説明

カップラー

【課題】 簡単な操作で確実に連結でき、わずかなスペースに設置することもできるカップラーを提供しようとするものであり、これに加えて、1種類のものだけを識別して着脱することができるカップラーを提供すること。
【解決手段】 ソケットS10とプラグP10との間に連結状態を保持する連結保持手段20として、プラグP10にロックアーム23を設け、他方のソケットS10にロックアーム23が係合されるアーム係合部21を設けて連結時に乗越え可能とする。
そして、ソケットS10とプラグP10だけを乗越えさせる簡単な操作で確実に連結することができるようにしている。
このカップラーをメタノール燃料電池に適用すれば、確実な連結ができ、しかも必要な濃度のメタノールのみを識別して供給したり、容器ごと取り替えることができるようになる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はソケットとプラグとで構成され着脱可能に連結されるカップラーに関し、液体などを容器から本体側の容器などに移す場合や容器ごと交換する場合に簡単な操作で確実に連結することができ、加えて1種類だけを識別して簡単な操作で連結することができるようにするもので、特にメタノール燃料電池のカートリッジ容器と燃料電池本体との間に設けて好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来から機器の運転や使用にともなって減少する原料などの液体を補充する必要がある場合も多く、機器本体側に設けた容器にカートリッジ容器を連結して原料などの液体を移すことで供給したり、機器本体側の容器と別の容器を付け替えることで供給することが行われている。
【0003】
このような容器同士の連結や容器の付け替えを簡単にするため着脱可能な種々のカップラーが用いられている。
【0004】
例えば特許文献1には、図16に示すように、連結装置が開示されており、主流路と副流路とを備えたプラグPと、主流路と副流路とを備えプラグと嵌合可能であるとともに、嵌合した状態でプラグの主流路と副流路とを連通可能なソケットSとから構成されている。
【0005】
そして、この連結装置では、ソケットSは保持体1に固定された弁押体2の外周に形成された主流路2aと、さらに主流路2aの外側に形成された副流路2bと、それらの流路2a,2bを閉じるバルブ3a、3bを有し、各バルブ3a、3bはスプリング4a,4bの付勢力によって弁座に向けて押圧され、主流路2aおよび副流路2bを閉じることができる構成となっている。
【0006】
一方、プラグPは弁保持体5に摺動自在に保持された弁本体6の外周に形成された主流路6aと、さらに主流路6aの外側に形成された副流路6bと、それらの流路6a,6bを閉じるバルブ7a,7bを有し、各バルブ7a,7bはスプリング8a,8bの付勢力によって弁座に向けて押圧され、主流路6aおよび副流路6bを閉じることができる構成となっている。
【0007】
このようなソケットSとプラグPの接続がなされると、まず、ソケットSの副バルブ3bとプラグPの副バルブ7bが当接し、両者がそれぞれスプリング4b,8bの付勢力に抗して互いに離れる方向に移動し、副流路2b,6bが連通する。
【0008】
さらに、ソケットSとプラグPの接続がなされると、ソケットSの主バルブ3aがプラグPの内筒体の端面によって押され、スプリング4aに抗して後退して弁体が弁押体2の弁座から離れ、弁押体2との主流路2aを開くとともに、ソケットS側の弁押体の先端部平面とプラグP側の弁本体6に設けた弁部材の平面とが当接しプラグP側の弁本体6をスプリング8aの付勢力に抗して押圧し、弁本体を後退させてプラグP側の主バルブ7aを開き主流路6aと連通する。
【0009】
これにより、副流路が連通すると気体供給源から容器内に気体が供給され、その気体圧によって内袋を収縮させ、内袋内の液体がプラグ側の主流路からソケット側の主流路を介して液体を容器外に送出することができる。
【特許文献1】特開2003−172487号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
このような連結装置を、例えばメタノール燃料電池の燃料の補給用のカップラーや容器ごとの取り替えによる補給用のカップラーとして利用する場合、簡単な操作で確実に連結できるものが必要となるとともに、メタノール燃料電池の仕様により必要とされるメタノールの濃度(純度)が一定でなく、多種類の濃度のものが必要となっている。
【0011】
このため、簡単な操作で確実に連結でき、しかもそれぞれのメタノール燃料電池の仕様に合致した濃度の燃料だけを供給でき、他の濃度のものを誤って供給することがなく、わずかなスペースに設置することができるカップラーの開発が望まれている。
【0012】
この発明は、上記従来技術の課題に鑑みてなされたもので、簡単な操作で確実に連結でき、わずかなスペースに設置することもできるカップラーを提供しようとするものであり、これに加えて、1種類のものだけを識別して着脱することができるカップラーを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記従来技術の有する課題を解決するためこの発明の請求項1記載のカップラーは、弁体とこれを閉方向に付勢する付勢手段とを備えるソケットと、弁体とこれを閉方向に付勢する付勢手段とを備えるとともに、前記ソケットと着脱可能に嵌合連結され嵌合連結状態で両弁体を開放して連通可能なプラグとから構成されるカップラーであって、これらソケットとプラグとの間に連結状態を保持する連結保持手段を設け、この連結保持手段を、前記ソケットと前記プラグとのいずれか一方にロックアームを設け、いずれか他方にこのロックアームが係合されるアーム係合部を設けて構成し、これらロックアームとアーム係合部との少なくともいずれか一方を連結時に乗越え可能に構成したことを特徴とするものである。
【0014】
このカップラーによれば、ソケットとプラグとの間に連結状態を保持する連結保持手段として、ソケットとプラグとのいずれか一方にロックアームを設け、いずれか他方にこのロックアームが係合されるアーム係合部を設けて少なくともいずれか一方を連結時に乗越え可能とすることで、ソケットとプラグだけを乗越えさせる簡単な操作で確実に連結することができるようになる。
これにより、メタノール燃料電池に容器内のメタノールを供給したり、容器ごと取り替えることなどが簡単な操作で確実にできるようになる。
【0015】
また、この発明の請求項2記載のカップラーは、請求項1記載の構成に加え、前記ロックアームおよび前記アーム係合部の先端部の少なくとも一方を連結挿入先端側から基端側に向かって高さが増加する傾斜面として乗越え可能に構成してなることを特徴とするものである。
【0016】
このカップラーによれば、前記ロックアームおよび前記アーム係合部の先端部の少なくとも一方を連結挿入先端側から基端側に向かって高さが増加する傾斜面とすることで、容易に乗り越えて係合させることができるようにしている。
【0017】
さらに、この発明の請求項3記載のカップラーは、請求項1または2記載の構成に加え、前記ロックアームおよび前記アーム係合部の基端部に、乗越えた後に互いが係合される当該ロックアームの係合面および当該アーム係合部の係合面を形成し、これら係合面同士を、それぞれ連結挿入方向に対してほぼ垂直面で構成してなることを特徴とするものである。
【0018】
このカップラーによれば、ロックアームおよびアーム係合部が互いに乗越えた後に係合される係合面を形成し、これら係合面同士を、それぞれ連結挿入方向に対してほぼ垂直面で構成することで、確実に連結状態を保持できるようにしている。
【0019】
また、この発明の請求項4記載のカップラーは、請求項2記載の構成に加え、前記アーム係合部に備える前記係合面および前記ロックアームに備える前記係合面の少なくとも一方を、連結挿入方向に対して傾いたテーパ面あるいは曲面で構成してなることを特徴とするものである。
【0020】
