説明

カメラシステム、カメラ本体ユニット、外部ユニットおよびカメラシステムの制御方法

【課題】本体ユニットに交換レンズなどの外部ユニットが接続可能なカメラシステムにおいて、起動時間の高速化と、安定した初期化動作を実現する。
【解決手段】撮影レンズで結像される被写体光の画像データを出力する撮像素子を有するレンズユニットを含む外部ユニットと、前記画像データを記憶する記憶手段、画像データを表示する表示手段、外部ユニットの装着部を有する本体ユニットと、外部ユニットに対して本体ユニットがマスタ、スレーブとして機能する制御プログラムを備える。外部ユニットは、制御プログラムをサブシステム毎に予め分割してなるサブシステムロードテーブルと、外部ユニットと本体ユニットのサブシステムを前記テーブルからロードする手段を有し、前記テーブルは予めロードする順序が定めら、本体ユニット側のサブシステムは、外部ユニット側のロード手段にロードされた後本体ユニットに送信されメモリにロードされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はカメラシステム、カメラ本体ユニット、外部ユニットおよびカメラシステムの制御方法に関するもので特に、レンズユニットがカメラ本体に対して着脱自在な構成のカメラシステム等に関するものである。
【背景技術】
【0002】
レンズユニットが本体ユニットに対して着脱自在な構成のカメラシステムが知られている。このようなカメラシステムにおいて、本体ユニットに、レンズユニット以外の、例えばプリンタや液晶プロジェクタ、データ変換器といった外部ユニットも接続可能なカメラシステムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1記載のカメラシステムでは、本体ユニットのマウント部にレンズユニットである交換レンズが装着され、レンズユニット以外の外部ユニットも、本体ユニットに上記マウント部によって装着されるよう構成されている。したがって、本体ユニット側に特別な接続手段や通信手段を設けることなく、外部ユニットとのデータ通信が可能であり、カメラシステムの大型化・コストアップを避けることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1記載のカメラシステムは、マウント部に通信用端子が設けられ、この通信用端子を介して画像データを本体ユニット側から外部ユニットに転送するよう構成されているが、外部ユニットをどのように制御しているのかは不明である。
【0005】
本体ユニットに、交換レンズ以外の、プリンタや液晶プロジェクタ、データ変換器といった外部ユニットも接続可能なカメラシステムでは、本体ユニットが外部ユニットに対してマスタとしての役割を持つ場合でも、スレーブとしての役割を持つ場合でも、本体ユニットがマスタもしくはスレーブとして機能するための動作プログラムを、本体ユニット側が有する必要がある。
【0006】
上記動作プログラムは本体ユニットのメモリに格納されているので、本体ユニットに数種類の交換レンズを含む数種類の外部ユニットを接続可能にするには、本体ユニットが数種類の外部ユニット分の動作プログラムを格納することができるようにしておかなければならない。数種類分の動作プログラムを格納するには、大容量のメモリが必要でありコストがかかる。また、交換レンズを含む外部ユニットとして新しいものが発売される度に、本体ユニットに対してアップデートを行って、本体ユニットに新しい動作プログラムを記録しなければならず、メーカーにとってもユーザーにとっても非常に手間がかかる。
【0007】
ここまでは、本体ユニットに、交換レンズ以外の、プリンタや液晶プロジェクタ、データ変換器といった外部ユニットも接続可能なカメラシステムの場合を記載したが、外部ユニットとして数種類の交換レンズのみが接続可能なカメラシステムの場合でも同様である。即ち、本体ユニットにはその数種類分の交換レンズ用の動作プログラムをそれぞれ格納しておかなければならず、大容量のメモリが必要でありコストがかかる。また、新しい種類の交換レンズが発売される度に、本体ユニットに対してアップデートを行わなければならず、メーカーにとってもユーザーにとっても不便である。また、本体ユニットが交換レンズ用の動作プログラムを有しているものにおいてプログラムのバージョンアップを行おうとすると、本体ユニットに格納されている動作プログラムと、交換レンズに格納されているプログラムの両方のバージョンアップを行う必要があり、手間がかかる。さらには、本体ユニットに格納されている動作プログラムと交換レンズに格納されているプログラムとでバージョンが異なっていて、バージョンの対応関係が合わないために、本体ユニットでプログラムを起動しても交換レンズとの通信や交換レンズの制御に不具合が生じる場合があった。
