説明

カメラ内蔵型バックミラー装置

【課題】ミラーハウジング内に侵入した水の排水性を高めると共に車両前方からの見映えの良いカメラ内蔵型バックミラー装置を提供する。
【解決手段】ドアミラー2とサイドターンランプ3とカメラモジュール4をミラーハウジング7に取り付けたカメラ内蔵型バックミラー装置において、サイドターンランプ3に形成されたカメラ取付孔12の近傍から前記ミラーハウジング7の車体取付側に通じる水の抜け道を形成し、その水の抜け道の開放口をミラーハウジング7の車体取付側に設けた。水の抜け道は、サイドターンランプ3を構成するレンズ9とハウジング10の接合部17の一部を接合せずに形成したカメラ取付孔12と通じるスリット13と、レンズ9とハウジング10の外周縁部に前記スリット13の出口から前記水抜き孔14へと通じるように形成された凹条部15と、で構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラ内蔵型バックミラー装置に関し、詳細には、ミラーハウジング内に侵入した水の排水技術に関する。
【背景技術】
【0002】
運転席側及び助手席側の前輪付近における路面状況を視認できるようにカメラモジュールをミラーハウジング内に設けたカメラ内蔵型バックミラー装置が提案されている(例えば、特許文献1等に記載)。
【特許文献1】特開2003−267140号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1に記載のカメラ内蔵型バックミラー装置では、ミラー面とミラーハウジングとの隙間から侵入した水は、ミラーハウジング底部に取り付けられたカメラモジュール周縁部に溜まり易い構造となっている。そして、このカメラ内蔵型バックミラー装置では、ミラーハウジングに排水口が設けられていないことから、侵入した水の抜け道はミラー面とミラーハウジングとの隙間しかなく、排水性が悪く、水が抜け難い。
【0004】
このカメラ内蔵型バックミラー装置において、排水性を高めるべくカメラ周辺に排水口を設けることも考えられるが、ミラーハウジング下面に排水用の孔を開けると、外観から孔が目立って見栄えが悪くなるという不具合が生じる。
【0005】
そこで本発明は、ミラーハウジング内に侵入した水の排水性を高めると共に車両前方からの見映えの良いカメラ内蔵型バックミラー装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、カメラモジュールをミラーハウジング内に設けたカメラ内蔵型バックミラー装置において、カメラ取付孔の近傍からミラーハウジングの車体取付側に通じる水の抜け道を形成し、その水の抜け道の開放口を前記ミラーハウジングの車体取付側に設けた。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、カメラ取付孔の近傍に水抜き孔を設けずに、カメラ取付孔の近傍からミラーハウジングの車体取付側に通じる水の抜け道を形成し、その水の抜け道の開放口をミラーハウジングの車体取付側に設けることで、その水の抜け道を伝ってミラーハウジング内に侵入した水を開放口から排水することができ、しかも車両前方側から開放口が見えないので見映えも向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明を適用した具体的な実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0009】
図1はカメラ内蔵型バックミラー装置を車両前方から見たときの斜視図、図2はカメラ内蔵型バックミラー装置を車両後方から見たときの斜視図、図3はサイドターンランプを背面側から見た正面図、図4はサイドターンランプに形成した水の抜け道を示す斜視図、図5はミラーハウジングの一部を破断し且つドアミラーを外した状態のカメラ内蔵型バックミラー装置を示す図、図6は図5のA−A線断面図、図7は図5のB−B線断面図、図8はミラーハウジングの車体取付側の付け根部に形成した水抜き孔の位置を示すカメラ内蔵型バックミラー装置の要部斜視図である。
【0010】
本実施形態のカメラ内蔵型バックミラー装置は、自動車の運転席側または助手席側のサイドドアに固定されるミラーベース1に取り付けられ、図示を省略した電動格納ユニットによりミラーハウジングを折り畳み自在とした電動格納式ドアミラーとされている。
【0011】
カメラ内蔵型バックミラー装置は、後方視認用のドアミラー2と、サイドターンランプ3と、カメラモジュール4と、第1ハウジング5及び第2ハウジング6からなるミラーハウジング7とから構成されている。
【0012】
ミラーハウジング7は、車両前方を向く第1ハウジング5と、車両後方を向く第2ハウジング6とを有し、シール部材であるパッキンを介して結合されている。ミラーハウジング7内には、ドアミラー2を駆動してその向きを変えるミラー駆動機構部8と、ミラーハウジング7を折り畳む電動格納ユニットと、が設けられている。
【0013】
サイドターンランプ3は、レンズ9とハウジング10とを有し、これらが接合されて内部空間を形成した2層構造とされている。かかるサイドターンランプ3は、互いの突き合わせ部位を溶着させることにより接合一体化した水密構造となっている。ハウジング10には、カメラモジュール4を取り付けるための装着孔11が形成されている。一方、レンズ9には、ハウジング10に形成された前記装着孔11を介して装着されるカメラモジュール4のカメラレンズ4aを外方へ臨ませるカメラ取付孔12が形成されている。
【0014】
また、サイドターンランプ3には、前記カメラ取付孔12の近傍からミラーハウジング7の車体取付側に通じる水の抜け道が形成されている。水の抜け道は、水密構造とされるレンズ9とハウジング10の接合部17の一部を接合せずに形成した前記カメラ取付孔12と通じるスリット13と、レンズ9とハウジング10の外周縁部に前記スリット13の出口から開放口である水抜き孔14へと通じるように形成された凹条部15と、により構成されている。
【0015】
スリット13は、カメラモジュール4が取り付けられた部位と対応する位置に形成され、前記ハウジング10に形成された装着孔11からサイドターンランプ3内に侵入しカメラ取付孔12の周囲に溜まった水16を排出させる。カメラ取付孔12が形成されるレンズ底部9aは、カメラ取付孔12からスリット13に向かって若干の高低差を有した傾斜面とされている。したがって、カメラ取付孔12の周囲に溜まった水16は、自ずとレンズ底部9aの傾斜面に沿って流れてスリット13から排水される。
【0016】
凹条部15は、スリット13の出口からミラーハウジング7の車体取付側の付け根部に形成された開放口となる水抜き孔14間を結ぶようにレンズ9とハウジング10の外周縁部に沿って形成されている。かかる凹条部15は、レンズ9とハウジング10を溶着した接合部17の外側に突出するレンズ突出部9bとハウジング突出部10bとで囲まれた凹形状をなす水路とされている。なお、水路は、凹条部15とサイドターンランプ3と結合される第2ハウジング6とにより構成される。
【0017】
水抜き孔14は、サイドドアに固定されるミラーベース1に近接した第1ハウジング5の付け根部に、例えば円形孔として形成されている。凹条部15を伝って流れる水16は、前記水抜き孔14から外方へと排水される。水抜き孔14が形成される位置は、ミラーハウジング7の底部であり、車両前方並びに車両後方からは見難い部位とされている。
【0018】
以上のようにサイドターンランプ3に水の抜け道を形成したカメラ内蔵型バックミラー装置では、ドアミラー2と第2ハウジング6との隙間からミラーハウジング7内に侵入した水16は、カメラモジュール4をサイドターンランプ3に取り付けるために形成した装着孔11からカメラモジュール4の周囲に溜まる。カメラモジュール4の周囲に溜まった水16は、サイドターンランプ3に形成されたスリット13から排出された後、凹条部15を伝ってミラーハウジング7の車体取付側の付け根部に形成した水抜き孔14から外部へと排水される。
【0019】
本実施形態によれば、カメラ取付孔12の近傍からミラーハウジング7の車体取付側に通じる水の抜け道を形成し、その水の抜け道の開放口をミラーハウジング7の車体取付側に設けたことで、カメラ取付孔近傍に水抜き孔を設けた従来構造と比べて、車両前方からの見映えが向上する。また、サイドターンランプ3の外表面に水抜き孔を形成した場合は、走行時に孔部に風が当たることによって風切り音が発生するが、本実施形態ではサイドターンランプ3ではなくミラーハウジング7の車体取付側の付け根部に水抜き孔14を形成しているので走行風に当たり難く、風切り音の発生が抑制される。
【0020】
また、本実施形態によれば、レンズ9とハウジング10を接合して内部空間を形成した2層構造からなるサイドターンランプ3に水の抜け道を形成したので、これらレンズ9とハウジング10との2層構造を利用した水の抜け道を効率良く構築することができると共に、ミラーハウジング7全体の剛性を高めることができる。
【0021】
また、本実施形態によれば、サイドターンランプ3に形成したスリット13とこのスリット13の出口から水抜き孔14へと通じるように形成された凹条部15とで水の抜け道を形成したので、ミラーハウジング7に何ら水路形成加工をする必要がなく、工数を削減することが可能となる。
【0022】
また、本実施形態によれば、ミラーハウジング7の車体取付側の付け根部に水の開放口である水抜き孔14を設けたので、走行時に風速が早く大きな負圧が発生するミラーハウジング7の付け根部における当該負圧で、水抜きの効果が増して排水性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】図1はカメラ内蔵型バックミラー装置を車両前方から見たときの斜視図である。
【図2】図2はカメラ内蔵型バックミラー装置を車両後方から見たときの斜視図である。
【図3】図3はサイドターンランプを背面側から見た正面図である。
【図4】図4はサイドターンランプに形成した水の抜け道を示す斜視図である。
【図5】図5はミラーハウジングの一部を破断し且つドアミラーを外した状態のカメラ内蔵型バックミラー装置を示す図である。
【図6】図6は図5のA−A線断面図である。
【図7】図7は図5のB−B線断面図である。
【図8】図8はミラーハウジングの車体取付側の付け根部に形成した水抜き孔の位置を示すカメラ内蔵型バックミラー装置の要部斜視図である。
【符号の説明】
【0024】
1…ミラーベース
2…ドアミラー
3…サイドターンランプ
4…カメラモジュール
5…第1ハウジング
6…第2ハウジング
7…ミラーハウジング
9…レンズ(サイドターンランプのレンズ)
10…ハウジング(サイドターンランプのハウジング)
11…装着孔
12…カメラ取付孔
13…スリット
14…水抜き孔(開放口)
15…凹条部
16…カメラモジュール周囲に溜まった水
17…接合部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドアミラーとサイドターンランプとカメラモジュールをミラーハウジングに取り付けたカメラ内蔵型バックミラー装置において、
前記カメラモジュールを前記サイドターンランプに形成したカメラ取付孔に取り付け、該カメラ取付孔の近傍から前記ミラーハウジングの車体取付側に通じる水の抜け道を形成し、その水の抜け道の開放口を前記ミラーハウジングの車体取付側に設けた
ことを特徴とするカメラ内蔵型バックミラー装置。
【請求項2】
請求項1に記載のカメラ内蔵型バックミラー装置であって、
前記水の抜け道は、レンズとハウジングを接合して内部空間を形成した2層構造のサイドターンランプに形成した
ことを特徴とするカメラ内蔵型バックミラー装置。
【請求項3】
請求項2に記載のカメラ内蔵型バックミラー装置であって、
前記水の抜け道は、前記レンズと前記ハウジングの接合部の一部を接合せずに形成した前記カメラ取付孔と通じるスリットと、レンズとハウジングの外周縁部に前記スリットの出口から前記開放口へと通じるように形成された凹条部と、で構成した
ことを特徴とするカメラ内蔵型バックミラー装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3の何れか1項に記載のカメラ内蔵型バックミラー装置であって、
前記開放口は、前記ミラーハウジングの車体取付側の付け根部に形成した水抜き孔である
ことを特徴とするカメラ内蔵型バックミラー装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−93882(P2009−93882A)
【公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−262179(P2007−262179)
【出願日】平成19年10月5日(2007.10.5)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【出願人】(000000136)市光工業株式会社 (774)
【Fターム(参考)】