オーバーフロー体積部を有するツールを使用した光学素子の成形
【課題】複製ツールによって素子を製造する方法を提供する。
【解決手段】複製ツールによって素子を製造する方法であって、素子の形状を画定する複製ツールを設けるステップと、基板を設けるステップと、複製材料がツールと基板との間に位置している状態でツールを基板に押圧するステップと、基板の所定の領域に、基板の表面に沿って少なくとも1つの方向に所定の距離より小さく複製材料を閉じ込め、この所定の領域は基板を覆う素子の所望の領域を超えているステップと、複製材料を硬く(たとえば硬化)して素子を形成するステップと、を備える方法。
【解決手段】複製ツールによって素子を製造する方法であって、素子の形状を画定する複製ツールを設けるステップと、基板を設けるステップと、複製材料がツールと基板との間に位置している状態でツールを基板に押圧するステップと、基板の所定の領域に、基板の表面に沿って少なくとも1つの方向に所定の距離より小さく複製材料を閉じ込め、この所定の領域は基板を覆う素子の所望の領域を超えているステップと、複製材料を硬く(たとえば硬化)して素子を形成するステップと、を備える方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、小型の光学素子または機械的素子、特に屈折光学素子または回析マイクロ光学素子を、エンボス加工するステップまたは成形加工するステップを含む複製プロセスによって製造する分野にある。より具体的には、本発明は、光学素子を複製する方法、およびその複製ツールを扱う。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
複製された光学素子は、任意の所定の方法で光学ビームを作用させるための回析および/または屈折マイクロ光学素子、レンズ等の屈折素子、潜在的に少なくとも部分的な反射素子などを含む。
【0003】
光学素子が複製によって製作される場合、たいていは、基板およびその表面上の複製材料を含む基本構成があり、この複製材料は複製プロセスの間に成形され硬くされる(hardened)。多くの場合、指定された基板面に垂直の寸法は、すなわち複製された構造体の厚さまたは高さであり、またz−寸法とも称されるが、重要であり、明確に定義されかつ調節されなければならない。素子の他の寸法は、複製ツールによって定められ、このことは複製プロセスの性質であり、複製された素子の体積もまた、明確に定義される。しかし、小体積の分配された液体または粘性の材料は、一般的に調節するのが困難でありコストが高い。部分的にのみ充填される素子は、瑕疵があり欠損してしまうので、したがって、過剰な複製材料を分配することが有利となる。これによって、確実に、異なる素子の間で変動する複製材料の体積に対してもまた、無駄になる素子は全くないか、ほとんどないようになる。
【0004】
ウエハスケール製造プロセスは特に関心があり、このプロセスでは、光学素子のアレイがディスク状の(「ウエハ」)構造体上に製造され、複製に続いて個々の素子に分離される(「ダイシングされる」)か、または、たとえばWO2005/083 789に記載されているように、他のウエハ状の素子に積み重ねられ、積み重ねた後に個々の素子に分離される。『ウエハスケール』は、たとえば直径が2インチと12インチとの間であるディスクなど、半導体ウエハに相当するサイズのディスク状またはプレート状の基板のサイズを指す。従来のウエハスケール複製プロセスにおいて、全体のウエハスケールレプリカ用の複製材料は、単一の小塊で基板上に配置される。しかし、後の複製ステップで複製材料が必要とされない素子の側方の領域が存在する可能性がある。特定の用途において、製造された素子は、たとえば他の素子と組み合わせて使用されなければならず、また、残余の材料が組み合わされた構造体の機能を損なうことになる。本願と同じ発明者により同日に出願された同時係属出願「Method and Tool for Manufacturing Optical Elements(光学素子を製造するための方法およびツール)」において、アレイ複製方法が開示されており、これによって、作成されることになっている光学素子の、または光学素子のサブグループ毎に、複製材料の小塊が基板上またはツール上にアレイ状のように分配される。
【0005】
このようなアレイ複製プロセスでは、余剰材料が素子の体積部から側方に漏れることになる。たとえば、小型光学レンズは、CCDカメラセンサアレイまたはCMOSカメラセンサアレイをそれぞれ包含する半導体チップを支持するウエハの表面より上に複製されてもよい。残余の材料は、もしこれが重要領域を覆う場合には、半導体ウエハおよびレンズを備えるスタックのさらなる処理ステップ、たとえばボンディングを妨げる可能性がある。
【0006】
同出願人によるWO2004/068198は、本願明細書に引用によって完全に援用しており、マイクロ光学素子を作成するための複製プロセスを記載している。構造(またはマイクロ構造)素子は、複製ツールを用いて予備的製品での3次元構造体を複製/形状化(成形加工またはエンボス加工など)することによって製造される。複製ツールは、複製表面から突出するスペーサ部分を含む。複製されたマイクロ光学素子は、レプリカと呼ばれる。
【0007】
スペーサ部分は、基板における変形可能な材料の、自動化された正確な厚みの制御を可能にする。これらは、ツールに組込まれた「脚部状の」構造体を備えていてもよい。加えて、スペーサがツールで最も高い構造的特徴よりもさらに突出するので、スペーサはマイクロ光学の微細構成(topography)の変形を防ぐ。
【0008】
スペーサ部分は、たとえば複製ツール全体にわたって、またはその端部においてなど、複製ツールの少なくとも本質的な部分にわたって「分布する」態様で、好ましくは利用可能である。このことは、スペーサ部分の特徴が複製ツールの本質的な部分にあることを意味しており、たとえば、スペーサ部分は複製ツールの複製表面にわたって分布する複数のスペーサからなる。スペーサによって、複製材料層の自動化された正確な厚みの制御が可能になる。
【0009】
複製プロセスはエンボス加工プロセスであってもよく、形状化されることになる製品の可塑的に変形可能な、または粘性の、もしくは液体の複製材料が、基板表面上に置かれ、この基板はいかなるサイズを有していてもよい。エンボス加工するステップでは、スペーサ部分が基板の上表面に当接する。したがって、上記表面はエンボス加工の停止面として機能する。
【0010】
これらの理由によって、WO2004/068198に記載されている複製プロセスは、複製された素子の厚さ(高さ、z−寸法)を制御する1つの特に有利な可能性となる。z−寸法を制御する他の方法は、ツール面と基板面との間の距離を測定すること、および異なる場所でロボットによってこの距離を能動的に調整することを含む。
【0011】
上述された理由によって、エンボス加工するステップによって、残余の材料が素子間の領域に、およびたとえば素子それぞれの周縁部のまわりにも、残ったままとなる。複製ツールがスペーサ部分を備える場合には、このことは、素子を包囲するスペーサ領域にもまた、あてはまる可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
発明の説明
したがって、本発明の目的は、素子を複製する方法および最初に述べられているタイプの複製ツールを作成することであり、これは前述の問題点を解決するものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の第1の態様によると、複製ツールによって素子を製造する方法が提供されており、この方法は、
・素子の形状を画定する複製ツールを設けるステップと;
・基板を設けるステップと;
・液体または粘性あるいは可塑的に変形可能な状態にある複製材料がツールと基板との間に位置している状態で、ツールおよび基板を互いに押圧するステップと;
・基板の所定の領域に、基板の表面に沿って少なくとも1つの方向に所定の距離より小さく複製材料を閉じ込め、この所定の領域は基板上の素子の所望の領域を超えているステップと;
・複製材料を硬くして素子を形成するステップと、
を備える。
【0014】
複製材料は、ツールと基板の表面との間に閉じ込められる。複製材料を基板面の一部分だけに閉じ込めることによって、結果として生じる素子は、たとえば硬化などによって硬くした後に、基板の一部分を覆うだけになる。この素子は延びて所定の領域で基板を覆うことはなく、この領域をたとえばボンディングのために空けておく。
【0015】
好ましくは、複製ツールは、構成部品(たとえばレンズなど光学素子)の(ネガ形の)形状をそれぞれ後に画定し、基板または基板を含むアセンブリを個々の素子にダイシングすることによって他の素子から分離される、複数の部分を備える。ついで、複製材料を基板の所定の領域に閉じ込めることは、たとえば、複製材料を複数の領域に閉じ込めることを含み、各領域は複製部分の周囲にあり、この領域は好ましくは重畳しない。たとえば、複製部分は、同一の複製部分のアレイとして存在してもよく、複製部分のそれぞれの周りで複製材料が領域に閉じ込められている。
【0016】
複製ツールは、スペーサ部分を備えていてもよい。このようなツールでは、ツールの少なくとも1つのキャビティが、製造されることになる素子の少なくともいくつかの構造的特徴のネガであるネガ形の構造的特徴を有する複製表面を画定する。キャビティは、素子体積部を含み、さらに少なくとも1つのバッファ体積部および/またはオーバーフロー体積部を備えてもよい。スペーサまたはスペーサ部分は、複製表面から突出している。複製プロセスにおいて、スペーサまたはスペーサ部分は、基板に当接し、かつ/または、複製材料の薄い基層上に浮動している。
【0017】
ツールおよび基板が互いに押圧される力は、特定の要件に基づいて選択されてもよい。たとえば、この力は、ちょうど、基板面を当接し、かつ/または、複製材料の薄い基層に浮動するスペーサ部分によって基板上にある複製ツールの重量であってもよい。
【0018】
あるいはまた、基板が、複製ツール上にあってもよい。さらに別の代替案にしたがって、この力は、重量よりも大きくまたは小さくてもよく、たとえば、複製プロセスの間に基板と複製ツールとの距離を制御するマスク調整器または類似した装置によって加えられてもよい。
【0019】
複製プロセスのために複製ツールと基板とが寄せられる前に、液体または粘性であるか可塑的に変形可能な状態の複製材料が、複製ツール上および/または基板上に配置される。上述のように、複製ツールは、複製されることになる素子をそれぞれ画定する複数の部分を備えていてもよい。ついで、好ましくは、この方法は、ツールを基板に押圧する前に、各位置が1つの部分に対応している側方に移動する位置で、ツールおよび基板のうちの少なくとも1つに複製材料の(所定可能な)体積を局所的にかつ個別に加えることを備える。このことによって、光学素子にそれぞれ対応する複数のキャビティに最適量の複製材料を備えることが可能になる。これによって、複数の素子が複製材料の単一の小塊から形成されるだろう場合と比較すると、重要領域から除去されるかまたは外さなければならない余分な複製材料の体積が、低減するかまたは排除される。
【0020】
複製ツールおよび基板が複製位置、すなわち、複製ツールおよび基板が寄せられ、たとえば、複製ツールが基板に配置されている位置で、複製材料が硬くされる。選択される複製材料に応じて、これは、たとえばUV硬化などの硬化によって硬くされてもよい。代替案として、これは、冷却によって硬くされてもよい。選択される複製材料に応じて、他の硬くする方法もまた可能である。続いて、複製ツールと複製材料とが互いから分離される。ほとんどの応用分野としては、複製材料が基板上に残る。光学素子は、典型的に、屈折光学素子または回析光学素子であるが、たとえば少なくとも領域内に微小機械的な機能を有していてもよい。
【0021】
素子体積は、基板の一部分を覆い、素子の機能的部分を構成する。硬化された複製材料の残りは、素子の両側、すなわち基板および素子の機能的部分の両方に隣接している空間の領域で、体積部を充填してもよく、素子の機能を妨げることはない。本発明によって、複製材料が素子体積の両側で基板に沿ってどれだけ移動することができるかを制御することが可能になる。
【0022】
本発明の好ましい一実施態様では、複製材料の流れが、毛管力および/または表面張力によって、制御され、かつ/または制限される。このことは、ツールと基板との間の複製材料の流量を促進するかまたは妨げる、幾何学的特徴の特性を活用するものである。
【0023】
一例として、複製ツールは、1つの素子または一群の素子の形状をそれぞれ画定する複数のキャビティを備え、各キャビティは少なくとも1つの側方向に平面部分によって限定されているように選択されてもよい。内縁部が、キャビティと平面部分との間に形成されている。複製ツールは、キャビティ間に複数のオーバーフロー体積部または1つの近接するオーバーフロー体積部をさらに備える。そして、外縁部が、平面部分とオーバーフロー体積部との間に形成されている。分配される複製材料(キャビティあたり)は、キャビティの体積よりも大きくなるように選択される。ついで、平面部分は、好ましくはキャビティを包囲する浮動(非接触)スペーサとして役立つ。外縁部は、複製材料の流れを止める切れ目(discontinuity)を構成する。このような切れ目がなければ、毛管力によって、最終的に複製材料が素子体積部から流出することになるであろう。
【0024】
この例では、キャビティが、たとえば素子体積部のみからなっていてもよい。素子が凸状の屈折レンズであり、これに隣接して薄いベース層が形成されるように、キャビティはドーム状であってもよく、ベース層は、浮動性のスペーサの下に複製材料が残るものである。
【0025】
円筒状の対称性の光学素子である場合でも、オーバーフロー体積部の外縁部に沿って形成される複製材料のバルジが、複製素子から離れて他方の側に向かうよりも素子の一方の側に向かって遠くに配置されるように、基板面に対して垂直な方向に、たとえば素子の中心軸に沿って見ると、平面部分の形状が非対称的でもよい。
【0026】
以下、便宜上、本質的に平面表面を備える基板の表面に対して垂直な寸法を、「高さ」として示す。実際には、全装置はまた、逆さの構成で使用されてもよく、あるいは、基板面が水平面に対して垂直であるかある角度をなす構成で使用されてもよい。表面に対して垂直に一致する方向を、z−方向と示す。用語「周縁部」「側方の」および「両側」は、z−方向に垂直な方向に関する。
【0027】
別の一例において、流れの制御は、素子の形状を画定するツール内のキャビティによって行われ、このキャビティは、素子の少なくとも一方の側に沿ってバッファ体積部を含み、このバッファ体積部は内縁部によって素子体積部から分離されている。さらに、キャビティの素子体積部に個々に加えられる複製材料の所定の体積は、キャビティの体積よりも小さい。このことによって、内縁部が、複製材料のバッファ体積部への流れを、内縁部に作用する毛管力および表面張力によって制限するようになる。
【0028】
特に、複製材料の所定の体積が、およそ素子体積部の体積(または、わずかにより小さいか、わずかにより大きい)であってもよい。素子体積は、ツールによって画定される一方の側にある素子の外形から他方の側にある基板まで延びる機能素子の体積である。ついで、内縁部で作用している流体力によって、複製材料がバッファ体積部に流れ込むのを防ぐことになる。
【0029】
本発明のさらに別の好ましい実施形態では、ツールを基板に押圧する場合、傾斜スペーサが、素子体積部、特に素子体積部に隣接したバッファ体積部に向かって複製材料を移動させる。傾斜スペーサは、基板の表面と接触するようになっている斜面を有する。圧力が加えられない場合には、斜面が外周で基板に接触し、素子体積部により近い領域で基板から徐々に離れて移動する。エンボス加工または成形加工の間に圧力がツールに加えられる場合には、わずかに弾性であるツールが変形し、斜面によって、複製材料が傾斜スペーサの下から移動するようになる。
【0030】
本発明の好ましい一実施態様では、この方法は、
・基板に接触する接触スペーサによって、ツールの少なくとも一方の側に向かう複製材料の流れを閉じ込めるステップと、
・オーバーフロー溝によってツールの別の側に向かう複製材料の流れを可能にするステップと、
をさらに備える。
【0031】
このことによって、重要領域から複製材料を離すことができ、かつ、重要でない領域に位置するオーバーフロー体積部に複製材料を案内することができるようになる。
【0032】
さらに、本発明によると、複製材料から素子を複製するための複製ツールが提供されており、複製ツールは、複製側と、1つの素子または一群の素子の形状をそれぞれ画定する、複製側の複数のキャビティとを備え、複製ツールは、複製側でキャビティから突出する少なくとも1つのスペーサ部分をさらに備え、複製ツールは、複製材料をツールの所定の領域に閉じ込めるための手段をさらに備え、ツールが基板に押圧される場合に、この所定の領域が、基板の表面に沿って少なくとも1つの方向に、所定の距離よりも小さく素子の所望の体積を超える。
【0033】
このような複製材料を閉じ込めるための手段、すなわち流れを制限する特徴は、内縁部、バッファ体積部、外縁部、スペーサ、および傾斜スペーサによって構成され、これらのそれぞれは単独であるか、またはこれらのうちのいくつかが組み合わされる。これらは組み合わされてもよく、実際に存在する複製材料の量に従って、前か後の制限で流れを停止させる「複数段の」流れ制限を形成する。このことによって、個々のキャビティに、または、基板上の対応する個々の位置に複製材料を分配する場合の不正確にもかかわらず、流れを制御することが可能になる。
【0034】
換言すれば、キャビティが、素子体積部と、素子体積部の周縁部にさらなる体積部とを備え、さらなる体積部の境界部は、ツールを基板に押圧するときに複製材料の毛管流を選択的に抑制し、かつ/または可能にする、複製材料が間にある切れ目を備える。
【0035】
切れ目はたとえば、円形の光学素子用であり、また形状が円形で、同軸である。たとえば長方形または丸みのある長方形など、他の形状の光学素子用に、連続的な切れ目が、増加する距離で光学素子の形状に追従してもよい。
【0036】
本発明の好ましい一実施態様では、切れ目が、複製ツールに形成されている隆起部と凹部との間にある。したがって、切れ目は、たとえば、光学素子を画定する複製ツールの部分の周りに形成される、円形の(または矩形など、上記参照)隆起部と溝との間の縁部によって構成される。したがって、一連の連続的な隆起部および溝は、余剰の複製材料の延在部の量子化を定める、というのは、複製材料の外方の流れは、各縁部または切れ目で抑制されるかまたは停止し、素子体積部の体積に対する複製材料の体積が特定の限度を超える場合にのみ、続くからである。
【0037】
機能しない複製材料によって覆われたままの、光学素子を包囲する領域を最小限に抑えるために、素子体積部を包囲して、その外側の境界部を画定している浮動スペーサは、さらにスペーサの機能を提供しつつ、すなわちツールを十分に支持しつつ、たとえばできるだけ薄く作られる。さらに、浮動スペーサの外側、または、素子体積部の外縁部の外側に(浮動スペーサがない場合)ある、凹部またはいくつかの凹部は、できるだけ深く、たとえば素子体積部の深さまで、作られるのが好ましい。結果として、凹部によって画定される体積部が増加し、材料が隣りの凹部に流出する前にこれが吸収することのできる複製材料の体積もまた、増大する。
【0038】
各円周方向の凹部または溝の体積は、液状に被着した複製材料の体積が制御されることのできる精度と、好ましくは相関している。たとえば、複製材料の体積が高度に制御されることができると、その結果、余剰材料のサイズまたは体積が、狭い範囲内でしか変動しないことがわかる。結論的には、凹部は、たとえば余剰のサイズまたは体積の変動をカバーするように位置し寸法決めされるのが好ましい。すなわち、最小限の予想される余剰のサイズで被着の精度に従って凹部が充填されることは全くなく、最大の余剰のサイズとして、凹部はちょうどその限度まで充填されることになる。換言すれば、複製材料の流れを制限するための手段の寸法(すなわち切れ目または縁部の、および、介在する凹部の寸法、ならびにこれらの体積)は、加えられる複製材料の体積の期待値に従って設計される。
【0039】
他の制約に応じて、凹部の深さおよび幅を選択することによって、凹部の体積が調整される。深さは、複製ツールを作成するプロセスによってたとえば制限され、凹部の幅は、光学素子に加えて余剰の材料の全体のサイズを制限する設計制約によって制限される。したがって、凹部および液滴の被着の全体設計は、個々の製品に応じた最適化基準に従って、液滴の被着の精度および凹部の幾何学的形状の相互関係のある特徴の最適な選択を構成する。
【0040】
さらなる好ましい一実施形態では、複製ツールが、基板をキャビティの一方の側で接触させることによって、複製材料の流れを停止させるように寸法決めされているスペーサと;キャビティの別の側に向かう複製材料の流れを可能にするオーバーフロー溝とを備える。
【0041】
さらなる好ましい一実施形態では、複製ツールは、キャビティによって画定される素子体積部の少なくとも一方の側にあるバッファ体積部を備え、バッファ体積部および素子体積部は、バッファ体積部への複製材料の流れを抑制する内縁部をこれらの共通の境界部に画定している。
【0042】
さらなる好ましい一実施形態では、複製ツールは、バッファ体積部の表面に、バッファ体積部への複製材料の流れを抑制するさらなる縁部を備える。さらなる縁部は、少なくとも概略的に平行曲線で内縁部の形状に追従している。
【0043】
ツールが複数のキャビティを備え、したがって、好ましくは、共通基板上での素子のアレイの同時製造が可能になる。この共通基板は、好ましくは、ウエハスケール上に製作されて、後で別々の単位体にダイシングされる光学素子および電子素子を備える、光電子であるかマイクロ光電子のアセンブリの一部分である。
【0044】
さらなる好ましい実施形態は、従属請求項よって明らかである。方法クレームの特徴は、装置クレームの特徴と組み合わせられてもよく、逆もまた同様である。
【0045】
レプリカ(マイクロ光学素子またはマイクロ光学素子部品または光学マイクロシステム)は、エポキシでできていてもよい。硬くするステップは、複製ツールがまだ所定の位置にある間に行われ、その結果、UV硬化(UV curing)ステップでもよい。紫外線硬化(UV light curing)は迅速なプロセスであって、硬くするプロセスを良好に制御することができる。当業者は、他の材料および他の硬くするプロセスを知っているであろう。
