレメントが存在する場合、本方法は、ブロック621に進み、次のグラフィックエレメントが調べられる。オーバラップ領域に対応する更なるグラフィックエレメントが存在しない場合、本方法はブロック625に進む。
【0071】
ブロック625に進み、本方法は、オーバラップ領域のグラフィックエレメントのスタックはオーバプリント領域であるかを調べ、その場合、それが固有のオーバプリント領域であるかを調べる。スタックが唯一の色を与えているグラフィックエレメントを含む場合、オーバプリント領域ではない。スタックが色を与える1を超えるエレメントを含む場合、それらグラフィックエレメントのスタックが整合するかを判定するため、前に生成されたオーバプリント領域に対して検査される。整合が発見されない場合、オーバラップ領域はオーバプリント領域であると断定され、本方法は、ブロック627に進む。さもなければ、本方法はブロック626に進み、そのジオメトリが他のスーパーセットである領域が保持される。
【0072】
ブロック627に進み、本方法は、更なるオーバラップ領域が検査されるべきとして残されているかを判定する。残されている場合、本方法はブロック620に進み、次のオーバラップ領域を調べる。さもなければ、本方法はブロック628に進み、終了する。
【0073】
[オーバプリントグラフィックエレメントジェネレーション]
図6Cは、オーバプリント領域に対応するオーバプリントグラフィックエレメントを含む修正されたドキュメントを作成するための例示的な方法を説明するフローチャートである。本方法は、ブロック631で開始する。本方法はブロック632に進み、修正されたディスプレイリストにおける最初のグラフィックエレメントが調べられる。グラフィックエレメントは、シングル又はコンポジットグラフィックエレメントのいずれかとすることができる。
【0074】
本方法はブロック633に進み、現在のグラフィックエレメントの識別子がそのスタックにおけるトップエレメントとしてその識別子を有するオーバプリント領域に対応するかを決定する。スタックにおけるトップエレメントではない場合、グラフィックエレメント情報がキャッシュされ、本方法はブロック632に進み、修正されたディスプレイリストにおける次のグラフィックエレメントを調べる。現在のグラフィックエレメントがスタックにおけるトップエレメントである場合、スタックにおける全てのエレメントがキャッシュされ、本方法はブロック634に進む。
【0075】
多数のスタックが存在し、現在のグラフィックエレメントがスタックのトップにある場合、本方法は順にスタックを処理する。1実施の形態では、順序は、スタックを比較することに基づいている。たとえば、スタックは、相対的な順序を判定するためにペアで連続的に比較される。比較されている2つのスタックについて、それらのエレメントは、ペイントする順序でエレメント毎に調べられる。最初の異なるエレメントが発見されたとき、後のペインティングエレメントを有するスタックが他のスタックの後に順序付けされる。さらに、あるスタックが他のスタックと同じエレメントを有するが、更なるエレメントを有する場合、長いスタックは短いスタックの後に順序付けされる。
【0076】
ブロック634に進み、本方法は、オーバプリント領域を表すために使用されるべきグラフィックエレメントタイプを決定する。タイプは、スタックで識別されたグラフィックエレメントの1つと対応するために選択されるか、又は、異なるタイプからなるように選択される。最良の表現を選択する詳細は、以下に説明される。スタックにおけるグラフィックエレメントの1つがオーバプリント領域を表すために選択されたと仮定すると、本方法は、オーバプリント領域をペイントする根拠として、そのグラフィックエレメントを使用することを進める。
【0077】
つぎにブロック635で、本方法は、オーバプリント領域と関連付けされたグラフィックエレメントのスタックが1を超えるイメージ又はマスクされたイメージを含むかを判定する。含まない場合、本方法はブロック637に進む。さもなければ、本方法はブロック636に進み、それらの画素が一致するように、必要であれば、グラフィックエレメントが修正される。これは、1以上の画素アレンジメントについて新たな座標系を確立すること、及び/又はそれぞれの画像について画素数の変更を必要とする場合がある。画像のアウトラインが再生成される必要もある。
【0078】
ブロック637に進み、本方法は、スタックで識別された残りのエレメントに基づいて、クリッピングパスを生成する。グラフィックエレメントアナリシスエンジン112により生成される近似的なアウトラインは、クリッピングパスを生成するために使用される。それぞれのグラフィックエレメントのクリッピングパスは、それらの交点のジオメトリを定義する新たなクリッピングパスを形成するために結合される。
【0079】
ブロック638で、新たなクリッピングパスは、ブロック634で決定されたペインティンググラフィックエレメントの表現をクリップするために使用される。これは、オーバプリント領域でのみペイントするように、定義されるオーバプリントグラフィックエレメントとなる。つぎに、ブロック639で、スタックにおけるそれぞれのエレメントからの寄与している色素の値が結合される。色素の値は、たとえば以下に記載されるように結合される場合がある。寄与しているグラフィックエレメントのいずれもオーバプリント領域を表現するために選択されない場合、全ての寄与しているグラフィックエレメントからのアウトラインは、そのエリアが少なくともクリッピングパスにより囲まれたエリアをカバーする代表的なグラフィックエレメントで使用されるべきクリッピングパスを形成するために使用される。
【0080】
ブロック640で、本方法は、関連されるスタックで最上位のグラフィックエレメントの後にペイントするように、修正されたディスプレイリストに新たなオーバプリントグラフィックエレメントを追加する。つぎに、ブロック633で、本方法は、他のオーバプリント領域がそのスタックのトップで現在のエレメントを有するかを判定する。有する場合、本方法はブロック634に進む。さもなければ、本方法は、ブロック641に進む。
【0081】
ブロック641で、本方法は、更なるエレメントが検査されるべきディスプレイリストで利用可能であるかを判定する。利用可能である場合、本方法はブロック632に進む。さもなければ、本方法は、ブロック642に進み、修正されたディスプレイリストは、PDLフォーマットに変換され、修正されたドキュメント102として保存される。
【0082】
[オーバプリントグラフィックエレメントカラー]
カラーコントリビューションルールは、グラフィックエレメントがオーバプリント領域に色を与えるか否かを判定するために確立することができる。寄与しているグラフィックエレメントからの色を結合するための方法を確立することができる。カラーコントリビューションルールのセットの目的は、アーティストの意図と合理的な複雑度のレベルとが密に類似する結合された色を提供することである。結合する方法は、グラフィックエレメントが特定のカラースペースを定義すること、又は、グラフィックエレメントが共通のカラースペースを定義すること若しくは少なくとも一致する色素のセットを定義することを必要とする場合がある。たとえば、デバイスに依存するカラースペース及びデバイスに独立なカラースペースからの色素は、加法的な色素及び減法的な色素であるように一致しない。しかし、ソースデバイスCMYKカラースペースで定義された色素は、減法的なデバイスN又はセパレーションカラースペースで定義された色素と一致する。
【0083】
