説明

カウンターフォースアクセス機構、システム、及び方法を備えた放射性医薬品の調剤装置

本発明は、大略、少なくとも一部が放射線シールド材料からなる放射線をシールドされた囲いにアクセスするためのシステム及び方法に関する。例えば、本発明のあるシステムは、放射性医薬品を受け取るように形成した放射線シールド収容部と、該収容部内への開口に交差する、取外可能で、使い捨てされるカバーとを備える。カウンターフォース機構は、前記収容部、前記カバー、又は、これらの組み合わせに付勢して連結するようにしてもよい。このカウンターフォース機構は、カバーが開口に交差して配置される閉鎖位置と、開口が覆われていない開放位置とを含む位置の範囲を示す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大略、原子核医療の分野に関する。特に、本発明は、放射線シールド内に配置された容器から放射性材料に接近し、調剤し、及び/又は、抽出するシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
この欄は、読者に、後述するように記載され、及び/又は、クレーム化された、本発明の種々の態様に関係するような種々の技術分野の態様を紹介することを意図している。この議論は、本発明の種々の態様をよりよく理解することを容易にするために、読者に背景情報を提供するのに有用であると信じる。なお、これらの記述は、従来技術の承認としてではなく、知識として読まれるべきである。
【0003】
放射性医薬品は、放射性材料を診断及び治療目的のために利用し、少量の放射性材料を患者に注射することにより、患者の所定の器官、あるいは、生物学的部位に集中する。一般に、原子核医療で使用される放射性材料には、テクネチウム99m、インジウム113m、特に、ストロンチウム87mが含まれる。ある放射性材料は、自然に特定の組織に集中し、例えば、ヨードでは甲状腺に集中する。しかしながら、放射性材料は、標識を付けるあるいは器官を探す薬剤に結合し、所望の器官又は生物学的部位を目標とする。一般に、これら放射性材料単独、あるいは、標識を付ける薬剤との結合は、原子核医療の分野で放射性医薬品として定義されている。相対的に低放射量の放射性医薬品では、放射線撮像システム(例えば、ガンマカメラ)を、放射性医薬品が結合又は付着する器官又は生物学的部位を撮像するのに使用してもよい。画像の不規則性は癌等の異常状態を示す。より高い放射量の放射性医薬品を、癌細胞等の異常細胞に、直接、治療用放射物を搬送するために使用してもよい。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
原子核医療の診察では、安全は重要事項である。放射性同位体を生成し、放射性同位体を標識薬に合体し、放射性医薬品を注射器内に調剤し、注射器から患者に放射性医薬品を注射する間、種々の放射線シールドシステムが使用される。これらの放射線シールドシステムは、放射性材料を準備し、搬送し、注射し、受け取ることによって放射線への暴露を最小限とするようにしている。残念ながら、放射線シールド材料自体は重くなりがちで、シールドシステムの存在により、分厚い容器、蓋、注射器、及び、バイアルを手で扱うことが必要とされる。重量及び人間工学的な構成は、オペレータのために相対的な動作ストレスをもたらす。これらの嵩張ったシールドシステムを手動操作することにより、ディスペンサーを備えた注射器が、不適切あるいは取付不良で連結されたり、偶然に容器の蓋が外れたり、他の人的ミスが発生したりする可能性があり、その結果、非生産的な放射線の暴露が発生し得る。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、ある実施形態では、放射線シールド材料からなる、あるいは、少なくとも放射線シールド材料を含有する放射線シールド閉鎖部材(例えば、抽出シールド又は調剤シールド)にアクセスするためのシステム及び方法に関する。本発明の幾つかの態様は、放射線シールド閉鎖部材とカウンターフォース機構を備える。幾つかの実施形態での放射線シールド閉鎖部材は、放射性医薬品を受け取るように設計された収容部と、この収容部への開口を交差して、取り外し可能に配置されるカバーとを備える。カウンターフォース機構は、1以上の収容部又はカバーに付勢された状態で連結してもよい。幾つかの実施形態でのカウンターフォース機構では、位置決め可能な範囲が示されている。例えば、幾つかの実施形態では、カウンターフォース機構が閉鎖位置にあるとき、カバーは収容部の開口に交差するように配置してもよい。同様に、カウンターフォース機構が開放位置にあるとき、カバーは収容部の開口から離れるようにしてもよい(例えば、開口が開放されてもよい)。
【0006】
出願当初の特許請求の範囲に記載された発明の範囲と同等なある態様が記載されている。これらの態様は、発明が取り得るある形状の概要を読者に提供するためだけに公表されており、これらの態様は本発明の範囲を制限するものでないことが理解されるはずである。確かに、本発明は後述していない種々の態様を包含してもよい。
【0007】
本発明の第1の態様では、放射性医薬品システムが提供されている。このシステムは、第1放射線シールド材料からなる放射性医薬品収容部を備える。さらに、このシステムは、(前記第1放射線シールド材料と同じ又は異なる)第2放射線シールド材料からなり、放射性医薬品収容部内への開口部と交差して取外可能に配置できるカバーと、放射性医薬品収容部、カバー、又は、これらの組み合わせに付勢して連結されるカウンターフォース機構とを備える。因みに、「付勢して連結される」等は、連結の性質のため、構造物の他方(残り)に対して(例えば、向かってあるいは離れて)ある方向に付勢される少なくとも1つの構造によって特徴付けされる2以上の構造物の連結を指す。カウンターフォース機構は、カバーが開口と交差して配置される閉鎖位置と開口が開放される開放位置とを含む位置決め可能な範囲を提供する。
【0008】
本発明の第2の態様では、放射性医薬品ディスペンサーが提供されている。放射性医薬品ディスペンサーは、第1放射線シールド材料を備えた放射性医薬品収容部と、第2放射線シールド材料を備え、放射性医薬品収容部内への開口と交差して取外可能に配置可能なカバーと、放射性医薬品収容部、カバー、又は、これらの組み合わせに付勢力を付与する付勢機構とを備える。さらに、放射性医薬品ディスペンサーは、付勢機構に連結した第1部と、放射性医薬品収容部、カバー、又は、これらの組み合わせに連結した第2部とを有する移動部材を備える。放射性医薬品収容部とカバーとの間の距離は、移動部材が第1位置にあるとき第1距離であり、第1位置とは異なる第2位置にあるとき第1距離よりも大きな第2距離である。
