説明

カテーテルの偏向を指示するためのシステム

【課題】第一及び第二方向で偏向可能である、近位端と遠位端とを有するプローブからなる装置を提供する。
【解決手段】この装置は、プローブマニプレータを含み、これがプローブ22の近位端に連結され、第一及び第二触知式操縦要素を有する。この要素は、第一及び第二方向のそれぞれで偏向させるようにプローブの使用者26によって操作可能であり、かつ、一方を他方から触感的に識別可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全般的にはカテーテルプローブに関し、特に操縦者によるプローブの操作に関する。
【背景技術】
【0002】
カテーテルのようなプローブは、患者に実施される医療手順中に、患者の体内に挿入され得る。プローブは、患者の内部検査、又は患者の器官のアブレーションのような種々の目的のために使用され得る。
【0003】
患者へのプローブの挿入は、一般的に繊細な手順であり、これは注意深く実施される必要がある。
【0004】
参照により本特許出願に組み込まれる文書は、いずれかの用語が、それらの組み込まれた文書内で、本明細書で明示的又は暗黙的に行なわれる定義と相反するように定義される場合を除き、本出願の一体部分と見なされるべきであり、本明細書における定義のみが考慮されるべきである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一実施形態は、装置を提供するものであり、この装置は、
第一及び第二方向で偏向可能である、近位端及び遠位端を有するプローブと、
プローブの近位端に連結され、第一及び第二触知式操縦要素を含む、プローブマニプレータであって、第一及び第二触知式操縦要素が、遠位端を第一及び第二方向のぞれぞれで偏向させるようにプローブの使用者によって操作可能であり、かつ、一方を他方から触感的に識別可能である、プローブマニプレータと、
を含む。
【0006】
典型的には、第一及び第二触知式操縦要素は、対応する第一及び第二形状を有し、その第一及び第二形状が、互いに異なる。
【0007】
開示された一実施形態において、第一及び第二触知式操縦要素は、対応する第一及び第二合同形状を有し、この中で、第一及び第二形状は異なって配向されている。
【0008】
更なる開示された一実施形態において、第一及び第二触知式操縦要素は、一方を他方から触感的に識別可能である対応する表面を有する。
【0009】
更に他の開示された一実施形態において、第一及び第二触知式操縦要素は、互いに異なる対応する可視的特性を有する。
【0010】
別の一実施形態では、装置は、第一方向及び第二方向での遠位端の偏向に応答して、対応する異なる図形記号を表示するよう構成されたスクリーンを含む。典型的には、第一及び第二触知式操縦要素が、互いに異なる対応する可視的特性を有するよう構成されていて、その対応する図形記号は、対応する可視的特性を含む。スクリーンは、偏向していない状態にある遠位端に応答してさ更なる図形記号を表示するよう構成されていてもよい。
【0011】
更なる別の実施形態において、第一及び第二触知式操縦要素は、二回転対称性によって関連付けられる。
【0012】
更に、本発明の一実施形態により、
第一及び第二方向で偏向可能である、近位端と遠位端とを有するプローブを構成することと、
プローブマニプレータをプローブの近位端に連結させることと、を含む方法であって、該マニプレータが、第一及び第二触知式操縦要素を含み、これらが、遠位端を、第一及び第二方向のそれぞれで偏向させるようにプローブの使用者によって操作可能であり、かつ、一方を他方から触感的に識別可能である、方法を提供する。
【0013】
本開示は、以下の発明を実施するための形態を、以下の図面と併せ読むことによって、より完全に理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態による、プローブの偏向方向を示すためのシステムの概略図。
【図2】本発明の一実施形態による、システムのプローブマニプレータの内部要素を図示する概要図。
【図3】本発明の一実施形態による、システムのプローブの内部要素を図示する概要図。
【図4】本発明の一実施形態による、組み立てられた状態でのプローブマニプレータを図示する概要図。
【図5】本発明の一実施形態による、組み立てられた状態でのマニプレータ、並びに図4の向きから回転されたマニプレータを図示する概要図。
【図6】本発明の一実施形態による、図形記号の表示の概要図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
