カプセル化二酸化塩素発生剤
カプセル化二酸化塩素発生剤が提供される。該カプセル化発生剤は、金属亜塩素酸塩と固体酸を含むコア粒子を含む。カプセル化発生剤はまた、コア粒子の少なくとも1部に配置された保護層を含む。保護層はポリビニルアルコールとポリアルキレングリコールとのコポリマーを含む。カプセル化発生剤は、コア粒子を形成する工程と保護層をコア粒子に配置する工程を含む方法で形成される。カプセル化発生剤は、環境の浄化方法でも使用される。環境の浄化方法は、カプセル化発生剤を提供する工程及び環境を浄化するためにカプセル化二酸化塩素発生剤から二酸化塩素を生成する工程を含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の背景
本発明は概してカプセル化された二酸化塩素発生剤に関する。更に詳細には、カプセル化二酸化塩素発生剤は、コア粒子及び保護層を含み、該層はコア粒子の少なくとも1部に配置され且つポリビニルアルコールとポリアルキレングリコールとのコポリマーを含む。
【0002】
関連技術の説明
二酸化塩素(ClO2)は、典型的には塩素と酸との組み合わせを水分、例えば、大気水分及び/又は液体の水に曝すことによって生成する、強力な殺生剤、殺菌剤、及び脱臭剤である。二酸化塩素は、通常、表面の消毒及び脱臭のために、都市用水の消毒のために、及び多数の他の用途において低濃度(即ち、1,000ppm以下の濃度)で使用される。実際には、二酸化塩素は、表面に1分間曝される時に20℃で25ピーピーエム(ppm)にて広いpH範囲にわたって有効な殺生剤として環境保護庁(EPA)によって特徴付けられる。通常、二酸化塩素は、有機物の存在下で塩素化分子を形成せず、且つ水又は表面を塩素化しないが、その代わり、細菌細胞壁の酸化と貫通を介して殺生剤として作用し、そこでアミノ酸と反応する。
【0003】
EPAによれば、二酸化塩素は、1,000ppmよりも高い濃度でヒトに対して有毒になり得る揮発性気体である。その上、二酸化塩素は約0.1気圧よりも高い圧力で可燃性である。従って、二酸化塩素は、通常、現場で製造されており、通常は圧力下で出荷されない。従来の現場生産方法では、生産上の問題を回避するために、高価な生成装置のみならず、高水準のオペレーターの技量も要求される。これらの問題は、二酸化塩素の消費が十分に大きく、現場生産関連の資本及び作動のコストの支出を正当化する場合、大規模な商業的用途に対して二酸化塩素の使用を実質的に制限する。
【0004】
更に、二酸化塩素の現場生産は、危険な化学物質の混合及び取り扱いが望ましくない場合又は実現不可能な場合、小規模な操作には適していない。更に、二酸化塩素が塩素と酸との混合物から生成する場合、貯蔵及び/又は出荷の間に水分に曝される際に二酸化塩素の早期放出の可能性が高まる。従って、これらの種類の混合物は、水分から該混合物を保護し、二酸化塩素の早期放出を最小限にし、且つ保存期間を延長するために、通常、低下した貯蔵安定性に悩み且つ高価な包装を要求する。
【0005】
二酸化塩素の更に便利な製造方法に対する要求に応えて、固体二酸化塩素発生剤が配合されてきた。これらの固体二酸化塩素発生剤の多くが、水分に曝される際に又は液体の水に接触する際に二酸化塩素を生成し、一般的に図1に示される通り、通常、素錠として販売されている。要求に応じた二酸化塩素の生成が効率的でも、これらの発生剤は、出荷及び保存の間に水分に曝される際に、二酸化塩素を早期放出し、それによって保存期間が減少し且つ出荷コストが増加し得る。その上、これらの発生剤は、脆くて出荷及び取り扱いの間に壊れるので、保存期間が更に短縮し、出荷方法がより複雑になる。
【0006】
従って、改良されたコスト効果的な二酸化塩素発生剤を開発する機会が残っている。また、改良された二酸化塩素発生剤の生成方法及び利用方法を開発する機会も残っている。
【0007】
本発明の概要及び利点
本発明はカプセル化された二酸化塩素発生剤を提供する。該カプセル化発生剤は、金属亜塩素酸塩と固体酸を含むコア粒子を含む。カプセル化発生剤はまた、コア粒子の少なくとも1部に配置された保護層を含む。保護層はポリビニルアルコールとポリアルキレングリコールとのコポリマーを含む。カプセル化発生剤は、コア粒子を形成する工程と保護層をコア粒子に配置する工程を含む方法により形成される。カプセル化発生剤は、カプセル化発生剤を提供する工程及び環境を浄化するためにカプセル化二酸化塩素発生剤から二酸化塩素を生成する工程を含む、環境の浄化方法において利用されている。
【0008】
保護層はコア粒子の水分バリアを提供する。この保護層は、水のコア粒子への浸透を低減し、それによってカプセル化発生剤の貯蔵安定性と出荷安定性の両方を高めて保存期間を延長させる。この低下した浸透性により、二酸化塩素の早期生成及び放出なしで、カプセル化発生剤を長期間にわたり周囲温度と水分に曝すことができるため、使用の容易性と簡便性が高まる。しかしながら、保護層は同時に、カプセル化発生剤を水に溶解させて、要求に応じて及び所望の条件下で二酸化塩素を生成することができる。
【0009】
複数の視点の図面の簡単な説明
本発明の別の利点は容易に理解され、添付図面と関連して考慮される場合、同様に以下の詳細な説明を参照してより良好に理解される。
【0010】
図1は本発明の保護層のない錠剤の形で先行技術の二酸化塩素発生剤の斜視図である。
【0011】
図2Aは、錠剤の形でコア粒子を含み且つコア粒子の少なくとも1部に配置された本発明の保護層をも含むカプセル化二酸化塩素発生剤の斜視図である。
【0012】
図2Bは図2Aのカプセル化二酸化塩素発生剤の上面図である。
【0013】
図2Cは図2Aのカプセル化二酸化塩素発生剤の部分的な切開図である。
【0014】
図3Aは、錠剤の形でコア粒子を含み、コア粒子の少なくとも1部に配置された本発明の保護層を含み、且つ同時に保護層に配置され且つコア粒子の少なくとも1部に配置された第2の保護層をも含む、カプセル化二酸化塩素発生剤の斜視図である。
【0015】
図3Bは図3aのカプセル化二酸化塩素発生剤の上面図である。
【0016】
図4は、カプセルの形でコア粒子を含み且つコア粒子の少なくとも1部に配置された本発明の保護層をも含むカプセル化二酸化塩素発生剤の断面図である。
【0017】
図5は、カプセルの形でコア粒子を含み、コア粒子の少なくとも1部に配置された本発明の保護層を含み、且つ同時に保護層に配置され且つコア粒子の少なくとも1部に配置された第2の保護層をも含む、カプセル化二酸化塩素発生剤の断面図である。
【0018】
図6は、カプセルの形でコア粒子を含み、コア粒子の第1部分の少なくとも1部に配置された本発明の保護層を含み、且つコア粒子の第2部分の少なくとも1部に配置された第2の保護層をも含む、カプセル化二酸化塩素発生剤の断面図である。
【0019】
図7は、カプセルの形でコア粒子を含み且つコア粒子部分の少なくとも1部に配置された本発明の保護層を含む、カプセル化二酸化塩素発生剤の断面図である。
【0020】
図8は、カプセルの形でコア粒子を含み、コア粒子部分の少なくとも1部に配置された本発明の保護層を含み、且つコア粒子の同じ部分の保護層に配置された第2の保護層をも含む、カプセル化二酸化塩素発生剤の断面図である。
【0021】
図9Aは、コア粒子に配置され且つエチルセルロースを含むが本発明の典型例ではない、コア粒子と保護(比較)層を含む、実施例の比較の錠剤Iの崩壊を概略的に図示する。
【0022】
図9Bは図9Aの崩壊していない比較の錠剤Iの拡大図である。
【0023】
図9Cは図9Aの崩壊した比較の錠剤Iの拡大図である。
【0024】
図10Aは、コア粒子に配置され且つポリビニルアセテートを含むが本発明の典型例ではない、コア粒子と保護(比較)層を含む、実施例の比較の錠剤IIの崩壊を概略的に図示する。
【0025】
図10Bは図10Aの崩壊した比較の錠剤IIの拡大図である。
【0026】
図11Aは実施例の錠剤III、IV、V、VI及びVIIを概略的に示す。
【0027】
図11Bは図11Aの錠剤IIIの拡大図であり、これは素錠100質量部当たり約9質量部の保護層を含み、その際、保護層は約111μmの厚さを有する。
【0028】
図11Cは図11Aの錠剤IVの拡大図であり、これは素錠100質量部当たり約10質量部の保護層を含み、その際、保護層は約120μmの厚さを有する。
【0029】
図11Dは図11Aの錠剤Vの拡大図であり、これは素錠100質量部当たり約12質量部の保護層を含み、その際、保護層は約147μmの厚さを有する。
【0030】
図11Eは図11Aの錠剤VIの拡大図であり、これは素錠100質量部当たり約12.5質量部の保護層を含み、その際、保護層は約159μmの厚さを有する。
【0031】
図11Fは図11Aの錠剤VIIの拡大図であり、これは素錠100質量部当たり約15質量部の保護層を含み、その際、保護層は約199μmの厚さを有する。
【0032】
図12は位置(A−H)でコア粒子の少なくとも1部に配置された保護層の様々な厚さを概略的に示す。
【0033】
発明の詳細な説明
本発明は、図2〜8、11及び12に示す通り、カプセル化二酸化塩素(ClO2)発生剤(20)(以下、「カプセル化発生剤」を意味する)を提供する。カプセル化発生剤(20)は図2〜8、11及び12にも示す通り、コア粒子(22)を含む。コア粒子(22)は通常、固体であるが、ゲル様であってもよい。あるいは、コア粒子(22)は固体部分とゲル様部分の両方を有してよい。一実施態様では、コア粒子(22)は、例えば、図2及び図3に示す通り、錠剤である。別の実施態様では、コア粒子(22)は、例えば、図4〜8に示す通り、カプセル又はキャプレッツである。更に別の実施態様では、コア粒子(22)は、ブリケット、ピル、ペレット、れんが、サッシェ、及びそれらの組み合わせの群から選択される。一実施態様では、コア粒子(22)は更に「塊状物」として規定されており、これは当該技術分野で公知の通り、微粒子の混合物を含む固体形状(典型的には多孔質固体形状)を意味する。コア粒子(22)は形状、寸法又は質量で制限されない。種々の実施態様では、コア粒子(22)は、約375〜400mgの、約700mgの、約375〜850mgの、約850mg〜1000gの、約1.2〜1.5グラムの、約6グラムの、又は約8.33グラムの質量を有する錠剤である。しかしながら、より小さい又は大きい錠剤が使用され得ることも考えられる。一実施態様では、コア粒子(22)は、6メッシュ未満であるが10メッシュよりも大きいサイズを有する1つ以上の顆粒である。種々の実施態様では、前述の値の1つ以上が、任意の値又は値の範囲、前述の範囲内の全部及び一部の両方であってよい及び/又は±5%、±10%、±15%、±20%、±25%、±30%等だけ変化してよい。
【0034】
コア粒子(22)は金属亜塩素酸塩(例えば、MClO2又はM(ClO2)2)及び固体酸(HA)を含む。金属亜塩素酸塩及び固体酸のうちの1つ又はその両方が、独立して粒子状、顆粒状、又は粗粒子状であってよい。あるいは、金属亜塩素酸塩及び固体酸のうちの1つ又はその両方が、微粉末又は粒子であってよい。金属亜塩素酸塩及び固体酸のうちの1つ又はその両方がゲル様であり得ることも考えられる。好適であるが非限定例の本発明のコア粒子(22)は、Aseptrol(登録商標)の商品名でBASF社から市販されており、これは金属亜塩素酸塩と固体酸の両方を含む。
【0035】
金属亜塩素酸塩と固体酸は、コア粒子(22)に含まれ、これらが反応して二酸化塩素を生成する。当該技術分野で公知の通り、固体酸は水(例えば、液体及び/又は水蒸気)と反応して水素イオン(H+)とヒドロニウムイオン(H3O+)を生成する。H+/H3O+イオンは、通常、以下の化学反応の通り、金属亜塩素酸塩と反応して亜塩素酸(HClO2)と金属イオン(M+)を生成する:
【化1】
【0036】
亜塩素酸が生成した後、二酸化塩素は通常、亜塩素酸の不均化を介して及び/又は亜塩素酸の酸化を介して生成される。亜塩素酸の二酸化塩素への不均化は通常、以下の化学反応を介して生じる:
5HClO2→4ClO2+HCl+2H2O
【0037】
亜塩素酸の酸化は、通常、以下の化学反応を介して生じる:
HClO2→ClO2+H+
【0038】
従って、不均化と酸化の両方が起こる場合、金属亜塩素酸塩と固体酸との反応は通常、以下のように進行する:
5MClO2+4HA→4MA+MCl+4ClO2+2H2O
【0039】
種々の実施態様において、二酸化塩素の生成は、以下の1つ以上の反応を用いることによって起こる:
5NaClO2+4H+→4ClO2+NaCl+4Na++2H2O
2NaClO2+HOCl→2ClO2+NaCl+NaOH
【0040】
金属亜塩素酸塩は通常、アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属(例えば、Na、K、Rb、Mg、Ca、Sr)を含む。一実施態様では、金属亜塩素酸塩は亜塩素酸ナトリウム(NaClO2)として更に規定される。別の実施態様では、金属亜塩素酸塩は亜塩素酸カリウム(KClO2)として更に規定される。更に別の実施態様では、金属亜塩素酸塩は亜塩素酸マグネシウムMg(ClO2)2、亜塩素酸カルシウムCa(ClO2)2、及びそれらの組み合わせの群から選択される。当然ながら、本発明は、これらの特定の実施態様に限定されず、且つ当該技術分野で公知の任意の金属亜塩素酸塩、上記の任意の金属亜塩素酸塩、及び/又は遷移金属亜塩素酸塩、IB族、IIB族、IIIA族、IVA族、VA族及び/又はVIA族の金属亜塩素酸塩、及びそれらの組み合わせの群から選択される1種以上の金属亜塩素酸塩を含んでよい。上記の金属の金属塩素酸塩、MClO3又はM(ClO3)2も使用してよい。
【0041】
固体酸は、通常、1種以上の無機酸塩、例えば、硫酸水素ナトリウム(NaO4SH)、硫酸水素カリウム(KO4SH)、リン酸二水素ナトリウム(NaO4PH2)、及びリン酸二水素カリウム(KO4PH2)、強酸のアニオンと弱塩基のカチオンを含む塩、例えば、塩化アルミニウム(AlCl3)、硝酸アルミニウム(AlN3O9)、硝酸セリウム(CeN3O9)、及び硫酸鉄(Fe2O12S3)、水と接触した時に溶液中にプロトンを遊離する固体酸、例えば、酸イオン交換分子ふるいETS−10と塩化ナトリウムの混合物、有機酸、例えば、クエン酸及び酒石酸、並びにそれらの組み合わせを含む。最も典型的には、固体酸は重硫酸ナトリウム(NaHSO4)として更に規定される。当然ながら、本発明は前述の固体酸に限定されず、且つH+/H3O+イオンを溶液中に生成できる任意の固体化合物を含んでよい。
【0042】
コア粒子(22)は、金属次亜塩素酸塩(例えば、MClO又はM(ClO)2)、例えば、アルカリ金属次亜塩素酸塩及び/又はアルカリ土類金属(例えば、Na、K、Rb、Mg、Ca、Sr)の次亜塩素酸塩も含んでよい。種々の実施態様において、コア粒子(22)は次亜塩素酸ナトリウム(NaClO)及び/又は次亜塩素酸カリウム(KClO)を含む。他の実施態様では、コア粒子(22)は次亜塩素酸マグネシウム(Mg(ClO)2)及び/又は次亜塩素酸カルシウム(Ca(ClO)2)を含む。すぐ上の通り、本発明は、これらの特定の実施態様に限定されず、当該技術分野で公知の任意の金属次亜塩素酸塩、上記の金属次亜塩素酸塩のいずれか、及び/又は遷移金属亜塩素酸塩、IB族、IIB族、IIIA族、IVA族、VA族及び/又はVIA族の金属次亜塩素酸塩、及びそれらの組み合わせの群から選択される1種以上の金属次亜塩素酸塩を含んでよい。特定の理論に拘束されることを意図するものではないが、コア粒子(22)が1種以上の金属次亜塩素酸を含む場合、二酸化塩素の生成が以下の通り進行し得ることが考えられる:
2MClO2+2HA+MClO→2MA+MCl+2ClO2+H2O
【0043】
コア粒子(22)は遊離ハロゲン(例えば、遊離ハロゲンの源)も含んでよい。遊離ハロゲンを与える化合物の適切な例として、ジクロロイソシアヌル酸及びそれらの塩、例えば、ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム(NaDCCA;NaC3Cl2N3O3)、及び/又はそれらの二水和物、トリクロロシアヌル酸、次亜塩素酸の塩、例えば、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カリウム及び次亜塩素酸カルシウム、ブロムクロロジメチルヒダントイン、ジブロモジメチルヒダントインなどが挙げられるが、これらに限定されない。遊離ハロゲンの好ましい源はNaDCCAである。
【0044】
更なる実施態様では、コア粒子(22)は1種以上の添加物を含む。添加物は、コア粒子(22)の生成効率を改善するために、コア粒子(22)の物理的及び/又は美的特性を改善するために、二酸化塩素を生成するための金属亜塩素酸塩と固体酸との反応効率を高めるために含まれてよい。添加物としては、充填剤、例えば、粘土(例えば、アタパルジット粘土)及び塩化ナトリウム、錠剤化及び錠剤の離型剤、安定剤、染料、凝結防止剤、乾燥剤、例えば、塩化カルシウム及び塩化マグネシウム、細孔形成剤、例えば、膨潤無機粘土(例えば、ラポナイト粘土)、飽和剤、及びそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0045】
一実施態様では、コア粒子(22)は基材を含む。金属亜塩素酸塩及び固体酸は基材上に又は基材に配置されてよい。一実施態様では、基材は骨格形成体として更に規定される。骨格形成体は通常、低溶解性の多孔質構造物として使用されており、その際、二酸化塩素の生成反応(即ち、金属亜塩素酸塩と固体酸との間の反応)が進行し得る。骨格形成体は通常、硫酸カルシウム(石膏)などの低溶解性の塩を含み、更にラポナイト粘土などの粘土を含んでよい。硫酸カルシウムは通常、カルシウムカチオン(例えば、塩化カルシウム由来)と重硫酸ナトリウム由来の硫酸アニオンとの間の反応から形成される。カルシウムカチオンの他の源、例えば、硝酸カルシウム並びに他の硫酸アニオンの源、例えば、硫酸マグネシウムも使用してよい。ラポナイト粘土は、低溶解性の多孔質構造を高めると考えられる水不溶性の膨潤粘土である。一実施態様では、硫酸カルシウムの骨格は化学反応を介してインサイチュで形成される。
【0046】
コア粒子(22)が骨格形成体を含む場合、骨格形成体は通常、二酸化塩素の生成時間の間、実質的に溶液に不溶性のままである。ほとんどの場合、目視検査、質量バランス、及び/又は種々の分析技術を使用して、骨格形成体のいずれかが実質的に溶解しないままである、即ち、溶液に溶けていかないかどうか測定できる。骨格形成体が、二酸化塩素の生成の間、完全にそのまま残される必要はない。事実、一実施態様では、コア粒子(22)は、二酸化塩素を溶液中に放出する実質的に不溶性の(又はゆっくり溶ける)顆粒に砕ける錠剤として更に規定される。特定の理論に拘束されることを意図するものではないが、適切な反応条件が細孔内に存在して二酸化塩素を生成するように、顆粒の全体的なサイズが顆粒の細孔径に対して大きいことが考えられる。
【0047】
一実施態様では、コア粒子(22)は上記の多孔質の骨格形成体中で複数の細孔を規定する。細孔は任意の寸法と形状であってよい。特定の理論に拘束されることを意図するものではないが、コア粒子(22)が水に曝されて、水がコア粒子(22)の細孔に入る時に、最大収量の二酸化塩素がコア粒子(22)から生成されることが考えられる。一実施態様では、亜塩素酸塩アニオンの濃縮した酸性溶液が、細孔内での固体酸と金属亜塩素酸塩との反応から細孔内で生成する。
【0048】
金属亜塩素酸塩と固体酸が粉末の形であり、且つ粉末が急速に水に溶解する時に、二酸化塩素がほとんど又は全く生成されないことも論理付けられている。事実、金属亜塩素酸塩の二酸化塩素への向上した転化率は、通常、コア粒子(22)が細孔を規定し且つ金属亜塩素酸塩と固体酸が細孔内で反応する時に得られる。前記とは異なり、実質的に全ての亜塩素酸塩アニオンは、好ましい条件下で、細孔内で反応して二酸化塩素を生成する機会がある。これは亜塩素酸塩の二酸化塩素への転化を最大にすると考えられる。亜塩素酸塩アニオンの二酸化塩素への転化率は、典型的には0.25よりも高く、更に典型的には0.50よりも高く、最も典型的には0.90よりも高い。「転化率」との用語は、水中の遊離二酸化塩素濃度プラス未反応の塩素イオン濃度の合計に対する水中の遊離二酸化塩素濃度の計算比率を意味する。一実施態様では、水は一般に、二酸化塩素が生成される時に、中性のpH(即ち、pH5〜9)を有している。種々の実施態様では、前述の値の1つ以上が±5%、±10%、±15%、±20%、±25%、±30%等変化し得ることが考慮される。
【0049】
金属亜塩素酸塩と固体酸源は、通常、水と反応して、二酸化塩素と亜塩素酸塩アニオンを含む溶液を生成する。一実施態様では、二酸化塩素と亜塩素酸塩アニオンは、0.25:1よりも高い質量比で存在する。代替的な実施態様では、金属亜塩素酸塩及び固体酸源は水と反応して、二酸化塩素、亜塩素酸塩アニオン、及び遊離ハロゲンを含む溶液を生成する。溶液中の遊離ハロゲンの濃度は、通常、質量基準で溶液中の二酸化塩素の濃度よりも低い。別の実施態様では、溶液中の二酸化塩素の濃度と亜塩素酸塩アニオンの濃度の合計に対する溶液中の二酸化塩素の濃度の質量比は、少なくとも0.25:1である。更に別の実施態様では、この質量比は少なくとも0.50:1である。更に別の実施態様では、この質量比は少なくとも0.75:1である。別の実施態様では、この質量比は少なくとも0.90:1である。代替的な実施態様では、溶液中の遊離ハロゲンの濃度は、質量基準で溶液中の二酸化塩素の濃度と少なくとも等しい。更に別の実施態様では、溶液中の遊離ハロゲンの濃度は、質量基準で溶液中の二酸化塩素の濃度の1/2未満である。更に別の代替的な実施態様では、溶液中の遊離ハロゲンの濃度は、質量基準で溶液中の二酸化塩素の濃度の1/4未満である。更に別の代替的な実施態様では、溶液中の遊離ハロゲンの濃度は、質量基準で溶液中の二酸化塩素の濃度の1/10未満である。種々の実施態様では、前述の値の1つ以上が±5%、±10%、±15%、±20%、±25%、±30%等変化し得ることが考慮される。
【0050】
コア粒子は、それぞれが明白に本願明細書に援用されている、米国特許第6,432,322号、同第6,676,850号、同第6,699,404号、同第7,150,854号、及び/又は同第7,182,883号の1つ以上に記載された通りに更に規定され得ることも考えられる。
【0051】
コア粒子(22)に加えて、カプセル化発生剤(20)もコア粒子(22)の少なくとも1部に配置された保護層(24)を含む。「配置された」との用語は、保護層(24)によるコア粒子(22)の部分的及び全体的な被覆の両方を包含することが理解されるべきである。一実施態様では、保護層(24)は、図2〜6に記載される通り、コア粒子(22)を完全に包含する。別の実施態様では、保護層(24)は、図7及び8に記載される通り、コア粒子(22)を部分的にしか包含しない。通常、保護層(24)はコア粒子(22)上に配置され且つこれに直接接触する。また、保護層(24)は通常、カプセル化発生剤(20)の最外層である。しかしながら、保護層(24)はカプセル化発生剤(20)の内部層であってもよい。
【0052】
保護層(24)は、輸送及び使用の間の脆砕性を低減しながら、同時にカプセル化発生剤(20)の硬度及び耐久性を改善する。これは、販売時にカプセル化発生剤(20)の完全性を保存し、破損した製品の交換に関するコストを最小にする。更に、保護層(24)は通常、カプセル化発生剤(20)に、優れた仕上り及び光沢のある外観を与える。更に一層、保護層(24)のコポリマーは、生成のために過酸化物開始剤を必要とせず、その結果、カプセル化発生剤(20)の酸化及び早期分解を最小にし、そうでなければ残留過酸化物が生じ得る。
【0053】
保護層(22)は通常、コア粒子(22)100質量部当たり、0.1〜20質量部の量で存在し、更に典型的には1〜15質量部の量、更に一層典型的には3〜15質量部の量、更に一層典型的には3〜5質量部の量で存在する。種々の実施態様では、保護層(22)は、コア粒子(22)100質量部当たり、3〜6質量部、3〜7質量部、3〜8質量部、3〜9質量部、3〜10質量部、3〜11質量部、3〜12質量部、3〜13質量部、3〜14質量部、9〜12質量部、又は9〜15質量部の量で存在する。当然ながら、保護層(24)は、前述の量及び範囲に限定されない。種々の実施態様では、前述の値の1つ以上が、任意の値又は値の範囲、前述の範囲内の全部及び一部の両方であってよい及び/又は±5%、±10%、±15%、±20%、±25%、±30%等変化し得ることが考慮される。
【0054】
保護層(24)は任意の厚さを有してよいが、通常、85〜210マイクロメートルの厚さを有する。図12に示す通り、保護層(24)はカプセル化発生剤(20)の異なる点(A−H)で様々な厚さを有し得る。種々の実施態様において、保護層(24)は、以下に記載されるマイクロメートルの厚さを有しており、その際、「側面」は図12の位置Bにほぼ対応し、「角部」は図12の位置Dにほぼ対応し、そして「上面」は図12の位置Fにほぼ対応する。
【表1】
【0055】
種々の実施態様では、上記の厚さの1つ以上が±5%、±10%、±15%、±20%又はそれ以上変化し得ることが考慮される。保護層(24)は、カプセル化発生剤(20)の1つ以上の位置で又はカプセル化発生剤(20)の全て又はほとんど全ての位置で均一な厚さを有し得ることも考えられる。あるいは、保護層(24)は、カプセル化発生剤(20)のある点で均一であり且つ他の点で厚さが変化し得る。当該発明は、保護層(24)が任意の厚さを有し得るので、前述の厚さによって限定されない。また、当該発明は、近似の質量パーセントに特に関連する上記の厚さに限定されない。前記とは異なり、保護層(24)は、任意の1つ以上の前述の近似の質量パーセントで又は上記のものとは異なる質量パーセントで、前述の厚さの1つ以上、又はその厚さを1つでも有し得る。
【0056】
保護層(24)は、ポリビニルアルコールとポリアルキレングリコールとのコポリマーを含む。通常、コポリマーは更にポリビニルアルコールとポリアルキレングリコールとのグラフトコポリマーとして定義される。当該技術分野で公知の通り、ポリビニルアルコールは、以下の化学構造を有しており、その際、nは1よりも大きな数である:
【化2】
【0057】
通常、コポリマーを生成するために使用されるポリビニルアルコールは、室温で測定して約30,000cpsの粘度を有する。しかしながら、当該発明は、かかる粘度に限定されない。高粘度(例えば、約130,000cpsまで又は約200,000cpsまで)を有するポリビニルアルコールが利用できる。ポリビニルアルコールも典型的には、30,000〜200,000g/モル、更に典型的には20,000〜45,000g/モル、最も典型的には25,000〜35,000g/モルの平均分子量を有する。種々の実施態様では、前述の値の1つ以上が、任意の値又は値の範囲、前述の範囲内の全部及び一部の両方であり得る及び/又は±5%、±10%、±15%、±20%、±25%、±30%等変化し得ることが考慮される。
【0058】
コポリマーを生成するために使用されるポリアルキレングリコールは、当該技術分野で公知であり、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等が挙げられるが、これらに限定されない。通常、ポリアルキレングリコールはポリエチレングリコールとして更に定義される。ポリエチレングリコールは以下の化学構造を有しており、その際、nは1よりも大きな数である:
【化3】
【0059】
典型的には、コポリマーを生成するために使用されるポリエチレングリコールは約190〜9,000g/モルの数平均分子量を有する。種々の実施態様では、ポリエチレングリコールは、当該技術分野で公知の下記の1つ以上のものとして更に定義される:PEG200、PEG300、PEG400、PEG540、PEG600、PEG900、PEG1000、PEG1450、PEG1540、PEG2000、PEG3000、PEG3350、PEG4000、PEG4600、PEG6000、PEG8000、及びそれらの組み合わせ。最も典型的には、ポリエチレングリコールは、約6,000g/モルの数平均分子量を有する。従って、ポリビニルアルコールとポリエチレングリコールとのコポリマーは通常、以下の化学構造を有する:
【化4】
【0060】
コポリマーは好ましくは、過酸化水素又は過酸化ベンゾイルなどの過酸化物開始剤を使用せずに形成される。しかしながら、本発明はこのように限定されない。典型的には、コポリマーは、結果的にコポリマー中の残留過酸化物の量を最小にし且つカプセル化発生剤(20)の酸化及び早期分解を最小にする形成のために過酸化物開始剤を必要とせず、そうでなければ残留過酸化物が生じ得る。
【0061】
種々の実施態様では、コポリマーは10〜40質量部、20〜40質量部、20〜30質量部、又は24〜26質量部のポリアルキレングリコールを含む。別の実施態様では、コポリマーは50〜90質量部、60〜80質量部、70〜80質量部、又は66〜74質量部のポリビニルアルコールを含む。代替的な実施態様では、コポリマーは、コポリマー100質量部当たり、約25質量部のポリアルキレングリコール及び約75質量部のポリビニルアルコールを含む。当然ながら、コポリマーは、前述の量及び範囲に限定されない。種々の実施態様では、前述の値の1つ以上が、任意の値又は値の範囲、前述の範囲内の全部及び一部の両方であり得る及び/又は±5%、±10%、±15%、±20%、±25%、±30%等変化し得ることが考慮される。
【0062】
保護層(24)自体に戻って参照すると、コポリマーは典型的には、保護層(24)100質量部当たり50〜100質量部、更に典型的には60〜99質量部、更に一層典型的には80〜99質量部、更に一層典型的には90〜99質量部、最も典型的には95〜99質量部の量で存在する。当然ながら、本発明は、前述の量及び範囲に限定されない。種々の実施態様では、前述の値の1つ以上が、任意の値又は値の範囲、前述の範囲内の全部及び一部の両方であり得る及び/又は±5%、±10%、±15%、±20%、±25%、±30%等変化し得ることが考慮される。
【0063】
一実施態様では、保護層(24)は、本質的にポリビニルアルコールとポリアルキレングリコールとのコポリマーからなり、保護層(24)の基本的な特性及び新規な特性に実質的に影響を及ぼさない化合物、例えば、他のポリマー及び有機化合物を含んでいない。別の実施態様では、保護層(24)は、本質的にポリビニルアルコールとポリアルキレングリコールとのコポリマーからなり、保護層(24)の基本的な特性及び新規な特性に実質的に影響を及ぼさない化合物、例えば、他のポリマー及び有機化合物を含まないが、遊離ポリビニルアセテートを含み得る。保護層(24)は、本質的にポリビニルアルコールとポリアルキレングリコールとのコポリマー及び1種以上の上記の添加剤からなり得る又は本質的に遊離ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコールとポリアルキレングリコールとのコポリマー、及び1種以上の上記の添加剤からなり得る。「本質的に〜からなる」との用語は、保護層(24)100質量部当たり95質量部、96質量部、97質量部、98質量部、99質量部、又はそれ以上の質量パーセンテージのポリビニルアルコールとポリアルキレングリコールとのコポリマーを含み得ることが考えられる。
【0064】
更に別の実施態様では、保護層(24)は、ポリビニルアルコールとポリアルキレングリコールとのコポリマーからなるか又は遊離ポリビニルアセテート及びポリビニルアルコールとポリアルキレングリコールとのコポリマーからなる。更に別の実施態様では、保護層(24)は、ポリビニルアルコールとポリアルキレングリコールとのコポリマー及び1種以上の上記の添加剤からなるか又は遊離ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコールとポリアルキレングリコールとのコポリマー、及び1種以上の上記の添加剤からなる。特に好適であるが非限定例のコポリマーは、Kollicoat(登録商標)、Kollicoat(登録商標)IR、Kollicoat(登録商標)IRホワイト、及びKollicoat(登録商標)プロテクトの商品名でBASF社から市販されている。従って、種々の実施態様では、保護コーティングは、1種以上のこれらの特に適したコポリマーからなる又は本質的になる。
【0065】
別の実施態様では、保護層(24)は、更に遊離ポリビニルアルコールを含み、更に遊離ポリビニルアルコール及びポリビニルアルコールとポリアルキレングリコールとのコポリマーから本質的になる、又は更に遊離ポリビニルアルコール(実施態様で詳細に上記された通り)及びポリビニルアルコールとポリアルキレングリコールとのコポリマーからなる。典型的には、遊離ポリビニルアルコールを指す時に使用される、「遊離の」との用語は、ポリアルキレングリコールなどの他のモノマーと共重合しないビニルアルコールモノマーとは別のポリマーとして存在するポリビニルアルコールを意味する。ある実施態様では、保護層(24)は、保護層(24)100質量部当たり、30〜80質量部、40〜70質量部、50〜70質量部、55〜65質量部のポリビニルアルコールとポリアルキレン(例えば、ポリエチレン)グリコールとのコポリマー、更には20〜70質量部、30〜60質量部、30〜50質量部、又は35〜45質量部の遊離ポリビニルアルコールを含む。本発明は、前述の量及び範囲に限定されない。種々の実施態様では、前述の値の1つ以上が、任意の値又は値の範囲、前述の範囲内の全部及び一部の両方であり得る及び/又は±5%、±10%、±15%、±20%、±25%、±30%等変化し得ることが考慮される。
【0066】
保護層(24)は、上記のコポリマーとは異なる第2のコポリマーも含み得る。一実施態様では、第2のコポリマーはポリビニルアセテート分散液である。かかるポリビニルアセテート分散液の非限定例の1つがKollicoat(登録商標)SR30Dの商品名でBASF社から市販されている。この分散液は27%のポリビニルアセテート、2.7%のポビドン、及び0.3%のラウリル硫酸ナトリウムを含み、全固体含量は30%である。別の実施態様では、第2のコポリマーはメタクリル酸エチルアクリレートコポリマーである。かかるコポリマーの非限定例の1つは、Kollicoat(登録商標)MAE30DPの商品名でBASF社から市販されている。更に別の実施態様では、第2のコポリマーはKollicoat(登録商標)MAE100Pの商品名でBASF社から市販されている。また、保護層(24)はポリビニルピロリドン(PVP)を含み得ることも考えられる。
【0067】
保護層(24)は、上記の添加剤と同じか又は異なる1種以上の添加剤をも含み得る。保護層の添加剤は、二酸化ケイ素、タルク、二酸化チタン、充填剤、錠剤化及び錠剤の離型剤、安定剤、染料、凝結防止剤、乾燥剤、細孔形成剤、飽和剤、及びそれらの組み合わせの群から選択されてよい。一実施態様では、保護層の添加剤は、ポリビニルアセテートとポビドンとのブレンド、例えば、BASF社から市販されているKollidon(登録商標)SRとして更に定義されている。種々の実施態様では、保護層(24)は、保護層(24)100質量部当たり、0.1〜30質量部、1〜20質量部、又は1〜15質量部、1〜10質量部、1〜5質量部、1〜3質量部、1〜2質量部、0.1〜10質量部、0.1〜5質量部、0.1〜2質量部又は0.1〜1質量部の添加剤を含む。一実施態様では、保護層(24)は、保護層(24)100質量部当たり、0.1〜0.3質量部の量で添加剤を含む。別の実施態様では、保護層は、0.1〜20質量部、1〜10質量部、1〜5質量部、又は1〜3質量部のタルクを含む。更なる実施態様では、保護層は、0.1〜20質量部、1〜10質量部、1〜5質量部、又は1〜2質量部の二酸化チタンを含む。更に別の実施態様では、保護層はタルク、二酸化チタン、カオリン、及び/又はそれらの組み合わせを含む。更に、保護層はタルク及び二酸化チタン又はカオリン及び二酸化チタンを含んでよい。更に別の実施態様では、保護層は、0.1〜2質量部、0.1〜1質量部、0.1〜0.5質量部、又は0.1〜3質量部の二酸化ケイ素を含む。種々の実施態様では、前述の値の1つ以上が、任意の値又は値の範囲、前述の範囲内の全部及び一部の両方であり得る及び/又は±5%、±10%、±15%、±20%、±25%、±30%等変化し得ることが考慮される。
【0068】
カプセル化発生剤(20)は、更に第2の保護層(26)又は一連の追加の保護層(図示せず)を含んでよい。第2の保護層(26)及び/又は追加の保護層は、保護層(24)と同じであるか又は異なってよい。一実施態様では、第2の保護層(26)はワックスを含む。別の実施態様では、第2の保護層(26)は1種以上の上記の第2のコポリマーを含む。
【0069】
種々の実施態様では、第2の保護層(26)は通常、コア粒子(22)の少なくとも1部に配置され且つコア粒子(22)及び保護層(24)を部分的に又は完全に被覆する。一実施態様では、第2の保護層(26)は、図3及び図5に示す通り、コア粒子(22)及び保護層(24)を完全に包囲する。別の実施態様では、第2の保護層(26)は、図8に示す通り、コア粒子(22)及び保護層(24)を部分的に包囲する。更に別の実施態様では、保護層(24)は、図6に示す通り、コア粒子(22)の第1部分の少なくとも1部に配置され、第2の保護層(26)はコア粒子(22)の第2部分の少なくとも1部に配置される。
【0070】
上記の通り、保護層(24)は通常、コア粒子(22)上に配置され且つこれに直接接触する。しかしながら、第2の保護層(26)がコア粒子(22)上に配置されて、且つこれに間接的に接触することも考えられる。一実施態様では(図示せず)、保護層(24)が第2の保護層(26)上に配置されて、これに間接的に接触する間、第2の保護層(26)は、コア粒子(22)上に配置されて、これに間接的に接触する。保護層(24)と第2の保護層(26)の両方が、互いに配置されてよく且つ一方又は両方が部分的に又は完全に互いに及び/又はコア粒子(22)を包囲してよい。
【0071】
種々の実施態様では、第2の保護層(26)は、典型的には、コア粒子(22)100質量部当たり、0.1〜20質量部、更に典型的には3〜15質量部、更に一層典型的には3〜5質量部の量で存在する。種々の実施態様では、第2の保護層(26)は、コア粒子(22)100質量部当たり、3〜6質量部、3〜7質量部、3〜8質量部、3〜9質量部、3〜10質量部、3〜11質量部、3〜12質量部、3〜13質量部、3〜14質量部、9〜12質量部、又は9〜15質量部の量で存在する。当然ながら、第2の保護層(26)は、前述の量及び範囲に限定されない。種々の実施態様では、前述の値の1つ以上が、任意の値又は値の範囲、前述の範囲内の全部及び一部の両方であり得る及び/又は±5%、±10%、±15%、±20%、±25%、±30%等変化し得ることが考慮される。第2の保護層(26)は、変動する厚さ又は一定の厚さを有し且つ保護層(24)に対して1つ以上の上記の厚さを有し得る。
【0072】
典型的な実施態様では、保護層(24)はコア粒子(22)に水分バリアを与え、これはコア粒子(22)の親水性を低減し、それによってカプセル化発生剤(20)の貯蔵安定性及び出荷安定性の両方を高めて保存期間を延長させる。通常、カプセル化発生剤(20)は、種々の温度で、種々の湿度で、種々の時間にわたり空気に曝される間、空気100万質量部当たり1質量部未満の二酸化塩素を生成する。前記とは異なり、カプセル化発生剤(20)は、二酸化塩素の早期生成とコア粒子(22)の崩壊をもたらす、保護層(24)を通してコア粒子(22)への周囲湿度の浸透による崩壊に対して耐性がある。種々の実施態様では、カプセル化発生剤(20)は、20℃〜27℃の温度及び30〜40パーセントの相対湿度で約48時間にわたり空気に曝される間、空気100万質量部当たり1質量部未満の二酸化塩素を生成する。典型的には、この崩壊への抵抗は、カプセル化発生剤(20)のクラッキング又は分裂、色の変化、及び/又は泡立ちの欠如を観察することによって視覚的に評価される。この低下した浸透性により、二酸化塩素の生成と放出を早めずに、カプセル化発生剤(20)を、長期間にわたり種々の温度及び湿度に曝すことができるため、使用の容易性と簡便性も高まる。
【0073】
他の実施態様では、カプセル化発生剤(20)は、25℃〜70℃の種々の温度及び約100パーセントの相対湿度で約1時間空気に曝す間、空気100万質量部当たり1質量部未満の二酸化塩素を生成する。一実施態様では、カプセル化発生剤(20)は、約25℃の温度及び約100パーセントの相対湿度で約1時間にわたり空気に曝される間、空気100万質量部当たり1質量部未満の二酸化塩素を生成する。別の実施態様では、カプセル化発生剤(20)は、約40℃の温度及び約100パーセントの相対湿度で約1時間にわたり空気に曝される間、空気100万質量部当たり1質量部未満の二酸化塩素を生成する。更に別の実施態様では、カプセル化発生剤(20)は、約70℃の温度及び約100パーセントの相対湿度で約1時間にわたり空気に曝される間、空気100万質量部当たり1質量部未満の二酸化塩素を生成する。すぐ上に記載されている二酸化塩素の生成は、通常、Draeger−Tubes(登録商標)及び当該技術分野で公知の方法を使用して測定される。更に詳細には、Draeger−Tubes(登録商標)は通常、オルトトリジンで充填されたガラスバイアルであり、オルトトリジンは二酸化塩素と反応して視覚的に観察可能で且つ定量可能な薄緑の生成物を形成する。
【0074】
一実施態様では、カプセル化発生剤(20)は、約38℃の温度及び約25パーセントの相対湿度で約550分間にわたり空気に曝される間、空気100万質量部当たり0.01質量部未満の二酸化塩素を生成する。別の実施態様では、カプセル化発生剤(20)は、約38℃の温度及び約38パーセントの相対湿度で約75分間にわたり空気に曝される間、空気100万質量部当たり0.05質量部未満の二酸化塩素を生成する。更に別の実施態様では、カプセル化発生剤(20)は、約38℃の温度及び約70パーセントの相対湿度で約38分間にわたり空気に曝される間、空気100万質量部当たり0.1質量部未満の二酸化塩素を生成する。更なる実施態様では、カプセル化発生剤(20)は、約38℃の温度及び約100パーセントの相対湿度で約24分間にわたり空気に曝される間、空気100万質量部当たり0.3質量部未満の二酸化塩素を生成する。
【0075】
保護層(24)は通常、カプセル化発生剤(20)を水に溶解させて、そして要求に応じて及び所望の条件下で二酸化塩素を生成することができる。別の実施態様では、カプセル化発生剤(20)は、約25℃の温度で少なくとも90分間の水への溶解時間を有する。更なる実施態様では、カプセル化発生剤(20)は、約99℃の温度で少なくとも0.5分間の水への溶解時間を有する。
【0076】
保護層(24)は、通常、輸送及び使用の間の脆砕性を低減しながら、同時にカプセル化発生剤(20)の硬度及び耐久性をも改善する。これは、出荷及び取り扱いコストを削減し、販売時のカプセル化発生剤の完全性を保存し、且つ破損した製品の交換に関するコストを最小にする。種々の実施態様では、カプセル化発生剤(20)の試料は約3,600回回転され、10パーセント未満、更に典型的には5パーセント未満、更に一層典型的には3パーセント未満、最も典型的には1パーセント未満の試料が、視覚的に観察されるように、割れるか又は崩壊する。一実施態様では、どの試料も割れたり崩壊したりしない。
【0077】
更に、保護層(24)は通常、優れた仕上り及び光沢のある外観をカプセル化発生剤(20)に与え、それによって市場性を高める。図11a、11c、11g、11e、及び11iに例示される通り、カプセル化発生剤(20)は異なる量の保護層(24)で優れた仕上げを保持する。
【0078】
カプセル化発生剤(20)は、コア粒子(22)を形成する工程と保護層(24)をコア粒子(22)に配置する工程を含む方法で形成される。一実施態様では、この方法は更にコポリマーを水中に溶解して溶液を形成する工程を含む。この保護層の配置工程は、更に溶液をコア粒子(22)の上に吹付ける工程として定義されてよい。この吹付け工程は、更に当該技術分野で公知の吹付け型として定義されてよい。一実施態様では、吹付け工程はパンコーティングとして更に定義されている。本発明のパンコーティングは、通常、種々のパラメータ、例えば、限定されずに、相対湿度、コーティング室温、パン直径、パン速度、パン深さ、パンヘリ容積、パン装入量、コア粒子(22)の形状及び寸法、バッフル効率、スプレーガンの数、重力による加速度、吹付け速度、入口空気流、入口温度、空気特性、出口温度、吹き付け空気圧力、溶液特性、ガンからベットまでの距離、ノズル型及びサイズ、及びコーティング時間の調節を伴う。当該発明において、1つ以上のこれらのパラメータは、保護層(24)をコア粒子(24)に配置するために調整及び/又は個別化されてよい。
【0079】
別の実施態様では、この方法は更に、混合物を形成するために金属亜塩素酸塩と固体酸とを組み合わせる工程を含む。この実施態様では、コア粒子の形成工程は、通常、混合物をコア粒子の形でダイ内に圧縮する工程として更に定義されている。コア粒子を形成するために、混合物は通常、1,000〜100,000lbs/in2の圧力で圧縮される。当然ながら、本発明はこの圧力に限定されず、且つ当該技術分野で公知のものを含み得る。コア粒子は、混合物の顆粒化に限定されずに、他の方法によって形成されてもよい。更に別の実施態様では、配置工程は、3〜15質量部の保護層(24)をコア粒子(22)上に配置する工程として更に定義される。この方法は、この質量範囲に限定されず、且つ1つ以上の上記の質量範囲を含み得る。種々の実施態様では、前述の値の1つ以上が、任意の値又は値の範囲、前述の範囲内の全部及び一部の両方であり得る及び/又は±5%、±10%、±15%、±20%、±25%、±30%等変化し得ることが考慮される。
【0080】
当該本発明は、カプセル化発生剤(20)から二酸化塩素を生成する方法も提供する。この方法は、カプセル化発生剤(20)の形成工程、及び二酸化塩素を生成する、金属塩化物とカプセル化発生剤(20)の固体酸との反応工程を含む。カプセル化発生剤は、上記の方法又は工程によって形成されてよい。同様に、金属亜塩素酸塩と固体酸が、上記の方法、工程、又は機構によって反応し得る。一実施態様では、使用者がカプセル化発生剤(20)と水、例えば、液体の水又は蒸気とを接触させる時に金属亜塩素酸塩と固体酸が反応する。これは、水への浸水、水の吹付け、水との混合、又は周囲湿度への曝露を通して起こり得る。しかしながら、当該発明は、これらの特定の工程に限定されない。別の実施態様では、使用者は、二酸化塩素を第1の容器内で生成し、次いで更なる使用のために二酸化塩素を第2の容器及び/又は基材に移す。
【0081】
当該発明は、また、二酸化塩素を用いる環境浄化方法も提供する。二酸化塩素は、環境を浄化するための殺生剤、殺菌剤、及び/又は脱臭剤として使用してよい。環境は更に、基材表面、例えば、限定されずに、プラスチック、紙、大理石、花崗岩、金属、セラミックス、ポリマー、織物、布、カーペット、皿、家庭用品、装置、トイレ、シンク、床、壁、天井等として定義され得る。種々の実施態様では、このような基材は、住宅用又は家畜用の環境に存在する。あるいは、このような基材は商用の環境に存在し得る。環境は屋外又は屋内であってよい。一実施態様では、環境は、ランドリー環境などの工業及び施設(I&I)環境として更に定義される。別の実施態様では、環境は、自動皿洗い(ADW)環境として更に定義される。更に別の実施態様では、環境は更に冷却塔として定義される。更に別の実施態様では、環境は水供給、例えば、個人又は都市の水供給として更に定義される。一実施態様では、環境は、非飲料水が二酸化塩素で浄化されて飲料水を生成する、非飲料水として更に定義される。更に別の実施態様では、環境はバイオフィルム殺菌剤又は逆浸透水システムとして更に定義される。環境は、スイミングプール及び/又はスパなどのレクリエーション水系として更に定義されてもよい。
【0082】
一実施態様では、環境は水として更に定義され、二酸化塩素の生成工程は、カプセル化発生剤(20)を、インサイチュで、即ち、二酸化塩素を生成するために使用される水中で、水に曝して二酸化塩素を生成する工程として更に定義される。水は住宅用の又は商用の環境内に存在し、屋内又は屋外に存在し、又はそれらと組み合わせて存在してよい。別の実施態様では、環境は基材の表面として更に定義され、二酸化塩素の生成工程は基材の表面から離れて二酸化塩素を生成する工程として更に定義される。この実施態様では、この方法は、二酸化塩素を基材の表面に適用する工程を更に含む。通常、二酸化塩素は、紙、スポンジなどを使用して手で適用される。あるいは、二酸化塩素は、基材の表面上に吹付けられ、表面上にモップがけされるか、又はある一定の期間にわたり、表面上に又はその中に浸されてよい。種々の実施態様では、二酸化塩素は、住居用の又は商用の台所及び/又は浴槽の表面に適用される。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】図1は本発明の保護層のない錠剤の形の先行技術の二酸化塩素発生剤の斜視図である。
【図2】図2は、本発明の保護層を含むカプセル化二酸化塩素発生剤の斜視図、上面図、部分的な切開図である。
【図3】図3は、本発明の保護層及び第2の保護層を含む、カプセル化二酸化塩素発生剤の斜視図及び上面図である。
【図4】図4は、本発明の保護層を含むカプセル化二酸化塩素発生剤の断面図である。
【図5】図5は、本発明の保護層及びその上に第2の保護層を含む、カプセル化二酸化塩素発生剤の断面図である。
【図6】図6は、本発明の第1部分に配置された保護層及び第2部分に配置された第2の保護層を含む、カプセル化二酸化塩素発生剤の断面図である。
【図7】図7は、少なくとも1部に配置された本発明の保護層を含む、カプセル化二酸化塩素発生剤の断面図である。
【図8】図8は、少なくとも1部に配置された本発明の保護層及び該保護層の同じ部分に配置された第2の保護層を含む、カプセル化二酸化塩素発生剤の断面図である。
【図9】図9は、比較の錠剤Iの概略図及び拡大図である。
【図10】図10は、崩壊した比較の錠剤IIの概略的及び拡大図である。
【図11】図11は、実施例の錠剤III、IV、V、VI及びVIIの概略図及び拡大図である。
【図12】図12は、位置(A−H)に配置された様々な厚さの保護層を示す。
【0084】
実施例
BASF社から市販されている一連のAseptrol(登録商標)錠剤はカプセル化され、その後、以下に更に詳細に記載される通り、一連の物理的特性を決定するために評価される。当該技術分野で公知の通り、Aseptrol(登録商標)錠剤は二酸化塩素発生剤であり且つ金属亜塩素酸塩及び固体酸を含む。
【0085】
本発明の実施例:
第1の系列のAseptrol(登録商標)錠剤(錠剤I)は、保護層としてBASF社から市販されている、Kollicoat(登録商標)プロテクトを用いて本発明によってカプセル化されている。当該技術分野で公知の通り、Kollicoat(登録商標)プロテクトは、75質量%のポリビニルアルコールと25質量%のポリエチレングリコールの単位を含み、且つ約45,000ダルトンの分子量を有するコポリマーである。Kollicoat(登録商標)プロテクトも遊離のポリビニルアルコールを含む。
【0086】
更に詳細には、錠剤Iは、約12.5質量%のKollicoat(登録商標)プロテクト、約3質量%のタルク、約1.5質量%の二酸化チタン、及び83質量%の水を含む混合物でカプセル化される。この混合物は、通常、750グラムのKollicoat(登録商標)プロテクト、180gのタルク、90gの二酸化チタン、及び4.7kgの水と組み合わせて形成される。Aseptrol(登録商標)錠剤は、約50psiの噴霧空気圧、約0.2バールの室圧に対するパン圧力、約16rpmのパン速度、及び以下の追加のパラメータを用いてパンコーティング技術によってカプセル化される:
【表2】
【0087】
錠剤Iは、素錠100質量部当たり約3質量部のKollicoat(登録商標)プロテクト保護層を含む。カプセル化後、錠剤Iは一連の物理的特性を決定するために評価される。これらの評価の結果を以下の表に記載する。
【0088】
第2の一連のAseptrol(登録商標)錠剤(錠剤II)も、Kollicoat(登録商標)プロテクトを用いて本発明によってカプセル化されている。錠剤IIは上記と同じ方法を用いて形成される。錠剤IIは、素錠100質量部当たり約5〜8質量部のKollicoat(登録商標)プロテクト保護層を含む。カプセル化後、錠剤IIは一連の物理的特性を決定するために評価される。これらの評価の結果を以下の表に記載する。
【0089】
比較例:
比較の系列のAseptrol(登録商標)錠剤(比較の錠剤I)もカプセル化されるが、本発明によるものではない。つまり、比較の錠剤Iをカプセル化するために、ポリビニルアルコールとポリアルキレングリコールとのコポリマーが使用されていない。更に詳細には、Aseptrol(登録商標)錠剤は、図9Bに示す通り、保護(比較)層(CL)としてエチルセルロースを用いてカプセル化されている。エチルセルロースは、約50psiの噴霧空気圧、約0.2バールの室圧に対するパン圧力、約35rpmのパン速度、及び以下の追加のパラメータを用いてパンコーティング技術によって錠剤に適用される:
【表3】
【0090】
比較の錠剤Iは、素錠100質量部当たり約5〜8質量部のエチルセルロース保護層を含む。カプセル化後、比較の錠剤Iは一連の物理的特性を決定するために評価される。これらの評価の結果を以下の表に記載する。
【0091】
第2の比較の系列のAseptrol(登録商標)錠剤(比較の錠剤II)も、カプセル化されるが、本発明によるものではない。比較の錠剤IIを形成するために、Aseptrol(登録商標)錠剤は、図10Bに示す通り、保護(比較)層(CL)としてOpadry(登録商標)IIを用いてカプセル化される。当該技術分野で公知の通り、Opadry(登録商標)IIは、ポリビニルアルコールを含み且つColorcon社から市販されている。Opadry(登録商標)IIは、エチルセルロースに対してすぐ上に記載された方法によって錠剤に適用される。カプセル化後、比較の錠剤IIは一連の物理的特性を決定するために評価される。これらの評価の結果を以下の表に記載する。
【0092】
カプセル化された錠剤の評価:
上で最初に導入されたように、錠剤I及びII並びに比較の錠剤I及びIIは、一連の物理的特性を決定するために評価される。更に詳細には、カプセル化錠剤を評価して、次のものを決定する:(1)カプセル化錠剤の視覚的外観/透過性、(2)Draeger−Tubes(登録商標)を用いて測定されるカプセル化錠剤の二酸化塩素生成、(3)温度制御された湿度チャンバで測定されたカプセル化錠剤の二酸化塩素生成、(4)カプセル化錠剤の溶解時間、及び(5)カプセル化錠剤の破損特性。
【0093】
視覚的外観/透過性:
視覚的外観/透過性は、錠剤を室温で且つ約35パーセントの湿度で作業台上に置いてカプセル化した後に測定する。視覚的外観/透過性を測定するために、錠剤を48時間まで視覚的に観察して、色の変化及び/又は泡立ちがあるかどうかを測定する。色の変化及び/又は泡立ちは、周囲湿度が保護層に透過し且つ二酸化塩素の発生を開始したことを示す。この評価の結果を以下の表1に記載し、1試験当たり約20錠の3試験の平均値として報告する。
【表4】
【0094】
Draeger−Tubes(登録商標)を用いて測定した二酸化塩素の発生:
錠剤の二酸化塩素発生をDraeger−Tubes(登録商標)を用いて測定する。Draeger−Tubes(登録商標)は、有限空間に捕捉された二酸化塩素の量を測定する。本願明細書で利用されるDraeger−Tubes(登録商標)は、オルトトリジンで充填されるガラスバイアルであり、オルトトリジンは二酸化塩素と反応して、視覚的に観察できる薄緑の生成物を形成する。更に詳細には、較正した100mlの空気試料を、ベローポンプを備えた管を通して引き抜く。二酸化塩素が存在する場合、管内のオルトトリジンは色変化し、色変化の長さは通常、測定濃度を示す。二酸化塩素の生成を、60分後に、全て100パーセントの湿度で、25℃、40℃、及び75℃の3つの異なる温度でDraeger−Tubes(登録商標)を用いて測定する。これらの評価の結果を、以下の表2に近似濃度として百万分率で示し、1試験当たり約20錠の3試験の平均値として報告する。Draeger−Tubes(登録商標)の最小検出閾値は0.05ppmである。従って、0.05ppm未満の測定はゼロであってよいが、最小検出閾値によって制限される。
【表5】
【0095】
温度制御湿度チャンバを用いて測定された二酸化塩素の生成:
錠剤について二酸化塩素が分解及び生成するのにかかる時間も、温度制御された湿度チャンバを用いて測定される。湿度制御されたチャンバ内で、錠剤試料を38℃で4つの異なる水準の湿度(25%、40%、75%、及び100%)に別々に曝す。この曝露からもたらされる二酸化塩素の発生は、Draeger−Tubes(登録商標)を用いて測定され、一旦0.05ppmの閾値に到達したら、錠剤の分解時間を記録する。これらの評価の結果を以下の表3に分で記載し、1試験当たり約20錠の3試験の平均値として報告する。
【表6】
【0096】
カプセル化された錠剤の溶解時間:
錠剤の溶解時間を、25℃及び99℃の両方で、ガラスバイアル内の水道水で目視検査を通して測定する。更に詳細には、錠剤は異なる温度で500mlの水道水中に沈み、これを観察して完全な溶解が達成されるまでの時間の長さを測定する。完全な溶解は、水が目視評価に従って透明である時に、達成される。これらの評価の結果を以下の表4に分で記載し、1試験当たり約20錠の3試験の平均値として報告する。
【表7】
【0097】
カプセル化された錠剤の破損性:
錠剤の破損性も測定する。この評価は、物流センターと小売業者又は顧客との間の2.5時間の錠剤の輸送時間に倣うことを意図する。更に詳細には、錠剤試料を、ガラス瓶とプラスチック瓶の両方に別々に置いて、これをその後、室温にて約3,600回転で回転させる。回転後、錠剤を視覚的に観察して、分解した錠剤のパーセンテージを測定する。これらの評価の結果を以下の表5に破損パーセンテージとして記載し、1試験当たり約20錠の5つの独立試験の平均値として報告する。
【表8】
【0098】
上記のデータは明らかに、当該発明の錠剤I及びIIが、それぞれ前述の試験において、比較の錠剤I及びIIより性能が優れていることを示す。これらの実施態様においてKollicoat(登録商標)プロテクトである、当該発明の保護層は、錠剤の制御された(即ち、非早期の)溶解を可能にしつつ、周囲湿度及び上昇した湿度の両方から錠剤を保護する。保護層は、物理的な保護も錠剤に与えて、輸送中のそれらの破壊を最小にする/防止する。
【0099】
更に詳細には、視覚的外観/透過性の評価は、本発明のカプセル化錠剤(錠剤I及びII)が分解なしに周囲湿度に曝され得ることを実証する。この特性は有利である。なぜなら、錠剤が非常に長い保存期間を有することを可能にし、且つ最終消費者による使用の容易性及び簡便性が高まるからである。更に、この周囲湿度に耐える能力は、二酸化塩素の早期生成を最小にし、場合によりこれを防ぎ、その結果、二酸化塩素発生剤の使用の安全性が高まる。
【0100】
Draeger−Tubes(登録商標)と湿度制御チャンバの両方を用いる二酸化塩素生成の評価も、本発明のカプセル化錠剤が長期間にわたって高温及び高湿に耐える能力を有することを示す。上記の通り、この特性は有利である。なぜなら、錠剤が非常に長い保存期間を有することを可能にし、且つ最終消費者による使用の容易性及び簡便性が高まるからである。更に、この能力は二酸化塩素の早期生成を最小にし、場合によりこれを防ぎ、その結果、二酸化塩素発生剤の使用の安全性が高まる。
【0101】
溶解時間の測定は、本発明のカプセル化錠剤(錠剤I及びII)が、比較の錠剤I及びIIと比べて二酸化塩素の早期溶解と早期生成から保護されることを実証する。更に詳細には、これらの測定は、上記の通り、熱及び湿度から保護されても、本発明のカプセル化錠剤は所望の通り機能し続け、さらに二酸化塩素発生剤としても有用であることを実証する。事実、これらの測定は、向上した保存期間、使用の容易性及び簡便性、並びに本発明を用いて達成された向上した安全性を更に実証する。
【0102】
錠剤破壊の測定は、本発明のカプセル化錠剤(錠剤I及びII)が、比較の錠剤I及びIIと比べて輸送中の損傷から物理的に保護されることを実証する。この特性は有利である。なぜなら、これは破壊又は損傷した錠剤に関連する交換コストと払い戻しコストを削減しながら、製品の品質と消費者の満足度を高めるからである。この特性はまた、破損した錠剤が二酸化塩素を早期生成し得る機会を減らすことによって、二酸化塩素発生剤の使用上の安全性を更に高める。
【0103】
重要なことに、錠剤Iは、素錠100質量部当たり約3質量部のKollicoat(登録商標)プロテクトを含む。逆に、錠剤II並びに比較の錠剤I及びIIは、約2〜3倍以上の質量部(5〜8質量部)の保護層を含む。このコーティング質量の差は、本発明に関連する利点を更に拡大する。換言すれば、当該発明は、優れた特性を有する錠剤を提供するだけではなく、より少ない材料を使用してこれを行う。これにより、より少ない材料の使用が可能であり、その結果、生産コスト及び出荷コストが削減され、生産時間が削減される。
【0104】
当該本発明の更なる実施例:
前述の測定に加えて、5つの更なる一連のAseptrol(登録商標)錠剤(錠剤III、IV、V、VI、及びVII)も、Kollicoat(登録商標)プロテクトを用いて本発明によってカプセル化される。これらの錠剤は、錠剤I及びIIに関して上記と同じ方法を用いてカプセル化される。錠剤III−VIIは、それぞれ、素錠100質量部当たり約9、10、12、12.5、及び15質量部のKollicoatプロテクト保護層を含む。
【0105】
錠剤III、IV、V、VI及びVIIの測定:
カプセル化した後、錠剤III−VIIを目視検査して、表面の形態を測定し且つ表面の異常部分を検出する。錠剤III−VIIの目視検査の結果を、それぞれ、図11a、11c、11e、11g、及び11iに示す。更に、錠剤III−VIIの断面を準備し、これを50倍の光倍率の下で試験して保護層の分解が生じるかどうか測定する。錠剤III−VIIの断面図及び50倍の光倍率の下での試験結果を、それぞれ、図11b、11d、11f、11h、及び11jに示す。前述の図面は、高いコーティング質量(即ち、9質量%、10質量%、12質量%、12.5質量%、及び15質量%の保護層)でさえも、錠剤III−VIIが表面分解又は変形を受けないことを示す。これらの結果は、本発明が、高いコーティング質量が要求される、徐放性の用途などの、特殊な用途において有効に使用できることを示す。
【0106】
添付の特許請求の範囲は、詳細な説明に記載された特定の化合物、組成物、又は方法に限定されて示すものではなく、これは添付の特許請求の範囲の範囲内に入る特定の実施態様の間で変化し得ることが理解されるべきである。本願明細書に依存するマーカッシュ群に関しては、種々の実施態様の特定の特徴又は態様を記載するために、異なる、特別な、及び/又は予想外の結果が、全ての他のマーカッシュ要素から独立した、それぞれのマーカッシュ群の各要素から得られ得ることが理解されるべきである。マーカッシュ群の各要素は、添付の特許請求の範囲の範囲内の特定の実施態様に対して個々に又は組み合わせて依存し且つ適切な根拠を提供する。
【0107】
本発明の種々の実施態様の記載に依存する任意の範囲及び部分範囲が、個別に及びひとまとめに添付の特許請求の範囲の範囲内に入ることが理解されるべきであり、且つかかる値が明確にそこに記載されていない場合でも、そこにある全部の及び/又は部分の値を含む全ての範囲を記載し且つ考慮することが理解されるべきである。当業者は、列挙された範囲及び部分範囲が、本発明の種々の実施態様を十分に記載し且つ可能にし、かかる範囲及び部分範囲が、関連する2/1、1/3、1/4、1/5など更に詳細に記載され得ることを容易に理解する。たった1つの例として、「0.1〜0.9の」範囲は、下の1/3、即ち0.1〜0.3、真ん中の1/3、即ち、0.4〜0.6、及び上の1/3、即ち、0.7〜0.9に更に線引きされてよく、これらは個別に及びひとまとめに添付の特許請求の範囲の範囲内であり、添付の特許請求の範囲の範囲内の特別な実施態様に対して個別に及び/又はひとまとめに依存し且つ適切な根拠を与え得る。更に、範囲を規定又は変更する用語、例えば、「少なくとも」、「より大きい」、「未満」、「わずか」などに関して、かかる用語は部分範囲及び/又は上限又は下限を含むことが理解されるべきである。別の例として、「少なくとも10の」範囲は、固有に少なくとも10〜35の部分範囲、少なくとも10〜25の部分範囲、25〜35の部分範囲などを含み、各部分範囲は、添付の特許請求の範囲の範囲内の特定の実施態様に対して個別に及び/又はひとまとめに依存し且つ適切な根拠を提供する。最終的には、開示された範囲内の個別の数字は、添付の特許請求の範囲の範囲内の特定の実施態様に対して依存し且つ適切な根拠を提供する。例えば、「1から9までの」範囲は、様々な個別の整数、例えば、3、並びに小数点(又は分数)を含む個別の数、例えば、4.1を含み、これは添付の特許請求の範囲の範囲内の特定の実施態様に対して依存し且つ適切な根拠を提供し得る。
【0108】
本発明は例示的に記載されており、かつ使用される用語は限定というよりはむしろ説明の類の単語を意図していると理解されるべきである。前記の教示を踏まえて、本発明の多くの改変及び変更が可能であり、そして本発明は特に明示的に示されたもの以外も行うことができる。
【符号の説明】
【0109】
20 カプセル化発生剤、 22 コア粒子、 24 保護層、 26 第2の保護層、 30 崩壊していない比較の錠剤I、 32 崩壊した比較の錠剤I、 CL 比較の保護層、 34 崩壊した比較の錠剤II
【技術分野】
【0001】
発明の背景
本発明は概してカプセル化された二酸化塩素発生剤に関する。更に詳細には、カプセル化二酸化塩素発生剤は、コア粒子及び保護層を含み、該層はコア粒子の少なくとも1部に配置され且つポリビニルアルコールとポリアルキレングリコールとのコポリマーを含む。
【0002】
関連技術の説明
二酸化塩素(ClO2)は、典型的には塩素と酸との組み合わせを水分、例えば、大気水分及び/又は液体の水に曝すことによって生成する、強力な殺生剤、殺菌剤、及び脱臭剤である。二酸化塩素は、通常、表面の消毒及び脱臭のために、都市用水の消毒のために、及び多数の他の用途において低濃度(即ち、1,000ppm以下の濃度)で使用される。実際には、二酸化塩素は、表面に1分間曝される時に20℃で25ピーピーエム(ppm)にて広いpH範囲にわたって有効な殺生剤として環境保護庁(EPA)によって特徴付けられる。通常、二酸化塩素は、有機物の存在下で塩素化分子を形成せず、且つ水又は表面を塩素化しないが、その代わり、細菌細胞壁の酸化と貫通を介して殺生剤として作用し、そこでアミノ酸と反応する。
【0003】
EPAによれば、二酸化塩素は、1,000ppmよりも高い濃度でヒトに対して有毒になり得る揮発性気体である。その上、二酸化塩素は約0.1気圧よりも高い圧力で可燃性である。従って、二酸化塩素は、通常、現場で製造されており、通常は圧力下で出荷されない。従来の現場生産方法では、生産上の問題を回避するために、高価な生成装置のみならず、高水準のオペレーターの技量も要求される。これらの問題は、二酸化塩素の消費が十分に大きく、現場生産関連の資本及び作動のコストの支出を正当化する場合、大規模な商業的用途に対して二酸化塩素の使用を実質的に制限する。
【0004】
更に、二酸化塩素の現場生産は、危険な化学物質の混合及び取り扱いが望ましくない場合又は実現不可能な場合、小規模な操作には適していない。更に、二酸化塩素が塩素と酸との混合物から生成する場合、貯蔵及び/又は出荷の間に水分に曝される際に二酸化塩素の早期放出の可能性が高まる。従って、これらの種類の混合物は、水分から該混合物を保護し、二酸化塩素の早期放出を最小限にし、且つ保存期間を延長するために、通常、低下した貯蔵安定性に悩み且つ高価な包装を要求する。
【0005】
二酸化塩素の更に便利な製造方法に対する要求に応えて、固体二酸化塩素発生剤が配合されてきた。これらの固体二酸化塩素発生剤の多くが、水分に曝される際に又は液体の水に接触する際に二酸化塩素を生成し、一般的に図1に示される通り、通常、素錠として販売されている。要求に応じた二酸化塩素の生成が効率的でも、これらの発生剤は、出荷及び保存の間に水分に曝される際に、二酸化塩素を早期放出し、それによって保存期間が減少し且つ出荷コストが増加し得る。その上、これらの発生剤は、脆くて出荷及び取り扱いの間に壊れるので、保存期間が更に短縮し、出荷方法がより複雑になる。
【0006】
従って、改良されたコスト効果的な二酸化塩素発生剤を開発する機会が残っている。また、改良された二酸化塩素発生剤の生成方法及び利用方法を開発する機会も残っている。
【0007】
本発明の概要及び利点
本発明はカプセル化された二酸化塩素発生剤を提供する。該カプセル化発生剤は、金属亜塩素酸塩と固体酸を含むコア粒子を含む。カプセル化発生剤はまた、コア粒子の少なくとも1部に配置された保護層を含む。保護層はポリビニルアルコールとポリアルキレングリコールとのコポリマーを含む。カプセル化発生剤は、コア粒子を形成する工程と保護層をコア粒子に配置する工程を含む方法により形成される。カプセル化発生剤は、カプセル化発生剤を提供する工程及び環境を浄化するためにカプセル化二酸化塩素発生剤から二酸化塩素を生成する工程を含む、環境の浄化方法において利用されている。
【0008】
保護層はコア粒子の水分バリアを提供する。この保護層は、水のコア粒子への浸透を低減し、それによってカプセル化発生剤の貯蔵安定性と出荷安定性の両方を高めて保存期間を延長させる。この低下した浸透性により、二酸化塩素の早期生成及び放出なしで、カプセル化発生剤を長期間にわたり周囲温度と水分に曝すことができるため、使用の容易性と簡便性が高まる。しかしながら、保護層は同時に、カプセル化発生剤を水に溶解させて、要求に応じて及び所望の条件下で二酸化塩素を生成することができる。
【0009】
複数の視点の図面の簡単な説明
本発明の別の利点は容易に理解され、添付図面と関連して考慮される場合、同様に以下の詳細な説明を参照してより良好に理解される。
【0010】
図1は本発明の保護層のない錠剤の形で先行技術の二酸化塩素発生剤の斜視図である。
【0011】
図2Aは、錠剤の形でコア粒子を含み且つコア粒子の少なくとも1部に配置された本発明の保護層をも含むカプセル化二酸化塩素発生剤の斜視図である。
【0012】
図2Bは図2Aのカプセル化二酸化塩素発生剤の上面図である。
【0013】
図2Cは図2Aのカプセル化二酸化塩素発生剤の部分的な切開図である。
【0014】
図3Aは、錠剤の形でコア粒子を含み、コア粒子の少なくとも1部に配置された本発明の保護層を含み、且つ同時に保護層に配置され且つコア粒子の少なくとも1部に配置された第2の保護層をも含む、カプセル化二酸化塩素発生剤の斜視図である。
【0015】
図3Bは図3aのカプセル化二酸化塩素発生剤の上面図である。
【0016】
図4は、カプセルの形でコア粒子を含み且つコア粒子の少なくとも1部に配置された本発明の保護層をも含むカプセル化二酸化塩素発生剤の断面図である。
【0017】
図5は、カプセルの形でコア粒子を含み、コア粒子の少なくとも1部に配置された本発明の保護層を含み、且つ同時に保護層に配置され且つコア粒子の少なくとも1部に配置された第2の保護層をも含む、カプセル化二酸化塩素発生剤の断面図である。
【0018】
図6は、カプセルの形でコア粒子を含み、コア粒子の第1部分の少なくとも1部に配置された本発明の保護層を含み、且つコア粒子の第2部分の少なくとも1部に配置された第2の保護層をも含む、カプセル化二酸化塩素発生剤の断面図である。
【0019】
図7は、カプセルの形でコア粒子を含み且つコア粒子部分の少なくとも1部に配置された本発明の保護層を含む、カプセル化二酸化塩素発生剤の断面図である。
【0020】
図8は、カプセルの形でコア粒子を含み、コア粒子部分の少なくとも1部に配置された本発明の保護層を含み、且つコア粒子の同じ部分の保護層に配置された第2の保護層をも含む、カプセル化二酸化塩素発生剤の断面図である。
【0021】
図9Aは、コア粒子に配置され且つエチルセルロースを含むが本発明の典型例ではない、コア粒子と保護(比較)層を含む、実施例の比較の錠剤Iの崩壊を概略的に図示する。
【0022】
図9Bは図9Aの崩壊していない比較の錠剤Iの拡大図である。
【0023】
図9Cは図9Aの崩壊した比較の錠剤Iの拡大図である。
【0024】
図10Aは、コア粒子に配置され且つポリビニルアセテートを含むが本発明の典型例ではない、コア粒子と保護(比較)層を含む、実施例の比較の錠剤IIの崩壊を概略的に図示する。
【0025】
図10Bは図10Aの崩壊した比較の錠剤IIの拡大図である。
【0026】
図11Aは実施例の錠剤III、IV、V、VI及びVIIを概略的に示す。
【0027】
図11Bは図11Aの錠剤IIIの拡大図であり、これは素錠100質量部当たり約9質量部の保護層を含み、その際、保護層は約111μmの厚さを有する。
【0028】
図11Cは図11Aの錠剤IVの拡大図であり、これは素錠100質量部当たり約10質量部の保護層を含み、その際、保護層は約120μmの厚さを有する。
【0029】
図11Dは図11Aの錠剤Vの拡大図であり、これは素錠100質量部当たり約12質量部の保護層を含み、その際、保護層は約147μmの厚さを有する。
【0030】
図11Eは図11Aの錠剤VIの拡大図であり、これは素錠100質量部当たり約12.5質量部の保護層を含み、その際、保護層は約159μmの厚さを有する。
【0031】
図11Fは図11Aの錠剤VIIの拡大図であり、これは素錠100質量部当たり約15質量部の保護層を含み、その際、保護層は約199μmの厚さを有する。
【0032】
図12は位置(A−H)でコア粒子の少なくとも1部に配置された保護層の様々な厚さを概略的に示す。
【0033】
発明の詳細な説明
本発明は、図2〜8、11及び12に示す通り、カプセル化二酸化塩素(ClO2)発生剤(20)(以下、「カプセル化発生剤」を意味する)を提供する。カプセル化発生剤(20)は図2〜8、11及び12にも示す通り、コア粒子(22)を含む。コア粒子(22)は通常、固体であるが、ゲル様であってもよい。あるいは、コア粒子(22)は固体部分とゲル様部分の両方を有してよい。一実施態様では、コア粒子(22)は、例えば、図2及び図3に示す通り、錠剤である。別の実施態様では、コア粒子(22)は、例えば、図4〜8に示す通り、カプセル又はキャプレッツである。更に別の実施態様では、コア粒子(22)は、ブリケット、ピル、ペレット、れんが、サッシェ、及びそれらの組み合わせの群から選択される。一実施態様では、コア粒子(22)は更に「塊状物」として規定されており、これは当該技術分野で公知の通り、微粒子の混合物を含む固体形状(典型的には多孔質固体形状)を意味する。コア粒子(22)は形状、寸法又は質量で制限されない。種々の実施態様では、コア粒子(22)は、約375〜400mgの、約700mgの、約375〜850mgの、約850mg〜1000gの、約1.2〜1.5グラムの、約6グラムの、又は約8.33グラムの質量を有する錠剤である。しかしながら、より小さい又は大きい錠剤が使用され得ることも考えられる。一実施態様では、コア粒子(22)は、6メッシュ未満であるが10メッシュよりも大きいサイズを有する1つ以上の顆粒である。種々の実施態様では、前述の値の1つ以上が、任意の値又は値の範囲、前述の範囲内の全部及び一部の両方であってよい及び/又は±5%、±10%、±15%、±20%、±25%、±30%等だけ変化してよい。
【0034】
コア粒子(22)は金属亜塩素酸塩(例えば、MClO2又はM(ClO2)2)及び固体酸(HA)を含む。金属亜塩素酸塩及び固体酸のうちの1つ又はその両方が、独立して粒子状、顆粒状、又は粗粒子状であってよい。あるいは、金属亜塩素酸塩及び固体酸のうちの1つ又はその両方が、微粉末又は粒子であってよい。金属亜塩素酸塩及び固体酸のうちの1つ又はその両方がゲル様であり得ることも考えられる。好適であるが非限定例の本発明のコア粒子(22)は、Aseptrol(登録商標)の商品名でBASF社から市販されており、これは金属亜塩素酸塩と固体酸の両方を含む。
【0035】
金属亜塩素酸塩と固体酸は、コア粒子(22)に含まれ、これらが反応して二酸化塩素を生成する。当該技術分野で公知の通り、固体酸は水(例えば、液体及び/又は水蒸気)と反応して水素イオン(H+)とヒドロニウムイオン(H3O+)を生成する。H+/H3O+イオンは、通常、以下の化学反応の通り、金属亜塩素酸塩と反応して亜塩素酸(HClO2)と金属イオン(M+)を生成する:
【化1】
【0036】
亜塩素酸が生成した後、二酸化塩素は通常、亜塩素酸の不均化を介して及び/又は亜塩素酸の酸化を介して生成される。亜塩素酸の二酸化塩素への不均化は通常、以下の化学反応を介して生じる:
5HClO2→4ClO2+HCl+2H2O
【0037】
亜塩素酸の酸化は、通常、以下の化学反応を介して生じる:
HClO2→ClO2+H+
【0038】
従って、不均化と酸化の両方が起こる場合、金属亜塩素酸塩と固体酸との反応は通常、以下のように進行する:
5MClO2+4HA→4MA+MCl+4ClO2+2H2O
【0039】
種々の実施態様において、二酸化塩素の生成は、以下の1つ以上の反応を用いることによって起こる:
5NaClO2+4H+→4ClO2+NaCl+4Na++2H2O
2NaClO2+HOCl→2ClO2+NaCl+NaOH
【0040】
金属亜塩素酸塩は通常、アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属(例えば、Na、K、Rb、Mg、Ca、Sr)を含む。一実施態様では、金属亜塩素酸塩は亜塩素酸ナトリウム(NaClO2)として更に規定される。別の実施態様では、金属亜塩素酸塩は亜塩素酸カリウム(KClO2)として更に規定される。更に別の実施態様では、金属亜塩素酸塩は亜塩素酸マグネシウムMg(ClO2)2、亜塩素酸カルシウムCa(ClO2)2、及びそれらの組み合わせの群から選択される。当然ながら、本発明は、これらの特定の実施態様に限定されず、且つ当該技術分野で公知の任意の金属亜塩素酸塩、上記の任意の金属亜塩素酸塩、及び/又は遷移金属亜塩素酸塩、IB族、IIB族、IIIA族、IVA族、VA族及び/又はVIA族の金属亜塩素酸塩、及びそれらの組み合わせの群から選択される1種以上の金属亜塩素酸塩を含んでよい。上記の金属の金属塩素酸塩、MClO3又はM(ClO3)2も使用してよい。
【0041】
固体酸は、通常、1種以上の無機酸塩、例えば、硫酸水素ナトリウム(NaO4SH)、硫酸水素カリウム(KO4SH)、リン酸二水素ナトリウム(NaO4PH2)、及びリン酸二水素カリウム(KO4PH2)、強酸のアニオンと弱塩基のカチオンを含む塩、例えば、塩化アルミニウム(AlCl3)、硝酸アルミニウム(AlN3O9)、硝酸セリウム(CeN3O9)、及び硫酸鉄(Fe2O12S3)、水と接触した時に溶液中にプロトンを遊離する固体酸、例えば、酸イオン交換分子ふるいETS−10と塩化ナトリウムの混合物、有機酸、例えば、クエン酸及び酒石酸、並びにそれらの組み合わせを含む。最も典型的には、固体酸は重硫酸ナトリウム(NaHSO4)として更に規定される。当然ながら、本発明は前述の固体酸に限定されず、且つH+/H3O+イオンを溶液中に生成できる任意の固体化合物を含んでよい。
【0042】
コア粒子(22)は、金属次亜塩素酸塩(例えば、MClO又はM(ClO)2)、例えば、アルカリ金属次亜塩素酸塩及び/又はアルカリ土類金属(例えば、Na、K、Rb、Mg、Ca、Sr)の次亜塩素酸塩も含んでよい。種々の実施態様において、コア粒子(22)は次亜塩素酸ナトリウム(NaClO)及び/又は次亜塩素酸カリウム(KClO)を含む。他の実施態様では、コア粒子(22)は次亜塩素酸マグネシウム(Mg(ClO)2)及び/又は次亜塩素酸カルシウム(Ca(ClO)2)を含む。すぐ上の通り、本発明は、これらの特定の実施態様に限定されず、当該技術分野で公知の任意の金属次亜塩素酸塩、上記の金属次亜塩素酸塩のいずれか、及び/又は遷移金属亜塩素酸塩、IB族、IIB族、IIIA族、IVA族、VA族及び/又はVIA族の金属次亜塩素酸塩、及びそれらの組み合わせの群から選択される1種以上の金属次亜塩素酸塩を含んでよい。特定の理論に拘束されることを意図するものではないが、コア粒子(22)が1種以上の金属次亜塩素酸を含む場合、二酸化塩素の生成が以下の通り進行し得ることが考えられる:
2MClO2+2HA+MClO→2MA+MCl+2ClO2+H2O
【0043】
コア粒子(22)は遊離ハロゲン(例えば、遊離ハロゲンの源)も含んでよい。遊離ハロゲンを与える化合物の適切な例として、ジクロロイソシアヌル酸及びそれらの塩、例えば、ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム(NaDCCA;NaC3Cl2N3O3)、及び/又はそれらの二水和物、トリクロロシアヌル酸、次亜塩素酸の塩、例えば、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カリウム及び次亜塩素酸カルシウム、ブロムクロロジメチルヒダントイン、ジブロモジメチルヒダントインなどが挙げられるが、これらに限定されない。遊離ハロゲンの好ましい源はNaDCCAである。
【0044】
更なる実施態様では、コア粒子(22)は1種以上の添加物を含む。添加物は、コア粒子(22)の生成効率を改善するために、コア粒子(22)の物理的及び/又は美的特性を改善するために、二酸化塩素を生成するための金属亜塩素酸塩と固体酸との反応効率を高めるために含まれてよい。添加物としては、充填剤、例えば、粘土(例えば、アタパルジット粘土)及び塩化ナトリウム、錠剤化及び錠剤の離型剤、安定剤、染料、凝結防止剤、乾燥剤、例えば、塩化カルシウム及び塩化マグネシウム、細孔形成剤、例えば、膨潤無機粘土(例えば、ラポナイト粘土)、飽和剤、及びそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0045】
一実施態様では、コア粒子(22)は基材を含む。金属亜塩素酸塩及び固体酸は基材上に又は基材に配置されてよい。一実施態様では、基材は骨格形成体として更に規定される。骨格形成体は通常、低溶解性の多孔質構造物として使用されており、その際、二酸化塩素の生成反応(即ち、金属亜塩素酸塩と固体酸との間の反応)が進行し得る。骨格形成体は通常、硫酸カルシウム(石膏)などの低溶解性の塩を含み、更にラポナイト粘土などの粘土を含んでよい。硫酸カルシウムは通常、カルシウムカチオン(例えば、塩化カルシウム由来)と重硫酸ナトリウム由来の硫酸アニオンとの間の反応から形成される。カルシウムカチオンの他の源、例えば、硝酸カルシウム並びに他の硫酸アニオンの源、例えば、硫酸マグネシウムも使用してよい。ラポナイト粘土は、低溶解性の多孔質構造を高めると考えられる水不溶性の膨潤粘土である。一実施態様では、硫酸カルシウムの骨格は化学反応を介してインサイチュで形成される。
【0046】
コア粒子(22)が骨格形成体を含む場合、骨格形成体は通常、二酸化塩素の生成時間の間、実質的に溶液に不溶性のままである。ほとんどの場合、目視検査、質量バランス、及び/又は種々の分析技術を使用して、骨格形成体のいずれかが実質的に溶解しないままである、即ち、溶液に溶けていかないかどうか測定できる。骨格形成体が、二酸化塩素の生成の間、完全にそのまま残される必要はない。事実、一実施態様では、コア粒子(22)は、二酸化塩素を溶液中に放出する実質的に不溶性の(又はゆっくり溶ける)顆粒に砕ける錠剤として更に規定される。特定の理論に拘束されることを意図するものではないが、適切な反応条件が細孔内に存在して二酸化塩素を生成するように、顆粒の全体的なサイズが顆粒の細孔径に対して大きいことが考えられる。
【0047】
一実施態様では、コア粒子(22)は上記の多孔質の骨格形成体中で複数の細孔を規定する。細孔は任意の寸法と形状であってよい。特定の理論に拘束されることを意図するものではないが、コア粒子(22)が水に曝されて、水がコア粒子(22)の細孔に入る時に、最大収量の二酸化塩素がコア粒子(22)から生成されることが考えられる。一実施態様では、亜塩素酸塩アニオンの濃縮した酸性溶液が、細孔内での固体酸と金属亜塩素酸塩との反応から細孔内で生成する。
【0048】
金属亜塩素酸塩と固体酸が粉末の形であり、且つ粉末が急速に水に溶解する時に、二酸化塩素がほとんど又は全く生成されないことも論理付けられている。事実、金属亜塩素酸塩の二酸化塩素への向上した転化率は、通常、コア粒子(22)が細孔を規定し且つ金属亜塩素酸塩と固体酸が細孔内で反応する時に得られる。前記とは異なり、実質的に全ての亜塩素酸塩アニオンは、好ましい条件下で、細孔内で反応して二酸化塩素を生成する機会がある。これは亜塩素酸塩の二酸化塩素への転化を最大にすると考えられる。亜塩素酸塩アニオンの二酸化塩素への転化率は、典型的には0.25よりも高く、更に典型的には0.50よりも高く、最も典型的には0.90よりも高い。「転化率」との用語は、水中の遊離二酸化塩素濃度プラス未反応の塩素イオン濃度の合計に対する水中の遊離二酸化塩素濃度の計算比率を意味する。一実施態様では、水は一般に、二酸化塩素が生成される時に、中性のpH(即ち、pH5〜9)を有している。種々の実施態様では、前述の値の1つ以上が±5%、±10%、±15%、±20%、±25%、±30%等変化し得ることが考慮される。
【0049】
金属亜塩素酸塩と固体酸源は、通常、水と反応して、二酸化塩素と亜塩素酸塩アニオンを含む溶液を生成する。一実施態様では、二酸化塩素と亜塩素酸塩アニオンは、0.25:1よりも高い質量比で存在する。代替的な実施態様では、金属亜塩素酸塩及び固体酸源は水と反応して、二酸化塩素、亜塩素酸塩アニオン、及び遊離ハロゲンを含む溶液を生成する。溶液中の遊離ハロゲンの濃度は、通常、質量基準で溶液中の二酸化塩素の濃度よりも低い。別の実施態様では、溶液中の二酸化塩素の濃度と亜塩素酸塩アニオンの濃度の合計に対する溶液中の二酸化塩素の濃度の質量比は、少なくとも0.25:1である。更に別の実施態様では、この質量比は少なくとも0.50:1である。更に別の実施態様では、この質量比は少なくとも0.75:1である。別の実施態様では、この質量比は少なくとも0.90:1である。代替的な実施態様では、溶液中の遊離ハロゲンの濃度は、質量基準で溶液中の二酸化塩素の濃度と少なくとも等しい。更に別の実施態様では、溶液中の遊離ハロゲンの濃度は、質量基準で溶液中の二酸化塩素の濃度の1/2未満である。更に別の代替的な実施態様では、溶液中の遊離ハロゲンの濃度は、質量基準で溶液中の二酸化塩素の濃度の1/4未満である。更に別の代替的な実施態様では、溶液中の遊離ハロゲンの濃度は、質量基準で溶液中の二酸化塩素の濃度の1/10未満である。種々の実施態様では、前述の値の1つ以上が±5%、±10%、±15%、±20%、±25%、±30%等変化し得ることが考慮される。
【0050】
コア粒子は、それぞれが明白に本願明細書に援用されている、米国特許第6,432,322号、同第6,676,850号、同第6,699,404号、同第7,150,854号、及び/又は同第7,182,883号の1つ以上に記載された通りに更に規定され得ることも考えられる。
【0051】
コア粒子(22)に加えて、カプセル化発生剤(20)もコア粒子(22)の少なくとも1部に配置された保護層(24)を含む。「配置された」との用語は、保護層(24)によるコア粒子(22)の部分的及び全体的な被覆の両方を包含することが理解されるべきである。一実施態様では、保護層(24)は、図2〜6に記載される通り、コア粒子(22)を完全に包含する。別の実施態様では、保護層(24)は、図7及び8に記載される通り、コア粒子(22)を部分的にしか包含しない。通常、保護層(24)はコア粒子(22)上に配置され且つこれに直接接触する。また、保護層(24)は通常、カプセル化発生剤(20)の最外層である。しかしながら、保護層(24)はカプセル化発生剤(20)の内部層であってもよい。
【0052】
保護層(24)は、輸送及び使用の間の脆砕性を低減しながら、同時にカプセル化発生剤(20)の硬度及び耐久性を改善する。これは、販売時にカプセル化発生剤(20)の完全性を保存し、破損した製品の交換に関するコストを最小にする。更に、保護層(24)は通常、カプセル化発生剤(20)に、優れた仕上り及び光沢のある外観を与える。更に一層、保護層(24)のコポリマーは、生成のために過酸化物開始剤を必要とせず、その結果、カプセル化発生剤(20)の酸化及び早期分解を最小にし、そうでなければ残留過酸化物が生じ得る。
【0053】
保護層(22)は通常、コア粒子(22)100質量部当たり、0.1〜20質量部の量で存在し、更に典型的には1〜15質量部の量、更に一層典型的には3〜15質量部の量、更に一層典型的には3〜5質量部の量で存在する。種々の実施態様では、保護層(22)は、コア粒子(22)100質量部当たり、3〜6質量部、3〜7質量部、3〜8質量部、3〜9質量部、3〜10質量部、3〜11質量部、3〜12質量部、3〜13質量部、3〜14質量部、9〜12質量部、又は9〜15質量部の量で存在する。当然ながら、保護層(24)は、前述の量及び範囲に限定されない。種々の実施態様では、前述の値の1つ以上が、任意の値又は値の範囲、前述の範囲内の全部及び一部の両方であってよい及び/又は±5%、±10%、±15%、±20%、±25%、±30%等変化し得ることが考慮される。
【0054】
保護層(24)は任意の厚さを有してよいが、通常、85〜210マイクロメートルの厚さを有する。図12に示す通り、保護層(24)はカプセル化発生剤(20)の異なる点(A−H)で様々な厚さを有し得る。種々の実施態様において、保護層(24)は、以下に記載されるマイクロメートルの厚さを有しており、その際、「側面」は図12の位置Bにほぼ対応し、「角部」は図12の位置Dにほぼ対応し、そして「上面」は図12の位置Fにほぼ対応する。
【表1】
【0055】
種々の実施態様では、上記の厚さの1つ以上が±5%、±10%、±15%、±20%又はそれ以上変化し得ることが考慮される。保護層(24)は、カプセル化発生剤(20)の1つ以上の位置で又はカプセル化発生剤(20)の全て又はほとんど全ての位置で均一な厚さを有し得ることも考えられる。あるいは、保護層(24)は、カプセル化発生剤(20)のある点で均一であり且つ他の点で厚さが変化し得る。当該発明は、保護層(24)が任意の厚さを有し得るので、前述の厚さによって限定されない。また、当該発明は、近似の質量パーセントに特に関連する上記の厚さに限定されない。前記とは異なり、保護層(24)は、任意の1つ以上の前述の近似の質量パーセントで又は上記のものとは異なる質量パーセントで、前述の厚さの1つ以上、又はその厚さを1つでも有し得る。
【0056】
保護層(24)は、ポリビニルアルコールとポリアルキレングリコールとのコポリマーを含む。通常、コポリマーは更にポリビニルアルコールとポリアルキレングリコールとのグラフトコポリマーとして定義される。当該技術分野で公知の通り、ポリビニルアルコールは、以下の化学構造を有しており、その際、nは1よりも大きな数である:
【化2】
【0057】
通常、コポリマーを生成するために使用されるポリビニルアルコールは、室温で測定して約30,000cpsの粘度を有する。しかしながら、当該発明は、かかる粘度に限定されない。高粘度(例えば、約130,000cpsまで又は約200,000cpsまで)を有するポリビニルアルコールが利用できる。ポリビニルアルコールも典型的には、30,000〜200,000g/モル、更に典型的には20,000〜45,000g/モル、最も典型的には25,000〜35,000g/モルの平均分子量を有する。種々の実施態様では、前述の値の1つ以上が、任意の値又は値の範囲、前述の範囲内の全部及び一部の両方であり得る及び/又は±5%、±10%、±15%、±20%、±25%、±30%等変化し得ることが考慮される。
【0058】
コポリマーを生成するために使用されるポリアルキレングリコールは、当該技術分野で公知であり、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等が挙げられるが、これらに限定されない。通常、ポリアルキレングリコールはポリエチレングリコールとして更に定義される。ポリエチレングリコールは以下の化学構造を有しており、その際、nは1よりも大きな数である:
【化3】
【0059】
典型的には、コポリマーを生成するために使用されるポリエチレングリコールは約190〜9,000g/モルの数平均分子量を有する。種々の実施態様では、ポリエチレングリコールは、当該技術分野で公知の下記の1つ以上のものとして更に定義される:PEG200、PEG300、PEG400、PEG540、PEG600、PEG900、PEG1000、PEG1450、PEG1540、PEG2000、PEG3000、PEG3350、PEG4000、PEG4600、PEG6000、PEG8000、及びそれらの組み合わせ。最も典型的には、ポリエチレングリコールは、約6,000g/モルの数平均分子量を有する。従って、ポリビニルアルコールとポリエチレングリコールとのコポリマーは通常、以下の化学構造を有する:
【化4】
【0060】
コポリマーは好ましくは、過酸化水素又は過酸化ベンゾイルなどの過酸化物開始剤を使用せずに形成される。しかしながら、本発明はこのように限定されない。典型的には、コポリマーは、結果的にコポリマー中の残留過酸化物の量を最小にし且つカプセル化発生剤(20)の酸化及び早期分解を最小にする形成のために過酸化物開始剤を必要とせず、そうでなければ残留過酸化物が生じ得る。
【0061】
種々の実施態様では、コポリマーは10〜40質量部、20〜40質量部、20〜30質量部、又は24〜26質量部のポリアルキレングリコールを含む。別の実施態様では、コポリマーは50〜90質量部、60〜80質量部、70〜80質量部、又は66〜74質量部のポリビニルアルコールを含む。代替的な実施態様では、コポリマーは、コポリマー100質量部当たり、約25質量部のポリアルキレングリコール及び約75質量部のポリビニルアルコールを含む。当然ながら、コポリマーは、前述の量及び範囲に限定されない。種々の実施態様では、前述の値の1つ以上が、任意の値又は値の範囲、前述の範囲内の全部及び一部の両方であり得る及び/又は±5%、±10%、±15%、±20%、±25%、±30%等変化し得ることが考慮される。
【0062】
保護層(24)自体に戻って参照すると、コポリマーは典型的には、保護層(24)100質量部当たり50〜100質量部、更に典型的には60〜99質量部、更に一層典型的には80〜99質量部、更に一層典型的には90〜99質量部、最も典型的には95〜99質量部の量で存在する。当然ながら、本発明は、前述の量及び範囲に限定されない。種々の実施態様では、前述の値の1つ以上が、任意の値又は値の範囲、前述の範囲内の全部及び一部の両方であり得る及び/又は±5%、±10%、±15%、±20%、±25%、±30%等変化し得ることが考慮される。
【0063】
一実施態様では、保護層(24)は、本質的にポリビニルアルコールとポリアルキレングリコールとのコポリマーからなり、保護層(24)の基本的な特性及び新規な特性に実質的に影響を及ぼさない化合物、例えば、他のポリマー及び有機化合物を含んでいない。別の実施態様では、保護層(24)は、本質的にポリビニルアルコールとポリアルキレングリコールとのコポリマーからなり、保護層(24)の基本的な特性及び新規な特性に実質的に影響を及ぼさない化合物、例えば、他のポリマー及び有機化合物を含まないが、遊離ポリビニルアセテートを含み得る。保護層(24)は、本質的にポリビニルアルコールとポリアルキレングリコールとのコポリマー及び1種以上の上記の添加剤からなり得る又は本質的に遊離ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコールとポリアルキレングリコールとのコポリマー、及び1種以上の上記の添加剤からなり得る。「本質的に〜からなる」との用語は、保護層(24)100質量部当たり95質量部、96質量部、97質量部、98質量部、99質量部、又はそれ以上の質量パーセンテージのポリビニルアルコールとポリアルキレングリコールとのコポリマーを含み得ることが考えられる。
【0064】
更に別の実施態様では、保護層(24)は、ポリビニルアルコールとポリアルキレングリコールとのコポリマーからなるか又は遊離ポリビニルアセテート及びポリビニルアルコールとポリアルキレングリコールとのコポリマーからなる。更に別の実施態様では、保護層(24)は、ポリビニルアルコールとポリアルキレングリコールとのコポリマー及び1種以上の上記の添加剤からなるか又は遊離ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコールとポリアルキレングリコールとのコポリマー、及び1種以上の上記の添加剤からなる。特に好適であるが非限定例のコポリマーは、Kollicoat(登録商標)、Kollicoat(登録商標)IR、Kollicoat(登録商標)IRホワイト、及びKollicoat(登録商標)プロテクトの商品名でBASF社から市販されている。従って、種々の実施態様では、保護コーティングは、1種以上のこれらの特に適したコポリマーからなる又は本質的になる。
【0065】
別の実施態様では、保護層(24)は、更に遊離ポリビニルアルコールを含み、更に遊離ポリビニルアルコール及びポリビニルアルコールとポリアルキレングリコールとのコポリマーから本質的になる、又は更に遊離ポリビニルアルコール(実施態様で詳細に上記された通り)及びポリビニルアルコールとポリアルキレングリコールとのコポリマーからなる。典型的には、遊離ポリビニルアルコールを指す時に使用される、「遊離の」との用語は、ポリアルキレングリコールなどの他のモノマーと共重合しないビニルアルコールモノマーとは別のポリマーとして存在するポリビニルアルコールを意味する。ある実施態様では、保護層(24)は、保護層(24)100質量部当たり、30〜80質量部、40〜70質量部、50〜70質量部、55〜65質量部のポリビニルアルコールとポリアルキレン(例えば、ポリエチレン)グリコールとのコポリマー、更には20〜70質量部、30〜60質量部、30〜50質量部、又は35〜45質量部の遊離ポリビニルアルコールを含む。本発明は、前述の量及び範囲に限定されない。種々の実施態様では、前述の値の1つ以上が、任意の値又は値の範囲、前述の範囲内の全部及び一部の両方であり得る及び/又は±5%、±10%、±15%、±20%、±25%、±30%等変化し得ることが考慮される。
【0066】
保護層(24)は、上記のコポリマーとは異なる第2のコポリマーも含み得る。一実施態様では、第2のコポリマーはポリビニルアセテート分散液である。かかるポリビニルアセテート分散液の非限定例の1つがKollicoat(登録商標)SR30Dの商品名でBASF社から市販されている。この分散液は27%のポリビニルアセテート、2.7%のポビドン、及び0.3%のラウリル硫酸ナトリウムを含み、全固体含量は30%である。別の実施態様では、第2のコポリマーはメタクリル酸エチルアクリレートコポリマーである。かかるコポリマーの非限定例の1つは、Kollicoat(登録商標)MAE30DPの商品名でBASF社から市販されている。更に別の実施態様では、第2のコポリマーはKollicoat(登録商標)MAE100Pの商品名でBASF社から市販されている。また、保護層(24)はポリビニルピロリドン(PVP)を含み得ることも考えられる。
【0067】
保護層(24)は、上記の添加剤と同じか又は異なる1種以上の添加剤をも含み得る。保護層の添加剤は、二酸化ケイ素、タルク、二酸化チタン、充填剤、錠剤化及び錠剤の離型剤、安定剤、染料、凝結防止剤、乾燥剤、細孔形成剤、飽和剤、及びそれらの組み合わせの群から選択されてよい。一実施態様では、保護層の添加剤は、ポリビニルアセテートとポビドンとのブレンド、例えば、BASF社から市販されているKollidon(登録商標)SRとして更に定義されている。種々の実施態様では、保護層(24)は、保護層(24)100質量部当たり、0.1〜30質量部、1〜20質量部、又は1〜15質量部、1〜10質量部、1〜5質量部、1〜3質量部、1〜2質量部、0.1〜10質量部、0.1〜5質量部、0.1〜2質量部又は0.1〜1質量部の添加剤を含む。一実施態様では、保護層(24)は、保護層(24)100質量部当たり、0.1〜0.3質量部の量で添加剤を含む。別の実施態様では、保護層は、0.1〜20質量部、1〜10質量部、1〜5質量部、又は1〜3質量部のタルクを含む。更なる実施態様では、保護層は、0.1〜20質量部、1〜10質量部、1〜5質量部、又は1〜2質量部の二酸化チタンを含む。更に別の実施態様では、保護層はタルク、二酸化チタン、カオリン、及び/又はそれらの組み合わせを含む。更に、保護層はタルク及び二酸化チタン又はカオリン及び二酸化チタンを含んでよい。更に別の実施態様では、保護層は、0.1〜2質量部、0.1〜1質量部、0.1〜0.5質量部、又は0.1〜3質量部の二酸化ケイ素を含む。種々の実施態様では、前述の値の1つ以上が、任意の値又は値の範囲、前述の範囲内の全部及び一部の両方であり得る及び/又は±5%、±10%、±15%、±20%、±25%、±30%等変化し得ることが考慮される。
【0068】
カプセル化発生剤(20)は、更に第2の保護層(26)又は一連の追加の保護層(図示せず)を含んでよい。第2の保護層(26)及び/又は追加の保護層は、保護層(24)と同じであるか又は異なってよい。一実施態様では、第2の保護層(26)はワックスを含む。別の実施態様では、第2の保護層(26)は1種以上の上記の第2のコポリマーを含む。
【0069】
種々の実施態様では、第2の保護層(26)は通常、コア粒子(22)の少なくとも1部に配置され且つコア粒子(22)及び保護層(24)を部分的に又は完全に被覆する。一実施態様では、第2の保護層(26)は、図3及び図5に示す通り、コア粒子(22)及び保護層(24)を完全に包囲する。別の実施態様では、第2の保護層(26)は、図8に示す通り、コア粒子(22)及び保護層(24)を部分的に包囲する。更に別の実施態様では、保護層(24)は、図6に示す通り、コア粒子(22)の第1部分の少なくとも1部に配置され、第2の保護層(26)はコア粒子(22)の第2部分の少なくとも1部に配置される。
【0070】
上記の通り、保護層(24)は通常、コア粒子(22)上に配置され且つこれに直接接触する。しかしながら、第2の保護層(26)がコア粒子(22)上に配置されて、且つこれに間接的に接触することも考えられる。一実施態様では(図示せず)、保護層(24)が第2の保護層(26)上に配置されて、これに間接的に接触する間、第2の保護層(26)は、コア粒子(22)上に配置されて、これに間接的に接触する。保護層(24)と第2の保護層(26)の両方が、互いに配置されてよく且つ一方又は両方が部分的に又は完全に互いに及び/又はコア粒子(22)を包囲してよい。
【0071】
種々の実施態様では、第2の保護層(26)は、典型的には、コア粒子(22)100質量部当たり、0.1〜20質量部、更に典型的には3〜15質量部、更に一層典型的には3〜5質量部の量で存在する。種々の実施態様では、第2の保護層(26)は、コア粒子(22)100質量部当たり、3〜6質量部、3〜7質量部、3〜8質量部、3〜9質量部、3〜10質量部、3〜11質量部、3〜12質量部、3〜13質量部、3〜14質量部、9〜12質量部、又は9〜15質量部の量で存在する。当然ながら、第2の保護層(26)は、前述の量及び範囲に限定されない。種々の実施態様では、前述の値の1つ以上が、任意の値又は値の範囲、前述の範囲内の全部及び一部の両方であり得る及び/又は±5%、±10%、±15%、±20%、±25%、±30%等変化し得ることが考慮される。第2の保護層(26)は、変動する厚さ又は一定の厚さを有し且つ保護層(24)に対して1つ以上の上記の厚さを有し得る。
【0072】
典型的な実施態様では、保護層(24)はコア粒子(22)に水分バリアを与え、これはコア粒子(22)の親水性を低減し、それによってカプセル化発生剤(20)の貯蔵安定性及び出荷安定性の両方を高めて保存期間を延長させる。通常、カプセル化発生剤(20)は、種々の温度で、種々の湿度で、種々の時間にわたり空気に曝される間、空気100万質量部当たり1質量部未満の二酸化塩素を生成する。前記とは異なり、カプセル化発生剤(20)は、二酸化塩素の早期生成とコア粒子(22)の崩壊をもたらす、保護層(24)を通してコア粒子(22)への周囲湿度の浸透による崩壊に対して耐性がある。種々の実施態様では、カプセル化発生剤(20)は、20℃〜27℃の温度及び30〜40パーセントの相対湿度で約48時間にわたり空気に曝される間、空気100万質量部当たり1質量部未満の二酸化塩素を生成する。典型的には、この崩壊への抵抗は、カプセル化発生剤(20)のクラッキング又は分裂、色の変化、及び/又は泡立ちの欠如を観察することによって視覚的に評価される。この低下した浸透性により、二酸化塩素の生成と放出を早めずに、カプセル化発生剤(20)を、長期間にわたり種々の温度及び湿度に曝すことができるため、使用の容易性と簡便性も高まる。
【0073】
他の実施態様では、カプセル化発生剤(20)は、25℃〜70℃の種々の温度及び約100パーセントの相対湿度で約1時間空気に曝す間、空気100万質量部当たり1質量部未満の二酸化塩素を生成する。一実施態様では、カプセル化発生剤(20)は、約25℃の温度及び約100パーセントの相対湿度で約1時間にわたり空気に曝される間、空気100万質量部当たり1質量部未満の二酸化塩素を生成する。別の実施態様では、カプセル化発生剤(20)は、約40℃の温度及び約100パーセントの相対湿度で約1時間にわたり空気に曝される間、空気100万質量部当たり1質量部未満の二酸化塩素を生成する。更に別の実施態様では、カプセル化発生剤(20)は、約70℃の温度及び約100パーセントの相対湿度で約1時間にわたり空気に曝される間、空気100万質量部当たり1質量部未満の二酸化塩素を生成する。すぐ上に記載されている二酸化塩素の生成は、通常、Draeger−Tubes(登録商標)及び当該技術分野で公知の方法を使用して測定される。更に詳細には、Draeger−Tubes(登録商標)は通常、オルトトリジンで充填されたガラスバイアルであり、オルトトリジンは二酸化塩素と反応して視覚的に観察可能で且つ定量可能な薄緑の生成物を形成する。
【0074】
一実施態様では、カプセル化発生剤(20)は、約38℃の温度及び約25パーセントの相対湿度で約550分間にわたり空気に曝される間、空気100万質量部当たり0.01質量部未満の二酸化塩素を生成する。別の実施態様では、カプセル化発生剤(20)は、約38℃の温度及び約38パーセントの相対湿度で約75分間にわたり空気に曝される間、空気100万質量部当たり0.05質量部未満の二酸化塩素を生成する。更に別の実施態様では、カプセル化発生剤(20)は、約38℃の温度及び約70パーセントの相対湿度で約38分間にわたり空気に曝される間、空気100万質量部当たり0.1質量部未満の二酸化塩素を生成する。更なる実施態様では、カプセル化発生剤(20)は、約38℃の温度及び約100パーセントの相対湿度で約24分間にわたり空気に曝される間、空気100万質量部当たり0.3質量部未満の二酸化塩素を生成する。
【0075】
保護層(24)は通常、カプセル化発生剤(20)を水に溶解させて、そして要求に応じて及び所望の条件下で二酸化塩素を生成することができる。別の実施態様では、カプセル化発生剤(20)は、約25℃の温度で少なくとも90分間の水への溶解時間を有する。更なる実施態様では、カプセル化発生剤(20)は、約99℃の温度で少なくとも0.5分間の水への溶解時間を有する。
【0076】
保護層(24)は、通常、輸送及び使用の間の脆砕性を低減しながら、同時にカプセル化発生剤(20)の硬度及び耐久性をも改善する。これは、出荷及び取り扱いコストを削減し、販売時のカプセル化発生剤の完全性を保存し、且つ破損した製品の交換に関するコストを最小にする。種々の実施態様では、カプセル化発生剤(20)の試料は約3,600回回転され、10パーセント未満、更に典型的には5パーセント未満、更に一層典型的には3パーセント未満、最も典型的には1パーセント未満の試料が、視覚的に観察されるように、割れるか又は崩壊する。一実施態様では、どの試料も割れたり崩壊したりしない。
【0077】
更に、保護層(24)は通常、優れた仕上り及び光沢のある外観をカプセル化発生剤(20)に与え、それによって市場性を高める。図11a、11c、11g、11e、及び11iに例示される通り、カプセル化発生剤(20)は異なる量の保護層(24)で優れた仕上げを保持する。
【0078】
カプセル化発生剤(20)は、コア粒子(22)を形成する工程と保護層(24)をコア粒子(22)に配置する工程を含む方法で形成される。一実施態様では、この方法は更にコポリマーを水中に溶解して溶液を形成する工程を含む。この保護層の配置工程は、更に溶液をコア粒子(22)の上に吹付ける工程として定義されてよい。この吹付け工程は、更に当該技術分野で公知の吹付け型として定義されてよい。一実施態様では、吹付け工程はパンコーティングとして更に定義されている。本発明のパンコーティングは、通常、種々のパラメータ、例えば、限定されずに、相対湿度、コーティング室温、パン直径、パン速度、パン深さ、パンヘリ容積、パン装入量、コア粒子(22)の形状及び寸法、バッフル効率、スプレーガンの数、重力による加速度、吹付け速度、入口空気流、入口温度、空気特性、出口温度、吹き付け空気圧力、溶液特性、ガンからベットまでの距離、ノズル型及びサイズ、及びコーティング時間の調節を伴う。当該発明において、1つ以上のこれらのパラメータは、保護層(24)をコア粒子(24)に配置するために調整及び/又は個別化されてよい。
【0079】
別の実施態様では、この方法は更に、混合物を形成するために金属亜塩素酸塩と固体酸とを組み合わせる工程を含む。この実施態様では、コア粒子の形成工程は、通常、混合物をコア粒子の形でダイ内に圧縮する工程として更に定義されている。コア粒子を形成するために、混合物は通常、1,000〜100,000lbs/in2の圧力で圧縮される。当然ながら、本発明はこの圧力に限定されず、且つ当該技術分野で公知のものを含み得る。コア粒子は、混合物の顆粒化に限定されずに、他の方法によって形成されてもよい。更に別の実施態様では、配置工程は、3〜15質量部の保護層(24)をコア粒子(22)上に配置する工程として更に定義される。この方法は、この質量範囲に限定されず、且つ1つ以上の上記の質量範囲を含み得る。種々の実施態様では、前述の値の1つ以上が、任意の値又は値の範囲、前述の範囲内の全部及び一部の両方であり得る及び/又は±5%、±10%、±15%、±20%、±25%、±30%等変化し得ることが考慮される。
【0080】
当該本発明は、カプセル化発生剤(20)から二酸化塩素を生成する方法も提供する。この方法は、カプセル化発生剤(20)の形成工程、及び二酸化塩素を生成する、金属塩化物とカプセル化発生剤(20)の固体酸との反応工程を含む。カプセル化発生剤は、上記の方法又は工程によって形成されてよい。同様に、金属亜塩素酸塩と固体酸が、上記の方法、工程、又は機構によって反応し得る。一実施態様では、使用者がカプセル化発生剤(20)と水、例えば、液体の水又は蒸気とを接触させる時に金属亜塩素酸塩と固体酸が反応する。これは、水への浸水、水の吹付け、水との混合、又は周囲湿度への曝露を通して起こり得る。しかしながら、当該発明は、これらの特定の工程に限定されない。別の実施態様では、使用者は、二酸化塩素を第1の容器内で生成し、次いで更なる使用のために二酸化塩素を第2の容器及び/又は基材に移す。
【0081】
当該発明は、また、二酸化塩素を用いる環境浄化方法も提供する。二酸化塩素は、環境を浄化するための殺生剤、殺菌剤、及び/又は脱臭剤として使用してよい。環境は更に、基材表面、例えば、限定されずに、プラスチック、紙、大理石、花崗岩、金属、セラミックス、ポリマー、織物、布、カーペット、皿、家庭用品、装置、トイレ、シンク、床、壁、天井等として定義され得る。種々の実施態様では、このような基材は、住宅用又は家畜用の環境に存在する。あるいは、このような基材は商用の環境に存在し得る。環境は屋外又は屋内であってよい。一実施態様では、環境は、ランドリー環境などの工業及び施設(I&I)環境として更に定義される。別の実施態様では、環境は、自動皿洗い(ADW)環境として更に定義される。更に別の実施態様では、環境は更に冷却塔として定義される。更に別の実施態様では、環境は水供給、例えば、個人又は都市の水供給として更に定義される。一実施態様では、環境は、非飲料水が二酸化塩素で浄化されて飲料水を生成する、非飲料水として更に定義される。更に別の実施態様では、環境はバイオフィルム殺菌剤又は逆浸透水システムとして更に定義される。環境は、スイミングプール及び/又はスパなどのレクリエーション水系として更に定義されてもよい。
【0082】
一実施態様では、環境は水として更に定義され、二酸化塩素の生成工程は、カプセル化発生剤(20)を、インサイチュで、即ち、二酸化塩素を生成するために使用される水中で、水に曝して二酸化塩素を生成する工程として更に定義される。水は住宅用の又は商用の環境内に存在し、屋内又は屋外に存在し、又はそれらと組み合わせて存在してよい。別の実施態様では、環境は基材の表面として更に定義され、二酸化塩素の生成工程は基材の表面から離れて二酸化塩素を生成する工程として更に定義される。この実施態様では、この方法は、二酸化塩素を基材の表面に適用する工程を更に含む。通常、二酸化塩素は、紙、スポンジなどを使用して手で適用される。あるいは、二酸化塩素は、基材の表面上に吹付けられ、表面上にモップがけされるか、又はある一定の期間にわたり、表面上に又はその中に浸されてよい。種々の実施態様では、二酸化塩素は、住居用の又は商用の台所及び/又は浴槽の表面に適用される。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】図1は本発明の保護層のない錠剤の形の先行技術の二酸化塩素発生剤の斜視図である。
【図2】図2は、本発明の保護層を含むカプセル化二酸化塩素発生剤の斜視図、上面図、部分的な切開図である。
【図3】図3は、本発明の保護層及び第2の保護層を含む、カプセル化二酸化塩素発生剤の斜視図及び上面図である。
【図4】図4は、本発明の保護層を含むカプセル化二酸化塩素発生剤の断面図である。
【図5】図5は、本発明の保護層及びその上に第2の保護層を含む、カプセル化二酸化塩素発生剤の断面図である。
【図6】図6は、本発明の第1部分に配置された保護層及び第2部分に配置された第2の保護層を含む、カプセル化二酸化塩素発生剤の断面図である。
【図7】図7は、少なくとも1部に配置された本発明の保護層を含む、カプセル化二酸化塩素発生剤の断面図である。
【図8】図8は、少なくとも1部に配置された本発明の保護層及び該保護層の同じ部分に配置された第2の保護層を含む、カプセル化二酸化塩素発生剤の断面図である。
【図9】図9は、比較の錠剤Iの概略図及び拡大図である。
【図10】図10は、崩壊した比較の錠剤IIの概略的及び拡大図である。
【図11】図11は、実施例の錠剤III、IV、V、VI及びVIIの概略図及び拡大図である。
【図12】図12は、位置(A−H)に配置された様々な厚さの保護層を示す。
【0084】
実施例
BASF社から市販されている一連のAseptrol(登録商標)錠剤はカプセル化され、その後、以下に更に詳細に記載される通り、一連の物理的特性を決定するために評価される。当該技術分野で公知の通り、Aseptrol(登録商標)錠剤は二酸化塩素発生剤であり且つ金属亜塩素酸塩及び固体酸を含む。
【0085】
本発明の実施例:
第1の系列のAseptrol(登録商標)錠剤(錠剤I)は、保護層としてBASF社から市販されている、Kollicoat(登録商標)プロテクトを用いて本発明によってカプセル化されている。当該技術分野で公知の通り、Kollicoat(登録商標)プロテクトは、75質量%のポリビニルアルコールと25質量%のポリエチレングリコールの単位を含み、且つ約45,000ダルトンの分子量を有するコポリマーである。Kollicoat(登録商標)プロテクトも遊離のポリビニルアルコールを含む。
【0086】
更に詳細には、錠剤Iは、約12.5質量%のKollicoat(登録商標)プロテクト、約3質量%のタルク、約1.5質量%の二酸化チタン、及び83質量%の水を含む混合物でカプセル化される。この混合物は、通常、750グラムのKollicoat(登録商標)プロテクト、180gのタルク、90gの二酸化チタン、及び4.7kgの水と組み合わせて形成される。Aseptrol(登録商標)錠剤は、約50psiの噴霧空気圧、約0.2バールの室圧に対するパン圧力、約16rpmのパン速度、及び以下の追加のパラメータを用いてパンコーティング技術によってカプセル化される:
【表2】
【0087】
錠剤Iは、素錠100質量部当たり約3質量部のKollicoat(登録商標)プロテクト保護層を含む。カプセル化後、錠剤Iは一連の物理的特性を決定するために評価される。これらの評価の結果を以下の表に記載する。
【0088】
第2の一連のAseptrol(登録商標)錠剤(錠剤II)も、Kollicoat(登録商標)プロテクトを用いて本発明によってカプセル化されている。錠剤IIは上記と同じ方法を用いて形成される。錠剤IIは、素錠100質量部当たり約5〜8質量部のKollicoat(登録商標)プロテクト保護層を含む。カプセル化後、錠剤IIは一連の物理的特性を決定するために評価される。これらの評価の結果を以下の表に記載する。
【0089】
比較例:
比較の系列のAseptrol(登録商標)錠剤(比較の錠剤I)もカプセル化されるが、本発明によるものではない。つまり、比較の錠剤Iをカプセル化するために、ポリビニルアルコールとポリアルキレングリコールとのコポリマーが使用されていない。更に詳細には、Aseptrol(登録商標)錠剤は、図9Bに示す通り、保護(比較)層(CL)としてエチルセルロースを用いてカプセル化されている。エチルセルロースは、約50psiの噴霧空気圧、約0.2バールの室圧に対するパン圧力、約35rpmのパン速度、及び以下の追加のパラメータを用いてパンコーティング技術によって錠剤に適用される:
【表3】
【0090】
比較の錠剤Iは、素錠100質量部当たり約5〜8質量部のエチルセルロース保護層を含む。カプセル化後、比較の錠剤Iは一連の物理的特性を決定するために評価される。これらの評価の結果を以下の表に記載する。
【0091】
第2の比較の系列のAseptrol(登録商標)錠剤(比較の錠剤II)も、カプセル化されるが、本発明によるものではない。比較の錠剤IIを形成するために、Aseptrol(登録商標)錠剤は、図10Bに示す通り、保護(比較)層(CL)としてOpadry(登録商標)IIを用いてカプセル化される。当該技術分野で公知の通り、Opadry(登録商標)IIは、ポリビニルアルコールを含み且つColorcon社から市販されている。Opadry(登録商標)IIは、エチルセルロースに対してすぐ上に記載された方法によって錠剤に適用される。カプセル化後、比較の錠剤IIは一連の物理的特性を決定するために評価される。これらの評価の結果を以下の表に記載する。
【0092】
カプセル化された錠剤の評価:
上で最初に導入されたように、錠剤I及びII並びに比較の錠剤I及びIIは、一連の物理的特性を決定するために評価される。更に詳細には、カプセル化錠剤を評価して、次のものを決定する:(1)カプセル化錠剤の視覚的外観/透過性、(2)Draeger−Tubes(登録商標)を用いて測定されるカプセル化錠剤の二酸化塩素生成、(3)温度制御された湿度チャンバで測定されたカプセル化錠剤の二酸化塩素生成、(4)カプセル化錠剤の溶解時間、及び(5)カプセル化錠剤の破損特性。
【0093】
視覚的外観/透過性:
視覚的外観/透過性は、錠剤を室温で且つ約35パーセントの湿度で作業台上に置いてカプセル化した後に測定する。視覚的外観/透過性を測定するために、錠剤を48時間まで視覚的に観察して、色の変化及び/又は泡立ちがあるかどうかを測定する。色の変化及び/又は泡立ちは、周囲湿度が保護層に透過し且つ二酸化塩素の発生を開始したことを示す。この評価の結果を以下の表1に記載し、1試験当たり約20錠の3試験の平均値として報告する。
【表4】
【0094】
Draeger−Tubes(登録商標)を用いて測定した二酸化塩素の発生:
錠剤の二酸化塩素発生をDraeger−Tubes(登録商標)を用いて測定する。Draeger−Tubes(登録商標)は、有限空間に捕捉された二酸化塩素の量を測定する。本願明細書で利用されるDraeger−Tubes(登録商標)は、オルトトリジンで充填されるガラスバイアルであり、オルトトリジンは二酸化塩素と反応して、視覚的に観察できる薄緑の生成物を形成する。更に詳細には、較正した100mlの空気試料を、ベローポンプを備えた管を通して引き抜く。二酸化塩素が存在する場合、管内のオルトトリジンは色変化し、色変化の長さは通常、測定濃度を示す。二酸化塩素の生成を、60分後に、全て100パーセントの湿度で、25℃、40℃、及び75℃の3つの異なる温度でDraeger−Tubes(登録商標)を用いて測定する。これらの評価の結果を、以下の表2に近似濃度として百万分率で示し、1試験当たり約20錠の3試験の平均値として報告する。Draeger−Tubes(登録商標)の最小検出閾値は0.05ppmである。従って、0.05ppm未満の測定はゼロであってよいが、最小検出閾値によって制限される。
【表5】
【0095】
温度制御湿度チャンバを用いて測定された二酸化塩素の生成:
錠剤について二酸化塩素が分解及び生成するのにかかる時間も、温度制御された湿度チャンバを用いて測定される。湿度制御されたチャンバ内で、錠剤試料を38℃で4つの異なる水準の湿度(25%、40%、75%、及び100%)に別々に曝す。この曝露からもたらされる二酸化塩素の発生は、Draeger−Tubes(登録商標)を用いて測定され、一旦0.05ppmの閾値に到達したら、錠剤の分解時間を記録する。これらの評価の結果を以下の表3に分で記載し、1試験当たり約20錠の3試験の平均値として報告する。
【表6】
【0096】
カプセル化された錠剤の溶解時間:
錠剤の溶解時間を、25℃及び99℃の両方で、ガラスバイアル内の水道水で目視検査を通して測定する。更に詳細には、錠剤は異なる温度で500mlの水道水中に沈み、これを観察して完全な溶解が達成されるまでの時間の長さを測定する。完全な溶解は、水が目視評価に従って透明である時に、達成される。これらの評価の結果を以下の表4に分で記載し、1試験当たり約20錠の3試験の平均値として報告する。
【表7】
【0097】
カプセル化された錠剤の破損性:
錠剤の破損性も測定する。この評価は、物流センターと小売業者又は顧客との間の2.5時間の錠剤の輸送時間に倣うことを意図する。更に詳細には、錠剤試料を、ガラス瓶とプラスチック瓶の両方に別々に置いて、これをその後、室温にて約3,600回転で回転させる。回転後、錠剤を視覚的に観察して、分解した錠剤のパーセンテージを測定する。これらの評価の結果を以下の表5に破損パーセンテージとして記載し、1試験当たり約20錠の5つの独立試験の平均値として報告する。
【表8】
【0098】
上記のデータは明らかに、当該発明の錠剤I及びIIが、それぞれ前述の試験において、比較の錠剤I及びIIより性能が優れていることを示す。これらの実施態様においてKollicoat(登録商標)プロテクトである、当該発明の保護層は、錠剤の制御された(即ち、非早期の)溶解を可能にしつつ、周囲湿度及び上昇した湿度の両方から錠剤を保護する。保護層は、物理的な保護も錠剤に与えて、輸送中のそれらの破壊を最小にする/防止する。
【0099】
更に詳細には、視覚的外観/透過性の評価は、本発明のカプセル化錠剤(錠剤I及びII)が分解なしに周囲湿度に曝され得ることを実証する。この特性は有利である。なぜなら、錠剤が非常に長い保存期間を有することを可能にし、且つ最終消費者による使用の容易性及び簡便性が高まるからである。更に、この周囲湿度に耐える能力は、二酸化塩素の早期生成を最小にし、場合によりこれを防ぎ、その結果、二酸化塩素発生剤の使用の安全性が高まる。
【0100】
Draeger−Tubes(登録商標)と湿度制御チャンバの両方を用いる二酸化塩素生成の評価も、本発明のカプセル化錠剤が長期間にわたって高温及び高湿に耐える能力を有することを示す。上記の通り、この特性は有利である。なぜなら、錠剤が非常に長い保存期間を有することを可能にし、且つ最終消費者による使用の容易性及び簡便性が高まるからである。更に、この能力は二酸化塩素の早期生成を最小にし、場合によりこれを防ぎ、その結果、二酸化塩素発生剤の使用の安全性が高まる。
【0101】
溶解時間の測定は、本発明のカプセル化錠剤(錠剤I及びII)が、比較の錠剤I及びIIと比べて二酸化塩素の早期溶解と早期生成から保護されることを実証する。更に詳細には、これらの測定は、上記の通り、熱及び湿度から保護されても、本発明のカプセル化錠剤は所望の通り機能し続け、さらに二酸化塩素発生剤としても有用であることを実証する。事実、これらの測定は、向上した保存期間、使用の容易性及び簡便性、並びに本発明を用いて達成された向上した安全性を更に実証する。
【0102】
錠剤破壊の測定は、本発明のカプセル化錠剤(錠剤I及びII)が、比較の錠剤I及びIIと比べて輸送中の損傷から物理的に保護されることを実証する。この特性は有利である。なぜなら、これは破壊又は損傷した錠剤に関連する交換コストと払い戻しコストを削減しながら、製品の品質と消費者の満足度を高めるからである。この特性はまた、破損した錠剤が二酸化塩素を早期生成し得る機会を減らすことによって、二酸化塩素発生剤の使用上の安全性を更に高める。
【0103】
重要なことに、錠剤Iは、素錠100質量部当たり約3質量部のKollicoat(登録商標)プロテクトを含む。逆に、錠剤II並びに比較の錠剤I及びIIは、約2〜3倍以上の質量部(5〜8質量部)の保護層を含む。このコーティング質量の差は、本発明に関連する利点を更に拡大する。換言すれば、当該発明は、優れた特性を有する錠剤を提供するだけではなく、より少ない材料を使用してこれを行う。これにより、より少ない材料の使用が可能であり、その結果、生産コスト及び出荷コストが削減され、生産時間が削減される。
【0104】
当該本発明の更なる実施例:
前述の測定に加えて、5つの更なる一連のAseptrol(登録商標)錠剤(錠剤III、IV、V、VI、及びVII)も、Kollicoat(登録商標)プロテクトを用いて本発明によってカプセル化される。これらの錠剤は、錠剤I及びIIに関して上記と同じ方法を用いてカプセル化される。錠剤III−VIIは、それぞれ、素錠100質量部当たり約9、10、12、12.5、及び15質量部のKollicoatプロテクト保護層を含む。
【0105】
錠剤III、IV、V、VI及びVIIの測定:
カプセル化した後、錠剤III−VIIを目視検査して、表面の形態を測定し且つ表面の異常部分を検出する。錠剤III−VIIの目視検査の結果を、それぞれ、図11a、11c、11e、11g、及び11iに示す。更に、錠剤III−VIIの断面を準備し、これを50倍の光倍率の下で試験して保護層の分解が生じるかどうか測定する。錠剤III−VIIの断面図及び50倍の光倍率の下での試験結果を、それぞれ、図11b、11d、11f、11h、及び11jに示す。前述の図面は、高いコーティング質量(即ち、9質量%、10質量%、12質量%、12.5質量%、及び15質量%の保護層)でさえも、錠剤III−VIIが表面分解又は変形を受けないことを示す。これらの結果は、本発明が、高いコーティング質量が要求される、徐放性の用途などの、特殊な用途において有効に使用できることを示す。
【0106】
添付の特許請求の範囲は、詳細な説明に記載された特定の化合物、組成物、又は方法に限定されて示すものではなく、これは添付の特許請求の範囲の範囲内に入る特定の実施態様の間で変化し得ることが理解されるべきである。本願明細書に依存するマーカッシュ群に関しては、種々の実施態様の特定の特徴又は態様を記載するために、異なる、特別な、及び/又は予想外の結果が、全ての他のマーカッシュ要素から独立した、それぞれのマーカッシュ群の各要素から得られ得ることが理解されるべきである。マーカッシュ群の各要素は、添付の特許請求の範囲の範囲内の特定の実施態様に対して個々に又は組み合わせて依存し且つ適切な根拠を提供する。
【0107】
本発明の種々の実施態様の記載に依存する任意の範囲及び部分範囲が、個別に及びひとまとめに添付の特許請求の範囲の範囲内に入ることが理解されるべきであり、且つかかる値が明確にそこに記載されていない場合でも、そこにある全部の及び/又は部分の値を含む全ての範囲を記載し且つ考慮することが理解されるべきである。当業者は、列挙された範囲及び部分範囲が、本発明の種々の実施態様を十分に記載し且つ可能にし、かかる範囲及び部分範囲が、関連する2/1、1/3、1/4、1/5など更に詳細に記載され得ることを容易に理解する。たった1つの例として、「0.1〜0.9の」範囲は、下の1/3、即ち0.1〜0.3、真ん中の1/3、即ち、0.4〜0.6、及び上の1/3、即ち、0.7〜0.9に更に線引きされてよく、これらは個別に及びひとまとめに添付の特許請求の範囲の範囲内であり、添付の特許請求の範囲の範囲内の特別な実施態様に対して個別に及び/又はひとまとめに依存し且つ適切な根拠を与え得る。更に、範囲を規定又は変更する用語、例えば、「少なくとも」、「より大きい」、「未満」、「わずか」などに関して、かかる用語は部分範囲及び/又は上限又は下限を含むことが理解されるべきである。別の例として、「少なくとも10の」範囲は、固有に少なくとも10〜35の部分範囲、少なくとも10〜25の部分範囲、25〜35の部分範囲などを含み、各部分範囲は、添付の特許請求の範囲の範囲内の特定の実施態様に対して個別に及び/又はひとまとめに依存し且つ適切な根拠を提供する。最終的には、開示された範囲内の個別の数字は、添付の特許請求の範囲の範囲内の特定の実施態様に対して依存し且つ適切な根拠を提供する。例えば、「1から9までの」範囲は、様々な個別の整数、例えば、3、並びに小数点(又は分数)を含む個別の数、例えば、4.1を含み、これは添付の特許請求の範囲の範囲内の特定の実施態様に対して依存し且つ適切な根拠を提供し得る。
【0108】
本発明は例示的に記載されており、かつ使用される用語は限定というよりはむしろ説明の類の単語を意図していると理解されるべきである。前記の教示を踏まえて、本発明の多くの改変及び変更が可能であり、そして本発明は特に明示的に示されたもの以外も行うことができる。
【符号の説明】
【0109】
20 カプセル化発生剤、 22 コア粒子、 24 保護層、 26 第2の保護層、 30 崩壊していない比較の錠剤I、 32 崩壊した比較の錠剤I、 CL 比較の保護層、 34 崩壊した比較の錠剤II
【特許請求の範囲】
【請求項1】
A.コア粒子であって、
1.金属亜塩素酸塩、及び
2.固体酸
を含むコア粒子、並びに
B.前記コア粒子の少なくとも1部に配置され且つポリビニルアルコールとポリアルキレングリコールとのコポリマーを含む保護層
を含む、カプセル化二酸化塩素発生剤。
【請求項2】
前記ポリアルキレングリコールがポリエチレングリコールとして更に規定される、請求項1に記載のカプセル化二酸化塩素発生剤。
【請求項3】
前記保護層が、前記ポリビニルアルコールと前記ポリエチレングリコールとの前記コポリマーから本質的になる、請求項2に記載のカプセル化二酸化塩素発生剤。
【請求項4】
前記保護層が85〜210マイクロメートルの厚さを有する、請求項1に記載のカプセル化二酸化塩素発生剤。
【請求項5】
前記保護層が遊離ポリビニルアルコールを更に含む、請求項1に記載のカプセル化二酸化塩素発生剤。
【請求項6】
前記保護層が、前記コア粒子100質量部当たり1〜15質量部の量で存在する、請求項5に記載のカプセル化二酸化塩素発生剤。
【請求項7】
前記保護層が、前記コア粒子100質量部当たり3〜5質量部の量で存在する、請求項5に記載のカプセル化二酸化塩素発生剤。
【請求項8】
20℃〜27℃の温度及び30〜40パーセントの相対湿度にて約48時間空気に曝す間、空気100万質量部当たり1質量部未満の二酸化塩素を生成する、請求項7に記載のカプセル化二酸化塩素発生剤。
【請求項9】
25℃〜70℃の温度及び約100パーセントの相対湿度にて約1時間空気に曝す間、空気100万質量部当たり1質量部未満の二酸化塩素を生成する、請求項7に記載のカプセル化二酸化塩素発生剤。
【請求項10】
38℃の温度及び約25パーセントの相対湿度にて約550分間空気に曝す間、空気100万質量部当たり0.01質量部未満の二酸化塩素を生成する、請求項7に記載のカプセル化二酸化塩素発生剤。
【請求項11】
約25℃の温度で少なくとも90分の水への溶解時間を有する、請求項7に記載のカプセル化二酸化塩素発生剤。
【請求項12】
金属亜塩素酸塩及び固体酸、並びにコア粒子の少なくとも1部に配置された保護層を含む前記コア粒子を含むカプセル化二酸化塩素発生剤の形成方法であって、
A.金属亜塩素酸塩及び固体酸を含むコア粒子を形成する工程、及び
B.ポリビニルアルコールとポリアルキレングリコールとのコポリマーを含む保護層をコア粒子に配置する工程
を含む、前記形成方法。
【請求項13】
コポリマーを水に溶解して溶液を形成する工程を更に含み、その際、保護層をコア粒子に配置する工程がコア粒子上に溶液を噴霧する工程として更に規定される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
噴霧工程がパンコーティングとして更に規定される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
配置工程が、コア粒子100質量部当たり1〜15質量部の保護層を、コア粒子上に配置する工程として更に規定される、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
二酸化塩素を用いる環境の浄化方法において、
A.カプセル化二酸化塩素発生剤であって、
1.金属亜塩素酸塩及び固体酸源を含むコア粒子、及び
2.コア粒子の少なくとも1部に配置され且つポリビニルアルコールとポリアルキレングリコールとのコポリマーを含む保護層
を含むカプセル化二酸化塩素発生剤を提供する工程、並びに
B.カプセル化二酸化塩素発生剤から二酸化塩素を生成して環境を浄化する工程
を含む、前記浄化方法。
【請求項17】
環境が水として更に規定され、二酸化塩素の生成工程が、カプセル化二酸化塩素発生剤を水に曝してインサイチュで二酸化塩素を生成する工程として更に規定される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記環境が基材の表面として更に規定され、その際、二酸化塩素の生成工程が、基材表面から離れて二酸化塩素を生成する工程として更に規定され、且つ前記方法が基材表面に二酸化塩素を適用する工程を更に含む、請求項16に記載の方法。
【請求項1】
A.コア粒子であって、
1.金属亜塩素酸塩、及び
2.固体酸
を含むコア粒子、並びに
B.前記コア粒子の少なくとも1部に配置され且つポリビニルアルコールとポリアルキレングリコールとのコポリマーを含む保護層
を含む、カプセル化二酸化塩素発生剤。
【請求項2】
前記ポリアルキレングリコールがポリエチレングリコールとして更に規定される、請求項1に記載のカプセル化二酸化塩素発生剤。
【請求項3】
前記保護層が、前記ポリビニルアルコールと前記ポリエチレングリコールとの前記コポリマーから本質的になる、請求項2に記載のカプセル化二酸化塩素発生剤。
【請求項4】
前記保護層が85〜210マイクロメートルの厚さを有する、請求項1に記載のカプセル化二酸化塩素発生剤。
【請求項5】
前記保護層が遊離ポリビニルアルコールを更に含む、請求項1に記載のカプセル化二酸化塩素発生剤。
【請求項6】
前記保護層が、前記コア粒子100質量部当たり1〜15質量部の量で存在する、請求項5に記載のカプセル化二酸化塩素発生剤。
【請求項7】
前記保護層が、前記コア粒子100質量部当たり3〜5質量部の量で存在する、請求項5に記載のカプセル化二酸化塩素発生剤。
【請求項8】
20℃〜27℃の温度及び30〜40パーセントの相対湿度にて約48時間空気に曝す間、空気100万質量部当たり1質量部未満の二酸化塩素を生成する、請求項7に記載のカプセル化二酸化塩素発生剤。
【請求項9】
25℃〜70℃の温度及び約100パーセントの相対湿度にて約1時間空気に曝す間、空気100万質量部当たり1質量部未満の二酸化塩素を生成する、請求項7に記載のカプセル化二酸化塩素発生剤。
【請求項10】
38℃の温度及び約25パーセントの相対湿度にて約550分間空気に曝す間、空気100万質量部当たり0.01質量部未満の二酸化塩素を生成する、請求項7に記載のカプセル化二酸化塩素発生剤。
【請求項11】
約25℃の温度で少なくとも90分の水への溶解時間を有する、請求項7に記載のカプセル化二酸化塩素発生剤。
【請求項12】
金属亜塩素酸塩及び固体酸、並びにコア粒子の少なくとも1部に配置された保護層を含む前記コア粒子を含むカプセル化二酸化塩素発生剤の形成方法であって、
A.金属亜塩素酸塩及び固体酸を含むコア粒子を形成する工程、及び
B.ポリビニルアルコールとポリアルキレングリコールとのコポリマーを含む保護層をコア粒子に配置する工程
を含む、前記形成方法。
【請求項13】
コポリマーを水に溶解して溶液を形成する工程を更に含み、その際、保護層をコア粒子に配置する工程がコア粒子上に溶液を噴霧する工程として更に規定される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
噴霧工程がパンコーティングとして更に規定される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
配置工程が、コア粒子100質量部当たり1〜15質量部の保護層を、コア粒子上に配置する工程として更に規定される、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
二酸化塩素を用いる環境の浄化方法において、
A.カプセル化二酸化塩素発生剤であって、
1.金属亜塩素酸塩及び固体酸源を含むコア粒子、及び
2.コア粒子の少なくとも1部に配置され且つポリビニルアルコールとポリアルキレングリコールとのコポリマーを含む保護層
を含むカプセル化二酸化塩素発生剤を提供する工程、並びに
B.カプセル化二酸化塩素発生剤から二酸化塩素を生成して環境を浄化する工程
を含む、前記浄化方法。
【請求項17】
環境が水として更に規定され、二酸化塩素の生成工程が、カプセル化二酸化塩素発生剤を水に曝してインサイチュで二酸化塩素を生成する工程として更に規定される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記環境が基材の表面として更に規定され、その際、二酸化塩素の生成工程が、基材表面から離れて二酸化塩素を生成する工程として更に規定され、且つ前記方法が基材表面に二酸化塩素を適用する工程を更に含む、請求項16に記載の方法。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3A】
【図3B】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11A】
【図11B】
【図11C】
【図11D】
【図11E】
【図11F】
【図12】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3A】
【図3B】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11A】
【図11B】
【図11C】
【図11D】
【図11E】
【図11F】
【図12】
【公表番号】特表2013−518799(P2013−518799A)
【公表日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−552031(P2012−552031)
【出願日】平成23年2月1日(2011.2.1)
【国際出願番号】PCT/US2011/023334
【国際公開番号】WO2011/097224
【国際公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年2月1日(2011.2.1)
【国際出願番号】PCT/US2011/023334
【国際公開番号】WO2011/097224
【国際公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】
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