このカップラーによれば、ロックアームおよびアーム係合部が互いに乗越えた後に係合される係合面の少なくとも一方を、連結挿入方向に対して傾いたテーパ面あるいは曲面で構成することで、係合による連結状態を保持するとともに、ある程度以上の大きな力に対しては、連結状態が解除されるようにしている。
【0021】
さらに、この発明の請求項5記載のカップラーは、請求項1記載の構成に加え、前記ロックアームと前記アーム係合部とを、少なくともいずれか一方を、連結挿入方向に交差する方向に弾性変形させて乗越え可能に構成してなることを特徴とするものである。
【0022】
このカップラーによれば、ロックアームとアーム係合部とを、少なくともいずれか一方を、連結挿入方向に交差する方向に弾性変形させて乗越え可能に構成することで、簡単な操作で確実に連結したり、解除できるようにしている。
【0023】
また、この発明の請求項6記載のカップラーは、請求項1記載の構成に加え、前記ロックアームと前記アーム係合部との少なくともいずれか一方に、別体の弾性変形部材を設けて乗越え可能に構成してなることを特徴とするものである。
【0024】
このカップラーによれば、ロックアームとアーム係合部との少なくともいずれか一方に、別体の弾性変形部材を設けて乗越え可能に構成することで、ばねなどの別部材によっても簡単な操作で確実に連結したり、開放できるようにしている。
【0025】
さらに、この発明の請求項7記載のカップラーは、請求項6記載の構成に加え、前記別体の弾性変形部材を、前記ソケットまたは前記プラグを覆う蓋体と兼用して乗越え可能に構成したことを特徴とするものである。
【0026】
このカップラーによれば、別体の弾性変形部材を、ソケットまたはプラグを覆う蓋体と兼用して乗越え可能に構成することで、連結の保持解除とともに、ソケットやプラグを蓋体で保護できるようにしている。
【0027】
また、この発明の請求項8記載のカップラーは、請求項1〜7のいずれかに記載の構成に加え、前記アーム係合部を被設置部材の凹部に設け、前記ロックアームをこの凹部に挿入して当該アーム係合部に連結可能に構成したことを特徴とするものである。
【0028】
このカップラーによれば、アーム係合部を被設置部材の凹部に設け、ロックアームをこの凹部に挿入して当該アーム係合部に連結可能に構成することで、例えば本体側の凹部によってアーム係合部を外側に突き出さないように設置することができるようになる。
【0029】
さらに、この発明の請求項9記載のカップラーは、請求項1〜8のいずれかに記載の構成に加え、前記ロックアームの前記係合面を、挿入方向内側または外側に向けて設けてなることを特徴とするものである。
【0030】
このカップラーによれば、ロックアームの係合面を、挿入方向内側または外側に向けて設けることで、外向きまたは内向きのアーム係合部の契合面と組み合わせて簡単な操作で連結したり、解除できるようになる。
【0031】
また、この発明の請求項10記載のカップラーは、請求項1〜9のいずれかに記載の構成に加え、前記ロックアームおよび前記アーム係合部を、対向する2ヶ所に設けて構成したことを特徴とするものである。
【0032】
このカップラーによれば、ロックアームおよびアーム係合部を、対向する2ヶ所に設けて構成することで、確実な連結状態を少ない設置スペースで確保できるようにしている。
【0033】
さらに、この発明の請求項11記載のカップラーは、請求項10記載の構成に加え、前記2ヶ所の前記ロックアームおよび前記アーム係合部を、被設置部材の厚さと直交する位置に配置して構成したことを特徴とするものである。
【0034】
このカップラーによれば、2ヶ所のロックアームおよびアーム係合部を、被設置部材の厚さと直交する位置に配置して構成することで、薄い被設置部材であっても設置スペースを確保できるようにしている。
【0035】
また、この発明の請求項12記載のカップラーは、請求項1〜11のいずれかに記載の構成に加え、前記ロックアームに、前記アーム係合部との係合を解除するための操作部を設けて構成したことを特徴とするものである。
【0036】
このカップラーによれば、ロックアームに、アーム係合部との係合を解除するための操作部を設けて構成することで、解除操作を確実にできるようになり、特に係合面が垂直な場合の解除が容易にできるようになる。
【0037】
さらに、この発明の請求項13記載のカップラーは、請求項1〜12のいずれかに記載の構成に加え、前記連結保持手段の前記ロックアームを被設置部材であるプラグ側に設ける一方、前記アーム係合部を被設置部材である本体側に設けて構成したことを特徴とするものである。
【0038】
このカップラーによれば、連結保持手段の前記ロックアームを被設置部材であるプラグ側に設ける一方、前記アーム係合部を被設置部材である本体側に設けて構成することで、本体側の凹凸をなくして設置できるようになる。
【0039】
また、この発明の請求項14記載のカップラーは、請求項1〜13のいずれかに記載の構成に加え、前記ソケットと前記プラグとのいずれか一方にキーを、いずれか他方に前記キーが挿入されるキー溝を備え、これらキーおよびキー溝を、その形状、数、設置位置の少なくともいずれかを変えて識別連結可能な識別連結機構を構成したことを特徴とするものである。
【0040】
このカップラーによれば、ソケットとプラグとのいずれか一方にキーを、いずれか他方に前記キーが挿入されるキー溝を備え、これらキーおよびキー溝を、その形状、数、設置位置の少なくともいずれかを変えて識別連結可能な識別連結機構を構成することで、必要な種類を簡単に識別して連結できるようになる。
【0041】
さらに、この発明の請求項15記載のカップラーは、請求項14記載の構成に加え、前記識別連結機構を、前記ロックアームと前記アーム係合部の形状、数、設置位置の少なくともいずれかを変えて構成したことを特徴とするものである。
【0042】
このカップラーによれば、識別連結機構を、前記ロックアームと前記アーム係合部の形状、数、設置位置の少なくともいずれかを変えて構成することで、キーやキー溝によることなく、ロックアームとアーム係合部とで必要な種類を簡単に識別して連結することもできるようになる。
【0043】
また、この発明の請求項16記載のカップラーは、請求項1〜15のいずれかに記載の構成に加え、前記ソケットおよび前記プラグに、それぞれ同色の識別部を設けて識別可能に構成したことを特徴とするものである。
【0044】
このカップラーによれば、ソケットおよびプラグに、それぞれ同色の識別部を設けて識別可能に構成することで、視覚的に識別することもできるようになる。
【発明の効果】
【0045】
この発明の請求項1記載のカップラーによれば、ソケットとプラグとの間に連結状態を保持する連結保持手段として、ソケットとプラグとのいずれか一方にロックアームを設け、いずれか他方にこのロックアームが係合されるアーム係合部を設けて少なくともいずれか一方を連結時に乗越え可能としたので、ソケットとプラグだけを乗越えさせる簡単な操作で確実に連結することができる。
これにより、メタノール燃料電池に容器内のメタノールを供給したり、容器ごと取り替えることなどが簡単な操作で確実に行うことができる。
【0046】
また、この発明の請求項2記載のカップラーによれば、前記ロックアームおよび前記アーム係合部の先端部の少なくとも一方を連結挿入先端側から基端側に向かって高さが増加する傾斜面としたので、容易に乗り越えて係合させることができる。
【0047】
さらに、この発明の請求項3記載のカップラーによれば、ロックアームおよびアーム係合部が互いに乗越えた後に係合される係合面を形成し、これら係合面同士を、それぞれ連結挿入方向に対してほぼ垂直面で構成したので、確実に連結状態を保持することができる。
【0048】
また、この発明の請求項4記載のカップラーによれば、ロックアームおよびアーム係合部が互いに乗越えた後に係合される係合面の少なくとも一方を、連結挿入方向に対して傾いたテーパ面あるいは曲面で構成したので、係合による連結状態を保持することができるとともに、ある程度以上の大きな力に対しては、連結状態が自動的に解除されるようになる。