概論
本発明の実施形態は、2つの方向で偏向可能である遠位端を有するプローブの操作を促進するシステムを提供する。典型的には、2つの方向は互いに反対であり、したがって、例えば遠位端は左方向又は右方向に偏向され得る。プローブマニプレータがプローブの近位端に連結されていて、このマニプレータは2つの操縦要素を有するように構成されている。この操縦要素のうちの1つ操縦要素の操作が、一方向で遠位端を偏向し、他の操縦要素の操作が、他の方向で遠位端を偏向する。
【0016】
典型的には、患者の体内にプローブを挿入するためにマニプレータを使用する操縦者が、例えば所望の位置に遠位端を配置させるために、挿入中又は挿入後に、マニプレータをねじる必要があり得る。操縦者が、どの要素を操作するかを選択するために、操縦要素の位置のような視認可能な合図に典型的に頼っているために、このようなねじれは、どのタイプの偏向をどの操縦要素が引き起こしているのかという混乱を操縦者にもたらし得る。
【0017】
本発明の実施形態は、操縦要素を一方が他方から触感的に識別可能であるように形成することによって、この混乱を克服し、これによって、操縦者は、視認可能な合図に基づくよりはむしろ、手触り又は感触に基づいて、必要とされる操縦要素を選択することが可能となる。
【0018】
システムの説明
以下、本発明の一実施形態による、プローブの偏向方向を示すためのシステム20の概略図である図1を参照する。システム20はカテーテルプローブ22を備え、プローブ22は、医療手順中に患者24の身体内に挿入される。この手順はオペレータ26、典型的には医療専門家により実行される。例として、本明細書の説明で想定される手順は、患者の心臓30へのプローブの遠位端28の挿入を含む。しかしながら、本発明の実施形態は、そのような手順に限定されず、プローブの偏向方向を知ることが必要な、又は知ることを用いる任意の手順に使用できることを理解するであろう。
【0019】
プローブ22は、典型的には遠位端28内の追跡要素も含み、前記追跡要素は、システム20が遠位端の位置及び配向を追跡することを可能とする。例えば、位置及び配向は遠位端内のコイルを使用して測定することができ、コイルは、患者24の外部の磁場送信機により生成された磁場のレベルを検出する。遠位端の位置及び場所を測定するためのこのような技術は、カリフォルニア州ダイヤモンドバーのBiosense Webster社によって製作されたCartoシステムプローブで使用される。例えば遠位端上の電極と患者24の皮膚上の1つ以上の電極との間のインピーダンス測定を使用することによって、遠位端の位置及び配向を追跡するための他の技術は、当該技術分野で既知である。システム20は、これらの技術の1つ以上を使用して遠位端28の位置及び配向を測定することを想定している。簡単及び明確さのために、位置及び配向の追跡に使用される、遠位端内の追跡要素は、略図内に図示されていない。
【0020】
追跡要素からの信号はシステムコントローラ32により処理され、システムコントローラ32は、メモリ36と通信する処理ユニット34を含んでいる。信号はケーブル38を介して移動し、ケーブル38は、プローブ22の追跡要素、並びに遠位端に組み込まれた電極などのプローブの他の要素を、コントローラに接続する。コントローラは、操縦者26の統括的制御下で、メモリ36に記憶されたソフトウェアを使用して、追跡要素からの信号を解析し、並びにシステム20の操作と関連した他の機能を実行する。コントローラ32によって実行される操作の結果は、画面39でオペレータに提示され、画面39は、典型的には、オペレータにグラフィックユーザインタフェースを表示し、及び/又は心臓30の画像を表示する。ソフトウェアは、例えばネットワークを介して電子形式でコントローラ32にダウンロードされてもよく、代替又は追加として、磁気、光学、若しくは電子メモリなどの持続的有形媒体に提供及び/又は記憶されてもよい。
【0021】
プローブ22は、プローブが患者24の体内に挿入されると同時に、二方向のうちの一つで、プローブの遠位端28を偏向することができるよう構成されている。このような二方向偏向可能プローブとその操作が、米国特許出願第2005/0277875号及び同第2008/0255540号(双方ともSelkeeに対して)記載され、参照により本明細書に組み込まれる。二方向偏向可能プローブシステムはまた、Biosense Webster社によって、EZ Steer Bi−Directional Catheterとして製作されている。明確にするために、本明細書の説明において、プローブ22は、米国特許出願第2008/0255540号に記載されたプローブについて説明されたように、概ね構成されると想定される。
