説明

カチオン性脂質−DNA複合体(CLDC)の投与による免疫応答の増強

本発明は、哺乳類、魚類または鳥類において増強された抗原特異的な免疫応答を誘発するために有効であるワクチン接種のための方法に関する。該方法は癌、アレルギー性炎症と関連する疾患または感染病を含む疾患から哺乳類、魚類または鳥類を保護するために特に有効である。また、このような方法において有用な治療組成物も記載されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の背景
技術分野
本発明は、一般的に、免疫原性を増強すること、したがってワクチンでの疾患状態の処置、さらに具体的にはワクチンの免疫原性能力を増強するためのカチオン性リポソームDNA複合体(CLDC)の利用に関する。
【背景技術】
【0002】
背景情報
1990代初期において、標的組織において送達された遺伝子産物の発現を誘発するという目的で、リポソームとプラスミドDNA(コードしている)を使用する遺伝子送達系が開発されていた。その早い段階で、プラスミドDNAおよびリポソームの複合体の注入が先天宿主免疫の大きな活性化をもたらすことが認識された。プラスミド成分がコードしているベクターまたはコードしていない‘空の’ベクターであるか否かにかかわらず、この免疫活性化は起こった。いずれか単独の存在では非常に高いインビボ用量でなければ有意な刺激特性を有しなかったため、この効果は、また、プラスミドおよびカチオン性脂質の複合体の形成に有意に依存していた。これらの初期の観察から、カチオン性脂質−DNA複合体(CLDC)により誘導される先天免疫の刺激が、一つには、プラスミドのバクテリアDNA内の非メチル化CpGモチーフに対する哺乳類、魚類または鳥類免疫系の固有の応答性のリポソーム介在増強のためであると認識されるようになった。CpGモチーフはToll様受容体9(TLR−9)との相互作用を介して機能すること、相互作用は内在化を必要とすること−事象は脂質成分により有意に促進されることが、最近、認識されている。リポソームは、CpGオリゴヌクレオチド(ODN)の免疫刺激活性を15−40倍に増強することが示されている。CLDCによる免疫刺激の程度は非常に大きく予測可能であったため、‘空のベクター’効果として遺伝子治療分野において知られるようになった。この経路感受性および用量依存効果は、多数の種において認識されており、広範囲の宿主溶解性および細胞性防御のほぼ瞬時の上方調節により特徴付けられる。先天免疫の上方調節に加えて、免疫刺激効果は微生物および‘癌’抗原ベースワクチンに関する強力なアジュバントとして働く。
【0003】
過度の先天免疫刺激に対する低応答性は、敗血症患者の臨床処置においてインビトロで広く試験され、記録されている。これらの低応答性患者由来の細胞の特性は、刺激への応答の低い炎症性サイトカイン生産、HLA−DRに関する減少した発現、および一般的に抗原提示に関する減少した能力を示した。この低応答性状態は、また、インビトロでリポ多糖およびリポタイコ酸を使用してヒト細胞で、および、最近CpGオリゴヌクレオチドを使用してマウスRAW264.7細胞で証明された。
【0004】
免疫応答の誘発による処置に適している疾患、例えば、感染病、アレルギーおよび癌を予防および/または処置するために、安全で、抗原特異的で、かつ有効である免疫応答を引き起こすことができるより良いワクチンを提供する必要性が継続している。
【0005】
本発明は、単回もしくは複数回のワクチン接種の後に高レベルの保護力価が必要であるか、あるいは先天および適応免疫応答並びに保護の組合せが望ましい場合における、ワクチンの開発およびワクチン戦略を助ける。
【発明の概要】
【0006】
発明の概要
本発明は、カチオン性脂質DNA複合体(CLDC)が静脈内、腹腔内、吸入または卵内経路により投与され、同時またはその後に、アジュバント含有またはアジュバント非含有ワクチン抗原での免疫化を行うとき、哺乳類、魚類または鳥類におけるワクチン接種に対する増強された免疫応答を誘発するための方法を含む。さらに特に、本発明は、免疫刺激剤およびワクチンアジュバントとしてカチオン性リポソームDNA複合体を使用して、哺乳類、魚類または鳥類における非抗原特異的な免疫応答を誘発するための方法に関する。
【0007】
本発明の態様は、治療有効量のカチオン性脂質DNA複合体(CLDC)を静脈内、腹腔内、吸入または卵内経路を介して哺乳類、魚類または鳥類に投与することによって、哺乳類、魚類または鳥類における免疫応答を誘発するための方法を含む。CLDCが投与されるのと同時または後のいずれかで、アジュバント含有またはアジュバント非含有ワクチンは静脈内、皮下、筋肉内、鼻腔内または卵内経路を介して投与される。得られる免疫原性の増加は、増強された抗原特異的な免疫応答の結果であり得る。
【0008】
処置される対象が哺乳類であるとき、CLDCの投与経路はIV、IPまたは吸入経路を介するものであり、IV投与がより好ましい。考えられるアジュバント含有またはアジュバント非含有ワクチンの投与経路はIV、SC、IMまたは鼻腔内経路を介するものであり、IMまたはSC経路がより好ましい。
【0009】
処置される対象が鳥類または魚類であるとき、CLDCの投与経路はIV、IP、吸入または卵内経路を介するものであり、IVまたは卵内がより好ましい。考えられるアジュバント含有またはアジュバント非含有ワクチンの投与経路はIV、SC、IM、鼻腔内または卵内経路を介するものであり、IM、SCまたは卵内経路がより好ましい。
【0010】
ワクチンがアジュバント含有ワクチンであるとき、ワクチンは1種以上の以下のアジュバント:カチオン性脂質DNA複合体(CLDC)、ミョウバン、モノホスホリルリピドA(MPL)、QS21またはCpGオリゴヌクレオチド(CPG−ODN)を有するアジュバント含有であり得る。より好ましいアジュバントはCLDCである。考えられるいくつかの態様において、アジュバントはCLDCおよび少なくとも1種の他のアジュバントを含み得る。
【0011】
本発明の方法において考えられる投与プロトコールは、アジュバント含有またはアジュバント非含有ワクチンが、CLDCの投与と同時または投与後0−7日に、哺乳類、魚類または鳥類に投与されることが必要である。好ましくは、ワクチンはCLDCと同時、その後数時間以内またはその後1−3日に投与される。より好ましくは、ワクチンはCLDCの投与と同時または投与後36時間以内のいずれかで投与される。
【0012】
さらなる態様において、ワクチンが自己免疫疾患、癌、アレルギー性炎症または感染症の処置のために投与される方法を含む。いくつかの態様は、ワクチンが原発性肺癌、転移性肺疾患、アレルギー性喘息およびウイルス疾患の予防および処置のために投与される方法を含む。
【0013】
さらなる態様は、ワクチンが不活化インフルエンザA型ウイルス、不活化三価インフルエンザワクチン、スプリットインフルエンザワクチン、グリコシル化タンパク質、B型肝炎ワクチンまたはリポ多糖を含む方法を含む。
【0014】
ワクチンが不活化インフルエンザA型ウイルスを含むとき、好ましいウイルスはHKx31である。ワクチンが三価インフルエンザワクチンを含むとき、好ましいワクチンは、季節調整済みFluzone(登録商標)三価ワクチンまたは同等物である。ワクチンがグリコシル化タンパク質を含むとき、グリコシル化タンパク質ワクチンがメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)を予防または処置するために使用されることが好ましい。好ましいグリコシル化タンパク質はA1s3p−Nタンパク質である。ワクチンがスプリットインフルエンザワクチンを含むとき、好ましいスプリットインフルエンザワクチンはH5N1スプリットワクチンである。ワクチンがB型肝炎表面抗原を含むとき、好ましいワクチンはENGERIX−Bまたは同等物である。ワクチンがリポ多糖を含むとき、グリコシル化多糖類が好ましい。さらに、好ましい多糖類はフランシセラ(Francisella)多糖類およびフランシセラツラレミア(tularemia)LVS多糖類を含む。
【0015】
考えられる他の態様は、治療有効量のカチオン性脂質DNA複合体(CLDC)を投与し;そして、治療有効量のアジュバント含有またはアジュバント非含有ワクチンを投与することにより免疫応答を刺激することにより、哺乳類、魚類または鳥類における増強された抗原特異的な免疫応答を誘発することにより、疾患状態を有する哺乳類、魚類または鳥類を処置する方法である。一般的にCLDCの投与は静脈内、腹腔内、吸入または卵内経路を介してであり;そして、一般的にワクチンは、該カチオン性脂質DNA複合体(CLDC)と同時または該カチオン性脂質DNA複合体(CLDC)投与後0−7日のいずれかで、静脈内、皮下、筋肉内、鼻腔内または卵内経路を介して投与される。好ましい態様は、哺乳類においてCLDCを静脈内に、ワクチンをIMまたはSCのいずれかを介して投与し、そして魚類または鳥類においてCLDCおよびワクチンの両方を卵内投与することを含む。
【0016】
本発明において処置および/または予防のために考えられる疾患状態は、自己免疫疾患、癌、アレルギー性炎症および感染症から選択され得る。好ましい態様において、原発性肺癌、転移性肺疾患、アレルギー性喘息およびウイルス疾患の予防および処置のために行われる。
【0017】
他の態様として、治療有効量のカチオン性脂質DNA複合体(CLDC)を静脈内に投与し、そして治療有効量のアジュバント含有またはアジュバント非含有ワクチンを筋肉内または皮下に、該CLDC投与と同時または投与後0−7日に投与することによって、哺乳類における増強された抗原特異的な免疫応答を誘発するための方法を挙げる。
【0018】
他の態様として、本発明の記載されている方法を実施するために必要な物質を含むキットを挙げる。キットは、哺乳類、魚類または鳥類に対して治療有効量のカチオン性脂質DNA複合体(CLDC)を含む第1の投与する物(administrator);哺乳類、魚類または鳥類に対して治療有効量のアジュバント含有またはアジュバント非含有ワクチンを含む第2の投与する物;およびそれぞれの投与する物に対するタイミングおよび投与経路を同定するための指示書を含む。好ましい投与する物は注射器である。
