説明

カメラユニット用揺れ防止機構

【課題】揺れ補正機能を持たないカメラユニットを電動雲台に搭載されるカメラハウジングに実装した使用環境下でも、カメラハウジングに加えられる外力で発生する揺れ振動の揺れ補正を有効に行うことができるカメラユニット用揺れ防止機構を提供する。
【解決手段】カメラユニット用揺れ防止機構3では、カメラユニット1に装着される平板部5aを有するパン可動部材5とチルト可動部材6とを圧電素子8、9の介在で結合し、チルト可動部材6とチルトベース部材7とを圧電素子10、11の介在で結合し、チルトベース部材7に揺れ振動が伝達したとき、パン可動部材5の水平面方向A1での傾き、チルト可動部材6の垂直面方向A2での傾きに伴う素子8、9と素子10、11とにおける圧縮・伸張で発生した直流電圧に基づいて、それらの逆極性値を各素子8〜11に印加して伸張・圧縮させ、平板部5aを水平面方向及び垂直面方向での定位置に維持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として監視システムに適用されると共に、カメラ一体型電動雲台や電動・半固定雲台に搭載されるカメラハウジングに実装される揺れ補正機能を持たないカメラユニットに対して、カメラハウジングに加えられる外力で発生する揺れ振動を伝達させないためのカメラユニット用揺れ防止機構に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、撮像装置、撮影装置、撮像素子等のカメラの振動対策としては、カメラ本体に揺れ補正機能を持たせるのが一般的である。揺れ補正方式には、電子式と光学式とがあり、電子式では映像信号をメモリに書き込み、その一部をカメラの動きに応じて移動させながら読み出すメモリ制御方式、カメラの動きに応じてCCDからの映像信号を読み出すタイミングを制御するCCD駆動方式等が知られている。また、光学式では、カメラの動きに応じてレンズを動かして向きを変えるジンバルメカ方式、カメラの動きに応じてプリズムを動かして光軸を変えるアクティブプリズム方式等が知られている。
【0003】
このようなカメラの振動対策に関連する周知技術としては、例えば、手振れ補正機構を小さく構成して小型化を図った「撮像装置」(特許文献1参照)、一般的な肩載せ撮影スタイルを踏襲しながらカメラ装置の振動を抑制することができる「防振装置」(特許文献2参照)、振れ補正ユニットと制御基板とを別部材として備えるデジタルスチルカメラ等でカメラ本体ケース内への組み込み態様を最適化した「振れ補正機構付きカメラ」(特許文献3参照)、撮像素子を圧電アクチュエータに直結することにより、簡単且つ小型な機構で撮像素子を平行移動させることができ、デジタルカメラへの手振れ防止機構搭載を可能にした「撮像装置」(特許文献4参照)、摩擦結合部を含んだ圧電アクチュエータを防振動作の駆動源として利用する際に、摩擦結合部の保持力を超える衝撃が発生しても支障をきたさずに防振動作を継続する「ブレ補正機能付き撮影装置及びブレ補正方法」(特許文献5参照)等が挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−89803号公報
【特許文献2】特開2008−199469号公報
【特許文献3】特開2006−78891号公報
【特許文献4】特開2000−307937号公報
【特許文献5】特開2006−197216号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した特許文献1〜特許文献5に係る技術は、特許文献2の構造を除けば何れも撮像装置や撮影装置の装置本体内に揺れ補正機能を持たせたものであり、揺れ補正機能を持たないカメラユニットを電動雲台(カメラ一体型電動雲台、電動・半固定雲台)に搭載されるカメラハウジングに対して実装した使用環境下において、カメラハウジングに加えられる外力で発生する揺れ振動を効果的に伝達させないための機能には関与しないものとなっている。
