説明

オーバーヘッドコンソール

【課題】 収納物の収納可能な容積を拡大すると共に、コンパクト化することが可能なオーバーヘッドコンソールの提供。
【解決手段】 オーバーヘッドコンソール1のハウジング2内には、開口11上方の空洞部10と、この空洞部10と連続する収容部12とが形成されているので、空洞部10を収納領域として利用すると共に、収容部12に収納物を収容することができる。即ち、空洞部以外の領域に収納物を収容することができるので、ハウジング内に多くの収納物を収容することができる。また、ハウジング2には、落下防止片13が形成されていることから、この落下防止片13により収容部12に収容された収納物の移動が効果的に規制される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の天井部分に配置されるオーバーヘッドコンソールに関する。
【背景技術】
【0002】
車両の天井部分に取り付けられ、サングラス等の小物を収容するオーバーヘッドコンソールが知られている。
【0003】
【特許文献1】特開2000−43649号
【特許文献2】特開2001−151001号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、オーバーヘッドコンソールにサングラス等の小物が複数収納できれば、乗員にとって便利である。
【0005】
しかし、上記オーバーヘッドコンソールは、1つのサングラスを収容し得る形状のサングラスホルダーが蓋体に形成された構成である。従って、複数のサングラスをオーバーヘッドコンソールに収容可能とするためには、蓋体を複数設けその蓋体の各々にサングラスホルダーを形成するか、若しくは、蓋体に複数のサングラスホルダーを形成する必要があり、オーバーヘッドコンソールの大型化を招く。このような、オーバーヘッドコンソールの大型化は、コストの増大及び、オーバーヘッドコンソールの構造上の複雑化を招来し、更には、車両の天井部分における照明等他の部品の配置に制約が生じてしまう。
【0006】
そこで、本発明は、大型化を抑えつつ、収納物の収容可能な容積を拡大することが可能なオーバーヘッドコンソールの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成すべく、本発明に係るオーバーヘッドコンソールは、ハウジングと、蓋体と、を備える。ハウジングは、車両の天井部分に配置され、空洞部と、該空洞部を車室へ開放する開口と、空洞部と連続し蓋体の回転中心に対して開口と反対側へ膨出する収容部とを有する。蓋体は、開口を開閉するためにハウジングに対して回転自在に設けられている。ハウジング及び蓋体の少なくとも一方は、収容部に収納された収納物の開口への落下を阻止する落下防止片を有する。
【0008】
上記構成では、ハウジング内には、開口上方の空洞部と、この空洞部と連続する収容部とが形成されているので、空洞部を収納領域として利用すると共に、収容部に収納物を収容することができる。即ち、空洞部以外の領域に収納物を収容することができるので、ハウジング内に多くの収納物を収容することができる。また、収容部は、蓋体の回転中心に対して開口と反対側へ膨出するように設けられているが、この回転中心に対して開口と反対側に位置する領域は、他の用途に利用し難く、デッドスペースとなり易い領域である。従って、デッドスペースとなり易い領域を収容部として有効に活用することにより、オーバーヘッドコンソールの大型化を抑えつつ収納物の収容可能な容積を拡大させることができる。
【0009】
また、ハウジング及び蓋体の少なくとも一方は、収容部に収納された収納物の開口への落下を阻止する落下防止片を有しているので、乗員が蓋体を開けた際に、収容部内の収納物が開口から落下することを確実に防止することができる。
【0010】
また、蓋体に、蓋体が開口を閉止した状態で空洞部に収容される第2収容部とを設けると共に、落下防止片としての可動ストッパ片を設けてもよい。可動ストッパ片は、蓋体に支持され、蓋体の開移動に伴って下降し且つ閉移動に伴って上昇し、蓋体が開口を閉止した状態で収容部に収納された収納物の空洞部への移動を阻止し、蓋体が前記開口を開放した状態で収容部に収納された収納物の空洞部への移動を許容する。
【0011】
上記構成では、可動ストッパ片は、蓋体の開閉に連動して上下方向に移動し、蓋体を閉じた状態では、最上部に位置して収容部に収納された収納物の空洞部側への移動を阻止する。従って、車両走行時の車両の振動等によって収納物が空洞部側へ移動することを確実に防止することができる。また、蓋体を開けた状態では、可動ストッパ片は最下部に位置するため、乗員は、収容部への収納物の出し入れを容易に行うことができる。
【0012】
また、蓋体に第2収容部を設けるという簡単な構成により、空洞部を収納物を収容するための領域として使用することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、簡単な構成により、オーバーヘッドコンソールの大型化を抑えつつ、収納物の収容可能な容積を拡大することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の第1の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は第1の実施形態に係るオーバーヘッドコンソールの概略を示す斜視図、図2は図1の要部拡大断面図であり、(a)は蓋体を閉じた状態を示し、(b)は蓋体を開けた状態を示す。図3は蓋体の開閉機構を示す斜視図、図4は図3を下から見た斜視図、図5はハウジングの係止爪と蓋体の係合部とが嵌合した状態を表す要部拡大断面図である。なお、図中FRは車両前方を、UPは車両上方をそれぞれ示している。
【0015】
図1乃至図4に示すように、本実施形態に係るオーバーヘッドコンソール1は、ハウジング2と、ハウジング2に対し上下方向に回動自在に支持された蓋体3とを備え、車室内の天井部材1aに取り付けられる。
【0016】
ハウジング2は、下端に略矩形状の開口11を有する略箱体状のハウジング本体2aと、ハウジング本体2aの開口11の周縁部分から外側へ曲折されて延びるフランジ部2bと、を備え、このフランジ部2bが天井部材1aに固定される。ハウジング本体2a内には、空洞部10と収容部12と板状の落下防止片13とが設けられている。空洞部10は、開口11の上方領域であり、蓋体3によって開閉される。収容部12は空洞部10と連続し、蓋体3の回転中心に対して開口11と反対側へ膨出する。落下防止片13は、ハウジング本体2aと一体的に形成されている。空洞部10の容積は、後述するホルダー20(第2収容部)よりも大きく設定されている。ハウジング本体2aは、空洞部10の上方を区画する上面10aと、収容部12の上方及び下方を区画する上面12a及び傾斜面12bと、を有する。収容部12の上面12aは、空洞部10の上面10aから延長され略水平に延びる。収容部12の傾斜面12bは、落下防止片13の上面13aから車両前方に向かって上方に傾斜して延びる。このような傾斜面12bによって収容部12の下方が区画されているので、車室内の乗員は、収容部12に収納された収納物を容易に視認することができ、また、収容部12に対する小物の出し入れを容易に行うことができる。落下防止片13は、開口11の車両前方の端縁から車両後方に向かって上方に傾斜して延びている。落下防止片13の上面(傾斜面)13aは、収容部12の傾斜面12bに対して略垂直で、且つ傾斜面12bの下端よりも上方に延びている。
【0017】
蓋体3は、開口11よりも僅かに小さい略矩形板形状で、収納物を収容するホルダー(第2収容部)20を有し、後述する開閉機構によりハウジング2に対して上下方向に回動自在に支持されている。ホルダー20は、蓋体3の回転中心に向かって開口する略箱型容器状に形成され、蓋体3と一体的に形成されている。また、蓋体3を閉じた状態では、ホルダー20は、ハウジング2の空洞部10に収容される。
【0018】
次に、蓋体3の開閉機構を図3及び図4に基いて説明する。
【0019】
ハウジング2は、空洞部10の上面10aの前方で車幅方向両側に形成されたアーム部挿通用の孔(図示省略)と、アーム部挿通用の孔の近傍でハウジング2の裏面に固定された回転式のダンパ64と、回転軸挿通用の孔(図示省略)とを有する。ダンパ64の略中央には、歯車(図示省略)が回転自在に支持されている。ダンパ64は、この歯車に対して、所定の回転抵抗を付与する。
【0020】
蓋体3の軸支方向の両側には、前方に向かって突出する一対のアーム部32が一体的に形成されている。各アーム部32は、円弧状に湾曲した略C字形部分とこの略C字形部分の上端から曲折された直線状部分とを有する。各アーム部32の略C字形部分は、ハウジング2に形成されたアーム部挿通用の孔(図示省略)を挿通し、その先端及び直線状部分が上方へ突出する。また、各アーム部32の略C字形部分にはギア55が形成され、直線状部分の先端部54には回転軸挿通用の孔(図示省略)が形成されている。この回転軸挿通用の孔には、回転軸50が挿通され固定されている。この回転軸50は、ハウジング2側に形成された回転軸挿通用の孔によって回転自在に支持されている。これにより、蓋体3は、ハウジング2に対して回動自在に支持されている。
【0021】
また、回転軸50の外周上には、蓋体3を開方向へ付勢するスプリング62が設けられている。ギア55は、アーム部32の略C字形部分の内周側に形成され、上記ダンパ64の歯車と噛み合っている。これにより、アーム部32の移動が歯車の回転抵抗によって規制され、蓋体3は緩やかに開く。
【0022】
次に、蓋体3のロック機構を図4及び図5に基いて説明する。
【0023】
ハウジング2の空洞部10の車両後方の壁面には、その略中央に断面略コ字形状の係止爪65がハウジング2と一体的に形成されている。また、蓋体3の回動方向の端部には、ハウジング2の係止爪65に対向する中央位置に上方に向かって突出し、係止爪65に係合する断面略矢形状の係合部53が蓋体3と一体的に形成されている。
【0024】
蓋体3を閉じると、係止爪65が係合部53の進入により外側方向に弾性変形し、係合部53が所定位置まで挿入されることにより、係合部53の突起した部分が係止爪65に嵌合して閉状態が保持される。また、閉位置にある蓋体3に対し、その表面をさらに閉じる方向へ指等により押圧すると、係合部53が上記所定位置よりもさらに進入し、係止爪65が外側方向に弾性変形し、係合部53と係止爪65との嵌合状態が解除される。これにより、蓋体3は、スプリング62の付勢力と自重とにより閉状態から開状態に移行する。
【0025】
本実施形態に係るオーバーヘッドコンソール1では、ハウジング2内には、蓋体3を閉じたときにホルダー20を収容する空洞部10が形成されていると共に、この空洞部10と連続した収容部12が空洞部10の車両前方に形成されているので、収納物を収容部12とホルダー20とに収容することができる。即ち、空洞部10以外の領域に収納物を収容することができるので、収容部12を有しないオーバーヘッドコンソールに比して、ハウジング2内に多くの収納物を収容することができる。また、収容部12は、蓋体3の回転軸50に対して開口11と反対側へ膨出するように設けられているが、この回転軸50に対して開口11と反対側に位置する領域は、他の用途に利用し難く、デッドスペースとなり易い領域である。従って、デッドスペースとなり易い領域を収容部12として有効に活用することにより、オーバーヘッドコンソール1の大型化を抑えつつ収納物の収容可能な容積を拡大させることができる。
【0026】
また、ハウジング2には、収容部12に収納された収納物の開口11への落下を阻止する落下防止片13が形成されているので、乗員が蓋体3を開けた際に、収容部12内の収納物が開口11から落下することを確実に防止することができる。
【0027】
このように、本実施形態によれば、収容部12をハウジング2内に設けるという簡単な構成により、オーバーヘッドコンソール1の大型化を抑えつつ、収納物の収容可能な容積を拡大することができる。
【0028】
次に、本発明の第2の実施形態について図6及び図7に基づいて説明する。図6は第2の実施形態に係るオーバーヘッドコンソールの蓋体が閉塞された状態から開放された状態に移行する状態を示す斜視図であり、(a)は蓋体が閉塞された状態を示し、(b)は蓋体が閉塞された状態から開放された状態に移行する途中の初期状態を示し、(c)は蓋体が閉塞された状態から開放された状態に移行する途中の終期状態を示し、(d)は蓋体が開放された状態を示す。図7は図6の(a)〜(d)の要部拡大断面図である。なお、図中FRは車両前方を、UPは車両上方をそれぞれ示している。また、本実施形態は、可動ストッパ片71を使用している点のみが異なり、他の構成は第1の実施形態と同様の構成であるため、同一番号を付して重複説明を省略する。
【0029】
図6及び図7に示すように、本実施形態におけるオーバーヘッドコンソール1のハウンジング2は、溝70を有する。溝70は、空洞部10及び収容部12を区画するハウジング2の車幅方向両側の側壁に、落下防止片13の傾斜面13aの延長方向で、且つ下方に膨出する略円弧状の長孔が形成されている。
【0030】
蓋体3は可動ストッパ片71を有する。可動ストッパ片71は、開口11の車幅方向の幅より僅かに小さい幅で形成され、車両後方に折曲された一端72と、車両前方に折曲された他端73とを有する。一端72は、蓋体3に対して車幅方向に回転自在に軸支されている。他端73は、車幅方向両側に突出するガイド74を有し、ハウジング2に形成された溝70に嵌合する。これにより、可動ストッパ片71の他端73は、蓋体3の開閉に連動し溝70に沿って上下方向に移動する。
【0031】
図6(a)及び図7(a)に示すように、蓋体3が閉塞された状態では、可動ストッパ片71の他端73は、溝70の最上部に位置して収容部12に収納された収納物の移動を阻止する。従って、車両走行時の車両の振動等によって、収納物が空洞部10側へ移動することを確実に防止することができる。また、蓋体3が閉塞された状態では、可動ストッパ片71の長手方向の上面は、落下防止片13の上方に位置し、落下防止片13の傾斜面13aとの間で連続面を形成する。
【0032】
図6(b)及び図7(b)と図6(c)及び図6(c)に示すように、蓋体3が閉塞された状態から開放された状態に移行する途中では、可動ストッパ片71の他端73の移動は、溝70に嵌合するガイド74によって規制され、他端73は、蓋体3の開方向への移動に伴って下方に移動する。
【0033】
図6(d)及び図7(d)に示すように、蓋体3が開放された状態では、可動ストッパ片71の他端73は、溝70の最下部に位置するため、乗員は、収容部12への収納物の出し入れを容易に行うことができる。また、蓋体3が開放された状態では、可動ストッパ片71の他端73の端面は、落下防止片13の傾斜面13aの上方に位置する。即ち、この可動ストッパ片71の他端73と落下防止片13とにより、収容部12に収納された収納物の開口11への移動が効果的に規制される。従って、乗員が蓋体3を開けた際に、収容部12内の収納物が開口11から落下することを確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】第1の実施形態に係るオーバーヘッドコンソールの概略を示す斜視図である。
【図2】図1の要部拡大断面図であり、(a)は蓋体を閉じた状態を示し、(b)は蓋体を開けた状態を示したものである。
【図3】蓋体の開閉機構を示す斜視図である。
【図4】図3を下から見た斜視図である。
【図5】ハウジングの係止爪と蓋体の係合部とが嵌合した状態を表す要部拡大断面図である。
【図6】第2の実施形態に係るオーバーヘッドコンソールの蓋体が閉塞された状態から開放された状態に移行する状態を示す斜視図であり、(a)は蓋体が閉塞された状態を示し、(b)は蓋体が閉塞された状態から開放された状態に移行する途中の初期状態を示し、(c)は蓋体が閉塞された状態から開放された状態に移行する途中の終期状態を示し、(d)は蓋体が開放された状態を示したものである。
【図7】図6の(a)〜(d)の要部拡大断面図である。
【符号の説明】
【0035】
1 オーバーヘッドコンソール
2 ハウジング
3 蓋体
10 空洞部
11 開口
12 収容部
13 落下防止片
20 ホルダー(第2収容部)
50 回転軸
71 可動ストッパ片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の天井部分に配置され、空洞部と該空洞部を車室へ開放する開口とを有するハウジングと、
前記ハウジングに対して回転自在に設けられ、前記開口を開閉する蓋体と、を備え、
前記ハウジングは、前記空洞部と連続し、前記蓋体の回転中心に対して前記開口と反対側へ膨出する収容部を有し、
前記ハウジング及び前記蓋体の少なくとも一方は、前記収容部に収納された収納物の前記開口への落下を阻止する落下防止片を有する
ことを特徴とするオーバーヘッドコンソール。
【請求項2】
請求項1記載のオーバーヘッドコンソールであって、
前記蓋体に設けられ、前記蓋体が前記開口を閉止した状態で前記空洞部に収容される第2収容部を備え、
前記落下防止片は、前記蓋体に支持され、前記蓋体の開移動に伴って下降し且つ閉移動に伴って上昇し、前記蓋体が前記開口を閉止した状態で前記収容部に収納された収納物の前記空洞部への移動を阻止し、前記蓋体が前記開口を開放した状態で前記収容部に収納された収納物の前記空洞部への移動を許容する可動ストッパ片である
ことを特徴とするオーバーヘッドコンソール。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate