カテーテル用内視鏡
【課題】 患者の体内に挿入される医療用のカテーテルの外径を大きくすることなく、観察しながら確実、且つ、容易に患者の体内の目的位置までカテーテルの挿入を行えるカテーテル用内視鏡を提供すること。
【解決手段】 本発明は、先端部分に観察手段と照明手段を備え、上記先端部分をカテーテル4の内周部に着脱自在に固定する固定手段10と、を具備することを特徴とするカテーテル用内視鏡2。
【解決手段】 本発明は、先端部分に観察手段と照明手段を備え、上記先端部分をカテーテル4の内周部に着脱自在に固定する固定手段10と、を具備することを特徴とするカテーテル用内視鏡2。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
体腔内へ挿入されるカテーテルの挿入時に使用されるカテーテル用内視鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
周知の如く、体腔内などに細長なチューブ状のカテーテルを挿入する処置技術がある。その一例として、例えば、気管支肺胞内の液体成分を回収して診断する方法に気管支肺胞洗滌診断(Bronchoalveolar Lavage:BAL)に用いられる内視鏡用カテーテル、或いは血管内に薬剤を注入するため薬剤配分PTC血管内カテーテルである。
【0003】
このような医療行為に用いられる従来のカテーテルには、例えば、特許文献1に記載の内視鏡用バルーンカテーテル、及び特許文献2に記載の薬剤配分PTC血管内カテーテルが開示されている。
【特許文献1】特開2006−334149号公報
【特許文献2】特表平9−500312号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1、及び2に記載の従来の医療用のカテーテルには、観察機能がなく、医師の技術に裏付けされた勘を頼りに患者の体腔内に挿入されていた。
【0005】
そのため、充分に経験の豊富な熟練医師であっても、カテーテルを被検体の体内の目的位置まで、確実に挿入することが困難であり、予期せぬ体内の異常を挿入過程で確認することができないという問題がある。
【0006】
このような問題を解消するため、医師は、体腔などの目的位置まで確実にカテーテルを挿入するため、内視鏡を先に体腔などへ挿入して、この内視鏡に備えられている鉗子チャンネルを利用してカテーテルを挿入するという手技が一般に行われる。しかし、従来のカテーテルは、通常、非常に細い外径であるのに対して、内視鏡がかなり太い外径になってしまうため、内視鏡の挿入時に、どうしても、被検者へ負担を与えてしまうという問題も生じる。
【0007】
そこで、本発明は、上述の問題に鑑みて成されたものであり、その目的とするところは患者の体内に挿入される医療用のカテーテルの外径を大きくすることなく、観察しながら確実、且つ、容易に患者の体内の目的位置までカテーテルの挿入を行えるカテーテル用内視鏡を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、先端部分に観察手段と照明手段を備え、上記先端部分をカテーテルの内周部に着脱自在に固定する固定手段と、を具備することを特徴とするカテーテル用内視鏡。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、患者の体内に挿入される医療用のカテーテルの外径を大きくすることなく、観察しながら確実、且つ、容易に患者の体内の目的位置までカテーテルの挿入を行えるカテーテル用内視鏡を実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。尚、以下に示す実施の形態においてを例に挙げて説明する。
【0011】
(第1の実施の形態)
本発明の第1の実施の形態に係る、カテーテル用内視鏡について説明する。尚、図1〜図4は第1の実施の形態に係り、図1は医療用のカテーテル、及びカテーテル用内視鏡の全体構成図、図2はカテーテル用内視鏡の先端部分の内部構成を示す断面図、図3は医療用のカテーテルにカテーテル用内視鏡が挿入された状態の先端から見た正面図、図4は図3の状態におけるカテーテル用内視鏡の先端部分と医療用のカテーテルの断面図である。
【0012】
図1に示すように、本実施の形態の内視鏡装置100は、カテーテル用内視鏡(以下、単に内視鏡と略記する)1と、この内視鏡1が接続されるプロセッサ2と、このプロセッサ2に接続されるモニタ8と、によって主に構成されている。尚、内視鏡1は、プロセッサ2の前面に配設されたコネクタ部5を介して、電気的にプロセッサ2と着脱自在に接続されている。
【0013】
また、内視鏡1は、一般に使用される樹脂製の医療用のカテーテル4に挿通自在に、可撓性を備えた細長な形状をしている。
【0014】
プロセッサ2は、内視鏡1に内蔵されている、観察手段を構成するCCD、或いはCMOSなどの後述する撮像チップ21(図2参照)を駆動し、この撮像チップ21で得られた画像信号を処理し、モニタ8に出画させる回路を有する他、内視鏡1に備えられた照明手段へ光を供給する光源装置、内視鏡1に備えられた後述の固定手段であるバルーン10(図2参照)への送気を行う送気ポンプ等を有している。
【0015】
以上に説明した本実施の形態の内視鏡装置100は、予め医療用のカテーテル4内に内視鏡1を挿通固定し、観察できる状態で被検者の体内にカテーテルを挿入できるようにするものである。
【0016】
次に、内視鏡1の主に先端内部の詳細構成について図2を用いて説明する。
図2に示すように、内視鏡1は、先端部分に膨張収縮自在な弾性材から形成されたバルーン10と、このバルーン10から基端方向に延設され、可撓性を備えたチューブ状の挿入部17と、を有し、これらによって細長に外径形成されている。
【0017】
内視鏡1の先端部分は、樹脂製の先端固定部材15と、樹脂製円筒状の先端固定筒16と、による硬質な部分が構成されている。この先端固定部材15は、内視鏡1の先端面を構成し、基端外周部分が先端固定筒16と嵌着されている。
【0018】
先端固定部材15内には、先端側から順に、対物レンズである第1のレンズ11、第2のレンズ18、レンズ枠19、対物レンズである第3のレンズ20、及び撮像チップ21の受光面を覆うカバーガラス22の夫々が所定の位置で接着剤によって固定されている。尚、レンズ18の入射面側には、明るさ絞りが蒸着されている。また、第3のレンズ20は、カバーガラス22の表面に芯出し接着されている。
【0019】
レンズ枠19は、レンズ20と第2のレンズ18のレンズ間隔を一定に保つ間隔環である。また、撮像チップ21は、超小型のもので外径がφ1mm以下のものが望ましい。カバーガラス22は、先端固定部材15の後端面より後方に配置されている。
【0020】
撮像チップ21の受光面側に設けられた端子部には、突起電極(バンフ)を介してTABテープ23が半田などにより接続されている。この接続部は、封止樹脂25で覆われている。
【0021】