PDL仕様により定義された1つのルールのセットは、一致する減法的なカラースペースにより定義された色に基づいており、不透明な画像形成モデルを使用してペイントされる。例として、オーバプリントの設定がイネーブルにされることなしに、グラフィックエレメントがペイントに設定される1つのルールは、その前でペイントされるグラフィックエレメントを、それらがオーバラップするエリアで不明瞭にする。
【0084】
ここで言い換えられるセットにおける他のルールは、オーバラップ領域で先にペイントしているグラフィックエレメントが、オーバプリントに定義され、オーバラップ領域で後にペイントされる、グラフィックエレメントによりペイントされていない色素についてオーバラップ領域で色を与えることを指示している。たとえば、シアン及びマゼンダをペイントしている第一のグラフィックエレメントは、マゼンダ及びイエローをペイントしている第二のグラフィックエレメントによりオーバラップされる。オーバラップ領域の色の寄与は、第一のグラフィックエレメントからのシアンの色素の値及び第二のグラフィックエレメントからのマゼンダ及びイエローの色素の値を含む。言い換えれば、後にペイントされるグラフィックエレメントからの色素の値が優位になる。更なるルールは、イメージタイプからではなく、色素についてゼロ値を定義するグラフィックエレメントは、先のペイントしているグラフィックエレメントがオーバプリント領域にその色素を与えるのを防ぐことを指示する。逆に、CMYK色素を定義する画像は、先のペイントしているグラフィックエレメントがオーバプリント領域でそれらの色素を与えるのを防ぐ。
【0085】
透明な画像形成モデルに固有なルールを含む、他のオーバプリントカラーコントリビューションのルールのセットが可能である。透明な画像形成モデルでは、オーバラップ領域における先のペイントされたグラフィックエレメントのカラーコントリビューションは、後にペイントされたグラフィックエレメントの透明度の程度の関数である。グラフィックエレメントは、それらの透明性を規定する透明度の属性を有する場合がある。
【0086】
寄与しているグラフィックエレメントが一致するソースカラースペースを定義するケースについて、デバイスNのカラースペースは、グラフィックエレメントから寄与された色素を表現するために便利にも使用される。Nの値は、全ての寄与するグラフィックエレメントにより、集合的にペイントされる色素の数により決定される。
【0087】
たとえば、オーバプリントグラフィックエレメント401は、値207−206を含むオーバプリント領域スタックと関連付けされる。グラフィックエレメント207は、マゼンダ、イエロー及びブラックの色素を含むデバイス3ソースカラースペースで定義される。グラフィックエレメント206は、非ゼロのシアンの色素を含むデバイスCMYKソースカラースペースで定義される。結合されたデバイス4ソースカラースペースは、グラフィックエレメント206により寄与されるシアンの色素、及びグラフィックエレメント207により寄与されるマゼンダ、イエロー及びブラックの色素で選択される。
【0088】
寄与しているグラフィックエレメントのソースカラースペースが他の寄与しているグラフィックエレメントのカラースペースと一致しない場合、一致する色にグラフィックエレメントの色を変換することが適切である場合がある。ルール及び結合する方法の更なるセットは、一致しない色素をオーバプリント領域でどのように結合すべきかを判定するために定義することができる。1つの可能性のあるルールのセットは、表1に記載されている。これらのルールのセットの目的は、たとえば、複雑度のレベルを保持又は低減しつつ、色の忠実度及びアーティストの意図との一貫性を保持又は増加することにある場合がある。なお、広いギャマットのカラースペースは、たとえば、DeviceRGB、CalRGB、DeviceGray、CalGray、Lab、及びICCBasedを含む。狭いギャマットのカラースペースの例は、DeviceCMYK、Separation and DeviceNを含む。減法的なカラースペースは、少なくとも減法的な色素を定義する。減法的な色素は、プロセス色素又はスポット色素を有する場合がある。
【0089】
【表1】

ルール#1の例として、図3及び図5を参照して、オーバプリントグラフィックエレメント406は、値204−203を含むオーバプリント領域スタックで関連される。グラフィックエレメント204は、シアン、グリーン及びレッドの色素を定義するデバイス3ソースカラースペースで定義される。グラフィックエレメント203は、(ソースデバイスに独立な)ラボのカラースペースで定義される。デバイスCMYKソースカラースペースを仮定すると、グラフィックエレメント204は、デバイスCMYKの幾つかの色素をペイントする。したがって、グラフィックエレメント203の色は、デバイスCMYKソースカラースペースに変換される。グラフィックエレメント204は既にシアンを与えているので、ルールセットは、グラフィックエレメント203がマゼンダ、イエロー及びブラックを与えることを判定することができる。したがって、オーバプリントグラフィックエレメント406は、シアン、グリーン及びレッド(203により制御される)、並びにマゼンダ、イエロー及びブラック(204により制御される)を定義するデバイス6カラースペースにより定義される。
【0090】
ルール#2の例として、グラフィックエレメント203及び204のペイント順序を逆転することを考え、グラフィックエレメント204はレッドのスポット色素をペイントしない。そのケースでは、そのプロセス色素がグラフィックエレメント203の広いギャマットの色によりペイントされたと想定されるので、グラフィックエレメント203は変化せず、グラフィックエレメント204は色を与えない。
【0091】
ルール#3の例として、図3及び図5を参照して、オーバプリントグラフィックエレメント404は、値209−203を含むオーバプリント領域のスタックで関連付けされる。グラフィックエレメント209は、ピンクの色素を定義するセパレーションソースカラースペースで定義される。グラフィックエレメント203は、ラボのカラースペースで定義される。デバイスCMYKソースカラースペースを考えると、グラフィックエレメント209は、ソース色素の何れかをペイントしない。したがって、グラフィックエレメント203のラボカラーは、ターゲットカラースペースに変換される。例示的なターゲットカラースペースがヘキサクロムプロセスの色素(シアン、マゼンダ、イエロー、ブラック、オレンジ及びグリーン)を含むデバイスNカラースペースであることを思い出されたい。ターゲットデバイスが、ヘキサクロムプロセス色素及びピンクスポット色素を定義するデバイス7(又は7よりも高い)カラースペースを定義すると仮定すると、オーバプリントグラフィックエレメントのカラースペースは、ヘキサクロムプロセス色素(203により与えられる)及びピンクスポット色素(209により与えられる)によりデバイス7カラースペースとして定義される。オーバプリントグラフィックエレメントは、カラーマッチングが既に実行されたことをカラーマッチャー122に指示するためにマークされる。
【0092】
ルール#3の別の例として、図5に示されるように、ターゲットデバイスがピンクスポット色素をペイントしないと仮定すると、グラフィックエレメント209のピンクスポット色素は、ヘキサクロムプロセス色素に変換される。2つのグラフィックエレメントのターゲットプロセス色素は、結合アルゴリズムを使用して結合される。様々なアルゴリズムは、一般的なカラースペースに既に変換された色素を結合するために考案される。結合アルゴリズムは、本発明の実施の形態によれば、以下の式を使用する。
【0093】
【数4】

ここで、Valueは1つの色素について0から1までの値であり、Nはその色素に寄与するグラフィックエレメントの数である。
【0094】
これらのルールに関するバリエーションも可能である。例として、フォアグランドの(最上の)グラフィックエレメントが少なくとも1つのソースプロセス色素をペイントし、バックグランドのグラフィックエレメントがソースプロセス色素をペイントせず、少なくとも1つのスポット色素をペイントする場合、以下の方法(ソースカラースペースを通してバックグランドをフィルタリングする)が適用される。これにより、最初のルールよりもバックグランドのカラーコントリビューションのギャマットの圧縮がなくなる場合がある。
【0095】
フィルタリング方法は、広いギャマットのカラースペースでペイントするそれぞれバックグランドのグラフィックエレメントの色をソースデバイスのカラースペースに変換することで開始する。つぎに、寄与するソースプロセス色素(たとえば、フォアグランドエレメントによりペイントされない)の値をゼロに設定する。残りの(寄与しない)色をターゲットカラースペースに変換する。また、完全なバックグランドのソースプロセスカラーをターゲットカラースペースに変換する。アルゴリズムを使用して、ターゲットカラースペースにおける完全な色から寄与しない色を除く。これは、ソースカラースペースを通してフィルタリングされたバックグランドのグラフィックエレメントのターゲットの色素の値が得られる。つぎに、フォアグランドのグラフィックエレメントのソースカラーをターゲットカラースペースに変換し、結合アルゴリズムを使用して、それぞれのグラフィックエレメントからターゲットスペース色素を結合する。
【0096】
フィルタリングアルゴリズムは、本発明の1実施の形態によれば、結合アルゴリズムの逆である、以下の式を使用する。
【0097】
【数5】

ここでValueは1つの色素について0から1までの値である。様々なフィルタリングアルゴリズムは、様々な結合アルゴリズムの逆でありアルゴリズムを含めて考案される。
【0098】
色を結合する方法上述されたセットが与えられると、次の詳細は、寄与しているグラフィックエレメントを表すために選択される、オーバプリントグラフィックエレメントタイプのコンテクストでこれらの方法を使用することである。
【0099】
[オーバプリントグラフィックエレメントタイプ]
目的のセットは、寄与しているグラフィックエレメントタイプの組み合わせが与えられ、オーバプリントグラフィックエレメントタイプの選択を支配する。目的は、制度を維持又は増加すること、及び複雑さを保持又は低減することを含んでいる。寄与しているグラフィックエレメントの結合について、エレメントの選択は、最良の表現を判定するために2つのグラフィックエレメントを比較すること、次いで、全ての残りの寄与にわたり繰り返すことに簡略化される。図7は、寄与しているグラフィックエレメントタイプのペアについて例示的なオーバプリントグラフィックエレメントを例示している。比較するためにグラフィックエレメントは、列702及び行704により識別される。列及び行の交点は、それら出力プリント領域を表現するために好適なグラフィックエレメントタイプを識別する。様々な組み合わせが以下に記載される。オーバラップ順序は、重要ではない。
【0100】
別のパスタイプとオーバラップするパスタイプは、(フィルド)パスタイプにより最良に表現される場合がある。オーバプリントは、他のパスのアウトラインによりクリップされる何れかのパスを使用してペイントされる。オーバプリントフィルカラーは、寄与しているパスのフィル又はストロークカラーに基づいて決定される。この表現は、寄与しているグラフィックエレメントと一貫した精度及び複雑度を提供する。
【0101】
シェーディングタイプとオーバラップするパスタイプは、シェーディングタイプにより最良に表現される場合がある。シェーディングは、クリップするためにパスを使用してペイントされる。シェーディングカラーは、パスの一定のフィル又はストロークカラー、及びシェーディングの位置に依存する色に基づいて決定される。位置に依存する寄与している色素は、位置に依存したままである。この表現は、寄与しているグラフィックエレメントと一貫した精度及び複雑度を提供する。
【0102】
ブレンド擬似タイプをオーバラップするパスタイプは、ブレンドタイプにより最良に表現される場合がある。ブレンドのフィルドパスのそれぞれは、クリップするためにパスを使用してペイントされる。それぞれのパスカラーは、オーバラップしているパスについて先に記載されたように決定される。これは、寄与しているグラフィックエレメントと一致する精度及び複雑度を提供する。代替的な表現は、ブレンドが近似である関数及び幾何学的形状の情報が決定された場合にシェーディングである。これは、増加された色の精度及び低減された複雑さを提供する。しかし、この情報を決定することが可能ではない場合がある。
【0103】
ブレンド擬似タイプにオーバラップするブレンド擬似タイプのタイプは、ブレンド擬似タイプにより同様に最良に表現される場合がある。ブレンドのフィルドパスのそれぞれは、クリップするために他のブレンドのパスのそれぞれを使用してペイントされる。オーバプリントブレンドは、フィルドパスの新たなコレクションを有し、それぞれは、オーバラッピングパスについて先に記載されたように決定される色を有する。1つのブレンドからの幾つかのフィルドパスは、他のブレンドからのフィルドパスにオーバラップしない場合がある。クリッピングにより、これらのエリアに何もペイントされないことを保証する。この表現は、寄与しているグラフィックエレメントと一貫した精度及び複雑度を提供する。それぞれのブレンドにおけるエレメントの数(N)が大きい場合、複雑度(N2)は余りに大きくなる。このケースでは、好適な表現は画像である。後者のケースでは、それぞれのブレンドは、同時に起こる画素及びそれらの色素のセットに結合された画素毎にレンダリングされる。結合を表現するために選択された画素数は、精度及び複雑度をバランスすることに基づく。これらのオブジェクトをバランスするためのルールを予め決定することができる。
【0104】
パスタイプにオーバラップするテキストタイプは、テキストタイプにより最良に表現される場合がある。テキストは、クリップするためのパスを使用してペイントされる。テキストカラーは、パス及びテキストの一定のフィル又はストロークカラーに基づいて決定される。幾何学的な精度は、テキストタイプによるペイントにより維持される。色の精度及び複雑度は、寄与しているグラフィックエレメントに準じる。
【0105】
テキストタイプにオーバラップするテキストタイプもまた、テキストタイプにより最良に表現される場合がある。いずれかのテキストは、クリップするために他方を使用してペイントするために選択される。テキストカラーは、両方のテキストグラフィックエレメントの一定のフィル又はストロークカラーに基づいて決定される。この表現によれば、色精度及び複雑度は、寄与しているグラフィックエレメントに準じる。クリップしているテキストグラフィックエレメントのみがフィルされた場合、幾何学的な精度の低減なしに、クリップするためにテキストが使用される。クリッピングテキストグラフィックエレメントのみがストロークされた場合、ストロークされたエリアの近似的なアウトラインは、幾何学的な制度の低減によりクリップするために使用される。同様に、テキストがストローク及びフィルされた場合、結合されたフィル及びストロークエリアの近似的なアウトラインがクリップするために使用される。一方のテキストのみがフィルされ、他方がストロークされた場合、ストロークされたテキストは、クリップするためにフィルされたテキストを使用してペイントされる。他のケースでは、幾何学的な制度を低減することは、たとえば画像表現を使用することで、色の精度を低減し、又は複雑度を増加するために好適な場合がある。
【0106】
図8Aは、テキストをオーバプリントするテキストの例を示している。両方のテキストグラフィックエレメント801及び804は、異なる定義されたストローク及びフィルカラーを有する。グラフィックエレメントアナリシスエンジン112は、本方法を簡単にするため、フィルオンリ及びストロークオンリのテキストエレメント(802−803及び805−806)にこれらグラフィックエレメントを分解する。これら4つのテキストグラフィックエレメントのオーバラップの1部は、拡大810で示されており、オーバプリント領域811−814が示されている。オーバプリントテキストグラフィックエレメント811は、クローズドパスセクション811A−811Dを有しており、グラフィックエレメント805によりクリップされるグラフィックエレメント802のオーバラップを表している。オーバプリントテキストグラフィックエレメント812は、クローズドパスセクション812A−812Bを有しており、グラフィックエレメント803によりクリップされるグラフィックエレメント805のオーバラップを表している。オーバプリントテキストグラフィックエレメント813は、クローズドパスセクション813A−813Bを有し、グラフィックエレメント806によりクリップされるグラフィックエレメント802のオーバラップを表している。オーバプリントテキストグラフィックエレメント814は、グラフィックエレメント806によりクリップされるグラフィックエレメント803のオーバラップを表している。それぞれオーバプリントグラフィックエレメントの色は、テキスト802、803、805及び806について定義された4つの色のそれぞれにより与えられる色素に依存して、図示されるように全く異なる。
【0107】
ブレンド擬似タイプをオーバラップするテキストタイプは、パスブレンドケースに類似して、ブレンド擬似タイプにより最良に表現される場合がある。ブレンドフィルドパスのそれぞれは、クリップするためにテキストを使用してペイントされる。これは、寄与しているグラフィックエレメントに準じた色精度及び複雑度を提供する。幾何学的な精度は、クリッピングについてテキスト幾何学的情報又は近似的なアウトラインの使用に依存する。
【0108】
図8Bは、ブレンドをオーバプリントするテキストの例を示している。グラフィックエレメント821(破線で示されるバウンディングボックス)は、50%のシアンフィルカラー及びストロークなしによるテキストグラフィックエレメントである。グラフィックエレメント822は、垂直方向に配置された10のフィルドパスを有するブレンドグラフィックエレメントである。それぞれフィルドパスのペイントされた色素は、ブラックであり、それぞれのフィルで一定の色素の値をもつ。色素の値は、下での0%から上での100%まで、10%だけフィル間で変化する。グラフィックエレメント821及び822は明確さのために個別に示されているが、それらバウンディングボックスが揃えられるようにオーバラップする。グラフィックエレメント823は、得られるオーバプリントグラフィックエレメントを示す。このグラフィックエレメントは、ブレンド822に類似した一連の水平方向のフィルドパス(破線で示される823A−823Kのバウンディングボックス)を有するブレンドグラフィックエレメントである。それぞれのフィルドパスの色は一定であり、823Aは50%シアン、及び0%ブラックの色を有し、823Kは50%シアン及び100%ブラックを有する。それぞれのフィルドパスは、テキストによりアウトラインされるエリアが色をペイントするように、テキストグラフィックエレメント821から導出されるクローズドパスセクション824−829によりクリップされる。
【0109】
シェーディングタイプをオーバラップするテキストタイプは、シェーディングタイプにより最良に表現される場合がある。シェーディングは、クリップするためにテキストを使用してペイントされる。シェーディングカラーは、テキストの一定のフィル又はストロークカラー及びシェーディングの位置に依存する色に基づいて決定される。位置に依存していた寄与する色素は、位置に依存したままである。これは、寄与しているグラフィックエレメントに準じた色精度及び複雑度を提供する。幾何学的な精度は、テキストの幾何学的形状の情報又はクリップのための近似的なアウトラインの使用に依存する。
【0110】
ブレンド擬似タイプをオーバラップするシェーディングタイプは、シェーディングのコレクションにより最良に表現される。ブレンドのフィルドパスのそれぞれは、シェーディングタイプに変換され、オリジナルのシェーディンググラフィックエレメントによりクリップされる。それぞれのシェーディングカラーは、対応するパスの一定のフィル及びオリジナルのシェーディングのグラフィックエレメントの位置に依存した色に基づいて決定される。コレクションにおけるそれぞれ新たなシェーディンググラフィックエレメントについて、オリジナルのシェーディンググラフィックエレメント及び新たなシェーディングエレメントのジオメトリに基づいた、新たなシェーディングの定義が決定される。これは、寄与しているグラフィックエレメントに準じた精度及び複雑度を提供する。低減された複雑度は、画像表現を選択することで可能な場合がある。
【0111】
シェーディングタイプにオーバラップするシェーディングタイプは、画像タイプ又はシェーディングタイプにより最良に表現される場合がある。シェーディングを選択することは、位置に依存した色を支配する機能を結合することが余りに複雑ではない場合に、色の精度について好適である。さもなければ、シェーディング表現が余りに複雑である場合、好適な表現は画像である。
【0112】
図8Cは、シェーディングをオーバプリントするシェーディングを表すために選択される画像表現の例を示している。グラフィックエレメント830及び831が明確さのために個別に示されているが、それらのバウンディングボックスが揃えられるようにオーバラップする。シェーディンググラフィックエレメント830は、ブラックの色素をペイントし、その値は、下での0%から上での50%に変化する。シェーディンググラフィックエレメント831のシアン色素は、その値が左での0%から右での100%に変化する。イメージグラフィックエレメント832は、オーバプリント領域を表し、833A−Fは第一の画素の行を含み、838A−Fは最後の画素の行を含む。画素833Aの色は、ブラック50%及びシアン0%である。画素833Fの色素の値は、ブラック50%及びシアン100%である。画素838Aの色素の値は、ブラック0%及びシアン0%である。画素838Fの色素の値は、ブラック0%及びシアン100%である。残りの画素は、シェーディング機能の形状に対応するシアン及びブラックの色素の値を有する。
【0113】
他のタイプの何れかをオーバラップするイメージタイプは、イメージタイプにより最良に表現される場合がある。画像のピクセルは、クリップするために他のタイプを使用してペイントされる。結合された色は、画素の色及び他のグラフィックエレメントの色(一定、位置に依存す又は一致した画素の色)からの色素の値に基づいたそれぞれの画素の位置で決定される。これは、少なくとも画像に寄与するエレメントに準じる精度及び複雑度を提供する。この表現は、特に画像を表現するために選択される画素数により決定される幾何学的な精度をもつ、ラスタ装置で画像形成されたとき、オーバラップ領域の幾何学的形状を表現することができるので、エレメントタイプの任意の組み合わせについて代替的な表現とすることができる。その色の精度もまた制限される。しかし、複雑度が支配的なファクタとなる場合、画像は好適な表現となる場合がある。
【0114】
図8Dは、画像をオーバプリントする画像の例を示している。イメージグラフィカルエレメントは、ページで揃えられた座標系で配置された、4つの画素841を有するとして示されている。別のイメージグラフィカルエレメント(破線で示されたバウンディングボックス)は、ページと相対的に45°で回転される座標系で配置される、16の画素842を有するとして示されている。2つの画像が明確さのために個別に示されているが、揃えられたバウンディングボックスの左及び下側でオーバプリントされる。
【0115】
ピクセルグリッド843は、画素841及び842を結合するために決定される。様々な方法は、ピクセルグリッド843を決定するために使用することができる。例として、それぞれのディメンジョンにおける画素数は、それぞれ寄与しているグラフィックエレメントの同じディメンジョンにおける画素数の最大値(又はある倍数)とすることができる。1つの寄与しているグラフィックエレメントの座標系は、イメージピクセルグリッドの座標系として使用するか、又は、別の座標系を決定することができる。それぞれ寄与しているイメージグラフィックエレメントからの画素は、オーバプリントイメージピクセルグリッドと揃えるためにマッピングされる必要がある。
【0116】
(影が付されて図示)画素844は、ピクセルイメージグリッド843に画像841をマッピングすることで得られる。同様にして、(影が付されて図示)ピクセル845は、ピクセルイメージグリッド843に画像842をマッピングすることから得られる。マッピングされた画素の値は、1を超えるオリジナルが素に基づいて決定される。例として、画素845Uは、2つの画素842とオーバラップし、画素845Nは画素842のうちの1つとのみオーバラップする。画素の色を決定する1つの方法は、マッピングしたとき、最も近いオリジナルの画素の色を選択することである。1つの代替として、近隣の画素の色の解釈が使用される。
【0117】
オーバプリントイメージピクセル846も示される。画素846Aの色は、画素844Aによってのみ寄与される。画素846Bの色は、一致する画素844B及び845Aにより寄与される。画素846Eは、画素844又は845のいずれもその画素の位置で色を与えないので色がない。画素846Kの色は、一致する画素845Hによってのみ寄与される。同様に、影付けされた(又は影付けされていない)画素は、先に記載された例となる画素に類似して寄与されるそれらの色を有する。
【0118】
マスクされた画像及びイメージマスクタイプは、図7で例示されていない。これら2つのタイプを含むグラフィックエレメントを表現するために行われる好適なアプローチは、類似している。このアプローチは、一方の寄与するグラフィックエレメントでペイントし、他方でクリップするのと同じ結果を達成するが、複雑度の低いやり方で達成される。マスクを含む2以上のグラフィックエレメント間のオーバラップが与えられると、グラフィックエレメントの階層性は、オーバプリント領域を表現するために選択される。階層におけるグラフィックエレメントの数は、マスクを有する寄与するグラフィックエレメントの数により決定される。
【0119】
オーバプリントグラフィックエレメントの階層によりペイントされる色は、先に記載されたように決定され、一定の色、位置に依存する色、又は画素毎の色である場合がある。階層性のオーバプリントカラーを決定するとき、イメージマスクは、フィルドパスとして扱われ、マスクされた画像は画像として扱われる。したがって、たとえば、少なくとも1つのマスクされた画像を含むオーバプリント領域は、イメージマスクを含みつつ画素毎の色を生成し、シェーディングは、位置に依存する色を生成する。
【0120】
オーバプリントグラフィックエレメントの階層は、オーバプリントの色がペイントするエリア(たとえばクリッピング領域)を指示する。それぞれのステップで、階層を通過して対応するマスクを適用することで、それぞれのマスクからのイネーブルにされた画素に一致する、イネーブルにされた画素のパターンは、繰り返し構築される。多数のマスクされたグラフィックエレメントをもつオーバプリント領域について、このプローチは、比較的シンプルである。
【0121】
あるPDLでは、1以上のグラフィックエレメントを定義する言語コンテンツストリームとしてパターンが定義される。典型的に、パターンは、ストローク又はフィルエリアは、一定の色よりはむしろパターンでペイントされるように、色素の値をもつノーマルのカラースペースの代わりに、グラフィックエレメントのストローク又はフィルカラースペースについて規定することができる。ペイントされたエリアがパターンのディメンジョンよりも大きいとき、パターンは、パターンタイルの例の間の間隔を決定するタイリングベクトルに従ってタイル張りされる。パターンの構築は、階層におけるエレメントをリンクさせるためのメカニズムを提供する。
【0122】
オーバプリントグラフィックエレメントの階層のトップエレメントはイメージマスクである。ボトムエレメントは、一定又は位置に依存するオーバプリントカラーに対応する、イメージマスクである。代替的に、ボトムエレメントは、画素に依存した色に対応する、マスクされた画像である。階層におけるそれぞれのエレメントは、オーバプリントのマスクされたグラフィックエレメントの1つに対応するマスクを有する。トップエレメントは、階層においてその下のグラフィックエレメントのパターンに対応するパターンであるフィルカラースペースを定義する。階層におけるボトムエレメントは、オーバプリント領域のオーバプリントカラーを定義する。
【0123】
図8Eは、この例を説明している。イメージマスク851は、イエローフィルを定義しており、フィルドパス852によりオーバプリントされ、シアンフィルを定義する。それらの両者は、フィルドパス853によりオーバプリントされ、マゼンダフィルを定義する。最終的に、イメージマスク854は、ブラックフィルを定義しており、全ての3つをオーバプリントする。関心のあるオーバプリント領域855は、全ての4つのグラフィックエレメントのオーバラップに対応する領域である。イメージマスクのピクセル861は、イメージマスク851に対応しており、個別に示されている。カラーピクセルは、イメージマスクピクセル861Bにより例示されており、ペインティングをイネーブルにする。ホワイトピクセルは、イメージマスクピクセル861Aにより例示されており、ペインティングをディスエーブルにする。同様に、イメージマスクピクセル864は、イメージマスク854に対応しており、個別に示されている。
【0124】
処理マスク851は、オーバプリントグラフィックエレメントの階層におけるトップにあるイメージマスクのグラフィックエレメントの生成を生じさせる。この上のグラフィックエレメントは、イメージマスクピクセル861を有するマスクを含む。エレメントは、階層における次のグラフィックエレメントを記述するパターンを定義するフィルカラースペースを含む。ピクセル870は、トップのイメージマスクグラフィックエレメントの外観を示す。カラーピクセルは、ピクセル870Bにより例示されており、パターンのペインティングをイネーブルにする。ホワイトピクセルは、ピクセル870Aにより例示されており、パターンのペインティングをディスエーブルにする。
【0125】
階層における次のグラフィックエレメントは、イメージマスクであり、オーバプリント領域におけるマスクをもつ2つのエレメントのみが存在するので、階層における下のエレメントである。このイメージマスクエレメントは、イメージマスクピクセル864を有するマスクを含む。また、エレメントは、デバイスCMYKカラースペースを定義するフィルカラースペースを含む。また、エレメントは、CMYK色素のそれぞれについて色素の値を有するフィルカラーを含む。寄与しているグラフィックエレメントのそれぞれが一定の色を定義するので色はコンスタントである。特に、それぞれ寄与しているグラフィックエレメントは異なる色素でペイントするので、イメージマスクの色素の値は、寄与しているグラフィックエレメントのそれぞれから色素の値の結合に対応する。
【0126】
オーバプリント領域855に対応するピクセル875が示される。イメージマスクピクセル861及び864は、パターンペインティング効果を例示するために示されている。カラーピクセルは、ピクセル875Bにより例示されており、CMYK色素を含む下のグラフィックエレメントにより定義された一定の色をペイントする。これらの画素は、イメージマスク861及び864の両者からの画素がペイントをイネーブルにする位置に対応する。ホワイトピクセルは、ピクセル875A、875C及び875Dにより例示されており、このオーバプリントグラフィックエレメントについて色をペイントしない。しかし、先のペインティンググラフィックエレメントからの色は、ディスエーブルにされた画素を通して光る。
【0127】
特に、875Aにより例示された画素では、CMK色素をもつ画素はペイントする。これは、イメージマスクピクセル864がイネーブルにされる位置をオーバプリントするグラフィックエレメント852−854により形成される先のペイントしているオーバプリントグラフィックエレメントに対応する。同様に、875Dにより例示される画素では、CMY色素を持つ画素はペイントする。これは、イメージマスクピクセル861がイネーブルにされた位置をオーバプリントするグラフィックエレメント851−853により形成される先のペイントしているオーバプリントグラフィックエレメントに対応する。最終的に、875Cにより例示される画素では、CM色素をもつ画素はペイントする。これは、グラフィックエレメント852−853のオーバプリントにより形成される先のペイントしているグラフィックエレメントに対応する。
【0128】
PDLを処理するアプリケーションは、反復的なマスクされたパターン定義を含むドキュメントをサポートする困難さを有する場合がある。したがって、別の好適な実施の形態では、オーバプリントされたマスクは、それぞれ寄与しているマスクがイネーブルにされた場合、マスクピクセルがディスエーブルにされた場合に、イネーブルにされたマスクピクセルを有する高解像度マスクに画素毎に結合される。シングルイメージマスク又はマスクされた画像表現は、その寄与された色に基づいてオーバプリント領域について選択される。その色は、先に記載されたように決定される。
【0129】
コンポーネント(たとえば、ソフトウェアモジュール、プロセッサ、アセンブリ、デバイス、回路等)が先に参照された場合、さもなければ示されない場合、そのコンポーネントへの引用(「手段」への引用を含む)は、本発明の説明された例示的な実施の形態で機能を実行する開示された構造に構造的に等価ではないコンポーネントを含めて、記載されたコンポーネント(すなわち、機能的に等価である)の機能を実行するコンポーネントを、そのコンポーネントの等価として含むものと解釈すべきである。
【0130】
上述された開示に照らして当業者にとって明らかであるように、多くの代替及び変更は、その精神及び範囲から逸脱することなしに本発明の実施において可能である。したがって、本発明の範囲は、以下の請求項により定義される内容に従って解釈されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0131】
【図1】カラーマッチングシステムの機能的なコンポーネントを例示するブロック図である。
【図2】オーバプリント及びカラーマッチングのために処理される前に例示的にオーバプリントされたグラフィックドキュメントを例示する図である。
【図3A】図2に示されたオーバラップするグラフィックエレメントに関する選択された情報を例示する図である。
【図3B】図2に示された寄与しているグラフィックエレメントにより形成されたオーバラップ領域に関する選択された情報を例示する図である。
【図4】適用されるオーバプリント処理による図2のドキュメントに対応する、例示的な修正されたドキュメントを例示する図である。
【図5】図4で例示されるオーバプリントグラフィックエレメントに関する情報を例示する図である。
【図6A】マラーマッチングするオーバプリントグラフィックドキュメントのための例示的な方法を例示するフローチャートである。
【図6B】オーバプリント領域を決定するための例示的な方法を例示するフローチャートである。
【図6C】オーバプリント領域に対応するオーバプリントグラフィックエレメントを含む修正されたドキュメントを作成する例示的な方法を例示するフローチャートである。
【図7】寄与しているグラフィックエレメントに基づくオーバプリントグラフィックエレメントの例示的な表現を例示する図である。
【図8A】テキストをオーバプリントするテキストの例を示す図である。
【図8B】シェーディングをオーバプリントするテキストの例を示す図である。
【図8C】シェーディングをオーバプリントするシェーディングの例を示す図である。
【図8D】イメージをオーバプリントするイメージの例を示す図である。
【図8E】多数のマスクされたグラフィックエレメントのオーバプリントを例示する図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ターゲットデバイスのためのオーバプリントされたグラフィックドキュメントを色整合するための方法であって、
それぞれのグラフィックエレメントが少なくとも1つの色を含む複数のグラフィックエレメントを含むオーバプリントされたグラフィックドキュメントを取得するステップと、
それぞれのコントリビューティンググラフィックエレメントがオーバプリント領域に少なくとも幾つかの色を与える複数のコントリビューティンググラフィックエレメントがオーバラップするエリアに対応する少なくとも1つのオーバプリント領域を識別するため、前記複数のグラフィックエレメントを調べるステップと、
複数のグラフィックエレメントタイプからオーバプリントグラフィックエレメントを選択するステップと、
対応するオーバプリント領域でペイントする前記オーバプリントグラフィックエレメントタイプの少なくとも1つのオーバプリントグラフィックエレメントを作成するステップと、
前記オーバプリントグラフィックエレメントについて少なくとも1つの色を確定するステップと、
前記少なくとも1つのオーバプリントグラフィックエレメントを前記オーバプリントされたグラフィックエレメントに加えることで、修正されたドキュメントを作成するステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記修正されたドキュメントにおける少なくとも1つの色をターゲットカラーに変換することで、色整合されたドキュメントを生成するステップを含む、
請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記少なくとも1つのオーバプリント領域を識別するため、前記複数のグラフィックエレメントを調べるステップは、
前記複数のグラフィックエレメントに対応する複数のグラフィックエレメントのアウトラインを決定するステップと、
複数のオーバラップしているグラフィックエレメントのアウトラインの交点によりそれぞれ定義される複数のオーバラップ領域を決定するステップと、
前記グラフィックエレメントが前記オーバラップ領域を定義する前記複数のオーバラッピンググラフィックエレメントのうちの1つに対応する場合、グラフィックエレメントをオーバラップ領域と関連付けするステップと、
オーバラップ領域に関連されるグラフィックエレメントが前記オーバラップ領域に色を与えるかを判定するステップと、
オーバラップ領域に色を与えるグラフィックエレメントと、前記オーバラップ領域と関連される順序付けされたオーバプリントスタックを関連付けするステップと、
前記対応するオーバプリントスタックが複数のコントリビューティンググラフィックエレメントを含む場合、オーバラップ領域をオーバプリント領域として判断するステップと、
を含む請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記少なくとも1つの色のそれぞれは、前記少なくとも1つの色素に対応する少なくとも1つの色素の値により対応するカラースペースで定義される、
請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記複数の寄与しているグラフィックエレメントの少なくとも1つがペイントされた後、ペイントすべき前記オーバプリントグラフィックエレメントを調整するステップを含む、
請求項1記載の方法。
【請求項6】
前記オーバプリントグラフィックエレメントは、前記複数の寄与しているグラフィックエレメントの幾つかの部分を不明瞭にする、
請求項5記載の方法。
【請求項7】
前記複数のグラフィックエレメントのタイプは、画像、画像マスク、マスクされた画像、シェーディング、テキスト及びパスタイプを含む、
請求項1記載の方法。
【請求項8】
前記複数のグラフィックエレメントのタイプは擬似タイプを含み、前記擬似タイプのエレメントは、複数のグラフィックエレメントタイプのエレメントを含む、
請求項7記載の方法。
【請求項9】
前記カラースペースは、DeviceRGB、CalRGB、DeviceGray、CalGray、Lab、ICCBased、DeviceCMYK、Separation、及びDeviceNのうちの1つを含む、
請求項4記載の方法。
【請求項10】
少なくとも1つの色を変換するステップは、少なくとも1つのICCプロファイルを含む変換情報に基づいて変換を行うステップを含む、
請求項9記載の方法。
【請求項11】
前記修正されたドキュメントにおける少なくとも1つの色をターゲットカラーに変換するステップは、ある色について、前記色のカラースペース、前記色のカラースペースに関連される変換情報に基づく前記色の少なくとも1つの色素の値、及び前記ターゲットカラーのカラースペースを変化させるステップを含む、
請求項2記載の方法。
【請求項12】
前記修正されたドキュメントにおける少なくとも1つの色をターゲットカラーに変換するステップは、ある色について、前記色がターゲットカラースペースで定義された場合に変換を実行しないステップを含む、
請求項2記載の方法。
【請求項13】
前記オーバプリントグラフィックエレメントについて少なくとも1つの色を確定するステップは、
前記複数のコントリビューティンググラフィックエレメントと共に、複数のカラーコントリビューションルールに基づいてオーバプリントカラースペースを確立するステップと、
複数のカラーコントリビューションルールに基づいて前記複数のコントリビューティンググラフィックエレメントから複数の寄与している色を結合することで、少なくとも1つのオーバプリントの色素の値を確定するステップと、
を含む請求項1記載の方法。
【請求項14】
前記複数のカラーコントリビューションルールは、
前記複数の寄与している色が一致する色素を定義する場合に、複数の寄与している色の寄与を決定するために適用可能な一致するカラーコントリビューションルールと、
前記複数の寄与している色が一致しない色素を定義する場合に、複数の寄与している色の寄与を決定するために適用可能な一致しないカラーコントリビューションルールと、
を含む請求項13記載の方法。
【請求項15】
前記複数の寄与している色が一致する減法的なソースの色素を有するオーバプリントカラースペースを確立するステップを含み、
当該方法は、DeviceNのソースカラースペースにおける色素が前記複数の寄与している色から導出された色素を含むDeviceNソースカラースペースを確立するステップを含む、
請求項14記載の方法。
【請求項16】
少なくとも1つのオーバプリントの色素の値を確立するステップは、前記複数の寄与している色が不透明な画像形成モデルを使用して色素をペイントするとき、不透明な色結合ルールに基づく、
請求項14記載の方法。
【請求項17】
少なくとも1つのオーバプリントの色素の値を確立するステップは、寄与している色が透明な画像形成モデルを使用して色素をペイントするとき、透明な色結合ルールに基づく、
請求項14記載の方法。
【請求項18】
少なくとも1つの寄与している色が減法的なソースプロセスの色素をペイントし、最後にペイントしている寄与している色は狭いギャマットのカラースペースで定義される、オーバプリントカラースペースを確立するステップを含み、
当該方法は、前記複数の寄与している色から導出された複数のDeviceNの色素を定義するDeviceNのソースカラースペースを確立するステップを含む、
請求項14記載の方法。
【請求項19】
少なくとも1つのオーバプリント色素の値を確立するステップは、前記一致しないカラーコントリビューションルールに基づいて、
前記寄与している色のカラースペースが前記DeviceNのソースカラースペースに一致しない場合、寄与している色の少なくとも1つの色素の値を取得するステップと、
前記寄与している色のカラースペースが前記DeviceNのソースカラースペースと一致しない場合、前記寄与している色の少なくとも1つの色素の値を少なくとも1つのソースプロセスの色素の値に変換するステップと、
複数の一致するカラーコントリビューションルールに基づいて前記複数の寄与している色に対応する少なくとも1つの色素の値を結合するステップと、
を含む請求項18記載の方法。
【請求項20】
最後にペイントしている寄与している色は、広いギャマットのカラースペースで定義され、
オーバプリントグラフィックエレメントについて少なくとも1つの色を確立するステップは、それぞれの色について、
前記最後にペイントしている寄与している色のカラースペースを選択することで、オーバプリントカラースペースを確立するステップと、
前記最後にペイントしている寄与している色の1以上の色素の値を選択することで、少なくとも1つのオーバプリント色素の値を確立するステップと、
を含む請求項14記載の方法。
【請求項21】
寄与している色が減法的なソースプロセス色素をペイントせず、
少なくとも1つのバックグランドで寄与している色が広いギャマットのカラースペースを含み、
少なくとも1つの寄与している色が少なくとも1つのスポットの色素をペイントすることが満足され、
当該方法は、前記ターゲットデバイスによりペイントされた複数のDeviceNの色素を定義するDeviceNターゲットカラースペースを確立するステップを含む、
請求項14記載の方法。
【請求項22】
少なくとも1つのオーバプリントの色素の値は、不一致のカラーコントリビューションルールに基づいて、
前記寄与しているカラースペースが前記DeviceNのターゲットカラースペースと一致しない場合、寄与している色の少なくとも1つの色素の値を少なくとも1つのターゲットプロセスの色素の値に変換するステップと、
前記ターゲットデバイスが前記スポットの色素をペイントする場合、寄与している色の少なくとも1つのスポット色素の値を取得するステップと、
前記ターゲットデバイスが前記スポット色素をペイントしない場合に、スポットの色素のレシピに基づいて、寄与している色の少なくとも1つのスポットの色素の値を少なくとも1つのターゲットプロセス色素の値に変換し、
結合アルゴリズムを使用して、前記複数の寄与している色からの前記少なくとも1つのターゲットプロセスの色素値を結合するステップと、
複数の一致するカラーコントリビューションルールに基づいて、前記複数の寄与している色から前記少なくとも1つのスポット色素の値を結合するステップと、
を含む請求項21記載の方法。
【請求項23】
前記結合アルゴリズムは、
【数1】

により記載されるアルゴリズムを含み、前記Valueは1つの色素について0から1までの値であり、前記Nはその色素を与える色の数である、
請求項22記載の方法。
【請求項24】
フォアグランドの寄与している色は少なくとも1つの減法的なソースプロセスの色素をペイントし、
それぞれバックグランドで寄与している色は、減法的なソースプロセスの色素をペイントせず、
少なくとも1つのバックグランドの寄与している色は、少なくとも1つのスポット色素をペイントし、
当該方法は、DeviceNターゲットカラースペースの色素が前記ターゲットデバイスにより定義される、前記DeviceNターゲットカラースペースを確立するステップを含む、
請求項14記載の方法。
【請求項25】
少なくとも1つのオーバプリント色素の値を確立するステップは、一致しないカラーコントリビューションルールに基づいて、
前記複数の寄与している色から導出された複数のDeviceNの色素を定義するDeviceNソースカラースペースを識別するステップと、
前記DeviceNソースカラースペースを通してそれぞれバックグランドの寄与している色をフィルタリングし、少なくとも1つのバックグランドのターゲットプロセスの色素の値を生成するステップと、
フォアグランドの色の少なくとも1つの色素の値を、前記DeviceNターゲットカラースペースに対応する少なくとも1つのフォアグランドのターゲットプロセスの色素の値を変換するステップと、
前記少なくとも1つのフォアグランド及び前記少なくとも1つのバックグランドのターゲットプロセスの色素の値を結合して、結合アルゴリズムを使用するステップと、
を含む請求項24記載の方法。
【請求項26】
前記結合アルゴリズムは、
【数2】

により記載されるアルゴリズムを有し、
前記Valueは1つの色素について0から1までの値であり、前記Nはその色素を与える色の数である、
請求項25記載の方法。
【請求項27】
前記DeviceNソースカラースペースを通してそれぞれのバックグランドの寄与している色をフィルタリングするステップは、
前記バックグランドの寄与している色の少なくとも1つの色素の値を前記DeviceNソースカラースペースに対応する少なくとも1つのソースプロセスの色素の値に変換するステップと、
前記少なくとも1つのソースプロセスの色素の値のコピーを、前記DeviceNのターゲットカラースペースに対応する少なくとも1つのターゲットプロセスの色素の値に変換するステップと、
複数のカラーコントリビューションルール及び前記フォアグランドのコントリビューションカラーに基づいて、前記少なくとも1つのソースプロセスの色素の値を、ゼロ以上の寄与しているソースプロセスの色素の値及びゼロ以上の寄与していないソースプロセスの色素の値に分割するステップと、
フィルタリングアルゴリズムを使用して少なくとも1つのターゲットプロセスの色素の値からゼロ以上の寄与しないターゲットプロセスの色素の値をフィルタリングすることで、少なくとも1つのバックグランドのターゲットプロセスの色素の値を生成するステップと、
を含む請求項25記載の方法。
【請求項28】
前記フィルタリングアルゴリズムは、
【数3】

前記Valueは1つの色素について0から1までの値であり、前記Nはその色素を与える色の数である、
請求項27記載の方法。
【請求項29】
ドキュメントは、ペイントの順序付けがされたグラフィックエレメントデータフォーマット又はページ記述言語フォーマットに準じる、
請求項1記載の方法。
【請求項30】
ターゲットデバイスについてオーバプリントされたグラフィックドキュメントを色整合するためのシステムであって、
少なくとも1つの色を含むグラフィックエレメントを有するオーバプリントされたグラフィックドキュメントにアクセスする手段と、
それぞれの寄与しているグラフィックエレメントが前記オーバプリント領域に色を与える複数の寄与しているグラフィックエレメントがオーバラップするエリアに対応する少なくとも1つのオーバプリント領域を識別するために前記複数のグラフィックエレメントを調べる手段と、
オーバプリントグラフィックエレメントが対応するオーバプリント領域でペイントする少なくとも1つのオーバプリントグラフィックエレメントを作成する手段であって、複数のグラフィックエレメントタイプからオーバプリントグラフィックエレメントタイプを選択する手段を含む作成手段と、
オーバプリントグラフィックエレメントについて少なくとも1つの色を確立する手段と、
前記少なくとも1つのオーバプリントグラフィックエレメントを前記オーバプリントされたグラフィックドキュメントに加えることで、修正されたドキュメントを作成する手段と、
前記修正されたドキュメントにおける少なくとも1つの色をターゲットカラーに変換することで、色整合されたドキュメントを生成する手段と、
を有することを特徴とするシステム。
【請求項31】
ターゲットデバイスについてオーバプリントされたグラフィックドキュメントを色整合する装置であって、
当該装置は、
オーバプリントされたドキュメントから修正されたドキュメントを生成するために作用するオーバプリントエンジンを有し、
前記オーバプリントエンジンは、
複数のグラフィックエレメントを有するオーバプリントされたグラフィックドキュメントを取得し、それぞれの寄与しているグラフィックエレメントがその色の幾つかの部分を与える複数の寄与しているグラフィックエレメントがオーバラップするエリアに対応する少なくとも1つのオーバプリント領域を決定するために前記複数のグラフィックエレメントを調べるために作用するグラフィックエレメントアナリシスエンジンと、
オーバプリントグラフィックエレメントが対応するオーバプリント領域でペイントする少なくとも1つのオーバプリントグラフィックエレメントを作成し、前記作成は複数のグラフィックエレメントタイプからオーバプリントグラフィックエレメントタイプを選択することを含み、オーバプリントグラフィックエレメントについて少なくとも1つの色を確立し、前記少なくとも1つのオーバプリントグラフィックエレメントを前記オーバプリントされたグラフィックドキュメントに加えることで、修正されたドキュメントを作成するために作用するオーバプリントグラフィックエレメントジェネレータと、
前記修正されたドキュメントにおける少なくとも1つの色をターゲットカラーに変換するために作用するカラーマッチャーと、
を有することを特徴とする装置。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図8D】
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【図8E】
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【公表番号】特表2007−536837(P2007−536837A)
【公表日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−511806(P2007−511806)
【出願日】平成17年5月5日(2005.5.5)
【国際出願番号】PCT/CA2005/000697
【国際公開番号】WO2005/106797
【国際公開日】平成17年11月10日(2005.11.10)
【出願人】(598088778)コダック グラフィック コミュニケーションズ カナダ カンパニー (34)
【Fターム(参考)】