説明

カバー付コネクタ

【課題】カバーをコネクタハウジングに嵌合した際の大型化を抑制することができるカバー付コネクタを提供する。
【解決手段】電線の端末に接続された端子を収容するコネクタハウジング11と、コネクタハウジング11から引き出された電線を覆うカバー21とを備えるカバー付コネクタ1であって、コネクタハウジング11は、コネクタハウジング本体13と、コネクタハウジング本体13に連設された連結部14を有する。カバー21は、カバー本体22と、コネクタハウジング11との嵌合時に連結部14と連結される被連結部23と、コネクタハウジング11との嵌合時にコネクタハウジング本体13の連結部14との境界に端部31が位置して連結部14を被覆すると共にコネクタハウジング本体13をカバー21の外側に露出させる切り欠き部32とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタハウジングから引き出された電線を覆って保護するカバーを備えたカバー付コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、コネクタハウジングから引き出された電線を覆って保護するカバーを備えたカバー付コネクタとして、例えば、特開2002−25685号公報(特許文献1)に記載されたカバー付コネクタが提案されている。
【0003】
このカバー付コネクタは、電線の端末に接続された端子を収容するコネクタハウジングと、このコネクタハウジングに嵌合されて、コネクタハウジングから引き出された電線を覆う保護カバーとから略構成されている。
【0004】
コネクタハウジングは、電線を導出するスルーロック部と、電線の端末に接続された端子を収容する端子収容室と、この端子収容室に収容された端子と接続する相手側端子が収容された相手コネクタが嵌合される嵌合口とを有している。
【0005】
保護カバーは、コネクタハウジングのスルーロック部を覆う基底部と、この基底部とヒンジを介して接続されて、基底部側に被せることで基底部に対して開閉可能に形成されたカバー部とを有している。
【0006】
そして、このように構成されたカバー付コネクタは、基底部にコネクタハウジングのスルーロック部を組み付け、カバー部を基底部側に被せることにより、スルーロック部を覆うように保護カバーをコネクタハウジングに嵌合する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−25685号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、上述したカバー付コネクタでは、コネクタハウジングのスルーロック部を利用して保護カバーをコネクタハウジングに嵌合する構成としている。そして、スルーロック部の機能を損なわないように、スルーロック部の全体を余裕を持って保護カバーで覆い、保護カバーの開口部からスルーロック部を一部露出させることができるようにしている。
【0009】
このため、保護カバーは必然的に、コネクタハウジングのスルーロック部よりも大きい外形となる。したがって、スルーロック部に保護カバーを嵌合してカバー付コネクタを構成すると、スルーロック部の部分が全体的に一回り大型化し、スルーロック部を介してコネクタハウジングを取り付ける相手側に大きな取付スペースが必要となってしまう。このため、カバー付コネクタの大型化を極力抑制したいという要望があった。
【0010】
そこで、本発明は、カバーをコネクタハウジングに嵌合した際の大型化を抑制することができるカバー付コネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本願請求項1に記載した本発明のカバー付コネクタは、電線の端末に接続された端子を収容するコネクタハウジングと、このコネクタハウジングに嵌合されて、該コネクタハウジングから引き出された前記電線を覆うカバーとを備えるカバー付コネクタであって、前記コネクタハウジングは、コネクタハウジング本体と、該コネクタハウジング本体に連設されてその外部に配置された連結部を有し、前記カバーは、カバー本体と、該カバー本体の内部に設けられ、前記カバーの前記コネクタハウジングとの嵌合時に前記連結部と連結される被連結部と、前記カバー本体に形成され、前記カバーの前記コネクタハウジングとの嵌合時に前記コネクタハウジング本体の前記連結部との境界に端部が位置して該連結部を被覆すると共に前記コネクタハウジング本体を前記カバーの外側に露出させる切り欠き部と、前記カバー本体に形成され、前記カバーの前記コネクタハウジングとの嵌合時に前記電線を前記カバー本体の外側に導出する導出開口部とを有することを特徴とする。