【0006】
一般に、電動雲台に搭載されるカメラハウジングが風や設置場所の振動等、外力の原因により実装したカメラユニットに揺れ振動を発生すると、その揺れに応じて出力モニタ画面にも揺れが映し出される。特に、近年の高倍率レンズを用いて例えば10km先の被写体を監視している場合、カメラユニットに1度の揺れが生じた際、約170m分にも及ぶ画像揺れが生じてしまう。
【0007】
そこで、カメラユニット自体に対してその底面及び側面に圧電素子を配置し、各特許文献記載のようにカメラユニット(撮像装置、撮影装置、撮像素子等を示す)の揺れ振動に応じて各圧電素子を伸縮動作させる揺れ補正機能を持たせることで対応している(特許文献2の「防振装置」の場合には撮影操作者の肩の動きの揺れ振動による変位を相殺させる伸縮型のピエゾアクチュエータを用いた構造としている)が、何れの場合にも、揺れ補正機能を持たないカメラユニットを電動雲台に搭載されるカメラハウジングに実装した場合には、揺れ振動の環境が変わる場合を含めてカメラハウジングに加えられる外力で発生する揺れ振動を揺れ補正することができない(適用されない)という問題がある。
【0008】
本発明は、このような問題点を解決すべくなされたもので、その技術的課題は、揺れ補正機能を持たないカメラユニットを電動雲台に搭載されるカメラハウジングに実装した使用環境下でも、カメラハウジングに加えられる外力で発生する揺れ振動の揺れ補正を有効に行うことができるカメラユニット用揺れ防止機構を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記技術的課題を達成するため、本発明は、電動雲台に搭載されるカメラハウジングに実装されるカメラユニットに対して、当該カメラハウジングに加えられる外力で発生する揺れ振動を当該カメラユニットに伝達させないために当該カメラハウジングに装着されるカメラユニット用揺れ防止機構であって、カメラユニットを装着するための平坦な第1の平板部から垂直に起立した第1の起立部を有すると共に、全体が水平面方向で可動なパン可動部材と、第1の平板部のカメラユニットを装着する面と反対側の面に所定数のボールベアリングを介して近接して連結される平坦な第2の平板部から垂直に起立して第1の起立部とは対向して隔てられて配置される第2の起立部を有すると共に、全体が垂直面方向で可動なチルト可動部材と、第2の平板部の第1の平板部と近接して連結される面と反対側の面と対向して隔てられて配置される平坦な第3の平板部から垂直に起立して第2の起立部との間で所定数のボールベアリングを介して近接して連結される第3の起立部を有すると共に、揺れ振動が伝達するチルトベース部材と、第1の起立部と第2の起立部との間をそれぞれ結合すると共に、水平面方向での一直線方向に延びた棒状の複数の第1の圧電素子と、第2の平板部と第3の平板部との間をそれぞれ結合すると共に、垂直面方向での一直線方向に延びた棒状の複数の第2の圧電素子と、が組み付けられて構成され、複数の第1の圧電素子は、チルトベース部材に揺れ振動が伝達したとき、パン可動部材における水平面方向の揺れ振動の傾きに伴う圧縮・伸張により発生した直流電圧に基づいて、当該圧縮・伸張したものに対してそれぞれ当該直流電圧の逆極性値を印加して伸張・圧縮に供し、当該圧縮・伸張を打ち消すように当該パン可動部材を姿勢制御することにより、第1の平板部を水平面方向における定位置に維持し、複数の第2の圧電素子は、チルトベース部材に揺れ振動が伝達したとき、チルト可動部材における垂直面方向の揺れ振動の傾きに伴う圧縮・伸張により発生した直流電圧に基づいて、当該圧縮・伸張したものに対してそれぞれ当該直流電圧の逆極性値を印加して伸張・圧縮に供し、当該圧縮・伸張を打ち消すように当該チルト可動部材を姿勢制御することにより、第1の平板部を垂直面方向における