【0019】
図面の簡単な説明
明細書の一部に包含され、該一部を形成する添付の図面は、本発明の好ましい態様を説明し、記述と共に本発明の原理を説明するために使用する。
図面において
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】図1は、14日以内に解消される、静脈内投与を介するCLDCでの複数回投与に対する不応期が存在することをグラフで説明する。
【0021】
【図2】図2は、静脈内投与を介するCLDCでの複数回投与に対する不応期が用量に依存していることをグラフで説明する。
【0022】
【図3】図3は、CLDCのIV投与後1−7日以内の、抗原として不活化ウイルス(HKx31インフルエンザウイルス)を含むアジュバント非含有ワクチンの投与が、増強された抗ウイルス抗体応答をもたらすことをグラフで説明する。
【0023】
【図4】図4は、CLDCのIV投与と同時または投与後1−7日以内の、CLDCアジュバント含有の精製されたワクチン(三価インフルエンザワクチン−Fluzone(登録商標)、Sanofi Pasteur)の投与が、増強された抗ウイルス抗体応答をもたらすことをグラフで説明する。
【0024】
【図5】図5は、CLDCのIV投与後のある日の、抗原として不活化ウイルス(HKx31インフルエンザウイルス)を含むアジュバント非含有ワクチンの投与が、抗体応答の増強された速さおよび強度をもたらすことをグラフで説明する。
【0025】
【図6】図6は、CLDCアジュバント含有三価インフルエンザワクチンの投与をCLDCのIV投与と同時または後に行ったとき、ワクチン接種の増強が起こることをグラフで説明する。
【0026】
【図7】図7は、CLDCのIV投与後1−7日以内の、抗原として不活化ウイルス(HKx31インフルエンザウイルス)を含むアジュバント非含有ワクチンのIM投与が、増強された抗ウイルス抗体応答をもたらすことをグラフで説明する。
【0027】
【図8】図8aおよび図8bは、CLDCでの、8aにおいて皮下(SC)前処置または8bにおいてIM前処置がワクチン増強に対して有効でなかったことをグラフで説明する。
【0028】
【図9】図9は、CLDCでのIV前処置がメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)に対するワクチン接種応答を増強することをグラフで説明する。
【0029】
【図10】図10は、CLDCでのIV前処置が“鳥インフルエンザ”H5N1インフルエンザに対するワクチン接種応答を増強することをグラフで説明する。
【0030】
【図11】図11は、CLDCでのIV前処置がB型肝炎表面抗原に対するワクチン接種応答を増強することをグラフで説明する。
【0031】
【図12】図12は、CLDCでのIV前処置がフランシセラツラレミアLVS多糖類に対するワクチン接種応答を増強することをグラフで説明する。
【発明を実施するための形態】
【0032】
発明の詳細な説明
本発明は、一般的に、哺乳類、魚類または鳥類において、特に、免疫応答の誘発による処置に適している疾患を有する哺乳類、魚類または鳥類において免疫応答を誘発するための、新規免疫化戦略および治療組成物に関する。本発明の方法を使用する処置に特に適している疾患は、自己免疫疾患、癌、アレルギー性炎症および感染病を含む。1つの態様において、本発明の方法および組成物は、原発性肺癌、転移性肺疾患、アレルギー性喘息およびウイルス疾患の予防および処置のために特に有用である。
【0033】
本発明の1つの態様は、ワクチン接種の方法に関する。該方法は、静脈内経路による哺乳類、魚類または鳥類へのカチオン性脂質DNA複合体 免疫刺激剤の投与、次にカチオン性脂質DNA複合体 アジュバント含有ワクチンの投与がワクチンに含まれている抗原に対する増強された免疫応答をもたらすことを考慮する。
【0034】
本発明の実施例は、CLDCの静脈内(IV)投与が第2の投与から、3日後に50%および10−14日目に100%である回復した応答性を有する、先天免疫活性化の短い(7−10日)不応期を誘導することを示す。この不応期は、インターフェロン−ガンマおよびインターフェロン−ガンマ受容体ノックアウトマウスならびにインターフェロン−γを前投与されたマウスまたはNK細胞もしくは形質細胞様樹状細胞の欠失したマウスにおいて観察された。敗血症患者において観察された抗原提示に対する減少した能力と対照的に、CLDC含有または非含有アジュバント含有の、種々の抗原でのワクチン接種、例えば;HKx31熱不活化インフルエンザウイルス、Fluzone(登録商標)三価インフルエンザワクチン、グリコシル化タンパク質 A1s3p−N、H5N1スプリットワクチン、B型肝炎表面抗原およびフランシセラツラレミアLVS多糖類;と同時または最大7日前のCLDCのIV投与は、実際に体液性および細胞性免疫応答の両方を有意に増強した。ワクチン接種に対する適応応答の増強は、最大不応期が観察された時点で最大であり、これらの2つの観察間で逆比例を示した。したがって、インターフェロンガンマレベルが実施例1/図1のように抑制されたときにワクチンが投与されたにもかかわらず、試験されたワクチンが、この不応期中に投与されたにもかかわらず、驚くべきことによい免疫原性応答であった。CLDCが全身投与された後約7−10日間不応期が持続することが測定された。また、実施例は、ワクチンがCLDC投与と同時または投与後0−7日(インターフェロン−ガンマレベルが非常に抑制された期間)に投与されたとき、免疫原性の最大の追加が複数回ワクチンで見られたことを明白に証明した。
【0035】
さらに、実施例は、増強された免疫原性作用がアジュバント非含有であるいくつかのワクチンで見られることを証明した(実施例3、参照)。実施例4は、いくつかのアジュバント非含有ワクチンがアジュバント含有ワクチンと同じ増強された免疫原性を有し得ないことを証明した。一般的にアジュバント含有ワクチンを使用することが好ましく、アジュバントとしてCLDCを使用することがより好ましい。
【0036】
さらに、実施例は、CLDCの前処置または同時処置の投与経路が必要な構成要素であることを証明した。さらに、実施例8において記載されている、ならびに図8aおよび8bにおいて示されているとおり、CLDCの皮下または筋肉内投与は、全身投与と関連する増強された免疫原性効果をもたらさなかった。実験8の結果は、なぜアジュバントCLDC含有単回SCまたはIMワクチンが増加した免疫原性をもたらさないかを示す点でさらに有益である。技術的にはアジュバントCLDC含有SCまたはIMワクチンはCLDC(アジュバント)と同時に投与されているが、実施例8は増強された免疫原性応答が見られないことを示し、したがって本発明の増強された免疫原性はアジュバント効果のみによるものではない。全身的に投与することがCLDCの前処置または同時処置に対して好ましい。
【0037】
本明細書において使用されるアジュバント非含有ワクチンは、対象に注入されるワクチン製剤またはワクチン組成物のいずれもが、ワクチンの効果を修飾するために十分な濃度の既知の何らかのアジュバントを含まないことを意味する。該用語、アジュバント非含有(non-adjuvanted)およびアジュバント非含有(unadjuvanted)は、明細書中で互換的に使用され、本発明の目的のために同じであると考える。既知のアジュバントは:カチオン性脂質DNA複合体(CLDC)、ミョウバン、モノホスホリルリピドA(MPL)、QS21(QS21アジュバントはシャボンノキQuillaja saponaria由来の非毒性サポニンである)またはCpGオリゴヌクレオチド(CPG−ODN)を含むが、これらに限定されない。より好ましいアジュバントはCLDCである。
【0038】
本発明の態様は、対象における増強された免疫原性応答をもたらす、CLDCを対象に投与するのと同時に、またはCLDC投与後0−7日以内に、ワクチンを投与する投与プロトコールを含む。
【0039】
本発明の態様は、治療有効量のカチオン性脂質DNA複合体(CLDC)を、静脈内、腹腔内、吸入または卵内経路を介して、哺乳類、魚類または鳥類に投与することによって、哺乳類、魚類または鳥類における免疫応答を誘発するための方法を含む。CLDCが投与されるのと同時または後のいずれかで、アジュバント含有またはアジュバント非含有ワクチンは静脈内、皮下、筋肉内、鼻腔内または卵内経路を介して投与される。得られる免疫原性の増加は、増強された抗原特異的な免疫応答の結果であり得る。
【0040】
処置される対象が哺乳類であるとき、CLDCの投与経路はIV、IPまたは吸入経路を介するものであり、IV投与がより好ましい。考えられるアジュバント含有またはアジュバント非含有ワクチンの投与経路はIV、SC、IMまたは鼻腔内経路を介するものであり、IMまたはSC経路がより好ましい。
【0041】
処置される対象が鳥類または魚類であるとき、CLDCの投与経路はIV、IP、吸入または卵内経路を介するものであり、IVまたは卵内がより好ましい。考えられるアジュバント含有またはアジュバント非含有ワクチンの投与経路はIV、SC、IM、鼻腔内または卵内経路を介するものであり、IM、SCまたは卵内経路がより好ましい。
【0042】
ワクチンがアジュバント含有ワクチンであるとき、ワクチンは1種以上の以下のアジュバント:カチオン性脂質DNA複合体(CLDC)、ミョウバン、モノホスホリルリピドA(MPL)、QS21またはCpGオリゴヌクレオチド(CPG−ODN)を有するアジュバント含有であり得る。より好ましいアジュバントはCLDCである。考えられるいくつかの態様において、アジュバントはCLDCおよび少なくとも1種の他のアジュバントを含み得る。
【0043】
本発明の方法において考えられる投与プロトコールは、アジュバント含有またはアジュバント非含有ワクチンが、CLDCの投与と同時または投与後0−7日に、哺乳類、魚類または鳥類に投与されることが必要である。本明細書において使用される同時投与は、CLDCがアジュバント含有またはアジュバント非含有ワクチンと同時または同時期に投与されることを意味する。0日目は、CLDCがアジュバント含有またはアジュバント非含有ワクチン前24時間以内に投与されることを意味する。本明細書において使用される1日目は、CLDCがアジュバント含有またはアジュバント非含有ワクチン前24時間から48時間に投与されることを意味する。その後の日から最大7日までのそれぞれは、CLDCが投与された時から24時間単位として測定される。
