説明

カテーテルの血管内留置のための統合システム

患者の血管内にカテーテルを正確に留置するための統合型カテーテル留置システムが開示される。一実施形態において、統合システムは、システムコンソール、患者の胸部に一時的に配置される先端位置センサ、および超音波プローブを含む。先端位置センサは、カテーテルが血管内に配置されているときに、カテーテルの内腔内に配置されるスタイレットの磁場を検知する。超音波プローブは、カテーテルの血管内導入に先立って、血管系の一部を超音波撮像する。超音波プローブは、超音波モードでは超音波プローブの使用を、先端位置特定モードでは先端位置センサの使用を制御するための、ユーザ入力制御部を含む。別の実施形態では、患者の心臓の結節に対する所望の位置へのカテーテル先端の誘導を可能にするために、ECG信号によるカテーテル先端誘導機能が、統合システムに含まれている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、「Integrated System for Intravascular Placement of a Catheter」と題される、2008年11月25日出願の米国出願番号12/323,273号、および以下の米国仮出願:「Integrated Ultrasound and Tip Location System for Intravascular Placement of a Catheter」と題される、2007年11月26日出願の、出願番号60/990,242号、「System and Method for Placing a Catheter Within a Vasculature of a Patient」と題される、2008年9月10日出願の、出願番号61/095,921号、「Catheter Including Preloaded Steerable Stylet」と題される、2008年8月22日出願の、出願番号61/091,233号、「Catheter Assembly Including ECG and Magnetic−Based Sensor Stylet」と題される、2008年9月9日出願の、出願番号61/095,451号、および「Drape−Breaching Electrical Connector」と題される、2008年4月17日出願の、出願番号61/045,944号の優先権を主張し、これらはそれぞれ参照により全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
簡単に要約すると、本発明の実施形態は、カテーテルを患者の血管内に正確に留置するように構成された、統合型カテーテル留置システムを対象とする。
【背景技術】
【0003】
統合システムは、カテーテル留置精度を改善するために、少なくとも2つのモダリティを採用している:1)患者の血管内にカテーテルを導入するための超音波補助誘導、および2)先端位置特定システム(TLS)、または前進中のいかなる先端位置異常をも検出してその修正を容易にするための、血管内を前進中の、磁気による(例えば、永久磁石または電磁石による)カテーテル先端追跡である。
【発明の概要】
【0004】
一実施形態において、統合システムは、制御処理部、患者の体の一部への一時的配置のための先端位置センサ、および超音波プローブを含む、システムコンソールを備える。先端位置センサは、カテーテルが血管内に配置されているときに、カテーテルの内腔内に配置されるスタイレットの磁場を検知する。超音波プローブは、カテーテルの血管内導入に先立って、血管系の一部を超音波撮像する。更に、超音波プローブは、超音波モードでは超音波プローブの使用を、先端位置特定モードでは先端位置センサの使用を制御するための、ユーザ入力制御部を含む。
【課題を解決するための手段】
【0005】
別の実施形態では、ECG信号を発する患者の心臓の結節に対する所望の位置へのカテーテル先端の誘導を可能にするために、第三モダリティ、すなわちECG信号によるカテーテル先端誘導機能が、統合システムに含まれている。
【0006】
本発明の実施形態のこれらおよびその他の特徴は、以下の説明および添付の請求項からより完全に明らかとなり、または以下に記載される本発明の実施形態の実践によって学ばれることが可能である。
【0007】
本開示のより具体的な記述は、添付図面に示されるその具体的な実施形態を参照してなされる。これらの図面は本発明の代表的な実施形態のみを示し、従ってその範囲を限定するとは見なされないことを理解されたい。本発明の例示的実施形態は、添付される以下の図面を使用して、更なる具体性および詳細をもって記述および説明される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の例示的一実施形態による、カテーテルの血管内留置のための統合システムの様々な構成要素を示すブロック図である。
【図2】患者の体と、図1の統合システムを使用して体内に挿入されるカテーテルの簡略図である。
【図3A】図1の統合システムのプローブの図である。
【図3B】図1の統合システムのプローブの図である。
【図4】図1の統合システムのディスプレイに示された超音波画像の画面例である。
【図5】患者の血管内にカテーテルを留置する際に図1のシステムと接続して使用されるスタイレットの斜視図である。
【図6】カテーテル先端留置処置中に図5のスタイレットの遠位端の位置を示す、図1の統合システムのディスプレイに示されるアイコンである。
【図7A】カテーテル先端留置処置中に図1の統合システムのディスプレイに示される可能性のある、アイコンの例である。
【図7B】カテーテル先端留置処置中に図1の統合システムのディスプレイに示される可能性のある、アイコンの例である。
【図7C】カテーテル先端留置処置中に図1の統合システムのディスプレイに示される可能性のある、アイコンの例である。
【図7D】カテーテル先端留置処置中に図1の統合システムのディスプレイに示される可能性のある、アイコンの例である。
【図7E】カテーテル先端留置処置中に図1の統合システムのディスプレイに示される可能性のある、アイコンの例である。
【図8A】カテーテル先端留置処置中に図1の統合システムのディスプレイに示される画像の画面例である。
【図8B】カテーテル先端留置処置中に図1の統合システムのディスプレイに示される画像の画面例である。
【図8C】カテーテル先端留置処置中に図1の統合システムのディスプレイに示される画像の画面例である。
【図9】本発明の別の実施形態による、カテーテルの血管内留置のための統合システムの様々な構成要素を示すブロック図である。
【図10】患者の体と、図9の統合システムを使用して体内に挿入されるカテーテルの簡略図である。
【図11】患者の血管内にカテーテルを留置する際に図9の統合システムと接続して使用されるスタイレットの斜視図である。
【図12A】図11のスタイレットの図である。
【図12B】図11のスタイレットの部分図である。
【図12C】図11のスタイレットの部分図である。
【図12D】図11のスタイレットの部分図である。
【図12E】図11のスタイレットの部分図である。
【図13A】図9の統合システムと共に使用されるフィンコネクタアセンブリの図である。
【図13B】図9の統合システムと共に使用されるフィンコネクタアセンブリの図である。
【図13C】図9の統合システムと共に使用されるフィンコネクタアセンブリの図である。
【図13D】図9の統合システムと共に使用されるフィンコネクタアセンブリの図である。
【図14A】スタイレットテザーおよびフィンコネクタと図9の統合システムのセンサとの接続を示す図である。
【図14B】スタイレットテザーおよびフィンコネクタと図9の統合システムのセンサとの接続を示す図である。
【図14C】スタイレットテザーおよびフィンコネクタと図9の統合システムのセンサとの接続を示す図である。
【図15】図14Cに示す、スタイレットテザー、フィンコネクタ、およびセンサの接続の断面図である。
【図16】患者のECGトレースの簡略図である。
【図17】カテーテル先端留置処置中に図9の統合システムのディスプレイに示される画像の画面例である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
ここで図面が参照されるが、類似の構造には類似の参照記号が付される。図面は、本発明の例示的実施形態の図表的および模式的表示であって、限定的ではなく、必ずしも縮尺通りに描かれているわけではないことは、理解されたい。
【0010】