定位置に維持することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明のカメラユニット用揺れ防止機構によれば、カメラユニットに装着される平坦な平板部を有するパン可動部材をボールベアリング及び水平面方向調整用の圧電素子を介在させてチルト可動部材に結合すると共に、チルト可動部材をボールベアリング及び垂直面方向調整用の圧電素子を介在させてチルトベース部材に結合しており、チルトベース部材に揺れ振動が伝達したとき、パン可動部材の水平面方向での傾き、或いはチルト可動部材の垂直面方向での傾きに伴う水平面方向調整用、垂直面方向調整用の圧電素子での圧縮・伸張により発生した直流電圧に基づいて、それらの直流電圧の逆極性値をそれぞれ各圧電素子に印加して伸張・圧縮させて打ち消すことにより、平板部を水平面方向及び垂直面方向での定位置に維持することができるため、揺れ補正機能を持たないカメラユニットを電動雲台に搭載されるカメラハウジングに実装した使用環境下でも、カメラハウジングに加えられる外力で発生する揺れ振動の揺れ補正を有効に行うことができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施例1に係るカメラユニット用揺れ防止機構の概略構成を示した外観図であり、(a)はカメラユニット用揺れ防止機構をカメラユニットに実装した前方斜め上方向からの斜視図、(b)は前方向からの実装状態の正面図、(c)はカメラユニット用揺れ防止機構全体の側面斜め上方向からの斜視図である。
【図2】図1(a)、(b)に示した実装状態で揺れ振動が生じたときのカメラユニット用揺れ防止機構及びカメラユニットの装着部分の支点周りにおける垂直面下方向の傾きを示した外観側面図である。
【図3】図2に示す傾き状態での垂直面方向調整用の圧電素子に係る電圧変化の様子を時間推移との関係で示した電圧変化特性図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明のカメラユニット用揺れ防止機構について、図面を参照して詳細に説明する。
【実施例1】
【0013】
図1は、本発明の実施例1に係るカメラユニット用揺れ防止機構3の概略構成を示した外観図であり、同図(a)はカメラユニット用揺れ防止機構3をカメラユニット1に実装した前方斜め上方向からの斜視図、同図(b)は前方向からの実装状態の正面図、同図(c)はカメラユニット用揺れ防止機構3全体の側面斜め上方向からの斜視図である。
【0014】
図1(a)〜(c)を参照すれば、カメラユニット用揺れ防止機構3は、電動雲台に搭載されるカメラハウジング2に実装されるカメラユニット1に対して、カメラハウジング2に加えられる外力で発生する揺れ振動をカメラユニット1に伝達させないためにカメラハウジング2に装着されるものである。
【0015】
図1(c)を参照すれば、カメラユニット用揺れ防止機構3自体は、カメラユニット1を装着するための平坦な第1の平板部5aから垂直に起立した第1の起立部5bを有すると共に、全体が水平面方向で可動なパン可動部材5と、第1の平板部5aのカメラユニット1を装着する面と反対側の面に略図する所定数のボールベアリングを介して近接して連結される平坦な第2の平板部6aから垂直に起立して第1の起立部5bとは対向して隔てられて配置される第2の起立部6bを有すると共に、全体が垂直面方向で可動なチルト可動部材6と、第2の平板部6aの第1の平板部5aと近接して連結される面と反対側の面と対向して隔てられて配置される平坦な第3の平板部7aから垂直に起立して第2の起立部6bとの間で所定数のボールベアリングを介して近接して連結される第3の起立部7bを有すると共に、揺れ振動が伝達するチルトベース部材7と、第1の起立部5bと第2の起立部6bとの間をそれぞれ結合すると共に、水平面方向での一直線方向に延びた棒状の2個の第1の圧電素子8、9と、第2の平板部6aと第3の平板部7aとの間をそれぞれ結合すると共に、垂直面方向での一直線方向に延びた棒状の複数の第2の圧電素子10、11と、が組み付けられて構成される。
【0016】
このうち、第1の圧電素子8、9は、チルトベース部材7に揺れ振動が伝達したとき、パン可動部材5における水平面方向の揺れ振動の傾きに伴う圧縮・伸張により発生した直流電圧に基づいて、圧縮・伸張したものに対してそれぞれ直流電圧の逆極性値を印加して伸張・圧縮に供し、圧縮・伸張を打ち消すようにパン可動部材5を姿勢制御することにより、第1の平板部5aを水平面方向における定位置に維持する。また、第2の圧電素子10、11は、チルトベース部材7に揺れ振動が伝達したとき、チルト可動部材6における垂直面方向の揺れ振動の傾きに伴う圧縮・伸張により発生した直流電圧に基づいて、圧縮・伸張したものに対してそれぞれ直流電圧の逆極性値を印加して伸張・圧縮に供し、圧縮・伸張を打ち消すようにチルト可動部材6を姿勢制御することにより、第1の平板部5aを垂直面方向における定位置に維持する。ここでの第1の圧電素子8、9及び第2の圧電素子10、11には、それぞれ直動式アクチュエータを用いる場合を例示できる。
【0017】
即ち、このカメラユニット用揺れ防止機構3については、パン(水平面方向)とチルト(垂直面方向)との2軸構造となっており、チルトベース部材7の起立部7bとチルト可動部材6の起立部6bとの間にはアンギュラボールベアリングを用いた略図するベアリングユニットを実装し、各部材間を結合することにより、構造上で内輪に予圧をかけて作用点距離を大きく確保している。即ち、ここではカメラユニット用揺れ防止機構3をカメラユニット1に実装した状態において、図1(b)に示されるように、垂直面方向におけるモーメント荷重方向Mにモーメント荷重が大きくかかるため、ベアリングユニットの実装が有効となる。また、パン可動部材5の平板部5aとチルト可動部材6の平板部6aとの間についても、同様にベアリングユニットを実装して各部材間を結合する。これにより、図1(b)に示されるように、揺れ振動が発生してチルトベース部材7に伝達したとき、パン可動部材5が水平面方向A1で傾き、チルト可動部材6が垂直面方向A2で傾くようにそれぞれ回転移動する構造となり、係る水平面方向A1での傾きを生じる回転移動を第1の圧電素子8、9で抑制し、垂直面方向A2での傾きを生じる回転移動を第2の圧電素子10、11で抑制することができる。尚、第1の圧電素子8、9は、パン可動部材5及びチルト可動部材6を組み付けた状態での各部材の中心線(水平面での一軸方向)に対して左右対称な位置に配備され、第2の圧電素子10、11についても、チルト可動部材6及びチルトベース部材7を組み付けた状態での各部材の中心線(垂直面での一軸方向)に対して左右対称な位置に配備されている。
【0018】
図2は、図1(a)、(b)に示した実装状態で揺れ振動が生じたときのカメラユニット用揺れ防止機構3及びカメラユニット1の装着部分の支点周りにおける垂直面下方向A3の傾きを示した外観側面図である。ここでは、カメラユニット用揺れ防止機構3において、揺れ振動発生時の垂直面方向A2に含まれる垂直面下方向A3での傾きを生じた場合の第2の圧電素子10、11による傾きの回転移動を抑制する動作を説明する。
【0019】
第2の圧電素子10、11(第1の圧電素子8、9についても同様)は、一般に直流電圧を印加すると伸張し、逆に外力により圧縮されると直流電圧を発生する素子として知られている。図2に示すように揺れ振動発生時にチルトベース部材7に伝達して垂直面下方向A3の傾きを生じてチルト可動部材6が回転移動する場合、圧電素子10は圧縮して直流電圧−V1を発生し、圧電素子11は伸張して直流電圧+V1を発生する。第2の圧電素子10、11(第1の圧電素子8、9についても同様)は、常に基準電圧を維持するように電気系回路が構成されるため、電気系回路では圧電素子10に直流電圧−V1を印加して伸張させ、圧電素子11に直流電圧+V1を印加して圧縮させるため、第2の圧電素子10、11の長さが一定となり、チルト可動部材6の平板部6aはチルトベース部材7の平板部7a及びパン可動部材5の第1の平板部5aとの間で平行に維持される。この結果、パン可動部材5の第1の平板部5aが垂直面方向における定位置に維持されることになる。
【0020】
図3は、図2に示す傾き状態での垂直面方向調整用の第2の圧電素子10、11に係る電圧(V)変化の様子を時間(t)推移との関係で示した電圧変化特性図である。図3中では、揺れ振動発生時にチルトベース部材7に伝達して垂直面下方向A3の傾きを生じた場合、圧電素子10は揺れ振動によって発生する電圧変化ΔV1の期間で圧縮して直流電圧−V1を発生し、圧電素子11は同様な電圧変化ΔV1の期間で伸張して直流電圧−V1を発生する様子と、電気回路が基準電圧に戻すための電圧変化ΔV2の期間で圧電素子10に直流電圧+V1を印加して伸張させ、圧電素子11に直流電圧+V1を印加して圧縮させる様子と、を示している。このような第1の圧電素子10、11の働きにより、パン可動部材5の第1の平板部5aが垂直面方向における定位置に維持される。尚、揺れ振動発生時にチルトベース部材7に伝達して垂直面上方向の傾きを生じた場合には、ここで説明した各圧電素子10、11に係る直流電圧の発生並びに印加のパターンと逆の関係になるが、こうした場合にも同様に、パン可動部材5の第1の平板部5aは、垂直面方向における定位置に維持される。
【0021】
また、カメラユニット用揺れ防止機構3において、揺れ振動発生時の水平面方向A1に含まれる水平面手前側方向、或いは奧側方向の傾きを生じた場合の第1の圧電素子8、9による傾きの抑制も同様な内容で行われ、何れの場合にもパン可動部材5の第1の平板部5aは、水平面方向における定位置に維持されることになる。
【0022】
このように、実施例1に係るカメラユニット用揺れ防止機構3によれば、チルトベース部材7に揺れ振動が伝達したとき、パン可動部材5の水平面方向での傾き、或いはチルト可動部材6の垂直面方向での傾きに伴う水平面方向調整用の第1の圧電素子8、9と垂直面方向調整用の第2の圧電素子10、11とにおける圧縮・伸張により発生した直流電圧に基づいて、それらの直流電圧の逆極性値をそれぞれ各圧電素子8〜11に印加して伸張・圧縮させて打ち消す(パン可動部材5、チルト可動部材6を姿勢制御する)ことにより、カメラユニット1に装着されるパン可動部材5の平板部5aを水平面方向及び垂直面方向での定位置に維持することができるため、揺れ補正機能を持たないカメラユニット1を電動雲台に搭載されるカメラハウジング2に実装した使用環境下でも、カメラハウジング2に加えられる外力で発生する揺れ振動の揺れ補正を有効に行うことができる。
【0023】
尚、実施例1に係るカメラユニット用揺れ防止機構3は、図1(a)、(b)に示されるように、カメラユニット1のレンズの光軸方向に延びたカメラ取付部材2´の外壁側面におけるカメラユニット1を保持する重心の近傍箇所にパン可動部材5の平板部5aを装着する場合を説明したが、カメラ取付部材2´の仕様によってはカメラ取付部材2´の外壁側面に対してカメラユニット用揺れ防止機構3を装着し難い場合もある。こうした場合には、カメラユニット用揺れ防止機構3を防水構造とした上、雲台(図示せず)とカメラハウジング2との間に挿入して装着することも可能である。但し、雲台とカメラハウジング2との間にカメラユニット用揺れ防止機構3を装着する場合に、パン可動部材5の平板部5aだけでなく、チルトベース部材7の平板部7aにおける第2の圧電素子10、11が結合される面と反対側の面についても装着用とされる他、組み付け形態によってはパン可動部材5及び水平面方向調整用の第1の圧電素子8、9とチルト可動部材6及び垂直面方向調整用の第2の圧電素子10、11との関係が反転すると共に、チルトベース部材7がパンベース部材として機能する場合も起こり得るが、こうした場合にも基本的な構造や機能面には変わりがないため、同一な構造とみなすことができる。また、実施例1に係るカメラユニット用揺れ防止機構3では、水平面方向調整用、垂直面方向調整用にそれぞれ2個の圧電素子を用いた場合を例示したが、3個以上の圧電素子を用いても良いため、本発明のカメラユニット用揺れ防止機構3は、実施例1で開示した構成のものに限定されない。
【符号の説明】
【0024】
1 カメラユニット
2 カメラハウジング
2´ カメラ取付部材
3 カメラユニット用揺れ防止機構
5 パン可動部材
5a 第1の平板部
5b 第1の起立部
6 チルト可動部材
6a 第2の平板部
6b 第2の起立部
7 チルトベース部材
7a 第3の平板部
7b 第3の起立部
8、9 第1の圧電素子
10、11 第2の圧電素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動雲台に搭載されるカメラハウジングに実装されるカメラユニットに対して、当該カメラハウジングに加えられる外力で発生する揺れ振動を当該カメラユニットに伝達させないために当該カメラハウジングに装着されるカメラユニット用揺れ防止機構であって、
前記カメラユニットを装着するための平坦な第1の平板部から垂直に起立した第1の起立部を有すると共に、全体が水平面方向で可動なパン可動部材と、前記第1の平板部の前記カメラユニットを装着する面と反対側の面に所定数のボールベアリングを介して近接して連結される平坦な第2の平板部から垂直に起立して前記第1の起立部とは対向して隔てられて配置される第2の起立部を有すると共に、全体が垂直面方向で可動なチルト可動部材と、前記第2の平板部の前記第1の平板部と近接して連結される面と反対側の面と対向して隔てられて配置される平坦な第3の平板部から垂直に起立して前記第2の起立部との間で所定数のボールベアリングを介して近接して連結される第3の起立部を有すると共に、揺れ振動が伝達するチルトベース部材と、前記第1の起立部と前記第2の起立部との間をそれぞれ結合すると共に、水平面方向での一直線方向に延びた棒状の複数の第1の圧電素子と、前記第2の平板部と前記第3の平板部との間をそれぞれ結合すると共に、垂直面方向での一直線方向に延びた棒状の複数の第2の圧電素子と、が組み付けられて構成され、
前記複数の第1の圧電素子は、前記チルトベース部材に前記揺れ振動が伝達したとき、前記パン可動部材における前記水平面方向の揺れ振動の傾きに伴う圧縮・伸張により発生した直流電圧に基づいて、当該圧縮・伸張したものに対してそれぞれ当該直流電圧の逆極性値を印加して伸張・圧縮に供し、当該圧縮・伸張を打ち消すように当該パン可動部材を姿勢制御することにより、前記第1の平板部を前記水平面方向における定位置に維持し、
前記複数の第2の圧電素子は、前記チルトベース部材に前記揺れ振動が伝達したとき、前記チルト可動部材における前記垂直面方向の揺れ振動の傾きに伴う圧縮・伸張により発生した直流電圧に基づいて、当該圧縮・伸張したものに対してそれぞれ当該直流電圧の逆極性値を印加して伸張・圧縮に供し、当該圧縮・伸張を打ち消すように当該チルト可動部材を姿勢制御することにより、前記第1の平板部を前記垂直面方向における定位置に維持することを特徴とするカメラユニット用揺れ防止機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−217078(P2012−217078A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−81741(P2011−81741)
【出願日】平成23年4月1日(2011.4.1)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】