説明

カッティングプログラム、カッティングシステム及びカッティング方法

【課題】 トンボの読取エラーを防止してカッティング作業の効率低下を防止すること。
【解決手段】 このカッティングシステム100は、作図したオブジェクトの周囲に枠を作成する枠認識部11と、枠認識部11により作成した枠に基づいてトンボの形状等を設定するトンボ設定部12と、トンボのサイズを自動的に設定する推奨トンボサイズ選択部13と、枠のサイズと当該枠のサイズに対して推奨されるトンボサイズをテーブルとして保持するトンボサイズテーブル14とを有する。ユーザがトンボサイズ自動設定ボタン23を押すと、推奨トンボサイズ選択部13は、トンボサイズテーブル14を参照し、推奨されるトンボサイズを当該枠に対するトンボサイズとして設定する。これにより、読取エラーになるようなトンボを作成することがなくなり、読取エラーに起因した作業効率の低下を防止できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トンボの読取エラーを防止して効率的にカッティング作業を行えるカッティングプログラム、カッティングシステム及びカッティング方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
非特許文献1には、作図プログラムによりコンピュータ上で作成したイラストの周囲にトンボ(非特許文献1では「クロップマーク」という)を作成し、カッティングの位置を補正する技術が開示されている。ユーザは、イラストの外側に前記トンボを付与し、このトンボを付与したイラストをシートに印刷し、カッティングプロッタにセットする。
【0003】
ユーザは、カッティングプロッタの光学検出手段を基準となるトンボ上に移動させ、所定の手順によりXY方向の走査を行い、トンボの原点を検出する。光学検出手段は、ユーザにより入力されたトンボ間の距離に基づいてXY方向に移動し、シート上のトンボを全て自動検出する。そして、全てのトンボの位置情報に基づいて、セットされたシートの位置を補正する。このようにすれば、カッティングプロッタ側でシート上のイラストの位置を正しく認識できるので、イラストのカットを正確に行える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【非特許文献1】「CX−12/24 ユーザーズマニュアル」ローランドディージー株式会社 P39−P47 2010年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の技術では、最初に検出したトンボからX方向又はY方向に光学検出手段を移動させて次のトンボを検出させる場合、メディアの傾き状態及びトンボの大きさによっては、光学検出手段によりトンボ形状を正確に検出できないことがある。つまり、最初のトンボから次に検出するトンボの方向を判断するにあたってズレが生じ、次に検出するトンボを光学検出手段で読み取れずエラーとなってしまう。このように、カッティングプロッタ側で読取エラーが生じるとシートの位置補正ができず、イラストを正確にカットすることができない。
【0006】
このとき、ユーザは、再びトンボの読取を試みることになるが、トンボが小さいために何度試行しても読取エラーとなることが殆どである。そして、ユーザは何度か読取エラーが生じた後、改めて印刷を行うことになる。このように、トンボの読取エラーに起因した手間は極めて大きく、カッティング作業の効率を著しく低下させているという問題点があった。特に、上記問題点は、大きなイラストをカットする場合に顕著となる。
【0007】
ところで、トンボが大きくなると、カッティング成果物として利用できるメディアの面積が減るため、メディアを有効活用する点から可能な限り小さなトンボを使用したいという要求がユーザにはある。
【0008】
そこで、この発明の目的は、トンボの読取エラーを防止してカッティング作業の効率低下を防止することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のカッティングプログラムは、コンピュータに、カット対象である絵、文字等のオブジェクトの周囲に作成された枠のサイズ毎に推奨されるトンボサイズを対応付けたトンボサイズテーブル、作成された枠のサイズに基づき、前記トンボサイズテーブルから推奨されるトンボサイズを選択する推奨トンボサイズ選択手段、前記推奨トンボサイズ選択手段により選択されたトンボサイズのトンボを前記枠の角に設けるトンボ設定手段、として機能させることを特徴とする。
【0010】