【0012】
請求項2に記載した本発明のカバー付コネクタは、請求項1に記載のカバー付コネクタにおいて、前記連結部及び前記被連結部は、前記コネクタハウジングに対して前記カバーを180度反転させて嵌合しても互いに連結するように、左右一対ずつそれぞれ設けられており、前記導出開口部は、前記コネクタハウジングに対して前記カバーを反転して嵌合することで、前記電線を互いに異なる方向に導出することを特徴とする。
【0013】
請求項3に記載した本発明のカバー付コネクタは、請求項1又は2に記載のカバー付コネクタにおいて、前記カバー本体は、前記切り欠き部に隣接して形成された凹部を有することを特徴とする。
【0014】
請求項4に記載した本発明のカバー付コネクタは、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のカバー付コネクタにおいて、前記コネクタハウジングと前記カバーとのうちいずれか一方は、前記コネクタハウジングに嵌合したカバーを前記コネクタハウジングから引き離す方向に対して直交する幅方向に前記一方から突設した規制リブを有し、前記コネクタハウジングと前記カバーとのうちいずれか他方は、前記規制リブに対応する形状で形成されて、前記コネクタハウジングへの前記カバーの嵌合時に前記規制リブがその延在方向の端部から挿入される規制溝を有し、前記規制リブは、前記一方からの突設方向と前記カバーの前記コネクタハウジングからの引き離し方向との双方と直交する方向に、一直線状に延在し、前記突設方向の基端から先端に向かうにしたがって幅が広くなるように形成されており、前記コネクタハウジングに前記カバーを嵌合した状態で、前記規制溝とこれに挿入した前記規制リブとにより、前記コネクタハウジングに対する前記カバーの嵌合解除が規制されることを特徴とする。
【0015】
請求項5に記載した本発明のカバー付コネクタは、請求項4に記載のカバー付コネクタにおいて、前記一方は、前記規制リブの前記延在方向と平行して延在し前記突設方向に前記一方から突設されたガイドリブを有し、前記他方は、前記コネクタハウジングへの前記カバーの嵌合時に前記ガイドリブがその延在方向の端部から挿入されるガイド溝を有し、前記規制リブと前記ガイドリブとは、それぞれの延在方向と直交する断面の形状が互いに異なることを特徴とする。
【0016】
請求項1に記載した本発明のカバー付コネクタによれば、カバーの嵌合によりコネクタハウジングのカバーと干渉する部分のうち、カバー本体の被連結部と連結したコネクタハウジングの連結部はカバー本体の内部に配置されるが、コネクタハウジング本体は、カバー本体の切り欠き部を介してカバーの外側に露出する。したがって、コネクタハウジングとの嵌合時にカバー本体が覆うのは、実質的にコネクタハウジングの連結部のみとなる。このため、カバーは、コネクタハウジングから導出された電線をカバーする部分と被連結部を配置する部分とを有する大きさであればよいことになる。よって、カバーがコネクタハウジングを覆う部分を最小限に抑えてカバーの大型化を極力阻止し、カバー付コネクタとしての大型化を抑制することができる。
【0017】
従って、カバーをコネクタハウジングに嵌合した際の大型化を抑制することができるカバー付コネクタを提供することができる。
【0018】
請求項2に記載した本発明のカバー付コネクタによれば、コネクタハウジングに対してカバーを180度反転させても、コネクタハウジングの連結部とカバーの被連結部とを連結させることができる。このため、カバーをコネクタハウジングに180度反転させて嵌合することにより、カバーの導出開口部から導出される電線の向きを異なる方向に変更することができる。
【0019】
請求項3に記載した本発明のカバー付コネクタによれば、カバーをコネクタハウジングに嵌合すると、カバー本体の切り欠き部から外側に露出するコネクタハウジング本体の部分に、カバー本体の凹部が隣接する。したがって、コネクタハウジングにカバーを嵌合したカバー付コネクタの相手方コネクタ等に対する接続、離脱操作を、凹部の開口縁に形成される段差に指をかける等して容易に行うことができる。
【0020】