図1から図17は、本発明の実施形態の様々な特徴を示し、主に患者の血管内にカテーテルを正確に留置するように構成されたカテーテル留置システムを対象としている。一実施形態において、カテーテル留置システムは、カテーテル留置精度を改善するために、少なくとも2つのモダリティを採用している:1)患者の血管内にカテーテルを導入するための超音波補助誘導、および2)先端位置特定/誘導システム(TLS)、または前進中のいかなる先端位置異常をも検出してその修正を容易にするための、蛇行した血管経路内を前進中の、磁気によるカテーテル先端追跡である。一実施形態による本システムの超音波誘導および先端位置特定の機能は、カテーテルを留置する臨床医による使用のため、統合されて単一の装置となっている。これら2つのモダリティを単一の装置に統合することによって、カテーテル留置処置を簡素化し、その結果カテーテル留置処置が比較的速くなる。例えば、統合型カテーテル留置システムは、超音波およびTLS活動を統合システムの単一のディスプレイから見ることができるようにする。また、統合装置の超音波プローブに取り付けられた制御装置は、そのプローブがカテーテル留置中に患者の滅菌領域内に保持され、システムの機能を制御するために使用することができ、従って、システムを制御するために臨床医が滅菌領域の外へ手を伸ばす必要を排除する。
【0011】
別の実施形態では、ECG信号が発生する患者の心臓の結節に対する所望の位置にカテーテル先端を誘導できるようにするため、第三のモダリティ、すなわちECG信号によるカテーテル先端誘導機能が統合システムに含まれる。このようなECGによる位置決め補助は、本明細書内では「先端確認」とも呼ばれる。
【0012】
一実施形態による上記の3つのモダリティの組合せによって、カテーテル留置システムは、比較的高精度な患者の血管内のカテーテル留置、すなわちカテーテルの遠位端を所定の望ましい位置に留置することを、容易にすることができる。更に、カテーテル先端のECGによる誘導のため、確認用のX線を必要とせずに、正確な先端留置を確認することができる。これにより、結果的に、有害となる可能性のあるX線への患者の曝露、患者をX線科に搬送するための費用および時間、高価で面倒なカテーテルの再留置処置、等が減少する。
【0013】
まず、本発明の例示的一実施形態に従って構成された、全体として参照符号10を付されている、カテーテル留置システム(「システム」)の様々な構成要素を示す、図1および図2を参照する。図に示すように、システム10は主に、コンソール20、ディスプレイ30、プローブ40、およびセンサ50を含み、これらのそれぞれは以下に更に詳細に記載される。
【0014】
図2は、皮膚挿入部位73を通じて患者の血管内にカテーテル72を留置する処置中の、患者70に対するこれらの構成要素の全体的な関係を示す。図2は、カテーテル72が、通常患者の外部に残る近位部74、および留置が完了した後に患者の血管内に存在する遠位部76を含むことを示す。システム10は、患者の血管内の所望の位置にカテーテル72の遠位先端76Aを最終的に位置決めするために利用される。一実施形態において、カテーテル遠位先端76Aの所望の位置は、上大静脈(「SVC」)の下3分の1(1/3)部分など、患者の心臓の近位である。もちろん、システム10は別の場所にカテーテル遠位先端を配置するために利用されてもよい。カテーテル近位部74は、カテーテル72の1つ以上の内腔の間に流体連絡を提供するハブ74A、およびハブから近位方向に延在する1つ以上の延長脚74Bを更に含む。
【0015】
コンソールは様々な形態の1つを取ることができることを理解されたいが、コンソール20の一実行例を図8Cに示す。例えばEEPROM等の不揮発性メモリを含む処理部22は、システム10の動作中、システム機能を制御するために、コンソール20に含まれているので、制御処理部として機能する。デジタル制御部/アナログインターフェース24もコンソール20に含まれ、プローブ40、センサ50、およびその他のシステム構成要素の間の相互接続を管理するために、処理部22およびその他のシステム構成要素の両方と連絡している。
【0016】
システム10は、センサ50、およびプリンタ、記憶媒体、キーボードなどを含むオプション構成要素54と接続するための、ポート52を更に含む。一実施形態におけるポートはUSBポートであるが、これおよびその他の本明細書記載のインターフェース接続には、別のポートタイプまたはポートタイプの組合せを使用することもできる。外部電源58との動作可能な接続を可能にするため、電気接続56がコンソール20に含まれる。外部電源を使っても使わなくても、内部電池60も利用することができる。電力使用および分配を制御するために、電源管理回路59がコンソールのデジタル制御部/アナログインターフェース24に含まれている。
【0017】
本実施形態のディスプレイ30は、コンソール20と一体化されており、カテーテル留置処置中に臨床医に対して情報を表示するために使用される。別の実施形態では、ディスプレイはコンソールから分離されていてもよい。後にわかるように、ディスプレイ30によって示される内容は、カテーテル留置システムがUS、TLS、または別の実施形態ではECG先端確認のどのモードであるかに応じて変化する。一実施形態では、コンソールボタンインターフェース32(図1、図8C参照)およびプローブ40上に含まれるボタンを使用して、留置処置を補助するために臨床医によってディスプレイ30に所望のモードを直ちに呼び出すことができる。一実施形態では、TLSおよびECGなど、複数のモードからの情報は、図17に示すように、同時に表示されてもよい。このように、システムコンソール20の単一のディスプレイ30は、患者の血管内に入るための超音波誘導、カテーテルが血管内を前進する間のTLS誘導、および(後述の実施形態に示すように)患者の心臓の結節に対するカテーテル遠位先端留置のECGによる確認に、利用することができる。一実施形態では、ディスプレイ30はLCD装置である。
【0018】
図3Aおよび図3Bは、一実施形態によるプローブ40の特徴を示す。プローブ40は、カテーテル72の血管内への挿入に備えて、上述の第一モダリティ、すなわち、血管などの脈管の超音波(「US」)による可視化に関連して利用される。このような可視化は、患者の血管内にカテーテルを導入するためのリアルタイム超音波誘導機能を提供し、不注意による動脈穿刺、血腫、気胸などを含む、そのような導入に主に関連する合併症を減少させるのに役立つ。
【0019】
手持ち式プローブ40は、予想される挿入部位73(図2)に近接する患者の皮膚に対してヘッドが配置されたときに、超音波パルスを発生させ、患者の体による反射の後にそのエコーを受信するための、圧電アレイを収容するヘッド80を含む。プローブ40は、ボタンパッド82上に含むことができる、複数の制御ボタン84を更に含む。本実施形態において、システム10のモダリティは制御ボタン84によって制御することができるので、コンソールボタンインターフェース32を使用してモードを変更するために、カテーテル留置に先立って患者の挿入部位の周辺に設けられた滅菌領域から、臨床医が手を伸ばす必要性を排除する。
【0020】
このように、一実施形態において、適切な挿入部位を判断して、針またはイントロデューサの後にカテーテルを使用するなどして血管内にアクセスするために、臨床医は第一(US)モダリティを用いる。臨床医はその後、滅菌領域の外へ手を伸ばす必要なく、プローブボタンパッド82上でのボタン押下によって、シームレスに第二(TLS)モダリティに切り替えることができる。TLSモードはその後、血管内を目的の部位に向けてカテーテル72を前進させるのに役立てるために使用されることができる。
【0021】
図1は、プローブ40が、ボタンおよびプローブの動作を管理するためのボタンおよびメモリ制御部42を更に含むことを示す。ボタンおよびメモリ制御部42は、一実施形態において、EEPROMなどの、不揮発性メモリを含むことができる。ボタンおよびメモリ制御部42はコンソール20のプローブインターフェース44と動作可能に連絡しており、プローブインターフェース44は、プローブ圧電アレイと相互接続するための圧電入出力部品44A、ならびにボタンおよびメモリ制御部42と相互接続するためのボタンおよびメモリ入出力部品44Bを含む。
【0022】
図4は、システム10が第一超音波モダリティであるときにディスプレイ30に示される、例示的な画面例88を示す。患者70の皮下領域の画像90が示され、血管92の断面を示している。画像90は、プローブ40の圧電アレイの動作によって作成される。ディスプレイ画面例88に更に含まれるのは、画像90の患者皮膚の下の深さに関する情報を提供する深度目盛り表示94、標準カテーテル内腔サイズに対する血管92のサイズに関する情報を提供する内腔寸法目盛り96、および、例えば一時停止、画像テンプレート、データ保存、画像プリント、電源状態、画像明度など、システム10の状態または実行される可能性のある動作に関する情報を提供する、別の指標98である。
【0023】
