説明

カメラ装置および映像再生装置

【課題】撮影場所データを映像データとは別に記録しておくことなく、編集後も映像がどこでどのようにして撮影されたのかを明らかにできるようにする。
【解決手段】カメラ装置1は光学映像に応じた撮像信号を出力する撮像手段と、その撮像手段から出力される撮像信号を用いて光学映像に応じた映像データを生成する映像データ生成手段と、撮影場所に関する位置情報を取得する位置情報取得手段と、撮像手段の方位を特定するための方位情報を取得する方位情報取得手段と、映像データ生成手段が映像データを生成するときに、位置情報取得手段が取得した位置情報および方位情報取得手段が取得した方位情報を、映像データ生成手段により生成される映像データに挿入する挿入手段とを有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタルカメラ、ビデオカメラ等のカメラ装置およびそのカメラ装置で撮影された映像の映像信号を再生する映像再生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被写体の光学映像を取込み、映像データに変換して電子的に保存するカメラ装置(電子カメラ装置ともいう)が知られている。従来のカメラ装置には、静止画の撮影を主体とするデジタルカメラと、動画の撮影を主体とするビデオカメラとがある。
【0003】
デジタルカメラ、ビデオカメラのいずれについても従来から様々なものが普及している。例えば、特許文献1には、撮影場所の地名を静止画に付加して表示するデジタルカメラが開示されている。
【特許文献1】特開2002−262216号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述のカメラ装置の場合、静止画を再生すると、撮影場所の地名を付加して表示することができる。
【0005】
しかし、動画を再生したときに撮影場所の地名を付加して表示するには、撮影により得られる映像データに加えて撮影場所のデータ(以下「撮影場所データ」という)を別途、記録しておかなければならない。しかも、動画は静止画と違って撮影中にカメラの方位や傾斜角(アングル)が変化しながら撮影されることが多いため、映像データ中のシーンごとに撮影場所データを記録し、かつ映像データと撮影場所データとを対応付けておかねばならない。
【0006】
また、撮影後、映像データ中の不要な部分の削除や別のシーンの挿入といった編集作業を行うと、それに伴い、映像データが変化することになるが、その場合、編集後の映像データと撮影場所データとを対応付けておかないと、編集後、地名等の位置を明らかにすることはできなくなってしまう。
【0007】
そこで、本発明は上記課題を解決するためになされたもので、撮影場所データを映像データとは別に記録しておくことなく、編集後も映像がどこでどのようにして撮影されたのかを明らかにできるようにしたカメラ装置および映像再生装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明は、光学映像に応じた撮像信号を出力する撮像手段と、その撮像手段から出力される撮像信号を用いて光学映像に応じた映像データを生成する映像データ生成手段と、撮影場所に関する位置情報を取得する位置情報取得手段と、撮像手段の方位を特定するための方位情報を取得する方位情報取得手段と、映像データ生成手段が映像データを生成するときに、位置情報取得手段が取得した位置情報および方位情報取得手段が取得した方位情報を、映像データ生成手段により生成される映像データに挿入する挿入手段とを有するカメラ装置を特徴とする。
【0009】
また、本発明は、圧縮符号化された映像データを復号する復号手段と、位置画像を生成するための地図情報を記憶する地図情報記憶手段と、復号手段が映像データを復号するときに、その映像データにおける付加情報を加えるためのユーザデータ領域に挿入されている付加情報を抽出し、同期用データとともに記憶手段に記憶させる記憶制御手段と、記憶手段に記憶されている付加情報から、緯度、経度および高度を含む位置情報と、方角を示す方位情報とを抽出する抽出手段と、抽出手段が抽出した位置情報のうちの緯度および経度に対応する対応地図情報を地図情報記憶手段から読み出す読出手段と、その読出手段が読み出した対応地図情報から生成した対応位置画像を表示させる表示制御手段とを有する映像再生装置を提供する。
【発明の効果】
【0010】
以上詳述したように、本発明によれば、撮影場所データを映像データとは別に記録しておくことなく、編集後も映像がどこでどのようにして撮影されたのかを明らかにできるようにしたカメラ装置および映像再生装置が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について説明する。なお、同一要素には同一符号を用い、重複する説明は省略する。
(カメラ装置の構成)
【0012】
図1は本発明の実施形態に係るカメラ装置1の主要な構成を示すブロック図である。図1に示すカメラ装置1は動画の撮影を主体とし、静止画も撮影することが可能なデジタルビデオカメラ装置である。
【0013】
カメラ装置1はレンズ2、CCD(Charge Coupled Device)3、ADコンバータ4、8、ビデオエンコーダ5、PSマルチプレクサ6、マイク7、オーディオエンコーダ9を有している。また、カメラ装置1は、磁気方位センサ10、GPS((Global Positioning System)受信部11、CPU12、メモリ13、表示マイコン14、SDカードコントローラ15、カラーLCDパネル16および操作パネル17を有している。図1のとおり、各構成要素はバス18に接続されている。
【0014】
レンズ2は光学映像を取り込む映像取込手段であって、被写体の光学映像を取り込み、CCD3に結像させる。CCD3は、撮像手段であって、結像された光学画像に応じた撮像信号を生成してADコンバータ4に出力する。ADコンバータ4はCCD3から出力される撮像信号をデジタル形式の映像データに変換して出力する。ビデオエンコーダ5は入力される映像データをMPEG2(Moving Picture Experts Group phase2)ビデオストリームに圧縮符号化し、さらにそのMPEG2ビデオストリームからPES(Packetized Elementary Stream)パケットを生成してPSマルチプレクサ6に出力する。ADコンバータ4とビデオエンコーダ5とによって映像データ生成手段が構成されている。
【0015】
マイク7は音声を取り込み電気信号に変換してADコンバータ8に出力し、ADコンバータ8はマイク7から出力される電気信号をデジタル形式に変換して音声データを生成する。オーディオエンコーダ9は入力される音声データをオーディオストリームに符号化し、さらにPESパケットを生成してPSマルチプレクサ6に出力する。PSマルチプレクサ6は入力されるPESパケットを多重化してPSパケットを出力する。
【0016】
そして、磁気方位センサ10は方位検出手段であって、レンズ2およびCCD3の向いている方位を検出して方位情報を出力する。GPS受信部11はGPS衛星から送信されるGPS信号を受信してCPU12に出力する。なお、以下の説明では、方位情報と位置情報をまとめて方位位置情報ともいう。
【0017】
CPU12はメモリ13に記憶されているプログラムにしたがい作動してカメラ装置1を制御する一方、後述する位置情報取得手段、方位情報取得手段、変換手段として作動する。メモリ13にはCPU12が実行するプログラムなどが格納されている。表示マイコン14はカラーLCDパネル16における動画や静止画の表示を制御し、SDカードコントローラ15はSDカード20に対するPSパケットの読み書きを制御する。カラーLCDパネル16には動画や静止画が表示される。
【0018】
以上のような構成のカメラ装置1は風景などを撮影した際、撮影場所データを映像データとは別に記録しておくことなく撮影がどこでどのようにして行われたのかを明らかにするため、方位位置情報をMPEG2ビデオストリーム31に挿入するようにしている。そのための構成について以下説明する。
【0019】
図2は、ビデオエンコーダ5、CPU12および磁気方位センサ10,GPS受信部11により、方位位置情報をMPEG2ビデオストリーム31に挿入するときの動作手順を示す図である。
【0020】
ビデオエンコーダ5は、映像データの圧縮符号化を行ってMPEG2ビデオストリーム31を出力するときに、CPU12に割込みP1を出力する。CPU12は割込みP1が出力されたときに、位置情報取得手段および方位情報取得手段としての動作を行い、磁気方位センサ10およびGPS受信部11から方位位置情報の取得P2を行う。このとき、CPU12はGPS受信部11が出力するGPS信号から、カメラ装置1の置かれている位置、すなわち、撮影場所の緯度、経度および高度を検出して位置情報を取得する。
【0021】
続いて、CPU12は変換手段としての動作を行い、後述する変換規則にしたがって方位位置情報の変換P3を行う。また、CPU12はバッファ5aに対して方位位置情報の書込P4を行う。そして、ビデオエンコーダ5は、バッファ5aから方位位置情報を読み出した上で挿入手段としての動作を行い、方位位置情報のMPEG2ビデオストリーム31への挿入P5を行い、MPEG2ビデオストリーム31を生成する。
【0022】
ここで、MPEG2ビデオストリーム31は、図3に示すように、GOP(group of pictures)32と呼ばれる複数の画像の集合で構成されている。GOP32の先頭にはGOPヘッダ33があり、その後に、extension_and_user_data34とよばれる付加情報を入れるユーザデータ領域が定義され、その後に各シーンのデータが配置されている。各シーンのデータにも、picture_header36の後にextension_and_user_data37が設けられている。そのほか、picture_cording_extension38や、picture_data39がある。
【0023】
カメラ装置1では、こうしたMPEG2ビデオストリーム31の構成を踏まえビデオエンコーダ5における映像データの圧縮符号化のときに、extension_and_user_data34やextension_and_user_data37に方位位置情報を挿入することにより、挿入されるそれぞれの方位位置情報がどのフレームと対応するのかを再生の際、容易に判断できる点に着目し、方位位置情報をextension_and_user_data34や、extension_and_user_data37に挿入している。
【0024】
こうすることにより、MPEG2ビデオストリーム31は方位位置情報が組み込まれて、撮影場所データと一体不可分の構成になる。そのため、後述する映像再生装置100では、撮影場所データを別途記録しておくことなく、MPEG2ビデオストリーム31だけを用いることで対応するフレームに同期して撮影場所の地図や地名などを表示することができる。
【0025】
なお、H.264の場合は、方位位置情報をSEI(Supplemental Enhancement Information)のuser_data_unregistered に挿入することができる。また、VC1では、Entry-Point Headerの直後にUser Dataとして方位位置情報を挿入することができる。
【0026】
また、IEC13818-1で規定されているTS(Transport Stream)やPS(Program Stream)、ES(Elementary Stream)などに方位位置情報を挿入することもできる。現在のデジタル放送やDVDによる映像データは、IEC13818−1と呼ばれる規格で定義されたTSかPSの形式で記録媒体に記録したり、放送波に重畳して伝送するのが一般的である。
【0027】
IEC13818−1では、このPSやTS、また、PSやTSにする前のESのレベルなどで、ビデオやオーディオなどの規格で規定されているデータ以外のデータを挿入できるように、各所にPrivate Dataの格納場所を用意している。
【0028】
これは、IEC13818−1のAnnex−Hで記述されている。この場合、方位位置情報はTSパケットのStream typeのUser privateとして挿入することができ、TSパケットのadaptation_fieldに挿入することもできる。また、PESパケットのprivate_stream_1やprivate_stream_2に挿入することもできるし、program_stream_mapなどにあるdescriptorや、TSのprivate sectionに挿入することもできる。以下の説明では、MPEG2ビデオストリーム31のextension_and_user_data34に方位位置情報を挿入する場合を例にとって説明する。
【0029】
なお、ここで、ES、TS、PSについて説明を補足すれば以下のとおりである。MPEG2で圧縮符号化されたビデオ、オーディオ等それぞれのデータをES(Elementary Stream)という。ESをパケット化したものをPES(Packetized Elementary Stream)という。映像や音声を再生するためのデータは、ビデオのESやオーディオのESなどから構成されたESの集まりになっており、これらのESはすべて同期してデコードされなければならない。MPEG2では、そのための方式が規定されている。多重化されたESの集まりをプログラムという。これらの各ESを多重化してプログラムの集まりとして1つのストリームにする場合に、PSとTSという2種類のストリームが定義されている。
【0030】