請求項4に記載した本発明のカバー付コネクタによれば、コネクタハウジングとカバーとのうちいずれか一方の規制リブは、カバーをコネクタハウジングから引き離す方向に対して直交する方向に、一方から突設して、突設方向における基端から先端に向かうにしたがって幅が広くなるように形成されている。また、この規制リブに対応する形状で、コネクタハウジングとカバーとのうちいずれか他方に規制溝が形成されている。このため、カバーに、コネクタハウジングから引き離す方向への引張力を含むねじれ力が加わった場合に、規制リブが規制溝から外れることがない。従って、ねじれ力に対するカバー保持力を向上することができる。
【0021】
請求項5に記載した本発明のカバー付コネクタによれば、コネクタハウジングとカバーとのうちいずれか他方には、規制リブとは異なる断面形状を有するガイドリブが挿入されるガイド溝を有している。このため、規制リブがガイド溝に挿入されようとすると、互いの断面形状の違いから、カバーが誤った位置に嵌合されていることを検知することができ、カバーが誤った位置に嵌合されることを防止することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、カバーをコネクタハウジングに嵌合した際の大型化を抑制することができるカバー付コネクタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施形態に係るカバー付コネクタを示す正面図である。
【図2】図1のコネクタハウジングを示す平面図である。
【図3】図1のカバーを示す展開状態の平面図である。
【図4】本発明の実施形態に係るカバー付コネクタを示す側面図である。
【図5】本発明の実施形態に係るカバー付コネクタを構成する凹部の段差を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態に係るカバー付コネクタについて図面を参照して説明する。はじめに、図1を参照して、本発明の実施形態に係るカバー付コネクタについて説明する。
【0025】
本発明の実施形態に係るカバー付コネクタ1は、電線に接続された端子(図示省略)を収容するコネクタハウジング11と、このコネクタハウジング11に嵌合されて、コネクタハウジング11から引き出された電線(図示省略)を覆うカバー21とを備える。
【0026】
次に、図2を参照して、本発明の実施形態に係るカバー付コネクタを構成するコネクタハウジングについて詳細に説明する。図2は、図1のコネクタハウジングを示す平面図である。
【0027】
図2に示すように、コネクタハウジング11は、複数の端子を収容する端子収容室12を有するコネクタハウジング本体13と、このコネクタハウジング本体13に連設されてその外部に配置された連結部14とを有している。
【0028】
コネクタハウジング本体13は、端子収容室12に収容された複数の端子(図示省略)と接続する端子を収容した相手側コネクタハウジング(図示省略)が挿入される挿入口15を有している。
【0029】
連結部14は、コネクタハウジング11に後述する図3のカバー21を嵌合するために、コネクタハウジング本体13のカバー21が嵌合される側(図2中上方の左右両側にそれぞれ設けられている。各連結部14は、規制リブ16とガイドリブ17とを有している。
【0030】
規制リブ16は、コネクタハウジング11に嵌合したカバー21(後述する図3参照)をコネクタハウジング11から引き離す方向(図1の矢印Y方向)に対して直交する方向(図1の矢印X及び矢印X´方向)に、コネクタハウジング本体13から突設されている。そして、突設方向(図1の矢印X及び矢印X´方向)とカバー21のコネクタハウジング11からの引き離し方向(図1の矢印Y方向)との双方と直交する方向(図1の矢印Z方向)に一直線状に延在している。また、規制リブ16は、その突設方向(図1の矢印X及びX´方向)の基端16aから先端16bに向かうにしたがって幅が広くなるように形成されている。
【0031】
この規制リブ16は、後で図3を参照して説明するカバー21の規制溝26に端部16cから挿入することにより、規制溝26と協働して、コネクタハウジング11に対するカバー21の嵌合解除を規制する。
【0032】
また、ガイドリブ17は、図1及び図2に示すように、規制リブ16と同じ方向(図1の矢印X及び矢印X´方向)に、コネクタハウジング本体13から突設されている。そして、規制リブ16と平行して、突設方向(図1の矢印X及び矢印X´方向)とカバー21のコネクタハウジング11からの引き離し方向(図1の矢印Y方向)との双方と直交する方向(図1の矢印Z方向)に一直線状に延在している。また、ガイドリブ17は、図2に示すように、その突設方向(図1の矢印X及びX´方向)の基端17aから先端17bまでに亘って同一幅に形成されている。
【0033】
このガイドリブ17は、規制リブ16を図3に示すカバー21の規制溝26に端部16cから挿入する際に、図3に示すカバー21のガイド溝27に端部17c(図2参照)から挿入される。
【0034】
上述した規制リブ16とガイドリブ17とは、それぞれの延在方向(図1の矢印Z方向)と直交する断面の形状が互いに異なるように形成されている。つまり、規制リブ16の断面形状は、略台形形状を有しているが、ガイドリブ17の断面形状は、略長方形形状を有している。
【0035】
次に、図3を参照して、本発明の実施形態に係るカバー付コネクタの構成するカバーについて詳細に説明する。図3は、本発明の実施形態に係るカバーを示す展開状態の平面図である。
【0036】
図3に示すように、カバー21は、カバー本体22と、カバー本体22の内部に設けられ、カバー21のコネクタハウジング11(図1及び図2参照)との嵌合時に連結部14(図2参照)と連結される被連結部23とを有している。
【0037】
カバー本体22は、第1カバー本体22aと第2カバー本体22bとを有しており、第1カバー本体22aと第2カバー本体22bとは、ヒンジ24を介して接続されており、開口された状態の第1カバー本体22aと第2カバー本体22bとを折り重ね可能に構成されている。
【0038】
このカバー本体22(第1カバー本体22a、第2カバー本体22b)には、コネクタハウジング11(図2参照)との嵌合時に電線(図示省略)をカバー本体22(図2参照)の外側に導出する細長いドーム状(箱形)の導出開口部25が形成されている。
【0039】
被連結部23は、規制リブ16(図2参照)に対応する形状で形成されて、コネクタハウジング11(図2参照)へのカバー21の嵌合時に規制リブ16がその延在方向(図1の矢印Z方向)の端部16c(図2参照)から挿入される左右一対ずつの規制溝26を有している。
【0040】
この規制溝26には、コネクタハウジング11(図2参照)にカバー21を嵌合した状態(例えば、図1に示す状態)で、規制リブ16が端部16c(図2参照)から挿入されることにより、コネクタハウジング11に対するカバー21の嵌合解除が規制される。
【0041】
また、被連結部23は、コネクタハウジング11(図2参照)へのカバー21の嵌合時にガイドリブ17(図2参照)がその延在方向の端部17c(図2参照)から挿入される左右一対ずつのガイド溝27を有している。
【0042】
このガイド溝27には、コネクタハウジング11(図2参照)にカバー21を嵌合した状態(例えば、図1に示す状態)で、規制リブ16が端部16c(図2参照)から挿入される。
【0043】
コネクタハウジング11(図2参照)の連結部14をカバー21の被連結部23と連結する際に、カバー21をコネクタハウジング11に対して反転させることで、カバー本体22の導出開口部25のコネクタハウジング11に対する向きを変えて、電線(図示省略)を互いに異なる方向に導出することができる。
【0044】
さらに、カバー本体22(第1カバー本体22a、第2カバー本体22b)には、切り欠き部32が形成されている。この切り欠き部32の端部31は、カバー21をコネクタハウジング11に嵌合した時に、コネクタハウジング本体13と連結部14(図2参照)との境界に位置する。コネクタハウジング11の連結部14は、第1カバー本体22aと第2カバー本体22bとを折り重ねることで、被連結部23と共にカバー本体22により被覆される。この状態でも、コネクタハウジング本体13(図2参照)はカバー21の外側に露出する。
【0045】
切り欠き部32は、コネクタハウジング11(図2参照)に対してカバーを180度反転させて嵌合しても互いに連結するように、第1カバー本体22a、第2カバー本体22bのどちらにもそれぞれ設けられている。
【0046】
この切り欠き部32は、コネクタハウジング11(図2参照)が挿入される挿入方向に深さAの長さ分を切り欠いた形状を有している。この深さAの部分は、図1に示すようにカバー21をコネクタハウジング11に嵌合することで、コネクタハウジング11の連結部14を覆って連結部14と重なって位置する。このため、コネクタハウジング11にカバー21を嵌合した際に、カバー21の長さは、実質的に、図3に示す長さBとなる。
【0047】
つまり、切り欠き部32は、図3に示す深さAの分だけ切り欠いた形状を有しているため、コネクタハウジング11に嵌合したときのカバー21の実質的な長さは深さAの分だけ短くなり、カバー付コネクタ1の全長C(図1参照)が深さAの分だけ短くなる。
【0048】
また、カバー本体22(第1カバー本体22a、第2カバー本体22b)は、この切り欠き部32に隣接して形成された凹部33を有している。
【0049】
凹部33は、凹部33の開口縁34に形成される段差に指をかける等することにより、コネクタハウジング11(図2参照)にカバー21を嵌合したカバー付コネクタ1の相手方コネクタ(図示省略)等に対する接続、離脱操作を、容易にすることが可能に構成されている。
【0050】
次に、図1から図3に加えて図4及び図5を参照して、本発明の実施形態に係るカバー付コネクタを構成するコネクタハウジングにカバーを嵌合する際の嵌合作業とカバー付コネクタの作用効果について説明する。
【0051】
図4は、図1のカバー付コネクタを示す側面図である。図5は、図4の凹部で構成される段差を示す断面図である。
【0052】
図1から図5に示すように、コネクタハウジング11の挿入口15(図2参照)から相手側コネクタハウジング(図示省略)が挿入されたコネクタハウジング11にカバー21を嵌合する。
【0053】
そして、相手側コネクタハウジングに収容された端子(図示省略)に接続したコネクタハウジング11の端子収容室12(図2参照)に収容された端子の電線(図示省略)をコネクタハウジング11から引き出して、カバー21の導出開口部25(図3)から電線を導出する。
【0054】
カバー21をコネクタハウジング11に嵌合する際には、コネクタハウジング11の連結部14の規制リブ16を、開口された状態(図3に示す状態)のカバー21の第1カバー本体22a又は第2カバー本体22bの被連結部23の規制溝26に、端部16c(図2参照)から挿入する。その後、第2カバー本体22b又は第1カバー本体22aを被せて重ね合わせる際に、その被連結部23の規制溝26に規制リブ16の残りの部分を挿入する。
【0055】
これにより、コネクタハウジング11にカバー21が嵌合される。この状態では、規制溝26とこれに挿入した規制リブ16との係合により、コネクタハウジング11に対するカバー21の嵌合解除が規制される。
【0056】
上述したように、カバー本体22の切り欠き部32は、カバー21のコネクタハウジング11との嵌合時にコネクタハウジング本体13の連結部14(図2参照)を被覆すると共に、切り欠き部32の端部31(図3参照)がコネクタハウジング本体13と連結部14との境界に位置して、コネクタハウジング本体13をカバー21の外側に露出させる。
【0057】
このため、コネクタハウジング11にカバー21を嵌合すると、カバー21の長さは図3に示す深さAの分だけ短くなり、カバー21の長さは図3に示す長さBとなる。これにより、図1に示すように、カバー付コネクタ1の全長Cが図3に示す深さAの分だけ短くなる。
【0058】
また、カバー本体22には、切り欠き部32(図3参照)が形成されているため、コネクタハウジング11の外周をカバー21が覆う必要がなく、図4に示すように、カバー付コネクタ1の幅Dの大きさが大きくなることを抑制することができる。
【0059】
つまり、カバー21の嵌合によりコネクタハウジング11のカバー21と干渉する部分のうち、カバー本体22の被連結部23と連結したコネクタハウジング11の連結部14はカバー本体22の内部に配置されるが、コネクタハウジング本体13は、カバー本体22の切り欠き部32を介してカバー21の外側に露出する。したがって、コネクタハウジング11との嵌合時にカバー本体22が覆うのは、実質的にコネクタハウジング11の連結部14のみとなる。
【0060】
このため、カバー21は、コネクタハウジング11から導出された電線をカバーする部分と被連結部23を配置する部分とを有する大きさであればよいことになる。よって、カバー21がコネクタハウジング11を覆う部分を最小限に抑えてカバー21の大型化を極力阻止し、カバー付コネクタ1としての大型化を抑制することができる。
【0061】
また、上述したように、コネクタハウジング11に対してカバー21を180度反転させても、コネクタハウジング11の連結部14とカバー21の被連結部23とを連結させることができる。このため、カバー21をコネクタハウジング11に180度反転させて嵌合することにより、カバー21の導出開口部25から導出される電線の向きを異なる方向に変更することができる。
【0062】
また、図5に示すように、カバー21をコネクタハウジング11に嵌合すると、カバー本体22の切り欠き部32(図1参照)から外側に露出するコネクタハウジング本体13の部分に、カバー本体22の凹部33が隣接する。
【0063】
したがって、コネクタハウジング11にカバー21を嵌合したカバー付コネクタ1の相手方コネクタ等に対する接続、離脱操作を、凹部33の開口縁34(図3参照)に形成される段差に指をかける等して容易に行うことができる。
【0064】
上述したように、コネクタハウジング11の規制リブ16は、カバー21をコネクタハウジング11から引き離す方向(図2の矢印Y方向)に対して直交する方向に突設して、突設方向(図1の矢印X及びX´方向)における基端16aから先端16bに向かうにしたがって幅が広くなるように形成されている。また、この規制リブ16に対応する形状で、カバー21に規制溝26が形成されている(図2及び図3参照)。
【0065】
このため、カバー21に、コネクタハウジング11から引き離す方向(図1の矢印Y方向)への引張力を含むねじれ力が加わった場合に、基端16a側が細く先端16b側が太いくさび状の断面形状を有する規制リブ16が、対応する断面形状の規制溝26から外れることがない(図2及び図3参照)。従って、ねじれ力に対するカバー保持力を向上することができる。
【0066】
なお、連結部14の規制リブ16を規制溝26に挿入するときには、これと同時に、連結部14のガイドリブ17を、展開された状態(図3に示す状態)の第1カバー本体22a又は第2カバー本体22bの被連結部23のガイド溝27に、端部17c(図2参照)から挿入する。その後、第2カバー本体22b又は第1カバー本体22aを被せて重ね合わせる際に、その被連結部23のガイド溝27にガイドリブ17の残りの部分を挿入する。
【0067】
ここで、ガイドリブ17及びガイド溝27は、上述したように、規制リブ16及び規制溝26とは異なる断面形状を有している。つまり、規制リブ16の断面形状は、略台形形状を有しているが、ガイドリブ17の断面形状は、略長方形形状を有している。
【0068】
このため、規制リブ16を誤ってガイド溝27に挿入しようとしても、互いの断面形状の違いから挿入できない。このため、カバー21が誤った位置に嵌合されることを防止することができる。
【0069】
このようにして、本発明の実施形態に係るカバー付コネクタ1は、電線の端末に接続された端子を収容するコネクタハウジング11と、このコネクタハウジング11に嵌合されて、コネクタハウジング11から引き出された電線を覆うカバー21とを備えるカバー付コネクタ1であって、コネクタハウジング11は、コネクタハウジング本体13と、コネクタハウジング本体13に連設されてその外部に配置された連結部14を有し、カバー21は、カバー本体22と、カバー本体22の内部に設けられ、カバー21のコネクタハウジング11との嵌合時に連結部14と連結される被連結部23と、カバー本体22に形成され、カバー21のコネクタハウジング11との嵌合時にコネクタハウジング本体13の連結部14との境界に端部31が位置して連結部14を被覆すると共にコネクタハウジング本体13をカバー21の外側に露出させる切り欠き部32と、カバー本体22に形成され、カバー21のコネクタハウジング11との嵌合時に電線をカバー本体22の外側に導出する導出開口部25とを有する。
【0070】
また、本発明の実施形態に係るカバー付コネクタ1は、連結部14及び被連結部23は、コネクタハウジング11に対してカバー21を180度反転させて嵌合しても互いに連結するように、左右一対ずつそれぞれ設けられており、導出開口部25は、コネクタハウジング11に対してカバー21を反転して嵌合することで、電線を互いに異なる方向に導出する。
【0071】
さらに、本発明の実施形態に係るカバー付コネクタ1は、カバー本体22は、切り欠き部32に隣接して形成された凹部33を有する。
【0072】
また、本発明の実施形態に係るカバー付コネクタ1は、コネクタハウジング11は、コネクタハウジング11に嵌合したカバー21をコネクタハウジング11から引き離す方向に対して直交する幅方向に一方から突設した規制リブ16を有し、カバー21は、規制リブ16に対応する形状で形成されて、コネクタハウジング11へのカバー21の嵌合時に規制リブ16がその延在方向の端部から挿入される規制溝26を有し、規制リブ16は、コネクタハウジング11からの突設方向とカバー21のコネクタハウジング11からの引き離し方向との双方と直交する方向に、一直線状に延在し、突設方向の基端16aから先端16bに向かうにしたがって幅が広くなるように形成されており、コネクタハウジング11にカバー21を嵌合した状態で、規制溝26とこれに挿入した規制リブ16とにより、コネクタハウジング11に対するカバー21の嵌合解除が規制される。
【0073】
さらに、本発明の実施形態に係るカバー付コネクタ1は、コネクタハウジング11は、規制リブ16の延在方向と平行して延在し、規制リブ16の突設方向にコネクタハウジング11から突設されたガイドリブ17を有し、カバー21は、コネクタハウジング11へのカバー21の嵌合時にガイドリブ17がその延在方向の端部から挿入されるガイド溝27を有し、規制リブ16とガイドリブ17とは、それぞれの延在方向と直交する断面の形状が互いに異なる。
【0074】
そして、本発明の実施形態に係るカバー付コネクタ1によれば、カバー21の嵌合によりコネクタハウジング11のカバー21と干渉する部分のうち、カバー本体22の被連結部23と連結したコネクタハウジング11の連結部14はカバー本体22の内部に配置されるが、コネクタハウジング本体13は、カバー本体22の切り欠き部32を介してカバー21の外側に露出する。したがって、コネクタハウジング11との嵌合時にカバー本体22が覆うのは、実質的にコネクタハウジング11の連結部14のみとなる。このため、カバー21は、コネクタハウジング11から導出された電線をカバーする部分と被連結部23を配置する部分とを有する大きさであればよいことになる。よって、カバー21がコネクタハウジング11を覆う部分を最小限に抑えてカバー21の大型化を極力阻止し、カバー付コネクタ1としての大型化を抑制することができる。
【0075】
また、本発明の実施形態に係るカバー付コネクタ1によれば、コネクタハウジング11に対してカバー21を180度反転させても、コネクタハウジング11の連結部14とカバー21の被連結部23とを連結させることができる。このため、カバー21をコネクタハウジング11に180度反転させて嵌合することにより、カバー21の導出開口部25から導出される電線の向きを異なる方向に変更することができる。
【0076】
さらに、本発明の実施形態に係るカバー付コネクタ1によれば、カバー21をコネクタハウジング11に嵌合すると、カバー本体22の切り欠き部32(図1参照)から外側に露出するコネクタハウジング本体13の部分に、カバー本体22の凹部33が隣接する。したがって、コネクタハウジング11にカバー21を嵌合したカバー付コネクタ1の相手方コネクタ等に対する接続、離脱操作を、凹部33の開口縁34(図1及び図3参照)に形成される段差に指をかける等して容易に行うことができる。
【0077】
また、本発明の実施形態に係るカバー付コネクタ1によれば、コネクタハウジング11の規制リブ16は、カバー21をコネクタハウジング11から引き離す方向(図1の矢印Y方向)に対して直交する方向(図2の矢印X及び矢印X´方向)に、コネクタハウジング11から突設して、突設方向(図1の矢印X及び矢印X´方向)における基端16aから先端16bに向かうにしたがって幅が広くなるように形成されている。また、この規制リブ16に対応する形状で、カバー21に規制溝26が形成されている。このため、カバー21に、コネクタハウジング11から引き離す方向(図1の矢印Y方向)への引張力を含むねじれ力が加わった場合に、規制リブ16が規制溝26から外れることがない。従って、ねじれ力に対するカバー保持力を向上することができる。
【0078】
さらに、本発明の実施形態に係るカバー付コネクタ1によれば、コネクタハウジング11は、規制リブ16の延在方向と平行して延在し、規制リブ16の突設方向にコネクタハウジング11から突設されたガイドリブ17を有し、カバー21は、規制リブ16とは異なる断面形状を有するガイドリブ17が挿入されるガイド溝27を有している。このため、規制リブ16がガイド溝27に挿入されようとすると、互いの断面形状の違いから挿入できない。このため、カバー21が誤った位置に嵌合されることを防止することができる。
【0079】
以上、本発明のカバー付コネクタを図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置き換えることができる。
【0080】
例えば、本発明の実施形態では、規制リブ16はコネクタハウジング11に設けられ、規制溝26は、カバー21に設けられている場合について説明したが、規制リブ16がカバー21に設けられ、規制溝26がコネクタハウジング11に設けられていても良い。
【0081】
また、例えば、本発明の実施形態では、ガイドリブ17はコネクタハウジング11に設けられ、ガイド溝27は、カバー21に設けられている場合について説明したが、ガイドリブ17がカバー21に設けられ、ガイド溝27がコネクタハウジング11に設けられていても良い。
【産業上の利用可能性】
【0082】
本発明は、電線に接続された端子を収容するコネクタハウジングに、コネクタハウジングから引き出された電線を覆うカバーを嵌合するカバー付コネクタに極めて有用である。
【符号の説明】
【0083】
1 カバー付コネクタ
11 コネクタハウジング
12 端子収容室
13 コネクタハウジング本体
14 連結部
15 挿入口
16 規制リブ
16a 基端
16b 先端
17 ガイドリブ
21 カバー
22 カバー本体
23 被連結部
24 ヒンジ
25 導出開口部
26 規制溝
27 ガイド溝
31 端部
32 切り欠き部
33 凹部
34 開口縁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電線の端末に接続された端子を収容するコネクタハウジングと、このコネクタハウジングに嵌合されて、該コネクタハウジングから引き出された前記電線を覆うカバーとを備えるカバー付コネクタであって、
前記コネクタハウジングは、コネクタハウジング本体と、該コネクタハウジング本体に連設されてその外部に配置された連結部を有し、
前記カバーは、カバー本体と、該カバー本体の内部に設けられ、前記カバーの前記コネクタハウジングとの嵌合時に前記連結部と連結される被連結部と、前記カバー本体に形成され、前記カバーの前記コネクタハウジングとの嵌合時に前記コネクタハウジング本体の前記連結部との境界に端部が位置して該連結部を被覆すると共に前記コネクタハウジング本体を前記カバーの外側に露出させる切り欠き部と、前記カバー本体に形成され、前記カバーの前記コネクタハウジングとの嵌合時に前記電線を前記カバー本体の外側に導出する導出開口部とを有することを特徴とするカバー付コネクタ。
【請求項2】
請求項1に記載のカバー付コネクタにおいて、
前記連結部及び前記被連結部は、前記コネクタハウジングに対して前記カバーを180度反転させて嵌合しても互いに連結するように、左右一対ずつそれぞれ設けられており、
前記導出開口部は、前記コネクタハウジングに対して前記カバーを反転して嵌合することで、前記電線を互いに異なる方向に導出することを特徴とするカバー付コネクタ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のカバー付コネクタにおいて、
前記カバー本体は、前記切り欠き部に隣接して形成された凹部を有することを特徴とするカバー付コネクタ。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のカバー付コネクタにおいて、
前記コネクタハウジングと前記カバーとのうちいずれか一方は、前記コネクタハウジングに嵌合したカバーを前記コネクタハウジングから引き離す方向に対して直交する幅方向に前記一方から突設した規制リブを有し、
前記コネクタハウジングと前記カバーとのうちいずれか他方は、前記規制リブに対応する形状で形成されて、前記コネクタハウジングへの前記カバーの嵌合時に前記規制リブがその延在方向の端部から挿入される規制溝を有し、
前記規制リブは、前記一方からの突設方向と前記カバーの前記コネクタハウジングからの引き離し方向との双方と直交する方向に、一直線状に延在し、前記突設方向の基端から先端に向かうにしたがって幅が広くなるように形成されており、前記コネクタハウジングに前記カバーを嵌合した状態で、前記規制溝とこれに挿入した前記規制リブとにより、前記コネクタハウジングに対する前記カバーの嵌合解除が規制されることを特徴とするカバー付コネクタ。
【請求項5】
請求項4に記載のカバー付コネクタにおいて、
前記一方は、前記規制リブの前記延在方向と平行して延在し前記突設方向に前記一方から突設されたガイドリブを有し、
前記他方は、前記コネクタハウジングへの前記カバーの嵌合時に前記ガイドリブがその延在方向の端部から挿入されるガイド溝を有し、
前記規制リブと前記ガイドリブとは、それぞれの延在方向と直交する断面の形状が互いに異なることを特徴とするカバー付コネクタ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate