説明

カポタスト

弦楽器のネック上に固定するためのカポタストであって、弦係合領域が配置される第1アームと、ネック後側用の係合領域が配置される第2アームと、滑り軸受、ここで、該滑り軸受により前記第1アームが前記第2アーム上で変位するように保持されると共に、該滑り軸受は、開放方向が変位方向に対して直交する少なくとも1つのスロット又は少なくとも1つの溝により形成される変位案内部を有する、と、前記第1アーム上に形成される少なくとも1つの第1接触面と、前記第2アーム上に形成される少なくとも1つの第2接触面と、を含み、前記弦係合領域と前記ネック後側係合領域との間隔を増加させる前記第1アーム及び前記第2アームの離間可動が、前記少なくとも1つの第1接触面と前記少なくとも1つの第2接触面との接触によりロック可能であり、前記開放方向が、前記第1接触面に対して少なくともほぼ平行に且つ前記第2接触面に対して少なくともほぼ平行に配向される、カポタスト。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、弦楽器のネック上に固定するためのカポタストであって、弦係合領域が配置される第1アームと、ネック後側用の係合領域が配置される第2アームとを含むカポタストに関する。
【背景技術】
【0002】
カポタストは、弦楽器の弦の振動長さを短縮するのに使用される。カポタストは、弦楽器のネックの周りで2つのフレット間において緊締され、弦をフレットに押し付ける。その場合、演奏の観点からは、弦楽器のブリッジと、ブリッジに最も近いところにあるフレットとの間の弦長部分が使用可能に留まる。
【0003】
DE 10 2006 059 821 B3からカポタストが公知であり、ここでカポタストは、弦接触装置と、弦接触装置をネック上に固定するための緊張バンドと、弦接触装置上に緊張バンドを固定するための固定装置とを含む。弦接触装置上には、カポタストを弦楽器のネック上にそれによって引っ掛けることのできる少なくとも1つのクリップが配置される。
【0004】
EP 1 143 408 B1からカポタストが公知であり、ここでカポタストは、弦係合アームと、緊締アームと、緊締アーム及び弦係合アームをこれらのアームに沿った位置で枢動可能に相互接続する枢動接続部とを含む。枢動接続部は、枢動接続部を選択的にロックし、緊締アーム及び弦係合アームの、開放方向への運動に対する相対的な枢動運動を選択的にロックすると同時に、閉鎖方向への相対的な枢動運動を許容する、解放可能なロック機構を含む。
【0005】
US 4,793,234からカポタストが公知であり、ここでカポタストは、弦楽器の弦の上方でネックを直交方向に横切って延びるようになっている剛体のアームを含む。このアーム上に弦係合部が配置される。アームには、ばね様のC字形部分が接続している。この部分によって緊締力を加えることができる。
【0006】
US 2,604,805からカポタストが公知であり、ここでカポタストは、蝶ナットが螺装されたボルトにより接続している2つのL字形部分を含む。
【0007】
GB 2 141 860 Aからは、U字形のフレームを備えたカポタストが公知である。
【0008】
US 6,573,440 B1からは、更なるカポタストが公知である。
【0009】
DE 358 280からは、弦まで押し下げるためのばねを備えた、リュート及び同様の楽器用のカポタストが公知である。把持部を備えた2つの半円の脚部が設けられており、脚部は渦巻ばね内に在るので、共に押圧されると、脚部は、脚部に接続している橋絡部を弦から持ち上げる。ロールが設けられており、ロールは、楽器のネック上で摺動する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】DE 10 2006 059 821 B3
【特許文献2】EP 1 143 408 B1
【特許文献3】US 4,793,234
【特許文献4】US 2,604,805
【特許文献5】GB 2 141 860 A
【特許文献6】US 6,573,440 B1
【特許文献7】DE 358 280
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の基礎を成す目的は、冒頭で言及された種類のカポタストであって、弦楽器の前記ネックに容易に固定され、有利な特徴を有するカポタストを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この目的は、本発明によれば、冒頭で述べた前記カポタストにおいて、滑り軸受が設けられ、該滑り軸受により前記第1アームが前記第2アーム上で変位するように保持されると共に、該滑り軸受が、開放方向が変位方向に対して直交する少なくとも1つのスロット又は少なくとも1つの溝により形成される変位案内部を有し、前記第1アーム上に形成される少なくとも1つの第1接触面と、前記第2アーム上に形成される少なくとも1つの第2接触面とが設けられ、前記弦係合領域と前記ネック後側係合領域との間隔を増加させる前記第1アーム及び前記第2アームの互いへと向かう接近可動が、前記少なくとも1つの第1接触面と前記少なくとも1つの第2接触面との接触によりロック可能であり、前記開放方向が、前記第1接触面に対して少なくともほぼ平行に且つ前記第2接触面に対して少なくともほぼ平行に配向される、という点で達成される。
【0013】
本発明による前記カポタストは、必要となる部品の数を最小にして容易に製造することができる。
【0014】
前記カポタストは片手による操作が可能である。前記固定の調整及び解放が片手で可能である。
【0015】
前記接触面は、前記ネックにより前記アームに押圧力が及ぼされる時、即ち前記弦楽器の前記ネックに固定又は予固定が行われた時にのみ有効となるように構成される。これによって、緊締圧の調節が可能となる。弦への緊締圧が過度に大きいと、前記弦は音が外れることがある。緊締圧が過度に低いと、前記弦にビビリが生じることがある。本発明による解決法により、設定を最適化することが可能である。
【0016】
前記滑り軸受は、前記第2アーム上に配置される変位案内部を有する。このような変位案内部は、簡単な方法で構成することができる。前記変位案内部は、少なくとも1つのスロット又は少なくとも1つの溝によりアーム(例えば前記第2アーム等)上に形成される。他方のアーム(例えば前記第1アーム)又は他方のアーム上に固定される要素を、前記少なくとも1つのスロット内又は前記少なくとも1つの溝内に案内することができる。
【0017】
前記少なくとも1つのスロット又は前記少なくとも1つの溝の前記開放方向が前記第1接触面及び前記第2接触面に対して平行である場合、前記ネック上で前記カポタストが緊締されると、簡単な構造的設計により、前記固定用に他の如何なる助け(ねじ又は同等のもの等)を必要とすることなく、前記離間可動を簡単な方法でロックすることができる。このことにより、片手による操作性が、簡単な方法で可能となる。これによって、必要となる部品の数は最小になる。また、互いへ向かう接近可動が可能となるので、前記押圧力の設定が簡単な方法で可能である。
【0018】
前記開放方向は、前記変位方向に対して直交する方向である。この開放方向は外部空間に面しており、前記他方のアームの(少なくとも)1つのピン要素が前記少なくとも1つのスロット又は溝に挿入される挿入方向である。前記開放方向は、前記弦に対して少なくともほぼ平行である。更に、この開放方向は、対応する前記アームの側面に対して直交方向に配向される。
【0019】
前記開放方向は、前記少なくとも1つのスロット又は前記少なくとも1つの溝の少なくとも一方の側が、前記少なくとも1つのスロット又は前記少なくとも1つの溝が形成されるアームの材料により限られていない方向である。
【0020】
前記第1接触面及び前記第2接触面の各接触位置、特に前記第1アームの前記第2アームに関する各位置では、前記第1接触面及び前記第2接触面に対して前記開放方向が少なくともほぼ平行状態であることが存在する。
【0021】
第1アーム及び第2アームが互いに対して純粋に枢動可能に移動可能である先行技術から公知のカポタストでは、いったん前記固定が開始されると、弦係合領域がもはや最適に位置合わせ可能ではないという基本的な問題が生じる。ピボット軸受のため、最終的な緊締位置に到達するまでアームが円運動を実行する。本発明による解決法では、前記滑り軸受が前記第1アームの直線運動を可能にし、第1アームは、前記楽器の前記弦に対して直交方向で位置合わせされ、特に少なくともほぼ垂直に位置合わせされる。これによって、全ての前記弦への均一な圧力分配を達成することができ、前記カポタストの不正確な調整による如何なる誤差も容易に修正することができる。
【0022】
本発明による解決法では、前記第1アーム又は前記第2アームは、いずれも、一体構成であってもよく、多部分からなる構成であってもよい。
【0023】
前記少なくとも1つの第1接触面及び前記少なくとも1つの第2接触面が、接触することで、前記カポタストが前記ネック上で緊締される時に前記離間可動がロックされるように構成されるのが好都合である。その際、前記第1アーム及び前記第2アームの前記離間可動をロックする押圧力が作用する。もっとも、緊締力を増加すべき場合、使用者は、依然として前記第1アームを前記第2アームへ向けて移動させることができる。
【0024】
その場合、前記少なくとも1つの第1接触面及び前記少なくとも1つの第2接触面が、前記第1アーム及び前記第2アームの離間可動とは反対の方向における該第1アーム及び該第2アームの互いへと向かう接近可動が可能となるように構成されるのが好都合である。これによって、緊締力を設定することができる。
【0025】
特に、前記変位案内部は線形の案内部である。前記第1アームが前記第2アーム上で線形に変位可能であれば十分である。
【0026】
前記少なくとも1つの第2接触面が、前記変位案内部に対して少なくともほぼ平行であるのが好都合であることがわかった。これによって、固定位置を簡単な方法で確保することができる。
【0027】
構造的に簡単な実施形態において、前記第1アームは、前記変位案内部上で少なくとも1つのピン要素によって保持される。前記変位案内部内に挿入される前記少なくとも1つのピン要素によって、前記第1アームを前記第2アーム上で簡単な方法で変位可能とすることができる。前記少なくとも1つのピン要素は、前記第1アームとは別個の要素であり、前記第1アーム上に固定することができる。このピン要素は、前記アーム上で一体に形成することもでき、例えばペグとして構成することもできる。
【0028】
前記少なくとも1つのピン要素の長手延伸方向は、前記少なくとも1つのスロット又は前記少なくとも1つの溝の前記開放方向に対して平行である。その際、この長手延伸方向は、前記第1接触面及び前記第2接触面に対して平行である。
【0029】
有利な実施形態において、前記滑り軸受はピボット‐滑り軸受として構成され、前記第1アームは前記第2アームに対して枢動可能である。これによって、前記弦楽器の前記ネック上での前記カポタストの調整、及び前記ネックからの前記カポタストの解放が促進される。前記ネック上での調整は、前記第1アーム及び前記第2アームの枢動により促進され、特に、片手による調整が促進される。前記解放も促進される。
【0030】
特に、前記ピボット‐滑り軸受のピボット軸は、前記変位案内部に対して垂直である。従って、前記ピボット‐滑り軸受は簡単な方法で構成することができる。前記第1アーム用の変位案内部として前記第2アーム上で作用するピン要素は、前記ピボット軸受用の軸としても作用することができる。好ましくは、前記ピボット軸は、前記開放方向に対して平行であり、それ故、前記第1接触面及び前記第2接触面に対しても平行である。
【0031】
好都合なことに、前記ピボット‐滑り軸受は、変位案内部内で変位するように案内され且つ前記変位案内部内で回転可能である軸を有する。従って、対応する前記カポタストは、費用を最小にして製造することができる。
【0032】
前記カポタストが前記ネック上で調整される時、前記変位案内部が前記弦に対して少なくともほぼ垂直に配向されることは正に特に有利である。これによって、前記弦への均一な圧力分配を達成することができる。緊締中、前記第1アームの前記弦係合領域が前記弦上へ線形かつ少なくともほぼ垂直に移動可能である結果として、前記弦の全てが少なくともほぼ均一に圧力を受ける。
【0033】
前記弦係合領域が着座する枢動可能な揺動子が前記第1アーム上に配置されることは正に特に有利である。この場合、前記ピボット軸受は特に、前記揺動子の中央に配置される。前記弦係合領域の前記弦への緊締圧は、前記枢動可能な揺動子により均一に分配される。これによって、前記弦への前記圧力分配のばらつきが防止される。ばらつきがあると、幾つかの弦は音が外れ、圧力が過度に低い結果として他の弦にビビリが生じることがある。それ故、前記使用者にとって、弦が聞き取れるほどに音が外れない限り圧力範囲又は緊締範囲を大きくすることも利用可能である。更に、枢動可能な揺動子が設けられるため、本発明によるカポタストは普遍的に使用可能である。もはや個々の楽器に緊締幅を個々に適合させる如何なる必要性がない。緊締圧を均一に分配することにより、様々なフレット長での使用が可能になる。
【0034】
先行技術から公知のカポタストでは、接触すると即座に固定が生じ、結果として弦係合領域の最適な位置合わせがもはや不可能であるという基本的な問題が生じる。本発明による解決法では、前記第1アームが前記第2アーム上で変位可能であるため、前記第1アームは、前記弦に対して直交する方向に、特に少なくともほぼ垂直な方向に直線運動を遂行することができる。本発明による前記カポタストが使用者により正に正確に調整されなくても、この誤差は前記枢動可能な揺動子により補償することができる。
【0035】
特に、前記揺動子のピボット軸は、前記第1アームが前記第2アーム上で保持されるピボット‐滑り軸受のピボット軸に対して平行である。これによって、力を最適化して分配することが簡単な方法で達成される。
【0036】
実施形態において、前記弦係合領域は弾性材料により形成される。これによって、力を均一に分配することが簡単な方法で達成される。
【0037】
前記弦係合領域が弾性パッドにより形成されることは正に特に有利である。この弾性パッドは、例えば一体構成物から作製される。これにより、弦楽器が湾曲したネックを有していても、前記弦への均一な圧力分配を達成することができる。
【0038】
前記弾性パッドが、前記弦の延伸方向に対して直交する方向に変化する弦用の係合面を有し、直径がより大きな弦に対する有効な前記係合面が、直径がより小さな弦に対する係合面よりも小さいことは正に特に有利である。弦が前記弾性パッドに係合する前記有効係合面は、前記弦と前記弾性パッドとの接触長さに前記弦の直径を掛けたものとなる。前記弾性パッド上の接触長さが同じであれば、弦の直径が大きい方が、有効係合面も大きくなることになる。従って、前記弦が前記パッドに食い込む深さは少なくなってもよいであろう。前記弦に応じて前記係合面が相応に異なって形成され、これにより、前記係合面での係合に関し、直径の異なる弦の接触長さが確実に異なるため、弦が異なっても前記有効係合面は少なくともほぼ同一となることが確実となる。例えば、これによって、太い方の弦(低ピッチの弦)が前記弾性パッドに食い込み得る深さが、細い方の弦よりも少なくなることが防止される。このことにより、前記弦楽器の演奏中に太い方の弦が偏位し得るリスクが低減する。
【0039】
製造技術の観点から好都合である実施形態において、前記弾性パッドは三角形の自由空間を有する。この三角形の自由空間は、1つの方向に寸法が増加する変化する弦係合面を提供する。この方向は、前記弦の延伸方向に対して直交方向である。これによって、太い方の弦と細い方の弦とに、少なくともほぼ同一の有効な弦係合面を設けることができる。
【0040】
前記ネック後側用の前記係合領域が弾性パッドにより形成されることは正に特に有利である。これによって、前記ネックの後側に前記第2アームを設置することにより引き起こされる損傷が回避される。従って、更に、前記カポタストを前記ネック上に簡単な方法で固定することが可能となる。前記弾性パッドに圧力を及ぼすことにより前記弾性パッドは圧縮され、このようにして、前記第1アームが前記第2アームに関して対応する変位位置にある場合、前記少なくとも1つの第1接触面と前記少なくとも1つの第2接触面とを接触させることにより、ロック位置を達成することができる。前記第1アームと前記第2アームとの間の相対的な枢動可能性が可能となるように前記弾性パッドに更なる力を及ぼすことにより、前記ロック位置は簡単な方法で解放することができる。
【0041】
構造的に好都合な実施形態において、前記第1アームは、上方に延びる側縁を備えたチャネル状の領域を有し、該領域に前記弦係合領域が配置される。従って、前記弦係合領域は、前記第1アーム上に簡単な方法で固定することができ、特に枢動可能に固定することができる。
【0042】
特に、前記上方に延びる側縁上に、揺動子が枢動可能に固定される。前記側縁にてピン要素を固定することができ、ピン要素は例えば、前記揺動子用の外側軸を形成する。
【0043】
前記弦係合領域が、前記第1アームの前端を越えて延びること、即ち、前記第2アームに最も近いところにある前記弦係合領域の端部に関して、前記弦係合領域が前記第1アームよりも大きい長さを有することが好都合であることがわかった。これによって、より均一な緊締圧を前記弦に及ぼすことができることがわかった。
【0044】
ばね機構が、前記第1アームと前記第2アームとの間に、前記第1アームを前記第2アームから離れる方向に押す及び/又は枢動させる力を及ぼすために配置されることは好都合である。これによって、本発明によるカポタストは、前記ネック上に簡単な方法で固定することができ、前記固定は簡単な方法で解放することができる。その際、前記固定中、前記第1アーム及び前記第2アームは互いに対する最大開放幅を有するため、容易な調整が可能である。解放するには、相応に力を加えることにより押し広げることができる。
【0045】
特に、前記ばね機構は、前記第1アーム上及び前記第2アーム上で支持されて、相応に力を加えられるようにされる。
【0046】
前記ばね機構が、前記第2アームに対して変位可能であり且つ前記第2アーム上で支持されるばね領域、特に自由端を有することは正に特に有利である。従って、ばね作用は、前記第1アーム上で前記第2アームが変位可能であることの影響を受けない。他方で、前記第2アーム上で前記第1アームが変位可能であることが確実にされる。
【0047】
コンパクトな設計において、前記ばね機構の1つ以上の巻回がピボット‐滑り軸受の軸の周りに配置される。
【0048】
前記少なくとも1つの接触面が、前記第1アームの外側輪郭領域により形成され、該外側輪郭領域が前記第2アームに面することは好都合である。このことにより、構成がコンパクトになる。その際、前記接触面は、前記外側輪郭を相応に形成することにより生成される。
【0049】
同じ理由で、前記少なくとも1つの第2接触面が前記第2アームの外側輪郭領域により形成され、該外側輪郭領域が前記第1アームに面することは好都合である。
【0050】
製造技術の観点から、前記少なくとも1つの第1接触面が前記第1アーム上で一体に形成されることは更に有利である。同じ理由で、前記少なくとも1つの第2接触面が前記第2アーム上で一体に形成されることは好都合である。従って、前記それぞれのアーム上で接触面を形成するために更なる部品を固定することは必要ではない。
【0051】
好都合なことに、一方の前記アームは、他方の前記アームとの結合領域にてフォーク状に構成され、対向するフォーク要素が前記他方のアームの上で係合する。これによって、前記他方のアームは、フォーク要素の間の中間領域に挿入することができる。これによって、前記2つのアームは互いの上で簡単な方法で保持することができ、固定位置をロックするための接触面も簡単な方法で実施することができる。
【0052】
特に、前記他方のアーム用の少なくとも1つの接触面が、前記フォーク要素の間の中間領域に形成される。従って、本発明によるカポタストは、コンパクトなやり方で構成することができ、容易に、特に片手で操作することもできる。
【0053】
前記少なくとも1つのばね機構が、前記ネック後側係合領域の方向に前記第1アームに圧力を及ぼすことにより前記ネック上の固定位置が解放可能となるように配置及び構成されることは好都合である。特に、この解放可能性は、前記第1アームの前端の近傍に圧力を及ぼすことにより可能である。従って、カポタストは、片手による操作で簡単な方法で解放することができる。
【0054】
本発明を詳細に説明するため、図面と合わせて、好適な実施形態を以下に記載する。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明によるカポタストの実施形態の、弦楽器のネックの区域との斜視図。
【図2】ネック上にカポタストが固定された、図1におけるのと同じ図。
【図3】隠れている要素を破線で描写した、図1によるカポタストの側面図。
【図4】図1による線4‐4に沿って切り取った断面図(開放されたカポタスト)。
【図5】図2による線5‐5に沿って切り取った断面図(固定されたカポタスト)。
【図6】本発明によるカポタストの、断面図における更なる実施形態。
【図7】図6によるカポタストの、線7‐7に沿って切り取った断面図。
【発明を実施するための形態】
【0056】
カポタストとは、ギター、マンドリン、又はバンジョー等の弦楽器の弦10の振動長さを短縮するのに使用される装置である。カポタストは、弦楽器のネック14上で2つのフレット12a、12b(図1、図2)間に設置され、ネック14の周りで緊締される。これによって、弦10はフレット12a、12bに押し付けられる。その際、演奏の観点から使用可能な弦長部分は、弦楽器のブリッジと、ブリッジに最も近いところにある、2つのフレットのうちの1つとの間の長さ部分である。図2による実施形態において、そのフレットはフレット12bである。
【0057】
例えば、対応する弦楽器を歌声に適合させるためにカポタストが使用される。カポタストによって弦を短縮すると弦楽器のピッチが高くなる。従って、もはや楽曲を適切な対象キーに移調する必要はない。その楽曲が聞こえているところのキーを変更する必要なく、演奏することが技術的に容易な形態に楽曲を変換するのにもカポタストが使用される。
【0058】
図1〜図5に示しそこで符号16で表す本発明によるカポタストの実施形態は、第1アーム18(弦接触アーム)及び第2アーム20(ネック後側接触アーム)を含む。第1アーム18は、弦10上に設置されるように作用し、弦係合領域22を含むか又はこれを保持する。第2アーム20は、ネック14の後側24上に設置されるように作用し、ネック後側係合領域26を含むか又はこれを保持する。
【0059】
第1アーム18は、滑り軸受28によって第2アーム20上で変位するように保持される。図示し記載する実施形態において、滑り軸受はピボット‐滑り軸受30として構成されており、ピボット‐滑り軸受30によって、第1アーム18は第2アーム20に対して枢動可能でもある。
【0060】
アーム20は、ピボット‐滑り軸受30が配置される第1領域32と、ネック後側係合領域26が配置される第2領域34とを備えたC字形の形状をしている。
【0061】
第1領域32に、直線方向36に延びる変位案内部38が配置される。カポタストが調整される際、変位案内部38は、弦10に対して直交方向に、特に少なくともほぼ垂直に配向される(図3を参照)。
【0062】
第2アーム20は、少なくとも変位案内部38の範囲では、一方の側が外方向に覆われた内部空間40を有する(図4)。内部空間40は、他方の側42へ向けて開放している。側42では、第2アーム20は、直線方向36に対して少なくともほぼ平行な外側輪郭44を有する。以下でより詳細に説明するように、第1アーム18用の第2接触面46が、この外側輪郭44によって形成される。
【0063】
変位案内部38は、両側にて内部空間40と隣接している壁50内で、互いに位置合わせして形成される連続するスロット48により形成される。スロット48は開放方向51を有する(図5及び図7)。スロット48は開放方向では材料により限られていない。開放方向51は外部空間に面する。
【0064】
第2領域34は、第1領域32に対して角度を成して配置される。第2アーム20は、第1領域32から第2領域34までの推移部に、湾曲した外側輪郭を有する。第2アーム20の対向する側面52a、52bは、略平坦な形状であり、互いに対して平行である。ネック後側係合領域26は、例えば弾性パッド54等の弾性の構造体により形成されており、弾性パッド54は、第2アーム20の第2領域34の前端に、又はその近傍に固定される。
【0065】
図示する実施形態において、弾性パッド54は、そこに押圧力が及ぼされていないとき、弦係合領域22の方向に、先端が丸くされた三角形の断面形状を有する。
【0066】
第1アーム18は、ほぼ大文字のLの形状を有し、結合領域56により第2アーム20に接続している。結合領域56は、第1フォーク要素58a及び第2フォーク要素58bを備えたフォーク形の構成である(図4)。第1フォーク要素58a及び第2フォーク要素58bは、それらの間に中間空間60を備えて離間している。第2アーム20は中間空間60内に延び、第1フォーク要素58a及び第2フォーク要素58bは、第2アーム20を側面52a及び52bにて取り巻いている。
【0067】
第1フォーク要素58a及び第2フォーク要素58bには、ピン要素62が固定される。ピン要素62は、第2アーム20内でスロット48を通過している。通過方向は、開放方向51に対して平行である。ピン要素62は、変位案内部38内で、方向/反対方向64に変位可能である。このようにして、第1アーム18も第2アーム20に対して変位可能である。変位方向64は、開放方向51に対して直交方向であり、例えば垂直である。ピン要素62の長手延伸方向は、開放方向51に対して少なくともほぼ平行である。
【0068】
ピン要素62は、第1アーム18の結合領域56にて、回転可能に固定された方法で、あるいは回転する方法で固定される。ピン要素は、中で回転可能な変位案内部38においてこのような遊びと共に案内される。これによって、ピン要素62はピボット‐滑り軸受30の軸66を形成し、軸66によって、第1アーム18が第2アーム20に対してピボット軸68の周りで枢動可能である。ピボット軸68は、方向/反対方向64に対して垂直(即ち直線方向36に対しても垂直)である。好ましくは、ピボット軸68は開放方向51に対して平行である。
【0069】
第1アーム18上、及び第2アーム20上には、ばね機構70が配置される。ばね機構は、第1アーム18上、及び第2アーム20上で支持される渦巻ばね72を含む。渦巻ばね72は、第2アーム20上でピン要素62の周りに配置されるばね巻回74を含む。ばね巻回74の内径は、ピン要素62の外径よりも大きい。これによって、渦巻ばね72はピン要素62上で緩く保持される。
【0070】
ばね領域76が、関連する最後の巻回から第1アーム18の固定領域78内へと延びる。このばね領域76は、固定領域78にしっかりと固定される。
【0071】
ばねアーム80は、最初の巻回から第2アーム20まで導かれ、内部空間40内で「緩く」支持される。支持は、第1アーム18の変位可能性がばね機構70により妨げられないようなものであり、即ち、ばねアーム80が内部空間40内で変位可能であるようなものである。一方、ばねアーム80は、第1アーム18にばね力を及ぼし得るように、第2アーム20上で永続的に支持される。
【0072】
ばね機構60のばね力は、第1アーム18を、第2アーム20から離れる方向に運動させようとするように、即ち、弦係合領域22とネック後側係合領域26との間の間隔を拡大するように作用する。
【0073】
第1アーム18は上側82を有し、上側82は、結合領域56に又は結合領域の近傍に、第1凹み領域84と、前端88に又は前端の近傍に、第2凹み領域86とを含む。第1凹み領域84は、カポタスト16がネック14上に固定されるべき際に、使用者の指の係合面として働く。第2凹み領域86は、カポタスト16が固定位置から解放されるべき際に、使用者の指の係合面として働く。
【0074】
第1アーム18の上側82は平滑な形状である。ネック後側係合領域26へ向かう方向では、第1アーム18は、上方に延びる側縁92a、92bを備えたチャネル状の形状であり、側縁92a、92b間には中間空間94があり、中間空間94は、ネック後側係合領域26へ向けて開放している。
【0075】
第1アーム18上には、揺動子90が枢動可能に配置される。この目的で、中間空間94を通るピン要素96が側縁92a、92bにて固定される。揺動子90はこのピン要素96上に着座している。
【0076】
ピン要素96は、ピボット軸受98の(外側)軸を形成する。このピボット軸受98のピボット軸100が、ピボット‐滑り軸受30のピボット軸68に対して平行である。
【0077】
弦係合領域22は、揺動子90上に配置される。弦係合領域22は、対応する弦楽器の指板の全ての弦の上方で延びることができるような幅である。
【0078】
揺動子90は、第1アーム18の内側に面しており、例えば−5°〜+5°間の特定の角度範囲内で枢動運動が可能であるような形状である。
【0079】
揺動子90は、前端102が第1アーム18の前端88を越えて延びている。
【0080】
第1アーム18上には、第2接触面46と協動してネック14上でカポタスト16の固定位置をロックする第1接触面104が配置される。(幾つかの第1接触面104及び第2接触面46が設けられることも可能である。つまり例えば、このような複数の接触面が、部分的な範囲を設けることによって作られる。簡単にするために、以下では常に1つの接触面を参照する。原則として、この接触面は多部分からなる形状であってもよい。)
【0081】
開放方向51は、第1接触面104及び第2接触面46に対して平行に配向される。
【0082】
第1接触面104は、結合領域56上で第1フォーク要素58aと第2フォーク要素58bとの間に形成される。第2接触面46を備えた第2アーム20は、第1アーム18の変位位置に応じて中間空間60内に延び、第1接触面104が第2接触面46に当接することができる。
【0083】
第1接触面104及び第2接触面46は各々、関連するアーム18及び20上にそれぞれ一体に形成される。これらの接触面は、他方のアームに面する外側輪郭上に形成される。その際、第2アーム20の外側輪郭44は、ここで外側輪郭44の上に第2接触面46が形成されていて、中間空間60の境界面に面していて、ここで中間空間60の上に第1接触面104が形成される。対応する方法で、第1アーム18の外側輪郭は、第2アーム20の外側輪郭44の結合領域56に面する。
【0084】
第1アーム18及び第2アーム20は、例えばプラスチック材料製である。揺動子90もプラスチック材料製である。
【0085】
図6及び図7に示す実施形態において、弦係合領域22は弾性パッド106として形状される。特に、弦係合領域は一体に作製される。弾性パッド106は、揺動子90上に配置される。弾性パッド106は、弦10用の係合面108を有し、係合面108が弦10上で作用する。係合面108は、その形状が、弦10に対して直交する方向である方向110で変化している。つまり係合面108は、ピボット‐滑り軸受30から離れる方向に寸法が増加する。この目的で、例えば、弾性パッド106は、三角形の形状である自由空間112を有する。従って、弾性パッド106は第1フランク114a及び第2フランク114bを有し、第1フランク114a及び第2フランク114bの間に自由空間112が在る。自由空間112は、弦10用に任意の係合領域を持たない。第1フランク114a及び第2フランク114bは、橋絡要素116により揺動子90の前端102の範囲内において接続している。
【0086】
弾性パッド106は、自由空間112の上方に楔形の凹部を有する。この凹部は、弦係合領域22上での弦10の接触範囲を短縮する。
【0087】
弦楽器のネック14は、しばしば湾曲している。このような曲線を、弾性パッド106により、弦10に対して直交方向に補償することができる。
【0088】
楽器には様々な太さの弦が張られている。太い方の弦は低めの音を生成し、細い方の弦は高めの音を生成する。これらの差を、ただしこの差により有効な係合面が相違するものであるが、連続的に変わる形状の係合面108を形成することにより、カポタスト16上で補償することができる。弾性パッド106上の弦の有効な係合面は、パッド106上の対応する弦10の直径と、対応する弦10の接触長さとの積から生じる。係合面の寸法が方向110において減少しているので、パッド上の接触長さを、自由空間112により短縮することができる。これによって、全ての弦の有効な係合面を、互いに少なくともほぼ一致させることができる。ピボット‐滑り軸受30から更に離れたところにある細い方の弦では、直径は実に小さめであるが、弾性パッド106上の接触長さは大きめである。ピボット‐滑り軸受30に、より近いところにある弦(低ピッチの弦)では、直径は大きめであり、自由空間112があるため接触長さは小さめである。
【0089】
これによって、全ての弦10の、弾性パッド106への食い込みを均一な深さにすることができる。特に、これによって、細い方の弦が、太い方の弦よりも深く弾性パッド106へと食い込むことが防止される。細い方の弦が、太い方の弦よりも深く弾性パッドへと食い込むことがあると、演奏中、太い方の弦が側方に偏位することがあろう。
【0090】
ネック後側係合領域26は、例えば第2アーム20に押し付けられている弾性パッド118により、例えば第2アームに対して鈎状に曲げられた領域120(図6)内に形成される。弾性パッド118は例えば、第2アーム20に、付加的に接着することによって接続する。弾性パッドは好ましくは第2アーム20の領域122全体にわたって延びており、領域122は、弦楽器のネック14と接触することができる。
【0091】
その他の点では、第1アーム18と第2アーム20とは、上述したところと同じように構成される。
【0092】
本発明によるカポタストは、以下のように作動する。
【0093】
図1に示すようなピン要素62が上向きに押し上げられると、弦係合領域22が、ネック後側係合領域26から最も遠いところに離間する。ばね機構70のばね力も、中間空間60に隣接する面が外側輪郭44の上方領域に当接するまで、第1アーム18をピボット軸68の周りで第2アーム20から離れる方へ枢動方向に押圧する。その際、カポタスト16は最大開放幅を有するので、弦楽器のネック14上でカポタストを容易に調整することができる。
【0094】
この場合、片手による操作が可能である。
【0095】
カポタスト16は弦楽器上で、太い方の弦(低ピッチの弦)がピボット‐滑り軸受30に、より近いところに在り、細い方の弦(高ピッチの弦)が、より遠いところにくるように調整される。これによって、弾性パッド106上の対応する弦の接触長さ部分が、対応する弦10の直径に対して少なくともほぼ相反して挙動するであろうことが確実になる。
【0096】
その際、使用者がアーム18を変位案内部38にて方向/反対方向64へ押し下げると、弦係合領域22はこれによってネック後側係合領域26に向かって変位する。
【0097】
このようにする最も容易な方法は、使用者が、第2アーム20をその下側にて1つ以上の指により保持し、第1アーム18上で第1凹み領域84内を親指で作動させて第1アームを変位させることである。
【0098】
そうすると、使用者は、第1アーム18に圧力を及ぼす。これによって、弦10に押し付けられること及び締結がもたらされる。更なる枢動運動は生じない。
【0099】
変位案内部38が弦10に対して少なくともほぼ垂直な配向であることにより、全ての弦10へ均一に圧力を加えることが可能になる。枢動運動が生じないことから、ただし、枢動運動があると、原則として異なる弦が異なる強さの圧力を受けることになるものであるが、全ての弦10について、フレット12a、12bに弦を均一に押圧することができる。
【0100】
使用者が、例えば親指で第2凹み領域86を押圧することにより、固定が解放される。使用者は同時に下から第2アーム20へと緊張を与える。ネック後側係合領域26が弾性の構成であるため、固定を解放することができ、アーム18は、ばね機構70のばね力により、第2アーム20上の変位案内部38内で上向きに押し上げられる。
【0101】
上述のように、固定及びロックは片手で可能である。
【0102】
過度に高い緊締圧が選択された場合、又は、固定されたカポタスト16の位置が変更されねばならない場合、握りを変更せずに解放をもたらすことが可能である。その際、親指を第1凹み領域84から第2凹み領域86へ移すだけでよい。
【0103】
ばね機構70、及び第2アーム20上の第1アーム18の枢動可能な軸受は、ネック14上でカポタスト16を簡単に調整/解放するように働く。ネック14上でカポタスト16をしっかりと保持するには、「唯1つの」滑り軸受を設け、第1接触面104及び第2接触面46を設けることで十分である。
【0104】
カポタスト16がネック14上で圧力下に保持される際、第1接触面104は第2接触面46を押圧し、ロック位置が固定される。このロック位置を固定するために、ねじ又は同等のもの等のその他の任意の補助器具は必要ない。ロック位置の固定は、開放方向51を第1接触面104及び第2接触面46に対して平行に配向することで行われる。大きめの緊締力(弦10上の締結力)を加えるべき場合、第1アーム18は変位案内部38内で更に変位することができる。従って、締結力を調節することが可能である。第1アーム18及び第2アーム20の離間移動は、第1接触面104及び第2接触面46により1つの方向においてのみもたらされ、このことにより、弦係合領域22とネック後側係合領域46との間の間隔が増加する。締結力を増加させるために、この方向とは反対の方向において、更なる(力を加えることによる)移動が可能である。
【0105】
緊締圧は、上に弦係合領域22が配置される揺動子90により、弦10に均一に分配することができる。特にこの目的で、緊締圧の均一な分配を可能にするために、揺動子90用の軸を形成するピン要素96は、揺動子90の中心に配置される。
【0106】
それ故に、本発明による解決法では、カポタスト16が正確に弦10上に設置されることはもはや絶対的に必要というわけではない。(先行技術から公知のカポタストにおいて、弦上での正確な調整は絶対的に必要であり、そうしなければ、弦への圧力分配が大きくばらつくことになる。圧力分配が大きくばらついていると、過度に高い圧力のため、弦の幾つかの音が外れることがある一方で、他の弦への圧力が過度に低くなる。このことにより、対応する弦にビビリが生じることがある。)
【0107】
本発明による解決法では、使用者にとって、弦10が聞き取れるほどに音が外れない限り大きめの圧力範囲も利用可能である。
【0108】
原則として、弦楽器が異なればフレット長も異なることは事実である。本発明による解決法では、弦10へ均一に圧力を加えることが達成可能であることから、緊締幅がそれぞれのフレット長に適合される必要はない。このことは、カポタスト16が普遍的に使用可能であることを意味する。
【0109】
弦係合領域22がそれにより弦10に作用する緊締圧は、使用者により個別に設定することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
弦楽器のネック(14)上に固定するためのカポタストであって、
弦係合領域(22)が配置される第1アーム(18)と、
ネック後側(24)用の係合領域(26)が配置される第2アーム(20)と、
滑り軸受(28;30)、ここで、該滑り軸受により前記第1アーム(18)が前記第2アーム(20)上で変位するように保持されると共に、該滑り軸受は、開放方向(51)が変位方向(64)に対して直交する少なくとも1つのスロット(48)又は少なくとも1つの溝により形成される変位案内部(38)を有する、と、
前記第1アーム(18)上に形成される少なくとも1つの第1接触面(104)と、
前記第2アーム(20)上に形成される少なくとも1つの第2接触面(46)と、
を含み、
前記弦係合領域(22)と前記ネック後側係合領域(26)との間隔を増加させる前記第1アーム(18)及び前記第2アーム(20)の離間可動が、前記少なくとも1つの第1接触面(104)と前記少なくとも1つの第2接触面(46)との接触によりロック可能であり、
前記開放方向が、前記第1接触面(104)に対して少なくともほぼ平行に且つ前記第2接触面(46)に対して少なくともほぼ平行に配向される、
カポタスト。
【請求項2】
請求項1に記載のカポタストであって、前記少なくとも1つの第1接触面(104)及び前記少なくとも1つの第2接触面(46)が、接触することで、前記カポタスト(16)が前記ネック(14)上で緊締される時に前記離間可動がロックされるように構成されることを特徴とするカポタスト。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のカポタストであって、前記少なくとも1つの第1接触面(104)及び前記少なくとも1つの第2接触面(46)が、前記第1アーム(18)及び前記第2アーム(20)の離間可動とは反対の方向における互いへと向かう接近可動が可能となるように構成されることを特徴とするカポタスト。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載のカポタストであって、前記変位案内部(38)が線形の案内部であることを特徴とするカポタスト。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載のカポタストであって、前記少なくとも1つの第2接触面(46)が、前記変位案内部(38)に対して少なくともほぼ平行であることを特徴とするカポタスト。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載のカポタストであって、前記第1アーム(18)が、前記変位案内部(38)上で少なくとも1つのピン要素(62)によって案内されることを特徴とするカポタスト。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載のカポタストであって、前記滑り軸受(28)がピボット‐滑り軸受(30)として構成され、前記第1アーム(18)が前記第2アーム(20)に対して枢動可能であることを特徴とするカポタスト。
【請求項8】
請求項7に記載のカポタストであって、ピボット軸(68)が、前記変位方向(64)に対して垂直に配向されることを特徴とするカポタスト。
【請求項9】
請求項7又は8に記載のカポタストであって、前記ピボット‐滑り軸受(30)が、変位案内部(38)内で変位するように案内され且つ前記変位案内部(38)内で回転可能である軸(66)を有することを特徴とするカポタスト。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項に記載のカポタストであって、前記カポタストが前記ネック(14)上で調整される時、前記変位案内部(38)が前記弦(10)に対して少なくともほぼ垂直に配向されることを特徴とするカポタスト。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか1項に記載のカポタストであって、前記弦係合領域(22)が着座する枢動可能な揺動子(90)が前記第1アーム(14)上に配置されることを特徴とするカポタスト。
【請求項12】
請求項11に記載のカポタストであって、前記揺動子(90)のピボット軸(100)が、前記第1アーム(18)が前記第2アーム(20)上で枢動運動及び変位するように装着されるピボット‐滑り軸受(30)のピボット軸(68)に対して平行であることを特徴とするカポタスト。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか1項に記載のカポタストであって、前記弦係合領域(22)が弾性材料により形成されることを特徴とするカポタスト。
【請求項14】
請求項13に記載のカポタストであって、前記弦係合領域(22)が弾性パッド(106)により形成されることを特徴とするカポタスト。
【請求項15】
請求項14に記載のカポタストであって、前記弾性パッド(106)が、前記弦の延伸方向に対して直交する方向に変化する係合面(108)を有し、従って、直径がより大きな弦(10)に対する前記係合面(108)が、直径がより小さな弦(10)に対する係合面よりも小さいことを特徴とするカポタスト。
【請求項16】
請求項15に記載のカポタストであって、前記弾性パッド(106)が三角形の自由空間(112)を有することを特徴とするカポタスト。
【請求項17】
請求項1〜16のいずれか1項に記載のカポタストであって、前記ネック後側(24)用の前記係合領域(26)が弾性パッド(54)により形成されることを特徴とするカポタスト。
【請求項18】
請求項1〜17のいずれか1項に記載のカポタストであって、前記第1アーム(18)が、上方に延びる側縁(92a、92b)を備えたチャネル状の領域を有し、該領域に前記弦係合領域(22)が配置されることを特徴とするカポタスト。
【請求項19】
請求項18に記載のカポタストであって、前記上方に延びる側縁(92a、92b)上に、揺動子(90)が枢動可能に固定されることを特徴とするカポタスト。
【請求項20】
請求項1〜19のいずれか1項に記載のカポタストであって、前記弦係合領域(22)が、前記第1アーム(18)の前端(88)を越えて延びることを特徴とするカポタスト。
【請求項21】
請求項1〜20のいずれか1項に記載のカポタストであって、ばね機構(70)が、前記第1アーム(18)と前記第2アーム(20)との間に、前記第1アーム(18)を前記第2アーム(20)から離れる方向に押す及び/又は枢動させる力を及ぼすために配置されることを特徴とするカポタスト。
【請求項22】
請求項21に記載のカポタストであって、前記ばね機構(70)が、前記第1アーム(18)及び前記第2アーム(20)上で支持されることを特徴とするカポタスト。
【請求項23】
請求項21又は22に記載のカポタストであって、前記ばね機構(70)が、前記第2アーム(20)に対して変位可能であり且つ前記第2アーム(20)上で支持されるばね領域(80)を有することを特徴とするカポタスト。
【請求項24】
請求項21〜23のいずれか1項に記載のカポタストであって、前記ばね機構(70)の1つ以上の巻回(74)が、ピボット‐滑り軸受(30)の軸(66)の周りに配置されることを特徴とするカポタスト。
【請求項25】
請求項1〜24のいずれか1項に記載のカポタストであって、前記少なくとも1つの第1接触面(104)が、前記第1アーム(18)の外側輪郭領域により形成され、該外側輪郭領域が前記第2アーム(20)に面することを特徴とするカポタスト。
【請求項26】
請求項1〜25のいずれか1項に記載のカポタストであって、前記少なくとも1つの第2接触面(46)が前記第2アーム(20)の外側輪郭領域(44)により形成され、該外側輪郭領域が前記第1アーム(18)に面することを特徴とするカポタスト。
【請求項27】
請求項1〜26のいずれか1項に記載のカポタストであって、前記少なくとも1つの第1接触面(104)が前記第1アーム(18)上で一体に形成されることを特徴とするカポタスト。
【請求項28】
請求項1〜27のいずれか1項に記載のカポタストであって、前記少なくとも1つの第2接触面(46)が前記第2アーム(20)上で一体に形成されることを特徴とするカポタスト。
【請求項29】
請求項1〜28のいずれか1項に記載のカポタストであって、一方の前記アーム(18)が、他方の前記アーム(20)との結合領域(56)にてフォーク状に構成され、対向するフォーク要素(58a、58b)が前記他方のアーム(20)の上で係合することを特徴とするカポタスト。
【請求項30】
請求項29に記載のカポタストであって、前記他方のアーム(20)用の少なくとも1つの接触面(104)が、前記フォーク要素(58a、58b)の間の中間領域に形成されることを特徴とするカポタスト。
【請求項31】
請求項21〜30のいずれか1項に記載のカポタストであって、前記少なくとも1つのばね機構(70)が、前記ネック後側係合領域(26)の方向に前記第1アーム(18)に圧力を及ぼすことにより前記ネック(14)上の固定位置が解放可能となるように配置及び構成されることを特徴とするカポタスト。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2011−515709(P2011−515709A)
【公表日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−500161(P2011−500161)
【出願日】平成21年3月13日(2009.3.13)
【国際出願番号】PCT/EP2009/052984
【国際公開番号】WO2009/115461
【国際公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【出願人】(510121880)ヴィットナー ゲーエムベーハー ウント ツェーオー カーゲー (2)
【氏名又は名称原語表記】Wittner GmbH & Co. KG
【住所又は居所原語表記】Buehlbergstrasse 5 − 6, 88316 Isny, Germany
【Fターム(参考)】