説明

カム織機構、その機構を取付けた織機と前記機構を組立てる方法

【課題】
時間を浪費せずに、特殊な工具を使用せずに、機構フレームとこれらカムと交差する振動レバーとに対して共通駆動軸の位置決めの位置を妥協せずに、カムが機械自体の据え付けられ且つ取り外され得る織機構を提供すること。
【解決手段】
この機構(10)は共通駆動軸(20)に据え付けられ且つ振動レバーに据付けられたカム従動子自体のローラ軌道(18A,18B)を備えた幾つかのカム(18)から成り、駆動軸が機構(10)のフレーム(16)の二つの単片部品(16C,16D)に形成された二つの開口(16A,16B)によって支持されていて、一方の単片部品(16A)を通って軸が延びる。この軸(20)が第一開口(16A)から第二開口(16B)の方向に前記開口間の距離(D16)以下である長さ(L20)にわたり延びているに対して、延長支持体を形成する分解可能な手段(40、50)は前記開口間に位置した前記軸の端(20B)を第二開口(16B)に連結し、そして前記開口間の距離(D16)と前記軸が前記開口間に延びる長さ(L20)の間の差(lE )はカム(18)の幅(l18)より大きい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、織機のカム織機構とそのような機構を取付けた織機とそのような機構を組立てる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
織機の分野では、カム織機構は、織機に据え付けられるヘドルフレームの数に等しい数の連続振動レバーから成り、各振動レバーがフレームの一つに連結されて共通軸により回転される適合カムの二つの軌道と交差する二つのローラを取り付けられるように設計されていることが知られている。機構の初期製造中、或いは織の修正中に通常には4と12の間の数のカムはその駆動軸に据え付けられなければならない。これらカムはカムとカム従動子の隣接軌道間の隙間を極めて大きな程度には防止するか、或いは制限するために大きな精度により据え付けられなければならない。
【0003】
ある公知の機構では、機構のフレームは二つの半軸受を形成し、カムを取付けた共通軸がフレームにより形成された半軸受に据付けられた後に軸受の他方の半部を形成するカラー或いはフランジが半軸受に取付けられいる。この技術はフレームに対する軸の位置決めにおいて不正確度を包含するので、カム軸の軸線と振動レバーの関節の軸線との間の距離の値がこれら軸線の平行のように精度を保証されることができない。
【0004】
機構の主幾何学軸線の良好な位置決めを達成するために、二つのオリフィスが共通カム軸を支持するように形成されるフレームを軸受の介入により使用することは実際に知られている。この場合に、機構の外側のスリーブ或いはバレルに種々のカムを据え付け、次に回転を防止したカムと取付けられ且つ角度的に割出されたバレルを単片オリフィスが形成されるフレームの二つの部品間に置き、次にこれらオリフィスの一つを通して、スリーブを通して次に第二オリフィスを通して駆動軸を挿入させることは実際に知られている。この技術は、バレルが機構フレームに挿入されるときに重く嵩張る部品の取り扱いを必要とする。カムはベンチ上に機械の外側のバレルに据え付けられなければならなく、輸送手段を必要とし、時間を浪費する。
【特許文献1】仏国特許第860225号明細書
【特許文献2】米国特許第2637348号明細書
【特許文献3】米国特許第3603351号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
カムが機械自体の据え付けられ且つ取り外され得る織機構を提案して、時間を浪費せずに、特殊な工具を使用せずに、機構フレームとこれらカムと交差する振動レバーとに対して共通駆動軸の位置決めの位置を妥協せずに、発明が意図するこれら欠点をさらに取り除くことである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
それ故に、この発明は織機のカム織機構に関し、この機構は共通駆動軸に据え付けられ且つ振動レバーに据付けられたカム従動子自体のローラ軌道を備えた幾つかのカムから成り、前記駆動軸が機構フレームの二つの単片部品に形成された二つのオリフィスによって支持されていて、一方の単片部品が前記軸によって横断されている。この機構は、前記軸が第一オリフィスから第二オリフィスの方向にこれらオリフィス間の距離以下である長さにわたり延びているに対して、延長支持体を形成する分解可能な手段がこれらオリフィス間に位置した前記軸の端を第二オリフィスに連結し、そしてオリフィス間の距離と前記軸がオリフィス間に延びる長さの間の差はカムの幅より大きいことを特徴とする。
【0007】
この発明によると、軸の端とフレームの部品の間に空間が形成され、第二オリフィスがフレーム部品に形成され、フレームにすでに据え付けられた軸にカムを据え付けるために、延長を形成する手段の挿入前、或いはその取出し後に、この空間を使用することを可能とする。カムはその駆動軸に個々に据え付けられるので、バレルを使用する必要がなく、各カムは容易な取り扱いと適合する重量と嵩を有する。
【0008】
有益だが、必須ではない観点によると、織機構はすべての技術的に許容し得る組合せに採用された次の特徴の一つ以上を組み込み得る:
・延長支持体を形成する手段は二つのオリフィス間に位置された軸の端を支持する軸受を保持するか、或いは形成する。
【0009】
・延長支持体を形成する手段は軸の端に取り付けられ得て且つカムが回転するのを阻止するためにカムを掴持するように軸方向力をこの軸に据え付けたカムに働かし得る端片部材から成る。この端片部材は軸の端に回転するように有益にしっかりと取り付けられる。この端片部材はその端片部材が介入した軸受と共に挿入されるフレームの第二オリフィスにまで軸方向に延びている。
【0010】
・延長支持体を形成する手段は第二オリフィスに分解自在にに据え付けられ且つ軸の端の方向に延びるスリーブから成る。このスリーブは取り囲むこの端に有益に延びていて、介入した軸受を備える。端片部材が設けられるならば、このスリーブは介入した軸受と共にこの端片部材に軸方向に延びている。
【0011】
この発明は前述のように、織機構を備えた織機に関する。そのような織機はさらに経済的であり、構成することが容易であり、公知の織機よりさらに信頼できる。
【0012】
この発明はさらに前述のように織機構を組立てる方法に関し、さらに特に次の工程から成る方法に関し:
・共通カム駆動軸を機構のフレームへ挿入させ;
・このカムの中央孔をこの軸と実質的に整合する限り、この軸の長手方向軸線に全体に垂直な方向に且つこの軸の自由端とフレームの単片部品との間に形成された容積へ少なくとも一つのカムを移動させ;
・この軸をこのカムで取り囲む限り、この軸の長手方向軸線と全体に平行な方向に且つフレームの前記部品から離れた方向にこのカムを移動させ;
・延長支持体を形成する手段を分解自在に据え付けて、この端をフレームの前記部品に形成されたオリフィスに連結させる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
この発明はより良く理解され、そして発明の他の利点は、単に例として与えられ且つ添付図面を参照して行われる織機構、織機とその原理による方法の二つの実施態様の次の記述の観点でさらに明らかになる。
【実施例1】
【0014】
図1に示された織機Mは、幾つかのヘドルフレームから成り、そのひとつのみがこの図において参照符号1により見ることができる。織機Mの種々のフレームは、二重矢印F1 により示され且つカム機構10により与えられた縦振動運動で作動し、このカム機構の出力レバーが湾曲レバー13と連動されて且つ連結ロッド14によりフレームに一体に連結されたそれぞれ連結ロッド12に作用する。
【0015】
レバー11はヘドルフレームの数に等しい数に設けられ、二重矢印F1 により示される如く、機構10のフレーム16により支持された共通カムの長手方向軸線X15を中心に揺動するように据え付けられている。この機構10はさらに幾つかの適合カムから成り、各カムが二つの軌道18Aと18Bを形成し、レバー11により保持されたそれぞれローラ19Aと19Bを軌道18Aと18Bに押圧する。
【0016】
カム18はフレーム16により支持される共通軸20に取り付けら、軸の第一端20Aがベベルピニオン22と交差するように設計され且つ軸20をその長手方向軸線X20を中心に駆動させ得る減速歯車を形成するベベル歯車を保持する。
【0017】
軸20とカム18を支持するために、フレーム16は円形断面の二つのオリフィス16Aと16Bにより貫通されて、それらそれぞれ中央軸線が全体に互いに整合されて、軸20がフレーム16の適切な場所にあるときに軸線X20と整合される。このオリフィス16Aと16Bはそれぞれに中間リブ16Cに、単片であるフレーム16の側面16Dに形成される。
【0018】
軸受23はオリフィス16Aに置かれ、リブ16Cのいずれかの側面に延びる軸20を支持できる。オリフィス16Aから、軸20はオリフィス16Aと16Bの間の距離D16、即ちフレーム16の部品16Cと16Dの対向面の間の距離より厳密に少ない長さL20にわたりオリフィス16Bの方向に延びる。これは距離D16と長さL20の間の差に等しい幅lE により図3に影に示された空間Eを形成する。
【0019】
空間Eは、幅lE がカム18の幅l18より大きいので、軸20にカム18を据え付けるために使用され得る。特に図3に示されるように、カム18は矢印F3 の方向に、即ち軸線X20に全体に垂直な方向に空間Eへ挿入され得て、このカム18はフレーム16の側面16Dと軸20の自由端20Bの間に挿入される。カム18の中央孔18Cが全体に軸線X20と整合されるときに、図3の矢印F4 の方向に、即ちリブ16Cの方向にこのカムを移動できるので、このカムは軸20の端20Bを取り囲む。次に、このために設けられたカムの軸方向ドリル孔を整合させるようにカムを角度的に配向することができ、角度割出しロッド24が軸20に既に据え付けられたカムの対応整合オリフィスに前もって据付けられている。
【0020】
機構10に設けられたすべてのカムは上記に示されるように、軸20に据付けられたならば、軸20の端20Bはそれぞれに軸20と側面16Dにしっかりと取り付けられた端片部材40とスリーブ50によってフレーム16の側面16Dに連結されている。端片部材40はオリフィス16Bの方向に軸20を延ばすように設計されて、軸20の端20Bに設けられたほぞ20Cと交差するように設計されたみぞ40Cを備えており、互いに回転するように要素20と40を速く形成でき、それで、軸20により端片部材40の角度駆動を固定させる。
【0021】
この端片部材40は軸20の端20Bを取り囲み且つこの端8に最も近いカム18に押圧するように設計されたスカート40Dから成り、その押圧の間にカムの堆積部に矢印F5 により表現され且つ軸20に据え付けらて肩を形成するリング25へ向けられた力を働かす。この力は握り効果によりカムが回転することを阻止する。
【0022】
この端片部材40は端片部材40のドリル孔40Eに且つ軸20のタッピング20Eに受けられたねじ41によって軸20に固定されている。それで、ねじ41を締め付けることにより、力F5 はカム18を握って軸20に回転するようにカムをしっかりと取り付けできるように作用される。
【0023】
スリーブ50は四本のねじ51によってフレーム16の側面16Dに固定され、二本のねじは図2において見ることができ、オリフィス16Bの外側に半径方向に位置したタッピングを貫通する。このスリーブ50は側面16Dの外面に押圧するリム50Aから成り、端片部材40と軸20の端端20Bを取り囲むようにリブ16Cの方向に延びている。一連のローラ60は端片部材40の半径方向外面40Fとスリーブ50の半径方向内面50Fとの間に介入されて、それで端20Dを支持する軸受を創ることができる。ねじ50Jにより固定されたラグ50Gはローラ60を適切な位置に保持できる。
【0024】
ストッパー50Kはスリーブ50の中央開口に分解自在に据え付けられて、端片部材40とねじ41を覆うことができる。
【0025】
それで、要素40−60は軸20を延ばすことを可能とするので、その端がオリフィス16Bで側面16Dにより支持されている。
【0026】
ローラ60により形成された軸受が端片部材40のスカート40Dに必ずしも置かれずに、端片部材40の長さの任意の位置に形成され得た。
【0027】
カム機構が分解される、特にあるカムを交換する必要があるならば、再び空間Eを創るためにストッパー50Kを取り外し、次にねじ51と41を緩めて要素40と50を取り外すのに十分であり、その空間によりカム18が上記の移動の逆である移動において取り外され得る;次に新たなカムが据え付けられ得る。
【実施例2】
【0028】
図4に示されたこの発明の第二実施態様では、軸20を延ばす端片部材40は孔16Bの内側まで延びていて、そこで介入されたローラ60から創られた軸受を受けている。ねじ41は端片部材40を軸20の端20Bにしっかりと取り付けることを可能とし、この端片部材40は座金70と連動され、その座金はカム18にカムを握ってカムを回転可能にしっかりと取り付ける軸方向力F5 を働かすことを可能とする。
【0029】
ストッパー50Kは端片部材40とねじ41を外部から隔離することを可能にする。
【0030】
第二実施態様では、空間Eはカム18が必要に応じて据え付け取り外しされ得るように創られる。
【0031】
前記種々の実施態様の特徴は、この発明の内容に組合せられ得る。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】この発明による織機の原理部分的概略表現であり、機構の一部が図面の明瞭性のために切り取られている。
【図2】図1のラインIIーIIに沿って大きな寸法の断面である。
【図3】機構が組立てられるときの図2と同様な断面である。
【図4】この発明の第二実施態様による機構の図2の断面と同様な平面における部分的断面の概略表現である。
【符号の説明】
【0033】
1....ヘドルフレーム
10...カム機構
11...レバー
12...連結ロッド
13...湾曲レバー
14...連結ロッド
15...軸
16...フレーム
16A,B...オリフィス
16C,D...フレーム部品
18...カム
18A,B...軌道
20...軸
20E...タッピング
23...軸受
24...ロッド
25...リング
40...端片部材
40D...スカート
40E...ドリル孔
41...ねじ
50...スリーブ
50A...リム
50K...ストッパー
51...ねじ
60...ローラ
70...座金
M....織機
18...カムの幅
16...距離
20...長さ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カム織機構が共通駆動軸に据え付けられ且つ振動レバーに据付けられたカム従動子自体のローラ軌道を備えた幾つかのカムから成り、前記駆動軸が機構フレームの二つの単片部品に形成された二つのオリフィスによって支持されていて、一方の単片部品が前記軸によって横断されている織機のカム織機構において、前記軸(20)が前記第一オリフィス(16A)から第二オリフィス(16B)の方向に前記オリフィス間の距離(D16)以下である長さ(L20)にわたり延びているに対して、延長支持体を形成する分解可能な手段(40、50)が前記オリフィス間に位置した前記軸の端(20B)を第二オリフィス(16B)に連結し、そして前記オリフィス間の距離(D16)と前記軸が前記オリフィス間に延びる長さ(L20)の間の差(lE )はカム(18)の幅(l18)より大きいことを特徴とする機構。
【請求項2】
延長支持体を形成する前記手段(40、50)が前記軸(20)の前記端(20B)を支持する軸受(60)を保持するか、或いは形成することを特徴とする請求項1に記載の機構。
【請求項3】
延長支持体を形成する前記手段(40、50)が前記軸(20)の前記端(20B)に取付けできて、回転からカムを阻止するように前記軸に据付けられたカム(18)に前記カムを掴持する軸方向力(F5 )を働かすことができる端片部材(40)から成ることを特徴とする請求項1或いは請求項2に記載の機構。
【請求項4】
前記端片部材(40)は前記軸(20)の前記端(20B)に回転するようにしっかりと取付けられていることを特徴とする請求項3に記載の機構。
【請求項5】
前記端片部材(40)は、その端片部材が介入された軸受(60)と共に挿入される前記第二オリフィス(16B)にまで軸方向に延びていることを特徴とする請求項3或いは請求項4に記載の機構。
【請求項6】
延長支持体を形成する前記手段(40、50)は前記第二オリフィス(16B)に分解可能に据え付けられ、前記軸(20)の前記端(20B)の方向に延びているスリーブ(50)から成ることを特徴とする請求項1或いは請求項4に記載の機構。
【請求項7】
前記スリーブ(50)は、そのスリーブが介入された軸受(60)と共に取り囲む前記軸(20)の前記端(20B)までに軸方向に延びていることを特徴とする請求項6に記載の機構。
【請求項8】
前記スリーブ(50)は、そのスリーブが介入された軸受(60)と共に取り囲む前記端片部材(40)までに軸方向に延びていることを特徴とする請求項3、請求項4或いは請求項6に記載の機構。
【請求項9】
前記請求項1乃至8のいずれか一項に記載の織機構(10)を備えた織機(M)。
【請求項10】
前記カムが共通駆動軸に据え付けられ且つ振動レバーに据付けられたカム従動子自体のローラ軌道を備えた織機のカム織機構を組み立てる方法において、
・前記駆動軸(20)を機構(10)のフレーム(16)へ挿入させ;
・前記カムの中央孔(18C)を前記軸(20)と実質的に整合する限り、前記軸の長手方向軸線(X20−X’20)に全体に垂直な方向に且つ前記軸の自由端(20B)と前記フレームの単片部品(16D)との間に形成された容積(E)へ少なくとも一つのカム(18)を移動(F3 )させ;
・前記軸を前記カムで取り囲む限り、前記軸の前記長手方向軸線と全体に平行な方向に且つ前記フレームの前記部品から離れた方向に前記カムを移動(F4 )させ;
・延長支持体を形成する前記手段(40、50)を分解自在に据え付けて、前記端(20B)を前記フレームの前記部品に形成されたオリフィス(16B)に連結させる工程から成ることを特徴とする方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2007−530816(P2007−530816A)
【公表日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−505581(P2007−505581)
【出願日】平成17年3月25日(2005.3.25)
【国際出願番号】PCT/FR2005/000730
【国際公開番号】WO2005/098108
【国際公開日】平成17年10月20日(2005.10.20)
【出願人】(591023572)シュトイブリー・ファベルゲ (31)
【Fターム(参考)】