【0049】
さらに、この発明の請求項5記載のカップラーによれば、ロックアームとアーム係合部とを、少なくともいずれか一方を、連結挿入方向に交差する方向に弾性変形させて乗越え可能に構成したので、簡単な操作で確実に連結したり、解除することができる。
【0050】
また、この発明の請求項6記載のカップラーによれば、ロックアームとアーム係合部との少なくともいずれか一方に、別体の弾性変形部材を設けて乗越え可能に構成したので、ばねなどの別部材によっても簡単な操作で確実に連結したり、開放することができる。
【0051】
さらに、この発明の請求項7記載のカップラーによれば、別体の弾性変形部材を、ソケットまたはプラグを覆う蓋体と兼用して乗越え可能に構成したので、連結の保持解除とともに、ソケットやプラグを蓋体で保護することができる。
【0052】
また、この発明の請求項8記載のカップラーによれば、アーム係合部を被設置部材の凹部に設け、ロックアームをこの凹部に挿入して当該アーム係合部に連結可能に構成したので、例えば本体側の凹部によってアーム係合部を外側に突き出さないように設置することができる。
【0053】
さらに、この発明の請求項9記載のカップラーによれば、ロックアームの係合面を、挿入方向内側または外側に向けて設けたので、外向きまたは内向きのアーム係合部の契合面と組み合わせて簡単な操作で連結したり、解除することができる。
【0054】
また、この発明の請求項10記載のカップラーによれば、ロックアームおよびアーム係合部を、対向する2ヶ所に設けて構成したので、確実な連結状態を少ない設置スペースで確保することができる。
【0055】
さらに、この発明の請求項11記載のカップラーによれば、2ヶ所のロックアームおよびアーム係合部を、被設置部材の厚さと直交する位置に配置して構成したので、薄い被設置部材であっても設置スペースを確保することができる。
【0056】
また、この発明の請求項12記載のカップラーによれば、ロックアームに、アーム係合部との係合を解除するための操作部を設けて構成したので、解除操作を確実におこなうことができ、特に係合面が垂直な場合の解除を容易に行うことができる。
【0057】
さらに、この発明の請求項13記載のカップラーによれば、連結保持手段の前記ロックアームを被設置部材であるプラグ側に設ける一方、前記アーム係合部を被設置部材である本体側に設けて構成したので、本体側の凹凸をなくして設置することができる。
【0058】
また、この発明の請求項14記載のカップラーによれば、ソケットとプラグとのいずれか一方にキーを、いずれか他方に前記キーが挿入されるキー溝を備え、これらキーおよびキー溝を、その形状、数、設置位置の少なくともいずれかを変えて識別連結可能な識別連結機構を構成したので、必要な種類を簡単に識別して連結することができる。
【0059】
さらに、この発明の請求項15記載のカップラーによれば、識別連結機構を、前記ロックアームと前記アーム係合部の形状、数、設置位置の少なくともいずれかを変えて構成したので、キーやキー溝によることなく、ロックアームとアーム係合部とで必要な種類を簡単に識別して連結することができる。
【0060】
また、この発明の請求項16記載のカップラーによれば、ソケットおよびプラグに、それぞれ同色の識別部を設けて識別可能に構成したので、視覚的に識別することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0061】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づき詳細に説明する。
図1〜図3はこの発明のカップラーの弁体およびその付勢手段を省略して示す一実施の形態にかかり、図1はソケットの縦断面図及び底面図、プラグの平面図及び縦断面図、図2は連結保持手段の説明縦断面図、図3は識別連結機構を設けた場合のソケットの縦断面図及び底面図、プラグの平面図及び縦断面図である。
【0062】
このカップラー10は、ソケットS10と、このソケットS10と嵌合連結されるプラグP10とで構成され、例えばメタノール燃料電池の本体側にソケットS10が設けられ、メタノール容器としてのカートリッジ側にプラグP10が設けられ、互いを連通させて本体側に燃料を補充したり、カートリッジごと交換するのに用いられ、主要部は、非金属材料、例えばポリプロピレン、ポリフェニレンサルファイドなどの合成樹脂で作られる。
【0063】
以下の説明では、図面上での上下を基準に説明するが、実際の容器本体への装着方向を何ら制限するものでなく、どのような方向で実施しても良い。
【0064】
このカップラー10のソケットS10は、燃料電池の本体に形成された凹状の装着孔に取り付けられる略円筒状のソケット部材11の中心部に略円筒状のソケット本体12が取り付けられて構成され、ソケット本体12の中間部外周の2本の突条部12aを介してソケット部材11の溝部に位置決めされている。
【0065】
このソケット本体12には、中間部に仕切り部12bが一体に形成され、この仕切り部12bを貫通して中心部に流路12cが形成され、この仕切り部12bの基端部側(図中、上端部側)の流路12cには、図示しない弁体およびこれを閉方向に付勢する弾性体が設けてあり、仕切り部12bの先端部側(図中、下端部側)の流路12cにプラグPとの連結用のプラグ連結孔12dが形成してある。
【0066】
このプラグ連結孔12dは、上方が小径で下方が大径の2段円筒状の中間部に円錐部が形成されて構成されている。
【0067】
そして、このソケットS10では、図示しない弁体と一体の操作部をプラグP10との連結にともなって操作することで、自動的に弁体が開閉されるようになっている。
【0068】
次に、このようなソケットS10に嵌合連結されるカップラー10のプラグP10は、例えばソケットS10と同様に主要部は、非金属材料、例えばポリプロピレン、ポリフェニレンサルファイドなどの合成樹脂で作られる。
【0069】
このプラグP10は、図1(b)に示すように、図示しない燃料電池の燃料であるメタノールがいれられる容器のノズルの先端部外周に装着される略円筒状のプラグ本体16を備えており、プラグ本体16の基端部(図中、下端部)の2重円筒状の外側大径部16aの下端内周の係止リング部16bに図示しない容器のノズルが係止され、内側小径部16cが容器のノズル内に挿入されて容器に取り付けられる。
【0070】
このプラグ本体16には、先端部に突き出してソケットS10のプラグ連結孔12dに装着される略円筒状の突出連結部16dが形成してあり、この突出連結部16dを含むプラグ本体16の中心部に流路16eが貫通して形成してある。
【0071】
このプラグ本体16内には、ソケットS10と同様に、図示しない弁体およびこれを閉方向に付勢する弾性体が設けてある。
【0072】
ソケットS10のプラグ連結孔12dに装着されるプラグP10の突出連結部16dは、プラグ連結孔12dの内側形状に対応して上方が小径で下方が大径の2段円筒状で中間部の段差部にシール用のOリング17が装着してある。これにより、プラグ連結孔12dの下方の大径部にOリング17が挿入されると、Oリング17の外周面によるシールが開始され、さらにプラグ連結孔12dの円錐部にOリング17が当たることで、先端面でもシールされる。
【0073】
そして、このプラグP10では、弁体と一体の操作部をソケットS10との連結にともなって操作することで自動的に弁体が開閉され、連結状態とすることで、プラグP10の流路16eとソケットS10の流路12cとがシール状態で連通されるようになる。
【0074】
このようなカップラー10では、ソケットS10とプラグP10との連結状態を保持するため連結保持手段20が設けられ、例えば連結保持手段20の一方側をアーム係合部21などとし、相手側をロックアーム23などとして構成し、互いを乗越えるように押込む1アクションで係合させて連結保持でき、引き出すようにする1アクションで解除できるようにしてある。