【0044】
好ましくは、ワクチンはCLDCと同時、その後数時間以内またはその後1−3日に投与される。より好ましくは、ワクチンはCLDCの投与と同時または投与後36時間以内のいずれかで投与される。
【0045】
さらなる態様において、ワクチンが自己免疫疾患、癌、アレルギー性炎症または感染症の処置のために投与される方法を含む。いくつかの態様において、ワクチンが原発性肺癌、転移性肺疾患、アレルギー性喘息およびウイルス疾患の予防および処置のために投与される方法を含む。
【0046】
さらなる態様は、ワクチンが不活化インフルエンザA型ウイルス、不活化三価インフルエンザワクチン、スプリットインフルエンザワクチン、グリコシル化タンパク質、B型肝炎ワクチンまたはリポ多糖を含む方法を含む。
【0047】
ワクチンが不活化インフルエンザA型ウイルスを含むとき、好ましいウイルスはHKx31である。ワクチンが三価インフルエンザワクチンを含むとき、好ましいワクチンは、季節調整済みFluzone(登録商標)三価ワクチンまたは同等物である。ワクチンがグリコシル化タンパク質を含むとき、グリコシル化タンパク質ワクチンがメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)を予防または処置するために使用されることが好ましい。好ましいグリコシル化タンパク質はA1s3p−Nタンパク質である。ワクチンがスプリットインフルエンザワクチンを含むとき、好ましいスプリットインフルエンザワクチンはH5N1スプリットワクチンである。ワクチンがB型肝炎表面抗原を含むとき、好ましいワクチンはENGERIX−Bまたは同等物である。ワクチンがリポ多糖を含むとき、グリコシル化多糖類が好ましい。さらに、好ましい多糖類はフランシセラ多糖類およびフランシセラツラレミアLVS多糖類を含む。
【0048】
考えられる他の態様は、治療有効量のカチオン性脂質DNA複合体(CLDC)を投与し;そして、治療有効量のアジュバント含有またはアジュバント非含有ワクチンを投与することにより免疫応答を刺激することにより、哺乳類、魚類または鳥類における増強された抗原特異的な免疫応答を誘発することにより、疾患状態を有する哺乳類、魚類または鳥類を処置する方法である。一般的にCLDCの投与は静脈内、腹腔内、吸入または卵内経路を介してであり;そして、一般的にワクチンは、該カチオン性脂質DNA複合体(CLDC)と同時または該カチオン性脂質DNA複合体(CLDC)投与後0−7日のいずれかで、静脈内、皮下、筋肉内、鼻腔内または卵内経路を介して投与される。好ましい態様は、哺乳類に対してCLDCを静脈内に、ワクチンをIMまたはSCのいずれかを介して投与し、そして魚類または鳥類においてCLDCおよびワクチンの両方を卵内投与することを含む。
【0049】
本発明において処置および/または予防のために考えられる疾患状態は、自己免疫疾患、癌、アレルギー性炎症および感染症から選択され得る。好ましい態様において、原発性肺癌、転移性肺疾患、アレルギー性喘息およびウイルス疾患の予防および処置のために行われる。
【0050】
他の態様として、治療有効量のカチオン性脂質DNA複合体(CLDC)を静脈内に投与し、そして治療有効量のアジュバント含有またはアジュバント非含有ワクチンを筋肉内または皮下に、該CLDC投与と同時または投与後0−7日に投与することによって、哺乳類における増強された抗原特異的な免疫応答を誘発するための方法を挙げる。
【0051】
哺乳類、魚類または鳥類における免疫応答の誘発は、多種多様の医学的障害、特に、癌、アレルギー性炎症および/または感染病に対する有効な処置であり得る。本明細書において使用される用語“誘発する”は、用語“活性化する”、“刺激する”、“産生する”または“上方調節する”と互換的に使用することができる。本発明において、哺乳類、魚類または鳥類における“免疫応答を誘発する”は、具体的に免疫応答の活性を調節するか、または活性に影響することを意味し、そして、免疫応答を活性化する、免疫応答を上方調節する、免疫応答を増強するおよび/または免疫応答を変える(例えば、哺乳類、魚類または鳥類における免疫応答の一般的な型を、有害であるか、または有効でないものから有益であるか、または保護するものへ、順次変化させる免疫応答の型を誘発することによる)ことを含むことができる。例えば、Th2型応答を受けている哺乳類、魚類または鳥類におけるTh1型応答の誘発(逆もまた同様)は、有害から有益へ免疫応答の全体効果を変化させ得る。哺乳類、魚類または鳥類における全体免疫応答を変える免疫応答を誘発することは、アレルギー性炎症、マイコバクテリア感染または寄生虫感染の処置において特に有効であり得る。本発明において、Th2型免疫応答(あるいはTh2免疫応答として称される)により特徴付けられる疾患は、Th1型Tリンパ球(またはTh1リンパ球)の活性化と比較して、Th2型Tリンパ球(またはTh2リンパ球)として当分野で既知のヘルパーTリンパ球の一部の優勢な活性化と関連する疾患として特徴付けることができる。本発明において、Th2型Tリンパ球は、Th2型サイトカインとして集合的に既知である1つ以上のサイトカインの生産により特徴付けることができる。本明細書において使用されるTh2型サイトカインは、インターロイキン−4(IL−4)、インターロイキン−5(IL−5)、インターロイキン−6(IL−6)、インターロイキン−9(IL−9)、インターロイキン−10(IL−10)、インターロイキン−13(IL−13)およびインターロイキン−15(IL−15)を含む。対照的に、Th1型リンパ球は、IL−12およびIFNγを含むサイトカインを生産する。あるいは、Th2型免疫応答は、ときどきIgG1(その近接ヒト同等物はIgG4である)およびIgEを含む抗体アイソタイプの優勢な生産により特徴付けることができるが、Th1型免疫応答はときどきIgG2aまたはIgG3抗体アイソタイプ(その近接ヒト同等物はIgG1、IgG2またはIgG3である)の生産により特徴付けることができる。
【0052】
さらに具体的には、本明細書に記載されている治療組成物は、本発明の方法により哺乳類、魚類または鳥類に投与されたとき、疾患の緩和、疾患の除去、腫瘍または該疾患と関連する障害の減少、腫瘍または該疾患と関連する障害の除去、原発性疾患の発症から引き起こされる二次疾患(例えば、原発性癌から引き起こされる転移癌)の予防、疾患の予防および疾患に対するエフェクター細胞免疫の刺激を含み得る結果を好ましくは示す。
【0053】
本発明で使用するために適当なリポソームは、あらゆるリポソームを含む。リポソームおよび本発明において使用されるCLDCの使用の方法に関するさらなる情報は、米国特許第6,693,086号に記載されており、その全体を出典明示により本明細書に包含させる。
【0054】
本発明の好ましいリポソームは、例えば、当業者に既知の遺伝子送達方法において一般的に使用されるリポソームを含む。好ましいリポソーム送達ビヒクルは多重膜小胞(MLV)脂質および押出脂質を含む。MLVの製造方法は当分野で既知である。本発明において、“押出脂質”は、Templeton et al., 1997, Nature Biotech., 15:647-652(これは出典明示によりその全体を本明細書に包含させる)に記載されているように、MLV脂質と同様に製造されるが、次に小さいサイズのフィルターを通して押出された脂質である。より好ましいリポソーム送達ビヒクルは、ポリカチオン性脂質組成物(すなわち、カチオン性リポソーム)を有するリポソームおよび/またはポリエチレングリコールに結合したコレステロール骨格を有するリポソームを含む。好ましいカチオン性リポソーム組成物は、DOTMAおよびコレステロール、DOTAPおよびコレステロール、DOTIMおよびコレステロールならびにDDABおよびコレステロールを含むが、これらに限定されない。本発明の方法において送達ビヒクルとして使用するためのより好ましいリポソーム組成物は、DOTIMおよびコレステロールを含む。
【0055】
本発明の1つの態様において、治療用量のカチオン性脂質DNA複合体(CLDC)は、全身免疫応答を誘発することを意図される任意の型の認識受容体リガンドで置き換えられ得る。
【0056】
リポソームと本発明の核酸分子を複合体化することは、当分野で標準の方法を使用して達成することができる。本発明において、カチオン性脂質:DNA複合体は本明細書においてCLDCとしても称され、そして、カチオン性脂質:RNA複合体は本明細書においてCLRCとしても称される。リポソームに加えるための本発明の核酸分子の適当な濃度は、全身免疫応答を誘発するように、十分な量の核酸分子を哺乳類、魚類または鳥類に送達するために有効な濃度を含む。核酸分子が免疫原またはサイトカインをコードするとき、リポソームに加えるための核酸分子の適当な濃度は、細胞が所望の様式においてエフェクター細胞免疫を調節するために十分な免疫原および/またはサイトカインタンパク質を生産することができるように、十分な量の核酸分子を細胞に送達するために有効な濃度を含む。好ましくは、約0.1μgから約10μgの本発明の核酸分子は、約8nmolのリポソームと組み合わせられ、より好ましくは約0.5μgから約5μgの核酸分子は約8nmolのリポソームと組み合わせられ、さらにより好ましくは約1.0μgの核酸分子は約8nmolのリポソームと組み合わせられる。1つの態様において、本発明の組成物における核酸対脂質の比率(μg核酸:nmol脂質)は、好ましくは少なくとも重量あたり約1:1の核酸:脂質(すなわち、1μg核酸:1mmol脂質)、より好ましくは、少なくとも約1:5、より好ましくは少なくとも約1:10、さらにより好ましくは少なくとも約1:20である。本明細書で示される比率は、組成物におけるカチオン性脂質の量に基づき、組成物における脂質の全量に基づかない。他の態様において、本発明の組成物における核酸対脂質の比率は、好ましくは重量あたり約1:1から約1:64の核酸:脂質;より好ましくは、重量あたり約1:5から約1:50の核酸:脂質;さらにより好ましくは、重量あたり約1:10から約1:40の核酸:脂質;さらにより好ましくは、重量あたり約1:15から約1:30の核酸:脂質である。他の特に好ましい核酸:脂質の比率は、約1:8から1:16であり、1:8から1:32がより好ましい。一般的に、核酸投与の非全身経路(すなわち、筋肉内、気管内、皮内)は約1:1から約1:3の比率を使用するが、本発明の全身投与経路では、脂質と比較してより少ない核酸を使用して、非全身経路と同等またはより良い結果を達成することができる。さらに、静脈内投与により投与されるときでさえ、遺伝子治療/遺伝子置換のために設計された組成物は、一般的に本発明の全身免疫活性化組成物および方法と比較してより多い核酸(例えば、6:1から1:10、最も少ないDNAが使用されるとき1:10)を使用する。