血管が画像90に示されている間、別の実施形態において別の体腔または部位を画像表示することができることは、留意すべきである。また、必要に応じて、図4に示すUSモードを、TLSモードなどの別のモードと一緒に、ディスプレイ30に同時に示すことができることも、留意すべきである。画像ディスプレイ30に加えて、ブザー音、発信音などのような聴覚情報も、カテーテル留置中に臨床医を補助するために、システム10によって利用されてもよい。更に、プローブ40およびコンソールボタンインターフェース32の上に含まれるボタンは、スライドスイッチ、トグルスイッチ、電子またはタッチセンサ式パッドなど、ボタンの他にもユーザ入力制御装置を使用するなど、様々な方法で構成することができる。加えて、USおよびTLSの両方の動作が、システム10の使用中に、同時または排他的に発生することができる。
【0024】
上述のように、手持ち式超音波プローブ40は、カテーテルの経皮的導入に備えて、患者の末消血管系のUS可視化を可能にするために、統合型カテーテル留置システム10の一部として利用される。しかしながら、本例示的実施形態では、下記のような血管内の所望の目的部位に向けてカテーテルを誘導するときに、システム10のTLS部分、すなわち第二モダリティの機能を制御するためにも、プローブが使用される。ここでも、患者の滅菌領域内でプローブ40が使用されるので、この特徴は、完全に滅菌領域内からTLS機能を制御できるようにする。このように、プローブ40は、滅菌領域からシステム10のUSおよびTLSの両方の機能の便利な制御を可能にする両用装置である。一実施形態において、以下により詳細に記述するように、プローブは、カテーテル留置システム10の部分的または全部のECG関連機能、すなわち第三モダリティを制御するために使用することもできる。
【0025】
カテーテル留置システム10は、上述の第二モダリティ、すなわち、磁気によるカテーテルTLS、または先端位置特定システムを更に含む。TLSによって、臨床医は、患者70の血管内への初期配置および前進の際に、末梢挿入中心静脈カテーテル(PICC)、中心静脈カテーテル(CVC)、または別の適切なカテーテルなどの、カテーテル72の位置および/または向きを、迅速に特定および確認することができる。具体的には、TLSモダリティは、一実施例によればカテーテル72の縦方向に画定された内腔の内部に向けて予め実装されている、磁気素子搭載先端位置特定スタイレットによって発生する磁場を検出するので、臨床医は、患者の体内のカテーテル先端の全体的な位置および向きを確定することができる。一実施形態において、米国特許第5,775,322号明細書、5,879,297号明細書、6,129,668号明細書、6,216,028号明細書、および6,263,230号明細書のうち1つ以上の教示を利用して、磁気アセンブリを追跡することができる。上記の米国特許の内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。TLSも、カテーテル先端が指している方向を表示するので、従って、正確なカテーテル留置に更に役立つ。TLSは更に、所望の静脈経路から別の血管内に先端がずれてしまった場合など、カテーテル先端の位置異常が発生したときに、臨床医が判断するのにも役立つ。
【0026】
上述のように、TLSは、血管内での前進中にカテーテル71の遠位端を追跡できるようにするために、スタイレットを利用する。図5は、近位端100Aおよび遠位端100Bを含む、そのようなスタイレット100の一例を示す。スタイレット近位端100Aには、そこから遠位方向に延在する心線104を備えるハンドルが含まれている。心線104の遠位には、磁気アセンブリが設けられている。磁気アセンブリは、スタイレット遠位端100Bの近位で相互に隣接して設けられ、管108に封入された、1つ以上の磁気素子106を含む。一実施形態において、複数の磁気素子106が含まれ、各素子は、別の磁気素子と末端同士で積層された、中実の円柱形の強磁性体を含む。接着先端110は、管108の遠位先端を、磁気素子106の遠位方向に、充填することができる。
【0027】
別の実施形態では、磁気素子は、形状のみならず、組成、数、寸法、磁気の種類、およびスタイレット遠位区画における位置も、その設計とは異なっていてもよいことは、留意すべきである。例えば、一実施形態では、複数の強磁性磁気素子の代わりに、センサによる検出のための磁場を発生させる、電磁コイルなどの、電磁アセンブリを使用する。ここで使用可能なアセンブリの別の例は、「Medical Instrument Location Means」と題される米国特許第5,099,845号明細書に見ることができ、これは参照により全体が本明細書に組み込まれる。TLSモダリティと共に利用可能な磁気素子を含むスタイレットの更に別の例は、2006年8月23日出願の「Stylet Apparatuses and Methods of Manufacture」と題される米国特許出願第11/466,602号に見ることができ、これも参照により全体が本明細書に組み込まれる。従って、これらおよびその他の変形例は、本発明の実施形態と見なされる。本明細書で使用される「スタイレット」は、患者の血管内の所望の部位にカテーテルの遠位端を配置するのに役立つ、カテーテルの内腔の内部への取り外し可能な配置のために構成された、様々な装置のいずれか1つを含むことができることを理解すべきである。
【0028】
図2は、その近位部が、カテーテル内腔からハブ74Aを通って延長脚74Bのうちの選択された1つから出るように近位に延在するようにした、カテーテル72の内腔のほぼ内部のスタイレット100の配置を示す。カテーテルの内腔内にこのように配置されて、スタイレット100の遠位端100Bは、スタイレット遠位端のTLSによる検出が相応にカテーテル遠位端の位置を示すように、カテーテル遠位端76Aと末端をほぼ共有する(co−terminal)。
【0029】
TLSセンサ50は、スタイレット100の磁気素子106によって発生する磁場を検出するためのTLS動作の際に、システム10によって使用される。図2に示すように、TLSセンサ50は、カテーテル挿入中に、患者の胸部に配置される。患者の血管を通じてカテーテルを通過させる間、上述のようにカテーテル72に配置されたスタイレット磁気素子106の磁場を検出できるようにするため、TLSセンサ50は、体の外部の目印などを通じて、患者の胸部の所定の位置に配置される。繰り返しになるが、スタイレット磁気アセンブリの磁気素子106は、カテーテル72の遠位端76Aと末端を共有し(図2)、磁気素子の磁場のTLSセンサ50による検出は、その通過中にカテーテル遠位端の位置および方向に関して、臨床医に情報を提供する。
【0030】
より詳細には、TLSセンサ50は、図1に示すように、1つ以上のポート52を経由して、システム10のコンソール20に動作可能に接続されている。TLSセンサとシステムコンソールとの間の別の接続スキームも限定されることなく使用可能であることは、留意すべきである。上記のように、患者の胸部に配置されたTLSセンサ50に対してカテーテル遠位端76A(図2)の位置を観察可能にするために、スタイレット100で磁気素子106が利用される。スタイレット磁気素子106のTLSセンサ50による検出は、TLSモードの間にコンソール20のディスプレイ30に図式的に表示される。このようにして、カテーテルを留置する臨床医は、TLSセンサ50に対する患者の血管内のカテーテル遠位端76Aの位置をほぼ判断することができ、望ましくない血管に沿ったカテーテルの前進など、カテーテルの位置異常が発生しつつあるときに検出することができる。
【0031】
図6および図7Aから図7Eは、TLSセンサ50によるスタイレット磁気素子106の検出を示すために、コンソールディスプレイ30によって使用されることができるアイコンの例を示す。具体的には、図6は、磁気素子がTLSセンサの下に位置しているときにTLSセンサ50によって検出されるような磁気素子106を含む、スタイレット100の遠位部を示すアイコン114を示す。スタイレット遠位端100Bがカテーテル72の遠位端76Aと末端をほぼ共有するので、アイコンはカテーテル遠位端の位置および方向を示す。図7Aから図7Eは、スタイレット100の磁気素子106がTLSセンサ50の一部分の直下に位置せず、しかし近辺に検出されるときにコンソールディスプレイ30に示される可能性のある、様々なアイコンを示す。アイコンは、TLSセンサ50に対するスタイレット磁気アセンブリ、すなわち本実施形態においては磁気素子106の位置に応じて表示される、1/2アイコン114Aおよび1/4アイコン114Bを含むことができる。
【0032】
図8Aから図8Cは、TLSモードの間にシステム10のディスプレイ30から得られた画面例を示し、スタイレット100の磁気アセンブリがどのように示されるかを示している。図8Aの画面例118は、TLSセンサ50の代表的な画像120を示す。深度目盛り表示124、状態/動作指標126、およびコンソール20上に含まれるボタンインターフェース32に対応するアイコン128を含む、別の情報がディスプレイ画面例118上に提供される(図8C)。本実施形態のアイコン128は、ボタンインターフェース32の対応ボタンの目的を特定する際にユーザを誘導するための単なる表示であるが、別の実施形態では、アイコン自体がボタンインターフェースとして機能することができ、システムのモードに応じて変化できるように、ディスプレイをタッチセンサ式にすることができる。
