説明

カメラを内蔵した車両用灯具

【課題】 車体側面に装着される車両用灯具において、光源の光をカメラに入射しにくくし、透光カバーのほぼ全域を均一に明るく発光させ、照明機能を低下させることなく、カメラを光源と一緒に搭載する。
【解決手段】 車体フェンダー部のサイドターンシグナルランプ11において、灯具ハウジング12をシャーシ15と透光カバー16で構成する。シャーシ15上のホルダ17に光源13とカメラ14を保持し、カメラ14で前輪周辺と車両側方および後方を撮影する。透光カバー16に遮光部18を設け、カメラ14の撮像部14aを光源13の光から遮蔽する。遮光部18の内側に入射口19を形成し、外部の光を撮像部14aに入射させる。入射口19を除く領域で、透光カバー16を灯具ハウジング12の前端から後端まで広がるように形成し、光源13の光で車両前方、側方および後方を明るく照明する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体の側面に装着される灯具ハウジングに光源とカメラを内蔵した車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、カメラ専用のハウジングを不要にするために、カメラを光源と一緒に灯具ハウジングの内部に設置する技術が知られている。例えば、特許文献1には、車体のフェンダー部に装着されるサイドターンシグナルランプにおいて、灯具ハウジングの内部を隔壁で2室に仕切り、走行方向前側の灯室に光源を設置し、後側の撮影室にカメラを設置し、カメラが撮影した車両後方の映像を運転席のモニタに表示する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−312359号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の車両用灯具によれば、灯具ハウジングを光源とカメラで共用できるとともに、撮影室を隔壁で遮光し、光源の光がカメラに入射しにくくなるように構成できる。しかし、撮影室を遮光するので、灯具ハウジングの後半部が前半部と比較して暗くなる。このため、カメラを内蔵したことで、灯具本来の照明機能が低下するという問題点があった。
【0005】
そこで、本発明の目的は、照明機能を低下させることなく、カメラを光源と一緒に搭載できる車両用灯具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は、車体の側面に装着される灯具ハウジングに光源とカメラを内蔵した車両用灯具において、次のような手段を提供する。
(1)灯具ハウジングが光源の光を外部に出射する出射部と、カメラを光源の光から遮蔽する遮光部とを備え、遮光部に外部の光をカメラに入射させる入射口を設け、入射口を除く領域で前記出射部を灯具ハウジングの前端から後端まで広がるように形成したことを特徴とする車両用灯具灯具。
【0007】
(2)出射部が光源の光を車両前方、側方および後方に出射し、カメラが外部の光を車両後方から入射することを特徴とする(1)に記載の車両用灯具。
【0008】
(3)遮光部がカメラの撮像部を取り囲むように形成され、入射口が遮光部の内側に設けられていることを特徴とする(1)又は(2)に記載の車両用灯具。
【0009】
(4)出射部が光源に近接する受光レンズと、受光レンズから入射した光源の光を内部反射させて灯具ハウジングの前後方向に導く導光レンズとを含むことを特徴とする(1)〜(3)の何れか一つに記載の車両用灯具。
【0010】
(5)灯具ハウジングが車体側面のドア開口部を覆うドアパネルに装着されていることを特徴とする(1)〜(4)の何れか一つに記載の車両用灯具。
【発明の効果】
【0011】
本発明の車両用灯具は、遮光部によってカメラを光源の光から遮蔽し、カメラの映像を鮮明にするとともに、出射部を灯具ハウジングの前端から後端まで広がるように形成し、出射部のほぼ全域を均一に明るく発光させ、照明機能を低下させることなく、カメラを光源と一緒に搭載できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明による実施例1の車両用灯具を示す車体の外観図である。
【図2】図1の車両用灯具を拡大して示す正面図である。
【図3】図2の車両用灯具の水平断面図である。
【図4】図3の車両用灯具において、遮光部の変更例を示す部分断面図である。
【図5】本発明による実施例2の車両用灯具を示す車体の外観図である。
【図6】図5の車両用灯具の水平断面図である。
【図7】実施例2の車両用灯具の変更例を示す断面図である。
【図8】実施例2の車両用灯具の別の変更例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を自動車のSTSL(サイドターンシグナルランプ)に具体化した実施形態を2つの実施例に基づいて説明する。図1〜4に示す実施例1のSTSL11は、前輪1の上側において、車体2のフェンダー部に装着されている。図5〜8に示す実施例2のSTSL21は、車体2の側面のドア開口部3を覆う前席ドアパネル4において、ドアミラー5(図1参照)と交換し、それと同じ部位に装着されている。実施例1,2において、同一または類似する部材は図面に同一の符号で示されている。
【実施例1】
【0014】
図1〜図4に示すように、実施例1のSTSL11は、車体2のフェンダー部に装着される灯具ハウジング12に光源13とカメラ14を内蔵している。灯具ハウジング12は、車体2に取り付けられるシャーシ15と、光源13の光を出射する出射部としての透光カバー16とで構成されている。シャーシ15には、光源13とカメラ14を保持するホルダ17が設けられている。光源13は、LEDや白熱灯などの発光素子13aと基板13bとを備えている。光源13は灯具ハウジング12内の略中央部に配置され、基板13bに光源13の点灯回路と一緒にカメラ14の制御回路が設けられている。
【0015】
カメラ14は、撮像部(レンズ)14aが斜め後下向きとなる姿勢でホルダ17に保持され、前輪1の周辺と車両側方および後方を撮影し、その映像を運転席のモニタ(図示略)に表示させる。透光カバー16の後部には、カメラ14の撮像部14aを光源13の光から遮蔽する筒形またはリング形の遮光部18が設けられている。遮光部18は、撮像部14aを取り囲むように不透明樹脂材料で透光カバー16に2色成形されている。遮光部18の内側には、外部の光を車両後方および下方から撮像部14aに入射させる入射口19が形成されている。そして、透光カバー16が入射口19を除く領域で灯具ハウジング12の前端から後端まで広がるように形成され、光源13からの光を車両前方、側方および後方に出射するようになっている。
【0016】
したがって、実施例1のSTSL11によれば、一台のカメラ14で前輪1周辺と車両側方、後方を監視できる。特に、カメラ14の撮像部14aを遮光部18で取り囲み、遮光部18の内側に入射口19を形成したので、光源13からの直射光や透光カバー16を伝う間接光によってカメラ14の映像が悪影響を受けるおそれがない。また、光源13の光を透光カバー16のほぼ全域から均一に出射し、車両の前方、側方、後方を明るく照明できる。なお、図4に示すように、透光カバー16にステップ形状の遮光部20を形成し、光源13からの光を遮光部20で反射させ、撮像部14aの外側へ拡散させるように構成してもよい。
【実施例2】
【0017】
図5〜8に示す実施例2のSTSL21は、ドアパネル4に装着される灯具ハウジング22に光源13とカメラ14を内蔵している。灯具ハウジング22は、ドアパネル4に取り付けられるシャーシ23と、光源13の光を出射する出射部としての透光カバー24とで構成されている。シャーシ23には、光源13とカメラ14を保持するホルダ17が設けられている。透光カバー24には、光源13の発光素子13aに近接するリング状の受光レンズ24aと、受光レンズ24aから入射した発光素子13aの光を内部反射させて灯具ハウジング22の前後方向に導く厚手帯形の導光レンズ24bとが形成されている。
【0018】
光源13と受光レンズ24aは、灯具ハウジング22の前端部(図6参照)、または中間部(図7参照)で相対するように配置されている。カメラ14は、撮像部14aが後向き(発光素子13aの照射方向と反対向きまたは直角向き)となる姿勢で灯具ハウジング22の後端に配置され、ドアミラーの代わりに車両後方を撮影し、その映像を運転席のモニタに表示させる。シャーシ23の後端には、撮像部14aを光源13の光から遮蔽する筒形の遮光部25が設けられ、遮光部25の内側に外部光を車両後方から撮像部14aに入射させる入射口26が形成されている。
【0019】
図8に示すSTSL21では、光源13と受光レンズ24aが灯具ハウジング22の後端部に相対配置されている。カメラ14は、撮像部14aが光源13aの照射方向と直角となる向きで灯具ハウジング22の内奥部に配置されている。ホルダ17には、カメラ14を保持するブラケット27と、入射口26の光学フィルタ28から取り込んだ外部光を撮像部14aに向けて反射するミラー29とが設けられている。そして、図6〜図8に示すように、透光カバー24の導光レンズ24bが入射口26を除く領域で灯具ハウジング22の前端から後端まで延び、光源13の光を車両前方、側方および後方に出射するようになっている。
【0020】
したがって、実施例2のSTSL21によれば、カメラ14をドアミラー5に代わる後方確認手段として機能させることができ、カメラ専用の防水ハウジングを不要にし、灯具ハウジング22を光源13とカメラ14で共用できるうえ、ハウジング22を小型化し、空気抵抗を減少させて、燃費向上に貢献することができる。また、光源13とカメラ14の向きを相違させ、さらに、撮像部14aを遮光部25で遮蔽し、カメラ14の映像を光源13の光から確実に保護することができる。特に、透光カバー24は、受光レンズ24aから入射した光で導光レンズ24bをストライプ状に明るく発光させ、ドアパネル4のベルトライン近くに斬新なデザインを創出することができる。
【0021】
以上、実施例1,2で詳述したように、本発明の車両用灯具によれば、光源とカメラが車両進行方向の前後に並べて配置されているので、車両進行方向と直角の方向(車両の左右または上下方向)に灯具ハウジングの小型化が実現できる。また、車両進行方向に光源とカメラを並べて配置した場合であっても、ミラーや導光レンズを利用して、カメラ機能を損なうことなく、透光カバーのほぼ全域を均一に明るく発光させることが可能となる。
【0022】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、例えば、実施例1のSTSL11をドアミラー5に代わる後方確認手段として機能させることもでき、実施例2のSTSL21をドアミラー5のハウジングに内蔵することもでき、その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、各部の形状や構成を適宜に変更して具体化することも可能である。
【符号の説明】
【0023】
2 車体
3 ドア開口部
4 ドアパネル
11 サイドターンシグナルランプ(実施例1)
12 灯具ハウジング
13 光源
14 カメラ
14a 撮像部
16 透光カバー
18 遮光部
19 入射口
20 遮光部
21 サイドターンシグナルランプ(実施例2)
22 灯具ハウジング
24 透光カバー
24a 受光レンズ
24b 導光レンズ
25 遮光部
26 入射口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体の側面に装着される灯具ハウジングに光源とカメラを内蔵した車両用灯具において、前記灯具ハウジングが光源の光を外部に出射する出射部と、カメラを光源の光から遮蔽する遮光部とを備え、遮光部に外部の光をカメラに入射させる入射口を設け、入射口を除く領域で前記出射部を灯具ハウジングの前端から後端まで広がるように形成したことを特徴とする車両用灯具。
【請求項2】
前記出射部が光源の光を車両前方、側方および後方に出射し、前記カメラが外部の光を車両後方から入射する請求項1記載の車両用灯具。
【請求項3】
前記遮光部がカメラの撮像部を取り囲むように形成され、前記入射口が遮光部の内側に設けられている請求項1又は2記載の車両用灯具。
【請求項4】
前記出射部が光源に近接する受光レンズと、受光レンズから入射した光源の光を内部反射させて灯具ハウジングの前後方向に導く導光レンズとを含む請求項1、2又は3記載の車両用灯具。
【請求項5】
前記灯具ハウジングが車体側面のドア開口部を覆うドアパネルに装着されている請求項1〜4の何れか一項に記載の車両用灯具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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