TABテープ23には、電子部品24が実装されている。このTABテープ23における、電子部品24が実装されていない後方側の部分は、前方へ折り返されて信号ケーブル26のケーブル線26aが半田26bにより接続されている。この信号ケーブル26は、挿入部17内を挿通して、内視鏡1の基端まで延設されており、コネクタ部5(図1参照)を介してプロセッサ2と電気的に接続される。
【0022】
先端固定部材15には、後端面から側面にかけてL字状に形成された送気孔15aが設けられている。この送気孔15aの後端側には、樹脂製の送気チューブ14が取り付けられている。送気チューブ14は、気体が送気される送気路13を有している。この送気チューブ14も、内視鏡1の基端まで延設されており、コネクタ部5(図1参照)を介してプロセッサ2と連通される。
【0023】
先端固定筒16の側面には、送気孔15aの位置に合わせた送気口16aが設けられている。この送気孔15aと、送気口16aとが合わせられて、上述したように、先端固定部材15の後方外周と先端固定筒16とが嵌合固定される。
【0024】
先端固定部材15に先端固定筒16を嵌合させる際に、本実施の形態においては、先端部の強度、耐湿性などが強化されるように、先端固定筒16内周、及び先端固定部材15の後端の撮像チップ21、TABテープ23、信号ケーブル26、及び送気チューブ14の先端側外周が全て覆われるように接着剤27を塗布注入し、硬化させて固定している。
【0025】
先端固定筒16の外周後端部には、挿入部17を形成する樹脂チューブが固定されている。バルーン10は、前端部が先端固定部材15の外周先端部分と、後端部が挿入部17に面位置を合わせて、先端固定筒16の外周部の後方部分に固着されている。
【0026】
先端固定部材15の先端面には、図3に示すように、照明レンズ12が設けられ、後端側から照明レンズ12に突き当たるように、図示しないライトガイドバンドルが固定されている。尚、ライトガイドバンドル(不図示)は、内視鏡1の基端まで延設されており、コネクタ部5を介して、プロセッサ2から照明光が導光される。
【0027】
以上のように構成された、本実施の形態の内視鏡1は、図3、及び図4に示すように、カテーテル4に内視鏡1が挿入される。このとき、カテーテル4と内視鏡1の先端面が揃えられた状態で、プロセッサ2に内蔵された送気ポンプから送気チューブ14の送気路13に気体、例えば、エアー(二酸化炭素ガスでも良い)が送気される。
【0028】
すると、この送気路13内に送り込まれた気体は、送気孔15aを介して送気口16aからバルーン10内へと送気される。したがって、バルーン10が内視鏡1の外周方向へ膨張する。
【0029】
これにより、バルーン10内の空気圧によって、内視鏡1の先端部分は、バルーン10の表面がカテーテル4の内周面に圧接し、カテーテル4内で固定される。そのため、この状態で術者は、カテーテル4を被検者の体内に挿入すれば、内視鏡1による観察画像をモニタ8により観察しながらカテーテル4を目的位置まで挿入していくことが可能となる。
【0030】
そして、術者は、被検者の体内における目的部位にカテーテル4の先端部が到達したことをモニタ8によって確認したならば、プロセッサ2の送気ポンプを停止、或いは吸気を行うことによって、バルーン10内の気体を抜く。すると、バルーン10は、収縮し、カテーテル4への内視鏡1の先端部分の固定が解除される。その後、術者は、内視鏡1のみカテーテル4から抜去すれば、カテーテル4の本来の機能を果たすことができる。
【0031】
以上に説明したように、本実施の形態のカテーテル用内視鏡装置100は、カテーテル4を被検者の体内へ観察しながら挿入することができるため、確実に、且つ容易に目的位置までカテーテル4の先端部分を挿入することができる。また、カテーテル4の挿入過程を観察しながら行えるため、体内の異常部位を早急に判断できる。
【0032】
さらに、特別なカテーテルを必要とせず、従来から用いられているカテーテル4に内視鏡1を挿入できる構成であるため、カテーテル4の外径を太らせることがないので、汎用性が高く経済的であると共に、挿入時における患者へ負担を軽減することができる。
【0033】
また、本実施の形態のカテーテル用内視鏡装置100の内視鏡1をERCP(Endoscopic Retrograde Cholangio−pancreatography:内視鏡的逆行性胆道膵管造影検査)用のカテーテルに用いれば、膵胆管内の観察をした後に造影ができるので、新たな診断の可能性が広がる。
【0034】
(第2の実施の形態)
次に、第2の実施の形態に係る、カテーテル用内視鏡について説明する。尚、図5〜図9は、本発明の第2の実施の形態に係り、図5はカテーテル用内視鏡の先端部分の断面図、図6は図5のVI−VI線に沿ったカテーテル用内視鏡の先端部分の断面図、図7は医療用のカテーテルにカテーテル用内視鏡が挿入固定された状態の先端から見た正面図、図8はカテーテル用内視鏡の先端部分と医療用のカテーテルの断面図、図9は変形例を示すカテーテル用内視鏡の先端部分と医療用のカテーテルの断面図である。
【0035】
以下の説明において、上述した第1の実施の形態のカテーテル用内視鏡装置100と同一の構成について同じ符号を用い、それら構成の詳細な説明を省略する。また、本実施の形態では、図5、及び図6に示すようにカテーテル用内視鏡(以下、内視鏡と略記する)30とカテーテル4への固定手段を、加熱すると収縮するワイヤ輪状の形状記憶合金35としている。この形状記憶合金35に電流が通電すると、形状記憶合金35は、発熱して、所定の温度に達すると収縮する構成である。
【0036】
図5、及び図6に示すように、本実施の形態の内視鏡30は、樹脂製の先端固定部材32内に、信号ケーブル36が基端方向に延設された撮像ユニット31と、図示しない照明手段と、が内蔵されている。先端固定部材32の外周部後端部に、第1の実施の形態と同様に、樹脂製の先端固定筒33が嵌合固定されている。
【0037】
この先端固定筒33の外周後端部には、信号ケーブル36と共に、気密封止のため熱収縮チューブ34が配設されている。また、先端固定筒33は、その外周中途部に内部へ向かった形状記憶合金35の両端部を固定するための取り付け孔が2箇設けられている。これら取り付け孔に形状記憶合金35の両端部が先端固定筒33の外周部側から内側に向けて差し込まれ、内部側で接着材によって固定されている。
【0038】
形状記憶合金35の両端部には、2本の形状記憶合金用電源ケーブル37の素線37aが半田などの接続部34bにより電気的に接続されている。この形状記憶合金用電源ケーブル37は、信号ケーブル36に沿わせて後方へ引き出される。
【0039】
尚、照明手段にLEDを用いた場合、内視鏡30から引き出されるのは照明用電源ケーブル、信号ケーブル36、及び形状記憶合金用電源ケーブル37のみとなるので、熱収縮チューブ34内において、これらケーブルが分離するような1本のケーブルを用いてもよい。つまり、熱収縮チューブ34より後方では、信号ケーブル36、形状記憶合金用電源ケーブル37、及び照明用電源ケーブルが1本にまとめられた複合ケーブル一本としてもよい。