PSは誤りの発生しない環境でのデータの伝送や蓄積に適用されることが想定されていて、DVD等の強力な誤り訂正符号を用いた記録媒体で使用されている。PSは1本のストリームに1本のプログラムしか入れることができない。また、パケット長は可変である。
【0031】
TSは放送や通信ネットワークといった伝送誤りが発生する環境に適用されることが想定されており、冗長度はPSよりも大きくなっている。TSは1本のストリームに複数のプログラムを入れることができる。パケット長は188バイト固定となっている。
【0032】
ところで、DVDの規格では、GOPヘッダ33の直後のextension_and_user_data34にクローズドキャプションを入れる方法が規定されている。そこで、本実施の形態では、このDVDの規格にのっとり、方位位置情報をクローズドキャプションとして挿入することとしている。
【0033】
DVDの規格では、図4に示すフォーマットで、ライン21に挿入するクローズドキャプションの情報(ライン21データ)35を、GOPヘッダ33直後のextension_and_user_data34に挿入するようになっている。ライン21には、米国の放送においてEIA−608−Bという規格にしたがい、クローズドキャプションやコピー制御情報などが挿入されている。なお、クローズドキャプションとは、米国の文字放送で、これにより画面に字幕が出るようになる。
【0034】
NTSC信号では、1枚の画像が525本のラインで構成されているが、最初の21ラインはテレビの走査線を下から上に移動するための期間である。この期間はVBI(Vertical Blanking Interval:垂直帰線区間)とよばれ、映像表示の行われない期間であるため、アスペクト比やコピー制御情報などの付加情報が送信されている。米国ではライン21が用いられ、日本ではライン20が用いられている。
【0035】
そして、カメラ装置1では、方位位置情報をMPEG2ビデオストリーム31にライン21データ35のフォーマットで挿入するため、前述のとおり、CPU12が方位位置情報をすべてテキストデータに変換する。
【0036】
本実施の形態では、緯度および経度を0.0〜360.0度の範囲の0.1度単位、4桁十進数とし、識別用として経度は“LO”、緯度は“LA”の文字列をつけて表記する。すると、例えば経度が35度で、緯度が139度であった場合の位置情報は“LO0350LA1390”のようになる。
【0037】
また、高度は、マイナス1000〜プラス8999mとし、単位はメートル(m)で、実際の値に“1000”を加算した4桁十進数とし、識別用に“HI”の文字列を付けて表記する。すると、例えば高度が600mであった場合、高度の情報は“HI1600”のようになる。
【0038】
さらに、方位は北を0度として反時計回りの一周360度で表現するとし、3桁十進数で先頭に識別用に“DR”の文字列を付けて表記する。すると、方位が真北の場合、方位情報は“DR000”となる。
【0039】
以上の規則(以下「変換規則」という)にしたがい、CPU12が方位位置情報をテキスト情報に変換するとする。この場合、例えば、撮影場所が経度35度、緯度139度、高度400mで方角が真北であった場合、方位位置情報は“LO0350LA1390HI1400DR000”のようなテキストデータに変換される。こうして生成されるテキストデータをビデオエンコーダ5がクローズドキャプションとしてextension_and_user_data34に各GOP単位に挿入する。
【0040】
なお、DVD規格で定義されているクローズドキャプションは、EIA−608で記述されているライン21にデータを埋め込む規格を元にしており、1フレーム2文字しか挿入できない。
【0041】
しかし、通常、1個のGOPは0.5秒程度なので、MPEG2ビデオストリーム31が毎秒60フレーム(60F/S)で生成されているなら、1GOPは30フレームなので、30×2文字で60文字挿入することが可能である。GOPの先頭ごとに、方角付加情報を表示するような仕組みにすれば、撮影された場所の地図上の位置のような付加的な情報を映像に同期させながら表示させることができる。
【0042】
次に、以上の構成を有するカメラ装置1の動作内容について説明する。カメラ装置1では、レンズ2によりCCD3に光学画像が結像され、CCD3により光学画像に応じた撮像信号が生成される。生成される撮像信号はADコンバータ4でデジタル形式の映像データに変換されてビデオエンコーダ5に入力される。
【0043】
ビデオエンコーダ5では、入力された映像データをMPEG2ビデオストリーム31に圧縮符号化し、さらに、PESパケットにして、そのPESパケットをPSマルチプレクサ6に出力する。
【0044】
また、ビデオエンコーダ5が映像データをMPEG2ビデオエンコーダ31に圧縮符号化するとき、前述のようにして、CPU12がリアルタイムに磁気方位センサ10から方位情報を取得するとともに、GPS受信部11からGPS信号を入力し、そのGPS信号から緯度、経度および高度を検出して位置情報を取得する。そして、CPU12は取得した方位情報および位置情報を前述の変換規則にしたがいテキストデータに変換する。さらに、CPU12は得られたテキストデータを図4に示したDVD規格のフォーマットに変換する。
【0045】
そして、ビデオエンコーダ5は、CPU12により生成されたデータをクローズドキャプションとして、GOPヘッダ33の直後のextension_and_user_data34に挿入する。こうして、方位位置情報が組み込まれて一体となったMPEG2ビデオエンコーダ31が生成される。
【0046】
一方、マイク7から出力される電気信号がADコンバータ8によりデジタル形式の信号に変換され、オーディオエンコーダ9により、MPEG1Layer3で符号化され、さらにPESパケットが生成された上でPSマルチプレクサ6に出力される。
【0047】
PSマルチプレクサ6では、入力されたMPEG2ビデオストリーム31のPESパケットと、オーディオストリームのPESパケットとを多重化し、1本のPSストリームとしてPSパケットを出力する。
【0048】
そして、CPU12はPSパケット記録制御手段としての動作を行い、SDカードコントローラ15に指示して、PSマルチプレクサ6から取得したPSパケットを記録媒体としてのSDカード20に記録させる。
【0049】
次に、カメラ装置1により撮影された映像を再生する映像再生装置100について説明する。映像再生装置100はSDカード20に記録されたPSパケットを用いて映像信号を再生する。
【0050】
映像再生装置100は図5に示すように、SDカードコントローラ101と、CPU102と、メモリ103と、ビデオデコーダ104と、オーディオデコーダ105と、グラフィックコントローラ106と、コンポジタ107と、D/Aコンバータ108,109とを有している。また、映像再生装置100は、HDDコントローラ110と、ハードディスク111と、操作パネル112と、表示用サブマイコン113と、VFD表示パネル114とを有している。
【0051】
映像再生装置100では、CPU102の指示にしたがいSDカードコントローラ101がSDカード20に記録されているPSパケットを読み出す。そして、CPU102がPSパケットを解析してPESパケットを抽出し、ビデオストリームとオーディオストリームに分類する。前者はビデオデコーダ104に出力され、後者はオーディオデコーダ105に出力される。オーディオデコーダ105は入力されるPESパケットからESを抽出した上で復号処理を行い、音声信号をD/Aコンバータ109に出力する。D/Aコンバータ109はアナログの音声信号を生成して出力する。
【0052】
ビデオデコーダ104は復号手段であって、入力されるPESパケットからESを抽出した上で、MPEG2の復号処理を行い、生成される映像フレームを同期データとしてのPTS(Presentation Time Stamp)で同期をとりつつコンポジタ107に出力する。その一方、ビデオデコーダ104はGOPヘッダ33の直後のextension_and_user_data34から抽出したクローズドキャプションとしてのデータ(方位位置情報)をPTSとともにメモリ103に記憶させる記憶制御手段としての動作を行い、CPU102に割込みで通知する。
【0053】
CPU102は割込みで通知を受け取ると、メモリ103に書き込まれたクローズドキャプションとしてのデータを読み出すとともに、抽出手段としての動作を行い、読み出したデータを解析して、位置情報(緯度、経度および高度)と方位情報とを抽出する。
【0054】
一方、CPU102は読出手段としての動作を行い、HDDコントローラ110に指示して、地図情報記憶手段としてのHDD111に記録されている地図情報のうち、位置情報に対応する対応地図情報を読み出し、さらに地図画像生成手段としての動作を行い、読み出した対応地図情報を基に、対応地図画像を生成する。
【0055】
また、CPU102は表示制御手段としての動作を行い、グラフィックコントローラ106に対応地図画像の表示指示を出力する。この際、CPU102は変更手段としての動作を行い、方位位置情報に基づいて、カメラ装置1の向きに対応した表示となるように対応地図画像を回転させて向きを変更するための指示も出力する。
【0056】
グラフィックコントローラ106は、CPU102の指示にしたがい映像データのスケーリングを行うとともに、対応地図画像を回転して図示しないフレームバッファに描画する。そして、コンポジタ107はビデオデコーダ104から出力される映像フレームに、グラフィックコントローラ106から出力される対応地図画像をアルファブレンドで合成してD/Aコンバータ108に出力する。D/Aコンバータ108はデジタル形式の映像データからアナログ形式の映像信号を生成して出力する。映像再生装置100が以上のようにして作動することにより、図示しない表示装置には、出力される映像信号により、図6に示すような映像200が表示される。
【0057】
この映像200は、カメラ装置1で撮影された映像に加えて、地図画像201が表示されているので、この地図画像201により、映像200がどこで撮影されたのかを明らかにすることができる。しかも、カメラ装置1で記憶されたPESパケットから抽出した方位情報に応じて、表示される地図画像201の向きが変わるようになっているので、地図画像201の向きの変わり方を確認することにより、どのようにして撮影が行われたかも明らかにすることができる。
【0058】
以上のように、カメラ装置1が、地図画像と同期をとって映像を再生できるよう、撮影の際、MPEG2ビデオストリーム31に方位位置情報をリアルタイムに挿入している。そのため、撮影場所データを映像データと別のデータとして記録しておく必要がなく、MPEG2ビデオストリーム31だけで撮影がどこでどのようにして行われたのかを明らかにできるようになっている。
【0059】
また、生成されたMPEG2ビデオストリーム31について、不要部分の削除や別のシーンの追加、複数シーンの接合といった編集処理を行うと、対応する方位位置情報も合わせて編集されるので、映像データと方位位置情報との対応関係はそのまま維持される。したがって、編集後も、MPEG2ビデオストリーム31を用いた再生を行うだけで、撮影場所データを別途用意しなくても、編集前のように撮影がどこでどのようにして行われたのかを明らかにできる。
【0060】
なお、映像再生装置100では、地図画像201を表示しているが、地図画像201のほか、地名や場所を明確にする文字や記号(例えば、東京都港区芝浦1−*−*)の画像を表示してもよい。これらの画像や地図画像201は位置を示す位置画像を構成している。このような位置画像の表示に加えて音声案内を出力してもよい。
【0061】
また、映像再生装置100では、ランダムアクセスによりデータの読み書きを行える外部記憶装置として、HDD111を有しているが、HDD111のほか、DVD(Digital Versatile Disk)へのデータの記録を行うDVDドライブを備えていてもよい。そして、DVDドライブにより、DVD−RW、DVD−RAMなどの書き換え可能な記憶媒体に動画データを記憶するようにすればよい。
【0062】
以上の説明は、本発明の実施の形態についての説明であって、この発明の装置及び方法を限定するものではなく、様々な変形例を容易に実施することができる。又、各実施形態における構成要素、機能、特徴あるいは方法ステップを適宜組み合わせて構成される装置又は方法も本発明に含まれるものである。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の実施形態に係るカメラ装置1の主要な構成を示すブロック図である。
【図2】ビデオエンコーダ、CPUおよび磁気方位センサ,GPS受信部により、方位位置情報をPSパケットに挿入するときの動作手順を示す図である。
【図3】MPEG2ビデオストリームの構成を示す図である。
【図4】ライン21データのフォーマットの一例を示す図である。
【図5】本発明の実施形態に係る映像再生装置の主要な構成を示すブロック図である。
【図6】映像再生装置で再生される映像の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0064】
1…カメラ装置、2…レンズ、3…CCD、5…ビデオエンコーダ、10…磁気方位センサ、11…GPS受信部、12,102…CPU、13,103…メモリ、15…SDカードコントローラ、20…SDカード、31…MPEG2ビデオストリーム、34,37…extension_and_user_data、100…映像再生装置、104…ビデオデコーダ、111…ハードディスク。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学映像に応じた撮像信号を出力する撮像手段と、
該撮像手段から出力される前記撮像信号を用いて前記光学映像に応じた映像データを生成する映像データ生成手段と、
撮影場所に関する位置情報を取得する位置情報取得手段と、
前記撮像手段の方位を特定するための方位情報を取得する方位情報取得手段と、
前記映像データ生成手段が前記映像データを生成するときに、前記位置情報取得手段が取得した前記位置情報および前記方位情報取得手段が取得した前記方位情報を、前記映像データ生成手段により生成される前記映像データに挿入する挿入手段とを有することを特徴とするカメラ装置。
【請求項2】
前記映像データ生成手段は、前記映像データを圧縮符号化する符号化手段を有し、
前記挿入手段は、前記符号化手段により前記映像データが圧縮符号化されるときに、前記位置情報および前記方位情報を前記映像データに挿入することを特徴とする請求項1記載のカメラ装置。
【請求項3】
前記符号化手段は、前記映像データをMPEG2またはVC1若しくはH.264形式のビデオストリームに符号化し、
前記挿入手段は、前記符号化手段により符号化される前記MPEG2またはVC1若しくはH.264形式のビデオストリームのうちの付加情報を加えるためのユーザデータ領域に前記位置情報および前記方位情報を挿入することを特徴とする請求項2記載のカメラ装置。
【請求項4】
前記位置情報を緯度、経度および高度を示すテキスト情報に変換し、前記方位情報を方角を示すテキスト情報に変換する変換手段を更に有し、
前記挿入手段は、前記ユーザデータ領域のうちのGOPヘッダ直後に配置されるユーザデータ領域に、前記変換手段により変換された前記テキスト情報をクローズドキャプションとして挿入することを特徴とする請求項3記載のカメラ装置。
【請求項5】
GPS衛星から送信されるGPS信号を受信するGPS受信手段と、
前記撮像手段の方位を検出する方位検出手段とを更に有し、
前記位置情報取得手段は前記符号化手段による前記映像データの符号化のときに前記GPS受信手段が受信した前記GPS信号から、前記位置情報として緯度、経度および高度を取得し、
前記方位情報取得手段は前記符号化手段による前記映像データの符号化のときに前記方位検出手段から、前記方位情報として検出された方位を取得することを特徴とする請求項2〜4のいずれか一項記載のカメラ装置。
【請求項6】
前記テキスト情報が挿入された前記MPEG2ビデオストリームからMPEG2PSパケットを生成するPSパケット生成手段を更に有する請求項4記載のカメラ装置。
【請求項7】
前記PSパケット生成手段が生成した前記MPEG2PSパケットを記録媒体に記録させるPSパケット記録制御手段を更に有する請求項6記載のカメラ装置。
【請求項8】
圧縮符号化された映像データを復号する復号手段と、
位置画像を生成するための地図情報を記憶する地図情報記憶手段と、
前記復号手段が前記映像データを復号するときに、該映像データにおける付加情報を加えるためのユーザデータ領域に挿入されている付加情報を抽出し、同期用データとともに記憶手段に記憶させる記憶制御手段と、
前記記憶手段に記憶されている前記付加情報から、緯度、経度および高度を含む位置情報と、方角を示す方位情報とを抽出する抽出手段と、
前記抽出手段が抽出した前記位置情報のうちの前記緯度および経度に対応する対応地図情報を前記地図情報記憶手段から読み出す読出手段と、
該読出手段が読み出した前記対応地図情報から生成した対応位置画像を表示させる表示制御手段とを有する映像再生装置。
【請求項9】
前記表示制御手段が前記対応位置画像を表示させるときに、前記抽出手段が抽出した前記方位情報に応じて、前記対応位置画像の向きを変更させる変更手段を更に有することを特徴とする請求項8記載の映像再生装置。
【請求項10】
前記読出手段が読み出した前記対応位置画像を前記復号手段が生成した前記映像データに合成する合成手段を更に有することを特徴とする請求項8または9記載の映像再生装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2009−159279(P2009−159279A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−334823(P2007−334823)
【出願日】平成19年12月26日(2007.12.26)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】