説明

カチオン電着塗料組成物

【課題】合金化溶融亜鉛メッキ鋼板上の電着塗装適性が良好で、カチオン電着塗膜の仕上り性や防食性に優れるカチオン電着塗料組成物を提供する。
【解決手段】アミノ基含有変性エポキシ樹脂(A)と特定のフェノール性水酸基含有樹脂(B)及びブロック化ポリイソシアネート硬化剤(C)を含み、上記成分(A)、(B)及び(C)の固形分合計質量を基準にして、成分(A)を20〜75質量%、成分(B)を5〜50質量%、そして成分(C)を10〜40質量%含有することを特徴とするカチオン電着塗料組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、合金化溶融亜鉛メッキ鋼板上の電着塗装適性、カチオン電着塗膜の仕上り性、特に、乾燥膜厚15μmの仕上り性及び防食性に優れるカチオン電着塗料組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
カチオン電着塗料は、塗装作業性が優れ、形成した塗膜の防食性が良好なことから、これらの性能が要求される自動車ボディ等の導電性金属製品の下塗り塗料として広く使用されている。
【0003】
カチオン電着塗料を用いた電着塗装は、袋部、隙間部等の内板膜厚を維持して防食性を確保し、さらに外板膜厚の適正化・均一化(例えば、仕上り性や防食性が重視される部位の膜厚を確保する)を図ることによって、自動車ボディの品質向上や低コスト化につなげることが試みられている。
【0004】
しかし、従来からのカチオン電着塗料を電着塗装して得られた塗膜においては、膜厚が20μmから15μmに低下すると、下地の凹凸や熱フロー性の低下に伴って仕上り性が低下することがあった。また、目的で塗膜中の可塑成分を多量に使用して加熱乾燥時の熱フロー性を上げて仕上り性を向上させると、防食性が低下する傾向があった。このような背景から、電着塗膜の乾燥膜厚15μmの仕上り性と防食性との両立が困難だった。
【0005】
このような背景から複雑な袋部や隙間部を有する被塗物において、合金化溶融亜鉛メッキ鋼板上の電着塗装適性が良好で、カチオン電着塗膜の仕上り性、特に、電着塗膜の乾燥膜厚15μmの仕上り性や防食性に優れる、カチオン電着塗料を見い出すことが求められていた。
【0006】
これに対し、特許文献1では、カチオン電着塗料の電着塗装時において、塗膜の析出開始に必要な電気量が100〜400C/mであること、単位膜厚当たりの分極抵抗値が50〜300kΩ・cm/μmであることを特徴とする塗膜形成方法において種々の樹脂成分の検討がなされている。
【0007】
他に、特許文献2では、カルボキシル基含有ポリエステル樹脂、架橋剤に対して、防食性の向上を目的としてレゾール型フェノール樹脂を含有するアニオン電着塗料組成物が開示されている。
これらの知見によれば、電着塗膜の仕上り性、特に、電着塗膜の乾燥膜厚15μmの仕上り性や防食性を得るには不十分であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2003−306796号公報
【特許文献2】特開2007−302792号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明が解決しようとする課題は、合金化溶融亜鉛メッキ鋼板上の電着塗装適性、カチオン電着塗膜の仕上り性、特に、電着塗膜の乾燥膜厚15μmの仕上り性及び防食性が良好となる塗料組成物塗装物品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
発明者等は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、アミノ基含有変性エポキシ樹脂(A)、フェノール性水酸基含有樹脂(B)及びブロック化ポリイソシアネート硬化剤(C)を含み、上記成分(A)、(B)及び(C)の固形分合計質量を基準にして、成分(A)を20〜75質量%、成分(B)を5〜50質量%、そして成分(C)を10〜40質量%含有することを特徴とするカチオン電着塗料組成物によって、上記課題の解決が達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
即ち、本発明は、以下の項を提供する:
項1.アミノ基含有変性エポキシ樹脂(A)、フェノール性水酸基含有樹脂(B)及び ブロック化ポリイソシアネート硬化剤(C)を含み、
上記成分(A)、(B)及び(C)の固形分合計質量を基準にして、成分(A)を20〜75質量%、成分(B)を5〜50質量%、そして成分(C)を10〜40質量%含有する、カチオン電着塗料組成物であって、
当該フェノール性水酸基含有樹脂(B)が、
ジエポキシ化合物(b11)及び/又はエポキシ当量170〜500のエポキシ樹脂(b12)と、
ビスフェノール化合物(b13)とを、
[ジエポキシ化合物(b11)及びエポキシ樹脂(b12)におけるエポキシ基]/[ビスフェノール化合物(b13)のフェノール基]の当量比=0.5〜0.85で反応させて得られるものであり、
当該ジエポキシ化合物(b11)が、
一般式(1):
【0012】
【化1】

【0013】
[式(1)中、Rは、同一又は異なって、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を示し、アルキレンオキシド構造部分の繰り返し単位の数である、m及びnはm+n=1〜20となる整数を示す。]
で表される化合物(1)及び/又は一般式(2)
【0014】
【化2】

【0015】
[式(2)中、Rは、同一又は異なって、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を示し、Xは1〜9の整数を示し、Yは1〜50の整数を示す。]
で表される化合物(2)である、カチオン電着塗料組成物。
【0016】
項2.アミノ基含有変性エポキシ樹脂(A)が、エポキシ当量500〜2500の変性エポキシ樹脂(A11)とアミン化合物(A12)とを反応させてなるアミノ基含有変性エポキシ樹脂(A1)であって、
変性エポキシ樹脂(A11)がジエポキシ化合物(b11)、エポキシ当量170〜500のエポキシ樹脂(b12)、及びビスフェノール化合物(b13)を反応させて得られる樹脂である請求項1に記載のカチオン電着塗料組成物。
【0017】
項3.変性エポキシ樹脂(A11)が、前記ジエポキシ化合物(b11)、前記エポキシ樹脂(b12)及び前記ビスフェノール化合物(b13)を、これらの固形分合計質量を基準にして、ジエポキシ化合物(b11)を1〜35質量%、エポキシ樹脂(b12)を10〜80質量%、ビスフェノール化合物(b13)を10〜60質量%含む請求項1又は2に記載のカチオン電着塗料組成物。
【0018】
項4.フェノール性水酸基含有樹脂(B)及び変性エポキシ樹脂(A11)の原料として用いるジエポキシ化合物(b11)の一般式(1)又は一般式(2)におけるRがメチル基又は水素原子である請求項2に記載のカチオン電着塗料組成物。
【0019】
項5.請求項1〜4のいずれか1項に記載のカチオン電着塗料組成物を電着塗料浴として、これに合金化溶融亜鉛メッキ鋼板を含む金属被塗物を浸漬し、電着塗装して得られる塗装物品。
【発明の効果】
【0020】
本発明のカチオン電着塗料組成物は、合金化溶融亜鉛メッキ鋼板上の電着塗装適性、仕上り性、特に、電着塗膜の乾燥膜厚15μmの仕上り性や防食性に優れる塗装物品を提供できる。
【0021】
詳細には、1.本発明のカチオン電着塗料は、アミノ基含有変性エポキシ樹脂(A)とフェノール性水酸基含有樹脂(B)とが相溶性に優れる為、金属被塗物との密着性に優れる。このことから電着塗膜の乾燥膜厚15μmの仕上り性と防食性に優れる塗装物品を提供できる。
【0022】
2.ジエポキシ化合物(b11)を用いたアミノ基含有変性エポキシ樹脂(A1)は、可塑性をエポキシ樹脂骨格に付与できる為、合金化溶融亜鉛メッキ鋼板上の電着塗装適性と仕上り性、特に乾燥膜厚15μmの仕上り性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】つきまわり性試験に用いる「4枚ボックスつきまわり性試験用治具」のモデル図である。
【図2】つきまわり性試験における電着塗装状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明は、アミノ基含有変性エポキシ樹脂(A)、特定のフェノール性水酸基含有樹脂(B)及びブロック化ポリイソシアネート硬化剤(C)を含み、上記成分(A)、(B)及び(C)の固形分合計質量を基準にして、成分(A)を20〜75質量%、成分(B)を5〜50質量%、そして成分(C)を10〜40質量%含有するカチオン電着塗料組成物である。
以下、詳細に述べる。
【0025】
[アミノ基含有変性エポキシ樹脂(A)]
本発明のカチオン電着塗料組成物におけるアミノ基含有変性エポキシ樹脂(A)は、エポキシ樹脂にアミン化合物を付加させることにより得られ、当該エポキシ樹脂としては、塗膜の防食性等の観点から、特に、耐食性の点からポリフェノール化合物とエピハロヒドリンとの反応により得られるエポキシ樹脂が好適である。
【0026】
上記エポキシ樹脂を生成させるために用いることができるポリフェノール化合物としては、従来から用いられているものと同様のものが使用でき、例えば、
ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2,2−プロパン(ビスフェノールA)、4,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン(ビスフェノールF)、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1−エタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1−イソブタン、ビス(4−ヒドロキシ−tert−ブチル−フェニル)−2,2−プロパン、ビス(2−ヒドロキシナフチル)メタン、テトラ(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,2,2−エタン、4,4−ジヒドロキシジフェニルスルホン(ビスフェノールS)、フェノールノボラック、クレゾールノボラック等が挙げられる。
【0027】
また、ポリフェノール化合物とエピクロルヒドリンとの反応によって得られるエポキシ樹脂としては、特に、ビスフェノールAから誘導される下記式(3)
【0028】
【化3】

【0029】
[式(3)中、pは0〜8が好適である。]で示されるものが好適である。
【0030】
上記エポキシ樹脂は、180〜2,500、好ましくは200〜2,000の範囲のエポキシ当量を有することができ、また、400〜4,000、好ましくは800〜2,500の範囲の数平均分子量を有するものが適している。
かかるエポキシ樹脂の市販品としては、例えば、ジャパンエポキシレジン(株)からjER828EL、jER1002、jER1004、jER1007等の商品名で販売されているものが挙げられる。
【0031】
前記アミン化合物は、エポキシ樹脂にアミノ基を導入して、エポキシ樹脂をカチオン化するためのカチオン性付与成分であり、エポキシ基と反応する活性水素を少なくとも1個含有するものが用いられる。
【0032】
そのような目的で使用されるアミン化合物としては、例えば、モノメチルアミン、ジメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、モノイソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、モノブチルアミン、ジブチルアミン等のモノ−、もしくはジ−アルキルアミン;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノ(2−ヒドロキシプロピル)アミン、ジ(2−ヒドロキシプロピル)アミン、モノメチルアミノエタノール、モノエチルアミノエタノール等のアルカノールアミン;エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ブチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、ジエチルアミノプロピルアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン等のアルキレンポリアミン及びこれらのポリアミンのケチミン化物;エチレンイミン、プロピレンイミン等のアルキレンイミン;ピペラジン、モルホリン、ピラジン等の環状アミン等が挙げられる。これら上記のアミンのうち、1級アミンをケチミン化したアミンも併せて用いることができる。
【0033】
さらに、アミノ基含有変性エポキシ樹脂(A)の中でも、特定のアミノ基含有変性エポキシ樹脂(A1)を用いることによって、電着塗膜の乾燥膜厚15μmの仕上り性や防食性に優れた性能を得ることができる。以下、詳細に述べる。
【0034】
[アミノ基含有変性エポキシ樹脂(A1)]
本願明細書において、アミノ基含有変性エポキシ樹脂(A1)とは、後述する特定の樹脂成分を反応させて得られるエポキシ当量500〜2500の変性エポキシ樹脂(A11)とアミン化合物(A12)とを反応させてなるものを示す。なお該変性エポキシ樹脂(A11)は、仕上り性、特に乾燥膜厚15μmの仕上り性向上の点から好適である。
【0035】
エポキシ当量500〜2500の変性エポキシ樹脂(A11):
エポキシ当量500〜2500の変性エポキシ樹脂(A11)は、特定のジエポキシ化合物(b11)、エポキシ当量170〜500のエポキシ樹脂(b12)及びビスフェノール化合物(b13)を反応させて得られる樹脂である。
【0036】
ジエポキシ化合物(b11):
ジエポキシ化合物(b11)として、一般式(1)で表される化合物(1)を用いることができる。
【0037】
化合物(1)
【0038】
【化4】

【0039】
[式(1)中、Rは、同一又は異なって、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を示し、
アルキレンオキシド構造部分の繰り返し単位の数である、m及びnはm+n=1〜20となる整数を示す]
化合物(1)の製造は、ビスフェノールAに、下記式(4):
【0040】
【化5】

【0041】
[式(4)中、Rは水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を示す]
で示されるアルキレンオキシドを付加させてヒドロキシル末端のポリエーテル化合物を得た後、
該ポリエーテル化合物とエピハロヒドリンとを反応させてジエポキシ化することにより製造することができる。
【0042】
ここで上記式(4)のアルキレンオキシドとしては、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド等の炭素数2〜8のアルキレンオキシドが挙げられる。
【0043】
この中でも、エチレンオキシド(式(4)において、対応するR(式(1)におけるRに対応)が水素原子である化合物)、及びプロピレンオキシド(式(4)において、対応するR(式(1)におけるRに対応)がメチル基である化合物)が好適である。
【0044】
化合物(2):
また、ジエポキシ化合物(b11)として、一般式(2)で表される化合物(2)を用いることができる。
【0045】
【化6】

【0046】
[式(2)中、Rは、同一又は異なって、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を示し、Xは1〜9となる整数を示し、Yは1〜50となる整数を表す]
本発明において、Yが2以上の場合、各アルキレンオキシド単位に含まれるXは、同一でも異なっていてもよい。
【0047】
化合物(2)の製造は、アルキレングリコールを出発原料として、前記式(4)のアルキレンオキシドを開環重合させることによりヒドロキシル末端のポリアルキレンオキシドを得た後、次いで、該ポリアルキレンオキシドにエピハロヒドリンを反応させてジエポキシ化する方法(1);が挙げられる。
又は、下記式(5)
【0048】
【化7】

【0049】
[式(5)中、Rは水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を示し、Xは1〜9の整数を示す]
で示されるアルキレングリコール又は該アルキレングリコール分子2個以上を脱水縮合させることにより得られるポリエーテルジオールに、エピハロヒドリンを反応させてジエポキシ化する方法(2);が挙げられる。
【0050】
ここで使用される上記式(5)のアルキレングリコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,10−デカンジオール等の炭素数2〜10のアルキレングリコールが挙げられる。
【0051】
上記一般式(1)又は一般式(2)で表されるジエポキシ化合物(b11)としては、デナコールEX−850、EX−821、EX−830、EX−841、EX−861、EX−941、EX−920、EX−931(ナガセケムテックス株式会社)、グリシエールPP−300P、BPP−350(三洋化成工業株式会社)等が挙げられる。また、ジエポキシド化合物(b11)として、化合物(1)と化合物(2)とを混合して用いることもできる。
【0052】
エポキシ当量170〜500のエポキシ樹脂(b12):
エポキシ当量500〜2500の変性エポキシ樹脂(A11)の製造に用いるエポキシ樹脂(b12)は、一般式(1)で表される化合物(1)又は一般式(2)で表される化合物(2)のジエポキシド化合物(b11)以外の1分子中にエポキシ基を2個以上有する化合物であり、340〜1,500、さらに好ましくは340〜1,000の「数平均分子量」、及び170〜500、さらに好ましくは170〜400の範囲内の「エポキシ当量」を有するものが適しており、特に、ポリフェノール化合物とエピハロヒドリンとの反応によって得られるものが好ましい。
【0053】
ここで「数平均分子量」は、JIS K 0124−83に記載の方法に準じ、ゲルパーミエーションクロマトグラフで測定したクロマトグラムから標準ポリスチレンの分子量を基準にして算出した値である。ゲルパーミエーションクロマトグラフは、「HLC8120GPC」(東ソー社製)を使用した。カラムとしては、「TSKgel G−4000HXL」、「TSKgel G−3000HXL」、「TSKgel G−2500HXL」、「TSKgel G−2000HXL」(いずれも東ソー(株)社製、商品名)の4本を用い、移動相;テトラヒドロフラン、測定温度;40℃、流速;1ml/分、検出器;RIの条件で行ったものである。
【0054】
該エポキシ樹脂の形成のために用いられるポリフェノール化合物としては、例えば、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2,2−プロパン[ビスフェノールA]、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン[ビスフェノールF]、ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)メタン[水添ビスフェノールF]、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン[水添ビスフェノールA]、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1−エタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1−イソブタン、ビス(4−ヒドロキシ−2もしくは3−tert−ブチル−フェニル)−2,2−プロパン、ビス(2−ヒドロキシナフチル)メタン、テトラ(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,2,2−エタン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、フェノールノボラック、クレゾールノボラック等を挙げることができる。
【0055】
また、ポリフェノール化合物とエピクロルヒドリンとの反応によって得られるエポキシ樹脂としては、中でも、ビスフェノールAから誘導される下記式(6)
【0056】
【化8】

【0057】
[式(6)中、qは、0〜2を示す]
で示されるものが好適である。
【0058】
かかるエポキシ樹脂の市販品としては、例えば、ジャパンエポキシレジン(株)からjER828EL、jER1001なる商品名で販売されているものが挙げられる。
【0059】
ビスフェノール化合物(b13):
ビスフェノール化合物(b13)には、下記一般式(7)
【0060】
【化9】

【0061】
[式(7)中、R及びRはそれぞれ水素原子、又は炭素数1〜6のアルキル基を表し、R、R、R、R10、R11、R12、R13及びR14はそれぞれ水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を表す]
で示される化合物が包含される。具体的には、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2,2−プロパン[ビスフェノールA]、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン[ビスフェノールF]が挙げられる。
【0062】
なおエポキシ当量500〜2,500の変性エポキシ樹脂(A11)の製造は、通常、ジエポキシ化合物(b11)とエポキシ当量170〜500のエポキシ樹脂(b12)とビスフェノール化合物(b13)を混合し、適宜、反応触媒として、ジメチルベンジルアミン、トリブチルアミンのような3級アミン、テトラエチルアンモニウムブロマイド、テトラブチルアンモニウムブロマイドのような4級アンモニウム塩等の存在下、反応温度としては80〜200℃、好ましくは90〜180℃、反応時間として1〜6時間、好ましくは1〜5時間行うことができる。
【0063】
上記の変性エポキシ樹脂(A11)の製造方法としては、以下の1〜3の方法が挙げられる。
【0064】
方法1.ジエポキシ化合物(b11)、エポキシ当量170〜500のエポキシ樹脂(b12)、及びビスフェノール化合物(b13)をすべて混合し反応させてエポキシ当量500〜2,500の変性エポキシ樹脂(A11)を得る方法;
方法2.ジエポキシ化合物(b11)とビスフェノール化合物(b13)とを反応させて反応物を得た後、次に該反応物にエポキシ当量170〜500のエポキシ樹脂(b12)を混合し、反応させてエポキシ当量500〜2,500の変性エポキシ樹脂(A11)を得る方法;
方法3.エポキシ当量170〜500のエポキシ樹脂(b12)とビスフェノール化合物(b13)とを反応させて反応物を得た後、次に該反応物にジエポキシ化合物(b11)を混合し、反応させてエポキシ当量500〜2,500の変性エポキシ樹脂(A11)を得る方法;等が挙げられる。なお反応状態は、エポキシ価によって追跡することができる。
【0065】
上記の変性エポキシ樹脂(A11)の製造における各成分の配合割合としては、該変性エポキシ樹脂(A11)の構成成分であるジエポキシ化合物(b11)、エポキシ当量170〜500のエポキシ樹脂(b12)及びビスフェノール化合物(b13)の固形分合計質量を基準にして、ジエポキシ化合物(b11)を1〜35質量%、好ましくは2〜30質量%含有することが、アミノ基含有変性エポキシ樹脂(A)の水分散性に優れ、かつ合金化溶融亜鉛メッキ鋼板上の電着塗装適性、カチオン電着塗膜の仕上り性、特に、乾燥膜厚が15μmでの仕上り性向上の為に好ましい。
【0066】
さらに、エポキシ当量170〜500のエポキシ樹脂(b12)が10〜80質量%、好ましくは15〜75質量%、ビスフェノール化合物(b13)が10〜60質量%、好ましくは15〜50質量%であることが、合金化溶融亜鉛メッキ鋼板上の電着塗装適性に優れ、カチオン電着塗膜の仕上り性や防食性、特に、乾燥膜厚が15μmでの仕上り性及び防食性に優れる為に好ましい。
【0067】
上記の製造に適宜、有機溶剤を用いることができ、例えば、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、n−ヘキサン等の炭化水素系溶剤;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルアミルケトン等のケトン系溶剤;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド系溶剤;メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール等のアルコール系溶剤;フェニルカルビノール、メチルフェニルカルビノール等の芳香族アルキルアルコール系溶剤;エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル等のエーテルアルコール系化合物あるいはこれらの混合物等が挙げられる。
【0068】
アミン化合物(A12):
アミノ基含有変性エポキシ樹脂(A1)は、変性エポキシ樹脂(A11)にアミン化合物(A12)を付加反応させることにより製造することができる。また、アミン化合物(A12)は、前記アミン化合物と同様のアミン化合物を用いることができる。
【0069】
ここで、変性エポキシ樹脂(A11)にアミン化合物(A12)との付加反応における各成分の使用割合は、厳密に制限されるものではなく、電着塗料組成物の用途等に応じて適宜変えることができるが、アミノ基含有変性エポキシ樹脂(A1)の製造における変性エポキシ樹脂(A11)とアミン化合物(A12)の合計固形分質量を基準にして、変性エポキシ樹脂(A11)が70〜98質量%、好ましくは75〜96質量%、アミン化合物(A12)が2〜30質量%、好ましくは4〜25質量%である。
【0070】
なお上記の付加反応は、通常、適当な溶媒中で、80〜170℃、好ましくは90〜150℃の温度で1〜6時間、好ましくは1〜5時間行う。上記反応における溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、n−ヘキサン等の炭化水素系溶媒;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルアミルケトン等のケトン系溶媒;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド系溶媒;メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール等のアルコール系溶媒;フェニルカルビノール、メチルフェニルカルビノール等の芳香族アルキルアルコール系溶媒;エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル等のエーテルアルコール系化合物あるいはこれらの混合物等が挙げられる。
【0071】
[フェノール性水酸基含有樹脂(B)]
本発明のカチオン電着塗料組成物には、防食性と仕上り性、特に、乾燥膜厚15μmでの防食性と仕上り性向上を目的として、フェノール性水酸基含有樹脂(B)を配合する。
【0072】
フェノール性水酸基含有樹脂(B)は、前記ジエポキシ化合物(b11)及び/又は前記エポキシ当量170〜500のエポキシ樹脂(b12)と、ビスフェノール化合物(b13)とを、[ジエポキシ化合物(b11)及びエポキシ樹脂(b12)におけるエポキシ基]/[ビスフェノール化合物(b13)のフェノール基]の当量比=0.5〜0.85、好ましくは0.5〜0.83、さらに好ましくは0.5〜0.8で反応させてなる樹脂である。
【0073】
ここで、ジエポキシ化合物(b11)とは、前述したように、前記一般式(1)で表される化合物(1)及び/又は前記一般式(2)で表される化合物(2)を示す。
【0074】
ジエポキシ化合物(b11)、前記エポキシ当量170〜500のエポキシ樹脂(b12)及びビスフェノール化合物(b13)は、それぞれ、アミノ基含有変性エポキシ樹脂(A1)の説明において記載したのと同様のものを用いることができる。
【0075】
なおフェノール性水酸基含有樹脂(B)の製造は、通常、ジエポキシ化合物(b11)及び/又はエポキシ当量170〜500のエポキシ樹脂(b12)と、ビスフェノール化合物(b13)とを混合し、適宜、反応触媒として、ジメチルベンジルアミン、トリブチルアミンのような3級アミン、テトラエチルアンモニウムブロマイド、テトラブチルアンモニウムブロマイドのような4級アンモニウム塩等の反応触媒の存在下、反応温度としては80〜200℃、好ましくは90〜180℃、反応時間として1〜6時間、好ましくは1〜5時間反応することによって得ることができる。
【0076】
このようにして得られたフェノール性水酸基含有樹脂(B)は、フェノール性水酸基価20〜112mgKOH/g、好ましくは25〜110mgKOH/g、数平均分子量800〜7,000、好ましくは900〜5,000を有することが、仕上り性や防食性、特に乾燥膜厚15μmでの仕上り性と防食性向上のためにも好ましい。
【0077】
[ブロック化ポリイソシアネート硬化剤(C)]
本発明のカチオン電着塗料組成物は、前述のアミノ基含有変性エポキシ樹脂(A)及びフェノール性水酸基含有樹脂(B)に、ブロック化ポリイソシアネート硬化剤(C)を組合せて使用することにより、熱硬化性のカチオン電着塗料とすることができる。
【0078】
上記のブロック化ポリイソシアネート硬化剤(C)は、ポリイソシアネート化合物とイソシアネートブロック剤とのほぼ化学理論量での付加反応生成物である。ブロック化ポリイソシアネート硬化剤(C)で使用されるポリイソシアネート化合物としては、公知のものを使用することができ、例えば、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−2,2’−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−2,4’−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、クルードMDI[ポリメチレンポリフェニルイソシアネート]、ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、メチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等の芳香族、脂肪族又は脂環族ポリイソシアネート化合物;これらのポリイソシアネート化合物の環化重合体又はビゥレット体;又はこれらの組合せを挙げることができる。
【0079】
特に、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−2,4’−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、クルードMDI等の芳香族ポリイソシアネート化合物が防食性の為により好ましい。
【0080】
一方、前記イソシアネートブロック剤は、ポリイソシアネート化合物のイソシアネート基に付加してブロックするものであり、そして付加によって生成するブロックポリイソシアネート化合物は常温において安定であるが、塗膜の焼付け温度(通常約100〜約200℃)に加熱した際、ブロック剤が解離して遊離のイソシアネート基を再生することが望ましい。
【0081】
ブロック化ポリイソシアネート硬化剤(C)で使用されるブロック剤としては、例えば、メチルエチルケトオキシム、シクロヘキサノンオキシム等のオキシム系化合物;フェノール、パラ−t−ブチルフェノール、クレゾール等のフェノール系化合物;n−ブタノール、2−エチルヘキサノール等の脂肪族アルコール化合物;フェニルカルビノール、メチルフェニルカルビノール等の芳香族アルキルアルコール化合物;エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル等のエーテルアルコール系化合物;ε−カプロラクタム、γ−ブチロラクタム等のラクタム系化合物等が挙げられる。
【0082】
本発明のカチオン電着塗料組成物におけるアミノ基含有変性エポキシ樹脂(A)とフェノール性水酸基含有樹脂(B)及びブロック化ポリイソシアネート硬化剤(C)の配合割合としては、上記成分(A)、(B)及び(C)の固形分合計質量を基準にして、成分(A)を20〜75質量%、好ましくは30〜70質量%、成分(B)を5〜50質量%、好ましくは5〜40質量%、そして成分(C)を10〜40質量%、好ましくは15〜35質量%の範囲内である。
【0083】
この範囲が、塗料特性として塗料安定性が良好で、かつ合金化溶融亜鉛メッキ鋼板上の電着塗装適性が良好で、仕上り性や防食性、特に、乾燥膜厚15μmの仕上り性や防食性に優れた塗装物品を得る為にも好ましい。
【0084】
なおアミノ基含有変性エポキシ樹脂(A)を樹脂成分として含むカチオン電着塗料の製造は、アミノ基含有変性エポキシ樹脂(A)、フェノール性水酸基含有樹脂(B)、ブロック化ポリイソシアネート硬化剤(C)のほかに、必要に応じて、界面活性剤、表面調整剤等の各種添加剤、有機溶剤等を十分に混合して調合樹脂とした後、上記調合樹脂を有機カルボン酸等で水溶化又は水分散化してエマルションを得る。
【0085】
なお調合樹脂の中和には、一般的には、公知の有機カルボン酸を用いることができるが、中でも酢酸、ギ酸、乳酸又はこれらの混合物が好適である。次いで、エマルションに顔料分散ペーストを加え、水で調整することによって調整することができる。
【0086】
上記の顔料分散ペーストは、着色顔料、防錆顔料、体質顔料等をあらかじめ微細粒子に分散したものであって、例えば、顔料分散用樹脂、中和剤、顔料化合物等を配合し、ボールミル、サンドミル、ペブルミル等の分散混合機中で分散処理して、顔料分散ペーストを調製できる。
【0087】
上記顔料分散用樹脂としては、公知のものが使用でき、例えば水酸基及びカチオン性基を有する基体樹脂、3級アミン型エポキシ樹脂、4級アンモニウム塩型エポキシ樹脂、3級スルホニウム塩型エポキシ樹脂等の樹脂を使用できる。
【0088】
上記顔料化合物としては、特に制限なく使用でき、例えば、酸化チタン、カーボンブラック、ベンガラ等の着色顔料;クレー、マイカ、バリタ、炭酸カルシウム、シリカ等の体質顔料;リンモリブデン酸アルミニウム、トリポリリン酸アルミニウム、酸化亜鉛(亜鉛華)等の防錆顔料;を添加することができる。
【0089】
さらに、腐食抑制又は防錆を目的として、ビスマス化合物を含有させることができる。上記ビスマス化合物としては、例えば、酸化ビスマス、水酸化ビスマス、塩基性炭酸ビスマス、硝酸ビスマス、ケイ酸ビスマス、有機酸ビスマス等を用いることができる。
【0090】
また、塗膜硬化性の向上を目的として、ジブチル錫ジベンゾエート、ジオクチル錫オキサイド、ジブチル錫オキサイド等の有機錫化合物を用いることができる。前記酸化亜鉛(亜鉛華)等の防錆顔料及び/又はビスマス化合物を適用(増量)及び/又は微細化して用いることによって、これらの有機錫化合物を含有せずに、塗膜硬化性の向上を図ることもできる。これらの顔料化合物の配合量は、基体樹脂及び硬化剤との合計固形分100質量部あたり1〜100質量部、特に10〜50質量部の範囲内が好ましい。
【0091】
本発明のカチオン電着塗料組成物の被塗物としては、自動車ボディ、2輪車部品、家庭用機器、その他の機器等が挙げられ、金属であれば特に制限はない。
被塗物としての金属鋼板としては、冷延鋼板、合金化溶融亜鉛めっき鋼板、電気亜鉛めっき鋼板、電気亜鉛−鉄二層めっき鋼板、有機複合めっき鋼板、Al素材、Mg素材等、並びにこれらの金属板を必要に応じてアルカリ脱脂等の表面を洗浄化した後、リン酸塩化成処理、クロメート処理等の表面処理を行ったものが挙げられる。
【0092】
カチオン電着塗料組成物は、電着塗装によって所望の基材表面に塗装することができる。カチオン電着塗装は、一般的には、脱イオン水等で希釈して固形分濃度が約5〜40質量%とし、さらにpHを5.5〜9.0の範囲内に調整した電着塗料組成物からなる電着浴を、通常、浴温15〜35℃に調整し、負荷電圧100〜400Vの条件で被塗物を陰極として通電することによって行うことができる。電着塗装後、通常、被塗物に余分に付着したカチオン電着塗料を落とすために、限外濾過液(UF濾液)、逆浸透透過水(RO水)、工業用水、純水等で十分に水洗する。
【0093】
電着塗膜の膜厚は、特に制限されるものではないが、一般的には、乾燥塗膜に基づいて5〜40μm、好ましくは12〜30μmの範囲内とすることができる。また、塗膜の焼き付け乾燥は、電着塗膜を電気熱風乾燥機、ガス熱風乾燥機等の乾燥設備を用いて、塗装物表面の温度で110℃〜200℃、好ましくは140〜180℃にて、時間としては10分間〜180分間、好ましくは20分間〜50分間、電着塗膜を加熱して行う。上記焼付け乾燥により硬化塗膜を得ることができる。
上記の焼付け乾燥によって得られたカチオン電着塗膜は、特に、乾燥膜厚15μmにおいて、JIS B 601に定義される粗さ曲線における中心線平均粗さ(Ra)が0.20μm以下、好ましくは0.05〜0.18μm(以上、カットオフ値0.8mm)で、仕上り性に優れた塗膜を得ることができる。
【実施例】
【0094】
以下、製造例、実施例及び比較例により、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。各例中の「部」は質量部、「%」は質量%を示す。
【0095】
アミノ基含有変性エポキシ樹脂(A)の製造
製造例1 基体樹脂No.1の製造例
温度計、還流冷却器、及び攪拌機を備えた内容積2リットルのフラスコに、デナコールEX−821(注1)185部、jER828EL(注5)950部、ビスフェノールAを456部及びテトラブチルアンモニウムブロマイド0.8部を加え、160℃でエポキシ当量800になるまで反応させた。
【0096】
次に、メチルイソブチルケトンを359部加え、次いで、ジエタノールアミンを150部及びジエチレントリアミンのメチルイソブチルケトンのケチミン化物を127部(純度84%、メチルイソブチルケトン溶液)を加えて120℃で4時間反応させ、樹脂固形分80%のアミノ基含有変性エポキシ樹脂である基体樹脂No.1溶液を得た。基体樹脂No.1は、アミン価69mgKOH/g、数平均分子量2,400であった。
【0097】
製造例2 基体樹脂No.2の製造例
温度計、還流冷却器、及び攪拌機を備えた内容積2リットルのフラスコに、デナコールEX−931(注2)471部、jER828EL(注5)950部、ビスフェノールAを456部及びテトラブチルアンモニウムブロマイド0.8部を加え、160℃でエポキシ当量950になるまで反応させた。
【0098】
次に、メチルイソブチルケトンを430部加え、次いで、ジエタノールアミンを150部及びジエチレントリアミンのメチルイソブチルケトンのケチミン化物を127部(純度84%、メチルイソブチルケトン溶液)を加えて120℃で4時間反応させ、樹脂固形分80%のアミノ基含有変性エポキシ樹脂である基体樹脂No.2溶液を得た。基体樹脂No.2は、アミン価60mgKOH/g、数平均分子量2,500であった。
【0099】
製造例3 基体樹脂No.3の製造例
温度計、還流冷却器、及び攪拌機を備えた内容積2リットルのフラスコに、グリシエールBPP−350(注4)340部、jER828EL(注5)950部、ビスフェノールAを456部及びテトラブチルアンモニウムブロマイド0.8部を加え、160℃でエポキシ当量900になるまで反応させた。
【0100】
次に、メチルイソブチルケトンを400部加え、次いで、ジエタノールアミンを150部及びジエチレントリアミンのメチルイソブチルケトンのケチミン化物を127部(純度84%、メチルイソブチルケトン溶液)を加えて120℃で4時間反応させ、樹脂固形分80%のアミノ基含有変性エポキシ樹脂である基体樹脂No.3溶液を得た。基体樹脂No.3は、アミン価64mgKOH/g、数平均分子量2,500であった。
【0101】
製造例4 基体樹脂No.4の製造例
温度計、還流冷却器、及び攪拌機を備えた内容積2リットルのフラスコに、グリシエールPP−300P(注3)162部、jER828EL(注5)1000部、ビスフェノールAを440部及びテトラブチルアンモニウムブロマイド1.6部を加え、160℃でエポキシ当量800になるまで反応させた。
【0102】
次に、メチルイソブチルケトンを430部加え、次いで、2−メチルアミノ−1−エタノール130部を加えて100℃で4時間反応させ、樹脂固形分80%のアミノ基含有変性エポキシ樹脂である基体樹脂No.4溶液を得た。
【0103】
基体樹脂No.4のアミン価58mgKOH/g、数平均分子量2,200であった。
【0104】
製造例5 基体樹脂No.5の製造例
温度計、還流冷却器、及び攪拌機を備えた内容積2リットルのフラスコに、グリシエールPP−300P(注3)162部、jER828EL(注5)1000部、ビスフェノールAを440部及びテトラブチルアンモニウムブロマイド1.6部を加え、160℃でエポキシ当量800になるまで反応させた。
【0105】
次に、メチルイソブチルケトンを450部加え、次いで、4−エチルアミノ−1−ブタノール210部を加えて100℃で4時間反応させ、樹脂固形分80%のアミノ基含有変性エポキシ樹脂である基体樹脂No.5溶液を得た。
【0106】
基体樹脂No.5のアミン価56mgKOH/g、数平均分子量2,200であった。
【0107】
表1に、製造例1〜5の基体樹脂No.1〜No.5の配合内容及び特数を示す。
【0108】
【表1】

【0109】
(注1)デナコールEX−821:ナガセケムテックス社製、商品名、エポキシ樹脂(ジエポキシ化合物(b11))、エポキシ当量185、化合物(2)に相当(R=水素原子、X=1、Y=4)
(注2)デナコールEX−931:ナガセケムテックス社製、商品名、エポキシ樹脂(ジエポキシ化合物(b11))、エポキシ当量471、化合物(2)に相当(R=CH基、X=1、Y=11)
(注3)グリシエールPP−300P:三洋化成工業社製、商品名、エポキシ樹脂 (ジエポキシ化合物(b11))、エポキシ当量296、化合物(2)に相当(R=CH基、X=1、Y=7)
(注4)グリシエールBPP−350:三洋化成工業社製、商品名、エポキシ樹脂(ジエポキシ化合物(b11))、エポキシ当量340、化合物(1)に相当(R=CH基、m+n=3)
(注5)jER828EL:ジャパンエポキシレジン社製、商品名、エポキシ樹脂(b12)、エポキシ当量190、数平均分子量380
合成例1 キシレンホルムアルデヒド樹脂の製造
温度計、還流冷却器及び撹拌機を備えた内容積2リットルのセパラブルフラスコに50%ホルマリン480部、フェノール110部、98%工業用硫酸202部及びメタキシレン424部を仕込み、84〜88℃で4時間反応させた。 反応終了後、静置して樹脂相と硫酸水相とを分離した後、樹脂相を3回水洗し、20〜30mmHg/120〜130℃の条件で20分間未反応メタキシレンをストリッピングして、粘度1,050mPa・s(25℃)のフェノール変性されたキシレンホルムアルデヒド樹脂480部を得た。
【0110】
製造例6 基体樹脂No.6の製造例
フラスコに、jER828EL(注5)1140部、ビスフェノールA 456部及びジメチルベンジルアミン0.2部を加え、130℃でエポキシ当量820になるまで反応させた。
【0111】
次に、メチルイソブチルケトンを420部加え、次いで、合成例1で得たキシレンホルムアルデヒド樹脂300部を加え、次いで、ジエタノールアミンを95部及びジエチレントリアミンのメチルイソブチルケトンのケチミン化物を127部(純度84%、メチルイソブチルケトン溶液)を加えて120℃で4時間反応させ、樹脂固形分80%のアミノ基含有変性エポキシ樹脂である基体樹脂No.6溶液を得た。基体樹脂No.6は、アミン価47mgKOH/g、数平均分子量2,500であった。
【0112】
フェノール性水酸基含有樹脂(B)の製造例
製造例7 フェノール性水酸基含有樹脂No.1溶液の製造
温度計、還流冷却器、及び攪拌機を備えた内容積2リットルのフラスコに、jER828EL(注5)730部、ビスフェノールAを670部及びテトラブチルアンモニウムブロマイド1.6部を加え、160℃でエポキシ価が0.02以下になるまで反応させた。
【0113】
次に、メチルイソブチルケトンを226部加え、樹脂固形分80%のフェノール性水酸基含有樹脂No.1溶液を得た。フェノール性水酸基含有樹脂No.1のフェノール性水酸基価は80mgKOH/g、数平均分子量は1,400であった。なお[エポキシ樹脂(b12)におけるエポキシ基]/[ビスフェノール化合物(b13)のフェノール基]の当量比=0.65である。
【0114】
製造例8 フェノール性水酸基含有樹脂No.2溶液の製造
温度計、還流冷却器、及び攪拌機を備えた内容積2リットルのフラスコに、グリシエールPP−300P(注3)592部、jER828EL(注5)380部、ビスフェノールAを684部及びテトラブチルアンモニウムブロマイド1.6部を加え、160℃でエポキシ価が0.02以下になるまで反応させた。次に、メチルイソブチルケトンを414部加え、樹脂固形分80%のフェノール性水酸基含有樹脂No.2溶液を得た。フェノール性水酸基含有樹脂No.2のフェノール性水酸基価は68mgKOH/g、数平均分子量は1,800であった。
【0115】
なお[ジエポキシ化合物(b11)及びエポキシ樹脂(b12)におけるエポキシ基]/[ビスフェノール化合物(b13)のフェノール基]の当量比=0.67である。
【0116】
製造例9 フェノール性水酸基含有樹脂No.3溶液の製造
温度計、還流冷却器、及び攪拌機を備えた内容積2リットルのフラスコに、グリシエールBPP−350(注4)680部、ビスフェノールAを456部及びテトラブチルアンモニウムブロマイド1.6部を加え、160℃でエポキシ価が0.02以下になるまで反応させた。
【0117】
次に、メチルイソブチルケトンを284部加え、樹脂固形分80%のフェノール性水酸基含有樹脂No.3溶液を得た。フェノール性水酸基含有樹脂No.3のフェノール性水酸基価は99mgKOH/g、数平均分子量は1,200であった。
【0118】
なお[ジエポキシ化合物(b11)におけるエポキシ基]/[ビスフェノール化合物(b13)のフェノール基]の当量比=0.50である。
【0119】
ブロック化ポリイソシアネート硬化剤(C)の製造
製造例10 硬化剤の製造例
反応容器中に、コスモネートM−200(商品名、三井化学社製、クルードMDI)270部及びメチルイソブチルケトン127部を加え70℃に昇温した。この中にエチレングリコールモノブチルエーテル236部を1時間かけて滴下して加え、その後、100℃に昇温し、この温度を保ちながら、経時でサンプリングし、赤外線吸収スペクトル測定にて未反応のイソシアナト基の吸収がなくなったことを確認し、樹脂固形分80%の硬化剤を得た。
【0120】
エマルションの製造
製造例11 エマルションNo.1の製造例
製造例1で得られた基体樹脂No.1を62.5部(固形分50部)、製造例7で得られたフェノール性水酸基含有樹脂溶液No.1を25.0部(固形分20部)、
製造例10で得られた硬化剤を37.5部(固形分30部)を混合し、さらに10%酢酸15.0部を配合して均一に攪拌した後、脱イオン水179.0部を強く攪拌しながら約15分間を要して滴下して、固形分34%のエマルションNo.1を得た。
【0121】
製造例12〜20 エマルションNo.2〜No.10の製造例
表2の配合内容とする以外は、製造例11と同様にして、エマルションNo.2〜No.10を得た。
【0122】
【表2】

【0123】
製造例21 エマルションNo.11の製造例
製造例2で得られた基体樹脂No.2を87.5部(固形分70部)、製造例10で得られた硬化剤を37.5部(固形分30部)を混合し、さらに10%酢酸13.5部を配合して均一に攪拌した後、脱イオン水155.5部を強く攪拌しながら約15分間を要して滴下して、固形分34%のエマルションNo.11を得た。
【0124】
製造例22 エマルションNo.12の製造例
表3の配合内容とする以外は、製造例21と同様にして、エマルションNo.12を得た。
【0125】
【表3】

【0126】
(注7)ショーノールBKS377F:商品名、昭和高分子(株)製、レゾール型フェノール樹脂、数平均分子量650
製造例23 顔料分散用樹脂の製造例
jER828EL(注5参照)1,010部に、ビスフェノールAを390部、プラクセル212(ポリカプロラクトンジオール、ダイセル化学工業株式会社、商品名、重量平均分子量約1,250)240部及びジメチルベンジルアミン0.2部を加え、130℃でエポキシ当量が約1,090になるまで反応させた。
【0127】
次に、ジメチルエタノールアミン134部及び90%の乳酸水溶液150部を加え、120℃で4時間反応させた。次いで、メチルイソブチルケトンを加えて固形分を調整し、固形分60%のアンモニウム塩型樹脂系の顔料分散用樹脂を得た。上記分散用樹脂のアンモニウム塩濃度は、0.78mmol/gであった。
【0128】
製造例24 顔料分散ペーストの製造例
製造例23で得た固形分60%の顔料分散用樹脂8.3部(固形分5部)、酸化チタン14.5部、精製クレー7.0部、カーボンブラック0.3部、ジオクチル錫オキサイド1部、水酸化ビスマス1部及び脱イオン水20.3部を加え、ボールミルにて20時間分散し、固形分55%の顔料分散ペーストを得た。
【0129】
[カチオン電着塗料]
実施例1
製造例11で得たエマルションNo.1を294部(固形分100部)、製造例24で得た55%の顔料分散ペーストを52.4部(固形分28.8部)、及び脱イオン水297.6部を加え、固形分20%のカチオン電着塗料No.1を製造した。
【0130】
実施例2〜10、比較例1〜2
実施例1と同様にして、表4及び表5で示されるような配合内容にて、カチオン電着塗料No.2〜No.12を製造した。
【0131】
【表4】

【0132】
【表5】

【0133】
[試験板の作成]
化成処理(パルボンド#3020、日本パーカライジング社製、商品名、リン酸亜鉛処理剤)を施した冷延鋼板(150mm(縦)×70mm(横)×0.8mm(厚)、中心線平均粗さ(Ra)=0.8)を被塗物として、実施例及び比較例で得た各々のカチオン電着塗料を用いて乾燥膜厚15μmとなるように電着塗装し、試験板を得た。
【0134】
得られた各々の試験板を用いて、実施した試験結果を表6及び表7に示す。
【0135】
【表6】

【0136】
【表7】

【0137】
(注8)つきまわり性:直径8mmの穴を空け、4枚の鋼板を2cm間隔で設
置した「4枚ボックス法つきまわり性試験の治具」(図1参照)を、図2のように配線した。図2の4枚の鋼板のうち、最も左側の鋼板に向かって左側の面を「A面」、向かって右側の面を「B面」とする。同様に、左から2番目の鋼板左右の面を、それぞれ、「C面」及び「D面」、左から3番目の鋼板左右の面を、それぞれ、「E面」及び「F面」、そして最も右側の鋼板左右の面が、それぞれ、「G面」と「H面」となる。この中で、A面が「外板」であり、G面が「内板」となる。
【0138】
図2の装置において、塗装浴温30℃、A面と電極との極間距離10cm、通電時間3分間にて、外板乾燥膜厚15μmとなる電圧にて電着塗装した。つきまわり性は、外板乾燥膜厚、内板乾燥膜厚及びつきまわり性(%)(=内板乾燥膜厚/外板乾燥膜厚×100)で評価した。つきまわり性(%)は高いほうが良好である。
(注9)合金化溶融亜鉛メッキ鋼板の電着塗装適性:パルボンド#3020(日本パーカライジング社製、商品名、リン酸亜鉛処理剤)で化成処理した0.8mm×150mm×70mmの合金化溶融亜鉛メッキ鋼板を電着塗料浴(30℃)の陰極として浸漬し、210Vにて通電時間を調整して電着塗装して15μmの塗膜を得た。得られた塗膜を170℃で20分間焼付け硬化を行った後のテストピースについて、10cm×10cm中のピンホールの数を数える。
【0139】
◎は、ピンホールの発生なし、
○は、小さいピンホール(ガスヘコ)が1個発生が認められるが、中塗り塗膜にて隠蔽できる程度で問題なし。
【0140】
△は、ピンホールが2〜5個発生、
×は、ピンホールが10個以上発生を示す。
(注10) 電着塗膜の表面粗度:各実施例、比較例で得た電着塗膜(乾燥膜厚15μm)を、JIS B 0601(表面粗さの定義と表示、1982年)に基づいて、サーフコム301(株式会社 ミツトヨ社製、商品名、表面粗さ測定機)を用いて中心線平均粗さ(Ra)を測定した。Raが小さいほうがよいため、電着塗膜の表面粗度を「中心線平均粗さ(Ra)」に基づき、下記の基準で評価した:
◎は、Ra値は0.20未満
○は、Ra値が0.20以上で、かつ0.50未満
△は、Ra値が0.50以上で、かつ0.70未満
×は、Ra値が0.70以上。
【0141】
(注11)防食性:各実施例、比較例で得た乾燥膜厚15μmのカチオン電着塗膜試験板の素地に達するように塗膜にカッターナイフでクロスカット傷を入れ、これをJIS Z−2371に準じて、35℃ソルトスプレー試験を840時間行い、カット部からの錆及びフクレ幅によって以下の基準で防食性を評価した。
【0142】
◎は、錆、フクレの最大幅がカット部より2.0mm以下(片側)
○は、錆、フクレの最大幅がカット部より2.0を超え、かつ3.0mm以下(片側)
△は、錆、フクレの最大幅がカット部より3.0mmを超え、かつ3.5mm以下(片側)
×は、錆、フクレの最大幅がカット部より3.5mmを超える(片側)。
【0143】
総合評価:
本発明の属するカチオン電着塗料の分野においては、つきまわり性;合金化溶融亜鉛メッキ鋼板の電着塗装適性;電着塗膜の表面粗度;及び防食性の全ての性能が優れていることが非常に重要である。具体的には、つきまわり性(%)は、60(%)以上であり、それ以外の項目も全て○評価以上であることが必要である。上記基準をみたした上で、さらに◎評価の性質を有するのがさらに好ましい。
【0144】
従って、各塗料について、下記のように評価した:
◎:(1)つきまわり性が60(%)以上であり、それ以外の3項目が全て◎又は○であり、かつ少なくとも1つ◎がある
○:つきまわり性が60(%)以上であり、かつそれ以外の3項目が全て○である
△:つきまわり性が50(%)以上、60(%)未満であり、かつそれ以外の3項目が全て◎、○もしくは△であるか;又はつきまわり性が60(%)以上であり、それ以外の3項目が全て◎、○もしくは△でありかつ少なくとも1つが△である
×:つきまわり性が50(%)未満であるか;又はそれ以外の3項目が全て◎、○、△又は×でありかつ少なくとも1つが×である
【産業上の利用可能性】
【0145】
防食性、仕上り性に優れる塗装物品を提供できる。
【符号の説明】
【0146】
1.直径8mmの穴を空ける
2.4枚ボックス法のつきまわり性試験用治具における外板(A面)を示す。
3.4枚ボックス法のつきまわり性試験用治具における内板(G面)を示す。
4.電着塗料浴を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アミノ基含有変性エポキシ樹脂(A)、フェノール性水酸基含有樹脂(B)及び ブロック化ポリイソシアネート硬化剤(C)を含み、
上記成分(A)、(B)及び(C)の固形分合計質量を基準にして、成分(A)を20〜75質量%、成分(B)を5〜50質量%、そして成分(C)を10〜40質量%含有する、カチオン電着塗料組成物であって、
当該フェノール性水酸基含有樹脂(B)が、
ジエポキシ化合物(b11)及び/又はエポキシ当量170〜500のエポキシ樹脂(b12)と、
ビスフェノール化合物(b13)とを、
[ジエポキシ化合物(b11)及びエポキシ樹脂(b12)におけるエポキシ基]/[ビスフェノール化合物(b13)のフェノール基]の当量比=0.5〜0.85で反応させて得られるものであり、
当該ジエポキシ化合物(b11)が、
一般式(1):
【化1】

[式(1)中、Rは、同一又は異なって、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を示し、アルキレンオキシド構造部分の繰り返し単位の数である、m及びnはm+n=1〜20となる整数を示す。]
で表される化合物(1)及び/又は一般式(2)
【化2】

[式(2)中、Rは、同一又は異なって、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を示し、Xは1〜9の整数を示し、Yは1〜50の整数を示す。]
で表される化合物(2)である、カチオン電着塗料組成物。
【請求項2】
アミノ基含有変性エポキシ樹脂(A)が、エポキシ当量500〜2500の変性エポキシ樹脂(A11)とアミン化合物(A12)とを反応させてなるアミノ基含有変性エポキシ樹脂(A1)であって、
変性エポキシ樹脂(A11)がジエポキシ化合物(b11)、エポキシ当量170〜500のエポキシ樹脂(b12)、及びビスフェノール化合物(b13)を反応させて得られる樹脂である請求項1に記載のカチオン電着塗料組成物。
【請求項3】
変性エポキシ樹脂(A11)が、前記ジエポキシ化合物(b11)、前記エポキシ樹脂(b12)及び前記ビスフェノール化合物(b13)を、これらの固形分合計質量を基準にして、ジエポキシ化合物(b11)を1〜35質量%、エポキシ樹脂(b12)を10〜80質量%、ビスフェノール化合物(b13)を10〜60質量%含む請求項1に記載のカチオン電着塗料組成物。
【請求項4】
フェノール性水酸基含有樹脂(B)及び変性エポキシ樹脂(A11)の原料として用いるジエポキシ化合物(b11)の一般式(1)又は一般式(2)におけるRがメチル基又は水素原子である請求項2に記載のカチオン電着塗料組成物。
【請求項5】
請求項1に記載のカチオン電着塗料組成物を電着塗料浴として、これに合金化溶融亜鉛メッキ鋼板を含む金属被塗物を浸漬し、電着塗装して得られる塗装物品。


【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−6655(P2011−6655A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−91381(P2010−91381)
【出願日】平成22年4月12日(2010.4.12)
【出願人】(000001409)関西ペイント株式会社 (815)
【Fターム(参考)】