【0022】
プローブ22は、プローブの近位端に機械的に接続されているプローブマニプレータ40を含む。操縦者26が、マニプレータを握り、患者の体内及び体外へのプローブの挿入及び退出、並びにプローブを偏向させることを操縦するようにマニプレータを使用する。
【0023】
図2は、本発明の実施形態による、マニプレータ40の内部要素を図示する概略図であり、図3は、プローブ22の内部要素を図示する概略図である。図2及び3を参照しての以下の説明について、右手側の直交するxyz軸系はマニプレータ40に取付けられていると想定され、プローブ22は、マニプレータから正のy方向で延びていると想定され、並びにプローブ及びマニプレータは、この軸によって画定されたx−y平面内に概ね位置していると想定される。上述のxyz軸に適用する本明細書の説明が、単に説明のための目的であって、当業者がプローブ及びマニプレータの他の配向に関する説明に適応できることが理解されるであろう。
【0024】
図2の概略図42、44、及び46は、プローブ22が、それぞれ左に偏向されている、偏向されていない、並びに右に偏向されている場合のプローブマニプレータを図示する。図3の概略図48、50、及び52のそれぞれで左に偏向されている、偏向されていない、並びに右に偏向されている場合の遠位端28を図示する。偏向は、x−y平面内にあり、y軸に対して測定され得ると想定される。図3に示されたように、プローブ22は、対応するアンカー58、60によって遠位端28にて取付けられているプーラワイヤ54とプーラワイヤ56とを含む。ワイヤ54及び56は、プローブ22内の対応する概ね並行な管腔62、64によって拘束されていて、ワイヤは管腔内で滑ることができる。管腔62及び64は、典型的にはプローブ22の中心軸66からほぼ互いに等距離にあり、並びにプローブ22の中心軸66に対して対称的に配置されていて、軸及び管腔は、x−y平面内にあり、x−y平面を画定し得る。
【0025】
図2に示されたように、ワイヤ54及び56は、マニプレータ40に接続されたステアリング組立品68に向かって延びている。ステアリング組立品は、レバー70を含み、このレバーはz軸に対して平行な軸72の周りを回転することができる。レバー70は、2つの滑車74,76を含み、その周囲をワイヤ54及び56がそれぞれ通過している。それらの対応する滑車を通過した後に、ワイヤ54及び56は、それらの端部82、84でバネ86及び88に取付けられる前に、対応するストップ78、80を横断する。
【0026】
概略図44及び50に図示された偏向されていない状態において、プローブ22内のワイヤ54及び56の長さ、すなわちマニプレータ40の遠位端90から延びている長さは、遠位端28がy軸から偏向されないようにほぼ等しい。偏向されていない状態において、端部82及び84は、それらの対応するストップ78及び80に反対にある。
【0027】
概略図42及び48に図示されたように、遠位端28は、左方向に偏向されている。左方向偏向は、システムの偏向されていない状態から、レバー70を反時計回りに回転されることによって達成される。端部82がストップ78との接触を維持しているために、この回転は、プローブ22内のワイヤ54の長さ、すなわち、端部90から端部28までの長さを偏向されていない状態での長さよりも短くなるようもたらす。反時計回りの回転は、滑車76を遠位端90に向かって移動させて、これによって、プローブ22内のワイヤ56の長さを、偏向されていない状態での長さよりも長くなることを可能にする。(滑車76の移動はまた、端部84がそのストップ80から移動するように、バネ88がワイヤ56に向って引込むことを可能にする。)ワイヤ54の長さの減少とワイヤ56の長さの伸張との組み合わせが、遠位端28が左方向に偏向することをもたらす。
【0028】
概略図46及び52は、システムの偏向されていない状態からレバー70が時計回りに回転することによってもたらされた右方向に偏向された遠位端28を図示している。レバーの回転が、プローブ22内において、ワイヤ54の長さが伸張され、ワイヤ56の長さが減少されることを引き起こす。2つの長さ変化の組み合わせが、遠位端28を右方向に偏向させる。
【0029】
図4は、本発明の一実施形態による、組み立てられた状態でのマニプレータ40を図示する概略図である。組み立てられた状態において、マニプレータの内部要素は、要素が露出されないように、典型的にはハウジング92内に封入されている。更には、軸72がコントロール94とレバー70との双方に対して共通であるように、コントロール94が、レバー70にしっかりと接続されている。コントロール94はハウジング92より上側にある。操縦者26はハウジング92を握って、コントロール94の末端触知式操縦要素96又は98を押す(又は引張る)ことによって、レバー70を回転させる。
【0030】
概略図91は、偏向されていない状態の遠位端28を図示し、概略図93及び95は、偏向された状態の遠位端を示している。すなわち、概略図93に示されたように、矢印97によって示された方向で軸72の回りでコントロール94を回転することが、遠位端28を左方向に偏向させる。概略図95に示されたように、矢印99によって示された方向で軸72の回りでコントロール94を回転することが、遠位端を右方向に偏向させる。マニプレータを見下ろす操縦者の視点からすると、すなわち、平面より上側にいる操縦者からすると、この図で矢印97によって示された方向で、つまり反時計回りでコントロール94を回転することが、遠位端を左方向に偏向する。同様に、この図で矢印99によって示された方向で、つまり時計回りでコントロール94を回転することが、遠位端を右方向に偏向する。
【0031】
図5は、本発明の一実施形態による、組み立てられた状態において、図4の向きから回転された、マニプレータ40を図示している概略図である。典型的には、操縦者26がマニプレータ40内のプローブ22を操作すると同時に、操縦者が、例えばy軸の回りにマニプレータを回転させることが可能である。このような回転は、プローブ22の対応する回転をもたらさず、むしろプローブでのねじれを生じる。概略図111、113、及び115のそれぞれで概略図91、93、及び95(図4)に対応していて、y軸の回りに約180°まで回転されたマニプレータを示している。この場合、コントロール94は、ハウジング92よりも下側にある。
【0032】
概略図115に図示されたように、この図中では矢印99は、遠位端を右方向に偏向するように、コントロール94が反時計回りに回転する必要があることを示している。同様に、概略図113で示されたように、この図中では矢印97が、遠位端を左方向に偏向するように、コントロール94が時計回りに回転する必要があることを示している。図4及び5に図示された状態を比較すると、コントロール94の左及び右要素の回転によってもたらされる遠位端の偏向の方向のために、マニプレータ40の回転が操縦者を混乱させ得ることは明らかである。
【0033】
本発明の実施形態は、操縦要素を一方を他方から触感的に識別可能であるようにもたらすことで、この混乱を排除している。言い換えれば、操縦者26が要素に手で触れることによって、並びに要素が異なることを手触りの感覚から認知することによって、要素間を識別することができる。したがって、操縦者は手触りだけで要素のそれぞれを区別することができる。例えば、要素96が、要素のエッヂ内にインセットされた溝100及び要素のエッヂから突き出ている突出部102を有すると想定している。図4及び5の概略図で示されたように、要素96において、溝100は突出部102よりも大きなy値を有する。更に例えば、要素98が、要素のエッヂ内にインセットされた溝104並びに要素のエッヂから突き出ている突出部106を有すると想定している。概略図で示されたように、要素98において、溝104は突出部106よりも小さいy値を有する。2つの操縦要素における溝と突出部の異なる配置は、操縦者がこれら要素に触れ又は手で触った場合に、操縦者26に異なる感触的フィードバックを提供する。
【0034】
典型的には、要素96及び98は、上記の例及び図4及び5で図示されたように、要素の形状が異なるように配置することによって、感触的に識別可能であるように実装される。別の例としては、1つの触知式操縦要素は、鋭い曲がり角を持たない滑らかで連続する曲線のエッヂを有し得、並びに他の触知式操縦要素は、少なくとも1つの鋭い曲がり角を持つ不連続の滑らかな曲線のエッヂを有し得る。操縦者26が手触り又は触感に基づいて要素を識別することを可能にする2つの要素に関する形状での他の違いは、当業者には明らかであろう。このような違いとしては、限定されるものではないが、一致する形状を有するが、異なって配向されていて、これによって、操縦者26が要素に触れる際に、異なる配向が、操縦者26に区別可能であるような要素が挙げられる。
【0035】
いくつかの実施形態において、2つの要素間の触感的な差異は、要素の表面が異なるように実装することを含む。例えば、要素96の表面が滑らかな表面として形成されてもよく、並びに要素98の表面が荒い状態で形成されてもよい。この場合、2つの要素の形状及び配向は同一であり得、2つの要素間の触感は、表面の粗さ、弾性、及び/又は熱伝導率などのような1つ以上の表面の特性が異なるように選択することによって実装され、これによって、操縦者は表面に触れる際に差異を検知することができる。いくつかの実施形態では、2つの要素の形状及び表面が異なってもよい。
【0036】
いくつかの実施形態において、成形要素96及び98が触感的に識別可能であるのに加えて、これら要素は可視的に識別可能であるように構成されている。例えば、要素96が、青色に着色された、その表面の少なくとも一部分を有してもよく、並びに要素98が黄色に着色された、その表面の少なくとも一部分を有してもよい。いくつかの実施形態では、要素間の可視的差異は、一方の要素が透明で並びに一方の要素が不透明であるように、要素の色以外の可視的特性が異なるよう選択されることで実装されてもよい。
【0037】
いくつかの実施形態において、2つの要素間の触感的差異が、二回転対称性によって関連するよう構成される。このような構成は、図4及び5に示されていて、ここでは、コントロール94が軸72の回りに二回転対称性を有することを図示している。このような二回転対称性によって、それぞれの操縦要素内の触感が異なる関係性が、遠位先端部偏向の「大域的」コマンドとして使用され得る。例えば、図で立証されたように、突出部と溝との間の触感が異なる関係性は、命令「突出部を溝に向かって回転せよ」が、マニプレータがどのように配向されているかに関わらず遠位先端部28を右方向に偏向するというようなことを意味する。このような大域的コマンドが、便利なニーモニックという観点で、操縦者に提供され得る。例えば、溝100及び104がディンプルと呼ばれる場合、並びに突出部102及び106がピンプルと呼ばれる場合、この時に、ニーモニック「ピンプル(突出部)をディンプル(溝)に向かって回転し、先端部を右方向に偏向せよ」が、マニプレータの配向に関係なく、並びにどの操縦要素が考慮されるかに関係なく適用する。
【0038】
図6は、本発明の一実施形態による、図形記号の概要図である。典型的には、心臓30内の遠位端28の位置及び配向が、対応する画像28’及び30’を使用して、スクリーン39上に表示されている。更に、遠位端の状態、すなわち、それが偏向されている状態又は偏向されていない状態を表現する図形記号が、プローブ及びその末端部での操作において操縦者を支援するために、スクリーン上に表示され得る。図形記号は、マニプレータ40を使用している操縦者によって発生されたように、末端部28の偏向された又は偏向されていない状態の可視的確認を操縦者に提供する。概略図120、122、及び124のそれぞれの場合で、遠位端が左方向に偏向されている、偏向されていない、並びに右方向に偏向されている、スクリーン39上に表示された記号126、128、及び130を図示している。記号126を伴う概略図120は、概略図113及び93に対応し、記号128を伴う概略図122は、概略図111及び91に対応し、並びに、記号130を伴う概略図124は、概略図115及び95(図4及び5)に対応する。
【0039】
触感的操縦要素94が可視的特性を有する実施形態の場合において、対応する可視的特性が、記号126、128、及び130に加えられてもよい。例えば、要素96の少なくとも一部分が青色である場合には、記号130が青色に着色されてもよく、並びに要素98の少なくとも一部分が黄色である場合には、記号126が黄色に着色されてもよい。代替又は追加として、記号126、128、及び130に加えられた対応する可視的特性が、記号に加えられる他の可視的品質、例えば図6に例示されたような、シェーディングの異なる型などを含み得る。
【0040】
上記説明は、プローブを偏向するための1つのコントロールを有するプローブマニプレータを想定したものであり、このコントロールは、単一の統合制御の一部分として形成され得る別個の触知式操縦要素を有する。1つのプローブマニプレータ又は他のマニプレータの一例としては、互いに離れていて、並びに単一の統合制御の一部分として形成されないような触知式操縦要素を有し得ることが理解されるであろう。本発明の実施形態によるプローブマニプレータが、上記に例示された概ね平面形状である必要はなく、トラックボール又はジョイスティックなどのような他の幾何学的形状を含み得ることが理解されるであろう。このようなマニプレータの全ては、本発明の範囲内に包含される。
【0041】