【0075】
そして、このカップラー10のソケットS10では、燃料電池の本体の装着孔に取り付けたソケット部材11の先端部に連結保持手段20の一方側となるアーム係合部21が設けられ、図1(a)に示すように、ソケット部材11の先端部に形成した2つのロック用溝22内に設けられ、2つのロック用溝22が、例えば矩形に形成されてプラグ連結孔12dの中心軸を挟んで対向して設けてあり、これら2つの対角位置のロック用溝22の内側に突き出してそれぞれアーム係合部21が形成してあり、相手側となる後述するプラグP10側のロックアーム23が係合されるようになっている。
【0076】
このような対角位置の2箇所にロック用溝22を形成し、その内側にアーム係合部21を形成することで、厚さと直交する方向に沿って2つのロック用溝22を配置してアーム係合部21を形成することができ、設置スペースを極力小さくすることができ、厚さの薄い装置などにも簡単に設置することができる。
【0077】
このアーム係合部21は、連結時および解除時の乗越えを容易とするため、下端部が斜めに切り欠かれた傾斜面21aとされるとともに、上端部が乗越えた後のロックアーム23を係合状態とする係合面21bとされ、ここでは、下端部と逆の傾斜面としてあり、下端から中間までが下端から次第に高さが高くなり、中間から上端までは、次第に高さが低くなるように形成してある。
【0078】
一方、このカップラー10のプラグP10では、図1(b)に示すように、プラグ本体16の先端部に、ソケットS10との連結状態を保持する連結保持手段20の相手側として、ソケットS10の2つのロック用溝22内のアーム係合部21に対応して2本のロックアーム23が上方に突き出して形成してある。
【0079】
これら2本のロックアーム23は、例えば外側面が外側大径部16aと同一径の円弧状とされ、内側面が平面とされてその先端部内側に突出した係合部24がそれぞれに形成され、互いが中心軸を挟んで対向するよう配置してあり、それぞれの円周方向の幅がロック用溝22に挿入できるようにしてある。
【0080】
そして、ロックアーム23の係合部24は、連結時および解除時の乗越えを容易とするため、上端部が斜めに切り欠かれた傾斜面24aとされるとともに、下端部が乗越えた後のロックアーム23を係合状態とする係合面24bとされ、ここでは、上端部と逆の傾斜面としてあり、アーム係合部21とは逆に、上端から中間までが上端から次第に高さが高くなり、中間から下端までは、次第に高さが低くなるように形成してある。
【0081】
なお、ロックアーム23の係合部24がアーム係合部21を乗越えるようにして連結したり、解除することからロック用溝22には、ロックアーム23の乗越え変形可能なクリアランスがそれぞれのアーム係合部21の外側に設けてある。
【0082】
このように構成したカップラー10では、図2に示すように、ソケットS10とプラグP10とを連結保持する場合には、ソケットS10のプラグ連結孔12dにプラグP10の突出連結部16dを挿入するとともに、連結保持手段20のアーム係合部21が設けてあるソケット部材11のロック用溝22に対向させてロックアーム23を押し込むようにする。
すると、ソケットS10のプラグ連結孔12dの下方の大径部にプラグP10の突出連結部16dのOリング17が挿入されると、Oリング17の外周面によるシールが開始され、ソケットS10およびプラグP10の弁体同士に設けられた図示しない操作部によって連結操作にともなって自動的に弁体が開かれ、プラグP10の流路16eとソケットS10の流路12cとがシール状態で連通されるようになり、さらにプラグ連結孔12dの円錐部にOリング17が当たることで、先端面でもシールされ、一層完全なシール状態となる。
【0083】
このような連結操作にともなって連結保持手段20では、アーム係合部21の下端の傾斜面21aとロックアーム23の係合部24の先端の傾斜面24aとの接触で、ロックアーム23が外側に広がるように押されて弾性変形し、さらにプラグP10を押し込むことで、アーム係合部21とロックアーム23の係合部24が互いを乗越えながらアーム係合部21の係合面21bとロックアーム23の係合部24の係合面24bとが接触する係合状態となり、連結状態が保持される。
【0084】
一方、連結保持状態を解除する場合には、ソケットS10からプラグP10を引き抜くようにすると、アーム係合部21の係合面21bとロックアーム23の係合部24の係合面24bとが傾斜面で構成してあるので、ロックアーム23を外側に押し広げるように弾性変形させることができ、さらに引き抜くようにして互いを乗り越えさせることで、連結保持状態を解除することができる。
【0085】
このようなカップラー10によれば、押し込み・引き抜き操作だけでソケットS10とプラグP10とを連結したり、連結を解除することができ、1アクションで簡単に操作することができる。これにより、設置スペースを小さくすることができ、例えば挿脱と回動とを組み合わせて連結保持状態とする機構(ツイストロック機構)に比べ、回動のためのスペースを確保する必要がなく、一層省スペースとなる。
【0086】
また、連結保持状態で、傾斜面同士で係合面21bと係合面24bとを構成して係合させるようにしているので、プラグP10などに大きな力が加わる過負荷状態となると、カップラー10の構成部品が折れたり、破損することなくロックアーム23の弾性変形でロック状態が解除され、安全にプラグP10がソケットS10から外れるようになる。
【0087】
したがって、アーム係合部21の係合面21bとロックアーム23の係合部24の係合面24bの傾斜面の角度を挿入・引き抜き方向に対して直角に近くして傾斜を急にすればするほど、係合力を大きくして外れ難くすることができ、逆に緩やかな傾斜とすれば、係合力を小さくして過負荷に対する破損などを防止することができるので、これらの点を考慮して傾斜面の角度を設定すれば良い。
【0088】
さらに、このカップラー10では、アーム係合部21とロックアーム23の係合部24を乗越えるようにして連結保持状態としたり、連結状態を解除するようにしたので、特に連結操作の際、乗越えた後に係合状態となることで、クリック感が生じ、確実に係合状態になったことを知ることができる。
【0089】
なお、この連結保持手段20で、例えばメタノール燃料電池で使用すべき燃料であるメタノールの濃度の異なるプラグP10を連結できないようにするための識別連結手段のひとつとして、2つのロック用溝22およびアーム係合部21の円周方向の大きさ(幅)を変えるとともに、相手側のプラグP10のロックアーム23も対応して大きさ(幅)を変えることで、識別機能を付加することができる。
【0090】
また、このカップラー10には、例えばメタノール燃料電池で使用すべき燃料であるメタノールの濃度の異なるプラグP10を挿入連結できないようにするための他の識別連結手段30として、一方側にキー溝31を、他方側にキー32を設けて構成してあり、例えば図3に示すように、ソケットS10にキー溝31が、プラグP10にキー32が設けられる。
【0091】
この識別連結手段30の一方側のソケットS10のキー溝31は、ソケット本体12のプラグ連結孔12dの下端部内周の対角位置の2ヶ所に形成してある。そして、識別連結手段30の他方側のプラグP10のキー32は、プラグ本体16の突出連結部16dの下端部外周の対角位置の2ヶ所にキー溝31に対応して形成してある。
【0092】
これにより、このカップラー10では、一定の位置に配置した連結保持手段20の一方側のロック用溝22内のアーム係合部21と相手側のロックアーム23の係合部24とに対して、この識別連結手段30の一方側の2つの対角位置のキー溝31と相手側の2つの対角位置のキー32の角度を変えることで、完全に1つのソケットS10と1つのプラグP10とだけが挿入連結でき、他のものと識別することができる。
【0093】
