説明

カメラの内蔵ストロボポップアップ機構

【課題】小型カメラに搭載される内蔵ストロボをレンズ光軸からより遠い位置までポップアップさせる。
【解決手段】シャフト部材17をカメラ本体内においてX軸方向に直動可能に保持し上向き(A方向)に付勢する。シャフト部材17の上端部に回転部22を設ける。L字形のアーム部材18の短辺18Aを回転部22で軸支するとともに回転付勢力を与える(B方向)。アーム部材18の長辺18Bの先端に回転部23を設け、ストロボ保持部材19の一端を軸支するとともに回転付勢力を与える(C方向)。ポップアップ時、シャフト部材17を距離D1突出させるとともに、アーム部材18をX軸に対し角度θ1回転させ、ストロボ保持部材19をアーム部材18に対して角度θ2(=θ1)回転させる。角度θ1を回転部23の移動がX軸を超えない範囲に設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラ本体に内蔵されたストロボをポップアップさせるためのポップアップ機構に関する。
【背景技術】
【0002】
ストロボを内蔵したカメラには、ストロボ使用時に内蔵ストロボをカメラ本体からポップアップするものがある。これはストロボを撮影光軸からなるべく離し、ケラレの発生や赤目の発生を防止するためである。ポップアップ機構としては、例えば上下方向にスライドするシャフトを設け、シャフトをバネで上方に付勢し、シャフト上端にストロボ光源を配置したものがある。ストロボ収容時には、シャフトはカメラ本体内で押し下げられ、係止機構によりその位置が固定される。ストロボ使用時に、ユーザがスライドノブなどを操作して係止を解除すると、シャフトはバネの付勢力で上方にスライドされ、ストロボがカメラ本体から跳び出す(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−086226号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
カメラの小型化にともない、カメラ本体に内蔵されるストロボはレンズ光軸により近い位置に配置されるためケラレや赤目の影響が増大する。特にレンズ交換式のコンパクトカメラでは、例えば焦点距離の短いレンズが装着されるとその影響が大きい。そのため、このようなカメラでは、より遠くにストロボをポップアップさせる必要がある。しかし、カメラ本体が小型化されると、ポップアップ機構のシャフトの長さも短くする必要があるため従来のポップアップ機構ではストロボをレンズ光軸から十分に離すことができない。
【0005】
本発明は、小型カメラに搭載される内蔵ストロボをレンズ光軸からより遠い位置までポップアップさせることを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の内蔵ストロボのポップアップ機構は、第1軸に沿って直動可能なシャフト部材と、シャフト部材の先端において第1軸に垂直な第2軸周りにその一端が枢軸されるアーム部材と、アーム部材の他端において第2軸と平行な第3軸周りに枢軸されるストロボ保持部材と、シャフト部材を第1軸に沿って付勢する第1軸方向付勢手段と、アーム部材をシャフト部材に対し第2軸周りに回転付勢する第2軸回転付勢手段と、アーム部材に対してストロボ保持部材を第3軸周りに回転付勢する第3軸回転付勢手段とを備え、ポップアップ時、第1軸方向付勢手段によりシャフト部材がカメラ本体から突出され、第1軸方向付勢手段による第1軸に沿った並進移動、第2および第3軸回転付勢手段による第2および第3軸周りの回転移動が同一面内でレンズ光軸から離れる方向へ行われることを特徴としている。
【0007】
ポップアップ時、ストロボ保持部材は並進移動により第1軸に沿ってレンズ光軸から離れる方向へ移動されるとともに、回転移動によりレンズ光軸からさらに離れる方向へと移動される。収容作業を容易にするには、ポップアップ時、第1軸に対し第3軸が第2軸よりもカメラ本体の内側に配置されることが好ましい。
【0008】
収容作業をより円滑にするには、ポップアップ状態において、ストロボ保持部材が第1軸方向にカメラ本体に向けて押圧されると、ストロボ保持部材およびアーム部材が第3、第2軸周りに回動され、その後シャフト部材が第1軸に沿ってカメラ本体内へ向けて移動されるように第1軸方向付勢手段、第2軸回転付勢手段、第3軸回転付勢手段の付勢力が設定されることが好ましい。
【0009】
無駄なくストロボ本体を光軸から離すには、ポップアップ時、ストロボ保持部材は撮像素子の撮像面と平行な面内で移動されることが好ましい。よりコンパクトに構成するにはアーム部材はストロボ保持部材よりも後方に配置されることが好ましく、アーム部材はストロボカバー内に収容可能であることが好ましい。
【0010】
また、シャフト部材は、カメラ本体の端部に配置されることが好ましく、例えば第2軸、第3軸周りの回転付勢力は互いに逆向きである。また、ポップアップ状態において、ストロボ保持部材に設けられたストロボ発光部の横軸は、撮像素子の水平ラインに略平行とされることが好ましい。
【0011】
本発明のカメラは、上記内蔵ストロボポップアップ機構を備えたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、小型カメラに搭載される内蔵ストロボをレンズ光軸からより遠い位置までポップアップさせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】内蔵ストロボが収容された状態のコンパクトカメラの正面図である。
【図2】内蔵ストロボが収容された状態のコンパクトカメラの頂面図である。
【図3】内蔵ストロボが収容された状態のコンパクトカメラの右側面図である。
【図4】内蔵ストロボが収容された状態のコンパクトカメラの斜視図である。
【図5】内蔵ストロボがポップアップされた状態のコンパクトカメラの正面図である。
【図6】内蔵ストロボがポップアップされた状態のコンパクトカメラの頂面図である。
【図7】内蔵ストロボがポップアップされた状態のコンパクトカメラの右側面図である。
【図8】内蔵ストロボがポップアップされた状態のコンパクトカメラの斜視図である。
【図9】ポップアップ状態における内蔵ストロボユニットの正面斜視図である。
【図10】ポップアップ状態における内蔵ストロボユニットの側面斜視図である。
【図11】ストロボ収容状態におけるカメラ本体の壁面を一部切除した斜視図である。
【図12】ポップアップ状態におけるカメラ本体の壁面を一部切除した斜視図である。
【図13】内蔵ストロボユニットの機械的な構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。図1〜図4は、本発明の一実施形態である内蔵ストロボポップアップ機構が採用されるコンパクトカメラの正面図、頂面図、右側面図、および正面斜視図である。なお、図1〜図4において、ポップアップ機構は収容された状態にある。
【0015】
本実施形態のコンパクトカメラは、例えばレンズ交換式のデジタルカメラであり、カメラ本体10の正面中央には、レンズ鏡筒を装着するレンズマウント11が配置される。正面図、頂面図において、カメラ本体10の頂面左側には、モード切替ダイヤル12、電子ダイヤル13、レリーズボタン14等が配置され、右側前面には内蔵ストロボユニット15が配置される。また、カメラ本体10の頂面において、内蔵ストロボユニット15の後ろ側には、内蔵ストロボユニット15をポップアップさせるためのスライドノブ状のポップアップノブ16が設けられる。なお各図は、レンズ鏡筒が取り外された状態で描かれ、図1〜図3には、レンズ鏡筒が装着されたときの光軸Lが一点鎖線で示される。
【0016】
図5〜図8は、内蔵ストロボユニット15がポップアップされた状態のカメラ本体10の正面図、頂面図、右側面図、正面斜視図であり、図1〜図4にそれぞれ対応する。また、図9、図10にポップアップ状態における内蔵ストロボユニット15の正面斜視図および側面斜視図を示す。
【0017】
内蔵ストロボユニット15のポップアップ機構は主にシャフト部材17、アーム部材18、ストロボ保持部材19から構成される。内蔵ストロボユニット15の光源(図示せず)は、ストロボ保持部材19に保持され、ストロボカバー20内に収められる。またストロボカバー20の前面には、ストロボ光を照射する窓21が設けられる。
【0018】
シャフト部材17は、カメラ本体10内において上下方向(第1軸方向)に直動可能であり、コイルバネなどの付勢手段によりカメラ本体10の上方に向けて付勢される。シャフト部材17の上端には、回転部(第2軸)22が設けられ、例えばL字形のアーム部材18の一端が軸支される。また、アーム部材18の他端には回転部(第3軸)23が設けられ、ストロボ保持部材19が軸支される。
【0019】
回転部22には、例えばトーションスプリングなどの回転付勢手段が設けられ、アーム部材18はシャフト部材17に対して外側に向けて回転するように付勢される。また、回転部23にもトーションスプリングなどの回転付勢手段が設けられ、ストロボ保持部材19は、アーム部材18に対して回転部22での付勢方向とは逆向きに回転付勢される。すなわち、図5において回転部22はアーム部材18に対して時計周りの付勢力を与え、回転部23はストロボ保持部材19に対して反時計周りの付勢力を与える。
【0020】
また回転部22、23には、回転を所定範囲に規制する係止機構がそれぞれ設けられ、各回転付勢手段によるアーム部材18のシャフト部材17に対する回転およびストロボ保持部材19のアーム部材18に対する回転は一定の角度範囲に規制される。また、シャフト部材17の付勢手段による移動も、係止機構により所定の高さ以下に規制される。なお、図5〜図10には、各係止機構により各部材の移動が停止された状態、すなわちポップアップによる移動の最終状態が示される。
【0021】
図8に示されるように、カメラ本体10の頂面左前側角部(図8における右側)には、ストロボカバー20の形状に対応した凹部であるストロボ収容部24が形成される。すなわち、ストロボ収容時、ストロボカバー20は図4に示されるようにストロボ収容部24にピッタリと収められ、ボディ全体は直方体を概ね呈する。
【0022】
ストロボ収容部24には、カメラ本体10の左前側(図8における右側)の辺に沿ってシャフト部材17が嵌挿、収容される縦穴状のシャフト収容部が形成される。シャフト収容部内には、例えば図9に示されるロッド状のガイド部材25Aが縦方向に沿って配置され、シャフト部材17は、ガイド部材25Aに滑動自在に係合される。
【0023】
シャフト部材17には、ガイド部材25Aに平行なバネ保持部材25Bが取り付けられ、その周囲にはコイルバネ(図示せず)が配置される。すなわち、収容時コイルバネは圧縮され、シャフト部材17はコイルバネによりガイド部材25Aに沿ってカメラ本体10の上方に向けて付勢される。シャフト部材17が押し下げられ、ストロボカバー20がストロボ収容部24に収容されると、ストロボ保持部材19はポップアップノブ16とストロボカバー20の間に設けられる係止機構によりその位置を固定され、ポップアップ機構の収容状態が維持される。
【0024】
なお、図10に示されるように、アーム部材18はストロボ保持部材19およびシャフト部材17の後方に配置され、ストロボ収容時、アーム部材18はストロボ保持部材19の後ろ側に重ねられてストロボカバー20内に設けられたアーム収納部20Aに収容される。
【0025】
この状態(図1〜図4の収容状態)においてポップアップノブ16が操作されると、ストロボ保持部材19の係止状態が解除され、各付勢手段の付勢力により、シャフト部材17が図5のようにA方向に押し上げられるとともに、アーム部材18がシャフト部材17に対してB方向に回転され、ストロボ保持部材19がアーム部材18に対してC方向に回転される。
【0026】
なお、図11、図12は、シャフト部材17が挿入されるシャフト収容部内の様子を示すためにカメラ本体10の壁面を一部切除した斜視図であり、ストロボ収容状態およびポップアップ状態におけるカメラ本体10のシャフト収容部内における様子が示される。
【0027】
シャフト収容部は、カメラ本体10の中央側と壁面26、27により隔てられる。壁面26は、ストロボ収容部24からシャフト部材17の側面に添って下向きに延出し、その下端部は底面より少し上に位置する。一方、壁面27は、壁面26よりもカメラ本体10の中央よりに配置され、壁面26に平行に底面から上向きに延出して、その上端は壁面26の下端部よりも少し上側に達する。
【0028】
すなわち、カメラ本体10の中央側の空間とシャフト収容部は、壁面26、27の間に形成される隙間を介して連通され、この隙間を通してカメラ本体10内の電源回路とストロボ本体(図示せず)を連絡するリード線28が配線される。図示されるように、リード線28は、壁面26、27の隙間に沿って略N字形に配置され、シャフト部材17の下端部からシャフト部材17の内部に挿入され、回転部22、アーム部材18、回転部23、ストロボ保持部材19内を通ってストロボ本体(図示せず)に接続される。なお、リード線28の配置は、本実施形態のN字形の配置に限定されるものではなく、シャフト軸方向への伸縮時にリード線28が自由に曲がれば、例えばS字形やU字形の配置でもよい。
【0029】
図12に示されるように、N字形に配置されたリード線28は、ポップアップ状態では略壁面26の下端部に沿って湾曲される。一方ストロボ収容時には、シャフト部材17が下降され、図11に示されるように、壁面26の下端部に沿って湾曲されていたリード線28が略底面と接触する位置で湾曲される。
【0030】
すなわち、壁面26、27の下端部、上端部の位置や、壁面27の上端部からシャフト部材17に至るリード線28の長さは、ポップアップ状態においてリード線28が引っ張られることがなく、かつストロボ収容時にリード線28が弛み過ぎることがないように、シャフト部材17の下端部の位置やそのシフト量などを考慮して決定される。
【0031】
次に図13を本実施形態のポップアップ機構の作用および効果について説明する。図13は、内蔵ストロボユニット15の機械的な構成を示す模式図であり、左側にストロボ収容時の状態が示され、右側にポップアップされた状態が示される。なお、図13では、レンズは内蔵ストロボユニット15の左側に配置される。
【0032】
本実施形態において、アーム部材18はL字形を呈し、短辺18Aの端部が回転部22を介してシャフト部材17の上端部に連結される。ストロボ収容状態において、短辺18Aはシャフト部材17の軸方向に沿って配置され、シャフト収容部内に収められる。このときアーム部材18の長辺18Bは、カメラ本体10の中央に向けて横向きかつカメラ本体横軸Y(図1、図2参照)と平行に配置される。
【0033】
また、ストロボ収容状態において、ストロボ保持部材19は長辺18Bに沿って横向きに配置される。なお、図13では、ストロボ保持部材19が便宜的にアーム部材18の長辺18Bの上側に描かれているが、実際には長辺18Bの前方に重なった状態で配置される。
【0034】
図5を参照して説明したように、シャフト部材17は軸(第1軸)Xに沿って上方(A方向)に付勢され、アーム部材18は回転部22において第1軸Xに垂直な第2軸を中心に時計回り(B方向)に回転付勢される。また、ストロボ保持部材19は回転部23により第1軸Xに垂直な第3軸を中心に反時計周り(C方向)に回転付勢される。なお、ストロボ機構がカメラ本体において本実施形態とは逆側(図1左側)に配置される場合には、上述した回転付勢の方向は逆向きになる。
【0035】
ポップアップノブ16(図4参照)が操作されポップアップ機構を固定する係合が解除されると、シャフト部材17が、上方に距離D1分スライドされるとともに、アーム部材18が、カメラ本体10の外側に向けて角度θ1回転され、ストロボ保持部材19がアーム部材18に対して角度θ2回転される。なお、このポップアップ動作により、ストロボ本体は撮像素子の撮像面に平行な面(光軸L(図1〜図3参照)に垂直な面)内で移動される。
【0036】
本実施形態では、略θ1=θ2とされ、ポップアップ状態においてストロボ保持部材19はカメラ本体10の横軸Y(図1、図2参照)に平行になる。しかし角度θ2は、ストロボ発光部が光軸Lからなるべく離れるとともにストロボ保持部材19を押し下げ操作のみでストロボ収容部24に収容可能であればよく、角度θ2の値はθ1と異なっていてもよい。すなわち、角度θ2は例えばθ1〜θ1+90°の範囲で設定され得る。ただし、ストロボ発光部の横軸とカメラ本体横軸Y(即ち、撮像素子の水平ライン)が略平行でないと、ストロボ発光部の傾きに応じて撮像面の4隅の何れかにケラレが生じる可能性があるため、θ1=θ2とする本実施形態の構成が好ましい。なお、回転量の規制は、回転部22、23に設けられる係止機構(図示せず)により行われる。
【0037】
回転角θ1は、ポップアップ状態において回転部(第3軸)23が、シャフト部材17の軸(第1軸X)に対し回転部(第2軸)22よりも内側(図中左側)に位置するように設定される。このとき回転部23の位置、すなわちストロボ本体は、アーム部材18の回転部22周りのθ1の回転により縦軸に沿って距離D2分上方に移動され、横軸(Y)に沿って距離(L1−L2)分外側に移動される。
【0038】
ここでL1はL字形アーム部材18の長辺18Bの長さであり、ストロボ収容時における回転部23の第1軸Xからの距離に対応する。また、L2はポップアップ状態における回転部23の第1軸Xからの距離である。L字形アーム部材18を用いた本実施形態では、アーム部材18の短辺18Bの長さをL3とすると、L2=L1・cosθ2−L3・sinθ1と表され、D2=L1・sinθ2+L3・(cosθ1−1)と表される。
【0039】
したがって、本実施形態のポップアップ機構では、第1軸方向へのシャフト部材17のスライド動作による距離D1に加え、回転動作による高さ方向に距離D2、横方向に距離(L1−L2)分さらにレンズから離れる方向にストロボ本体を移動できる。これにより、内蔵ストロボをレンズ光軸からより遠ざけることができ、ケラレや赤目の発生を防止できる。
【0040】
また、内蔵ストロボをポップアップされた状態から収容するには、ユーザがストロボカバー20(図5、図8等参照)をストロボ収容部24に向けて上から押し下げる。このとき回転部23が回転部22よりもカメラ本体10の内側にあることから、アーム部材18は回転部22の回転付勢力に抗して図中左側に向けて倒され、図13の左側に示される収容状態に至る。
【0041】
また本実施形態のポップアップ機構では、ユーザが内蔵ストロボユニット15を押し下げると、初めにアーム部材18とストロボ保持部材19が折り畳まれてアーム部材18の長辺18Bが横向きになり、その後にシャフト部材17が押し下げられるように構成される。したがって、回転部22、23の回転付勢力とシャフト部材17に対する上向きの付勢力は、このような順番で各部材が動かされるように設定され、本実施形態ではシャフト部材の上向き付勢力が最も強く設定される。なお、上記順番は、摩擦抵抗・その他手段でも制御可能である。
【0042】
以上のように、本実施形態によれば、収容時コンパクトでありながらも、並進運動のみ、あるいは回転運動のみを利用したポップアップ動作からなる従来の構成に比べ、ポップアップ状態においてストロボをより遠くまで移動することができる。これによりケラレや赤目の防止をより効果的に行うことができる。特にレンズ交換式のコンパクトカメラのように、スペースが限られ、かつ焦点距離が短いレンズが装着される可能性があるカメラにおいて、本実施形態のポップアップ機構は有効である。
【0043】
また、本実施形態ポップアップ機構では撮像面に平行な面内でストロボを移動させるため無駄なくストロボ光源をレンズ光軸から遠ざけることができる。また、アーム部材をストロボ保持部材、シャフト部材の後ろ(ストロボ発光面の後方)に配置したため内蔵ストロボユニットの前後方向幅が抑えられ、さらに折り畳み時にはアーム部材をストロボ保持部材と重ねることができるため収容時の大きさをよりコンパクトにすることができる。
【0044】
さらに本実施形態では、ポップアップ状態におけるアーム部材の上側の回転部を下側の回転部よりも内側に配置したことで、ユーザは内蔵ストロボユニットを押し下げるだけでストロボを収容位置まで移動することができる。また押し下げる際に、ストロボ保持部材、アーム部材の折り畳みが先に行われ、その後シャフト部材が押し下げられる構成としたことで、より円滑な内蔵ストロボの収容が可能になる。
【0045】
なお本実施形態では、シャフト部材がカメラ本体の上方にスライドされたが、光軸に垂直な面内であれば他の方向にスライドさせることも可能である。また、本実施形態では、レンズ交換式のコンパクトカメラを例に説明を行ったが、本実施形態のポップアップ機構は他のいかなる形式のカメラにも適用できる。また、本実施形態のアーム部材にはL字形の部材を用いたが、アーム部材として、L字形以外にもI字形や、Z字形などの形状を利用し得る。
【0046】
また、内蔵ストロボユニットは、収容状態、ポップアップ状態に関わらず発光可能とされてもよい。また、バネ力制御や摩擦抵抗を設けることで、各部材のポップアップ動作におけるポップアップ順を適宜設定することも可能であるが、ポップアップの順序は本実施形態に限定されるものではない。
【0047】
本実施形態において、2つの回転部(第2、第3軸)における回転付勢力は、互いに逆向きであったが、これらを同じ方向とする構成であってもよい。また、アーム部材の数を増やす事で、ストロボの位置を光軸から更に遠ざけることができ、例えば、アーム部材をL字、逆L字、L字・・・、と交互に組み合わせることもできるが、コンパクト性の観点からは本実施形態のようにアーム部材を1つとすることが好ましい。
【符号の説明】
【0048】
10 レンズ交換式コンパクトカメラ
15 内蔵ストロボユニット
17 シャフト部材
18 アーム部材
19 ストロボ保持部材
20 ストロボカバー
22 回転部(第2軸)
23 回転部(第3軸)
24 ストロボ収容部
L レンズ光軸
X 第1軸
Y カメラ本体横軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1軸に沿って直動可能なシャフト部材と、
前記シャフト部材の先端において前記第1軸に垂直な第2軸周りにその一端が枢軸されるアーム部材と、
前記アーム部材の他端において前記第2軸と平行な第3軸周りに枢軸されるストロボ保持部材と、
前記シャフト部材を前記第1軸に沿って付勢する第1軸方向付勢手段と、
前記アーム部材を前記シャフト部材に対し前記第2軸周りに回転付勢する第2軸回転付勢手段と、
前記アーム部材に対して前記ストロボ保持部材を前記第3軸周りに回転付勢する第3軸回転付勢手段とを備え、
ポップアップ時、前記第1軸方向付勢手段により前記シャフト部材が前記カメラ本体から突出され、前記第1軸方向付勢手段による前記第1軸に沿った並進移動、前記第2および第3軸回転付勢手段による前記第2および第3軸周りの回転移動が同一面内でレンズ光軸から離れる方向へ行われる
ことを特徴とするカメラの内蔵ストロボポップアップ機構。
【請求項2】
ポップアップ時、前記ストロボ保持部材が前記並進移動により前記第1軸に沿ってレンズ光軸から離れる方向へ移動されるとともに、前記回転移動により前記レンズ光軸からさらに離れる方向へと移動されることを特徴とする請求項1に記載の内蔵ストロボポップアップ機構。
【請求項3】
ポップアップ状態において、前記第1軸に対し前記第3軸が前記第2軸よりも前記カメラ本体の内側に配置されることを特徴とする請求項1に記載の内蔵ストロボポップアップ機構。
【請求項4】
ポップアップ状態において、前記ストロボ保持部材が前記第1軸方向に前記カメラ本体に向けて押圧されると、前記ストロボ保持部材および前記アーム部材が前記第3、第2軸周りに回動され、その後前記シャフト部材が前記第1軸に沿って前記カメラ本体内へ向けて移動されるように前記第1軸方向付勢手段、前記第2軸回転付勢手段、前記第3軸回転付勢手段の付勢力が設定されることを特徴とする請求項1に記載の内蔵ストロボポップアップ機構。
【請求項5】
ポップアップ時、前記ストロボ保持部材が撮像素子の撮像面と平行な面内で移動されることを特徴とする請求項1に記載の内蔵ストロボポップアップ機構。
【請求項6】
前記アーム部材がストロボ保持部材よりも後方に配置されることを特徴とする請求項1に記載の内蔵ストロボポップアップ機構。
【請求項7】
前記アーム部材がストロボカバー内に収容可能であることを特徴とする請求項1に記載の内蔵ストロボポップアップ機構。
【請求項8】
前記シャフト部材がカメラ本体の端部に配置されることを特徴とする請求項1に記載の内蔵ストロボポップアップ機構。
【請求項9】
前記第2軸、第3軸周りの回転付勢力が互いに逆向きであることを特徴とする請求項1に記載の内蔵ストロボポップアップ機構。
【請求項10】
ポップアップ状態において、前記ストロボ保持部材に設けられたストロボ発光部の横軸が撮像素子の水平ラインに略平行とされることを特徴とする請求項1に記載の内蔵ストロボポップアップ機構。
【請求項11】
請求項1に記載の内蔵ストロボポップアップ機構を備えることを特徴とするカメラ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−242498(P2012−242498A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−110548(P2011−110548)
【出願日】平成23年5月17日(2011.5.17)
【出願人】(311015207)ペンタックスリコーイメージング株式会社 (81)
【Fターム(参考)】