【0033】
挿入後の患者の血管内におけるカテーテルの前進の初期段階には、末端がほぼ同位置にあるスタイレット遠位端100Bを有するカテーテル72の遠位端76Aは、TLSセンサ50から比較的離れている。従って、ディスプレイ画面例は、スタイレット磁気アセンブリからの磁場が検出されていないことを示す、「信号なし」を表示する。図8Bにおいて、スタイレット遠位端100Bに近接する磁気アセンブリは、まだセンサの下にはないものの、それによって検出されるのに十分なほどTLSセンサ50の近くまで進んでいる。これは、センサ画像120の左にある1/2アイコン114Aによって示されており、スタイレット磁気アセンブリが患者の視点からTLSセンサ50の右側に位置していることを表している。
【0034】
図8Cにおいて、スタイレット遠位端100Bに近接する磁気アセンブリは、それに対応する自身の位置および方向がTLSセンサによって検出されるように、TLSセンサ50の下を前進してきている。これはセンサ画像120のアイコン114によって示されている。ボタンアイコン128が、コンソールボタンインターフェース32の対応するボタンを押下することによって実行可能な動作を示していることは、留意すべきである。このように、ボタンアイコン128は、システム10がどのモダリティであるかに応じて変化することができ、従ってボタンインターフェース32の使用の柔軟性を提供する。また、プローブ40のボタンパッド82(図3A、図3B)はボタンインターフェース32のボタンのいくつかを模倣したボタン84を含むので、ディスプレイ30上のボタンアイコン128は、滅菌領域にありながら、プローブボタン84によって臨床医がシステム10を制御するための誘導機能を提供することも、留意すべきである。例えば、臨床医がTLSモードを終了してUS(超音波)モードに戻る必要がある場合、プローブボタンパッド82の上にある適切な制御ボタン84が押下されることが可能で、USモードが直ちに呼び出され、図4に示されるようなUS機能に必要な視覚情報に対応するように、ディスプレイ30が更新されることが可能である。これは、臨床医が滅菌領域の外へ手を伸ばす必要なく遂行される。
【0035】
ここで、別の実施形態による統合型カテーテル留置システム10を説明するために、図9および図10を参照する。以前と同様に、統合システム10は、上述のように、コンソール20、ディスプレイ30、US機能のためのプローブ40、および先端位置特定機能のためのTLSセンサ50を含む。図9および図10に示されるシステム10が多くの面で図1および図2に示すシステムと類似していることは、留意すべきである。従って、選択された違いのみを以下に説明される。図9および図10のシステム10は、洞房(SA)またはその他の患者70の心臓の電気的インパルス発生結節に対するカテーテル遠位先端76Aの接近の判断がなされ得る付加的な機能を含み、それによって結節に近い所望の位置にカテーテル遠位先端を正確に留置する能力を増強する。本明細書においては「ECG」または「ECGによる先端確認」とも称される、システム10のこの第三モダリティは、カテーテル遠位先端を患者の血管内の所望の位置に配置するために、SA結節からのECG信号の検出を可能にする。US、TLS、およびECGモダリティは、本システム10の中にシームレスに組み込まれ、協調してまたは個別に、カテーテル留置を補助するために利用することができることを留意すべきである。
【0036】
図9および図10は、本実施形態に基づいて構成されたスタイレット130のシステム10への追加を示す。概要として、カテーテルスタイレット130は、挿入部位73を通じて患者70の体内に挿入されるカテーテル72の内腔の中に事前に取り外し可能に実装されている。スタイレット130は、磁気によるTLSモダリティのための磁気アセンブリを含むほかに、その遠位端に近接して、SA結節によって生成されるECG信号を検知するためのカテーテル先端の遠位端と末端を共有する部分を含む、ECGセンサアセンブリも含む。先の実施形態とは対照的に、スタイレット130は、TLSセンサ50に動作可能に接続するその近位端から延在するテザー134を含む。後により詳細に述べるように、スタイレットテザー134は、ECG信号による先端確認モダリティの一部としてのカテーテル先端位置の確認中に、スタイレット130の遠位部上に含まれるECGセンサアセンブリによって検出されるECG信号がTLSセンサ50に送られるようにする。基準および接地ECGリード/電極対158は、患者70の体に付着し、システムが心臓のSA結節の電気的活動と無関係の高レベル電気的活動を除去できるようにするために、TLSセンサ50に動作可能に取り付けられ、このようにしてECGによる先端確認機能を可能にする。患者の皮膚上に配置されたECGリード/電極対158から受診された基準および接地信号と共に、スタイレットECGセンサアセンブリによって検知されたECG信号も、患者の胸部に配置されたTLSセンサ50によって受信される(図10)。TLSセンサ50および/またはコンソール処理部22は、後述するように、ディスプレイ30上の心電図波形を生成するために、ECG信号データを処理することができる。TLSセンサ50がECG信号データを処理する場合、目的の機能を実行するために、処理部がその中に含まれる。コンソール20がECG信号データを処理する場合、データを処理するために、処理部22、制御部24、または別の処理部がコンソール内で使用されることが可能である。
【0037】
このように、患者の血管内を前進するに連れて、上述のようなスタイレット130を備えるカテーテル72は、図10に示すように患者の胸部に配置されたTLSセンサ50の下を前進することができる。これにより、TLSセンサ50は、患者の血管内に位置するようなカテーテルの遠位先端76Aと末端をほぼ共有する、スタイレット130の磁気アセンブリの位置を検出することが可能になる。スタイレット磁気アセンブリのTLSセンサ50による検出は、ECGモードのときにディスプレイ30上に示される。ディスプレイ30はECGモードのときに、スタイレット130のECGセンサアセンブリによって検知されるような患者の心臓の電気的活動の結果として生成されたECG心電図波形を、更に示す。より詳細には、SA結節のECG電気的活動は、P波の波形を含み、スタイレットのECGセンサアセンブリ(後に記述)によって検出され、TLSセンサ50およびコンソール20に送られる。ディスプレイ30上の表示のため、その後ECG電気的活動が処理される。カテーテルを留置する臨床医はその後、一実施形態においてはSA結節の近位など、カテーテル72の遠位先端76Aの最適な配置を決定するために、ECGデータを観察することができる。一実施形態において、コンソール20は、スタイレットECGセンサアセンブリによって検出された信号を受信および処理するのに必要な、処理部22(図9)などの電子部品を含む。別の実施形態では、TLSセンサ50は、ECG信号を処理する、必要な電子部品を含むことができる。
【0038】
既に説明したように、カテーテル留置処理中に臨床医に対して情報を表示するために、ディスプレイ30が使用される。ディスプレイ30の内容は、カテーテル留置システムがUS、TLS、またはECGのどのモードであるかに応じて変化する。3つのモードのうちいずれかが臨床医によってディスプレイ30上に直ちに呼び出されることが可能であり、場合によってはTLSとECGなど、複数のモードからの情報が同時に表示されてもよい。一実施形態では、以前と同様に、システムのモードは手持ち式プローブ40に含まれる制御ボタン84によって制御されてもよく、このようにしてモードを変更するために臨床医が滅菌領域の外へ手を伸ばす(コンソール20のボタンインターフェース32に触れるなど)必要がなくなる。このように、本実施形態において、プローブ40は、システム10の一部または全部のECG関連機能を制御するためにも利用される。ボタンインターフェース32またはその他の入力構成も、システム機能を制御するために使用することができることは、留意すべきである。また、画像ディスプレイ30に加えて、ブザー音、発信音などのような聴覚情報も、カテーテル留置中に臨床医を補助するために、システムによって利用されてもよい。
【0039】
カテーテル72の中に取り外し可能に実装され、患者の血管内の所望の位置にカテーテルの遠位先端76Aを位置決めするために挿入中に利用されるスタイレット130の一実施形態の様々な詳細を説明するため、ここで図11から図12Eを参照する。図に示すように、カテーテルから抜去されたスタイレット130は、近位端130Aおよび遠位端130Bを画定する。近位スタイレット端130Aにはコネクタ132が含まれ、テザー134はコネクタから遠位に延在してハンドル136に取り付けられる。心線138はハンドル136から遠位に延在する。スタイレット130は、遠位端130Bが遠位端76Aにあるカテーテル開口部とほぼ同一平面上、または末端を共有するように(図10)、ならびに心線138の近位部、ハンドル136、およびテザー134が延長管74Bのうち選択された1つから近位に延在するように、一実施形態ではカテーテル72の内腔内に事前に実装されている。本明細書ではスタイレットと記載されているが、別の実施形態では、誘導線またはその他のカテーテル誘導装置が、本明細書記載の実施形態の原理を含んでもよいことを留意すべきである。
【0040】
心線138は、延伸形の輪郭を示し、一実施形態において、ステンレス鋼、または一般に「ニチノール」という頭字語で知られているニッケルおよびチタン含有合金などの記憶物質を含む、適切なスタイレット材からなる。本明細書には示されていないが、カテーテル72の遠位部を類似の湾曲構成にするように、一実施形態におけるニチノールからの心線138の製造は、スタイレットの遠位区画に対応する心線の部分が成型済み湾曲構成を有することができるようにする。一実施形態において、心線は事前成型を含まない。更に、ニチノール構造は、心線138にトルク性を付与して、カテーテル72の内腔内に配置されながらスタイレット130の遠位区画を操作できるようにし、さらにカテーテル挿入中にカテーテルの遠位部が血管内を誘導されるようにする。
【0041】
カテーテル72に対するスタイレットの挿入/抜去を可能にするため、ハンドル136が設けられている。スタイレット心線138がトルクを有する実施形態において、ハンドル136は更に、心線がカテーテル72の内腔内で回転されて、患者70の血管内でカテーテル遠位部を誘導するのに役立つことも可能にする。
【0042】
ハンドル136は、テザー134の遠位端に取り付けられている。本実施形態において、テザー134は、上述のECGセンサアセンブリとしての心線138、およびテザーコネクタ132の両方に電気的に接続される1つ以上の導線を収容する、可撓性の、遮蔽ケーブルである。従って、テザー134は、心線138の遠位部からスタイレット130の近位端130Aにあるテザーコネクタ132まで続く導電経路を提供する。後に説明するように、テザーコネクタ132は、患者の血管内の所望の位置までのカテーテル遠位先端76Aの誘導を補助するために、患者の胸部のTLSセンサ50に動作可能に接続するように構成されている。
【0043】
図12Bから図12Dにあるように、心線138の遠位部は、接合点142から遠位に段階的に細く、すなわち直径が小さくなっている。スリーブ140は、減径心線部の上を摺動する。ここでは直径が比較的大きめだが、別の実施形態のスリーブは、スタイレット心線の近位部の直径とほぼ一致するサイズであってもよい。スタイレット130は、TLSモードの間に使用するその遠位端130Bの近位に設けられる磁気アセンブリを更に含む。図に示す実施形態の磁気アセンブリは、減径心線138の外面とスタイレット遠位端130Bの近位のスリーブ140の内面との間に介在する、複数の磁気素子144を含む。本実施形態において、磁気素子144は、図2のスタイレット100と類似の方法で末端同士で積層された、中実の円柱形の強磁性体を20個含む。しかしながら、別の実施形態では、磁気素子(複数可)は、形状のみならず、組成、数、寸法、磁気の種類、およびスタイレットにおける位置も、その設計とは異なっていてもよい。例えば、一実施形態において、磁気アセンブリの複数の磁石の代わりに、TLSセンサによる検出のための磁場を発生させる、1つの電磁コイルを使用する。従って、これらおよびその他の変形例は、本発明の実施形態と見なされる。
【0044】
磁気素子144は、患者の胸部に配置されたTLSセンサ50に対してスタイレット遠位端130Bの位置を観察可能とするために、スタイレット130の遠位部で利用される。先に触れたように、TLSセンサ50は、スタイレットが患者の血管内を通じてカテーテル72を前進させる際に、磁気素子144の磁場を検出するように構成されている。このように、カテーテル72を留置する臨床医は、患者の血管内のカテーテル遠位端76Aの位置をほぼ判断することができ、例えば望ましくない血管に沿ったカテーテルの前進など、カテーテルの位置異常が発生しつつあるときに検出することができる。
【0045】
一実施形態によれば、スタイレット130は、先述のECGセンサアセンブリを更に含む。ECGセンサアセンブリは、挿入中にカテーテル72の内腔内に配置されたスタイレット130が、患者の心臓のSAまたはその他の結節によって発生した心房内ECG信号を検出するために利用できるようにし、それによってカテーテル72の遠位先端76Aを患者の心臓に近接する血管内の所定の位置まで誘導できるようにする。このように、ECGセンサアセンブリは、カテーテル遠位先端76Aの適切な配置を確認するための補助としての役割を果たす。
【0046】
図11から図12Eに示す実施形態において、ECGセンサアセンブリは、スタイレット遠位端130Bの近位に設けられた心線138の遠位部を含む。心線138は、導電性があり、その遠位端によってECG信号を検出できるようにし、心線に沿って近位に送信できるようにする。導電性エポキシ樹脂などの導電体146は、心線の遠位端と導電的に連絡するように、心線138の遠位終端に隣接したスリーブ140の遠位部を充填する。これは、ECG信号を検出する能力を向上するように、スタイレット130の遠位端130Bの導電面を増加させる。
【0047】
カテーテル留置の前に、スタイレット130はカテーテル72の内腔内に実装される。スタイレット130は、製造元からカテーテル内腔に事前実装された状態で納品されてもよく、あるいはカテーテル挿入に先立って臨床医によってカテーテル内に実装されても良いことは、留意すべきである。スタイレット130は、スタイレット130の遠位端130Bがカテーテル72の遠位先端76Aと末端をほぼ共有するように、カテーテル内腔に配置され、その結果スタイレットとカテーテルの両方の遠位先端をほぼ相互に一致させて配置する。カテーテル72とスタイレット130の末端共有により、磁気アセンブリはTLSモードでTLSセンサ50と共に機能して、前述のように、患者の血管内を前進する際に、カテーテル遠位先端76Aの位置を追跡する。しかしながら、システム10の先端確認機能において、スタイレット130の遠位端130Bは、カテーテル遠位端76Aと末端を共有する必要がないことは、留意すべきである。むしろ、要求されることは、患者の心臓のSA結節またはその他の結節の電気的インパルスが検出されることができるように、血管系とECGセンサアセンブリとの間の導電経路、この場合は心線138が確立されることだけである。一実施形態におけるこの導電経路は、食塩水、血液などを含む様々な要素を含むことができる。
【0048】
一実施形態において、一旦カテーテル72が挿入部位73を通じて患者の血管内に導入されてしまうと(図10)、カテーテル遠位先端76AをSA結節付近の目的部位に向けて前進させるために、先に述べたように、システム10のTLSモードを利用することができる。心臓の領域に接近すると、システム10は、検出されるSA結節によって発信されるECG信号を検出できるようにするために、ECGモードに切り替えることができる。スタイレット実装カテーテルが患者の心臓に向かって前進すると、心線138の遠位端および導電体146を含む導電性ECGセンサアセンブリは、SA結節によって生成される電気的インパルスの検出を開始する。このように、ECGセンサアセンブリは、ECG信号を検出するための電極としての役割を果たす。心線遠位端に近接する延伸心線138は、SA結節によって生成されてECGセンサアセンブリによって受信される電気的インパルスをテザー134に伝達するための、導電経路としての役割を果たす。
【0049】
テザー134は、一時的に患者の胸部に配置されたTLSセンサ50からのECG信号を伝達する。テザー134は、テザーコネクタ132、または別の適切な直接もしくは間接接続構成を経由して、TLSセンサ50に動作可能に接続される。既述のように、ECG信号はその後、処理されてシステムディスプレイ30上に示される(図9、図10)。TLSセンサ50によって受信されてディスプレイ30によって示されるECG信号の監視によって、臨床医は、カテーテル遠位先端76AがSA結節に向かって前進する際の信号における変化を観察および分析できるようになる。受信されたECG信号が所望のプロファイルと一致したとき、臨床医はカテーテル遠位先端76AがSA結節に対する所望の位置に到達したと判断することができる。既に触れたように、一実施形態において、この所望の位置は、SVCの下3分の1(1/3)部分の範囲内にある。
【0050】
ECGセンサアセンブリおよび磁気アセンブリは、臨床医が血管内にカテーテルを留置するのを補助するために協調して動作する。通常、スタイレット130の磁気アセンブリは、患者の心臓の主な領域にカテーテル72の遠位端76Aを配置するように、カテーテルの初期挿入から血管系をほぼ誘導する際に、臨床医を補助する。ECGセンサアセンブリはその後、スタイレットECGセンサアセンブリがSA結節に接近する際に心臓によって生成されるECG信号の変化を臨床医が観察できるようにすることで、カテーテル遠位端76AをSVC内の所望の位置に誘導するために利用することができる。繰り返しになるが、適切なECG信号プロファイルが観察されると、臨床医はスタイレット130とカテーテル72の両方の遠位端が患者の心臓に対する所望の位置に到達したと判断することができる。一旦望み通りに配置されると、カテーテル72は所定位置に固定されてもよく、スタイレット130はカテーテル内腔から抜去されてもよい。ここで、スタイレットは、本明細書内に明記されているものに加えて、様々な構成のうちの1つを含んでもよいことは、留意されたい。一実施形態において、スタイレットは、TLSセンサを経由する間接取り付けの代わりに、コンソールに直接取り付けることができる。別の実施形態では、自身のTLSおよびECG関連機能を可能にするスタイレット130の構造は、カテーテル構造自体に統合されてもよい。例えば、磁気アセンブリおよび/またはECGセンサアセンブリは、一実施形態では、カテーテルの壁部に組み込まれることが可能である。
【0051】
図13Aから図15は、本実施形態による、スタイレットテザー134から患者の胸部に配置されたTLSセンサ50へのECG信号データの経路に関する様々な詳細を示す。具体的には、この実施形態は、スタイレット130およびテザー134を含む、カテーテル72および挿入部位73を囲む滅菌領域、ならびにTLSセンサが位置する患者の胸部などの非滅菌領域からの、ECG信号データの経路に関する。このような経路は、その滅菌性が損なわれないように、滅菌領域を分断すべきではない。カテーテル挿入処置中に患者70の上に位置する滅菌ドレープは、滅菌領域の大部分を画定する:ドレープの上の領域は滅菌されており、下の領域(挿入部位とすぐ周辺の領域を除く)は滅菌されていない。後に分かるように、以下の説明は、少なくともスタイレット130に関連する第一連絡ノード、およびTLSセンサ50に関連する第二連絡ノードを含み、これらは相互間でECG信号データを伝送できるようにするため、動作可能に互いに接続している。
【0052】
滅菌領域の滅菌性を損なわずに滅菌領域から非滅菌領域へのECG信号データ経路に取り組む一実施形態は、「フカヒレ(shark fin)」実行とも呼ばれる「ドレープ貫通」実行を示す、図13Aから図15に示されている。具体的には、図14Aは、カテーテル挿入処置中の患者の胸部への配置用として先に記載されたTLSセンサ50を示す。TLSセンサ50はその上面に、3つの電気的ベースコンタクト154が内部に設けられたチャネル152Aを画定するコネクタベース152を含む。図13Aから図13Dにも示されるフィンコネクタ156は、図14Bおよび図15に示すように、コネクタベース152のチャネル152Aによって摺動可能に受容される寸法になっている。2つのECGリード/電極対158は、肩、胴体、またはその他の適切な患者の体の外側の位置への配置のため、フィンコネクタ156から延在している。ドレープ貫通テザーコネクタ132は、スタイレット120から滅菌領域を通ってTLSセンサ50までの導電経路を完成させるために、更に後述されるように、フィンコネクタ156の一部分と摺動的に結合するように構成されている。
【0053】
図13Aから図13Dは、フィンコネクタ156の更なる態様を示す。具体的には、フィンコネクタ156は、コネクタベース152のチャネル152Aに受容される寸法の下部バレル部160を画定する(図14B、図15)。中心錐体164によって囲まれた孔162は、上部バレル部166の後端上に含まれる。上部バレル部166は、テザーコネクタ132のチャネル172の内部に延在しているピンコンタクト170(図15)がフィンコネクタ156の孔162の中に着座するまで中心孔によって誘導され、従ってテザーコネクタをフィンコネクタと相互接続させるように、スタイレット130(図14C、図15)のテザーコネクタ132を受容する寸法になっている。図13Cおよび図13Dに示す係合機能などの係合機能は、2つの部品の結合の維持を補助するためにテザーコネクタ132の対応する機能と係合するために、フィンコネクタ156上に含まれることが可能である。
【0054】
図13Dは、フィンコネクタ156が複数の電気的コンタクト168を含むことを示している。本実施形態では、3つのコンタクト168が含まれる:最前の2つのコンタクトはそれぞれECGリード158のうちの1つの末端側終端と電気的に接続し、後部のコンタクトは、テザーコネクタ132がフィンコネクタ156と結合するときにテザーコネクタ132のピンコンタクト170と電気的に接続するように(図15)、孔162の軸近辺まで延在している。フィンコネクタ156の各コンタクト168の底部は、TLSセンサコネクタベース152のベースコンタクト154のうちの対応する1つと電気的に接続するように配置されている。
【0055】
図14Bは、コネクタベースチャネル152Aとフィンコネクタの下部バレル部160との摺動的係合によってフィンコネクタ156がTLSセンサコネクタベース152と取り外し可能に結合している、第一接続段階を示す。この係合は、コネクタベースコンタクト154を、対応するフィンコネクタ168と電気的に接続させる。
【0056】
図14Cは、テザーコネクタチャネル172のフィンコネクタの上部バレル部166との摺動的係合によってテザーコネクタ132がフィンコネクタ156と取り外し可能に結合している、第二接続段階を示す。この係合は、図15で最もよく分かるように、テザーコネクタのピンコンタクト170を、フィンコネクタ156の後部コンタクト168と電気的に接続させる。本実施形態において、フィンコネクタ156に対するテザーコネクタ132の水平摺動は、フィンコネクタがセンサコネクタベースチャネル152Aと摺動可能に結合しているとき(図14B)と同じ係合方向になっている。一実施形態において、スタイレット130/テザーコネクタ132およびフィンコネクタ156のうちの1つまたは両方が、使い捨てである。また、一実施形態におけるテザーコネクタは、フィンコネクタがTLSセンサに結合された後でフィンコネクタに結合されることが可能だが、別の実施形態では、テザーコネクタは、フィンコネクタがTLSセンサに結合される前に、最初に外科用ドレープを通じてフィンコネクタと結合されることが可能である。
【0057】
図14Cに示される接続スキームでは、スタイレット130はテザーコネクタ132を通じてTLSセンサ50に動作可能に接続され、それによってスタイレットのECGセンサアセンブリがTLSセンサにECG信号を伝達することを可能にしている。更に、ECGリード/電極対158は、TLSセンサ50に動作可能に接続されている。従って、一実施形態において、テザーコネクタ132はスタイレット130の第一連絡ノードと称される一方、フィンコネクタ156はTLSセンサ50の第二連絡ノードと称される。
【0058】
スタイレットとTLSセンサとの間で動作可能な連絡を確立するために、様々な他の接続スキームおよび構造を採用できることは、留意すべきである。例えば、ドレープを貫通するために、テザーコネクタはピンコンタクトの代わりにスライスコンタクトを使用することができる。あるいは、フィンコネクタはTLSセンサと一体に形成されることも可能である。従って、これらおよびその他の構成は、本開示の実施形態の範囲内に包含される。
【0059】
図15にあるように、滅菌領域を確立するためにカテーテル留置中に使用される滅菌ドレープ174は、テザーコネクタ132とフィンコネクタ156との相互接続の間に置かれる。上述のように、テザーコネクタ132は、2つの部品が結合しているときにドレープ174を貫通するように構成されたピンコンタクト170を含む。この貫通は、滅菌ドレープ174にピンコンタクト170で占有される小さな孔、または貫通孔175を形成し、このようにしてピンコンタクトによるドレープ貫通孔の大きさを最小限にする。更に、テザーコネクタ132とフィンコネクタ156との間の適合度は、ピンコンタクト170の貫通によって設けられた滅菌ドレープの貫通孔がテザーコネクタチャネル172によって囲まれて、そのためドレープの滅菌性を保持して、それによって確立された滅菌領域を侵害する可能性のあるドレープの破損を防止するようなものになっている。テザーコネクタチャネル172は、フィンコネクタ156の孔162の近位に配置されるまでピンコンタクトがドレープを貫通しないように、ピンコンタクト170による貫通前に滅菌ドレープ174を折り畳むように構成されている。ここで、テザーコネクタ132およびフィンコネクタ156は、不透明な滅菌ドレープ174を介しての目に見えない、すなわち両部品の臨床医による視覚に頼らない触診を通じての、アライメントを容易にするように構成されていることに留意されたい。
【0060】
また、図15に示すようなフィンコネクタ156のフィンコンタクト168が、フィンコネクタをセンサベースチャネル152Aと係合した状態で保持するのに役立つような方法でセンサベースコンタクト154と結合するように構成されていることも、留意すべきである。これは、フィンコネクタ156をTLSセンサ50に固定するための追加装置の必要性を減じることになる。
【0061】
図16は、P波およびQRS群を含む、代表的なECG波形176を示す。一般的に、P波の振幅は、波形176を発生させる、SA結節からのECGセンサアセンブリの距離に応じて変化する。カテーテル先端がいつ心臓付近に適切に配置されるかを判断するために、臨床医はこの関係を利用することができる。例えば、ある実行においては、先に説明されたように、カテーテル先端は、望ましくは上大静脈の下3分の1(1/3)の範囲内に留置される。スタイレット130のECGセンサアセンブリによって検出されたECGデータは、ECGモードの間のシステム10のディスプレイ30上での表示のため、波形176などの波形を再生するために使用される。
【0062】
ここで、一実施形態による、システム10がECGモード、すなわち先に述べた第三モダリティであるときの、ディスプレイ30上のECG信号データの表示態様を示す、図17を参照する。ディスプレイ30の画面例178は、TLSセンサ50の表示画像120、および患者の血管内を移動中のスタイレット130の遠位端の位置に対応するアイコン114を含む、TLSモダリティの要素を含む。画面例178は、スタイレット130のECGセンサアセンブリによって取得されてシステム10によって処理された現在のECG波形が表示される、ウィンドウ180を更に含む。ウィンドウ180は、新しい波形が検出されるに連れて継続的に更新される。
【0063】
ウィンドウ182は、最も新しく検出されたECG波形の連続表示を含み、波形が検出されるとそれらを更新するために横方向に移動し、更新バー182Aを含む。ウィンドウ184Aは、臨床医が所望のカテーテル先端位置が達成されたときを判断するのを補助するための比較目的のため、ECGセンサアセンブリがSA結節に近づく前に取得された、基準ECG波形を表示するために使用される。ウィンドウ184Bおよび184Cは、ユーザがプローブ40またはコンソールボタンインターフェース32の所定のボタンを押したときに、ユーザによって選択された検出ECG波形によって保存されることが可能である。ウィンドウ184Bおよび184Cの波形は、ボタン押下またはその他の入力によるユーザの選択の結果として、新しい波形によって上書きされるまで残る。先のモードと同様に、深度目盛り124、状態/動作指標126、およびボタンアイコン128が、ディスプレイ30上に含まれる。ECGリード/電極対158がTLSセンサ50に動作可能に接続されているか否かの表示を与えるために、完全性表示186もディスプレイ30上に含まれる。
【0064】
従って、上記のように、ディスプレイ30は、一実施形態において、1つの画面上でTLSおよびECGの両方のモダリティの要素を同時に示し、このようにしてカテーテル遠位先端を所望の位置に留置するのを補助するための豊富なデータを臨床医に提供する。一実施形態において、適切なカテーテル留置の文書化を可能にするために、画面例の印刷または選択されたECGあるいはTLSデータが、システム10によって保存、印刷、またはその他の方法で保管されることが可能であることは、更に留意すべきである。
【0065】
本明細書に記載の実施形態は、PICCまたはCVCなどの、カテーテルの具体的な構成に関連しているが、このような実施形態は単なる例示である。従って、本発明の原理は、多くの異なる構成および設計のカテーテルに拡大適用することができる。
【0066】
本発明の実施形態は、本開示の精神を逸脱しない範囲で、別の具体的な形態で実現されてもよい。記載された実施形態は、全ての態様において説明的と見なされ、限定的とは見なされない。従って、実施形態の範囲は、先行する記述よりもむしろ添付の請求項によって示される。請求項と同等の意味および範囲の内にある全ての変更は、その範囲内に含まれるものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の血管内にカテーテルを留置するための統合型カテーテル留置システムであって、
システムコンソールと、
患者の体の一部へ一時的に配置され、カテーテルの遠位部が血管内に配置されているときにカテーテルの内腔内に配置されたスタイレットの磁場を検知するための、システムコンソールに動作可能に取り付けられた先端位置センサと、
カテーテルの血管内への導入に先立って患者の体内部位を超音波的に撮像し、コンソールに動作可能に接続され、超音波モードでは超音波プローブの使用を、先端位置特定モードでは先端位置センサの使用を制御するためのユーザ入力制御部を含む、超音波プローブとを含む、統合型カテーテル留置システム。
【請求項2】
超音波モードおよび先端位置特定モードに関連する情報を示すためのディスプレイを更に含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
ディスプレイがコンソールと一体化され、コンソールが少なくとも1つの制御処理部を含む、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
ユーザ入力制御部が超音波プローブ上に含まれるボタンである、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
超音波プローブのユーザ入力制御部が、超音波モードに関する情報の表示と先端位置特定モードに関する情報との間でのディスプレイの切替を可能にする、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
コンソールが、ディスプレイの切替を可能にするボタンインターフェースを含む、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
スタイレットの磁場が、スタイレットの遠位端付近に含まれる少なくとも1つの磁気素子によって提供され、スタイレットの遠位端がカテーテルの遠位端と末端をほぼ共有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
カテーテル留置が完了した後、スタイレットがカテーテルの内腔から抜去可能である、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
システムの使用中にプローブが滅菌領域内に配置され、プローブが、滅菌領域から臨床医が逸脱することなく臨床医によるシステムの使用を可能にする、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
スタイレットの磁場が、永久磁石、電磁石、および上記のいずれかの組合せのうちの1つを含む部品によって発生させられる、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
洞房結節の電気的活動を検出するためにスタイレット上に含まれるECGセンサアセンブリと、
患者の外部への配置のための基準電極および接地電極であって、ECGセンサアセンブリ、基準電極、および接地電極が先端位置センサを通じてシステムコンソールに動作可能に接続されている、基準電極および接地電極とを含む、カテーテル遠位先端の患者の心臓の洞房結節への接近を判断するためのECG先端確認部品を更に含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
患者の血管内にカテーテルを留置するための統合型カテーテル留置システムであって、
ディスプレイを含むコンソールと、
ディスプレイ上の表示のために血管系の一部を超音波撮像するためにコンソールに動作可能に接続された超音波プローブと、
カテーテルに関連づけられている磁気アセンブリと、
血管内でのカテーテル前進中に先端位置センサに対するカテーテルの位置を判断するために、磁気アセンブリの磁場の先端位置センサによる検出に関する情報をディスプレイ上に示すために、コンソールに動作可能に接続された、先端位置センサとを含む、統合型カテーテル留置システム。
【請求項13】
先端位置センサがカテーテル留置中に患者の胸部上に配置され、磁気アセンブリが、カテーテルの内腔に取り外し可能に挿入されるスタイレットに含まれ、スタイレットが少なくとも1つの磁気素子を含む、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
少なくとも1つの磁気素子が複数の強磁性素子を含む、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