したがって、例えば対角位置の2つのキー溝31および2つのキー32の角度を、図3に示すように、10度ずつ変えることで、18種類の識別が可能となる。
【0094】
そして、この識別連結機構30では、連結保持手段20がロック用溝22のアーム係合部21とロックアーム23の係合部24とを挿脱するだけで回動しないので、キー溝31とキー32との間に回動のための移動範囲を確保する必要がなく、僅かなスペースに設置することができるとともに、キー溝31とキー32の配置の自由度が増大する。
【0095】
なお、このような識別連結機構30の2つのキー溝31および2つのキー32のなす角度を変えることを連結保持手段20に組み合わせることで、多くの識別が可能となる。
【0096】
また、識別パターンをさらに増大する必要がある場合には、互いのなす角度に加え、2つのキー溝31および2つのキー32のそれぞれの大きさや形状などを変えたり、キー自体の数を増やすことで識別パターンを大幅に増大することが可能となる。
【0097】
一方、このように識別できるパターンが多くなると、キーやキー溝の配置を外観上見分けることが難しくなるが、たとえば、嵌合連結可能なカップラー10のソケットS10とプラグP10とを同一色で色分けしたり、同一色彩模様とすることを、組み合わせることで、一層簡単に識別することができる。
【0098】
さらに、識別機構の1つとして、連結保持手段20のロック用溝22のアーム係止部21およびロックアーム23の係合部24の大きさを変えることにより反転して連結できないようにするため、円周方向の大きさ(幅)を変えるようにするだけでなく、放射方向の大きさ(高さ)を変えて反転して連結できないようにしても良く、さらに、形状として、奥行きなどを変えるようにしても良い。
【0099】
また、2つのロックアームの配置を対角位置とせず、角度を変えるようにしても良く、対角位置とする場合が、連結保持する場合の連結部に加わる力のバランスが良く、カップラー自体の厚さを薄く構成することができ、設置スペースを最小にすることかできる。
【0100】
さらに、識別手段のキーの横断面形状は、例えば略4角形としたり、他の形状であっても良く、特に樹脂成形上、割り型とする必要がある場合には、キーの横断面形状を割り型に対応させて変えるようにすれば、成形も容易となる。
【0101】
また、ロック用溝のアーム係合部とロックアームをソケットとプラグとで互いに入れ替えて設けるようにしたり、キー溝とキーを互いに入れ替えて設けるようにしても良く、さらに、キー溝とキーとをソケットSとプラグPとの間に代えて、ロック用溝とロックアームとの間に設けるようにしても良い。
【0102】
なお、カップラーの用途としてメタノール燃料電池のメタノールの容器と本体との連結の場合を例に説明したが、これに限らず他の用途でも良く、特に多種類を識別する必要がある場合に好適である。
【0103】
次に、この発明のカップラーの他の一実施の形態について、図4および図5に基づいて説明するが、すでに説明した、上記実施の形態と同一部分には、同一記号を記し、重複する説明は省略する。
【0104】
このカップラー10Aは、カップラー10とは、主として連結保持手段40が異なるもので、アーム係合部41が金属製や合成樹脂製などのばね材で別体に作られ、外側に突き出すようにロック用溝42内に取り付けてある。このアーム係合部41は、板材の先端部を略U字状に曲げることで、下端部の傾斜面41aと上端部の逆方向の係合面41bを形成してあり、平坦部をソケット部材11に指し込むように取り付けてあり、ソケット本体12の外周面との間に弾性変形を可能とする隙間が形成してある。
【0105】
一方、連結保持手段40の他方側となるロックアーム43は、上端部に係合部44が内側に突き出すように形成され、先端部が挿脱方向と平行な略平面44aとされ、その下方に傾斜面の係合面44bが形成してある。
【0106】
なお、このカップラー10Aの他の構成は、すでに説明したカップラー10と同一であるが、ここでは、突出連結部16dのOリング17に代えてプラグ連結孔12dの円錐部にOリング17が装着してある構成が異なる。
【0107】
このように構成したカップラー10Aでは、すでに説明したカップラー10と同様にして、図示しない両弁体が連結操作にともなう操作部によって開弁されて流路12cと流路16eとが連通される。
【0108】
そして、連結操作にともない連結保持手段40では、図5に示すように、プラグP10Aのロックアーム43がロック用溝42に挿入されて押し込まれると、ばね材で作られたアーム係合部41が係合部44で内側に押されるように弾性変形し、ロックアーム43の係合部44がアーム係合部41を乗越えた後、アーム係合部41が元の位置に戻って係合面41b、44bが係合し、連結状態が保持される。
【0109】
一方、連結を解除する場合には、ソケットS10AからプラグP10Aを引き抜くようにすると、アーム係合部41が弾性変形して内側に押され、ロックアーム43の係合部44を乗り越えさせることで、解除することができる。
【0110】
このようなカップラー10Aによってもすでに説明したカップラー10と同一の作用効果を奏するとともに、ソケットやプラグの構成材料とは別の材料でアーム係合部を構成することで、ソケットやプラグの構成材料の選択の自由度を高めることができる。
【0111】
また、識別連結機構を付加することで、連結できるソケットS10AとプラグP10Aを識別できるようになることは言うまでもない。
【0112】
次に、この発明のカップラーの他の一実施の形態について、図6および図7に基づいて説明するが、すでに説明した、上記実施の形態と同一部分には、同一記号を記し、重複する説明は省略する。
【0113】
このカップラー10Bは、カップラー10、10Aとは、主として連結保持手段50が異なるもので、アーム係合部51が、先端が略半球状の往復突出部材51aとこれを前方に突き出すように付勢するコイルばね51bとで構成され、ロック用溝52内に側方の外側から内側に往復突出部材51aが突き出すように取り付けてある。
【0114】
一方、連結保持手段50の他方側となるロックアーム53は、上端部に係合部54が外側に突き出すように形成され、先端部が挿脱方向と平行な略平面54aとされ、その下方に挿脱方向とほぼ直角な係合面54bが形成してある。
【0115】
なお、このカップラー10Bの他の構成は、すでに説明したカップラー10Aと同一であり、カップラー10とは、突出連結部16dのOリング17に代えてプラグ連結孔12dの円錐部にOリング17が装着してある構成で異なる。
【0116】
このように構成したカップラー10Bでは、すでに説明したカップラー10、10Aと同様にして、図示しない両弁体が連結操作にともなう操作部によって開弁されて流路12cと流路16eとが連通される。
【0117】
そして、連結操作にともない連結保持手段50では、図7に示すように、プラグP10Bのロックアーム53がロック用溝52に挿入されて押し込まれると、アーム係合部51の往復突出部材51aがコイルばね51bに抗して係合部54で外側に押され、ロックアーム53の係合部54がアーム係合部51の往復突出部材51aを乗越えた後、往復突出部材51aがコイルばね51bで押し戻されて係合面54bの下方に係合し、連結状態が保持される。
【0118】
一方、連結を解除する場合には、ソケットS10BからプラグP10Bを引き抜くようにすると、アーム係合部51の往復突出部材51aがコイルばね51bに抗して外側に押され、ロックアーム53の係合部54を乗り越えさせることで、解除することができる。
【0119】
このようなカップラー10Bによってもすでに説明したカップラー10、10Aと同一の作用効果を奏するとともに、コイルばね51bの強さを調整することが容易となり、ソケットやプラグの係合力を簡単に調整することが可能となる。
【0120】
また、識別連結機構を付加することで、連結できるソケットS10BとプラグP10Bを識別できるようになることは言うまでもない。
【0121】