【0057】
本発明の他の態様において、治療組成物はさらに薬学的に許容される賦形剤を含む。本明細書において使用される薬学的に許容される賦形剤は、本発明の方法において有用な治療組成物を適当なインビボ部位に送達するために適当なすべての物質をいう。好ましい薬学的に許容される賦形剤は、核酸分子が細胞に到着時に、核酸分子が細胞に入り、核酸分子が発現されるタンパク質をコードするとき細胞により発現することができる形態において本発明の核酸分子を維持することができる。本発明の適当な賦形剤は、特異的に標的としないが、核酸分子を細胞に輸送する賦形剤または薬剤(また、本明細書において非標的担体と称される)を含む。薬学的に許容される賦形剤の例は、水、リン酸緩衝生理食塩水、リンガー溶液、デキストロース溶液、血清含有溶液、ハンクス溶液、他の生理的平衡水溶液、油、エステルおよびグリコールを含むが、これらに限定されない。水性担体は、例えば、化学安定性および等張性を増強することにより、受容者の生理学的状態に近づけるために必要とされる適当な補助物質を含み得る。特に好ましい賦形剤は、水中の5%デキストロース(DW5)である好ましい非イオン性緩衝液を有する非イオン性希釈剤を含む。
【0058】
適当な補助物質は、例えば、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム、乳酸ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウムならびにリン酸緩衝液、トリス緩衝液および重炭酸塩緩衝液を生産するために使用される他の物質を含む。補助物質は、また、防腐剤、例えば、チメロサール、m−もしくはo−クレゾール、ホルマリンおよびベンジルアルコールを含むことができる。本発明の治療組成物は、慣用の方法により滅菌および/または凍結乾燥され得る。
【0059】
本発明において、有効な投与プロトコール(すなわち、有効な様式における治療組成物の投与)は、好ましくは哺乳類、魚類または鳥類が疾患から保護されるように、疾患を有する哺乳類、魚類または鳥類における免疫応答の誘発をもたらす、適当な用量パラメーターおよび投与様式を含む。有効な用量パラメーターは、特定の疾患に対する当分野で標準の方法を使用して決定することができる。このような方法は、例えば、生存率の決定、副作用(すなわち、毒性)および疾患の進行または退行を含む。特に、癌を処置するときの本発明の治療組成物の用量パラメーターの有効性は、応答率を評価することにより決定することができる。このような応答率は、患者集団において部分的または完全な寛解で応答する処置された患者の割合を示す。寛解は、例えば、腫瘍サイズの測定または組織サンプルにおける癌細胞の存在に関する顕微鏡検査により決定することができる。
【0060】
本発明において、適当な単回用量サイズは、適当な期間にわたって1回以上投与されるとき、疾患を有する哺乳類、魚類または鳥類における免疫応答を誘発することができる用量である。用量は、処置される疾患に依存して変化し得る。癌の処置において、適当な単回用量は、処置される癌が原発性腫瘍または転移性形態の癌であるか否かに依存し得る。静脈内または腹腔内投与技術で使用するために適当な本発明の治療組成物の用量は、哺乳類、魚類または鳥類のサイズに基づいて全身投与に対する適当な単回用量サイズを決定するために当業者により使用され得る。
【0061】
好ましい態様において、本発明の核酸:リポソーム複合体の適当な単回用量は、複合体を投与される哺乳類、魚類または鳥類のkg体重あたり約0.1μgから約100μgである。他の態様において、適当な単回用量は、kg体重あたり約1μgから約10μgである。他の態様において、核酸:脂質複合体の適当な単回用量は、哺乳類、魚類または鳥類に対して少なくとも約0.1μgの核酸、より好ましくは少なくとも約1μgの核酸、さらにより好ましくは少なくとも約10μgの核酸、さらにより好ましくは少なくとも約50μgの核酸、およびさらにより好ましくは少なくとも約100μgの核酸である。
【0062】
好ましくは、本発明の核酸:リポソーム複合体が哺乳類、魚類または鳥類において発現される核酸分子を含むとき、本発明の核酸:リポソーム複合体の適当な単回用量は、送達される核酸のμgあたり全組織タンパク質のmgあたり少なくとも約1pgの発現されるタンパク質をもたらす。より好ましくは、本発明の核酸:リポソーム複合体の適当な単回用量は、送達される核酸のμgあたり全組織タンパク質のmgあたり少なくとも約10pgの発現されるタンパク質;さらにより好ましくは、送達される核酸のμgあたり全組織タンパク質のmgあたり少なくとも約50pgの発現されるタンパク質;より好ましくは、送達される核酸のμgあたり全組織タンパク質のmgあたり少なくとも約100pgの発現されるタンパク質をもたらす用量である。本発明の核酸:脂質複合体の送達経路が腹腔内であるとき、本発明の核酸:リポソーム複合体の適当な単回用量は、送達される核酸のμgあたり全組織タンパク質のmgあたり非常に低い1fgの発現されるタンパク質をもたらす用量であり、上記の量がより好ましい。
【0063】
哺乳類、魚類または鳥類における全身性の非抗原特異的な免疫応答を誘発するための本発明の治療組成物の適当な単回用量は、本発明の治療組成物を投与されていない哺乳類、魚類または鳥類(すなわち、対照哺乳類、魚類または鳥類)と比較して、静脈内または腹腔内に投与されたとき、哺乳類、魚類または鳥類におけるインビボにおける細胞性および/または体液性免疫応答を誘発するための核酸分子とリポソーム送達ビヒクルの十分な量である。本発明の核酸:脂質複合体に含まれる核酸分子の好ましい用量は、上記されている。
【0064】
腫瘍に対する免疫応答を誘発するための治療組成物の適当な単回用量は、癌を有する哺乳類、魚類または鳥類の組織の細胞へ組換え分子のリポフェクション後に、腫瘍を減少、好ましくは壊滅するための腫瘍抗原をコードする組換え分子のみまたはサイトカインをコードする組換え分子と組み合わせての十分な量である。
【0065】
本発明において、リポソームと組み合わせられた病原体をコードする組換え分子のみまたはリポソームと組み合わせられたサイトカインをコードする組換え分子と組み合わせて含む、感染病および/またはこのような疾患と関連する障害に対する免疫応答を誘発するために有用な治療組成物の単回用量は、腫瘍(上記詳細)を処置するために使用される用量と実質的に同程度である。同様に、リポソームと組み合わせられたアレルゲンをコードする組換え分子のみまたはリポソームと組み合わせられたサイトカインをコードする組換え分子と組み合わせて含む、アレルゲンに対する免疫応答を誘発するために有用な治療組成物の単回用量は、腫瘍を処置するために使用される用量と実質的に同程度である。
【0066】
哺乳類、魚類または鳥類に投与される投与回数が、疾患の範囲および個々の患者の処置に対する応答に依存することは、当業者に明らかである。例えば、大型腫瘍は小型腫瘍よりも多い用量が必要であり得る。いくつかの場合において、しかしながら、大型腫瘍を有する患者が小型腫瘍を有する患者よりも治療組成物に対してより好都合に応答するとき、大型腫瘍を有する患者は小型腫瘍を有する患者よりもより少ない用量が必要であり得る。したがって、本発明において、適当な投与回数とは、挙げられている疾患を処置するために必要とされるあらゆる回数を含む。
【0067】
核酸:脂質複合体の投与と追加の時間は遺伝子治療/遺伝子置換のための典型的な投与プロトコールよりも非常に長いため、本発明の方法は、上記されている遺伝子治療/遺伝子置換プロトコールとさらに異なることに注意すべきである。例えば、本発明の組成物および方法を使用する免疫応答の誘発は、一般的に、治療組成物の最初の投与、次に最初の投与の3−4週間後に追加免疫化、所望により次に、本発明によって疾患を処置することが必要であるとき、最初の追加の3−4週間後毎に次の追加免疫化を含む。対照的に、遺伝子治療/遺伝子置換プロトコールは、一般的に所望の遺伝子機能を産生または置換するために十分な遺伝子発現を得るために、核酸のより頻繁な投与を必要とする(例えば、毎週の投与)。
【0068】
転移癌に対する免疫応答を誘発するための、腫瘍抗原をコードする組換え分子のみまたはリポソーム送達ビヒクルと組み合わせられたサイトカインをコードする組換え分子と組み合わせて含む治療組成物の好ましい投与回数は、患者あたり約2から約10回の投与、より好ましくは患者あたり約3から約8回の投与、さらにより好ましくは患者あたり約3から約7回の投与である。好ましくは、このような投与は、寛解の徴候が現れるまで上記のとおり3−4週間に1回、次に疾患が無くなるまで1月に1回である。
【0069】
本発明において、病原体抗原をコードする組換え分子のみまたはリポソーム送達ビヒクルと組み合わせられたサイトカインをコードする組換え分子と組み合わせて含む、感染病および/またはこのような疾患と関連する障害に対する免疫応答を誘発するための治療組成物の投与回数は、腫瘍を処置するために使用される投与回数と実質的に同程度である(上記詳細)。
【0070】
治療組成物は、哺乳類、魚類または鳥類における全身性の非抗原特異的な免疫応答を誘発するような様式で、そして、組成物における核酸分子が免疫原をコードするときには、疾患を処置される哺乳類、魚類または鳥類において投与される本発明の組換え分子が発現して免疫原性タンパク質(腫瘍、病原体抗原またはアレルゲンの場合)または免疫調節タンパク質(サイトカインの場合)を生じることを可能にするような様式で、哺乳類、魚類または鳥類に投与される。本発明の方法において、治療組成物は静脈内または腹腔内注入、好ましくは、静脈内に投与される。静脈内注入は当分野で標準の方法を使用して実施することができる。本発明の方法において、核酸:脂質複合体の投与は、特にリポソーム送達ビヒクルがカチオン性リポソームを含むとき、全身投与(すなわち、静脈内または腹腔内投与)が可能である、哺乳類、魚類または鳥類の任意の部位であり得る。静脈内または腹腔内投与のいずれかが使用されるとき、特に静脈内投与が使用されるとき、哺乳類、魚類または鳥類の任意の部位への投与は強力な免疫応答を誘発する。投与に関する適当な部位は、免疫活性化に関する標的部位が投与部位に近接する毛細血管床を有する第1の臓器に限定されない部位を含む(すなわち、組成物は標的免疫化部位より遠位の投与部位で投与され得る)。言い換えれば、例えば、哺乳類、魚類または鳥類における腎臓腫瘍を処置するために使用される本発明の組成物の静脈内投与は、哺乳類、魚類または鳥類において任意の部位で静脈内に投与することができ、腎臓は投与部位に近接する毛細血管床を有する第1の臓器ではないにもかかわらず、さらに強い抗腫瘍免疫応答を誘発し、腫瘍を減少させるか、または壊滅させる効果がある。特定の抗腫瘍効果が望ましく(すなわち、腫瘍の減少または除去)、かつ投与経路が静脈内であるとき、投与部位は、投与部位と比較して腫瘍の位置にかかわらず、再び、組成物を静脈内に投与することができる任意の部位であり得る。抗腫瘍有効性(免疫活性化/免疫化ではないが)に関する腹腔内投与において、腫瘍が腹腔であるときか、または腫瘍が小型腫瘍であるとき、この投与経路を使用することが好ましい。
【0071】
本発明の方法において、治療組成物はあらゆる種の脊椎動物、霊長類、齧歯動物、家畜および家庭用ペットを含むが、これらに限定されない哺乳類に投与することができる。家畜は摂取されるか、または有用な産物を生産する哺乳類(例えば、羊毛生産のためのヒツジ)を含む。好ましい保護するための哺乳類は、ヒト、イヌ、ネコ、マウス、ウサギ、ラット、ヒツジ、ウシ、ウマおよびブタを含み、ヒトおよびイヌが特に好ましく、ヒトがさらに好ましい。本発明の治療組成物は近交系種の哺乳類における疾患に対する免疫応答を誘発するために有効であるが、組成物は非近交系種の哺乳類における免疫応答を誘発するために特に有用である。
【0072】
さらに、本発明の方法および治療組成物は、鳥類および魚類、特に鳥類および/または感染症、例えば、鳥インフルエンザのキャリアーであり得る野鳥を処置するために使用され得る。
【0073】
上記のとおり、本発明の方法により投与される本発明の治療組成物は、種々の疾患、特に癌、アレルギー性炎症および感染症を有する哺乳類、魚類または鳥類における免疫応答を誘発するために有用である。本発明の治療組成物は、静脈内または腹腔内に投与されるとき、該組成物は癌細胞が免疫異物除去を避ける(すなわち、癌細胞が疾患に応答して哺乳類、魚類または鳥類により引き起こされる免疫応答を避ける)メカニズムを克服するという点において、癌を有する哺乳類、魚類または鳥類における免疫応答を誘発するための利点がある。癌細胞は、例えば、ほんのわずかに免疫原性であること、細胞表面抗原を調節すること、および免疫抑制を誘導することにより免疫異物除去を避けることができる。癌を有する哺乳類、魚類または鳥類における免疫応答を誘発することにおいて使用するための適当な治療組成物は、本発明の核酸:脂質複合体(該核酸は、転写コントロール配列に作動可能に連結していないか、または、より好ましくは、転写コントロール配列に作動可能に連結された腫瘍抗原をコードする組換え分子をコードする)のみ、またはサイトカインをコードする組換え分子と組み合わせて(別々に、または一緒に)含む。本発明の治療組成物は、哺乳類、魚類または鳥類における全身性の非特異的な免疫応答を誘発し、標的化肺または脾臓および肝臓細胞に入ると、細胞毒性T細胞、ナチュラルキラー細胞、Tヘルパー細胞およびマクロファージを活性化する腫瘍抗原(特定の態様において、サイトカインタンパク質)の生産を誘導する。このような細胞活性化は、癌細胞に対する免疫応答のほかの相対的欠如を克服し、このような細胞の破壊を誘導する。
【0074】
腫瘍抗原をコードする核酸分子を含む本発明の治療組成物は、腫瘍および転移性形態の癌の両方を含む癌を有する哺乳類、魚類または鳥類における免疫応答を誘発するために有用である。該治療組成物での処置は、転移癌に対する慣用の処置の不都合面を克服する。例えば、本発明の組成物は、外科的方法を使用して処置することができない分散した転移癌細胞を標的とすることができる。加えて、このような組成物の投与は、化学療法および放射線療法により引き起こされる有害である副作用を引き起こさず、繰り返し投与することができる。さらに、本発明の方法により投与される組成物は、腫瘍細胞の腫瘍抗原またはサイトカインの発現それ自体が腫瘍に対する有効性を提供する必要がないように、一般的に腫瘍の小胞を標的とする。さらに、本発明の一般的な利点は、組成物それ自体の送達が強力な免疫応答を誘発し、少なくとも標的部位の近辺(部位で、または部位に近接して)における核酸分子の発現が、標的に対する有効な免疫活性化および有効性を提供することである。
【0075】
腫瘍抗原をコードする核酸分子を含む本発明の治療組成物は、好ましくは黒色腫、扁平上皮癌腫、乳癌、頭頚部癌腫、甲状腺癌腫、軟組織の肉腫、骨肉腫、精巣癌、前立腺癌、卵巣癌、膀胱癌、皮膚癌、脳の癌、血管肉腫(angiosarcoma)、血管肉腫(hemangiosarcoma)、肥満細胞腫瘍、原発性肝癌、肺癌、膵臓癌、消化器癌、腎細胞癌腫、造血系新生物およびそれらの転移癌を含むが、これらに限定されない癌を有する哺乳類、魚類または鳥類における免疫応答を誘発するために使用される。本発明の治療組成物で処置するための特に好ましい癌は、原発性肺癌および転移性肺癌を含む。本発明の治療組成物は、悪性および良性腫瘍を含むこのような癌を形成することができる腫瘍を処置するために、哺乳類、魚類または鳥類における免疫応答を誘発するために有用である。好ましくは、癌を有する哺乳類、魚類または鳥類の肺組織における腫瘍抗原の発現(すなわち、静脈内送達による)は、癌の緩和、癌と関連する腫瘍の減少、癌と関連する腫瘍の除去、転移癌の予防、癌の予防および癌に対するエフェクター細胞免疫の刺激の群から選択される結果をもたらす。
【0076】
感染病病原体由来の免疫原をコードする核酸分子を含む本発明の治療組成物は、免疫応答に応答する感染症を有する哺乳類、魚類または鳥類における免疫応答を誘発するために有利である。免疫応答に応答する感染病は、病原体に対する免疫応答の誘発が本明細書に記載されている予防または治療効果をもたらすことができる、病原体により引き起こされる疾患である。このような方法は、病原体の増殖により引き起こされる原発性障害(例えば、肉芽腫)のための長期標的治療を提供する。本明細書において使用される“障害”なる用語は、哺乳類、魚類または鳥類の病原体での感染により形成される障害を示す。感染病を有する哺乳類、魚類または鳥類における免疫応答の誘発において使用するための治療組成物は、病原体抗原をコードする組換え分子のみ、またはリポソーム送達ビヒクルと組み合わせられた本発明のサイトカインをコードする組換え分子と組み合わせて含む。癌の処置のための上記メカニズムと同様に、サイトカイン有りまたは無しで感染病病原体由来の免疫原にて感染病を有する哺乳類、魚類または鳥類における免疫応答を誘発することにより、病原体により形成される障害に対する免疫応答の相対的欠如を克服するT細胞、ナチュラルキラー細胞およびマクロファージ細胞活性の増加をもたらすことができる。好ましくは、感染病を有する哺乳類、魚類または鳥類の組織における免疫原の発現は、疾患の緩和、疾患と関連すると確立された障害の退行、疾患の症状の緩和、疾患に対する免疫化および疾患に対するエフェクター細胞免疫の刺激を含む結果を生む。
【0077】
本発明の治療組成物は、細菌(宿主細胞に存在する細胞内細菌を含む)、ウイルス、寄生虫(内部寄生虫を含む)、菌類(病原性真菌を含む)および内部寄生虫を含むが、これらに限定されない病原体により引き起こされる感染症を有する、哺乳類、魚類または鳥類における免疫応答を誘発するために特に有用である。本発明の治療組成物で処置するために好ましい感染症は、慢性感染症を含み、肺感染症、例えば、結核がより好ましい。本発明の治療組成物で処置するために特に好ましい感染症は、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、ヒト結核菌、ヘルペス・ウイルス、パピローマウイルスおよびカンジダを含む。
【0078】
1つの態様において、本発明の治療組成物に対する感染病はウイルス疾患であり、好ましくはヒト免疫不全ウイルスおよびネコ免疫不全ウイルスを含むウイルスによって引き起こされるウイルス疾患である。
【0079】
本発明の方法および組成物を使用して処置することが好ましいアレルギー性炎症と関連する好ましい疾患は、アレルギー性気道疾患、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎および食物アレルギーを含む。
【0080】
本発明のリポソーム送達ビヒクルは、哺乳類、魚類または鳥類における特定の部位を標的とするように修飾し、それにより本発明の核酸分子がその部位に標的化され、利用することができる。適当な修飾は、送達ビヒクルの脂質部分の化学式を操作することを含む。送達ビヒクルの脂質部分の化学式を操作することにより、送達ビヒクルの細胞外または細胞内の標的化を誘導することができる。例えば、化学式をリポソームの脂質式に加え、リポソームが特定の電荷特性を有する特定の細胞と融合することができるように、リポソームの脂質二重層の電荷を変えることができる。免疫学的に活性な臓器での有効な免疫活性化は、さらなる標的メカニズムの助けなしに、組成物および本組成物の送達経路によりすでに提供されているため、他の標的メカニズム、例えば、外因性標的分子の添加によるリポソーム(すなわち、抗体)への標的化は、本発明のリポソーム送達ビヒクルの必要な因子ではない。さらに、有効性に関して、本発明は、挙げられている核酸分子によってコードされるタンパク質が標的細胞(例えば、腫瘍細胞、病原体など)内で発現されることを必要としない。本発明の組成物および方法は、タンパク質が非標的細胞により発現されるときを含むが、タンパク質が標的部位の近辺(すなわち、近接)において発現するとき有効である。
【0081】
本発明の好ましいリポソーム送達ビヒクルは、直径が約100から500ナノメートル(nm)、より好ましくは約150から450nm、さらにより好ましくは約200から400nmである。
【0082】
カチオン性脂質DNA複合体(CLDC)の製造
以前に述べられているとおり(Solodin et al., 1995, Biochemistry 34:13537-13544、その全体を出典明示により本明細書に包含させる)、1:1モル比で混合されたDOTAP(1,2ジオレイル−3−トリメチルアンモニウム−プロパン)およびコレステロールからなり、丸底チューブで凍結乾燥され、次に50℃で6時間加熱することにより5%デキストロース溶液(D5W)中で再水和されたカチオン性リポソームを、以下の実験(他に記載のない限り)で使用した。他の脂質(例えば、DOTMA)は、示されているとおりにいくつかの実験のために同様に製造した。この方法は、本願発明者が小さい単層小胞(SUV)と比較して最適のトランスフェクション効率を与えることを見出した、多重膜小胞(MLV)からなるリポソームの形成をもたらす。MLVおよび関連“押出脂質”の生産は、また、Liu et al., 1997, Nature Biotech. 15:167-173;およびTempleton et al., 1997, Nature Biotech. 15:647-652(これら両方においてそれら全体を出典明示により本明細書に包含させる)に記載されている。プラスミドDNA(pCR3.1、Invitrogen)は、修飾されたアルカリ溶菌法およびポリエチレングリコール沈殿(Liu et al., 1997、上記)を使用して、上記大腸菌から精製した。注入のためのDNAを蒸留水に再懸濁した。真核生物DNA(サケ精巣および仔ウシ胸腺)をSigma Chemical Companyから購入した。ここで報告されている多数の実験において、プラスミドDNAは遺伝子挿入物を含んでおらず(他に記載のない限り)、したがって“コードしていない”または“空のベクター”DNAと称される。
【0083】
以下の実験において使用されるカチオン性脂質DNA複合体(CLDC)は、5%デキストロース溶液(D5W)中の脂質溶液にDNAを室温で穏やかに加え、次に適度な混合を確実にするためにピペッティングを数回穏やかに行うことにより製造した。DNA:脂質比率は、1:8(8nmolの液体に対して1.0μgのDNA)であった。CLDCは、製造から30−60分以内に使用した。いくつかの実験(示されているとおり)において使用される小さい単層小胞(SUV)を製造するために、上記のとおりにMLVリポソームを使用して形成されたCLDCを、上記(Liu et al., 1997、上述)されているとおりに、5分、超音波処理に付した。
【0084】
限定はしないが、典型的なワクチンおよび疾患状態を以下に挙げる。
【0085】
三価インフルエンザワクチン
三価インフルエンザワクチンは、2つの異なるインフルエンザA型株および1つのインフルエンザB型株の3つの不活化インフルエンザウイルスからなる合成ワクチンとして定義される。三価インフルエンザワクチンは、次回のインフルエンザシーズンに流行するであろうと予測されるインフルエンザ株に基づいて、毎年、製剤化される。三価インフルエンザワクチンの例は、Fluzone(登録商標)である。Fluzone(登録商標)は、sanofi pasteur、USAにより提供されているインフルエンザウイルスワクチンの商品名である。それは、インフルエンザウイルスの化学的破壊により生産されるスプリットウイルスワクチンである。したがって、インフルエンザそれ自体を引き起こすことはできない。米国食品医薬品局(FDA)により承認されている、Fluzone(登録商標)は、筋肉内注入により単回投与される保存剤を含まないワクチンである。AおよびB型インフルエンザに対するワクチン接種として推奨されており、種々のインフルエンザシーズンのために定期的に最適化されている。
【0086】
メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)
メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)は、ヒトにおける感染を処置することが困難である細菌である。多剤耐性黄色ブドウ球菌またはオキサシリン耐性黄色ブドウ球菌(ORSA)としても称され得る。MRSAは、当然、ペニシリンおよびセファロスポリンを含むベータ−ラクタムと呼ばれる抗生物質の大グループに耐性である、黄色ブドウ球菌の株である。新しいMRSA株は合衆国で急速に広がり、市内の緊急治療室でのこれらの感染に対する医療を探している個体間の培養皮膚感染の最も一般的な原因となっている。これらの株は、また、一般的に競技者、囚人および収容者、ならびに軍人において皮膚感染を引き起こす。
【0087】
A1s3p−N
A1s3p−Nは、抗真菌剤ワクチンとして使用される非常にグリコシル化されたタンパク質であり、細菌黄色ブドウ球菌に対してマウスを保護するために見出されたAls3pタンパク質のN末端組換え型由来であり、MRSAの株の処置に有効であり得る。
【0088】
インフルエンザA型ウイルスサブタイプH5N1
“鳥インフルエンザ”A型(H5N1)または単にH5N1としても知られているインフルエンザA型ウイルスサブタイプH5N1は、ヒトおよび多数の他の動物種において病気を引き起こすことができるインフルエンザA型ウイルスのサブタイプである。“サブタイプH5N1のA型の高病原性の鳥インフルエンザウイルス”に関するHPAI A(H5N1)と呼ばれる鳥類−適応株H5N1は、“鳥インフルエンザ(avian influenza)”または“鳥インフルエンザ(bird flu)”として一般的に知られている、H5N1インフルエンザの原因物質である。とりわけ東南アジアにおける多数の鳥類集団における地方病である。それは、数千万の鳥類を殺し、その拡張を食い止めるために数億の他の種の処分を急がせる、動物間流行病(非ヒトにおける流行病)および動物流行病(とりわけ広域にわたって多数の種の動物に影響する)である。
【0089】
HPAI A(H5N1)は鳥疾患である。ウイルスのヒトからヒトへの伝達が限られていることがいくつか証明されている。ウイルスとの接触に関する危険因子は、感染した鳥類に触れることであるが、感染した鳥類からヒトへのウイルスの伝達はあまり効率が良くない。今もなお、現在のアジア株のHPAI A(H5N1)に感染したと知られているヒトの約60%がそれにより死んでおり、H5N1は効率よくヒトからヒトに伝達することができる株に突然変異または再集合し得る。
【0090】
HPAI A(H5N1)の高い致死率および毒性、その地域特有の存在、その次第に大きな保有宿主およびその飛躍的に起こっている変異のため、H5N1ウイルスは世界の最も大きい現在の大流行の脅威であり、H5N1の研究に、可能性のあるインフルエンザ大流行の準備に数十億ドルを費やしている。
【0091】
B型肝炎
B型肝炎は、ヒトを含むヒト上科の肝臓に影響し、肝炎と呼ばれる炎症を引き起こす、B型肝炎ウイルスにより引き起こされる疾患である。当初は“血清肝炎”として知られていた該疾患は、アジアおよびアフリカの一部において流行病を引き起こし、中国における地方病である。世界の人口の約1/3の20億人以上が、B型肝炎ウイルスに感染している。これは3億5000万のウイルスの慢性キャリアーを含む。B型肝炎ウイルスの伝達は、感染血液または血液を含む体液への暴露による。感染はワクチン接種により予防できる。
【0092】
ENGERIX−B
ENGERIX−B[B型肝炎ワクチン(組換え)]は、GlaxoSmithKline Biologicalsにより開発され、製造されている非感染の組換えDNAB型肝炎ワクチンである。それはB型肝炎ウイルスの表面抗原遺伝子を有する、遺伝的に加工されたサッカロマイセス・セレヴィシエ細胞を培養することにより得られたウイルスの精製された表面抗原を含む。サッカロマイセス・セレヴィシエ細胞に発現する表面抗原を、いくつかの物理化学的工程により精製し、水酸化アルミニウムに吸着する抗原の懸濁液として製剤化される。ENGERIX−Bは、B型肝炎ウイルスのすべての既知のサブタイプにより引き起こされる感染に対する免疫化に適用される。D型肝炎(デルタウイルスにより引き起こされる)はB型肝炎感染の非存在下で発症しないため、D型肝炎もENGERIX−Bワクチン接種により防止されることを期待することができる。
【0093】
野兎病菌
野兎病菌は、病原性の種のグラム陰性菌であり、ツラレミアまたは野兎病の原因物質である。野兎病菌は多くの小さい哺乳類、例えば、ハタネズミ、ウサギおよびマスクラット、ならびにヒトに感染することができる。それにもかかわらず、ツラレミアは、ヒトからヒトへの伝達を引き起こすことが示されていない。むしろ、ツラレミアは感染した動物またはベクター、例えば、ダニ、蚊およびメクラアブとの接触により引き起こされる。野兎病菌への感染はいくつかの経路を介して起こり得る。最も一般的には皮膚接触を介して起こり、潰瘍腺性形態の疾患を生じる。バクテリア−特に亜種野兎病菌の吸入は、致命的な肺炎ツラレミアとなる可能性がある。肺および潰瘍腺性形態のツラレミアがより一般的であるが、接種の他の経路が発見されており、汚染食品の消費による口腔咽頭感染および目での接種による結膜感染を含む。
【実施例】
【0094】
実施例
本明細書の実施例は、本発明を実施する種々の局面を例示することを意図し、本発明を多少なりとも限定する意図はない。
【0095】
実施例1
10−14日以内に解消される不応期は、静脈内投与を介するCLDCでの複数回投与に応答して観察される
CLDCの反復投与は、二次投与に対する不応期を示すことを示した。CD−1(n=5)マウスに、0日目に5μgのCLDCを静脈内投与し、次に5μgのCLDCを特定の日に第2のIV投与をした。血清を第2の投与の6時間後に回収し、免疫活性化をインターフェロン−γに対するELISAにより測定した。1、3および7日目で図1において見ることができるとおり、CLDCの第2の投与はより低い全身レベルのインターフェロン−γをもたらす。また、見ることができるとおり、全身インターフェロン−γは、10および14日目で低くないことは明白であった。したがって、CLDCのIV投与が第1のCLDC投与の1から7日以内に投与されたとき、インターフェロン−γ応答は抑制されるが、この抑制は10および14日目に無いことは明白であることを決定した。
【0096】
実施例2
静脈内投与を介するCLDCでの複数回投与に対する不応期は用量に依存している
さらなる試験は、最初の不応期の大きさが用量に依存していることを示した(図2)。CD−1マウスに、4つの漸増用量の1つのCLDCを0日目に静脈内に投与し、次に1日目に第2の10μgのIV投与をした。先天免疫活性化を、第2の投与6時間後に血清インターフェロン−γに対するELISAアッセイにより測定した。これらの試験は、CLDCによる不応期が用量に依存しているが、持続しないことを示した。
【0097】
実施例3
CLDCのIV投与1−7日後の抗原としての不活化ウイルスを含むアジュバント非含有ワクチン(HKx31インフルエンザウイルス)の投与は、増強された抗ウイルス抗体応答をもたらす
CD−1マウスに5μgのCLDCを0日目に静脈内に投与し、次に特定の日に5μgの熱−不活性化HKx31インフルエンザウイルスの皮下ワクチン接種をした。血清をワクチン接種21日後に回収し、免疫原性を血球凝集阻害力価(HAI)により測定した。図3に示されるとおり、CLDCの反復投与に非応答性にもかかわらず、CLDC/HKx31ワクチンの投与は抗−HKx31ワクチン応答の増加をもたらす。さらに、1、3および7日目に見られる増強された免疫原性は、実施例1において記載されている、および図1に示されている不応期データと逆相関しているようである。したがって、インターフェロンガンマレベルが図1のように抑制されたときにワクチンが投与されたにもかかわらず、ワクチンはこの不応期中に投与されたにもかかわらず、驚くべきことに免疫原的に応答する。
【0098】
実施例4
三価インフルエンザワクチン接種
CLDCのIV投与と同時または投与1−7日後の精製されたワクチン(三価インフルエンザワクチン−Fluzone(登録商標)、Sanofi Pasteur)の投与は増強された抗ウイルス抗体応答をもたらす
1つのグループのCD−1(n=5)マウスに5μgのCLDCを0日目に静脈内に投与し、次に特定の日に5μgのアジュバントCLDC含有Fluzone(登録商標)(Sanofi Pasteur)の皮下ワクチン接種をした。第2のグループのCD−1マウスに5μgのCLDCを0日目に静脈内に投与し、次に特定の日に5μgの付加的アジュバント非含有Fluzone(登録商標)(Sanofi Pasteur)の皮下ワクチン接種をした。第3の対照グループは、CLDCのIV前処置なしであるが、アジュバント含有またはアジュバント非含有Fluzone(登録商標)の皮下ワクチン接種を行った。血清をワクチン接種21日後に回収し、免疫原性を抗原としてFluzoneを使用してHAIにより測定した。図4に示されるとおり、増強された抗Fluzone(登録商標)免疫応答は、CLDCでのIV処置なしのものよりも約8倍高かった。また、示されるとおり、免疫原性の増強はIV処置によるCLDC、次にアジュバント非含有Fluzone(登録商標)を投与されたマウスにおいて観察されなかった。
【0099】
実施例5
アジュバント非含有インフルエンザA型ワクチンの投与前のCLDCでの全身前処置は、抗体応答の速さおよび強度を増加させる
CD−1(n=5)マウスに5μgのCLDCを全身的に投与し、次の日にアジュバント非含有インフルエンザA型ワクチンの皮下(SC)ワクチン接種をした。5μgの熱不活化A/HKx31インフルエンザウイルスをCLDCの全身投与の次の日に投与した。血清をワクチン接種後の特定の日に回収し、免疫原性を血球凝集阻害力価(HAI)により測定した。血清を回収し、ワクチン接種後3、7、14および21日目に試験した。図5に示されるとおり、CLDCの前処置動物において7から14日目に明らかに免疫原性の増加が起こった。しかし、免疫原性の増加は、対照動物において、約14日目まで、またはそれ以降起こらなかった。さらに、対照に対する免疫原性応答は、CLDCの前処置動物と比較して、全ての時点で減少していた。
【0100】
実施例6
ワクチン接種の増強は、ワクチン接種と同時または前に行うIV投与で最適化される
CD−1(n=5)マウスに5μgのCLDCを全身的に投与し、特定の日に5μgのFluzone+20μgのCLDC(25μgのアジュバントCLDC含有三価インフルエンザワクチン)の皮下ワクチン接種をした。マウスにCLDCの全身投与の前7、3もしくは1日目またはCLDCの全身投与と同時もしくは2日後のいずれかで、三価インフルエンザワクチンを投与した。血清をワクチン接種後21日目に回収し、免疫原性を血球凝集阻害力価(HAI)により測定した。図6に示されるとおり、CLDCの全身投与前のアジュバント含有三価インフルエンザワクチンの投与は免疫原性を増強させなかった。しかしながら、CLDCの全身投与と同時または後に投与されたとき、三価ワクチンで免疫化が増強された。
【0101】
実施例7
ワクチン接種の増強は、ワクチン投与の多数の経路で起こすことができる
CD−1(n=5)マウスに5μgのCLDCを全身的に投与し、次に特定の日にアジュバント非含有インフルエンザA型ワクチンの筋肉内(IM)ワクチン接種をした。5μgの熱不活化A/HKx31インフルエンザウイルスを、間隔無し/同時に、または1、3もしくは7日目に投与した。血清をワクチン接種後21日目に回収し、免疫原性を血球凝集阻害力価(HAI)により測定した。図7に示されるとおり、CLDC/HKx31ワクチンのIM投与は、抗−HKx31ワクチン応答の増加をもたらした。さらに、それぞれの時点で見られた増強された免疫原性はIMワクチン接種が免疫原性を増強することを示し、図3で示される実施例3の結果と組み合わせて、CLDCの全身IV投与と同時または後に投与されるとき、ワクチンのSCまたはIM投与のいずれかで免疫化が増強されることを示す。
【0102】
実施例8
CLDCの前処置の投与経路試験
CD−1(n=5)マウスに20μgのCLDCの筋肉内(IM)または皮下(SC)投与で前処置し、次に特定の日にアジュバント非含有インフルエンザA型ワクチンのSCワクチン接種をした。5μgの熱不活化A/HKx31インフルエンザウイルスを間隔無し/同時に、または1、3もしくは7日目に投与した。血清をワクチン接種後21日目に回収し、免疫原性を血球凝集阻害力価(HAI)により測定した。図8aおよび8bにおいて示されているとおり、SCまたはIMでのCLDCと同時投与または前処置が免疫原性を増強させた。以下の実施例は、CLDCの投与経路が増強された免疫原性効果の創造に重要であることを証明する。
【0103】
実施例9
CLDCの全身前処置は、メタシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)に対するワクチン接種応答を増強する
CD−1(n=5)マウスに5μgのCLDCを静脈内に投与し、次の日に5μgのrA1s3p−Nタンパク質+20μgのCLDCの筋肉内ワクチン接種をした。対照動物にCLDCの代わりに等容積の5%のデキストロース溶液を静脈内に投与し、次に5μgのrA1s3p−Nタンパク質+20μgのCLDCの筋肉内ワクチン接種をした。血清をワクチン接種後21日目に回収し、免疫原性をELISA抗体力価により測定し、EC50をPrism softwareで計算した。図9に示されるとおり、EC50により測定される増強された免疫応答は、CLDCでのIV処置なしの対照よりも約6−8倍高かった。
【0104】
実施例10
CLDCの全身前処置は、“鳥インフルエンザ”H5N1 Aに対するワクチン接種応答を増強する
CD−1(n=5)マウスに5μgのCLDCを静脈内に投与し、次の日に1.5μgのH5N1+20μgのCLDCの筋肉内ワクチン接種をした。対照動物にCLDCの代わりに等容積の5%のデキストロース溶液を静脈内に投与し、次に1.5μgのH5N1+20μgのCLDCの筋肉内ワクチン接種をした。血清をワクチン接種後21日目に回収し、免疫原性を血球凝集阻害力価(HAI)により測定した。図10に示されるとおり、マウスは対照よりも2倍の改善を示し、さらにスプリットインフルエンザワクチン(季節性および流行性)がHLDCの全身前処置により増強され得ることを証明する。
【0105】
実施例11
CLDCの全身前処置は、B型肝炎表面抗原に対するワクチン接種応答を増強する
CD−1(n=5)マウスに5μgのCLDCを静脈内に投与し、次の日に2μgのEngerix+20μgのCLDCの筋肉内ワクチン接種をした。対照動物にCLDCの代わりに等容積の5%のデキストロース溶液を静脈内に投与し、次に2μgのEngerix+20μgのCLDCの筋肉内ワクチン接種をした。血清をワクチン接種後21日目に回収し、免疫原性を血球凝集阻害力価(HAI)により測定し、EC50をPrism softwareにて計算した。図11に示されるとおり、EC50により測定される増強された免疫応答は、CLDCでのIV処置なしの対照よりも約6−8倍高かった。使用されるワクチンは、Merckにより製造されたミョウバンアジュバントを含むEngerix−B B型肝炎表面抗原ワクチンであった。上記試験は、CLDCの全身投与がミョウバン−アジュバント含有ワクチンを増強するために使用することができるという、第1の点;ワクチンと共に投与されるCLDCは、アジュバント含有ワクチンと共にアジュバントとして使用することができるという、第2の点;およびCLDCの全身投与が肝炎ワクチンの免疫原性を増強するために使用することができるという、第3の点を証明する。
【0106】
実施例12
CLDCの全身前処置は、メタシリン耐性フランシセラツラレミアLVS多糖類に対するワクチン接種応答を増強する