推奨トンボサイズのトンボを前記枠の角に設けることで、当該サイズのトンボの形状をカッティングプロッタの光学検出手段により正確に検出でき、最初に検出したトンボから次に検出するトンボの方向を正確に判断できるようになる。このため、トンボの読取エラーを防止してカッティング作業を効率的に行える。推奨されるトンボサイズは、トンボの読取エラーを生じさせないために必要なサイズであり、カッティングプロッタの性能やメディアセットの際のオペレータの癖等により定まる。特に、推奨するトンボサイズの下限は、カッティングプロッタの性能に基づいて、カッティング有効面積を可能な限り広げるように設定されるのが好ましい。この場合、可能な限り多くのカッティング成果物をメディア毎にカットすることができるため、カッティング作業を効率的に行える。
【0011】
また、本発明のカッティングプログラムは、コンピュータに、カット対象である絵、文字等のオブジェクトの周囲に作成された枠のサイズに基づいて、予め設定してある計算式により推奨されるトンボサイズを算出する推奨トンボサイズ計算手段、前記推奨トンボサイズ計算手段により算出されたトンボサイズのトンボを前記枠の角に設けるトンボ設定手段、として機能させることを特徴とする。
【0012】
前記推奨トンボサイズ計算手段により算出されたトンボサイズのトンボを前記枠の角に設けることで、当該サイズのトンボの形状をカッティングプロッタの光学検出手段により正確に検出でき、最初に検出したトンボから次に検出するトンボの方向を正確に判断できるようになる。このため、トンボの読取エラーを防止してカッティング作業を効率的に行える。なお、推奨されるトンボサイズについては、同上の通りである。
【0013】
また、本発明のカッティングシステムは、カット対象である絵、文字等のオブジェクトの周囲に作成された枠のサイズ毎に推奨されるトンボサイズを対応付けたトンボサイズテーブルと、作成された枠のサイズに基づき、前記トンボサイズテーブルから推奨されるトンボサイズを選択する推奨トンボサイズ選択手段と、前記推奨トンボサイズ選択手段により選択されたトンボサイズのトンボを前記枠の角に設けるトンボ設定手段と、を備えたことを特徴とする。
【0014】
また、本発明のカッティングシステムは、カット対象である絵、文字等のオブジェクトの周囲に作成された枠のサイズに基づいて、予め設定してある計算式により推奨されるトンボサイズを算出する推奨トンボサイズ計算手段と、前記推奨トンボサイズ計算手段により算出されたトンボサイズのトンボを前記枠の角に設けるトンボ設定手段と、を備えたことを特徴とする。
【0015】
上記構成のカッティングシステムによれば、トンボの読取エラーが生じないので、カッティング作業を効率的に行える。
【0016】
また、本発明のカッティング方法は、カット対象である絵、文字等のオブジェクトの周囲に作成した枠のサイズに基づいて、予め枠のサイズ毎に推奨されるトンボサイズが配列されたトンボサイズテーブルから当該作成した枠に対して推奨されるトンボサイズを選択するトンボサイズ選択ステップと、前記選択されたトンボサイズのトンボを前記枠の角に設けるトンボ設定ステップと、を含むことを特徴とする。
【0017】
また、本発明のカッティング方法は、カット対象である絵、文字等のオブジェクトの周囲に作成された枠のサイズに基づいて予め設定してある計算式により推奨されるトンボサイズを算出するトンボサイズ算出ステップと、前記算出されたトンボサイズのトンボを前記枠の角に設けるトンボ設定ステップと、を含むことを特徴とする。
【0018】
上記構成のカッティング方法によれば、トンボの読取エラーが生じないので、カッティング作業を効率的に行える。
【0019】
また、本発明のデータ構造は、カット対象である絵、文字等のオブジェクトの周囲に作成された枠のサイズ毎に推奨されるトンボサイズを対応付けたトンボサイズテーブルとしてコンピュータに記憶されていることを特徴とする。このデータ構造をコンピュータに保持させておくことにより、トンボサイズが推奨トンボサイズか否かを判定することができるようになり、ユーザに負担を掛けることなく的確に、トンボの読取エラーを生じさせない設定をすることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】この発明の実施の形態1に係るカッティングシステムを示す構成図である。
【図2】図1に示したカッティングシステムの動作を示すフローチャートである。
【図3】オブジェクトの周囲にトンボを作成する手順を示す説明図である。
【図4】コンピュータの表示部に表示される画面例を示す説明図である。
【図5】コンピュータの表示部に表示される画面例を示す説明図である。
【図6】コンピュータの表示部に表示される画面例を示す説明図である。
【図7】枠サイズに対して推奨されるトンボのサイズを配列して記憶したトンボサイズテーブルの一例を示す図表である。
【図8】枠サイズとトンボサイズとの関係を示す説明図である。
【図9】枠サイズに対して推奨されるトンボのサイズを配列して記憶したトンボサイズテーブルの他の例を示す図表である。
【図10】この発明の実施の形態2に係るカッティングシステムを示す構成図である。
【図11】図10に示したカッティングシステムの動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(実施の形態1)
図1は、この発明の実施の形態1に係るカッティングシステムを示す構成図である。このカッティングシステムは、作図プログラム及びカッティングデータ等を生成するカッティングプログラムをインストールしたコンピュータ1と、コンピュータ1に接続したカッティングプロッタ2と、コンピュータ1に接続され前記作図プログラムにより作図したオブジェクト等を印刷するプリンタ3とを有する。前記カッティングプログラムは、例えば、前記作図プログラムの拡張機能として実現される。コンピュータ1には液晶ディスプレイ等の表示部4が接続されている。コンピュータ1、カッティングプロッタ2及びプリンタ3はそれぞれ別体でも良いし、いずれか又は全部が一体でも良い。また、前記コンピュータ1は、インターネット空間で構築されるリソース形態を取るものであっても良い。
【0022】
前記カッティングシステムは、カット対象である絵、文字等のオブジェクトの周囲に作成された枠を認識する枠認識部11と、トンボのサイズや形状等を設定し、かかるトンボを前記枠の角に設けるトンボ設定部12と、トンボのサイズを選択する推奨トンボサイズ選択部13と、枠のサイズと当該枠のサイズに対して推奨されるトンボサイズをテーブルとして保持するトンボサイズテーブル14とを有する。前記枠は、前記作図プログラムによりユーザが作成する。この枠は、表示部4で表示しても良いし、表示部4に表示することなくデータとしてのみ有するようにしても良い。なお、上記枠の作成は、前記作図プログラムではなく、カッティングプログラムで行うようにしても良い。特に、カッティングプログラムで行う場合、オブジェクト50を囲む矩形の枠を自動的に生成しても良い。矩形の枠を自動で生成する場合、例えば、バンディングボックスであっても良い。
【0023】
図2は、図1に示したカッティングシステムの動作を示すフローチャートである。図3は、オブジェクトの周囲にトンボを作成する手順を示す説明図である。図4〜図6は、コンピュータの表示部に表示される画面例を示す説明図である。トンボ作成の前に、図3(a)に示すように、作図プログラムによりオブジェクト50を作成し、更にトンボを作成する位置を特定するため、図3(b)に示すように、作図プログラムによりオブジェクト50を矩形の枠51で囲んでおく。
【0024】
まず、図4に示すように、枠認識部11は、表示部4に表示されたメニューウインドウ20のトンボ作成ボタン21の押下により、前記作成した枠51を認識する(ステップS1)。このとき、表示部4には、トンボ作成ウインドウ22が表示される。このトンボ作成ウインドウ22には、トンボサイズを自動設定するか否かをユーザに選択させるラジオボタン23、トンボ形状設定ボタン25等が表示される。ここでは、ラジオボタン23は「自動」が選択されている状態が示され、ユーザによる選択で「手動」に切り替わるようになっている。
【0025】
トンボ設定部12では、ラジオボタン23の選択状態に係わらず、推奨トンボサイズ選択部13が、トンボサイズテーブル14を参照し(ステップS2)、推奨されるトンボサイズを当該枠に対する推奨トンボサイズとして選択して(ステップS3)、ステップS4に進む。
【0026】
図7は、枠サイズに対して推奨されるトンボのサイズを配列して記憶したトンボサイズテーブルの一例を示す図表である。図8は、枠サイズとトンボサイズとの関係を示す説明図であり、(a)は枠の外側にトンボ52を設定した場合、(b)は枠に沿ってトンボ52を設定した場合を示す。推奨されるトンボサイズは、原則、枠51の長辺の長さt1を基準とする。正方形の場合はいずれの辺でもよい。一方、トンボサイズは、L字形状の一辺の長さt2とする。
【0027】
トンボサイズテーブル14には、推奨されるトンボサイズが枠サイズ毎に対応付けられている。図7に示すように、枠サイズとは枠51の長辺の長さであり、トンボサイズテーブル14には、当該長さの範囲に対応した推奨されるトンボサイズ(トンボの前記長辺方向の長さ)が記憶されている。例えば、ユーザが作成した枠51の長辺が300mmであれば、推奨されるトンボサイズは8mmである。この場合、推奨トンボサイズ選択部13は、長辺が300mmの枠に対しては8mmのトンボを設定する。
【0028】
推奨トンボサイズは、カッティングプロッタ2やその光学検出手段(図示省略)等の性能やメディアセットの際のオペレータの癖等により定まる。特に、推奨するトンボサイズの下限は、カッティングプロッタの性能等に基づいて、カッティング有効面積を可能な限り広げるように設定されるのが好ましい。この場合、可能な限り多くのカッティング成果物をメディア毎にカットすることができるため、カッティング作業を効率的に行える。なお、トンボサイズテーブル14のトンボサイズは、コンピュータ1上で再設定できる。
【0029】
また、四角トンボやダブルトンボについても、上記シングルトンボと同様にトンボサイズを枠サイズ毎に対応付けてトンボサイズテーブル14に記憶できる。図9は、トンボサイズテーブル14の一例を示す図表であり、(a)はシングルトンボ、(b)は四角トンボの例を示す。ユーザが図5に示した画面上のトンボ形状設定ボタン25でトンボ形状を選択することにより、推奨トンボサイズ選択部13は、選択されたトンボ形状において推奨されるトンボサイズを、前記トンボサイズテーブル14を参照して選択する。例えば、トンボ形状設定ボタン25で四角トンボが選択された場合、(b)に示すトンボサイズテーブル14を参照して推奨トンボサイズを選択する。多種類のトンボ形状の選択が可能なカッティングシステムでは、ユーザが適切なトンボサイズを設定することが難しいため、かかる自動設定は極めて有用である。
【0030】
ステップS4では、トンボ設定部12は、図5に示すトンボ作成ウインドウ22に表示されているラジオボタン23の選択状態を確認し、「自動」のときはそのままステップS8へ進み、「手動」のときはステップS5へ進む。
【0031】
ラジオボタン23の選択状態が「自動」の場合(ステップS4)、トンボ設定部12は、図5(a)に示すトンボ作成ウインドウ22の画面上の「OK」ボタンが押下されると(ステップS8のY)、設定された推奨トンボサイズのトンボを枠の角に作成し(ステップS9)、処理を終了する。
【0032】
一方、ラジオボタン23の選択状態が「手動」の場合(ステップS4)、トンボ設定部12は、図5(b)に示す手動用のトンボ作成ウインドウ22を表示する。この手動用のトンボ作成ウインドウ22中には、ユーザに入力させるトンボサイズのタブ24、枠認識部11で設定された枠サイズにおいて推奨される推奨トンボサイズ表示部26、トンボの線幅設定用のタブ27が追加して表示される。なお、トンボサイズのタブ24及びトンボの線幅設定用のタブ27は、ここではスピンボタンとエディットボックスとから構成されている。また、推奨トンボサイズ表示部26には、上記ステップS3において選択された推奨トンボサイズの値が表示されている。
【0033】
そして、トンボ設定部12は、タブ24に入力されたトンボサイズを取得すると(ステップS5)、推奨トンボサイズ表示部26に表示されている推奨トンボサイズと比較して、タブ24に入力されたトンボサイズが適正か否かを判定する(ステップS6)。その結果、トンボサイズが推奨トンボサイズより小さく、適正でないとき(ステップS6のN)には、図6(a)に示すように、トンボ設定部12は、警告マーク28をタブ24の脇に表示させ(ステップS7)、ステップS8に進む。
【0034】
警告マーク28がクリックされると、図6(b)に示す警告ウインドウ30を表示する(ステップS7)。この警告ウインドウ30には、トンボサイズが小さすぎて認識できない可能性がある旨が表示される。なお、警告マーク28が表示されても、ユーザが入力したトンボをそのまま作成できるようにしても良いし、当該警告ウインドウ30を表示すると共に作成したトンボを自動的にキャンセルするようにしても良い。一方、入力されたトンボサイズが推奨トンボサイズの範囲又はそれ以上である場合、適正であると判断する。
【0035】
一方、トンボサイズが推奨サイズより大きく、適正なとき(ステップS6のY)には、そのままステップS8に進み、ユーザによる指示待ち状態となる。
【0036】
なお、図5(b)のトンボ作成ウインドウ22の表示中において、タブ24、タブ27の値の変更にともない適宜同じ処理がトンボ設定部12により実行される。
【0037】
そして、図5(b)のトンボ作成ウインドウ22の表示中において「OK」ボタンが押下されることにより(ステップS8のY)、トンボ設定部12では、設定されたサイズのトンボを枠の角に作成し(ステップS9)、処理を終了する。
【0038】
以上、この発明のカッティングシステム100では、枠サイズに対して推奨されるサイズのトンボを自動的に設定してオブジェクト50のデータに付与できるので、読取エラーになるようなトンボを作成することがない。また、ユーザ自ら入力する場合でも、警告を表示してトンボサイズの修正を求めるため、読取エラーを発生させるようなトンボの作成を防止できる。この結果、読取エラーに起因したカッティング作業効率の低下を防止できる。
【0039】
なお、前記枠51は、ユーザが作図するようにしているが、オブジェクト50の大きさ等から図形プログラム又はカッティングプログラムが自動的にサイズを計算して自動作成するようにしても良い。例えば、オブジェクトの縦横方向の長さを測定し、その測定結果に基づいて枠を自動作成しても良い。
【0040】
(実施の形態2)
図10は、この発明の実施の形態2に係るカッティングシステムを示す構成図である。このカッティングシステム200は、トンボサイズを枠のサイズに基づいて自動的に計算するトンボサイズ算出部201を備えている点に特徴があり、その他の構成は実施の形態1と同様であるためその説明を省略する。
【0041】
図11は、図10に示したカッティングシステムの動作を示すフローチャートである。このカッティングシステム200では、上記実施の形態1と同様、図3に示したような枠51を認識する(ステップS1)。その後、トンボ設定部12では、ラジオボタン23の選択状態に係わらず、トンボサイズ計算部201が、トンボのサイズを前記枠のサイズから予め設定してある計算式により自動的に算出する。例えば、枠の長辺に係数0.01〜0.02を掛けてトンボのサイズを算出し(ステップS3’)、その値を推奨トンボサイズとして設定する。
【0042】
なお、ステップS4〜S9までの処理は、実施の形態1と同一又は同様であるが、特に、ステップS6において、トンボサイズが適正か否かは、枠の長辺の長さに対して許容できる範囲の長さに設定されたか否かにより判断され、具体的には、枠の長辺の0.01倍以下にトンボ長さが設定された場合には前記警告マーク28を表示する。
【0043】
なお、適正なトンボ長さを算出するための式は、上記のような係数を加える方法に限定されない。また、トンボ長を算出する計算式等のプログラムは、自由に設定できる。
【0044】
ここで、計算式の一例を示す。枠サイズSが200mm〜2000mmの範囲において、均等に10段階で5mm間隔の推奨トンボサイズWを割り振る場合には、次式により算出できる。ここで、論理演算子intは、小数点以下切り捨てで自然数をとる演算子とする。
W=5×int(S/200)|200≦S<2000
S<200のときはエラーとし、S≧2000のときは50mmとする。
【0045】
以上、この発明のカッティングシステム200では、枠サイズに対して推奨されるサイズのトンボを自動的に算出してオブジェクト50のデータに付与できるので、読取エラーになるようなトンボを作成することがない。また、ユーザ自ら入力する場合でも、警告を表示してトンボサイズの修正を求めるため、読取エラーを発生させるようなトンボの作成を防止できる。この結果、読取エラーに起因したカッティング作業効率の低下を防止できる。
【0046】
また、上記実施の形態1及び2において、トンボの形状は丸形状であっても良い。実施の形態1においては、枠サイズ毎に推奨される丸トンボの直径(サイズ)がトンボサイズテーブルに記憶される。実施の形態2においては、トンボサイズ算出部201が枠サイズに基づいて丸トンボの直径(サイズ)を自動的に計算して、その計算結果をトンボサイズとして設定する。
【0047】
また、上記実施の形態1,2では、上記ステップS9において、トンボをデータとして作成させた後に、処理を終了するものとして説明したが、特に手動によるトンボサイズの設定の場合には、トンボ設定部12は、図3(c)に示すように、表示部4の確認画面内に、オブジェクト50の四隅にトンボ52を付与した状態を表示させて、ユーザに確認させ、ステップS4に戻るようにしてもよい。
【0048】
なお、本発明は、次のようにも特定し得る。(1)コンピュータに、トンボ形状を選択できるトンボ形状選択手段、カット対象である絵、文字等のオブジェクトの周囲に作成された枠のサイズ毎に、選択可能なトンボ形状において推奨されるトンボサイズを対応付けたトンボサイズテーブル、選択されたトンボ形状及び作成された枠のサイズに基づき、前記トンボサイズテーブルから推奨されるトンボサイズを設定する推奨トンボサイズ設定手段、前記推奨トンボサイズ選択手段により選択されたトンボサイズのトンボを前記枠の角に設けるトンボ設定手段、として機能させることを特徴とするカッティングプログラム。
【0049】
(2)コンピュータに、トンボ形状を選択できるトンボ形状選択手段、カット対象である絵、文字等のオブジェクトの周囲に作成された枠のサイズに基づいて、選択可能なトンボ形状毎に予め設定してある計算式により推奨されるトンボサイズを算出する推奨トンボサイズ算出手段、前記推奨トンボサイズ計算手段により算出されたトンボサイズのトンボを前記枠の角に設けるトンボ設定手段、として機能させることを特徴とするカッティングプログラム。
【符号の説明】
【0050】
100 カッティングシステム
101 カッティングプロッタ
102 コンピュータ
106 コントローラ
1 カット図形読取部
2 カッティングデータ生成部
50 駆動制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータに、
カット対象である絵、文字等のオブジェクトの周囲に作成された枠のサイズ毎に推奨されるトンボサイズを対応付けたトンボサイズテーブル、
作成された枠のサイズに基づき、前記トンボサイズテーブルから推奨されるトンボサイズを選択する推奨トンボサイズ選択手段、
前記推奨トンボサイズ選択手段により選択されたトンボサイズのトンボを前記枠の角に設けるトンボ設定手段、
として機能させることを特徴とするカッティングプログラム。
【請求項2】
コンピュータに、
カット対象である絵、文字等のオブジェクトの周囲に作成された枠のサイズに基づいて、予め設定してある計算式により推奨されるトンボサイズを算出する推奨トンボサイズ計算手段、
前記推奨トンボサイズ計算手段により算出されたトンボサイズのトンボを前記枠の角に設けるトンボ設定手段、
として機能させることを特徴とするカッティングプログラム。
【請求項3】
カット対象である絵、文字等のオブジェクトの周囲に作成された枠のサイズ毎に推奨されるトンボサイズを対応付けたトンボサイズテーブルと、
作成された枠のサイズに基づき、前記トンボサイズテーブルから推奨されるトンボサイズを選択する推奨トンボサイズ選択手段と、
前記推奨トンボサイズ選択手段により選択されたトンボサイズのトンボを前記枠の角に設けるトンボ設定手段と、
を備えたことを特徴とするカッティングシステム。
【請求項4】
カット対象である絵、文字等のオブジェクトの周囲に作成された枠のサイズに基づいて、予め設定してある計算式により推奨されるトンボサイズを算出する推奨トンボサイズ計算手段と、
前記推奨トンボサイズ計算手段により算出されたトンボサイズのトンボを前記枠の角に設けるトンボ設定手段と、
を備えたことを特徴とするカッティングシステム。
【請求項5】
カット対象である絵、文字等のオブジェクトの周囲に作成した枠のサイズに基づいて、予め枠のサイズ毎に推奨されるトンボサイズが配列されたトンボサイズテーブルから当該作成した枠に対して推奨されるトンボサイズを選択するトンボサイズ選択ステップと、
前記選択されたトンボサイズのトンボを前記枠の角に設けるトンボ設定ステップと、
を含むことを特徴とするカッティング方法。
【請求項6】
カット対象である絵、文字等のオブジェクトの周囲に作成された枠のサイズに基づいて予め設定してある計算式により推奨されるトンボサイズを算出するトンボサイズ算出ステップと、
前記算出されたトンボサイズのトンボを前記枠の角に設けるトンボ設定ステップと、
を含むことを特徴とするカッティング方法。
【請求項7】
カット対象である絵、文字等のオブジェクトの周囲に作成された枠のサイズ毎に推奨されるトンボサイズを対応付けたトンボサイズテーブルとしてコンピュータに記憶されていることを特徴とするデータ構造。

【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図7】
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【図8】
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【図10】
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【図2】
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【図5】
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【図6】
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【図9】
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【図11】
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