以上説明した3つの実施の形態の連結保持手段20、40、50では、ソケットSとプラグPとの連結・解除を押し込みと引き抜きの挿脱操作だけでできるようにしてあり、これにより、連結状態で、万一過負荷状態となる大きな力が加わったときに、連結が解除できるようにしている。
【0122】
次に、連結保持の解除を、解除操作によって行うようにする連結保持手段を備えるカップラーの一実施の形態について、図8および図9により説明するが、すでに説明した上記実施の形態と同一部分については、同一記号を記し重複する説明は省略する。
【0123】
カップラー10Cの連結保持手段60では、ソケットS10Cに一方側のアーム係合部61が設けられ、ロック用溝62の対角位置に外側に向けて2ヶ所設けてある。そして、このアーム係合部61の下端部に傾斜面61aが設けられ、上端部の係合面61bが挿脱方向と直交する直角面で構成してある。
【0124】
また、連結保持手段60の他方側のロックアーム63がプラグP10Cに係合部64を内側に向けて2つ設けられ、ロックアーム63の下端面に開閉の支点とする切り欠き溝63aが形成されるとともに、ロックアーム63と一体に操作部63bがプラグ本体16の外側に沿って設けてある。そして、係合部64の上端部が傾斜面64aとされ、下端部の係合面64bが挿脱方向と直交する直角面で構成してある。
【0125】
したがって、このカップラー10Cでは、連結保持手段60のロックアーム63をアーム係合部61が設けられたロック用溝62に押し込むようにすると、ロックアーム63の係合部64の先端部の傾斜面64aとアーム傾合部61の下端の傾斜面61aとが接触することでロックアーム63がその下端面の切り欠き溝63aを支点として外側に押し広げられながら乗越えるようにして押し込まれて係合状態となる。
【0126】
すると、係合状態では、ロックアーム63の係合部64の係合面64bがアーム係合部61の係合面61bと接触した状態となり、互いの係合面61b,64bが引き抜き方向と直交する平面で構成してあるので、このままでは引き抜くことのできない連結状態となる。
【0127】
一方、連結を解除する場合には、ロックアーム63の操作部63bを閉じるようにすると、ロックアーム63がその下端面の切り欠き溝63aを支点として係合部64を開くように操作され、ロックアーム63の係合部64の係合面64bをロックアーム61の係合面61bから外すことができ、この状態で引き抜くことでロックを解除することができる。なお、この場合、係合面を傾斜面とし、引き抜きやすさ及び係合力を調整しても良い。
【0128】
なお、このカップラー10Cの他の構成は、すでに説明したカップラー10等と同一である。
【0129】
このように構成したカップラー10Cでは、すでに説明したカップラー10などと同様にして、図示しない両弁体が連結操作にともなう操作部によって開弁されて流路12cと流路16eとが連通される。
【0130】
このようなカップラー10Cによってもすでに説明したカップラー10等と同一の作用効果を奏するとともに、連結状態を確実に保持することができる。
【0131】
また、識別連結機構を付加することで、連結できるソケットS10CとプラグP10Cを識別できるようになることは言うまでもない。
【0132】
次に、連結保持の解除を、解除操作によって行うようにする連結保持手段を備えるカップラーの他の一実施の形態について、図10および図11により説明するが、すでに説明した上記実施の係態と同一部分については、同一記号を記し重複する説明は省略する。
【0133】
カップラー10Dの連結保持手段70では、ソケットS10Dに一方側のアーム係合部71が設けられ、ロック用溝72の対角位置の2ヶ所に挿脱方向の孔72aとこの孔72aの底部から外側に向けて形成した孔72bとで形成された直角な角部でアーム係合部71が構成され、挿脱方向と直交する水平面が係合面71aとしてある。
【0134】
また、連結保持手段70の他方側のロックアーム73がプラグ本体16の外側大径部16aの下端部から外側に張り出した後上方に向かう略逆P字状に湾曲させて一体的に成形してあり、各ロックアーム73の上端部外側に係合部74が設けてあり、係合部74の側面が傾斜面74aとされ、下端面が挿脱方向と直交する水平面の係合面74bとしてある。
【0135】
そして、ロックアーム73の下端部の外側に張り出した部分が操作部73aとされ、両側の操作部73aを内側に押し縮めるように弾性変形させて閉じることで、ロックアーム73の上端部の係合部74を内側に押し戻すことができるようにしてある。
【0136】
したがって、このカップラー10Dでは、連結保持手段70のロックアーム73をアーム係合部71が設けられたロック用溝72に押し込むようにすると、ロックアーム73の係合部74の先端部の傾斜面74aとアーム傾合部71の孔71a側面とが接触することでロックアーム73がその下端部を支点として弾性変形で内側に押し縮められながら押し込まれ、互いを乗越えて係合状態となる。
【0137】
すると、係合状態では、ロックアーム73の係合部74の係合面74bがアーム係合部71の係合面71aと接触した状態となり、互いの係合面71a,74bが引き抜き方向と直交する平面で構成してあるので、このままでは引き抜くことのできない連結状態となる。
【0138】
一方、連結を解除する場合には、ロックアーム73の操作部73aを閉じるようにすると、ロックアーム73がその下端部を支点として弾性変形して係合部74が閉じるように操作され、ロックアーム73の係合部74の係合面74bをロックアーム71の係合面71aから外すことができ、この状態で引き抜くことでロックを解除することができる。なお、この場合、係合面を傾斜面とし、引き抜きやすさ及び係合力を調整しても良い。
【0139】
なお、このカップラー10Dの他の構成は、すでに説明したカップラー10等と同一である。
【0140】
このように構成したカップラー10Dでは、すでに説明したカップラー10などと同様にして、図示しない両弁体が連結操作にともなう操作部によって開弁されて流路12cと流路16eとが連通される。
【0141】
このようなカップラー10Dによってもすでに説明したカップラー10等と同一の作用効果を奏するとともに、連結状態を確実に保持することができ、操作部73aを操作して解除するまで連結状態を保持することができる。
【0142】
また、識別連結機構を付加することで、連結できるソケットS10DとプラグP10Dを識別できるようになることは言うまでもない。
【0143】
次に、連結保持手段をソケットまたはプラグを覆う蓋体を、互いを乗越え可能とする弾性変形部材と兼用して構成したカップラーの一実施の形態について、図12および図13により説明するが、すでに説明した上記実施の形態と同一部分については、同一記号を記し重複する説明は省略する。
【0144】
カップラー10Eの連結保持手段80では、ソケットS10Eに一方側のアーム係合部81としての蓋体82が設けられ、プラグP10Eに他方側のロックアーム83が設けられる。
【0145】
ソケットS10Eに設けられる一方側のアーム係合部81としての蓋体82は、プラグ連結孔12dの下端を覆ってプラグP10Eの挿入方向と直交する左右方向にスライド可能にソケット部材11の下端部に設けてあり、プラグ連結孔12dを開閉することができるようになっている。
【0146】
この蓋体82は左端部に介装されたコイルばね82aによって閉じる方向に付勢されている。
【0147】
そして、この蓋体82の先端部に突き出して2本のフォーク状の係合部82bが設けてあり、この係合部82bをスライドさせて他方側のロックアーム83の係合部84に挿脱することで連結状態を保持したり、解除できるようにしてある。
【0148】
また、蓋体82の上面には、操作用の突条82cが設けてあり、蓋体82を確実に開閉操作できるようにしてある。
【0149】
連結保持手段80の他方側のロックアーム83は、プラグP10Eに突き出して蓋体82の開閉方向と直交する方向に2本設けられ、先端部外側に係合部84が設けられて外側に係合溝84aが形成してあり、図12に示すように、これまで説明した実施の形態のロックアームに対し90度回転した厚さ方向に沿って配置してある。
【0150】
そして、2つの係合溝84aの間隔がアーム係合部81の蓋体82に形成したフォーク状係合部82bの間隔に合わせてあり、図13に示すように、ロックアーム83の係合部84の係合溝84aにアーム係合部81の蓋体82のフォーク状係合部82bを指し込むことで、係合でき連結状態が保持される。
【0151】
すなわち、この連結保持手段80では、アーム係合部81の蓋体82を操作用突条82cに指をかけてコイルばね82aに抗して後退させてプラグ連結孔12dを開いた状態とし、ソケットS10EにプラグP10Eの突出連結部16dを挿入して連結する。
【0152】
そして、連結がなされたところで蓋体82を押えていた指を離すと、コイルばね82aによって蓋体82が閉じられるように移動し、先端部のフォーク状係合部82bがロックアーム83の係合部84の係合溝84aに指し込まれ、連結状態が保持される。
【0153】
連結状態を解除する場合には、蓋体82をコイルばね82aに抗して後退させることで、先端部のフォーク状係合部82bがロックアーム83の係合部84の係合溝84aから抜き出され、連結状態が解除され、こののち、プラグP10Eを引き抜くようにする。
【0154】
このような連結保持手段80をソケットS10EまたはプラグP10Eを覆う蓋体82を互いを乗越え可能とする弾性変形部材と兼用して指による操作で乗越え可能に構成したカップラー10Eでも、すでに説明したカップラー10等と同一の作用効果を奏するとともに、連結状態を確実に保持することができ、使用しない場合のプラグ連結孔を覆うことで、埃の付着などを防止することができる。
【0155】
また、識別連結機構をプラグ連結孔と突出連結部の間などに設けるようにすることで、連結できるソケットS10EとプラグP10Eを識別できるようになることは言うまでもない。
【0156】
次に、連結保持手段をソケットまたはプラグを覆う蓋体を、互いを乗越え可能とする弾性変形部材と兼用して構成したカップラーの他の一実施の形態について、図14および図15により説明するが、すでに説明した上記実施の形態と同一部分については、同一記号を記し重複する説明は省略する。
【0157】
カップラー10Fの連結保持手段90では、ソケットS10Fに一方側のアーム係合部91および蓋体92が設けられ、プラグP10Fに他方側のロックアーム93が設けられる。
【0158】
ソケットS10Fに設けられる一方側の蓋体92は、すでに説明した上記実施の形態とほぼ同一に構成されてプラグ連結孔12dの下端を覆ってプラグP10Fの挿入方向と直交する左右方向にスライド可能にソケット部材11の下端部に設けてあり、プラグ連結孔12dを開閉することができ、この蓋体92が左端部に介装されたコイルばね92aによって閉じる方向に付勢されている。なお、この蓋体は、フォーク状係合部を備えていない。
【0159】
そして、この蓋体92の先端部と対向してアーム係合部91が配置され、往復突出部材91aとこれを前方に付勢するコイルばね91bとで構成してある。
【0160】
また、蓋体92の上面には、操作用の突条92bが設けてあり、蓋体92を確実に開閉操作できるようにしてある。
【0161】
連結保持手段90の他方側のロックアーム93は、プラグP10Fに突き出して蓋体92の開閉方向前後に2本設けられて厚さ方向と直交する長手方向に沿って配置され、各ロックアーム93の先端部外側に係合部94が設けられて係合溝94aが形成してある。
【0162】
そして、蓋体92の開閉方向前後のロックアーム93の係合部94の2つの係合溝94aに、蓋体92の先端部およびアーム係合部91の往復突出部材91aを指し込むことで、互いが係合され、連結状態が保持できるようにしてある。
【0163】
すなわち、この連結保持手段90では、アーム係合部91の蓋体92を操作用突条92bに指をかけてコイルばね92aに抗して後退させてプラグ連結孔12dを開いた状態とし、ソケットS10FにプラグP10Fの突出連結部16dを挿入して連結する。
【0164】
そして、連結がなされたところで蓋体92を押えていた指を離すと、コイルばね92aによって蓋体92が閉じられるように移動し、その先端部とアーム係合部91の往復突出部材91aがロックアーム93の係合部94の係合溝94aにそれぞれ指し込まれ、連結状態が保持される。
【0165】
連結状態を解除する場合には、蓋体92をコイルばね92aに抗して後退させることで、その先端部がロックアーム93の係合部94の一方の係合溝94aから抜き出され、この状態でプラグP10Eを引き抜くようにすることで、往復突出部材91aがコイルばね91bに抗して押し戻されて連結状態が解除される。
【0166】
このような連結保持手段90をソケットS10FまたはプラグP10Fを覆う蓋体92およびアーム係合部91を互いを乗越え可能とする弾性変形部材と兼用して指による操作で乗越え可能に構成したカップラー10Fでも、すでに説明したカップラー10等と同一の作用効果を奏するとともに、連結状態を確実に保持することができ、使用しない場合のプラグ連結孔を覆うことで、埃の付着などを防止することができる。
【0167】
また、識別連結機構をプラグ連結孔と突出連結部の間などに設けるようにすることで、連結できるソケットS10FとプラグP10Fを識別できるようになることは言うまでもない。
【0168】
なお、上記各実施の形態でも、第1の実施の形態で説明したように、識別手段の1つとしてロック用溝およびロックアームの大きさを変えることにより反転して連結できないようにするため、円周方向の大きさ(幅)を変えるようにしたり、放射方向の大きさ(高さ)を変えて反転して連結できないようにしても良く、さらに、形状として、奥行きなどを変えるようにしても良い。
【0169】
また、2つのロックアームの配置を対角位置とせず、角度を変えるようにしても良く、対角位置とする場合が、連結保持する場合の連結部に加わる力のバランスが良く、カップラー自体の厚さを薄く構成することができ、設置スペースを最小にすることかできる。
【0170】
さらに、識別手段のキーの横断面形状は、略4角形としたり、他の形状であっても良く、特に樹脂成形上、割り型とする必要がある場合には、キーの横断面形状を割り型に対応した形状とすれば、成形も容易となる。
【0171】
また、嵌合連結可能なソケットとプラグの識別を2つの識別手段を組み合わせて行うように構成したが、これを単独で設けて識別するようにしても良く、この場合には、識別すべき種類ごとにキーやロックアームの大きさや設置位置などを変えるようにすれば良い。
【0172】
さらに、ロック用溝とロックアームをソケットとプラグとで互いに入れ替えて設けるようにしたり、キー溝とキーを互いに入れ替えて設けるようにしても良い。
【0173】
なお、カップラーの用途としてメタノール燃料電池のメタノールの容器と本体との連結の場合を例に説明したが、これに限らず他の用途でも良く、特に多種類を識別する必要がある場合に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0174】
【図1】この発明のカップラーの弁体およびその付勢手段を省略して示す一実施の形態にかかるソケットの縦断面図及び底面図、プラグの平面図及び縦断面図である。
【図2】この発明のカップラーの弁体およびその付勢手段を省略して示す一実施の形態にかかる連結保持手段の説明縦断面図である。
【図3】この発明のカップラーの弁体およびその付勢手段を省略して示す一実施の形態にかかる識別連結機構を設けた場合のソケットの縦断面図及び底面図、プラグの平面図及び縦断面図である。
【図4】この発明のカップラーの弁体およびその付勢手段を省略して示す他の一実施の形態にかかるソケットの縦断面図及び底面図、プラグの平面図及び縦断面図である。
【図5】この発明のカップラーの弁体およびその付勢手段を省略して示す他の一実施の形態にかかる連結保持手段の説明縦断面図である。
