説明

カメラ用フォーカルプレンシャッタ、及びそれを備えたデジタルカメラ

【課題】撮影間隔を従来よりも短くすることの可能な、先羽根と後羽根を備えているノーマリーオープン方式のカメラ用フォーカルプレンシャッタ、及びそれを備えたデジタルカメラを提供すること。
【解決手段】後羽根用駆動機構が、後羽根用第1駆動部材11と後羽根用第2駆動部材12とで構成されており、セット作動の開始時には係止部材17によって後羽根用第1駆動部材11を係止して後羽根を閉じ状態にしたまま、後羽根用第2駆動部材12だけを駆動ばねの付勢力に抗して回転させ、セット作動の最終段階でその係止を解除することによって後羽根用セットばね31の付勢力で後羽根用第1駆動部材11の回転を可能にし、後羽根を開き状態にする。そのため、撮像素子から撮像情報を情報処理回路を介して記憶装置に転送する時間を考慮せずに、セット作動を開始させることが可能になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラ用フォーカルプレンシャッタ、及びそれを備えたデジタルカメラに関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルカメラ用のフォーカルプレンシャッタの中には、先羽根と後羽根という二つのシャッタ羽根を備えたものがある。この種のフォーカルプレンシャッタは、かつては、フィルムを使用するカメラ用のフォーカルプレンシャッタと実質的に同じ構成をしており、先羽根用駆動機構が先羽根用駆動部材と先羽根用駆動ばねで構成され、後羽根用駆動機構が後羽根用駆動部材と後羽根用駆動ばねで構成されていて、先羽根と後羽根が、先羽根用駆動部材と後羽根用駆動部材に直接連結されており、撮影時には、それらの二つの駆動部材が先羽根用駆動ばねと後羽根用駆動ばねの付勢力によって順に回転させられ、先羽根が露光開口を開き、後羽根がその後から閉じていくことによって、CCD等の撮像素子の受光面を露光するようにしていた。
【0003】
そして、先羽根と後羽根による露光作動が終了すると、後羽根が露光開口を覆った状態で、撮像情報が撮像素子から情報処理回路を介して記憶装置に転送される。その後、直ちにセット作動が行われるが、そのセット作動は、初期位置から回転させられるセット部材が、それらの二つの駆動部材を、上記の各々の駆動ばねの付勢力に抗してセット位置まで逆転させることによって行われた。そのため、この種のフォーカルプレンシャッタは、セット完了状態である撮影待機状態においては、後羽根は露光開口から退いていて、先羽根が露光開口を覆っていることになる。
【0004】
また、次の撮影時に露光作動が行われるまで、上記の二つの駆動部材を回転しないように保持しておく構成には、係止タイプと言われているものと、ダイレクトタイプと言われているものがある。それらのうち、係止タイプというのは、各駆動部材が、セット位置で各々の係止部材によって係止されているようにしたものである。そのため、セット部材は、セット作動が終了すると、直ちに初期位置へ復帰するように構成してもよいし、カメラのレリーズ時に、先羽根の開き作動に先立って初期位置へ復帰するように構成しても構わない。そして、先羽根と後羽根による上記の露光作動は、各々の係止部材が夫々の電磁石によって操作され、各駆動部材の係止を順に解くことによって行われる。
【0005】
他方、ダイレクトタイプというのは、上記の二つの駆動部材が、各々鉄片部材を備えており、セット部材は、セット作動によって、それらの鉄片部材が、励磁されていない各々の電磁石に接触した状態になるまで、それらの駆動部材を回転させる構成をしている。そのため、セット部材は、その後も初期位置へは復帰せずにその状態を保っていて、次の撮影に際してカメラのレリーズボタンが押され、各々の電磁石が励磁されることによって、それらの鉄片部材が吸着保持されると、初期位置へ復帰するようにしたものである。そして、先羽根と後羽根の露光作動は、その後、各々の電磁石が消磁し、各鉄片部材の吸着保持力を順に解くことによって行われる。
【0006】
このように、この種のフォーカルプレンシャッタは、係止タイプとして構成されている場合であってもダイレクトタイプとして構成されている場合であっても、撮影待機状態では、露光開口が先羽根によって閉じられているので、この種のフォーカルプレンシャッタを採用したデジタルカメラは、光学ファインダを備えているのが普通であった。
【0007】
ところで、最近では、フォーカルプレンシャッタを備えたデジタルカメラの場合にも、レンズシャッタを備えたデジタルカメラの場合と同様に、液晶表示装置などを用いた電子ファインダを備えることが要求されるようになってきて、かつてのように、光学ファインダだけを備えているものは少なくなり、光学ファインダと電子ファインダの両方を備えたカメラや、電子ファインダだけを備えたカメラが多くなっている。そして、電子ファインダを採用する場合には、電子ファインダ用の撮像素子を、撮影用の撮像素子とは別に備えるようにすることも知られているが、両方の機能を一つの撮像素子で兼用させるようにするのが一般的となっている。
【0008】
ところが、そのような二つの機能を一つの撮像素子で兼用させる場合には、セット状態では、後羽根だけでなく、先羽根も露光開口から退いた状態にしておき、撮影に際してレリーズボタンが押されると、その初期段階において、先羽根を、露光開口を覆った状態に作動させ、次の段階で、先羽根と後羽根とを順に露光作動させるように構成する必要がある。即ち、セット作動時においては、後羽根の方は、露光開口を閉じた状態から開いた状態に作動させるが、先羽根の方は、露光開口を開いた状態から閉じた状態には作動させないようにする必要がある。
【0009】
そこで、そのような作動を可能にするために、上記の先羽根用駆動機構を、先羽根に直接連結させた先羽根用第1駆動部材と、先羽根用駆動ばねによって直接付勢される先羽根用第2駆動部材との二つで構成し、上記のセット作動時には、先羽根用第2駆動部材だけをセット位置へ作動させ、先羽根を露光開口の開き状態のままにして、電子ファインダでの被写体像の観察を可能にしておき、撮影に際してレリーズボタンが押されると、その初期段階において、セット部材をセット位置から初期位置へ復帰させ、その復帰過程において先羽根用第1駆動部材を先羽根用駆動ばねより弱いばね(以下、先羽根用セットばねという)の付勢力で回転させ、先羽根を露光開口の閉じ状態に作動させ、次の段階では、先羽根用第2駆動部材が先羽根用第1駆動部材を伴って先羽根に露光作動を行わせ、続いて後羽根用駆動部材が後羽根に露光作動を行わせるようにしたものが下記の特許文献1に記載されている。
【0010】
しかし、特許文献1に記載のフォーカルプレンシャッタは、撮影に際してレリーズボタンが押されると、その初期段階でセット部材が初期位置へ復帰するとき、その復帰作動の停止直前になってから、上記の先羽根用第1駆動部材を作動させ、先羽根に閉じ作動を行わせる構成をしている。そして、そのとき、先羽根用第1駆動部材は、先羽根が露光開口を完全に開いている状態から完全に閉じている状態まで、上記した先羽根用セットばねの付勢力によって一気に回転させられることになる。そのため、何らかの対策を講じておかないと、そのような閉じ作動を停止するとき、先羽根に大きなバウンド(揺れ)が発生し、それが静まるまでは先羽根の露光作動を開始させることができなくなる。そこで、セット部材がセット位置から初期位置へ復帰するとき、その作動の初期段階で先羽根用第1駆動部材を作動させ、早期に先羽根に閉じ作動を開始させてしまうようにしたものが、下記の特許文献2に記載されている。
【0011】
ところが、この特許文献2に記載されているフォーカルプレンシャッタは、撮影に際してレリーズボタンが押されたとき、セット部材がその初期位置へ復帰する段階で先羽根用第1駆動部材を回転し得るようにするための構成が、必ずしも量産上で好ましいものとはいえない。そこで、セット部材がその初期位置へ復帰する過程では、最初から先羽根用第1駆動部材が間接的にセット部材に追従して先羽根に閉じ作動を行わせていくようにし、セット部材がその初期位置へ完全に復帰する前になってその追従関係を解くことにより、セット部材が初期位置で停止したときには、バウンドが小さくて先羽根が好適に停止しているようにした、量産にも極めて有利な構成のフォーカルプレンシャッタが、下記の特許文献3に記載されている。
【0012】
本発明は、これらの特許文献1〜3に記載されているように、先羽根用駆動機構が、先羽根を連結していてシャッタレリーズ後の初期段階において先羽根用セットばねの付勢力によって先羽根が露光作動開始位置へ達するまで回転させられる先羽根用第1駆動部材と、露光作動時には先羽根用駆動ばねの付勢力によって回転され先羽根用第1駆動部材を先羽根用セットばねの付勢力に抗して回転させ先羽根に開き作動を行わせる先羽根用第2駆動部材とで構成されていて、後羽根駆動機構が、後羽根を連結していて露光作動時には後羽根用駆動ばねの付勢力によって回転され後羽根に閉じ作動を行わせる後羽根用駆動部材で構成されており、先羽根用第2駆動部材と後羽根用駆動部材とは、セット部材が初期位置からセット位置へ作動するとき、前記各駆動部材の付勢力に抗してセット位置へ作動させられるが、先羽根用第1駆動部材は、シャッタレリーズ後にセット部材が初期位置へ復帰する過程で、露光作動開始位置へ作動させられるようにした、係止タイプのものにもダイレクトタイプのものにも適用することの可能なカメラ用フォーカルプレンシャッタ、及びそれを備えたデジタルカメラの改良に関するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2001−222059号公報
【特許文献2】特開2003−222928号公報
【特許文献3】特開2007−298544号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
ところで、特許文献1〜3に記載されているような従来のフォーカルプレンシャッタを備えているデジタルカメラの場合には、露光作動が終了した後、後羽根が露光開口を覆っている状態のとき、撮像素子から撮像情報を記憶装置に転送し、その転送が終わってからセット部材を回転させてセット作動が行われ、後羽根に開き作動を行わせることによって、露光開口を全開にするように構成されている。そして、撮像素子から撮像情報を記憶装置に転送した後になってから、セット作動を開始させている理由は、周知のように、露光作動の終了後に直ちにセット作動を開始させてしまうと、撮像情報の転送中に露光開口から入射した光が撮像素子に当たって、撮像情報が損なわれてしまうからである。
【0015】
また、この種のフォーカルプレンシャッタにおけるセット作動は、セット部材が、カメラ本体側の部材に回転させられて行われるが、そのとき、セット部材は、先羽根用第2駆動部材と後羽根用駆動部材とを、上記した付勢力の大きな先羽根用駆動ばねと後羽根用駆動ばねの付勢力に抗して、露光作動終了位置からセット位置まで回転させるように構成されているため、そのセット作動には、露光作動に要する時間などに比較して圧倒的に長い時間を必要とする。
【0016】
このことから、この種の構成をした従来のフォーカルプレンシャッタは、露光作動が終了してから次の撮影待機状態(セット完了状態)が得られるまでの時間については、セット作動に要する時間だけを考慮して決めればよいということにはならず、撮像情報の転送可能時間も確保する必要があって、その分だけ長くならざるを得ず、撮影終了後に直ちに次の撮影を行いたい場合や、連写モードでの撮影を行う場合などには、必ずしも好ましい構成とは言えなかった。
【0017】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、特許文献1〜3に記載されている種類のフォーカルプレンシャッタにおいて、露光作動が終了してから次の撮影が行われるまでの時間を、撮像情報の転送可能時間を殆ど考慮しなくて決めることを可能にした、係止タイプのものにもダイレクトタイプのものにも適用することの可能なカメラ用フォーカルプレンシャッタ、及びそれを備えたデジタルカメラを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記の目的を達成するために、本発明のカメラ用フォーカルプレンシャッタは、セット状態ではセット部材がセット位置にあることにより露光作動終了時と同様に先羽根を露光開口から退かせておりセット部材の復帰作動時には先羽根に露光開口を覆わせる先羽根用駆動手段と、セット部材のセット作動時には係止部材に係止されていて後羽根を露光開口を覆った状態のままにしておきセット部材がセット位置に達する直前になって該係止部材による係止が解かれると後羽根を露光開口から退かせる後羽根用第1駆動部材と、セット部材のセット作動によってセット方向に回転され露光作動時には後羽根用第1駆動部材を露光作動方向に回転させ後羽根に露光開口を覆わせる後羽根用第2駆動部材と、を備えているようにする。
【0019】
その場合、前記先羽根用駆動手段は、先羽根用駆動ばねにより露光作動方向に付勢された先羽根用第1駆動部材と、前記先羽根と連結されておりセットばねにより露光作動方向とは反対側に付勢された先羽根用第2駆動部材と、を含む構成にするのが好ましい。更に、前記セット部材が押動部を有していて、前記係止部材が被押動部を有しており、前記セット部材は、そのセット作動の終了直前において該押動部が該被押動部を押すことによって、前記係止部材による前記後羽根用第1駆動部材の係止を解くようにすると、カメラ本体側の部材との連動構成を考慮しなくて済み、極めて好適な構成のシャッタユニットが得られる。
【0020】
また、本発明のカメラ用フォーカルプレンシャッタにおいては、前記係止部材は、前記後羽根用第1駆動部材を係止するために、ばねによって一方方向へ回転する力を与えられており、露光作動終了直前においては、前記後羽根用第1駆動部材が当接し、該ばねの付勢力に抗して回転させられることによって、前記後羽根用第1駆動部材の回転を制動する役目も有しているようにするのが好ましい。更に、本発明のカメラ用フォーカルプレンシャッタにおいては、前記係止部材は、露光作動終了時において前記後羽根用第1駆動部材がストッパに当接してバウンドするのを係止する役目も有しているようにするのが好ましい。それらのように構成することによって、後羽根用第1駆動部材に対する専用の制動部材や専用のバウンド防止部材を設けなくて済むようになる。
【0021】
更に、本発明のデジタルカメラは、上記のような各カメラ用フォーカルプレンシャッタを備えることによって、次の撮影を早く行うことが可能になり、また、好適な連写を行えるようにすることが可能になる。
【発明の効果】
【0022】
本発明は、先羽根と後羽根とを備えていて、撮影前には、電子ファインダによって被写体像を観察することが可能であり、撮影時には、先羽根が露光開口を一旦閉じてから開き始めることによって撮像素子の露光を開始し、後羽根が露光開口を閉じ終わることによって露光を終了するようにしたカメラ用フォーカルプレンシャッタ、及びそれを備えたデジタルカメラにおいて、後羽根用駆動機構を、後羽根用セットばねの付勢力で回転したときには後羽根に露光開口を開かせる後羽根用第1駆動部材と、後羽根用駆動ばねの付勢力によって回転したときには後羽根用第1駆動部材を後羽根用セットばねの付勢力に抗して回転させ後羽根に露光開口を閉じさせる後羽根用第2駆動部材とで構成し、セット作動の開始時には係止部材によって後羽根用第1駆動部材の回転を係止して、後羽根用第2駆動部材だけを駆動ばねの付勢力に抗して回転させ、セット作動の最終段階でその係止を解除することにより後羽根用セットばねの付勢力による後羽根用第1駆動部材の回転を可能にしたので、撮像素子から記憶装置への撮像情報の転送時間を考慮せずにセット作動を開始させることができ、次の撮影を従来よりも早く行え、従来よりもシャッタチャンスを逸することがなくなるという利点がある。また、それによって、連写を行う場合には、より細分化されたコマ写真が得られるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】露光作動終了直後の状態を示した実施例の平面図である。
【図2】図1の左側約半分を拡大して示した平面図である。
【図3】図2の状態からセット作動を開始した初期段階において、後羽根が露光開口を覆っているときに、先羽根が露光開口の一部を覆っている状態を示した平面図である。
【図4】図3の状態よりもセット作動が進んで、先羽根が露光開口から退き、後羽根が露光開口を覆い始めている途中の状態を示した平面図である。
【図5】セット作動が完了し、露光開口が全開している状態を示した平面図である。
【図6】カメラのレリーズボタンが押され、露光作動に先立って、セット部材がセット位置から初期位置へ復帰する途中の状態を示した平面図である。
【図7】セット部材が初期位置へ復帰し、露光作動が開始される直前の状態を示した平面図である。
【図8】先羽根と後羽根が露光作動を行っている途中の状態を示した平面図である。
【図9】先羽根と後羽根が露光作動を終了する直前の状態を示した平面図である。
【図10】実施例の作動と従来例の作動を比較できるようにして示したタイミングチャートであり、(a)が実施例の場合であり、(b)が従来例の場合である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の実施の形態を、図示した実施例によって説明する。この実施例は、特許文献1〜3のうち特許文献3に記載されているダイレクトタイプのフォーカルプレンシャッタの構成に本発明を適用したものであるが、既に説明したように、本発明は、特許文献1,2に記載の構成に類するダイレクトタイプのフォーカルプレンシャッタにも適用することが可能であるし、特許文献1〜3に記載の構成に類するフォーカルプレンシャッタを係止タイプとして構成したものにも適用することが可能である。そして、そのことは、下記の説明から、当業者であれば、容易に理解することができる。
【実施例】
【0025】
先ず、主に、図1及び図2を用いて、本実施例の構成を説明するが、図1は、露光作動終了直後の状態を示した平面図であり、図2は、図1の左側約半分を拡大して示した平面図である。尚、本実施例の説明においては、本実施例のフォーカルプレンシャッタをカメラに組み込んだとき、図1の表面側(手前側)が被写体側(撮影レンズ側)であり、図1の背面側が撮像素子側であることを前提にして説明する。しかしながら、周知のように、デジタルカメラの場合には、図1の表面側を撮像素子側にし、図1の背面側を被写体側にすることもある。
【0026】
図1において、シャッタ地板1の略中央部には、長方形を横長にした露光用の開口部1aが形成されている。また、周知のように、シャッタ地板1の背面側には、所定の間隔を空けて、中間板2と補助地板3が順に取り付けられており、シャッタ地板1と中間板2との間に先羽根の羽根室を構成し、中間板2と補助地板3との間に後羽根の羽根室を構成している。そして、中間板2と補助地板3にも、開口部1aと類似してはいるが、形状や大きさが若干異なっている開口部2a,3aが形成されている。そして、被写体光を通過させるためのシャッタユニットとしての露光開口の形状は、それらの開口部1a,2a,3aの二つ以上で形成されることもあるが、本実施例においては、開口部1aの形状だけで露光開口の形状が決められている。
【0027】
尚、本実施例のシャッタ地板1は合成樹脂製である。また、図1は、中間板2と補助地板3の一部が見えるようにするために、シャッタ地板1の開口部1aに隣接する一部の領域を故意に破断して示している。更に、図1及び図2においては、中間板2の外形形状が破線で示されているのに対し、補助地板3の外形形状は、シャッタ地板1の外形と略同じであるため示されていないが、このことは、図3〜図9の場合も同じである。
【0028】
シャッタ地板1には、開口部1aの左側の領域に、円弧状の二つの長孔1b,1cが形成されており、それらの上方端部には、平面形状が略C字状をした周知のゴム製の緩衝部材4,5が取り付けられている。また、中間板2は、長孔1b,1cを形成している領域には重ならない形状をしているが、補助地板3は、薄い板部材であって、長孔1b,1cを形成している領域と重なるため、実際には、それらの長孔1b,1cと重なるところに、略同じ形状をした図示していない長孔が形成されている。
【0029】
シャッタ地板1の表面側、即ち被写体側には、軸1d,1e,1f,1g,1hが立設されているが、それらのうち、軸1g,1hは、他の軸1d,1e,1fよりも短い。また、シャッタ地板1の背面側、即ち撮像素子側には、軸1i,1j,1k,1mが立設されているが、それらのうち、軸1i,1jは、上記の軸1d,1eと同心上に立設されている。更に、シャッタ地板1の背面側には、半円形のばね掛け部1nと、円形のばね掛け部1pが設けられている。
【0030】
シャッタ地板1の表面側には、実際には、このほかにも、複数の柱が立設されており、それらの先端には、特許文献3にも記載されているような支持板とプリント配線板とが、支持板をシャッタ地板1側にして取り付けられており、その支持板のシャッタ地板1側には、各々が、略U字形をしていて二つの脚部の先端を磁極部とした鉄芯部材と、コイルを巻回していて鉄芯部材の一方の脚部に嵌装されたボビンとで構成されている、先羽根用電磁石と後羽根用電磁石が取り付けられている。しかしながら、それらの電磁石の構成や支持板への取付け構成は周知であり、且つそれらの電磁石の構成を全て図示すると、他の構成部材が分かりにくくなってしまうため、図1及び図2のほか図3〜図9においても、それらの電磁石の鉄芯部材6,7だけを、二点鎖線で示してある。
【0031】
シャッタ地板1の表面側に立設されている上記の軸1dには、先羽根用駆動機構を構成していて、いずれも合成樹脂製である、先羽根用第1駆動部材8と先羽根用第2駆動部材9とが、先羽根用第1駆動部材8の方をシャッタ地板1側にして、個々に回転可能に取り付けられている。尚、それらのうち、先羽根用第1駆動部材8の形状については、図1及び図2よりも図4の方に理解し易く示されている。
【0032】
先ず、先羽根用第1駆動部材8は、被抑止部8aと、被押動部8bと、駆動ピン8cとを有している。それらの部位のうち、被押動部8bと駆動ピン8cは、表面側と背面側とで重なるように形成されており、背面側に形成されている駆動ピン8cは、シャッタ地板1の上記の長孔1bに挿入されている。そして、この駆動ピン8cは、根元側の部位の断面がD形をしていて、その円弧面が上記の緩衝部材4に当接し得るようになっている。また、先端側の部位の断面は小判型をしていて、後述のように羽根室内で先羽根に連結されており、その最先端部を、補助地板3に形成されていて長孔1bと略同じ形状をしている図示していない長孔に挿入している。
【0033】
他方、先羽根用第2駆動部材9は、被押動部9aと、被写体側に部厚く形成した取付部9bと、押動部9cとを有していて、周知のように図示していない先羽根用駆動ばねの付勢力によって反時計方向へ回転するように付勢されており、取付部9bの内部には、周知のように、鉄片部材10と図示していない圧縮ばねとが収容されている。それらのうち、押動部9cは、先羽根用第2駆動部材9が反時計方向へ回転するとき、先羽根用第1駆動部材8に設けられている上記の被押動部8bを押す部位である。
【0034】
また、鉄片部材10は、軸部10aの一端に円盤状をした頭部10bを有していて、他端には鉄片部10cを取り付けているが、図1においては、図面が見にくくなるので、それらの軸部10a,頭部10b,鉄片部10cに符号を付けるのを省略している。そして、この鉄片部材10は、取付部9b内で軸部10aに嵌装した上記の圧縮ばねによって、鉄片部10cを取付部9b内から突き出すように付勢されているが、頭部10bが取付部9bの縁に接触していることによって、図1及び図2に示された状態が維持されている。
【0035】
シャッタ地板1の表面側に立設されている上記の軸1eには、後羽根用駆動機構を構成していて、いずれも合成樹脂製である、後羽根用第1駆動部材11と後羽根用第2駆動部材12とが、後羽根用第1駆動部材11の方をシャッタ地板1側にして、個々に回転可能に取り付けられている。
【0036】
それらのうち、後羽根用第1駆動部材11は、被係止部11aと、被押動部11bと、駆動ピン11cとを有しているが、背面側に形成されている駆動ピン11cは、シャッタ地板1の上記の長孔1cに挿入されている。そして、この駆動ピン11bは、根元側の部位の断面がD形をしていて、その円弧面が上記の緩衝部材5に当接し得るようになっている。また、先端側の部位の断面は小判型をしていて、後述のように羽根室内で後羽根に連結されており、その最先端部を、補助地板3に形成されていて長孔1cと略同じ形状をした図示していない長孔に挿入している。
【0037】
他方、後羽根用第2駆動部材12は、被写体側に部厚く形成した取付部12aと、シャッタ地板1側に形成した押動部12bとを有していて、シャッタ地板1側の面には、被押動部としてのローラー13を取り付けている。そして、周知のように、この後羽根用第2駆動部材12は、図示していない後羽根用駆動ばねの付勢力によって反時計方向へ回転するように付勢されているが、押動部12bは、その回転時に、上記の後羽根用第1駆動部材11の被押動部11bを押す部位である。
【0038】
この後羽根用第2駆動部材12の取付部12aにも、その内部に、鉄片部材14と図示していない圧縮ばねとが収容されている。そして、鉄片部材14は、軸部14aの一端に円盤状をした頭部14bを有していて、他端には鉄片部14cを取り付けているが、図1においては図面を見やすくするために、それらの軸部14a,頭部14b,鉄片部14cには符号を付けていない。また、この鉄片部材14は、取付部12a内で軸部14aに嵌装されている上記の圧縮ばねによって、鉄片部14cを取付部12a内から突き出すように付勢されているが、頭部14bが取付部12aの縁に接触していることによって、図1及び図2に示された状態が維持されている。
【0039】
シャッタ地板1の表面側に立設されている上記の軸1fには、合成樹脂製のセット部材15が回転可能に取り付けられている。このセット部材15は、図示していないカメラ本体側の部材によって押される被押動部15aと、先羽根用第2駆動部材9の上記の被押動部9aを押す押動部15bと、後羽根用第2駆動部材12に取り付けられている上記のローラー13を押す押動部15cと、可撓性を有していて先羽根用第2駆動部材9の上記の被押動部9aに押されて撓まされる制動部15dと、を有しているほか、シャッタ地板1側の面には、軸1fを囲むようにして肉厚部が形成されており、その肉厚部には、歯車状の伝達部15eと、押動部15fとが形成されている。
【0040】
そして、このセット部材15は、図示していない復帰ばねによって時計方向へ回転するように付勢されているが、図1及び図2は、そのような復帰ばねの付勢力によって時計方向へ回転するのを、シャッタ地板1側の面に設けられた図示していないピンが、シャッタ地板1に設けられた図示していないストッパ部に当接して、停止させられている状態を示したものである。以下、セット部材15については、この位置を初期位置ということにする。
【0041】
尚、本実施例では、セット部材15が、合成樹脂材料だけで製作されているものとしているが、量産上のことを考えると、同一の合成樹脂材料でこのような形状の部品を製作するのは容易でない。例えば、被押動部15aは、カメラ本体側の部材によって繰り返し強く押されるところであるにもかかわらず、細長いアーム状の部位の先端に設けられているため、アーム状の部位を強度的に耐えられるようにする必要がある。また、他の部位は可撓性を有さず制動部15dにだけ可撓性を持たせるようにするためには高度の成形加工技術を要求される。そのため、本実施例のようなセット部材15を実際に量産する場合には、被押動部15aを有しているアーム状の部位だけを金属製とし、制動部15dだけを軟質の合成樹脂製として、その他の部位との三者を一体成形して一つの部品にするのが最適である。
【0042】
シャッタ地板1の表面側に立設されている上記の軸1gには、合成樹脂製の抑止部材16が回転可能に取り付けられている。この抑止部材16は、抑止部16a(図1及び図2よりも図4の方が分かり易く示されている)と、歯車状をした被伝達部16bとを有している。そして、その抑止部16aは、セット部材15が初期位置及びその近傍位置以外にあるときは、先羽根用第1駆動部材8の上記の被抑止部8aの作動軌跡内に臨まされる部位である。また、被伝達部16bは、セット部材15の上記の伝達部15eに係合しており、抑止部材16が、セット部材15に連動し、セット部材15とは逆方向へ回転するようにする部位である。尚、本実施例の場合は、セット部材15と抑止部材16とが、このような構成で連動するようにしているが、例えば特許文献3に記載されているような構成であっても差し支えない。
【0043】
シャッタ地板1の表面側に立設されている上記の軸1hには、合成樹脂製の係止部材17が回転可能に取り付けられている。この係止部材17は、後羽根用第1駆動部材11の被係止部11aに係合することによって、後羽根用第1駆動部材11の時計方向の回転を係止する係止部17aと、セット部材15の押動部15fによって押される被押動部17bとを有していて、図示していないばねによって反時計方向へ回転するように付勢されているが、図1及び図2は、その回転を、シャッタ地板1に設けられた図示していないストッパ部によって停止されている状態を示したものである。
【0044】
次に、シャッタ地板1の背面側の構成を説明する。先ず、シャッタ地板1と中間板2の間に配置されている先羽根は、シャッタ地板1の上記の軸1iに対して一端を回転可能に取り付けられたアーム16と、シャッタ地板1の上記の軸1kに対して一端を回転可能に取り付けられたアーム19と、それらの自由端である他端部に向けて順に枢支された4枚の羽根20,21,22,23とで構成されており、羽根23が先羽根のスリット形成羽根となっている。そして、周知のように、先羽根用第1駆動部材8の駆動ピン8cの先端部は、アーム18に形成された図示していない長孔に嵌合している。
【0045】
また、シャッタ地板1の軸1kには、ねじりコイルばねである先羽根用セットばね24が嵌装されていて、その一端をシャッタ地板1に設けられた上記のばね掛け部1nに掛け、他端をアーム19の孔(符号なし)に掛けて、アーム19を時計方向へ回転させるように付勢している。そのため、この先羽根用セットばね24は、先羽根を介して間接的に先羽根用第1駆動部材8を時計方向へ回転させるように付勢していることになる。そして、その付勢力は、先羽根用第2駆動部材9を反時計方向へ回転させるように付勢している上記の先羽根用駆動ばねの付勢力よりは弱い。
【0046】
このような先羽根用セットばね24は、本実施例のようには構成しないで、シャッタ地板1の表面側で、一端をシャッタ地板1に掛け他端を先羽根用第1駆動部材8に掛けるようにしたり、一端を先羽根用第2駆動部材9に掛け他端を先羽根用第1駆動部材8に掛けるようにしたりすることも知られている。そのため、本発明は、それらのように構成することを妨げるものではない。しかしながら、本実施例のように構成すると、先羽根用セットばね24に、先羽根に対する周知のガタ寄せばね(先羽根の構成部品間のガタツキをなくし、スリット形勢羽根の露光作動開始位置での姿勢を一定にするためにアーム19に掛けられるばね)の役目を兼用させることができるので、有利である。
【0047】
他方、中間板2と補助地板3との間に配置されている後羽根は、シャッタ地板1の上記の軸1jに対して一端を回転可能に取り付けられたアーム25と、シャッタ地板1の上記の軸1mに対して一端を回転可能に取り付けられたアーム26と、それらの自由端である他端部に向けて順に枢支された4枚の羽根27,28,29,30とで構成されており、羽根30が後羽根のスリット形成羽根となっている。そして、周知のように、後羽根用第1駆動部材11の駆動ピン11cの先端部は、アーム25に形成された図示していない長孔に嵌合している。
【0048】
また、シャッタ地板1の軸1kには、ねじりコイルばねである後羽根用セットばね31が嵌装されていて、その一端をシャッタ地板1のばね掛け部1pに掛け、他端をアーム26の孔(符号なし)に掛けて、アーム26を時計方向へ回転させるように付勢している。そのため、この後羽根用セットばね31は、後羽根を介して間接的に後羽根用第1駆動部材11を時計方向へ回転させるように付勢しているが、その付勢力は、後羽根用第2駆動部材12に掛けられている上記の図示していない後羽根用駆動ばねの付勢力よりも弱い。そして、この後羽根用セットばね31の場合にも、周知の後羽根のガタ寄せばね(後羽根のスリット形勢羽根の露光作動開始位置での姿勢を一定にするためにアーム26に掛けられるばね)の役目を兼用させているが、後羽根用第1駆動部材11に直接掛けるように構成しても差し支えない。
【0049】
次に、上記の構成説明に用いた図2と、図3〜図10とを用いて本実施例の作動を説明する。尚、図3〜図9は、図2と同様に、図1に示した本実施例の左側約半分を拡大して示したものであるが、図7〜図9においては、図面を見やすくするために、4本のアーム18,19,25,26と、それらに対する各羽根の枢支部の図示が省略されている。また、図10は、本実施例と従来例との差異を理解できるようにするために、カメラのレリーズボタンを押してから次の撮影待機状態が得られるまでを1サイクルとした主な構成部材の作動のタイミングを分かり易く示したチャート図であって、上段の(a)が本実施例の場合であり、下段の(b)が従来例の場合である。
【0050】
図2は、既に説明したように、露光作動終了直後の状態を示したものである。このとき、先羽根用第2駆動部材9は、図示していない周知の先羽根用駆動ばねによって、反時計方向へ回転するように付勢されており、その押動部9cが、先羽根用セットばね24の付勢力に抗して先羽根用第1駆動部材8の被押動部8bを押し、先羽根用第1駆動部材8の駆動ピン8cを緩衝部材4に接触させていることによって、この停止状態が維持されている。そして、このとき、先羽根の4枚の羽根20〜23は、重畳状態になって開口部1aの上方位置に格納されている。
【0051】
他方、後羽根用第2駆動部材12は、図示していない周知の先羽根用駆動ばねにより、その押動部12bが、後羽根用セットばね31の付勢力に抗して後羽根用第1駆動部材11の被押動部11bを押し、後羽根用第1駆動部材11を反時計方向へ回転させるように付勢されているが、後羽根用第1駆動部材11の駆動ピン11cが緩衝部材5に接触しているため、この停止状態が維持されている。そして、このとき、後羽根の4枚の羽根27〜30は、展開状態になって開口部1aを覆っている。また、係止部材17は、図示していないばねの付勢力による反時計方向への回転を、シャッタ地板1に設けられた図示していないストッパ部によって阻止されており、後羽根用第1駆動部材11が時計方向へ回転しようとすると、係止部17aが被係止部11aを係止することによって、その回転を阻止し得るようになっている。
【0052】
また、このとき、セット部材15は初期位置にあり、その歯車状の伝達部15eが抑止部材16の歯車状の被伝達部16bを押して、抑止部材16を反時計方向へ回転させることによって、抑止部材16の抑止部16aを、先羽根用第1駆動部材8の被抑止部8aの作動軌跡外にそらせている。そして、セット部材15の一方の押動部15bは、先羽根用第2駆動部材9の被押動部9aから離れており、他方の押動部15cは、後羽根用第2駆動部材12に取り付けられたローラー13から離れている。
【0053】
撮影に際して先羽根と後羽根による露光作動が終了し、このような図2に示された状態になると、直ちに撮像情報が撮像素子から情報処理回路を介して記憶装置に転送されるが、カメラに備えられている制御回路には、そのための転送可能時間が予め設定されている。そのため、従来は、図10(b)に示されているように、撮像情報の転送可能時間が経過してから、セット部材に初期位置からセット作動を開始させていた。何故ならば、従来のこの種のフォーカルプレンシャッタは、そのセット作動により、後羽根の方は、開口部1aから完全に退いた状態にさせるが、先羽根の方は、開口部1aを完全に覆った状態にさせないため、撮像情報の転送可能時間中にセット作動を開始させてしまうと、撮像情報の転送中に撮像素子に光が当たってしまい、スミア現象が生じて撮像情報が乱されてしまうからである。
【0054】
しかしながら、本実施例の場合には、図10(a)に示されているように、撮像情報転送可能時間中にセット部材15にセット作動を開始させても、後羽根は開口部1aを覆ったままであって撮像素子には光が当たらないようにし、撮像情報転送可能時間の経過後であって、セット部材のセット作動が終了する直前になってから後羽根に開き作動を行わせ、開口部1aを全開状態にさせるようにしている。そのため、本実施例の場合は、撮影に際してカメラのレリーズボタンを押してから、撮影が終了し、次の撮影待機状態が得られるまでの一連の撮影サイクル(T)が、従来例の撮影サイクル(t)よりもかなり短くなって、次の撮影が早く行えることになる。そこで、以下においては、本実施例がそのような作動を好適に行えることを、具体的に説明する。
【0055】
露光作動が終了して図2の状態が得られると、本実施例の場合には、上記したように、直ちにセット作動が開始されるが、そのセット作動は、図示していないカメラ本体側の部材が、セット部材15の被押動部15aを下方へ押し、図示していない復帰ばねの付勢力に抗してセット部材15を反時計方向へ回転させることによって行なわれる。そして、セット部材15が回転を開始すると、抑止部材16は、その被伝達部16bがセット部材15の伝達部15eに押されることによって時計方向へ回転し、その抑止部16aを、先羽根用第1駆動部材8の被抑止部8aの作動軌跡内へ臨ませてゆく。
【0056】
このようにして、セット部材15と抑止部材16が回転を開始すると、その後、先ず、セット部材15の押動部15bが先羽根用第2駆動部材9の被押動部9aを押し、先羽根用第2駆動部材9を図示していない先羽根用駆動ばねの付勢力に抗して時計方向へ回転させ始める。このとき、先羽根用第1駆動部材8には、セットばね24により、先羽根を介して時計方向へ回転する力が与えられているため、先羽根用第1駆動部材8も、その被押動部8bが先羽根用第2駆動部材9の押動部9cに追従して、時計方向へ回転し、先羽根の4枚の羽根20〜23を展開させながら上方へ移動させ始める。
【0057】
それ以後は、上記のようにセット部材15によって時計方向へ回転させられている抑止部材16の抑止部16aと、時計方向への回転を開始させられた先羽根用第1駆動部材8の被抑止部8aとの間の距離が、徐々に短くなっていくことになる。そして、そのような先羽根用第1駆動部材8の時計方向への回転によって、先羽根のスリット形成羽根23が開口部1aを覆い始め、停止状態にある後羽根のスリット形成羽根30との重なり量が所定量に達すると、セット部材15のもう一方の押動部15cが後羽根用第2駆動部材12に取り付けられているローラー13に接触するようになる。そして、それと殆ど同じ時機に、抑止部材16の抑止部16aと先羽根用第1駆動部材8の被抑止部8aとが接触するようになる。そのときの状態が、図3に示されている。
【0058】
図3の状態が得られた後も、セット部材15は反時計方向への回転を続けるので、後羽根用第2駆動部材12は、ローラー13を押動部15cに押され、図示していない後羽根用駆動ばねの付勢力に抗して時計方向へ回転させられるが、後羽根用第1駆動部材11は、係止部材17の係止部17aによって被係止部11aを係止されるので、後羽根用セットばね31の付勢力により、被押動部11bを後羽根用第2駆動部材12の押動部12bに追従させて時計方向へ回転することができない。そのため、後羽根の4枚の羽根27〜30は、開口部1aを覆ったままの状態で、後羽根用第2駆動部材12だけが時計方向へ回転を続けることになる。
【0059】
このようにして後羽根用第2駆動部材12が時計方向へ回転を開始する段階では、上記のように抑止部材16の抑止部16aが先羽根用第1駆動部材8の被抑止部8aに接触しているので、先羽根用第1駆動部材8は、セット部材15のその後の反時計方向の回転によって、その被抑止部8aを抑止部材16の抑止部16aに押され、先羽根用セットばね24の付勢力に抗して反時計方向へ回転させられるようになり、先羽根の4枚の羽根20〜23は、開口部1aの上方へ戻っていく。そのため、図3の状態になった後は、セット部材15は、図示していない先羽根用駆動ばねと後羽根用駆動ばねとの両方の付勢力と、先羽根用セットばね24の付勢力とに抗して反時計方向への回転を続けることになる。
【0060】
そして、その後、先羽根の4枚の羽根20〜23が開口部1aから上方へ完全に退くと、先羽根用第2駆動部材9と後羽根用第2駆動部材12に取り付けられている鉄片部材10,14の鉄片部10c,14cが、相前後して先羽根用電磁石と後羽根用電磁石の鉄芯部材6,7の磁極部に接触するが、このころには既に、上記した記憶装置への撮像情報の転送は終わっている。また、鉄片部材10,14の鉄片部10c,14cが鉄芯部材6,7の磁極部に接触するころには、セット部材15の押動部15fが係止部材17の被押動部17bを押し、係止部材17を図示していないばねの付勢力に抗して時計方向へ回転させ、後羽根用第1駆動部材11の係止を解く。
【0061】
セット部材15は、その後も僅かに回転したところで停止させられるが、その過程で、鉄片部材10,14の鉄片部10c,14cが、図示していない圧縮ばねの付勢力に抗して取付部9b,12a内に押し込まれるので、反対側に軸部10a,14aの一部が出現し、頭部10b,14bが取付部9b,12aから離れた状態になる。また、後羽根用第1駆動部材11は、係止部材17による係止を解かれると、後羽根用セットばね31の付勢力によって時計方向へ回転するので、後羽根の4枚の羽根27〜30は、隣接する羽根同士の重なりを大きくしつつ下方へ移動し、開口部1aを開いていく。図4は、そのようにして、後羽根の4枚の羽根27〜30が開口部1aを開いていく過程を示したものである。
【0062】
このようにして、セット部材15が、そのセット位置で停止したときには、後羽根用第1駆動部材11も、その被押動部11cが後羽根用第2駆動部材12の押動部12bに当接して停止し、開口部1aが全開になる。その状態が図5に示されたセット完了状態、即ち次の撮影の待機状態であり、セット部材15は、次の撮影が行われるまで、図示していない復帰ばねの付勢力に抗して、カメラ本体側の部材によってこの状態を維持させられている。従って、この状態においては、開口部1aが全開になっているので、カメラの電源をオフにしない限り、被写体像を、電子ファインダで観察することが可能となる。
【0063】
尚、本実施例の場合には、セット部材15の押動部15fが係止部材17の被押動部17bを押すことによって、後羽根用第1駆動部材11の係止を解除しているが、本発明は、このような構成に限定されず、係止部材17の被押動部17bを、例えば開口部1a側に長く延伸させた部位の先端に形成し、その被押動部を、カメラ本体側の部材が押して係止を解くように構成しても差し支えない。
【0064】
また、本実施例は、ダイレクトタイプのフォーカルプレンシャッタとして構成されているが、係止タイプのフォーカルプレンシャッタとして構成した場合にも、セット完了後には、セット部材15を直ちに初期位置へ復帰させず、本実施例の場合と同様に、セット位置に留めておく必要がある。何故ならば、以下の説明からも分かるように、セット部材15を初期位置へ復帰させてしまうと、先羽根の4枚の羽根20〜23が作動を開始して開口部1aを覆ってしまうことになり、次の撮影に先立って電子ファインダによる被写体像の観察ができなくなってしまうからである。
【0065】
そこで次に、このようなセット完了状態において、次の撮影が行われる場合を説明する。図5に示されている状態において、電子ファインダで被写体像を観察しながら、カメラのレリーズボタンを押すと、実際の撮影(露光作動)を開始する前に、先羽根用電磁石と後羽根用電磁石が励磁状態(図10におけるON)になり、鉄片部材10,14が鉄芯部材6,7に吸着保持される。次に、図示していないカメラ本体側の部材が、セット部材15の被押動部15aに対する押圧力を解くので、セット部材15は、図示していない復帰ばねの付勢力によって時計方向へ回転し、初期位置へ復帰させられていく。
【0066】
その復帰作動の初期段階において、セット部材15は、押動部15bが先羽根用第2駆動部材9の被押動部9aから離れ、押動部15cが後羽根用第2駆動部材12に取り付けられたローラー13から離れていくので、先羽根用第2駆動部材9と後羽根用第2駆動部材12は、図示していない先羽根用駆動ばねと後羽根用駆動ばねの付勢力によって反時計方向へ回転するが、僅かに回転したところで、それらの取付部9b,12aが鉄片部材10,14の頭部10b,14bに当接して、停止させられる。
【0067】
このような後羽根用第2駆動部材12の僅かな回転によって、後羽根用第1駆動部材11も、その被押動部11bを後羽根用第2駆動部材12の押動部12bに押され、後羽根用セットばね31の付勢力に抗して僅かに回転させられるので、後羽根の4枚の羽根27〜30も僅かに上方へ移動させられるが、開口部1aを覆い始める前には停止させられる。先羽根用第2駆動部材9,後羽根用第1駆動部材11,後羽根,後羽根用第2駆動部材12にとっては、このようにして得られた位置が、露光作動開始位置である。
【0068】
また、セット部材15が、セット位置から初期位置へ復帰するときには、抑止部材16も反時計方向へ回転させられていく。それによって、抑止部16aが先羽根用第1駆動部材8の被抑止部8aに対する押圧を解いていくので、先羽根用第1駆動部材8は、先羽根用セットばね24の付勢力によって、その被抑止部8aを抑止部材16の抑止部16aに追従させて、時計方向へ回転していくことになる。そのため、先羽根の4枚の羽根20〜23は、隣接する羽根同士の重なりを小さくしながら、開口部1aを覆っていく。図6は、そのようにして、先羽根の4枚の羽根20〜23が、開口部1aの半分以上を覆った状態を示したものである。
【0069】
セット部材15が、図6に示されている状態からさらに時計方向へ回転し、先羽根の4枚の羽根20〜23が、開口部1aを完全に覆うころになると、抑止部材16の抑止部16aが、先羽根用第1駆動部材8の被抑止部8aの作動軌跡外へ退くようになる。それによって、先羽根用第1駆動部材8は、抑止部材16に対する追従関係を解かれるので、それまでよりも速く回転し、被押動部8bが先羽根用第2駆動部材9の押動部9cに当接して停止する。
【0070】
このように、先羽根用第1駆動部材8は、その回転の後半になってから、抑止部材16に対する追従関係を解かれるので、被押動部8bが先羽根用第2駆動部材9の押動部9cに当接したときのバウンドは殆ど生じず、早期に先羽根の静止状態が得られる。図7は、そのような静止状態が得られるのと殆ど時機を同じくして、セット部材15が初期位置で停止した状態を示したものであるが、先羽根用第1駆動部材16と先羽根にとっては、このときの位置が露光作動開始位置である。
【0071】
このようにしてセット部材15が初期位置へ復帰すると、先羽根用電磁石と後羽根用電磁石とが被写体光の明るさに対応した所定の時間間隔で順に消磁(図10におけるOFF)される。そこで先ず、先羽根用電磁石が消磁すると、鉄片部材10に対する鉄芯部材6の吸引力が失われ、先羽根用第2駆動部材9が、図示していない先羽根用駆動ばねの付勢力によって反時計方向へ急速に回転させられるが、そのとき、先羽根用第2駆動部材9は、押動部9cが先羽根用第1駆動部材8の被押動部8bを押し、先羽根用第1駆動部材8を、先羽根用セットばね24の付勢力に抗して時計方向へ回転させるので、先羽根の4枚の羽根20〜23は、隣接する羽根同士の重なりを大きくしながら上方へ移動し、スリット形成羽根23の下端縁で開口部1aを開いていく。
【0072】
先羽根用電磁石が消磁してから所定時間後に、後羽根用電磁石が消磁すると、鉄片部材14に対する鉄芯部材7の吸引力が失われ、後羽根用第2駆動部材12が、図示していない後羽根用駆動ばねの付勢力によって反時計方向へ急速に回転させられる。そのとき、後羽根用第2駆動部材12は、押動部12bが後羽根用第1駆動部材11の被押動部11bを押し、後羽根用第1駆動部材11を、後羽根用セットばね31の付勢力に抗して反時計方向へ回転させため、後羽根の4枚の羽根27〜30は、隣接する羽根同士の重なりを大きくしながら上方へ移動し、スリット形成羽根30の上端縁で開口部1aを閉じていく。そのため、それ以後は、先羽根と後羽根が、それらのスリット形成羽根23,30の間に形成されたスリットにより、撮像素子の撮像面を下から上へ連続的に露光していくことになるが、そのような露光作動の途中の状態が図8に示されている。
【0073】
このようにして行われる露光作動の最終段階になると、先ず、先羽根用第2駆動部材9の被押動部9aがセット部材15の制動部15dに当接するので、先羽根用第2駆動部材9は、その制動部15dを撓ませながら制動されるようになる。続いて、後羽根用第2駆動部材9の被係止部11aが係止部材17の係止部17aに当接するので、後羽根用第2駆動部材12は、係止部材17を図示していないばねの付勢力に抗して時計方向へ回転させながら制動されるようになる。図9は、先羽根用第2駆動部材9が、そのような制動を受けながらの回転の最終段階にあり、後羽根用第2駆動部材12が、そのような制動を受けるために、被係止部11aを係止部材17の係止部17aに当接させたときの状態を示したものである。
【0074】
そして、この図9に示された状態の直後には、先羽根用第2駆動部材9の被押動部9aがセット部材15の制動部15dから離れ、その後、先羽根用第1駆動部材8の駆動ピン8cが緩衝部材4に当接することによって、先羽根用の二つの駆動部材8,9と先羽根の作動が停止する。次に、それまで係止部材17によって制動されていた後羽根用第2駆動部材12の被係止部11aが係止部材17の係止部17aから離れることによって、係止部材17が図示していないばねの付勢力によって反時計方向へ回転する状態になると、後羽根用第1駆動部材11の駆動ピン11cが緩衝部材5に当接して、後羽根用の二つの駆動部材11,12と後羽根の作動が停止する。
【0075】
ところで、本実施例における係止部材17の本来の役目は、セット作動が開始されてから、撮像情報が撮像素子から転送され終わるまで、開口部1aを後羽根の4枚の羽根27〜30によって覆っているようにするために、後羽根用第1駆動部材11を係止していることである。そのため、本発明の係止部材は、本実施例のように構成せず、後羽根用第1駆動部材11が上記のようにして停止し終わる前には接触せず、停止し終わってから、例えばカメラ本体側の部材によって、後羽根用第1駆動部材11の時計方向への回転を係止し得るようにしてもよいわけである。しかしながら、本実施例の場合には、専用の制動部材を備えなくてもよいようにするために、係止部材17が上記のように構成されていて、露光作動の最終段階において後羽根用の二つの駆動部材11,12の回転を制動する役目も有するようにしている。
【0076】
また、露光作動の終了時には、駆動ピン11cが緩衝部材5に当接することによって後羽根用第1駆動部材11がバウンドしてしまい、後羽根のスリット形成羽根30の上端縁が一時的に開口部1aに進入して、撮像素子を再露光してしまうおそれがある。そのような場合、従来は、バウンドを抑える部材を単独で備えたり、制動部材と兼用させたりしていたが、本実施例の場合には、後羽根用第1駆動部材11がバウンドしても、係止部材17の係止部17aが後羽根用第1駆動部材11の被係止部11aを係止するので、バウンドを抑える部材を特別に備えなくてもよいようになっている。
【0077】
以上のようにして、後羽根用の二つの駆動部材11,12と後羽根の停止した状態が、図1及び図2に示されている露光作動の終了直後の状態であって、その後、撮像情報が、撮像素子から情報処理回路を介して記憶装置に転送されると、撮影が終了したことになるが、既に説明したように、本実施例の場合には、その転送中に、セット作動が行われることになる。そのため、本実施例は、次の撮影を行えるようになるまでの時間が短くなり、特に連写を行えるようにしたデジタルカメラに用いて有利になる。
【0078】
尚、本実施例のセット作動は、上記のように、セット部材15が、被押動部15aをカメラ本体側の部材に直接押され、図示していない復帰ばねの付勢力に抗して回転させられることによって行われるが、本発明のフォーカルプレンシャッタは、そのような構成に限定されるものではない。周知のように、シャッタ地板1に、カメラ本体側の部材によって操作されるもう一つのセット用の部材を取り付けて置き、セット部材15は、その部材を介して回転させられるように構成してもよく、その場合には、セット部材15を初期位置へ復帰させるための復帰ばねは、本実施例のように、セット部材15に掛けてもよいが、そのようなもう一つのセット用の部材に掛けるようにしても構わない。
【0079】
ところで、既に述べたように、本発明は、係止タイプのフォーカルプレンシャッタとして実施することも可能であるが、上記の実施例は、ダイレクトタイプのフォーカルプレンシャッタとして構成したものである。そして、実施例の説明の中においては、係止タイプのフォーカルプレンシャッタとして構成したときは、セット部材をセット作動終了後、直ちに初期位置へ復帰させることなく、実施例におけるセット部材の場合と同様に、撮影の初期段階であって露光作動が開始される前に、初期位置へ復帰させるようにする必要がることを説明した。そのため、その説明だけで、本発明を、係止タイプのフォーカルプレンシャッタとして実施することも可能であることが、充分に理解できると考えるが、念のため、実施例の構成を係止タイプのフォーカルプレンシャッタにする場合の構成を、簡単に説明しておく。
【0080】
先ず、先羽根用第2駆動部材9と後羽根用第2駆動部材12には、本実施例のように鉄片部材10,14を取り付けず、それに代わって各々被係止部を形成しておく。そして、図5のセット完了状態においては、それらの駆動部材9,12は、それらの被係止部が夫々の係止部材に係止される位置を越えるところまで回転されているようにしておき、カメラのレリーズボタンが押され、本実施例のようにセット部材15が初期位置へ復帰するときの初期段階で、夫々の係止部材に係止されるようにする。そして、その後、セット部材15が初期位置へ復帰するまでの作動は、上記の実施例の場合と全く同じである。
【0081】
他方、上記の各係止部材の係止を解除するために設けられている二つの係止解除部材は、セット部材15が、上記のようにして、初期位置へ復帰作動を開始する前に、夫々のばねの付勢力に抗して、先羽根用電磁石と後羽根用電磁石に吸着保持されている。そして、その後、セット部材15が、上記のように作動して、図7に示された初期位置へ復帰すると、上記の各電磁石に対する通電を順に断つ。それにより、上記の各係止解除部材は、上記の各々のばねの付勢力で作動し、上記の各係止部材による係止を解除するので、先羽根用第2駆動部材9と後羽根用駆動部材12は、順に露光作動を開始する。そして、セット作動時には、セット部材15の作動に連動して、上記の二つの係止解除部材が、各々の電磁石に対して接触させられるようにする。尚、このような作動が得られるようにするための構成は種々知られているが、その一例が、特開2001−215555号公報にも記載されている。
【符号の説明】
【0082】
1 シャッタ地板
1a,2a,3a 開口部
1b,1c 長孔
1d,1e,1f,1g,1h,1i,1j,1k,1m 軸
1n,1p ばね掛け部
2 中間板
3 補助地板
4,5 緩衝部材
6,7 鉄芯部材
8 先羽根用第1駆動部材
8a 被抑止部
8b,9a,11b.15a,17b 被押動部
8c,11c 駆動ピン
9 先羽根用第2駆動部材
9b,12a 取付部
9c,12b,15b,15c,15f 押動部
10,14 鉄片部材
10a,14a 軸部
10b,14b 頭部
10c,14c 鉄片部
11 後羽根用第1駆動部材
11a 被係止部
12 後羽根用第2駆動部材
13 ローラー
15 セット部材
15d 制動部
15e 伝達部
16 抑止部材
16a 抑止部
16b 被伝達部
17 係止部材
17a 係止部
18,19,25,26 アーム
20,21,22,23,27,28,29,30 羽根
24 先羽根用セットばね
31 後羽根用セットばね

【特許請求の範囲】
【請求項1】
セット状態ではセット部材がセット位置にあることにより露光作動終了時と同様に先羽根を露光開口から退かせておりセット部材の復帰作動時には先羽根に露光開口を覆わせる先羽根用駆動手段と、セット部材のセット作動時には係止部材に係止されていて後羽根を露光開口を覆った状態のままにしておきセット部材がセット位置に達する直前になって該係止部材による係止が解かれると後羽根を露光開口から退かせる後羽根用第1駆動部材と、セット部材のセット作動によってセット方向に回転され露光作動時には後羽根用第1駆動部材を露光作動方向に回転させ後羽根に露光開口を覆わせる後羽根用第2駆動部材と、を備えていることを特徴とするカメラ用フォーカルプレンシャッタ。
【請求項2】
前記先羽根用駆動手段は、先羽根用駆動ばねにより露光作動方向に付勢された先羽根用第1駆動部材と、前記先羽根と連結されておりセットばねにより露光作動方向とは反対側に付勢された先羽根用第2駆動部材と、を含むことを特徴とする請求項1に記載のカメラ用フォーカルプレンシャッタ。
【請求項3】
前記セット部材が押動部を有していて、前記係止部材が被押動部を有しており、前記セット部材は、そのセット作動の終了直前において該押動部が該被押動部を押すことによって、前記係止部材による前記後羽根用第1駆動部材の係止を解くようにしたことを特徴とする請求項1又は2に記載のカメラ用フォーカルプレンシャッタ。
【請求項4】
前記係止部材は、前記後羽根用第1駆動部材を係止するために、ばねによって一方方向へ回転する力を与えられており、露光作動終了直前においては、前記後羽根用第1駆動部材が当接し、該ばねの付勢力に抗して回転させられることによって、前記後羽根用第1駆動部材の回転を制動する役目も有していることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のカメラ用フォーカルプレンシャッタ。
【請求項5】
前記係止部材は、露光作動終了時において前記後羽根用第1駆動部材がストッパに当接してバウンドするのを係止する役目も有していることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のカメラ用フォーカルプレンシャッタ。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかに記載のカメラ用フォーカルプレンシャッタを備えていることを特徴とするデジタルカメラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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