上記に述べた実施形態は、例として引用したものであって、本発明は上記に具体的に図示及び記載したものに限定されないことは認識されるであろう。その逆に、本発明の範囲は、上記に述べた異なる特性の全てのものの組み合わせ及び一部のものの組み合わせを含み、更に上記の説明文を読むことで当業者によって想到されるであろう、先行技術には開示されていない変形例及び改変例をも含むものである。
【0042】
〔実施の態様〕
(1) 第一及び第二方向で偏向可能である、近位端及び遠位端を含むプローブと、
前記プローブの前記近位端に連結され、第一及び第二触知式操縦要素を含む、プローブマニプレータであって、前記第一及び第二触知式操縦要素が、前記遠位端を前記第一及び第二方向のぞれぞれで偏向させるように前記プローブの使用者によって操作可能であり、かつ、一方を他方から触感的に識別可能である、プローブマニプレータと、
を含む装置。
(2) 前記第一及び第二触知式操縦要素が、対応する第一及び第二形状を有し、前記第一及び第二形状が、互いに異なる、実施態様1に記載の装置。
(3) 前記第一及び第二触知式操縦要素が対応する第一及び第二合同形状を有し、前記第一及び第二形状が、異なって配向されている、実施態様1に記載の装置。
(4) 前記第一及び第二触知式操縦要素が、一方を他方から触感的に識別可能である対応する表面を有する、実施態様1に記載の装置。
(5) 前記第一及び第二触知式操縦要素が、互いに異なる対応する可視的特性を有するように構成されている、実施態様1に記載の装置。
(6) 前記第一方向及び前記第二方向における前記遠位端の偏向に応答して、対応する異なる図形記号を表示するよう構成されたスクリーンを含む、実施態様1に記載の装置。
(7) 前記第一及び第二触知式操縦要素が、互いに異なる対応する可視的特性を有するよう構成され、前記対応する図形記号が、前記対応する可視的特性を含む、実施態様6に記載の装置。
(8) 前記スクリーンが、偏向されていない状態にある前記遠位端に応答して更なる図形記号を表示するよう構成されている、実施態様6に記載の装置。
(9) 前記第一及び第二触知式操縦要素が、二回転対称性によって関連付けられる、実施態様1に記載の装置。
(10) 第一及び第二方向で偏向可能である、近位端と遠位端を含むプローブを構成することと、
プローブマニプレータを前記プローブの前記近位端に連結させることと、を含む方法であって、前記マニプレータが、第一及び第二触知式操縦要素を含み、これらが、前記遠位端を、前記第一及び第二方向のそれぞれで偏向させるように前記プローブの使用者によって操作可能であり、かつ、一方を他方から触感的に識別可能である、方法。
【0043】
(11) 前記第一及び第二触知式操縦要素が、対応する第一及び第二形状を有し、前記第一及び第二形状が互いに異なる、実施態様10に記載の方法。
(12) 前記第一及び第二触知式操縦要素が、対応する第一及び第二合同形状を有し、前記第一及び第二形状が、異なって配向されている、実施態様10に記載の方法。
(13) 前記第一及び第二触知式操縦要素が、一方を他方から触感的に識別可能である対応する表面を有する、実施態様10に記載の方法。
(14) 前記第一及び第二触知式操縦要素が、互いに異なる対応の可視的特性を有するように構成されている、実施態様10に記載の方法。
(15) 前記第一方向及び前記第二方向における前記遠位端の偏向に応答して、対応する異なる図形記号を表示することを含む、実施態様10に記載の方法。
(16) 前記第一及び第二触知式操縦要素が、互いに異なる対応する可視的特性を有するように構成され、前記対応する図形記号が、前記対応する可視的特性を含む、実施態様15に記載の方法。
(17) 偏向されていない状態にある前記遠位端に応答して、更なる図形記号を表示することを含む、実施態様15に記載の方法。
(18) 前記第一及び第二触知式操縦要素が、二回転対称性によって関連付けられる、実施態様10に記載の方法。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一及び第二方向で偏向可能である、近位端及び遠位端を含むプローブと、
前記プローブの前記近位端に連結され、第一及び第二触知式操縦要素を含む、プローブマニプレータであって、前記第一及び第二触知式操縦要素が、前記遠位端を前記第一及び第二方向のぞれぞれで偏向させるように前記プローブの使用者によって操作可能であり、かつ、一方を他方から触感的に識別可能である、プローブマニプレータと、
を含む装置。
【請求項2】