【図6】この発明のカップラーの弁体およびその付勢手段を省略して示す一実施の形態にかかるソケットの縦断面図及び底面図、プラグの平面図及び縦断面図である。
【図7】この発明のカップラーの弁体およびその付勢手段を省略して示す一実施の形態にかかる連結保持手段の説明縦断面図である。
【図8】この発明のカップラーの弁体およびその付勢手段を省略して示す他の一実施の形態にかかるソケットの縦断面図及び底面図、プラグの平面図及び操作前後の縦断面図である。
【図9】この発明のカップラーの弁体およびその付勢手段を省略して示す他の一実施の形態にかかる連結保持手段の説明縦断面図である。
【図10】この発明のカップラーの弁体およびその付勢手段を省略して示す一実施の形態にかかるソケットの縦断面図及び底面図、プラグの平面図及び縦断面図である。
【図11】この発明のカップラーの弁体およびその付勢手段を省略して示す一実施の形態にかかる連結保持手段の説明縦断面図である。
【図12】この発明のカップラーの弁体およびその付勢手段を省略して示す一実施の形態にかかるソケットの底面図及び縦断面図、プラグの平面図及び直交する2方向の縦断面図である。
【図13】この発明のカップラーの弁体およびその付勢手段を省略して示す一実施の形態にかかる連結保持手段の説明縦断面図である。
【図14】この発明のカップラーの弁体およびその付勢手段を省略して示す一実施の形態にかかるソケットの縦断面図及び底面図、プラグの平面図及び縦断面図である。
【図15】この発明のカップラーの弁体およびその付勢手段を省略して示す一実施の形態にかかる連結保持手段の説明縦断面図である。
【図16】従来の連結装置の縦断面図である。
【符号の説明】
【0175】
10 カップラー
S10 ソケット
P10 プラグ
11 ソケット部材
12 ソケット本体
12a 突条部
12b 仕切り部
12c 流路
12d プラグ連結孔
16 プラグ本体
16a 外側大径部
16b 係止リング部
16c 内側小径部
16d 突出連結部
16e 流路
17 Oリング
20 連結保持手段
21 アーム係合部
21a 傾斜面
21b 係合面
22 ロック用溝
23 ロックアーム
24 係合部
24a 傾斜面
24b 係合面
30 識別機構
31 キー溝
32 キー
40 連結保持手段
41 アーム係合部
42 ロック用溝
43 ロックアーム
44 係合部
50 連結保持手段
51 アーム係合部
52 ロック用溝
53 ロックアーム
54 係合部
60 連結保持手段
61 アーム係合部
62 ロック用溝
63 ロックアーム
64 係合部
70 連結保持手段
71 アーム係合部
72 ロック用溝
73 ロックアーム
74 係合部
80 連結保持手段
81 アーム係合部
82 蓋体
83 ロックアーム
84 係合部
90 連結保持手段
91 アーム係合部
92 蓋体
93 ロックアーム
94 係合部
なお、付加記号A,B,C.D,E,Fはそれぞれカップラー、ソケット、プラグの異なる実施の形態を示す。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
弁体とこれを閉方向に付勢する付勢手段とを備えるソケットと、弁体とこれを閉方向に付勢する付勢手段とを備えるとともに、前記ソケットと着脱可能に嵌合連結され嵌合連結状態で両弁体を開放して連通可能なプラグとから構成されるカップラーであって、
これらソケットとプラグとの間に連結状態を保持する連結保持手段を設け、この連結保持手段を、前記ソケットと前記プラグとのいずれか一方にロックアームを設け、いずれか他方にこのロックアームが係合されるアーム係合部を設けて構成し、これらロックアームとアーム係合部との少なくともいずれか一方を連結時に乗越え可能に構成したことを特徴とするカップラー。
【請求項2】
前記ロックアームおよび前記アーム係合部の先端部の少なくとも一方を連結挿入先端側から基端側に向かって高さが増加する傾斜面として乗越え可能に構成してなることを特徴とする請求項1記載のカップラー。
【請求項3】
前記ロックアームおよび前記アーム係合部の基端部に乗越えた後に互いが係合される当該ロックアームの係合面および当該アーム係合部の係合面を形成し、これら係合面同士を、それぞれ連結挿入方向に対してほぼ垂直面で構成してなることを特徴とする請求項1または2記載のカップラー。
【請求項4】
前記アーム係合部に備える前記係合面および前記ロックアームに備える前記係合面の少なくとも一方を、連結挿入方向に対して傾いたテーパ面あるいは曲面で構成してなることを特徴とする請求項3記載のカップラー。
【請求項5】
前記ロックアームと前記アーム係合部とを、少なくともいずれか一方を、連結挿入方向に交差する方向に弾性変形させて乗越え可能に構成してなることを特徴とする請求項1記載のカップラー。
【請求項6】
前記ロックアームと前記アーム係合部との少なくともいずれか一方に、別体の弾性変形部材を設けて乗越え可能に構成してなることを特徴とする請求項1記載のカップラー。
【請求項7】
前記別体の弾性変形部材を、前記ソケットまたは前記プラグを覆う蓋体と兼用して乗越え可能に構成したことを特徴とする請求項6記載のカップラー。
【請求項8】
前記アーム係合部を被設置部材の凹部に設け、前記ロックアームをこの凹部に挿入して当該アーム係合部に連結可能に構成したことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のカップラー。
【請求項9】
前記ロックアームの前記係合面を、挿入方向内側または外側に向けて設けてなることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のカップラー。
【請求項10】
前記ロックアームおよび前記アーム係合部を、対向する2ヶ所に設けて構成したことを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載のカップラー。
【請求項11】
前記2ヶ所の前記ロックアームおよび前記アーム係合部を、被設置部材の厚さと直交する位置に配置して構成したことを特徴とする請求項10記載のカップラー。
【請求項12】
前記ロックアームに、前記アーム係合部との係合を解除するための操作部を設けて構成したことを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載のカップラー。
【請求項13】
前記連結保持手段の前記ロックアームを被設置部材であるプラグ側に設ける一方、前記アーム係合部を被設置部材である本体側に設けて構成したことを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載のカップラー。
【請求項14】
前記ソケットと前記プラグとのいずれか一方にキーを、いずれか他方に前記キーが挿入されるキー溝を備え、これらキーおよびキー溝を、その形状、数、設置位置の少なくともいずれかを変えて識別連結可能な識別連結機構を構成したことを特徴とする請求項1〜13のいずれかに記載のカップラー。
【請求項15】
前記識別連結機構を、前記ロックアームと前記アーム係合部の形状、数、設置位置の少なくともいずれかを変えて構成したことを特徴とする請求項14記載のカップラー。
【請求項16】
前記ソケットおよび前記プラグに、それぞれ同色の識別部を設けて識別可能に構成したことを特徴とする請求項1〜15のいずれかに記載のカップラー。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2007−85471(P2007−85471A)
【公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−275598(P2005−275598)
【出願日】平成17年9月22日(2005.9.22)
【出願人】(000003768)東洋製罐株式会社 (1,150)
【出願人】(000222129)東洋エアゾール工業株式会社 (77)
【Fターム(参考)】