CD−1(n=5)マウスに5μgのCLDCを静脈内に投与し、次の日に5μgのFT−LVS+20μgのCLDCの筋肉内ワクチン接種をした。対照動物にCLDCの代わりに等容積の5%のデキストロース溶液を静脈内に投与し、次に5μgのFT−LVS+20μgのCLDCの筋肉内ワクチン接種をした。血清をワクチン接種後21日目に回収し、免疫原性を血球凝集阻害力価(HAI)により測定し、EC50をPrism softwareにて計算した。図12に示されるとおり、EC50により測定される増強された免疫応答は、CLDCでのIV処置なしの対照よりも約6−8倍高かった。使用されるワクチンは、アジュバントCLDC含有フランシセラツラレミアLVS多糖類ワクチンであった。力価結果は、単糖およびリポ多糖抗原の免疫原性を増強する、さらに具体的には野兎病ワクチンの免疫原性を増強する、CLDCの全身前処置の一般的な能力を証明する。
【0107】
本明細書に引用されている特許、特許出願および刊行物を含む全ての文献は、前記で具体的に包含すると述べている、または、述べていないに関わらず、それらの全体を出典明示により本明細書に包含させる。
【0108】
本発明は上記実施例を基準に記載したが、修飾および変化が本発明の精神および権限の範囲内に含まれることは理解されるべきである。したがって、本発明は特許請求の範囲のみにより限定される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
治療有効量のカチオン性脂質DNA複合体(CLDC)を哺乳類、魚類または鳥類に投与し;
治療有効量のアジュバント含有またはアジュバント非含有ワクチンを哺乳類、魚類または鳥類に投与する;
ことを含む哺乳類、魚類または鳥類における免疫応答を誘発するための方法であって、
該CLDCは静脈内、腹腔内、吸入または卵内経路を介して投与され;
該ワクチンは静脈内、皮下、筋肉内、鼻腔内または卵内経路を介して投与され;そして
該ワクチンは該CLDC投与と同時または投与後0−7日に投与される方法。
【請求項2】
免疫応答が増強された抗原特異的な免疫応答である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
該アジュバント含有ワクチンが1種以上の以下のアジュバント:カチオン性脂質DNA複合体(CLDC)、ミョウバン、モノホスホリルリピドA(MPL)、QS21またはCpGオリゴヌクレオチド(CPG−ODN)を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
該アジュバントがCLDCのみを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
該ワクチンが自己免疫疾患、癌、アレルギー性炎症または感染症の処置のために投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
該ワクチンが不活化インフルエンザA型ウイルス、不活化三価インフルエンザワクチン、スプリットインフルエンザワクチン、グリコシル化タンパク質、B型肝炎ワクチンまたはリポ多糖を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
該ワクチンが不活化インフルエンザA型ウイルスを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
該不活化インフルエンザウイルスがHKx31である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
該ワクチンが不活化三価インフルエンザワクチンである、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
該ワクチンがアジュバント含有である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
該ワクチンがグリコシル化タンパク質を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項12】
該グリコシル化タンパク質ワクチンがメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)に対するものである、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
該グリコシル化タンパク質がA1s3p−Nタンパク質である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
該ワクチンがスプリットインフルエンザワクチンである、請求項6に記載の方法。
【請求項15】
該スプリットインフルエンザワクチンがH5N1スプリットワクチンである、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
該ワクチンがB型肝炎表面抗原を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項17】
該ワクチンがCLDCおよびミョウバンを有するアジュバント含有である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
該リポ多糖がフランシセラ(Francisella)多糖類である、請求項6に記載の方法。
【請求項19】
該リポ多糖がフランシセラツラレミア(tularemia)LVS多糖類である、請求項6に記載の方法。
【請求項20】
哺乳類における免疫応答を誘発するためである請求項1に記載の方法であって:
治療有効量のCLDCを哺乳類の静脈内に投与し;
治療有効量のアジュバント含有またはアジュバント非含有ワクチンを哺乳類の筋肉内または皮下に投与し;
該ワクチンを該CLDC投与と同時または投与後0−7日に投与することを含む方法。
【請求項21】
該ワクチンが自己免疫疾患、癌、アレルギー性炎症または感染症の処置のために投与される、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
該ワクチンが原発性肺癌、転移性肺疾患、アレルギー性喘息およびウイルス疾患の予防および処置のために投与される、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
該ワクチンが不活化インフルエンザA型ウイルス、不活化三価インフルエンザワクチン、スプリットインフルエンザワクチン、グリコシル化タンパク質、B型肝炎ワクチンまたはリポ多糖を含む、請求項20に記載の方法。
【請求項24】
該アジュバント含有ワクチンが1種以上の以下のアジュバント:カチオン性脂質DNA複合体(CLDC)、ミョウバン、モノホスホリルリピドA(MPL)、QS21またはCpGオリゴヌクレオチド(CPG−ODN)を含む、請求項20に記載の方法。
【請求項25】
該アジュバントがCLDCのみを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項26】
免疫応答が増強された抗原特異的な免疫応答である、請求項20に記載の方法。
【請求項27】
疾患状態を有する哺乳類、魚類または鳥類を処置する方法であって、該免疫応答が以下により刺激されるものであり:
治療有効量のカチオン性脂質DNA複合体(CLDC)を哺乳類、魚類または鳥類に投与し;
治療有効量のアジュバント含有またはアジュバント非含有ワクチンを哺乳類、魚類または鳥類に投与すること;
該CLDCは静脈内、腹腔内、吸入または卵内経路を介して投与され;そして
該ワクチンは静脈内、皮下、筋肉内、鼻腔内または卵内経路を介して投与され、そして、該ワクチンは該カチオン性脂質DNA複合体(CLDC)と同時、または該カチオン性脂質DNA複合体(CLDC)後0−7日に投与される方法。
【請求項28】
該疾患状態が自己免疫性疾患、癌、アレルギー性炎症または感染病である、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
該方法が原発性肺癌、転移性肺疾患、アレルギー性喘息またはウイルス疾患の処置のためである、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
該ワクチンが不活化インフルエンザA型ウイルス、不活化三価インフルエンザワクチン、スプリットインフルエンザワクチン、グリコシル化タンパク質、B型肝炎ワクチンまたはリポ多糖を含む、請求項27に記載の方法。
【請求項31】
該アジュバント含有ワクチンが1種以上の以下のアジュバント:カチオン性脂質DNA複合体(CLDC)、ミョウバン、モノホスホリルリピドA(MPL)、QS21またはCpGオリゴヌクレオチド(CPG−ODN)を含む、請求項27に記載の方法。
【請求項32】
該アジュバントがCLDCのみである、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
哺乳類、魚類または鳥類に対して治療有効量のカチオン性脂質DNA複合体(CLDC)を含む第1の投与する物(administrator);
哺乳類、魚類または鳥類に対して治療有効量のアジュバント含有またはアジュバント非含有ワクチンを含む第2の投与する物;および
指示書を含むキット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公表番号】特表2011−515490(P2011−515490A)
【公表日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−502032(P2011−502032)
【出願日】平成21年3月25日(2009.3.25)
【国際出願番号】PCT/US2009/038307
【国際公開番号】WO2009/120811
【国際公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【出願人】(510257503)ジュバリス・バイオセラピューティクス・インコーポレイテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】Juvaris Biotherapeutics, Inc.
【Fターム(参考)】