説明

カバー開閉検知装置および画像形成装置

【課題】異なる方向に開閉するカバー等の開閉部材の開閉状態を検知する構成を備えた開閉検知装置を提供する。
【解決手段】複数設けられているカバーのそれぞれに対応して設けられ、該カバーの開閉動作に応じて往復動可能な押動部材52,53と、押動部材52,53にそれぞれ対応して設けられ、押動方向への移動により回転するリングギヤ54およびサンギヤ55および、これら各ギヤ同士に噛み合いながら転動可能な遊星ギヤ56を備えた遊星歯車機構57と、遊星ギヤ56の軸心が転動する軌跡内でカバーの閉じ位置に対応して遊星ギヤ56が到達する位置に配置されているオンオフ可能な検知部材58とを備え、押動部材52,53の押し動かし状態に応じて遊星歯車機構57での遊星ギヤの移動量が変化するのを利用して検知部材58との対応状態を設定することでカバーの全てが閉じられたときに検知部材58をオン状態に転じさせることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カバー開閉検知装置および画像形成装置に関し、さらに詳しくは、開閉可能なカバーの閉じ状態を複数の開閉カバーを対象として用いるための構成に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、物体の態位を検知する部材の一つにスイッチがある。
例えば、画像形成装置の筐体部の外郭を構成する壁面には、ヒンジ結合によりあるいは着脱可能なカバーとすることにより、メンテナンス時の作業性を確保する構成が提案されている。
画像形成装置では、筐体部に対してカバー等の取り外しや開閉可能な部材が適正に装着されたことが再始動の条件となり、この状態を検知する構成が多用されている。
【0003】
検知に際しては、検知対象となる位置にそれぞれ検知部材を設け、各検知部材からの信号入力状態を判断して装置の再始動や停止を制御することが行われる。
画像形成装置においては、例えば、給紙部や現像装置等の交換あるいは補填作業が必要となる位置、さらに紙詰まりなどの不具合解消が必要となる原稿走査部や排紙部など多くの検知対象部材が存在し、単一の検知対象で済ませられないのが通常である。このため、例えば、各位置にインターロック機構を用いたマイクロスイッチなどの検知部材を配備する必要が生じる。
上述した構成では、小型化を要求される画像形成装置内に多数のマイクロスイッチを配備することとなり、省スペース化が妨げられてしまう虞がある。
【0004】
そこで、従来では、複数箇所の検知位置での検知を纏めて検知する構成が提案されている(例えば、特許文献1〜3)。
特許文献1には、筐体本体に対して開閉可能なカバーが複数箇所設けられている構成を対象として、マイクロスイッチのアクチュエータに対向して回動可能なストライカーレバーを設け、ストライカーレバーの異なる位置に対向して配置されてカバーの開閉操作によりストライカーカバーの回動動作を行わせる部材を設けることにより、カバーの開閉操作をこれに連動してストライカーレバーの回動状態によりマイクロスイッチのオンオフ動作を行わせる構成が開示されている。
特許文献2および3においては、上述したストライカーレバーと同様な機能を有する部材を設け、開閉などの態位変化を生じる部材の態位変化がストライカーレバーに伝達されることでマイクロスイッチのオンオフ動作を行わせる構成が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
マイクロスイッチなどのように、アクチュエータの揺動をスプリングなどの弾性体の弾性力に抗して行わせる場合、揺動支点や揺動端での摺擦による塑性変形などの経年劣化が生じやすい。このため、アクチュエータを動作させる開閉部材側のスイッチ動作部材との位置関係が適正でなくなるなどにより開閉動作に即応したインターロック機能が発揮できなくなる虞がある。
【0006】
そこで、スイッチ動作部材の作動量を上述した位置関係に誤差が生じるのを見込んで大きく設定した場合には、正常な位置関係にあるときにスイッチのオーバーストロークが生じやすくなり、スイッチの破損を招く虞が生じる。
【0007】
一方、複数箇所の開閉動作を1カ所に設けられた作動部材に伝達し、作動部材によってマイクロスイッチを動作させる構成では、作動部材の大型化は避けられない場合がある。つまり、開閉方向が直角な方向である場合、各方向での開閉動作を作動部材に伝達する必要があるので、作動部材の片部は各開閉位置近傍まで延長されることになる。このため、各開閉位置近傍に向け延長された作動部材の片部が長くなることが原因して揺動半径も大きくなり、装置内での作動部材の揺動スペースが大きく必要となる。
【0008】
このような不具合を避けるには、各開閉位置にそれぞれスイッチを設けることが考えられるが、部品点数や配線が多くなる虞がある。
【0009】
本発明の目的は、上記従来の構成における問題に鑑み、異なる方向に開閉する部材の開閉状態を検知する際に、開閉部材側と検知部材側との位置関係の誤差を生じることなくかつ、検知部材を必要最小限とすることで装置の大型化や部品点数の増加を生じることなく開閉動作の検知が可能となる構成を備えた開閉検知装置および画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的を達成するため、本発明は次の構成よりなる。
(1)筐体に対して開閉可能に設けられている複数のカバーを対象として開閉状態を検知するカバー開閉検知装置であって、
前記複数設けられているカバーのそれぞれに対応して設けられ、該カバーの開閉動作に応じて往復動可能な押動部材と、
前記押動部材にそれぞれ対応して設けられ、該押動部材の押動方向への移動により回転するリングギヤおよびサンギヤおよび、これら各ギヤ同士に噛み合いながら転動可能な遊星ギヤを備えた遊星歯車機構と、
前記遊星歯車機構における前記遊星ギヤの軸心の転動軌跡内に配置されているオンオフ可能な検知部材とを備え、
前記遊星歯車機構におけるリングギヤおよびサンギヤを前記押動部材のそれぞれにより押動された際の回転により、前記遊星ギヤの転動位置と前記検知部材との対応関係により前記複数設けられているカバーの開閉状態を、前記検知部材のオンオフ状況により検知することを特徴とするカバー開閉検知装置。
【0011】
(2)前記リングギヤは、前記押動部材の一つにより押し動かされる押圧部を備えたリングギヤ側カムレバーの内周面に設けられ、前記サンギヤは、該サンギヤの軸方向端を支持する案内部材に設けられ、該案内部材は、前記サンギヤの回転中心を支点とする揺動端に前記遊星ギヤの支持部が設けられて前記サンギヤと共に支持することを特徴とする(1)記載のカバー開閉検知装置。
【0012】
(3)前記サンギヤは、前記押動部材の他の一つにより押し動かされる押圧部を備え、該押圧部の押圧動作による回転を前記サンギヤに伝達可能なサンギヤ側カムレバーと同軸回転中心に設けられていることを特徴とする(1)又は(2)に記載のカバー開閉検知装置。
【0013】
(4)前記リングギヤ側カムレバーおよびサンギヤ側カムレバーには、前記押動部材を前記カバーの開放状態に復帰させる方向に付勢されていることを特徴とする(1)乃至(3)のうちの一つに記載のカバー開閉検知装置。
【0014】
(5)前記リングギヤ側カムレバーおよびサンギヤ側カムレバーの揺動端には、前記押動部材との連結部が設けられ、該連結部は、前記押動部材側端部において前記押動部材の往復動に対して前記各ギヤの回転を妨げない方向に長手方向を設定されて形成されている長孔と、該長孔に嵌合する用に前記カムレバーの揺動端側に設けられているピンとが用いられることを特徴とする(1)乃至(4)のうちの一つに記載のカバー開閉検知装置。
【0015】
(6)前記押動部材に設けられている長孔の長手方向長さは、前記カムレバーの回転量として、前記検知部材がオフ状態からオン状態に転じる量に対応させた長さとされていることを特徴とする(1)乃至(5)のうちの一つに記載のカバー開閉検知装置。
【0016】
(7)前記遊星歯車機構はこれを覆うことが可能なケーシング内に配置され、該ケーシングにおける前記サンギヤの回転中心を中心とする前記遊星ギヤの転動軌跡に対応する位置には、前記遊星ギヤの回転軸が突出し、かつ、該遊星ギヤの転動軌跡に沿った円弧状のガイド部が設けられ、前記検知部材は、該ガイド部近傍に配置されていることを特徴とする(1)記載のカバー開閉検知装置。
【0017】
(8)前記押動部材は、前記ケーシングが設けられる筐体側において往復動可能に設けられ、前記ケーシングに設けられた係止部により前記カバーの開放方向への移動が規制されていることを特徴とする(1)9乃至(7)のうちの一つに記載のカバー開閉検知装置。
【0018】
(9)前記検知部材は、前記ケーシングに設けられている円弧状のガイド部において、前記カバーが閉じられた時に前記遊星ギヤの回転軸が到達する位置に対応して配置されていることを特徴とする(1)乃至(7)に記載のカバー開閉検知装置。
【0019】
(10)前記ケーシングは、検知装置本体の筐体部に設けられ、該筐体における前記押動部材と前記カバーとの対向位置には、該カバー側に設けられた押動作動片が入り込んで前記押動部材の端部と当接可能にする嵌合部が設けられていることを特徴とする(1)乃至(9)のうちの一つに記載のカバー開閉検知装置。
【0020】
(11)前記押動部材は、相対方向が直角に設定されていることを特徴とする(1)乃至(10)のうちの一つに記載のカバー開閉検知装置。
【0021】
(12)前記検知部材はアクチュエータを備えたマイクロスイッチが用いられることを特徴とする(1)乃至(11)のうちの一つに記載のカバー開閉検知装置。
【0022】
(13)前記カムレバーに対する付勢力が前記検知部材に用いられるマイクロスイッチのアクチュエータに付与されている弾性力以上に設定されていることを特徴とする(12)記載のカバー開閉検知装置。
【0023】
(14)前記検知部材は、前記遊星ギヤ側カムレバーの移動軌跡内で複数設けることが可能であることを特徴とする(12)又は(13)に記載のカバー開閉検知装置。
【0024】
(15)(1)乃至(14)のうちの一つに記載のカバー開閉検知装置を筐体壁部に設けられたカバーを対象として設けたことを特徴とする画像形成装置。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、複数のカバーを対象とした開閉検知を各カバーの開閉状態に応じた押動部材の動作を遊星歯車機構に伝達して、遊星ギヤの転動により検知部材を作動できる構成としているので、各カバーに対応して検知部材を設ける必要がない。
【0026】
しかも、押動部材によって作動される押圧部を有したカムレバーに遊星歯車機構の各ギヤを組み込んでいるので、各カバーの開閉動作を伝達する部材の大型化を招くことがなく、構造の大型化を防ぐことが可能となる。
さらに、カバーが閉じられた際に移動する押動部材の移動量は、押動部材とカムレバーとの連結構造において検知部材の作動が可能となる量に規定されているので、確実に検知部材の作動を行わせることができると共に、検知部材への過剰な移動量伝達による破損などを防止して精度のよい検知が維持できることになる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明によるカバー開閉検知装置の外観図である。
【図2】図1に示したカバー開閉検知装置要部構成を説明するための分解斜視図である。
【図3】図1に示したカバー開閉検知装置に用いられる案内部材の構成を説明するための図である。
【図4】図1に示したカバー開閉検知装置に用いられる弾性力付勢のための構成を説明するための図である。
【図5】図1に示したカバー開閉検知装置に用いられるカムレバーと押動部材との連結構造を説明するための図である。
【図6】図1に示したカバー開閉検知装置とこれが設けられている筐体部の構成を説明するための図である。
【図7】図1に示したカバー開閉検知装置に用いられる押動部材の係止にかかる構成を説明するための図である。
【図8】図1に示したカバー開閉検知装置とカバーとの位置関係を説明するための図である。
【図9】図1に示したカバー開閉検知装置の作動状態を説明するための表図である。
【図10】図1に示したカバー開閉検知装置における検知部材の設置数を変更した場合の構成を説明するための図である。
【図11】図1に示したカバー開閉検知装置の要部変形例を説明する装置の斜視図である。
【図12】図10に示したカバー開閉検知装置の要部構成を説明するための分解斜視図である。
【図13】本発明によるカバー開閉検知装置を用いる画像形成装置の構成を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図示実施例により本発明を実施するための形態について説明する。
まず、本発明の特徴を説明する前に、本発明によるカバー開閉検知装置が用いられる画像形成装置について説明すると次の通りである。
【0029】
図13は、本発明によるカバー開閉検知装置を用いる画像形成装置の構成を説明するための模式図である。
図示に示す画像形成装置100は、中間転写ユニット10における未定着像担持体としての中間転写ベルト8の下面に対向して、各色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)に対応した作像部6Y、6M、6C、6Bkが並設されている。これらの作像部6Y、6M、6C、6Bkは、作像プロセスに用いられるトナーの色が異なる以外は同一構造である。
各作像部6は、潜像担持体としての感光体ドラム1と、感光体ドラム1の周囲に配設された図示しない帯電手段、現像装置5、図示しないクリーニング手段等で構成されている。
【0030】
感光体ドラム1上で、作像プロセス(帯電工程、露光工程、現像工程、転写工程、クリーニング工程)が行われ、感光体ドラム1上に所望のトナー像が形成される。
感光体ドラム1は、不図示の駆動部によって図中、時計回り方向に回転駆動され、帯電手段の位置で表面が一様に帯電される(帯電工程)。
感光体ドラム1の表面は、不図示の露光部から発せられたレーザ光の照射位置に達して、この位置での露光走査によって静電潜像が形成され(露光工程)、現像装置5と対向する位置に達すると現像装置5から供給される現像剤に含まれるトナーにより可視像処理されて現像工程を実行される。
【0031】
現像工程において可視像処理されたトナー像を担持する感光体ドラム1の表面は、中間転写ベルト8及び1次転写バイアスローラ9との対向位置に達して、この位置で感光体ドラム1上のトナー像が中間転写ベルト8上に転写される(1次転写工程)。
転写を終えて感光体1の表面は、クリーニング手段との対向位置に達し、この位置で感光体ドラム1上に残存した未転写トナーが回収される(クリーニング工程)。クリーニング後、感光体ドラム1の表面は図示しない除電ローラにより電位を初期化される。このような工程を経過することで、感光体ドラム1上で行われる一連の作像プロセスが終了する。
【0032】
上述した作像プロセスは、図13に示すように、4つの作像部6Y、6M、6C、6Bkで、それぞれ行われる。すなわち、作像部の下方に配設された不図示の露光部(光書き込み装置)から、画像情報に基づいたレーザ光が、各作像部6Y、6M、6C、6Bkの感光体ドラム上に向けて照射される。その後、現像工程を経て各感光体ドラム上に形成した各色のトナー像を、中間転写ベルト8上に重ねて転写する。こうして、中間転写ベルト8上にカラー画像が形成される。
【0033】
4つの1次転写バイアスローラ9Y、9M、9C、9Bkは、それぞれ、中間転写ベルト8を感光体ドラム1Y、1M、1C、1Bkとの間に挟み込んで1次転写ニップを形成している。1次転写バイアスローラ9Y、9M、9C、9Bkにはトナーの極性とは逆極性の転写バイアスが印加される。
【0034】
中間転写ベルト8は、矢印方向に走行して、各1次転写バイアスローラ9Y、9M、9C、9Bkの1次転写ニップを順次通過する。こうして、感光体ドラム1Y、1M、1C、1Bk上の各色のトナー像が、中間転写ベルト8上に重ねて1次転写される。
各色のトナー像が重ねて転写された中間転写ベルト8は、2次転写手段としての2次転写ローラ19との対向位置に達する。中間転写ベルト8上に形成されたカラートナー像は、2次転写ニップの位置に搬送された記録媒体としての転写紙P上に一括転写される。
【0035】
装置本体100の下部に配設された給紙部26には転写紙Pが複数枚重ねて収納されており、給紙コロ27により1枚ずつ分離されて給紙される。給紙された転写紙Pはレジストローラ対28で一旦停止され、斜めずれを修正された後レジストローラ対28により所定のタイミングで2次転写ニップに向けて搬送される。そして、上記のように、2次転写ニップにおいて転写紙P上に、所望のカラー画像が転写される。
【0036】
2次転写ニップの位置でカラー画像を転写された転写紙Pは、定着部20へ搬送され、ここで、定着ローラ及び圧力ローラによる熱と圧力とにより、表面に転写されたカラー画像を定着される。
定着を終えた転写紙Pは、排紙ローラ対29により、装置本体上面に形成された排紙部30へ出力画像として排出され、スタックされる。こうして、画像形成装置における一連の画像形成プロセスが完了する。図1において、符号32は読み取り部を示している。
【0037】
以上のような構成を備えた画像形成装置では、読み取り部32や符号RUで示す反転搬送装置が図示しないヒンジ軸を支点として符号R1およびR2で示す方向に開閉できる構成とされ、メンテナンスの際に開閉できるようになっている。
【0038】
本発明によるカバー開閉検知装置は、装置本体100に対して開閉可能に設けられている部材を対象として開閉状態、特に、再始動に必要なカバーの閉じ状態を検知するために設けられている。
【0039】
以下、本発明の特徴について説明する。
図1は、本発明によるカバー開閉検知装置50の外観図であり、同図においてカバー開閉検知装置50は、画像形成装置本体(便宜上、装置を表す符号100を用いる)などの不動部に取り付けられているケーシング51を備えている。
ケーシング51には、開閉可能なカバーの閉じ位置への移動時に押し動かされる往復動可能な押動部材52,53がその端部を突出させた状態で設けられている。
【0040】
図2は、カバー開閉検知装置50の要部構成を説明するための分解斜視図である。
同図において、カバー開閉検知装置50は、上述したケーシング51,押動部材52,53に加えて、押動部材52,53の押し動かし方向への移動により回転するリングギヤ54およびサンギヤ55、そしてこれら各ギヤ同士に噛み合う遊星ギヤ56を備えた遊星歯車機構57と、遊星ギヤ56の転動軌跡内に配置されてオンオフ可能なマイクロスイッチが用いられる検知部材58とを備えている。
【0041】
本実施例において検知部材58として用いられるマイクロスイッチは、弾性体の付勢により通常、オフ状態に維持されている可撓片からなるアクチュエータ58Aを備えたマイクロスイッチが単一で用いられている。
なお、図2中、符号R1,R2は、図13において示した開閉部材の開閉方向を示している。
【0042】
以下、各部材の詳細を説明する。
リングギヤ54は、押動部材の一つ52により押し動かされる押動部59Aを外周面の一部に有するリングギヤ側カムレバー59の内周面に形成されている。
押動部59Aは、押動部材の一つ52の往復動方向一方端面(押し動かされる方向の一方端に相当)に対向しており、開閉部材が閉じ位置へ移動された際に押し動かされるのに連動してリングギヤ54を一体的に回転させる。
【0043】
サンギヤ55は、図3に示すように、後述するサンギヤ側カムレバー61に有する支軸61Aが挿通される案内部材60に設けられている。
案内部材60は、サンギヤ55の回転中心を支点とする揺動端に遊星ギヤ56の回転軸挿通部を有し、遊星歯車機構57でのキャリアに相当している。このため、遊星ギヤ56は、サンギヤ55の回転中心を同一軸心としてリングギヤ54およびサンギヤ55と噛み合いながらリングギヤ54及びサンギヤ55の周面に沿って転動することができる。
【0044】
遊星ギヤ56の回転軸56Aは、ケーシング51において、サンギヤ55の回転中心を基準とする転動軌跡に沿って形成された円弧状のガイド孔51Aから外側に突出する軸方向長さを有している。そして、この突出部分が検知部材のアクチュエータ58Aと対向してアクチュエータ58Aを押圧できるようになっている。
このため、検知部材58は、円弧状ガイド孔51Aに対して、開閉部材が閉じ位置に到達した際に遊星ギヤ56の回転軸56Aが移動する位置に対応させて配置されている。これにより、アクチュエータ58Aは過剰な押圧、いわゆる、自身の揺動ストローク以上のオーバーストロークに押圧されることがないので、破損するような事態を避けることができる。
【0045】
図2において、サンギヤ55の回転およびサンギヤ55と案内部材60とを連動させるための部材としてサンギヤ側カムレバー61が用いられる。
サンギヤ側カムレバー61は、装置本体側の不動部(便宜上、装置本体に用いた符号100で示す)に設けられている支軸101により回転自在に支持されている。
【0046】
サンギヤ側カムレバー61は、図2において、支軸101が嵌め込まれる孔が底面に設けられ、上面、つまり、案内部材60に対向する面に駆動軸61Aが設けられ、そして、周方向の一部に押動部材の他の一つ53により押し動かされる押動部61Bを有する回転部材で構成されている。
駆動軸61Aは、外周の一部が平坦面とされ、この形状に合わせてサンギヤ55および案内部材60の軸挿通部が形成されている。
従って、サンギヤ側カムレバー61は、押動部材の他の一つ53により押動部61Bが押し動かされた際の回転をサンギヤ55および案内部材60に伝達してこれら両部材を一体的に連動させるようになっている。
【0047】
一方、リングギヤ側カムレバー59およびサンギヤ側カムレバー61には、押動部59A、61Bに対向当接可能な押動部材52,53に対して、開閉部材を開放する方向、つまり、各カムレバー59,61の押動部59A、61Bを押し動かす方向と反対方向に押動部材52,53を付勢するための部材が設けられている。
【0048】
図4は、上述した付勢構造を示す図であり、同図(A)は、リングギヤ側カムレバー59の底面側を示し、同図(B)は、サンギヤ側カムレバー61の底面側を示している。
同図において、リングギヤ側カムレバー59には、図示しない不動部とリングギヤ側カムレバー59側に設けられている係止ピン59Bとに巻き方向各端部が掛け止められる弦巻バネ63が設けられている。
サンギヤ側カムレバー61には、装置本体100側に設けられている係止ロッド102とサンギヤ側カムレバー61側に設けられている係止ピン61Cとの間に巻き方向各端部が掛け止められる弦巻バネ64が設けられている。
【0049】
弦巻バネ63,64の付勢力は、検知部材58が備えているアクチュエータ58Aに付加されている付勢力よりも大きく設定されている。このような付勢は、後述するが、カバーが完全に閉じられるまでの間、検知部材58がオン状態に転じないようにするためである。これにより、アクチュエータ58Aは、遊星ギヤ56の回転軸56Aにより押圧されて接点を閉じるまでの間、接点同士が接触しない状態に維持される。
【0050】
押動部材52,53は、上述した付勢力が作用することにより、開閉部材を開放する向きに移動することになるが、その移動によりケーシング51から外側に飛び出して脱落などの不具合を生じないように工夫されている。
つまり、図7に示すように、弦巻バネ63,64の付勢により、開閉部材の開放方向に順じた押動部材52,53の移動は、各押動部材52,53に設けられている係止部(図示されず)がケーシング51の一部に設けられている係合部51A、51Bに係合することで規制されるようになっている。
【0051】
一方、リングギヤ側カムレバー59およびサンギヤ側カムレバー61と押動部材52,53との連結部は、図5に示す構成が用いられている。
図5(A)において、押動部材の一つ52におけるリングギヤ側カムレバー59の押動部59Aを押し動かす側の端部には、自身の押し動かし方向への移動時にリングギヤ側カムレバー59の回転を妨げない方向に長手方向を有する長孔52Aが設けられており、長孔52Aには、リングギヤ側カムレバー59の押動部59Aに設けられたピン59A1が入り込ませてある。
また、図5(B)に示すように、押動部材の他の一つ53においても同様に長孔53Aが形成され、この長孔53Aには、サンギヤ側カムトレイ61の押動部61Bに設けられたピン61B1が入り込ませてある。
【0052】
長孔52A,53Aの長手方向の長さは、検知部材58がオフ状態からオン状態に転じることができる量に対応したカムレバーの回転量が得られる長さとされ、これによって、カムレバー59,61の過剰な回転に連動して遊星ギヤ56が過剰に検知部材の58アクチュエータ58Aを押圧することがないように規制されている。
【0053】
一方、装置本体の不動部100には、図6に示すように、押動部材52,53の往復動方向一端面に対向する壁面にスリット状の開口部102が設けられている。
図6には、開閉部材の一つを対象とした状態が示されているが、他の一つの開閉部材に対応する押動部材に対しても同様な構成が用いられている。
【0054】
スリット状の開口部102は、押動部材の端面よりも狭く、例えば、人指により押動部材の端面を操作できない状態とされている。従って、スリットの状の開口部102には、開閉部材側の作動部をなす片部、例えば、図13に示した反転搬送路装置RUに設けられている片部(図示されず)が進退できるようになっている(図6において符号R1で示す状態)。なお、図8は、各開閉部材の作動部と押動部材との配置関係を示している。
【0055】
本実施例は、以上のような構成であるから、開閉部材の相対方向が直角である場合を対象として用いることができる。
図9は、上記構成を備えたカバー開閉検知装置50を用いた場合に、開閉部材(図9では開閉部材A、開閉部材Bと表示してある)の開閉状態と遊星歯車機構57に装備されている遊星ギヤ56の回転軸56Aの位置と検知部材58のアクチュエータの状態とを関係付けて示した表図である。
【0056】
同図において、開閉部材が開放状態にあるとき、換言すれば、押動部材52,53が開閉部材の作動部により押し動かされない時が待機状態(ポジション1)とされる。
一方の開閉部材のみが閉じられた時、換言すれば、押動部材の一つが開閉部材の作動部により押し動かされた時が中間位置(ポジション2)とされ、両方の開閉部材が閉じられたとき、換言すれば、両方の押動部材が開閉部材の作動部によりそれぞれ押し動かされた時が最大押し動かし位置(ポジション3)とされている。
【0057】
ポジション1では、リングギヤ側カムレバー59およびサンギヤ側カムレバー61が弦巻バネ63,64の付勢により押動部材52,53をカバーが開放される向きに移動させる。このときには、遊星歯車機構57での遊星ギヤ56が転動しないので、検知部材はオフ状態を維持される。
【0058】
ポジション2では、開閉部材の一つが閉じ状態に移行するのに連動して押動部材の一つ52が開閉部材の作動部により押し動かされる。
押動部材52が押し動かされると、これの端部に形成された長孔52A(図5参照)が押し動かし方向に移動するのに連動して、長孔52A内に入り込んでいるリングギヤ側カムレバー59のピン59A1が長孔52Aの長手方向に摺動しながらリングギヤ側カムレバー59の回転を阻害されない状態で回転力を生じさせる。
【0059】
押動部材52に連動してリングギヤ側カムレバー59が回転すると、これに噛み合っている遊星ギヤ56がサンギヤ55の周面上を追随して転動する。このとき、遊星ギヤ56の転動量は、サンギヤ55が固定されているので、リングギヤ54が回転する角度の1/2となる。遊星ギヤ56の転動量は、検知スイッチ58のアクチュエータ58Aを押圧してオン動作に転じるに至らない量であるので、検知部材58はオフ状態を維持される。
【0060】
ポジション3では、押動部材の他の一つ53によってサンギヤ側カムレバー61の押動部61B1が押し動かされてサンギヤ側カムレバー61が図9において反時計方向に回転する。
この回転に連動してサンギヤ側カムレバー61の支軸61Aに嵌合しているサンギヤ55および案内部材60を介して遊星ギヤ56がサンギヤ55及び案内部材60と同じ方向に向けてサンギヤ55及びリングギヤ54に噛み合いながら反時計方向に転動する。
このときの転動量は、リングギヤ54は固定であるので、サンギヤ55が回転する角度の1/2となり、リングギヤ側カムレバー59が押し動かされた際の遊星ギヤ56の位置に加えて、サンギヤ側カムレバー61が押し動かされた際の遊星ギヤ56の位置が変化することで遊星ギヤ56の回転軸56Aは、検知部材58のアクチュエータ38Aを押圧できる位置に達する。
【0061】
以上の場合は、押動部材の一つずつが移動する場合であるが、押動部材52,53が同時に作動する場合には、リングギヤ54およびサンギヤ55が同時に回転することになるので、遊星ギヤ56の公転はなく、案内部材60の回転に順じて最大押し動かし位置に遊星ギヤ56の回転軸56Aが移動するポジション3の状態となる。
【0062】
従って、開閉部材のそれぞれの開閉状態が遊星ギヤ56のポジション状態によって割り出せるので、複数の開閉部材の閉じ状態を単一の検知部材を用いるだけで判別することができるようになる。
しかも、遊星歯車機構での遊星ギヤ56の公転がリングギヤ54内に限られるので、リンクレバーを用いる場合と違って、検知部材58を作動させる機構が大型となることがない。
【0063】
ところで、電源系統を分割するような場合、検知部材58は分割に応じて複数設けることが必要となる。この場合、案内部材60に設けられているように、遊星ギヤ56が一つであると、その回転軸56Aの延長方向に沿ってスイッチを重ねることになる。
本実施例では、このような検知部材の重畳による占有スペース増加を防止することも可能である。
【0064】
図10は、この対策を示す図であり、同図において複数の検知部材58,58’を作動させるために、前述した遊星ギヤ56、56’を検知部材58,58’の設置数に対応して設けるようになっている。
検知部材58,58’は、各遊星ギヤ56,56’がそれぞれリングギヤ54,サンギヤ55に噛み合う位置で配置されることから同一平面内に位置することになり、遊星ギヤ56,56’の回転軸方向での設置スペースを低減することができる。
【0065】
以上説明した構成は、ケーシング51に対して往復動可能な押動部材52,53の相対する向き、いわゆる相対方向が直角方向である場合を対象としているが、本発明では、押動部材の相対位置が平行する場合を対象とすることもできる。以下、この場合を説明する。
【0066】
図11は、カバー開閉検知装置100の分解図であり、図12は、図11に示した構成の組み立て状態を示す図である。
図10においてカバー開閉検知装置100は、筐体101内で平行する2カ所に押動部材102,103が配置されている。
筐体101は、上面が開放され、側壁の一方の押動部材102,013の装填口101A、101Bが形成されており、上面には、一部に押動部材102,103の往復動方向(図示矢印)に平行する長手方向を有した長孔104Aおよび検知部材58の取り付け部を有するカバー104が取り付けられるようになっている。
【0067】
カバー104に設けられている長孔104Aは、その長さとして、後述する押動部材102,103に設けられているラック上を転動するピニオンギヤ105の転動量に対応させてあり、特に、両方の押動部材102,103が開閉部材の閉じ状態の時に押し動かされる量に対応させてある。そして、長孔104Aに対する検知部材58の設置位置は、両方の押動部材102,103が押し動かされた際にピニオンギヤ105が転動した位置に対応して、図12に示すように、アクチュエータ58Aがピニオンギヤ105の支軸106Aによって押圧される位置とされている。
【0068】
筐体101の内部底面には、押動部材102,103の往復動方向(図示矢印)と直角な方向中央部およびこれを挟んで対称位置にそれぞれ押動部材102,103の往復動方向に長手方向を有する一対の衝立を設けた第1の摺動ガイド部101Cおよび第2の摺動ガイド部101Dが設けられている。
【0069】
第1の摺動ガイド部101Cには、ピニオンギヤ105が支持されている支軸106Aを備えたスライダ106が嵌め込まれるようになっており、支軸106Aは、カバー104の長孔104Aから外部に突出している。
支軸106Aの突出量は、図12に示すように、検知部材58のアクチュエータ58Aに接触できる位置までとされている。
スライダ106は、後述する押動部材102,103側に設けられている伝達ラックピニオンギヤ105が噛み合いながら転動するのに連動して摺動できる部材であり、摺動するとカバー104側の長孔104A内を移動することができるようになっている。
【0070】
押動部材102,103には、平面を有する角棒が用いられており、長手方向一端側には開閉部材の作動部と対向する押動部102A、103Aが設けられ、両側面には、ラック102B,102C,103B,103Cが設けられている。
筐体101の内側に対向するラック102Bは、ピニオンギヤ105と噛み合うことで押動部材102,103の移動時にピニオンギヤ105を転動させる。
筐体101の外側に対向するラック102Cは、後で説明するが、押動部材102,103が相対関係を平行ではなく直交方向とされている場合に用いられ部分である。ラック101Cは、筐体101の一方側に設けられる係止セクタギヤ107(図12参照)に噛み合うようになっている。なお、係止セクタギヤ107およびラック101Cを用いた作用については、上述したように後で詳しく説明する。
【0071】
押動部材102,103は、往復動方向において押動部102A、103Aと反対側の端部がコイルスプリングなどの弾性体108によって押圧付勢されており、この付勢により開閉部材が開放する向きに付勢されるようになっている。
【0072】
前述した弾性体108は、筐体101の壁面内部に設けられた嵌合部に軸方向一端が落とし込まれ、軸方向他端が押動部材102,103の端部に設けられているロッド部102D,103Dに嵌め込まれて支持される。
【0073】
以上のような構成においては、図9において説明した場合と同様にポジション1〜3が設定される。
ポジション1に相当する状態では、開閉部材が開放されていることにより開閉部材の閉じ状態時に生じる弾性体108への反力がないので、押動部材102,103は筐体101から押動部102A、103Aが突出する。これにより、押動部材102,103は開閉部材により押し動かされない待機状態となる。
【0074】
一方、ポジション2に相当する状態では、押動部材の一つ102が開閉部材により押し動かされると、スライダ106のピニオンギヤ105が押動部材103側のラック103B上を転動する。このときの転動量は、ラック102Bの移動歯数の半分の量となる。
【0075】
一方、このときのピニオンギヤ105は、スライダ106の支軸106Aがカバー104側の長孔104Aの長手方向一方端に達していない量に相当するので、検知部材58のアクチュエータ58Aは押圧されずに検知部材58がオフ状態に維持される。
【0076】
ポジション3に相当する状態では、中間位置に止まっていたピニオンギヤ105が押動部材の他方103の移動に連動して、押し動かされた位置に止まっている押動部材の一方102側のラック102B上を転動する。このときの転動量は、ラック103Bの移動歯数の半分である。
これにより、ピニオンギヤ105は、それまで止まっていた位置からさらに転動し、支軸106Aの位置をカバー104側の長孔104Aにおける長手方向一方端側に変化させることになる。これにより、検知部材58のアクチュエータ58Aが支軸106Aにより押圧されて検知部材58がオン状態に転じる。
【0077】
押動部材102,103が同時に押し動かされる場合には、両方の押動部材102,103のラック102B,103Bに噛み合っているピニオンギヤ105が押動部材102,103に押し動かされて支軸106Aの位置を長孔104Aの長手方向一方端に移動させる。
これにより、検知部材58のアクチュエータ58がピニオンギヤ105の支軸106Aに押圧されてオン状態に転じる。
【0078】
以上、説明した実施例においては、開閉部材の閉じ方向と同じ方向に移動する押動部材を設け、この押動部材の移動をギヤの転動に変換するだけであるので、リンクレバーなどを用いる場合と違って、揺動半径の変化などによる誤動作がほとんどない状態で開閉部材の開閉状態を検知することが可能となる。
しかも、押動部材とこれによる作動される部材の連結部において不用意に過剰な移動量が発生する防止できるので、検知部材のアクチュエータに生じるオーバーストロークを防止して破損を防止することも可能となる。
さらに、検知部材のアクチュエータに対しては支軸の移動量による押圧動作のみであるので、通常のマイクロスイッチのアクチュエータへの操作と同様な手順で済むので、特殊な構造の検知部材を準備する必要がなく、コスト上昇を抑えることも可能となる。
【0079】
一方、上述した係止セクタギヤ107は、開閉部材の相対位置が直交方向である場合に平行する摺動方向とされた押動部材102,103を対象とする場合に用いられる部材である。
つまり、開閉部材の一つは押動部材の一つ102に対応し、開閉部材の他の一つは、例えば、開閉部材の開閉支点に連動するように係止セクタギヤ107を備えている。
係止セクタギヤ107は、押動部材103の外側面に形成されたラック103Cに歯面を噛み合わせている。
【0080】
この構成により、押動部材102が開閉部材により押圧されると、前述したポジション1と同様な機能が得られ、次いで、ポジション2の場合には、開閉部材の閉じ態位に応じて係止セクタギヤ107が揺動する。
これにより、押動部材103はラック103Cが係止セクタギヤ107の揺動に連動することにより、弾性体108の付勢に抗して押動される。この押動時にピニオンギヤ105が押動部材102のラック102B上を転動する。
この結果、ピニオンギヤ105の支軸106Aは、長孔104Aの長手方向一方端に移動される。この結果、検知部材58のアクチュエータ58がピニオンギヤ105の支軸106Aに押圧されてオン状態に転じる。
【符号の説明】
【0081】
50 カバー開閉検知装置
51 ケーシング
52,53,102,103 押動部材
52A、53A 長孔
53A 長孔
54 リングギヤ
55 サンギヤ
56、56’ 遊星ギヤ
56A 支軸
57 遊星歯車機構
58、58’ 検知部材
58A アクチュエータ
59 リングギヤ側カムレバー
59A 押動部
59A1 ピン
60 案内部材
61 サンギヤ側カムレバー
61B 押動部
61B1 ピン
63,64 弾性体
100 画像形成装置本体(不動部)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0082】
【特許文献1】特開平05−165267号公報
【特許文献2】特開平07−314856号公報
【特許文献3】特開平09−292816号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体に対して開閉可能に設けられている複数のカバーを対象として開閉状態を検知するカバー開閉検知装置であって、
前記複数設けられているカバーのそれぞれに対応して設けられ、該カバーの開閉動作に応じて往復動可能な押動部材と、
前記押動部材にそれぞれ対応して設けられ、該押動部材の押動方向への移動により回転するリングギヤおよびサンギヤおよび、これら各ギヤ同士に噛み合いながら転動可能な遊星ギヤを備えた遊星歯車機構と、
前記遊星歯車機構における前記遊星ギヤの軸心の転動軌跡内に配置されているオンオフ可能な検知部材とを備え、
前記遊星歯車機構におけるリングギヤおよびサンギヤを前記押動部材のそれぞれにより押動された際の回転により、前記遊星ギヤの転動位置と前記検知部材との対応関係により前記複数設けられているカバーの開閉状態を、前記検知部材のオンオフ状況により検知することを特徴とするカバー開閉検知装置。
【請求項2】
前記リングギヤは、前記押動部材の一つにより押し動かされる押圧部を備えたリングギヤ側カムレバーの内周面に設けられ、前記サンギヤは、該サンギヤの軸方向端を支持する案内部材に設けられ、該案内部材は、前記サンギヤの回転中心を支点とする揺動端に前記遊星ギヤの支持部が設けられて前記サンギヤと共に支持することを特徴とする請求項1記載のカバー開閉検知装置。
【請求項3】
前記サンギヤは、前記押動部材の他の一つにより押し動かされる押圧部を備え、該押圧部の押圧動作による回転を前記サンギヤに伝達可能なサンギヤ側カムレバーと同軸回転中心に設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載のカバー開閉検知装置。
【請求項4】
前記リングギヤ側カムレバーおよびサンギヤ側カムレバーには、前記押動部材を前記カバーの開放状態に復帰させる方向に付勢されていることを特徴とする請求項1乃至3のうちの一つに記載のカバー開閉検知装置。
【請求項5】
前記リングギヤ側カムレバーおよびサンギヤ側カムレバーの揺動端には、前記押動部材との連結部が設けられ、該連結部は、前記押動部材側端部において前記押動部材の往復動に対して前記各ギヤの回転を妨げない方向に長手方向を設定されて形成されている長孔と、該長孔に嵌合する用に前記カムレバーの揺動端側に設けられているピンとが用いられることを特徴とする請求項1乃至4のうちの一つに記載のカバー開閉検知装置。
【請求項6】
前記押動部材に設けられている長孔の長手方向長さは、前記カムレバーの回転量として、前記検知部材がオフ状態からオン状態に転じる量に対応させた長さとされていることを特徴とする請求項1乃至5のうちの一つに記載のカバー開閉検知装置。
【請求項7】
前記遊星歯車機構はこれを覆うことが可能なケーシング内に配置され、該ケーシングにおける前記サンギヤの回転中心を中心とする前記遊星ギヤの転動軌跡に対応する位置には、前記遊星ギヤの回転軸が突出し、かつ、該遊星ギヤの転動軌跡に沿った円弧状のガイド部が設けられ、前記検知部材は、該ガイド部近傍に配置されていることを特徴とする請求項1記載のカバー開閉検知装置。
【請求項8】
前記押動部材は、前記ケーシングが設けられる筐体側において往復動可能に設けられ、前記ケーシングに設けられた係止部により前記カバーの開放方向への移動が規制されていることを特徴とする請求項1乃至7のうちの一つに記載のカバー開閉検知装置。
【請求項9】
前記検知部材は、前記ケーシングに設けられている円弧状のガイド部において、前記カバーが閉じられた時に前記遊星ギヤの回転軸が到達する位置に対応して配置されていることを特徴とする請求項1又は7に記載のカバー開閉検知装置。
【請求項10】
前記ケーシングは、検知装置本体の筐体部に設けられ、該筐体における前記押動部材と前記カバーとの対向位置には、該カバー側に設けられた押動作動片が入り込んで前記押動部材の端部と当接可能にする嵌合部が設けられていることを特徴とする請求項1乃至9のうちの一つに記載のカバー開閉検知装置。
【請求項11】
前記押動部材は、相対方向が直角に設定されていることを特徴とする請求項1乃至10のうちの一つに記載のカバー開閉検知装置。
【請求項12】
前記検知部材はアクチュエータを備えたマイクロスイッチが用いられることを特徴とする請求項1乃至11のうちの一つに記載のカバー開閉検知装置。
【請求項13】
前記カムレバーに対する付勢力が前記検知部材に用いられるマイクロスイッチのアクチュエータに付与されている弾性力以上に設定されていることを特徴とする請求項12記載のカバー開閉検知装置。
【請求項14】
前記検知部材は、前記遊星ギヤ側カムレバーの移動軌跡内で複数設けることが可能であることを特徴とする請求項12又は13に記載のカバー開閉検知装置。
【請求項15】
請求項1乃至14のうちの一つに記載のカバー開閉検知装置を筐体壁部に設けられたカバーを対象として設けたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−3260(P2013−3260A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−132375(P2011−132375)
【出願日】平成23年6月14日(2011.6.14)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】