説明

カム装置

【課題】小型化されたカム装置を実現することにある。
【解決手段】回転可能な入力軸と、該入力軸に支持され、該入力軸と一体的に回転するカムと、該カムと係合するカムフォロアを放射状に備え、前記入力軸と一体的に前記カムが回転することにより回転する出力軸と、前記入力軸の軸方向における該入力軸の位置を決めるための締付フランジと、前記カムから前記出力軸へ向かう、前記軸方向と交差した交差方向、における該入力軸の位置を決めるための偏心フランジと、を有するカム装置であって、前記締付フランジ及び前記偏心フランジは、前記軸方向において並んで設けられていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カム装置に関する。特に、回転可能な入力軸と、該入力軸に支持され、該入力軸と一体的に回転するカムと、該カムと係合するカムフォロアを放射状に備え、前記入力軸と一体的に前記カムが回転することにより回転する出力軸と、を有するカム装置に関する。
【背景技術】
【0002】
各種の搬送装置やロボット等に用いられるカム装置は、既によく知られている。かかるカム装置は、回転可能な入力軸と、該入力軸に支持され、該入力軸と一体的に回転するカムと、該カムと係合するカムフォロアを放射状に備え、前記入力軸と一体的に前記カムが回転することにより回転する出力軸と、を備えている。
【0003】
また、当該カム装置の中には、入力軸の位置決めを行うための位置決め部材として、前記入力軸の軸方向における該入力軸の位置を決めるための締付フランジと、前記カムから前記出力軸へ向かう、前記軸方向と交差した交差方向、における該入力軸の位置を決めるための偏心フランジと、を有するものがある。
【0004】
そして、従来のカム装置においては、当該締付フランジ及び当該偏心フランジが、入力軸の径方向において並んで設けられていた(例えば、当該径方向において、締付フランジの外側に偏心フランジが設けられていた。特許文献1参照)。
【特許文献1】実開昭56−62419号公報
【特許文献2】特開平9−119500号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のカム装置においては、締付フランジ及び偏心フランジが入力軸の径方向において並んで設けられていることに起因して、入力軸の位置決め部材(すなわち、締付フランジ及び偏心フランジ)が、前記径方向において大きな厚みを有することとなっていた。そして、このことが、カム装置の小型化(コンパクト化)を阻害することとなっていた。
【0006】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、小型化されたカム装置を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
主たる本発明は、回転可能な入力軸と、該入力軸に支持され、該入力軸と一体的に回転するカムと、該カムと係合するカムフォロアを放射状に備え、前記入力軸と一体的に前記カムが回転することにより回転する出力軸と、前記入力軸の軸方向における該入力軸の位置を決めるための締付フランジと、前記カムから前記出力軸へ向かう、前記軸方向と交差した交差方向、における該入力軸の位置を決めるための偏心フランジと、を有するカム装置であって、前記締付フランジ及び前記偏心フランジは、前記軸方向において並んで設けられていることを特徴とするカム装置である。
【0008】
本発明の他の特徴については、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも次のことが明らかにされる。
【0010】
回転可能な入力軸と、該入力軸に支持され、該入力軸と一体的に回転するカムと、該カムと係合するカムフォロアを放射状に備え、前記入力軸と一体的に前記カムが回転することにより回転する出力軸と、前記入力軸の軸方向における該入力軸の位置を決めるための締付フランジと、前記カムから前記出力軸へ向かう、前記軸方向と交差した交差方向、における該入力軸の位置を決めるための偏心フランジと、を有するカム装置であって、前記締付フランジ及び前記偏心フランジは、前記軸方向において並んで設けられていることを特徴とするカム装置。
このようにすれば、小型化されたカム装置が実現される。
【0011】
また、前記軸方向において、前記偏心フランジは前記締付フランジよりも内側に設けられていることとしてもよい。
また、前記偏心フランジの中空穴に嵌合し、かつ、前記入力軸を受ける軸受け、を備え、前記締付フランジは、該軸受けを前記軸方向に押圧して移動させることにより、前記入力軸を移動させ、前記偏心フランジは、回転して前記軸受けを前記交差方向に移動させることにより、前記入力軸を移動させることとしてもよい。
かかる場合には、入力軸を簡易な方法で移動させることが可能となる。
【0012】
また、直進移動して前記偏心フランジを押すことにより、該偏心フランジを順方向に回転させるための第一ピンと、直進移動して前記偏心フランジを押すことにより、該偏心フランジを逆方向に回転させるための第二ピンと、を有することとしてもよい。
かかる場合には、前記交差方向における入力軸の位置決めが簡便に行える。
【0013】
また、前記偏心フランジには、第一切り欠き部及び第二切り欠き部が設けられており、前記第一ピンは前記第一切り欠き部を押し、前記第二ピンは前記第二切り欠き部を押すこととしてもよい。
かかる場合には、ピンが偏心フランジを適切に押せるようになり、前記交差方向における入力軸の位置決めが確実に行えるようになる。
【0014】
また、前記第一ピンの、前記第一切り欠き部を押す部分、及び、前記第二ピンの、前記第二切り欠き部を押す部分、は丸みを有していることとしてもよい。
かかる場合には、ピンの切り欠き部への良好な接触状態が適切に維持されることとなる。
【0015】
また、前記偏心フランジは、前記軸方向において前記軸受けと前記締付フランジとの間に位置し、該軸受け及び該締付フランジと接触する鍔部、を有することとしてもよい。
かかる場合には、締付フランジが軸受けへ機械的に悪影響を与えることを防止することが可能となる
===カム装置10の構成例===
次に、図1乃至図6を用いてカム装置10の構成例について説明する。図1は、本実施の形態に係るカム装置10の上面図である。図2は、カム装置10の側面図である。図3は、図2のA−A断面図である。図4は、図1のB−B断面図である。図5は、偏心フランジ56の断面を示した断面図である。図6は、偏心フランジ56と調整用ピンの、入力軸20の軸方向における相対位置関係を示した図である。なお、図1は、図4をX2方向から見たときの図である。図2は、図3をX1方向から見たときの図である。
【0016】
カム装置10は、入力軸20と、カムの一例としてのローラギヤカム30と、出力軸の一例としてのタレット40と、入力軸20の位置決め機構50等を備えている。
【0017】
入力軸20は、一対の軸受けの一例としてのテーパーローラーベアリング(以下、単に、ベアリング22と呼ぶ)により、ハウジング14に対して回転自在に支持されている。入力軸20には、その軸方向一端側において、不図示のモータが締結されており、当該モータの駆動力により入力軸20が回転駆動される。なお、ベアリング22は、入力軸20の軸方向一端部と他端部に設けられている。
【0018】
ローラギヤカム30は、入力軸20に支持され、該入力軸20と一体的に回転する。このローラギヤカム30は、入力軸20が回転して位相が軸方向に変位するカム面30aを有している。
【0019】
タレット40は、クロスローラ軸受42により、ハウジング14に対して回転自在に支持されている。当該タレット40の外周面の下部には、放射状かつ等間隔に配置された複数のカムフォロワ44が設けられている。このカムフォロワ44は、前述したローラギヤカム30と係合しており(換言すれば、ローラギヤカム30のカム面30aに噛み合っており)、前記入力軸20の回転力が、ローラギヤカム30及びカムフォロワ44を介して、タレット40に伝わるようになっている。すなわち、タレット40は、入力軸20と一体的にローラギヤカム30が回転することにより、回転する。なお、クロスローラ軸受42は、図4に示されるように、ハウジング14にねじで固定されたタレットフランジ46に支持されている。
【0020】
位置決め機構50は、入力軸20の位置を決めるためのものであり、締付フランジ52、偏心フランジ56等を備えている。当該位置決め機構50については、後に詳述する。
【0021】
なお、本実施の形態においては、入力軸20が回転駆動されているのにタレット40が回転しない期間、すなわち、停留期間が生じないように、前記カム面30a等の形状が決められている。また、ハウジング14内の空隙部16には、ローラギヤカム30、カムフォロワ44等を潤滑するための油が設けられている。この油のカム装置10外への漏出は、シール部材24、48等により防止されている。
【0022】
<<<位置決め機構50について>>>
次に、位置決め機構50について、より詳しく説明する。位置決め機構50は、図3に示すように、入力軸20の軸方向一端部と他端部にそれぞれ設けられている。軸方向一端部に設けられている位置決め機構50の構成や機能は、軸方向他端部に設けられている位置決め機構50のそれらと同様であるため、以下では、主として、軸方向一端部に設けられている位置決め機構50について説明する。
【0023】
位置決め機構50は、締付フランジ52、偏心フランジ56、一対の調整用ピン(第一ピンの一例としての第一調整用ピン60及び第二ピンの一例としての第二調整用ピン64)等を備えている。
【0024】
締付フランジ52は、入力軸20の軸方向における該入力軸20の位置を決めるためのものである。この締付フランジ52は、図2に示すように、その中心軸が入力軸20の中心軸に略一致する中空円筒形状の部材であり、入力軸20の径方向外側に設けられている。
【0025】
締付フランジ52の外径部52aには、雄ねじ部が設けられており、当該雄ねじ部がハウジング14の雌ねじ部に嵌まり込んでいる。そして、雄ねじ部と雌ねじ部は、締付フランジ52を締めると該締付フランジ52が前記軸方向内側へ(図3において、右から左へ)移動するように、構成されている。また、図3に示すように、締付フランジ52の内側面52bは、前述したベアリング22に接しており、さらに、ベアリング22の内側面22aは、入力軸20に設けられている大径部21に接している。したがって、締付フランジ52を締めると、締付フランジ52はベアリング22を前記軸方向内側に押圧して移動させ、移動するベアリング22が入力軸20を前記軸方向内側に押圧して移動させるようになっている。すなわち、締付フランジ52を締めると、入力軸20は前記軸方向内側へ移動する。そして、このことにより、当該軸方向における入力軸20の位置調整を行って、入力軸20の位置を決めること、が可能となる(具体的な位置決め方法については、後に詳述する)。
【0026】
一方、締付フランジ52の内径部52cは、図2、図3に示すように、前述のシール部材24と接触している。なお、シール部材24は、弾性を有するゴム製の部材であり、図2に示すように、入力軸20の径方向において、入力軸20と締付フランジ52の間に設けられている。すなわち、シール部材24の外径部24aが前記内径部52cに、シール部材24の内径部24bが入力軸20に、それぞれ接している。
【0027】
偏心フランジ56は、前記ローラギヤカム30から前記タレット40へ向かう、前記軸方向と交差した交差方向(当該交差方向を、図3中、記号X3で示す)、における入力軸20の位置を決めるためのものである。図3に示すように、偏心フランジ56は、入力軸20の軸方向において、前記締付フランジ52よりも内側に設けられており、かつ、偏心フランジ56及び締付フランジ52は、当該軸方向において並んで設けられている。偏心フランジ56は、締付フランジ52と同様、中空円筒形状の部材であり、入力軸20の径方向外側に設けられている。
【0028】
図3、図5に示すように、偏心フランジ56の外径部56aは、ハウジング14に、内径部56bは、ベアリング22に、それぞれ接しており(換言すれば、偏心フランジ56の中空穴56cにベアリング22が嵌合し、ハウジング14の中空穴に偏心フランジ56が嵌合しており)、偏心フランジ56は、ハウジング14やベアリング22に対し、相対回転可能となっている。そして、偏心フランジ56は、偏心している(より具体的には、偏心フランジ56の外径部56aの中心軸と偏心フランジ56の内径部56bの中心軸(換言すれば、入力軸20やベアリング22の中心軸)とがずれている)ため、偏心フランジ56が前記相対回転を行うと、ベアリング22が入力軸20と一体的に、前記交差方向X3に移動することとなる。例えば、図5において、偏心フランジ56が時計回りに(順方向に)回転すると、偏心フランジ56の右側部分の厚みが小さくなり、かつ、左側部分の厚みが大きくなるため、入力軸20及びベアリング22が、右方、すなわち、入力軸20に支持されているローラギヤカム30がタレット40へ近づく方向、へ移動する。逆に、偏心フランジ56が反時計回りに(逆方向に)回転すると、偏心フランジ56の右側部分の厚みが大きくなり、かつ、左側部分の厚みが小さくなるため、入力軸20及びベアリング22が、左方、すなわち、前記ローラギヤカム30がタレット40から遠ざかる方向、へ移動する。すなわち、偏心フランジ56は、回転してベアリング22を交差方向X3に移動させることにより、結果として、入力軸20を交差方向X3に移動させる。そして、このことにより、当該交差方向X3における入力軸20の位置調整を行って、入力軸20の位置を決めること、が可能となる(具体的な位置決め方法については、後に詳述する)。
【0029】
調整用ピン(第一調整用ピン60及び第二調整用ピン64)は、入力軸20の交差方向X3における調整を行う際に操作される部材であり、当該調整用ピンが操作されると、偏心フランジ56が回転するようになっている。
第一調整用ピン60及び第二調整用ピン64は、ハウジング14に埋め込まれた状態でハウジング14内に設けられており、ねじ部61、65とピン部62、66とを備えている。第一調整用ピン60は、第二調整用ピン64よりも下側、かつ、第二調整用ピン64の延長線上に位置している。
【0030】
ねじ部61、65の外径部61a、65aには、雄ねじ部が設けられており、当該雄ねじ部がハウジング14の雌ねじ部に嵌まり込んでいる。そして、雄ねじ部と雌ねじ部は、第一調整用ピン60及び第二調整用ピン64を締めると該第一調整用ピン60及び第二調整用ピン64がその長手方向内側へ(図5において、第一調整用ピン60については下から上へ、第二調整用ピン64については上から下へ)、また、第一調整用ピン60及び第二調整用ピン64を緩めると該第一調整用ピン60及び第二調整用ピン64がその長手方向外側へ(図5において、第一調整用ピン60については上から下へ、第二調整用ピン64については下から上へ)、直進移動するように、構成されている。なお、ねじ部61、65の後端部には、ねじ穴61b、65bが設けられており、ハウジング14には、図1、図5に示すように、ねじを回すための工具を挿入させるための空間14aが、備えられている。
【0031】
また、偏心フランジ56は、図5においてその左側(すなわち、前記交差方向X3において入力軸20から見てタレット40とは反対側)、かつ、入力軸20の軸方向における中央部(図6参照)、に第一切り欠き部56d及び第二切り欠き部56eを備えており、第一調整用ピン60は、第一切り欠き部56dに、第二調整用ピン64は、第二切り欠き部56eに収まっている。そして、第一調整用ピン60を締めると、第一調整用ピン60が直進移動してピン部62の丸みを備えた先端部62aが偏心フランジ56を押すことにより、偏心フランジ56が順方向(図5において、時計回り)に回転し、第二調整用ピン64を締めると、第二調整用ピン64が直進移動してピン部66の丸みを備えた先端部66aが偏心フランジ56を押すことにより、偏心フランジ56が逆方向(図5において、反時計回り)に回転するようになっている。
【0032】
<入力軸20の位置決め方法について>
入力軸20が適正な位置に位置していないと、当該入力軸20に支持され入力軸20と一体的に回転するローラギヤカム30と、当該ローラギヤカム30と係合するカムフォロワ44との係合状態が不適切な状態となる。したがって、製造過程等において、これを回避するために入力軸20の位置決めが行われる。本項では、当該入力軸20の位置決め方法について説明する。
【0033】
本実施の形態に係る位置決め方法においては、入力軸20の軸方向における位置決めと、前記交差方向X3における位置決めが行われる。
【0034】
前記軸方向における位置決めを行う際には、先ず、当該軸方向における入力軸20の位置調整が行われる。入力軸20は、軸方向他端部に設けられている締付フランジ52を緩めつつ軸方向一端部に設けられている締付フランジ52を締めることにより軸方向一端から他端へ向かう方向へ移動し、逆に、軸方向一端部に設けられている締付フランジ52を緩めつつ軸方向他端部に設けられている締付フランジ52を締めることにより軸方向他端から一端へ向かう方向へ移動する。したがって、双方を適宜行うことにより前記位置調整が適切に実施され、入力軸20が適正な位置へ位置することとなる。そして、その後、軸方向一端部に設けられている締付フランジ52及び軸方向他端部に設けられている締付フランジ52を締めることにより、入力軸20の軸方向における位置決めが完了する。
【0035】
また、前記交差方向X3における位置決めを行う際には、先ず、当該交差方向X3における入力軸20の位置調整が行われる。第二調整用ピン64を緩めつつ第一調整用ピン60を締めると、偏心フランジ56が順方向(図5において、時計回り)に回転し、入力軸20が、図5において右方、すなわち、入力軸20に支持されているローラギヤカム30がタレット40へ近づく方向、へ移動する。逆に、第一調整用ピン60を緩めつつ第二調整用ピン64を締めると、偏心フランジ56が逆方向(図5において、反時計回り)に回転し、入力軸20が、図5において左方、すなわち、前記ローラギヤカム30がタレット40から遠ざかる方向、へ移動する。したがって、双方を適宜行うことにより前記位置調整が適切に実施され、入力軸20が適正な位置へ位置することとなる。そして、その後、第一調整用ピン60及び第二調整用ピン64を締めることにより、前記交差方向X3における位置決めが完了する。
【0036】
===本実施の形態に係るカム装置10の有効性について===
上述したとおり、本実施の形態に係るカム装置10においては、締付フランジ52及び偏心フランジ56が、入力軸20の軸方向において並んで設けられている。このことにより、小型化されたカム装置10を実現することが可能となる。
【0037】
すなわち、背景技術の項等で説明したとおり、従来のカム装置においては、当該締付フランジ及び当該偏心フランジが、入力軸の径方向において並んで設けられていた(例えば、当該径方向において、締付フランジの外側に偏心フランジが設けられていた)。そして、従来のカム装置においては、締付フランジ及び偏心フランジが入力軸の径方向において並んで設けられていることに起因して、入力軸の位置決め部材(すなわち、締付フランジ及び偏心フランジ)が、前記径方向において大きな厚みを有することとなっていた。そして、このことが、カム装置の小型化(コンパクト化)を阻害することとなっていた。
【0038】
これに対し、本実施の形態に係るカム装置10においては、締付フランジ52及び偏心フランジ56が、入力軸20の軸方向において並んで設けられているため、入力軸20の位置決め部材(すなわち、締付フランジ52又は偏心フランジ56)の、入力軸20の径方向における厚みが小さくなることとなる。したがって、カム装置10の小型化が適切に実現されることとなる。
【0039】
===その他の実施の形態===
以上、上記実施の形態に基づき本発明に係るカム装置を説明したが、上記した発明の実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはもちろんである。
【0040】
上記実施の形態においては、入力軸20の軸方向において、偏心フランジ56は締付フランジ52よりも内側に設けられていることとしたが、これに限定されるものではなく、偏心フランジ56は締付フランジ52よりも外側に設けられていることとしてもよい。
【0041】
また、上記実施の形態においては、カム装置10が、偏心フランジ56の中空穴56cに嵌合し、かつ、入力軸20を受けるベアリング22、を備え、締付フランジ52は、ベアリング22を前記軸方向に押圧して移動させることにより、入力軸20を移動させ、偏心フランジ56は、回転してベアリング22を前記交差方向X3に移動させることにより、入力軸20を移動させることとしたが、これに限定されるものではなく、入力軸20の移動は、必ずしも、ベアリング22を介して行われる必要はない。
ただし、入力軸20を簡易な方法で移動させることが可能となる点で、上記実施の形態の方がより望ましい。
【0042】
また、上記実施の形態において、カム装置10は、直進移動して偏心フランジ56を押すことにより、該偏心フランジ56を順方向に回転させるための第一調整用ピン60と、直進移動して偏心フランジ56を押すことにより、該偏心フランジ56を逆方向に回転させるための第一調整用ピン60と、を有することとしたが、これに限定されるものではない。例えば、第一調整用ピン60及び第二調整用ピン64がカム装置10に設けられていないこととしてもよい(かかる場合には、偏心フランジ56が直接操作されることにより、入力軸20の軸方向における入力軸20の位置決めが行われる)。
ただし、交差方向X3における入力軸20の位置決めが簡便に行える点で、上記実施の形態の方がより望ましい。
【0043】
また、上記実施の形態において、偏心フランジ56には、第一切り欠き部56d及び第二切り欠き部56eが設けられており、第一調整用ピン60は第一切り欠き部56dを押し、第二調整用ピン64は第二切り欠き部56eを押すこととしたが、これに限定されるものではない。例えば、偏心フランジ56に、第一切り欠き部56d及び第二切り欠き部56eが設けられておらず、調整用ピンが偏心フランジ56の円周面を(摩擦力を用いて)押すこととしてもよい。
ただし、調整用ピンが偏心フランジ56を適切に押せるようになり、交差方向X3における入力軸20の位置決めが確実に行えるようになる点で、上記実施の形態の方がより望ましい。
【0044】
また、上記実施の形態において、第一調整用ピン60の、第一切り欠き部56dを押す部分(すなわち、先端部62a)、及び、第二調整用ピン64の、第二切り欠き部56eを押す部分(すなわち、先端部66a)、は丸みを有していることとしたが、これに限定されるものではなく、これらの部分は丸みを有していないこととしてもよい。
【0045】
調整用ピンが切り欠き部を押すことにより偏心フランジ56の回転が始まると、調整用ピンの先端部と切り欠き部との相対位置関係が徐々に変化する。そして、当該相対位置関係が変化する際に、前記部分に丸みが備えられている場合には、丸みが備えられていない場合と比べて、調整用ピンの切り欠き部への良好な接触状態が適切に維持されることとなる。かかる点で、上記実施の形態の方がより望ましい。
【0046】
また、図7に示すように、入力軸20の軸方向においてベアリング22と締付フランジ52との間に位置し該ベアリング22及び該締付フランジ52と接触する鍔部70、を偏心フランジ56が備えることとしてもよい。すなわち、上記実施の形態においては、締付フランジ52がベアリング22に接していたが、図7の例においては、偏心フランジ56に鍔部70があるため、締付フランジ52がベアリング22に接していない。そして、このような場合には、前記軸方向又は前記交差方向X3における入力軸20の位置決めの際に、締付フランジ52がベアリング22に直接的に接触することが回避され、したがって、締付フランジ52がベアリング22へ機械的に悪影響を与えることを防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】カム装置10の上面図である。
【図2】カム装置10の側面図である。
【図3】図2のA−A断面図である。
【図4】図1のB−B断面図である。
【図5】偏心フランジ56の断面を示した断面図である。
【図6】偏心フランジ56と調整用ピンの、入力軸20の軸方向における相対位置関係を示した図である。
【図7】鍔部70を備えた偏心フランジ56を有するカム装置10の断面図である。
【符号の説明】
【0048】
10 カム装置
14 ハウジング
14a 空間
16 空隙部
20 入力軸
21 大径部
22 ベアリング
22a 内側面
24 シール部材
24a 外径部
24b 内径部
30 ローラギヤカム
30a カム面
40 タレット
42 クロスローラ軸受
44 カムフォロワ
46 タレットフランジ
48 シール部材
50 位置決め機構
52 締付フランジ
52a 外径部
52b 内側面
52c 内径部
56 偏心フランジ
56a 外径部
56b 内径部
56c 中空穴
56d 第一切り欠き部
56e 第二切り欠き部
60 第一調整用ピン
61 ねじ部
61a 外径部
61b ねじ穴
62 ピン部
62a 先端部
64 第二調整用ピン
65 ねじ部
65a 外径部
65b ねじ穴
66 ピン部
66a 先端部
70 鍔部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転可能な入力軸と、
該入力軸に支持され、該入力軸と一体的に回転するカムと、
該カムと係合するカムフォロアを放射状に備え、前記入力軸と一体的に前記カムが回転することにより回転する出力軸と、
前記入力軸の軸方向における該入力軸の位置を決めるための締付フランジと、
前記カムから前記出力軸へ向かう、前記軸方向と交差した交差方向、
における該入力軸の位置を決めるための偏心フランジと、
を有するカム装置であって、
前記締付フランジ及び前記偏心フランジは、前記軸方向において並んで設けられていることを特徴とするカム装置。
【請求項2】
請求項1に記載のカム装置において、
前記軸方向において、前記偏心フランジは前記締付フランジよりも内側に設けられていることを特徴とするカム装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のカム装置において、
前記偏心フランジの中空穴に嵌合し、かつ、前記入力軸を受ける軸受け、を備え、
前記締付フランジは、該軸受けを前記軸方向に押圧して移動させることにより、前記入力軸を移動させ、
前記偏心フランジは、回転して前記軸受けを前記交差方向に移動させることにより、前記入力軸を移動させることを特徴とするカム装置。
【請求項4】
請求項3に記載のカム装置において、
直進移動して前記偏心フランジを押すことにより、該偏心フランジを順方向に回転させるための第一ピンと、直進移動して前記偏心フランジを押すことにより、該偏心フランジを逆方向に回転させるための第二ピンと、を有することを特徴とするカム装置。
【請求項5】
請求項4に記載のカム装置において、
前記偏心フランジには、第一切り欠き部及び第二切り欠き部が設けられており、
前記第一ピンは前記第一切り欠き部を押し、前記第二ピンは前記第二切り欠き部を押すことを特徴とするカム装置。
【請求項6】
請求項5に記載のカム装置において、
前記第一ピンの、前記第一切り欠き部を押す部分、及び、前記第二ピンの、前記第二切り欠き部を押す部分、
は丸みを有していることを特徴とするカム装置。
【請求項7】
請求項3乃至請求項6のいずれかに記載のカム装置において、
前記偏心フランジは、
前記軸方向において前記軸受けと前記締付フランジとの間に位置し、該軸受け及び該締付フランジと接触する鍔部、
を有することを特徴とするカム装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−89143(P2008−89143A)
【公開日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−273012(P2006−273012)
【出願日】平成18年10月4日(2006.10.4)
【出願人】(390006585)株式会社三共製作所 (46)
【Fターム(参考)】