【0008】
以上説明した例に限らず、本体側のカメラユニットに対して外部ユニットを接続可能な従来のカメラシステムによれば、システム起動時において、本体ユニットと外部ユニット相互間のプログラムのロードに時間を要し、起動時間が長くなるとともに、初期化動作が不安定であるという難点があった。
【0009】
本発明は、本体ユニットに交換レンズなどの外部ユニットが接続可能なカメラシステムにおいて、本体ユニットと外部ユニットの制御プログラムの各サブシステムを一元管理して互いにプログラムのロードを行ってシステムを起動するようにして、起動時間の高速化と、安定した初期化動作を実現することができるカメラシステム、カメラ本体ユニット、外部ユニットおよびカメラシステムの制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、撮影レンズとこの撮影レンズを透過して結像される被写体光を撮像し画像データとして出力する撮像素子とを有するレンズユニットを含む外部ユニットと、前記撮像素子から出力される画像データを記憶する記憶手段、前記画像データを表示する表示手段、前記外部ユニットが着脱自在に装着される装着部を有する本体ユニットと、前記外部ユニットに対して前記本体ユニットがマスタもしくはスレーブとして機能する制御プログラムを備えたカメラシステムであって、前記外部ユニットは、前記制御プログラムをサブシステム毎に予め分割してなるサブシステムロードテーブルと、外部ユニットと本体ユニットのサブシステムを前記サブシステムロードテーブルからロードする手段を有し、前記サブシステムロードテーブルは予めロードする順序が定められており、前記本体ユニット側のサブシステムは、外部ユニット側のロード手段にロードされた後本体ユニットに送信されメモリにロードされることを最も主要な特徴とする。
【0011】
前記本体ユニットと前記外部ユニットは、それぞれのユニットの制御プログラムをサブシステム毎に予め分割してなるサブシステムロードテーブルと、各ユニットのサブシステムを前記各サブシステムロードテーブルからロードする手段を有し、前記各サブシステムロードテーブルは予めロードする順序が定められており、本体ユニットは、サブシステムのロード要求を外部ユニットに送信する手段と、サブシステムを受信する手段を有することを特徴とするものであってもよい。
【発明の効果】
【0012】
制御プログラムをサブシステム毎に予め分割してなるサブシステムロードテーブルを備え、分割したサブシステムごとにロードしながらシステムを起動するため、システムの起動を迅速に行うことができるとともに、安定した初期化動作を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係るカメラシステムの実施例であって本体ユニットとレンズユニットが分離した状態を示す分解斜視図である。
【図2】上記本体ユニットの背面図である。
【図3】上記実施例中のレンズユニットにおける制御系統の例を示すブロック図である。
【図4】上記実施例中の本体ユニットにおける制御系統の例を示すブロック図である。
【図5】上記実施例における本体ユニット側の動作を示すフローチャートである。
【図6】図5の動作に続く本体ユニット側の動作を示すフローチャートである。
【図7】上記実施例における外部ユニット側の動作を示すフローチャートである。
【図8】図7の動作に続く外部ユニット側の動作を示すフローチャートである。
【図9】各ユニットに付与されるユニット情報の例を示す図である。
【図10】本体ユニットに付与されるユニット情報パターンの例を示す図である。
【図11】上記実施例におけるサブシステムロードテーブルの例を示す図である。
【図12】上記実施例におけるサブシステム通信データの構成例を示す図である。
【図13】上記実施例における起動動作のイメージを示す模式図である。
【図14】本発明に係るカメラシステムの第2の実施例における本体ユニット側の動作を示すフローチャートである。
【図15】図14の動作に続く本体ユニット側の動作を示すフローチャートである。
【図16】上記第2の実施例における外部ユニット側の動作を示すフローチャートである。
【図17】図16の動作に続く外部ユニット側の動作を示すフローチャートである。
【図18】上記第2の実施例におけるサブシステムロードテーブルの例を示す図である。
【図19】上記第2の実施例における起動動作のイメージを示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係るカメラシステム、カメラ本体ユニット、カメラ外部ユニットおよびカメラシステムの制御方法の実施例を、図面を参照しながら説明する。
【実施例】
【0015】
図1は、撮像システムともいうことができるカメラシステム10の構成を概略的に示す。カメラシステム10は、カメラ本体(以下「本体ユニット」という)11と、外部ユニットの一つであるレンズユニット12を有することによって構成されている。レンズユニット12は、撮影レンズ13と、この撮影レンズ13が結像した被写体光を撮像して光電変換し画像データを出力するCCDなどからなる撮像素子14とを有している。撮影レンズ13は複数枚のレンズを組み合わせて構成されるとともに鏡筒によって保持され、最も前(被写体側)に位置するレンズが鏡筒の前端側に露呈している。本体ユニット11は、レンズユニット12を着脱自在に装着することができる装着部を有し、この装着部を介して種々の制御信号を送受してレンズユニット12側の撮像素子14などを駆動することにより、被写体光に応じたデジタルの画像データを取得することができる。
【0016】
図1に示す例では、本体ユニット11側のバヨネット構造18とレンズユニット12側のバヨネット構造15によって、本体ユニット11とレンズユニット12が互いに着脱できるようになっている。本体ユニット11側のバヨネット構造18とレンズユニット12側のバヨネット構造15はそれぞれ同数のバヨネット爪19、16を有し、これらのバヨネット爪19、16が光軸方向に重なって密着することによって本体ユニット11とレンズユニット12が結合され、各バヨネット爪19、16の位置を周方向にずらすことによって本体ユニット11からレンズユニット12を離脱することができるようになっている。レンズユニット12側の一つのバヨネット爪16の一つには、その外周面に露呈させて電気接点16aが設けられていて、本体ユニット11とレンズユニット12が結合された状態で上記電気接点16aが本体ユニット側の電気接点に接触して、後で説明するように、本体ユニット11とレンズユニット12相互間で電気信号が送受されるようになっている。
【0017】
本体ユニット11の、レンズユニット12が着脱自在に装着される装着部の構造は任意で、図1に示す例のようなバヨネット構造に限定されるものではない。例えば、本体ユニット11に対してレンズユニット12を平行にスライドさせることにより装着するように構成したものであってもよい。かかる装着部の構造の場合も、レンズユニット12側に撮像素子14を備え、上記装着部に、本体ユニット11とレンズユニット12との間で信号を送受する電気接点を備えている。
【0018】
レンズユニット12は、例えば、撮影レンズ13の焦点距離が異なるもの、撮像素子14の画素数が異なるもの、モノクロ撮影が可能なもの、赤外線撮影が可能なものなど、複数種類のものが予め用意される。カメラシステム10は、これらの各レンズユニット12の中から任意のものを選択してカメラ本体11に装着することにより、撮影状況に応じた画像データを容易に得ることができるようになっている。
【0019】
図2に示すように、本体ユニット11の背面には、カメラシステム10の電源をON/OFFする電源スイッチ28と、撮影した画像やスルー画像及び各種メニュー画面などを表示する液晶表示パネル(以下「LCD」という)30と、カメラシステム10に対して種々の指示信号を入力するための操作部32が設けられている。操作部32には、例えば、ズーミング可能な撮影レンズ13をワイド(広角)側またはテレ(望遠)側に変倍させるズーム操作ボタン33、LCD30にメニュー画面を表示させてメニューを選択する場合などに操作されるメニューボタン34及びメニュー画面内でカーソルを移動させる十字キー35、決定ボタンなどが配設されている。
【0020】
図3は、本発明に係るカメラシステムに適用される外部ユニットの電気的制御系統の例を示す。図3において、符号2は外部ユニットを示している。この外部ユニット2は、図1に示す例ではレンズユニット12が該当する。外部ユニット2は、レンズユニットに限られるものではなく、プロジェクタ、プリンタなどがあるが、ここではレンズユニットを想定して説明する。図3において符号1は本体ユニットを示しており、この本体ユニット1は、図1に示す例ではカメラ本体11が該当する。外部ユニット2は、シリアルポートやパラレルポートなどの通信I/F部25を用いて本体ユニットと通信することが可能である。
【0021】
外部ユニット2は、ファームウエアや情報を記憶するフラッシュメモリなどの外部記憶装置21と、前記撮影レンズ13、撮像素子14、AD変換器などからなる画像情報の入力部である撮像装置22と、外部ユニット1全体を制御する全体制御装置10を有する。全体制御装置10は、CPU、ROM、RAM、入出力ポート(I/Oポート)及びこれらを結ぶバスラインなどからなる周知のマイクロコンピュータにより構成されている。
【0022】
図4は、本発明に係るカメラシステムに適用される本体ユニットの電気的制御系統の例を示す。図4において、本体ユニット1は、取り外しの可能なSDカードなどのメモリカード41と、メモリカード41の制御を行うメディアコントローラ42と、ファームウエアや情報を記憶するフラッシュメモリなどの外部記憶装置43と、各種情報の表示装置44と、外部からの入力を行う操作卓45と、パソコン3などと通信接続されるUSBなどからなる外部機器I/F部47と、外部ユニット2とのインターフェースを制御する通信I/F部46と、本体ユニット1全体を制御する全体制御装置51を有する。全体制御装置51は、CPU、ROM、RAM、入出力ポート(I/Oポート)及びこれらを結ぶバスラインなどからなる周知のマイクロコンピュータにより構成されている。
【0023】
本発明に係るカメラシステム、カメラ本体ユニット、外部ユニットおよびカメラシステムの制御方法は、以上説明したように構成されたハードウェアと、次に説明するように構成される制御プログラムとによって実現される。この制御プログラムは、外部ユニット2に対して本体ユニット1がマスタもしくはスレーブとして機能するための制御プログラムである。以下、本発明に係るカメラシステム、カメラ本体ユニット、外部ユニットおよびカメラシステムの制御方法の実施例について説明する。なお、各フローチャートに付されている「301」「302」「303」などの符号は動作ステプを示している。
【実施例1】
【0024】
図5は本体ユニット1の動作を示す。カメラの電源をONにすると、本体ユニット1の前記全体制御装置51のROMに記憶されているブートファームウエアを起動する(301)。この起動方法は一般的なマイコンの起動方法の一つと同じである。次に、通信I/F部46をチェックし、外部ユニット2が接続されているか確認する(302)。外部ユニット2が接続されている場合は、本体ユニット1と外部ユニット2の両ユニット間でユニット情報の交換を行うために、まず自ユニット(本体ユニット1)の能力値を外部ユニット2へ送信する。(303)。
【0025】
図9はユニット情報の例を示す。ユニット情報は、各ユニットに付与される情報であって、機種番号、ユニット種別、製造元種別、ファームウェアバージョン番号、本体側ファームウエア有り無しの各情報からなる。上記ユニット種別は、レンズユニットであるか、本体ユニットであるかまたは特殊ユニットであるかを区別するもので、図9に示す例は特殊ユニットの例である。本体側ファームウエア有り無しが「有り」の場合は、さらに、本体側機種数、本体側対応機種番号、本体側ファームウェアバージョン番号の各情報が付与される。本体側対応機種が複数有る場合は、各機種に対応して本体側対応機種番号、本体側ファームウェアバージョン番号が複数付与される。このようなユニット情報は、それぞれのユニットのROMに記録されている。
【0026】
図10は、本体ユニットに付与されるユニット情報パターンの例を示す。機種番号、ユニット種別、製造元種別、ファームウェアバージョン番号、ダウンロードファームウエア機能[有り/無し]の各情報からなる。ユニット種別は当然ながら「本体」である。
【0027】
図5に戻って、外部ユニット2からもユニット情報(能力値)を転送してくるので、本体ユニット1は外部ユニット2側のユニット情報を受信し(304)、次に本体ユニット側ファームウエアの有無をチェックする(305)。ファームウエアが無い場合は、外部記憶装置43に記憶されている本体ユニット1の全ファームウエアをロードし起動する(307)。その後は、メインプログラムの動作が開始される。
【0028】
上記ステップ305において本体側ファームウエアが有りの場合、外部ユニット2から初期起動ファームウエアを受信し(308)、全体制御装置51のRAM上にロードする(309)。初期起動ファームウエアの受信が完了するのを待ち(310)、受信が完了すると、メモリ上にロードしたファームウエアを起動し(311)、動作を開始する。
【0029】
図6は、図5に示す動作に続く動作すなわちロードしたファームウエアの動作開始後の動作を示す。初期起動ファームウエアは、サブシステムの受信を待つ(320)。サブシステムとは、モジュール別に分割したファームウエアのことである。また、モジュールとは、インターフェースが規格化、標準化されていて、容易に追加、削除あるいは交換が可能なひとまとまりの機能を持った部品のことをいう。初期起動ファームウエアがサブシステム毎にロードされ起動されることで、ロードと起動処理の並行動作が可能になり、ファームウエアの高速起動が可能となる。
【0030】
図12はサブシステム通信データの構成例を示す。サブシステム通信データの構成は以下の通りである。
サブシステムのサイズ :通信データサイズ
サブシステムID :ID番号
ロード後起動の有無 :起動する/起動しない
サブシステムのデータ :実際のファームウエア
【0031】
図11はサブシステムロードデータの例を示す。図11において、サブシステムロードデータは、あらかじめ一つのロードテーブルにまとめられている。「順序」とあるのはロード順のことで、ロード順に、ロード先ユニット、起動関数名、終了関数名の各項目が定められている。「ロード先ユニット」は、本体ユニットかまたはレンズユニットなどの外部ユニットかを定めるものである。「サブシステム」は、前述の通りモジュール別に分割したファームウエアのことで、それぞれのモジュールに「サブシステム名」が付されている。「起動関数名」は、サブシステム名に対応した「・・・Initialize」の名称が付され、サブシステム名に対応した起動関数が何もない場合は「NULL」とされている。「Osd」とは、オンスクリーンディスプレイのこと、すなわち設定画面をディスプレイ画面に表示して操作する機能のことをいう。
【0032】
図6に戻って、サブシステム受信すると、図12に示すサブシステムのデータを全体制御装置11のRAM上にロードする(321)。次にロード後の起動の有無をチェックし(322)、起動が必要であれば、図11に示す起動関数名を参照して起動する(323)。全てのサブシステムの受信が完了したか否かチェックし、未了であればステップ320からの処理を繰り返す(324)。
【0033】
次に、外部ユニット側の動作を説明する。図7において、外部ユニットの一つである例えばレンズユニット2を本体ユニット1に装着して本体ユニット側の電源をONにすると、図3に示す全体制御装置20のROMに記憶されているブートファームウエアを起動する(401)。この起動方法は一般的なマイコンの起動方法の一つと同じである。レンズユニット2側の外部記憶装置21に記憶されている初期起動ファームウエアをロードし起動する(402)。本体ユニット1とレンズユニット2の両ユニット間でユニット情報の交換を行うために、まず外部ユニット2は、自ユニット2の能力値を本体ユニット1へ通信I/F部25を経由して送信する(403)。
【0034】
ユニット情報の例については既に説明した通りで、図9にその例を示す。外部ユニット2がレンズユニットであれば、「ユニット種別」は「レンズ」とあらかじめ定められている。外部ユニット2が本体ユニット1の能力値を受信すると(404)、次に、本体側ユニットはファームウエアを受信するか否かを判定することにより、受信した本体ユニット1の情報から本体側ファームウエアでダウンロード機能を持っているか否かを確認できる(405)。ダウンロード機能を持っていない場合は、そのまま全ファームウエアをロードし、プログラムの動作を開始する(410)。ダウンロード機能を持っている場合は、本体側の初期起動ファームウエアを外部記憶装置21よりロードして送信する(406)。
【0035】
図11に示すサブシステムロードテーブルの例について既に説明した通り、ロード先ユニットは外部ユニットであるかまたは本体ユニットであるかの識別子があるので、この識別子を参照することにより、ロード先ユニットは自ユニットであるかまたは相手ユニットであるかの判断が可能となっている。図7に示す動作に続く動作を示す図8において、ロード先ユニットの判断ステップ420における判断が外部ユニット側のサブシステムである場合、図3に示す外部記憶装置21に記憶されているサブシステムを全体制御装置20のRAM上にロードする(421)。起動関数名が「NULL」以外で登録されている場合、起動が必要と判断し(422)、該当の起動関数をコールして起動する(423)。次に、サブシステムは本体ユニット側であるか否かを判断し(424)、本体ユニット側のサブシステムである場合は、図3に示す外部記憶装置21に記憶されているサブシステムの中から「本体」が付されているサブシステムを読み出して相手ユニット(本体ユニット)へデータを送信する。この場合の送信データの構成例は、既に説明した図12に示すサブシステム通信データの構成例と同じ構成になっている。全てのサブシステムの処理が完了した否かチェックを行い、未了であればステップ420からの処理を繰り返す(426)。
【0036】
以上の動作例のイメージを図13に示す。図13に示すように、図11に示すようなサブシステムロードテーブルが外部ユニット側のROMなどに保存されており、外部ユニット側でサブシステムロードテーブルを管理する。「管理」とは、上記ロードテーブルのリード、メモリへのロードなど、所定のプログラムにしたがった制御動作を行うことを言う。図13において、丸付きの数字は動作順を示している。
【0037】
外部ユニット、例えばレンズユニット2を本体ユニット1に装着して本体ユニット側の電源をONにすると、図3に示す全体制御装置20のROMに記憶されているブートファームウエアが起動され、サブシステムロードテーブルのリード要求が出される。このリード要求により、サブシステムロードテーブルを所定の順序にしたがって読み出す。読み出された情報にはロード先ユニットが本体ユニットかまたは外部ユニットかの区別がつけられているので、この区別に応じて、読み出した情報をそれぞれのRAMにロードする。図示のサブシステムロードテーブルの例によれば、第1番目の情報のロード先ユニットは「外部」であるから、外部ユニットのRAMにロードする。
【0038】
次のリード要求でサブシステムロードテーブルの第2番目の情報を読み出す。第2番目の情報のロード先ユニットは「本体」であるから、読み出した情報を本体ユニットのRAMにロードする。このようにして、サブシステムごとに分割された制御プログラムを、サブシステムごとに読み出し、指定されたロード先ユニットにロードする。各ユニットにおいてロードされたサブシステムは直ちに起動される。図示のサブシステムロードテーブルからわかるように、ロード先ユニットは「外部」と「本体」でほぼ交互に指定されていて、一方のユニットに対する読み出し、ロードが行われている間に他方のユニットでロード、起動を行うことができる。もって、カメラシステムの起動時間の高速化と、安定した初期化動作を実現することができる。以上のように、ユニットが2つに分離していても、いつも同じロードおよび起動順序で管理してカメラシステムを起動することが可能になる。
【実施例2】
【0039】
次に、本発明の第2の実施例について説明する。図14、図15は本体ユニット側の動作を、図16、図17は外部ユニット側の動作を示すフローチャートである。図14、図15に示す本体ユニット側のフローチャートは、図5、図6に示す第1の実施例における本体ユニット側のフローチャートとほぼ同じである。相違点は、サブシステムのロ−ド要求を本体ユニット側から実施していることである。図14に示す電源オンからロードファームウエアの動作開始までの動作は、図5に示す前記実施例の動作と同じであるが、図15に示すロードファームウエアの動作開始から全サブシステムの受信終了に至るまでの動作中に、ステップ520のサブシステムリード要求処理が追加されている。
【0040】
図16、図17は外部ユニット側の動作を示す。図16に示す電源ONから「本体ユニットの初期起動ファームウエアを送信する」までの動作は、図7に示す電源ONから「本体ユニットの初期起動ファームウエアを送信する」までの動作と同じである。しかし、図17に示す本体ユニットの初期起動ファームウエア送信ステップからメインプログラム動作開始に至るまでの動作中に、サブシステムのロード要求を受信するための、「通信要求を受信したか?」の判断ステップ624が加わっている点が前記第1の実施例と異なっている。すなわち、通信要求を受信した場合に本体ユニットのサブシステムを送信するようになっている。
【0041】
図18は、本体ユニット側と外部ユニット側のサブシステムロードテーブルを示す。本体ユニット側と外部ユニット側に同じテーブルが備えられていて、それぞれのユニットで管理される。したがって、前記第1の実施例におけるサブシステムロードテーブル(図11参照)と異なり、ロード先ユニットが本体ユニット側かまたは外部ユニット側かの区別は必要ない。サブシステムロードテーブルのリード要求は、各ユニットからそれぞれ並行して発行され、外部ユニット側においては、外部ユニット側の外部記憶装置21からサブシステムロードテーブルがリードされ、全体制御装置20のRAMにそれぞれロードされる。分割されたサブシステムはロードされるごとに起動され、全サブシステムのロードが終了することによりメインプログラムの動作が開始される。
【0042】
本実施例において、本体ユニット側と外部ユニット側に予め保存されるサブシステムロードテーブルは同じもので、各ユニットにおいてリード要求されてそれぞれのユニットにロードされるため、ロード先を区別する必要がなく、図18に示すように、ロード先を区別するための「本体」「外部」といった識別欄は設けられていない。図18に示すサブシステムロードテーブルは、本体ユニット側と外部ユニット側とで最適にカスタマイズしたテーブルとして管理することも可能で、その場合は、本体ユニット側と外部ユニット側では別個のサブシステムロードテーブルを持つこともできる。
【0043】
図19は、上に述べたような、第2の実施例における各ユニットの起動動作のイメージを示している。本体ユニットと外部ユニットにおいてそれぞれリード要求が出されるごとに、テーブルに設定されている順序にしたがってサブシステムが読み出され、それぞれのユニットにおけるSD−RAMなどにロードされる。図19において丸付きの符号は動作の順序を示しているが、各ユニットにおいて個別にかつ並列的にリード要求、ロードを行うことができる。各サブシステムはロードされると直ちに起動することができ、電源スイッチのONからメインプログラムの動作開始に至るまでに要する時間の短縮化を図ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明によれば、本体ユニットに対して撮影レンズを交換することができるカメラであれば、一眼レフ形式のカメラに限らず、コンパクトタイプのカメラシステムにも適用可能である。撮影レンズの交換形式も特定の形式に限定されるものではなく、バヨネット方式やスライド方式など任意のものを選択することができる。本体ユニットに対して着脱可能な外部ユニットは、撮影レンズに限られるものではなく、例えば、本体ユニットのメモリに保存されている画像を投影しあるいは印刷することが可能なプロジェクタやプリンタ、画像を遠隔地に転送可能な転送装置ないしは送信装置などであってもよい。
【符号の説明】
【0045】
10 カメラユニット
11 本体ユニット
12 外部ユニット(レンズユニット)
13 撮影レンズ
14 撮像素子
15 バヨネット構造
16 バヨネット爪
18 バヨネット構造
19 バヨネット爪
【先行技術文献】
【特許文献】
【0046】
【特許文献1】特開2000−92358号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影レンズとこの撮影レンズを透過して結像される被写体光を撮像し画像データとして出力する撮像素子とを有するレンズユニットを含む外部ユニットと、
前記撮像素子から出力される画像データを記憶する記憶手段、前記画像データを表示する表示手段、前記外部ユニットが着脱自在に装着される装着部を有する本体ユニットと、
前記外部ユニットに対して前記本体ユニットがマスタもしくはスレーブとして機能する制御プログラムを備えたカメラシステムであって、
前記外部ユニットは、前記制御プログラムをサブシステム毎に予め分割してなるサブシステムロードテーブルと、外部ユニットと本体ユニットのサブシステムを前記サブシステムロードテーブルからロードする手段を有し、
前記サブシステムロードテーブルは予めロードする順序が定められており、
前記本体ユニット側のサブシステムは、外部ユニット側のロード手段にロードされた後本体ユニットに送信されメモリにロードされることを特徴とするカメラシステム。
【請求項2】
撮影レンズとこの撮影レンズを透過して結像される被写体光を撮像し画像データとして出力する撮像素子とを有するレンズユニットを含む外部ユニットと、
前記撮像素子から出力される画像データを記憶する記憶手段、前記画像データを表示する表示手段、前記外部ユニットが着脱自在に装着される装着部を有する本体ユニットと、
前記外部ユニットに対して前記本体ユニットがマスタもしくはスレーブとして機能する制御プログラムを備えたカメラシステムであって、
前記本体ユニットと前記外部ユニットは、それぞれのユニットの制御プログラムをサブシステム毎に予め分割してなるサブシステムロードテーブルと、各ユニットのサブシステムを前記各サブシステムロードテーブルからロードする手段を有し、
前記各サブシステムロードテーブルは予めロードする順序が定められており、
本体ユニットは、サブシステムのロード要求を外部ユニットに送信する手段と、サブシステムを受信する手段を有することを特徴とするカメラシステム。
【請求項3】
本体ユニットと外部ユニットにおいてすべてのサブシステムのロード終了後、メインプログラムの動作を開始する請求項1または2記載のカメラシステム。
【請求項4】
本体ユニットと外部ユニットは、それぞれの能力値を交換した後サブシステムをロードする請求項1または2記載のカメラシステム。
【請求項5】
本体ユニットと外部ユニットは、サブシステムをロードするごとにそのサブシステムを起動する請求項1または2記載のカメラシステム。
【請求項6】
カメラのレンズユニットを含む外部ユニットが着脱自在に装着される装着部を有する本体ユニットであって、
前記レンズユニットに設けられている撮像素子から出力される画像データを記憶する記憶手段と、前記画像データを表示する表示手段と、切換操作により前記表示手段に表示される前記画像データの切り換えを行う操作手段を備え、
前記外部ユニットに対してマスタもしくはスレーブとして機能する制御プログラムをサブシステム毎に予め分割してなるサブシステムロードテーブルの前記サブシステムを前記外部ユニット側から受信しロードする手段を有し、
前記サブシステムロードテーブルは予めロードする順序が定められていることを特徴とする本体ユニット。
【請求項7】
カメラのレンズユニットを含む外部ユニットが着脱自在に装着される装着部を有する本体ユニットであって、
前記レンズユニットに設けられている撮像素子から出力される画像データを記憶する記憶手段と、前記画像データを表示する表示手段と、切換操作により前記表示手段に表示される前記画像データの切り換えを行う操作手段を備え、
前記外部ユニットに対して前記本体ユニットがマスタもしくはスレーブとして機能する制御プログラムをサブシステム毎に予め分割してなるサブシステムロードテーブルが前記本体ユニットと前記外部ユニットに備えられ、
前記本体ユニットのサブシステムを前記本体ユニットのサブシステムロードテーブルからロードする手段を有し、
前記各サブシステムロードテーブルは予めロードする順序が定められており、
前記サブシステムのロード要求を前記外部ユニットに送信する手段と、サブシステムを受信する手段を有することを特徴とする本体ユニット。
【請求項8】
撮影レンズとこの撮影レンズを透過して結像される被写体光を撮像し画像データとして出力する撮像素子とを有し、本体ユニットの装着部に着脱自在に装着されるレンズユニットを含む外部ユニットであって、
前記本体ユニットがマスタもしくはスレーブとして機能する制御プログラムがサブシステム毎に予め分割されてなるサブシステムロードテーブルを備え、
前記各サブシステムロードテーブルは予めロードする順序が定められており、
外部ユニットと本体ユニットのサブシステムを前記サブシステムロードテーブルからロードする手段を有し、
前記本体ユニット側のサブシステムをロード手段にロードした後本体ユニットに送信することを特徴とする外部ユニット。
【請求項9】
撮影レンズとこの撮影レンズを透過して結像される被写体光を撮像し画像データとして出力する撮像素子とを有し、本体ユニットの装着部に着脱自在に装着されるレンズユニットを含む外部ユニットであって、
前記本体ユニットがマスタもしくはスレーブとして機能する制御プログラムがサブシステム毎に予め分割されてなるサブシステムロードテーブルが前記本体ユニットと前記外部ユニットに備えられ、
前記各サブシステムロードテーブルは予めロードする順序が定められており、
前記外部ユニット側のサブシステムを前記外部ユニット側のサブシステムロードテーブルからロードする手段を有し、
前記本体ユニットから送信されるサブシステムのロード要求を受信する手段を有することを特徴とする外部ユニット。
【請求項10】
撮影レンズとこの撮影レンズを透過して結像される被写体光を撮像し画像データとして出力する撮像素子とを有するレンズユニットを含む外部ユニットと、前記撮像素子から出力される画像データを記憶する記憶手段、前記画像データを表示する表示手段、前記外部ユニットが着脱自在に装着される装着部を有する本体ユニットと、前記外部ユニットに対して前記本体ユニットがマスタもしくはスレーブとして機能する制御プログラムを備えたカメラシステムの制御方法であって、
前記外部ユニットには、前記制御プログラムをサブシステム毎に予め分割してなるサブシステムロードテーブルと、外部ユニットと本体ユニットのサブシステムを前記サブシステムロードテーブルからロードする手段を設け、
前記サブシステムロードテーブルには予めロードする順序を定めておき、
前記本体ユニット側のサブシステムを、外部ユニット側のロード手段にロードした後本体ユニットに送信しメモリにロードすることを特徴とするカメラシステムの制御方法。
【請求項11】
撮影レンズとこの撮影レンズを透過して結像される被写体光を撮像し画像データとして出力する撮像素子とを有するレンズユニットを含む外部ユニットと、前記撮像素子から出力される画像データを記憶する記憶手段、前記画像データを表示する表示手段、前記外部ユニットが着脱自在に装着される装着部を有する本体ユニットと、前記外部ユニットに対して前記本体ユニットがマスタもしくはスレーブとして機能する制御プログラムを備えたカメラシステムの制御方法であって、
前記本体ユニットと前記外部ユニットには、それぞれのユニットの制御プログラムをサブシステム毎に予め分割してなるサブシステムロードテーブルと、前記各ユニットのサブシステムを前記各サブシステムロードテーブルからロードする手段を設け、
前記各サブシステムロードテーブルには予めロードする順序を定めておき、
本体ユニットでは、サブシステムのロード要求を外部ユニットに送信し、サブシステムを受信することを特徴とするカメラシステムの制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2011−239301(P2011−239301A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−110560(P2010−110560)
【出願日】平成22年5月12日(2010.5.12)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】