【0046】
「光学」素子は、スペクトルの可視部分においてのみでなく、電磁放射線に影響を与えることのできる素子を含む。特に、光学素子は、可視光線、赤外放射線および潜在的に紫外線にも影響を与える素子を含む。この本文の単語「ウエハ」は、基板の形状に関していかなる制限をも意味するものではない。
【0047】
本発明の主題は、概略的に添付の図面で示されている好ましい例示的実施形態を参照しつつ、以下の本文においてより詳細に説明することとする。
【0048】
図面において使用されている参照記号およびこれらの意味は、概略的な形で参照記号表に列挙されている。原則として、同一の部品は、図において同じ参照記号を与えられている。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】基板上に配置されているツールの横断面図である。
【図2】基板上に配置されているツールの横断面図である。
【図3】図2の装置を上昇して見た図である。
【図4】バッファ体積部とオーバーフロー体積部との間の移行部の代替の幾何学的形状の一例である。
【図5】さらなるツールの横断面図である。
【図6】さらなるツールの横断面図である。
【図7】さらなるツールの横断面図である。
【図8】さらなるツールの横断面図である。
【図9】さらなるツールの横断面図である。
【図10】図9の装置を上昇して見た図である。
【図11】さらなるツールの横断面図である。
【図12】さらなるツールの横断面図である。
【図13】さらなるツールの横断面図である。
【図14】本発明による方法の流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0050】
好適な実施形態の詳細な説明
図1は、基板12上に配置されているツール10の横断面図を概略的に示している。ツール10は、素子体積部1によって形成されることになる素子の形状を画定するキャビティ8を形成する。図示されている場合では、光学素子は、単に屈折レンズである。素子体積部1が、ツール10と基板12との間にある。これは、ツール10の突出する要素によって包囲されており、この要素は、ここでは浮動スペーサ14として示されている。スペーサの平面17は、基板12の表面に対してほぼ平行に走り、ここでは、基板の平面から約5μm〜15μmの距離をおいている。浮動スペーサ14の下部に、平面17と基板12との間に、小さなバッファ体積部3が形をなす。素子体積部1とバッファ体積部3との間に、ツール10は内縁部2を備えている。バッファ体積部3とオーバーフロー体積5部との間に、ツール10は外縁部4を備えている。
【0051】
浮動スペーサ14の主要な機能は、毛管力によって余剰材料を取り出すことである。流れは、外縁部4で停止し、バルジ18を形成するので、素子体積部1が毛管力によって空になるのを防ぐ。このようにして、浮動スペーサ14の幅および形状と、オーバーフロー体積部5の形状および寸法とが、余剰材料が進むべき場所を画定する。したがって、複製材料を特定の最大量より下に保つことによって、複製材料が閉じ込められる。
【0052】
内縁部2は、第1の切れ目を構成し、以下の図にも示されているように、複製材料13の外側の境界部で流れを止める。外縁部4は、第2の切れ目を構成し、複製材料13がバッファ体積部3に隣接したバッファ体積部5へと流れるのを止める。このような切れ目がないと、毛管力によって、複製材料13がバッファ体積部3によって形成される溝に沿って絶え間なく流れ、結局は、素子体積部1から複製材料13を流出させる原因となる。
【0053】
図2は、上述の原理の変形例を示す。この変形例において、素子体積部1を包囲する浮動スペーサ14は、非対称である。このことによって、余剰材料が他のプロセスを妨げていない領域に、余剰材料を移動させることができる。図2の構成の上面図を図3に示す。外縁部4の周囲に延びる複製材料のバルジ(図1および図2において示されているが、図3には示されていない。というのは、図3は複製材料のないツール10のみを示しているからである。)は、たとえばその横断面がほぼ一定でもよい。浮動スペーサが非対称の形状であることによって、外縁部4の長さが増大する。これらの理由のために、偏心した光学素子を有する構成において特に望ましいように、非対称の解決策が、略図化された構成において左下の角部に対応する1つの所望の方向に、複製材料によって特に十分に閉じ込められることができるようになる。
【0054】
ツールは、ツールが図1の実施形態において、および以後に記載されている実施形態のすべてにおいてもそうであるように、好ましくは、複製されることになっている素子それぞれに対応する複数の部分を備える。この部分は、たとえば、製造された光学素子を支持する基板12を後に分離するための切断線またはダイシング線に相当するか、または、他の素子が後に接合されることになるボンディング領域に相当するグリッド11線を有するグリッド内に、アレイ状に配置される。
【0055】
図2および図3に示されているように、異なる方向間の材料の流れの非対称性は、異なる距離に基づいてなされることができる。しかし、異なる位置での異なる表面特性や、幾何的形状などの他の手段によって、複製材料の流れに影響を与えることもまた可能である。スペーサ14の外側部分は、異なる表面張力が余剰材料を制御するために使用されることができるような方法で、形成されることができる。一例を図4に示す。一方の側のスペーサ14は、この側に向かう流れを反対側の方への流れと異なるようにする、幾何学的特徴部20を備える。
【0056】
図5は、ちょうど素子体積部1を充填し、素子体積部1とバッファ体積部3との間の内縁部2の切れ目によって含まれている複製材料13を備える、ツール10の横断面を示している。バッファ体積部3の長さは、好ましくは、100から300マイクロメートル、または500マイクロメートル、あるいは800マイクロメートルの範囲にある。
【0057】
図5では、バッファ体積部3がキャビティ8内にある。また、z−寸法、およびしたがって、素子の高さおよび最終的には素子体積部が、キャビティ8を包囲している接触スペーサ9によって固定されている。接触スペーサ9は、たとえばWO2004/068198に記載される種類のものであってもよい。図5は、したがって、複製材料が、素子体積部1に対応する複製材料の体積(または、わずかに小さいか大きな体積)の正確な分配の組合せ、および縁部2の衝撃と組み合わせた表面張力の効果によって、閉じ込められる一例を示している。
【0058】
複製材料をいくぶん正確に分配すること、および、表面張力および/または毛管力によって少なくともの一方向に複製材料の流れを制限する幾何学的な素子(たとえば縁部)に依存している実施形態は、したがって、キャビティを包囲している接触スペーサの存在に依存しない。このことは、図6に示されている。図6は、ツール10の横断面の一部分を示しており、ここでは、一方の側に、(任意選択的な)上昇したスペーサ部分14が示されている。このような一実施形態では、z−寸法は、他の方法で画定され、たとえば、他方側の接触スペーサ(図示せず)によって、あるいは、他の方法、たとえば周縁の側方位置で、アクティブ距離調整装置および/または制御装置、または他の手段によって、画定される。
【0059】
図7は、バッファ体積部3の表面に形成されたさらなる縁部21を備えた、ツール10の横断面図を示している。これらのさらなる縁部21は、複製材料13の流れを閉じ込め、複製材料13の全体積部に応じて作用するようになるが、これは、投薬用シリンジ等のドーザを用いて、キャビティ8に、キャビティ8の反対側の位置にある基板12に、または、一般にスペーサおよびしたがってキャビティも存在しない場合には、複製されることになっている素子の側方位置で、基板に、または、複製ツールにまたはその両方に、複製材料13を別々に加えるときに変化し得る。
【0060】
図8は、基板12に押圧される前の、傾斜スペーサ15を有するツール10の横断面の一部分を示している。矢印は、複製材料が圧縮されている場合の、傾斜スペーサ15の下にある複製材料13の流れの方向を示している。通常、任意選択的な付加的重量を備えた複製ツールの重量は、所要圧力を生成するのに十分である。バッファ体積部3は、傾斜スペーサ15の下から移動する複製材料13を取る。本実施形態において、流れを制限するのは、傾斜スペーサである。
【0061】
図9は、基板上12に配置されているツール10の横断面図を概略的に示している。図10は、対応している上昇して見た図である。ツール10は、素子体積部1によって形成されることになる素子の形状を画定するキャビティ8を備える。素子体積部1は、ツール10と基板12との間にあり、バッファ体積部3によって包囲されている。素子体積部1とバッファ体積部3との間に、ツール10が内縁部2を備える。バッファ体積部3とオーバーフロー体積部5との間に、かつバッファ体積部3と自由体積部6との間に、ツール10が外縁部4、4’を備える。複製材料13の量が素子体積部1の体積を超える場合には、バッファ体積部3は、余剰材料のための排出口またはオーバーフロー溝16を構成する。
【0062】
大きな体積公差が必要とされる場合として、キャビティ8が、素子体積部1の一方の側にオーバーフロー体積部5を備える。反対側に、外縁部4、または、自由体積部6、またはスペーサ9が複製材料13の流れの制限部を画定し、複製材料13を基板の重要領域から離しておくようにする。この外縁部4は、オーバーフロー体積部5の外側の制限部と共に、複製材料13によって覆われることのできる基板の最大領域12を与える所定の領域7を画定する。
【0063】
外縁部4、4’は、一方ではバッファ体積部3から自由体積部6までの移行部4と、他方ではバッファ体積部3からオーバーフロー体積部5までの移行部4’との間で、異なって成形されるので、表面張力および/または毛管力によって、過剰な複製材料がオーバーフロー体積部5に流れ込むが、自由体積部6には流れ込まないようになる。たとえば、外縁部4、4’は自由体積部6までの移行部4でより鋭利になり、オーバーフロー体積部5までの移行部4’でより丸くなっていてもよい。
【0064】
ここでは、ツール10が、基板12に当接して配置されている(任意選択的な)接触スペーサ9上に載置されている。複製材料によって充填されることのない自由体積部6の機能は、外縁部4と組み合わせて、複製材料の流れを停止させ、さらに、それによって複製材料が接触スペーサ9の下を流れないようにすることである。複製材料の粘性、表面張力、および毛管力によって、このことは必要ではない可能性があり、流れは接触スペーサ自体によって停止され得る。その場合、接触スペーサが、素子体積部1のすぐ隣りにあってもよく、バッファ体積部および自由体積部6の必要性はない。
【0065】
オーバーフロー体積部5が、外縁部4で切れ目または段の高さにおいて追従しているバッファ体積部3よりも高いので、毛管力はもはや関連しない(便宜上、基板12の表面に対して垂直な寸法を「高さ」として示す。実際には、装置全体は、逆さに使用されてもよい。)。オーバーフロー体積部5は、単に、余剰の複製材料13の体積に従って充填される。
【0066】
本発明の例示的一実施形態において、素子体積部1の直径は、1ミリメートルと2ミリメートルとの間にあり、約250マイクロメートルの高さを有し、バッファ体積部3の高さ、すなわちバッファ体積部3の領域内のキャビティ8と基板12との間の距離は、およそ10マイクロメートルであり、バッファ体積部3の長さ、すなわち内縁部2から外縁部4までの距離は、およそ50〜200マイクロメートルである。