前記第一及び第二触知式操縦要素が、対応する第一及び第二形状を有し、前記第一及び第二形状が、互いに異なる、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第一及び第二触知式操縦要素が対応する第一及び第二合同形状を有し、前記第一及び第二形状が、異なって配向されている、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記第一及び第二触知式操縦要素が、一方を他方から触感的に識別可能である対応する表面を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記第一及び第二触知式操縦要素が、互いに異なる対応する可視的特性を有するように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記第一方向及び前記第二方向における前記遠位端の偏向に応答して、対応する異なる図形記号を表示するよう構成されたスクリーンを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記第一及び第二触知式操縦要素が、互いに異なる対応する可視的特性を有するよう構成され、前記対応する図形記号が、前記対応する可視的特性を含む、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記スクリーンが、偏向されていない状態にある前記遠位端に応答して更なる図形記号を表示するよう構成されている、請求項6に記載の装置。
【請求項9】
前記第一及び第二触知式操縦要素が、二回転対称性によって関連付けられる、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
第一及び第二方向で偏向可能である、近位端と遠位端を含むプローブを構成することと、
プローブマニプレータを前記プローブの前記近位端に連結させることと、を含む方法であって、前記マニプレータが、第一及び第二触知式操縦要素を含み、これらが、前記遠位端を、前記第一及び第二方向のそれぞれで偏向させるように前記プローブの使用者によって操作可能であり、かつ、一方を他方から触感的に識別可能である、方法。
【請求項11】
前記第一及び第二触知式操縦要素が、対応する第一及び第二形状を有し、前記第一及び第二形状が互いに異なる、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記第一及び第二触知式操縦要素が、対応する第一及び第二合同形状を有し、前記第一及び第二形状が、異なって配向されている、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記第一及び第二触知式操縦要素が、一方を他方から触感的に識別可能である対応する表面を有する、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記第一及び第二触知式操縦要素が、互いに異なる対応の可視的特性を有するように構成されている、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
前記第一方向及び前記第二方向における前記遠位端の偏向に応答して、対応する異なる図形記号を表示することを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項16】
前記第一及び第二触知式操縦要素が、互いに異なる対応する可視的特性を有するように構成され、前記対応する図形記号が、前記対応する可視的特性を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
偏向されていない状態にある前記遠位端に応答して、更なる図形記号を表示することを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記第一及び第二触知式操縦要素が、二回転対称性によって関連付けられる、請求項10に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−17821(P2013−17821A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−156217(P2012−156217)
【出願日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【出願人】(511099630)バイオセンス・ウエブスター・(イスラエル)・リミテッド (50)
【氏名又は名称原語表記】Biosense Webster (Israel), Ltd.
【住所又は居所原語表記】4 Hatnufa Street, Yokneam 20692, Israel
【Fターム(参考)】