カメラの像ぶれ補正装置およびその動作制御方法
【目的】水平方向の振れ補正と垂直方向の振れ補正とを並行して行う。
【構成】それぞれが独立しているV方向防振制御CPU基板59とH方向防振制御CPU基板60とのそれぞれにCPU101と111とが実装されている。基板59に実装されているCPU101によって防振レンズの垂直方向の補正が制御され,基板60に実装されているCPU111によって防振レンズの水平方向の補正が制御される。それぞれが独立しているCPU基板59および60によって,別々の方向の補正が行われるので,水平方向の振れ補正と垂直方向の振れ補正とを並行して行うことができる。
【構成】それぞれが独立しているV方向防振制御CPU基板59とH方向防振制御CPU基板60とのそれぞれにCPU101と111とが実装されている。基板59に実装されているCPU101によって防振レンズの垂直方向の補正が制御され,基板60に実装されているCPU111によって防振レンズの水平方向の補正が制御される。それぞれが独立しているCPU基板59および60によって,別々の方向の補正が行われるので,水平方向の振れ補正と垂直方向の振れ補正とを並行して行うことができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は,カメラの像ぶれ補正装置およびその動作制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
振れ検出センサを備えたレンズには,二つの基板に別々のジャイロセンサが設けられているものがある(特許文献1)。一方のジャイロセンサにより第1の方向の振れが検出され,他方のジャイロセンサにより第2の方向の振れが検出される。また,X方向,Y方向個別に手振れ補正のオン,オフの機能を有するもの(特許文献2),ブレ検出回路がX方向,Y方向に個別にあるもの(特許文献3)などもある。また,テレビレンズ装置の電力不足によるノイズの混入を防止するもの(特許文献4)もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-271664号公報
【特許文献2】特開平10-108062号公報
【特許文献3】特開2007-218976号公報
【特許文献4】特開平7-99599号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
レンズには,フォーカス・レンズの制御,ズーム・レンズの制御,絞りの制御など多くの制御がある。これらの多くの制御を同時に行おうとすると,制御回路が実装されている基板を複数個用意し,それぞれの基板がカメラの各制御を行うことが考えられる。このように,制御回路が実装されている基板を複数個利用してカメラを制御しようとした場合,効率良く基板を製造するためには基板の構造を同じにする基板の共通化が考えられる。複数の基板の構造を同じにする場合には,どの基板でもカメラのどのような制御を行うことができるようにする必要があるために,もっとも負担のかかるレンズ制御ができるように処理能力が高い基板とする必要がある。負荷の少ない制御を行う基板であっても,処理能力の高い基板が利用されるので,無駄が大きくなってしまう。
【0005】
複数の基板の共通化を図るために,負荷の大きな処理を複数の基板のどれでも実施できるようにすべての基板の処理能力を高くすると,カメラを制御する装置の回路規模が大きくなってしまい,コスト・アップとなってしまう。複数の基板の共通化によるコスト・メリットが無くなる危惧がある。
【0006】
この発明は,カメラの制御を複数の基板のそれぞれで行う場合において,基板を共通化したときであっても,基板の処理能力が大きくならず,カメラの制御装置の回路規模が大きくならないようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明によるカメラの像ぶれ補正装置は,それぞれが独立している複数の基板のそれぞれに制御回路が実装されており,かつ少なくとも2つ以上の基板の構造が同じであり,基板同士がネットワーク・ラインにより接続されている複数の基板,カメラの撮像光学系の水平方向の像ぶれを検出する第1のセンサ,上記第1のセンサによって検出された水平方向の像ぶれを補正する第1の補正装置,上記カメラの撮像光学系の垂直方向の像ぶれを検出する第2のセンサ,および上記第2のセンサによって検出された垂直方向の像ぶれを補正する第2の補正装置を備え,上記複数の基板のうち第1の基板に実装されている第1の制御回路を用いて上記第1のセンサによって検出された水平方向の像ぶれを補正するように上記第1の補正装置を制御し,上記複数の基板のうち第2の基板に実装されている第2の制御回路を用いて上記第2のセンサによって検出された垂直方向の像ぶれを補正するように上記第2の補正装置を制御するものである。
【0008】
この発明は,上記カメラの像ぶれ補正装置に適した動作制御方法も提供している。すなわち,この方法は,それぞれが独立している複数の基板のそれぞれに制御回路が実装されており,かつ少なくとも2つ以上の基板の構造が同じであり,基板同士がネットワーク・ラインにより接続されており,第1のセンサが,カメラの撮像光学系の水平方向の像ぶれを検出し,第1の補正装置が,上記第1のセンサによって検出された水平方向の像ぶれを補正し,第2のセンサが,上記カメラの撮像光学系の垂直方向の像ぶれを検出し,第2の補正装置が,上記第2のセンサによって検出された垂直方向の像ぶれを補正し,上記複数の基板のうち第1の基板に実装されている第1の制御回路を用いて上記第1のセンサによって検出された水平方向の像ぶれを補正するように上記第1の補正装置を制御し,上記複数の基板のうち第2の基板に実装されている第2の制御回路を用いて上記第2のセンサによって検出された垂直方向の像ぶれを補正するように上記第2の補正装置を制御するものである。
【0009】
この発明によると,それぞれが独立している複数の基板(別々の基板が着脱自在に複数ある)のそれぞれに制御回路が実装されており,基板同士がネットワーク・ラインにより接続(バス接続)されている。複数の基板のうち第1の基板に実装されている第1の制御回路を用いて第1のセンサによって検出された水平方向の像ぶれを補正するように第1の補正装置が制御され,複数の基板のうち第2の基板に実装されている第2の制御回路を用いて第2のセンサによって検出された垂直方向の像ぶれを補正するように第2の補正装置が制御される。
【0010】
上述のように,基板を共通化して複数の基板のそれぞれでカメラの複数の制御のそれぞれを行う場合には,もっとも負担のかかるレンズ制御ができるように処理能力が高い基板とする必要がある。多数のカメラ制御のうち,負荷の高い制御の一つとして振れ補正を挙げることができる。振れ補正は垂直方向の振れ補正と水平方向との振れ補正とがあるために,これらの補正を一つの基板で対処するためには基板の処理能力が高くならざるを得ない。複数の基板の共通化を図るためには,垂直方向の振れ補正と水平方向の振れ補正との両方の補正ができるような処理能力の高い基板が必要となる。そのように基板を共通に用いて複数の基板でカメラ制御を行うと回路規模が大きくなってしまう。この発明によると,振れ補正を垂直方向の振れ補正と水平方向の振れ補正とに分け,それぞれ別々の基板により制御しているので,処理能力の低い基板であっても振れ補正を実現できる。処理能力が低く,かつ共通化された複数の基板を用いて,複数のカメラ制御を実現できる。カメラを制御する装置の回路規模を抑えることができるので,共通化された基板を利用するメリットを維持できる。
【0011】
上記カメラの撮像光学系の回転ずれを検出する第3のセンサ,および上記第3のセンサによって検出された回転ずれを補正する第3の補正装置をさらに備え,上記複数の基板のうち第3の基板に実装されている第3の制御回路を用いて上記第3のセンサによって検出された回転ずれを補正するように上記第3の補正装置を制御するようにしてもよい。
【0012】
上記第1の基板に実装されている第1の制御回路を用いた上記水平方向の像ぶれを補正するように上記第1の補正装置を制御する処理と,上記第2の基板に実装されている第2の制御回路を用いた上記垂直方向の像ぶれを補正するように上記第2の補正装置を制御する処理と,が並行して行われることが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】撮影レンズ・ユニットの光学的構成を示している。
【図2】防振レンズを正面から見た様子を示す。
【図3】ボイス・コイル・モータの分解斜視図である。
【図4】撮影レンズ・ユニットの電気的構成を示すブロック図である。
【図5】V方向防振制御CPU基板およびH方向防振制御CPU基板の電気的構成を示すブロック図である。
【図6】データ・フレーム構造を示す。
【図7】フォーカス処理手順を示すフローチャートである。
【図8】アイリス処理手順を示すフローチャートである。
【図9】ズーム処理手順,V方向防振処理手順,H方向防振処理手順を示すフローチャートである。
【図10】V方向防振処理およびH方向防振処理を示すタイム・チャートである。
【図11】インジケータ制御処理手順を示すフローチャートである。
【図12】カメラ通信処理手順を示すフローチャートである。
【図13】撮影レンズ・ユニットの電気的構成を示すブロック図である。
【実施例】
【0014】
図1(A)は,この発明の実施例を示すもので,放送用テレビ・カメラなどに装着される撮影レンズ・ユニット1の光学的構成を示している。
【0015】
撮影レンズ・ユニット1の光軸Oが中心を通るように,フォーカス・レンズ2,ズーム・レンズ3,アイリス4およびリレー・レンズ5が設けられている。さらに,その光軸Oが中心を通るように防振レンズ6が防振レンズ枠7によって撮影レンズ・ユニット1に取り付けられている。詳しくは後述するように,防振レンズ7は,ボイス・コイル・モータ8によってY方向(垂直方向)に移動自在であり,Y方向の振れを補正できる。また,防振レンズ7は,X方向(水平方向)にも移動自在であり,X方向の振れも補正できる。
【0016】
さらに,撮影レンズ・ユニット1には,第1プリズム9および第2プリズム10が設けられている。第1プリズム9および第2プリズム10は,いずれもペチャン・プリズムで構成されている。
【0017】
図1(B)は,第1プリズム9を示している。
【0018】
第1プリズム9は,二つの三角プリズム9Aと9Bとをわずかの空気層を介して対向配置したものである。第1の三角プリズム9Aに入射した光は,面A1で反射した後,面A2で反射し,面A1から出射して空気層Hに出る。空気層Hに出た光は,第2の三角プリズム9Bの面B1に入射し,面B2で反射した後,さらに面B3と面B1とで反射して,面B2から出射する。この際,光は光軸Oに沿って出射する。
【0019】
このように,ペチャン・プリズムで構成された第1プリズム9は,光軸Oに沿って入射した光を5回反射させることにより,光軸Oに沿って出射させる。そして,この反射は奇数回であることから,被写体像が反転する。
【0020】
第1プリズム9の光路長は,カメラ本体30に内蔵された色分解プリズム31の光路長と同じ長さに形成されている。
【0021】
第2プリズム10も第1プリズム9と同じ構成であり,中心が光軸Oを通る。
【0022】
図1(A)を参照して,第1プリズム9で反転した被写体像は,第2プリズム10においてさらに反転させられることから第2プリズム10によって結像される被写体像は正立像となる。
【0023】
この実施例では,第1プリズム9は保持枠(図示略)によって撮影レンズ・ユニット1に固定されており,第2プリズム10はプリズム保持枠20によって撮影レンズ・ユニット1に取り付けられている。
【0024】
プリズム保持枠20は円筒状に形成されており,その内周部に第2プリズム10が固定されている。このプリズム保持枠20は,ベアリング21によって光軸Oの回りに回転自在に支持されている。プリズム保持枠20の外周には,ギア22が形成されている。このギア22には,駆動ギア24が噛み合わされている。駆動ギア24は,プリズム回転駆動モータ23の出力軸に固定されており,このプリズム回転駆動モータ23を駆動することにより正逆回転する。駆動ギア24が回転することにより,プリズム保持枠20が回転し,第2プリズム10が光軸Oの回りに回転する。
【0025】
さらに,撮影レンズ・ユニット1には,第2プリズム10の後段にリレー・レンズ11および12が設けられている。
【0026】
図1(A)に示す撮影レンズ・ユニット1には,カメラ本体30が取り付けられている。
【0027】
このカメラ本体30には,色分解プリズム31が含まれている。色分解プリズム31は,入射した光成分を赤色光成分,緑色光成分および青色光成分に分解して出射するものである。色分解プリズム31から出射する赤色光成分は第1の撮像用CCD32Rに入射し,緑色光成分は第2の撮像用CCD32Gに入射し,青色光成分は第3の撮像用CCD32Bに入射する。
【0028】
撮像ユニット・レンズ1には,第1の撮像用CCD32R,第2の撮像用CCD32Gおよび第3の撮像用CCD32Bに入射する光の光学的距離と少し短い光学的距離をもつ第1のAF用CCDと少し長い光学的距離をもつ第2のAF用CCD(いずれも図示略)も設けられている。これらの第1のAF用CCDおよび第2のAF用CCDから得られる映像信号から高周波数成分が抽出されることによりAF評価値(コントラスト)が得られる。得られるAF評価値とフォーカス・レンズ2の位置との関係を表わす二つのグラフが生成される。生成されたグラフの交点が合焦位置であり,オート・フォーカスでは,その合焦位置となるようにフォーカス・レンズ2が位置決めされるようになる(プレシジョン・フォーカス)。
【0029】
図2は,防振レンズ6を正面から見た様子を示している。
【0030】
防振レンズ6の保持枠7の下側に,保持枠7に保持されている防振レンズ6を上下方向に変位させるボイス・コイル・モータ8が配置されている。防振レンズ6の保持枠7の右側には,保持枠7に保持されている防振レンズ6を左右方向に変位させるボイス・コイル・モータ8Aが配置されている。
【0031】
図3は,ボイス・コイル・モータ8の分解斜視図である。
【0032】
ボイス・コイル・モータ8は,コイル枠200に巻回されたコイル202が磁気回路204内に配置されることによって構成されている。コイル枠200は空洞部200Cが形成されたコイル巻回部200Aと連結部200Bとから形成されており,コイル巻回部200Aには外周部にコイル202が巻回され,空芯のコイルがコイル枠200に配置されるようになっている。
【0033】
磁気回路204は,2つのコ字状に形成された2つのヨーク206,208を備えている。各ヨーク206,208の平行に形成された平行部206A,206B,208A,208Bのうち,平行部206Aと平行部208Aの内側面にそれぞれ板状の永久磁石210,212が固定されている。これによって各ヨーク206,208の内側の空隙部206C,208Cに磁界が生成される。例えば,ヨーク206の空隙部206Cに露出した永久磁石210の露出面側がS極となっており,永久磁石210の露出面に対向する平行部206Bの内側の面がN極となり,ヨーク206の空隙部206Cにおいて,平行部206Bの内側の面から永久磁石210の露出面への向きの磁界が生成される。
【0034】
同様に,ヨーク208の空隙部208Cに露出した永久磁石212の露出面側がS極となっており,永久磁石212の露出面に対向する平行部208Bの内側の面がN極となり,ヨーク208の空隙部208Cにおいて,平行部208Bの内側の面から永久磁石212の露出面への向きの磁界が生成される。
【0035】
コイル枠210のコイル巻回部210Aは,その空洞部210Cに各ヨーク206,208の平行部206B,208Bが嵌め込められるようにして各ヨーク206,208の空隙部206C,208Cに挿入され,コイル巻回部200Aに巻回されたコイル202が各空隙部206C,208Cに生成された磁界内に配置される。これによってコイル202に電流を流すと,フレミングの左手の法則によりコイル202に上下方向の推力が生じ,コイル枠200が上下方向に移動する。
【0036】
このようにしてボイス・コイル・モータ8によって保持枠7に保持された防振レンズ6を垂直方向(Y方向)に動かすことにより垂直方向の(Y方向)の振れ補正ができ,ボイス・コイル・モータ8Aによって保持枠7に保持された防振レンズ6を水平方向(X方向)に動かすことにより水平方向(X方向)の振れ補正ができる。
【0037】
図2を参照して,コイル枠200の連結部200Bには、貫通した長孔220が形成されている。防振レンズ6の保持枠7に固定されたピン222がその長孔220に入り込む。これによってコイル枠200に対して保持枠7が左右方向に移動可能に連結される。ガイド軸226がコイル枠200の両側面に形成されている突部224の貫通孔に通されている。コイル枠200がガイド軸226に沿って上下方向に移動可能に支持される。ボイス・コイル・モータ8によりコイル枠200が上下方向に移動すると,防振レンズ6が上下方向(垂直方向)に移動する。
【0038】
防振レンズ8を左右方向に駆動するボイス・コイル・モータ8Aもボイス・コイル・モータ8と同じ構造である。ボイス・コイル・モータ8Aによって防振レンズ6を左右方向(水平方向)に移動できるのは理解できよう。
【0039】
図4は,撮影レンズ・ユニット1の電気的構成を示すブロック図である。
【0040】
撮影レンズ・ユニット1には,それぞれが独立している(別々の基板)多数のCPU基板51−62(相互に着脱自在である)が含まれている。これらのCPU基板51−62のそれぞれにはCPUが実装されている。これらのCPU基板51−62のうち,少なくとも2つ以上の基板の構造が同じであり,基板の共通化が図られている。基板の共通化によりコスト・ダウンとなっている。従来の撮影レンズ・ユニット1では,一つのCPUによって多数の処理が制御されているために,多数の処理を並行して行うことができないが,この実施例では,基板のそれぞれにCPUが実装されているので,それぞれの基板に実装されているCPUを同時に駆動することにより多数の処理を同時に行うことができる。
【0041】
カメラ本体30からの画像データ等およびCG(コンピュータ・グラフィック)処理を行うバーチャル・システム40などからの各種信号は,RS232CケーブルなどによりCPU基板55に入力する。
【0042】
撮影レンズ・ユニット1に与えられるズーム要求信号およびフォーカス要求信号は,ズーム要求CPU基板51およびフォーカス要求CPU基板52にそれぞれ与えられる。撮影レンズ・ユニット1には,各種スイッチ71,72などが設けられており,これらの各種スイッチ71,72などからのスイッチ信号はスイッチ制御CPU基板53に与えられる。また,撮影レンズ・ユニット1には,表示装置73,74などが設けられており,これらの表示装置73,74などは表示制御CPU基板54によって制御される。
【0043】
ズーム要求CPU基板51とフォーカス要求CPU基板52,フォーカス要求CPU基板52とスイッチ制御基板53,スイッチ制御CPU基板53と表示制御CPU基板54,ズーム要求CPU基板51とCPU基板55は,それぞれネットワーク・ラインにより接続(バス接続)されている。
【0044】
ズーム要求CPU基板51は,与えられるズーム要求信号を受信して他の基板に送信するものである。フォーカス要求CPU基板52は,与えられるフォーカス要求信号を受信して他の基板に送信するものである。スイッチ制御CPU基板53は,各種スイッチ71,72からの信号にもとづいてスイッチ制御を行うものである。表示制御CPU基板54は,表示装置(インジケータ)73,74の表示を制御するものである。
【0045】
また,CPU基板55とズーム制御CPU基板56,ズーム制御CPU基板56とフォーカス制御CPU基板57,フォーカス制御CPU基板57とアイリス制御CPU基板58,アイリス制御CPU基板58とV方向制御CPU基板59,V方向制御CPU基板59とH方向制御CPU基板60,H方向制御CPU基板60と回転ずれ制御CPU基板61,回転ずれ制御CPU基板61とPFユニットCPU基板62,PFユニットCPU基板62と追加制御CPU基板64,および追加制御CPU基板63と64もそれぞれネットワーク・ラインにより接続されている。
【0046】
ズーム制御CPU基板56には,ズーム・レンズ3を駆動するズーム・モータ81および位置センサ82が接続されている。位置センサ82によりズーム・レンズ3のズーム量が検出され,所望のズーム量となるように,ズーム制御CPU基板56により,ズーム・モータ81が駆動され,ズーム・レンズ3が制御される。
【0047】
フォーカス制御CPU基板57には,フォーカス・レンズ2を駆動するフォーカス・モータ83および位置センサ84が接続されている。位置センサ84によりフォーカス・レンズ2の位置が検出され,マニュアル・フォーカスであれば指定された位置に,オート・フォーカスであれば算出された合焦位置となるように,フォーカス制御CPU基板57により,フォーカス・モータ83が駆動され,フォーカス・レンズ2が制御される。
【0048】
アイリス制御CPU基板58には,アイリス4を駆動するアイリス・モータ85および位置センサ86が接続されている。位置センサ86によりアイリス4の絞り値が検出され,所望の絞り値となるように,アイリス制御CPU基板58により,アイリス・モータ85が駆動され,アイリス4が制御される。
【0049】
V方向防振制御CPU基板59には,上述したボイス・コイル・モータ8および角速度センサ88が接続されている。角速度センサ88により垂直方向の振れが検出され,検出された垂直方向の振れを補正するように,V方向防振制御CPU基板59によってボイス・コイル・モータ8が制御される。
【0050】
H方向防振制御CPU基板60には,上述したボイス・コイル・モータ8Aおよび角速度センサ90が接続されている。角速度センサ90により水平方向の振れが検出され,検出された水平方向の振れを補正するように,H方向防振制御CPU基板60によってボイス・コイル・モータ8Aが制御される。
【0051】
回転ずれ制御CPU基板61には,上述したプリズム回転駆動モータ23および角速度センサ92が接続されている。角速度センサ92により上述した回転ずれが検出され,検出された回転ずれを補正するように,回転ずれ制御CPU基板61によってプリズム回転駆動モータ23が制御される。
【0052】
PFユニットCPU基板62は,上述したように,撮影レンズ・ユニット1に設けられている第1のAF用CCDと第2のAF用CCDとから得られるAF評価値とフォーカス・レンズ2の位置との関係を表わす二つのグラフを生成し,その交点である合焦位置を算出するものである。
【0053】
追加制御CPU基板63および64は,撮影レンズ・ユニット1に追加の制御を行わせるときに利用されるものである。
【0054】
図5は,V方向防振制御CPU基板59とH方向防振制御CPU基板60の電気的構成を示すブロック図である。
【0055】
上述したように,V方向防振制御CPU基板59には,防振レンズ6の垂直方向の振れ補正を制御するCPU101が実装されている。
【0056】
角速度センサ88によって垂直方向の振れ量が検出されると,その検出信号は増幅回路104を介してアナログ/ディジタル変換回路105に入力する。アナログ/ディジタル変換回路105において変換された垂直方向の振れ量を表すデータはCPU101に入力する。垂直方向の振れ量を表すデータから,その垂直方向の振れ量をキャンセルするように垂直方向の駆動データがCPU101において算出される。算出された垂直方向の駆動データがディジタル/アナログ変換回路102においてアナログ制御信号に変換される。変換されたアナログ制御信号がドライバ103に与えられることにより,ボイス・コイル・モータ8が制御させられる。垂直方向の振れ量が補正されることとなる。
【0057】
H方向防振制御CPU基板60には,防振レンズ6の水平方向の振れ補正を制御するCPU111が実装されている。
【0058】
角速度センサ90によって水平方向の振れ量が検出されると,その検出信号は増幅回路114を介してアナログ/ディジタル変換回路115に入力する。アナログ/ディジタル変換回路115において変換された垂直方向の振れ量を表すデータはCPU111に入力する。水平方向の振れ量を表すデータから,その水平方向の振れ量をキャンセルするように水平方向の駆動データがCPU111において算出される。算出された水平方向の駆動データがディジタル/アナログ変換回路112においてアナログ制御信号に変換される。変換されたアナログ制御信号がドライバ113に与えられることにより,ボイス・コイル・モータ8Aが制御させられる。水平方向の振れ量が補正されることとなる。
【0059】
回転ずれ制御CPU基板61もV方向防振制御CPU基板59およびH方向防振制御CPU60と同様に,角速度センサ23によって回転方向のずれ量が検出されると,その検出信号が増幅回路を介してアナログ/ディジタル変換回路に入力し,アナログ/ディジタル変換回路において変換された回転方向のずれ量を表すデータが回転ずれ制御CPU基板61に実装されているCPUに入力する。回転方向のずれ量を表すデータから,その回転方向のずれ量をキャンセルするように回転方向の駆動データがCPUにおいて算出される。算出された回転方向の駆動データがディジタル/アナログ変換回路においてアナログ制御信号に変換され,変換されたアナログ制御信号がドライバに与えられることにより,プリズム回転駆動モータ23が制御させられる。回転ずれ量が補正されることとなる。
【0060】
上述したように,V方向防振制御CPU基板59,H方向防振制御CPU基板60および回転ずれ制御CPU基板61がそれぞれ独立しており,かつそれぞれの基板59,60および61にそれぞれの処理を単独で行うことかできるCPU101,111等が実装されているから,上述した垂直方向の振れ量の補正,水平方向の振れ量の補正および回転ずれの補正を並行して行うことができる。
【0061】
防振レンズ6の制御,回転ずれの制御は,比較的多くの演算が必要であるために,一つのCPUを利用してそれらのすべての制御を行う場合には,比較的高い能力のCPUが必要となる。しかしながら,この実施例では,垂直方向の振れ補正,水平方向の振れ補正および回転ずれ補正をそれぞれ別々の基板に実装されているCPU101,111等を利用しているので,それぞれの演算量は少なくなる。比較的能力の低いCPUを利用できるようになる。複数のCPU基板51−62を用いてカメラの制御をしようとした場合に,コスト・ダウンの面からCPU基板の共通化を図る場合,もっとも負荷の高いと考えられる防振レンズの制御にあわせる必要があり,高い処理能力をもつCPU基板を使用しなければならない。しかしながら,この実施例では,垂直方向の振れ補正,水平方向の振れ補正および回転ずれ補正がそれぞれ別々のCPU基板で行われているので,比較的処理能力の低いCPU基板を利用できる。処理能力の低いCPU基板を利用してCPU基板の共通化を実現できる。
【0062】
上述した基板間のネットワーク通信は,CAN(Controller Area Network)通信を利用できる。
【0063】
図6は,CAN通信においてデータを送信する転送フォーマットであるデータ・フレームの構造を示している。
【0064】
データ・フレームは,リセッシブまたはドミナントのいずれとなる。各部の数字はビット数を示している。また,通信が行われていない場合,バスはリセッシブとなっている(バス・アイドル)。
【0065】
データ・フレームには,スタート・オブ・フレーム,識別子フィールド,RTR,コントロール・フィールド,データ・フィールド,CRCシーケンス,CRCデリミタ,ACKスロット,ACKデリミタ,エンド・オブ・フレームが含まれ,その順で送信される。
【0066】
スタート・オブ・フレームは,データ・フレームの開始を表わすものであり,ドミナント状態とされる。スタート・オブ・フレームがバス・アイドルのリセッシブからドミナントへ変化することにより受信側のCPU基板(受信ノード)は同期を行うことができる。
【0067】
識別子フィールドは,データ内容や送信側のCPU基板(送信ノード)を識別するために使用される。受信側のCPU基板は,識別子フィールドに記述されている内容を検出することにより,自分が使用するデータ・フレームかどうかを判断できる。識別子フィールドは通信調停の優先順位を決定することもある。
【0068】
RTR(Remote Transmission Request )は,データを送信するデータ・フレームとデータの送信を要求するリモート・フレームとを識別するために使用される。データ・フレームの場合には,RTRはドミナントとなっている。RTRも識別子フィールドと同様に通信調停に使用される。
【0069】
コントロール・フィールドは,次のデータ・フィールド内で何バイト送信されるかを示すものである。
【0070】
データ・フィールドは,データ・フレームで送信されるデータの部分である。
【0071】
CRC(Cyclic Redundancy Check )シーケンスは,データ送信時のデータ破壊をチェックするものである。
【0072】
CRCデリミタは,CRCシーケンスの終了を表す区切り記号で,1ビット長のリセッシブ固定である。
【0073】
ACK(Acknowledgement)スロットは,正常受信確認のためのフィールドである。
【0074】
ACKデリミタは,ACKスロットの終了を表す区切り記号で、1ビット長のリセッシブ固定である。
【0075】
エンド・オブ・フレームは,送信または受信の終了を示すものであり,リセッシブ固定となっている。
【0076】
複数のCPU基板から同時にデータ・フレームが送信されてしまう場合,通信調停が行われる。たとえば,二つのデータ・フレームが送信された場合,それらの二つのデータ・フレームのそれぞれの識別子フィールドに記述されているデータ1ビットずつ比較され,最初に相違したデータがドミナントとなっていた方のデータ・フレームが優先して送信される。
【0077】
図7から図12は,撮影レンズ・ユニット1の処理手順を示すフローチャートである。
【0078】
上述したように,撮影レンズ・ユニット1は,全体を統括するようなCPUによって制御されるものではなく,ネットワーク・ラインにより接続されている多数のCPU基板において,それぞれのCPU基板が単独でそれぞれの処理を行うものである。次に述べる処理もそれぞれのCPU基板によって必要なときに行われる。
【0079】
図7は,フォーカス処理手順を示すフローチャートである。このフォーカス処理手順は,フォーカス制御CPU基板57において行われるものである。
【0080】
まず,所定の初期設定が行われ(ステップ121),ネットワーク・システム通信処理が行われる(ステップ122)。このネットワーク・システム通信処理において,カメラ本体30,バーチャル・システム40,他のCPU基板51などとの通信が行われる。たとえば,カメラ本体30からフォーカス制御CPU基板57にフォーカス・レンズ2の位置データの要求があった場合に,その要求に応じてフォーカス・レンズ2の位置データがフォーカス制御CPU基板57によって読み取られ,読み取られた位置データがカメラ本体30に送信される。
【0081】
外部装置においてフォーカス・スイッチなどが設定されると,フォーカス要求信号が発生する。そのフォーカス要求信号がフォーカス要求CPU基板52において受信されると,フォーカス要求CPU基板52からフォーカス制御CPU基板57にフォーカス要求信号が送信される。フォーカス要求信号に応じて,フォーカス制御CPU基板57は,フォーカス・レンズ2の位置を取得する(ステップ124)。
【0082】
上述のようにフォーカス要求信号が撮影レンズ・ユニット1に与えられると,フォーカス要求CPU基板52からフォーカス指令(フォーカス・レンズ2が移動すべき位置を含む)が発生し,発生したフォーカス指令がフォーカス制御CPU基板57に送信される。フォーカス制御CPU基板57がフォーカス指令を取得すると(ステップ125),取得したフォーカス指令にもとづいてフォーカス制御CPU基板57の制御のもとにフォーカス・レンズ2が駆動させられる(ステップ126)。
【0083】
撮影レンズ・ユニット1にオフ指令が与えられるまでステップ122から126の処理が繰り返される(ステップ127)。
【0084】
外部装置においてオート・フォーカスが設定された場合もフォーカス要求信号が発生し,発生したフォーカス要求信号はフォーカス要求CPU基板52に与えられる。フォーカス要求CPU基板52においてフォーカス指令が発生する。オート・フォーカスの場合には,発生したフォーカス指令は,PFユニットCPU基板62に与えられる。PFユニットCPU基板62において,第1のAF用CCDと第2のAF用CCDから得られるAF評価値(被写体像のコントラスト)とフォーカス・レンズ2の位置との関係を示すグラフの交点位置が算出される。算出された交点位置が合焦位置とされて,その合焦位置を表わすデータがPFユニットCPU基板62からフォーカス制御CPU基板57に送信される。フォーカス制御CPU基板57において,フォーカス・レンズ2が合焦位置に位置決めされるように駆動される。
【0085】
図8は,アイリス処理手順を示すフローチャートである。このアイリス処理は,アイリス制御CPU基板58において行われるものである。
【0086】
まず,初期設定が行われ(ステップ131),ネットワーク通信処理が行われる(ステップ132)。このネットワーク通信処理において,たとえば,カメラ本体30からアイリス4の位置(絞り値)の要求信号を受信する。受信したアイリス4の位置を表わすデータは,アイリス制御CPU基板58からカメラ本体30に送信される。
【0087】
アイリス4の位置が取得され(ステップ133),カメラ本体30から送信されるアイリス指令(設定すべきアイリスの位置のデータを含む)がアイリス制御CPU基板58において受信される(ステップ134)。すると,受信したアイリス指令に応じてアイリス4が所望の絞り値となるように,アイリス制御CPU基板58が駆動する(ステップ135)。
【0088】
撮影レンズ・ユニット1にオフ指令が与えられるまで,ステップ132から135までの処理が繰り返される(ステップ136)。
【0089】
図9は,ズーム処理手順,V方向防振処理手順およびH方向防振処理手順を,それぞれ示すフローチャートである。ズーム処理はズーム制御CPU基板56により行われ,V方向防振処理はV方向防振CPU基板59により行われ,H方向防振処理はH方向防振制御CPU基板60により行われる。
【0090】
ズーム処理が行われる場合,まず初期設定が行われ(ステップ141),ネットワーク・システム通信処理が行われる(ステップ142)。ネットワーク通信処理において,カメラ本体30などからのズーム位置の要求があった場合には,その要求応じてズーム位置が読み取られ,読み取られたズーム位置を表わすデータがズーム制御CPU基板56からカメラ本体30等に送信される。
【0091】
フォーカス処理と同様に,外部装置から撮影レンズ・ユニット1にズーム要求信号(ズーム位置を含む)が与えられると,そのズーム要求信号はズーム要求CPU基板51に入力する。ズーム要求信号はズーム要求CPU基板51からズーム制御CPU基板56に与えられる。すると,ズーム制御CPU基板56により,ズーム・レンズ3のズーム位置が取得される(ステップ144)。
【0092】
ズーム要求CPU基板51からズーム指令が発生し,発生したズーム指令はズーム要求CPU基板51からズーム制御CPU基板56に入力する。ズーム指令がズーム制御CPU基板56において取得される(ステップ145)。すると,取得したズーム・レンズ3のズーム位置を参照して,ズーム要求信号に応じたズーム位置となるように,ズーム制御CPU基板56によりズーム・レンズ3が駆動させられる(ステップ146)。
【0093】
撮影レンズ・ユニット1にオフ指令が与えられるまでステップ142から146の処理が繰り返される(ステップ147)。
【0094】
V方向防振制御CPU基板59においてV方向防振処理が行われる場合にも初期設定が行われ(ステップ151),ネットワーク通信処理が行われる(ステップ152)。ネットワーク通信処理において,V方向防振制御CPU基板59からズーム制御CPU基板56にズーム位置の要求が行われ,その要求に応じてズーム制御CPU基板56の制御のもとにズーム・レンズ3のズーム位置が読み取られる。読み取られたズーム位置を表わすデータがズーム制御CPU基板56からV方向防振制御CPU基板59に送信される。
【0095】
角速度センサ88によって撮影レンズ・ユニット1の垂直方向の振動が検出され,その検出信号がV方向防振制御CPU基板59に入力すると(ステップ153),振れによる垂直方向の補正量の算出処理(V方向防振演算)が行われる(ステップ154)。算出された垂直方向の補正量だけ垂直方向にシフトされるように,防振レンズ7がV方向防振制御CPU基板59の制御のもとに駆動される(ステップ155)。
【0096】
撮影レンズ・ユニット1がオフされるまでステップ152から155の処理が繰り返される(ステップ156)。
【0097】
H方向防振制御CPU基板60においてH方向防振処理が行われる場合にも初期設定が行われ(ステップ161),ネットワーク通信処理が行われる(ステップ162)。H方向防振制御CPU基板60においても,ネットワーク通信処理において,H方向防振制御CPU基板60からズーム制御CPU基板56にズーム位置の要求が行われ,その要求に応じてズーム制御CPU基板56の制御のもとにズーム・レンズ3のズーム位置が読み取られる。読み取られたズーム位置を表わすデータがズーム制御CPU基板56からH方向防振制御CPU基板60に送信される。
【0098】
角速度センサ90によって撮影レンズ・ユニット1の水平方向の振動が検出され,その検出信号がH方向防振制御CPU基板60に入力すると(ステップ163),振れによる水平方向の補正量の算出処理(H方向防振演算)が行われる(ステップ164)。算出された水平方向の補正量だけ水平方向にシフトされるように,防振レンズ7がH方向防振制御CPU基板60の制御のもとに駆動される(ステップ165)。
【0099】
撮影レンズ・ユニット1がオフされるまでステップ162から165の処理が繰り返される(ステップ166)。
【0100】
V方向防振処理はV方向防振制御CPU基板59によって行われ,H方向防振処理はH方向防振制御CPU基板60によって行われるから,V方向防振処理とH方向防振処理とを同時に行うことができる。また,上述したように,防振レンズ6をシフトさせるための防振演算は極めて膨大であるために,一つのCPUを用いて防振演算処理をしようとすると,高性能なCPUが必要となるが,この実施例では二つのCPU基板59および60を用いて垂直方向と水平方向とのそれぞれの防振演算処理が行われているので,比較的能力の低いCPUを用いて防振演算処理を実現できる。しかも,CPU基板59と60とは別々の基板なので,いずれか一方が故障した場合であっても,故障した基板を取り替えるだけで修理できる。
【0101】
図10は,防振処理のタイム・チャートである。
【0102】
上述したように,V方向防振制御CPU基板59における垂直方向の振れ補正処理とH方向防振制御CPU基板60における水平方向の振れ補正処理とを同時に行うことができる。たとえば,時間t1までに第1回目の垂直方向の振れ補正処理と水平方向の振れ補正処理とを同時行い,時間t2,t3,t4までにそれぞれ第2回目,第3回目,第4回目の垂直方向の振れ補正処理と水平方向の振れ補正処理とを同時に行うことができるようになる。
【0103】
従来は,垂直方向の振れ補正処理と水平方向の振れ補正処理とは同時に行うことができなかったために,交互に行われており,垂直方向の振れ補正処理と水平方向の振れ補正処理との両方の補正処理が終了するまでに時間がかかっていたが,この実施例では,垂直方向の振れ補正処理と水平方向の振れ補正処理とを同時に行うことができるため,垂直方向の振れ補正処理と水平方向の振れ補正処理との両方の補正処理が終了するまでの時間が短くなる。
【0104】
図11は,インジケータ制御処理手順を示すフローチャートである。このインジケータ制御処理手順は,表示制御CPU基板54によって行われる。
【0105】
インジケータ制御処理においても,初期設定が行われ(ステップ181),ネットワーク・システム通信処理が行われる(ステップ182)。たとえば,ネットワーク・システム通信処理においてカメラ本体30から表示装置73,74などの表示状況の送信指令が与えられると,その送信指令に応じて表示装置73,74などの表示状況が読み取られる。読み取られた表示状況を表わすデータがカメラ本体30に送信されることとなる。
【0106】
カメラ本体30から表示装置73,74などの表示指令が与えられると,その表示指令に応じて表示制御CPU基板54によって表示装置73,74が表示させられる(ステップ183)。
【0107】
撮影レンズ・ユニット1がオフされるまでステップ182および183の処理が繰り返される(ステップ184)。
【0108】
図12は,カメラ通信処理手順を示すフローチャートである。カメラ通信処理は,CPU基板55によって行われる。
【0109】
カメラ通信処理は,カメラ本体30と撮影レンズ・ユニット1との通信において行われるものであり,上述した各処理においてもカメラ本体30と撮影レンズ・ユニット1との通信が実行される場合には,図12に示すカメラ通信処理が行われていることとなる。
【0110】
カメラ通信処理においても,初期設定が行われ(ステップ191),ネットワーク通信処理192が実行される(ステップ192)。ネットワーク通信処理において,CPU基板55以外のCPU基板からのデータ等の受信,送信が行われる。
【0111】
CPU基板55以外のCPU基板から送信されたデータを受信したことにより,カメラ本体30との通信が必要であると判断されると,その受信したデータをカメラ本体30に送信できるようにプロトコル変換が行われる。変換されたデータがCPU基板55からカメラ本体30に送信してカメラ通信処理が行われる(ステップ193)。また,カメラ本体30から送信されたデータを受信したことにより,受信したデータをCPU基板55以外のCPU基板に送信する必要があると判断されると,受信したデータを,CPU基板55以外のCPU基板に送信するためのプロトコル変換(上述したCAN通信できるようにプロトコル変換)が行われる。変換されたデータが所望のCPU基板に送信される。たとえば,カメラ本体30からアイリス4の絞り値を設定するアイリス信号が送信されたとすると,そのアイリス信号はCPU基板55においてプロトコル変換される。プロトコル変換されたアイリス信号がアイリス制御CPU基板58に与えられ,アイリス4が制御されることとなる。
【0112】
撮影レンズ・ユニット1がオフされるまでステップ192および193の処理が繰り返される(ステップ194)。
【0113】
CPU基板51−64のそれぞれにCPUが実装されているので,上述した処理はそれぞれのCPU基板において同時に実行できる。このために,すべてまたは複数の処理が終了するまでの時間が短くなる。異なるまたは同じCPU基板からデータが送信されてネットワーク・ラインにおいて衝突してしまう場合には,上述したように調停が行われ,優先するデータがネットワーク・ラインを利用でき,その後に,優先するデータ以外の他のデータがネットワーク・ラインを利用してCPU基板に与えられることとなる。
【0114】
図13は,変形例を示すもので,撮影レンズ・ユニット1Aの他の電気的構成を示すブロック図である。
【0115】
図13において,図4に示すものと同一物については同一符号を付して説明を省略する。
【0116】
図13に示す実施例では,第1の共通バスBUS1および第2の共通バスBUS2が含まれている。第1の共通バスBUS1に,ズーム要求CPU基板51,フォーカス要求CPU基板52,スイッチ制御CPU基板53,表示制御CPU基板54およびCPU基板55が接続されている。また,第2の共通バスBUS2に,CPU基板55,ズーム制御CPU基板56,フォーカス制御CPU基板57,アイリス制御CPU基板58,V方向防振制御CPU基板59,H方向防振制御CPU基板60,回転ずれ制御CPU基板61,PFユニットCPU基板62,追加制御CPU基板63および64が接続されている。
【0117】
このように,共通バスに複数のCPU基板を接続するようにしても上述と同じ制御を実現できる。共通バスは2つでなく,1つまたは3つ以上でもよいのはいうまでもない。
【0118】
この実施例では,一つのCPUによって撮影レンズ・ユニット1または1Aの全体が統括されるのではなく,多数のCPU基板のうちのそれぞれのCPU基板によりそれぞれの処理が実行されるので,それぞれの処理を同時に実行でき,多数の処理に必要な時間を短縮できる。また,特定の基板が故障した場合には,その故障した基板のみを取り替えればよいので,修理も簡単となる。さらに,単独の基板に実装されているCPUはそれぞれに割り当てられている処理を実行できればよいので,その処理を実行できる程度の能力があればよい。比較的低い能力のCPUでも多数の処理を実行できるようになる。
【0119】
上述の実施例では,V方向防振制御CPU基板59にV方向の振れ量を検出する角速度センサ88が接続され,H方向防振制御CPU基板60にH方向の振れ量を検出する角速度センサ90が接続されているが,V方向防振制御基板59に防振レンズ7のV方向の位置を検出するセンサを設け,H方向防振制御基板60に防振レンズ7のH方向の位置を検出するセンサを設けるようにしてもよい。その場合には,新たに角速度センサ制御CPU基板をネットワーク・ラインで接続し,その角速度センサ制御CPU基板にV方向の振れ量を検出するセンサとH方向の振れ量を検出するセンサとを接続することとなろう。角速度センサ制御CPU基板において検出されたV方向の振れ量を表すデータとH方向の振れ量とを表すデータとが角速度センサ制御CPU基板から,V方向防振制御基板59とH方向防振制御基板60とにそれぞれ与えられ,V方向防振制御基板59によって防振レンズ7のV方向の振れ量が補正され,H方向防振制御基板60によって防振レンズ7のH方向の振れ量が補正される。
【0120】
上述した実施例では,CAN通信が利用されているがCAN通信以外のネットワーク技術を利用してもよい。たとえば,PROFIBUS,CC-Link,Interbus,EC-NETなどを利用することもできる。
【0121】
上述した実施例では,CPU基板51−64がネットワーク・ラインにより接続されている(必要に応じてネットワーク・ラインを介して通信するためのトランシーバが,これらの基板51−64に実装されているトランシーバが設けられているのはいうまでもない。)が,これらのCPU基板51−64とネットワーク・ラインとはコネクタ等により着脱自在に接続される。
【0122】
また,ズーム制御CPU基板56,フォーカス制御CPU基板57,アイリス制御CPU基板58,V方向防振制御CPU基板59,H方向防振制御CPU基板60および回転ずれ制御CPU基板61は同じ構成であり,基板の共通化が図られている。また,ズーム要求CPU基板51およびフォーカス要求CPU基板52はいずれもCPUが実装されており,ズーム要求信号またはフォーカス要求信号がアナログ/ディジタル変換回路を介してズーム要求CPU基板51またはフォーカス要求CPU基板52に実装されているCPUに入力する。さらに,スイッチ制御CPU基板53と表示制御CPU基板54も同じ構成であり,スイッチ71,72などから入力する信号がアナログ/ディジタル変換回路を介してスイッチ制御CPU基板53のCPUに入力し,表示制御CPU基板54のCPUからの制御データがディジタル/アナログ変換回路においてアナログ制御信号に変換されて表示装置73,74に入力する。さらに,PFユニットCPU基板62,追加制御CPU基板63および64の構成も同じでもよい。
【0123】
CPU制御基板51−64にはCPUおよびネットワーク・ラインを介して通信するための通信回路(トランシーバ)が共通に実装されているので,それらの回路についての共通化を図ることもできる。
【符号の説明】
【0124】
1,1A 撮影レンズ・ユニット
51−64 CPU基板
8 ボイス・コイル・モータ(第2の補正装置)
8A ボイス・コイル・モータ(第1の補正装置)
59 V方向防振制御CPU基板(第2の基板)
60 H方向防振制御CPU基板(第1の基板)
88 角速度センサ(第2のセンサ)
90 角速度センサ(第1のセンサ)
101 CPU(第2の制御回路)
111 CPU(第1の制御回路)
【技術分野】
【0001】
この発明は,カメラの像ぶれ補正装置およびその動作制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
振れ検出センサを備えたレンズには,二つの基板に別々のジャイロセンサが設けられているものがある(特許文献1)。一方のジャイロセンサにより第1の方向の振れが検出され,他方のジャイロセンサにより第2の方向の振れが検出される。また,X方向,Y方向個別に手振れ補正のオン,オフの機能を有するもの(特許文献2),ブレ検出回路がX方向,Y方向に個別にあるもの(特許文献3)などもある。また,テレビレンズ装置の電力不足によるノイズの混入を防止するもの(特許文献4)もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-271664号公報
【特許文献2】特開平10-108062号公報
【特許文献3】特開2007-218976号公報
【特許文献4】特開平7-99599号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
レンズには,フォーカス・レンズの制御,ズーム・レンズの制御,絞りの制御など多くの制御がある。これらの多くの制御を同時に行おうとすると,制御回路が実装されている基板を複数個用意し,それぞれの基板がカメラの各制御を行うことが考えられる。このように,制御回路が実装されている基板を複数個利用してカメラを制御しようとした場合,効率良く基板を製造するためには基板の構造を同じにする基板の共通化が考えられる。複数の基板の構造を同じにする場合には,どの基板でもカメラのどのような制御を行うことができるようにする必要があるために,もっとも負担のかかるレンズ制御ができるように処理能力が高い基板とする必要がある。負荷の少ない制御を行う基板であっても,処理能力の高い基板が利用されるので,無駄が大きくなってしまう。
【0005】
複数の基板の共通化を図るために,負荷の大きな処理を複数の基板のどれでも実施できるようにすべての基板の処理能力を高くすると,カメラを制御する装置の回路規模が大きくなってしまい,コスト・アップとなってしまう。複数の基板の共通化によるコスト・メリットが無くなる危惧がある。
【0006】
この発明は,カメラの制御を複数の基板のそれぞれで行う場合において,基板を共通化したときであっても,基板の処理能力が大きくならず,カメラの制御装置の回路規模が大きくならないようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明によるカメラの像ぶれ補正装置は,それぞれが独立している複数の基板のそれぞれに制御回路が実装されており,かつ少なくとも2つ以上の基板の構造が同じであり,基板同士がネットワーク・ラインにより接続されている複数の基板,カメラの撮像光学系の水平方向の像ぶれを検出する第1のセンサ,上記第1のセンサによって検出された水平方向の像ぶれを補正する第1の補正装置,上記カメラの撮像光学系の垂直方向の像ぶれを検出する第2のセンサ,および上記第2のセンサによって検出された垂直方向の像ぶれを補正する第2の補正装置を備え,上記複数の基板のうち第1の基板に実装されている第1の制御回路を用いて上記第1のセンサによって検出された水平方向の像ぶれを補正するように上記第1の補正装置を制御し,上記複数の基板のうち第2の基板に実装されている第2の制御回路を用いて上記第2のセンサによって検出された垂直方向の像ぶれを補正するように上記第2の補正装置を制御するものである。
【0008】
この発明は,上記カメラの像ぶれ補正装置に適した動作制御方法も提供している。すなわち,この方法は,それぞれが独立している複数の基板のそれぞれに制御回路が実装されており,かつ少なくとも2つ以上の基板の構造が同じであり,基板同士がネットワーク・ラインにより接続されており,第1のセンサが,カメラの撮像光学系の水平方向の像ぶれを検出し,第1の補正装置が,上記第1のセンサによって検出された水平方向の像ぶれを補正し,第2のセンサが,上記カメラの撮像光学系の垂直方向の像ぶれを検出し,第2の補正装置が,上記第2のセンサによって検出された垂直方向の像ぶれを補正し,上記複数の基板のうち第1の基板に実装されている第1の制御回路を用いて上記第1のセンサによって検出された水平方向の像ぶれを補正するように上記第1の補正装置を制御し,上記複数の基板のうち第2の基板に実装されている第2の制御回路を用いて上記第2のセンサによって検出された垂直方向の像ぶれを補正するように上記第2の補正装置を制御するものである。
【0009】
この発明によると,それぞれが独立している複数の基板(別々の基板が着脱自在に複数ある)のそれぞれに制御回路が実装されており,基板同士がネットワーク・ラインにより接続(バス接続)されている。複数の基板のうち第1の基板に実装されている第1の制御回路を用いて第1のセンサによって検出された水平方向の像ぶれを補正するように第1の補正装置が制御され,複数の基板のうち第2の基板に実装されている第2の制御回路を用いて第2のセンサによって検出された垂直方向の像ぶれを補正するように第2の補正装置が制御される。
【0010】
上述のように,基板を共通化して複数の基板のそれぞれでカメラの複数の制御のそれぞれを行う場合には,もっとも負担のかかるレンズ制御ができるように処理能力が高い基板とする必要がある。多数のカメラ制御のうち,負荷の高い制御の一つとして振れ補正を挙げることができる。振れ補正は垂直方向の振れ補正と水平方向との振れ補正とがあるために,これらの補正を一つの基板で対処するためには基板の処理能力が高くならざるを得ない。複数の基板の共通化を図るためには,垂直方向の振れ補正と水平方向の振れ補正との両方の補正ができるような処理能力の高い基板が必要となる。そのように基板を共通に用いて複数の基板でカメラ制御を行うと回路規模が大きくなってしまう。この発明によると,振れ補正を垂直方向の振れ補正と水平方向の振れ補正とに分け,それぞれ別々の基板により制御しているので,処理能力の低い基板であっても振れ補正を実現できる。処理能力が低く,かつ共通化された複数の基板を用いて,複数のカメラ制御を実現できる。カメラを制御する装置の回路規模を抑えることができるので,共通化された基板を利用するメリットを維持できる。
【0011】
上記カメラの撮像光学系の回転ずれを検出する第3のセンサ,および上記第3のセンサによって検出された回転ずれを補正する第3の補正装置をさらに備え,上記複数の基板のうち第3の基板に実装されている第3の制御回路を用いて上記第3のセンサによって検出された回転ずれを補正するように上記第3の補正装置を制御するようにしてもよい。
【0012】
上記第1の基板に実装されている第1の制御回路を用いた上記水平方向の像ぶれを補正するように上記第1の補正装置を制御する処理と,上記第2の基板に実装されている第2の制御回路を用いた上記垂直方向の像ぶれを補正するように上記第2の補正装置を制御する処理と,が並行して行われることが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】撮影レンズ・ユニットの光学的構成を示している。
【図2】防振レンズを正面から見た様子を示す。
【図3】ボイス・コイル・モータの分解斜視図である。
【図4】撮影レンズ・ユニットの電気的構成を示すブロック図である。
【図5】V方向防振制御CPU基板およびH方向防振制御CPU基板の電気的構成を示すブロック図である。
【図6】データ・フレーム構造を示す。
【図7】フォーカス処理手順を示すフローチャートである。
【図8】アイリス処理手順を示すフローチャートである。
【図9】ズーム処理手順,V方向防振処理手順,H方向防振処理手順を示すフローチャートである。
【図10】V方向防振処理およびH方向防振処理を示すタイム・チャートである。
【図11】インジケータ制御処理手順を示すフローチャートである。
【図12】カメラ通信処理手順を示すフローチャートである。
【図13】撮影レンズ・ユニットの電気的構成を示すブロック図である。
【実施例】
【0014】
図1(A)は,この発明の実施例を示すもので,放送用テレビ・カメラなどに装着される撮影レンズ・ユニット1の光学的構成を示している。
【0015】
撮影レンズ・ユニット1の光軸Oが中心を通るように,フォーカス・レンズ2,ズーム・レンズ3,アイリス4およびリレー・レンズ5が設けられている。さらに,その光軸Oが中心を通るように防振レンズ6が防振レンズ枠7によって撮影レンズ・ユニット1に取り付けられている。詳しくは後述するように,防振レンズ7は,ボイス・コイル・モータ8によってY方向(垂直方向)に移動自在であり,Y方向の振れを補正できる。また,防振レンズ7は,X方向(水平方向)にも移動自在であり,X方向の振れも補正できる。
【0016】
さらに,撮影レンズ・ユニット1には,第1プリズム9および第2プリズム10が設けられている。第1プリズム9および第2プリズム10は,いずれもペチャン・プリズムで構成されている。
【0017】
図1(B)は,第1プリズム9を示している。
【0018】
第1プリズム9は,二つの三角プリズム9Aと9Bとをわずかの空気層を介して対向配置したものである。第1の三角プリズム9Aに入射した光は,面A1で反射した後,面A2で反射し,面A1から出射して空気層Hに出る。空気層Hに出た光は,第2の三角プリズム9Bの面B1に入射し,面B2で反射した後,さらに面B3と面B1とで反射して,面B2から出射する。この際,光は光軸Oに沿って出射する。
【0019】
このように,ペチャン・プリズムで構成された第1プリズム9は,光軸Oに沿って入射した光を5回反射させることにより,光軸Oに沿って出射させる。そして,この反射は奇数回であることから,被写体像が反転する。
【0020】
第1プリズム9の光路長は,カメラ本体30に内蔵された色分解プリズム31の光路長と同じ長さに形成されている。
【0021】
第2プリズム10も第1プリズム9と同じ構成であり,中心が光軸Oを通る。
【0022】
図1(A)を参照して,第1プリズム9で反転した被写体像は,第2プリズム10においてさらに反転させられることから第2プリズム10によって結像される被写体像は正立像となる。
【0023】
この実施例では,第1プリズム9は保持枠(図示略)によって撮影レンズ・ユニット1に固定されており,第2プリズム10はプリズム保持枠20によって撮影レンズ・ユニット1に取り付けられている。
【0024】
プリズム保持枠20は円筒状に形成されており,その内周部に第2プリズム10が固定されている。このプリズム保持枠20は,ベアリング21によって光軸Oの回りに回転自在に支持されている。プリズム保持枠20の外周には,ギア22が形成されている。このギア22には,駆動ギア24が噛み合わされている。駆動ギア24は,プリズム回転駆動モータ23の出力軸に固定されており,このプリズム回転駆動モータ23を駆動することにより正逆回転する。駆動ギア24が回転することにより,プリズム保持枠20が回転し,第2プリズム10が光軸Oの回りに回転する。
【0025】
さらに,撮影レンズ・ユニット1には,第2プリズム10の後段にリレー・レンズ11および12が設けられている。
【0026】
図1(A)に示す撮影レンズ・ユニット1には,カメラ本体30が取り付けられている。
【0027】
このカメラ本体30には,色分解プリズム31が含まれている。色分解プリズム31は,入射した光成分を赤色光成分,緑色光成分および青色光成分に分解して出射するものである。色分解プリズム31から出射する赤色光成分は第1の撮像用CCD32Rに入射し,緑色光成分は第2の撮像用CCD32Gに入射し,青色光成分は第3の撮像用CCD32Bに入射する。
【0028】
撮像ユニット・レンズ1には,第1の撮像用CCD32R,第2の撮像用CCD32Gおよび第3の撮像用CCD32Bに入射する光の光学的距離と少し短い光学的距離をもつ第1のAF用CCDと少し長い光学的距離をもつ第2のAF用CCD(いずれも図示略)も設けられている。これらの第1のAF用CCDおよび第2のAF用CCDから得られる映像信号から高周波数成分が抽出されることによりAF評価値(コントラスト)が得られる。得られるAF評価値とフォーカス・レンズ2の位置との関係を表わす二つのグラフが生成される。生成されたグラフの交点が合焦位置であり,オート・フォーカスでは,その合焦位置となるようにフォーカス・レンズ2が位置決めされるようになる(プレシジョン・フォーカス)。
【0029】
図2は,防振レンズ6を正面から見た様子を示している。
【0030】
防振レンズ6の保持枠7の下側に,保持枠7に保持されている防振レンズ6を上下方向に変位させるボイス・コイル・モータ8が配置されている。防振レンズ6の保持枠7の右側には,保持枠7に保持されている防振レンズ6を左右方向に変位させるボイス・コイル・モータ8Aが配置されている。
【0031】
図3は,ボイス・コイル・モータ8の分解斜視図である。
【0032】
ボイス・コイル・モータ8は,コイル枠200に巻回されたコイル202が磁気回路204内に配置されることによって構成されている。コイル枠200は空洞部200Cが形成されたコイル巻回部200Aと連結部200Bとから形成されており,コイル巻回部200Aには外周部にコイル202が巻回され,空芯のコイルがコイル枠200に配置されるようになっている。
【0033】
磁気回路204は,2つのコ字状に形成された2つのヨーク206,208を備えている。各ヨーク206,208の平行に形成された平行部206A,206B,208A,208Bのうち,平行部206Aと平行部208Aの内側面にそれぞれ板状の永久磁石210,212が固定されている。これによって各ヨーク206,208の内側の空隙部206C,208Cに磁界が生成される。例えば,ヨーク206の空隙部206Cに露出した永久磁石210の露出面側がS極となっており,永久磁石210の露出面に対向する平行部206Bの内側の面がN極となり,ヨーク206の空隙部206Cにおいて,平行部206Bの内側の面から永久磁石210の露出面への向きの磁界が生成される。
【0034】
同様に,ヨーク208の空隙部208Cに露出した永久磁石212の露出面側がS極となっており,永久磁石212の露出面に対向する平行部208Bの内側の面がN極となり,ヨーク208の空隙部208Cにおいて,平行部208Bの内側の面から永久磁石212の露出面への向きの磁界が生成される。
【0035】
コイル枠210のコイル巻回部210Aは,その空洞部210Cに各ヨーク206,208の平行部206B,208Bが嵌め込められるようにして各ヨーク206,208の空隙部206C,208Cに挿入され,コイル巻回部200Aに巻回されたコイル202が各空隙部206C,208Cに生成された磁界内に配置される。これによってコイル202に電流を流すと,フレミングの左手の法則によりコイル202に上下方向の推力が生じ,コイル枠200が上下方向に移動する。
【0036】
このようにしてボイス・コイル・モータ8によって保持枠7に保持された防振レンズ6を垂直方向(Y方向)に動かすことにより垂直方向の(Y方向)の振れ補正ができ,ボイス・コイル・モータ8Aによって保持枠7に保持された防振レンズ6を水平方向(X方向)に動かすことにより水平方向(X方向)の振れ補正ができる。
【0037】
図2を参照して,コイル枠200の連結部200Bには、貫通した長孔220が形成されている。防振レンズ6の保持枠7に固定されたピン222がその長孔220に入り込む。これによってコイル枠200に対して保持枠7が左右方向に移動可能に連結される。ガイド軸226がコイル枠200の両側面に形成されている突部224の貫通孔に通されている。コイル枠200がガイド軸226に沿って上下方向に移動可能に支持される。ボイス・コイル・モータ8によりコイル枠200が上下方向に移動すると,防振レンズ6が上下方向(垂直方向)に移動する。
【0038】
防振レンズ8を左右方向に駆動するボイス・コイル・モータ8Aもボイス・コイル・モータ8と同じ構造である。ボイス・コイル・モータ8Aによって防振レンズ6を左右方向(水平方向)に移動できるのは理解できよう。
【0039】
図4は,撮影レンズ・ユニット1の電気的構成を示すブロック図である。
【0040】
撮影レンズ・ユニット1には,それぞれが独立している(別々の基板)多数のCPU基板51−62(相互に着脱自在である)が含まれている。これらのCPU基板51−62のそれぞれにはCPUが実装されている。これらのCPU基板51−62のうち,少なくとも2つ以上の基板の構造が同じであり,基板の共通化が図られている。基板の共通化によりコスト・ダウンとなっている。従来の撮影レンズ・ユニット1では,一つのCPUによって多数の処理が制御されているために,多数の処理を並行して行うことができないが,この実施例では,基板のそれぞれにCPUが実装されているので,それぞれの基板に実装されているCPUを同時に駆動することにより多数の処理を同時に行うことができる。
【0041】
カメラ本体30からの画像データ等およびCG(コンピュータ・グラフィック)処理を行うバーチャル・システム40などからの各種信号は,RS232CケーブルなどによりCPU基板55に入力する。
【0042】
撮影レンズ・ユニット1に与えられるズーム要求信号およびフォーカス要求信号は,ズーム要求CPU基板51およびフォーカス要求CPU基板52にそれぞれ与えられる。撮影レンズ・ユニット1には,各種スイッチ71,72などが設けられており,これらの各種スイッチ71,72などからのスイッチ信号はスイッチ制御CPU基板53に与えられる。また,撮影レンズ・ユニット1には,表示装置73,74などが設けられており,これらの表示装置73,74などは表示制御CPU基板54によって制御される。
【0043】
ズーム要求CPU基板51とフォーカス要求CPU基板52,フォーカス要求CPU基板52とスイッチ制御基板53,スイッチ制御CPU基板53と表示制御CPU基板54,ズーム要求CPU基板51とCPU基板55は,それぞれネットワーク・ラインにより接続(バス接続)されている。
【0044】
ズーム要求CPU基板51は,与えられるズーム要求信号を受信して他の基板に送信するものである。フォーカス要求CPU基板52は,与えられるフォーカス要求信号を受信して他の基板に送信するものである。スイッチ制御CPU基板53は,各種スイッチ71,72からの信号にもとづいてスイッチ制御を行うものである。表示制御CPU基板54は,表示装置(インジケータ)73,74の表示を制御するものである。
【0045】
また,CPU基板55とズーム制御CPU基板56,ズーム制御CPU基板56とフォーカス制御CPU基板57,フォーカス制御CPU基板57とアイリス制御CPU基板58,アイリス制御CPU基板58とV方向制御CPU基板59,V方向制御CPU基板59とH方向制御CPU基板60,H方向制御CPU基板60と回転ずれ制御CPU基板61,回転ずれ制御CPU基板61とPFユニットCPU基板62,PFユニットCPU基板62と追加制御CPU基板64,および追加制御CPU基板63と64もそれぞれネットワーク・ラインにより接続されている。
【0046】
ズーム制御CPU基板56には,ズーム・レンズ3を駆動するズーム・モータ81および位置センサ82が接続されている。位置センサ82によりズーム・レンズ3のズーム量が検出され,所望のズーム量となるように,ズーム制御CPU基板56により,ズーム・モータ81が駆動され,ズーム・レンズ3が制御される。
【0047】
フォーカス制御CPU基板57には,フォーカス・レンズ2を駆動するフォーカス・モータ83および位置センサ84が接続されている。位置センサ84によりフォーカス・レンズ2の位置が検出され,マニュアル・フォーカスであれば指定された位置に,オート・フォーカスであれば算出された合焦位置となるように,フォーカス制御CPU基板57により,フォーカス・モータ83が駆動され,フォーカス・レンズ2が制御される。
【0048】
アイリス制御CPU基板58には,アイリス4を駆動するアイリス・モータ85および位置センサ86が接続されている。位置センサ86によりアイリス4の絞り値が検出され,所望の絞り値となるように,アイリス制御CPU基板58により,アイリス・モータ85が駆動され,アイリス4が制御される。
【0049】
V方向防振制御CPU基板59には,上述したボイス・コイル・モータ8および角速度センサ88が接続されている。角速度センサ88により垂直方向の振れが検出され,検出された垂直方向の振れを補正するように,V方向防振制御CPU基板59によってボイス・コイル・モータ8が制御される。
【0050】
H方向防振制御CPU基板60には,上述したボイス・コイル・モータ8Aおよび角速度センサ90が接続されている。角速度センサ90により水平方向の振れが検出され,検出された水平方向の振れを補正するように,H方向防振制御CPU基板60によってボイス・コイル・モータ8Aが制御される。
【0051】
回転ずれ制御CPU基板61には,上述したプリズム回転駆動モータ23および角速度センサ92が接続されている。角速度センサ92により上述した回転ずれが検出され,検出された回転ずれを補正するように,回転ずれ制御CPU基板61によってプリズム回転駆動モータ23が制御される。
【0052】
PFユニットCPU基板62は,上述したように,撮影レンズ・ユニット1に設けられている第1のAF用CCDと第2のAF用CCDとから得られるAF評価値とフォーカス・レンズ2の位置との関係を表わす二つのグラフを生成し,その交点である合焦位置を算出するものである。
【0053】
追加制御CPU基板63および64は,撮影レンズ・ユニット1に追加の制御を行わせるときに利用されるものである。
【0054】
図5は,V方向防振制御CPU基板59とH方向防振制御CPU基板60の電気的構成を示すブロック図である。
【0055】
上述したように,V方向防振制御CPU基板59には,防振レンズ6の垂直方向の振れ補正を制御するCPU101が実装されている。
【0056】
角速度センサ88によって垂直方向の振れ量が検出されると,その検出信号は増幅回路104を介してアナログ/ディジタル変換回路105に入力する。アナログ/ディジタル変換回路105において変換された垂直方向の振れ量を表すデータはCPU101に入力する。垂直方向の振れ量を表すデータから,その垂直方向の振れ量をキャンセルするように垂直方向の駆動データがCPU101において算出される。算出された垂直方向の駆動データがディジタル/アナログ変換回路102においてアナログ制御信号に変換される。変換されたアナログ制御信号がドライバ103に与えられることにより,ボイス・コイル・モータ8が制御させられる。垂直方向の振れ量が補正されることとなる。
【0057】
H方向防振制御CPU基板60には,防振レンズ6の水平方向の振れ補正を制御するCPU111が実装されている。
【0058】
角速度センサ90によって水平方向の振れ量が検出されると,その検出信号は増幅回路114を介してアナログ/ディジタル変換回路115に入力する。アナログ/ディジタル変換回路115において変換された垂直方向の振れ量を表すデータはCPU111に入力する。水平方向の振れ量を表すデータから,その水平方向の振れ量をキャンセルするように水平方向の駆動データがCPU111において算出される。算出された水平方向の駆動データがディジタル/アナログ変換回路112においてアナログ制御信号に変換される。変換されたアナログ制御信号がドライバ113に与えられることにより,ボイス・コイル・モータ8Aが制御させられる。水平方向の振れ量が補正されることとなる。
【0059】
回転ずれ制御CPU基板61もV方向防振制御CPU基板59およびH方向防振制御CPU60と同様に,角速度センサ23によって回転方向のずれ量が検出されると,その検出信号が増幅回路を介してアナログ/ディジタル変換回路に入力し,アナログ/ディジタル変換回路において変換された回転方向のずれ量を表すデータが回転ずれ制御CPU基板61に実装されているCPUに入力する。回転方向のずれ量を表すデータから,その回転方向のずれ量をキャンセルするように回転方向の駆動データがCPUにおいて算出される。算出された回転方向の駆動データがディジタル/アナログ変換回路においてアナログ制御信号に変換され,変換されたアナログ制御信号がドライバに与えられることにより,プリズム回転駆動モータ23が制御させられる。回転ずれ量が補正されることとなる。
【0060】
上述したように,V方向防振制御CPU基板59,H方向防振制御CPU基板60および回転ずれ制御CPU基板61がそれぞれ独立しており,かつそれぞれの基板59,60および61にそれぞれの処理を単独で行うことかできるCPU101,111等が実装されているから,上述した垂直方向の振れ量の補正,水平方向の振れ量の補正および回転ずれの補正を並行して行うことができる。
【0061】
防振レンズ6の制御,回転ずれの制御は,比較的多くの演算が必要であるために,一つのCPUを利用してそれらのすべての制御を行う場合には,比較的高い能力のCPUが必要となる。しかしながら,この実施例では,垂直方向の振れ補正,水平方向の振れ補正および回転ずれ補正をそれぞれ別々の基板に実装されているCPU101,111等を利用しているので,それぞれの演算量は少なくなる。比較的能力の低いCPUを利用できるようになる。複数のCPU基板51−62を用いてカメラの制御をしようとした場合に,コスト・ダウンの面からCPU基板の共通化を図る場合,もっとも負荷の高いと考えられる防振レンズの制御にあわせる必要があり,高い処理能力をもつCPU基板を使用しなければならない。しかしながら,この実施例では,垂直方向の振れ補正,水平方向の振れ補正および回転ずれ補正がそれぞれ別々のCPU基板で行われているので,比較的処理能力の低いCPU基板を利用できる。処理能力の低いCPU基板を利用してCPU基板の共通化を実現できる。
【0062】
上述した基板間のネットワーク通信は,CAN(Controller Area Network)通信を利用できる。
【0063】
図6は,CAN通信においてデータを送信する転送フォーマットであるデータ・フレームの構造を示している。
【0064】
データ・フレームは,リセッシブまたはドミナントのいずれとなる。各部の数字はビット数を示している。また,通信が行われていない場合,バスはリセッシブとなっている(バス・アイドル)。
【0065】
データ・フレームには,スタート・オブ・フレーム,識別子フィールド,RTR,コントロール・フィールド,データ・フィールド,CRCシーケンス,CRCデリミタ,ACKスロット,ACKデリミタ,エンド・オブ・フレームが含まれ,その順で送信される。
【0066】
スタート・オブ・フレームは,データ・フレームの開始を表わすものであり,ドミナント状態とされる。スタート・オブ・フレームがバス・アイドルのリセッシブからドミナントへ変化することにより受信側のCPU基板(受信ノード)は同期を行うことができる。
【0067】
識別子フィールドは,データ内容や送信側のCPU基板(送信ノード)を識別するために使用される。受信側のCPU基板は,識別子フィールドに記述されている内容を検出することにより,自分が使用するデータ・フレームかどうかを判断できる。識別子フィールドは通信調停の優先順位を決定することもある。
【0068】
RTR(Remote Transmission Request )は,データを送信するデータ・フレームとデータの送信を要求するリモート・フレームとを識別するために使用される。データ・フレームの場合には,RTRはドミナントとなっている。RTRも識別子フィールドと同様に通信調停に使用される。
【0069】
コントロール・フィールドは,次のデータ・フィールド内で何バイト送信されるかを示すものである。
【0070】
データ・フィールドは,データ・フレームで送信されるデータの部分である。
【0071】
CRC(Cyclic Redundancy Check )シーケンスは,データ送信時のデータ破壊をチェックするものである。
【0072】
CRCデリミタは,CRCシーケンスの終了を表す区切り記号で,1ビット長のリセッシブ固定である。
【0073】
ACK(Acknowledgement)スロットは,正常受信確認のためのフィールドである。
【0074】
ACKデリミタは,ACKスロットの終了を表す区切り記号で、1ビット長のリセッシブ固定である。
【0075】
エンド・オブ・フレームは,送信または受信の終了を示すものであり,リセッシブ固定となっている。
【0076】
複数のCPU基板から同時にデータ・フレームが送信されてしまう場合,通信調停が行われる。たとえば,二つのデータ・フレームが送信された場合,それらの二つのデータ・フレームのそれぞれの識別子フィールドに記述されているデータ1ビットずつ比較され,最初に相違したデータがドミナントとなっていた方のデータ・フレームが優先して送信される。
【0077】
図7から図12は,撮影レンズ・ユニット1の処理手順を示すフローチャートである。
【0078】
上述したように,撮影レンズ・ユニット1は,全体を統括するようなCPUによって制御されるものではなく,ネットワーク・ラインにより接続されている多数のCPU基板において,それぞれのCPU基板が単独でそれぞれの処理を行うものである。次に述べる処理もそれぞれのCPU基板によって必要なときに行われる。
【0079】
図7は,フォーカス処理手順を示すフローチャートである。このフォーカス処理手順は,フォーカス制御CPU基板57において行われるものである。
【0080】
まず,所定の初期設定が行われ(ステップ121),ネットワーク・システム通信処理が行われる(ステップ122)。このネットワーク・システム通信処理において,カメラ本体30,バーチャル・システム40,他のCPU基板51などとの通信が行われる。たとえば,カメラ本体30からフォーカス制御CPU基板57にフォーカス・レンズ2の位置データの要求があった場合に,その要求に応じてフォーカス・レンズ2の位置データがフォーカス制御CPU基板57によって読み取られ,読み取られた位置データがカメラ本体30に送信される。
【0081】
外部装置においてフォーカス・スイッチなどが設定されると,フォーカス要求信号が発生する。そのフォーカス要求信号がフォーカス要求CPU基板52において受信されると,フォーカス要求CPU基板52からフォーカス制御CPU基板57にフォーカス要求信号が送信される。フォーカス要求信号に応じて,フォーカス制御CPU基板57は,フォーカス・レンズ2の位置を取得する(ステップ124)。
【0082】
上述のようにフォーカス要求信号が撮影レンズ・ユニット1に与えられると,フォーカス要求CPU基板52からフォーカス指令(フォーカス・レンズ2が移動すべき位置を含む)が発生し,発生したフォーカス指令がフォーカス制御CPU基板57に送信される。フォーカス制御CPU基板57がフォーカス指令を取得すると(ステップ125),取得したフォーカス指令にもとづいてフォーカス制御CPU基板57の制御のもとにフォーカス・レンズ2が駆動させられる(ステップ126)。
【0083】
撮影レンズ・ユニット1にオフ指令が与えられるまでステップ122から126の処理が繰り返される(ステップ127)。
【0084】
外部装置においてオート・フォーカスが設定された場合もフォーカス要求信号が発生し,発生したフォーカス要求信号はフォーカス要求CPU基板52に与えられる。フォーカス要求CPU基板52においてフォーカス指令が発生する。オート・フォーカスの場合には,発生したフォーカス指令は,PFユニットCPU基板62に与えられる。PFユニットCPU基板62において,第1のAF用CCDと第2のAF用CCDから得られるAF評価値(被写体像のコントラスト)とフォーカス・レンズ2の位置との関係を示すグラフの交点位置が算出される。算出された交点位置が合焦位置とされて,その合焦位置を表わすデータがPFユニットCPU基板62からフォーカス制御CPU基板57に送信される。フォーカス制御CPU基板57において,フォーカス・レンズ2が合焦位置に位置決めされるように駆動される。
【0085】
図8は,アイリス処理手順を示すフローチャートである。このアイリス処理は,アイリス制御CPU基板58において行われるものである。
【0086】
まず,初期設定が行われ(ステップ131),ネットワーク通信処理が行われる(ステップ132)。このネットワーク通信処理において,たとえば,カメラ本体30からアイリス4の位置(絞り値)の要求信号を受信する。受信したアイリス4の位置を表わすデータは,アイリス制御CPU基板58からカメラ本体30に送信される。
【0087】
アイリス4の位置が取得され(ステップ133),カメラ本体30から送信されるアイリス指令(設定すべきアイリスの位置のデータを含む)がアイリス制御CPU基板58において受信される(ステップ134)。すると,受信したアイリス指令に応じてアイリス4が所望の絞り値となるように,アイリス制御CPU基板58が駆動する(ステップ135)。
【0088】
撮影レンズ・ユニット1にオフ指令が与えられるまで,ステップ132から135までの処理が繰り返される(ステップ136)。
【0089】
図9は,ズーム処理手順,V方向防振処理手順およびH方向防振処理手順を,それぞれ示すフローチャートである。ズーム処理はズーム制御CPU基板56により行われ,V方向防振処理はV方向防振CPU基板59により行われ,H方向防振処理はH方向防振制御CPU基板60により行われる。
【0090】
ズーム処理が行われる場合,まず初期設定が行われ(ステップ141),ネットワーク・システム通信処理が行われる(ステップ142)。ネットワーク通信処理において,カメラ本体30などからのズーム位置の要求があった場合には,その要求応じてズーム位置が読み取られ,読み取られたズーム位置を表わすデータがズーム制御CPU基板56からカメラ本体30等に送信される。
【0091】
フォーカス処理と同様に,外部装置から撮影レンズ・ユニット1にズーム要求信号(ズーム位置を含む)が与えられると,そのズーム要求信号はズーム要求CPU基板51に入力する。ズーム要求信号はズーム要求CPU基板51からズーム制御CPU基板56に与えられる。すると,ズーム制御CPU基板56により,ズーム・レンズ3のズーム位置が取得される(ステップ144)。
【0092】
ズーム要求CPU基板51からズーム指令が発生し,発生したズーム指令はズーム要求CPU基板51からズーム制御CPU基板56に入力する。ズーム指令がズーム制御CPU基板56において取得される(ステップ145)。すると,取得したズーム・レンズ3のズーム位置を参照して,ズーム要求信号に応じたズーム位置となるように,ズーム制御CPU基板56によりズーム・レンズ3が駆動させられる(ステップ146)。
【0093】
撮影レンズ・ユニット1にオフ指令が与えられるまでステップ142から146の処理が繰り返される(ステップ147)。
【0094】
V方向防振制御CPU基板59においてV方向防振処理が行われる場合にも初期設定が行われ(ステップ151),ネットワーク通信処理が行われる(ステップ152)。ネットワーク通信処理において,V方向防振制御CPU基板59からズーム制御CPU基板56にズーム位置の要求が行われ,その要求に応じてズーム制御CPU基板56の制御のもとにズーム・レンズ3のズーム位置が読み取られる。読み取られたズーム位置を表わすデータがズーム制御CPU基板56からV方向防振制御CPU基板59に送信される。
【0095】
角速度センサ88によって撮影レンズ・ユニット1の垂直方向の振動が検出され,その検出信号がV方向防振制御CPU基板59に入力すると(ステップ153),振れによる垂直方向の補正量の算出処理(V方向防振演算)が行われる(ステップ154)。算出された垂直方向の補正量だけ垂直方向にシフトされるように,防振レンズ7がV方向防振制御CPU基板59の制御のもとに駆動される(ステップ155)。
【0096】
撮影レンズ・ユニット1がオフされるまでステップ152から155の処理が繰り返される(ステップ156)。
【0097】
H方向防振制御CPU基板60においてH方向防振処理が行われる場合にも初期設定が行われ(ステップ161),ネットワーク通信処理が行われる(ステップ162)。H方向防振制御CPU基板60においても,ネットワーク通信処理において,H方向防振制御CPU基板60からズーム制御CPU基板56にズーム位置の要求が行われ,その要求に応じてズーム制御CPU基板56の制御のもとにズーム・レンズ3のズーム位置が読み取られる。読み取られたズーム位置を表わすデータがズーム制御CPU基板56からH方向防振制御CPU基板60に送信される。
【0098】
角速度センサ90によって撮影レンズ・ユニット1の水平方向の振動が検出され,その検出信号がH方向防振制御CPU基板60に入力すると(ステップ163),振れによる水平方向の補正量の算出処理(H方向防振演算)が行われる(ステップ164)。算出された水平方向の補正量だけ水平方向にシフトされるように,防振レンズ7がH方向防振制御CPU基板60の制御のもとに駆動される(ステップ165)。
【0099】
撮影レンズ・ユニット1がオフされるまでステップ162から165の処理が繰り返される(ステップ166)。
【0100】
V方向防振処理はV方向防振制御CPU基板59によって行われ,H方向防振処理はH方向防振制御CPU基板60によって行われるから,V方向防振処理とH方向防振処理とを同時に行うことができる。また,上述したように,防振レンズ6をシフトさせるための防振演算は極めて膨大であるために,一つのCPUを用いて防振演算処理をしようとすると,高性能なCPUが必要となるが,この実施例では二つのCPU基板59および60を用いて垂直方向と水平方向とのそれぞれの防振演算処理が行われているので,比較的能力の低いCPUを用いて防振演算処理を実現できる。しかも,CPU基板59と60とは別々の基板なので,いずれか一方が故障した場合であっても,故障した基板を取り替えるだけで修理できる。
【0101】
図10は,防振処理のタイム・チャートである。
【0102】
上述したように,V方向防振制御CPU基板59における垂直方向の振れ補正処理とH方向防振制御CPU基板60における水平方向の振れ補正処理とを同時に行うことができる。たとえば,時間t1までに第1回目の垂直方向の振れ補正処理と水平方向の振れ補正処理とを同時行い,時間t2,t3,t4までにそれぞれ第2回目,第3回目,第4回目の垂直方向の振れ補正処理と水平方向の振れ補正処理とを同時に行うことができるようになる。
【0103】
従来は,垂直方向の振れ補正処理と水平方向の振れ補正処理とは同時に行うことができなかったために,交互に行われており,垂直方向の振れ補正処理と水平方向の振れ補正処理との両方の補正処理が終了するまでに時間がかかっていたが,この実施例では,垂直方向の振れ補正処理と水平方向の振れ補正処理とを同時に行うことができるため,垂直方向の振れ補正処理と水平方向の振れ補正処理との両方の補正処理が終了するまでの時間が短くなる。
【0104】
図11は,インジケータ制御処理手順を示すフローチャートである。このインジケータ制御処理手順は,表示制御CPU基板54によって行われる。
【0105】
インジケータ制御処理においても,初期設定が行われ(ステップ181),ネットワーク・システム通信処理が行われる(ステップ182)。たとえば,ネットワーク・システム通信処理においてカメラ本体30から表示装置73,74などの表示状況の送信指令が与えられると,その送信指令に応じて表示装置73,74などの表示状況が読み取られる。読み取られた表示状況を表わすデータがカメラ本体30に送信されることとなる。
【0106】
カメラ本体30から表示装置73,74などの表示指令が与えられると,その表示指令に応じて表示制御CPU基板54によって表示装置73,74が表示させられる(ステップ183)。
【0107】
撮影レンズ・ユニット1がオフされるまでステップ182および183の処理が繰り返される(ステップ184)。
【0108】
図12は,カメラ通信処理手順を示すフローチャートである。カメラ通信処理は,CPU基板55によって行われる。
【0109】
カメラ通信処理は,カメラ本体30と撮影レンズ・ユニット1との通信において行われるものであり,上述した各処理においてもカメラ本体30と撮影レンズ・ユニット1との通信が実行される場合には,図12に示すカメラ通信処理が行われていることとなる。
【0110】
カメラ通信処理においても,初期設定が行われ(ステップ191),ネットワーク通信処理192が実行される(ステップ192)。ネットワーク通信処理において,CPU基板55以外のCPU基板からのデータ等の受信,送信が行われる。
【0111】
CPU基板55以外のCPU基板から送信されたデータを受信したことにより,カメラ本体30との通信が必要であると判断されると,その受信したデータをカメラ本体30に送信できるようにプロトコル変換が行われる。変換されたデータがCPU基板55からカメラ本体30に送信してカメラ通信処理が行われる(ステップ193)。また,カメラ本体30から送信されたデータを受信したことにより,受信したデータをCPU基板55以外のCPU基板に送信する必要があると判断されると,受信したデータを,CPU基板55以外のCPU基板に送信するためのプロトコル変換(上述したCAN通信できるようにプロトコル変換)が行われる。変換されたデータが所望のCPU基板に送信される。たとえば,カメラ本体30からアイリス4の絞り値を設定するアイリス信号が送信されたとすると,そのアイリス信号はCPU基板55においてプロトコル変換される。プロトコル変換されたアイリス信号がアイリス制御CPU基板58に与えられ,アイリス4が制御されることとなる。
【0112】
撮影レンズ・ユニット1がオフされるまでステップ192および193の処理が繰り返される(ステップ194)。
【0113】
CPU基板51−64のそれぞれにCPUが実装されているので,上述した処理はそれぞれのCPU基板において同時に実行できる。このために,すべてまたは複数の処理が終了するまでの時間が短くなる。異なるまたは同じCPU基板からデータが送信されてネットワーク・ラインにおいて衝突してしまう場合には,上述したように調停が行われ,優先するデータがネットワーク・ラインを利用でき,その後に,優先するデータ以外の他のデータがネットワーク・ラインを利用してCPU基板に与えられることとなる。
【0114】
図13は,変形例を示すもので,撮影レンズ・ユニット1Aの他の電気的構成を示すブロック図である。
【0115】
図13において,図4に示すものと同一物については同一符号を付して説明を省略する。
【0116】
図13に示す実施例では,第1の共通バスBUS1および第2の共通バスBUS2が含まれている。第1の共通バスBUS1に,ズーム要求CPU基板51,フォーカス要求CPU基板52,スイッチ制御CPU基板53,表示制御CPU基板54およびCPU基板55が接続されている。また,第2の共通バスBUS2に,CPU基板55,ズーム制御CPU基板56,フォーカス制御CPU基板57,アイリス制御CPU基板58,V方向防振制御CPU基板59,H方向防振制御CPU基板60,回転ずれ制御CPU基板61,PFユニットCPU基板62,追加制御CPU基板63および64が接続されている。
【0117】
このように,共通バスに複数のCPU基板を接続するようにしても上述と同じ制御を実現できる。共通バスは2つでなく,1つまたは3つ以上でもよいのはいうまでもない。
【0118】
この実施例では,一つのCPUによって撮影レンズ・ユニット1または1Aの全体が統括されるのではなく,多数のCPU基板のうちのそれぞれのCPU基板によりそれぞれの処理が実行されるので,それぞれの処理を同時に実行でき,多数の処理に必要な時間を短縮できる。また,特定の基板が故障した場合には,その故障した基板のみを取り替えればよいので,修理も簡単となる。さらに,単独の基板に実装されているCPUはそれぞれに割り当てられている処理を実行できればよいので,その処理を実行できる程度の能力があればよい。比較的低い能力のCPUでも多数の処理を実行できるようになる。
【0119】
上述の実施例では,V方向防振制御CPU基板59にV方向の振れ量を検出する角速度センサ88が接続され,H方向防振制御CPU基板60にH方向の振れ量を検出する角速度センサ90が接続されているが,V方向防振制御基板59に防振レンズ7のV方向の位置を検出するセンサを設け,H方向防振制御基板60に防振レンズ7のH方向の位置を検出するセンサを設けるようにしてもよい。その場合には,新たに角速度センサ制御CPU基板をネットワーク・ラインで接続し,その角速度センサ制御CPU基板にV方向の振れ量を検出するセンサとH方向の振れ量を検出するセンサとを接続することとなろう。角速度センサ制御CPU基板において検出されたV方向の振れ量を表すデータとH方向の振れ量とを表すデータとが角速度センサ制御CPU基板から,V方向防振制御基板59とH方向防振制御基板60とにそれぞれ与えられ,V方向防振制御基板59によって防振レンズ7のV方向の振れ量が補正され,H方向防振制御基板60によって防振レンズ7のH方向の振れ量が補正される。
【0120】
上述した実施例では,CAN通信が利用されているがCAN通信以外のネットワーク技術を利用してもよい。たとえば,PROFIBUS,CC-Link,Interbus,EC-NETなどを利用することもできる。
【0121】
上述した実施例では,CPU基板51−64がネットワーク・ラインにより接続されている(必要に応じてネットワーク・ラインを介して通信するためのトランシーバが,これらの基板51−64に実装されているトランシーバが設けられているのはいうまでもない。)が,これらのCPU基板51−64とネットワーク・ラインとはコネクタ等により着脱自在に接続される。
【0122】
また,ズーム制御CPU基板56,フォーカス制御CPU基板57,アイリス制御CPU基板58,V方向防振制御CPU基板59,H方向防振制御CPU基板60および回転ずれ制御CPU基板61は同じ構成であり,基板の共通化が図られている。また,ズーム要求CPU基板51およびフォーカス要求CPU基板52はいずれもCPUが実装されており,ズーム要求信号またはフォーカス要求信号がアナログ/ディジタル変換回路を介してズーム要求CPU基板51またはフォーカス要求CPU基板52に実装されているCPUに入力する。さらに,スイッチ制御CPU基板53と表示制御CPU基板54も同じ構成であり,スイッチ71,72などから入力する信号がアナログ/ディジタル変換回路を介してスイッチ制御CPU基板53のCPUに入力し,表示制御CPU基板54のCPUからの制御データがディジタル/アナログ変換回路においてアナログ制御信号に変換されて表示装置73,74に入力する。さらに,PFユニットCPU基板62,追加制御CPU基板63および64の構成も同じでもよい。
【0123】
CPU制御基板51−64にはCPUおよびネットワーク・ラインを介して通信するための通信回路(トランシーバ)が共通に実装されているので,それらの回路についての共通化を図ることもできる。
【符号の説明】
【0124】
1,1A 撮影レンズ・ユニット
51−64 CPU基板
8 ボイス・コイル・モータ(第2の補正装置)
8A ボイス・コイル・モータ(第1の補正装置)
59 V方向防振制御CPU基板(第2の基板)
60 H方向防振制御CPU基板(第1の基板)
88 角速度センサ(第2のセンサ)
90 角速度センサ(第1のセンサ)
101 CPU(第2の制御回路)
111 CPU(第1の制御回路)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれが独立している複数の基板のそれぞれに制御回路が実装されており,かつ少なくとも2つ以上の基板の構造が同じであり,基板同士がネットワーク・ラインにより接続されている複数の基板,
カメラの撮像光学系の水平方向の像ぶれを検出する第1のセンサ,
上記第1のセンサによって検出された水平方向の像ぶれを補正する第1の補正装置,
上記カメラの撮像光学系の垂直方向の像ぶれを検出する第2のセンサ,および
上記第2のセンサによって検出された垂直方向の像ぶれを補正する第2の補正装置を備え,
上記複数の基板のうち第1の基板に実装されている第1の制御回路を用いて上記第1のセンサによって検出された水平方向の像ぶれを補正するように上記第1の補正装置を制御し,上記複数の基板のうち第2の基板に実装されている第2の制御回路を用いて上記第2のセンサによって検出された垂直方向の像ぶれを補正するように上記第2の補正装置を制御する,
カメラの像ぶれ補正装置。
【請求項2】
上記カメラの撮像光学系の回転ずれを検出する第3のセンサ,および
上記第3のセンサによって検出された回転ずれを補正する第3の補正装置をさらに備え,
上記複数の基板のうち第3の基板に実装されている第3の制御回路を用いて上記第3のセンサによって検出された回転ずれを補正するように上記第3の補正装置を制御する,
請求項1に記載のカメラの像ぶれ補正装置。
【請求項3】
上記第1の基板に実装されている第1の制御回路を用いた上記水平方向の像ぶれを補正するように上記第1の補正装置を制御する処理と,上記第2の基板に実装されている第2の制御回路を用いた上記垂直方向の像ぶれを補正するように上記第2の補正装置を制御する処理と,が並行して行われるものである,
請求項1または2に記載のカメラ像ぶれ補正装置。
【請求項4】
それぞれが独立している複数の基板のそれぞれに制御回路が実装されており,かつ少なくとも2つ以上の基板の構造が同じであり,基板同士がネットワーク・ラインにより接続されており,
第1のセンサが,カメラの撮像光学系の水平方向の像ぶれを検出し,
第1の補正装置が,上記第1のセンサによって検出された水平方向の像ぶれを補正し,
第2のセンサが,上記カメラの撮像光学系の垂直方向の像ぶれを検出し,
第2の補正装置が,上記第2のセンサによって検出された垂直方向の像ぶれを補正し,
上記複数の基板のうち第1の基板に実装されている第1の制御回路を用いて上記第1のセンサによって検出された水平方向の像ぶれを補正するように上記第1の補正装置を制御し,上記複数の基板のうち第2の基板に実装されている第2の制御回路を用いて上記第2のセンサによって検出された垂直方向の像ぶれを補正するように上記第2の補正装置を制御する,
カメラの像ぶれ補正装置の動作制御方法。
【請求項1】
それぞれが独立している複数の基板のそれぞれに制御回路が実装されており,かつ少なくとも2つ以上の基板の構造が同じであり,基板同士がネットワーク・ラインにより接続されている複数の基板,
カメラの撮像光学系の水平方向の像ぶれを検出する第1のセンサ,
上記第1のセンサによって検出された水平方向の像ぶれを補正する第1の補正装置,
上記カメラの撮像光学系の垂直方向の像ぶれを検出する第2のセンサ,および
上記第2のセンサによって検出された垂直方向の像ぶれを補正する第2の補正装置を備え,
上記複数の基板のうち第1の基板に実装されている第1の制御回路を用いて上記第1のセンサによって検出された水平方向の像ぶれを補正するように上記第1の補正装置を制御し,上記複数の基板のうち第2の基板に実装されている第2の制御回路を用いて上記第2のセンサによって検出された垂直方向の像ぶれを補正するように上記第2の補正装置を制御する,
カメラの像ぶれ補正装置。
【請求項2】
上記カメラの撮像光学系の回転ずれを検出する第3のセンサ,および
上記第3のセンサによって検出された回転ずれを補正する第3の補正装置をさらに備え,
上記複数の基板のうち第3の基板に実装されている第3の制御回路を用いて上記第3のセンサによって検出された回転ずれを補正するように上記第3の補正装置を制御する,
請求項1に記載のカメラの像ぶれ補正装置。
【請求項3】
上記第1の基板に実装されている第1の制御回路を用いた上記水平方向の像ぶれを補正するように上記第1の補正装置を制御する処理と,上記第2の基板に実装されている第2の制御回路を用いた上記垂直方向の像ぶれを補正するように上記第2の補正装置を制御する処理と,が並行して行われるものである,
請求項1または2に記載のカメラ像ぶれ補正装置。
【請求項4】
それぞれが独立している複数の基板のそれぞれに制御回路が実装されており,かつ少なくとも2つ以上の基板の構造が同じであり,基板同士がネットワーク・ラインにより接続されており,
第1のセンサが,カメラの撮像光学系の水平方向の像ぶれを検出し,
第1の補正装置が,上記第1のセンサによって検出された水平方向の像ぶれを補正し,
第2のセンサが,上記カメラの撮像光学系の垂直方向の像ぶれを検出し,
第2の補正装置が,上記第2のセンサによって検出された垂直方向の像ぶれを補正し,
上記複数の基板のうち第1の基板に実装されている第1の制御回路を用いて上記第1のセンサによって検出された水平方向の像ぶれを補正するように上記第1の補正装置を制御し,上記複数の基板のうち第2の基板に実装されている第2の制御回路を用いて上記第2のセンサによって検出された垂直方向の像ぶれを補正するように上記第2の補正装置を制御する,
カメラの像ぶれ補正装置の動作制御方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2013−29666(P2013−29666A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−165603(P2011−165603)
【出願日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】
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