【0009】
本発明の第3の態様では、放射性医薬品ディスペンサーを使用する方法が提供されている。この方法は、放射性医薬品ディスペンサーの第1構成要素で第1の方向に第1の力を付与することが含まれる。第1の力には、第1の方向にほぼ沿ったベクトル構成要素を有する第2の力が付加される。第1の力の付加は、放射性医薬品ディスペンサーの第2構成要素に対して第1構成要素を移動させるのには不十分である。しかしながら、第2の力と共に第1の力を補足することにより、第2構成要素に対して第1構成要素を移動させるのに十分となる。因みに、第1及び/又は第2構成要素は、1以上の適当な放射線シールド材料を含んでいてもよい。なお、第1及び第2構成要素はさらに放射性医薬品を収容するように協働する。
【0010】
本発明の第4の態様では、放射性医薬品容器がベースに支持され、第1放射線シールド材料を備えている。放射性医薬品カバーは、放射性医薬品容器の開口で交差するように延びる第1位置と、開口から偏心した第2位置との間の通路に沿って移動可能に支持され、又、第2放射線シールド材料を備えている。放射性医薬品カバーは、第1位置に向かって付勢される。
【0011】
種々の改良が本発明の種々の態様に関する上述の特徴に存在する。また、さらなる特徴が同様にこれらの種々の態様に組み込まれてもよい。これらの改良及び追加の特徴は、独立して、あるいは、組み合わせて存在してもよい。例えば、1以上の図示された実施形態について後述される種々の特徴は、単独でも、適宜組み合わせても、上述の本発明の態様のいずれかに組み込むようにしてもよい。上述の概要は、特許請求の範囲に記載された事項を限定することなく、読者に本発明のある態様と関係を認知させることだけを意図している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明に係る1以上の実施形態を説明する。これら実施形態を簡単に説明するために、実際の装置のいくつかの特徴は、明細書には記載していない。そのような実際の装置の改良では、工学又はデザイン設計として、多数の装置の特徴を決定することにより、システム及びビジネスに関する制約に従うこと等、開発者の特別な目標が達成され、1つの装置を他の装置に変更してもよいことが理解される。そのような改良努力とは、これを開示する利益を有する当業者のために、一連の設計、制作、及び、製造の管理である。
【0013】
以下に詳述する実施形態は、放射線シールド装置(例えば、抽出シールド又は調剤シールド)内にバイアルから放射性材料(例えば、放射性同位体)を抽出する際にユーザを補助するためのシステム及び方法に関する。例えば、図1は、バイアル3に収容され、かつ、カウンターフォース装置(例えば、工具平衡器)に連結された放射線シールド装置2(例えば、放射線をシールドされた容器)を備える、具体例としての持上補助された調剤システムを示す。因みに、「結合された」等は、通常、互いに直接又は間接的に連結された2以上の構成要素を指す。図1に示す実施形態では、カウンターフォース装置は、巻上装置4であり、それは取付可能な端部7(例えば、放射線シールド装置2に取り付けられるか、あるいは、少なくとも取付可能な端部)と、(例えば、望ましくは、引張及び少なくとも格納可能である)位置決め可能な範囲とを有する格納式コード6を備える。コード6は巻上装置2から延び、直接結合された連結リング8に取り付けられている。連結リング8は、適当な連結装置であれば何でもよい。例えば、連結リング8は硬質なものとすることができ、又、シールド装置2の洗浄位置から、(例えば、アイフックを介して)コード6に連結できる位置に回転させることが可能となる。コード6は、矢印10で示すように、ある大きさの持上又は引張力で、巻上装置4内のバネ付勢された回転部(図示せず)に巻回してもよい。図示された実施形態では、コード6を介してシールド装置2の巻上装置4によって伝達される力10は、中心に矢印12を示すように、シールド装置2の重量以下(例えば、この重量よりも少ないか、ほぼ等しい)である。この力2が重量12以下であるため、外力が重量12に逆らって大きくなるような力が組み合わされなければ、放射線シールドカバー14はシールド装置2の上面に留まる。持上力すなわち張力10のため、ユーザは、シールド装置2を手で掴んで、より一層、簡単に持ち上げることができ、バイタルへのアクセスが容易となる。なお、図1は、巻上装置4としてのカウンターフォース装置を示すが、カウンターフォース装置の他の実施形態には、電気モータ、ギア機構、水圧機構、空気圧機構、てこ機構、及び/又は、他の適当な機構を含めるようにしてもよい。さらに、巻上装置4によってシールド装置2に伝達された力は、図示された実施形態のシールド装置2の重量12以下となるように記載したが、実施形態には、シールド装置2の重量12よりも大きな力を伝達する巻上装置が含まれる。
【0014】
放射線シールド装置2及び放射線シールドカバー14は、ここでは、シールド装置2及びシールドカバー14としてのみ言及されているが、一般に、放射線を反射及び/又は吸収する適当な放射線シールド材料(例えば、鉛、タングステン、及び/又は、タングステン含浸樹脂)で構成してもよい。シールド装置2は、第1シールド材料で構成してもよいし、シールドカバー14は、第2シールド材料で構成してもよい。幾つかの実施形態では、第1及び第2シールド材料は同じ材料であり、他の実施形態では、第1及び第2シールド材料は異なる材料である。本発明のシールド装置は、どのような形状及びサイズであってもよい。例えば、シールド装置2は、少なくとも幾つかの実施形態では、一般に、抽出シールド及び/又は調剤シールドとして言及されている。用語「抽出シールド」は、一般に、放射性同位体生成器から放射性同位体を抽出(又は抽出)する際に利用されるような放射線シールド装置を指す。用語「放射性同位体生成器」は、一般に、アルミナビードや他の適切な代替媒体に吸収されるモリブデン-99等の親放射性同位体を保持し、通常、溶液の状態で、(親放射性同位体から)娘放射性同位体を生成可能な放射線シールド容器である。代表的な抽出シールドは、通常、放射性同位体生成器から娘放射性同位体を受け取ることができる真空収集ボトル(例えば、バイアル3)を保持するのに適している。代表的な生成器において、溶離剤(例えば、無菌生理食塩水)が収容されたボトルは、通常、放射性同位体生成器の入口に取り付けられ、溶離剤が放射性同位体生成器を介して真空収集ボトル(例えば、バイアル3)へと循環することを可能としている。娘放射性同位体(例えば、テクネチウム-99M)は、親放射性同位体に比べて化学的に弱く結合し、溶離剤が、放射性同位体生成器から収集ボトルに娘放射性同位体を流出可能とする。
