説明

カップホルダー

【課題】 カップの外周面を被覆するカップホルダーとして、従来から段ボール製のものが使用されているが、段ボール製のカップホルダーでは、手触り感が悪く、見た目が安っぽく、厚さ方向に嵩張り、冷たい飲料入りカップには適さない、等の欠点がある。
【解決手段】 断熱性と吸水性を有する基材シート2と柔軟で全面に多数の微小孔31を形成した多孔シート3とを積層してなる積層シート11を、多孔シート3が外側になる状態でカップCの外周面を被覆し得る筒状に成形してカップホルダーとしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、カップの外周面を被覆するカップホルダーであって、熱い飲料用と冷たい飲料用の両方に適用できるカップホルダーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
飲料カップとして、一般に紙カップ、プラスチックカップ、ガラスカップ、陶磁器カップ等が使用されている。又、飲料としては、スープ、お茶、ホットコーヒー等の熱い飲料や、ビール、ウイスキーの水割り、ジュース等の冷たい飲料がある。そして、熱い飲料を入れたカップでは、カップ自体が熱くなって直接手で持てなくなることがあり、他方、冷たい飲料を入れたカップでは、大気中の水分がカップ表面付近で冷却されてカップ外周面に結露するようになる。
【0003】
そこで、従来から、段ボール製のカップホルダーが提供されているが、この段ボール製のカップホルダーは、片面が波形で片面が平板の段ボール原紙を筒状に成形したものである。尚、段ボール製のカップホルダーは、波形部分が断熱層となって熱い飲料入りカップに使用するときは十分な断熱効果が得られ、主として熱い飲料用のカップホルダーとして使用されている。
【0004】
尚、この種の段ボール製カップホルダーとして、例えば特開2000−229677号公報(特許文献1)、特開2004−105603号公報(特許文献2)等に示されるものがある。特許文献1のものは、段ボールの波形部分が内面に向く状態で筒状に成形されており、特許文献2のものは、段ボールの波形部分が外面に向く状態で筒状に成形されている。
【0005】
【特許文献1】特開2000−229677号公報
【特許文献2】特開2004−105603号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、上記した段ボール製のカップホルダーでは、次の(1)〜(4)のような問題があった。
【0007】
(1) 古紙を主原料とした段ボール原紙で製作されているため材質が硬く、従って手触り感が悪い。特に、段ボールの波形部分が外面に向く状態で装着されるカップホルダー(例えば特許文献2のもの)では、手指が波形部分に接触するので、手触り感が一層悪くなる(ゴツゴツした手触り感になる)。又、段ボールの波形部分が内面に向く状態で装着されるカップホルダー(例えば特許文献1のもの)では、カップホルダーの外面が平滑面で比較的硬質であるので、指が滑り易くなる。
【0008】
(2) 段ボールは一般に茶色のものが多く、このような段ボール製のカップホルダーでは、見た目が安っぽく見える。
【0009】
(3) 段ボール製のものでは、波形部分があるので厚さ方向に嵩張り、ホルダー付きのカップを持ったときに違和感を感じる。
【0010】
(4) 段ボール製のカップホルダーは紙製であるので、冷たい飲料入りカップに使用する場合には、長時間使用しているとカップ外周面で結露した水を多量に吸収してふやけてしまうので、冷たい飲料用には適さない。
【0011】
他方、多人数が集まる立食パーティ等では、自分が使用していたカップがどれだったか識別できなくなって困ることがある。その場合、自分のカップを識別するために、例えばカップホルダーに名前を書くことが考えられるが、それには筆記具が必要であるとともに、名前を書くのは感覚的に抵抗がある。
【0012】
本願発明は、上記した段ボール製カップホルダーの各種問題点を改善し得るとともに、自分が使用しているカップを容易に且つさりげなく識別できるようにするための工夫を施したカップホルダーを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本願発明は、上記課題を解決するための手段として次の構成を有している。尚、本願発明は、熱い飲料入りカップ及び冷たい飲料入りカップの両方に適用できるカップホルダーを対象にしている。
【0014】
本願請求項1の発明
本願請求項1の発明のカップホルダーは、断熱性と吸水性を有する基材シートと柔軟で全面に多数の微小孔を形成した多孔シートとを積層してなる積層シートを、多孔シートが外側になる状態でカップの外周面を被覆し得る筒状に成形したものである。
【0015】
基材シートは、断熱性と吸水性を有するものであれば、適宜の材質のものが採用可能であるが、例えば木材パルプと合成樹脂繊維との混合粉砕シートを使用すると、比較的薄いもの(例えば坪量が100g/m2程度)でも、カップホルダーとして十分な断熱性と吸水性を確保できる。
【0016】
多孔シートは、柔軟性のある合成樹脂の薄シート製で、シート全面に多数の微小孔を形成している。この多孔シートは、各微小孔の大きさ(穴径)が200〜500μ程度で、該微小孔の密度が1cm2当たり50〜150個程度のものを使用できる。尚、これらの数値は特に限定するものでなく、適宜に設計変更できる。
【0017】
基材シートと多孔シートとは、溶剤(ホットメルト)又は熱溶融により、全面あるいは部分的に接着して積層シートとしている。尚、基材シートと多孔シートとの接着は、多孔シートの各微小孔をできるだけ塞がないようにするために、小面積範囲でスポット的に行うことが好ましい。
【0018】
そして、このカップホルダーは、適用すべきカップの大きさ(外径、高さ)に応じて弓形帯状の所定面積に裁断した積層シートを使用し、該積層シートを多孔シートが外側になる状態で両端部を止着(例えば接着)することによって、筒状に成形されている。このカップホルダーの高さ幅は、特に限定するものではないが50〜70mm程度が適当である。又、カップホルダーの内面は、適用されるカップの外周面の傾斜と同じように下方側が若干細くなるように設計されている。尚、カップの外径は、数種類の大きさのものがあるが、そのカップ外径に合わせて、直径の異なる複数種類のカップホルダーを製作することができる。
【0019】
このカップホルダーをカップ外周面に装着するには、該カップホルダーをカップの下方からカップ外周面にかぶせるが、カップホルダーの大きさ(内径)として、ホルダー下端縁がカップ外周面の下端を少し超えた位置で基材シート内面がカップ外周面に全面接触するようなものが好ましい。
【0020】
この請求項1のカップホルダーは、使用時にカップ外周面に装着するが、その装着状態では、基材シートの内周面の全面がカップ外周面に接触している一方、多孔シートが外面側に露出している。そして、この多孔シートは柔軟なシート製であるので、カップホルダーの外面を持ったときの接触感覚が良好となる。又、この多孔シートには、全面に多数(高密度)の微小孔が形成されているので、多孔シートの外表面に僅かなザラザラ感があり、カップホルダーの外面を持ったときに手指が滑りにくくなる。
【0021】
そして、カップ内に熱い飲料を入れた場合には、カップ外周面を断熱性のある基材シートで被覆しているので、飲料の熱がカップホルダーの外面まで伝わりにくく、熱い飲料を入れたカップでもさほどの熱さを感じない。又、基材シート部分には、飲料からの熱が蓄熱されていくが、基材シート外側の多孔シートには、多数の微小孔が形成されているので、基材シートに伝わった熱が各微小孔を通ってカップホルダーの全周から放出され、カップホルダーの外面が過度に熱くなる(手指で持てない熱さになる)ことがない。又、基材シートによる断熱性は、カップ内の飲料を保温する機能も有している。
【0022】
他方、カップ内に冷たい飲料を入れた場合には、カップ外周面付近の空気が冷やされて空気中の水分がカップ外周面に結露するが、カップ外周面における基材シートが接触している部分は、接触空気量が少ないので結露水はごく僅かしか発生しない。又、カップ外周面の露出部分には結露水が発生するが、カップを持つときにはカップホルダー部分を把持するので結露水が手指に付着することはない。又、カップホルダーより上方のカップ外周面で結露した結露水の量が多くなると、カップ外周面を伝って流下するが、その流下結露水は、カップホルダーの基材シート部分に吸収される。尚、カップホルダーで被覆されている部分のカップ外周面にも、僅かではあるが結露水が発生するが、その結露水は直ちに基材シート中に吸収される。そして、基材シート部分は、時間の経過に伴って水分吸収量が多くなっていくが、外層の多孔シートに多数の微小孔が形成されているので、基材シートに吸収した水分が順次各微小孔から蒸発していき、1つのカップホルダーを長時間使用していても、カップホルダーの外表面がさほどベトつくことがない(カップホルダーの外面を把持しても不快感が生じない)。
【0023】
本願請求項2の発明
本願請求項2の発明は、上記請求項1のカップホルダーにおいて、多孔シートとして、厚さ方向に弾性変形可能な断面凹凸形状で各微小孔を基材シート側に凹んだ各凹部に形成したものを使用しているとともに、積層シートの外面側を押圧したときに多孔シートの各凸部が押し潰されて当該押圧部に位置する各微小孔が閉口するようにしている。
【0024】
尚、この請求項2のカップホルダーの場合は、基材シートと多孔シートとは、外周縁部は全長に亘って接着させてもよいが、使用状態において手指で把持する部分(上下幅の中央寄り部分)はごく小面積範囲ずつスポット的に接着させる。
【0025】
この請求項2のカップホルダーでは、カップに装着した状態でホルダー外周面を把持すると、多孔シートにおける手指による押圧部に位置する各凸部が押し潰されるが、そのとき各凹部にある微小孔の口縁部が近接する側に押されて、当該押圧部の各微小孔が閉口するようになる。このように、手指による押圧部の各微小孔が閉じるようにすると、多孔シートを使用したものであっても、基材シートに吸収している水分が微小孔から多孔シート外面側に滲み出しにくくなる。
【0026】
本願請求項3の発明
本願請求項3の発明は、上記請求項1又は2のカップホルダーにおいて、積層シートの上縁部と下縁部の少なくとも一方に、波形状に連続する複数個の山形部を設けるとともに、該各山形部の付け根部分に該山形部を折曲又は切除するための間欠切断部を形成している。
【0027】
波形状の山形部は、周方向の複数箇所(例えば6〜10箇所)に設けている。各山形部の付け根部に形成した間欠切断部は、ごく小長さ範囲を残してミシン目等の切断線を入れたもので、該間欠切断部で折曲したり切り離したりするとができるようになっている。尚、各山形部及び間欠切断部は、積層シートをカップホルダー用に型取りする際に、同時に加工できる。
【0028】
そして、この請求項3のカップホルダーでは、適宜の山形部を折曲したり切除したりすることで、自分が使用するカップを他の人のものと識別するための目印とすることができる。尚、複数箇所の山形部を折曲したり切除したりして識別目印にする際には、目印とする山形部の個数・位置・切除と折曲の併用等により色々な組み合わせができる。
【発明の効果】
【0029】
本願請求項1の発明の効果
本願請求項1の発明のカップホルダーでは、内層側に断熱性と吸水性を有する基材シートと外層側に柔軟で多数の微小孔を形成した多孔シートとを積層してなる積層シートを使用しているので、次のような効果がある。
【0030】
(1) 古紙を主原料とした段ボール製のものより、見た目及び手触り感が良好になるとともに、カップへの装着性(フイット性)も良好になる。
【0031】
(2) 熱い飲料入りカップに使用すると、基材シート(カップ外周面に接触している)に断熱機能があるので、カップホルダーの外面がさほど熱くならず、他方、冷たい飲料入りカップに使用すると、基材シートに吸水機能があるので、カップ外周面で結露する水を該基材シート中に吸収できる。従って、熱い飲料用と冷たい飲料用の両方にそれぞれ有効に利用できる。
【0032】
(3) 外面側の多孔シートには、シート全面に多数の微小孔が形成されているので、多孔シートの外表面に僅かなザラザラ感があり、カップホルダーの外面を持ったときに手指が滑りにくくなる。
(4) 多孔シートに形成している各微小孔は通気性を有するので、基材シートに蓄熱された熱を多孔シートの微小孔を通して放出させたり、基材シートに吸収した水分を微小孔を通して蒸発させたりすることができる。従って、カップホルダーを長時間使用していても、熱い飲料入りの場合にホルダー表面が過度に熱くならず、冷たい飲料入りの場合に基材シート中に結露水が過度に吸収されたままにならない(ベトベトにならない)。
【0033】
本願請求項2の発明の効果
本願請求項2の発明のカップホルダーでは、積層シートの外面側を手指で押圧したときに、多孔シートの各凸部が押し潰されて当該押圧部に位置する各微小孔が閉口するようになる。従って、この請求項2のカップホルダーでは、上記請求項1の効果に加えて、内層側の基材シートに水分(結露水)を吸収していても、カップホルダーを把持したときに該水分が微小孔から多孔シート外面側に滲み出しにくくなる(手指が濡れにくくなる)という効果がある。
【0034】
本願請求項3の発明の効果
本願請求項3の発明のカップホルダーでは、積層シートの上縁部(又は下縁部)に複数個の山形部を設けて、各山形部を付け根部分で折曲したり切除できるようにしている。従って、この請求項2のカップホルダーでは、上記請求項1又は2の効果に加えて、適宜の山形部を折曲したり切除したりすることで、自分が使用するカップを他の人のものと識別するための目印とすることができる。又、この各山形部は、デザイン性を有する形状であり、識別目印としての機能のほかに意匠面での機能を有するという効果がある。
【0035】
尚、山形部の折曲又は(及び)切除による識別目印は、他人には誰が付けたか解らず(本人だけが解る)、例えば名前を記入する場合のような抵抗感はない。
【実施例】
【0036】
以下、図1〜図6を参照して本願の実施例を説明すると、この実施例のカップホルダー1は、基材シート2と多孔シート3とを積層してなる積層シート11で、図1及び図2に示すようにカップCの外周面を被覆し得る筒状に成形したものである。
【0037】
この実施例で使用する基材シート2は、図4及び図5に拡大図示するように、木材パルプと合成樹脂繊維との混合粉砕シートからなる中層材21の表裏各面に、それぞれ合成樹脂繊維製の薄シートからなる表層材22,23を接着させて一体化させたものである。
【0038】
基材シート2の中層材21は、木材パルプ(バージンパルプ)と合成樹脂繊維(例えば、ポリプロピレン、ポリエチレンの複合繊維)とを混合・粉砕してシート状に成形したものである。この実施例では、中層材21として、ポリプロピレンとポリエチレンの複合繊維が30%で、木材パルプが70%の割合で混合したものを使用している。
【0039】
基材シート2の各表層材22,23は、熱溶融可能な合成樹脂繊維(例えば、ポリエステルをホリエチレンで被覆した繊維)をシート状にしたものである。この各表層材22,23は、坪量が10g/m2程度の薄シートを採用している。
【0040】
そして、基材シート2は、中層材21の表裏に各表層材22,23を接合し、それらを熱接着させて1枚のシート状に成形している。この基材シート2では、中層材21を構成する混合粉砕シートの内部に微小な空隙が多く存在しており、その空隙によって吸水(保水)機能と断熱機能を有する構造となっている。尚、この基材シート2は、比較的薄いもの(例えば坪量が100g/m2程度)でも、カップホルダーとして十分な断熱性と吸水性を確保できる。
【0041】
多孔シート3は、合成樹脂製で柔軟な薄シートで、シート全面に多数の微小孔31,31・・(図4〜図6参照)を形成したものが使用されている。又、この多孔シート3のシート材は、図4〜図6に拡大図示するように断面凹凸形状を有し(シート全面にエンボス加工を施している)、厚さ方向に弾性変形可能となっている。即ち、図5及び図6に示すように、シートの凸部32側を手指Fで押圧すると、押圧された部分の各凸部32,32・・が容易に押し潰されるようになっている(図6参照)。エンボス状の凹凸部(凸部32と凹部33)は、1cm2当たり50〜150個程度の密度で形成されている。尚、図5及び図6において、作図上、多孔シート3の各凸部32,32・・の大きさ(間隔)に対して手指Fの大きさを極端に小さく表示しているが、実際には図5及び図6上において手指Fの大きさが数倍となる。
【0042】
この多孔シート3には、シート全面に亘って多数の微小孔31,31・・が形成されている。この各微小孔31,31・・は、多孔シート3と基材シート2を積層させたときの基材シート側に接する各凹部33,33・・にそれぞれ形成されている(図4〜図6参照)。従って、この微小孔31,31・・も、1cm2当たり50〜150個程度の密度で形成されている。又、この各微小孔31,31・・の大きさ(穴径)は、例えば200〜500μ程度である(図4〜図6では超拡大図示している)。
【0043】
そして、基材シート2と多孔シート3とは、溶剤(ホットメルト)又は熱溶融により、部分的に接着して積層シート11としている。尚、このカップホルダー1では、多孔シート3に微小孔31,31・・を形成している関係で、図3に示す展開状態の積層シート11において、その外周縁部は全周に亘って接着させてもよいが、使用時に手指Fで把持する上下幅の中央寄り部分は、ごく小面積範囲ずつスポット的に接着させるようにするとよい。
【0044】
この実施例のカップホルダー1は、積層シート11を展開状態で図3に示す形状に裁断したものが使用されている。この図3の積層シート11は、適用されるカップCの外周面を被覆し得る長さよりやや長い長さの弓形帯状で、成形時の上側となる縁部に波形状に連続する複数個の山形部13,13・・を形成している。尚、この山形部13,13・・は、図示例では合計8個形成しているが、適宜の個数(例えば6〜10個)に設定できる。又、各山形部13,13・・の付け根部分には、それぞれ間欠切断部14を形成している。この各間欠切断部14,14・・は、ごく小長さ範囲を残してミシン目等の切断線を入れたもので、各山形部13,13・・を折曲したり(符号13′)切除(符号13″)したりするためのものである。尚、各山形部13及び間欠切断部14は、積層シート11をカップホルダー用に型取りする際に、同時に加工される。
【0045】
そして、図3に示す展開状態の積層シート11は、その両端部11a,11aを連結(熱溶着)することによって、図1に示す筒状のカップホルダー1に成形される。尚、この実施例では、積層シート両端部(図3の符号11a,11a)の結合部12は、図1及び図2に示すように外向きに折曲して突き合わせているが、平面状態のままで重合させてもよい。
【0046】
このカップホルダー1の高さ幅は、50〜70mm程度が適当である。カップホルダー1の内面は、適用されるカップCの外周面の傾斜と同じように下方側が若干細くなっている。尚、カップCの外径は、数種類の大きさのものがあるが、そのカップ外径に合わせて、直径の異なる複数種類のカップホルダーを製作することができる。又、このカップホルダー1はカップCの下方から装着されるが、その装着状態で、図1及び図2に示すように、ホルダー下端縁がカップ外周面の下端を少し超えた位置において基材シート2の内面がカップ外周面に全面接触するような大きさのものが好ましい。
【0047】
このカップホルダー1は、保管時には2つ折り状態に折畳むことができる。そして、使用時にカップホルダー1を膨らせて、図1及び図2に示すようにカップCの下方からカップ外周面に装着する。この装着状態では、基材シート2の内周面の全面がカップ外周面に接触しており、多孔シート3が外面側に露出している。
【0048】
多孔シート3は、柔軟なシート製であるので、カップホルダー1の外面を持ったときに接触感覚が良好となる。又、多孔シート3には、高密度で多数の凹凸部(凸部32,凹部33)が形成されているので、多孔シート3の外表面に僅かなザラザラ感があり、カップホルダー1の外面を持ったときに手指Fが滑りにくくなる。尚、本願請求項1のように、多孔シート3に凹凸部を特定しないものでは、各微小孔31,31・・により、多孔シート3の外表面に僅かなザラザラ感を現出させることができ、それによって滑り止め機能を発揮させることができる。
【0049】
そして、カップC内に熱い飲料を入れた場合には、カップ外周面を断熱性のある基材シート2で被覆しているので、飲料の熱がカップホルダー1の外面まで伝わりにくく、熱い飲料を入れたカップでもさほどの熱さを感じない。又、基材シート2部分には、飲料からの熱が蓄熱されていくが、基材シート外側の多孔シート3には、多数の微小孔31,31・・が形成されているので、基材シート2に伝わった熱が各微小孔31,31・・を通ってカップホルダー1の全周から放出され、カップホルダーの外面が過度に熱くなる(手指で持てない熱さになる)ことがない。又、基材シート2による断熱性は、カップ内の飲料を保温する機能も有している。
【0050】