カテーテルの遠位先端と末端をほぼ共有するように、少なくとも1つの磁気素子がスタイレットに含まれる、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
超音波プローブが、システムの機能を制御するための少なくとも1つのユーザ入力制御部を含む、請求項12に記載のシステム。
【請求項17】
患者の血管内にカテーテルを留置するための方法であって、
コンソールのディスプレイ上での表示のために血管系の一部を超音波撮像するステップと、
それに関連づけられた磁気アセンブリを含むカテーテルを患者の血管内に導入するステップと、
コンソールのディスプレイ上での表示のためにカテーテルが患者の血管内にあるときに、磁気アセンブリの磁場を検出するステップとを含む、方法。
【請求項18】
患者の滅菌領域の外へ手を伸ばすことなく、磁場を超音波撮像および検出する段階を制御するステップを更に含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
コンソールのディスプレイ上での表示のためにカテーテルが患者の血管内にあるときに、カテーテルに関連づけられたECGセンサアセンブリによって患者の心臓結節のECG信号を検出するステップを更に含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
患者の滅菌領域の外へ手を伸ばすことなくECG信号を検出する段階を制御するステップを更に含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
コンソールに動作可能に接続された超音波プローブを通じてのユーザ入力によって、超音波撮像、磁場の検出、およびECG信号の検出の段階に関する情報を選択的に表示するステップを更に含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
患者の血管内にカテーテルを挿入するためのカテーテル留置システムであって、
コンソールと、
磁場を発生させる磁気アセンブリ、
患者の心臓の結節のECG信号を検出するためのECGセンサアセンブリ、
ECGセンサアセンブリと連絡している第一コネクタを含む、カテーテルの内腔内に取り外し可能に配置可能なスタイレットと、
患者の胸部上に配置可能であって、カテーテルが患者の血管内に位置しているときに磁気アセンブリの磁場を検出するように構成された、先端位置センサと、
先端位置センサおよびコンソールのうちの1つに含まれ、ECGセンサアセンブリによって検出されたECG信号が先端位置センサおよびコンソールのうちの少なくとも1つと連絡できるようにするために、スタイレットの第一コネクタに動作可能に接続するための第二コネクタと、
ECGセンサアセンブリによって検出されたECG信号の少なくとも1つの態様に関する情報を表示するためのディスプレイとを含む、統合型カテーテル留置システム。
【請求項23】
コンソールディスプレイが、心臓の結節に対して所定の位置にカテーテルの先端が位置しているときを臨床医が特定できるようにする、請求項22に記載のシステム。
【請求項24】
第二コネクタが先端位置センサに含まれ、第一および第二コネクタが、患者の胸部上に配置されたスタイレットと先端位置センサとの間に介在するドレープに形成された貫通孔を通じて物理的に接続され、第一および第二コネクタの物理的接続が、ドレープに貫通孔を設け、患者の滅菌領域への侵入を防止するために貫通孔を制限する、請求項22に記載のシステム。
【請求項25】
ECGセンサアセンブリがスタイレットの導電性心線を含み、心線が第一コネクタと動作可能に連絡している、請求項24に記載のシステム。
【請求項26】
心線が、遠位先細部を含み、スタイレットの遠位端まで延在している、請求項25に記載のシステム。
【請求項27】
第一コネクタが心線と動作可能に連絡しているピンコンタクトを含み、ピンコンタクトが第一コネクタによって画定されるチャネルに設けられている、請求項25に記載のシステム。
【請求項28】
第二コネクタが先端位置センサに含まれるフィンコネクタであって、ECG信号がECGセンサアセンブリから先端位置センサまで通過できるようにするため、第一コネクタのピンコンタクトが第二コネクタのコンタクトと動作可能に連絡するように配置されるように、第一コネクタが第二コネクタと摺動可能に取り付け可能になっている、請求項27に記載のシステム。
【請求項29】
第二コネクタが、先端位置センサから選択的に取り外し可能なフィンコネクタである、請求項28に記載のシステム。
【請求項30】
先端位置センサが、先端位置センサの少なくとも1つの電気的コンタクトがフィンコネクタの少なくとも1つの電気的コンタクトと動作可能に連絡するように配置されるように、フィンコネクタのバレル部を摺動可能に受容するチャネルを含む、請求項29に記載のシステム。
【請求項31】
磁気アセンブリがスタイレットの遠位端の近位に位置する複数の磁気素子を含み、複数の磁気素子がカテーテルの遠位先端とほぼ近接するように、スタイレットがカテーテルの内腔内に配置されている、請求項22に記載のシステム。
【請求項32】
ディスプレイ上での表示のために、カテーテルの血管内への導入に先立って、血管系の一部を超音波撮像するための、コンソールに動作可能に接続された超音波プローブを更に含む、請求項22に記載のシステム。
【請求項33】
第一モードのディスプレイが超音波プローブによる超音波撮像に関する態様を示し、第二モードのディスプレイが磁気アセンブリの磁場の先端位置センサによる検出に関する態様を示し、第三モードのディスプレイがECGのECGセンサアセンブリによる検出に関する態様を示し、ディスプレイによって示されるモードが、臨床医が患者の滅菌領域の外へ手を伸ばすことなく選択される、請求項32に記載のシステム。
【請求項34】
第三モードのディスプレイが、患者の心臓結節の現在のECGトレースを表示する、請求項33に記載のシステム。
【請求項35】
第二モードのディスプレイが、磁気アセンブリの先端位置センサへの第一接近を示すための第一アイコンと、磁気アセンブリの先端位置センサへの第二接近を示すための第二アイコンとを示す、請求項22に記載のシステム。
【請求項36】
スタイレットおよび第二コネクタが、単回使用後に廃棄可能である、請求項22に記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図7D】
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【図7E】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12A】
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【図12B】
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【図12C】
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【図12D】
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【図12E】
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【図13A】
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【図13B】
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【図13C】
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【図13D】
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【図14A】
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【図14B】
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【図14C】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公表番号】特表2011−504766(P2011−504766A)
【公表日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−535117(P2010−535117)
【出願日】平成20年11月25日(2008.11.25)
【国際出願番号】PCT/US2008/084751
【国際公開番号】WO2009/070616
【国際公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【出願人】(591018693)シー・アール・バード・インコーポレーテッド (106)
【氏名又は名称原語表記】C R BARD INCORPORATED
【Fターム(参考)】