【0015】
放射性同位体は、収集されると、種々の放射性医薬品を生成するために、特別な化学製品と化合される。例えば、多くの放射性医薬品は、放射性同位体と、識別する(すなわち、標的にする)薬剤として言及された化学製品を化合することによって生成される。一般に、識別薬剤は、身体のある部分(例えば、特別な細胞又は組織のレセプター)に効果的に取り入れられ、及び/又は、結合され、身体の一部の映像化を補助し、及び/又は、処理する薬剤を指す。例えば、放射性医薬品の投与は、患者に対して注射器を使用して頻繁に行われる。これらの注射器には、(本分野では、「1ユニット投与」と言われている)一度の投与分を準備又は取得する放射性医薬品取扱者が注入してもよい。放射性医薬品は放射性があるため、ユーザ(例えば、投薬を準備及び/又は調剤する放射性医薬品取扱者)が放射能に暴露されるのを制限するのが望ましい。したがって、調剤シールドは、一般に、調剤処置中に使用される。用語「調剤シールド」は、通常、バイアルから注射器内に放射性同位体の溶液又は放射性医薬品を注入する際、技術者を保護するために、放射性同位体の溶液のバイアルを保持又は収容する放射線シールド装置を指す。調剤シールドは、少なくとも抽出シールドとほぼ同等であると言ってもよい。例えば、抽出シールド等の調剤シールドには、放射線シールド材料が含まれ、(例えば、放射性材料の搬送中)バイアルを保持するのに適している。さらに、抽出シールド等の一般的な調剤シールドは、バイアルに収容された放射性材料を調剤する際、放射線に過剰暴露されることからユーザを保護する。一般に、調剤シールドは、放射性材料が繰り返し回収される状況で利用される。例えば、放射性医薬品取扱者は、調剤シールド内に配置されたバイアルから1日に放射性医薬品を大量に(例えば、数10又は数100)を抽出している。
【0016】
図2は、巻上装置4に連結された放射線シールド装置2の分解側面図であり、放射線シールド装置2は、巻上装置4によって支持された上昇位置に位置している。シールド装置2内に貯留された放射性医薬品へのアクセスは、シールド装置2の開口16を介して行われ、その開口はシールドカバー14によって覆われるようになっている。ユーザは、シールド装置2とシールドカバー14の少なくとも一方を反対側に移動させることによって(シールド装置2内に配置された)バイアル内の放射性医薬品にアクセスできる。なお、用語「AとBの少なくとも一方」は、本発明の明細書及び請求の範囲の文章において、A、又は、B、又は、その組み合わせを意味している。例えば、図2に示すように、ユーザは、シールド装置2に向かって(シールド装置2の重量12よりも小さい)補助力18を付与することにより、放射性医薬品のバイタル3が収容されるシールド装置に利用するようにしてもよい。補助力18は、巻上装置4によってシールド装置2に作用する力10と兼用してもよい。巻上装置4が、既に上向きの力10を作用させているので、ユーザは開口16にアクセスするのに同じような力を作用させる必要がない。これは、(例えば、安全で効率的な)多くの理由のために有益である。例えば、非常に多くの抽出を行うことが必要とされる場合、繰り返し使用する際の弊害を抑えるため、シールド装置2内のバイアル3を取り出すのに必要とされる力を抑制することが有効となる。なお、補助力18は、どのような方法(例えば、手動、電動、機械的等)であっても伝達することができる。例えば、補助力18は、シールド装置2を単に(例えば、ユーザの手で)保持し、巻上装置4に向かってシールド装置2を移動させることによって伝達してもよい。
【0017】
シールド装置2がシールドカバー14から離間し、開口16がアクセス可能となれば、ユーザは、開口16を介して調剤シールド2に中空の注射器20を挿入し、1投与分の放射性医薬品を注射器20内に吸引すればよい。バイアル3から1投与分を吸引する間、ユーザは、力18を付与するだけで調剤シールド2を持上続けることができ、又、図3に示すように、巻上装置4内のロック22を使用してコード6を固定することも可能である。シールド装置2を上昇位置に固定することにより、ユーザは、放射性医薬品を、より簡単及び/又は正確に、バイアル3から注射器20内に吸引することができる。固定位置の1つの特徴は、力10が重力12と釣り合うことであると言ってもよく、それによれば、ユーザが補助力18を付与する必要がなくなる。さらに、図4に示すように、放射性医薬品へのアクセスは、力26を付与し、角度24で、シールド装置2を傾斜させることにより、容易なものとしてもよい。投与薬の取得中、及び、ロック22を解除した後、シールド装置2は、シールドカバー14の上面に戻してもよい。この抽出処理の間、シールド装置2は放射性医薬品から放射線を反射及び/又は吸収するのが好ましく、この結果、ユーザが放射線に暴露されにくくなる。
【0018】
図5は、他の実施形態を示す。連結リング8(例えば、Dリング)は、シールド装置2の上部の中心軸28から離れた位置に配設されている。図5に示すように、コード6は、アイフック30を有し、アイフック30を連結リング8に取り付けるために、(矢印32で示すように)巻上装置4から引き出されている(例えば、外に出されている)。連結されれば、巻上装置4により、偏心した連結リング8を介してシールド装置2に持上力を作用させればよい。これにより、通常、シールド装置2の中心軸28(及び部材の中心)から離れて力が作用する。また、ユーザが力10に加えて補助力18を作用させると、シールド装置2は、図6に示すように、垂線に対して角度34を有する位置へと傾斜する。この傾斜位置により、図7に示すように、放射性医薬品を抽出する際、注射器20に容易にアクセス可能となる。さらに、図8に示すように、ロック22は、注射器20によって、より一層アクセス容易となる角度34でシールド装置2を保持するのを補助するために利用することができる。
【0019】
図9は、他の実施形態を示す。連結リング8(例えば、Dリング)は、シールド装置2の側部の中心軸28(及び部材の中心)から離れた位置に配設されている。図9に示すように、コード6は、アイフック30を有し、アイフック30を連結リング8に取り付けるために、(矢印32で示すように)巻上装置4から引き出すようにしてもよい。連結されれば、巻上装置4は、偏心した連結リング8を介してシールド装置2に持上力10を作用させればよい。再び、力10は、シールド装置2の中心軸(及び部材の中心)から離れて作用するようになる。また、ユーザが力10に加えて補助力18を作用させると、シールド装置2は、図10に示すように、垂線に対して相対的にある角度34を有する位置へと傾斜する。さらに、シールド装置2の側方の連結リング8について図示された形状は、軸28に沿って持ち上げる場合と比較して角度34を増大させるのに役立つ。
なお、リング8の位置は、注射器20へのアクセスが容易となるように、予めある角度の位置へとシールド装置2を傾斜させるために、軸28(部材の中心)に対して種々の位置に調整することが可能である。
【0020】
図11は、さらに他の実施形態を示す。連結リング8は、取外可能な構成部品である、スリーブすなわちシース36となっている。シース36は、巻上装置4と使用するために既存のシールド装置2を改良するのに特に有効である。図示された実施形態では、シース36は、シールド装置2の基部38をスライドし、シールド装置2の口部39と適合することによりシールド装置2に連結される。巻上装置4は、シース36の連結リング8に連結され、シース36を介してシールド装置2に上方への力10を作用させる。図示した実施形態において、ユーザは、下方にスライドさせることによりシース36を取り除き、基部38から離すことができる。例えば、シース36は、シールド装置2の周囲にクランプするか、あるいは、ネジ結合によって取り付けることができる。また、他の実施形態には、シース36のための他の適切な設計が含まれる。すなわち、本発明の範囲には、シールド装置2に力を付与可能とするために、シールド装置2に連結される全ての装置が含まれる。さらに、図示された実施形態では、シールド装置2の頂部近くで、中心軸28から離れて配置される連結リング8が示される一方、シース36の他の実施形態では、シールド装置2に対して連結リンクを適切な位置に配置することが可能となっている。例えば、図1〜10に示された各実施形態では、シース36により所望の方向に連結リング8を提供することが可能である。
【0021】
図12は、引き上げ補助された調剤システムとして特徴を有するレバレッジ工具40を示す。このレバレッジ工具40は、シールド装置2の持上及び位置決めを目的とし、注射器20を使用する開口16を介して放射性材料の抽出を補助するのに適したカウンターフォース装置である。特に、レバレッジ工具40は、ベース42、カバーすなわちキャップ44、レバー46、安全アーム48、及び、容器サポート50を備える。図示されたベース42及びキャップ44は、レバレッジ工具40が閉鎖位置(点線)で、そこに配設された放射性材料と共にシールド装置2を保持する際、ユーザが放射線に晒されるのを抑えるために、放射線シールド材料で構成されている(少なくとも含んでいる)。容器サポート50は、シールド装置2を受け止め、支持し、取外可能に連結する。図示のように、容器サポート50は、一対の対向する半円筒容器51を備え、シールド装置2の外周面に係合するような形状及び大きさに形成されている。また、上方リップ39は、容器51に隣接する一方の容器サポート50に設けられている。安全アーム48は、レバー46と協働し、容器サポート50(及びシールド装置2)を、シールド装置2の閉鎖位置(実線)と上昇及び開放位置(2点鎖線)との間で、湾曲通路を移動して回転する。動作時、レバー46及び安定アーム48は、(例えば、閉鎖位置、開放位置、及び、これらの間を含む)配置可能な範囲内で、ベース42及び容器サポート50に設けた旋回ジョイント52を中心として回転する。レバー46に十分な力が作用すると、矢印54で示すように、レバレッジ工具40は、サポート50を、下方/閉鎖位置(実線)からキャップ44から離れた、開放/上方位置(2点鎖線)へと上昇させる。これにより、ユーザは、注射器20を使用するシールド装置2の内部から放射性材料を、迅速及び/又は容易に抽出することが可能となる。レバレッジ工具40は、シールド装置2と開口16を、所望の方向、例えば、注射器20及びバイアル3の視認、芯出、及び、連結を容易にするような略水平角(又は、水平角の近傍)に位置決めする間、シールド装置2を移動させるのに必要な力を抑制する。図12〜13に示す実施形態では、シールド装置2は、開放及び閉鎖位置の間の略アーチ状の経路を移動する。また、種々の力が直線の矢印で示されているが、アーチ状に方向付けされた力は(他の方向の力と同様に)うまく作用する。
【0022】
レバレッジ工具40を利用する際、シールド装置2を持ち上げる力54は、種々の異なる機構により付与することができる。例えば、ユーザは、シールド装置2を上昇させるのに必要な力54を付与するために、手でレバー46の端部を押圧するだけでよい。しかしながら、上述のように、シールド装置2によっては、重量の大きな材料で構成されているので、ユーザがシールド装置2を持ち上げる際の力が軽減されるだけでよい。例えば、ユーザが、抽出処理中に、シールド装置2を持ち上げるために必要な力を抑制できれば、反復使用での怪我や事故を回避し、より確実に実行することが可能となる。また、ある実施形態では、レバレッジ工具40に持上補助機構を含めるようにしてもよい。例えば、図13は、レバー46とベース42の間でレバレッジ工具40に連結されるスプリング56を示し、それによりシールド装置2のウェイト12に対して少なくとも部分的に反対側へとレバー46に力54を付与する。同様に、図14は、レバー46の外端に連結されるカウンターフォースウェイト58を示し、それによりシールド装置2のウェイト12に対して少なくとも部分的に反対側へとレバー46に力54を作用させる。このように、スプリング56及びウェイト58は共に持上補助機構として作動する。確かに、図示された実施形態では、スプリング56及びウェイト58によって補助されたレバレッジ工具40は、シールド装置2のウェイト12以下の(すなわち、小さいか、あるいは、等しい)カウンター力59を作用させる。例えば、シールド装置2が5ポンドであれば、スプリング56又はウェイト58は、力59がほぼキャップ44から離間する方向でシールド装置2に作用する5ポンド以下となる。これにより、ユーザは、持上補助機構による補助力を作用させることにより、開口16及びバイアル3にアクセスできるようにシールド装置2を比較的容易に持ち上げることが可能となる。
【0023】
図15は、ほぼハンドフリーでの操作のために、持上補助機構60及び足操作トリガ(例えば、フットペダル)を備えたレバレッジ工具40を示す。図示された実施形態では、持上補助機構60は、キャップ44から離れた開口位置に向かってシールド装置2に付勢力54を作用させるスプリング56である。しかしながら、付勢力54は、補助力を作用させることなく、シールド装置2のウェイト12を持ち上げるのには十分でなくてもよい。また、足操作トリガ62は、シールド装置2をアクセス可能な上昇位置(2点鎖線)に上昇させるために、スプリングの付勢力54を組み合わせた補助力63を提供するように形成してもよい。補助力を提供するのに使用可能な、足操作トリガのどのような設計であっても本発明の範囲である。さらに、足操作トリガ62がレバレッジ工具40の構成要素として示しているが、本発明の種々の態様及び実施形態には、適当な足操作トリガを含めるようにしてもよい。図示された実施形態において、足操作トリガ62には、チューブ68を介して移動可能に延びるケーブル66に取り付けるフットペダルが含まれる。ペダル64が駆動すると(例えば、押し下げられると)、チューブ68を介してフットペダル64に向かって内方にケーブル66を引っ張るすなわち収縮させる。フットペダル64の反対側の端部では、ケーブル66をレバー46(及び/又はレバレッジ工具40の他の適当な部位)に連結してもよい。これにより、ケーブル66は、フットペダル64が押し下げられると、レバー46に下方への力63を作用させる。一般に、この力63は、持上補助機構60によって付与される力54に加えて、レバレッジ工具40によりシールド装置2を開放上方位置へと上昇させる。なお、幾つかの実施形態では、レバレッジ工具40は、シールド装置2がある位置に到達すると、(手動及び/又は自動で)係合するロック機構70(例えば、スプリング操作されたラッチ)を備えている。ロック機構70は、ユーザによって離脱されるまで、シールド装置2を位置決めする。例えば、幾つかの実施形態のロック機構70は、シールド装置2を閉鎖下方位置に位置決めし、そこに収容された放射性材料に暴露される可能性を抑え、及び/又は、シールド装置2をアクセス可能な上昇位置に位置決めし、シールド装置2内から放射性材料の回収を容易とする。
【0024】
図16は、カウンターフォース放射性医薬品の調剤、又は、持上補助された調剤スタンド80の一実施形態を示す斜視図である。図示された調剤スタンド80は、シールド装置2を、快適な作業高さと、開口16を介してバイアル3から放射性材料を調剤する誘導角度とに位置決めする。シールド装置2を保持するための全ての高さ及び方向は本発明の範囲に含まれるが、その範囲に限定されるものではなく、種々の、一般的な上方向、下方向、及び、水平方向が含まれる。調剤スタンド80は、ベース82、容器サポート84、スプリング付勢装置86、回転アーム88、及び、カバー/スプリングガイド90を備える。図示された実施形態では、アーム88は、一端にベース82を回転可能に連結され、他端にスプリングガイド90を連結されている。なお、「回転可能な連結」等は、通常、種々のタイプの連結を指し、適切な力が作用した際、少なくとも回転等の動きに耐えるように構成され、制限されることなく、全ての連結を含み、少なくともほぼ中心軸の回りを移動(例えば、回転)するような構造又は位置となっている。軸回転に加えて、典型的な回転可能な連結も又、相対運動(例えば、ヒンジ結合、及び/又は、ボール及びソケット結合)の少なくとも一部分の間での相対移動としての使用と同様に、構造又はその一部の柔軟又は弾性変形としての使用を含める。アーム88は、開放位置、閉鎖位置及びその間の位置を含む(例えば、略アーチ状通路に沿う)位置決め範囲を有する。スプリング86は、アーム88を上方に付勢し、力89を発生させ、アーム88が容器サポートに向かって上方に回転するように傾斜し、注射器ガイド90がシールド装置2の開口16をブロックする。図17に示す閉鎖位置では、注射器ガイド90は、適当な放射性シールド材料を含んでおり、ユーザがシールド装置2に収容される放射性材料に暴露される可能性を軽減する。なお、図示された実施形態では、スプリング86を操作アーム88に作用させているが、他の実施形態では、異なる機構(例えば、移動機構、レバー、及び/又は、他の適当な力付与機構)がアーム88に所望の力89を作用させるのに使用される。例えば、スプリング86は、水力学、気力学、てこ機構、電動駆動等に置き換えるか、あるいは、補助させることが可能である。
【0025】
開口16にアクセスして注射器20を使用し、シールド装置2内のバイアルから1投与分の放射性医薬品を回収するため、ユーザは、図18に示すように、(例えば、ストッパ91に対して)少なくとも開放位置に向かってほぼ下方側に注射器ガイドを押圧することによりスプリング86を圧縮するようにしてもよい。この開放位置では、注射器ガイド90は、シールド装置2内のバイアル内に、注射器20(例えば、中空の針)を調整して整列・挿入するのに利用できる。例えば、図18の実施形態では、注射器ガイド90は、注射器20の形状及び大きさに合う(例えば、嵌合する)ように形成された溝92を備える。また、ユーザは、(例えば、ストッパ91に対して)注射器ガイド90を開放位置に押し込んで、注射器20を溝92内に配置(例えば、注射器20を溝92に沿ってスライド)させることができる。溝92は、少なくとも1つの特徴として、シールド装置2の開口16に沿った予め決められた経路に沿って注射器を方向付けるものであればよく、注射器20(及び中空針)は、シールド装置2内の放射性材料を収容するバイアル3に適切に係合する。ユーザによっては、針刺しの懸念を軽減し、効率性を改善し、及び/又は、放射線の暴露を抑制するようになる点に、設計上の利点を見い出すかもしれない。
【0026】
注射器20の挿入及び取外を容易にし、及び/又は、望まない放射線への暴露を防止するため、調剤スタンド80は、注射器ガイド90をロックできるように、ロック94(例えば、スプリング付勢されたラッチ)を備えてもよい。例えば、ユーザは、注射器ガイド90を図18に示す開放位置に移動させれば、注射器ガイド90がロックされるので、片手又は両手を使用して注射器20に放射性医薬品を回収することができる。これに代えて、あるいは、これに加えて、注射器ガイド90は、シールド装置2の開口16を覆ってシールするように、図17に示す閉鎖位置にロックすることができる。なお、少なくとも一時的に上述のロック機能を提供することができる全てのロック機構は、本発明の範囲に含まれる。ロック94を採用可能であるところから明らかではあるが、調剤スタンド80の幾つかの実施形態では、力付与機構(例えば、スプリング86)は備えていなくてもよい。この場合、アーム88の位置は、ユーザがアーム88をロックする位置に依存させるようにしてもよい。しかしながら、注射器ガイド90は、一連のプロセスで、閉鎖位置に付勢された状態に維持され、注射器ガイド90が、注射器20を取り外した状態で、自動的に、保護する閉鎖位置へと復帰するのが好ましい。
【0027】
図19は、図18の調剤スタンド80の側面図を示し、詳しくは、注射器ガイド90とは反対側で注射器20に当接する、付加的な(オプションの)上方ガイド96を示す。換言すれば、上方ガイド96の位置は、(例えば、注射器20がシールド装置2のバイアルから放射性流体を吸引するのに利用する際)注射器20が注射器ガイド90と上方ガイド96の間に配設されるような位置であればよい。1つの点では、上方ガイド96が、不適切な及び/又は望まない角度で、(例えば、アーム88及び注射器ガイド90が開放位置に移動するまで、注射器20の中空針が実質的にバイアル内に挿入されることを防止することによって)注射器20をシールド装置2内のバイアルに挿入する可能性を抑える。部分的に開放した位置では、ガイド90と96の間隔は、注射器20を挿入するのに十分である。完全に開放した位置では、ガイド90と96の間隔は、注射器20の形状及び大きさにぴったりと合っている。このため、傾けたり、位置を変更したりすることなく、シールド装置2の開口16に向かって真っ直ぐに、注射器20(及び中空針)を希望通りに案内することが容易となる。注射器ガイド90が位置決めされるか否かの取付不良挿入に関する不具合が発生する可能性が軽減されるので、ユーザによっては、この特徴の利点を理解するかもしれない。
【0028】
図20は、放射性同位体を利用した抽出システムを使用する実験的な原子核医療プロセスを示すフローチャートである。図示されるように、プロセス100は、ブロック102で原子核医療のための放射性同位体を提供することによって開始される。例えば、ブロック102には、上述するように、放射性同位体生成器からテクネチウム−99を抽出することが含まれる。また、放射性同位体の提供(ブロック102)には、本発明に係る調剤システムを使用した放射性同位体の回収が含まれる。ブロック104では、プロセス100が患者の特定部位(例えば、特定の細胞や組織)を標的とするように標識薬を提供することによって進行する。例えば、ブロック104には、赤血球を目立たせる標的薬、ピロリン酸塩の提供を含めるようにしてもよい。ブロック106では、プロセス100は、原子核医療のための放射性医薬品を提供する、放射性同位体への標的薬の化合が含まれる。放射性同位体と標的薬を化合するための種々のプロトコルは公知である。
【0029】
図20は、放射性同位体を利用した抽出システムを使用する実験的な原子核医療プロセスを示すフローチャートである。図示されるように、プロセス100は、ブロック102で原子核医療のための放射性同位体を提供することによって開始される。例えば、ブロック102には、上述するように、放射性同位体生成器からテクネチウム−99を抽出することが含まれる。また、放射性同位体の提供(ブロック102)には、本発明に係る調剤システムを使用した放射性同位体の回収が含まれる。ブロック104では、プロセス100が患者の特定部位(例えば、特定の細胞や組織)を標的とするように標識薬を提供することによって進行する。例えば、ブロック104には、赤血球を目立たせる標的薬、ピロリン酸塩の提供を含めるようにしてもよい。ブロック106では、プロセス100には、原子核医療のための放射性医薬品を提供する、放射性同位体への標的薬の結合が含まれる。放射性同位体と標的薬を結合するための種々のプロトコルは公知である。例えば、ブロック112には、脳、心臓、肝臓、腫瘍、癌組織、あるいは、他の種々の器官又は損傷した組織に配置される放射性同位体を検出するために、ガンマカメラや他の放射性撮像装置の使用が含まれる。
【0030】
図21は、原子核医療での使用で、放射性医薬品の注射器を準備するための典型的なシステム120のブロックダイアグラムである。図示されるように、システム120には、上述のように、放射性同位体生成器124を備えた放射性同位体抽出アセンブリ122、抽出供給容器126、及び、排出容器128を備える。また、システム120は、放射性医薬品生成システム130を備え、そのシステムは放射性同位体132(例えば、放射性同位体抽出工具122によって生成されるテクネチウム−99m)を標的薬134に結合させるように機能する。その結果、放射性医薬品生成システム130は、ブロック136によって示されるように、放射性同位体132及び標的薬134を含む放射性医薬品を生成する。また、図示されたシステム120には、バイアル又は注射器142への放射性医薬品の抽出を容易にする、適切な放射性医薬品ディスペンサー140(例えば、図1〜19のディスペンサーの1つ)を利用する放射性医薬品調剤システム138が含まれる。ある実施形態では、システム120の種々の構成要素及び機能が放射性医療で利用されており、原子核医療での使用のために放射性医薬品の注射器142が準備されている。例えば、注射器142は、患者の診断や処置で使用するため、医療機関に準備・配送してもよい。図21は原子核医療で使用する放射性医薬品の注射器を準備するためのシステム120の一例を示すが、本発明の調剤装置は、全ての適切な注射器準備システムでの使用のために、調剤放射性材料を補助するのに利用してもよいことが理解される。
【0031】
図22は、図21のシステム120によって生成される放射性医薬品の注射器142を利用する典型的な原子核医療撮像システム150のブロックダイアグラムである。原子核医療撮像システム150には、シンチレーター154と光検出器156を有する放射線検出器152が含まれる。患者160の標的となる器官から放出される放射線により、シンチレーター154は、光検出器156によって検出されて電気信号に変換される光を出力する。また、図示しないが、撮像システム150には、放射線検出器152に向けられた放射線158を平行にするためのコリメータが含まれる。検出器の捕捉回路162は、通常、放射線検出器152からの電気信号の捕捉を制御する。撮像生成回路164は、電気信号を生成し、検査プロトコルを実行する等のために使用してもよい。また、図示された撮像システム150には、画像生成回路164と他の撮像システム150の構成要素とユーザとの対話を容易にするためのユーザインターフェース166が含まれる。この結果、撮像システム150は、患者160の標的器官の画像168を生成する。前述の処置及び得られた画像168は、本発明の調剤システムを使用して、放射性医薬品の抽出から直接利益を得る。図22は、撮像システム150の一例を示すが、本発明の調剤システムは、全ての適切な撮像システムを使用するために放射性材料を調剤するのを補助するために利用してもよいことは明らかである。
【0032】
本発明は、種々の変形や代替形状が可能であるが、特定の実施形態が、一例として図面に示されており、その詳細が記載されている。しかしながら、本発明は記載された特定の形状に限定されることを意図するものではない。むしろ、本発明には、後述する添付クレームによって構成される本発明の意図及び範囲に合った、全ての変形、同等なもの、及び、代替物が含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】巻上装置に連結された放射線シールド装置を有するシステムの一例を示す側面図である。
【図2】さらに注射器を受け取る上昇位置でのシールド装置を示す、図1の巻上装置に連結された放射線シールド装置の側面図である。
【図3】さらにロック機構を示す、図2の巻上装置に連結される放射線シールド装置の側面図である。
【図4】さらに注射器と放射線シールド装置の間の連結を容易にする上昇及び傾斜位置でのシールド装置を示す、図3の巻上装置に連結された放射線シールド装置の側面図である。
【図5】中心軸から離れたシールド装置の頂部とシールド装置の重心とに配置される連結リングに向かって降下する巻上装置のケーブルを示す、放射線シールド装置の他の実施形態の分解側面図である。
【図6】さらに連結リングの偏心位置により、シールド装置が傾斜位置に向かう、部分的な上昇位置でのシールド装置を示す、図5の放射線シールド装置に連結した巻上装置の側面図である。
【図7】さらに注射器と放射線シールド装置の間の連結を容易にする上昇及び傾斜位置での放射線シールド装置を示す、図6の放射線シールド装置に連結された巻上装置の側面図である。
【図8】さらに上昇位置で巻上装置とシールド装置を固定するロック機構を示す、図7の放射線シールド装置に連結される巻上装置の側面図である。
【図9】中心から離れたシールド装置の側部とシールド装置の重心とに配置される連結リングを示す、放射線シールド装置の他の実施形態に係る分解側面図である。
【図10】さらに注射器と放射線シールド装置の間の連結を容易にする上昇及び傾斜位置での放射線シールド装置を示す、図9の放射線シールド装置に連結される巻上装置の側面図である。
【図11】シールド装置の中心軸(及び重心)から離れた位置で巻上装置に連結するための連結リングを備え、シールド装置に連結するのに適したシースの分解側面図である。
【図12】シールド装置を保持するレバレッジ工具の一例の斜視図である。
【図13】さらにカウンタースプリングによって付勢されたリフト補助機構を示す、図12のシールド装置を保持するレバレッジ工具の側面図である。
【図14】さらにカウンターウェイトによって付勢されたリフト補助機構を示す、図12のシールド装置を保持するレバレッジ工具の側面図である。
【図15】さらにリフト補助機構及び足操作トリガを示す、図12のシールド装置を保持するレバレッジ工具の側面図である。
【図16】閉鎖位置でシールド装置を保持する調剤スタンドの一例を示す斜視図である。
【図17】図16のシールド装置を保持する調剤スタンドの側面図である。
【図18】さらにシールド装置の開口に整列されて挿入される方向で注射器を保持する注射器ガイドを示す、開放位置でのシールド装置を保持する図16の調剤スタンドの側面図である。
【図19】さらに注射器ガイドとは反対側の注射器の近傍に配置される上方ガイドを示す、図18のシールド装置及び注射器を保持する調剤スタンドの側面図である。
【図20】図1〜19の調剤システムを利用する原子核医療プロセスの一例を示すフローチャートである。
【図21】図1〜19の調剤システムを使用して得られる放射性医薬品の、注射器等の容器を生成するためのシステムの一例を示すブロックダイアグラムである。
【図22】図21の放射性医薬品の注射器を利用する原子核医療撮像システムの一例を示すブロックダイアグラムである。
【符号の説明】
【0034】
2…放射線シールド装置
3…バイアル
4…巻上装置
6…格納式コード
8…連結リング
14…シールドカバー
20…注射器
40…レバレッジ工具
42…ベース
44…キャップ
46…レバー
48…安全アーム
50…容器サポート
52…旋回ジョイント
60…持上補助機構
80…調剤スタンド
82…ベース
84…容器サポート
86…スプリング付勢装置
88…回転アーム
90…ガイド
94…ロック
130…放射性医薬品生成システム
132…放射性同位体
134…標的薬
138…放射性医薬品調剤システム
140…放射性医薬品ディスペンサー
142…注射器
150…原子核医療撮像システム
152…放射線検出器
154…シンチレーター
156…光検出器
160…患者
164…画像生成回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1放射線シールド材料を含む放射性医薬品収容部と、第2放射線シールド材料を含み、前記収容部内に開口に交差して移動可能な使い捨てのカバーと、前記放射性医薬品収容部、前記カバー、又は、これらの組み合わせに付勢された状態で連結されるカウンターフォース機構と、を備え、前記カウンターフォース機構は、前記カバーが前記開口を覆うように配置される閉鎖位置と、前記開口が開放される開放位置を含む、位置可能な範囲を備えた放射性医薬品システム。
【請求項2】
前記カウンターフォース機構は、リールと、リールの周囲に巻き戻し可能に巻き付けられ、放射性医薬品収容部、カバー、又は、これらの組み合わせに接続される紐部材と、を備える請求項1に係るシステム。
【請求項3】
さらに、前記放射性医薬品収容部内に配設される放射性医薬品容器を備え、前記紐部材は、前記放射性医薬品収容部に接続され、前記紐部材の張力は、放射性医薬品収容部及び放射性医薬品容器の全重量以下である請求項2に係るシステム。
【請求項4】
前記紐部材は、前記放射性医薬品収容部に接続され、前記紐部材の張力が前記放射性収容部の重量以下である請求項2に係るシステム。
【請求項5】
前記紐部材は、前記カバーに接続され、前記紐部材の張力が前記カバーの重量以下である請求項2に係るシステム。
【請求項6】
前記カウンターフォース機構は、回転アームと、前記回転アームにトルクを作用させる付勢装置とを備え、位置決め範囲は、前記回転アームの回転軸に対するアーチ状の経路を含む請求項1に係るシステム。
【請求項7】
前記付勢装置は、スプリング、ウェイト、又は、これらの組み合わせを含む請求項6に係るシステム。
【請求項8】
前記放射性収容部は、前記回転アームに連結され、前記アーチ状通路に沿って移動可能である請求項6に係るシステム。
【請求項9】
前記カバーは、前記回転アームに連結され、前記アーチ状の経路に沿って移動可能である請求項6に係るシステム。
【請求項10】
前記回転アームは、前記アーチ状の経路に沿って移動可能な注射器サポートを備えた請求項9に係るシステム。
【請求項11】
前記カバーは、注射器を支持するように設計された溝を備えた請求項9に係るシステム。
【請求項12】
前記カウンターフォース機構が開放位置に位置するとき、前記開口に隣接して配置される注射器サポートを備えた請求項4に係るシステム。
【請求項13】
前記カウンターフォース機構に連結されるフットペダルを備え、前記カウンターフォース機構は、前記フットペダルが第1位置に位置するとき、開放位置に位置し、前記フットペダルが前記第1位置とは異なる第2位置に位置するとき、前記閉鎖位置に位置する請求項1、2又は6に係るシステム。
【請求項14】
前記カウンターフォース機構を、位置決め可能な範囲内の指定位置に保持するのに適したロック機構を備えた請求項1に係るシステム。
【請求項15】
第1放射線シールド材料を含み、放射性医薬品を保持するように形成された放射性収容部と、第2放射線シールド材料を含み、前記収容部に向かう開口に交差し移動可能な使い捨てされるカバーと、前記放射性医薬品収容部、前記カバー、又は、これらの組み合わせに付勢力を付与する付勢機構と、前記付勢機構に連結される第1部、及び、前記放射性医薬品収容部、前記カバー、又は、これらの組み合わせに連結される第2部を備えた移動部材と、を備え、前記カバーは、前記移動部材が第1位置に位置するとき、第1距離にあり、前記移動部材が前記第1位置とは異なる第2位置に位置するとき、前記放射性医薬品保持部と前記放射性医薬品カバーの間の距離が前記第1距離よりも大きな第2距離である放射性医薬品ディスペンサー。
【請求項16】
前記移動部材は、前記放射性医薬品保持部に連結される引き込み式の紐部材を備える請求項15に係る放射性医薬品ディスペンサー。
【請求項17】
さらに、連結リングを有するシースを備え、前記シースは、前記放射性医薬品保持部の少なくとも一部を中心として配置した請求項15に係る放射性医薬品ディスペンサー。
【請求項18】
前記移動部材は、連結ジョイントを有する回転アームを備え、前記第1部は、前記連結ジョイントに対して第1距離偏心し、前記第2部は、前記連結ジョイントに対して第2距離偏心した請求項15に係る放射性医薬品ディスペンサー。
【請求項19】
前記カバーは固定され、前記放射性医薬品保持部は前記移動アームと共に移動可能である請求項18に係る放射性医薬品ディスペンサー。
【請求項20】
前記放射性医薬品保持部は固定され、前記カバーは前記回転アームと共に移動可能である請求項18に係る放射性医薬品ディスペンサー。
【請求項21】
前記カバーに隣接して設けた注射器サポートを備え、前記注射器サポートは、前記回転アームと共に移動可能である請求項20に係る放射性医薬品ディスペンサー。
【請求項22】
前記移動部材は、前記カバー、前記保持部、又は、これらの組み合わせに回転可能に連結された回転アームを備えた請求項15に係る放射性医薬品ディスペンサー。
【請求項23】
前記付勢機構を押し止め、前記放射性医薬品保持部又はカバーのいずれか一方を、第1位置、第2位置、又は両位置の間の位置に保持するロック機構を備えた請求項15に係る放射性医薬品ディスペンサー。
【請求項24】
前記放射性医薬品保持部内に配設される、前記放射性医薬品のバイアルを備えた請求項15に係る放射性医薬品ディスペンサー。
【請求項25】
放射性シールド材料を備えた、放射性医薬品ディスペンサーの第1構成要素で、第1の方向に第1の力を付与する工程と、前記第1の方向にほぼ整列されたベクトル構成要素を有し、第2の力で第1の力を補助する工程と、を備え、前記第1の力の付与が放射性医薬品ディスペンサーの第2構成要素に対して第1構成要素を移動させるには不十分であり、前記第2構成要素は放射性シールド材料を備え、前記第1及び第2構成要素は、放射性医薬品を収容するように協働する放射性医薬品ディスペンサーを使用する方法。
【請求項26】
前記第1の方向は、ほぼアーチ状である請求項25に係る方法。
【請求項27】
前記第1の方向は、ほぼ直線状である請求項25に係る方法。
【請求項28】
前記補助工程は、前記容器の内容物が注射器の針を使用してアクセスされる放射性医薬品容器の一部を露出させる工程を備える請求項25に係る方法。
【請求項29】
第1放射性シールド材料を備えた、ベースの放射性医薬品容器を支持する工程と、放射性医薬品カバーが放射性医薬品容器の開口を横切って延びる第1位置と、放射性医薬品カバーが放射性医薬品容器の開口から偏心した第2位置との間の移動通路に沿って、第2放射線シールド材料を備えた放射性医薬品カバーを移動可能に支持する工程と、前記第1位置に向かって放射性医薬品カバーを付勢する工程と、を備えた方法。
【請求項30】
前記付勢工程は、回転中心の近傍で、カウンターフォース装置に対して放射性医薬品容器のカバーを利用する工程を備え、前記移動通路は、前記回転中心の近傍でほぼアーチ状である請求項29に係る方法。
【請求項31】
前記放射性医薬品カバーが放射性医薬品容器の開口から偏心した第2位置で、回転可能な構成で、放射性医薬品カバーに隣接する注射器を支持する工程を備えた請求項29に係る方法。
【請求項32】
前記注射器を支持する工程は、注射器と開口との間の略中心での連結のために、注射器を開口に整列させる工程を備えた請求項31に係る方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公表番号】特表2009−502344(P2009−502344A)
【公表日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−524115(P2008−524115)
【出願日】平成18年7月26日(2006.7.26)
【国際出願番号】PCT/US2006/029058
【国際公開番号】WO2007/016173
【国際公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【出願人】(595181003)マリンクロッド・インコーポレイテッド (203)
【氏名又は名称原語表記】Mallinckrodt INC.
【Fターム(参考)】