他方、カップC内に冷たい飲料を入れた場合(図2では氷入りの冷たい飲料が入っている)には、カップ外周面付近の空気が冷やされて空気中の水分がカップ外周面に結露するが、カップ外周面における基材シート2が接触している部分は、接触空気量が少ないので結露水はごく僅かしか発生しない。又、カップ外周面の露出部分には結露水が発生するが、カップCを持つときにはカップホルダー部分を把持するので結露水が手指に付着することはない。又、カップホルダーより上方のカップ外周面で結露した結露水の量が多くなると、カップ外周面を伝って流下するが、その流下結露水は、カップホルダー1の基材シート2部分に吸収される。尚、カップホルダーで被覆されているカップ外周面にも、僅かではあるが結露水が発生するが、その結露水は直ちに基材シート2中に吸収される。そして、基材シート2部分は、時間の経過に伴って水分吸収量が多くなっていくが、外層の多孔シート3に多数の微小孔31,31・・が形成されているので、基材シート2に吸収した水分が順次各微小孔31,31・・から蒸発していき、1つのカップホルダー1を長時間使用していても、カップホルダーの外表面がさほどベトつくことがない(カップホルダーの外面を把持しても不快感が生じない)。
【0051】
又、このカップホルダー1では、カップCに装着した状態でホルダー外周面を把持すると、多孔シート3における手指Fによる押圧部に位置する各凸部32,32・・が図6に符号32′で示すように押し潰されるが、そのとき各凹部33′,33′・・にある微小孔31,31・・の口縁部が近接する側に押されて、当該押圧部の各微小孔が符号31′で示すように閉口するようになる。このように、手指Fによる押圧部の各微小孔が閉じる(符号31′)と、内層側の基材シート2に水分(結露水)を吸収していても、該水分が微小孔31′から多孔シート3の外面側に滲み出しにくくなる。従って、多孔シート3に微小孔31を設けたものであっても、カップC(カップホルダー1の外面)を摘まんだときに手指Fが濡れにくくなる。
【0052】
又、このカップホルダー1を、例えば多人数が集まる立食パーティ等で使用する場合には、適宜の山形部13を折曲したり(符号13′)切除したり(符号13″)することで、自分が使用するカップを他の人のものと識別するための目印とすることができる。尚、複数箇所の山形部13を折曲したり切除したりして識別目印にする際には、個数・位置・折曲と切除の併用、等により色々な組み合わせができる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本願実施例のカップホルダーの斜視図である。
【図2】図1のII−II断面相当図である。
【図3】図1のカップホルダーの展開図である。
【図4】図1のカップホルダーに使用しているシート材の拡大分解断面図である。
【図5】図2のV部の拡大断面図である。
【図6】図5からの状態変化図である。
【符号の説明】
【0054】
1はカップホルダー、2は基材シート、3は多孔シート、11は積層シート、13は山形部、14は間欠切断部、31は微小孔、32は凸部、33は凹部、Cはカップである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
断熱性と吸水性を有する基材シート(2)と柔軟で全面に多数の微小孔(31,31・・)を形成した多孔シート(3)とを積層してなる積層シート(11)を、多孔シート(3)が外側になる状態でカップ(C)の外周面を被覆し得る筒状に成形していることを特徴とするカップホルダー。
【請求項2】
請求項1において、多孔シート(3)として、厚さ方向に弾性変形可能な断面凹凸形状で各微小孔(31,31・・)を基材シート(2)側に凹んだ各凹部(33,33・・)に形成したものを使用しているとともに、積層シート(11)の外面側を押圧したときに多孔シート(3)の各凸部(32,32・・)が押し潰されて当該押圧部に位置する各微小孔(31,31・・)が閉口するようにしていることを特徴とするカップホルダー。
【請求項3】
請求項1又は2において、積層シート(11)の上縁部と下縁部の少なくとも一方に、波形状に連続する複数個の山形部(13,13・・)を設けるとともに、該各山形部(13,13・・)の付け根部分に該山形部を折曲又は切除するための間欠切断部(14)を形成していることを特徴とするカップホルダー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−232342(P2006−232342A)
【公開日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−50530(P2005−50530)
【出願日】平成17年2月25日(2005.2.25)
【出願人】(391047916)ブイテック株式会社 (4)
【Fターム(参考)】