【0067】
図11から図13は、さらなるツールの横断面図を示しており、複製材料の個々の液滴の予想されるサイズまたは体積に適合する凹部を有するバッファ体積部を備える。図11は、図7のツールに類似した、すなわち浮動スペーサのないツール10を示しており、さらなる縁部21が、隆起部23と凹部19’、19’’との間に境界部を構成している。他の図にあるように、隆起部23および凹部19’、19’’は、同心円のように、または、非円形の光学素子の輪郭に追従して、素子体積部1のまわりを走る。後者の場合、このように形成された各円周方向の隆起部または溝の幅および深さは、その周縁部のまわりで一定のままであることが好ましい。図11において、第1の内側凹部19’は、より大きな体積を有する。というのは、その幅および/または深さが第2の外側凹部19’’の幅および/または深さよりも大きいからである。内側凹部19’は、比較的大きな余剰の複製材料の体積を受けることができ、以下のように位置決めされ寸法決めされるのが好ましい。
【0068】
−内側凹部19’の第1の内側縁部21’に達するのに必要とされる複製材料の体積が、液滴付着装置によって被着する(所与の確率で)予想される最小体積に対応し、かつ
−第2の内側凹部19’の外縁部21’’に達するのに必要とされる複製材料の体積が、液滴付着装置によって被着する(所与の確率で)予想される最大体積に対応する。
【0069】
複製材料が予想される最大体積を超える(低い確率であるが完全には除外されない)場合のために、第2の外側の凹部19’’は、その縁部に従って制限部を作成するように配置されてもよい。このような隆起部の構成は、破線によって示されているようにオーバーフロー体積5と組み合わせられてもよく、あるいは組み合わされなくてもよい。
【0070】
図12は、図11に類似した様式で配置され寸法決めされているが、図1のように上昇した(浮動)スペーサ14によって素子体積部1から分離されている、凹部19’、19’’、19’’’、および隆起部23を有するツール10を示している。図11の凹部/隆起部の構成の変形例として、余剰材料が予想される被着材料の最小体積よりも少ないという低い確率の場合を考慮するために、かつ複製材料の画定された輪郭を提供するために、さらなる凹部19’’’がより大きな凹部19’の内側に配置されている。ここでも、隆起部の構成は、点線によって示されているようにオーバーフロー体積部5と組み合わせられてもよく、あるいは組み合わされなくてもよい。
【0071】
図13は、上昇したスペーサ14から増加する高さで外側に延びる、傾斜したか勾配をつけた表面22を有するツール10を示している。その結果、素子体積部1からの距離と、斜面22の下からこの距離までキャビティを充填するのに必要とされる複製材料の体積との関係は、非線形となる。半径の2乗で増加する覆われる領域によってだけでなく、さらに半径で増加する斜面の高さのためからでも、この非線形性は生じる。複製材料の粘性および他の流れ特性に応じて(特に付着対粘着)、この幾何学的形状が利点となる可能性がある。この幾何学的形状は、図11および図12のように、規則的であるか不規則に寸法決めされた凹部および隆起部と組み合わせられてもよく、また、オーバーフロー体積部5があってもなくてもよい。斜面を備えた幾何学的形状は、接触スペーサ9のない組立において使用されてもよく、たとえば、この幾何学的形状は、図1のような構成において、余剰の体積部5の表面として使用されてもよい。
【0072】
図14は、記載されている方法の流れ図を示している。
本発明の好ましい実施形態において本発明を記載してきたが、明確に理解されるのは、本発明はこれらに制限されず、請求項の範囲内で、別途多様に実施され実践されてもよいということである。
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、小型の光学素子または機械的素子、特に屈折光学素子または回析マイクロ光学素子を、エンボス加工するステップまたは成形加工するステップを含む複製プロセスによって製造する分野にある。より具体的には、本発明は、光学素子を複製する方法、およびその複製ツールを扱う。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
複製された光学素子は、任意の所定の方法で光学ビームを作用させるための回析および/または屈折マイクロ光学素子、レンズ等の屈折素子、潜在的に少なくとも部分的な反射素子などを含む。
【0003】
光学素子が複製によって製作される場合、たいていは、基板およびその表面上の複製材料を含む基本構成があり、この複製材料は複製プロセスの間に成形され硬くされる(hardened)。多くの場合、指定された基板面に垂直の寸法は、すなわち複製された構造体の厚さまたは高さであり、またz−寸法とも称されるが、重要であり、明確に定義されかつ調節されなければならない。素子の他の寸法は、複製ツールによって定められ、このことは複製プロセスの性質であり、複製された素子の体積もまた、明確に定義される。しかし、小体積の分配された液体または粘性の材料は、一般的に調節するのが困難でありコストが高い。部分的にのみ充填される素子は、瑕疵があり欠損してしまうので、したがって、過剰な複製材料を分配することが有利となる。これによって、確実に、異なる素子の間で変動する複製材料の体積に対してもまた、無駄になる素子は全くないか、ほとんどないようになる。
【0004】
ウエハスケール製造プロセスは特に関心があり、このプロセスでは、光学素子のアレイがディスク状の(「ウエハ」)構造体上に製造され、複製に続いて個々の素子に分離される(「ダイシングされる」)か、または、たとえばWO2005/083 789に記載されているように、他のウエハ状の素子に積み重ねられ、積み重ねた後に個々の素子に分離される。『ウエハスケール』は、たとえば直径が2インチと12インチとの間であるディスクなど、半導体ウエハに相当するサイズのディスク状またはプレート状の基板のサイズを指す。従来のウエハスケール複製プロセスにおいて、全体のウエハスケールレプリカ用の複製材料は、単一の小塊で基板上に配置される。しかし、後の複製ステップで複製材料が必要とされない素子の側方の領域が存在する可能性がある。特定の用途において、製造された素子は、たとえば他の素子と組み合わせて使用されなければならず、また、残余の材料が組み合わされた構造体の機能を損なうことになる。本願と同じ発明者により同日に出願された同時係属出願「Method and Tool for Manufacturing Optical Elements(光学素子を製造するための方法およびツール)」において、アレイ複製方法が開示されており、これによって、作成されることになっている光学素子の、または光学素子のサブグループ毎に、複製材料の小塊が基板上またはツール上にアレイ状のように分配される。
【0005】
このようなアレイ複製プロセスでは、余剰材料が素子の体積部から側方に漏れることになる。たとえば、小型光学レンズは、CCDカメラセンサアレイまたはCMOSカメラセンサアレイをそれぞれ包含する半導体チップを支持するウエハの表面より上に複製されてもよい。残余の材料は、もしこれが重要領域を覆う場合には、半導体ウエハおよびレンズを備えるスタックのさらなる処理ステップ、たとえばボンディングを妨げる可能性がある。
【0006】
同出願人によるWO2004/068198は、本願明細書に引用によって完全に援用しており、マイクロ光学素子を作成するための複製プロセスを記載している。構造(またはマイクロ構造)素子は、複製ツールを用いて予備的製品での3次元構造体を複製/形状化(成形加工またはエンボス加工など)することによって製造される。複製ツールは、複製表面から突出するスペーサ部分を含む。複製されたマイクロ光学素子は、レプリカと呼ばれる。
【0007】
スペーサ部分は、基板における変形可能な材料の、自動化された正確な厚みの制御を可能にする。これらは、ツールに組込まれた「脚部状の」構造体を備えていてもよい。加えて、スペーサがツールで最も高い構造的特徴よりもさらに突出するので、スペーサはマイクロ光学の微細構成(topography)の変形を防ぐ。
【0008】
スペーサ部分は、たとえば複製ツール全体にわたって、またはその端部においてなど、複製ツールの少なくとも本質的な部分にわたって「分布する」態様で、好ましくは利用可能である。このことは、スペーサ部分の特徴が複製ツールの本質的な部分にあることを意味しており、たとえば、スペーサ部分は複製ツールの複製表面にわたって分布する複数のスペーサからなる。スペーサによって、複製材料層の自動化された正確な厚みの制御が可能になる。
【0009】
複製プロセスはエンボス加工プロセスであってもよく、形状化されることになる製品の可塑的に変形可能な、または粘性の、もしくは液体の複製材料が、基板表面上に置かれ、この基板はいかなるサイズを有していてもよい。エンボス加工するステップでは、スペーサ部分が基板の上表面に当接する。したがって、上記表面はエンボス加工の停止面として機能する。
【0010】
これらの理由によって、WO2004/068198に記載されている複製プロセスは、複製された素子の厚さ(高さ、z−寸法)を制御する1つの特に有利な可能性となる。z−寸法を制御する他の方法は、ツール面と基板面との間の距離を測定すること、および異なる場所でロボットによってこの距離を能動的に調整することを含む。
【0011】
上述された理由によって、エンボス加工するステップによって、残余の材料が素子間の領域に、およびたとえば素子それぞれの周縁部のまわりにも、残ったままとなる。複製ツールがスペーサ部分を備える場合には、このことは、素子を包囲するスペーサ領域にもまた、あてはまる可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
発明の説明
したがって、本発明の目的は、素子を複製する方法および最初に述べられているタイプの複製ツールを作成することであり、これは前述の問題点を解決するものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の第1の態様によると、複製ツールによって素子を製造する方法が提供されており、この方法は、
・素子の形状を画定する複製ツールを設けるステップと;
・基板を設けるステップと;
・液体または粘性あるいは可塑的に変形可能な状態にある複製材料がツールと基板との間に位置している状態で、ツールおよび基板を互いに押圧するステップと;
・基板の所定の領域に、基板の表面に沿って少なくとも1つの方向に所定の距離より小さく複製材料を閉じ込め、この所定の領域は基板上の素子の所望の領域を超えているステップと;
・複製材料を硬くして素子を形成するステップと、
を備える。
【0014】
複製材料は、ツールと基板の表面との間に閉じ込められる。複製材料を基板面の一部分だけに閉じ込めることによって、結果として生じる素子は、たとえば硬化などによって硬くした後に、基板の一部分を覆うだけになる。この素子は延びて所定の領域で基板を覆うことはなく、この領域をたとえばボンディングのために空けておく。
【0015】
好ましくは、複製ツールは、構成部品(たとえばレンズなど光学素子)の(ネガ形の)形状をそれぞれ後に画定し、基板または基板を含むアセンブリを個々の素子にダイシングすることによって他の素子から分離される、複数の部分を備える。ついで、複製材料を基板の所定の領域に閉じ込めることは、たとえば、複製材料を複数の領域に閉じ込めることを含み、各領域は複製部分の周囲にあり、この領域は好ましくは重畳しない。たとえば、複製部分は、同一の複製部分のアレイとして存在してもよく、複製部分のそれぞれの周りで複製材料が領域に閉じ込められている。
【0016】
複製ツールは、スペーサ部分を備えていてもよい。このようなツールでは、ツールの少なくとも1つのキャビティが、製造されることになる素子の少なくともいくつかの構造的特徴のネガであるネガ形の構造的特徴を有する複製表面を画定する。キャビティは、素子体積部を含み、さらに少なくとも1つのバッファ体積部および/またはオーバーフロー体積部を備えてもよい。スペーサまたはスペーサ部分は、複製表面から突出している。複製プロセスにおいて、スペーサまたはスペーサ部分は、基板に当接し、かつ/または、複製材料の薄い基層上に浮動している。
【0017】
ツールおよび基板が互いに押圧される力は、特定の要件に基づいて選択されてもよい。たとえば、この力は、ちょうど、基板面を当接し、かつ/または、複製材料の薄い基層に浮動するスペーサ部分によって基板上にある複製ツールの重量であってもよい。
【0018】
あるいはまた、基板が、複製ツール上にあってもよい。さらに別の代替案にしたがって、この力は、重量よりも大きくまたは小さくてもよく、たとえば、複製プロセスの間に基板と複製ツールとの距離を制御するマスク調整器または類似した装置によって加えられてもよい。
【0019】
複製プロセスのために複製ツールと基板とが寄せられる前に、液体または粘性であるか可塑的に変形可能な状態の複製材料が、複製ツール上および/または基板上に配置される。上述のように、複製ツールは、複製されることになる素子をそれぞれ画定する複数の部分を備えていてもよい。ついで、好ましくは、この方法は、ツールを基板に押圧する前に、各位置が1つの部分に対応している側方に移動する位置で、ツールおよび基板のうちの少なくとも1つに複製材料の(所定可能な)体積を局所的にかつ個別に加えることを備える。このことによって、光学素子にそれぞれ対応する複数のキャビティに最適量の複製材料を備えることが可能になる。これによって、複数の素子が複製材料の単一の小塊から形成されるだろう場合と比較すると、重要領域から除去されるかまたは外さなければならない余分な複製材料の体積が、低減するかまたは排除される。
【0020】
複製ツールおよび基板が複製位置、すなわち、複製ツールおよび基板が寄せられ、たとえば、複製ツールが基板に配置されている位置で、複製材料が硬くされる。選択される複製材料に応じて、これは、たとえばUV硬化などの硬化によって硬くされてもよい。代替案として、これは、冷却によって硬くされてもよい。選択される複製材料に応じて、他の硬くする方法もまた可能である。続いて、複製ツールと複製材料とが互いから分離される。ほとんどの応用分野としては、複製材料が基板上に残る。光学素子は、典型的に、屈折光学素子または回析光学素子であるが、たとえば少なくとも領域内に微小機械的な機能を有していてもよい。
【0021】
素子体積は、基板の一部分を覆い、素子の機能的部分を構成する。硬化された複製材料の残りは、素子の両側、すなわち基板および素子の機能的部分の両方に隣接している空間の領域で、体積部を充填してもよく、素子の機能を妨げることはない。本発明によって、複製材料が素子体積の両側で基板に沿ってどれだけ移動することができるかを制御することが可能になる。
【0022】
本発明の好ましい一実施態様では、複製材料の流れが、毛管力および/または表面張力によって、制御され、かつ/または制限される。このことは、ツールと基板との間の複製材料の流量を促進するかまたは妨げる、幾何学的特徴の特性を活用するものである。
【0023】
一例として、複製ツールは、1つの素子または一群の素子の形状をそれぞれ画定する複数のキャビティを備え、各キャビティは少なくとも1つの側方向に平面部分によって限定されているように選択されてもよい。内縁部が、キャビティと平面部分との間に形成されている。複製ツールは、キャビティ間に複数のオーバーフロー体積部または1つの近接するオーバーフロー体積部をさらに備える。そして、外縁部が、平面部分とオーバーフロー体積部との間に形成されている。分配される複製材料(キャビティあたり)は、キャビティの体積よりも大きくなるように選択される。ついで、平面部分は、好ましくはキャビティを包囲する浮動(非接触)スペーサとして役立つ。外縁部は、複製材料の流れを止める切れ目(discontinuity)を構成する。このような切れ目がなければ、毛管力によって、最終的に複製材料が素子体積部から流出することになるであろう。
【0024】
この例では、キャビティが、たとえば素子体積部のみからなっていてもよい。素子が凸状の屈折レンズであり、これに隣接して薄いベース層が形成されるように、キャビティはドーム状であってもよく、ベース層は、浮動性のスペーサの下に複製材料が残るものである。
【0025】
円筒状の対称性の光学素子である場合でも、オーバーフロー体積部の外縁部に沿って形成される複製材料のバルジが、複製素子から離れて他方の側に向かうよりも素子の一方の側に向かって遠くに配置されるように、基板面に対して垂直な方向に、たとえば素子の中心軸に沿って見ると、平面部分の形状が非対称的でもよい。
【0026】
以下、便宜上、本質的に平面表面を備える基板の表面に対して垂直な寸法を、「高さ」として示す。実際には、全装置はまた、逆さの構成で使用されてもよく、あるいは、基板面が水平面に対して垂直であるかある角度をなす構成で使用されてもよい。表面に対して垂直に一致する方向を、z−方向と示す。用語「周縁部」「側方の」および「両側」は、z−方向に垂直な方向に関する。
【0027】
別の一例において、流れの制御は、素子の形状を画定するツール内のキャビティによって行われ、このキャビティは、素子の少なくとも一方の側に沿ってバッファ体積部を含み、このバッファ体積部は内縁部によって素子体積部から分離されている。さらに、キャビティの素子体積部に個々に加えられる複製材料の所定の体積は、キャビティの体積よりも小さい。このことによって、内縁部が、複製材料のバッファ体積部への流れを、内縁部に作用する毛管力および表面張力によって制限するようになる。
【0028】
特に、複製材料の所定の体積が、およそ素子体積部の体積(または、わずかにより小さいか、わずかにより大きい)であってもよい。素子体積は、ツールによって画定される一方の側にある素子の外形から他方の側にある基板まで延びる機能素子の体積である。ついで、内縁部で作用している流体力によって、複製材料がバッファ体積部に流れ込むのを防ぐことになる。
【0029】
本発明のさらに別の好ましい実施形態では、ツールを基板に押圧する場合、傾斜スペーサが、素子体積部、特に素子体積部に隣接したバッファ体積部に向かって複製材料を移動させる。傾斜スペーサは、基板の表面と接触するようになっている斜面を有する。圧力が加えられない場合には、斜面が外周で基板に接触し、素子体積部により近い領域で基板から徐々に離れて移動する。エンボス加工または成形加工の間に圧力がツールに加えられる場合には、わずかに弾性であるツールが変形し、斜面によって、複製材料が傾斜スペーサの下から移動するようになる。
【0030】
本発明の好ましい一実施態様では、この方法は、
・基板に接触する接触スペーサによって、ツールの少なくとも一方の側に向かう複製材料の流れを閉じ込めるステップと、
・オーバーフロー溝によってツールの別の側に向かう複製材料の流れを可能にするステップと、
をさらに備える。
【0031】
このことによって、重要領域から複製材料を離すことができ、かつ、重要でない領域に位置するオーバーフロー体積部に複製材料を案内することができるようになる。
【0032】
さらに、本発明によると、複製材料から素子を複製するための複製ツールが提供されており、複製ツールは、複製側と、1つの素子または一群の素子の形状をそれぞれ画定する、複製側の複数のキャビティとを備え、複製ツールは、複製側でキャビティから突出する少なくとも1つのスペーサ部分をさらに備え、複製ツールは、複製材料をツールの所定の領域に閉じ込めるための手段をさらに備え、ツールが基板に押圧される場合に、この所定の領域が、基板の表面に沿って少なくとも1つの方向に、所定の距離よりも小さく素子の所望の体積を超える。
【0033】
このような複製材料を閉じ込めるための手段、すなわち流れを制限する特徴は、内縁部、バッファ体積部、外縁部、スペーサ、および傾斜スペーサによって構成され、これらのそれぞれは単独であるか、またはこれらのうちのいくつかが組み合わされる。これらは組み合わされてもよく、実際に存在する複製材料の量に従って、前か後の制限で流れを停止させる「複数段の」流れ制限を形成する。このことによって、個々のキャビティに、または、基板上の対応する個々の位置に複製材料を分配する場合の不正確にもかかわらず、流れを制御することが可能になる。
【0034】
換言すれば、キャビティが、素子体積部と、素子体積部の周縁部にさらなる体積部とを備え、さらなる体積部の境界部は、ツールを基板に押圧するときに複製材料の毛管流を選択的に抑制し、かつ/または可能にする、複製材料が間にある切れ目を備える。
【0035】
切れ目はたとえば、円形の光学素子用であり、また形状が円形で、同軸である。たとえば長方形または丸みのある長方形など、他の形状の光学素子用に、連続的な切れ目が、増加する距離で光学素子の形状に追従してもよい。
【0036】
本発明の好ましい一実施態様では、切れ目が、複製ツールに形成されている隆起部と凹部との間にある。したがって、切れ目は、たとえば、光学素子を画定する複製ツールの部分の周りに形成される、円形の(または矩形など、上記参照)隆起部と溝との間の縁部によって構成される。したがって、一連の連続的な隆起部および溝は、余剰の複製材料の延在部の量子化を定める、というのは、複製材料の外方の流れは、各縁部または切れ目で抑制されるかまたは停止し、素子体積部の体積に対する複製材料の体積が特定の限度を超える場合にのみ、続くからである。
【0037】
機能しない複製材料によって覆われたままの、光学素子を包囲する領域を最小限に抑えるために、素子体積部を包囲して、その外側の境界部を画定している浮動スペーサは、さらにスペーサの機能を提供しつつ、すなわちツールを十分に支持しつつ、たとえばできるだけ薄く作られる。さらに、浮動スペーサの外側、または、素子体積部の外縁部の外側に(浮動スペーサがない場合)ある、凹部またはいくつかの凹部は、できるだけ深く、たとえば素子体積部の深さまで、作られるのが好ましい。結果として、凹部によって画定される体積部が増加し、材料が隣りの凹部に流出する前にこれが吸収することのできる複製材料の体積もまた、増大する。
【0038】