【0040】
以上のように構成された、本実施の形態の内視鏡30は、形状記憶合金35に電力をプロセッサ2から形状記憶合金用電源ケーブル37を介して通電すると、形状記憶合金35が収縮する(図6の破線)。
【0041】
この状態で、術者は、カテーテル4に内視鏡30を挿入し、カテーテル4と内視鏡30の先端が揃ったところで形状記憶合金35への給電をオフにする。すると、形状記憶合金35の外径が大きくなり(図6の実線)、図7に示すように、内視鏡30の先端部分がカテーテル4の先端内周部に固定される。つまり、形状記憶合金35は、カテーテル4の内周面と圧接する。
【0042】
このままの状態で、術者は、カテーテル4を被検者に挿入すれば、第1の実施の形態と同様に、内視鏡30により観察しながらカテーテル4を挿入していくことが可能となる。そして、術者は、被検者の体内の目的部位にカテーテル4の先端部が到達したなら、再び形状記憶合金35に通電すれば、内視鏡30と、カテーテル4との固定を解除することができる。そして、術者は、内視鏡30のみをカテーテル4から抜去することができる。
【0043】
尚、内視鏡30は、外径を大きくしない範囲でアングル機構を挿入部内に備えた構成としても良い。これにより、術者は、アングル機構を操作して、挿入方向を湾曲可変できるため、カテーテル4の挿入性も一段と向上する。
【0044】
また、カテーテル用内視鏡装置100は、プロセッサ2とモニタ8、及び電源ユニットを一体的に内蔵するアングル操作のための操作部を有することで、よりコンパクトなシステムとすることが可能になり、搬用性にも優れたものとすることができる。
【0045】
以上のように説明した、本実施の形態のカテーテル用内視鏡装置100においても、第1の実施の形態と同じ効果を奏することができる。
【0046】
尚、図9に示すように、形状記憶合金35を内視鏡30の先端外周部に複数回らせん状に巻きつけ、その外側にバルーン10を被せた構成としても良い。この構成では、第1の実施の形態でのバルーン10を気体の送気により膨張させたのに対して、本変形例では上述したように形状記憶合金35に電流を流さない状態でバルーン10を膨張させた状態を実現し、カテーテル4への装着時に形状記憶合金35を加熱しバルーン10を収縮させる構成とすることができる。
【0047】
(第3の実施の形態)
次に、第3の実施の形態に係る、カテーテル用内視鏡について説明する。尚、図10〜図16は、本発明の第3の実施の形態に係り、図10はカテーテル用内視鏡の先端部分の断面図、図11は医療用のカテーテルにカテーテル用内視鏡が挿入された状態の先端から見た正面図、図12は図11の状態におけるカテーテル用内視鏡の先端部分と医療用のカテーテルの断面図、図13は第1の変形例を示すカテーテル用内視鏡の先端から見た正面図、図14は図13のXIV−XIV線に沿ったカテーテル用内視鏡の先端部分の断面図、図15は第2の変形例を示す医療用のカテーテルにカテーテル用内視鏡が挿入された状態の医療用のカテーテルの断面図である。
【0048】
以下の説明において、上述した第1、及び第2の実施の形態のカテーテル用内視鏡装置100と同一の構成について同じ符号を用い、それら構成の詳細な説明を省略する。また、本実施の形態では、図10〜図12に示すようにカテーテル用内視鏡(以下、内視鏡と略記する)40とカテーテル4への固定手段を内視鏡40の先端部分の外周部に配設される粘着部46とした構成である。
【0049】
図10に示すように、本実施の形態の内視鏡40は、先端固定部材42と先端固定筒45によって、先端部分の外形が形成されている。また、先端固定部材42は、金属製の対物レンズ枠41等から構成される撮像ユニットを固定している。
【0050】
撮像ユニットは、上述した複数のレンズ群などを保持する対物レンズ枠41、及び信号ケーブル26の先端部分を一体的に被覆し、第1の接着剤44が充填された熱収縮チューブ43によって構成されている。この撮像ユニットと、信号ケーブル26の先端部分は、先端固定部材42と先端固定筒45が覆うように固定されている。先端固定筒45の内部は、第2の接着剤48が充填されている。また、先端固定筒45の後端部と信号ケーブル26は、熱収縮チューブ47で固定されている。この先端固定筒45の外周面には、固定手段である粘着剤などが塗布された粘着部46が設けられている。
【0051】
尚、本実施の形態の内視鏡40は、先端固定部材42が蓄光体で形成されている。この蓄光体とは光を蓄えて暗い所でそれを放出することによって発光するような材料で、先端固定部材42の主材料である樹脂に混ぜ込まれている。尚、必要に応じて45に蓄光体を混ぜ込んでも構わない。そのため、本実施の形態では、先端固定部材42が照明手段を構成している。
【0052】
以上のように構成された、本実施の形態の内視鏡40は、上述の各実施の形態と同様に、図11、及び図12に示すように、その先端面がカテーテル4の先端面とが合わされて配置される。このとき、先端固定筒45の粘着部46がカテーテル4の内周面に貼着することで、内視鏡40がカテーテル4に固定される。そして、内視鏡40の固定をカテーテル4から解除する場合は、内視鏡40をやや強めに引くことによって粘着部46はカテーテル4の内周面から剥がれ、内視鏡40のみ抜去することができる。
【0053】
また、粘着部46は、カテーテル4に対して内視鏡40を先端側に押し込む方向に対しては粘着力が強く、逆に引き込む方向に対して粘着力が弱いという特性を有する構成とした方が良い。尚、内視鏡40単体では、粘着部46の表面に図示しないカバーが取り付けられており、カテーテル4に取り付ける時に、このカバーを剥がしてカテーテル4の内周面に固定するものである。
【0054】
本実施の形態の内視鏡40をカテーテル4に取り付ける前に、内視鏡40の先端部分の先端固定部材42が十分に室内照明にさらされていれば、カテーテル4を被検者へ挿入する時間程度なら問題なく照明をすることができる。さらに、狭い管腔が対象であるならば尚更、蓄光体の発光により、充分な照明光を得ることができる。
【0055】
以上説明したように、本実施の形態の内視鏡40では、上述の各実施の形態の効果に加え、カテーテル4の固定を粘着剤である粘着部46のような簡単な構成とすることができる。また、照明手段が内視鏡40のメカ枠である先端固定部材42と共有できるので、先端分が細径化でき、挿入部も信号ケーブル以外不要なので細径化できる。その結果、内視鏡40は、部材数が少なく構造自体も単純なものとできるため、製造コストが低く抑えられ、さらにディスポ化にも対応できる。
【0056】
尚、図13、及び図14に示すように、内視鏡40は、金属製の先端固定部材50に、照明用の蓄光体52と照明レンズ12を設けても良い。このような構成とすれば、蓄光体52に蓄えられた光は、照明レンズ12を通して配光のよい照明とすることができる。また、この先端固定部材50は、対物レンズ群を保持するレンズ枠を兼ねている。
【0057】
また、照明レンズ12自体を蓄光体で形成しても構わない。撮像チップ21が第1のレンズ11に対して大きくなるような場合には、このような構成とすれば、先端スペースの有効利用ができる。
【0058】
さらに、本実施の形態のカテーテル用内視鏡を図15に示すような、カプセル型内視鏡53とし、その外周部に略筒状のゴムなどの弾性部材から形成された固定手段である固定部材54を装着しても良い。尚、このカプセル型内視鏡53は、観察手段と照明手段と通信手段、及び、電源ユニットを含み、照明手段は蓄光体でも構わない。
【0059】
固定部材54は、その内周部によりカプセル型内視鏡53の外周部を圧接して装着される。この固定部材54は、内周部の両端がやや窄まり、カプセル型内視鏡53をしっかりホールドして脱落を防止している。固定部材54の外周部は、中央付近を肉厚にし、その外径をカテーテル4の内径よりも大きく設定されている。
【0060】
術者は、カテーテル4を被検者の体内に挿入する前に、カテーテル4の先端開口部から固定部材54が装着されたカプセル型内視鏡53をカテーテル4の内部へ挿入する。このとき、固定部材54の弾力により、カプセル型内視鏡53がカテーテル4の先端内周部に固定される。
【0061】
また、カテーテル4による治療の際には、カテーテル4の手元側から吸引をかけるか、或いは固定部材54、或いはカプセル型内視鏡53の後端部にカテーテル4よりも長いひも53aを設けて、吸引しなくても、ひも53aを引っ張ることによって固定部材54と共にカプセル型内視鏡53を回収することが可能である。
【0062】
このような構成とすることで、カテーテル4とカプセル型内視鏡53は、観察可能なカテーテル内視鏡として使用することもできる。また、カプセル型内視鏡53は、安価であるので、ディスポ化にも対応可能となる。さらに、このような構成により、被検者への使用前のセッティング、及び使用後の回収が容易となる。
【0063】
以上の各実施の形態に記載した発明は、夫々の実施の形態に限ることなく、その他、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々の変形を実施し得ることが可能である。さらに、上記各実施形態には、種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組合せにより種々の発明が抽出され得るものである。
【0064】
例えば、各実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題が解決でき、発明の効果で述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得るものである。
【0065】
尚、以上に説明した本発明は、以下の付記に記載する特徴を有している。
【0066】
(付記項1)
先端部に観察手段と照明手段を備え、先端外周部をカテーテルの先端内周部に着脱自在に固定することを特徴とするカテーテル用内視鏡。
【0067】
(付記項2)
前記内視鏡先端外周部に弾性部材を備え、前記カテーテルの先端内周部に着脱自在に固定することを特徴とする付記項1に記載のカテーテル用内視鏡装置。
【0068】
(付記項3)
前記内視鏡先端外周部にバルーンを備え、前記カテーテルの先端内周部に着脱自在に固定することを特徴とする付記項1に記載のカテーテル用内視鏡装置。
【0069】
(付記項4)
前記内視鏡先端外周部に粘着部材を備え、前記カテーテルの先端内周部に着脱自在に固定することを特徴とする付記項1に記載のカテーテル用内視鏡。
【0070】
(付記項5)
観察手段と照明手段と観察画像通信手段と電源手段を備え、外周部をカテーテルの先端内周部に着脱自在に固定することを特徴とするカテーテル用内視鏡。
【0071】
(付記項6)
前記内視鏡外周部に弾性部材を備え、前記カテーテルの先端内周部に着脱自在に固定することを特徴とする付記項5に記載のカテーテル用内視鏡。
【0072】
(付記項7)
前記照明手段が蓄光体であることを特徴とする付記項1〜6記載のカテーテル用内視鏡。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】第1の実施の形態に係る、医療用のカテーテル、及びカテーテル用内視鏡の全体構成図。
【図2】同、カテーテル用内視鏡の先端部分の内部構成を示す断面図。
【図3】同、医療用のカテーテルにカテーテル用内視鏡が挿入された状態の先端から見た正面図。
【図4】同、図3の状態におけるカテーテル用内視鏡の先端部分と医療用のカテーテルの断面図。
【図5】第2の実施の形態に係る、カテーテル用内視鏡の先端部分の断面図。
【図6】同、図5のVI−VI線に沿ったカテーテル用内視鏡の先端部分の断面図。
【図7】同、医療用のカテーテルにカテーテル用内視鏡が挿入固定された状態の先端から見た正面図。
【図8】同、カテーテル用内視鏡の先端部分と医療用のカテーテルの断面図。
【図9】同、変形例を示すカテーテル用内視鏡の先端部分と医療用のカテーテルの断面図。
【図10】第3の実施の形態に係る、カテーテル用内視鏡の先端部分の断面図。
【図11】同、医療用のカテーテルにカテーテル用内視鏡が挿入された状態の先端から見た正面図。
【図12】同、図11の状態におけるカテーテル用内視鏡の先端部分と医療用のカテーテルの断面図。
【図13】同、第1の変形例を示すカテーテル用内視鏡の先端から見た正面図。
【図14】同、図13のXIV−XIV線に沿ったカテーテル用内視鏡の先端部分の断面図。
【図15】同、第2の変形例を示す医療用のカテーテルにカテーテル用内視鏡が挿入された状態の医療用のカテーテルの断面図。
【符号の説明】
【0074】
1・・・カテーテル用内視鏡
2・・・プロセッサ
4・・・カテーテル
8・・・モニタ
10・・・バルーン
12・・・照明レンズ
15・・・先端固定部材
16・・・先端固定筒
21・・・撮像チップ
100・・・カテーテル用内視鏡装置
【技術分野】
【0001】
体腔内へ挿入されるカテーテルの挿入時に使用されるカテーテル用内視鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
周知の如く、体腔内などに細長なチューブ状のカテーテルを挿入する処置技術がある。その一例として、例えば、気管支肺胞内の液体成分を回収して診断する方法に気管支肺胞洗滌診断(Bronchoalveolar Lavage:BAL)に用いられる内視鏡用カテーテル、或いは血管内に薬剤を注入するため薬剤配分PTC血管内カテーテルである。
【0003】
このような医療行為に用いられる従来のカテーテルには、例えば、特許文献1に記載の内視鏡用バルーンカテーテル、及び特許文献2に記載の薬剤配分PTC血管内カテーテルが開示されている。
【特許文献1】特開2006−334149号公報
【特許文献2】特表平9−500312号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1、及び2に記載の従来の医療用のカテーテルには、観察機能がなく、医師の技術に裏付けされた勘を頼りに患者の体腔内に挿入されていた。
【0005】
そのため、充分に経験の豊富な熟練医師であっても、カテーテルを被検体の体内の目的位置まで、確実に挿入することが困難であり、予期せぬ体内の異常を挿入過程で確認することができないという問題がある。
【0006】
このような問題を解消するため、医師は、体腔などの目的位置まで確実にカテーテルを挿入するため、内視鏡を先に体腔などへ挿入して、この内視鏡に備えられている鉗子チャンネルを利用してカテーテルを挿入するという手技が一般に行われる。しかし、従来のカテーテルは、通常、非常に細い外径であるのに対して、内視鏡がかなり太い外径になってしまうため、内視鏡の挿入時に、どうしても、被検者へ負担を与えてしまうという問題も生じる。
【0007】
そこで、本発明は、上述の問題に鑑みて成されたものであり、その目的とするところは患者の体内に挿入される医療用のカテーテルの外径を大きくすることなく、観察しながら確実、且つ、容易に患者の体内の目的位置までカテーテルの挿入を行えるカテーテル用内視鏡を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、先端部分に観察手段と照明手段を備え、上記先端部分をカテーテルの内周部に着脱自在に固定する固定手段と、を具備することを特徴とするカテーテル用内視鏡。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、患者の体内に挿入される医療用のカテーテルの外径を大きくすることなく、観察しながら確実、且つ、容易に患者の体内の目的位置までカテーテルの挿入を行えるカテーテル用内視鏡を実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。尚、以下に示す実施の形態においてを例に挙げて説明する。
【0011】
(第1の実施の形態)
本発明の第1の実施の形態に係る、カテーテル用内視鏡について説明する。尚、図1〜図4は第1の実施の形態に係り、図1は医療用のカテーテル、及びカテーテル用内視鏡の全体構成図、図2はカテーテル用内視鏡の先端部分の内部構成を示す断面図、図3は医療用のカテーテルにカテーテル用内視鏡が挿入された状態の先端から見た正面図、図4は図3の状態におけるカテーテル用内視鏡の先端部分と医療用のカテーテルの断面図である。
【0012】
図1に示すように、本実施の形態の内視鏡装置100は、カテーテル用内視鏡(以下、単に内視鏡と略記する)1と、この内視鏡1が接続されるプロセッサ2と、このプロセッサ2に接続されるモニタ8と、によって主に構成されている。尚、内視鏡1は、プロセッサ2の前面に配設されたコネクタ部5を介して、電気的にプロセッサ2と着脱自在に接続されている。
【0013】
また、内視鏡1は、一般に使用される樹脂製の医療用のカテーテル4に挿通自在に、可撓性を備えた細長な形状をしている。
【0014】
プロセッサ2は、内視鏡1に内蔵されている、観察手段を構成するCCD、或いはCMOSなどの後述する撮像チップ21(図2参照)を駆動し、この撮像チップ21で得られた画像信号を処理し、モニタ8に出画させる回路を有する他、内視鏡1に備えられた照明手段へ光を供給する光源装置、内視鏡1に備えられた後述の固定手段であるバルーン10(図2参照)への送気を行う送気ポンプ等を有している。
【0015】
以上に説明した本実施の形態の内視鏡装置100は、予め医療用のカテーテル4内に内視鏡1を挿通固定し、観察できる状態で被検者の体内にカテーテルを挿入できるようにするものである。
【0016】
次に、内視鏡1の主に先端内部の詳細構成について図2を用いて説明する。
図2に示すように、内視鏡1は、先端部分に膨張収縮自在な弾性材から形成されたバルーン10と、このバルーン10から基端方向に延設され、可撓性を備えたチューブ状の挿入部17と、を有し、これらによって細長に外径形成されている。
【0017】
内視鏡1の先端部分は、樹脂製の先端固定部材15と、樹脂製円筒状の先端固定筒16と、による硬質な部分が構成されている。この先端固定部材15は、内視鏡1の先端面を構成し、基端外周部分が先端固定筒16と嵌着されている。
【0018】
先端固定部材15内には、先端側から順に、対物レンズである第1のレンズ11、第2のレンズ18、レンズ枠19、対物レンズである第3のレンズ20、及び撮像チップ21の受光面を覆うカバーガラス22の夫々が所定の位置で接着剤によって固定されている。尚、レンズ18の入射面側には、明るさ絞りが蒸着されている。また、第3のレンズ20は、カバーガラス22の表面に芯出し接着されている。
【0019】
レンズ枠19は、レンズ20と第2のレンズ18のレンズ間隔を一定に保つ間隔環である。また、撮像チップ21は、超小型のもので外径がφ1mm以下のものが望ましい。カバーガラス22は、先端固定部材15の後端面より後方に配置されている。
【0020】
撮像チップ21の受光面側に設けられた端子部には、突起電極(バンフ)を介してTABテープ23が半田などにより接続されている。この接続部は、封止樹脂25で覆われている。
【0021】
TABテープ23には、電子部品24が実装されている。このTABテープ23における、電子部品24が実装されていない後方側の部分は、前方へ折り返されて信号ケーブル26のケーブル線26aが半田26bにより接続されている。この信号ケーブル26は、挿入部17内を挿通して、内視鏡1の基端まで延設されており、コネクタ部5(図1参照)を介してプロセッサ2と電気的に接続される。
【0022】
先端固定部材15には、後端面から側面にかけてL字状に形成された送気孔15aが設けられている。この送気孔15aの後端側には、樹脂製の送気チューブ14が取り付けられている。送気チューブ14は、気体が送気される送気路13を有している。この送気チューブ14も、内視鏡1の基端まで延設されており、コネクタ部5(図1参照)を介してプロセッサ2と連通される。
【0023】
先端固定筒16の側面には、送気孔15aの位置に合わせた送気口16aが設けられている。この送気孔15aと、送気口16aとが合わせられて、上述したように、先端固定部材15の後方外周と先端固定筒16とが嵌合固定される。
【0024】
先端固定部材15に先端固定筒16を嵌合させる際に、本実施の形態においては、先端部の強度、耐湿性などが強化されるように、先端固定筒16内周、及び先端固定部材15の後端の撮像チップ21、TABテープ23、信号ケーブル26、及び送気チューブ14の先端側外周が全て覆われるように接着剤27を塗布注入し、硬化させて固定している。
【0025】
先端固定筒16の外周後端部には、挿入部17を形成する樹脂チューブが固定されている。バルーン10は、前端部が先端固定部材15の外周先端部分と、後端部が挿入部17に面位置を合わせて、先端固定筒16の外周部の後方部分に固着されている。
【0026】
先端固定部材15の先端面には、図3に示すように、照明レンズ12が設けられ、後端側から照明レンズ12に突き当たるように、図示しないライトガイドバンドルが固定されている。尚、ライトガイドバンドル(不図示)は、内視鏡1の基端まで延設されており、コネクタ部5を介して、プロセッサ2から照明光が導光される。
【0027】
以上のように構成された、本実施の形態の内視鏡1は、図3、及び図4に示すように、カテーテル4に内視鏡1が挿入される。このとき、カテーテル4と内視鏡1の先端面が揃えられた状態で、プロセッサ2に内蔵された送気ポンプから送気チューブ14の送気路13に気体、例えば、エアー(二酸化炭素ガスでも良い)が送気される。
【0028】
すると、この送気路13内に送り込まれた気体は、送気孔15aを介して送気口16aからバルーン10内へと送気される。したがって、バルーン10が内視鏡1の外周方向へ膨張する。
【0029】
これにより、バルーン10内の空気圧によって、内視鏡1の先端部分は、バルーン10の表面がカテーテル4の内周面に圧接し、カテーテル4内で固定される。そのため、この状態で術者は、カテーテル4を被検者の体内に挿入すれば、内視鏡1による観察画像をモニタ8により観察しながらカテーテル4を目的位置まで挿入していくことが可能となる。
【0030】
そして、術者は、被検者の体内における目的部位にカテーテル4の先端部が到達したことをモニタ8によって確認したならば、プロセッサ2の送気ポンプを停止、或いは吸気を行うことによって、バルーン10内の気体を抜く。すると、バルーン10は、収縮し、カテーテル4への内視鏡1の先端部分の固定が解除される。その後、術者は、内視鏡1のみカテーテル4から抜去すれば、カテーテル4の本来の機能を果たすことができる。
【0031】
以上に説明したように、本実施の形態のカテーテル用内視鏡装置100は、カテーテル4を被検者の体内へ観察しながら挿入することができるため、確実に、且つ容易に目的位置までカテーテル4の先端部分を挿入することができる。また、カテーテル4の挿入過程を観察しながら行えるため、体内の異常部位を早急に判断できる。
【0032】
さらに、特別なカテーテルを必要とせず、従来から用いられているカテーテル4に内視鏡1を挿入できる構成であるため、カテーテル4の外径を太らせることがないので、汎用性が高く経済的であると共に、挿入時における患者へ負担を軽減することができる。
【0033】
また、本実施の形態のカテーテル用内視鏡装置100の内視鏡1をERCP(Endoscopic Retrograde Cholangio−pancreatography:内視鏡的逆行性胆道膵管造影検査)用のカテーテルに用いれば、膵胆管内の観察をした後に造影ができるので、新たな診断の可能性が広がる。
【0034】
(第2の実施の形態)
次に、第2の実施の形態に係る、カテーテル用内視鏡について説明する。尚、図5〜図9は、本発明の第2の実施の形態に係り、図5はカテーテル用内視鏡の先端部分の断面図、図6は図5のVI−VI線に沿ったカテーテル用内視鏡の先端部分の断面図、図7は医療用のカテーテルにカテーテル用内視鏡が挿入固定された状態の先端から見た正面図、図8はカテーテル用内視鏡の先端部分と医療用のカテーテルの断面図、図9は変形例を示すカテーテル用内視鏡の先端部分と医療用のカテーテルの断面図である。
【0035】
以下の説明において、上述した第1の実施の形態のカテーテル用内視鏡装置100と同一の構成について同じ符号を用い、それら構成の詳細な説明を省略する。また、本実施の形態では、図5、及び図6に示すようにカテーテル用内視鏡(以下、内視鏡と略記する)30とカテーテル4への固定手段を、加熱すると収縮するワイヤ輪状の形状記憶合金35としている。この形状記憶合金35に電流が通電すると、形状記憶合金35は、発熱して、所定の温度に達すると収縮する構成である。
【0036】
図5、及び図6に示すように、本実施の形態の内視鏡30は、樹脂製の先端固定部材32内に、信号ケーブル36が基端方向に延設された撮像ユニット31と、図示しない照明手段と、が内蔵されている。先端固定部材32の外周部後端部に、第1の実施の形態と同様に、樹脂製の先端固定筒33が嵌合固定されている。
【0037】
この先端固定筒33の外周後端部には、信号ケーブル36と共に、気密封止のため熱収縮チューブ34が配設されている。また、先端固定筒33は、その外周中途部に内部へ向かった形状記憶合金35の両端部を固定するための取り付け孔が2箇設けられている。これら取り付け孔に形状記憶合金35の両端部が先端固定筒33の外周部側から内側に向けて差し込まれ、内部側で接着材によって固定されている。
【0038】
形状記憶合金35の両端部には、2本の形状記憶合金用電源ケーブル37の素線37aが半田などの接続部34bにより電気的に接続されている。この形状記憶合金用電源ケーブル37は、信号ケーブル36に沿わせて後方へ引き出される。
【0039】
尚、照明手段にLEDを用いた場合、内視鏡30から引き出されるのは照明用電源ケーブル、信号ケーブル36、及び形状記憶合金用電源ケーブル37のみとなるので、熱収縮チューブ34内において、これらケーブルが分離するような1本のケーブルを用いてもよい。つまり、熱収縮チューブ34より後方では、信号ケーブル36、形状記憶合金用電源ケーブル37、及び照明用電源ケーブルが1本にまとめられた複合ケーブル一本としてもよい。
【0040】
以上のように構成された、本実施の形態の内視鏡30は、形状記憶合金35に電力をプロセッサ2から形状記憶合金用電源ケーブル37を介して通電すると、形状記憶合金35が収縮する(図6の破線)。
【0041】
この状態で、術者は、カテーテル4に内視鏡30を挿入し、カテーテル4と内視鏡30の先端が揃ったところで形状記憶合金35への給電をオフにする。すると、形状記憶合金35の外径が大きくなり(図6の実線)、図7に示すように、内視鏡30の先端部分がカテーテル4の先端内周部に固定される。つまり、形状記憶合金35は、カテーテル4の内周面と圧接する。
【0042】
このままの状態で、術者は、カテーテル4を被検者に挿入すれば、第1の実施の形態と同様に、内視鏡30により観察しながらカテーテル4を挿入していくことが可能となる。そして、術者は、被検者の体内の目的部位にカテーテル4の先端部が到達したなら、再び形状記憶合金35に通電すれば、内視鏡30と、カテーテル4との固定を解除することができる。そして、術者は、内視鏡30のみをカテーテル4から抜去することができる。
【0043】
尚、内視鏡30は、外径を大きくしない範囲でアングル機構を挿入部内に備えた構成としても良い。これにより、術者は、アングル機構を操作して、挿入方向を湾曲可変できるため、カテーテル4の挿入性も一段と向上する。
【0044】
また、カテーテル用内視鏡装置100は、プロセッサ2とモニタ8、及び電源ユニットを一体的に内蔵するアングル操作のための操作部を有することで、よりコンパクトなシステムとすることが可能になり、搬用性にも優れたものとすることができる。
【0045】
以上のように説明した、本実施の形態のカテーテル用内視鏡装置100においても、第1の実施の形態と同じ効果を奏することができる。
【0046】
尚、図9に示すように、形状記憶合金35を内視鏡30の先端外周部に複数回らせん状に巻きつけ、その外側にバルーン10を被せた構成としても良い。この構成では、第1の実施の形態でのバルーン10を気体の送気により膨張させたのに対して、本変形例では上述したように形状記憶合金35に電流を流さない状態でバルーン10を膨張させた状態を実現し、カテーテル4への装着時に形状記憶合金35を加熱しバルーン10を収縮させる構成とすることができる。
【0047】
(第3の実施の形態)
次に、第3の実施の形態に係る、カテーテル用内視鏡について説明する。尚、図10〜図16は、本発明の第3の実施の形態に係り、図10はカテーテル用内視鏡の先端部分の断面図、図11は医療用のカテーテルにカテーテル用内視鏡が挿入された状態の先端から見た正面図、図12は図11の状態におけるカテーテル用内視鏡の先端部分と医療用のカテーテルの断面図、図13は第1の変形例を示すカテーテル用内視鏡の先端から見た正面図、図14は図13のXIV−XIV線に沿ったカテーテル用内視鏡の先端部分の断面図、図15は第2の変形例を示す医療用のカテーテルにカテーテル用内視鏡が挿入された状態の医療用のカテーテルの断面図である。
【0048】
以下の説明において、上述した第1、及び第2の実施の形態のカテーテル用内視鏡装置100と同一の構成について同じ符号を用い、それら構成の詳細な説明を省略する。また、本実施の形態では、図10〜図12に示すようにカテーテル用内視鏡(以下、内視鏡と略記する)40とカテーテル4への固定手段を内視鏡40の先端部分の外周部に配設される粘着部46とした構成である。
【0049】
図10に示すように、本実施の形態の内視鏡40は、先端固定部材42と先端固定筒45によって、先端部分の外形が形成されている。また、先端固定部材42は、金属製の対物レンズ枠41等から構成される撮像ユニットを固定している。
【0050】
撮像ユニットは、上述した複数のレンズ群などを保持する対物レンズ枠41、及び信号ケーブル26の先端部分を一体的に被覆し、第1の接着剤44が充填された熱収縮チューブ43によって構成されている。この撮像ユニットと、信号ケーブル26の先端部分は、先端固定部材42と先端固定筒45が覆うように固定されている。先端固定筒45の内部は、第2の接着剤48が充填されている。また、先端固定筒45の後端部と信号ケーブル26は、熱収縮チューブ47で固定されている。この先端固定筒45の外周面には、固定手段である粘着剤などが塗布された粘着部46が設けられている。
【0051】
尚、本実施の形態の内視鏡40は、先端固定部材42が蓄光体で形成されている。この蓄光体とは光を蓄えて暗い所でそれを放出することによって発光するような材料で、先端固定部材42の主材料である樹脂に混ぜ込まれている。尚、必要に応じて45に蓄光体を混ぜ込んでも構わない。そのため、本実施の形態では、先端固定部材42が照明手段を構成している。
【0052】
以上のように構成された、本実施の形態の内視鏡40は、上述の各実施の形態と同様に、図11、及び図12に示すように、その先端面がカテーテル4の先端面とが合わされて配置される。このとき、先端固定筒45の粘着部46がカテーテル4の内周面に貼着することで、内視鏡40がカテーテル4に固定される。そして、内視鏡40の固定をカテーテル4から解除する場合は、内視鏡40をやや強めに引くことによって粘着部46はカテーテル4の内周面から剥がれ、内視鏡40のみ抜去することができる。
【0053】
また、粘着部46は、カテーテル4に対して内視鏡40を先端側に押し込む方向に対しては粘着力が強く、逆に引き込む方向に対して粘着力が弱いという特性を有する構成とした方が良い。尚、内視鏡40単体では、粘着部46の表面に図示しないカバーが取り付けられており、カテーテル4に取り付ける時に、このカバーを剥がしてカテーテル4の内周面に固定するものである。
【0054】
本実施の形態の内視鏡40をカテーテル4に取り付ける前に、内視鏡40の先端部分の先端固定部材42が十分に室内照明にさらされていれば、カテーテル4を被検者へ挿入する時間程度なら問題なく照明をすることができる。さらに、狭い管腔が対象であるならば尚更、蓄光体の発光により、充分な照明光を得ることができる。
【0055】
以上説明したように、本実施の形態の内視鏡40では、上述の各実施の形態の効果に加え、カテーテル4の固定を粘着剤である粘着部46のような簡単な構成とすることができる。また、照明手段が内視鏡40のメカ枠である先端固定部材42と共有できるので、先端分が細径化でき、挿入部も信号ケーブル以外不要なので細径化できる。その結果、内視鏡40は、部材数が少なく構造自体も単純なものとできるため、製造コストが低く抑えられ、さらにディスポ化にも対応できる。
【0056】
尚、図13、及び図14に示すように、内視鏡40は、金属製の先端固定部材50に、照明用の蓄光体52と照明レンズ12を設けても良い。このような構成とすれば、蓄光体52に蓄えられた光は、照明レンズ12を通して配光のよい照明とすることができる。また、この先端固定部材50は、対物レンズ群を保持するレンズ枠を兼ねている。
【0057】
また、照明レンズ12自体を蓄光体で形成しても構わない。撮像チップ21が第1のレンズ11に対して大きくなるような場合には、このような構成とすれば、先端スペースの有効利用ができる。
【0058】
さらに、本実施の形態のカテーテル用内視鏡を図15に示すような、カプセル型内視鏡53とし、その外周部に略筒状のゴムなどの弾性部材から形成された固定手段である固定部材54を装着しても良い。尚、このカプセル型内視鏡53は、観察手段と照明手段と通信手段、及び、電源ユニットを含み、照明手段は蓄光体でも構わない。
【0059】
固定部材54は、その内周部によりカプセル型内視鏡53の外周部を圧接して装着される。この固定部材54は、内周部の両端がやや窄まり、カプセル型内視鏡53をしっかりホールドして脱落を防止している。固定部材54の外周部は、中央付近を肉厚にし、その外径をカテーテル4の内径よりも大きく設定されている。
【0060】
術者は、カテーテル4を被検者の体内に挿入する前に、カテーテル4の先端開口部から固定部材54が装着されたカプセル型内視鏡53をカテーテル4の内部へ挿入する。このとき、固定部材54の弾力により、カプセル型内視鏡53がカテーテル4の先端内周部に固定される。
【0061】
また、カテーテル4による治療の際には、カテーテル4の手元側から吸引をかけるか、或いは固定部材54、或いはカプセル型内視鏡53の後端部にカテーテル4よりも長いひも53aを設けて、吸引しなくても、ひも53aを引っ張ることによって固定部材54と共にカプセル型内視鏡53を回収することが可能である。
【0062】
このような構成とすることで、カテーテル4とカプセル型内視鏡53は、観察可能なカテーテル内視鏡として使用することもできる。また、カプセル型内視鏡53は、安価であるので、ディスポ化にも対応可能となる。さらに、このような構成により、被検者への使用前のセッティング、及び使用後の回収が容易となる。
【0063】
以上の各実施の形態に記載した発明は、夫々の実施の形態に限ることなく、その他、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々の変形を実施し得ることが可能である。さらに、上記各実施形態には、種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組合せにより種々の発明が抽出され得るものである。
【0064】
例えば、各実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題が解決でき、発明の効果で述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得るものである。
【0065】
尚、以上に説明した本発明は、以下の付記に記載する特徴を有している。
【0066】
(付記項1)
先端部に観察手段と照明手段を備え、先端外周部をカテーテルの先端内周部に着脱自在に固定することを特徴とするカテーテル用内視鏡。
【0067】
(付記項2)
前記内視鏡先端外周部に弾性部材を備え、前記カテーテルの先端内周部に着脱自在に固定することを特徴とする付記項1に記載のカテーテル用内視鏡装置。
【0068】
(付記項3)
前記内視鏡先端外周部にバルーンを備え、前記カテーテルの先端内周部に着脱自在に固定することを特徴とする付記項1に記載のカテーテル用内視鏡装置。
【0069】
(付記項4)
前記内視鏡先端外周部に粘着部材を備え、前記カテーテルの先端内周部に着脱自在に固定することを特徴とする付記項1に記載のカテーテル用内視鏡。
【0070】
(付記項5)
観察手段と照明手段と観察画像通信手段と電源手段を備え、外周部をカテーテルの先端内周部に着脱自在に固定することを特徴とするカテーテル用内視鏡。
【0071】
(付記項6)
前記内視鏡外周部に弾性部材を備え、前記カテーテルの先端内周部に着脱自在に固定することを特徴とする付記項5に記載のカテーテル用内視鏡。
【0072】
(付記項7)
前記照明手段が蓄光体であることを特徴とする付記項1〜6記載のカテーテル用内視鏡。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】第1の実施の形態に係る、医療用のカテーテル、及びカテーテル用内視鏡の全体構成図。
【図2】同、カテーテル用内視鏡の先端部分の内部構成を示す断面図。
【図3】同、医療用のカテーテルにカテーテル用内視鏡が挿入された状態の先端から見た正面図。
【図4】同、図3の状態におけるカテーテル用内視鏡の先端部分と医療用のカテーテルの断面図。
【図5】第2の実施の形態に係る、カテーテル用内視鏡の先端部分の断面図。
【図6】同、図5のVI−VI線に沿ったカテーテル用内視鏡の先端部分の断面図。
【図7】同、医療用のカテーテルにカテーテル用内視鏡が挿入固定された状態の先端から見た正面図。
【図8】同、カテーテル用内視鏡の先端部分と医療用のカテーテルの断面図。
【図9】同、変形例を示すカテーテル用内視鏡の先端部分と医療用のカテーテルの断面図。
【図10】第3の実施の形態に係る、カテーテル用内視鏡の先端部分の断面図。
【図11】同、医療用のカテーテルにカテーテル用内視鏡が挿入された状態の先端から見た正面図。
【図12】同、図11の状態におけるカテーテル用内視鏡の先端部分と医療用のカテーテルの断面図。
【図13】同、第1の変形例を示すカテーテル用内視鏡の先端から見た正面図。
【図14】同、図13のXIV−XIV線に沿ったカテーテル用内視鏡の先端部分の断面図。
【図15】同、第2の変形例を示す医療用のカテーテルにカテーテル用内視鏡が挿入された状態の医療用のカテーテルの断面図。
【符号の説明】
【0074】
1・・・カテーテル用内視鏡
2・・・プロセッサ
4・・・カテーテル
8・・・モニタ
10・・・バルーン
12・・・照明レンズ
15・・・先端固定部材
16・・・先端固定筒
21・・・撮像チップ
100・・・カテーテル用内視鏡装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端部分に観察手段と照明手段を備え、
上記先端部分をカテーテルの内周部に着脱自在に固定する固定手段と、
を具備することを特徴とするカテーテル用内視鏡。
【請求項2】
上記固定手段は、上記先端部分の外周に設けられ、上記カテーテルの内周部を圧接する弾性部材から形成されていることを特徴とする請求項1に記載のカテーテル用内視鏡。
【請求項3】
上記固定手段は、上記先端部分の外周に設けられ、膨張することで、上記カテーテルの内周部を圧接するバルーンであることを特徴とする請求項1に記載のカテーテル用内視鏡装置。
【請求項4】
上記固定手段は、上記先端部分の外周に設けられ、上記カテーテルの内周部に貼着する粘着部材であることを特徴とする請求項1に記載のカテーテル用内視鏡。
【請求項5】
前記照明手段は、上記先端部分に設けられた蓄光体であることを特徴とする請求項1から請求項4の何れか1項に記載のカテーテル用内視鏡。
【請求項1】
先端部分に観察手段と照明手段を備え、
上記先端部分をカテーテルの内周部に着脱自在に固定する固定手段と、
を具備することを特徴とするカテーテル用内視鏡。
【請求項2】
上記固定手段は、上記先端部分の外周に設けられ、上記カテーテルの内周部を圧接する弾性部材から形成されていることを特徴とする請求項1に記載のカテーテル用内視鏡。
【請求項3】
上記固定手段は、上記先端部分の外周に設けられ、膨張することで、上記カテーテルの内周部を圧接するバルーンであることを特徴とする請求項1に記載のカテーテル用内視鏡装置。
【請求項4】
上記固定手段は、上記先端部分の外周に設けられ、上記カテーテルの内周部に貼着する粘着部材であることを特徴とする請求項1に記載のカテーテル用内視鏡。
【請求項5】
前記照明手段は、上記先端部分に設けられた蓄光体であることを特徴とする請求項1から請求項4の何れか1項に記載のカテーテル用内視鏡。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2008−183234(P2008−183234A)
【公開日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−19901(P2007−19901)
【出願日】平成19年1月30日(2007.1.30)
【出願人】(304050923)オリンパスメディカルシステムズ株式会社 (1,905)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年1月30日(2007.1.30)
【出願人】(304050923)オリンパスメディカルシステムズ株式会社 (1,905)
【Fターム(参考)】
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