各円周方向の凹部または溝の体積は、液状に被着した複製材料の体積が制御されることのできる精度と、好ましくは相関している。たとえば、複製材料の体積が高度に制御されることができると、その結果、余剰材料のサイズまたは体積が、狭い範囲内でしか変動しないことがわかる。結論的には、凹部は、たとえば余剰のサイズまたは体積の変動をカバーするように位置し寸法決めされるのが好ましい。すなわち、最小限の予想される余剰のサイズで被着の精度に従って凹部が充填されることは全くなく、最大の余剰のサイズとして、凹部はちょうどその限度まで充填されることになる。換言すれば、複製材料の流れを制限するための手段の寸法(すなわち切れ目または縁部の、および、介在する凹部の寸法、ならびにこれらの体積)は、加えられる複製材料の体積の期待値に従って設計される。
【0039】
他の制約に応じて、凹部の深さおよび幅を選択することによって、凹部の体積が調整される。深さは、複製ツールを作成するプロセスによってたとえば制限され、凹部の幅は、光学素子に加えて余剰の材料の全体のサイズを制限する設計制約によって制限される。したがって、凹部および液滴の被着の全体設計は、個々の製品に応じた最適化基準に従って、液滴の被着の精度および凹部の幾何学的形状の相互関係のある特徴の最適な選択を構成する。
【0040】
さらなる好ましい一実施形態では、複製ツールが、基板をキャビティの一方の側で接触させることによって、複製材料の流れを停止させるように寸法決めされているスペーサと;キャビティの別の側に向かう複製材料の流れを可能にするオーバーフロー溝とを備える。
【0041】
さらなる好ましい一実施形態では、複製ツールは、キャビティによって画定される素子体積部の少なくとも一方の側にあるバッファ体積部を備え、バッファ体積部および素子体積部は、バッファ体積部への複製材料の流れを抑制する内縁部をこれらの共通の境界部に画定している。
【0042】
さらなる好ましい一実施形態では、複製ツールは、バッファ体積部の表面に、バッファ体積部への複製材料の流れを抑制するさらなる縁部を備える。さらなる縁部は、少なくとも概略的に平行曲線で内縁部の形状に追従している。
【0043】
ツールが複数のキャビティを備え、したがって、好ましくは、共通基板上での素子のアレイの同時製造が可能になる。この共通基板は、好ましくは、ウエハスケール上に製作されて、後で別々の単位体にダイシングされる光学素子および電子素子を備える、光電子であるかマイクロ光電子のアセンブリの一部分である。
【0044】
さらなる好ましい実施形態は、従属請求項よって明らかである。方法クレームの特徴は、装置クレームの特徴と組み合わせられてもよく、逆もまた同様である。
【0045】
レプリカ(マイクロ光学素子またはマイクロ光学素子部品または光学マイクロシステム)は、エポキシでできていてもよい。硬くするステップは、複製ツールがまだ所定の位置にある間に行われ、その結果、UV硬化(UV curing)ステップでもよい。紫外線硬化(UV light curing)は迅速なプロセスであって、硬くするプロセスを良好に制御することができる。当業者は、他の材料および他の硬くするプロセスを知っているであろう。
【0046】
「光学」素子は、スペクトルの可視部分においてのみでなく、電磁放射線に影響を与えることのできる素子を含む。特に、光学素子は、可視光線、赤外放射線および潜在的に紫外線にも影響を与える素子を含む。この本文の単語「ウエハ」は、基板の形状に関していかなる制限をも意味するものではない。
【0047】
本発明の主題は、概略的に添付の図面で示されている好ましい例示的実施形態を参照しつつ、以下の本文においてより詳細に説明することとする。
【0048】
図面において使用されている参照記号およびこれらの意味は、概略的な形で参照記号表に列挙されている。原則として、同一の部品は、図において同じ参照記号を与えられている。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】基板上に配置されているツールの横断面図である。
【図2】基板上に配置されているツールの横断面図である。
【図3】図2の装置を上昇して見た図である。
【図4】バッファ体積部とオーバーフロー体積部との間の移行部の代替の幾何学的形状の一例である。
【図5】さらなるツールの横断面図である。
【図6】さらなるツールの横断面図である。
【図7】さらなるツールの横断面図である。
【図8】さらなるツールの横断面図である。
【図9】さらなるツールの横断面図である。
【図10】図9の装置を上昇して見た図である。
【図11】さらなるツールの横断面図である。
【図12】さらなるツールの横断面図である。
【図13】さらなるツールの横断面図である。
【図14】本発明による方法の流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0050】
好適な実施形態の詳細な説明
図1は、基板12上に配置されているツール10の横断面図を概略的に示している。ツール10は、素子体積部1によって形成されることになる素子の形状を画定するキャビティ8を形成する。図示されている場合では、光学素子は、単に屈折レンズである。素子体積部1が、ツール10と基板12との間にある。これは、ツール10の突出する要素によって包囲されており、この要素は、ここでは浮動スペーサ14として示されている。スペーサの平面17は、基板12の表面に対してほぼ平行に走り、ここでは、基板の平面から約5μm〜15μmの距離をおいている。浮動スペーサ14の下部に、平面17と基板12との間に、小さなバッファ体積部3が形をなす。素子体積部1とバッファ体積部3との間に、ツール10は内縁部2を備えている。バッファ体積部3とオーバーフロー体積5部との間に、ツール10は外縁部4を備えている。
【0051】
浮動スペーサ14の主要な機能は、毛管力によって余剰材料を取り出すことである。流れは、外縁部4で停止し、バルジ18を形成するので、素子体積部1が毛管力によって空になるのを防ぐ。このようにして、浮動スペーサ14の幅および形状と、オーバーフロー体積部5の形状および寸法とが、余剰材料が進むべき場所を画定する。したがって、複製材料を特定の最大量より下に保つことによって、複製材料が閉じ込められる。
【0052】
内縁部2は、第1の切れ目を構成し、以下の図にも示されているように、複製材料13の外側の境界部で流れを止める。外縁部4は、第2の切れ目を構成し、複製材料13がバッファ体積部3に隣接したバッファ体積部5へと流れるのを止める。このような切れ目がないと、毛管力によって、複製材料13がバッファ体積部3によって形成される溝に沿って絶え間なく流れ、結局は、素子体積部1から複製材料13を流出させる原因となる。
【0053】
図2は、上述の原理の変形例を示す。この変形例において、素子体積部1を包囲する浮動スペーサ14は、非対称である。このことによって、余剰材料が他のプロセスを妨げていない領域に、余剰材料を移動させることができる。図2の構成の上面図を図3に示す。外縁部4の周囲に延びる複製材料のバルジ(図1および図2において示されているが、図3には示されていない。というのは、図3は複製材料のないツール10のみを示しているからである。)は、たとえばその横断面がほぼ一定でもよい。浮動スペーサが非対称の形状であることによって、外縁部4の長さが増大する。これらの理由のために、偏心した光学素子を有する構成において特に望ましいように、非対称の解決策が、略図化された構成において左下の角部に対応する1つの所望の方向に、複製材料によって特に十分に閉じ込められることができるようになる。
【0054】
ツールは、ツールが図1の実施形態において、および以後に記載されている実施形態のすべてにおいてもそうであるように、好ましくは、複製されることになっている素子それぞれに対応する複数の部分を備える。この部分は、たとえば、製造された光学素子を支持する基板12を後に分離するための切断線またはダイシング線に相当するか、または、他の素子が後に接合されることになるボンディング領域に相当するグリッド11線を有するグリッド内に、アレイ状に配置される。
【0055】
図2および図3に示されているように、異なる方向間の材料の流れの非対称性は、異なる距離に基づいてなされることができる。しかし、異なる位置での異なる表面特性や、幾何的形状などの他の手段によって、複製材料の流れに影響を与えることもまた可能である。スペーサ14の外側部分は、異なる表面張力が余剰材料を制御するために使用されることができるような方法で、形成されることができる。一例を図4に示す。一方の側のスペーサ14は、この側に向かう流れを反対側の方への流れと異なるようにする、幾何学的特徴部20を備える。
【0056】
図5は、ちょうど素子体積部1を充填し、素子体積部1とバッファ体積部3との間の内縁部2の切れ目によって含まれている複製材料13を備える、ツール10の横断面を示している。バッファ体積部3の長さは、好ましくは、100から300マイクロメートル、または500マイクロメートル、あるいは800マイクロメートルの範囲にある。
【0057】
図5では、バッファ体積部3がキャビティ8内にある。また、z−寸法、およびしたがって、素子の高さおよび最終的には素子体積部が、キャビティ8を包囲している接触スペーサ9によって固定されている。接触スペーサ9は、たとえばWO2004/068198に記載される種類のものであってもよい。図5は、したがって、複製材料が、素子体積部1に対応する複製材料の体積(または、わずかに小さいか大きな体積)の正確な分配の組合せ、および縁部2の衝撃と組み合わせた表面張力の効果によって、閉じ込められる一例を示している。
【0058】
複製材料をいくぶん正確に分配すること、および、表面張力および/または毛管力によって少なくともの一方向に複製材料の流れを制限する幾何学的な素子(たとえば縁部)に依存している実施形態は、したがって、キャビティを包囲している接触スペーサの存在に依存しない。このことは、図6に示されている。図6は、ツール10の横断面の一部分を示しており、ここでは、一方の側に、(任意選択的な)上昇したスペーサ部分14が示されている。このような一実施形態では、z−寸法は、他の方法で画定され、たとえば、他方側の接触スペーサ(図示せず)によって、あるいは、他の方法、たとえば周縁の側方位置で、アクティブ距離調整装置および/または制御装置、または他の手段によって、画定される。
【0059】
図7は、バッファ体積部3の表面に形成されたさらなる縁部21を備えた、ツール10の横断面図を示している。これらのさらなる縁部21は、複製材料13の流れを閉じ込め、複製材料13の全体積部に応じて作用するようになるが、これは、投薬用シリンジ等のドーザを用いて、キャビティ8に、キャビティ8の反対側の位置にある基板12に、または、一般にスペーサおよびしたがってキャビティも存在しない場合には、複製されることになっている素子の側方位置で、基板に、または、複製ツールにまたはその両方に、複製材料13を別々に加えるときに変化し得る。
【0060】
図8は、基板12に押圧される前の、傾斜スペーサ15を有するツール10の横断面の一部分を示している。矢印は、複製材料が圧縮されている場合の、傾斜スペーサ15の下にある複製材料13の流れの方向を示している。通常、任意選択的な付加的重量を備えた複製ツールの重量は、所要圧力を生成するのに十分である。バッファ体積部3は、傾斜スペーサ15の下から移動する複製材料13を取る。本実施形態において、流れを制限するのは、傾斜スペーサである。
【0061】
図9は、基板上12に配置されているツール10の横断面図を概略的に示している。図10は、対応している上昇して見た図である。ツール10は、素子体積部1によって形成されることになる素子の形状を画定するキャビティ8を備える。素子体積部1は、ツール10と基板12との間にあり、バッファ体積部3によって包囲されている。素子体積部1とバッファ体積部3との間に、ツール10が内縁部2を備える。バッファ体積部3とオーバーフロー体積部5との間に、かつバッファ体積部3と自由体積部6との間に、ツール10が外縁部4、4’を備える。複製材料13の量が素子体積部1の体積を超える場合には、バッファ体積部3は、余剰材料のための排出口またはオーバーフロー溝16を構成する。
【0062】
大きな体積公差が必要とされる場合として、キャビティ8が、素子体積部1の一方の側にオーバーフロー体積部5を備える。反対側に、外縁部4、または、自由体積部6、またはスペーサ9が複製材料13の流れの制限部を画定し、複製材料13を基板の重要領域から離しておくようにする。この外縁部4は、オーバーフロー体積部5の外側の制限部と共に、複製材料13によって覆われることのできる基板の最大領域12を与える所定の領域7を画定する。
【0063】
外縁部4、4’は、一方ではバッファ体積部3から自由体積部6までの移行部4と、他方ではバッファ体積部3からオーバーフロー体積部5までの移行部4’との間で、異なって成形されるので、表面張力および/または毛管力によって、過剰な複製材料がオーバーフロー体積部5に流れ込むが、自由体積部6には流れ込まないようになる。たとえば、外縁部4、4’は自由体積部6までの移行部4でより鋭利になり、オーバーフロー体積部5までの移行部4’でより丸くなっていてもよい。
【0064】
ここでは、ツール10が、基板12に当接して配置されている(任意選択的な)接触スペーサ9上に載置されている。複製材料によって充填されることのない自由体積部6の機能は、外縁部4と組み合わせて、複製材料の流れを停止させ、さらに、それによって複製材料が接触スペーサ9の下を流れないようにすることである。複製材料の粘性、表面張力、および毛管力によって、このことは必要ではない可能性があり、流れは接触スペーサ自体によって停止され得る。その場合、接触スペーサが、素子体積部1のすぐ隣りにあってもよく、バッファ体積部および自由体積部6の必要性はない。
【0065】
オーバーフロー体積部5が、外縁部4で切れ目または段の高さにおいて追従しているバッファ体積部3よりも高いので、毛管力はもはや関連しない(便宜上、基板12の表面に対して垂直な寸法を「高さ」として示す。実際には、装置全体は、逆さに使用されてもよい。)。オーバーフロー体積部5は、単に、余剰の複製材料13の体積に従って充填される。
【0066】
本発明の例示的一実施形態において、素子体積部1の直径は、1ミリメートルと2ミリメートルとの間にあり、約250マイクロメートルの高さを有し、バッファ体積部3の高さ、すなわちバッファ体積部3の領域内のキャビティ8と基板12との間の距離は、およそ10マイクロメートルであり、バッファ体積部3の長さ、すなわち内縁部2から外縁部4までの距離は、およそ50〜200マイクロメートルである。
【0067】
図11から図13は、さらなるツールの横断面図を示しており、複製材料の個々の液滴の予想されるサイズまたは体積に適合する凹部を有するバッファ体積部を備える。図11は、図7のツールに類似した、すなわち浮動スペーサのないツール10を示しており、さらなる縁部21が、隆起部23と凹部19’、19’’との間に境界部を構成している。他の図にあるように、隆起部23および凹部19’、19’’は、同心円のように、または、非円形の光学素子の輪郭に追従して、素子体積部1のまわりを走る。後者の場合、このように形成された各円周方向の隆起部または溝の幅および深さは、その周縁部のまわりで一定のままであることが好ましい。図11において、第1の内側凹部19’は、より大きな体積を有する。というのは、その幅および/または深さが第2の外側凹部19’’の幅および/または深さよりも大きいからである。内側凹部19’は、比較的大きな余剰の複製材料の体積を受けることができ、以下のように位置決めされ寸法決めされるのが好ましい。
【0068】
−内側凹部19’の第1の内側縁部21’に達するのに必要とされる複製材料の体積が、液滴付着装置によって被着する(所与の確率で)予想される最小体積に対応し、かつ
−第2の内側凹部19’の外縁部21’’に達するのに必要とされる複製材料の体積が、液滴付着装置によって被着する(所与の確率で)予想される最大体積に対応する。
【0069】
複製材料が予想される最大体積を超える(低い確率であるが完全には除外されない)場合のために、第2の外側の凹部19’’は、その縁部に従って制限部を作成するように配置されてもよい。このような隆起部の構成は、破線によって示されているようにオーバーフロー体積5と組み合わせられてもよく、あるいは組み合わされなくてもよい。
【0070】
図12は、図11に類似した様式で配置され寸法決めされているが、図1のように上昇した(浮動)スペーサ14によって素子体積部1から分離されている、凹部19’、19’’、19’’’、および隆起部23を有するツール10を示している。図11の凹部/隆起部の構成の変形例として、余剰材料が予想される被着材料の最小体積よりも少ないという低い確率の場合を考慮するために、かつ複製材料の画定された輪郭を提供するために、さらなる凹部19’’’がより大きな凹部19’の内側に配置されている。ここでも、隆起部の構成は、点線によって示されているようにオーバーフロー体積部5と組み合わせられてもよく、あるいは組み合わされなくてもよい。
【0071】
図13は、上昇したスペーサ14から増加する高さで外側に延びる、傾斜したか勾配をつけた表面22を有するツール10を示している。その結果、素子体積部1からの距離と、斜面22の下からこの距離までキャビティを充填するのに必要とされる複製材料の体積との関係は、非線形となる。半径の2乗で増加する覆われる領域によってだけでなく、さらに半径で増加する斜面の高さのためからでも、この非線形性は生じる。複製材料の粘性および他の流れ特性に応じて(特に付着対粘着)、この幾何学的形状が利点となる可能性がある。この幾何学的形状は、図11および図12のように、規則的であるか不規則に寸法決めされた凹部および隆起部と組み合わせられてもよく、また、オーバーフロー体積部5があってもなくてもよい。斜面を備えた幾何学的形状は、接触スペーサ9のない組立において使用されてもよく、たとえば、この幾何学的形状は、図1のような構成において、余剰の体積部5の表面として使用されてもよい。
【0072】
図14は、記載されている方法の流れ図を示している。
本発明の好ましい実施形態において本発明を記載してきたが、明確に理解されるのは、本発明はこれらに制限されず、請求項の範囲内で、別途多様に実施され実践されてもよいということである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複製ツールによって素子を製造する方法であって、
・素子の形状を画定する複製ツールを設けるステップと、
・基板を設けるステップと、
・液体または粘性あるいは可塑的に変形可能な状態にある複製材料がツールと基板との間に位置している状態で、ツールを基板に押圧するステップと;
・基板の所定の領域に、基板の表面に沿って少なくとも1つの方向に所定の距離より小さく複製材料を閉じ込め、この所定の領域は基板上の素子の所望の領域を超えているステップと、
・複製材料を硬くして素子を形成するステップと、
を備える、方法。
【請求項2】
複製ツールが複製されることになる素子をそれぞれ画定する複数の部分を備え、複製材料を基板の所定の領域に閉じ込めるステップが、複製材料を複数の領域に閉じ込めることを含み、各領域は少なくとも前記部分の周囲に配置されている、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
・ツールを基板に押圧する前に、各部分の側方位置で、複製材料の体積をツールおよび基板のうちの少なくとも1つに局所的にかつ個別に加えるステップをさらに備える、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
複製ツールが、1つの素子または一群の素子の形状をそれぞれ画定する複数のキャビティを備え、各キャビティは少なくとも1つの側方向に平面部分によって限定されるように選択され、内縁部がキャビティと平面部分との間に形成され、複製ツールが少なくとも1つのオーバーフロー体積部と、平面部分とオーバーフロー体積部との間に形成される外縁部とをさらに備え、複製材料の前記体積がキャビティの体積よりも大きい、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
平面部分が、素子または一群の素子の中心軸に関して非対称的である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
・基板に接触するスペーサによって、ツールの少なくとも一方の側に向かう複製材料の流れを閉じ込めるステップと;
・オーバーフロー溝によってツールの別の側に向かう複製材料の流れを可能にするステップと
をさらに備える、請求項3から請求項5の少なくとも一項に記載の方法。
【請求項7】
複製ツールが、1つの素子または一群の素子の形状をそれぞれ画定する複数のキャビティを備えるように選択され、
・ツールを基板に押圧する場合、傾斜スペーサが、前記キャビティのうちの1つに向かって複製材料を移動させるステップをさらに備える、請求項2から請求項6のいずれかも一項に記載の方法。
【請求項8】
複製材料を硬くした後に複製ツールが除去され、基板の、または基板を含むアセンブリの部分であって、前記光学素子のうちの少なくとも1つを支持している各部分が、ダイシング線に沿って互いから分離される、請求項2から請求項7のいずれかも一項に記載の方法。
【請求項9】
前記ダイシング線が、基板に複製材料がない基板の側方位置に沿っている、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
・毛管力および表面張力のうちの少なくとも1つによって、複製の流れを制御するステップをさらに備える、請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
・複製材料の所定の体積を加えるステップと、
・複製ツールの切れ目で作用する毛管力および表面張力のうちの少なくとも1つによって、複製材料の流れを制限するステップと、
をさらに備える、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
ツール内のキャビティが素子の形状を画定し、素子の少なくとも一方の側に沿ってバッファ体積部を含み、このバッファ体積部は内縁部によって素子体積部から分離されており、複製材料の所定の体積がキャビティの体積よりも小さく、この方法が、
・複製材料のバッファ体積部への流れを、内縁部で作用する毛管力または表面張力のうちの少なくとも1つによって制限するステップをさらに備える、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
複製材料の流れを制限するための手段の寸法を、加えられる複製材料の体積の期待値に従って設計するステップをさらに備える、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
複製材料から素子を複製するための複製ツールであって、この複製ツールは、複製側と、1つの素子または一群の素子の形状をそれぞれ画定する、複製側の複数のキャビティとを備え、複製ツールは、複製側でキャビティから突出する少なくとも1つのスペーサ部分をさらに備え、かつ、複製材料をツールの所定の領域に閉じ込めるための手段をさらに備え、ツールが基板に押圧される場合に、この所定の領域が、基板の表面に沿って少なくとも1つの方向に所定の距離よりも小さく所望の素子の体積部を超える、複製ツール。
【請求項15】
キャビティが、素子体積部と、素子体積部の周縁部にあるさらなる体積部とを備え、さらなる体積部の境界部は、毛管力および表面張力のうちの少なくとも1つによって、複製材料の流れを選択的に制御するための切れ目を備える、請求項14に記載の複製ツール。
【請求項16】
・キャビティの一方の側で複製材料の流れを停止させるように寸法決めされている縁部と、
・キャビティの別の側に向かう複製材料の流れを可能にするオーバーフロー溝と、
を備える、請求項15に記載の複製ツール。
【請求項17】
各キャビティが少なくとも1つの側方向に、スペーサ部分として役立つ平面部分によって限定されており、内縁部がキャビティと平面部分との間にあり、オーバーフロー体積部および外縁部が、平面部分とオーバーフロー体積部との間にある、請求項14から請求項16のいずれか一項に記載の複製ツール。
【請求項18】
前記キャビティのうちの少なくとも1つによって画定される素子体積部の少なくとも一方にあるバッファ体積部を備え、バッファ体積部および素子体積部は、バッファ体積部への複製材料の流れを抑制する内縁部をこれらの共通の境界部に画定している、請求項14から請求項17のいずれか一項に記載の複製ツール。
【請求項19】
バッファ体積部への複製材料の流れを抑制するさらなる縁部をバッファ体積部の表面に備える、請求項18に記載の複製ツール。
【請求項20】
さらなる縁部が、円周方向の隆起部と凹部との間に境界部を画定している、請求項19に記載の複製ツール。
【請求項21】
凹部が異なる深さおよび/または幅を有する、請求項20に記載の複製ツール。
【請求項22】
前記キャビティのうちの少なくとも1つの少なくとも1つの側にある傾斜スペーサを備える、請求項14から請求項21のいずれか一項に記載の複製ツール。
【請求項23】
複製によって製造される透過性光学素子であって、この光学素子が基板およびその上の硬くした複製材料を備え、硬くした複製材料が、複製された光学的機能部分を含み、光学素子が、基板に複製材料がない領域を複製材料の周囲にさらに含む、透過性光学素子。
【請求項24】
複製材料が、光学的機能部分を包囲している平面部分を含み、余剰部分および平面部分を包囲している隆起部分のうちの少なくとも1つをさらに含む、請求項23に記載の光学素子。。
【請求項1】
複製ツールによって素子を製造する方法であって、
・素子の形状を画定する複製ツールを設けるステップと、
・基板を設けるステップと、
・液体または粘性あるいは可塑的に変形可能な状態にある複製材料がツールと基板との間に位置している状態で、ツールを基板に押圧するステップと;
・基板の所定の領域に、基板の表面に沿って少なくとも1つの方向に所定の距離より小さく複製材料を閉じ込め、この所定の領域は基板上の素子の所望の領域を超えているステップと、
・複製材料を硬くして素子を形成するステップと、
を備える、方法。
【請求項2】
複製ツールが複製されることになる素子をそれぞれ画定する複数の部分を備え、複製材料を基板の所定の領域に閉じ込めるステップが、複製材料を複数の領域に閉じ込めることを含み、各領域は少なくとも前記部分の周囲に配置されている、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
・ツールを基板に押圧する前に、各部分の側方位置で、複製材料の体積をツールおよび基板のうちの少なくとも1つに局所的にかつ個別に加えるステップをさらに備える、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
複製ツールが、1つの素子または一群の素子の形状をそれぞれ画定する複数のキャビティを備え、各キャビティは少なくとも1つの側方向に平面部分によって限定されるように選択され、内縁部がキャビティと平面部分との間に形成され、複製ツールが少なくとも1つのオーバーフロー体積部と、平面部分とオーバーフロー体積部との間に形成される外縁部とをさらに備え、複製材料の前記体積がキャビティの体積よりも大きい、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
平面部分が、素子または一群の素子の中心軸に関して非対称的である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
・基板に接触するスペーサによって、ツールの少なくとも一方の側に向かう複製材料の流れを閉じ込めるステップと;
・オーバーフロー溝によってツールの別の側に向かう複製材料の流れを可能にするステップと
をさらに備える、請求項3から請求項5の少なくとも一項に記載の方法。
【請求項7】
複製ツールが、1つの素子または一群の素子の形状をそれぞれ画定する複数のキャビティを備えるように選択され、
・ツールを基板に押圧する場合、傾斜スペーサが、前記キャビティのうちの1つに向かって複製材料を移動させるステップをさらに備える、請求項2から請求項6のいずれかも一項に記載の方法。
【請求項8】
複製材料を硬くした後に複製ツールが除去され、基板の、または基板を含むアセンブリの部分であって、前記光学素子のうちの少なくとも1つを支持している各部分が、ダイシング線に沿って互いから分離される、請求項2から請求項7のいずれかも一項に記載の方法。
【請求項9】
前記ダイシング線が、基板に複製材料がない基板の側方位置に沿っている、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
・毛管力および表面張力のうちの少なくとも1つによって、複製の流れを制御するステップをさらに備える、請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
・複製材料の所定の体積を加えるステップと、
・複製ツールの切れ目で作用する毛管力および表面張力のうちの少なくとも1つによって、複製材料の流れを制限するステップと、
をさらに備える、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
ツール内のキャビティが素子の形状を画定し、素子の少なくとも一方の側に沿ってバッファ体積部を含み、このバッファ体積部は内縁部によって素子体積部から分離されており、複製材料の所定の体積がキャビティの体積よりも小さく、この方法が、
・複製材料のバッファ体積部への流れを、内縁部で作用する毛管力または表面張力のうちの少なくとも1つによって制限するステップをさらに備える、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
複製材料の流れを制限するための手段の寸法を、加えられる複製材料の体積の期待値に従って設計するステップをさらに備える、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
複製材料から素子を複製するための複製ツールであって、この複製ツールは、複製側と、1つの素子または一群の素子の形状をそれぞれ画定する、複製側の複数のキャビティとを備え、複製ツールは、複製側でキャビティから突出する少なくとも1つのスペーサ部分をさらに備え、かつ、複製材料をツールの所定の領域に閉じ込めるための手段をさらに備え、ツールが基板に押圧される場合に、この所定の領域が、基板の表面に沿って少なくとも1つの方向に所定の距離よりも小さく所望の素子の体積部を超える、複製ツール。
【請求項15】
キャビティが、素子体積部と、素子体積部の周縁部にあるさらなる体積部とを備え、さらなる体積部の境界部は、毛管力および表面張力のうちの少なくとも1つによって、複製材料の流れを選択的に制御するための切れ目を備える、請求項14に記載の複製ツール。
【請求項16】
・キャビティの一方の側で複製材料の流れを停止させるように寸法決めされている縁部と、
・キャビティの別の側に向かう複製材料の流れを可能にするオーバーフロー溝と、
を備える、請求項15に記載の複製ツール。
【請求項17】
各キャビティが少なくとも1つの側方向に、スペーサ部分として役立つ平面部分によって限定されており、内縁部がキャビティと平面部分との間にあり、オーバーフロー体積部および外縁部が、平面部分とオーバーフロー体積部との間にある、請求項14から請求項16のいずれか一項に記載の複製ツール。
【請求項18】
前記キャビティのうちの少なくとも1つによって画定される素子体積部の少なくとも一方にあるバッファ体積部を備え、バッファ体積部および素子体積部は、バッファ体積部への複製材料の流れを抑制する内縁部をこれらの共通の境界部に画定している、請求項14から請求項17のいずれか一項に記載の複製ツール。
【請求項19】
バッファ体積部への複製材料の流れを抑制するさらなる縁部をバッファ体積部の表面に備える、請求項18に記載の複製ツール。
【請求項20】
さらなる縁部が、円周方向の隆起部と凹部との間に境界部を画定している、請求項19に記載の複製ツール。
【請求項21】
凹部が異なる深さおよび/または幅を有する、請求項20に記載の複製ツール。
【請求項22】
前記キャビティのうちの少なくとも1つの少なくとも1つの側にある傾斜スペーサを備える、請求項14から請求項21のいずれか一項に記載の複製ツール。
【請求項23】
複製によって製造される透過性光学素子であって、この光学素子が基板およびその上の硬くした複製材料を備え、硬くした複製材料が、複製された光学的機能部分を含み、光学素子が、基板に複製材料がない領域を複製材料の周囲にさらに含む、透過性光学素子。
【請求項24】
複製材料が、光学的機能部分を包囲している平面部分を含み、余剰部分および平面部分を包囲している隆起部分のうちの少なくとも1つをさらに含む、請求項23に記載の光学素子。。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2012−93765(P2012−93765A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−248892(P2011−248892)
【出願日】平成23年11月14日(2011.11.14)
【分割の表示】特願2009−500681(P2009−500681)の分割
【原出願日】平成19年3月19日(2007.3.19)
【出願人】(505175489)
【氏名又は名称原語表記】HEPTAGON OY
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月14日(2011.11.14)
【分割の表示】特願2009−500681(P2009−500681)の分割
【原出願日】平成19年3月19日(2007.3.19)
【出願人】(505175489)
【氏名又は名称原語表記】HEPTAGON OY
【Fターム(参考)】
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